説明

エアバッグ用基布、その製造方法およびエアバッグ

【課題】エアバッグ用基布として用いられている従来の基布より軽く、かつ軽量基布の一般的な仕様である布帛構造の粗い基布では不足していた糸の滑脱抵抗が高く、裁断線からのホツレや縫製部の縫い目ずれが少ないエアバッグ用基布、その製造方法および該基布を用いたエアバッグを提供する。
【解決手段】繊度200dtex以上の繊維糸条を含む基布であって、該基布の少なくとも片面が1MPa以上の圧力で高圧水流処理されてなるエアバッグ用基布である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車衝突時の乗員保護装置として実用されているエアバッグに用いる基布、その製造方法およびエアバッグに関するものであり、更に詳しくは、軽量で、基布を構成する糸の滑脱抵抗が高く、裁断線からのホツレや縫製部の縫い目ずれが少ないエアバッグ用基布、その製造方法およびエアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の乗員安全保護装置としてエアバッグの装着が急速に進み、自動車の前部衝突時の運転者保護用、助手席者保護用、側部衝突時の座席シートに内蔵された胸部および大腿部・腰部保護用、または側部窓に沿って展開するよう窓上部の天井内に装着された頭部保護用など、その装着数も増えてきている。
【0003】
これらの安全装置(以下、モジュールと記す)は、エアバッグを展開、膨張させるガス発生器(以下、インフレーターと記す)、乗員と当接して乗員の衝突エネルギーを吸収、緩和する袋体のエアバッグ、これらを連結する金属などの部品、電気信号伝達用の配線、車内に装着し易いように装置上部を被覆し意匠性も考慮された樹脂成型品など多くの構成部品から成り、車内各部に搭載された各モジュールの重量合計は少なくないものになる。
【0004】
そこで、モジュールを構成する部品を、軽く、コンパクトにする努力がなされている。この内、エアバッグの軽量化を図るため、エアバッグ本体を構成する布帛、例えば織物に細い糸を用いて織物の目付けを少なくすることが検討されてきた。
【0005】
例えば、従来使用されている940dtexや700dtexより細い470dtexや350dtexを用いた織物から作成されたエアバッグが実用化されており、さらに、特許文献1には繊度200〜250d(222〜278dtex)の糸を用いたエアバッグ用基布が提案されている。
【0006】
しかし、これらの細い糸を用いた織物は、従来の太い糸を用いた織物と比較して基布目付けは低くなるものの、引張強力、引裂強力などの物理特性が低下し、織物が薄くなって織物の目ずれや縫製部の縫い目ずれも発生し易くなる傾向にあった。特に、ガス温度の高いインフレーターの場合には、縫製部の穴が縫い糸によって拡大し、この拡大した穴から熱ガスが抜ける際に、縫い目周囲が軟化、溶融し易くなり、場合によっては溶融した縫い目が連続し、縫製部の溶融破断を生じることもあった。
【0007】
そのため、織物の目ずれおよびホツレの発生を抑える試みも提案されている。例えば、特許文献2には、合成繊維からなるノンコートエアバッグ用織物の経糸および/または緯糸の少なくとも一部に高融点繊維と低融点繊維を合撚または合糸した糸条を用い、製織後に低融点繊維の融点以上の温度で熱セットする方法が開示されている。この方法によれば、低融点繊維が熱セットにより溶融して経糸と緯糸、あるいは織物の組織交錯点で両者を熱接着して、織物組織の目ずれ、織組織からの糸のホツレを低減するものである。しかし、織物の組織交錯点を固定することにより織物全体が粗硬になり、エアバッグの折り畳み性が悪くなったり、折り畳み容積などが増える可能性がある。また、場合によっては、インフレーターから噴出する高温ガスにより低融点繊維が再溶融して、織物の目ずれ、糸のホツレを抑制することができなくなる可能性もある。
【0008】
また、織物を構成する繊維同士の摩擦係数を大きくして、目ずれを抑制することが特許文献3〜6に記載されている。摩擦係数を大きくする方法として、仮撚加工糸を混繊(特許文献3)、繊維を形成するポリマー分子鎖に酸素含有官能基または窒素含有官能基を結合(特許文献4)、単糸断面形状を特定の扁平率を有する長方形断面にする(特許文献5)、および、クリンプ率と糸密度との比を特定の値にする(特許文献6)方法が開示されている。
【0009】
しかし、特許文献3の方法では、折りたたみ容積が大きくなり、かつ、通気度も悪くなるという問題がある。特許文献4の方法では、極めて微小な凹凸となり、摩擦係数を大きくすることは疑わしい。特許文献5の方法では、扁平な糸の生産性および加工性が極めて低く、均一な特性を有する基布が得られにくいという問題がある。さらに、特許文献6の方法は、製織条件をコントロールするものであるが、これにより得られる効果はあまり大きくない。
【0010】
ところで、高圧水流をエアバッグ用基布の加工に適用する先行技術もみられる。
特許文献7には、高圧水による水流交絡法を用いて2種の有機短繊維をそれぞれに交絡させて2層の不織布を形成し、該不織布と特定のフィルムを積層し貼り合わせた複合体基布を得る方法が記載されている。本法によれば、袋体表面の柔軟さを確保し、軽いエアバッグを低コストで作成できる。しかし、本法に用いる高圧水流は、短繊維同士を交絡させてシートを形成するという、高圧水流が本来適用されてきた処方そのものであり、目ずれやホツレを抑制することについては何ら開示されていない。
【0011】
また、特許文献8には、超極細繊維からなる布帛を高圧プレス加工することにより、各種用途に対応できる表面平滑性に優れる布帛を提供する方法が提案されている。この平滑性布帛を得る方法の一つとして、高圧プレス加工の前に高圧水流処理を行うことにより、通常より低い圧力でのプレス加工により平滑性布帛が得られる、との記載がある。しかし、この場合も、高圧水流処理には、本処理としての高圧プレスの加工条件を緩和できる前処理としての効果のみを期待するものであり、目ずれやホツレを抑制するものではない。
【0012】
以上のように、前記した特許文献には、高圧水流を用いることにより、エアバッグ用基布の目ずれやホツレを抑制することについて、記載も示唆もされていない。
【0013】
【特許文献1】特開2000−153743号公報
【特許文献2】特開平10−266040号公報
【特許文献3】特開2001−270406号公報
【特許文献4】特開2002−69835号公報
【特許文献5】特開2002−293209号公報
【特許文献6】特開2006−256474号公報
【特許文献7】特開平5−301554号公報
【特許文献8】特開平6−264328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、エアバッグ用基布として用いられている従来の基布より軽く、かつ軽量基布の一般的な仕様である布帛構造の粗い基布では不足していた糸の滑脱抵抗が高く、裁断線からのホツレや縫製部の縫い目ずれが少ないエアバッグ用基布、その製造方法および該基布を用いたエアバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従来、高圧水流処理は、短繊維または長繊維により構成された抄紙ウェブやカードウェブなどの繊維材料から不織布などのシート状物を成形したり、繊維シート材料同士や異なるシート材料を積層する際に応用されており、高圧の水流により繊維糸条を相互に三次元的に交絡させることにより、連続したシート状物を得るものである。
【0016】
今回、発明者らは、既に織物や編物などシート状に成形されている布帛類に処理を施すことにより、基布内部の繊維糸条の細かな配列が乱れ、基布組織からの解し作用に対して大きな抵抗性を発現することを見出し、本発明に到ったものである。
【0017】
すなわち、本発明は、繊度200dtex以上の繊維糸条を含む基布であって、該基布の少なくとも片面が1MPa以上の圧力で高圧水流処理されてなるエアバッグ用基布に関する。
【0018】
前記基布が、目付け190g/m以下であり、ASTM D6479で規定された基布からの糸の滑脱抵抗力が600N以上であることが好ましい。
【0019】
前記基布が、不通気材料を有することが好ましい。
【0020】
また、本発明は、前記記載のエアバッグ用基布を用いたエアバッグに関する。
【0021】
さらに、本発明は、繊度200dtex以上の繊維糸条を含む布帛の少なくとも片面を、1MPa以上の圧力で高圧水流処理する工程を含むエアバッグ用基布の製造方法に関する。
【0022】
さらに、前記基布の少なくとも片面に、不通気材料を付与する工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、軽量でありながら、滑脱抵抗に優れ、裁断線からのホツレや縫製部の縫い目ずれの少ないエアバッグ用基布を得ることができる。さらに、これを用いた軽量エアバッグを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のエアバッグ用基布は、少なくとも片面が、高圧水流処理、つまり、1MPa以上の圧力で噴射された常温水または加熱水にて高圧噴射処理されていることを特徴としている。
【0025】
この高圧水流処理により、図1の平面写真からわかるように、組織内の単糸配列が物理的に乱れる。これにより、単糸同士の摩擦抵抗が大きくなり、結果的に、縫製部における目ずれや、裁断線からのホツレを低減することができるのである。比較として、図2に、未処理の基布を示す。なお、図1における高圧水流処理は、水圧20MPaで行っており、図2の基布は、高圧水流処理を施さなかったこと以外は、同様の条件で製織、加工したものである。
【0026】
水を高圧で布帛に対して噴射すると、水がその布帛を貫通する際、および貫通後に布帛の支持体に衝突して再び布帛に跳ね返った際に、その水の力により布帛を構成している糸条の単糸配列が乱れ、基布組織からの解し作用に対する抵抗力が極めて高くなるのである。
【0027】
高圧水流処理は、布帛の少なくとも片面に施す。なかでも、単糸の乱れ効果を高めることができ、布帛の断面方向での特性バラツキを少なくすることができる点で、両面に処理することが好ましい。また、必ずしも片面全面に施す必要はなく、少なくとも縫製予定部や裁断予定部を中心に、その近傍を処理することにより、本発明の効果を得ることができる。
【0028】
その際の水圧は、1MPa以上である。1MPa未満であると、繊維糸条の乱れ方が少なく、前記ホツレや縫い目ずれを低減する効果を期待することができない。水圧は、2MPa以上であることが好ましく、5MPa以上であることがより好ましく、10MPaであることがさらに好ましい。また、水圧の上限は、加工する布帛仕様と効果、昇圧装置の能力などに応じて選定すればよいが、高すぎると基布物性や寸法の変化が大きくなるため、100MPaであることが好ましく、50MPaであることがより好ましい。
【0029】
水を高圧噴射するための高圧ポンプは、高圧水を使用して行われる洗浄、剥離または裁断などで通常用いられているポンプを用いればよく、必要に応じて、増圧装置を併用してもよい。
【0030】
また、高圧水流処理時に、常温あるいは加熱したエアーもしくはスチームなどの気体を、水流と複合させても良い。
【0031】
水圧以外の高圧水流処理条件としては、特に限定されず、内部の繊維糸条の細かな配列が乱れ、基布組織からの解し作用に対して大きな抵抗性を発現するまで処理を行えばよい。
【0032】
たとえば、高圧水流処理の速度は、水流圧、ノズル配列および個数、加工する布帛の厚さ、目付け、組織、繊維糸条の太さなどにより適宜選定すれば良いが、なかでも、2〜500m/分であることが好ましく、2〜50m/分であることがより好ましい。また、断続的にバッチ方式で処理を行っても良い。
【0033】
高圧水流処理に使用するノズルは、通常の高圧気体、高圧液体を供給するものであれば良く、例えば、ロータリー、サイクロン、リングおよびコンビネーションなどの各種ジェット型、ターボ型、回転型、ボールスピン型またはブッシュアウト型などから選定すれば良い。なかでも、柱状流を形成することのできるジェット型ノズルを使用すると、糸条単糸の配列を極めて効果的に乱すことができるため好ましい。
【0034】
また、ノズルは単式でも多連式でもよく、処理工程でこれらのノズルを複数列に設置することにより、更にその効果を高めることができる。複数列のノズルを確保できない場合は、処理を複数回行うことでも同様の効果を得ることができる。
【0035】
前記ノズルの孔径は、0.05〜2.5mmであることが好ましく、0.1〜1.0mm程度であることがより好ましい。
【0036】
ノズル間距離は、処理する基布仕様に応じて選定すれば良いが、例えば、0.5〜10mmとすれば良い。
【0037】
また、ノズルと布帛表面との距離については、水圧、ノズル間距離、ノズルの孔径などにより選定すればよいが、たとえば2〜100mmとすればよい。
【0038】
処理回数は、1〜10回となるように調整して処理することができる。なお、処理回数は、ノズル1列あたりの処理を1回として記載している。
【0039】
布帛の高圧水流処理において、布帛の支持体については、とくに限定されるものではない。例えば、透過性が良く、空隙に富んだメッシュまたはシートなどを支持体として、その上に布帛を置いて処理することができる。布帛表面に吐出、噴射された高圧水は、少なくとも吐出ノズル位置と同じ位置で該メッシュの下側に設置した吸引ノズルにより吸引される。必要に応じて、隣接する吐出ノズルの間にも吸引ノズルを設置することにより、吸引性能が向上し、高圧水の噴出力が活かされて高圧水処理の効果を高めることができる。その他、支持体として、反射性に富んだ金属板などを用いてもよい。
【0040】
また、生地の送り出しについても、とくに限定されない。ロールなどで送り出し幅方向にテンションを与えなくても良いし、基布の収縮を調整するためにピンシートのようなもので固定してもかまわない。
【0041】
このようにして処理された基布は、図1に示したように、繊維糸条の単糸配列がランダムに乱れたものとなる。
【0042】
本発明の基布を構成する繊維糸条は、繊度200dtex以上のものを含んでいる。繊度230dtex以上の糸条を含んでいることが好ましい。繊度200dtex以上の糸条を含んでいないと、エアバッグに必要とされる力学特性を十分に満たすことができない。また、前記繊度の上限は、得られる基布特性、性量により選定すればよいが、軽量な基布を得る上で1000dtexであることが好ましい。
【0043】
なお、前記基布は、繊度200dtex以上の繊維糸条1種類からなっていてもよく、経糸と緯糸など、構成する糸条の繊度を部分的に変えたり、混用したりしても良い。また、エアバッグに必要とされる力学特性に影響しない程度に、200dtexより小さい繊度の繊維糸条を含んでいてもよい。
【0044】
前記糸条の強度は、7cN/dtex以上であることが好ましく、8cN/dtex以上であることが好ましい。
【0045】
また、前記繊維糸条を構成する単糸の繊度は、特に限定するものではなく、0.5〜6dtexであることが好ましい。この場合も、部分的に単糸太さの異なる糸条を用いても良い。さらに、単糸の断面形状も、円形、楕円、扁平、多角形、中空、その他の異型など、織物の製造、得られた織物の物性に支障のない範囲で適宜選定すればよい。また、太さや断面形状などが異なる複数の糸を、合糸、撚り合わせ、などにより一体化したものを用いても良い。
【0046】
前記繊維糸条は、天然繊維、化学繊維、無機繊維など特に限定するものではない。なかでも、汎用性があり、基布の製造工程、基布物性などの点から、合成繊維フィラメントであることが好ましい。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612などの単独またはこれらの共重合、混合により得られる脂肪族ポリアミド繊維、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9Tに代表される脂肪族アミンと芳香族カルボン酸の共重合ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの単独またはこれらの共重合、混合によって得られるポリエステル繊維、超高分子量ポリオレフィン系繊維、ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどの含塩素系繊維、ポリテトラフルオロエチレンを含む含フッ素系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリサルフォン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン系繊維(PEEK)、全芳香族ポリアミド系繊維、全芳香族ポリエステル系繊維、ポリイミド系繊維、ポリエーテルイミド系繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール系繊維(PBO)、ビニロン系繊維、アクリル系繊維、セルロース系繊維、炭化珪素系繊維、アルミナ系繊維、ガラス系繊維、カーボン系繊維、スチール系繊維などから適宜、一種または2種以上を選定すればよい。なかでも、物理特性、耐久性および耐熱性などの点から、ナイロン66繊維であることが好ましい。また、リサイクルの観点からは、ポリエステル系繊維およびナイロン6繊維も好ましい。
【0047】
これらの繊維糸条には、紡糸性、加工性および耐久性などを改善するために、通常使用されている各種の添加剤、例えば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤などの一種または2種以上を使用してもよい。また、加撚、嵩高加工、捲縮加工、捲回加工、糊付け加工などの加工を施してもよい。さらに、糸条の形態は、長繊維フィラメント以外に、短繊維の紡績糸、これらの複合糸などを用いても良い。
【0048】
本発明の基布の目付けは、190g/m以下であることが好ましく、180g/m以下であることがより好ましい。また、ASTM D6479に規定された滑脱抵抗力は、600N以上であることが好ましく、700N以上であることがより好ましい。目付けと滑脱抵抗力がこの範囲であると、軽量でかつホツレや縫い目ずれの少ない基布を得られやすい傾向にある。なお、ここでいう基布の目付けは、高圧水流処理後であって、後述する不通気材料などを付与していない状態の基布重量をいう。
【0049】
目付けが190g/mをこえると、エアバッグの重量が大きくなり、軽量化を達成しにくい。また、滑脱抵抗力が600Nより小さいと、ホツレや縫い目ずれが多くなる傾向にある。
【0050】
前記基布は、エアバッグ用基布として通常用いられている織物に加えて、編物および不織布など、ホツレや縫い目ずれを発生し易い布帛を対象としており、メッシュ状またはネット状のシート材料にフィルムや不織布を重ね合わせた積層体も含むものである。
【0051】
以下、代表例として織物の場合について説明する。
本発明で使用される織物は、高圧水流処理前の織構造の緻密さを示す指数であるカバーファクターが、700以上であることが好ましく、750以上であることがより好ましい。カバーファクターは、経糸および緯糸それぞれの繊度毎に算出し、合計することで基布全体のものとして求められる。
【0052】
ここでいうカバーファクター(CF)とは、織物の経糸および緯糸のそれぞれの織密度N(本/cm)と太さD(dtex)との積で求められ、下式にて表される。
CF=Nw×√Dw+Nf×√Df
ここで、Nw,Nfは、経糸および緯糸の織密度(本/cm)
Dw,Dfは、経糸および緯糸の太さ(dtex)
【0053】
前記織物は、平織、斜子織(バスケット織)、格子織(リップストップ織)、綾織、畝織、絡み織、模紗織、あるいはこれらの複合組織などいずれでも良いが、織物構造の緻密さ、物理特性および性能の均等性を確保できる点で、平織が好ましい。必要に応じて、経糸、緯糸の二軸以外に、斜め60度などを含む多軸設計としても良く、その場合の糸の配列は、経糸または緯糸と同じ配列に準じれば良い。
【0054】
前記織物の製織は、通常の工業用織物を製織するのに用いられる各種織機から適宜選定すればよく、例えば、シャトル織機、ウォータージェット織機、エアージェット織機、レピア織機およびプロジェクタイル織機などから選定すればよい。
【0055】
高圧水流処理は、前記織機などで基布を製織した後、直ちに施してもよく、製織に続いて精練、セットなどの後加工を行った後に施してもよい。また、ウォータージェット織機の場合、製織後の乾燥工程を省略して高圧水流処理を施してもよく、工程間の連結が可能であれば、製織と高圧水流処理とを連続した工程で一貫して行っても良い。
【0056】
また、本発明の基布は、エアバッグとしたときの気密性が確保できる点で、不通気材料を有することが好ましい。不通気材料とは、実質的に空気を通さないようにする材料のことであり、不通気とは、JIS L1096「一般織物試験方法」における8.27.1 A法(フラジール形法)において、測定値が0.0のことをいう。この材料を、後述する方法により、基布の片面あるいは両面から付与する。この不通気材料は、基布の表面、基布を構成する糸束の交差部、または、繊維単糸の間隙部など、いずれに介在していてもよい。
【0057】
前記材料としては、通常、エアバッグ用基布に使用されている材料であれば良く、耐熱性、摩耗性、基布との密着性、難燃性、不粘着性などを満足するものであれば良い。例えば、シリコーン系樹脂またはゴム、ポリウレタン系樹脂またはゴム(シリコーン変性、フッ素変性も含む)、フッ素系樹脂またはゴム、塩素系樹脂またはゴム、ポリエステル系樹脂またはゴム、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂などの1種または2種以上を用いれば良い。なかでも、耐熱性および難燃性の点で、シリコーン系樹脂が好ましい。
【0058】
付与方法は、1)コーティング法(ナイフ、キス、リバース、コンマ、スロットダイおよびリップなど)、2)浸漬法、3)印捺法(スクリーン、ロール、ロータリーおよびグラビアなど)、4)転写法(トランスファー)、および、5)ラミネート法などがあげられる。なかでも、設定できる付与量の幅が大きい点で、コーティング法が好ましい。
【0059】
また、付与量としては、片面10g/m以上であることが好ましい。また、層状となる場合は、その厚さは10μm以上であることが好ましい。付与量が片面10g/mより少ない、または、層の厚さが10μmより薄いと、必要な気密性を得ることが難しい傾向にある。
【0060】
また、前記材料には、主たる材料の他、加工性、接着性、表面特性あるいは耐久性などを改良するために通常使用される各種の添加剤、例えば、架橋剤、接着付与剤、反応促進剤、反応遅延剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、粘着防止剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤などの一種または二種以上を選択、混合しても良い。
【0061】
前記材料の液体としての性状は、塗布量、塗布法、材料の加工性や安定性、要求される特性などに応じて、無溶媒型、溶媒型、水分散型、水乳化型、水溶性型などから適宜選定すればよい。
【0062】
また、前記材料には基布との密着性を向上させるための各種前処理剤、接着向上剤などを添加しても良いし、予め基布表面にプライマー処理などの前処理を施しても良い。さらに、前記材料の物理特性を向上させたり、耐熱性、老化防止性、耐酸化性などを付与するため、前記材料を織物に付与した後、乾燥、架橋、加硫などを熱風処理、加圧熱処理、高エネルギー処理(高周波、電子線、紫外線など)などにより行ってもよい。
【0063】
前記不通気材料の付与工程は、高圧水流処理の後に行うことが好ましい。
【0064】
本発明のエアバッグは、前記基布を用いたものであり、その仕様、形状および容量は、配置される部位、用途、収納スペース、乗員衝撃の吸収性能およびインフレーターの出力などに応じて選定すればよい。
【0065】
また、乗員が当接した際のエネルギー吸収のため、本発明のエアバッグには、一個または複数の排気穴、例えば直径10mm〜80mmの円形またはそれに相当する面積の穴、または、これらの排気性能に相当するスリット、膜または弁などを設けてもよい。さらに、この排気穴の周囲には、補強布を接合、積層しても良い。
【0066】
また、乗員側へのエアバッグの突出抑制や膨張時の厚みの制御のために、エアバッグ内側に吊り紐またはガス流調整布、エアバッグ外側にフラップと呼ばれる帯状布または抑え布などを設けても良い。
【0067】
本発明のエアバッグの本体を構成する裁断基布の枚数は、1枚または複数枚のどちらでもよく、少なくとも一部に本発明のエアバッグ用基布を使用する。
【0068】
エアバッグの接合部、例えば、外周部、補強布や吊り紐の固定などは、縫製、接着、溶着、製織、製編あるいはこれらの併用など、いずれの方法によってもよく、エアバッグとしての堅牢性、展開時の耐衝撃性、乗員の衝撃吸収性能などを満足するものであればよい。例えば、接合部を縫合により接合する場合、本縫い、二重環縫い、片伏せ縫い、かがり縫い、安全縫い、千鳥縫い、扁平縫いなどの通常のエアバッグに適用されている縫い目により行えばよい。
【0069】
また、縫い糸の太さは700dtex(20番手相当)〜2800dtex(0番手相当)、運針数は2〜10針/cmであることが好ましい。複数列の縫い目線が必要な場合は、縫い目線間の距離は2.2mm〜8mm程度として、多針型ミシンを用いればよいが、縫製部距離が長くない場合には、1本針ミシンで複数回縫合してもよい。エアバッグ本体として複数枚の裁断基布を用いる場合には、複数枚を重ねて縫合しても良いし、一枚ずつ縫合しても良い。
【0070】
さらに、必要に応じて、外周縫合部などの縫い目からのガス抜けを防ぐため、シール材、接着剤または粘着材などを、縫い目の上部および/または下部、縫い目の間、縫い代部などに塗布、散布または積層してもよい。
【0071】
縫合に使用する縫い糸は、一般に化合繊縫い糸と呼ばれるものや工業用縫い糸として使用されているものの中から適宜選定すればよい。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ポリエステル、高分子ポリオレフィン、含フッ素、ビニロン、アラミド、カーボン、ガラス、スチールなどがあり、紡績糸、フィラメント合撚糸またはフィラメント樹脂加工糸のいずれでもよい。
【0072】
また、使用するインフレーターの特性に応じて、インフレーター噴出口周囲に熱ガスから保護するための耐熱保護布や力学的な補強布を設けても良い。これらの保護布や補強布は、布自体が耐熱性の材料、例えば、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、PBO繊維、ポリイミド繊維、含フッ素系繊維などの耐熱性繊維材料を用いても良いし、エアバッグ本体と同じか本体用基布より太い糸を用いて別途作成した織物を用いても良い。また、織物に耐熱性被覆材を施したものを用いても良い。
【0073】
エアバッグを収納する際の折畳み法も、運転席用バッグのように中心から左右、上下対称の屏風折り、あるいは中心に向かって多方位から押し縮める折り、助手席バッグのようなロール折り、蛇腹折り、屏風状のつづら折り、あるいはこれらの併用や、シート内蔵型サイドバッグのようなアリゲーター折りなどにより折畳めばよい。
【0074】
本発明のエアバッグは、各種の乗員保護用バッグ、例えば、運転席および助手席の前面衝突保護用、側面衝突保護用のサイドバッグ、後部座席保護用、追突保護用のヘッドレストバッグ、脚部・足部保護用のニーバッグおよびフットバッグ、乳幼児保護用(チャイルドシート)のミニバッグ、エアーベルト用袋体、歩行者保護用などの乗用車、商業車、バス、二輪車などの各用途の他、機能的に満足するものであれば、船舶、列車・電車、飛行機、遊園地設備など多用途に適用することができる。
【0075】
実施例
以下、実施例に基づき本願発明をさらに具体的に説明する。以下に、実施例の中で行ったエアバッグ用基布の性能評価方法およびエアバッグの作成方法を示す。
【0076】
(1)基布の目付け
JIS L−1096の8.4.2に規定された方法により、基布の単位面積当たりの質量を求めた。
【0077】
(2)引張強力
JIS L−1096の8.12.1A法(ストリップ法)に規定された方法により、基布の経方向と緯方向の引張強力を求め、経と緯の平均値を算出した。
【0078】
(3)滑脱抵抗
ASTM D6479に規定された方法により、基布からの糸の滑脱抵抗性について、経方向と緯方向からそれぞれN=3測定し、これらの総平均値を滑脱抵抗力(N)とした。
【0079】
(4)エアバッグの展開試験
エアバッグの展開試験は、ダイセル社製インフレーター(型式ZA、2ステージ型、出力160kpa/220kpa)、固定金具、樹脂製ケースを用いてモジュールを組み立て実施した。モジュールは100度で約5時間予熱した後、展開試験を行い、展開時のエアバッグ膨張状態ならびに展開後のエアバッグ外周縫製部の状態を観察した。
【0080】
評価に使用した運転席用エアバッグの作成法を以下に示す。
(5)運転席用エアバッグの作成法
エアバッグ用基布として準備した織物から、外径がφ690mmである円形の本体パネルを2枚裁断し、一方の本体パネル中央部にφ67mmのインフレーター取付け口、ならびに該取付け口の中心から斜め上45度の線上120mmの位置に排気孔φ30mmを2箇所(左右一対)に開口した。また、補強布として、ナイロン66繊維の470dtexを用いて作成した織密度21本/cmであるノンコート基布と,織密度18本/cmの基布にシリコーン樹脂を35g/mを塗布して得られたコート基布とを準備した。
【0081】
インフレーター取付け口の補強布として外径210mm、内径67mmの環状布Aをノンコート基布から3枚、コート基布から1枚裁断した。さらに、排気孔補強布として前記コート基布から外径90mm、内径30mmの環状布Bを2枚裁断した。3枚のノンコート環状布Aをインフレーター取付け口に重ね合わせ、内側からφ126mm、φ188mmの位置で円形に縫製し、その上から同一形状のコート環状布A1枚を重ね合わせ、φ75mmの位置で4枚の環状補強布を本体基布(コート基布の場合はコート面側)に円形に縫い合わせた。また、それぞれの排気孔には、環状布Bを1枚重ね合わせて本体パネルに縫い付けた。環状布A、環状布Bの各補強布は、それぞれを縫い合わせる本体パネルの糸軸と45度ずれるように重ね合わせた。
【0082】
インフレーター取付け口の周囲には、本体パネルの糸軸と平行となる位置に、穴間距離68mmにてφ5.5mmのボルト穴を4ヶ所に設けた。環状補強布A、Bの本体パネルへの縫い付けには、上糸を5番手糸(1400dtex相当)、下糸を8番手糸(940dtex相当)として、3.5針/cmの運針数で本縫いにより行った。また、2枚の本体パネルは、環状補給布を縫い付けた面を表側にしてパネルの糸軸を45度ずらして重ね合わせ、その外周部を、縫い目線間2.4mm、縫い代を20mm、として二重環縫い2列にて縫合し、内径φ650mmの円形エアバッグを作成した。外周部縫製の縫い糸は、上記本縫いと同じ縫い糸の組み合わせを用いた。作成したエアバッグはインフレーター取り付け口から反転して展開試験に供試した。
【0083】
実施例1
経糸、緯糸にいずれもナイロン66繊維の350dtex/136f(単糸強度8.6cN/dtex、丸断面)を用いて平織物を作成し、精練、セットを行った。この時の織密度は、経、緯いずれも22.8本/cmであった。次いで、この織物の両面全面に、水圧15MPa、処理速度5m/分、ノズル孔径0.1mm、ノズル間距離1mm、ノズル列1列、ノズルと布帛表面距離10mm、支持体はメッシュ調樹脂板、という条件にて、1回ずつ高圧水流処理を行い、乾燥させて、本発明のエアバッグ用基布を得た。処理後に得られた基布の織密度は、経、緯いずれも24本/cmであり、目付けは175g/mであった。
得られた基布の特性を評価するとともに、前記方法によりエアバッグの展開試験を行い、展開時のエアバッグ膨張状態および展開後の外周部の状況を観察した。
【0084】
その結果、表1に示すように、得られた基布は軽量で、滑脱抵抗力が高く、展開時の挙動も円滑で問題はなかった。また、展開後のエアバッグの外周には、縫い目の破損や縫い目部の目立った拡張(縫い目ずれ)は見られなかった。
【0085】
実施例2
経糸、緯糸にいずれもナイロン66繊維の470dtex/144f(糸強度8.6cN/dtex、丸断面)を用いて平織物を作成し、精練、セットを行った。この時の織密度は、経、緯いずれも18.1本/cmであった。次いで、この織物の片面全面に、水圧30MPa、処理速度8m/分、ノズル孔径0.2mm、ノズル間距離1mm、ノズル列1列、ノズルと布帛表面距離30mm、支持体は金属板、という条件にて、2回の高圧水流処理を行い、乾燥させて、本発明のエアバッグ用基布を得た。処理後に得られた基布の織密度は、経、緯いずれも19.5本/cmであり、目付けは188g/mであった。
【0086】
表1に示すように、得られた基布は軽量で、滑脱抵抗力が高く、展開時の挙動も円滑で問題はなかった。また、展開後のエアバッグの外周には、縫い目の破損や縫い目部の目立った拡張(縫い目ずれ)は見られなかった。
【0087】
実施例3
経糸、緯糸にいずれもナイロン66繊維の350dtex/136f(糸強度8.6cN/dtex、丸断面)を用いて平織物を作成し、精練、セットを行った。織密度は、経、緯いずれも22本/cmであった。次いで、この織物の両面全面に、水圧10MPa、処理速度8m/分、ノズル孔径0.1mm、ノズル間距離1mm、ノズル列は1列、ノズル布帛表面距離10mm、支持体はメッシュ調樹脂板、という条件にて、表→裏→表→裏の順番で、表、裏各2回ずつ高圧水流処理を施した。その後、乾燥させて、本発明のエアバッグ用基布を得た。処理後に得られた基布の織密度は、経、緯いずれも22.8本/cmであり、目付けは166g/mであった。ついで、得られた基布片面に、ナイフコート法により、無溶剤シリコーン樹脂(東レ・ダウ社製、二液付加反応型)を20g/m塗布して、180℃で1分間の熱処理を行い、エアバッグ用コート基布を得た。得られた基布の特性および展開試験の結果を表1に示す。
【0088】
表1に示すように、得られた基布は軽量で、滑脱抵抗力が高く、展開時の挙動も円滑で問題はなかった。また、展開後のエアバッグの外周には、縫い目の破損や縫い目部の目立った拡張(縫い目ずれ)は見られなかった。
【0089】
比較例1
経糸、緯糸にいずれもナイロン66繊維の185dtex/36f(糸強度6.6cN/dtex、丸断面)を用いて平織物を作成し、精練、セットを行った。織密度は経、緯いずれも33.8本/cmであった。次いで、この織物の両面全面に、水圧10MPa、処理速度8m/分、ノズル孔径0.1mm、ノズル間距離1mm、ノズル列1列、ノズルと布帛表面距離10mm、支持体は金属板、という条件にて、表→裏→表→裏の順番で、表、裏各2回ずつ高圧水流処理を施した。処理後に得られた基布の織密度は、経、緯いずれも34.6本/cmであり、目付けは137g/mであった。ついで、得られた基布片面に、ナイフコート法により、無溶剤シリコーン樹脂(東レ・ダウ社製、二液付加反応型)を20g/m塗布して、170℃で1分間の熱処理を行い、エアバッグ用コート基布を得た。得られた基布の特性および展開試験の結果を表1に示す。
【0090】
得られた基布は極めて軽量であるが、引張強力および滑脱抵抗力が低く、展開試験では外周縫製部から大きく破損した。
【0091】
比較例2
高圧水流処理を水圧0.8MPaで両面に1回ずつとした以外は、実施例3と同様にしてエアバッグ用コート基布を得た。得られた基布の織密度は、経、緯いずれも22.3本/cmであり、目付けは163g/mであった。表1に示すように、滑脱抵抗力が低く、外周縫製部の縫い目ずれが大きいものであった。また、裁断線からのホツレも多かった。
【0092】
比較例3
経糸、緯糸にいずれもナイロン66繊維の470dtex/144f(糸強度8.6cN/dtex、丸断面)を用いて平織物を作成し、精練、セットを行いエアバッグ用ノンコート基布を得た。得られた基布の織密度は、経、緯いずれも19.3本/cmであり、目付けは186g/mであった。得られた基布は、目付けは低いが、高圧水流処理を施していないため、表1に示すように滑脱抵抗力が低い。そのため、展開後のエアバッグ外周縫製部の縫い目ずれが大きく、2ヶ所が破断し、裁断線からのホツレも極めて多かった。
【0093】
比較例4
経、緯の織密度をいずれも20.9本/cmとした以外は、比較例3と同様にして平織物を作成し、ノンコート基布を得た。得られた基布は、高密度であるため、滑脱抵抗力は大きいが、目付けが211g/mと高く、本発明の目的を達成することはできなかった。
【0094】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の基布表面におけるSEM写真(倍率35倍)の一例である。
【図2】従来用いられている基布表面(高圧水流処理未処理)におけるSEM写真(倍率35倍)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊度200dtex以上の繊維糸条を含む基布であって、該基布の少なくとも片面が1MPa以上の圧力で高圧水流処理されてなるエアバッグ用基布。
【請求項2】
前記基布が、目付け190g/m以下であり、ASTM D6479で規定された基布からの糸の滑脱抵抗力が600N以上である請求項1記載のエアバッグ用基布。
【請求項3】
前記基布が、不通気材料を有する請求項1または2記載のエアバッグ用基布。
【請求項4】
請求項1、2または3記載のエアバッグ用基布を用いたエアバッグ。
【請求項5】
繊度200dtex以上の繊維糸条を含む布帛の少なくとも片面を、1MPa以上の圧力で高圧水流処理する工程を含むエアバッグ用基布の製造方法。
【請求項6】
さらに、前記基布の少なくとも片面に、不通気材料を付与する工程を含む請求項5記載のエアバッグ用基布の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−52180(P2009−52180A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222689(P2007−222689)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】