エアバッグ装置
【課題】エアバッグカバーにエンブレムを設置して、当該エンブレム形状を照光写出する場合に、計器盤等他の照明手法として用いられる間接照明手法によって写出される像とは異なった感覚の像となり、自動車のコックピット周辺等の美観性を向上させると共に、エアバッグカバーにおけるエンブレム設置部をそれほど正確に成形しなくても、エンブレムの実像を写出できるように構成した。
【解決手段】エアバッグ膨張展開に伴って開裂するエアバッグカバー1にエンブレム設置部3を設け、エンブレム設置部3にエンブレム2を配設した際に、エンブレム2の外周部とエンブレム設置部3との間に、エンブレム設置部3におけるエンブレム2の背面側に設置したLEDチップ5が発する光線により照光される隙間部8を形成した。
【解決手段】エアバッグ膨張展開に伴って開裂するエアバッグカバー1にエンブレム設置部3を設け、エンブレム設置部3にエンブレム2を配設した際に、エンブレム2の外周部とエンブレム設置部3との間に、エンブレム設置部3におけるエンブレム2の背面側に設置したLEDチップ5が発する光線により照光される隙間部8を形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグの膨張展開に伴って開裂するエアバッグカバーを備えたエアバッグ装置、特に前記エアバッグカバーにエンブレムを装着して構成しているエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエアバッグ装置は、自動車の衝突事故等に際して、当該事故を感知し、エアバッグを膨張展開させることにより、乗員を安全に捕捉すべく動作するものであり、例えば、ステアリングホイールのパッド部に収容する運転者用エアバッグ装置として知られている。
【0003】
そして、この種のエアバッグ装置は、エアバッグを折り畳んだ状態で前記パッド部に形成した凹状のバッグ収容部内に収容し、当該バッグ収容部の開口をエアバッグカバーにより閉塞するようになっている。
【0004】
この結果、エアバッグカバーは、例えば、ステアリングホイールの中央部に存するパッド部に位置することから、運転者等に非常に目立ち易い場所に設置されていることになり、美観上相当考慮する必要があることから、例えば、メーカーを標章するマークが施されたエンブレムを装着することが広く行われており、さらに、照明等によりエンブレム自体を照光して、浮き出させることにより、更なる美観を発揮するようなことがなされている。
【0005】
このような観点から開発された従来の技術として、例えば、ステアリングホイールのパッド部に設けたスイッチカバー(エアバッグカバーに相当)の乗員側にアクリル板を配設し、アクリル板の乗員側に黒色等の塗料を塗布したマスク部を部分的に配設してエンブレム部分を形成するとともに、アクリル板の車両前方側に白色等の塗料を塗布して反射部を形成し、前記マスク部の車両前方側で且つアクリル板の内部にLEDを配して、当該LEDの点灯によってエンブレム部分を照光させるように構成したものが知られている(特許文献1参照)。
【0006】
そして、当該従来技術によれば、エンブレム部分を照光させることによって、パッド部の固定部に設けられたたとえばオーディオやナビゲーション装置の操作部の視認性を向上しようとしたものである。
【0007】
ところで、前記エアバッグ装置は、自動車の衝突事故等に際して、当該事故を感知し、エアバッグを膨張展開させることにより、乗員を安全に捕捉すべくなすものであることから、自動車の非常時だけに使用されるものであり、自動車の通常状態での走行中においては動作しないことから、感知センサが正確瞬時に事故を感知できるか、或いはエアバッグを膨張展開させるインフレータが正常動作を行えるか、インフレータのガス噴出により正常にエアバッグが膨張展開するか等々の点検が自動的に行えるようにすることが好ましい。
【0008】
このような観点から、前記エンブレム部分を照光させる機構をエアバッグ装置の動作確認のために利用しようとしたエンブレムを用いた警報表示装置が既に提案されている(特許文献2参照)。
【0009】
これによれば、エアバッグカバーに装着したエンブレムの中央部に、メーカーの社章等を象ったエンブレム本体部を装着位置させて、エンブレムにおけるエンブレム本体部を除いた周囲の発光体を照光させて、エンブレム本体部を浮き出すように構成したもので、通常時には、手動操作により、発光体を照光させるようにし、エアバッグ装置の異常時には、エアバッグ装置の異常感知システムが動作して、発光体を点滅光により照光することによって、エアバッグ装置の異常状態を報知するようになっている。
【特許文献1】特開2006−168704号公報
【特許文献2】特開2000−118320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
かかる従来のエンブレムを用いた警報表示装置によれば、エンブレムにおける不透明なエンブレム本体部によって遮られながら、発光体の部分が照光するという所謂直接光による照光装置であるといえる。
【0011】
しかしながら、上記いずれの従来技術においては、エンブレムにおける発光体を直接光により照光させるものであることから、計器盤等の照光が通常間接光による照光装置を採用して当該照光対象部分をぼやっとした状態で照光するようになっていること等を考慮に入れると、美観上不統一であることを否めず、しかも、エンブレムにおける発光体を的確に照光写出させるためには、例えば、エアバッグカバー側に凹設部を設けて当該エンブレムを嵌込み式に配設する場合等においては、エンブレムの外形形状と凹設部の内壁形状とが正確に合致したものでないと、両者の間に隙間ができ、しかもこの隙間が不均一であるような場合には、エンブレム以外の部分まで照光されてしまい、エンブレムの実際の外形形状とは異なった虚像が写出されることになってしまい、美観上の観点からすると、エンブレムを嵌め込む凹設部の形状を成形時に正確に形成することが必要となり、成形型の型製作管理工数を増加させる原因となってしまう。
【0012】
そこで、本発明は、かかる点に鑑み、エアバッグカバーにエンブレムを設置して、当該エンブレム形状を照光写出する場合に、計器盤等他の照明手法として用いられる間接照明手法によって写出される像とは異なった感覚の像となり、自動車のコックピット周辺等の美観性を向上させると共に、エアバッグカバーにおけるエンブレム設置部をそれほど正確に成形しなくても、エンブレムの実像を写出できるように構成したエアバッグ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るエアバッグ装置は、エアバッグの膨張展開に伴って開裂するエアバッグカバーを備えたエアバッグ装置であって、前記エアバッグカバーに一体又は別体のエンブレム設置部を設け、該エンブレム設置部にエンブレムを配設し、該エンブレム外周部と前記エンブレム設置部との間に、前記エンブレム設置部に設置した光源が発する光線により照光される透光部を形成したことを特徴とする。
【0014】
かかる構成により、エンブレムの背面側に設置した光源から発せられる光線は、エンブレム外周部とエンブレム設置部との間に形成される透光部を照光して、エンブレムの実際の外形形状を間接照明光による「ぼやっ」とした光枠により写出することになって、例えば自動車の計器盤等コックピット周辺の美観性を統一あるものとして見栄え向上に寄与することができ、且つ、当該隙間の形状をあまり正確に形成しなくとも、確実にエンブレムの実際の外形形状を間接的に写出することができることから、エンブレム設置部をある程度ラフな形状に成形してもよく、エアバッグカバーの成形型の型製作管理工数を軽減することができる。
【0015】
本発明に係るエアバッグ装置は、前記透光部を前記エンブレムの外周部と前記エンブレム設置部との間に形成された隙間部により構成するようにしてもよい。
【0016】
かかる構成により、エンブレム設置部をある程度ラフな形状に成形することができ、エアバッグカバーの成形型の型製作管理工数を軽減することができる。
【0017】
本発明に係るエアバッグ装置は、前記光源と前記エアバッグカバーとの間に、光拡散板を配設して、該光拡散板により前記光源が発する光線を前記隙間部に導いて照光させるように構成するようにしてもよい。
【0018】
かかる構成により、エンブレム外周部とエンブレムとの間に形成される隙間から照光される光線は、光拡散板から拡散された光線による間接照明光となり、エンブレムの実際の外形形状を当該間接照明光によりぼやっと写出することになって、自動車のコックピット周辺等の見栄えを向上させ、美観性を向上させることができる。
【0019】
又、本発明に係るエアバッグ装置は、前記光源を発光基板上に実装される発光素子により構成し、前記発光基板を前記エンブレム設置部に設置するようにしてもよい。
【0020】
かかる構成により、発光基板をエンブレム設置部に設置することにより、光源の設置も行われることになり、光源の設置が簡単となり設置工数を低減することができる。
【0021】
また、本発明に係るエアバッグ装置において、前記発光基板と前記エンブレムとの間に、前記発光素子が発する光線を透過する部材からなる被包体を配設して、前記発光素子が前記発光基板と共に被包されるように構成するようにしてもよい。
【0022】
かかる構成により、被包体により発光素子は発光基板と共に被包されることになるため、隙間部を介してエンブレム設置部内部に外部から異物が混入し、発光基板や発光素子に達することを防止することができる。
【0023】
また、本発明に係るエアバッグ装置は、前記エンブレムの背面側に取付け脚部を突出形成し、かつ、該取付け脚部の先端部を前記エアバッグカバーの背面側に挿通突出させて、当該挿通突出した前記取付け脚部の先端部にエンブレム固定板を係合することにより、前記エンブレムを前記エンブレム設置部に取着するように構成してもよい。
【0024】
かかる構成により、エアバッグの膨張展開によりたとえエアバッグカバーが開裂したとしても、エンブレムは取付け脚部がエンブレム固定板に係合することによりエアバッグカバーに装着されていることから、エアバッグカバーから外れることがない。
【0025】
また、本発明に係るエアバッグ装置は、前記エンブレム設置部を、前記エアバッグカバーに前記エンブレムを嵌合する凹設部を形成し、該凹設部に前記エンブレムを嵌合し、該エンブレムの外周部と前記凹設部との間に前記隙間部を形成するように構成してもよい。
【0026】
かかる構成により、エンブレムの外周部と凹設部との間に隙間部を形成するようにしたので、当該隙間部の形状は、エンブレムの外形形状を間接的に写出するための構成であることから、それほど正確な形状に形成しなくてもよいことになり、エアバッグカバーの成形型の型製作管理工数を軽減することができる。
【0027】
また、本発明に係るエアバッグ装置は、前記光拡散板の表面側を盛り上げ形成することによって前記エンブレム設置部を構成し、該エンブレム設置部に前記エンブレムを嵌合することによって該エンブレムを前記光拡散板に設置して、前記エンブレム設置部に前記エンブレムの外周部より張出した部分を形成して、当該張出し部分を前記隙間部として構成してもよい。
【0028】
かかる構成により、エンブレム設置部におけるエンブレムの外周部より張り出した部分をエアバッグカバーの背面部に設置した光源が発する光線により照光される隙間部として構成したために、当該隙間部の形状は、それほど正確な形状に形成しなくてもエンブレムが実際の形状に写出されることになり、エアバッグカバーの成形型の型製作管理工数を軽減することができる。
【0029】
また、本発明に係るエアバッグ装置は、前記エアバッグカバーが、ステアリングホイールのパッド部に設けられるエアバッグ装置にすることができる。
【0030】
従って、エアバッグカバーに装着したエンブレムは、隙間部によって、間接光によるぼやっとした光枠によって実際の外形形状を写出されることになり、例えば自動車の計器盤等コックピット周辺の美観性を統一あるものとして見栄え向上に寄与し、且つ、当該隙間部の形状をあまり正確に形成しなくとも、確実にエンブレムの実際の外形形状を間接的に写出することができることから、エンブレム設置部をそれほど正確な形状に成形する必要がなく、エアバッグカバーの成形型の型製作管理工数を軽減することができる。
【発明の効果】
【0031】
上記のように構成する本発明によれば、エンブレムの背面側に設置した光源から発せられる光線は、エンブレム外周部とエンブレム設置部との間に形成される隙間部を照光して、エンブレムの実際の外形形状を間接照明光による「ぼやっ」とした光枠により写出することになって、例えば自動車の計器盤等コックピット周辺の美観性を統一あるものとして見栄え向上に寄与することができ、且つ、当該隙間の形状をあまり正確に形成しなくとも、確実にエンブレムの実際の外形形状を間接的に写出することができることから、エンブレム設置部をある程度ラフな形状に成形してもよく、エアバッグカバーの成形型の型製作管理工数を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明に係る第1の実施の形態について、図1乃至図7を用いて説明する。
【0033】
図1は本発明に係る一の実施の形態を採用したエアバッグ装置を備えた自動車用ステアリングホイールの概略平面図、図2は図1のエアバッグカバーの分解斜視図、図3は同じくエアバッグ装置の概略構成の警報表示回路を加えて描画したエアバッグカバーの裏面側斜視図、図4は図1におけるA−A断面図、図5はエアバッグ膨張展開時を描画した図1のA−A断面図、図6は図5のB円内の拡大図、図7は図6のC−C断面図である。
【0034】
先ず、図1において、エアバッグカバー1は、ステアリングホイール13におけるパット部13aの略中央部に装着されて、パット部13aに設けられて折り畳まれてユニット化された不図示のエアバッグ装置を収納する収納部の開口を閉塞するようになっている。
【0035】
エアバッグカバー1は、図2に示すように、前記収納部の開口を閉塞する蓋体部1aを有し、蓋体部1aの裏面側略中央部には、蓋体部1aに対して突出するように立壁部1bを設けることによって、エンブレム2を収容設置するための凹円形状のエンブレム設置部3が形成されており、エンブレム設置部3内における底部3bの略中央部には、円柱形の支柱部3aが突設されている。
【0036】
また、蓋体部1aの裏面側には、エアバッグ装置を構成するエアバッグ(不図示)を収納する立壁部1dおよびエアバッグが膨張展開した際に、エアバッグカバー1を開裂するためのテアライン1cが形成されている。
【0037】
エンブレム2は、図2に示すように、メーカーの社章等を象った装飾部(不図示)を有してエアバッグカバー1の表面に表出するように、エンブレム設置部3内に収容されており、また、エンブレム設置部3は、エンブレム2の下面に添設される光拡散板4と、光拡散板4の下面8(または側面部)に添設されて光源を構成する複数個のLEDチップ5が実装された発光基板6を収容している。
【0038】
エンブレム2、拡散板3及び発光基板6には、それぞれ、エンブレム設置部3の支柱部3aが挿通嵌合するための中央孔2−1、4−1、6−1がそれぞれ形成されている。
【0039】
また、エンブレム2の裏面側には、互いに対向する位置に一対の取付け脚部2aが突設されており、取付け脚部2aは、光拡散板4、発光基板6及びエンブレム設置部3の底部3bにそれぞれ設けた挿入口4c、6c及び3cを順次挿通し、エンブレム設置部3の底部3bの裏面側に配置したエンブレム取付け板7に設けた係合孔7cに係合することによって、エンブレム設置部3において、エンブレム2を、光拡散板4及び発光基板6と共に、エアバッグカバー1に装着するようになっている。
【0040】
そして、エンブレム2をエンブレム設置部3に設置した際、特に図6に示すように、エンブレム2の外周部とエンブレム設置部3(立壁部1b)の内壁との間には、エンブレム2の外周部を囲繞するように、透光部を構成する隙間部8が形成されており、さらに、光拡散板4は、その外周部がエンブレム2の外周部よりはみ出して、当該はみ出し部分が隙間部8に対向するように、エンブレム設置部3に設置されている。
【0041】
また、エンブレム2の中央孔2−1に支柱部3aを嵌合した際、特に図6に示すように、隙間部8の他に、隙部8−1が形成されている。
【0042】
発光基板6には、実装された各LEDチップ5に一端が電気的に接続するフラットケーブル10が設けられており、フラットケーブル10の他端にはコネクタ5aが装着され3dを挿通した状態で、スイッチ手段9−1に接続した接続フラットケーブル9−3のコネクタ9−3aに電気的に接続されている。
【0043】
スイッチ手段9−1は、電源9−2に接続されてLEDチップ5を照光するための手動スイッチとエアバッグ装置制御手段9−4のスイッチ信号により作動してLEDチップ5を点滅作動させる自動スイッチとを有して構成している。
【0044】
エアバッグ装置制御手段9−4は、エアバッグ装置の感知センサやインフレータ等が正常に動作するか否かを感知するように構成されており、異常時にはスイッチ手段9−1に信号を発信してスイッチ手段9−1を作動させ、LEDチップ5を点滅させ、エアバッグ装置の異常を報知するようになっている。
【0045】
かくして、手動スイッチの投入あるいはエアバッグ装置制御手段9−4側のスイッチ信号により自動スイッチが投入された場合、この投入をスイッチ手段9−1が感知した場合、電源の電流を接続用フラットケーブル6−3およびフラットケーブル10を介してLEDチップ5に導いて、LEDチップ5を点灯或いは点滅させ、LEDチップ5から投光される光を直接あるいは光拡散板4によって拡散されながら隙間部8および隙部8−1に導いて、隙間部8及び隙部8−1を発光することになる。
【0046】
この結果、隙間部8はエンブレム2の外周部を囲繞し、しかも隙部8−1も照光されていることから、エンブレム2の外形形状及び中央孔2−1の内壁形状を間接照明光によるドーナツ状の光枠によりぼやっと照光して写出することになって、自動車のコックピット周辺等に適合するように、美観性を統一あるものとして向上させることができる。
【0047】
また、隙間部8の形状をあまり正確に形成しなくとも、確実にエンブレム2の外形形状の実像を間接的に写出することができることから、エンブレム設置部3をある程度ラフな形状に成形してもよく、エアバッグカバー1の成形型の型製作管理工数を軽減することができる。
【0048】
さらに、エンブレム2は、これに形成した取付け脚部2aを用いて、光拡散板4、発光基板6を介在させた上で、エンブレム取付け板7と共にエンブレム設置部3の底部3bに装着されていることから、自動車の衝突時にエアバッグ4が膨張展開してエアバッグカバー1がテアライン1cから開裂したとしても、図5に示すようにエアバッグカバー1に装着されたままとなり、さらに確実に車室内に単独で飛び出すことはない。
【0049】
さらに又、発光基板6をエンブレム設置部3に設置することにより、LEDチップ5の設置も同時に行われることになり、LEDチップ5の設置が簡単となり設置工数を低減することができる。
【0050】
次に、図8乃至図18を用いて、本発明に係る他の実施の形態について説明する。
【0051】
先ず、図8に示す本発明に係る第2の実施の形態によれば、不透明にする等により遮光構造にしたエンブレム2の裏面側に光拡散板を構成する光拡散反射部4Aを形成して、光拡散反射部4AとLEDチップ5との間を僅か離すようにして、LEDチップ5から投光される光を光拡散反射部4Aにより拡散して、隙間部8及び隙部8−1に導出させるようにして、第1の実施の形態における光拡散板4を廃止したもので、その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、同一符号を付して詳細説明を割愛する。
【0052】
図9に示す本発明に係る第3の実施の形態によれば、発光基板6とLEDチップ5との間に、光拡散板を構成する薄板状の反射部材4Bを張設し、LEDチップ5が投光する光を反射部材4Bに反射させた後、隙間部8及び隙部8−1を照光するように構成したものであり、また、発光基板6は粘着部材11を用いてエンブレム設置部3の底部3bに貼着設置しており、第1の実施の形態における取付け脚部2a−2による取付けを廃止していて、結果的にエンブレム取付け板7を用いていないものである。
【0053】
図10に示す本発明に係る第4の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態におけるフラットケーブル10に付いて、エンブレム設置部3から外部に突出した部分を粘着部材12によりエアバッグカバー1の裏面に貼着した点相違し、他の構成は前記第1の実施の形態と同様である。
【0054】
図11及び図12に示す本発明に係る第5の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態における発光体としてのLEDチップ5に変えて、例えば円板状のELシート5−1を使用したもので、LEDチップ5と異なって、光拡散板4及びエンブレム2との間に隙間無くエンブレム設置部3に設置するようにしたものである。
【0055】
ELシート5−1は、フラットケーブル10を介して電源9−2からの電流を受けると全体が発光することになることから、エンブレム設置部3よりはみ出した部分はマスキング部5−1aにて漏光しないように遮蔽されている。
【0056】
従って、ELシート5−1が投光すると、ELシート5−1から投光される光は、前記第1の実施の形態における光拡散板4に変えて、透明板4−1を通して隙間部8および隙部8−1に導いて、隙間部8及び隙部8−1を発光することになる。この時、エンブレム2の背面側には、黒色等の塗装を行っておくことによって、光反射面に作成して、光拡散板4を代用しておくことになる。
【0057】
図13に示す本発明に係る第6の実施の形態によれば、発光体として、前記第1の実施の形態等において使用していたLEDチップ5或いは第5の実施の形態において使用していたELシート5−1に変えて、光ファイバー5−2を使用したもので、エンブレム2の下面角部を切欠くことによって、光ファイバー設置部2a―4を形成し、光ファイバー設置部2a―4内に光ファイバー5−2を嵌め込み設置して、光ファイバー5−2が隙間部8に対向させることによって、隙間部8を照光するように構成している。
【0058】
従って、第1の実施の形態における光拡散板4は使用しないものである。
【0059】
図14及び図15に示す本発明に係る第7の実施の形態によれば、エンブレム2の中央部2bを除いて上面にマスキング部(斜線視参照)2cを形成することによって、エンブレム2の中央部2bをも照光するようにし、エンブレム2の支柱部3aを廃止している他は、第1の実施の形態と同様の構成を有するものであるので、同一の符号を付して詳細説明を割愛する。
【0060】
図16に示す本発明に係る第8の実施の形態によれば、エアバッグカバー1におけるエンブレム設置部3は、上記実施の形態のように凹設して形成したものではなく、透明材料から形成された光拡散板4の上面を盛り上げて形成したもので、エアバッグカバー1とは別体構成にしたものであり、これに対応して、不透明な材料あるいは黒色等を塗布することにより不透明となるように椀状に形成したエンブレム2を嵌合することによって設置するようにしている。
【0061】
また、光拡散板4は、その裏面中央部に取付け脚部2aを突設しており、LEDチップ5が実装された発光基板6を挟合した状態で、取付け脚部2aをエアバッグカバー1の裏面側まで挿通させて、エンブレム取付け板7に係合することによって、エアバッグカバー1に装着されている。
【0062】
さらに、光拡散板4及び発光基板6は、粘着部材2hによって、エアバッグカバー1に貼着されている。
【0063】
従って、LEDチップ5から投光された光は、光拡散板4におけるエンブレム2が覆われていない外周部に形成された隙間部8を照光して、エンブレム本体部2の外形形状を間接的に写出することになる。
【0064】
図17及び図18は、本発明に係るエンブレムの照光パターンの実施の形態を示したもので、先ず図17に示すものは、上記実施の形態と同様にエンブレム2の外周部を写出すると共に、エンブレム2内において、例えば社章を表す文字8を囲繞するような外枠部及び文字8の輪郭部を透明にすることによって、隙部8−1を形成して、文字8をも写出するようにしたものであり、また、図18に示すものは、文字8を囲繞するような外枠部及び文字8自体を透明にすることによって隙部8−1に形成して、文字8を写出するように構成したものである。
【0065】
次に、図19から図21を用いて、さらに他の実施の形態について説明する。
【0066】
上記の各実施の形態では、隙間部8あるいは隙部8−1を介してLEDチップ5から投光された光を透過させ、美観性を向上させている。ところが、隙間部8あるいは隙部8−1を介して、例えば、水などの異物が混入した場合、隙間部8あるいは隙部8−1と発光基板6との間は遮断されていないため、異物が発光基板6やLEDチップ5に達し、発光基板6やLEDチップ5の腐食や電気的ショートによる動作不良などの悪影響が生じるおそれがある。
【0067】
そこで、以下の実施の形態では、隙間部8あるいは隙部8−1を介してエンブレム設置部3内部に異物が混入することで、発光基板6やLEDチップ5への悪影響を防止するために、発光基板6とエンブレム2との間に、発光基板6および発光基板6上に実装された各LEDチップ5を被包するように、発光体カバー14aを配置する。
【0068】
図19は、第9の実施の形態を採用した図1のE−E断面に相当する図である。図19に示すように、第9の実施の形態では、発光基板6とエンブレム2との間に、発光基板6および発光基板6上に実装された各LEDチップ5を被包するように、発光体カバー14aが配置される。発光体カバー14aは、透明または半透明の材質から構成され、撓んでも亀裂や破損が生じない形状、材質で構成されることが好ましい。
【0069】
すなわち、発光体カバー14aは、例えば熱可塑性樹脂を用いて製造すればよい。より具体的には、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、塩化ビニル樹脂などを用いて真空成形法により製造すればよい。
【0070】
なお、第9の実施の形態におけるエアバッグ装置は、第1の実施の形態における光拡散板4の代わりに発光体カバー14aを設けたもので、その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、同一符号を付して詳細説明を割愛する。
【0071】
図20は、第9の実施形態に係るエアバッグ装置を構成する各部のうち、各LEDチップ5が実装された発光基板6および発光体カバー14aのみを抽出して示した分解斜視図である。
【0072】
図20に示すように、発光体カバー14aは、LEDチップ5を覆うように凸円環状の隆起部14bが形成される。
【0073】
隆起部14bのエンブレム2側の面は光拡散加工が施され、LEDチップ5から投光される光が隙間部8に導かれ、隙間部8を発光することになる。
【0074】
光拡散加工は、例えば、隆起部14bのエンブレム2側の面を凹凸加工、ギザギザ加工、粒状加工、あるいは、酸化チタンなどの拡散塗料を用いたシルク印刷加工またはオフセット印刷加工などにより行うことが好ましい。
【0075】
円環状の隆起部14bは、エンブレム2側の面を光拡散加工することにより、LEDチップ5から投光される光が効率よく円環状に拡散するため、自動車のコックピット周辺等の見栄えを向上させ、美観性を向上させることができる。
【0076】
また、隆起部14bには、エンブレム2の裏面側に突設された一対の取付け脚部2aに対応する位置に挿入口14cが形成され、取付け脚部2aが挿入口14cを挿通し、発光基板6に設けられた挿入口6cおよびエンブレム設置部3の底部3bに設けられた挿入口3cを介してエンブレム設置部3の底部3bの裏面側に配置したエンブレム取付け板7に設けた係合孔7cに係合する。
【0077】
これにより、エンブレム設置部3において、エンブレム2を、発光体カバー14aと共に、エアバッグカバー1に装着するようになっている。
【0078】
以上、第9の実施の形態によれば、発光基板6上に実装された各LEDチップ5を被包するように発光体カバー14aが配置される。
【0079】
よって、例えば、隙間部8を介して異物が発光基板6やLEDチップ5に混入し、発光基板6やLEDチップ5の腐食や電気的ショートによる動作不良などの悪影響が発生することを抑制することができる。
【0080】
例えば、ユーザがパッド部の付着物を水気の含んだ雑巾でふき取る、あるいはアーマオイルなどのケミカル用品を用いてふき取るなどの行為を行った場合でも、その行為により、異物が発光基板6やLEDチップ5に混入することを防止することができる。
【0081】
また、第9の実施の形態によれば、被包体カバーである発光体カバー14aによりLEDチップ5や発光基板6が保護されているため、LEDチップ5やLED5を発光基板に電気的に接続するためのリード線を必要以上に強度を持たせなくて済む。
【0082】
なお、第9の実施の形態では、LEDチップ5を被包する隆起部14bは、円環状に形成する例について説明した。しかし、隆起部14bの形状は円環状に限らず、例えば、図21に示すように、発光体カバー14aの各LEDチップ5に対向する位置にそれぞれ間欠的に突起部14dを形成することで、隆起部を構成するようにしてもよい。
【0083】
また、第9の実施の形態では、発光体カバー14aを光拡散板としても機能させるために、隆起部14bの面を光拡散加工に施す例について説明した。しかし、隆起部14bの面を光拡散加工せずに、発光体カバー14aに加えて光拡散板を配設しても構わない。
【0084】
上記本発明に係る実施例における隙間部8には、例えばアクリル等の透明材料を埋設して、透光部を構成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したように、本発明は、エアバッグカバーの背面部に設置した光源から発せられる光線は、エンブレム外周部とエンブレム設置部との間に形成される隙間部を照光して、エンブレムの外形形状を間接照明光によるぼやっとした光枠により写出することになって、自動車のコックピット周辺等の美観性を統一あるものとして向上させることができ、且つ、当該隙間の形状をあまり正確に形成しなくとも、確実にエンブレムの外形形状の実像を間接的に写出することができることから、エンブレム設置部をある程度ラフな形状に成形してもよく、エアバッグカバーの成形型の型製作管理工数を軽減することができることになって、エアバッグの膨張展開に伴って開裂するエアバッグカバーを備えたエアバッグ装置、特に、自動車のステアリングに装着されるエアバッグ装置等に好適であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係る実施の形態1を採用したエアバッグ装置を備えた自動車用ステアリングホイールの概略平面図である。
【図2】図1のエアバッグカバーの分解斜視図である。
【図3】エアバッグ装置の概略構成の警報表示回路を加えて描画したエアバッグカバーの裏面側斜視図である。
【図4】図1におけるA−A断面図である。
【図5】エアバッグ膨張展開時を描画した図1のA−A断面図である。
【図6】図4のB円内の拡大図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】本発明に係る第2の実施の形態を採用した図6と同様な断面図である。
【図9】本発明に係る第3の実施の形態を採用した図6と同様な断面図である。
【図10】本発明に係る第4の実施の形態を採用した図6と同様な断面図である。
【図11】本発明に係る第5の実施の形態を採用したELシートの斜視図である。
【図12】同じく、本発明に係る第5の実施の形態における図6と同様な断面図である。
【図13】本発明に係る第6の実施の形態における図7と同様な断面図である。
【図14】本発明に係る第7の実施の形態におけるエアバッグカバーの分解斜視図である。
【図15】図14のD−D断面図である。
【図16】本発明に係る第8の実施の形態における図6と同様な断面図である。
【図17】本発明に係るエンブレムの照光パターンの一例を描画した説明図である。
【図18】本発明に係るエンブレムの照光パターンの他の例を描画した説明図である。
【図19】本発明に係る第9の実施の形態における図1のE−E断面に相当する図である。
【図20】LEDチップが実装された発光基板と被包体カバーとの分解斜視図である。
【図21】被包体カバーの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
1 エアバッグカバー
2 エンブレム
2a 取付け脚部
3 エンブレム設置部
4 光拡散板
4A 光拡散部(光拡散板)
4B 反射部材(光拡散板)
5 LEDチップ(光源)
5−1 ELシート(光源)
5−2 光ファイバー(光源)
6 発光基板
7 エンブレム取付け版
8 隙間部(透光部)
13 ステアリングホイール
13a パッド部
14a 発光体カバー(被包体カバー)
14b 隆起部
14d 突起部(隆起部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグの膨張展開に伴って開裂するエアバッグカバーを備えたエアバッグ装置、特に前記エアバッグカバーにエンブレムを装着して構成しているエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエアバッグ装置は、自動車の衝突事故等に際して、当該事故を感知し、エアバッグを膨張展開させることにより、乗員を安全に捕捉すべく動作するものであり、例えば、ステアリングホイールのパッド部に収容する運転者用エアバッグ装置として知られている。
【0003】
そして、この種のエアバッグ装置は、エアバッグを折り畳んだ状態で前記パッド部に形成した凹状のバッグ収容部内に収容し、当該バッグ収容部の開口をエアバッグカバーにより閉塞するようになっている。
【0004】
この結果、エアバッグカバーは、例えば、ステアリングホイールの中央部に存するパッド部に位置することから、運転者等に非常に目立ち易い場所に設置されていることになり、美観上相当考慮する必要があることから、例えば、メーカーを標章するマークが施されたエンブレムを装着することが広く行われており、さらに、照明等によりエンブレム自体を照光して、浮き出させることにより、更なる美観を発揮するようなことがなされている。
【0005】
このような観点から開発された従来の技術として、例えば、ステアリングホイールのパッド部に設けたスイッチカバー(エアバッグカバーに相当)の乗員側にアクリル板を配設し、アクリル板の乗員側に黒色等の塗料を塗布したマスク部を部分的に配設してエンブレム部分を形成するとともに、アクリル板の車両前方側に白色等の塗料を塗布して反射部を形成し、前記マスク部の車両前方側で且つアクリル板の内部にLEDを配して、当該LEDの点灯によってエンブレム部分を照光させるように構成したものが知られている(特許文献1参照)。
【0006】
そして、当該従来技術によれば、エンブレム部分を照光させることによって、パッド部の固定部に設けられたたとえばオーディオやナビゲーション装置の操作部の視認性を向上しようとしたものである。
【0007】
ところで、前記エアバッグ装置は、自動車の衝突事故等に際して、当該事故を感知し、エアバッグを膨張展開させることにより、乗員を安全に捕捉すべくなすものであることから、自動車の非常時だけに使用されるものであり、自動車の通常状態での走行中においては動作しないことから、感知センサが正確瞬時に事故を感知できるか、或いはエアバッグを膨張展開させるインフレータが正常動作を行えるか、インフレータのガス噴出により正常にエアバッグが膨張展開するか等々の点検が自動的に行えるようにすることが好ましい。
【0008】
このような観点から、前記エンブレム部分を照光させる機構をエアバッグ装置の動作確認のために利用しようとしたエンブレムを用いた警報表示装置が既に提案されている(特許文献2参照)。
【0009】
これによれば、エアバッグカバーに装着したエンブレムの中央部に、メーカーの社章等を象ったエンブレム本体部を装着位置させて、エンブレムにおけるエンブレム本体部を除いた周囲の発光体を照光させて、エンブレム本体部を浮き出すように構成したもので、通常時には、手動操作により、発光体を照光させるようにし、エアバッグ装置の異常時には、エアバッグ装置の異常感知システムが動作して、発光体を点滅光により照光することによって、エアバッグ装置の異常状態を報知するようになっている。
【特許文献1】特開2006−168704号公報
【特許文献2】特開2000−118320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
かかる従来のエンブレムを用いた警報表示装置によれば、エンブレムにおける不透明なエンブレム本体部によって遮られながら、発光体の部分が照光するという所謂直接光による照光装置であるといえる。
【0011】
しかしながら、上記いずれの従来技術においては、エンブレムにおける発光体を直接光により照光させるものであることから、計器盤等の照光が通常間接光による照光装置を採用して当該照光対象部分をぼやっとした状態で照光するようになっていること等を考慮に入れると、美観上不統一であることを否めず、しかも、エンブレムにおける発光体を的確に照光写出させるためには、例えば、エアバッグカバー側に凹設部を設けて当該エンブレムを嵌込み式に配設する場合等においては、エンブレムの外形形状と凹設部の内壁形状とが正確に合致したものでないと、両者の間に隙間ができ、しかもこの隙間が不均一であるような場合には、エンブレム以外の部分まで照光されてしまい、エンブレムの実際の外形形状とは異なった虚像が写出されることになってしまい、美観上の観点からすると、エンブレムを嵌め込む凹設部の形状を成形時に正確に形成することが必要となり、成形型の型製作管理工数を増加させる原因となってしまう。
【0012】
そこで、本発明は、かかる点に鑑み、エアバッグカバーにエンブレムを設置して、当該エンブレム形状を照光写出する場合に、計器盤等他の照明手法として用いられる間接照明手法によって写出される像とは異なった感覚の像となり、自動車のコックピット周辺等の美観性を向上させると共に、エアバッグカバーにおけるエンブレム設置部をそれほど正確に成形しなくても、エンブレムの実像を写出できるように構成したエアバッグ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るエアバッグ装置は、エアバッグの膨張展開に伴って開裂するエアバッグカバーを備えたエアバッグ装置であって、前記エアバッグカバーに一体又は別体のエンブレム設置部を設け、該エンブレム設置部にエンブレムを配設し、該エンブレム外周部と前記エンブレム設置部との間に、前記エンブレム設置部に設置した光源が発する光線により照光される透光部を形成したことを特徴とする。
【0014】
かかる構成により、エンブレムの背面側に設置した光源から発せられる光線は、エンブレム外周部とエンブレム設置部との間に形成される透光部を照光して、エンブレムの実際の外形形状を間接照明光による「ぼやっ」とした光枠により写出することになって、例えば自動車の計器盤等コックピット周辺の美観性を統一あるものとして見栄え向上に寄与することができ、且つ、当該隙間の形状をあまり正確に形成しなくとも、確実にエンブレムの実際の外形形状を間接的に写出することができることから、エンブレム設置部をある程度ラフな形状に成形してもよく、エアバッグカバーの成形型の型製作管理工数を軽減することができる。
【0015】
本発明に係るエアバッグ装置は、前記透光部を前記エンブレムの外周部と前記エンブレム設置部との間に形成された隙間部により構成するようにしてもよい。
【0016】
かかる構成により、エンブレム設置部をある程度ラフな形状に成形することができ、エアバッグカバーの成形型の型製作管理工数を軽減することができる。
【0017】
本発明に係るエアバッグ装置は、前記光源と前記エアバッグカバーとの間に、光拡散板を配設して、該光拡散板により前記光源が発する光線を前記隙間部に導いて照光させるように構成するようにしてもよい。
【0018】
かかる構成により、エンブレム外周部とエンブレムとの間に形成される隙間から照光される光線は、光拡散板から拡散された光線による間接照明光となり、エンブレムの実際の外形形状を当該間接照明光によりぼやっと写出することになって、自動車のコックピット周辺等の見栄えを向上させ、美観性を向上させることができる。
【0019】
又、本発明に係るエアバッグ装置は、前記光源を発光基板上に実装される発光素子により構成し、前記発光基板を前記エンブレム設置部に設置するようにしてもよい。
【0020】
かかる構成により、発光基板をエンブレム設置部に設置することにより、光源の設置も行われることになり、光源の設置が簡単となり設置工数を低減することができる。
【0021】
また、本発明に係るエアバッグ装置において、前記発光基板と前記エンブレムとの間に、前記発光素子が発する光線を透過する部材からなる被包体を配設して、前記発光素子が前記発光基板と共に被包されるように構成するようにしてもよい。
【0022】
かかる構成により、被包体により発光素子は発光基板と共に被包されることになるため、隙間部を介してエンブレム設置部内部に外部から異物が混入し、発光基板や発光素子に達することを防止することができる。
【0023】
また、本発明に係るエアバッグ装置は、前記エンブレムの背面側に取付け脚部を突出形成し、かつ、該取付け脚部の先端部を前記エアバッグカバーの背面側に挿通突出させて、当該挿通突出した前記取付け脚部の先端部にエンブレム固定板を係合することにより、前記エンブレムを前記エンブレム設置部に取着するように構成してもよい。
【0024】
かかる構成により、エアバッグの膨張展開によりたとえエアバッグカバーが開裂したとしても、エンブレムは取付け脚部がエンブレム固定板に係合することによりエアバッグカバーに装着されていることから、エアバッグカバーから外れることがない。
【0025】
また、本発明に係るエアバッグ装置は、前記エンブレム設置部を、前記エアバッグカバーに前記エンブレムを嵌合する凹設部を形成し、該凹設部に前記エンブレムを嵌合し、該エンブレムの外周部と前記凹設部との間に前記隙間部を形成するように構成してもよい。
【0026】
かかる構成により、エンブレムの外周部と凹設部との間に隙間部を形成するようにしたので、当該隙間部の形状は、エンブレムの外形形状を間接的に写出するための構成であることから、それほど正確な形状に形成しなくてもよいことになり、エアバッグカバーの成形型の型製作管理工数を軽減することができる。
【0027】
また、本発明に係るエアバッグ装置は、前記光拡散板の表面側を盛り上げ形成することによって前記エンブレム設置部を構成し、該エンブレム設置部に前記エンブレムを嵌合することによって該エンブレムを前記光拡散板に設置して、前記エンブレム設置部に前記エンブレムの外周部より張出した部分を形成して、当該張出し部分を前記隙間部として構成してもよい。
【0028】
かかる構成により、エンブレム設置部におけるエンブレムの外周部より張り出した部分をエアバッグカバーの背面部に設置した光源が発する光線により照光される隙間部として構成したために、当該隙間部の形状は、それほど正確な形状に形成しなくてもエンブレムが実際の形状に写出されることになり、エアバッグカバーの成形型の型製作管理工数を軽減することができる。
【0029】
また、本発明に係るエアバッグ装置は、前記エアバッグカバーが、ステアリングホイールのパッド部に設けられるエアバッグ装置にすることができる。
【0030】
従って、エアバッグカバーに装着したエンブレムは、隙間部によって、間接光によるぼやっとした光枠によって実際の外形形状を写出されることになり、例えば自動車の計器盤等コックピット周辺の美観性を統一あるものとして見栄え向上に寄与し、且つ、当該隙間部の形状をあまり正確に形成しなくとも、確実にエンブレムの実際の外形形状を間接的に写出することができることから、エンブレム設置部をそれほど正確な形状に成形する必要がなく、エアバッグカバーの成形型の型製作管理工数を軽減することができる。
【発明の効果】
【0031】
上記のように構成する本発明によれば、エンブレムの背面側に設置した光源から発せられる光線は、エンブレム外周部とエンブレム設置部との間に形成される隙間部を照光して、エンブレムの実際の外形形状を間接照明光による「ぼやっ」とした光枠により写出することになって、例えば自動車の計器盤等コックピット周辺の美観性を統一あるものとして見栄え向上に寄与することができ、且つ、当該隙間の形状をあまり正確に形成しなくとも、確実にエンブレムの実際の外形形状を間接的に写出することができることから、エンブレム設置部をある程度ラフな形状に成形してもよく、エアバッグカバーの成形型の型製作管理工数を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明に係る第1の実施の形態について、図1乃至図7を用いて説明する。
【0033】
図1は本発明に係る一の実施の形態を採用したエアバッグ装置を備えた自動車用ステアリングホイールの概略平面図、図2は図1のエアバッグカバーの分解斜視図、図3は同じくエアバッグ装置の概略構成の警報表示回路を加えて描画したエアバッグカバーの裏面側斜視図、図4は図1におけるA−A断面図、図5はエアバッグ膨張展開時を描画した図1のA−A断面図、図6は図5のB円内の拡大図、図7は図6のC−C断面図である。
【0034】
先ず、図1において、エアバッグカバー1は、ステアリングホイール13におけるパット部13aの略中央部に装着されて、パット部13aに設けられて折り畳まれてユニット化された不図示のエアバッグ装置を収納する収納部の開口を閉塞するようになっている。
【0035】
エアバッグカバー1は、図2に示すように、前記収納部の開口を閉塞する蓋体部1aを有し、蓋体部1aの裏面側略中央部には、蓋体部1aに対して突出するように立壁部1bを設けることによって、エンブレム2を収容設置するための凹円形状のエンブレム設置部3が形成されており、エンブレム設置部3内における底部3bの略中央部には、円柱形の支柱部3aが突設されている。
【0036】
また、蓋体部1aの裏面側には、エアバッグ装置を構成するエアバッグ(不図示)を収納する立壁部1dおよびエアバッグが膨張展開した際に、エアバッグカバー1を開裂するためのテアライン1cが形成されている。
【0037】
エンブレム2は、図2に示すように、メーカーの社章等を象った装飾部(不図示)を有してエアバッグカバー1の表面に表出するように、エンブレム設置部3内に収容されており、また、エンブレム設置部3は、エンブレム2の下面に添設される光拡散板4と、光拡散板4の下面8(または側面部)に添設されて光源を構成する複数個のLEDチップ5が実装された発光基板6を収容している。
【0038】
エンブレム2、拡散板3及び発光基板6には、それぞれ、エンブレム設置部3の支柱部3aが挿通嵌合するための中央孔2−1、4−1、6−1がそれぞれ形成されている。
【0039】
また、エンブレム2の裏面側には、互いに対向する位置に一対の取付け脚部2aが突設されており、取付け脚部2aは、光拡散板4、発光基板6及びエンブレム設置部3の底部3bにそれぞれ設けた挿入口4c、6c及び3cを順次挿通し、エンブレム設置部3の底部3bの裏面側に配置したエンブレム取付け板7に設けた係合孔7cに係合することによって、エンブレム設置部3において、エンブレム2を、光拡散板4及び発光基板6と共に、エアバッグカバー1に装着するようになっている。
【0040】
そして、エンブレム2をエンブレム設置部3に設置した際、特に図6に示すように、エンブレム2の外周部とエンブレム設置部3(立壁部1b)の内壁との間には、エンブレム2の外周部を囲繞するように、透光部を構成する隙間部8が形成されており、さらに、光拡散板4は、その外周部がエンブレム2の外周部よりはみ出して、当該はみ出し部分が隙間部8に対向するように、エンブレム設置部3に設置されている。
【0041】
また、エンブレム2の中央孔2−1に支柱部3aを嵌合した際、特に図6に示すように、隙間部8の他に、隙部8−1が形成されている。
【0042】
発光基板6には、実装された各LEDチップ5に一端が電気的に接続するフラットケーブル10が設けられており、フラットケーブル10の他端にはコネクタ5aが装着され3dを挿通した状態で、スイッチ手段9−1に接続した接続フラットケーブル9−3のコネクタ9−3aに電気的に接続されている。
【0043】
スイッチ手段9−1は、電源9−2に接続されてLEDチップ5を照光するための手動スイッチとエアバッグ装置制御手段9−4のスイッチ信号により作動してLEDチップ5を点滅作動させる自動スイッチとを有して構成している。
【0044】
エアバッグ装置制御手段9−4は、エアバッグ装置の感知センサやインフレータ等が正常に動作するか否かを感知するように構成されており、異常時にはスイッチ手段9−1に信号を発信してスイッチ手段9−1を作動させ、LEDチップ5を点滅させ、エアバッグ装置の異常を報知するようになっている。
【0045】
かくして、手動スイッチの投入あるいはエアバッグ装置制御手段9−4側のスイッチ信号により自動スイッチが投入された場合、この投入をスイッチ手段9−1が感知した場合、電源の電流を接続用フラットケーブル6−3およびフラットケーブル10を介してLEDチップ5に導いて、LEDチップ5を点灯或いは点滅させ、LEDチップ5から投光される光を直接あるいは光拡散板4によって拡散されながら隙間部8および隙部8−1に導いて、隙間部8及び隙部8−1を発光することになる。
【0046】
この結果、隙間部8はエンブレム2の外周部を囲繞し、しかも隙部8−1も照光されていることから、エンブレム2の外形形状及び中央孔2−1の内壁形状を間接照明光によるドーナツ状の光枠によりぼやっと照光して写出することになって、自動車のコックピット周辺等に適合するように、美観性を統一あるものとして向上させることができる。
【0047】
また、隙間部8の形状をあまり正確に形成しなくとも、確実にエンブレム2の外形形状の実像を間接的に写出することができることから、エンブレム設置部3をある程度ラフな形状に成形してもよく、エアバッグカバー1の成形型の型製作管理工数を軽減することができる。
【0048】
さらに、エンブレム2は、これに形成した取付け脚部2aを用いて、光拡散板4、発光基板6を介在させた上で、エンブレム取付け板7と共にエンブレム設置部3の底部3bに装着されていることから、自動車の衝突時にエアバッグ4が膨張展開してエアバッグカバー1がテアライン1cから開裂したとしても、図5に示すようにエアバッグカバー1に装着されたままとなり、さらに確実に車室内に単独で飛び出すことはない。
【0049】
さらに又、発光基板6をエンブレム設置部3に設置することにより、LEDチップ5の設置も同時に行われることになり、LEDチップ5の設置が簡単となり設置工数を低減することができる。
【0050】
次に、図8乃至図18を用いて、本発明に係る他の実施の形態について説明する。
【0051】
先ず、図8に示す本発明に係る第2の実施の形態によれば、不透明にする等により遮光構造にしたエンブレム2の裏面側に光拡散板を構成する光拡散反射部4Aを形成して、光拡散反射部4AとLEDチップ5との間を僅か離すようにして、LEDチップ5から投光される光を光拡散反射部4Aにより拡散して、隙間部8及び隙部8−1に導出させるようにして、第1の実施の形態における光拡散板4を廃止したもので、その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、同一符号を付して詳細説明を割愛する。
【0052】
図9に示す本発明に係る第3の実施の形態によれば、発光基板6とLEDチップ5との間に、光拡散板を構成する薄板状の反射部材4Bを張設し、LEDチップ5が投光する光を反射部材4Bに反射させた後、隙間部8及び隙部8−1を照光するように構成したものであり、また、発光基板6は粘着部材11を用いてエンブレム設置部3の底部3bに貼着設置しており、第1の実施の形態における取付け脚部2a−2による取付けを廃止していて、結果的にエンブレム取付け板7を用いていないものである。
【0053】
図10に示す本発明に係る第4の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態におけるフラットケーブル10に付いて、エンブレム設置部3から外部に突出した部分を粘着部材12によりエアバッグカバー1の裏面に貼着した点相違し、他の構成は前記第1の実施の形態と同様である。
【0054】
図11及び図12に示す本発明に係る第5の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態における発光体としてのLEDチップ5に変えて、例えば円板状のELシート5−1を使用したもので、LEDチップ5と異なって、光拡散板4及びエンブレム2との間に隙間無くエンブレム設置部3に設置するようにしたものである。
【0055】
ELシート5−1は、フラットケーブル10を介して電源9−2からの電流を受けると全体が発光することになることから、エンブレム設置部3よりはみ出した部分はマスキング部5−1aにて漏光しないように遮蔽されている。
【0056】
従って、ELシート5−1が投光すると、ELシート5−1から投光される光は、前記第1の実施の形態における光拡散板4に変えて、透明板4−1を通して隙間部8および隙部8−1に導いて、隙間部8及び隙部8−1を発光することになる。この時、エンブレム2の背面側には、黒色等の塗装を行っておくことによって、光反射面に作成して、光拡散板4を代用しておくことになる。
【0057】
図13に示す本発明に係る第6の実施の形態によれば、発光体として、前記第1の実施の形態等において使用していたLEDチップ5或いは第5の実施の形態において使用していたELシート5−1に変えて、光ファイバー5−2を使用したもので、エンブレム2の下面角部を切欠くことによって、光ファイバー設置部2a―4を形成し、光ファイバー設置部2a―4内に光ファイバー5−2を嵌め込み設置して、光ファイバー5−2が隙間部8に対向させることによって、隙間部8を照光するように構成している。
【0058】
従って、第1の実施の形態における光拡散板4は使用しないものである。
【0059】
図14及び図15に示す本発明に係る第7の実施の形態によれば、エンブレム2の中央部2bを除いて上面にマスキング部(斜線視参照)2cを形成することによって、エンブレム2の中央部2bをも照光するようにし、エンブレム2の支柱部3aを廃止している他は、第1の実施の形態と同様の構成を有するものであるので、同一の符号を付して詳細説明を割愛する。
【0060】
図16に示す本発明に係る第8の実施の形態によれば、エアバッグカバー1におけるエンブレム設置部3は、上記実施の形態のように凹設して形成したものではなく、透明材料から形成された光拡散板4の上面を盛り上げて形成したもので、エアバッグカバー1とは別体構成にしたものであり、これに対応して、不透明な材料あるいは黒色等を塗布することにより不透明となるように椀状に形成したエンブレム2を嵌合することによって設置するようにしている。
【0061】
また、光拡散板4は、その裏面中央部に取付け脚部2aを突設しており、LEDチップ5が実装された発光基板6を挟合した状態で、取付け脚部2aをエアバッグカバー1の裏面側まで挿通させて、エンブレム取付け板7に係合することによって、エアバッグカバー1に装着されている。
【0062】
さらに、光拡散板4及び発光基板6は、粘着部材2hによって、エアバッグカバー1に貼着されている。
【0063】
従って、LEDチップ5から投光された光は、光拡散板4におけるエンブレム2が覆われていない外周部に形成された隙間部8を照光して、エンブレム本体部2の外形形状を間接的に写出することになる。
【0064】
図17及び図18は、本発明に係るエンブレムの照光パターンの実施の形態を示したもので、先ず図17に示すものは、上記実施の形態と同様にエンブレム2の外周部を写出すると共に、エンブレム2内において、例えば社章を表す文字8を囲繞するような外枠部及び文字8の輪郭部を透明にすることによって、隙部8−1を形成して、文字8をも写出するようにしたものであり、また、図18に示すものは、文字8を囲繞するような外枠部及び文字8自体を透明にすることによって隙部8−1に形成して、文字8を写出するように構成したものである。
【0065】
次に、図19から図21を用いて、さらに他の実施の形態について説明する。
【0066】
上記の各実施の形態では、隙間部8あるいは隙部8−1を介してLEDチップ5から投光された光を透過させ、美観性を向上させている。ところが、隙間部8あるいは隙部8−1を介して、例えば、水などの異物が混入した場合、隙間部8あるいは隙部8−1と発光基板6との間は遮断されていないため、異物が発光基板6やLEDチップ5に達し、発光基板6やLEDチップ5の腐食や電気的ショートによる動作不良などの悪影響が生じるおそれがある。
【0067】
そこで、以下の実施の形態では、隙間部8あるいは隙部8−1を介してエンブレム設置部3内部に異物が混入することで、発光基板6やLEDチップ5への悪影響を防止するために、発光基板6とエンブレム2との間に、発光基板6および発光基板6上に実装された各LEDチップ5を被包するように、発光体カバー14aを配置する。
【0068】
図19は、第9の実施の形態を採用した図1のE−E断面に相当する図である。図19に示すように、第9の実施の形態では、発光基板6とエンブレム2との間に、発光基板6および発光基板6上に実装された各LEDチップ5を被包するように、発光体カバー14aが配置される。発光体カバー14aは、透明または半透明の材質から構成され、撓んでも亀裂や破損が生じない形状、材質で構成されることが好ましい。
【0069】
すなわち、発光体カバー14aは、例えば熱可塑性樹脂を用いて製造すればよい。より具体的には、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、塩化ビニル樹脂などを用いて真空成形法により製造すればよい。
【0070】
なお、第9の実施の形態におけるエアバッグ装置は、第1の実施の形態における光拡散板4の代わりに発光体カバー14aを設けたもので、その他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、同一符号を付して詳細説明を割愛する。
【0071】
図20は、第9の実施形態に係るエアバッグ装置を構成する各部のうち、各LEDチップ5が実装された発光基板6および発光体カバー14aのみを抽出して示した分解斜視図である。
【0072】
図20に示すように、発光体カバー14aは、LEDチップ5を覆うように凸円環状の隆起部14bが形成される。
【0073】
隆起部14bのエンブレム2側の面は光拡散加工が施され、LEDチップ5から投光される光が隙間部8に導かれ、隙間部8を発光することになる。
【0074】
光拡散加工は、例えば、隆起部14bのエンブレム2側の面を凹凸加工、ギザギザ加工、粒状加工、あるいは、酸化チタンなどの拡散塗料を用いたシルク印刷加工またはオフセット印刷加工などにより行うことが好ましい。
【0075】
円環状の隆起部14bは、エンブレム2側の面を光拡散加工することにより、LEDチップ5から投光される光が効率よく円環状に拡散するため、自動車のコックピット周辺等の見栄えを向上させ、美観性を向上させることができる。
【0076】
また、隆起部14bには、エンブレム2の裏面側に突設された一対の取付け脚部2aに対応する位置に挿入口14cが形成され、取付け脚部2aが挿入口14cを挿通し、発光基板6に設けられた挿入口6cおよびエンブレム設置部3の底部3bに設けられた挿入口3cを介してエンブレム設置部3の底部3bの裏面側に配置したエンブレム取付け板7に設けた係合孔7cに係合する。
【0077】
これにより、エンブレム設置部3において、エンブレム2を、発光体カバー14aと共に、エアバッグカバー1に装着するようになっている。
【0078】
以上、第9の実施の形態によれば、発光基板6上に実装された各LEDチップ5を被包するように発光体カバー14aが配置される。
【0079】
よって、例えば、隙間部8を介して異物が発光基板6やLEDチップ5に混入し、発光基板6やLEDチップ5の腐食や電気的ショートによる動作不良などの悪影響が発生することを抑制することができる。
【0080】
例えば、ユーザがパッド部の付着物を水気の含んだ雑巾でふき取る、あるいはアーマオイルなどのケミカル用品を用いてふき取るなどの行為を行った場合でも、その行為により、異物が発光基板6やLEDチップ5に混入することを防止することができる。
【0081】
また、第9の実施の形態によれば、被包体カバーである発光体カバー14aによりLEDチップ5や発光基板6が保護されているため、LEDチップ5やLED5を発光基板に電気的に接続するためのリード線を必要以上に強度を持たせなくて済む。
【0082】
なお、第9の実施の形態では、LEDチップ5を被包する隆起部14bは、円環状に形成する例について説明した。しかし、隆起部14bの形状は円環状に限らず、例えば、図21に示すように、発光体カバー14aの各LEDチップ5に対向する位置にそれぞれ間欠的に突起部14dを形成することで、隆起部を構成するようにしてもよい。
【0083】
また、第9の実施の形態では、発光体カバー14aを光拡散板としても機能させるために、隆起部14bの面を光拡散加工に施す例について説明した。しかし、隆起部14bの面を光拡散加工せずに、発光体カバー14aに加えて光拡散板を配設しても構わない。
【0084】
上記本発明に係る実施例における隙間部8には、例えばアクリル等の透明材料を埋設して、透光部を構成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したように、本発明は、エアバッグカバーの背面部に設置した光源から発せられる光線は、エンブレム外周部とエンブレム設置部との間に形成される隙間部を照光して、エンブレムの外形形状を間接照明光によるぼやっとした光枠により写出することになって、自動車のコックピット周辺等の美観性を統一あるものとして向上させることができ、且つ、当該隙間の形状をあまり正確に形成しなくとも、確実にエンブレムの外形形状の実像を間接的に写出することができることから、エンブレム設置部をある程度ラフな形状に成形してもよく、エアバッグカバーの成形型の型製作管理工数を軽減することができることになって、エアバッグの膨張展開に伴って開裂するエアバッグカバーを備えたエアバッグ装置、特に、自動車のステアリングに装着されるエアバッグ装置等に好適であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係る実施の形態1を採用したエアバッグ装置を備えた自動車用ステアリングホイールの概略平面図である。
【図2】図1のエアバッグカバーの分解斜視図である。
【図3】エアバッグ装置の概略構成の警報表示回路を加えて描画したエアバッグカバーの裏面側斜視図である。
【図4】図1におけるA−A断面図である。
【図5】エアバッグ膨張展開時を描画した図1のA−A断面図である。
【図6】図4のB円内の拡大図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】本発明に係る第2の実施の形態を採用した図6と同様な断面図である。
【図9】本発明に係る第3の実施の形態を採用した図6と同様な断面図である。
【図10】本発明に係る第4の実施の形態を採用した図6と同様な断面図である。
【図11】本発明に係る第5の実施の形態を採用したELシートの斜視図である。
【図12】同じく、本発明に係る第5の実施の形態における図6と同様な断面図である。
【図13】本発明に係る第6の実施の形態における図7と同様な断面図である。
【図14】本発明に係る第7の実施の形態におけるエアバッグカバーの分解斜視図である。
【図15】図14のD−D断面図である。
【図16】本発明に係る第8の実施の形態における図6と同様な断面図である。
【図17】本発明に係るエンブレムの照光パターンの一例を描画した説明図である。
【図18】本発明に係るエンブレムの照光パターンの他の例を描画した説明図である。
【図19】本発明に係る第9の実施の形態における図1のE−E断面に相当する図である。
【図20】LEDチップが実装された発光基板と被包体カバーとの分解斜視図である。
【図21】被包体カバーの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
1 エアバッグカバー
2 エンブレム
2a 取付け脚部
3 エンブレム設置部
4 光拡散板
4A 光拡散部(光拡散板)
4B 反射部材(光拡散板)
5 LEDチップ(光源)
5−1 ELシート(光源)
5−2 光ファイバー(光源)
6 発光基板
7 エンブレム取付け版
8 隙間部(透光部)
13 ステアリングホイール
13a パッド部
14a 発光体カバー(被包体カバー)
14b 隆起部
14d 突起部(隆起部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグの膨張展開に伴って開裂するエアバッグカバーを備えたエアバッグ装置であって、前記エアバッグカバーに一体又は別体のエンブレム設置部を設け、該エンブレム設置部にエンブレムを配設し、該エンブレム外周部と前記エンブレム設置部との間に、前記エンブレム設置部に設置した光源が発する光線により照光される透光部を形成したことを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記透光部は、前記エンブレムの外周部と前記エンブレム設置部との間に形成された隙間部により構成したことを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記光源と前記エンブレムとの間に、光拡散板を配設して、該光拡散板により前記光源が発する光線を前記隙間部に導いて照光させるように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記光源は、基板上に実装される発光素子により構成し、前記基板を前記エンブレム設置部に設置したことを特徴とする請求項1または2に記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記基板と前記エンブレムとの間に、前記発光素子が発する光線を透過する部材からなる被包体を配設して、前記発光素子が前記基板と共に被包されるように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一に記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
前記エンブレムの背面側に取付け脚部を突出形成し、かつ、該取付け脚部の先端部を前記エアバッグカバーの背面側に挿通突出させて、当該挿通突出した前記取付け脚部の先端部にエンブレム固定板を係合することにより、前記エンブレムを前記エンブレム設置部に取着したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一に記載のエアバッグ装置。
【請求項7】
前記エンブレム設置部は、前記エアバッグカバーに前記エンブレムを嵌合する凹設部を形成し、該凹設部に前記エンブレムを嵌合し、該エンブレムの外周部と前記凹設部との間に前記隙間部を形成したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載のエアバッグ装置。
【請求項8】
前記光拡散板の表面側を盛り上げ形成することによって前記エンブレム設置部を構成し、該エンブレム設置部に前記エンブレムを嵌合することによって該エンブレムを前記光拡散板に設置して、前記エンブレム設置部に前記エンブレムの外周部より張出した部分を形成して、当該張出し部分を前記隙間部として構成したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載のエアバッグ装置。
【請求項9】
前記エアバッグカバーが、ステアリングホイールのパッド部に設けられたことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一に記載のエアバッグ装置。
【請求項1】
エアバッグの膨張展開に伴って開裂するエアバッグカバーを備えたエアバッグ装置であって、前記エアバッグカバーに一体又は別体のエンブレム設置部を設け、該エンブレム設置部にエンブレムを配設し、該エンブレム外周部と前記エンブレム設置部との間に、前記エンブレム設置部に設置した光源が発する光線により照光される透光部を形成したことを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記透光部は、前記エンブレムの外周部と前記エンブレム設置部との間に形成された隙間部により構成したことを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記光源と前記エンブレムとの間に、光拡散板を配設して、該光拡散板により前記光源が発する光線を前記隙間部に導いて照光させるように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記光源は、基板上に実装される発光素子により構成し、前記基板を前記エンブレム設置部に設置したことを特徴とする請求項1または2に記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記基板と前記エンブレムとの間に、前記発光素子が発する光線を透過する部材からなる被包体を配設して、前記発光素子が前記基板と共に被包されるように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一に記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
前記エンブレムの背面側に取付け脚部を突出形成し、かつ、該取付け脚部の先端部を前記エアバッグカバーの背面側に挿通突出させて、当該挿通突出した前記取付け脚部の先端部にエンブレム固定板を係合することにより、前記エンブレムを前記エンブレム設置部に取着したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一に記載のエアバッグ装置。
【請求項7】
前記エンブレム設置部は、前記エアバッグカバーに前記エンブレムを嵌合する凹設部を形成し、該凹設部に前記エンブレムを嵌合し、該エンブレムの外周部と前記凹設部との間に前記隙間部を形成したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載のエアバッグ装置。
【請求項8】
前記光拡散板の表面側を盛り上げ形成することによって前記エンブレム設置部を構成し、該エンブレム設置部に前記エンブレムを嵌合することによって該エンブレムを前記光拡散板に設置して、前記エンブレム設置部に前記エンブレムの外周部より張出した部分を形成して、当該張出し部分を前記隙間部として構成したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載のエアバッグ装置。
【請求項9】
前記エアバッグカバーが、ステアリングホイールのパッド部に設けられたことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一に記載のエアバッグ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−96450(P2009−96450A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113079(P2008−113079)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】
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