エアフィルタ用濾材
【課題】圧力損失が極めて低く高風量での気体濾過処理に最適であり、且つ微細な粉塵を高効率で捕集できるエアフィルタ用濾材を得る。
【解決手段】本発明にかかるエアフィルタ用濾材は、繊維の直径が300nm以下のナノ繊維が三次元的に交絡されてなるナノ繊維構造体層を有するエアフィルタ用濾材であって、ナノ繊維構造体層が、下記数式1の条件を満たす。
0.0004*D+0.0944≦W≦0.0004*D+0.1944 ・・・(数式1)
D:ナノ繊維構造体層の平均繊維径(nm)、W:ナノ繊維構造体層の目付け(g/m2)
【解決手段】本発明にかかるエアフィルタ用濾材は、繊維の直径が300nm以下のナノ繊維が三次元的に交絡されてなるナノ繊維構造体層を有するエアフィルタ用濾材であって、ナノ繊維構造体層が、下記数式1の条件を満たす。
0.0004*D+0.0944≦W≦0.0004*D+0.1944 ・・・(数式1)
D:ナノ繊維構造体層の平均繊維径(nm)、W:ナノ繊維構造体層の目付け(g/m2)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルタ用濾材に関し、特に例えば、圧力損失が極めて低く、且つ微細な粉塵を高効率で捕集できるエレクトロスピニング法により作製されたナノ繊維構造体層で構成されたエアフィルタ用濾材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナノ繊維構造体層を有するエアフィルタでは、特許文献1や特願2006−129685で開示されているように、エアの流れが特殊な現象を示す。数ミクロン以上の繊維径を有する繊維で構成されたエアフィルタではフィルタ内部及び下流で激しい乱流が発生するが、ナノファイバーで構成されたフィルタでは繊維が構成するポアサイズ小さいことはもちろんのことであるが、その内部及び下流では、繊維径が500nm以下になるに従って乱流発生が少なくなってゆく。乱流の発生が小さくなると粉塵及びフィルタを構成する繊維の振動がなくなり、粉塵の再飛散が少なくなることによって粉塵捕集効率が高くなる。また乱流発生が少ないことは、ナノ繊維構造体層をエアが流れやすいことを示し、高い粉塵捕集率を有して低圧力損失のエアフィルタを得ることができる。またULPA,HEPA,中性能フィルタなどの汎用フィルタと複合化することによりさらに有用なフィルタを提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−527344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアフィルタの粉塵捕集は、大きな粉塵はポアサイズの大小によるふるい効果によって捕集され、小さな粉塵ほど衝突効果による吸着・凝集・包括等の作用によって捕集されるが、この時、フィルタ内部あるいは背面に乱流がなくフィルタ及び粉塵に振動がないことが効率に大きく影響する。エアフィルタの粉塵捕集効率を高くするにはポアサイズを小さくして、かつエアが抜けやすく乱流発生を小さくすることが重要である。ナノ繊維構造体層では、ある繊維径においては目付けが低くなるに従ってポアサイズが大きくなり、目付けが高くなるに従ってポアサイズが小さくなる。しかし、ポアサイズが大きい方がエアは抜けやすく乱流発生が小さく、ポアサイズが小さい方がエアは抜けにくく乱流発生が大きくなる。したがって、単に繊維径500nm以下のナノ繊維によりナノ繊維構造体層を形成したたけでは、効率の良いエアフィルタ用濾材は得ることはできず、エアフィルタ用濾材が最大の粉塵捕集効率を発現させるには最適な繊維径と目付けの関係を有する状態に形成しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで発明者は、JIS規定のフィルタ性能試験装置を用い、風速を変化させその時の0.3から0.5μmの大きさの粉塵捕集効率を数多く計測し、分析・検討を重ねた結果、ナノ繊維構造体層が最大捕集効率を発揮する為の最適な繊維径と目付けの関係を見出した。
【0006】
請求項1に記載の発明は、繊維の直径が300nm以下のナノ繊維が三次元的に交絡されてなるナノ繊維構造体層を有するエアフィルタ用濾材であって、ナノ繊維構造体層は、下記数式1の条件を満たし、ナノ繊維構造体層の濾過下流側の面に、表面平滑で風速1m/sでの圧力損失が100pa以下の下流側多孔質体層が一体に積層されている、エアフィルタ用濾材である。
0.0004*D+0.0944≦W≦0.0004*D+0.1944 ・・・(数式1)
ここで、Dはナノ繊維構造体層の平均繊維径(nm)であり、Wはナノ繊維構造体層の目付け(g/m2)である。
請求項2に記載の発明は、ナノ繊維構造体層が、平均繊維径の異なる複数の層で構成され、複数の層で構成されたナノ繊維構造体層の平均繊維径の平均が請求項1の式を満たす、請求項1に記載のエアフィルタ用濾材である。
請求項3に記載の発明は、汎用フィルタと複合化された、請求項1また請求項2に記載のエアフィルタ用濾材である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、既存のフィルタで発生する乱流を減少させ、かつ抜けてきた粉塵を捕集して効率をあげることが出来る。また、性能評価あるいは計測困難な100nm以下の繊維径のナノ繊維構造体層ついても最適目付を提供することができる。従って、従来困難であった大きさが直径50nm程度のウイルス等を濾過するフィルタを提供も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明にかかるエアフィルタ用濾材の一実施の形態を示す断面図解図である。
【図2】本発明にかかる別の実施の形態を示す断面図解図である。
【図3】本発明にかかるさらに別の実施形態を示す図解図である。
【図4】12種のナノ繊維構造体層の走査電子顕微鏡画像(1万倍)である。
【図5】HEPAフィルタの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図6】HEPAフィルタと繊維直径が100nmで目付けが0.1g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図7】HEPAフィルタと繊維直径が100nmで目付けが0.2g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図8】HEPAフィルタと繊維直径が100nmで目付けが0.3g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図9】HEPAフィルタと繊維直径が100nmで目付けが0.4g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図10】HEPAフィルタと繊維直径が200nmで目付けが0.1g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図11】HEPAフィルタと繊維直径が200nmで目付けが0.2g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図12】HEPAフィルタと繊維直径が200nmで目付けが0.3g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図13】HEPAフィルタと繊維直径が200nmで目付けが0.4g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図14】HEPAフィルタと繊維直径が300nmで目付けが0.1g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図15】HEPAフィルタと繊維直径が300nmで目付けが0.2g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図16】HEPAフィルタと繊維直径が300nmで目付けが0.3g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図17】HEPAフィルタと繊維直径が300nmで目付けが0.4g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図18】表15の値を散布図化したうえ近似曲線を挿入したグラフである。
【図19】表17の値を散布図化したうえ近似曲線を挿入したグラフである。
【図20】表19の値を散布図化したうえ近似曲線を挿入したグラフである。
【図21】表21の値を散布図化したうえ近似曲線を挿入したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明にかかるエアフィルタ用濾材の一実施の形態を示す断面図解図である。エアフィルタ用濾材10は、ナノ繊維構造体層12を含む。ナノ繊維構造体層12は、ナノ繊維12aが3次元的に交絡されてなるシート状の繊維構造体からなる。ナノ繊維構造体層12は、公知のナノ繊維ウェブ製造方法などの繊維構造体製造方法により作製されるが、ナノ繊維12aの繊維径、ウェブの目付け,ポアサイズの制御が容易なことによりエレクトロスピニング法により作製されるのが好ましい。ナノ繊維12aの繊維径およびナノ繊維構造体層12の目付けは、ナノ繊維構造体層12のポアサイズを決定する要素であり、繊維径が細く、目付けが大きいほど形成されるポアサイズは小さくなり、細かい粉塵を捕集する事が可能となるが、繊維径が略300nmより小さくなるほど被濾過気体が抜け易くなることより、ナノ繊維12aの繊維径は300nm以下に形成する。なお、ナノ繊維構造体層12は、最大の粉塵捕集効率を発現させるために下記数式1の条件を満たすような平均繊維径(nm)と目付け(g/m2)で作製される。
0.0004*D+0.0944≦W≦0.0004*D+0.1944 ・・・(数式1)
ここで、Dはナノ繊維構造体層12の平均繊維径(nm)であり、Wはナノ繊維構造体層12の目付け(g/m2)である。
【0010】
ナノ繊維12aの原料としては、ポリアクリロニトリル,6ナイロン,66ナイロン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリスチレン,ポリエチレンオキサイド,セルロース,ポリエーテルウレタン,導電性高分子,ポリ乳酸,ポリカプロラクタン,フィブロイン,コラーゲンその他のタンパク質等のポリマーを使用することができる。
【0011】
ナノ繊維構造体層12の濾過下流側の面には、下流側多孔質体層14が一体に積層されている。下流層多孔質体層16は、ナノ繊維構造体層12を濾過下流側から支持し、被濾過気体より加えられる風圧等によりナノ繊維構造体層12が破損しないようにするためのものである。下流側多孔質体層14としては、有機繊維または無機繊維からなる不織布、ウェブ、織物、紙、ネット、有孔フィルム等の被濾過気体を通過させることのできるポアまたは流路に有しているものが適用可能であるが、ナノ繊維構造体層12をスムーズに流れてきたエア流を乱さないように圧力損失が低いものでなければならない。また、下流側多孔質体層14の濾過上流側の面に繊維状のケバなどがあると、ナノ繊維構造体層12中のエア流の流れの妨げになるばかりか、ケバ状の繊維が激しく振動し、ナノ繊維構造体層12中のナノ繊維12aの配列を乱したり、損傷する可能性が生じ、その結果、エアフィルタ用濾材10の捕集効率の低下を招く可能性がある。このことより、下流側多孔質体層14にはエア流速1m/sにおいて圧力損失が100pa以下となる多孔質体であることが好ましい。また、ケバにより生ずる問題に対処するため、連続繊維により構成され表面にケバがなく平滑なスパンボンド不織布を使用することが望ましい。しかしながら、下流側多孔質体層14に適用可能な多孔質体は、スパンボンド不織布に限られるのではなく、ナノ繊維構造体層12と接触する面のケバ焼き処理や熱ロール加工,樹脂コーティング加工によって表面にケバが存在せず、表面が平滑な状態にすることにより、上述の材料からなる中性能フィルタ,HEPAフィルタ,ULPAフィルタ等の汎用エアフィルタ用濾材が使用可能である。さらには、下流側多孔質体層14には、上述した条件を具備したものであれば、多孔質体とネット材などのような強度保持材とが複合された複合体が使用されてもよい。
【0012】
図2は、本発明にかかる別の実施の形態を示す断面図解図である。この実施の形態のエアフィルタ用濾材20は、図1に示す実施の形態とはナノ繊維構造体層の構造が異なる。ナノ繊維構造体層22は、濾過上流側よりナノ繊維構造体層22a,ナノ繊維構造体層22b,ナノ繊維構造体層22cの順に構成された複数の層から形成されている。ナノ繊維構造体層22a,22b,22cは、全て繊維径が300nm以下のナノ繊維により形成されているが、濾過下流側の層にいくにしたがって、層を構成するナノ繊維23の繊維径が小さくなっているが、ナノ繊維構造体層22は、最大の粉塵捕集効率を発現させるために、図1で示した実施の形態と同様に、ナノ繊維構造体層22a,22b,22cの平均繊維径が、式1の条件を満たすような平均繊維径と目付けで作製されている。これによりこの実施の形態では、図1に示す実施の形態が奏する効果に加え、ナノ繊維構造体層22内でふるい効果と衝突効果が発生することにより、さらに効率的に濾過粉塵を捕集することが可能であり、また製品の高寿命化が可能となる。なお、本実施の形態においては、ナノ繊維構造体層22を3層構造としたが、これに限らず、所望の粉塵捕集効率、製品寿命が得られるように適宜な数に層は増減されてもよい。またさらに、明確に層状に形成されることなくナノ繊維構造体層22の繊維径を徐々に変化させてもよい。
【0013】
図3は、本発明にかかるさらに別の実施形態を示す図解図である。本実施の形態は、図1または図2に示すエアフィルタ用濾材10,20と汎用エアフィルタ用濾材32とを一体に配置・組合せることにより構成したエアフィルタ用濾材30である。なお、本発明で示す汎用エアフィルタ用濾材32とは、従来よりあるプレフィルタ,中性能フィルタ,HEPAフィルタ,ULPAフィルタ等のような気体濾過に使用されるエアフィルタ用濾材のことを指す。
【0014】
エアフィルタ用濾材30では、エアフィルタ用濾材10またはエアフィルタ用濾材20の濾過上流側の面に、汎用エアフィルタ用濾材32が一体に配置されている。この実施の形態では、汎用フィルタ濾材32はナノ繊維構造体層の前処理濾材として作用し、長時間のフィルトレーションに於いてナノ繊維構造体層10,20の急激な目詰まりを防止する役目を果たす。さらに上述の構成とすることで、汎用エアフィルタ用濾材32がその濾過下流側において発生するカルマン渦,乱流渦を、エアフィルタ用濾材10またはエアフィルタ用濾材20が整流し消滅させる。これにより、汎用エアフィルタ濾材32を単独で使用したときと比較して、カルマン渦等が原因により生ずる粉塵の再飛散が起こりにくくなり、汎用エアフィルタ濾材32が処理可能な風速が約10倍前後向上させることも可能である。なお、汎用エアフィルタ濾材32は、エアフィルタ用濾材10,20の濾過上流側の面に一体に積層または密着させて配置することが最も好ましい。しかし、汎用エアフィルタ濾材32が影響をうけるカルマン渦や乱流が生じている範囲内にエアフィルタ用濾材10,20を配置すれば、汎用エアフィルタ濾材32へカルマン渦等の影響が小さくすることができるので、汎用エアフィルタ濾材32が影響を受けるカルマン渦、乱流等が発生する範囲内に、エアフィルタ用濾材10,20が配置されればよい。また、この実施の形態においては、汎用エアフィルタ濾材32と、エアフィルタ用濾材10,20とを平らなシート状のまま使用したが、汎用エアフィルタ濾材32とエアフィルタ用濾材10,20とが双方とも又はいずれか一方がプリーツ加工などを施してユニット化されてもよい。
【実施例】
【0015】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。請求項に記載した範囲内で適宜変更することにより、所望のエアフィルタ用濾材が作製されればよい。
【0016】
[ナノ繊維構造体層の作製]
エレクトロスピニングによるナノ繊維構造体層12の材料として、ポリアクリロニトリル繊維(帝人テクノプロダクツ株式会社製)を使用した。このポリアクリロニトリル繊維をN,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社製、濃度99.5%、)で常温溶解して7.5重量%濃度,10重量%濃度,12.5重量%濃度のポリアクリロニトリル溶液をそれぞれ100g作製した。7.5重量%濃度が平均繊維径100nm用、10重量%濃度が200nm用、12.5重量%濃度が300nm用である。
【0017】
このポリアクリロニトリル溶液をルアーロック先注射筒(容量1ml、硬質ガラス)に入れエレクトロスピニング装置(株式会社フューエンス製Esprayer ES−2000)に装着し、コレクタ電極上の載置した下流側多孔質体層14となる25cm四方のスパンボンド上にエレクトロスピニングすることによりナノ繊維構造体層12を作製した。なお、下流側多孔質体層14には、エア流1m/sの時の圧力損失が43paであるポリエステル製スパンボンド(目付け30g/m2、厚み0.17mm、縦引張強力15kg/5cm巾 ユニチカ株式会社製20307BKD)を使用した。また、このときのエレクトロスピニングの条件は、スプレーノズルとして内径φ0.21mmのMN−27G−13(岩下エンジニアリング株式会社製)を使用して、溶液送液速度1〜2μl/min、ノズルコレクタ電極間電圧8〜10kV、ノズルコレクタ電極間距離15cmとした。上述の条件によりポリエステル製スパンボンド上に、平均繊維径100nmと200nmと300nmについて目付けがそれぞれ0.1g/m2と0.2g/g/m2と0.3g/m2と0.4g/m2の計12種を作成した。ナノ繊維構造体の材料のポリアクリロニトリル繊維とエレクトロスピニングによって作製したナノ繊維構造体の吸湿率を測定した。それぞれの試料2gを熱風乾燥機で100°C、30min乾燥し、重量を測定後、簡易恒湿槽で相対湿度70%、1時間吸湿後重量を測定して吸湿率とした。材料のポリアクリロニトリル繊維は1.1%で、ナノ繊維構造体は2.4%で市販のナイロン繊維・アクリル繊維と略同等の弱吸湿性を示した。
[ナノ繊維構造体層の特性]
作成したナノ繊維構造体層12の繊維径・孔径に関する特性を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
実測平均繊維径・実測平均ポアサイズは、走査電子顕微鏡の画像を取り、画像分析ソフトscion−imageによって計測した。12種のナノ繊維構造体層12の走査電子顕微鏡画像(1万倍)を図4の(a)から(l)に示す。図4の走査電子顕微鏡画像が示すように、1つの孔は約5本前後のナノ繊維で構成されており、従って上記の画像層は平均繊維径100nmの試料では約0.5μm前後である。つまり繊維径100nm目付け0.2g/m2のナノ繊維構造体層(b)においては、膜厚が2.0μm(膜厚は、株式会社フィッシャーインストルメンツ製小型膜厚計デルタスコープMP30で計測)なので、画像層が約4層重なっている事になる。同様に考えると目付け0.1g/m2は3から4層、目付け0.4g/m2では6から7層である。従ってエア流上流から見た見掛けの平均孔径は表1の平均孔径より小さい事が予想できる。
【0020】
[粉塵捕集効率の測定]
上記のポリエステルスパンボンド基材上のナノ繊維構造体層12に、ガラス繊維30%とポリエステル繊維70%で構成されたHEPAフィルタ(厚み0.5mm,目付け88g/m2)のエア下流面を重ねてHEPAフィルター・ナノ繊維構造体層12一体濾材とし、HEPAを上流側としてフィルタ濾材試験装置(S030951株式会社日本カノマックス製)にかけ、パーティクルカウンタとしてリオン株式会社製KC−01Bで測定した。粉塵としては一般大気粉塵(吸引空気量0.01CF当たり粒径が0.3〜0.5μmの粉塵数約3000から5000個)に蚊取り線香(金鳥の渦巻(登録商標)大日本除虫菊株式会社製)の煙(吸引空気量0.01CTF当たり粒径が0.3〜0.5μmの粉塵数5000〜10000個)を混入した混合粉塵を使用し、濾材通過風速を0.05m/s,0.1m/s,0.2m/s,0.3m/s,0.4m/s,0.5m/sでの粉塵粒径が0.3μmから0.5μmの粉塵捕集効率を測定した。前記試料用のHEPAフィルタのみの測定試験結果を表2に示し、そのグラフを図5に示す。風速を0.05m/sから0.5m/sまで順次上げていき、各風速での粉塵捕集効率を3回測定して平均を取り、それを3回繰り返して全体平均粉塵捕集効率を出した。
【0021】
【表2】
【0022】
グラフ凡例の1n,2n,3nは表2の1回目,2回目,3回を示す。次にHEPAフィルタと繊維直径が100nmで目付けが0.1,0.2,0.3,0.4g/m2の上記試料を重ねたものの効率を同様に測定し、その結果を表3乃至6に示し、そのグラフを図6乃至9に示す。
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
【表6】
【0027】
平均繊維径100nmでは、目付け0.2g/m2が最も良い効率を示し、HEPA以上の捕集効率を示した。同様にして、平均繊維径200nmについて表7乃至10に示し、そのグラフを図10乃至13に示す。
【0028】
【表7】
【0029】
【表8】
【0030】
【表9】
【0031】
【表10】
【0032】
平均繊維径200nmについては、目付け0.2g/m2が最も良い効率を示した。同様に、平均繊維径300nmについて表11乃至14に示し、そのグラフを図面14乃至17に示す。
【0033】
【表11】
【0034】
【表12】
【0035】
【表13】
【0036】
【表14】
【0037】
平均繊維径300nmについては目付け0.2から0.3g/m2で良い効率を示す。前記の全ての表・グラフより、目付け0.2g/m2近傍に於ける粉塵捕集効率が良い事がわかる。次に、前記の表3から6より、平均繊維径100nmにおける風速(0.05から0.5m/s)と目付け(0.1から0.4g/m2)の粉塵捕集効率の関係表を作成し、表15に示す。
【0038】
【表15】
【0039】
上記の表を散布図グラフ化し,近似曲線を挿入すると図18に示すグラフとなり、それぞれの風速で最も良い極大効率を示す目付けが存在することがわかる。グラフの各風速別の近似曲線2次式をもとめ、その最大効率となる目付けと最大効率の値を表16に示す。
【0040】
【表16】
【0041】
上記の表16における各風速の最大効率を示す目付けの平均は0.170g/m2となった。同様に平均繊維径200nmの風速別と目付け別の粉塵捕集効率を表17、その近似曲線を描いたグラフを図19、その近似曲線式より求まる最大効率目付け・最大効率を表18に示す。
【0042】
【表17】
【0043】
【表18】
【0044】
表18に於ける最大効率を示す目付けの平均は0.237g/m2となった。同様に平均繊維径300nmの風速別と目付け別の粉塵捕集効率を表19、その近似曲線を描いたグラフを図20、その近似曲線式より求まる最大効率目付け・最大効率を表20に示す。
【0045】
【表19】
【0046】
【表20】
【0047】
表20に於ける最大効率を示す目付けの平均は0.244g/m2となった。上記の結果をまとめて、平均繊維径と最大効率を示す目付けの平均を表21に示す。
【0048】
【表21】
【0049】
表21に於ける実測平均繊維径は、表1に於ける目標繊維径4種の試料についてscion−image計測値の平均値を示す。表21の実測平均繊維径と最大効率の目付けの散布図を作成し、近似直線を求めて描いたグラフを図21に示す。この時、実測平均繊維径D(nm)と最大効率の目付けW(g/m2)の関係式は、
(式1) W=0.0004*D+0.1444 決定係数 0.8069
となる。HEPAフィルタと平均繊維径100nmで目付け0.2g/m2のナノフィバー層を重ねた試料は明らかにHEPAフィルタ以上の粉塵捕集効率を発揮して、かつHEPAフィルタと略同等の圧力損失を示すフィルタとなる。ナノ繊維構造体層には平均繊維径に対して、粉塵捕集効率を示す最適な目付けが存在する事がわかる。これは、ナノ繊維構造体層に乱流が発生することなく、かつ、ポアサイズを出来るだけ小さくする事によって粉塵捕集効率を最大にする条件を満たすものである。本実施例においては、HEPAフィルタとナノ繊維構造体層との組み合わせであるが、HEPAフィル以外に、中性能フィルタ・プレフィメルタ・エレクトレットフィルタ等の既存フィメルタとの組み合わせにおいても本発明を適用できる。また、本実施例は、エレクトロスピニング用ポリマーとしてポリアクリロナトリルを使用しているが、ナイロン・ポリエステル・ポリプロピレン・セルロース等の合成繊維用ポリマー、あるいはガラス繊維・炭素繊維・セラミック繊維等の無機材料においても本発明を適用できる。式1に於ける繊維径に最適な目付けは、エレクトロスピニングの目付け設定精度を考慮すると±0.05g/m2の範囲が適当である。さらに、平均繊維直径の異なる層を複数層重ねたナノ繊維構造体層においても、全体目付けが1式に出来るだけ適合することが望ましい。なお本実施例で使用したベース基材スパンボンドは、平均繊維径8から10μm,目付け30g/m2,厚み0.17mm,平均ポアサイズ1から4mm,圧力損失が風速1m/sで43paと極めてエアの抜けやすいもので、ナノ繊維構造体層の強度的補強をするが、フィルタ性能に対する影響は無視できる。
【0050】
図21に示すグラフの結果は、既存のフィルタ(HEPA中性能フィルタ・プレフィルタ等)とナノ繊維構造体層との組み合わせには、ナノ繊維構造体層には繊維径に対して粉塵捕集効率を最大とする最適な目付けが存在する事を示す。ナノ繊維構造体層の粉塵捕集効率を上げる為には、繊維直径の細い乱流発生の少ないナノ繊維構造体層では目付を低くし,繊維直径が太くなるに従って乱流発生が多くなるので、ポアサイズを下げる目的でナノ繊維構造体層の目付を高くしたほうが良いことを示している。この結果を適用することで、既存フィルタの発生する乱流を減少させ、かつ抜けてきた粉塵を捕集して効率をあげることが出来る。また上記の式1の結果を適用すると、性能評価あるいは計測困難な100nm以下の繊維径のナノ繊維構造体層ついても最適目付を提供できる。従って、従来困難であった大きさが直径50nm程度のウイルス等を濾過するフィルタを提供も可能となる。本発明は、空調用濾材・集塵機用濾材・気体処理用濾材等の工業用濾材、マスク用濾材・手術着用基材、防護服用基材等に優れたナノ繊維構造体層気体濾材を提供できる。
【符号の説明】
【0051】
10,20,30 エアフィルタ用濾材
12,22 ナノ繊維構造体層
14 下流側多孔質体層
32 汎用エアフィルタ用濾材
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルタ用濾材に関し、特に例えば、圧力損失が極めて低く、且つ微細な粉塵を高効率で捕集できるエレクトロスピニング法により作製されたナノ繊維構造体層で構成されたエアフィルタ用濾材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナノ繊維構造体層を有するエアフィルタでは、特許文献1や特願2006−129685で開示されているように、エアの流れが特殊な現象を示す。数ミクロン以上の繊維径を有する繊維で構成されたエアフィルタではフィルタ内部及び下流で激しい乱流が発生するが、ナノファイバーで構成されたフィルタでは繊維が構成するポアサイズ小さいことはもちろんのことであるが、その内部及び下流では、繊維径が500nm以下になるに従って乱流発生が少なくなってゆく。乱流の発生が小さくなると粉塵及びフィルタを構成する繊維の振動がなくなり、粉塵の再飛散が少なくなることによって粉塵捕集効率が高くなる。また乱流発生が少ないことは、ナノ繊維構造体層をエアが流れやすいことを示し、高い粉塵捕集率を有して低圧力損失のエアフィルタを得ることができる。またULPA,HEPA,中性能フィルタなどの汎用フィルタと複合化することによりさらに有用なフィルタを提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−527344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアフィルタの粉塵捕集は、大きな粉塵はポアサイズの大小によるふるい効果によって捕集され、小さな粉塵ほど衝突効果による吸着・凝集・包括等の作用によって捕集されるが、この時、フィルタ内部あるいは背面に乱流がなくフィルタ及び粉塵に振動がないことが効率に大きく影響する。エアフィルタの粉塵捕集効率を高くするにはポアサイズを小さくして、かつエアが抜けやすく乱流発生を小さくすることが重要である。ナノ繊維構造体層では、ある繊維径においては目付けが低くなるに従ってポアサイズが大きくなり、目付けが高くなるに従ってポアサイズが小さくなる。しかし、ポアサイズが大きい方がエアは抜けやすく乱流発生が小さく、ポアサイズが小さい方がエアは抜けにくく乱流発生が大きくなる。したがって、単に繊維径500nm以下のナノ繊維によりナノ繊維構造体層を形成したたけでは、効率の良いエアフィルタ用濾材は得ることはできず、エアフィルタ用濾材が最大の粉塵捕集効率を発現させるには最適な繊維径と目付けの関係を有する状態に形成しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで発明者は、JIS規定のフィルタ性能試験装置を用い、風速を変化させその時の0.3から0.5μmの大きさの粉塵捕集効率を数多く計測し、分析・検討を重ねた結果、ナノ繊維構造体層が最大捕集効率を発揮する為の最適な繊維径と目付けの関係を見出した。
【0006】
請求項1に記載の発明は、繊維の直径が300nm以下のナノ繊維が三次元的に交絡されてなるナノ繊維構造体層を有するエアフィルタ用濾材であって、ナノ繊維構造体層は、下記数式1の条件を満たし、ナノ繊維構造体層の濾過下流側の面に、表面平滑で風速1m/sでの圧力損失が100pa以下の下流側多孔質体層が一体に積層されている、エアフィルタ用濾材である。
0.0004*D+0.0944≦W≦0.0004*D+0.1944 ・・・(数式1)
ここで、Dはナノ繊維構造体層の平均繊維径(nm)であり、Wはナノ繊維構造体層の目付け(g/m2)である。
請求項2に記載の発明は、ナノ繊維構造体層が、平均繊維径の異なる複数の層で構成され、複数の層で構成されたナノ繊維構造体層の平均繊維径の平均が請求項1の式を満たす、請求項1に記載のエアフィルタ用濾材である。
請求項3に記載の発明は、汎用フィルタと複合化された、請求項1また請求項2に記載のエアフィルタ用濾材である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、既存のフィルタで発生する乱流を減少させ、かつ抜けてきた粉塵を捕集して効率をあげることが出来る。また、性能評価あるいは計測困難な100nm以下の繊維径のナノ繊維構造体層ついても最適目付を提供することができる。従って、従来困難であった大きさが直径50nm程度のウイルス等を濾過するフィルタを提供も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明にかかるエアフィルタ用濾材の一実施の形態を示す断面図解図である。
【図2】本発明にかかる別の実施の形態を示す断面図解図である。
【図3】本発明にかかるさらに別の実施形態を示す図解図である。
【図4】12種のナノ繊維構造体層の走査電子顕微鏡画像(1万倍)である。
【図5】HEPAフィルタの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図6】HEPAフィルタと繊維直径が100nmで目付けが0.1g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図7】HEPAフィルタと繊維直径が100nmで目付けが0.2g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図8】HEPAフィルタと繊維直径が100nmで目付けが0.3g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図9】HEPAフィルタと繊維直径が100nmで目付けが0.4g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図10】HEPAフィルタと繊維直径が200nmで目付けが0.1g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図11】HEPAフィルタと繊維直径が200nmで目付けが0.2g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図12】HEPAフィルタと繊維直径が200nmで目付けが0.3g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図13】HEPAフィルタと繊維直径が200nmで目付けが0.4g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図14】HEPAフィルタと繊維直径が300nmで目付けが0.1g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図15】HEPAフィルタと繊維直径が300nmで目付けが0.2g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図16】HEPAフィルタと繊維直径が300nmで目付けが0.3g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図17】HEPAフィルタと繊維直径が300nmで目付けが0.4g/m2の試料を重ねたものの粉塵捕集効率の測定試験結果を示すグラフである。
【図18】表15の値を散布図化したうえ近似曲線を挿入したグラフである。
【図19】表17の値を散布図化したうえ近似曲線を挿入したグラフである。
【図20】表19の値を散布図化したうえ近似曲線を挿入したグラフである。
【図21】表21の値を散布図化したうえ近似曲線を挿入したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明にかかるエアフィルタ用濾材の一実施の形態を示す断面図解図である。エアフィルタ用濾材10は、ナノ繊維構造体層12を含む。ナノ繊維構造体層12は、ナノ繊維12aが3次元的に交絡されてなるシート状の繊維構造体からなる。ナノ繊維構造体層12は、公知のナノ繊維ウェブ製造方法などの繊維構造体製造方法により作製されるが、ナノ繊維12aの繊維径、ウェブの目付け,ポアサイズの制御が容易なことによりエレクトロスピニング法により作製されるのが好ましい。ナノ繊維12aの繊維径およびナノ繊維構造体層12の目付けは、ナノ繊維構造体層12のポアサイズを決定する要素であり、繊維径が細く、目付けが大きいほど形成されるポアサイズは小さくなり、細かい粉塵を捕集する事が可能となるが、繊維径が略300nmより小さくなるほど被濾過気体が抜け易くなることより、ナノ繊維12aの繊維径は300nm以下に形成する。なお、ナノ繊維構造体層12は、最大の粉塵捕集効率を発現させるために下記数式1の条件を満たすような平均繊維径(nm)と目付け(g/m2)で作製される。
0.0004*D+0.0944≦W≦0.0004*D+0.1944 ・・・(数式1)
ここで、Dはナノ繊維構造体層12の平均繊維径(nm)であり、Wはナノ繊維構造体層12の目付け(g/m2)である。
【0010】
ナノ繊維12aの原料としては、ポリアクリロニトリル,6ナイロン,66ナイロン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリスチレン,ポリエチレンオキサイド,セルロース,ポリエーテルウレタン,導電性高分子,ポリ乳酸,ポリカプロラクタン,フィブロイン,コラーゲンその他のタンパク質等のポリマーを使用することができる。
【0011】
ナノ繊維構造体層12の濾過下流側の面には、下流側多孔質体層14が一体に積層されている。下流層多孔質体層16は、ナノ繊維構造体層12を濾過下流側から支持し、被濾過気体より加えられる風圧等によりナノ繊維構造体層12が破損しないようにするためのものである。下流側多孔質体層14としては、有機繊維または無機繊維からなる不織布、ウェブ、織物、紙、ネット、有孔フィルム等の被濾過気体を通過させることのできるポアまたは流路に有しているものが適用可能であるが、ナノ繊維構造体層12をスムーズに流れてきたエア流を乱さないように圧力損失が低いものでなければならない。また、下流側多孔質体層14の濾過上流側の面に繊維状のケバなどがあると、ナノ繊維構造体層12中のエア流の流れの妨げになるばかりか、ケバ状の繊維が激しく振動し、ナノ繊維構造体層12中のナノ繊維12aの配列を乱したり、損傷する可能性が生じ、その結果、エアフィルタ用濾材10の捕集効率の低下を招く可能性がある。このことより、下流側多孔質体層14にはエア流速1m/sにおいて圧力損失が100pa以下となる多孔質体であることが好ましい。また、ケバにより生ずる問題に対処するため、連続繊維により構成され表面にケバがなく平滑なスパンボンド不織布を使用することが望ましい。しかしながら、下流側多孔質体層14に適用可能な多孔質体は、スパンボンド不織布に限られるのではなく、ナノ繊維構造体層12と接触する面のケバ焼き処理や熱ロール加工,樹脂コーティング加工によって表面にケバが存在せず、表面が平滑な状態にすることにより、上述の材料からなる中性能フィルタ,HEPAフィルタ,ULPAフィルタ等の汎用エアフィルタ用濾材が使用可能である。さらには、下流側多孔質体層14には、上述した条件を具備したものであれば、多孔質体とネット材などのような強度保持材とが複合された複合体が使用されてもよい。
【0012】
図2は、本発明にかかる別の実施の形態を示す断面図解図である。この実施の形態のエアフィルタ用濾材20は、図1に示す実施の形態とはナノ繊維構造体層の構造が異なる。ナノ繊維構造体層22は、濾過上流側よりナノ繊維構造体層22a,ナノ繊維構造体層22b,ナノ繊維構造体層22cの順に構成された複数の層から形成されている。ナノ繊維構造体層22a,22b,22cは、全て繊維径が300nm以下のナノ繊維により形成されているが、濾過下流側の層にいくにしたがって、層を構成するナノ繊維23の繊維径が小さくなっているが、ナノ繊維構造体層22は、最大の粉塵捕集効率を発現させるために、図1で示した実施の形態と同様に、ナノ繊維構造体層22a,22b,22cの平均繊維径が、式1の条件を満たすような平均繊維径と目付けで作製されている。これによりこの実施の形態では、図1に示す実施の形態が奏する効果に加え、ナノ繊維構造体層22内でふるい効果と衝突効果が発生することにより、さらに効率的に濾過粉塵を捕集することが可能であり、また製品の高寿命化が可能となる。なお、本実施の形態においては、ナノ繊維構造体層22を3層構造としたが、これに限らず、所望の粉塵捕集効率、製品寿命が得られるように適宜な数に層は増減されてもよい。またさらに、明確に層状に形成されることなくナノ繊維構造体層22の繊維径を徐々に変化させてもよい。
【0013】
図3は、本発明にかかるさらに別の実施形態を示す図解図である。本実施の形態は、図1または図2に示すエアフィルタ用濾材10,20と汎用エアフィルタ用濾材32とを一体に配置・組合せることにより構成したエアフィルタ用濾材30である。なお、本発明で示す汎用エアフィルタ用濾材32とは、従来よりあるプレフィルタ,中性能フィルタ,HEPAフィルタ,ULPAフィルタ等のような気体濾過に使用されるエアフィルタ用濾材のことを指す。
【0014】
エアフィルタ用濾材30では、エアフィルタ用濾材10またはエアフィルタ用濾材20の濾過上流側の面に、汎用エアフィルタ用濾材32が一体に配置されている。この実施の形態では、汎用フィルタ濾材32はナノ繊維構造体層の前処理濾材として作用し、長時間のフィルトレーションに於いてナノ繊維構造体層10,20の急激な目詰まりを防止する役目を果たす。さらに上述の構成とすることで、汎用エアフィルタ用濾材32がその濾過下流側において発生するカルマン渦,乱流渦を、エアフィルタ用濾材10またはエアフィルタ用濾材20が整流し消滅させる。これにより、汎用エアフィルタ濾材32を単独で使用したときと比較して、カルマン渦等が原因により生ずる粉塵の再飛散が起こりにくくなり、汎用エアフィルタ濾材32が処理可能な風速が約10倍前後向上させることも可能である。なお、汎用エアフィルタ濾材32は、エアフィルタ用濾材10,20の濾過上流側の面に一体に積層または密着させて配置することが最も好ましい。しかし、汎用エアフィルタ濾材32が影響をうけるカルマン渦や乱流が生じている範囲内にエアフィルタ用濾材10,20を配置すれば、汎用エアフィルタ濾材32へカルマン渦等の影響が小さくすることができるので、汎用エアフィルタ濾材32が影響を受けるカルマン渦、乱流等が発生する範囲内に、エアフィルタ用濾材10,20が配置されればよい。また、この実施の形態においては、汎用エアフィルタ濾材32と、エアフィルタ用濾材10,20とを平らなシート状のまま使用したが、汎用エアフィルタ濾材32とエアフィルタ用濾材10,20とが双方とも又はいずれか一方がプリーツ加工などを施してユニット化されてもよい。
【実施例】
【0015】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。請求項に記載した範囲内で適宜変更することにより、所望のエアフィルタ用濾材が作製されればよい。
【0016】
[ナノ繊維構造体層の作製]
エレクトロスピニングによるナノ繊維構造体層12の材料として、ポリアクリロニトリル繊維(帝人テクノプロダクツ株式会社製)を使用した。このポリアクリロニトリル繊維をN,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社製、濃度99.5%、)で常温溶解して7.5重量%濃度,10重量%濃度,12.5重量%濃度のポリアクリロニトリル溶液をそれぞれ100g作製した。7.5重量%濃度が平均繊維径100nm用、10重量%濃度が200nm用、12.5重量%濃度が300nm用である。
【0017】
このポリアクリロニトリル溶液をルアーロック先注射筒(容量1ml、硬質ガラス)に入れエレクトロスピニング装置(株式会社フューエンス製Esprayer ES−2000)に装着し、コレクタ電極上の載置した下流側多孔質体層14となる25cm四方のスパンボンド上にエレクトロスピニングすることによりナノ繊維構造体層12を作製した。なお、下流側多孔質体層14には、エア流1m/sの時の圧力損失が43paであるポリエステル製スパンボンド(目付け30g/m2、厚み0.17mm、縦引張強力15kg/5cm巾 ユニチカ株式会社製20307BKD)を使用した。また、このときのエレクトロスピニングの条件は、スプレーノズルとして内径φ0.21mmのMN−27G−13(岩下エンジニアリング株式会社製)を使用して、溶液送液速度1〜2μl/min、ノズルコレクタ電極間電圧8〜10kV、ノズルコレクタ電極間距離15cmとした。上述の条件によりポリエステル製スパンボンド上に、平均繊維径100nmと200nmと300nmについて目付けがそれぞれ0.1g/m2と0.2g/g/m2と0.3g/m2と0.4g/m2の計12種を作成した。ナノ繊維構造体の材料のポリアクリロニトリル繊維とエレクトロスピニングによって作製したナノ繊維構造体の吸湿率を測定した。それぞれの試料2gを熱風乾燥機で100°C、30min乾燥し、重量を測定後、簡易恒湿槽で相対湿度70%、1時間吸湿後重量を測定して吸湿率とした。材料のポリアクリロニトリル繊維は1.1%で、ナノ繊維構造体は2.4%で市販のナイロン繊維・アクリル繊維と略同等の弱吸湿性を示した。
[ナノ繊維構造体層の特性]
作成したナノ繊維構造体層12の繊維径・孔径に関する特性を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
実測平均繊維径・実測平均ポアサイズは、走査電子顕微鏡の画像を取り、画像分析ソフトscion−imageによって計測した。12種のナノ繊維構造体層12の走査電子顕微鏡画像(1万倍)を図4の(a)から(l)に示す。図4の走査電子顕微鏡画像が示すように、1つの孔は約5本前後のナノ繊維で構成されており、従って上記の画像層は平均繊維径100nmの試料では約0.5μm前後である。つまり繊維径100nm目付け0.2g/m2のナノ繊維構造体層(b)においては、膜厚が2.0μm(膜厚は、株式会社フィッシャーインストルメンツ製小型膜厚計デルタスコープMP30で計測)なので、画像層が約4層重なっている事になる。同様に考えると目付け0.1g/m2は3から4層、目付け0.4g/m2では6から7層である。従ってエア流上流から見た見掛けの平均孔径は表1の平均孔径より小さい事が予想できる。
【0020】
[粉塵捕集効率の測定]
上記のポリエステルスパンボンド基材上のナノ繊維構造体層12に、ガラス繊維30%とポリエステル繊維70%で構成されたHEPAフィルタ(厚み0.5mm,目付け88g/m2)のエア下流面を重ねてHEPAフィルター・ナノ繊維構造体層12一体濾材とし、HEPAを上流側としてフィルタ濾材試験装置(S030951株式会社日本カノマックス製)にかけ、パーティクルカウンタとしてリオン株式会社製KC−01Bで測定した。粉塵としては一般大気粉塵(吸引空気量0.01CF当たり粒径が0.3〜0.5μmの粉塵数約3000から5000個)に蚊取り線香(金鳥の渦巻(登録商標)大日本除虫菊株式会社製)の煙(吸引空気量0.01CTF当たり粒径が0.3〜0.5μmの粉塵数5000〜10000個)を混入した混合粉塵を使用し、濾材通過風速を0.05m/s,0.1m/s,0.2m/s,0.3m/s,0.4m/s,0.5m/sでの粉塵粒径が0.3μmから0.5μmの粉塵捕集効率を測定した。前記試料用のHEPAフィルタのみの測定試験結果を表2に示し、そのグラフを図5に示す。風速を0.05m/sから0.5m/sまで順次上げていき、各風速での粉塵捕集効率を3回測定して平均を取り、それを3回繰り返して全体平均粉塵捕集効率を出した。
【0021】
【表2】
【0022】
グラフ凡例の1n,2n,3nは表2の1回目,2回目,3回を示す。次にHEPAフィルタと繊維直径が100nmで目付けが0.1,0.2,0.3,0.4g/m2の上記試料を重ねたものの効率を同様に測定し、その結果を表3乃至6に示し、そのグラフを図6乃至9に示す。
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
【表6】
【0027】
平均繊維径100nmでは、目付け0.2g/m2が最も良い効率を示し、HEPA以上の捕集効率を示した。同様にして、平均繊維径200nmについて表7乃至10に示し、そのグラフを図10乃至13に示す。
【0028】
【表7】
【0029】
【表8】
【0030】
【表9】
【0031】
【表10】
【0032】
平均繊維径200nmについては、目付け0.2g/m2が最も良い効率を示した。同様に、平均繊維径300nmについて表11乃至14に示し、そのグラフを図面14乃至17に示す。
【0033】
【表11】
【0034】
【表12】
【0035】
【表13】
【0036】
【表14】
【0037】
平均繊維径300nmについては目付け0.2から0.3g/m2で良い効率を示す。前記の全ての表・グラフより、目付け0.2g/m2近傍に於ける粉塵捕集効率が良い事がわかる。次に、前記の表3から6より、平均繊維径100nmにおける風速(0.05から0.5m/s)と目付け(0.1から0.4g/m2)の粉塵捕集効率の関係表を作成し、表15に示す。
【0038】
【表15】
【0039】
上記の表を散布図グラフ化し,近似曲線を挿入すると図18に示すグラフとなり、それぞれの風速で最も良い極大効率を示す目付けが存在することがわかる。グラフの各風速別の近似曲線2次式をもとめ、その最大効率となる目付けと最大効率の値を表16に示す。
【0040】
【表16】
【0041】
上記の表16における各風速の最大効率を示す目付けの平均は0.170g/m2となった。同様に平均繊維径200nmの風速別と目付け別の粉塵捕集効率を表17、その近似曲線を描いたグラフを図19、その近似曲線式より求まる最大効率目付け・最大効率を表18に示す。
【0042】
【表17】
【0043】
【表18】
【0044】
表18に於ける最大効率を示す目付けの平均は0.237g/m2となった。同様に平均繊維径300nmの風速別と目付け別の粉塵捕集効率を表19、その近似曲線を描いたグラフを図20、その近似曲線式より求まる最大効率目付け・最大効率を表20に示す。
【0045】
【表19】
【0046】
【表20】
【0047】
表20に於ける最大効率を示す目付けの平均は0.244g/m2となった。上記の結果をまとめて、平均繊維径と最大効率を示す目付けの平均を表21に示す。
【0048】
【表21】
【0049】
表21に於ける実測平均繊維径は、表1に於ける目標繊維径4種の試料についてscion−image計測値の平均値を示す。表21の実測平均繊維径と最大効率の目付けの散布図を作成し、近似直線を求めて描いたグラフを図21に示す。この時、実測平均繊維径D(nm)と最大効率の目付けW(g/m2)の関係式は、
(式1) W=0.0004*D+0.1444 決定係数 0.8069
となる。HEPAフィルタと平均繊維径100nmで目付け0.2g/m2のナノフィバー層を重ねた試料は明らかにHEPAフィルタ以上の粉塵捕集効率を発揮して、かつHEPAフィルタと略同等の圧力損失を示すフィルタとなる。ナノ繊維構造体層には平均繊維径に対して、粉塵捕集効率を示す最適な目付けが存在する事がわかる。これは、ナノ繊維構造体層に乱流が発生することなく、かつ、ポアサイズを出来るだけ小さくする事によって粉塵捕集効率を最大にする条件を満たすものである。本実施例においては、HEPAフィルタとナノ繊維構造体層との組み合わせであるが、HEPAフィル以外に、中性能フィルタ・プレフィメルタ・エレクトレットフィルタ等の既存フィメルタとの組み合わせにおいても本発明を適用できる。また、本実施例は、エレクトロスピニング用ポリマーとしてポリアクリロナトリルを使用しているが、ナイロン・ポリエステル・ポリプロピレン・セルロース等の合成繊維用ポリマー、あるいはガラス繊維・炭素繊維・セラミック繊維等の無機材料においても本発明を適用できる。式1に於ける繊維径に最適な目付けは、エレクトロスピニングの目付け設定精度を考慮すると±0.05g/m2の範囲が適当である。さらに、平均繊維直径の異なる層を複数層重ねたナノ繊維構造体層においても、全体目付けが1式に出来るだけ適合することが望ましい。なお本実施例で使用したベース基材スパンボンドは、平均繊維径8から10μm,目付け30g/m2,厚み0.17mm,平均ポアサイズ1から4mm,圧力損失が風速1m/sで43paと極めてエアの抜けやすいもので、ナノ繊維構造体層の強度的補強をするが、フィルタ性能に対する影響は無視できる。
【0050】
図21に示すグラフの結果は、既存のフィルタ(HEPA中性能フィルタ・プレフィルタ等)とナノ繊維構造体層との組み合わせには、ナノ繊維構造体層には繊維径に対して粉塵捕集効率を最大とする最適な目付けが存在する事を示す。ナノ繊維構造体層の粉塵捕集効率を上げる為には、繊維直径の細い乱流発生の少ないナノ繊維構造体層では目付を低くし,繊維直径が太くなるに従って乱流発生が多くなるので、ポアサイズを下げる目的でナノ繊維構造体層の目付を高くしたほうが良いことを示している。この結果を適用することで、既存フィルタの発生する乱流を減少させ、かつ抜けてきた粉塵を捕集して効率をあげることが出来る。また上記の式1の結果を適用すると、性能評価あるいは計測困難な100nm以下の繊維径のナノ繊維構造体層ついても最適目付を提供できる。従って、従来困難であった大きさが直径50nm程度のウイルス等を濾過するフィルタを提供も可能となる。本発明は、空調用濾材・集塵機用濾材・気体処理用濾材等の工業用濾材、マスク用濾材・手術着用基材、防護服用基材等に優れたナノ繊維構造体層気体濾材を提供できる。
【符号の説明】
【0051】
10,20,30 エアフィルタ用濾材
12,22 ナノ繊維構造体層
14 下流側多孔質体層
32 汎用エアフィルタ用濾材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維の直径が300nm以下のナノ繊維が三次元的に交絡されてなるナノ繊維構造体層を有するエアフィルタ用濾材であって、
前記ナノ繊維構造体層は、下記数式1の条件を満たし、
前記ナノ繊維構造体層の濾過下流側の面に、表面平滑で風速1m/sでの圧力損失が100pa以下の下流側多孔質体層が一体に積層されている、エアフィルタ用濾材。
0.0004*D+0.0944≦W≦0.0004*D+0.1944 ・・・(数式1)
ここで、Dはナノ繊維構造体層の平均繊維径(nm)であり、Wはナノ繊維構造体層の目付け(g/m2)である。
【請求項2】
前記ナノ繊維構造体層は、平均繊維径の異なる複数の層で構成され、前記複数の層で構成されたナノ繊維構造体層の平均繊維径の平均が請求項1の式を満たす、請求項1に記載のエアフィルタ用濾材。
【請求項3】
汎用フィルタと複合化された、請求項1また請求項2に記載のエアフィルタ用濾材。
【請求項1】
繊維の直径が300nm以下のナノ繊維が三次元的に交絡されてなるナノ繊維構造体層を有するエアフィルタ用濾材であって、
前記ナノ繊維構造体層は、下記数式1の条件を満たし、
前記ナノ繊維構造体層の濾過下流側の面に、表面平滑で風速1m/sでの圧力損失が100pa以下の下流側多孔質体層が一体に積層されている、エアフィルタ用濾材。
0.0004*D+0.0944≦W≦0.0004*D+0.1944 ・・・(数式1)
ここで、Dはナノ繊維構造体層の平均繊維径(nm)であり、Wはナノ繊維構造体層の目付け(g/m2)である。
【請求項2】
前記ナノ繊維構造体層は、平均繊維径の異なる複数の層で構成され、前記複数の層で構成されたナノ繊維構造体層の平均繊維径の平均が請求項1の式を満たす、請求項1に記載のエアフィルタ用濾材。
【請求項3】
汎用フィルタと複合化された、請求項1また請求項2に記載のエアフィルタ用濾材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−183538(P2012−183538A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−121373(P2012−121373)
【出願日】平成24年5月28日(2012.5.28)
【分割の表示】特願2007−215272(P2007−215272)の分割
【原出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000163774)金井重要工業株式会社 (12)
【出願人】(302064588)株式会社 フューエンス (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月28日(2012.5.28)
【分割の表示】特願2007−215272(P2007−215272)の分割
【原出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000163774)金井重要工業株式会社 (12)
【出願人】(302064588)株式会社 フューエンス (12)
【Fターム(参考)】
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