エアフィルタ装置及びこれを用いた投写型映像表示装置
【課題】エアフィルタの所要スペースの増大を生じることなく、エアフィルタの掃除の自動化及びエアフィルタのメンテナンス作業の容易化を図ったエアフィルタ装置及び投写型映像表示装置を提供すること。
【解決手段】空気吸入用の開口部31を備えるベース部材30に対し、第1エアフィルタ40と、第1エアフィルタ40から塵埃を除去するための掃除用ブラシ(具体的には回転ブラシ64)と、この掃除用ブラシにより除去された塵埃を貯留するためのダストボックス65と、自走するためのモータとを備えた自走式掃除部60が取り付けられる。そして、第1エアフィルタ40のフィルタ面及びベース部材への固定手段が、フィルタ面と略直角の方向から見て、待機位置に位置する自走式掃除部60と平面的に重ならない位置に配置されている。
【解決手段】空気吸入用の開口部31を備えるベース部材30に対し、第1エアフィルタ40と、第1エアフィルタ40から塵埃を除去するための掃除用ブラシ(具体的には回転ブラシ64)と、この掃除用ブラシにより除去された塵埃を貯留するためのダストボックス65と、自走するためのモータとを備えた自走式掃除部60が取り付けられる。そして、第1エアフィルタ40のフィルタ面及びベース部材への固定手段が、フィルタ面と略直角の方向から見て、待機位置に位置する自走式掃除部60と平面的に重ならない位置に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルタ装置及びこれを用いた投写型映像表示装置に関し、特に、自走式掃除部を備えたエアフィルタ装置におけるエアフィルタの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
投写型映像表示装置は、一般に、光源ランプやライトバルブ等の光学系機器を冷却するために冷却空気が使用されている。また、冷却空気としては機外空気が用いられており、外装ケースの一面には機外空気を機内に取り入れるための空気吸込口が設けられている。しかし、冷却空気として取り入れる空気中に塵埃が含まれていると、液晶パネル等の光学系機器の表面に塵埃が付着し映像の質が低下する。そこで、空気吸込口には、一般に空気中の塵埃を捕捉するためのエアフィルタが設けられ、このエアフィルタにより空気中の塵埃を捕捉するように構成されている。
【0003】
ところで、空気吸込口に取り付けられるエアフィルタは、長時間使用されると目詰まりを起こす。また、エアフィルタが目詰まりを起こした場合は、空気吸込口の通風抵抗が増加して光学系機器への冷却空気量が不足し、光源ランプや、液晶パネル等の光学系機器の冷却能力が低下するという問題が発生する。このため、エアフィルタは、目詰まりしないように頻繁に掃除されなければならない。しかしながら、これを手作業で行うのは煩わしい。特に、投写型映像表示装置の場合はいろいろな姿勢で設置されるため、設置位置及び設置状態によっては煩わしい作業となることもある。そこで、近年、エアフィルタを自動的に掃除するエアフィルタ装置を備えることにより、エアフィルタの交換、掃除などのメンテナンスを軽減するようにしたものが開発されている。
【0004】
その一例として特許文献1に記載されたものがある。これは、投写型映像表示装置の空気吸込口(特許文献1では外気の取り入れ口)に対し、プレフィルタを自動的に掃除することのできるフィルタ−ユニットを外部から取り外し可能に設けることができるようにしたものである。このフィルタ−ユニットは、掃除時に空気吸込み面上で一定方向に移動するように取り付けられているプレフィルタと、プレフィルタを移動させるための駆動メカユニットと、プレフィルタを風上側と風下側とから挟み込むように配置された、塵埃を除去するためのブラシと、小さい塵埃を捕捉するための第2のエアフィルタとから構成されている。なお、このフィルタ−ユニットにおいて、ブラシは、その長手方向がプレフィルタの移動方向と直交するように、プレフィルタの移動領域の中央部にプレフィルタを両面から挟み込むように取り付けられている。
【0005】
また、エアフィルタに捕捉された塵埃を自動的に除去するようにしたエアフィルタ装置は、空気調和機用としても開発されている。その理由は、空気調和機におけるエアフィルタも長時間の使用により目詰まりが生ずるからであり、エアフィルタが目詰まりを起こすと、空気吸込口の通風抵抗が増加し、吸い込み空気量の低下により正常な空調能力を発揮することができなくなるという問題が生ずるからである。このため、空気調和機のエアフィルタも、目詰まりしないように頻繁に掃除されなければならない。しかし、空気調和機におけるエアフィルタの掃除も手作業で行うのは煩わしいため、前記投写型映像表示装置の場合と同様にエアフィルタの掃除が自動化されている。特許文献2はその一例である。
【0006】
特許文献2の空気調和機は、エアフィルタに付着した塵埃を除去する回転ブラシ(回転清掃体)と、回転ブラシにより除去された塵埃を貯留するダストボックスと、モータ等を備えた塵埃除去手段を備えている。そして、この塵埃除去手段が、エアフィルタの風上側表面を上下に移動しながら、エアフィルタの上流側表面に付着した塵埃を回転ブラシにより除去するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−65021号公報
【特許文献2】特開2009−82837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1は、フィルタ−ユニットの中央部に固定されているブラシに対し、プレフィルタの表面を擦り付けながらプレフィルタを移動させるため、プレフィルタの収納スペースが大きくなるという問題があった。また、プレフィルタから除去された塵埃を貯留するダストボックスを有していないので、プレフィルタから除去された塵埃がブラシを介して再飛散する恐れがあった。また、このような構造を有する特許文献1においても、エアフィルタの自動掃除によりエアフィルタを頻繁に掃除したり交換したりする頻度を低減することはできるが、エアフィルタの交換や掃除作業などのメンテナンスを皆無とすることはできない。しかしながら、この特許文献1においては、プレフィルタをメンテナンスするときにブラシが邪魔物にならないようにする配慮が払われていない。
【0009】
一方、特許文献2は、特許文献1のようにエアフィルタを移動させることはせずに、回転ブラシ、ダストボックス、モータ等を備えた塵埃除去手段がエアフィルタの風上側表面部を上下方向に移動するように構成されているため、特許文献1に比べエアフィルタの収納スペースが小さくてすむという利点がある。しかしながら、この特許文献2においては、塵埃除去手段が常にエアフィルタと平面的に見て重なる位置に取り付けられているため、エアフィルタのメンテナンス作業が困難になるおそれがある。また、特許文献2においては、プレフィルタをメンテナンスするときに塵埃除去手段が邪魔になっていた。
【0010】
本発明は、このような従来技術における課題に鑑み成されたものであって、エアフィルタの所要スペースの増大を生じることなく、エアフィルタの掃除の自動化及びエアフィルタのメンテナンス作業の容易化を図ったエアフィルタ装置及びこれを用いた投写型映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るエアフィルタ装置は、上記課題を解決するために、吸入空気中の塵埃を捕捉する第1エアフィルタと、空気吸込用の開口部を備えるとともに、この開口部の風上側においてこの開口部の周囲の枠部に前記第1エアフィルタを取り付けるように形成されたベース部材と、非掃除時には前記ベース部材の前記枠部に位置し、掃除時には第1エアフィルタの風上側表面部を移動するように前記ベース部材に取り付けられる自走式掃除部とを備え、自走式掃除部は、第1エアフィルタから塵埃を除去するための掃除用ブラシと、この掃除用ブラシにより除去された塵埃を貯留するためのダストボックスと、自走するためのモータとを備え、前記第1エアフィルタのフィルタ面及びベース部材への固定手段は、フィルタ面と略直角の方向から見て、待機位置に位置する前記自走式掃除部と平面的に重ならない位置に配置されていることを特徴とする。ここで、待機位置とは、本明細書においては、自走式掃除部が非掃除時に待機する位置のことをいう。また、固定手段とは、エアフィルタをベース部材の枠部に対し取り付けるための手段のことをいう。この手段は、例えば、ねじにより取り付ける場合はこのねじのことをいうが、これに限定されるものではなく弾性爪等の係合手段による固定をも包含する。また、フィルタ面とは、エアフィルタにおける、空気を濾過する濾過材部の表面をいう。
【0012】
このように構成された本発明に係るエアフィルタ装置によれば、自走式掃除部が第1エアフィルタの風上側表面部を移動することにより、第1エアフィルタに付着した塵埃を掃除用ブラシで除去することができる。したがって、第1エアフィルタは従来技術のようにベース部材上を移動する必要がないので、第1エアフィルタの収納スペースが小さくなる。また、第1エアフィルタのベース部材への固定手段は、フィルタ面と略直角の方向から見て、待機位置に位置する自走式掃除部と平面的に重ならない位置に配置されているので、第1エアフィルタの交換、掃除のための取り外しなどのメンテナンス作業を自走式掃除部に干渉されずに行うことができる。また、第1エアフィルタのフィルタ面は、フィルタ面と略直角の方向から見て、待機位置に位置する自走式掃除部と平面的に重ならない位置に配置されているので、第1エアフィルタの有効面積が最大に活用される。
【0013】
また、前記エアフィルタ装置は、前記第1エアフィルタ、前記ベース部材、前記掃除用ブラシ、前記ダストボックス、及び前記モータを含むようにユニット化されるとともに、応用製品に対しユニットとして着脱自在に取り付け可能に構成されていることが好ましい。このように構成されていると、応用製品からこのエアフィルタ装置を取り外した状態とすることにより、第1エアフィルタのメンテナンス作業を容易に行うことができる。また、エアフィルタ装置は、応用製品とは別管理により製作することができるので製造管理が容易となり、製造コストが低減される。
【0014】
前記第1エアフィルタは、前記ベース部材の前記枠部に対し、フィルタ面と略直角の方向から着脱できるように固定されていることが好ましい。このように構成されていると、狭いスペースで第1エアフィルタを交換することができる。また、ねじ止め等の簡易な固定部材により第1エアフィルタをベース部材に対し取り付けることができる。
【0015】
このように構成されたエアフィルタ装置において、前記ベース部材の風下側表面部には前記第1エアフィルタより微細な塵埃を捕捉することのできる第2エアフィルタが取り付けられ、さらに、前記第1エアフィルタ及び第2エアフィルタそれぞれが、ベース部材の前記枠部に対しフィルタ面と略直角の方向から着脱できるように取り付けられていることが好ましい。このように構成すると、第1エアフィルタ及び第2エアフィルタとも狭いスペースで取り外し、交換等のメンテナンス作業を行うことができる。
【0016】
また、このように構成されたエアフィルタ装置において、前記ベース部材は、風下側表面部に前記第2エアフィルタの周辺部を当接させるとともに、第2エアフィルタの周辺部を少なくとも部分的に挟み込むことができるように、コ字形枠部が少なくとも部分的に形成され、前記第2エアフィルタの周辺部がこのコ字形枠部に対し弾力的に挿入されて支持されていることが好ましい。このように構成すると、第2エアフィルタの周辺部をコ字形枠部に押し込むことにより第2エアフィルタを取り付けることができるので、第2エアフィルタの取付構造が簡略化される。
【0017】
また、前記自走式掃除部は、前記モータに連結されたピニオンが前記ベース部材に取り付けられたラック上を回転することにより、前記第1エアフィルタの風上側表面部を移動するように構成されていることが好ましい。このように構成すると、駆動機構を含めてユニット化されるので、応用製品とは別に生産管理することが容易になる。また、応用製品への取り付けも簡略化される。
【0018】
また、前記掃除用ブラシは、回転ブラシに構成されるとともに、この回転ブラシの回転により前記第1エアフィルタに付着した塵埃を掻き取りながら前記第1エアフィルタの風上側表面上を移動するように構成されていることが好ましい。このように構成されていると、掃除用ブラシによる第1エアフィルタからの塵埃除去効率が向上する。
【0019】
また、前記回転ブラシにより前記第1エアフィルタから掻き取られた塵埃は、回転ブラシの回転によりダストボックス内に貯留されるように構成されていることが好ましい。このように構成されていると、回転ブラシにより除去された塵埃が、間断なくダストボックスに貯留される。
【0020】
また、本発明に係る投写型映像表示装置は、上記エアフィルタ装置を、光学系機器を冷却する冷却空気の空気吸込口に備えていることを特徴とする。本発明に係る投写型映像表示装置によれば、上記のように構成されたエアフィルタ装置を備えているので、エアフィルタの掃除を自動化した従来の投写型映像表示装置と比較してエアフィルタの収納スペースが縮小されるので、装置全体としてその分小型化することができる。また、エアフィルタ装置にはダストボックスが設置されているので、除去された塵埃をダストボックス内に貯留することができるので、塵埃の再離散を防止することができる。また、長期間の使用により第1エアフィルタ或いは第2エアフィルタが目詰まりするようなことがあっても、フィルタの交換、掃除のための取り外しなどのメンテナンス作業を自走式掃除部に阻害されることなく行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るエアフィルタ装置によれば、自走式掃除部により第1エアフィルタが掃除される。また、第1エアフィルタを移動させる必要がないので、第1エアフィルタの収納スペースを小さくすることができる。また、第1エアフィルタのベース部材への固定手段は、フィルタ面と略直角の方向から見て、待機位置に位置する自走式掃除部と平面的に重ならない位置に配置されているので、第1エアフィルタの交換、掃除のための取り外しなどのメンテナンス作業を自走式掃除部に干渉されずに行うことができる。また、第1エアフィルタのフィルタ面は、フィルタ面と略直角の方向から見て、待機位置に位置する自走式掃除部と平面的に重ならない位置に配置されているので、第1エアフィルタの有効面積が最大に活用される。また、このようなエアフィルタ装置を用いた投写型映像表示装置は、上記の効果を得ることができるので、装置全体の寸法を小型することができるとともに、第1エアフィルタの掃除作業が効率化及び簡略化され、さらに、第1エアフィルタのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係るエアフィルタ装置を用いた投写型映像表示装置の斜視図である。
【図2】同投写型映像表示装置における光学系機器の概略平面配置図である。
【図3】同投写型映像表示装置の側面図である。
【図4】同投写型映像表示装置の投写態様を示す図であり、(a)は上向き投写状態図であり、(b)は天井吊投写状態図であり、(c)は下向き投写状態図である。
【図5】同投写型映像表示装置に用いられるエアフィルタ装置の斜視図であり、正面に引き出した状態から上下反転させた状態図である。
【図6】図5の状態における同エアフィルタ装置の平面図である。
【図7】図5の状態における同エアフィルタ装置の分解斜視図である。
【図8】図1のA−A断面図である。
【図9】図6のB−B断面図である。
【図10】図6のC−C断面図である。
【図11】同エアフィルタ装置における自走式掃除部周りの図面であり、自走式掃除部は内部を開放した状態で示している。
【図12】図5において自走式掃除部を非掃除時の待機位置から反対側の端部側へ移動させた状態図である。
【図13】図6のD−D断面図である。
【図14】図6のE−E断面図である。
【図15】自走式掃除部の掃除動作説明図である。
【図16】自走式掃除部の非掃除時の待機位置への帰還動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置について図面を参照しながら説明する。なお、図1には、本実施の形態に係る投写型映像表示装置における正立投写状態時の外観斜視図を示すが、以下の説明において、特に断りなく上下方向、左右方向及び前後方向をいうときは、図1に図示した矢印の方向をいうものとする。
【0024】
本実施の形態に係る投写型映像表示装置は、3板式液晶投写型映像表示装置であって、図1の外観斜視図に示すような箱型の外装ケース1を備えている。そして、この外装ケース1内には図2に示すような光学系2が内装されており、投写レンズ2Aが外装ケース1の正面11から突出するように配置されている。また、フィルタ−ユニット3が、エアフィルタ装置として外装ケース1内の空気吸込口12に沿って配置されるように、外装ケース1の正面11から引き出し式に取り付けられている。なお、フィルタ−ユニット3の吸込み側は、外装ケース1の左右側面13に設けられた複数の切込み14により機外に通じている。
【0025】
光学系2は、図2に示すように、光源として放電式ランプからなる4個の光源ランプ21が使用されている。この場合において、各光源ランプ21は、光軸21Aが正面11に対し平行となる方向に配置されている。また、4個の光源ランプ21は、光路変更部材21aを用いることにより、所定の方向(この場合は正面に向かう方向)に射出されるように組み合わされている。
【0026】
光源ランプ21から出射された照明光は、インテグレータレンズ22、偏光変換素子23、コンデンサーレンズ24aを介し、赤、緑、青の各色光に分離する色分離光学系に導かれている。色分離光学系は、2種類のダイクロイックミラー25a,25b、3個の全反射ミラー26a,26b,26c、3個のリレーレンズ27a,27b,27c、3個のコンデンサーレンズ24r,24g,24b等により構成されている。また、赤、緑、青の各色光に分離された照明光は、赤、緑又は青色用の液晶ライトバルブ28r,28g,28bにより光変調され、クロスダイクロイックプリズム29により合成されて映像光として投写レンズ2Aから射出されている。これら光学系を構成する機器のうち冷却空気による冷却が必要とされるのは、最も高温となる光源ランプ21の他、液晶ライトバルブ28r,28g,28bを構成する液晶パネル、偏光板などや、偏光変換素子23などである。
【0027】
このように構成された投写型映像表示装置は、図3のような正立投写状態に設置される他、光源ランプ21の光軸21Aが常に水平方向に配置される状態として、図3に示す矢印R1,R2方向に回転させた状態で用いられる。図4はこれを具体的に示したもので、図4(a)は上向き投写状態、図4(b)は天井吊投写状態、図4(c)は下向き投写状態である。このように、光源ランプ21の光軸21Aを常に水平方向とすることにより放電式ランプからなる光源ランプ21の過熱が防止されている。
【0028】
フィルタ−ユニット3は、図1に、投写型映像表示装置の正面11から前方に引き出した状態の斜視図が示されている。図5はこの状態から上下反転させた状態の斜視図であり、図6はその平面図である。そして、このフィルタ−ユニット3は、図7の分解斜視図に示すように、ベース部材30、ベース部材30の風上側に設けられる第1エアフィルタ40、自走式掃除部60、ラック70,取っ手部80、ベース部材30の風下側に設けられる第2エアフィルタ50等から構成されている。
【0029】
ベース部材30は、図7に示すように、樹脂成形品であって、中央部に冷却空気を取り入れる開口部31が形成されるとともに、この開口部31にはこの開口部31を跨ぐように格子状のフレーム部32が形成されている。また、ベース部材30は、開口部31周辺の枠部33の正面11側には取っ手部80が取り付けられている。また、風上側表面部における正面11から見た右側(すなわち、図5、図6、図8における自走式掃除部の位置)が自走式掃除部60の待機位置であり、取り付け初期時の位置とされている。また、ベース部材30の左右側面にはこのフィルタ−ユニット3をスライド式に外装ケース1内に取り付ける際のレール部34が形成されている。また、ベース部材30の風上側表面部における開口部31の前後の位置には、図7に示されるように、ラック70がそれぞれ取り付けられている。このラック70は、自走式掃除部を移動させるためのものである。
【0030】
ベース部材30の風上側表面部には、ベース部材30の開口部31に対応する位置に第1エアフィルタ40が取り付けられている。
第1エアフィルタ40は、図7に示すように、周辺枠部41と、フィルタ面を複数に区分する格子枠形状のフレーム部42と、空気中の塵埃を捕捉する多孔性の濾過材部43とが樹脂一体成形により形成されたものであり、剛性強度を向上させるために周辺枠部41には折り曲げ部44が形成されている。また、第1エアフィルタ40のフィルタ面及びベース部材への固定手段は、図6、図8及び図9から明らかなように、フィルタ面と略直角の方向から見て待機位置に位置する自走式掃除部60と平面的に重ならない位置に配置されている。また、第1エアフィルタ40のベース部材30への固定手段は、この実施の形態においてはねじ止めであって、周辺枠部41がベース部材30の枠部33に対しフィルタ面と略直角の方向からねじ止めされている。左右方向のねじ40aによるねじ止めは、図9に示すように開口部31を構成する枠部33における風上側に突出した表面部に対し行われ、前後方向のねじ40bによるねじ止めは、図10に示すように、この表面部から一段低くなった位置で行われている。
【0031】
ベース部材30の風下側表面部には、ベース部材30の開口部31に対応して第2エアフィルタ50が取り付けられている。
第2エアフィルタ50は、図7に示すように、高分子繊維に静電気を帯電させた静電フィルタ部材51と、クッション性を有する平らなウレタンシート部材52とから構成されており、ウレタンシート部材52がベース部材30の周辺の枠部33側、すなわち、静電フィルタ部材51の風上側に取り付けられている。また、ベース部材30の周辺の枠部33の一部には、図8に示すように、コ字形枠部35を形成するように押え部35aが開口部31へ部分的に突出するように構成されている。したがって、2部材から構成された第2エアフィルタ50は、風上側の面、すなわちウレタンシート部材52の表面がベース部材30の枠部33の表面部に当接されるとともに、周辺の一部においてコ字形枠部35内に押し込められるようにして取り付けられている。このように、第2エアフィルタ50も、図8及び図9から明らかなように、フィルタ面と略直角の方向から見て待機位置に位置する自走式掃除部60と平面的に重ならない位置において、ベース部材30の枠部33に対しフィルタ面と略直角の方向から取り付けられている。
【0032】
第2エアフィルタ50を構成する静電フィルタ部材51は、図8に示すように、シート状濾材が左右方向にプリーツ折りされたものであって、第1エアフィルタ40が捕捉する塵埃よりも微細な塵埃を捕捉することができる。ウレタンシート部材52は、クッション性を有するので、周辺部の一部をコ字形枠部35内に押し込んで固定する際に取り付けを容易にすることができる。
【0033】
自走式掃除部60は、図9に断面で示すとともに図11に内部を開放して示すように、フィルタ−ユニット3の風上側表面部において第1エアフィルタ40の前後方向に延びるように筐体61が配置されている。筐体61は、図11に示すように、大きく分けて駆動部62を収納する駆動室61aと、伝動軸63、回転ブラシ64及びダストボックス65を収納する塵埃除去室61bと、ワンウエイクラッチ66を収納するクラッチ室61cとに分離されている。
【0034】
駆動室61aに収納される駆動部62は、出力軸を左右方向にして配置されたモータ62aと、その出力軸の先端に取り付けられた傘歯車62bと、傘歯車62bと噛み合うように伝動軸63に取り付けられた傘歯車62cとから構成され、モータ62aのトルクが伝動軸63に伝達されるように形成されている。
【0035】
また、クラッチ室61cには、伝動軸63の後端部に取り付けられた平歯車67と、この平歯車67に噛み合う回転ブラシ64の軸体64aに取り付けられたワンウエイクラッチ66が収納されている。なお、伝動軸63は、前後の端部が筐体61から突出し、この両端部にベース部材30に取り付けられているラック70と噛み合うピニオン68が取り付けられている。
【0036】
塵埃除去室61bは、長手方向が第1エアフィルタ40の前後方向に跨る程度の大きさのものであって、内部には伝動軸63、回転ブラシ64、ダストボックス65が第1エアフィルタ40側から順次配置されている。また、これら機器は、第1エアフィルタ40の前後方向に跨って延びる程度の長さに形成されている。
【0037】
上記構成において、伝動軸63は、前述の駆動室61aにおける傘歯車62b,62cの噛み合いにより、モータ62aにより回転駆動されるように構成されている。また、伝動軸63の前後端においてピニオン68がラック70と噛み合うように構成されているため、伝動軸63の回転運動がピニオン68とラック70の歯車機構により直線運動に変換されて、自走式掃除部60が第1エアフィルタ40上を移動するように構成されている。自走式掃除部60は、モータ62aの駆動により図5の待機位置から図12の反対側の位置まで移動する。また、自走式掃除部60がこの位置にまで移動したときにはセンサ(不図示)が作動してモータ62aが反転され、自走式掃除部60が再び待機位置へ戻るように構成されている。なお、ピニオン68は、自走式掃除部60が図5の待機位置から図12の反対位置へ移動するときには正面11から見て反時計方向に回転され、自走式掃除部60が図12の反対位置から図5の待機位置へ戻るときには正面11から見て時計方向に回転される。また、自走式掃除部60がこのように円滑に移動することができるように、図13及び図14に示すように、筐体61の前後面から平板状の突出部60aが形成されるとともに、ベース部材30におけるラック70を取り付けている台座部36,37の側面にこの突出部60aをスライドさせる凹溝36a,37aが形成されている。なお、これら図におけるねじ36b及び37bは、これら台座部36,37をベース部材30に固定するためのものである。
【0038】
回転ブラシ64は、金属や樹脂などの材料からなる軸体64aと、軸体64aに巻きつけられたブラシ部材64bとから構成されており、この軸体64aの後端部には前述のワンウエイクラッチ66が取り付けられている。
【0039】
また、回転ブラシ64は、その先端部により第1エアフィルタ40から塵埃を掻き取ることができるように塵埃除去室61bから上方に向かって(第1エアフィルタ40側に向かって)ブラシの先端部が筐体61から少し食み出すように形成されている。また、自走式掃除部60が図5の待機位置から図12の反対位置へ移動する移動方向における回転ブラシ64の後側にダストボックス65が形成されている。回転ブラシ64とダストボックス65とは、回転ブラシ64の先端部がダストボックス65の入口から内部に少し侵入するような位置関係に形成されている。
【0040】
また、ダストボックス65の入口には、回転ブラシ64の先端部を梳く櫛歯状の除塵体65aが上方部から下方部(図15、図16においては上方部となる)に向けて形成されている。また、このダストボックス65の入口の下方部(図15、図16においては上方部)には、ダストボックス65と回転ブラシ64が収納されている部分とを仕切る仕切り壁65bが形成されており、除塵体65aにより回転ブラシ64から除去されてダストボックス65内に貯留された塵埃がダストボックス65外へ飛散することが防止されている。
【0041】
また、取っ手部80の内側であって、ベース部材30の側方に位置する部分には、図1に示すように、このフィルタ−ユニット3の電源及び制御線を接続するためのコネクタ90が取り付けられている。また、このコネクタ90は、外装ケース1側に取り付けられた電源及び制御線用のコネクタ91に接続される。そして、この接続によりフィルタ−ユニット3に対し電力が供給されるとともに、投写型映像表示装置の操作部又は制御部からの指令に基づき操作されるように構成されている。フィルタ−ユニット3側のコネクタ90と外装ケース1側のコネクタ91との接続は、直接人手により接続されるのではなく、外装ケース1に対しフィルタ−ユニット3をスライド式に取り付ける際に、フィルタ−ユニット3を外装ケース1内へ押し込む力を利用して行われる。
【0042】
上記のように構成されたフィルタ−ユニット3は、次のように動作する。
このようなフィルタ−ユニット3は、投写型映像表示装置の正面11からスライド式に取り付けられる。この取り付けにより、取っ手部80の裏側に取り付けられたコネクタ90と外装ケース1に取り付けられたコネクタ91とが接続される。これにより、フィルタ−ユニット3は、投写型映像表示装置本体の運転動作と連携して運転制御される。
【0043】
このフィルタ−ユニット3は、フィルターセンサ(不図示)により第1エアフィルタの目詰まりが検出されたときに運転される。フィルターセンサは、特に限定されるものではなく、例えば、第1エアフィルタ40が目詰まりを生じることにより、通風抵抗が増大し送風機用電動機(不図示)の電流値が増大することを検出するようなものが用いられている。
【0044】
フィルタ−ユニット3が運転されるときは、モータ62aが駆動され伝動軸63及びピニオン68が回転されることにより自走式掃除部60が図5に示す待機位置から図11に示す反対側の位置に向かって移動する(図15の直線矢印M1参照)。このとき回転ブラシ64は、第1エアフィルタ40を下方に押圧しながら図15における回転矢印M2の方向に回転することにより、第1エアフィルタ40に付着している塵埃Q1が掻き取られる。また、回転ブラシにより掻き取られた塵埃Q2は、ダストボックス65の入口において櫛歯状の除塵体65aによりダストボックス65内に振り落とされて、ダストボックス65内に貯留される。
【0045】
このようにして自走式掃除部60が図11に示す反対側の位置に到達すると、センサ(不図示)がこれを検出し、モータ62aが反転する。そして、自走式掃除部60が図5の待機位置へ移動する(図16における直線矢印M3参照)。自走式掃除部60の待機位置への移動に際し、回転ブラシ64を反転させると第1エアフィルタ40から掻き取られた塵埃Q2が再飛散する可能性がある。そこで、本実施の形態においてはワンウエイクラッチ66によりモータ62aの回転トルクが回転ブラシ64に伝達されないように構成されている。
【0046】
第1エアフィルタ40は、以上のような動作により自動的に繰り返し掃除されるが、長期間使用すると第1エアフィルタ40に塵埃が付着して残存する量が増大する。したがって、第1エアフィルタ40の洗浄、交換などのメンテナンスは、第1エアフィルタ40の掃除が手作業で行われていた場合と比較すると極端にその回数を減らすことができる。しかしながら、長期間使用した場合は第1エアフィルタ40に付着したまま残る塵埃量も増加するため、適切な期間をおいて第1エアフィルタ40を取り外して掃除したり、場合によっては新しいものと交換したりする必要が生じることは避け難い。本実施の形態は、このような場合に次のようにして第1エアフィルタ40のメンテナンスを行うことができる。
【0047】
先ず、投写型映像表示装置の正面11側からフィルタ−ユニット3を引き出して取り外す。このとき、フィルタ−ユニット3側のコネクタ90とベース部材30側のコネクタ91は直接手を触れることなく分離するように構成されている。したがって、この場合にフィルタ−ユニット3に接続されているコンセントを手で抜く必要はない。
【0048】
次いで、引き出されたフィルタ−ユニット3は、図5のように上下反転されて適宜の位置に載置される。そして、この状態においてベース部材30のフィルタ面に対し直角の方向からねじ40a及びねじ40bを取り外すことにより、自走式掃除部60の存在に干渉されることなく、第1エアフィルタ40をベース部材30のフィルタ面に対し直角の方向に取り外すことができる。第1エアフィルタ40は、このようにして容易に取り外すことができ、適切な方法で洗浄又は掃除することができる。また、第1エアフィルタ40が極端に古くなっている場合には、第1エアフィルタ40を新品と交換することもできる。また、洗浄又は掃除された第1エアフィルタ40及び新品の第1エアフィルタ40は、ベース部材30の開口部31に対応する所定の位置に載置した後、ねじ40a及びねじ40bを締結することにより、自走式掃除部60の存在に阻害されずに容易に取り付けることができる。
【0049】
また、第2エアフィルタ50について、洗浄、掃除、交換などのメンテナンスを行う場合は、第2エアフィルタ50をベース部材の枠部に対しフィルタ面と直角の方向から容易に取り外すことができる。すなわち、この場合は、フィルタ−ユニット3を投写型映像表示装置の正面11から引き出し、図1の状態として適宜の位置に載置する。そして、コ字形枠部35から第2エアフィルタ50の周辺部を引き出すことにより、第2エアフィルタ50を取り外すことができる。また、洗浄又は掃除後の第2エアフィルタ50を取り付けるときは、ウレタンシート部材52の表面をベース部材30の枠部33の表面部に当接するとともに、静電フィルタ部材51とウレタンシート部材52とを重ね合わせた組合せ物の周辺部を部分的にコ字形枠部35内に押し込めることにより、第2エアフィルタ50を容易に取り付けることができる。このように、第2エアフィルタ50の着脱も自走式掃除部60の存在に干渉されることなく容易に行うことができる。
【0050】
本実施の形態に係るエアフィルタ装置及び投写型映像表示装置によれば次の効果を奏することができる。
(1)本発明に係るエアフィルタ装置によれば、自走式掃除部60が第1エアフィルタ40の風上側表面部を待機位置から反対側に位置へ向けて移動することにより、第1エアフィルタ40に付着した塵埃を(掃除用ブラシとしての)回転ブラシ64により除去することができる。
【0051】
(2)また、本実施の形態によるフィルタ−ユニット3では、第1エアフィルタ40を従来技術のようにベース部材30上で移動させる必要がないので、第1エアフィルタ40を収納する容器を小さくすることができる。
【0052】
(3)また、第1エアフィルタ40のベース部材30への固定手段は、フィルタ面と略直角の方向から見て待機位置に位置する自走式掃除部60と平面的に重ならない位置でベース部材30に取り付けられている。このため、第1エアフィルタ40の交換、掃除のための取り外しなどのメンテナンス作業を自走式掃除部60の存在に干渉されることなく行うことができる。
【0053】
(4)また、自走式掃除部60は、フィルタ面と略直角の方向から見て第1エアフィルタ40及び第2エアフィルタ50のフィルタ面と平面的に重ならない位置で待機しているので、第1エアフィルタ40及び第2エアフィルタ50の有効面積が最大に活用される。
【0054】
(5)本実施の形態に係るエアフィルタ装置は、第1エアフィルタ40、第2エアフィルタ50、ベース部材30、掃除用ブラシとしての回転ブラシ64、ダストボックス65、及びモータ62aを含むようにユニット化されている。したがって、応用製品からこのエアフィルタ装置を取り外した状態とすることにより、第1エアフィルタ40及び第2エアフィルタ50のメンテナンス作業を容易に行うことができる。また、応用製品とは別管理でエアフィルタ装置を製作することができるので、製造管理が容易となり、製造コストが低減される。
【0055】
(6)また、第1エアフィルタ40は、ベース部材30の枠部33に対しフィルタ面と略直角の方向から着脱できるように固定されているので、狭いスペースで第1エアフィルタ40を交換することができる。また、ねじ止め等の簡易な固定部材により第1エアフィルタ40をベース部材30に対し取り付けることができる。
【0056】
(7)また、ベース部材30の風下側表面部には第1エアフィルタ40より微細な塵埃を捕捉することのできる第2エアフィルタ50が取り付けられ、さらに、第1エアフィルタ40及び第2エアフィルタ50それぞれが、ベース部材30の枠部33に対しフィルタ面と略直角の方向から着脱できるように取り付けられている。したがって、第1エアフィルタ40及び第2エアフィルタ50とも狭いスペースで取り外し、交換等のメンテナンス作業を行うことができる。
【0057】
(8)また、ベース部材30は、風下側表面部に第2エアフィルタ50の周辺部を当接させるとともに、第2エアフィルタ50の周辺部を少なくとも部分的に挟み込むことができるコ字形枠部35が少なくとも部分的に形成され、第2エアフィルタ50の周辺部がこのコ字形枠部35に対し弾力的に挿入されて支持されている。したがって、第2エアフィルタ50の周辺部をコ字形枠部35に押し込むことにより第2エアフィルタ50を取り付けることができるので、第2エアフィルタ50の取付構造が簡略化される。
【0058】
(9)また、自走式掃除部60は、モータ62aに連結されたピニオン68がベース部材30に取り付けられたラック70上を回転することにより、第1エアフィルタ40の風上側表面部を移動するように構成されているので、駆動機構を含めてフィルタ−ユニット3を構成することができる。したがって、このように構成されたフィルタ−ユニット3は、応用製品とは別に生産管理することが容易になるとともに、応用製品への取り付けも簡略化される。
【0059】
(10)また、掃除用ブラシは、回転ブラシ64に構成されるとともに、この回転ブラシ64の回転により第1エアフィルタ40に付着した塵埃Q1を掻き取りながら移動するので、掃除用ブラシによる第1エアフィルタ40からの塵埃除去効率が向上する。
【0060】
(11)また、回転ブラシ64により第1エアフィルタ40から掻き取られた塵埃Q2は、回転ブラシ64の回転によりダストボックス65内に貯留されるように構成されているので、除去された塵埃Q2が間断なくダストボックス65に貯留される。
【0061】
(12)また、本実施の形態に係る投写型映像表示装置によれば、上記のエアフィルタ装置を、光学系機器を冷却する冷却空気の空気吸込口12に備えているので、装置全体の寸法を小型することができるとともに、エアフィルタの掃除作業が効率化及び簡略化され、さらに、エアフィルタのメンテナンス作業も楽に行うことができる。
【0062】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態において以下のように変更することができる。
・第1エアフィルタ40は、前記実施の形態において周辺枠部41及びフレーム部42と空気中の塵埃を捕捉する多孔性の濾過材部43とが樹脂一体成形されていたが、両者を別々に製作し接着することもできる。
【0063】
・第1エアフィルタ40は、ベース部材30の枠部33に対しフィルタ面と直角の方向から着脱できる固定手段により取り付けられているものが好ましく、上記実施の形態においてはねじ40a,40bにより固定されていたが、これに限定されるものではなく、例えば弾性爪により弾性的に固定できるようにしたものでもよい。
【0064】
・また、第1エアフィルタ40は、上記のようにフィルタ面と直角の方向から着脱できる固定手段により取り付けられていることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば、枠部33に対し前後左右何れかの方向からスライド式に取り付けるようにしたものでもよい。
【0065】
・また、第2エアフィルタ50を取り付けるためのコ字形枠部35は、前記実施の形態においてベース部材30の開口部31周辺の各辺において部分的に形成されているが、このコ字形枠部35をプリーツ折り目と平行な辺については全体的に形成するようにしてもよい。
【0066】
・また、フィルタ−ユニット3の運転は、前記実施の形態においては目詰まりセンサにより第1エアフィルタ40の目詰まりが検出されたときに運転されていたが、これを投写型映像表示装置の投写が終了時にその都度自動的に作動するようにすることもできる。また、定期的に運転したり、クリーニングスイッチが投入された場合に運転したりするなど適宜の方法に変更してもよい。
【0067】
・また、投写型映像表示装置は、前記実施の形態においては3板式の透過型液晶ライトバルブ28r,28g,28bを用いた光学系2としているが、単板式等の他形式の光学系を用いたものとしてもよい。
【0068】
・また、本発明に係るフィルタ−ユニット3は、前記実施の形態においては投写型映像表示装置用としているが、空気調和機用として形成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る掃除装置は、液晶プロジェクタを初めとする種々の投写型映像表示装置や、ルームエアコン、電器集塵機などの種々の空気調和機に適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
Q1,Q2…塵埃、12…空気吸込口、30…ベース部材、31…開口部、33…枠部、35…コ字形枠部、40…第1エアフィルタ、50…第2エアフィルタ、60…自走式掃除部、62a…モータ、64…回転ブラシ、65…ダストボックス、68…ピニオン、70…ラック。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルタ装置及びこれを用いた投写型映像表示装置に関し、特に、自走式掃除部を備えたエアフィルタ装置におけるエアフィルタの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
投写型映像表示装置は、一般に、光源ランプやライトバルブ等の光学系機器を冷却するために冷却空気が使用されている。また、冷却空気としては機外空気が用いられており、外装ケースの一面には機外空気を機内に取り入れるための空気吸込口が設けられている。しかし、冷却空気として取り入れる空気中に塵埃が含まれていると、液晶パネル等の光学系機器の表面に塵埃が付着し映像の質が低下する。そこで、空気吸込口には、一般に空気中の塵埃を捕捉するためのエアフィルタが設けられ、このエアフィルタにより空気中の塵埃を捕捉するように構成されている。
【0003】
ところで、空気吸込口に取り付けられるエアフィルタは、長時間使用されると目詰まりを起こす。また、エアフィルタが目詰まりを起こした場合は、空気吸込口の通風抵抗が増加して光学系機器への冷却空気量が不足し、光源ランプや、液晶パネル等の光学系機器の冷却能力が低下するという問題が発生する。このため、エアフィルタは、目詰まりしないように頻繁に掃除されなければならない。しかしながら、これを手作業で行うのは煩わしい。特に、投写型映像表示装置の場合はいろいろな姿勢で設置されるため、設置位置及び設置状態によっては煩わしい作業となることもある。そこで、近年、エアフィルタを自動的に掃除するエアフィルタ装置を備えることにより、エアフィルタの交換、掃除などのメンテナンスを軽減するようにしたものが開発されている。
【0004】
その一例として特許文献1に記載されたものがある。これは、投写型映像表示装置の空気吸込口(特許文献1では外気の取り入れ口)に対し、プレフィルタを自動的に掃除することのできるフィルタ−ユニットを外部から取り外し可能に設けることができるようにしたものである。このフィルタ−ユニットは、掃除時に空気吸込み面上で一定方向に移動するように取り付けられているプレフィルタと、プレフィルタを移動させるための駆動メカユニットと、プレフィルタを風上側と風下側とから挟み込むように配置された、塵埃を除去するためのブラシと、小さい塵埃を捕捉するための第2のエアフィルタとから構成されている。なお、このフィルタ−ユニットにおいて、ブラシは、その長手方向がプレフィルタの移動方向と直交するように、プレフィルタの移動領域の中央部にプレフィルタを両面から挟み込むように取り付けられている。
【0005】
また、エアフィルタに捕捉された塵埃を自動的に除去するようにしたエアフィルタ装置は、空気調和機用としても開発されている。その理由は、空気調和機におけるエアフィルタも長時間の使用により目詰まりが生ずるからであり、エアフィルタが目詰まりを起こすと、空気吸込口の通風抵抗が増加し、吸い込み空気量の低下により正常な空調能力を発揮することができなくなるという問題が生ずるからである。このため、空気調和機のエアフィルタも、目詰まりしないように頻繁に掃除されなければならない。しかし、空気調和機におけるエアフィルタの掃除も手作業で行うのは煩わしいため、前記投写型映像表示装置の場合と同様にエアフィルタの掃除が自動化されている。特許文献2はその一例である。
【0006】
特許文献2の空気調和機は、エアフィルタに付着した塵埃を除去する回転ブラシ(回転清掃体)と、回転ブラシにより除去された塵埃を貯留するダストボックスと、モータ等を備えた塵埃除去手段を備えている。そして、この塵埃除去手段が、エアフィルタの風上側表面を上下に移動しながら、エアフィルタの上流側表面に付着した塵埃を回転ブラシにより除去するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−65021号公報
【特許文献2】特開2009−82837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1は、フィルタ−ユニットの中央部に固定されているブラシに対し、プレフィルタの表面を擦り付けながらプレフィルタを移動させるため、プレフィルタの収納スペースが大きくなるという問題があった。また、プレフィルタから除去された塵埃を貯留するダストボックスを有していないので、プレフィルタから除去された塵埃がブラシを介して再飛散する恐れがあった。また、このような構造を有する特許文献1においても、エアフィルタの自動掃除によりエアフィルタを頻繁に掃除したり交換したりする頻度を低減することはできるが、エアフィルタの交換や掃除作業などのメンテナンスを皆無とすることはできない。しかしながら、この特許文献1においては、プレフィルタをメンテナンスするときにブラシが邪魔物にならないようにする配慮が払われていない。
【0009】
一方、特許文献2は、特許文献1のようにエアフィルタを移動させることはせずに、回転ブラシ、ダストボックス、モータ等を備えた塵埃除去手段がエアフィルタの風上側表面部を上下方向に移動するように構成されているため、特許文献1に比べエアフィルタの収納スペースが小さくてすむという利点がある。しかしながら、この特許文献2においては、塵埃除去手段が常にエアフィルタと平面的に見て重なる位置に取り付けられているため、エアフィルタのメンテナンス作業が困難になるおそれがある。また、特許文献2においては、プレフィルタをメンテナンスするときに塵埃除去手段が邪魔になっていた。
【0010】
本発明は、このような従来技術における課題に鑑み成されたものであって、エアフィルタの所要スペースの増大を生じることなく、エアフィルタの掃除の自動化及びエアフィルタのメンテナンス作業の容易化を図ったエアフィルタ装置及びこれを用いた投写型映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るエアフィルタ装置は、上記課題を解決するために、吸入空気中の塵埃を捕捉する第1エアフィルタと、空気吸込用の開口部を備えるとともに、この開口部の風上側においてこの開口部の周囲の枠部に前記第1エアフィルタを取り付けるように形成されたベース部材と、非掃除時には前記ベース部材の前記枠部に位置し、掃除時には第1エアフィルタの風上側表面部を移動するように前記ベース部材に取り付けられる自走式掃除部とを備え、自走式掃除部は、第1エアフィルタから塵埃を除去するための掃除用ブラシと、この掃除用ブラシにより除去された塵埃を貯留するためのダストボックスと、自走するためのモータとを備え、前記第1エアフィルタのフィルタ面及びベース部材への固定手段は、フィルタ面と略直角の方向から見て、待機位置に位置する前記自走式掃除部と平面的に重ならない位置に配置されていることを特徴とする。ここで、待機位置とは、本明細書においては、自走式掃除部が非掃除時に待機する位置のことをいう。また、固定手段とは、エアフィルタをベース部材の枠部に対し取り付けるための手段のことをいう。この手段は、例えば、ねじにより取り付ける場合はこのねじのことをいうが、これに限定されるものではなく弾性爪等の係合手段による固定をも包含する。また、フィルタ面とは、エアフィルタにおける、空気を濾過する濾過材部の表面をいう。
【0012】
このように構成された本発明に係るエアフィルタ装置によれば、自走式掃除部が第1エアフィルタの風上側表面部を移動することにより、第1エアフィルタに付着した塵埃を掃除用ブラシで除去することができる。したがって、第1エアフィルタは従来技術のようにベース部材上を移動する必要がないので、第1エアフィルタの収納スペースが小さくなる。また、第1エアフィルタのベース部材への固定手段は、フィルタ面と略直角の方向から見て、待機位置に位置する自走式掃除部と平面的に重ならない位置に配置されているので、第1エアフィルタの交換、掃除のための取り外しなどのメンテナンス作業を自走式掃除部に干渉されずに行うことができる。また、第1エアフィルタのフィルタ面は、フィルタ面と略直角の方向から見て、待機位置に位置する自走式掃除部と平面的に重ならない位置に配置されているので、第1エアフィルタの有効面積が最大に活用される。
【0013】
また、前記エアフィルタ装置は、前記第1エアフィルタ、前記ベース部材、前記掃除用ブラシ、前記ダストボックス、及び前記モータを含むようにユニット化されるとともに、応用製品に対しユニットとして着脱自在に取り付け可能に構成されていることが好ましい。このように構成されていると、応用製品からこのエアフィルタ装置を取り外した状態とすることにより、第1エアフィルタのメンテナンス作業を容易に行うことができる。また、エアフィルタ装置は、応用製品とは別管理により製作することができるので製造管理が容易となり、製造コストが低減される。
【0014】
前記第1エアフィルタは、前記ベース部材の前記枠部に対し、フィルタ面と略直角の方向から着脱できるように固定されていることが好ましい。このように構成されていると、狭いスペースで第1エアフィルタを交換することができる。また、ねじ止め等の簡易な固定部材により第1エアフィルタをベース部材に対し取り付けることができる。
【0015】
このように構成されたエアフィルタ装置において、前記ベース部材の風下側表面部には前記第1エアフィルタより微細な塵埃を捕捉することのできる第2エアフィルタが取り付けられ、さらに、前記第1エアフィルタ及び第2エアフィルタそれぞれが、ベース部材の前記枠部に対しフィルタ面と略直角の方向から着脱できるように取り付けられていることが好ましい。このように構成すると、第1エアフィルタ及び第2エアフィルタとも狭いスペースで取り外し、交換等のメンテナンス作業を行うことができる。
【0016】
また、このように構成されたエアフィルタ装置において、前記ベース部材は、風下側表面部に前記第2エアフィルタの周辺部を当接させるとともに、第2エアフィルタの周辺部を少なくとも部分的に挟み込むことができるように、コ字形枠部が少なくとも部分的に形成され、前記第2エアフィルタの周辺部がこのコ字形枠部に対し弾力的に挿入されて支持されていることが好ましい。このように構成すると、第2エアフィルタの周辺部をコ字形枠部に押し込むことにより第2エアフィルタを取り付けることができるので、第2エアフィルタの取付構造が簡略化される。
【0017】
また、前記自走式掃除部は、前記モータに連結されたピニオンが前記ベース部材に取り付けられたラック上を回転することにより、前記第1エアフィルタの風上側表面部を移動するように構成されていることが好ましい。このように構成すると、駆動機構を含めてユニット化されるので、応用製品とは別に生産管理することが容易になる。また、応用製品への取り付けも簡略化される。
【0018】
また、前記掃除用ブラシは、回転ブラシに構成されるとともに、この回転ブラシの回転により前記第1エアフィルタに付着した塵埃を掻き取りながら前記第1エアフィルタの風上側表面上を移動するように構成されていることが好ましい。このように構成されていると、掃除用ブラシによる第1エアフィルタからの塵埃除去効率が向上する。
【0019】
また、前記回転ブラシにより前記第1エアフィルタから掻き取られた塵埃は、回転ブラシの回転によりダストボックス内に貯留されるように構成されていることが好ましい。このように構成されていると、回転ブラシにより除去された塵埃が、間断なくダストボックスに貯留される。
【0020】
また、本発明に係る投写型映像表示装置は、上記エアフィルタ装置を、光学系機器を冷却する冷却空気の空気吸込口に備えていることを特徴とする。本発明に係る投写型映像表示装置によれば、上記のように構成されたエアフィルタ装置を備えているので、エアフィルタの掃除を自動化した従来の投写型映像表示装置と比較してエアフィルタの収納スペースが縮小されるので、装置全体としてその分小型化することができる。また、エアフィルタ装置にはダストボックスが設置されているので、除去された塵埃をダストボックス内に貯留することができるので、塵埃の再離散を防止することができる。また、長期間の使用により第1エアフィルタ或いは第2エアフィルタが目詰まりするようなことがあっても、フィルタの交換、掃除のための取り外しなどのメンテナンス作業を自走式掃除部に阻害されることなく行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るエアフィルタ装置によれば、自走式掃除部により第1エアフィルタが掃除される。また、第1エアフィルタを移動させる必要がないので、第1エアフィルタの収納スペースを小さくすることができる。また、第1エアフィルタのベース部材への固定手段は、フィルタ面と略直角の方向から見て、待機位置に位置する自走式掃除部と平面的に重ならない位置に配置されているので、第1エアフィルタの交換、掃除のための取り外しなどのメンテナンス作業を自走式掃除部に干渉されずに行うことができる。また、第1エアフィルタのフィルタ面は、フィルタ面と略直角の方向から見て、待機位置に位置する自走式掃除部と平面的に重ならない位置に配置されているので、第1エアフィルタの有効面積が最大に活用される。また、このようなエアフィルタ装置を用いた投写型映像表示装置は、上記の効果を得ることができるので、装置全体の寸法を小型することができるとともに、第1エアフィルタの掃除作業が効率化及び簡略化され、さらに、第1エアフィルタのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係るエアフィルタ装置を用いた投写型映像表示装置の斜視図である。
【図2】同投写型映像表示装置における光学系機器の概略平面配置図である。
【図3】同投写型映像表示装置の側面図である。
【図4】同投写型映像表示装置の投写態様を示す図であり、(a)は上向き投写状態図であり、(b)は天井吊投写状態図であり、(c)は下向き投写状態図である。
【図5】同投写型映像表示装置に用いられるエアフィルタ装置の斜視図であり、正面に引き出した状態から上下反転させた状態図である。
【図6】図5の状態における同エアフィルタ装置の平面図である。
【図7】図5の状態における同エアフィルタ装置の分解斜視図である。
【図8】図1のA−A断面図である。
【図9】図6のB−B断面図である。
【図10】図6のC−C断面図である。
【図11】同エアフィルタ装置における自走式掃除部周りの図面であり、自走式掃除部は内部を開放した状態で示している。
【図12】図5において自走式掃除部を非掃除時の待機位置から反対側の端部側へ移動させた状態図である。
【図13】図6のD−D断面図である。
【図14】図6のE−E断面図である。
【図15】自走式掃除部の掃除動作説明図である。
【図16】自走式掃除部の非掃除時の待機位置への帰還動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置について図面を参照しながら説明する。なお、図1には、本実施の形態に係る投写型映像表示装置における正立投写状態時の外観斜視図を示すが、以下の説明において、特に断りなく上下方向、左右方向及び前後方向をいうときは、図1に図示した矢印の方向をいうものとする。
【0024】
本実施の形態に係る投写型映像表示装置は、3板式液晶投写型映像表示装置であって、図1の外観斜視図に示すような箱型の外装ケース1を備えている。そして、この外装ケース1内には図2に示すような光学系2が内装されており、投写レンズ2Aが外装ケース1の正面11から突出するように配置されている。また、フィルタ−ユニット3が、エアフィルタ装置として外装ケース1内の空気吸込口12に沿って配置されるように、外装ケース1の正面11から引き出し式に取り付けられている。なお、フィルタ−ユニット3の吸込み側は、外装ケース1の左右側面13に設けられた複数の切込み14により機外に通じている。
【0025】
光学系2は、図2に示すように、光源として放電式ランプからなる4個の光源ランプ21が使用されている。この場合において、各光源ランプ21は、光軸21Aが正面11に対し平行となる方向に配置されている。また、4個の光源ランプ21は、光路変更部材21aを用いることにより、所定の方向(この場合は正面に向かう方向)に射出されるように組み合わされている。
【0026】
光源ランプ21から出射された照明光は、インテグレータレンズ22、偏光変換素子23、コンデンサーレンズ24aを介し、赤、緑、青の各色光に分離する色分離光学系に導かれている。色分離光学系は、2種類のダイクロイックミラー25a,25b、3個の全反射ミラー26a,26b,26c、3個のリレーレンズ27a,27b,27c、3個のコンデンサーレンズ24r,24g,24b等により構成されている。また、赤、緑、青の各色光に分離された照明光は、赤、緑又は青色用の液晶ライトバルブ28r,28g,28bにより光変調され、クロスダイクロイックプリズム29により合成されて映像光として投写レンズ2Aから射出されている。これら光学系を構成する機器のうち冷却空気による冷却が必要とされるのは、最も高温となる光源ランプ21の他、液晶ライトバルブ28r,28g,28bを構成する液晶パネル、偏光板などや、偏光変換素子23などである。
【0027】
このように構成された投写型映像表示装置は、図3のような正立投写状態に設置される他、光源ランプ21の光軸21Aが常に水平方向に配置される状態として、図3に示す矢印R1,R2方向に回転させた状態で用いられる。図4はこれを具体的に示したもので、図4(a)は上向き投写状態、図4(b)は天井吊投写状態、図4(c)は下向き投写状態である。このように、光源ランプ21の光軸21Aを常に水平方向とすることにより放電式ランプからなる光源ランプ21の過熱が防止されている。
【0028】
フィルタ−ユニット3は、図1に、投写型映像表示装置の正面11から前方に引き出した状態の斜視図が示されている。図5はこの状態から上下反転させた状態の斜視図であり、図6はその平面図である。そして、このフィルタ−ユニット3は、図7の分解斜視図に示すように、ベース部材30、ベース部材30の風上側に設けられる第1エアフィルタ40、自走式掃除部60、ラック70,取っ手部80、ベース部材30の風下側に設けられる第2エアフィルタ50等から構成されている。
【0029】
ベース部材30は、図7に示すように、樹脂成形品であって、中央部に冷却空気を取り入れる開口部31が形成されるとともに、この開口部31にはこの開口部31を跨ぐように格子状のフレーム部32が形成されている。また、ベース部材30は、開口部31周辺の枠部33の正面11側には取っ手部80が取り付けられている。また、風上側表面部における正面11から見た右側(すなわち、図5、図6、図8における自走式掃除部の位置)が自走式掃除部60の待機位置であり、取り付け初期時の位置とされている。また、ベース部材30の左右側面にはこのフィルタ−ユニット3をスライド式に外装ケース1内に取り付ける際のレール部34が形成されている。また、ベース部材30の風上側表面部における開口部31の前後の位置には、図7に示されるように、ラック70がそれぞれ取り付けられている。このラック70は、自走式掃除部を移動させるためのものである。
【0030】
ベース部材30の風上側表面部には、ベース部材30の開口部31に対応する位置に第1エアフィルタ40が取り付けられている。
第1エアフィルタ40は、図7に示すように、周辺枠部41と、フィルタ面を複数に区分する格子枠形状のフレーム部42と、空気中の塵埃を捕捉する多孔性の濾過材部43とが樹脂一体成形により形成されたものであり、剛性強度を向上させるために周辺枠部41には折り曲げ部44が形成されている。また、第1エアフィルタ40のフィルタ面及びベース部材への固定手段は、図6、図8及び図9から明らかなように、フィルタ面と略直角の方向から見て待機位置に位置する自走式掃除部60と平面的に重ならない位置に配置されている。また、第1エアフィルタ40のベース部材30への固定手段は、この実施の形態においてはねじ止めであって、周辺枠部41がベース部材30の枠部33に対しフィルタ面と略直角の方向からねじ止めされている。左右方向のねじ40aによるねじ止めは、図9に示すように開口部31を構成する枠部33における風上側に突出した表面部に対し行われ、前後方向のねじ40bによるねじ止めは、図10に示すように、この表面部から一段低くなった位置で行われている。
【0031】
ベース部材30の風下側表面部には、ベース部材30の開口部31に対応して第2エアフィルタ50が取り付けられている。
第2エアフィルタ50は、図7に示すように、高分子繊維に静電気を帯電させた静電フィルタ部材51と、クッション性を有する平らなウレタンシート部材52とから構成されており、ウレタンシート部材52がベース部材30の周辺の枠部33側、すなわち、静電フィルタ部材51の風上側に取り付けられている。また、ベース部材30の周辺の枠部33の一部には、図8に示すように、コ字形枠部35を形成するように押え部35aが開口部31へ部分的に突出するように構成されている。したがって、2部材から構成された第2エアフィルタ50は、風上側の面、すなわちウレタンシート部材52の表面がベース部材30の枠部33の表面部に当接されるとともに、周辺の一部においてコ字形枠部35内に押し込められるようにして取り付けられている。このように、第2エアフィルタ50も、図8及び図9から明らかなように、フィルタ面と略直角の方向から見て待機位置に位置する自走式掃除部60と平面的に重ならない位置において、ベース部材30の枠部33に対しフィルタ面と略直角の方向から取り付けられている。
【0032】
第2エアフィルタ50を構成する静電フィルタ部材51は、図8に示すように、シート状濾材が左右方向にプリーツ折りされたものであって、第1エアフィルタ40が捕捉する塵埃よりも微細な塵埃を捕捉することができる。ウレタンシート部材52は、クッション性を有するので、周辺部の一部をコ字形枠部35内に押し込んで固定する際に取り付けを容易にすることができる。
【0033】
自走式掃除部60は、図9に断面で示すとともに図11に内部を開放して示すように、フィルタ−ユニット3の風上側表面部において第1エアフィルタ40の前後方向に延びるように筐体61が配置されている。筐体61は、図11に示すように、大きく分けて駆動部62を収納する駆動室61aと、伝動軸63、回転ブラシ64及びダストボックス65を収納する塵埃除去室61bと、ワンウエイクラッチ66を収納するクラッチ室61cとに分離されている。
【0034】
駆動室61aに収納される駆動部62は、出力軸を左右方向にして配置されたモータ62aと、その出力軸の先端に取り付けられた傘歯車62bと、傘歯車62bと噛み合うように伝動軸63に取り付けられた傘歯車62cとから構成され、モータ62aのトルクが伝動軸63に伝達されるように形成されている。
【0035】
また、クラッチ室61cには、伝動軸63の後端部に取り付けられた平歯車67と、この平歯車67に噛み合う回転ブラシ64の軸体64aに取り付けられたワンウエイクラッチ66が収納されている。なお、伝動軸63は、前後の端部が筐体61から突出し、この両端部にベース部材30に取り付けられているラック70と噛み合うピニオン68が取り付けられている。
【0036】
塵埃除去室61bは、長手方向が第1エアフィルタ40の前後方向に跨る程度の大きさのものであって、内部には伝動軸63、回転ブラシ64、ダストボックス65が第1エアフィルタ40側から順次配置されている。また、これら機器は、第1エアフィルタ40の前後方向に跨って延びる程度の長さに形成されている。
【0037】
上記構成において、伝動軸63は、前述の駆動室61aにおける傘歯車62b,62cの噛み合いにより、モータ62aにより回転駆動されるように構成されている。また、伝動軸63の前後端においてピニオン68がラック70と噛み合うように構成されているため、伝動軸63の回転運動がピニオン68とラック70の歯車機構により直線運動に変換されて、自走式掃除部60が第1エアフィルタ40上を移動するように構成されている。自走式掃除部60は、モータ62aの駆動により図5の待機位置から図12の反対側の位置まで移動する。また、自走式掃除部60がこの位置にまで移動したときにはセンサ(不図示)が作動してモータ62aが反転され、自走式掃除部60が再び待機位置へ戻るように構成されている。なお、ピニオン68は、自走式掃除部60が図5の待機位置から図12の反対位置へ移動するときには正面11から見て反時計方向に回転され、自走式掃除部60が図12の反対位置から図5の待機位置へ戻るときには正面11から見て時計方向に回転される。また、自走式掃除部60がこのように円滑に移動することができるように、図13及び図14に示すように、筐体61の前後面から平板状の突出部60aが形成されるとともに、ベース部材30におけるラック70を取り付けている台座部36,37の側面にこの突出部60aをスライドさせる凹溝36a,37aが形成されている。なお、これら図におけるねじ36b及び37bは、これら台座部36,37をベース部材30に固定するためのものである。
【0038】
回転ブラシ64は、金属や樹脂などの材料からなる軸体64aと、軸体64aに巻きつけられたブラシ部材64bとから構成されており、この軸体64aの後端部には前述のワンウエイクラッチ66が取り付けられている。
【0039】
また、回転ブラシ64は、その先端部により第1エアフィルタ40から塵埃を掻き取ることができるように塵埃除去室61bから上方に向かって(第1エアフィルタ40側に向かって)ブラシの先端部が筐体61から少し食み出すように形成されている。また、自走式掃除部60が図5の待機位置から図12の反対位置へ移動する移動方向における回転ブラシ64の後側にダストボックス65が形成されている。回転ブラシ64とダストボックス65とは、回転ブラシ64の先端部がダストボックス65の入口から内部に少し侵入するような位置関係に形成されている。
【0040】
また、ダストボックス65の入口には、回転ブラシ64の先端部を梳く櫛歯状の除塵体65aが上方部から下方部(図15、図16においては上方部となる)に向けて形成されている。また、このダストボックス65の入口の下方部(図15、図16においては上方部)には、ダストボックス65と回転ブラシ64が収納されている部分とを仕切る仕切り壁65bが形成されており、除塵体65aにより回転ブラシ64から除去されてダストボックス65内に貯留された塵埃がダストボックス65外へ飛散することが防止されている。
【0041】
また、取っ手部80の内側であって、ベース部材30の側方に位置する部分には、図1に示すように、このフィルタ−ユニット3の電源及び制御線を接続するためのコネクタ90が取り付けられている。また、このコネクタ90は、外装ケース1側に取り付けられた電源及び制御線用のコネクタ91に接続される。そして、この接続によりフィルタ−ユニット3に対し電力が供給されるとともに、投写型映像表示装置の操作部又は制御部からの指令に基づき操作されるように構成されている。フィルタ−ユニット3側のコネクタ90と外装ケース1側のコネクタ91との接続は、直接人手により接続されるのではなく、外装ケース1に対しフィルタ−ユニット3をスライド式に取り付ける際に、フィルタ−ユニット3を外装ケース1内へ押し込む力を利用して行われる。
【0042】
上記のように構成されたフィルタ−ユニット3は、次のように動作する。
このようなフィルタ−ユニット3は、投写型映像表示装置の正面11からスライド式に取り付けられる。この取り付けにより、取っ手部80の裏側に取り付けられたコネクタ90と外装ケース1に取り付けられたコネクタ91とが接続される。これにより、フィルタ−ユニット3は、投写型映像表示装置本体の運転動作と連携して運転制御される。
【0043】
このフィルタ−ユニット3は、フィルターセンサ(不図示)により第1エアフィルタの目詰まりが検出されたときに運転される。フィルターセンサは、特に限定されるものではなく、例えば、第1エアフィルタ40が目詰まりを生じることにより、通風抵抗が増大し送風機用電動機(不図示)の電流値が増大することを検出するようなものが用いられている。
【0044】
フィルタ−ユニット3が運転されるときは、モータ62aが駆動され伝動軸63及びピニオン68が回転されることにより自走式掃除部60が図5に示す待機位置から図11に示す反対側の位置に向かって移動する(図15の直線矢印M1参照)。このとき回転ブラシ64は、第1エアフィルタ40を下方に押圧しながら図15における回転矢印M2の方向に回転することにより、第1エアフィルタ40に付着している塵埃Q1が掻き取られる。また、回転ブラシにより掻き取られた塵埃Q2は、ダストボックス65の入口において櫛歯状の除塵体65aによりダストボックス65内に振り落とされて、ダストボックス65内に貯留される。
【0045】
このようにして自走式掃除部60が図11に示す反対側の位置に到達すると、センサ(不図示)がこれを検出し、モータ62aが反転する。そして、自走式掃除部60が図5の待機位置へ移動する(図16における直線矢印M3参照)。自走式掃除部60の待機位置への移動に際し、回転ブラシ64を反転させると第1エアフィルタ40から掻き取られた塵埃Q2が再飛散する可能性がある。そこで、本実施の形態においてはワンウエイクラッチ66によりモータ62aの回転トルクが回転ブラシ64に伝達されないように構成されている。
【0046】
第1エアフィルタ40は、以上のような動作により自動的に繰り返し掃除されるが、長期間使用すると第1エアフィルタ40に塵埃が付着して残存する量が増大する。したがって、第1エアフィルタ40の洗浄、交換などのメンテナンスは、第1エアフィルタ40の掃除が手作業で行われていた場合と比較すると極端にその回数を減らすことができる。しかしながら、長期間使用した場合は第1エアフィルタ40に付着したまま残る塵埃量も増加するため、適切な期間をおいて第1エアフィルタ40を取り外して掃除したり、場合によっては新しいものと交換したりする必要が生じることは避け難い。本実施の形態は、このような場合に次のようにして第1エアフィルタ40のメンテナンスを行うことができる。
【0047】
先ず、投写型映像表示装置の正面11側からフィルタ−ユニット3を引き出して取り外す。このとき、フィルタ−ユニット3側のコネクタ90とベース部材30側のコネクタ91は直接手を触れることなく分離するように構成されている。したがって、この場合にフィルタ−ユニット3に接続されているコンセントを手で抜く必要はない。
【0048】
次いで、引き出されたフィルタ−ユニット3は、図5のように上下反転されて適宜の位置に載置される。そして、この状態においてベース部材30のフィルタ面に対し直角の方向からねじ40a及びねじ40bを取り外すことにより、自走式掃除部60の存在に干渉されることなく、第1エアフィルタ40をベース部材30のフィルタ面に対し直角の方向に取り外すことができる。第1エアフィルタ40は、このようにして容易に取り外すことができ、適切な方法で洗浄又は掃除することができる。また、第1エアフィルタ40が極端に古くなっている場合には、第1エアフィルタ40を新品と交換することもできる。また、洗浄又は掃除された第1エアフィルタ40及び新品の第1エアフィルタ40は、ベース部材30の開口部31に対応する所定の位置に載置した後、ねじ40a及びねじ40bを締結することにより、自走式掃除部60の存在に阻害されずに容易に取り付けることができる。
【0049】
また、第2エアフィルタ50について、洗浄、掃除、交換などのメンテナンスを行う場合は、第2エアフィルタ50をベース部材の枠部に対しフィルタ面と直角の方向から容易に取り外すことができる。すなわち、この場合は、フィルタ−ユニット3を投写型映像表示装置の正面11から引き出し、図1の状態として適宜の位置に載置する。そして、コ字形枠部35から第2エアフィルタ50の周辺部を引き出すことにより、第2エアフィルタ50を取り外すことができる。また、洗浄又は掃除後の第2エアフィルタ50を取り付けるときは、ウレタンシート部材52の表面をベース部材30の枠部33の表面部に当接するとともに、静電フィルタ部材51とウレタンシート部材52とを重ね合わせた組合せ物の周辺部を部分的にコ字形枠部35内に押し込めることにより、第2エアフィルタ50を容易に取り付けることができる。このように、第2エアフィルタ50の着脱も自走式掃除部60の存在に干渉されることなく容易に行うことができる。
【0050】
本実施の形態に係るエアフィルタ装置及び投写型映像表示装置によれば次の効果を奏することができる。
(1)本発明に係るエアフィルタ装置によれば、自走式掃除部60が第1エアフィルタ40の風上側表面部を待機位置から反対側に位置へ向けて移動することにより、第1エアフィルタ40に付着した塵埃を(掃除用ブラシとしての)回転ブラシ64により除去することができる。
【0051】
(2)また、本実施の形態によるフィルタ−ユニット3では、第1エアフィルタ40を従来技術のようにベース部材30上で移動させる必要がないので、第1エアフィルタ40を収納する容器を小さくすることができる。
【0052】
(3)また、第1エアフィルタ40のベース部材30への固定手段は、フィルタ面と略直角の方向から見て待機位置に位置する自走式掃除部60と平面的に重ならない位置でベース部材30に取り付けられている。このため、第1エアフィルタ40の交換、掃除のための取り外しなどのメンテナンス作業を自走式掃除部60の存在に干渉されることなく行うことができる。
【0053】
(4)また、自走式掃除部60は、フィルタ面と略直角の方向から見て第1エアフィルタ40及び第2エアフィルタ50のフィルタ面と平面的に重ならない位置で待機しているので、第1エアフィルタ40及び第2エアフィルタ50の有効面積が最大に活用される。
【0054】
(5)本実施の形態に係るエアフィルタ装置は、第1エアフィルタ40、第2エアフィルタ50、ベース部材30、掃除用ブラシとしての回転ブラシ64、ダストボックス65、及びモータ62aを含むようにユニット化されている。したがって、応用製品からこのエアフィルタ装置を取り外した状態とすることにより、第1エアフィルタ40及び第2エアフィルタ50のメンテナンス作業を容易に行うことができる。また、応用製品とは別管理でエアフィルタ装置を製作することができるので、製造管理が容易となり、製造コストが低減される。
【0055】
(6)また、第1エアフィルタ40は、ベース部材30の枠部33に対しフィルタ面と略直角の方向から着脱できるように固定されているので、狭いスペースで第1エアフィルタ40を交換することができる。また、ねじ止め等の簡易な固定部材により第1エアフィルタ40をベース部材30に対し取り付けることができる。
【0056】
(7)また、ベース部材30の風下側表面部には第1エアフィルタ40より微細な塵埃を捕捉することのできる第2エアフィルタ50が取り付けられ、さらに、第1エアフィルタ40及び第2エアフィルタ50それぞれが、ベース部材30の枠部33に対しフィルタ面と略直角の方向から着脱できるように取り付けられている。したがって、第1エアフィルタ40及び第2エアフィルタ50とも狭いスペースで取り外し、交換等のメンテナンス作業を行うことができる。
【0057】
(8)また、ベース部材30は、風下側表面部に第2エアフィルタ50の周辺部を当接させるとともに、第2エアフィルタ50の周辺部を少なくとも部分的に挟み込むことができるコ字形枠部35が少なくとも部分的に形成され、第2エアフィルタ50の周辺部がこのコ字形枠部35に対し弾力的に挿入されて支持されている。したがって、第2エアフィルタ50の周辺部をコ字形枠部35に押し込むことにより第2エアフィルタ50を取り付けることができるので、第2エアフィルタ50の取付構造が簡略化される。
【0058】
(9)また、自走式掃除部60は、モータ62aに連結されたピニオン68がベース部材30に取り付けられたラック70上を回転することにより、第1エアフィルタ40の風上側表面部を移動するように構成されているので、駆動機構を含めてフィルタ−ユニット3を構成することができる。したがって、このように構成されたフィルタ−ユニット3は、応用製品とは別に生産管理することが容易になるとともに、応用製品への取り付けも簡略化される。
【0059】
(10)また、掃除用ブラシは、回転ブラシ64に構成されるとともに、この回転ブラシ64の回転により第1エアフィルタ40に付着した塵埃Q1を掻き取りながら移動するので、掃除用ブラシによる第1エアフィルタ40からの塵埃除去効率が向上する。
【0060】
(11)また、回転ブラシ64により第1エアフィルタ40から掻き取られた塵埃Q2は、回転ブラシ64の回転によりダストボックス65内に貯留されるように構成されているので、除去された塵埃Q2が間断なくダストボックス65に貯留される。
【0061】
(12)また、本実施の形態に係る投写型映像表示装置によれば、上記のエアフィルタ装置を、光学系機器を冷却する冷却空気の空気吸込口12に備えているので、装置全体の寸法を小型することができるとともに、エアフィルタの掃除作業が効率化及び簡略化され、さらに、エアフィルタのメンテナンス作業も楽に行うことができる。
【0062】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態において以下のように変更することができる。
・第1エアフィルタ40は、前記実施の形態において周辺枠部41及びフレーム部42と空気中の塵埃を捕捉する多孔性の濾過材部43とが樹脂一体成形されていたが、両者を別々に製作し接着することもできる。
【0063】
・第1エアフィルタ40は、ベース部材30の枠部33に対しフィルタ面と直角の方向から着脱できる固定手段により取り付けられているものが好ましく、上記実施の形態においてはねじ40a,40bにより固定されていたが、これに限定されるものではなく、例えば弾性爪により弾性的に固定できるようにしたものでもよい。
【0064】
・また、第1エアフィルタ40は、上記のようにフィルタ面と直角の方向から着脱できる固定手段により取り付けられていることが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば、枠部33に対し前後左右何れかの方向からスライド式に取り付けるようにしたものでもよい。
【0065】
・また、第2エアフィルタ50を取り付けるためのコ字形枠部35は、前記実施の形態においてベース部材30の開口部31周辺の各辺において部分的に形成されているが、このコ字形枠部35をプリーツ折り目と平行な辺については全体的に形成するようにしてもよい。
【0066】
・また、フィルタ−ユニット3の運転は、前記実施の形態においては目詰まりセンサにより第1エアフィルタ40の目詰まりが検出されたときに運転されていたが、これを投写型映像表示装置の投写が終了時にその都度自動的に作動するようにすることもできる。また、定期的に運転したり、クリーニングスイッチが投入された場合に運転したりするなど適宜の方法に変更してもよい。
【0067】
・また、投写型映像表示装置は、前記実施の形態においては3板式の透過型液晶ライトバルブ28r,28g,28bを用いた光学系2としているが、単板式等の他形式の光学系を用いたものとしてもよい。
【0068】
・また、本発明に係るフィルタ−ユニット3は、前記実施の形態においては投写型映像表示装置用としているが、空気調和機用として形成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る掃除装置は、液晶プロジェクタを初めとする種々の投写型映像表示装置や、ルームエアコン、電器集塵機などの種々の空気調和機に適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
Q1,Q2…塵埃、12…空気吸込口、30…ベース部材、31…開口部、33…枠部、35…コ字形枠部、40…第1エアフィルタ、50…第2エアフィルタ、60…自走式掃除部、62a…モータ、64…回転ブラシ、65…ダストボックス、68…ピニオン、70…ラック。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入空気中の塵埃を捕捉する第1エアフィルタと、空気吸込用の開口部を備えるとともに、この開口部の風上側においてこの開口部の周囲の枠部に前記第1エアフィルタを取り付けるように形成されたベース部材と、非掃除時には前記ベース部材の前記枠部に位置し、掃除時には第1エアフィルタの風上側表面部を移動するように前記ベース部材に取り付けられる自走式掃除部とを備え、
自走式掃除部は、第1エアフィルタから塵埃を除去するための掃除用ブラシと、この掃除用ブラシにより除去された塵埃を貯留するためのダストボックスと、自走するためのモータとを備え、
前記第1エアフィルタのフィルタ面及びベース部材への固定手段は、フィルタ面と略直角の方向から見て、待機位置に位置する前記自走式掃除部と平面的に重ならない位置に配置されている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項2】
請求項1記載のエアフィルタ装置であって、
このエアフィルタ装置は、前記第1エアフィルタ、前記ベース部材、前記掃除用ブラシ、前記ダストボックス、及び前記モータを含むようにユニット化されるとともに、応用製品に対しユニットとして着脱自在に取り付け可能に構成されている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項3】
請求項2記載のエアフィルタ装置において、
前記第1エアフィルタは、前記ベース部材の前記枠部に対しフィルタ面と略直角の方向から着脱できるように固定されている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項4】
請求項3記載のエアフィルタ装置において、
前記ベース部材の風下側表面部には前記第1エアフィルタより微細な塵埃を捕捉することのできる第2エアフィルタが取り付けられ、さらに、前記第1エアフィルタ及び第2エアフィルタそれぞれが、ベース部材の前記枠部に対しフィルタ面と略直角の方向から着脱できるように取り付けられている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項5】
請求項4記載のエアフィルタ装置において、
前記ベース部材は、風下側表面部に前記第2エアフィルタの周辺部を当接させるとともに、第2エアフィルタの周辺部を少なくとも部分的に挟み込むことができるように、コ字形枠部が少なくとも部分的に形成され、前記第2エアフィルタの周辺部がこのコ字形枠部に対し弾力的に挿入されて支持されている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項6】
請求項2〜5の何れか1項に記載のエアフィルタ装置において、
前記自走式掃除部は、前記モータに連結されたピニオンが前記ベース部材に取り付けられたラック上を回転することにより、前記第1エアフィルタの風上側表面部を移動するように構成されている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項7】
請求項6記載のエアフィルタ装置において、
前記掃除用ブラシは、回転ブラシに構成されるとともに、この回転ブラシの回転により前記第1エアフィルタに付着した塵埃を掻き取りながら前記第1エアフィルタの風上側表面上を移動するように構成されている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項8】
請求項7記載のエアフィルタ装置において、
前記回転ブラシにより前記第1エアフィルタから掻き取られた塵埃は、回転ブラシの回転によりダストボックス内に貯留されるように構成されている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載のエアフィルタ装置を、光学系機器を冷却する冷却空気の空気吸込口に備えていることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項1】
吸入空気中の塵埃を捕捉する第1エアフィルタと、空気吸込用の開口部を備えるとともに、この開口部の風上側においてこの開口部の周囲の枠部に前記第1エアフィルタを取り付けるように形成されたベース部材と、非掃除時には前記ベース部材の前記枠部に位置し、掃除時には第1エアフィルタの風上側表面部を移動するように前記ベース部材に取り付けられる自走式掃除部とを備え、
自走式掃除部は、第1エアフィルタから塵埃を除去するための掃除用ブラシと、この掃除用ブラシにより除去された塵埃を貯留するためのダストボックスと、自走するためのモータとを備え、
前記第1エアフィルタのフィルタ面及びベース部材への固定手段は、フィルタ面と略直角の方向から見て、待機位置に位置する前記自走式掃除部と平面的に重ならない位置に配置されている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項2】
請求項1記載のエアフィルタ装置であって、
このエアフィルタ装置は、前記第1エアフィルタ、前記ベース部材、前記掃除用ブラシ、前記ダストボックス、及び前記モータを含むようにユニット化されるとともに、応用製品に対しユニットとして着脱自在に取り付け可能に構成されている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項3】
請求項2記載のエアフィルタ装置において、
前記第1エアフィルタは、前記ベース部材の前記枠部に対しフィルタ面と略直角の方向から着脱できるように固定されている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項4】
請求項3記載のエアフィルタ装置において、
前記ベース部材の風下側表面部には前記第1エアフィルタより微細な塵埃を捕捉することのできる第2エアフィルタが取り付けられ、さらに、前記第1エアフィルタ及び第2エアフィルタそれぞれが、ベース部材の前記枠部に対しフィルタ面と略直角の方向から着脱できるように取り付けられている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項5】
請求項4記載のエアフィルタ装置において、
前記ベース部材は、風下側表面部に前記第2エアフィルタの周辺部を当接させるとともに、第2エアフィルタの周辺部を少なくとも部分的に挟み込むことができるように、コ字形枠部が少なくとも部分的に形成され、前記第2エアフィルタの周辺部がこのコ字形枠部に対し弾力的に挿入されて支持されている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項6】
請求項2〜5の何れか1項に記載のエアフィルタ装置において、
前記自走式掃除部は、前記モータに連結されたピニオンが前記ベース部材に取り付けられたラック上を回転することにより、前記第1エアフィルタの風上側表面部を移動するように構成されている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項7】
請求項6記載のエアフィルタ装置において、
前記掃除用ブラシは、回転ブラシに構成されるとともに、この回転ブラシの回転により前記第1エアフィルタに付着した塵埃を掻き取りながら前記第1エアフィルタの風上側表面上を移動するように構成されている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項8】
請求項7記載のエアフィルタ装置において、
前記回転ブラシにより前記第1エアフィルタから掻き取られた塵埃は、回転ブラシの回転によりダストボックス内に貯留されるように構成されている
ことを特徴とするエアフィルタ装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載のエアフィルタ装置を、光学系機器を冷却する冷却空気の空気吸込口に備えていることを特徴とする投写型映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−257548(P2011−257548A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131290(P2010−131290)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】
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