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エアベルト及びエアベルト装置
説明

エアベルト及びエアベルト装置

【課題】メッシュウェビングが十分に丈夫で且つ袋状ベルトの周方向に十分に伸長しうるエアベルトと、このエアベルトを備えたエアベルト装置とを提供する。
【解決手段】エアベルトは、袋状ベルトを帯状に折り畳んでなる折畳体と、該袋状ベルトの折畳体を覆ったメッシュウェビングとを有している。メッシュウェビングは、エアベルトの長手方向には殆ど伸長せず、袋状ベルトの周方向には柔軟に伸長可能となっている。メッシュウェビングは、ラッセル編みにより編まれた編み物よりなり、この編み物は、編み糸同士の結節部36の延在方向がエアベルトの長手方向となるように配材されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の乗り物の乗員を衝突時等に拘束するためのエアベルトに係り、特に、内部にガスが導入されることにより膨張する袋状ベルトを帯状に折り畳んでなる折畳体と、該袋状ベルトの折畳体を覆ったメッシュウェビングとを有し、該メッシュウェビングは、該袋状ベルトの膨張時に、該袋状ベルトの周方向に伸長するように構成されたエアベルトに関する。また、本発明は、このエアベルトを備えたエアベルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の乗り物の座席に座った乗員を衝突時等に膨張可能なエアベルトにより該座席に拘束するエアベルト装置は周知である。
【0003】
このエアベルトとして、内部にガスが導入されることにより膨張する袋状ベルトを帯状に折り畳んでなる折畳体と、該袋状ベルトの折畳体を覆ったメッシュウェビングとを有したものが特許文献1に記載されている。このメッシュウェビングは、袋状ベルトの周方向には柔軟に伸長しうるが、袋状ベルトの長手方向には殆ど伸長しないように構成された編み物よりなる。袋状ベルトの膨張時には、このメッシュウェビングの編目が袋状ベルトの周方向に広がり、その結果として、メッシュウェビングが袋状ベルトの長手方向に縮み、エアベルトの長さが短くなる。このようにエアベルトの長さが短くなると、エアベルトが乗員に密着し、乗員をしっかりと拘束することが可能となる。
【0004】
以下に、第6,7図を参照して、このメッシュウェビングを構成する編み物の編み方について説明する。第6,7図の内容は、それぞれ、特許文献1の第4,5図と同様である。
【0005】
第6図(a)は、編み糸120よりなる通常のメッシュウェビング用編み物を示しており、複数本の編み糸120がそれぞれ複数個のループRを形成するように編まれている。各編み糸120が形成するループRは、それぞれ、図の上方から下方に向かって左方及び右方に交互に位置をずらしながら配置されている(以下、上下方向及び左右方向は、図の上下方向及び左右方向をいう。)。各ループRの上端側(例えばループRB2の上端側)は、その上方に隣接する別の編み糸120のループRの下端側(例えばループRA1の下端側)に巻き付き、各ループRの下端側(例えばループRB2の下端側)には、その下方に隣接する該別の編み糸120のループRの先端側(例えばループRA3の上端側)が巻き付いている。これにより、ループRが上下方向に連続して配置されており、且つ、この上下方向に連続したループRの列においては、左右方向に隣り合う1対の編み糸120,120(例えば120A,120B)がそれぞれ形成するループRが交互に(例えば上方からループRA1,RB2,RA3の順に)並んでいる。
【0006】
第6図(b)は、編み組織に挿入糸130が挿入されたメッシュウェビング用編み物を示している。この挿入糸130は、上記の上下方向に連続したループRの列に沿って上方から下方に向かいつつ、各ループRの左側及び右側を交互に回り込むように引き回されている。挿入糸130は、各ループRの側方を回り込む直前に、当該ループRの上方に隣接したループRの側方を通り抜けて編み物の裏側から表側に引き出され、当該ループRとその上側のループRとをそれぞれ形成する編み糸120,120同士の交点の表側を回り込み、その後、当該ループRの側方を通り抜けて編み物の表側から裏側に戻るように引き回されている。このように編み組織に挿入糸130を挿入することにより、編み物の強度が向上し、編み物の厚さを比較的小さくすることが可能となる。
【0007】
第7図(a)は、第6図(b)の編み物よりなるメッシュウェビングの伸長前の状態を示し、第7図(b)は、このメッシュウェビングが袋状ベルトの膨張に伴って該袋状ベルトの周方向に伸長した状態を示している。この編み物でメッシュウェビングを構成する場合、編み物は、図の上下方向に連続したループRの列が袋状ベルトの長手方向に延在するように配材される。前述の通り、このメッシュウェビング(編み物)は、袋状ベルトの長手方向へは殆ど伸びないものとなっている。袋状ベルトが膨張したときには、第7図(b)の通り、メッシュウェビングの編目が横方向に広がり、その結果としてメッシュウェビングが袋状ベルトの長手方向に縮み、エアベルトの長さが短くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−348725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の編み物にあっては、袋状ベルトの周方向におけるメッシュウェビングの伸長量を大きくするには、該袋状ベルトの長手方向における各ループRの長さを大きくする必要がある。
【0010】
しかしながら、各ループRの長さを大きくすると、編み糸が疎らになるため、編み物の耐摩性や耐傷性が低下したり、編み物の耐火性が低下したり、袋状ベルトの折畳体を覆ったときの拘束性が低下したり、編み糸がほつれ易くなったりするおそれがある。そのため、このような編み物でメッシュウェビングを構成した場合には、袋状ベルトの折畳体をこのメッシュウェビングで覆った上からさらにカバーを装着する必要がある。その結果、エアベルトが分厚くなり、収納性が低下したり、装着感が悪化したりするおそれがある。
【0011】
本発明は、メッシュウェビングが十分に丈夫で且つ袋状ベルトの周方向に十分に伸長しうるエアベルトと、このエアベルトを備えたエアベルト装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明(請求項1)のエアベルトは、内部にガスが導入されることにより膨張する袋状ベルトを帯状に折り畳んでなる折畳体と、該袋状ベルトの折畳体を覆ったメッシュウェビングとを有し、該メッシュウェビングは、その少なくとも一部が、該袋状ベルトの膨張時に少なくとも該袋状ベルトの周方向に伸長する伸長可能部となっているエアベルトにおいて、該メッシュウェビングのうち少なくとも該伸長可能部は、ラッセル編みにより編まれた編み物よりなり、該編み物は、編み糸同士の結節部の延在方向が該エアベルトの長手方向となるように配材されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項2のエアベルトは、請求項1において、前記エアベルトは、前記袋状ベルトが膨張したときに、太さが比較的大きくなる大膨張部と、太さが該大膨張部よりも小さくなる小膨張部とを有しており、該大膨張部及び小膨張部にそれぞれ前記編み物が配材されており、該小膨張部に配材された該編み物は、その結節部の長さが、該大膨張部に配材された該編み物の結節部の長さよりも大きくなるように編まれており、これにより、該小膨張部に配材された該編み物の該袋状ベルトの周方向への伸長量は、該大膨張部に配材された該編み物の該袋状ベルトの周方向への伸長量よりも小さなものとなっており、該小膨張部において、該編み物により、該袋状ベルトの膨張が規制されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3のエアベルトは、請求項2において、前記大膨張部に配材された前記編み物と、前記小膨張部に配材された前記編み物とは、共通の編み糸により連続して編まれたものであることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4のエアベルトは、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記編み物を構成する編み糸は、ポリエステル又はナイロンよりなり、該編み糸の太さは500〜3000デニールであり、打込密度は4〜10コース/cmであることを特徴とするものである。
【0016】
請求項5のエアベルト装置は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のエアベルトと、該エアベルトの前記袋状ベルトを膨張させるためのインフレータとを備えたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のエアベルト及びエアベルト装置においては、袋状ベルトを覆ったメッシュウェビングの伸長可能部は、ラッセル編みにより編まれた編み物よりなり、且つこの編み物は、編み糸同士の結節部の延在方向がエアベルトの長手方向となるように配材されている。
【0018】
ラッセル編みにより編まれた編み物の編み組織においては、各編み糸のうち、隣り合う結節部同士の間の部分は、該結節部同士を繋ぐ脚部となっており、各結節部からは、エアベルトの長手方向の一端側及び他端側にそれぞれ二股状に脚部が延出したものとなっている。この編み物は、各結節部からエアベルトの長手方向の一端側に延出した脚部同士及び他端側に延出した脚部同士がそれぞれ開脚状に離反することにより、袋状ベルトの周方向に伸長する。従って、このエアベルトにあっては、メッシュウェビングの該周方向への伸張量は、実質的に、この編み組織の各結節部の長さ及び各脚部の長さによって決まる。即ち、編み物の編み糸打込密度を大きくしても、この編み組織における各結節部の長さを短くすること及び/又は各脚部の長さを長くすることにより、メッシュウェビングの該周方向への伸張量を大きくすることができる。
【0019】
編み物の編み糸打込密度を大きくすることにより、編み物の耐摩性や耐傷性、耐火性、袋状ベルトの折畳体を覆ったときの拘束性が向上する。また、ラッセル編みにより編まれた編み物は、仮に編み糸が切れてもほつれにくい。
【0020】
これにより、メッシュウェビングを、十分に丈夫で且つ袋状ベルトの周方向に十分に伸長しうるように構成することができる。
【0021】
請求項2の態様にあっては、エアベルトの小膨張部に配材される編み物における結節部の長さを、大膨張部に配材される編み物における結節部の長さよりも小さくすることにより、この小膨張部に配材される編み物の袋状ベルトの周方向への伸長量が小さくなるように構成している。これにより、袋状ベルトの膨張時には、エアベルトの小膨張部においては、この編み物により、袋状ベルトの膨張が規制され、エアベルトの太さが大膨張部よりも細くなる。このように構成した場合、袋状ベルト自体の膨張太さをエアベルトの大膨張部と小膨張部とで変えることが不要となり、袋状ベルトの構成を簡易化することが可能となる。
【0022】
この場合、請求項3の通り、エアベルトの大膨張部に配材される編み物と、小膨張部に配材される編み物とを、一続きの編み物とすることにより、メッシュウェビングの構成も簡易なものとすることができる。なお、編み物を、場所により結節部の長さ変えて一続きに編むには、編み機の構成自体はそのままで、コンピュータ柄(組織)制御装置を用い、プログラムにより、必要な場所で結節部の長さ、脚部の長さを変えるだけでよいので、メッシュウェビングの製造も容易である。
【0023】
請求項4の通り、この編み物を構成する編み糸は、ポリエステル又はナイロンよりなり、該編み糸の太さは500〜3000デニールであり、打込密度は4〜10コース/cmであることが好ましい。このように構成することにより、メッシュウェビングを十分に丈夫なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係るエアベルト装置のエアベルト膨張時の斜視図である。
【図2】実施の形態に係るエアベルトの非膨張時の平面図である。
【図3】図2のエアベルトの長手方向の途中部の断面斜視図である。
【図4】図2のエアベルトのメッシュウェビングを構成した編み物の概略的な平面図である。
【図5】図4の編み物の編み組織を示す平面図である。
【図6】従来例に係るエアベルトのメッシュウェビングを構成した編み物の説明図である。
【図7】図6の編み物により構成されたメッシュウェビングの非膨張時及び膨張時の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
第1図は、実施の形態に係るエアベルト装置のエアベルト膨張時の斜視図である。第2図は、実施の形態に係るエアベルトの非膨張時の平面図である。第3図は、このエアベルトの長手方向の途中部の断面斜視図である。第4図は、このエアベルトのメッシュウェビングを構成した編み物の概略的な平面図である。なお、第4図は、この編み物をメッシュウェビングの周方向に伸長させた状態を示している。第5図は、この編み物の編み組織を示す平面図である。以下の説明において、上下方向、左右方向及び前後方向とは、このエアベルトが装着される車両等の乗り物の乗員にとっての上下方向、左右方向及び前後方向をいう。
【0027】
エアベルト装置は、第1図の通り、車両等の乗り物の座席(図示略)に座った乗員の一方(この実施の形態では右側)の肩部の上方を通って該乗員の上半身の前面側を斜めに(この実施の形態では右上から左下へ)引き回されるショルダーベルト部を構成するエアベルト10と、該エアベルト10の上端に接続されたウェビング14と、この乗員の腰部付近の上側を左右方向に引き回されるラップベルト部11と、該座席の側方(この実施の形態では左側)に隣接して設置されたバックル装置12と、ベルト装着時に該バックル装置12に挿入係止されるタング13と、該座席のバックル装置12と反対側(この実施の形態では右側)に位置する車体のピラー部等に取り付けられており、ウェビング14が掛けられたショルダーアンカ18と、該ウェビング14を巻き取るリトラクタ15と、ラップベルト部11を巻き取るリトラクタ16等を備えている。各リトラクタ15,16は、座席のバックル装置12と反対側に配置されている。
【0028】
バックル装置12にはインフレータ17が設けられており、このインフレータ17の噴出ガスがエアベルト10内に導入される。
【0029】
タング13には、第2図に示すように、バックル装置12に差し込まれるタングプレート13aのほか、このインフレータ17からのガスを受け入れてエアベルト10内に導くためのノズル13bが設けられている。
【0030】
ラップベルト11は、先端(この実施の形態では左端)がタング13に接続され、後端(この実施の形態では右端)側がリトラクタ16に巻取可能に接続されている。
【0031】
エアベルト10は、内部にインフレータ17からのガスが導入されることにより膨張する袋状ベルト21と、該袋状ベルト21を覆ったメッシュウェビング22と、該メッシュウェビング22の外側に装着されたカバー23等を備えている。
【0032】
第2,3図の通り、袋状ベルト21は、非膨張時には、細長い帯状に折り畳まれている。メッシュウェビング22は、袋状ベルト21の非膨張時には、細長い筒状となっており、この袋状ベルト21の折畳体を被包している。メッシュウェビング22は、周方向には柔軟に伸長しうるが、長手方向には殆ど伸長しないように構成された編み物30よりなる。この編み物30の構成については、後で詳しく説明する。この実施の形態では、メッシュウェビング22の略全体が編み物30により構成されている。即ち、この実施の形態では、メッシュウェビング22の略全体が、袋状ベルト21の膨張に伴って周方向に伸長する伸長可能部となっている。なお、メッシュウェビング22の構成はこれに限定されない。例えば、メッシュウェビング22は、部分的に、編み物30以外の材料により構成されてもよい。
【0033】
このメッシュウェビング22の上端に前記ウェビング14が連なっている。この実施の形態では、メッシュウェビング22とウェビング14とは、編み物30により一続きに構成されている。編み物30は、このウェビング14を構成する部分では、その長手方向及び周方向に殆ど伸長しないものとなっている。編み物30のうち、メッシュウェビング22を構成する部分とウェビング14を構成する部分とでは、編み組織の構造(後述の結節部36及び脚部37の長さ等)が異なっているが、このメッシュウェビング22を構成する部分とウェビング14を構成する部分とでそれぞれ所定の編み組織となるように柄制御装置により編み方を変えることにより、これらの部分が継目なく一体に編まれている。メッシュウェビング22とウェビング14とを一体に編むことにより、これらを接続するための縫合が不要となる。また、これにより、メッシュウェビング22とウェビング14との間に、これらを縫合等によって接続することにより生じる強度低下が発生しない。なお、第2図の符号24は、カバー23を固定するための縫合部(シーム)を示している。メッシュウェビング22及び袋状ベルト21の下端はタング13に接続されている。前記ノズル13bを介してインフレータ17からのガスが袋状ベルト21に導入される。
【0034】
カバー23も、袋状ベルト21の非膨張時には、細長い筒状となっており、このメッシュウェビング22を被包している。第2図の符号25は、これらのカバー23、メッシュウェビング22及び袋状ベルト21の折畳体を共縫いすることによりこれらを一体化したテアシームを示している。このカバー23は、周方向には伸びにくい材料よりなり、袋状ベルト21の膨張時には、このカバー23が開裂して袋状ベルト21の膨張を許容するように構成されている。その際、テアシーム25も破断してカバー23、メッシュウェビング22及び袋状ベルト21の一体化が解除される。なお、カバー23の構成はこれに限定されない。
【0035】
第1図の通り、この実施の形態では、エアベルト10は、膨張時には、その上端側が下端側よりも太くなるように構成されている。即ち、この実施の形態では、エアベルト10が膨張した状態においては、該エアベルト10の上端側が大膨張部10aとなっており、それよりも下端側が小膨張部10bとなっている。なお、大膨張部10aの配置はこれに限定ない。例えば、エアベルト10の上下方向の途中部に大膨張部10aが配置され、それよりもエアベルト10の上端側及び下端側がそれぞれ小膨張部10bとなっていてもよい。エアベルト10の下端側に大膨張部10aが配置され、それよりも上端側が小膨張部10bとなっていてもよい。エアベルト10の長手方向に位置を異ならせて2個以上の大膨張部10aが設けられてもよい。エアベルト10は、膨張したときに、その上端側から下端側まで太さが略一定となるように構成されてもよい。
【0036】
次に、メッシュウェビング22を構成する編み物30について説明する。
【0037】
この編み物30は、ラッセル編みにより編まれたものである。
【0038】
第5図の通り、この編み物30は、複数本の編み糸31と、複数本の挿入糸32,33,34,35とにより構成されている。なお、第5図においては、挿入糸32は実線にて図示され、挿入糸33は二点鎖線にて図示され、挿入糸34は一点鎖線にて図示され、挿入糸35は破線にて図示されている。
【0039】
第4,5図の通り、ラッセル編みによる編み組織にあっては、各編み糸31の延在方向に所定の間隔にて、隣り合う編み糸31,31同士が編み合わされた複数個の結節部36が形成されている。各編み糸31の延在方向において、各編み糸31は、その両隣の編み糸31,31と交互に編み合わされてジグザグに結節部36を形成している。各編み糸31のうち、隣り合う結節部36,36同士の間の部分は、それぞれ、これらの結節部36,36同士を繋ぐ脚部37を形成している。第4図の通り、各結節部36からは、各編み糸31の延在方向の一端側及び他端側に向かってそれぞれ二股に脚部37が延出している。
【0040】
第4図の通り、編み物30は、各結節部36から各編み糸31の延在方向の一端側に延出した脚部37,37同士及び他端側に延出した脚部37,37同士がそれぞれ開脚状に離反することにより、各編み糸31の一端側から他端側に向かう方向と直交方向に伸長する。
【0041】
第4,5図の通り、各脚部37においては、編み糸31は、該脚部37の延在方向に連なる複数個のループを形成するように鎖編み状に編まれている。
【0042】
第5図の通り、各結節部36においては、隣り合う編み糸31,31同士は、それらの一端側から他端側に向かって、相互にサイドを入れ替え且つ互いに絡み合いながら、ジグザグ状に複数個のループを形成するように編まれている。即ち、各結節部36においては、複数個のループが連なるループ列が2列、並列に形成されている。本発明において、結節部36の延在方向とは、これらのループ列の延在方向をいう。各ループ列においては、隣り合う編み糸31,31同士のうちの一方が形成したループと、他方が形成したループとが交互に配列されている。各編み糸31は、これらのループ列を往復する間に、互いが形成したループを通り抜け、且つこれらのループ列同士の間で互いに交差している。これにより、各結節部36において、隣り合う編み糸31,31同士が結束されている。各結節部36の長さは、当該結節部36において1列のループ列に含まれるループの個数に比例する。
【0043】
挿入糸32〜35は、第5図の通り、2本ずつペアを組んで各脚部37に挿入され、各結節部36で合流した後、別の2本ずつのペアに別れて反対側の各脚部37に挿入されている。各脚部37においては、挿入糸32〜35は、それぞれ、該脚部37の延在方向の一端側から他端側に向かって、この延在方向に連なるループを順番に通り抜けるように引き回されている。各結節部36においては、挿入糸32〜35は、それぞれ、該結節部36の延在方向の一端側から他端側に向かって、この延在方向に連なる各ループ列のループを順番に、且つ隣接する一方のループ列のループと他方のループ列のループとを一続きに通り抜けるように引き回されている。
【0044】
この編み物30を構成する編み糸31としては、通常、ポリエステル又はナイロンが好ましく、特にポリエステルが好ましい。各編み糸の太さは500〜3000デニール特に1000〜2000デニールであることが好ましい。編み物30の編み糸打込密度は4〜10コース/cm特に5〜7コース/cmであることが好ましい。
【0045】
この編み物30は、各結節部36の延在方向と平行方向(即ちメッシュウェビング22の長手方向)には伸長しないように加熱延伸加工が施されている。これにより、編み物30は、各結節部36の延在方向と平行方向には殆ど伸長しないが、これと直交方向(即ちメッシュウェビング22の周方向)には柔軟に伸長しうるものとなっている。
【0046】
この編み物30によりメッシュウェビング22を構成する場合には、この編み物30は、各結節部36の延在方向が袋状ベルト21の長手方向と略平行となるように配材される。この編み物30は、初めから筒状に編まれたものであってもよく、平編み物として編まれた後、筒状に巻回され、その巻回方向の両端部同士が縫合等により結合されることにより、筒状のメッシュウェビング22とされてもよい。
【0047】
この実施の形態では、メッシュウェビング22は、全体が一連の編み物30により構成されている。即ち、編み物30のうち、エアベルト10の大膨張部10aに配材された部分と、小膨張部10bに配材された部分とは、共通の編み糸31及び挿入糸32〜35により一続きに編まれている。
【0048】
この実施の形態では、編み物30は、小膨張部10bに配置される部分における各結節部36の長さが、大膨張部10aに配置される部分における各結節部36の長さよりも大きくなるように編まれている。即ち、この編み物30は、その小膨張部10bに配置される部分における各結節部36の前記ループ列に含まれる編み糸31のループの数が、大膨張部10aに配置される部分における各結節部36の前記ループ列に含まれる編み糸31のループの数よりも多くなっている。なお、編み物30をこのように編むには、編み機(図示略)の構成自体はそのままで、コンピュータ柄(組織)制御装置を用い、プログラムにより、必要な場所で結節部の長さ、脚部の長さを変えるだけでよい。編み物30をこのように編むことにより、編み物30のうち小膨張部10bに配置される部分の周方向への伸長量を、大膨張部10aに配材される部分の周方向への伸長量よりも小さなものとすることができる。
【0049】
この実施の形態では、編み物30のうち、小膨張部10bに配置される部分における各脚部37の長さと、大膨張部10aに配材される部分における各脚部37の長さとは同等となっている。即ち、編み物30のうち、小膨張部10bに配置される部分における各脚部37に含まれる編み糸31のループの数と、大膨張部10aに配材される部分における各脚部37に含まれる編み糸31のループの数とは同数となっている。なお、編み物30のうち、大膨張部10aに配材される部分における各脚部37に含まれる編み糸31のループの数を、小膨張部10bに配置される部分における各脚部37に含まれる編み糸31のループの数よりも多くすることにより、大膨張部10aにおける編み物30の伸長量がより大きくなるように構成してもよい。
【0050】
編み物30のうち、小膨張部10bに配置される部分における各結節部36の前記ループ列に含まれる編み糸31のループ数は1〜10個特に1〜5個であることが好ましく、各脚部37に含まれるループ数は1〜5個特に1〜2個であることが好ましい。また、大膨張部10aに配置される部分における各結節部36の前記ループ列に含まれる編み糸31のループ数は1〜10個特に1〜5個であることが好ましく、各脚部37に含まれるループ数は3〜10個特に4〜5個であることが好ましい。
【0051】
この実施の形態では、袋状ベルト21自体は、メッシュウェビング22によって覆われていない状態で膨張したときには、その全長にわたって太さが略一定となるように構成されている。即ち、この実施の形態では、小膨張部30bにおいて、袋状ベルト21の膨張がメッシュウェビング22によって拘束されることにより、袋状ベルト21が膨張したときに、大膨張部10aにおけるエアベルト10の太さよりも小膨張部30bにおけるエアベルト10の太さの方が細くなる。
【0052】
なお、袋状ベルト21及びメッシュウェビング22の構成はこれに限定されない。例えば、袋状ベルト21自体が、大膨張部10aにおいては比較的太く膨張し、小膨張部10bにおいてはそれよりも細く膨張するように構成されてもよい。この場合、メッシュウェビング22は、その全長にわたって、その周方向への伸長量が略一定となるように構成されてもよい。
【0053】
このエアベルト10を備えたエアベルト装置の作動は次の通りである。
【0054】
車両の衝突時や横転時等にインフレータ17が作動すると、袋状ベルト21内にガスが導入され、袋状ベルト21が膨張する。このとき、カバー23が開裂すると共に、テアシーム25が破断して該袋状ベルト21の膨張を許容する。
【0055】
この袋状ベルト21の膨張に伴い、メッシュウェビング22がその周方向に伸長する。このメッシュウェビング22は、前述の通り、その周方向には柔軟に伸長するが、長手方向には殆ど伸長しない。そのため、袋状ベルト21の膨張に伴ってメッシュウェビング23が拡径すると、メッシュウェビング23の長さが短くなる。これにより、エアベルト10及びウェビング14にプリテンションが加えられる。
【0056】
これにより、乗員が座席に拘束される。また、ショルダーベルト部から乗員に加えられる衝撃が、膨張した袋状ベルト21によって緩和される。
【0057】
この実施の形態では、エアベルト10の上端側が大膨張部10aとなっており、比較的太く膨張するため、この膨張した大膨張部10aにより乗員の頭部を十分に拘束することができる。
【0058】
このエアベルト10により奏される作用効果は、次の通りである。
【0059】
このエアベルト10においては、メッシュウェビング22は、ラッセル編みにより編まれた編み物30よりなり、且つこの編み物30は、編み糸31同士の結節部36の延在方向がエアベルト10の長手方向となるように配材されている。
【0060】
前述の通り、ラッセル編みにより編まれた編み物30の編み組織においては、各編み糸31のうち、隣り合う結節部36,36同士の間の部分は、それぞれ、該結節部36,36同士を繋ぐ脚部37となっており、各結節部36からは、エアベルト10の長手方向の一端側及び他端側にそれぞれ二股状に脚部37が延出したものとなっている。この編み物30は、各結節部36からエアベルト10の長手方向の一端側に延出した脚部37,37同士及び他端側に延出した脚部37,37同士がそれぞれ開脚状に離反することにより、袋状ベルト21の周方向に伸長する。従って、このエアベルト10にあっては、メッシュウェビング22の該周方向への伸張量は、実質的に、この編み組織の各結節部36の長さ及び各脚部37の長さによって決まる。即ち、編み物30の編み糸打込密度を大きくしても、この編み組織における各結節部36の長さを短くすること及び/又は各脚部37の長さを長くすることにより、メッシュウェビング22の該周方向への伸張量を大きくすることができる。
【0061】
編み物30の編み糸打込密度を大きくすることにより、編み物30の耐摩性や耐傷性、耐火性、袋状ベルト21の折畳体を覆ったときの拘束性が向上する。また、ラッセル編みにより編まれた編み物30は、仮に編み糸31が切れてもほつれにくい。
【0062】
これにより、メッシュウェビング22を、十分に丈夫で且つ袋状ベルト21の周方向に十分に伸長しうるように構成することができる。
【0063】
この実施の形態では、編み物30のうち、エアベルト10の小膨張部10bに配材される部分における結節部36の長さを、大膨張部10aに配材される部分における結節部36の長さよりも小さくすることにより、この小膨張部10bにおいて、編み物30の袋状ベルト21の周方向への伸長量が小さくなるように構成している。これにより、袋状ベルト21の膨張時には、該小膨張部10bにおいては、この編み物30により、袋状ベルト21の膨張が規制され、エアベルト10の太さが大膨張部10aよりも細くなる。このように構成したことにより、袋状ベルト21自体の膨張太さをエアベルト10の大膨張部10aと小膨張部10bとで変えることが不要となり、袋状ベルト21の構成を簡易化することが可能となる。
【0064】
この実施の形態では、編み物30は、エアベルト10の大膨張部10aに配材される部分と、小膨張部10bに配材される部分とが一続きに編まれているので、メッシュウェビング22の構成も簡易なものとなっている。なお、前述の通り、編み物30を、場所により結節部36の長さ変えて一続きに編むには、編み機の構成自体はそのままで、コンピュータ柄(組織)制御装置を用い、プログラムにより、必要な場所で結節部の長さ、脚部の長さを変えるだけでよいので、メッシュウェビング22の製造も容易である。
【0065】
この実施の形態では、編み物30を構成する編み糸31は、通常、ポリエステル又はナイロンよりなり、該編み糸31の太さは500〜3000デニールであり、打込密度は4〜10コース/cmであるため、メッシュウェビング22を十分に丈夫なものとすることができる。
【0066】
上記の実施の形態は、本発明の一例を示すものであり、本発明は上記の構成に限定されない。
【0067】
例えば、上記の実施の形態では、エアベルト10は、乗員の上半身の前面側を斜めに引き回されるショルダーベルト部を構成するものであるが、乗員の腰部付近の上側を左右方向に引き回されるラップベルト部を構成するものであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 エアベルト
11 ラップベルト
13 タング
14 ウェビング
15,16 リトラクタ
17 インフレータ
21 袋状ベルト
22 メッシュウェビング
23 カバー
30 編み物
31 編み糸
32〜35 挿入糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にガスが導入されることにより膨張する袋状ベルトを帯状に折り畳んでなる折畳体と、
該袋状ベルトの折畳体を覆ったメッシュウェビングと
を有し、
該メッシュウェビングは、その少なくとも一部が、該袋状ベルトの膨張時に少なくとも該袋状ベルトの周方向に伸長する伸長可能部となっているエアベルトにおいて、
該メッシュウェビングのうち少なくとも該伸長可能部は、ラッセル編みにより編まれた編み物よりなり、
該編み物は、編み糸同士の結節部の延在方向が該エアベルトの長手方向となるように配材されていることを特徴とするエアベルト。
【請求項2】
請求項1において、前記エアベルトは、前記袋状ベルトが膨張したときに、太さが比較的大きくなる大膨張部と、太さが該大膨張部よりも小さくなる小膨張部とを有しており、
該大膨張部及び小膨張部にそれぞれ前記編み物が配材されており、
該小膨張部に配材された該編み物は、その結節部の長さが、該大膨張部に配材された該編み物の結節部の長さよりも大きくなるように編まれており、これにより、該小膨張部に配材された該編み物の該袋状ベルトの周方向への伸長量は、該大膨張部に配材された該編み物の該袋状ベルトの周方向への伸長量よりも小さなものとなっており、
該小膨張部において、該編み物により、該袋状ベルトの膨張が規制されていることを特徴とするエアベルト。
【請求項3】
請求項2において、前記大膨張部に配材された前記編み物と、前記小膨張部に配材された前記編み物とは、共通の編み糸により連続して編まれたものであることを特徴とするエアベルト。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記編み物を構成する編み糸は、ポリエステル又はナイロンよりなり、該編み糸の太さは500〜3000デニールであり、打込密度は4〜10コース/cmであることを特徴とするエアベルト。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のエアベルトと、
該エアベルトの前記袋状ベルトを膨張させるためのインフレータと
を備えたエアベルト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−103653(P2013−103653A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249884(P2011−249884)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(306009581)タカタ株式会社 (812)
【Fターム(参考)】