説明

エアマッサージ機

【課題】切替器の切替動作に伴い生じる振動のハウジング側への伝播を抑制することにより静粛性を得ることができるエアマッサージ機を提供する。
【解決手段】空気が給排気されることにより膨縮する空気袋と、空気袋に空気を給気可能なエアポンプ31と、エアポンプ31から空気袋に空気が給気される給気状態と該空気袋から前記空気が排気される排気状態とを切り替える電磁弁32と、電磁弁32を固定する板金部材37と、板金部材37とハウジング30との間に介在して板金部材37をハウジング30との間に隙間を有した状態に支持することにより、電磁弁32をハウジング30から離間した位置状態に設置するゴム製のスペーサー部材38とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気の給排気に基づき空気袋を膨縮させて使用者に施療を行うエアマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のエアマッサージ機として、例えば特許文献1に記載のエアマッサージ機が知られている。このエアマッサージ機では、エアポンプと空気袋との間を接続する空気の流路途中に切替弁(切替器)を設け、その切替弁の開閉動作(切替動作)を制御することにより、エアポンプから空気袋への給気状態と空気袋から大気への排気状態とが切り替わるように調整していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−204764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のエアマッサージ機では、切替弁がエアマッサージ機の外郭を構成するハウジング上にボルト等の締結部材により固定されていた。
そのため、切替弁が開閉動作した際に切替弁において生じた振動が剛体構造の締結部材を介してハウジング側に伝播することによって不快な騒音を生じさせてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、切替器の切替動作に伴い生じる振動がハウジング側へ伝播することを抑制することにより静粛性を得ることができるエアマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のエアマッサージ機は、空気が給排気されることにより膨縮する空気袋と、該空気袋に前記空気を給気可能なエアポンプと、該エアポンプから前記空気袋に前記空気が給気される給気状態と該空気袋から前記空気が排気される排気状態とを切り替える切替器と、該切替器を固定する固定部材と、該固定部材とハウジングとの間に介在して前記固定部材を前記ハウジングとの間に隙間を有した状態に支持することにより、前記切替器を前記ハウジングから離間した位置状態に設置する弾性体とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のエアマッサージ機において、前記固定部材には複数の前記切替器が固定されていることが好ましい。
また、本発明のエアマッサージ機において、前記エアポンプと前記切替器との間は可撓性を有した非直線状の給気路で接続されていることが好ましい。
【0008】
また、本発明のエアマッサージ機において、前記切替器には電線が弛みを有した状態で接続されていることが好ましい。
また、本発明のエアマッサージ機において、前記固定部材は、前記弾性体により支持される被支持部と、前記切替器を固定する固定部とを備え、該固定部と前記被支持部とは前記ハウジングに対する距離が異なることが好ましい。
【0009】
また、本発明のエアマッサージ機において、前記固定部材は弾性を有する板金部材からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、切替器の切替動作に伴い生じる振動がハウジング側へ伝播することを抑制することにより静粛性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る実施形態のエアマッサージ機を装備したマッサージ椅子の斜視図。
【図2】エアマッサージ機における給排気ユニットの外観斜視図。
【図3】給排気ユニットの内部の斜視図。
【図4】給排気ユニットにおける要部の斜視図。
【図5】給排気ユニットにおける要部の一部破断正面図。
【図6】変形例の給排気ユニットにおける要部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をマッサージ椅子が装備するエアマッサージ機に具体化した一実施形態を図1〜図5を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態のマッサージ椅子10は、図示しない床面上等に載置されるボックス状の脚部11を備え、その脚部11の上部には使用者が着座可能な座部12が固定されている。また、座部12の後側には、使用者が背中をもたれ掛けさせるための背もたれ部13が傾動可能に設けられる一方、座部12の前側には、使用者が脚を載せることができるオットマン14が設けられている。そして、座部12の両側には、使用者が腕を置くための左右一対の肘掛け部15が背もたれ部13から座部12の前方にかけて設けられている。
【0013】
背もたれ部13は、その全体がカバー16で覆われたものであり、そのカバー16内には、使用者に対して機械的なマッサージを行うマッサージ機構17が上下方向に往復移動可能に組み込まれている。このマッサージ機構17には、駆動モータ(図示略)が動力伝達可能に連結されており、この駆動モータの駆動力によりマッサージ機構17の上下動や該マッサージ機構17に備えられる一対の施療子17aの所定施療動作が行われるようになっている。すなわち、一対の施療子17aは、その所定施療動作により、カバー16の内面と摺接しつつ、使用者の肩や腰、背中といった各施療部位に対し、カバー16越しに揉みや擦り、叩きなどの各種マッサージを施すようになっている。
【0014】
また、本実施形態のマッサージ椅子10には、使用者の施療部位を圧迫するために付与される空気圧を変化させて使用者に施療を行うエアマッサージ機20が設けられている。図1に示すように、このエアマッサージ機20は、マッサージ椅子10における脚部11の内部に設けられた給排気ユニット21と、この給排気ユニット21と給排気ホース22により接続された状態でマッサージ椅子10の各所に設けられる複数の空気袋23(図1にはオットマン14と肘掛け部15の下部にそれぞれ図示)とから構成されている。尚、空気袋23は必要に応じて、背もたれ部13や座部12の表面に設けてもよい。
【0015】
図2及び図3に示すように、給排気ユニット21は、下側ハウジング30aと上側ハウジング30bとで形成される直方体形状のハウジング30を備えている。そして、このハウジング30の内部に、前記空気袋23に空気を給気する際に駆動されるエアポンプ31と、エアポンプ31と空気袋23との間を接続する通気路60の途中で弁切替動作する複数(本実施形態では2つ)の切替器としての電磁弁32と、エアポンプ31及び電磁弁32を制御する制御基板33とが収納されている。
【0016】
なお、通気路60は、エアポンプ31と電磁弁32との間を接続する給気路52と、電磁弁32と空気袋23との間を接続する前述した給排気ホース22とからなる。また、電磁弁32は、弁体(図示略)が給気路52と給排気ホース22とを連通させる給気用弁状態と、給気路52と給排気ホース22とを非連通にする一方で給排気ホース22を大気に連通させる排気用弁状態との間で弁切替動作する三方電磁弁によって構成されている。そして、電磁弁32は、制御基板33の制御に基づき弁切替動作することにより、エアポンプ31から通気路60を介して空気袋23に空気が給気される給気状態と、空気袋23から給排気ホース22を介して大気中に空気が排気される排気状態とを切り替えるようになっている。また、制御基板33には、図示しない商用電源(100V)に接続される電源接続部34が設けられている。そして、この電源接続部34を介して商用電源から供給された電力の電圧を例えば15V程度に変圧する変圧器35が、制御基板33と共に、ハウジング30における下側ハウジング30aの内面上に設置されている。
【0017】
図3及び図4に示すように、エアポンプ31は下側ハウジング30aの内面上において制御基板33の側方に設置され、エアポンプ31と制御基板33との間には通信線36が弛みを持たせた状態で配線されている。そして、エアポンプ31は、この通信線36を介して制御基板33から送信される制御信号に基づき、空気の給排気を行うポンプ駆動状態が制御されるようになっている。また、下側ハウジング30aの内面上においてエアポンプ31及び制御基板33の双方に対する側方となる位置には、電磁弁32を載置して固定する固定部材としての板金部材37が、弾性体の一例であるゴム製のスペーサー部材38を介して支持されている。
【0018】
図4及び図5に示すように、板金部材37は、金属製の帯状板片における長手方向での4箇所が略直角に折り曲げられた屈曲形状をしている。すなわち、板金部材37は、その長手方向での一端側寄り及び他端側寄りの2箇所が板片の一面側(図5では上面側)へ各々略直角に折り曲げられた一対の内曲げ部39として形成されるとともに、各内曲げ部39と板片の各端部との間の2箇所が板片の他面側へ各々略直角に折り曲げられた一対の外曲げ部40として形成されている。そして、板金部材37は、各外曲げ部40と板片の各端部との間となる部位がスペーサー部材38によって支持される被支持部41とされる一方、長手方向で両内曲げ部39の間となる部位が2つの電磁弁32を横並びに載置した状態で固定する固定部42とされている。
【0019】
図5に示すように、板金部材37における各被支持部41には支持孔43がバーリング加工によりそれぞれ形成されるとともに、下側ハウジング30aにおける板金部材37の支持領域内で各支持孔43と対応する位置には取付孔44がそれぞれ形成されている。そして、下側ハウジング30aの各取付孔44に対してスペーサー部材38の下端側部分が挿入されるとともに、板金部材37における各支持孔43に対してスペーサー部材38の上端側部分が挿入されるようになっている。
【0020】
図5に示すように、スペーサー部材38は、板金部材37の支持孔43及び下側ハウジング30aの取付孔44よりも小径の棒状部45と、その棒状部45における長手方向の4箇所に支持孔43及び取付孔44よりも大径に各々形成された鍔状部46〜49とを備えている。4つの鍔状部46〜49のうち、棒状部45の長手方向で最も一端側(図5では下端側)に形成された鍔状部46は、下側ハウジング30aの取付孔44に内面(図5では上面)側から挿入された場合に、その形状が弾性変形して取付孔44を外面側に通過するようになっている。そして、この最も一端側の鍔状部46と、これに下側ハウジング30aの厚さに相当する距離をおいて隣接する鍔状部47とで、下側ハウジング30aにおける取付孔44の周囲を挟持することにより、スペーサー部材38は、下側ハウジング30aの内面上に立設されるようになっている。
【0021】
一方、4つの鍔状部46〜49のうち、棒状部45の長手方向で最も他端側(図5では上端側)に形成された鍔状部49は、板金部材37の支持孔43に裏面(図5では下面)側から挿入された場合に、その形状が弾性変形して支持孔43を表面側に通過するようになっている。そして、この最も他端側の鍔状部49と、これに板金部材37における支持孔43の形成部分の厚さに相当する距離をおいて隣接する鍔状部48とで、板金部材37における支持孔43の周囲を挟持することにより、スペーサー部材38は、板金部材37を下側ハウジング30aから離間した位置状態に支持するようになっている。すなわち、スペーサー部材38は、板金部材37と下側ハウジング30aとの間に隙間Sを形成するように介在することにより、板金部材37を下側ハウジング30aから離間した位置状態に支持するようになっている。
【0022】
また、図4及び図5に示すように、板金部材37の固定部42上に横並びに載置された2つの電磁弁32は、各々の筐体下部から水平方向に突設された突片部32aがねじ部材50によって固定部42に締め付け固定されることにより、板金部材37上に固定されている。そして、既述したように、スペーサー部材38により板金部材37が下側ハウジング30aから離間した位置状態に支持される結果、この板金部材37上に載置された状態で固定されている電磁弁32も、同様に、下側ハウジング30aから離間した位置状態でハウジング30内に設置されることになる。なお、各電磁弁32と制御基板33との間には電源供給用の電線51が弛みを持たせた状態で配線されている。
【0023】
さらに、図5に示すように、下側ハウジング30aに対して板金部材37がスペーサー部材38を介して支持された状態となった場合に、その板金部材37においては、被支持部41と固定部42とが下側ハウジング30aからの各々の距離L1,L2が異なるようになる。すなわち、下側ハウジング30aに対して固定部42と被支持部41とが、そのような距離差(L1>L2)のある位置関係となるように、板金部材37における内曲げ部39及び外曲げ部40が形成されている。具体的には、下側ハウジング30aに対する距離では、固定部42の距離L2の方が被支持部41の距離L1よりも短くなるように、内曲げ部39と外曲げ部40が形成されている。そして、このように内曲げ部39及び外曲げ部40を形成することにより、下側ハウジング30aに上側ハウジング30bを組み付けた場合において、固定部42上に固定された電磁弁32の上部が上側ハウジング30bに当接しないようになっている。また、弾性を有する帯状板片の板金部材37に対して、このような内曲げ部39及び外曲げ部40を形成したことにより、板金部材37が捩れ方向に変形することを抑制する効果も期待できる。
【0024】
また、図4に示すように、下側ハウジング30a上において、エアポンプ31と電磁弁32との間は、可撓性を有した非直線状の給気路52により接続されている。より詳しくは、エアポンプ31の側壁から突設された第1ホース接続口53には弾性を有する第1ホース54の一端が接続され、第1ホース54は、その他端側が板金部材37の長手方向に沿うように延設されている。一方、電磁弁32のマニホールド55に形成された第2ホース接続口56には弾性を有する第2ホース57の一端が接続され、第2ホース57は、その他端側が板金部材37の短手方向に沿うように延設されている。そして、これらの第1ホース54と第2ホース57の他端同士がL型パイプ状のジョイント部材58を介して略直角に交差する態様で接続されている。
【0025】
尚、ジョイント部材58は、第1ホース54及び第2ホース57よりも剛性の高い材質で構成されている。そして、本実施形態では、これらの第1ホース54、L型パイプ状のジョイント部材58、及び第2ホース57により、エアポンプ31のポンプ駆動に基づき吐出された圧縮空気を電磁弁32のマニホールド55に向けて流動させる前述した給気路52が構成されている。また、電磁弁32のマニホールド55には、前記第2ホース接続口56とは別の第3ホース接続口59が設けられ、この第3ホース接続口59に対して空気袋23に一端が接続された前記給排気ホース22の他端が接続されている。
【0026】
そこで次に、以上のように構成されたエアマッサージ機20の作用に関し、特に空気袋23を膨縮(膨張及び収縮)させて使用者に施療を行う場合の給排気ユニット21の作用に着目して以下説明する。
【0027】
さて、マッサージ椅子10の座部12に使用者が着座し、その脚部をオットマン14に載せると共に、その腕を肘掛け部15に置いた状態で、図示しない操作パネルを操作して給排気ユニット21のエアポンプ31をポンプ駆動させると共に電磁弁32の弁切替動作を反復させると、空気袋23が膨張動作と収縮動作とを反復するようになる。すなわち、電磁弁32が、エアポンプ31から通気路60を介して空気袋23に空気が給気される給気状態と、空気袋23から給排気ホース22を介して大気中に空気が排気される排気状態とを切り替えるための弁切替動作を反復し、空気袋23に対する空気の供給と空気袋23からの空気の排気とが反復して行われるようになる。そのため、使用者の施療部位を圧迫する空気袋23の空気圧が変化し、使用者の脚部及び腕にマッサージが施されるようになる。
【0028】
この場合、電磁弁32は給気用弁状態と排気用弁状態との弁切替動作を繰り返すので、その動作切り替えに伴い振動を生じてしまう。こうした振動が電磁弁32を設置したハウジング30側に伝播すると、大きな騒音となってハウジング30の外部に漏れてしまい、ひいてはマッサージ椅子10の使用者に不快感を与えてしまうことになるが、本実施形態では、次のような理由により不快な騒音が抑制されることになる。
【0029】
すなわち、電磁弁32が下側ハウジング30aに対して直に固定されている場合には、電磁弁32で生じた振動がハウジング30側に直接的に伝播して騒音を生み出してしまうのに対し、本実施形態では、下側ハウジング30aに対して弾性体であるスペーサー部材38を介して支持された板金部材37に電磁弁32は固定されている。そのため、電磁弁32において生じた振動は、下側ハウジング30aに伝播する前段階で、まず、それ自身が弾性を有する金属製の板金部材37により幾分かは吸収されて減衰し、その次に、板金部材37と下側ハウジング30aとの間に介在するゴム製のスペーサー部材38によって更に吸収されて減衰する。その結果、電磁弁32からハウジング30側に振動が伝播することが効率良く抑制される。
【0030】
しかも、スペーサー部材38が介在することによって、板金部材37と下側ハウジング30aとの間には隙間Sが形成されているため、電磁弁32の振動を吸収してスペーサー部材38が振動することで板金部材37が変位したような場合にも、板金部材37が下側ハウジング30aに摺接して騒音を生じるようなことはない。さらに、その場合において、制御基板33と電磁弁32との間に配設されている電線51も弛みを持って配線されているため、断線の虞が低減される。
【0031】
また、空気袋23に空気を給気する際にポンプ駆動するエアポンプ31からは、そのポンプ駆動に伴い生じる振動が給気路52を構成するホース54,57等を介して電磁弁32に伝播して共振現象を生じさせ、電磁弁32の振動を大きくしてしまう虞があるが、本実施形態では、次のような理由により共振現象が抑制されることになる。
【0032】
すなわち、エアポンプ31と電磁弁32との間を接続する給気路52が、弾性を有する第1ホース54と第2ホース57、及び両ホース54,57を接続するL型パイプ状のジョイント部材58にて可撓性を有した非直線状の給気路に形成されているため、給気路の長さ方向及びこれと直交する径方向の双方向の振動成分が良好に吸収される。その結果、エアポンプ31において振動が発生しても、その振動が給気路52を介して電磁弁32に伝播することが抑制され、電磁弁32において共振現象が生じることが抑制される。
【0033】
また、給排気ユニット21において複数個(この場合は2個)の電磁弁32を設置する場合、下側ハウジング30aに対して取付前の板金部材37の固定部42に各電磁弁32を横並びに固定する作業を終えた後、そのように複数個(2個)の電磁弁32を固定済みの板金部材37を下側ハウジング30aに対して取り付けることになる。すなわち、予め作業性の良い環境で複数個の電磁弁32を板金部材37に固定した後、1回の取付作業で下側ハウジング30aに対して複数個の電磁弁32の設置作業が完了することになる。
【0034】
本実施形態のエアマッサージ機20によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)エアポンプ31から空気袋23に空気が給気される給気状態と、空気袋23から空気が排気される排気状態とを切り替えるために電磁弁32を弁切替動作させた場合に電磁弁32において生じた振動がハウジング30側へ伝播することを、電磁弁32が固定された板金部材37と下側ハウジング30aとの間に介在するゴム製のスペーサー部材38により減衰させることができる。そのため、エアマッサージ機20においては、電磁弁(切替器)32の切替動作に伴い生じる振動のハウジング30側への伝播を抑制することにより静粛性を得ることができる。
【0035】
(2)しかも、電磁弁32を固定した状態でスペーサー部材38を介して下側ハウジング30aに支持される固定部材も、それ自身が弾性を有する金属製板片からなる板金部材37であるので、電磁弁32に生じた振動を板金部材37においても吸収して減衰させることができ、より一層、電磁弁32からハウジング30側への振動の伝播を抑制できる。
【0036】
(3)ゴム製のスペーサー部材38により下側ハウジング30aに支持された板金部材37上に固定されている電磁弁32が振動することに伴い、板金部材37が変位動作したとしても、その板金部材37はスペーサー部材38が介在することで下側ハウジング30aとの間に隙間Sを有した状態で変位動作することになる。したがって、下側ハウジング30aと摺接することもないので、不快な騒音を発生することもない。
【0037】
(4)また、そのように電磁弁32を固定した板金部材37が電磁弁32の振動に伴い変位動作した場合にも、電磁弁32と制御基板33との間に接続されている電線51は、その配線形態に弛みを持たされているので、断線の虞を低減することができる。
【0038】
(5)ハウジング30内に電磁弁32を設置する場合には、予め作業性の良い環境下で板金部材37に対して電磁弁32を固定する作業をした後に、その電磁弁32を固定済みの板金部材37を下側ハウジング30aにスペーサー部材38を介して取り付けるだけでよいので、電磁弁32の設置作業を容易に行うことができる。特に、複数個の電磁弁32を設置する場合には、その作業効率が向上する。
【0039】
(6)板金部材37は、電磁弁32を固定する固定部42の方が、スペーサー部材38により支持される被支持部41よりも、下側ハウジング30aに対する距離が小さくなるように折り曲げ形成されているので、ハウジング30内に電磁弁32を設置した場合に、板金部材37上の電磁弁32が上側ハウジング30bに当接することを回避できる。すなわち、ハウジング30の小型化に貢献できると共に、上側ハウジング30bに対して無用な変形加工をする必要もなくなる。
【0040】
(7)また、電磁弁32を固定する板金部材37は、長手方向の複数箇所に短手方向に沿う折曲げ部(内曲げ部39、外曲げ部40)が形成されているので、それらの折曲げ部により帯状板片の板金部材37の剛性を強化することができる。
【0041】
(8)ポンプ駆動に伴いエアポンプ31において発生した振動がホース54,57などからなる給気路52を介して電磁弁32に伝播しようとしても、そのような振動は可撓性を有した非直線状の給気路52により給気路の長さ方向及び径方向の振動成分を吸収して伝播することを抑制できる。そのため、エアポンプ31から伝播する振動によって電磁弁32が共振現象を生じることを抑制できる。
【0042】
なお、上記実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・図6に示すように、エアポンプ31を下側ハウジング30aとの間にゴム製のスペーサー部材38を介在させて下側ハウジング30a上に設置し、そのエアポンプ31の上面に電磁弁32をねじ部材50で締め付け固定してもよい。このように構成した場合にも、電磁弁32で生じた振動を、下側ハウジング30aに伝播する前段階でエアポンプ31と下側ハウジング30aとの間に介在するゴム製のスペーサー部材38により減衰させることができる。
【0043】
・上記実施形態において、電磁弁32を固定する固定部材は、弾性を有する金属製板片の板金部材37ではなく、弾性を有しない部材であってもよい。
・上記実施形態において、板金部材37は内曲げ部39や外曲げ部40のある屈曲形状のものに限らず、平板状の板金部材37であってもよい。すなわち、板金部材37は、固定部42及び被支持部41が、下側ハウジング30aに対する距離L1,L2を同じとする位置関係にあってもよい。
【0044】
・上記実施形態において、板金部材37上に固定される電磁弁32の個数は、2個以外に1個でもよく、3個以上の複数個であってもよい。
・上記実施形態において、エアポンプ31と電磁弁32との間を接続する空気の給気路52は、可撓性を有する螺旋状ホースを使用することにより非直線状に構成してもよい。
【0045】
・上記実施形態において、エアポンプ31と電磁弁32との間を接続する空気の給気路52は、可撓性を有しない剛体のパイプからなるものでもよい。
・上記実施形態において、エアポンプ31と電磁弁32との間を接続する空気の給気路52は、エアポンプ31と電磁弁32との間を非直線状ではなく直線状に延びて接続するものであってもよい。
【0046】
・上記実施形態において、弾性体としてのゴム製のスペーサー部材38の形状は、実施形態に示す形状以外でもよい。要するに、固定部材としての板金部材37と下側ハウジング30aとの間に隙間Sを形成するように介在して、板金部材37及びこれに固定された電磁弁32を下側ハウジング30aから離間した位置状態にできるものならば適用することができる。
【0047】
・上記実施形態において、弾性体は、ゴム製の部材に限らず、ばね部材やスポンジ部材などでもよい。要するに、電磁弁(切替器)32を固定する板金部材(固定部材)37よりも低い弾性率の弾性を有して板金部材37と下側ハウジング30aとの間に介在できる部材であればよい。
【0048】
・上記実施形態において、通気路60の途中に三方電磁弁からなる電磁弁32を設ける代わりに通気路を開閉する第1開閉弁を設けると共に、これとは別に空気袋23から空気を排気させる際に開放される第2開閉弁を更に設け、これらの第1開閉弁と第2開閉弁とからなる切替器の開閉動作を制御することにより空気袋23の給排気を行ってもよい。
【0049】
・上記実施形態では、マッサージ椅子10でのエアマッサージ機20に具体化したが、マッサージ機能付きベッドなどマッサージ椅子以外の健康器具におけるエアマッサージ機に具体化してもよい。また、エアマッサージ機20が単体扱いで使用者に把持されて使用される健康器具に適用してもよい。
【符号の説明】
【0050】
20…エアマッサージ機、23…空気袋、30,30a,30b…ハウジング、31…エアポンプ、32…電磁弁(切替器)、37…板金部材(固定部材)、38…スペーサー部材(弾性体)、41…被支持部、42…固定部、51…電線、52…給気路、L1,L2…距離、S…隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が給排気されることにより膨縮する空気袋と、
該空気袋に前記空気を給気可能なエアポンプと、
該エアポンプから前記空気袋に前記空気が給気される給気状態と該空気袋から前記空気が排気される排気状態とを切り替える切替器と、
該切替器を固定する固定部材と、
該固定部材とハウジングとの間に介在して前記固定部材を前記ハウジングとの間に隙間を有した状態に支持することにより、前記切替器を前記ハウジングから離間した位置状態に設置する弾性体と
を備えたことを特徴とするエアマッサージ機。
【請求項2】
前記固定部材には複数の前記切替器が固定されていることを特徴とする請求項1に記載のエアマッサージ機。
【請求項3】
前記エアポンプと前記切替器との間は可撓性を有した非直線状の給気路で接続されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエアマッサージ機。
【請求項4】
前記切替器には電線が弛みを有した状態で接続されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のエアマッサージ機。
【請求項5】
前記固定部材は、前記弾性体により支持される被支持部と、前記切替器を固定する固定部とを備え、該固定部と前記被支持部とは前記ハウジングに対する距離が異なることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のエアマッサージ機。
【請求項6】
前記固定部材は弾性を有する板金部材からなることを特徴とする請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載のエアマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−223431(P2012−223431A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95036(P2011−95036)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】