エアレスポンプ付流体容器
【課題】エアレスポンプ付流体容器において、内容物を略完全に吐出するために、内側容器の側面を蛇腹形状とするが、該蛇腹形状の収縮に際しては、コイルバネを用いず、エアレスポンプの吐出力のみにて内側容器の側面の蛇腹形状が円滑に収縮するように構成する。
【解決手段】内側容器の側面が蛇腹構造をなし、内側容器の最大直径が蛇腹構造の1ピッチの長さの3.5〜5倍であり、蛇腹構造の隣接面の角度が75°〜95°、さらには84°〜92°であり、完全収縮状態にて吸入管の端部が内側容器の底面近傍に位置するように構成されているエアレスポンプ付流体容器を提供する。
【解決手段】内側容器の側面が蛇腹構造をなし、内側容器の最大直径が蛇腹構造の1ピッチの長さの3.5〜5倍であり、蛇腹構造の隣接面の角度が75°〜95°、さらには84°〜92°であり、完全収縮状態にて吸入管の端部が内側容器の底面近傍に位置するように構成されているエアレスポンプ付流体容器を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアレスポンプ付流体容器に関するものであり、さらに詳しくは、以下の構成を有するエアレスポンプ付流体容器に関するものである。
<構成1>
エアレスポンプと、該エアレスポンプを口部に装着した軟質材からなる内側容器と、内側容器の全体を収容する硬質材からなる外側容器から構成されるエアレスポンプ付流体容器において、内側容器の側面が蛇腹構造をなし、エアレスポンプの操作によって内容物が排出されることにより該蛇腹構造が収縮されて内側容器の内容積が減少され、さらに上記蛇腹構造が完全に収縮された状態にてエアレスポンプの吸入管の端部が内側容器の底面近傍に位置するように構成されていることを特徴とするエアレスポンプ付流体容器。
<構成2>
エアレスポンプ付流体容器の内側容器の最大直径が側面の蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さの3.5倍〜5倍の範囲内であることを特徴とする構成1に記載のエアレスポンプ付流体容器。
<構成3>
エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が75°〜95°の範囲内であることを特徴とする構成1あるいは構成2に記載のエアレスポンプ付流体容器。
<構成4>
エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が84°〜92°の範囲内であることを特徴とする構成3に記載のエアレスポンプ付流体容器。
<構成5>
内側容器の底面全体が下に凸の曲面状に構成されていることを特徴とする構成1あるいは構成2あるいは構成3あるいは構成4に記載のエアレスポンプ付流体容器。
【背景技術】
【0002】
エアレスポンプと、該エアレスポンプを口部に装着した軟質材からなる内側容器と、内側容器の全体を収容する硬質材からなる外側容器からなるエアレスポンプ付流体容器は従来からよく知られており、その一例の構成は、下記特許文献1の図11に見るとおりである。このようなエアレスポンプ付流体容器は、内側容器の収縮が不十分であるところから、内側容器内に内容物の残留が顕著で、通常10〜5%の内容物は吐出されず、内側容器とともに廃棄されるしかなかった。そこで、内側容器の底面形状、吸入管の長さ、内側容器の底面の厚さなどに工夫を加えて内容物の残留を3%以下に留めることのできるエアレスポンプ付流体容器を開発したが、この容器が下記特許文献1に記載のエアレスポンプ付流体容器である。
【0003】
しかしながら、下記特許文献1に記載のエアレスポンプ付流体容器にても、3%以下という微量ながら内容物の残留が見られる。そこで、さらに内側容器の形状に工夫を加え、内容物の残留を略0%にできるエアレスポンプ付流体容器の開発を目指した。その過程で浮上してきたのが、内側容器の側面を蛇腹状に形成し、収縮時に蛇腹部分が折畳まれることにより内側容器の底面自体が上昇し、完全に内容物を吐出することが可能となるエアレスポンプ付流体容器の構成である。
【0004】
内側容器の側面を蛇腹状に形成したノズル付流体容器自体は既に知られている。その例を、下記特許文献2、3に掲げる。このうち、下記特許文献2の「スプレー容器」は、側面を蛇腹状に形成した軟質の内側容器の底面にピストンとコイルバネを連接して全体を硬質の外側容器内に封入したもので、内側容器の内容物が減少するにつれてコイルバネが伸長し、内側容器の蛇腹状の側面が収縮して、ついには内容物を略完全に吐出できるとするものである。
【0005】
また、下記特許文献3の「流体放出容器」は、側面を蛇腹状に形成した軟質の内側容器の側面の凸部(山部)の内側にコイルバネを装着し、硬質の外側容器内に封入したもので、内側容器の内容物が減少するにつれてコイルバネの収縮力によって強制的に内側容器を折畳むものである。この「流体放出容器」の場合には目的が環境に悪影響を与えるフレオンガスを使用しない「流体放出容器」を開発するという点にあり、フレオンガスの吐出力をコイルバネの収縮力によって代替させている点にその特色があるが、コイルバネの付勢力によって内側容器の蛇腹部分を収縮させるという点においては下記特許文献2の「スプレー容器」と共通する技術内容を開示するものである。
【特許文献1】特願2006‐329161号
【特許文献2】特開平11‐115977号公報
【特許文献3】実開平2‐81648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2の「スプレー容器」、上記特許文献3の「流体放出容器」は、内側容器の側面を蛇腹状とし、該蛇腹部分を収縮させるという技術内容を開示するものである。しかしながら、コイルバネの付勢力によって内側容器の側面の蛇腹部分を収縮させるという点において、実用化がなかなかなされにくいという問題点を有していた。
【0007】
すなわち、上記特許文献3の「流体放出容器」においては、従来の単純な内側容器に比較して製造工程がかなり複雑なものとなり、その結果は価格に反映されざるをえない。たとえば、内容物をシャンプーや化粧液として、これらの内容物を単純な構成の内側容器に収納し、内側容器の口部にエアレスポンプを装着しさらに内側容器を硬質の外側容器に収納したエアレスポンプ付流体容器においては、内側容器の内容物を使い切ると、内容物が充填された新たな内側容器と交換するという用いられ方が一般的であるが、この際に、常にコイルバネが装着された内側容器を購入しなければならないということになり、所謂「リフィル容器」(再充填容器)としての魅力が相当程度減じられる。
【0008】
すなわち、「リフィル容器」の利点としては、まず第1に安価であるという点が挙げられるが、コイルバネが装着された内側容器は製造工程が複雑で、単純な「リフィル容器」よりどうしてもコスト高とならざるをえない。また、収縮過程においても、内側にコイルバネが装着されているのでコイルバネのスペース分だけ収縮が不完全となり、内容物の残留度が高くなるという欠点も合わせ持つ。
【0009】
上記特許文献2の「スプレー容器」においては、内側容器自体にはコイルバネは装着されていないが、外側容器の底面にコイルバネとシリンダが装着されており、新たな内側容器を外側容器にセットする際には、なんらかの手段でコイルバネを収縮させなければならない。この際、コイルバネの付勢力が強いとコイルバネの収縮に困難が生じるが、逆に弱いと使用時に内側容器の円滑な収縮に支障が生じる。いずれにせよ、単純な構成の内側容器を単純な構成の外側容器に収納する際のような簡単な操作にはならない。また、外側容器自体の構成が複雑なので、当然製造工程も複雑となり、その点は「スプレー容器」全体のコストに必然的に反映されざるをえない。さらに、コイルバネとシリンダの分だけ容器全体が嵩張るという欠点も存した。すなわち、容器の見せかけの大きさの割りに、内容物が少ないという問題点である。
【0010】
さらに、両者に共通する問題点としては、いずれもコイルバネを用いるので、その分全体重量が重くなり扱いづらいという点、さらには、コイルバネを金属製とした場合には廃棄の際に分解して選別しなければならないという点があげられる。また、美容室などにおいて用いられるシャンプーや洗顔剤等の容器においては、外観の美しさも問題となるので、容器全体を透明とすることが多い。このような環境において、コイルバネが露見する構成の容器はやはり敬遠されるものと予測せざるをえない。
【0011】
上記より、本発明の解決すべき課題を以下のように設定した。
内容物を略完全に吐出するために、内側容器の側面を蛇腹構造とするが、該蛇腹構造の収縮に際しては、コイルバネを用いず、エアレスポンプの吐出力のみにて内側容器の側面の蛇腹構造が円滑に収縮するように構成する。このために、内側容器の蛇腹構造の構成について、さまざまな試作による検討を重ねた結果、エアレスポンプの吐出力のみにて円滑な収縮が行われるためには、内側容器の最大直径と蛇腹構造の最大延伸時におけるピッチの長さの問題、及び蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面がなす角度の問題が決め手になることがわかってきた。したがって、この2点について適切な構成を有する蛇腹構造とすることにより、エアレスポンプの吐出力のみにて円滑な収縮が可能な内側容器を有するエアレスポンプ用流体容器の開発を実現することを、本発明の課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、以下に示す解決手段を提供するものである。
<解決手段1>
エアレスポンプと、該エアレスポンプを口部に装着した軟質材からなる内側容器と、内側容器の全体を収容する硬質材からなる外側容器から構成されるエアレスポンプ付流体容器において、内側容器の側面が蛇腹構造をなし、エアレスポンプの操作によって内容物が排出されることにより該蛇腹構造が収縮されて内側容器の内容積が減少され、さらに上記蛇腹構造が完全に収縮された状態にてエアレスポンプの吸入管の端部が内側容器の底面近傍に位置するように構成されていることを特徴とするエアレスポンプ付流体容器。
<解決手段2>
エアレスポンプ付流体容器の内側容器の最大直径が側面の蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さの3.5倍〜5倍の範囲内であることを特徴とする解決手段1に記載のエアレスポンプ付流体容器。
<解決手段3>
エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が75°〜95°の範囲内であることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2に記載のエアレスポンプ付流体容器。
<解決手段4>
エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が84°〜92°の範囲内であることを特徴とする解決手段3に記載のエアレスポンプ付流体容器。
<解決手段5>
内側容器の底面全体が下に凸の曲面状に構成されていることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2あるいは解決手段3あるいは解決手段4に記載のエアレスポンプ付流体容器。
【0013】
解決手段2の内側容器の最大直径と蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さとの関連について、詳細に説明すれば、以下のとおりである。
図16に見るように、内側容器1の最大直径をφ、蛇腹構造Bの最大延伸時における長さ(上下方向の延長)をL、蛇腹構造Bの最大延伸時における1ピッチの長さをPTとすると、長さLは長さPTのn倍になっている。ただし、n=正の整数とする。
【0014】
ここで、最大直径φと長さLの比RT1を、一般的に用いられる内側容器について求めてみると、RT1は2〜5の間に入る。すなわち、
φ:L=1:RT1 (1)
RT1=2〜5 (2)
このような関係が成立する。
特に、理美容界において用いられるエアレスポンプ付流体容器の内側容器1に関しては、略すべての容器が上記比率の範囲内のものであるといっても良い。
【0015】
ここで、1ピッチの長さPTと最大直径φの比をRT2とすれば、
PT:φ=1:RT2 (3)
となる。
したがって、
RT2=φ/PT (4)
となる。
ここで、(1)式を変形すると、
φ=L/RT1 (5)
となるから、このφの値を(4)式に代入すれば、
RT2=L/RT1×PT (6)
である。ところが、L=n×PT(nは正の整数)であるから、
RT2=n/RT1 (7)
となる。
【0016】
内側容器1は、最も縦長のもの、すなわちRT1の値が最大の5の容器であっても、n、すなわち蛇腹構造のピッチ数は余り多くしたくない。その理由は、nが大になればなるほど金型製作に要する手間も複雑となるし、また、蛇腹構造Bが完全に収縮した場合にも、全体の延長が余り短くならないからである。すなわち、完全収縮時において、長さLが3分の1以下になるようにしたい。このような諸条件を勘案して、RT1の値が最大の5の容器の場合で、nの最大値が25という条件を設けた。したがって、(7)式にn=25、RT1=5を代入して、
RT2=5
という結果を得た。
ゆえに、RT2、すなわち蛇腹構造Bの最大延伸時における1ピッチの長さPTと内側容器1の最大直径φとの比RT2の最大値を5とした。
【0017】
次に、比RT2の最小値であるが、これは、比RT1の値が最小値の2である容器から定められる。すなわち、比RT1の値が2の最も扁平な内側容器においても、ある程度の全体のピッチ数nは確保しなければならない。というのは、最大直径φや長さLを一定とした場合に、全体のピッチ数nが小さくなればなるほど内容積の少ない容器となってしまうからである。このように、ある程度の内容積を確保しようと思えば比RT1の値が最小の2の容器においてもnはある程度の数としなければならないので、諸条件からnの最小値を7という条件を設けた。したがって、(7)式にn=7、RT1=2を代入して、
RT2=3.5
という結果を得た。
ゆえに、RT2、すなわち内側容器1の最大直径φと蛇腹構造Bの最大延伸時における1ピッチの長さPTの比RT2の最小値を3.5とした。
【0018】
上記より、比RT2、すなわち蛇腹構造Bの最大延伸時における1ピッチの長さPTと内側容器1の最大直径φとの比RT2は、3.5〜5の範囲内とする。なお、比RT1がさまざまな比率(2〜5の範囲内にて)の内側容器について考えてみると、比RT2は、実際には4を若干下回るくらいから5を若干下回るくらいのものが、最も実用性が高いものと判断される。すなわち、製作時の金型製作も楽で、完全収縮時の全体の長さも3分の1よりかなり短くなり、しかも内容積に与える影響が少ないものが、比RT2が3.7〜4.8くらいのものであるといえる。
【0019】
次に、解決手段3、4の内側容器の蛇腹構造の隣接する2面の角度限定について詳細に説明すれば、次のとおりである。
図17a〜図17eに見るように、内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器1の側面の蛇腹構造Bの隣接する2面PL1、PL2のなす角度をαとする。この角度αは、山部Sを挟む2面でも谷部Tを挟む2面でも同一であるが、図17a〜図17eにては、谷部Tを挟む2面PL1、PL2にて示している。
【0020】
この際、角度αは、小であればあるほど内側容器1の収縮性能は良くなることは自明の理であるが、余りに角度αを小にしすぎると、内側容器1の金型製作が難しくなる。また、内側容器1の内容積も減少することになる。したがって、そのような点からすれば、角度αは余り小さくしない方が良いという結果になる。
【0021】
そこで、角度αを様々に変化させた内側容器1で検討した結果、角度αが95°(図17e)を越えると収縮性能に顕著な悪影響が見られることが明らかとなった。したがって、角度αの最大値は95°とした。また、角度αが75°(図17a)を下回ると金型の製作に要する手間が顕著な増大を示すことが予想され、かつ内容積の減少に与える影響も顕著になるので、角度αの最小値は75°とした。この範囲内で、さらに適切な角度範囲を求めた結果、角度αの最適値を84°(図17b)〜92°(図17d)の範囲内とした。なお、図17cは、角度αを84°と92°の中間の角度である88°とした例である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の、解決手段1の発明によれば、内側容器の側面が蛇腹構造をなし、エアレスポンプの操作によって内容物が排出されることにより該蛇腹構造が収縮されて内側容器の内容積が減少され、さらに上記蛇腹構造が完全に収縮された状態にてエアレスポンプの吸入管の端部が内側容器の底面近傍に位置するように構成されているので、エアレスポンプの操作によって、内容物を略完全に吐出することが可能である。
【0023】
またこの際には、コイルバネなどの付加物を一切用いないので、内側容器の製造工程は従来の内側容器の製造工程と同程度に単純であり、製造コストの上昇を招くこともなく、重量の増加もない。また、コイルバネを内部に含むものより内容物の残留度ははるかに少なくなり、コイルバネを外部に有するものと比較すると、同一内容量で全体のサイズをはるかに小さくできる。さらに、使い終わった内側容器の交換も従来の内側容器と同じく簡単に行え、また廃棄する際にも面倒な分別作業は一切必要としない。また、容器全体を透明とした場合にてもコイルバネなどの付加物が一切見えないので、美容室などの外観を重要視する現場にても充分に用いることが可能である。要するに、製造工程においても、使い勝手においても、価格面においても、さらに外観的にも、従来のエアレスポンプ付流体容器と略同程度の感覚で扱え、しかも性能的にははるかに優れ、全体をコンパクトに形成できるエアレスポンプ付流体容器を提供できる。
【0024】
本発明の、解決手段2の発明によれば、エアレスポンプ付流体容器の内側容器の最大直径が蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さの3.5倍〜5倍の範囲内であるので、製作時における金型製作に格別の困難を感じることがなく、内側容器の内容積の減少も余り顕著ではなく、しかも収縮性能が良く、収縮完了時には内側容器の全体の長さが当初の3分の1以下となる。
【0025】
本発明の解決手段3の発明によれば、エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が75°〜95°の範囲内であるので、収縮性能に悪影響を与えることがなく、製作時の金型製作が楽で、内容積の減少も余り目立たない内側容器を得ることができる。さらに本発明の解決手段4の発明によれば、上記角度が84°〜92°の範囲内であるので、円滑な収縮性能、金型製作の利便性、内容積の確保の3点を総合的に判断した場合に、最も高性能の内側容器を得ることができるものである。
【0026】
本発明の、解決手段5の発明によれば、内側容器の底面全体が下に凸の曲面状に構成されているので、内容物が略吐出された段階にて、残留する僅かの内容物は、内側容器の底面中央に集中される。しかるに、この部分にエアレスポンプの吸入管の端部が到達するように構成されているので、最後に残留する内容物も略完全にエアレスポンプに吸引され、吐出される。これにより、内容物の残留が略0%のエアレスポンプ付流体容器が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図1〜図12は本発明の実施例1に関するものであり、図14は本発明の実施例2に関するもの、図15は本発明の実施例3に関するものである。
【実施例1】
【0028】
<実施例1の構成>
本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aは、図1(右側面図)あるいは図4(縦断面図)に示す形状のものであり、口部11(図4参照)にエアレスポンプ3が装着され流体である内容物Cを収容する軟質材からなる内側容器1と該内側容器1を収納する硬質材からなる外側容器2の2重構造となっている。内側容器1の形状は全体が略円筒形状であり、底面13全体が下に凸の曲面状に形成され、側面12は蛇腹構造Bとして構成されている。
【0029】
内側容器1は透明のポリエチレン製で、図11に見るように、口部11、側面12、下に凸の曲面状をなす底面13が一体として形成されている。口部11は、図8、図11に見るように、上端部が上に向かうに従い縮径する縮径部11a、円筒形状の本体部11c、本体部11cと縮径部11aをつなぐ接続部11bから成り、縮径部11a、接続部11b、本体部11cはすべて一体として構成されている。本体部11cには螺旋状の突条R1が本体部11cと一体に突設されているが、この突条R1は、エアレスポンプ3のキャップ34の内側に突設された螺旋状の突条(図示せず)と係合することにより、口部11をパッキンP1を介してキャップ34に螺着させる役割を有し、これにより、エアレスポンプ3が内側容器1に気密的に装着されるものである。また、接続部11bには平板状の凸部11d、11eが接続部11bと一体に突設されているが、凸部11d、11eは、傘部4(図12b参照)の円孔HRの周縁のリム部43に90°間隔で周設された凹部43a〜43dのうち、凹部43a、43c、あるいは凹部43b、43dに係合されることにより、内側容器1と傘部4が相対的に回動しないように固定させる役割を果たすものである。
【0030】
内側容器1の側面12の構成を、以下に詳細に説明する。側面12は蛇腹構造Bをなしており、山部Sと谷部Tが交互に現われる。図4、図5はエアレスポンプ付流体容器Aの内側容器1の長手方向の中心軸Xを含む平面で切断した縦断面図であるが、図5において、谷部Tあるいは山部Sの隣接する面PL1、PL2の作る角度をαとすれば、角度αが75°〜95°の範囲内となるように蛇腹構造Bが構成されている。
【0031】
角度αの範囲の数値限定については、前述のとおりであり、75°〜95°の範囲内、中でも84°〜92°の範囲内にて最良の結果が得られることが判明している。なお、図5における角度αは88°である。また、蛇腹構造Bの最大延伸時における1ピッチの長さPTと内側容器1の最大直径φの比RT2の数値限定についても前述のとおり3.5〜5であるが、実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの場合には、この比RT2は4.2である。さらに、内側容器1の素材としては、一般的なエアレスポンプ付流体容器の内側容器に通常用いられるポリエチレンとし、厚さも通常の内側容器の厚さと同程度とした。
【0032】
外側容器2は、透明のアクリル樹脂製で、図4、図5に見るように、上方に向かうに従い僅かに拡径する円筒形状の側面21と円盤状の底面22が一体として形成され、側面21の上端部21aには螺旋状の突条R3が側面21と一体に形成されている。突条R3は、後述の傘部4(図12a〜図12c参照)のフランジ部42の内側面に突設された螺旋の一部の形状の突条R4と係合することにより、傘部4を外側容器2の上端部21aに螺着させる。外側容器2の直径は、内側容器1の直径よりやや大に構成されており、内側容器1を、僅かの間隙をもって外側容器2の内側面より離間させた状態で収納できるように構成されている。
【0033】
エアレスポンプ3は公知技術のエアレスポンプであるので、内部構造に関する詳細な説明は省略し、他の構成との関連において説明が必要となる点のみを記述する。エアレスポンプ3は、図11に見るように、吐出口31aを有する頸部31、頸部31に連接された本体部32、本体部32の下端に連接された円筒形状の吸入管33、そして、本体部32と頸部31の接合部分に周設されたキャップ34から構成されている。また、SP(図8参照)は本体部32に内装されたスプリングで、頸部31が押し下げられた場合に、頸部31を元の位置に復元させる作用を果たすものである。
【0034】
吸入管33の端部33aは、図7、図8に見るように、蛇腹構造Bが完全に折畳まれた状態にて内側容器1の底面13近傍に位置するように構成されている。具体的には、端部33aと底面13の中央部分の間の距離を1mm以下とするように構成されているもので、これにより、内容物Cの略完全な吐出が実現されるものである。吸入管33の端部33aと内側容器1の底面13の位置関係の決定に際しては、まず内側容器1を完全収縮状態とし、この状態にて端部33aと底面13の中央部分の間の距離を1mm以下となるように吸入管33の長さが決められる。
【0035】
傘部4は、図12a〜図12cに見るように、全体が傘状で、上方に向かうに従って縮径する本体部41、本体部41の下端から下方に垂設されたフランジ部42、本体部41の上端から内側にリング状に突設されたリム部43が一体として構成され、頂部にリム部43に囲繞された円孔HRを有している。また、リム部43の底面には凹部43a、43b、43c、43dが円周方向に90°間隔にて周設されており、フランジ部42の内周には螺旋の一部の形状の突条R4、R4が突設されている。
【0036】
傘部4は、図8に示すように、円孔HRに、内側容器1の口部11が挿通され、口部11の接続部11bの上端面とエアレスポンプ3のキャップ34の下端面との間に傘部4のリム部43が挟着されることにより固着される。この際、内側容器1の口部11の凸部11d、11e(図8、図11参照)を傘部4のリム部43の凹部43a、43c、あるいは43b、43d(図12a〜図12c参照)に嵌着させることにより、傘部4と内側容器1の相対的な回動が防止される。また、前述のように内側容器1は口部11がエアレスポンプ3のキャップ34にパッキンP1を介して螺着固定され、傘部4のフランジ部42は外側容器2の上端部21aに螺着固定されるので、実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aにおいては、エアレスポンプ3の頸部31を除くすべての部材が一体に固着され、各部材間の相対的な回動が防止される。エアレスポンプ3の頸部31のみは、その本体部32に対して回動自在に構成されている。
【0037】
図13a、図13bは、内側容器1が独立して流通される際の状態を示している。すなわち、内側容器1は内部に内容物C(図4参照)を充填した状態で、パッキンP2を介してキャップCPを螺着した、図13bに示す状態にて流通させられるので、使用者(図示せず)は、使用に際しては、キャップCPを外し(パッキンP2はキャップCPと一体に外れる)、口部11に傘部4とエアレスポンプ3を装着し、内側容器1全体を外側容器2に装着した状態(図1参照)にて用いるのである。
【0038】
<実施例1の作用>
実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aは、使用開始当初は図1、図4に示すように、エアレスポンプ3が装着され内容物Cが内側容器1内に充填された状態である。使用者(図示せず)が、この状態で、エアレスポンプ3の頸部31の押圧と開放を繰り返すと吸入管33から内容物Cが吸入され、吐出口31aから吐出される。このようにして使用を繰り返すと、内容物Cが汲み出されるにつれて内側容器1の側面12の蛇腹構造Bは収縮するが、その途中の段階を示すと図2、図6のとおりである。
【0039】
すなわち、内側容器1の側面12の蛇腹構造Bは、上部から順番に折畳まれていく。そして、ついに蛇腹構造Bの全体が折畳まれると、図3、図7に示す状態となる。この状態にて、吸入管33の端部33aは内側容器1の底面13の中央部分に殆ど当接しそうなくらいに(1mm以下)接近する。蛇腹構造Bの収縮が完了しても、内容物Cの吐出は吸入管33の端部33aが浸漬されている限り進行し、最終的には図3、図7に示すように内側容器1の底面13の中央部分に残留する。しかしながら、エアレスポンプ付流体容器Aを垂直に保持すれば底面13の中央部分に残留する内容物Cに吸入管33の端部33aが当接状態となるので、端部33aが底面13の中央部分に当接されていなくても、表面張力によって残留する内容物Cは略全てが吐出される。
【0040】
ここで重要な点は、最後に内容物Cの残留部分を略完全に吐出させる際にはエアレスポンプ付流体容器Aを垂直に保持することは必要であるが、それまでの段階においては、吸入管33の端部33aが内容物Cに浸漬されている状態が保持される限りにおいて、エアレスポンプ付流体容器Aを適宜傾斜させても、さらに倒立させたとしても内容物Cの吐出が可能となるという点である。従って、使用開始状態(図1、図4参照)においては無論のこと、図6に示すように内容物Cの半分以上が吐出された段階においても、エアレスポンプ付流体容器Aを倒立させた状態で吐出が可能である。要するに、実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aは、内容物Cの残留がごく僅かとなった最終段階を除いては自由に傾斜、倒立させた使用が可能であるが、この点は、内側容器1の側面12の蛇腹構造B及び吸入管33をきわめて短く構成したことによって可能となった効果であるといえる。
【0041】
図8、図9に、蛇腹構造Bの襞F、F、……が折畳まれる状態の詳細を示す。襞F、F、……は、山部Sが上部に引き上げられる形で折畳まれていく。すなわち、口部11の縮径部11aに連接する面12aに接近するようにすぐ下の面12bが折畳まれ、面12bに引き上げられるかたちで面12cが折畳まれ、さらに面12cに引き上げられるかたちで面12dが折畳まれるという形で、結局襞F、F、……は、山部Sが上部に引き上げられる状態にて順次折畳まれていくものである。
【0042】
このようにして内容物Cが略完全に吐出されてしまうと、内側容器1は図8、図10bに見るような形状となる。この状態で、使用者(図示せず)は内側容器1を外側容器2から取り出し、傘部4とエアレスポンプ3を取り外し、使用済みの内側容器1を廃棄する。そして、内容物Cが充填された新しい内側容器1のキャップCPを外し、口部11に傘部4とエアレスポンプ3を装着し、内側容器1を外側容器2に収納する。このようにすることにより、実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aを再利用することができる。
【実施例2】
【0043】
実施例2のエアレスポンプ付流体容器AAは、図14に見るように、実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの構成において、エアレスポンプ3をロックができる形式のエアレスポンプ30としたものである。このロックができるタイプのエアレスポンプ30については、前記特許文献1に詳細に記載されている。なお、内側容器10は実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの内側容器1と構成は略同一であるが、直径と高さの比率が内側容器1とやや異なる。蛇腹構造BBの構成も実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの内側容器1の蛇腹構造Bの構成と略同一で、作用も略同一である。さらに、外側容器20は実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの外側容器2と構成は略同一であるが、直径と高さの比率が外側容器2とやや異なる。また傘部40も実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの傘部4と構成は略同一であるが、直径と高さの比率が傘部4とやや異なる。
【実施例3】
【0044】
実施例3のエアレスポンプ付流体容器AAAは、図14に見るように、実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの構成において、エアレスポンプ3をガンタイプのエアレスポンプ300としたものである。なお、内側容器100は実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの内側容器1と構成は略同一であるが、直径と高さの比率が内側容器1とやや異なる。蛇腹構造BBBの構成も実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの内側容器1の蛇腹構造Bの構成と略同一で、作用も略同一である。さらに、外側容器200は実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの外側容器2と構成は略同一であるが、直径と高さの比率が外側容器2とやや異なる。また傘部400も実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの傘部4と構成は略同一であるが、直径と高さの比率が傘部4とやや異なる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
上記のように、本発明のエアレスポンプ付流体容器は、蛇腹構造の採用によって、従来のエアレスポンプ付流体容器に比較した内容物の残存比率を激減させ、内容物を略完全に吐出させることに成功した、画期的なものである。すなわち、資源の保護と経済効率の向上に二つながら大きく役立つものであり、エアレスポンプ付流体容器が用いられる各種の分野、理美容業界、家庭用のサニタリー分野、食品容器の分野等において幅広く用いられることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の右側面図である。
【図2】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の作用を説明する説明図である。
【図3】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の作用を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の右側面から見た縦断面図である。
【図5】図4の一部を省略した部分拡大図である。
【図6】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の作用を説明する説明図である。
【図7】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の作用を説明する説明図である。
【図8】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の作用を説明する説明図である。
【図9】図8の一部を仮想線で示した要部の拡大図である。
【図10】(a)本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の内側容器にエアレスポンプを装着した状態の外観斜視図である。(b)本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の内側容器にエアレスポンプを装着した状態の外観斜視図で、内側容器の収縮が完了した状態を示す。
【図11】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の内側容器とエアレスポンプの組付け構成を説明する説明図である。
【図12】(a)本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の傘部の縦断面図である。 (b)本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の傘部の底面図である。 (c)本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の傘部を底面側から見た外観斜視図である。
【図13】(a)本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の内側容器とキャップの組付け構成を説明する説明図である。 (b)本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の内側容器にキャップを螺着した状態を示す外観斜視図である。
【図14】本発明の実施例2のエアレスポンプ付流体容器の右側面から見た縦断面図である。
【図15】本発明の実施例3のエアレスポンプ付流体容器の右側面から見た縦断面図である。
【図16】本発明のエアレスポンプ付流体容器の内側容器の各部寸法を説明する説明図である。
【図17】(a)本発明のエアレスポンプ付流体容器の内側容器の蛇腹構造の詳細を示す説明図である。 (b)本発明のエアレスポンプ付流体容器の内側容器の蛇腹構造の詳細を示す説明図である。 (c)本発明のエアレスポンプ付流体容器の内側容器の蛇腹構造の詳細を示す説明図である。 (d)本発明のエアレスポンプ付流体容器の内側容器の蛇腹構造の詳細を示す説明図である。 (e)本発明のエアレスポンプ付流体容器の内側容器の蛇腹構造の詳細を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 内側容器
11 口部
11a 縮径部
11b 接続部
11c 本体部
11d 凸部
11e 凸部
12 側面
12a 面
12b 面
12c 面
12d 面
13 底面
2 外側容器
20 外側容器
21 側面
21a 上端部
22 底面
200 外側容器
3 エアレスポンプ
30 エアレスポンプ
31 頸部
31a 吐出口
32 本体部
33 吸入管
33a 端部
34 キャップ
300 エアレスポンプ
4 傘部
40 傘部
41 本体部
42 フランジ部
43 リム部
43a 凹部
43b 凹部
43c 凹部
43d 凹部
400 傘部
A エアレスポンプ付流体容器
AA エアレスポンプ付流体容器
AAA エアレスポンプ付流体容器
B 蛇腹構造
BB 蛇腹構造
BBB 蛇腹構造
C 内容物
CP キャップ
F 襞
HR 円孔
L 長さ
P1 パッキン
P2 パッキン
PL1 面
PL2 面
PT 長さ
R1 突条
R2 突条
R3 突条
R4 突条
RT1 比
RT2 比
S 山部
SP スプリング
T 谷部
X 中心軸
α 角度
φ 最大直径
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアレスポンプ付流体容器に関するものであり、さらに詳しくは、以下の構成を有するエアレスポンプ付流体容器に関するものである。
<構成1>
エアレスポンプと、該エアレスポンプを口部に装着した軟質材からなる内側容器と、内側容器の全体を収容する硬質材からなる外側容器から構成されるエアレスポンプ付流体容器において、内側容器の側面が蛇腹構造をなし、エアレスポンプの操作によって内容物が排出されることにより該蛇腹構造が収縮されて内側容器の内容積が減少され、さらに上記蛇腹構造が完全に収縮された状態にてエアレスポンプの吸入管の端部が内側容器の底面近傍に位置するように構成されていることを特徴とするエアレスポンプ付流体容器。
<構成2>
エアレスポンプ付流体容器の内側容器の最大直径が側面の蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さの3.5倍〜5倍の範囲内であることを特徴とする構成1に記載のエアレスポンプ付流体容器。
<構成3>
エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が75°〜95°の範囲内であることを特徴とする構成1あるいは構成2に記載のエアレスポンプ付流体容器。
<構成4>
エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が84°〜92°の範囲内であることを特徴とする構成3に記載のエアレスポンプ付流体容器。
<構成5>
内側容器の底面全体が下に凸の曲面状に構成されていることを特徴とする構成1あるいは構成2あるいは構成3あるいは構成4に記載のエアレスポンプ付流体容器。
【背景技術】
【0002】
エアレスポンプと、該エアレスポンプを口部に装着した軟質材からなる内側容器と、内側容器の全体を収容する硬質材からなる外側容器からなるエアレスポンプ付流体容器は従来からよく知られており、その一例の構成は、下記特許文献1の図11に見るとおりである。このようなエアレスポンプ付流体容器は、内側容器の収縮が不十分であるところから、内側容器内に内容物の残留が顕著で、通常10〜5%の内容物は吐出されず、内側容器とともに廃棄されるしかなかった。そこで、内側容器の底面形状、吸入管の長さ、内側容器の底面の厚さなどに工夫を加えて内容物の残留を3%以下に留めることのできるエアレスポンプ付流体容器を開発したが、この容器が下記特許文献1に記載のエアレスポンプ付流体容器である。
【0003】
しかしながら、下記特許文献1に記載のエアレスポンプ付流体容器にても、3%以下という微量ながら内容物の残留が見られる。そこで、さらに内側容器の形状に工夫を加え、内容物の残留を略0%にできるエアレスポンプ付流体容器の開発を目指した。その過程で浮上してきたのが、内側容器の側面を蛇腹状に形成し、収縮時に蛇腹部分が折畳まれることにより内側容器の底面自体が上昇し、完全に内容物を吐出することが可能となるエアレスポンプ付流体容器の構成である。
【0004】
内側容器の側面を蛇腹状に形成したノズル付流体容器自体は既に知られている。その例を、下記特許文献2、3に掲げる。このうち、下記特許文献2の「スプレー容器」は、側面を蛇腹状に形成した軟質の内側容器の底面にピストンとコイルバネを連接して全体を硬質の外側容器内に封入したもので、内側容器の内容物が減少するにつれてコイルバネが伸長し、内側容器の蛇腹状の側面が収縮して、ついには内容物を略完全に吐出できるとするものである。
【0005】
また、下記特許文献3の「流体放出容器」は、側面を蛇腹状に形成した軟質の内側容器の側面の凸部(山部)の内側にコイルバネを装着し、硬質の外側容器内に封入したもので、内側容器の内容物が減少するにつれてコイルバネの収縮力によって強制的に内側容器を折畳むものである。この「流体放出容器」の場合には目的が環境に悪影響を与えるフレオンガスを使用しない「流体放出容器」を開発するという点にあり、フレオンガスの吐出力をコイルバネの収縮力によって代替させている点にその特色があるが、コイルバネの付勢力によって内側容器の蛇腹部分を収縮させるという点においては下記特許文献2の「スプレー容器」と共通する技術内容を開示するものである。
【特許文献1】特願2006‐329161号
【特許文献2】特開平11‐115977号公報
【特許文献3】実開平2‐81648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2の「スプレー容器」、上記特許文献3の「流体放出容器」は、内側容器の側面を蛇腹状とし、該蛇腹部分を収縮させるという技術内容を開示するものである。しかしながら、コイルバネの付勢力によって内側容器の側面の蛇腹部分を収縮させるという点において、実用化がなかなかなされにくいという問題点を有していた。
【0007】
すなわち、上記特許文献3の「流体放出容器」においては、従来の単純な内側容器に比較して製造工程がかなり複雑なものとなり、その結果は価格に反映されざるをえない。たとえば、内容物をシャンプーや化粧液として、これらの内容物を単純な構成の内側容器に収納し、内側容器の口部にエアレスポンプを装着しさらに内側容器を硬質の外側容器に収納したエアレスポンプ付流体容器においては、内側容器の内容物を使い切ると、内容物が充填された新たな内側容器と交換するという用いられ方が一般的であるが、この際に、常にコイルバネが装着された内側容器を購入しなければならないということになり、所謂「リフィル容器」(再充填容器)としての魅力が相当程度減じられる。
【0008】
すなわち、「リフィル容器」の利点としては、まず第1に安価であるという点が挙げられるが、コイルバネが装着された内側容器は製造工程が複雑で、単純な「リフィル容器」よりどうしてもコスト高とならざるをえない。また、収縮過程においても、内側にコイルバネが装着されているのでコイルバネのスペース分だけ収縮が不完全となり、内容物の残留度が高くなるという欠点も合わせ持つ。
【0009】
上記特許文献2の「スプレー容器」においては、内側容器自体にはコイルバネは装着されていないが、外側容器の底面にコイルバネとシリンダが装着されており、新たな内側容器を外側容器にセットする際には、なんらかの手段でコイルバネを収縮させなければならない。この際、コイルバネの付勢力が強いとコイルバネの収縮に困難が生じるが、逆に弱いと使用時に内側容器の円滑な収縮に支障が生じる。いずれにせよ、単純な構成の内側容器を単純な構成の外側容器に収納する際のような簡単な操作にはならない。また、外側容器自体の構成が複雑なので、当然製造工程も複雑となり、その点は「スプレー容器」全体のコストに必然的に反映されざるをえない。さらに、コイルバネとシリンダの分だけ容器全体が嵩張るという欠点も存した。すなわち、容器の見せかけの大きさの割りに、内容物が少ないという問題点である。
【0010】
さらに、両者に共通する問題点としては、いずれもコイルバネを用いるので、その分全体重量が重くなり扱いづらいという点、さらには、コイルバネを金属製とした場合には廃棄の際に分解して選別しなければならないという点があげられる。また、美容室などにおいて用いられるシャンプーや洗顔剤等の容器においては、外観の美しさも問題となるので、容器全体を透明とすることが多い。このような環境において、コイルバネが露見する構成の容器はやはり敬遠されるものと予測せざるをえない。
【0011】
上記より、本発明の解決すべき課題を以下のように設定した。
内容物を略完全に吐出するために、内側容器の側面を蛇腹構造とするが、該蛇腹構造の収縮に際しては、コイルバネを用いず、エアレスポンプの吐出力のみにて内側容器の側面の蛇腹構造が円滑に収縮するように構成する。このために、内側容器の蛇腹構造の構成について、さまざまな試作による検討を重ねた結果、エアレスポンプの吐出力のみにて円滑な収縮が行われるためには、内側容器の最大直径と蛇腹構造の最大延伸時におけるピッチの長さの問題、及び蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面がなす角度の問題が決め手になることがわかってきた。したがって、この2点について適切な構成を有する蛇腹構造とすることにより、エアレスポンプの吐出力のみにて円滑な収縮が可能な内側容器を有するエアレスポンプ用流体容器の開発を実現することを、本発明の課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、以下に示す解決手段を提供するものである。
<解決手段1>
エアレスポンプと、該エアレスポンプを口部に装着した軟質材からなる内側容器と、内側容器の全体を収容する硬質材からなる外側容器から構成されるエアレスポンプ付流体容器において、内側容器の側面が蛇腹構造をなし、エアレスポンプの操作によって内容物が排出されることにより該蛇腹構造が収縮されて内側容器の内容積が減少され、さらに上記蛇腹構造が完全に収縮された状態にてエアレスポンプの吸入管の端部が内側容器の底面近傍に位置するように構成されていることを特徴とするエアレスポンプ付流体容器。
<解決手段2>
エアレスポンプ付流体容器の内側容器の最大直径が側面の蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さの3.5倍〜5倍の範囲内であることを特徴とする解決手段1に記載のエアレスポンプ付流体容器。
<解決手段3>
エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が75°〜95°の範囲内であることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2に記載のエアレスポンプ付流体容器。
<解決手段4>
エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が84°〜92°の範囲内であることを特徴とする解決手段3に記載のエアレスポンプ付流体容器。
<解決手段5>
内側容器の底面全体が下に凸の曲面状に構成されていることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2あるいは解決手段3あるいは解決手段4に記載のエアレスポンプ付流体容器。
【0013】
解決手段2の内側容器の最大直径と蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さとの関連について、詳細に説明すれば、以下のとおりである。
図16に見るように、内側容器1の最大直径をφ、蛇腹構造Bの最大延伸時における長さ(上下方向の延長)をL、蛇腹構造Bの最大延伸時における1ピッチの長さをPTとすると、長さLは長さPTのn倍になっている。ただし、n=正の整数とする。
【0014】
ここで、最大直径φと長さLの比RT1を、一般的に用いられる内側容器について求めてみると、RT1は2〜5の間に入る。すなわち、
φ:L=1:RT1 (1)
RT1=2〜5 (2)
このような関係が成立する。
特に、理美容界において用いられるエアレスポンプ付流体容器の内側容器1に関しては、略すべての容器が上記比率の範囲内のものであるといっても良い。
【0015】
ここで、1ピッチの長さPTと最大直径φの比をRT2とすれば、
PT:φ=1:RT2 (3)
となる。
したがって、
RT2=φ/PT (4)
となる。
ここで、(1)式を変形すると、
φ=L/RT1 (5)
となるから、このφの値を(4)式に代入すれば、
RT2=L/RT1×PT (6)
である。ところが、L=n×PT(nは正の整数)であるから、
RT2=n/RT1 (7)
となる。
【0016】
内側容器1は、最も縦長のもの、すなわちRT1の値が最大の5の容器であっても、n、すなわち蛇腹構造のピッチ数は余り多くしたくない。その理由は、nが大になればなるほど金型製作に要する手間も複雑となるし、また、蛇腹構造Bが完全に収縮した場合にも、全体の延長が余り短くならないからである。すなわち、完全収縮時において、長さLが3分の1以下になるようにしたい。このような諸条件を勘案して、RT1の値が最大の5の容器の場合で、nの最大値が25という条件を設けた。したがって、(7)式にn=25、RT1=5を代入して、
RT2=5
という結果を得た。
ゆえに、RT2、すなわち蛇腹構造Bの最大延伸時における1ピッチの長さPTと内側容器1の最大直径φとの比RT2の最大値を5とした。
【0017】
次に、比RT2の最小値であるが、これは、比RT1の値が最小値の2である容器から定められる。すなわち、比RT1の値が2の最も扁平な内側容器においても、ある程度の全体のピッチ数nは確保しなければならない。というのは、最大直径φや長さLを一定とした場合に、全体のピッチ数nが小さくなればなるほど内容積の少ない容器となってしまうからである。このように、ある程度の内容積を確保しようと思えば比RT1の値が最小の2の容器においてもnはある程度の数としなければならないので、諸条件からnの最小値を7という条件を設けた。したがって、(7)式にn=7、RT1=2を代入して、
RT2=3.5
という結果を得た。
ゆえに、RT2、すなわち内側容器1の最大直径φと蛇腹構造Bの最大延伸時における1ピッチの長さPTの比RT2の最小値を3.5とした。
【0018】
上記より、比RT2、すなわち蛇腹構造Bの最大延伸時における1ピッチの長さPTと内側容器1の最大直径φとの比RT2は、3.5〜5の範囲内とする。なお、比RT1がさまざまな比率(2〜5の範囲内にて)の内側容器について考えてみると、比RT2は、実際には4を若干下回るくらいから5を若干下回るくらいのものが、最も実用性が高いものと判断される。すなわち、製作時の金型製作も楽で、完全収縮時の全体の長さも3分の1よりかなり短くなり、しかも内容積に与える影響が少ないものが、比RT2が3.7〜4.8くらいのものであるといえる。
【0019】
次に、解決手段3、4の内側容器の蛇腹構造の隣接する2面の角度限定について詳細に説明すれば、次のとおりである。
図17a〜図17eに見るように、内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器1の側面の蛇腹構造Bの隣接する2面PL1、PL2のなす角度をαとする。この角度αは、山部Sを挟む2面でも谷部Tを挟む2面でも同一であるが、図17a〜図17eにては、谷部Tを挟む2面PL1、PL2にて示している。
【0020】
この際、角度αは、小であればあるほど内側容器1の収縮性能は良くなることは自明の理であるが、余りに角度αを小にしすぎると、内側容器1の金型製作が難しくなる。また、内側容器1の内容積も減少することになる。したがって、そのような点からすれば、角度αは余り小さくしない方が良いという結果になる。
【0021】
そこで、角度αを様々に変化させた内側容器1で検討した結果、角度αが95°(図17e)を越えると収縮性能に顕著な悪影響が見られることが明らかとなった。したがって、角度αの最大値は95°とした。また、角度αが75°(図17a)を下回ると金型の製作に要する手間が顕著な増大を示すことが予想され、かつ内容積の減少に与える影響も顕著になるので、角度αの最小値は75°とした。この範囲内で、さらに適切な角度範囲を求めた結果、角度αの最適値を84°(図17b)〜92°(図17d)の範囲内とした。なお、図17cは、角度αを84°と92°の中間の角度である88°とした例である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の、解決手段1の発明によれば、内側容器の側面が蛇腹構造をなし、エアレスポンプの操作によって内容物が排出されることにより該蛇腹構造が収縮されて内側容器の内容積が減少され、さらに上記蛇腹構造が完全に収縮された状態にてエアレスポンプの吸入管の端部が内側容器の底面近傍に位置するように構成されているので、エアレスポンプの操作によって、内容物を略完全に吐出することが可能である。
【0023】
またこの際には、コイルバネなどの付加物を一切用いないので、内側容器の製造工程は従来の内側容器の製造工程と同程度に単純であり、製造コストの上昇を招くこともなく、重量の増加もない。また、コイルバネを内部に含むものより内容物の残留度ははるかに少なくなり、コイルバネを外部に有するものと比較すると、同一内容量で全体のサイズをはるかに小さくできる。さらに、使い終わった内側容器の交換も従来の内側容器と同じく簡単に行え、また廃棄する際にも面倒な分別作業は一切必要としない。また、容器全体を透明とした場合にてもコイルバネなどの付加物が一切見えないので、美容室などの外観を重要視する現場にても充分に用いることが可能である。要するに、製造工程においても、使い勝手においても、価格面においても、さらに外観的にも、従来のエアレスポンプ付流体容器と略同程度の感覚で扱え、しかも性能的にははるかに優れ、全体をコンパクトに形成できるエアレスポンプ付流体容器を提供できる。
【0024】
本発明の、解決手段2の発明によれば、エアレスポンプ付流体容器の内側容器の最大直径が蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さの3.5倍〜5倍の範囲内であるので、製作時における金型製作に格別の困難を感じることがなく、内側容器の内容積の減少も余り顕著ではなく、しかも収縮性能が良く、収縮完了時には内側容器の全体の長さが当初の3分の1以下となる。
【0025】
本発明の解決手段3の発明によれば、エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が75°〜95°の範囲内であるので、収縮性能に悪影響を与えることがなく、製作時の金型製作が楽で、内容積の減少も余り目立たない内側容器を得ることができる。さらに本発明の解決手段4の発明によれば、上記角度が84°〜92°の範囲内であるので、円滑な収縮性能、金型製作の利便性、内容積の確保の3点を総合的に判断した場合に、最も高性能の内側容器を得ることができるものである。
【0026】
本発明の、解決手段5の発明によれば、内側容器の底面全体が下に凸の曲面状に構成されているので、内容物が略吐出された段階にて、残留する僅かの内容物は、内側容器の底面中央に集中される。しかるに、この部分にエアレスポンプの吸入管の端部が到達するように構成されているので、最後に残留する内容物も略完全にエアレスポンプに吸引され、吐出される。これにより、内容物の残留が略0%のエアレスポンプ付流体容器が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図1〜図12は本発明の実施例1に関するものであり、図14は本発明の実施例2に関するもの、図15は本発明の実施例3に関するものである。
【実施例1】
【0028】
<実施例1の構成>
本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aは、図1(右側面図)あるいは図4(縦断面図)に示す形状のものであり、口部11(図4参照)にエアレスポンプ3が装着され流体である内容物Cを収容する軟質材からなる内側容器1と該内側容器1を収納する硬質材からなる外側容器2の2重構造となっている。内側容器1の形状は全体が略円筒形状であり、底面13全体が下に凸の曲面状に形成され、側面12は蛇腹構造Bとして構成されている。
【0029】
内側容器1は透明のポリエチレン製で、図11に見るように、口部11、側面12、下に凸の曲面状をなす底面13が一体として形成されている。口部11は、図8、図11に見るように、上端部が上に向かうに従い縮径する縮径部11a、円筒形状の本体部11c、本体部11cと縮径部11aをつなぐ接続部11bから成り、縮径部11a、接続部11b、本体部11cはすべて一体として構成されている。本体部11cには螺旋状の突条R1が本体部11cと一体に突設されているが、この突条R1は、エアレスポンプ3のキャップ34の内側に突設された螺旋状の突条(図示せず)と係合することにより、口部11をパッキンP1を介してキャップ34に螺着させる役割を有し、これにより、エアレスポンプ3が内側容器1に気密的に装着されるものである。また、接続部11bには平板状の凸部11d、11eが接続部11bと一体に突設されているが、凸部11d、11eは、傘部4(図12b参照)の円孔HRの周縁のリム部43に90°間隔で周設された凹部43a〜43dのうち、凹部43a、43c、あるいは凹部43b、43dに係合されることにより、内側容器1と傘部4が相対的に回動しないように固定させる役割を果たすものである。
【0030】
内側容器1の側面12の構成を、以下に詳細に説明する。側面12は蛇腹構造Bをなしており、山部Sと谷部Tが交互に現われる。図4、図5はエアレスポンプ付流体容器Aの内側容器1の長手方向の中心軸Xを含む平面で切断した縦断面図であるが、図5において、谷部Tあるいは山部Sの隣接する面PL1、PL2の作る角度をαとすれば、角度αが75°〜95°の範囲内となるように蛇腹構造Bが構成されている。
【0031】
角度αの範囲の数値限定については、前述のとおりであり、75°〜95°の範囲内、中でも84°〜92°の範囲内にて最良の結果が得られることが判明している。なお、図5における角度αは88°である。また、蛇腹構造Bの最大延伸時における1ピッチの長さPTと内側容器1の最大直径φの比RT2の数値限定についても前述のとおり3.5〜5であるが、実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの場合には、この比RT2は4.2である。さらに、内側容器1の素材としては、一般的なエアレスポンプ付流体容器の内側容器に通常用いられるポリエチレンとし、厚さも通常の内側容器の厚さと同程度とした。
【0032】
外側容器2は、透明のアクリル樹脂製で、図4、図5に見るように、上方に向かうに従い僅かに拡径する円筒形状の側面21と円盤状の底面22が一体として形成され、側面21の上端部21aには螺旋状の突条R3が側面21と一体に形成されている。突条R3は、後述の傘部4(図12a〜図12c参照)のフランジ部42の内側面に突設された螺旋の一部の形状の突条R4と係合することにより、傘部4を外側容器2の上端部21aに螺着させる。外側容器2の直径は、内側容器1の直径よりやや大に構成されており、内側容器1を、僅かの間隙をもって外側容器2の内側面より離間させた状態で収納できるように構成されている。
【0033】
エアレスポンプ3は公知技術のエアレスポンプであるので、内部構造に関する詳細な説明は省略し、他の構成との関連において説明が必要となる点のみを記述する。エアレスポンプ3は、図11に見るように、吐出口31aを有する頸部31、頸部31に連接された本体部32、本体部32の下端に連接された円筒形状の吸入管33、そして、本体部32と頸部31の接合部分に周設されたキャップ34から構成されている。また、SP(図8参照)は本体部32に内装されたスプリングで、頸部31が押し下げられた場合に、頸部31を元の位置に復元させる作用を果たすものである。
【0034】
吸入管33の端部33aは、図7、図8に見るように、蛇腹構造Bが完全に折畳まれた状態にて内側容器1の底面13近傍に位置するように構成されている。具体的には、端部33aと底面13の中央部分の間の距離を1mm以下とするように構成されているもので、これにより、内容物Cの略完全な吐出が実現されるものである。吸入管33の端部33aと内側容器1の底面13の位置関係の決定に際しては、まず内側容器1を完全収縮状態とし、この状態にて端部33aと底面13の中央部分の間の距離を1mm以下となるように吸入管33の長さが決められる。
【0035】
傘部4は、図12a〜図12cに見るように、全体が傘状で、上方に向かうに従って縮径する本体部41、本体部41の下端から下方に垂設されたフランジ部42、本体部41の上端から内側にリング状に突設されたリム部43が一体として構成され、頂部にリム部43に囲繞された円孔HRを有している。また、リム部43の底面には凹部43a、43b、43c、43dが円周方向に90°間隔にて周設されており、フランジ部42の内周には螺旋の一部の形状の突条R4、R4が突設されている。
【0036】
傘部4は、図8に示すように、円孔HRに、内側容器1の口部11が挿通され、口部11の接続部11bの上端面とエアレスポンプ3のキャップ34の下端面との間に傘部4のリム部43が挟着されることにより固着される。この際、内側容器1の口部11の凸部11d、11e(図8、図11参照)を傘部4のリム部43の凹部43a、43c、あるいは43b、43d(図12a〜図12c参照)に嵌着させることにより、傘部4と内側容器1の相対的な回動が防止される。また、前述のように内側容器1は口部11がエアレスポンプ3のキャップ34にパッキンP1を介して螺着固定され、傘部4のフランジ部42は外側容器2の上端部21aに螺着固定されるので、実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aにおいては、エアレスポンプ3の頸部31を除くすべての部材が一体に固着され、各部材間の相対的な回動が防止される。エアレスポンプ3の頸部31のみは、その本体部32に対して回動自在に構成されている。
【0037】
図13a、図13bは、内側容器1が独立して流通される際の状態を示している。すなわち、内側容器1は内部に内容物C(図4参照)を充填した状態で、パッキンP2を介してキャップCPを螺着した、図13bに示す状態にて流通させられるので、使用者(図示せず)は、使用に際しては、キャップCPを外し(パッキンP2はキャップCPと一体に外れる)、口部11に傘部4とエアレスポンプ3を装着し、内側容器1全体を外側容器2に装着した状態(図1参照)にて用いるのである。
【0038】
<実施例1の作用>
実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aは、使用開始当初は図1、図4に示すように、エアレスポンプ3が装着され内容物Cが内側容器1内に充填された状態である。使用者(図示せず)が、この状態で、エアレスポンプ3の頸部31の押圧と開放を繰り返すと吸入管33から内容物Cが吸入され、吐出口31aから吐出される。このようにして使用を繰り返すと、内容物Cが汲み出されるにつれて内側容器1の側面12の蛇腹構造Bは収縮するが、その途中の段階を示すと図2、図6のとおりである。
【0039】
すなわち、内側容器1の側面12の蛇腹構造Bは、上部から順番に折畳まれていく。そして、ついに蛇腹構造Bの全体が折畳まれると、図3、図7に示す状態となる。この状態にて、吸入管33の端部33aは内側容器1の底面13の中央部分に殆ど当接しそうなくらいに(1mm以下)接近する。蛇腹構造Bの収縮が完了しても、内容物Cの吐出は吸入管33の端部33aが浸漬されている限り進行し、最終的には図3、図7に示すように内側容器1の底面13の中央部分に残留する。しかしながら、エアレスポンプ付流体容器Aを垂直に保持すれば底面13の中央部分に残留する内容物Cに吸入管33の端部33aが当接状態となるので、端部33aが底面13の中央部分に当接されていなくても、表面張力によって残留する内容物Cは略全てが吐出される。
【0040】
ここで重要な点は、最後に内容物Cの残留部分を略完全に吐出させる際にはエアレスポンプ付流体容器Aを垂直に保持することは必要であるが、それまでの段階においては、吸入管33の端部33aが内容物Cに浸漬されている状態が保持される限りにおいて、エアレスポンプ付流体容器Aを適宜傾斜させても、さらに倒立させたとしても内容物Cの吐出が可能となるという点である。従って、使用開始状態(図1、図4参照)においては無論のこと、図6に示すように内容物Cの半分以上が吐出された段階においても、エアレスポンプ付流体容器Aを倒立させた状態で吐出が可能である。要するに、実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aは、内容物Cの残留がごく僅かとなった最終段階を除いては自由に傾斜、倒立させた使用が可能であるが、この点は、内側容器1の側面12の蛇腹構造B及び吸入管33をきわめて短く構成したことによって可能となった効果であるといえる。
【0041】
図8、図9に、蛇腹構造Bの襞F、F、……が折畳まれる状態の詳細を示す。襞F、F、……は、山部Sが上部に引き上げられる形で折畳まれていく。すなわち、口部11の縮径部11aに連接する面12aに接近するようにすぐ下の面12bが折畳まれ、面12bに引き上げられるかたちで面12cが折畳まれ、さらに面12cに引き上げられるかたちで面12dが折畳まれるという形で、結局襞F、F、……は、山部Sが上部に引き上げられる状態にて順次折畳まれていくものである。
【0042】
このようにして内容物Cが略完全に吐出されてしまうと、内側容器1は図8、図10bに見るような形状となる。この状態で、使用者(図示せず)は内側容器1を外側容器2から取り出し、傘部4とエアレスポンプ3を取り外し、使用済みの内側容器1を廃棄する。そして、内容物Cが充填された新しい内側容器1のキャップCPを外し、口部11に傘部4とエアレスポンプ3を装着し、内側容器1を外側容器2に収納する。このようにすることにより、実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aを再利用することができる。
【実施例2】
【0043】
実施例2のエアレスポンプ付流体容器AAは、図14に見るように、実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの構成において、エアレスポンプ3をロックができる形式のエアレスポンプ30としたものである。このロックができるタイプのエアレスポンプ30については、前記特許文献1に詳細に記載されている。なお、内側容器10は実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの内側容器1と構成は略同一であるが、直径と高さの比率が内側容器1とやや異なる。蛇腹構造BBの構成も実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの内側容器1の蛇腹構造Bの構成と略同一で、作用も略同一である。さらに、外側容器20は実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの外側容器2と構成は略同一であるが、直径と高さの比率が外側容器2とやや異なる。また傘部40も実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの傘部4と構成は略同一であるが、直径と高さの比率が傘部4とやや異なる。
【実施例3】
【0044】
実施例3のエアレスポンプ付流体容器AAAは、図14に見るように、実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの構成において、エアレスポンプ3をガンタイプのエアレスポンプ300としたものである。なお、内側容器100は実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの内側容器1と構成は略同一であるが、直径と高さの比率が内側容器1とやや異なる。蛇腹構造BBBの構成も実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの内側容器1の蛇腹構造Bの構成と略同一で、作用も略同一である。さらに、外側容器200は実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの外側容器2と構成は略同一であるが、直径と高さの比率が外側容器2とやや異なる。また傘部400も実施例1のエアレスポンプ付流体容器Aの傘部4と構成は略同一であるが、直径と高さの比率が傘部4とやや異なる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
上記のように、本発明のエアレスポンプ付流体容器は、蛇腹構造の採用によって、従来のエアレスポンプ付流体容器に比較した内容物の残存比率を激減させ、内容物を略完全に吐出させることに成功した、画期的なものである。すなわち、資源の保護と経済効率の向上に二つながら大きく役立つものであり、エアレスポンプ付流体容器が用いられる各種の分野、理美容業界、家庭用のサニタリー分野、食品容器の分野等において幅広く用いられることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の右側面図である。
【図2】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の作用を説明する説明図である。
【図3】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の作用を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の右側面から見た縦断面図である。
【図5】図4の一部を省略した部分拡大図である。
【図6】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の作用を説明する説明図である。
【図7】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の作用を説明する説明図である。
【図8】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の作用を説明する説明図である。
【図9】図8の一部を仮想線で示した要部の拡大図である。
【図10】(a)本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の内側容器にエアレスポンプを装着した状態の外観斜視図である。(b)本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の内側容器にエアレスポンプを装着した状態の外観斜視図で、内側容器の収縮が完了した状態を示す。
【図11】本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の内側容器とエアレスポンプの組付け構成を説明する説明図である。
【図12】(a)本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の傘部の縦断面図である。 (b)本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の傘部の底面図である。 (c)本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の傘部を底面側から見た外観斜視図である。
【図13】(a)本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の内側容器とキャップの組付け構成を説明する説明図である。 (b)本発明の実施例1のエアレスポンプ付流体容器の内側容器にキャップを螺着した状態を示す外観斜視図である。
【図14】本発明の実施例2のエアレスポンプ付流体容器の右側面から見た縦断面図である。
【図15】本発明の実施例3のエアレスポンプ付流体容器の右側面から見た縦断面図である。
【図16】本発明のエアレスポンプ付流体容器の内側容器の各部寸法を説明する説明図である。
【図17】(a)本発明のエアレスポンプ付流体容器の内側容器の蛇腹構造の詳細を示す説明図である。 (b)本発明のエアレスポンプ付流体容器の内側容器の蛇腹構造の詳細を示す説明図である。 (c)本発明のエアレスポンプ付流体容器の内側容器の蛇腹構造の詳細を示す説明図である。 (d)本発明のエアレスポンプ付流体容器の内側容器の蛇腹構造の詳細を示す説明図である。 (e)本発明のエアレスポンプ付流体容器の内側容器の蛇腹構造の詳細を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 内側容器
11 口部
11a 縮径部
11b 接続部
11c 本体部
11d 凸部
11e 凸部
12 側面
12a 面
12b 面
12c 面
12d 面
13 底面
2 外側容器
20 外側容器
21 側面
21a 上端部
22 底面
200 外側容器
3 エアレスポンプ
30 エアレスポンプ
31 頸部
31a 吐出口
32 本体部
33 吸入管
33a 端部
34 キャップ
300 エアレスポンプ
4 傘部
40 傘部
41 本体部
42 フランジ部
43 リム部
43a 凹部
43b 凹部
43c 凹部
43d 凹部
400 傘部
A エアレスポンプ付流体容器
AA エアレスポンプ付流体容器
AAA エアレスポンプ付流体容器
B 蛇腹構造
BB 蛇腹構造
BBB 蛇腹構造
C 内容物
CP キャップ
F 襞
HR 円孔
L 長さ
P1 パッキン
P2 パッキン
PL1 面
PL2 面
PT 長さ
R1 突条
R2 突条
R3 突条
R4 突条
RT1 比
RT2 比
S 山部
SP スプリング
T 谷部
X 中心軸
α 角度
φ 最大直径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアレスポンプと、該エアレスポンプを口部に装着した軟質材からなる内側容器と、内側容器の全体を収容する硬質材からなる外側容器から構成されるエアレスポンプ付流体容器において、内側容器の側面が蛇腹構造をなし、エアレスポンプの操作によって内容物が排出されることにより該蛇腹構造が収縮されて内側容器の内容積が減少され、さらに上記蛇腹構造が完全に収縮された状態にてエアレスポンプの吸入管の端部が内側容器の底面近傍に位置するように構成されていることを特徴とするエアレスポンプ付流体容器。
【請求項2】
エアレスポンプ付流体容器の内側容器の最大直径が側面の蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さの3.5倍〜5倍の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のエアレスポンプ付流体容器。
【請求項3】
エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が75°〜95°の範囲内であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のエアレスポンプ付流体容器。
【請求項4】
エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が84°〜92°の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載のエアレスポンプ付流体容器。
【請求項5】
内側容器の底面全体が下に凸の曲面状に構成されていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2あるいは請求項3あるいは請求項4に記載のエアレスポンプ付流体容器。
【請求項1】
エアレスポンプと、該エアレスポンプを口部に装着した軟質材からなる内側容器と、内側容器の全体を収容する硬質材からなる外側容器から構成されるエアレスポンプ付流体容器において、内側容器の側面が蛇腹構造をなし、エアレスポンプの操作によって内容物が排出されることにより該蛇腹構造が収縮されて内側容器の内容積が減少され、さらに上記蛇腹構造が完全に収縮された状態にてエアレスポンプの吸入管の端部が内側容器の底面近傍に位置するように構成されていることを特徴とするエアレスポンプ付流体容器。
【請求項2】
エアレスポンプ付流体容器の内側容器の最大直径が側面の蛇腹構造の最大延伸時における1ピッチの長さの3.5倍〜5倍の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のエアレスポンプ付流体容器。
【請求項3】
エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が75°〜95°の範囲内であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のエアレスポンプ付流体容器。
【請求項4】
エアレスポンプ付流体容器の内側容器を長手方向の中心軸を含む平面で切断した場合に、内側容器の側面の蛇腹構造の最大延伸時における隣接する2面のなす角度が84°〜92°の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載のエアレスポンプ付流体容器。
【請求項5】
内側容器の底面全体が下に凸の曲面状に構成されていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2あるいは請求項3あるいは請求項4に記載のエアレスポンプ付流体容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−57055(P2009−57055A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223475(P2007−223475)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【特許番号】特許第4052484号(P4052484)
【特許公報発行日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(505045920)有限会社 M&Kケネス (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【特許番号】特許第4052484号(P4052484)
【特許公報発行日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(505045920)有限会社 M&Kケネス (9)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]