エアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構および内容物残量表示機構を備えたエアレスポンプ式製品
【課題】使用にともなう内容物の減少に応じて容器本体内部を上動する可動底部を備えたエアレスポンプ式製品において、利用者が内容物残量の少なくなったことを無意識に知りえるようにして、エアレスポンプ機構の利便化を図る
【解決手段】容器本体1の上側にハーフ蒸着部1a、下側にシルバー蒸着部1bを設けて、内容物残量が少なくなった所定高さまで可動底部材7が上動したときに可動底部材7下側のエア空間域Bからにハーフ蒸着部1aを通して容器本体1外側の外部空間域に光が洩れるようにした。エア空間域BにはLED9bが設けられ、利用者がキャップ11を容器本体1に取り付けながら、容器本体1を図示下方に押し付けると可動スイッチ部9dがオン状態になりLED9bが光を発する。このとき、内容物残量が十分あれば外部空間域に当該光は洩れず、内容物残量が少なければ当該光が洩れる。
【解決手段】容器本体1の上側にハーフ蒸着部1a、下側にシルバー蒸着部1bを設けて、内容物残量が少なくなった所定高さまで可動底部材7が上動したときに可動底部材7下側のエア空間域Bからにハーフ蒸着部1aを通して容器本体1外側の外部空間域に光が洩れるようにした。エア空間域BにはLED9bが設けられ、利用者がキャップ11を容器本体1に取り付けながら、容器本体1を図示下方に押し付けると可動スイッチ部9dがオン状態になりLED9bが光を発する。このとき、内容物残量が十分あれば外部空間域に当該光は洩れず、内容物残量が少なければ当該光が洩れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアレスポンプ式製品の内容物残量表示機構に関する。
特に当該ポンプの使用にともなう内容物の減少に応じて容器本体内部を上動する可動底部材下側のエア空間域に発光部を設定し、かつ、遮光部分からなる容器本体周面部の少なくとも所定高さ(≒内容物残量が少なくなったときの可動底部材の位置)のところに光透過部分を形成した内容物残量表示機構に関する。
【0002】
可動底部材下側のエア空間域からの光は、可動底部材が容器本体周面部の光透過部分に入って少し上動した段階で、初めて外部に透過していわば流出することになる。
【0003】
エアレスポンプ式製品の利用者は、この透過光の認識により、内容物残量が少なくなったことを確実にまた瞬時に知りえる。
【0004】
本発明の内容物残量表示機構は、点鼻薬剤をはじめとする後述の各種内容物のエアレスポンプ機構として用いられる。また、放出対象の内容物としては液状,発泡性(泡状),ペースト状,ジェル状,粉状などの各種性状のものがある。
【背景技術】
【0005】
エアレスポンプ式製品の場合、内容物放出動作の繰り返しにともなう内容物残量の減少に応じて容器内部空間域画定用の可動底部材が上動していく。
【0006】
そして容器本体の胴部全体に遮光性がほどこしてあると、利用者は、この可動底部材がどの位置にあるかを外部から認識できず、結果として内容物残量が少なくなったことに気がつかない。
【0007】
気がつくのは、操作部を押圧しているのに内容物が放出されないとき、すなわち内容物が略ゼロになったときである。
【0008】
このように使用途中でいわば「内容物切れ」になりかねないといったエアレスポンプ式製品の使い勝手の悪さを解決するために、遮光性の容器本体の所定高さ位置に透視窓を形成したものがある(下記特許文献1参照)。
【0009】
利用者は、この透視窓から、その位置まで上動した可動底部材をみて容器本体に内容物が少ししか残ってないのを知り、内容物が無くなって使用不可能になる前に、次に使用する新たな製品の用意や内容物の補充を行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−87790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように従来の透視窓付きの遮光性容器本体からなるエアレスポンプ式製品の場合、利用者は、可動底部材が透視窓まで上昇してきたこと、すなわち内容物残量が少なくなったことを知りえる。
【0012】
しかしながら、透視窓外面が汚れたり、透視窓内面に内容物が付着したりしている状況では、透視窓まで上昇した可動底部材を利用者が視認しづらいという問題点があった。
【0013】
また何よりも、利用者は、それほど大きくない透過窓の内側を積極的,意識的に視認することが要請され、透過窓の位置まで可動底部材が上昇してきているかどうかを外側からいわば無意識の状態で認識することはできず、利便性にかけるという問題点があった。
【0014】
そこで、本発明のエアレスポンプ式製品では、内容物残量が少なくなった所定高さまで可動底部材が上動したときに可動底部材下側のエア空間域から容器本体外側の外部空間域に光が洩れる、すなわち内容物残量が少なくなったことを示す光情報を外部空間域に積極的に送るようにして、利用者がこの光情報で内容物残量の少なさを略無意識に知りえるといった、エアレスポンプ機構の利便化を図ることを目的とする。
【0015】
また、この外部空間域へ透過する光情報に文字としての有意性を持たせる、すなわち利用者からこの透過光をみたときに例えば「内容物少量」などの文字にみえるような形状の光透過部分を容器本体側に形成して、エアレスポンプ機構のさらなる利便化を図ることを目的とする。
【0016】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)容器本体内容物の減少に応じて容器本体内部を上動する可動底部材(例えば後述の可動底部材7)および、外部空間域と連通する形で当該可動部材の下面側と容器本体底側(例えば後述の底蓋8)との間に設定されるエア空間域(例えば後述のエア空間域B)を備えた、エアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構において、
前記容器本体は、少なくとも下側の遮光部分(例えば後述のシルバー蒸着部1b)と上側の光透過部分(例えば後述のハーフ蒸着部1a)とを有し、
前記エア空間域には、少なくとも発光部(例えば後述のLED9b)が備えられており、
前記可動底部材が上動して前記遮光部分から前記光透過部分に移った段階で、前記発光部の光が前記光透過部分から外部空間域に進んでいく、
ものを用いる。
(2)上記(1)において、
前記発光部として、
当該発光部に対する電池(例えば後述の電池9c)およびスイッチ(例えば後述の9d)とともに一体化された形で、前記容器本体底側の開口部に取り付けられるタイプのユニット構造(例えば後述のLEDユニット9)のものを用いる。
(3)上記(2)において
前記スイッチとして、
前記ユニット構造の下面側に取り付けられて少なくとも容器載置面と当接することにより切り替わる可動スイッチ部を用い、
前記容器本体底側に、
前記可動スイッチ部を前記容器載置面から離間させるための弾性部材(例えば後述の環状弾性体10)を設ける。
(4)上記(1),(2),(3)において、
前記光透過部分として、
有意な文字部分の形状に設定されたものを用いる。
【0017】
本発明は、以上の特徴を持つエアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構を対象とするとともに、この内容物残量表示機構を備えたエアレスポンプ式製品も対象にしている。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、このように内容物残量が少なくなった所定高さまで可動底部材が上動したときに可動底部材下側のエア空間域から容器本体外側の外部空間域に光が洩れる、すなわち内容物残量が少なくなったことを示す光情報を外部空間域に積極的に送るようにしているので、利用者は、この光情報で内容物残量の少なさを略無意識に知ることができる。
【0019】
また、この外部空間域へ透過する光情報に文字としての有意性を持たせる、すなわち利用者からこの透過光をみたときに例えば「内容物少量」などの文字にみえるような形状の光透過部分を容器本体側に形成することにより、エアレスポンプ機構のさらなる利便化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】エアレスポンプ式製品の初期状態、すなわち容器本体の内容物空間域を画定する可動底部材が最下位置に保持された状態を示す説明図である。
【図2】エアレスポンプ容器本体(内容物空間域)の内容物がまだ十分残っていて、可動底部材はその下スカート部がまだ容器本体下側の遮光部分に当接する位置にあり、可動底部材下方のエア空間域のLED光も容器本体外部に洩れない状態を示す説明図である。
【図3】エアレスポンプ容器本体(内容物空間域)の残量内容物が少なくなって、可動底部材はその下スカート部が容器本体上側の光透過部分に当接する位置まで上動し、これにより可動底部材下方のエア空間域のLED光が当該光透過部分から容器本体外部に洩れる状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜図3を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0022】
図1,図2および図3において、
1は筒状の容器本体,
1aは容器本体胴部の上側外周面の一周にわたって形成されたハーフ蒸着部(いわゆるマジックミラーで暗いほうから明るいほうを見通すことができる性状の光透過部分),
1bは容器本体胴部の下側外周面全体に形成された遮光性のシルバー蒸着部(遮光部分),
1cは後述の可動底部材7の上動範囲を規制するための環状係止部,
1dは当該容器本体の小径筒状部,
2は容器本体1とネジ結合するカバー体,
3はカバー体2および後述のシリンダ4に対して上下動する操作部,
4はカバー体2に取り付けられて周知の吸込弁および吐出弁を有するポンプ機能を備えたシリンダ,
4aは内容物流入用の下側開口部,
4bは吸込弁,
4cは吐出弁,
5は後述の内容物空間域Aのエアだまり部分を減らすため、容器本体1の天井面側に取り付けられた環状スペーサ,
6は容器本体1とシリンダ4との間に取り付けられた環状パッキン,
7は容器本体1に対する可動底部材(フリーピストン),
7aは容器本体1の内周面に密接してシール作用を呈する上下のスカート部,
8は容器本体胴部の内周面と嵌合して中央部分が開口した環状の底蓋,
8aはエア流入用の孔部,
8bは当該底蓋の上面内端部分に形成されて初期状態の可動底部材6を保持する環状起立部,
9は底蓋8の中央開口部に取り付けられたLEDユニット,
9aは当該中央開口部に嵌合または係合した状態で固定されるハウジング,
9bは当該ハウジングの上面部分に取り付けられたLED(光源),
9cは当該ハウジングの内部に格納されて当該LEDの電源として作用する電池,
9dは当該ハウジングの下面側に設けられてLEDのオン・オフを切り換える可動スイッチ部,
10は底蓋7の下面部分に設けられた環状弾性体,
11は容器本体1の小径筒状部1dに着脱自在な形で取り付けられるキャップ、
Aはシリンダ4,環状スペーサ5および環状パッキン6と可動底部材7との間に画定される容器本体内部の内容物空間域,
Bは底蓋8およびハウジング9aと可動底部材7との間に画定される容器本体内部のエア空間域,
Cは吸込弁4bと吐出弁4cとの間に画定されるシリンダ内部のバッファ空間域,
をそれぞれ示している。
【0023】
なお、ハーフ蒸着部1aは有意性を奏する任意の文字形状、例えば「もうすぐなくなります、新しいものをご用意下さい。」の文字形状にしてもよい。この場合、容器本体胴部の、当該文字形状部分を除く略外周面全体がシルバー蒸着部の態様で形成される。
【0024】
以上の各構成要素の中、容器本体1,カバー体2,操作部3,シリンダ4,環状スペーサ5,可動底部材7,底蓋8,ハウジング9aおよびキャップ11は、例えばナイロン,ポリアセタール,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリブエチレンテレフタレート,NBR,ネオプレン,ブチルゴムなどからなる合成樹脂製のものである。
【0025】
また、吸込弁4b,吐出弁4cおよび環状弾性体10は金属製や合成樹脂製のものである。環状パッキン6はゴム製や合成樹脂製のものである。
【0026】
図示のエアレスポンプ式製品における構成上の基本的特徴は、
(11)容器本体1の胴部外周面が、上側のハーフ蒸着部1b(光透過部分)と、下側のシルバー蒸着部1c(遮光部分)とで形成され、
(12)容器本体に固定されたLEDユニット9を取りつけ、
(13)環状の底蓋8の下面部分に、容器底LED面の高さをいわばかさ上げするための環状弾性体10を設けた、
ことである。
【0027】
可動底部材7は、エアレスポンプ式製品に特有で周知の構成要素であり、図1の初期状態から、利用者が操作部3を押圧して容器内容物が外部空間域に放出されるたびに上動する。
【0028】
そして可動底部材7が図2の状態を過ぎ、図3に示すように、そのスカート部7aの下端部分がシルバー蒸着部1b超えてハーフ蒸着部1aのゾーンに入り込む状態まで移行する、すなわち容器本体1の内容物空間域Aの内容物残量が少なくなると、可動スイッチ部9dがオンの状態のときに発せられるLED9bの光が当該ハーフ蒸着部から外部に洩れる。
【0029】
なお、利用者が、例えば任意の台などに載置したエアレスポンプ式製品をこの台の方に押すことにより、可動スイッチ部9dはLEDオフからLEDオンの状態に切り替わる。
【0030】
これは、台に載置されただけのエアレスポンプ式製品の底蓋8は環状弾性体10のいわば高さ分(上下方向の厚み)だけ、かさ上げされた状態になっている。
【0031】
すなわち、可動スイッチ部9dは、台から何ら積極的に上方向に押されることなく、わずかに離間した形に設定されている。
【0032】
利用者が、台に載置された状態の容器本体1の小径筒状部1dにキャップ11を取り付けながら、または取り付けてから当該キャップを強めに押下げたり、さらには当該状態の容器本体1やカバー体2の外周面を把持しながら強めに押下げることにより、環状弾性体10が縮む。
【0033】
その結果、可動スイッチ部9dが載置台の表面に当接して押圧されるので、当該可動スイッチ部はそれまでのオフからオンの状態へと切り替わる。
【0034】
そして利用者がキャップ11や容器本体1,カバー体2などの上記押下げ操作を止めると、環状弾性体10は初期状態(図1と同じ状態)に復帰する。この復帰にともない、可動スイッチ部9d可動端側も図1と同じ下方位置に戻り、それまでのLEDオンからLEDオフの状態へと切り替わる。
【0035】
このように、可動底部材7のスカート部7aの下端部分がハーフ蒸着部1aのゾーンに入り込んだ状態で可動スイッチ部9dがオンの状態になると、LED9bの光が当該ハーフ蒸着部から容器本体外部に洩れる。
【0036】
したがって、図示のエアレスポンプ式容器の利用者は、容器本体外部に洩れるこのLED光をいわば無意識に認識し、これにより内容物空間域Aの容量が小さくなったこと、すなわち容器本体1の残量内容物が少なくなったことを瞬時に、また確実に知りえる。
【0037】
このように、利用者は、内容物が無くなって使用不可能になる前に、次に使用する新たな製品や交換用の内容物充填済み容器(可動底部材7や底蓋8などを容器本体1に取り付けてから内容物を充填して仮蓋で封をしたもの)の用意または内容物の補充を行なうことができる。
【0038】
なお、ハウジング9a,LED9bおよび電池9cは、その全体が底蓋8の中央開口部に取り付けられる形のLEDユニット9となっている。そのため、可動底部材7や底蓋8などを容器本体1に取り付けてから内容物を充填した上でカバー体2を当該容器本体に螺合させた状態のエアレスポンプ式容器部分と、このLEDユニット9とを別々に輸送することができる。
【0039】
LEDユニット9を底蓋8に組み付けた状態で輸送する場合にはLED9bが光らないように、可動スイッチ部9dに外力が加わるのを防止するためのキャップを容器本体1の下部に取り付けたり、外部から引き抜き可能な電気絶縁フィルムをLED9bの端子と電池9cの電極との間に設けて可動スイッチ部9dがオンの状態でもLED9bに電流が流れないようにすればよい。利用者は、エアレスポンプ式容器から当該キャップや当該フィルムを取り除いてから使用を開始する。
【0040】
操作部3の押圧およびその解除といった一連の放出操作にともなうエアレスポンプ機構の作動手順は周知であり、概略、次のようになっている。
【0041】
先ず、操作部3が押圧されていない静止モードでは、吸込弁4bおよび吐出弁4cがともに閉じ、これらの間のバッファ空間域Cには次回放出対象の内容物が入っている。
【0042】
そして、操作部3が下方向に押圧されると、
(21)弾性力に抗する形で操作部3と連動する周知のピストン(図示省略)の作用により、バッファ空間域Cの容積が小さくなってそこの内容物圧力が次第に増加し、
(22)この圧力増加にともない吐出弁4cが開き(吸込弁4bは閉じたまま)、それまでバッファ空間域Cに溜まっていた内容物が操作部3の出力孔部(図示省略)から外部空間域に放出される。
【0043】
その後、操作部3の押圧操作が解除されると、
(31)操作部3および上記ピストンが上記弾性力により押圧操作前の位置に復帰し、これにともなってバッファ空間域Cの容積も減少して元の大きさとなり、
(32)この容積減少にともない、バッファ空間域Cの内容物圧力が内容物空間域Aのそれよりも低下して吸込弁4bが開くことにより、内容物空間域Aの内容物はバッファ空間域Cに流入し、
(33)この内容物流入の結果、吸込弁4bが下方向に受ける「バッファ空間域Cの内容物圧力+吸込弁4bの自重」などが、上方向に受ける内容物空間域Aの内容物圧力を超えた状態で、当該吸込弁は閉状態となり、
(34)この内容物空間域Aからバッファ空間域Cへの上記内容物流入にともない、当該内容物空間域が、底蓋8の孔部8aを介して外気と連通しているエア空間域Bに対して負圧状態となり、
(35)この内容物空間域Aの負圧化にともない、可動底部材7が、エア空間域Bの大気圧を受けて上動する。なお、上記(32)のバッファ空間域Cへの流入内容物が次回操作時の放出対象となる。
【0044】
そして、可動底部材7は、内容物空間域Aから下方向へ受ける内容物圧力および自重(や容器本体内周面との摩擦力)などと、エア空間域Bから上方向に受ける大気圧とがバランスした状態で停止する。
【0045】
このように可動底部材7は、内容物の放出操作により容器本体1(内容物空間域A)の内容物が減少するのに応じて、上方向に変位する。
【0046】
この変位後の可動底部材7のスカート部7aの下端部分がシルバー蒸着部1bを超えてハーフ蒸着部1aのゾーンに入り込むまでは、LED9bからの光はすべてシルバー蒸着部1cで遮蔽される(図2参照)。
【0047】
この図2の遮蔽状態のとき、内容物空間域Aには、まだ新しい製品の用意や内容物の補充の必要性がない程度の十分な量の内容物が残っている。そして、利用者がキャップ11を容器本体1に取り付けることなどにより可動スイッチ部9dがオンの状態になってLED9bが作動するものの、そこから発せられるLED光が容器本体外部に洩れることはない。
【0048】
本発明が以上の実施形態に限定されないことは勿論であり、例えば、
(41)容器本体1の遮光部分を、塗装,ホットスタンプ,転写箔,フィルム外装,フィルムインサート成形などの各種手法により形成する、
(42)光透過部分を容器本体1の周回部分の一部に窓の形で設ける、
(43)LED9bに代えて他の各種光源を用いる、
(44)LEDユニット9の代わりに、光源や電池を、エア空間域Bの構成要素の任意の部分、例えば可動底部材7の下面部分,環状起立部8bの内外周面,容器本体1の内周面などに設ける、
(45)容器本体外部に設けた光源の光をファイバでエア空間域Bに送り込む、
(46)利用者が直に操作可能な光源スイッチを容器本体外部に設ける、
(47)環状弾性体10としてスポンジを用いる、
ようにしてもよい。
【0049】
本発明が適用されるポンプ式製品としては、点鼻薬剤,洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0050】
容器本体に収納する内容物は、例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分などである。
【0051】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0052】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0053】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0054】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0055】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼインなどを用いる。
【0056】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0057】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【符号の説明】
【0058】
1:筒状の容器本体
1a:ハーフ蒸着部(光透過部分)
1b:シルバー蒸着部(遮光部分)
1c:環状係止部
1d:小径筒状部
2:カバー体
3:操作部
4:シリンダ
4a:内容物流入用の下側開口部
4b:吸込弁
4c:吐出弁
5:環状スペーサ
6:環状パッキン
7:可動底部材(フリーピストン)
7a:上下のスカート部
8:鞘状の底蓋
8a:エア流入用の孔部
8b:環状起立部
9:LEDユニット
9a:ハウジング
9b:LED(光源)
9c:電池
9d:可動スイッチ部
10:環状弾性体
11:キャップ
A:内容物空間域
B:エア空間域
C:バッファ空間域
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアレスポンプ式製品の内容物残量表示機構に関する。
特に当該ポンプの使用にともなう内容物の減少に応じて容器本体内部を上動する可動底部材下側のエア空間域に発光部を設定し、かつ、遮光部分からなる容器本体周面部の少なくとも所定高さ(≒内容物残量が少なくなったときの可動底部材の位置)のところに光透過部分を形成した内容物残量表示機構に関する。
【0002】
可動底部材下側のエア空間域からの光は、可動底部材が容器本体周面部の光透過部分に入って少し上動した段階で、初めて外部に透過していわば流出することになる。
【0003】
エアレスポンプ式製品の利用者は、この透過光の認識により、内容物残量が少なくなったことを確実にまた瞬時に知りえる。
【0004】
本発明の内容物残量表示機構は、点鼻薬剤をはじめとする後述の各種内容物のエアレスポンプ機構として用いられる。また、放出対象の内容物としては液状,発泡性(泡状),ペースト状,ジェル状,粉状などの各種性状のものがある。
【背景技術】
【0005】
エアレスポンプ式製品の場合、内容物放出動作の繰り返しにともなう内容物残量の減少に応じて容器内部空間域画定用の可動底部材が上動していく。
【0006】
そして容器本体の胴部全体に遮光性がほどこしてあると、利用者は、この可動底部材がどの位置にあるかを外部から認識できず、結果として内容物残量が少なくなったことに気がつかない。
【0007】
気がつくのは、操作部を押圧しているのに内容物が放出されないとき、すなわち内容物が略ゼロになったときである。
【0008】
このように使用途中でいわば「内容物切れ」になりかねないといったエアレスポンプ式製品の使い勝手の悪さを解決するために、遮光性の容器本体の所定高さ位置に透視窓を形成したものがある(下記特許文献1参照)。
【0009】
利用者は、この透視窓から、その位置まで上動した可動底部材をみて容器本体に内容物が少ししか残ってないのを知り、内容物が無くなって使用不可能になる前に、次に使用する新たな製品の用意や内容物の補充を行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−87790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように従来の透視窓付きの遮光性容器本体からなるエアレスポンプ式製品の場合、利用者は、可動底部材が透視窓まで上昇してきたこと、すなわち内容物残量が少なくなったことを知りえる。
【0012】
しかしながら、透視窓外面が汚れたり、透視窓内面に内容物が付着したりしている状況では、透視窓まで上昇した可動底部材を利用者が視認しづらいという問題点があった。
【0013】
また何よりも、利用者は、それほど大きくない透過窓の内側を積極的,意識的に視認することが要請され、透過窓の位置まで可動底部材が上昇してきているかどうかを外側からいわば無意識の状態で認識することはできず、利便性にかけるという問題点があった。
【0014】
そこで、本発明のエアレスポンプ式製品では、内容物残量が少なくなった所定高さまで可動底部材が上動したときに可動底部材下側のエア空間域から容器本体外側の外部空間域に光が洩れる、すなわち内容物残量が少なくなったことを示す光情報を外部空間域に積極的に送るようにして、利用者がこの光情報で内容物残量の少なさを略無意識に知りえるといった、エアレスポンプ機構の利便化を図ることを目的とする。
【0015】
また、この外部空間域へ透過する光情報に文字としての有意性を持たせる、すなわち利用者からこの透過光をみたときに例えば「内容物少量」などの文字にみえるような形状の光透過部分を容器本体側に形成して、エアレスポンプ機構のさらなる利便化を図ることを目的とする。
【0016】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)容器本体内容物の減少に応じて容器本体内部を上動する可動底部材(例えば後述の可動底部材7)および、外部空間域と連通する形で当該可動部材の下面側と容器本体底側(例えば後述の底蓋8)との間に設定されるエア空間域(例えば後述のエア空間域B)を備えた、エアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構において、
前記容器本体は、少なくとも下側の遮光部分(例えば後述のシルバー蒸着部1b)と上側の光透過部分(例えば後述のハーフ蒸着部1a)とを有し、
前記エア空間域には、少なくとも発光部(例えば後述のLED9b)が備えられており、
前記可動底部材が上動して前記遮光部分から前記光透過部分に移った段階で、前記発光部の光が前記光透過部分から外部空間域に進んでいく、
ものを用いる。
(2)上記(1)において、
前記発光部として、
当該発光部に対する電池(例えば後述の電池9c)およびスイッチ(例えば後述の9d)とともに一体化された形で、前記容器本体底側の開口部に取り付けられるタイプのユニット構造(例えば後述のLEDユニット9)のものを用いる。
(3)上記(2)において
前記スイッチとして、
前記ユニット構造の下面側に取り付けられて少なくとも容器載置面と当接することにより切り替わる可動スイッチ部を用い、
前記容器本体底側に、
前記可動スイッチ部を前記容器載置面から離間させるための弾性部材(例えば後述の環状弾性体10)を設ける。
(4)上記(1),(2),(3)において、
前記光透過部分として、
有意な文字部分の形状に設定されたものを用いる。
【0017】
本発明は、以上の特徴を持つエアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構を対象とするとともに、この内容物残量表示機構を備えたエアレスポンプ式製品も対象にしている。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、このように内容物残量が少なくなった所定高さまで可動底部材が上動したときに可動底部材下側のエア空間域から容器本体外側の外部空間域に光が洩れる、すなわち内容物残量が少なくなったことを示す光情報を外部空間域に積極的に送るようにしているので、利用者は、この光情報で内容物残量の少なさを略無意識に知ることができる。
【0019】
また、この外部空間域へ透過する光情報に文字としての有意性を持たせる、すなわち利用者からこの透過光をみたときに例えば「内容物少量」などの文字にみえるような形状の光透過部分を容器本体側に形成することにより、エアレスポンプ機構のさらなる利便化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】エアレスポンプ式製品の初期状態、すなわち容器本体の内容物空間域を画定する可動底部材が最下位置に保持された状態を示す説明図である。
【図2】エアレスポンプ容器本体(内容物空間域)の内容物がまだ十分残っていて、可動底部材はその下スカート部がまだ容器本体下側の遮光部分に当接する位置にあり、可動底部材下方のエア空間域のLED光も容器本体外部に洩れない状態を示す説明図である。
【図3】エアレスポンプ容器本体(内容物空間域)の残量内容物が少なくなって、可動底部材はその下スカート部が容器本体上側の光透過部分に当接する位置まで上動し、これにより可動底部材下方のエア空間域のLED光が当該光透過部分から容器本体外部に洩れる状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜図3を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0022】
図1,図2および図3において、
1は筒状の容器本体,
1aは容器本体胴部の上側外周面の一周にわたって形成されたハーフ蒸着部(いわゆるマジックミラーで暗いほうから明るいほうを見通すことができる性状の光透過部分),
1bは容器本体胴部の下側外周面全体に形成された遮光性のシルバー蒸着部(遮光部分),
1cは後述の可動底部材7の上動範囲を規制するための環状係止部,
1dは当該容器本体の小径筒状部,
2は容器本体1とネジ結合するカバー体,
3はカバー体2および後述のシリンダ4に対して上下動する操作部,
4はカバー体2に取り付けられて周知の吸込弁および吐出弁を有するポンプ機能を備えたシリンダ,
4aは内容物流入用の下側開口部,
4bは吸込弁,
4cは吐出弁,
5は後述の内容物空間域Aのエアだまり部分を減らすため、容器本体1の天井面側に取り付けられた環状スペーサ,
6は容器本体1とシリンダ4との間に取り付けられた環状パッキン,
7は容器本体1に対する可動底部材(フリーピストン),
7aは容器本体1の内周面に密接してシール作用を呈する上下のスカート部,
8は容器本体胴部の内周面と嵌合して中央部分が開口した環状の底蓋,
8aはエア流入用の孔部,
8bは当該底蓋の上面内端部分に形成されて初期状態の可動底部材6を保持する環状起立部,
9は底蓋8の中央開口部に取り付けられたLEDユニット,
9aは当該中央開口部に嵌合または係合した状態で固定されるハウジング,
9bは当該ハウジングの上面部分に取り付けられたLED(光源),
9cは当該ハウジングの内部に格納されて当該LEDの電源として作用する電池,
9dは当該ハウジングの下面側に設けられてLEDのオン・オフを切り換える可動スイッチ部,
10は底蓋7の下面部分に設けられた環状弾性体,
11は容器本体1の小径筒状部1dに着脱自在な形で取り付けられるキャップ、
Aはシリンダ4,環状スペーサ5および環状パッキン6と可動底部材7との間に画定される容器本体内部の内容物空間域,
Bは底蓋8およびハウジング9aと可動底部材7との間に画定される容器本体内部のエア空間域,
Cは吸込弁4bと吐出弁4cとの間に画定されるシリンダ内部のバッファ空間域,
をそれぞれ示している。
【0023】
なお、ハーフ蒸着部1aは有意性を奏する任意の文字形状、例えば「もうすぐなくなります、新しいものをご用意下さい。」の文字形状にしてもよい。この場合、容器本体胴部の、当該文字形状部分を除く略外周面全体がシルバー蒸着部の態様で形成される。
【0024】
以上の各構成要素の中、容器本体1,カバー体2,操作部3,シリンダ4,環状スペーサ5,可動底部材7,底蓋8,ハウジング9aおよびキャップ11は、例えばナイロン,ポリアセタール,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリブエチレンテレフタレート,NBR,ネオプレン,ブチルゴムなどからなる合成樹脂製のものである。
【0025】
また、吸込弁4b,吐出弁4cおよび環状弾性体10は金属製や合成樹脂製のものである。環状パッキン6はゴム製や合成樹脂製のものである。
【0026】
図示のエアレスポンプ式製品における構成上の基本的特徴は、
(11)容器本体1の胴部外周面が、上側のハーフ蒸着部1b(光透過部分)と、下側のシルバー蒸着部1c(遮光部分)とで形成され、
(12)容器本体に固定されたLEDユニット9を取りつけ、
(13)環状の底蓋8の下面部分に、容器底LED面の高さをいわばかさ上げするための環状弾性体10を設けた、
ことである。
【0027】
可動底部材7は、エアレスポンプ式製品に特有で周知の構成要素であり、図1の初期状態から、利用者が操作部3を押圧して容器内容物が外部空間域に放出されるたびに上動する。
【0028】
そして可動底部材7が図2の状態を過ぎ、図3に示すように、そのスカート部7aの下端部分がシルバー蒸着部1b超えてハーフ蒸着部1aのゾーンに入り込む状態まで移行する、すなわち容器本体1の内容物空間域Aの内容物残量が少なくなると、可動スイッチ部9dがオンの状態のときに発せられるLED9bの光が当該ハーフ蒸着部から外部に洩れる。
【0029】
なお、利用者が、例えば任意の台などに載置したエアレスポンプ式製品をこの台の方に押すことにより、可動スイッチ部9dはLEDオフからLEDオンの状態に切り替わる。
【0030】
これは、台に載置されただけのエアレスポンプ式製品の底蓋8は環状弾性体10のいわば高さ分(上下方向の厚み)だけ、かさ上げされた状態になっている。
【0031】
すなわち、可動スイッチ部9dは、台から何ら積極的に上方向に押されることなく、わずかに離間した形に設定されている。
【0032】
利用者が、台に載置された状態の容器本体1の小径筒状部1dにキャップ11を取り付けながら、または取り付けてから当該キャップを強めに押下げたり、さらには当該状態の容器本体1やカバー体2の外周面を把持しながら強めに押下げることにより、環状弾性体10が縮む。
【0033】
その結果、可動スイッチ部9dが載置台の表面に当接して押圧されるので、当該可動スイッチ部はそれまでのオフからオンの状態へと切り替わる。
【0034】
そして利用者がキャップ11や容器本体1,カバー体2などの上記押下げ操作を止めると、環状弾性体10は初期状態(図1と同じ状態)に復帰する。この復帰にともない、可動スイッチ部9d可動端側も図1と同じ下方位置に戻り、それまでのLEDオンからLEDオフの状態へと切り替わる。
【0035】
このように、可動底部材7のスカート部7aの下端部分がハーフ蒸着部1aのゾーンに入り込んだ状態で可動スイッチ部9dがオンの状態になると、LED9bの光が当該ハーフ蒸着部から容器本体外部に洩れる。
【0036】
したがって、図示のエアレスポンプ式容器の利用者は、容器本体外部に洩れるこのLED光をいわば無意識に認識し、これにより内容物空間域Aの容量が小さくなったこと、すなわち容器本体1の残量内容物が少なくなったことを瞬時に、また確実に知りえる。
【0037】
このように、利用者は、内容物が無くなって使用不可能になる前に、次に使用する新たな製品や交換用の内容物充填済み容器(可動底部材7や底蓋8などを容器本体1に取り付けてから内容物を充填して仮蓋で封をしたもの)の用意または内容物の補充を行なうことができる。
【0038】
なお、ハウジング9a,LED9bおよび電池9cは、その全体が底蓋8の中央開口部に取り付けられる形のLEDユニット9となっている。そのため、可動底部材7や底蓋8などを容器本体1に取り付けてから内容物を充填した上でカバー体2を当該容器本体に螺合させた状態のエアレスポンプ式容器部分と、このLEDユニット9とを別々に輸送することができる。
【0039】
LEDユニット9を底蓋8に組み付けた状態で輸送する場合にはLED9bが光らないように、可動スイッチ部9dに外力が加わるのを防止するためのキャップを容器本体1の下部に取り付けたり、外部から引き抜き可能な電気絶縁フィルムをLED9bの端子と電池9cの電極との間に設けて可動スイッチ部9dがオンの状態でもLED9bに電流が流れないようにすればよい。利用者は、エアレスポンプ式容器から当該キャップや当該フィルムを取り除いてから使用を開始する。
【0040】
操作部3の押圧およびその解除といった一連の放出操作にともなうエアレスポンプ機構の作動手順は周知であり、概略、次のようになっている。
【0041】
先ず、操作部3が押圧されていない静止モードでは、吸込弁4bおよび吐出弁4cがともに閉じ、これらの間のバッファ空間域Cには次回放出対象の内容物が入っている。
【0042】
そして、操作部3が下方向に押圧されると、
(21)弾性力に抗する形で操作部3と連動する周知のピストン(図示省略)の作用により、バッファ空間域Cの容積が小さくなってそこの内容物圧力が次第に増加し、
(22)この圧力増加にともない吐出弁4cが開き(吸込弁4bは閉じたまま)、それまでバッファ空間域Cに溜まっていた内容物が操作部3の出力孔部(図示省略)から外部空間域に放出される。
【0043】
その後、操作部3の押圧操作が解除されると、
(31)操作部3および上記ピストンが上記弾性力により押圧操作前の位置に復帰し、これにともなってバッファ空間域Cの容積も減少して元の大きさとなり、
(32)この容積減少にともない、バッファ空間域Cの内容物圧力が内容物空間域Aのそれよりも低下して吸込弁4bが開くことにより、内容物空間域Aの内容物はバッファ空間域Cに流入し、
(33)この内容物流入の結果、吸込弁4bが下方向に受ける「バッファ空間域Cの内容物圧力+吸込弁4bの自重」などが、上方向に受ける内容物空間域Aの内容物圧力を超えた状態で、当該吸込弁は閉状態となり、
(34)この内容物空間域Aからバッファ空間域Cへの上記内容物流入にともない、当該内容物空間域が、底蓋8の孔部8aを介して外気と連通しているエア空間域Bに対して負圧状態となり、
(35)この内容物空間域Aの負圧化にともない、可動底部材7が、エア空間域Bの大気圧を受けて上動する。なお、上記(32)のバッファ空間域Cへの流入内容物が次回操作時の放出対象となる。
【0044】
そして、可動底部材7は、内容物空間域Aから下方向へ受ける内容物圧力および自重(や容器本体内周面との摩擦力)などと、エア空間域Bから上方向に受ける大気圧とがバランスした状態で停止する。
【0045】
このように可動底部材7は、内容物の放出操作により容器本体1(内容物空間域A)の内容物が減少するのに応じて、上方向に変位する。
【0046】
この変位後の可動底部材7のスカート部7aの下端部分がシルバー蒸着部1bを超えてハーフ蒸着部1aのゾーンに入り込むまでは、LED9bからの光はすべてシルバー蒸着部1cで遮蔽される(図2参照)。
【0047】
この図2の遮蔽状態のとき、内容物空間域Aには、まだ新しい製品の用意や内容物の補充の必要性がない程度の十分な量の内容物が残っている。そして、利用者がキャップ11を容器本体1に取り付けることなどにより可動スイッチ部9dがオンの状態になってLED9bが作動するものの、そこから発せられるLED光が容器本体外部に洩れることはない。
【0048】
本発明が以上の実施形態に限定されないことは勿論であり、例えば、
(41)容器本体1の遮光部分を、塗装,ホットスタンプ,転写箔,フィルム外装,フィルムインサート成形などの各種手法により形成する、
(42)光透過部分を容器本体1の周回部分の一部に窓の形で設ける、
(43)LED9bに代えて他の各種光源を用いる、
(44)LEDユニット9の代わりに、光源や電池を、エア空間域Bの構成要素の任意の部分、例えば可動底部材7の下面部分,環状起立部8bの内外周面,容器本体1の内周面などに設ける、
(45)容器本体外部に設けた光源の光をファイバでエア空間域Bに送り込む、
(46)利用者が直に操作可能な光源スイッチを容器本体外部に設ける、
(47)環状弾性体10としてスポンジを用いる、
ようにしてもよい。
【0049】
本発明が適用されるポンプ式製品としては、点鼻薬剤,洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0050】
容器本体に収納する内容物は、例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分などである。
【0051】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0052】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0053】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0054】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0055】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼインなどを用いる。
【0056】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0057】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【符号の説明】
【0058】
1:筒状の容器本体
1a:ハーフ蒸着部(光透過部分)
1b:シルバー蒸着部(遮光部分)
1c:環状係止部
1d:小径筒状部
2:カバー体
3:操作部
4:シリンダ
4a:内容物流入用の下側開口部
4b:吸込弁
4c:吐出弁
5:環状スペーサ
6:環状パッキン
7:可動底部材(フリーピストン)
7a:上下のスカート部
8:鞘状の底蓋
8a:エア流入用の孔部
8b:環状起立部
9:LEDユニット
9a:ハウジング
9b:LED(光源)
9c:電池
9d:可動スイッチ部
10:環状弾性体
11:キャップ
A:内容物空間域
B:エア空間域
C:バッファ空間域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体内容物の減少に応じて容器本体内部を上動する可動底部材および、外部空間域と連通する形で当該可動部材の下面側と容器本体底側との間に設定されるエア空間域を備えた、エアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構において、
前記容器本体は、少なくとも下側の遮光部分と上側の光透過部分とを有し、
前記エア空間域には、少なくとも発光部が備えられており、
前記可動底部材が上動して前記遮光部分から前記光透過部分に移った段階で、前記発光部の光が前記光透過部分から外部空間域に進んでいく、
ことを特徴とするエアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構。
【請求項2】
前記発光部は、
当該発光部に対する電池およびスイッチとともに一体化された形で、前記容器本体底側の開口部に取り付けられるタイプのユニット構造のものである、
ことを特徴とする請求項1記載のエアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構。
【請求項3】
前記スイッチは、
前記ユニット構造の下面側に取り付けられて少なくとも容器載置面と当接することにより切り替わる可動スイッチ部であり、
前記容器本体底側には、
前記可動スイッチ部を前記容器載置面から離間させるための弾性部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項2記載のエアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構。
【請求項4】
前記光透過部分は、
有意な文字部分の形状に設定されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の内容物残量表示機構を備え、かつ、内容物を収容した、
ことを特徴とするエアレスポンプ式製品。
【請求項1】
容器本体内容物の減少に応じて容器本体内部を上動する可動底部材および、外部空間域と連通する形で当該可動部材の下面側と容器本体底側との間に設定されるエア空間域を備えた、エアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構において、
前記容器本体は、少なくとも下側の遮光部分と上側の光透過部分とを有し、
前記エア空間域には、少なくとも発光部が備えられており、
前記可動底部材が上動して前記遮光部分から前記光透過部分に移った段階で、前記発光部の光が前記光透過部分から外部空間域に進んでいく、
ことを特徴とするエアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構。
【請求項2】
前記発光部は、
当該発光部に対する電池およびスイッチとともに一体化された形で、前記容器本体底側の開口部に取り付けられるタイプのユニット構造のものである、
ことを特徴とする請求項1記載のエアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構。
【請求項3】
前記スイッチは、
前記ユニット構造の下面側に取り付けられて少なくとも容器載置面と当接することにより切り替わる可動スイッチ部であり、
前記容器本体底側には、
前記可動スイッチ部を前記容器載置面から離間させるための弾性部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項2記載のエアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構。
【請求項4】
前記光透過部分は、
有意な文字部分の形状に設定されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエアレスポンプ式容器の内容物残量表示機構。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の内容物残量表示機構を備え、かつ、内容物を収容した、
ことを特徴とするエアレスポンプ式製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2010−241466(P2010−241466A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92580(P2009−92580)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】
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