説明

エアロゾル捕集装置及びこれを用いた多環芳香族炭化水素の分析装置並びに同分析方法

【課題】改良されたエアロゾル捕集装置と、これを用いて大気中のPAHsを高時間分解能で計測することの可能な装置及び方法を得ること。
【解決手段】エアロゾル捕集装置の捕集板表面に、複数の微細な孔が形成されていること。エアロゾル捕集装置の捕集板上のエアロゾル粒子を、溶媒により洗い流して容器に回収し、この容器に回収された溶液に超音波を加えてエアロゾル内部よりPAHs溶液を抽出し、この抽出された極性の小さなPAHs溶液に水を加えて、その極性を増大させて、前記PAHs溶液を濃縮カラムで濃縮し、この濃縮されたPAHs溶液を、蛍光検出器或いは質量検出器が装着された高速液体クロマトグラフで分析する多環芳香族炭化水素の分析装置及び方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたエアロゾル捕集装置と、このエアロゾル捕集装置を用いた多環芳香族炭化水素の分析装置並びに同分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大気汚染の問題は、我国のみならず世界的にも重視されており、汚染物質わけても大気エアロゾル粒子に含有される多環芳香族炭化水素(以下において「PAHs」と略称することもある。)は、発ガン原因物質として位置付けられており、その対策が検討されている。因みに、WHOは、PAHsの発ガンリスクの指標として、B[a]Pを指定している。
【0003】
ところが、PAHsに関するリスクアセスメントを行う際には、B[a]Pに限らず、代表的なPAHs成分の同時モニタリングが必要である。加えて、発生源近傍のPAHsについては、大気滞留時間が短くて分布に時間的・空間的不均一性が高く、特に、化学組成に関しては精度の高い標準法が存在しないことから、測定データの多くは断片的で統一性に欠け、時間分解能の高い測定は殆ど報告されていないのが現状である。
【0004】
一般に、大気中の粒子状物質に含まれるPAHsの測定には、石英フィルタを装着したハイボリュームサンプラーによりエアロゾルを捕集し、ジクロロメタンなどの有機溶媒によるソックスレー法や、超音波法による抽出の後、ガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)や、高速液体クロマトグラフ/蛍光検出計(HPLC/FR)による分析が実施されている。これらの方法は、平成11年3月に環境庁による有害大気汚染物質の測定方法のマニュアルにおいて、B[a]P測定標準手法とされている。
【0005】
また、従来においては、PASモニターのような光イオン化方式のものも用いられているが、この方式のものは、多環芳香族の各化合物に対する応答性が異なるとともに、それらの分離機能がないため、選択性に欠ける難点があり、更に、AMSの場合は、装置が高価であり、実施運転や解析に高度の技能を要するといった欠点も報告されている。
【0006】
ところで、エアロゾル捕集装置においては、筒状の装置本体内の奥部に捕集板(インパクター)を設けて、このインパクターに大気エアロゾル粒子を慣性衝突させて捕集するのに際し、別途に蒸気を装置本体内に注入して、エアロゾル粒子の膨張をもたらすことにより、インパクターにエアロゾル粒子を効率良く付着させる装置(Particle Into Liquid Sampler :PILS)が知られている。
【0007】
更に、この装置(以下において「PILS」と略称することもある。)を用いて、エアロゾル粒子の水溶性有機カーボン(WSOC)を計測する分析装置及び方法(A method on-line measurement
of water-soluble organic carbon in ambient particles : Results from urban site)が提案されている(GEOPHYSICAL RESEARCH LETTERS,
VOL.31,L13105,2004)。
【0008】
この文献に記載されている分析装置及び方法は、装置(PILS−WSOC)のインパクターの表面に、上方より純水を流して、インパクター表面に点在するエアロゾル粒子を洗い流すもので、水溶液或いは縣濁液として流下するエアロゾル粒子は、液体フィルタを経由した後に、オンラインで全有機炭素測定装置(TOC)へ導入され、水溶性の有機カーボンが、分析器によって分析される。
【0009】
上述した文献は、水溶性有機カーボンの分析装置及び方法において、ほぼ実時間の時間分解能での測定が可能であることを開示している。
【0010】
また、ディーゼルエンジンから排出されるディーゼル粒子中に含まれているPAHsを分析する装置及び方法は、下記特許文献にも開示されている。
【特許文献1】特開2000−249633号公報
【特許文献2】特開2005−37287号公報
【特許文献3】特開2005−274475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者等は、エアロゾル粒子のPAHsの測定にあたり、前記PILS−WSOCを用いて疎水性のPAHsを捕集したところ、PAHsの回収が効率的になされ得ないことが判明した。
【0012】
そこで本発明は、改良されたエアロゾル捕集装置を得ることを目的としている。
【0013】
更に、前述したように、この種のPAHsの測定において、発生源近傍のPAHsについては、大気滞留時間が短くて分布に時間的・空間的不均一性が高く、測定データの多くは断片的で統一性に欠け、時間分解能の高い測定は殆どなく、そして、ハイボリュームサンプラーによる捕集の時間分解能は、数時間から1日であって、ソックスレー法による抽出は10時間以上を要するオフラインの分析であった。
【0014】
また、前述した有機カーボンの分析装置及び方法においては、ガラス或いはプラスティック樹脂製のインパクターを収納したエアロゾル捕集装置を用いるので、エアロゾルを効率的に回収することができないし、また、時間分解能の高い測定は困難であった。
このように、現在においては、捕集、抽出、濃縮、分析プロセスをカバーでき且つ時間分解能の高いオンライン計測システムは存在していないのが実状である。
【0015】
そこで本発明は、前記改良されたエアロゾル捕集装置を用いて、これに高速液体クロマトグラフ/蛍光検出計(HPLC/FR)を組み合わせ、大気中のPAHsを高時間分解能で計測することの可能な装置及び方法を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願第1請求項に記載した発明は、装置本体に連通された吸引ポンプによって、大気と過飽和水蒸気が装置入口から吸引され、前記吸引された大気中のエアロゾルが、出口側に設けられた捕集板に慣性衝突して捕集されるエアロゾル捕集装置において、この捕集装置は、前記捕集板の上方より溶媒を流して、捕集板表面に点在するエアロゾル粒子を洗い流すものであって、前記捕集板は、前記大気中のエアロゾルが慣性衝突する表面に、複数の微細な孔が形成されているエアロゾル捕集装置である。
【0017】
本願第2請求項に記載した発明は、前記請求項1記載のエアロゾル捕集装置と、溶媒を用いて捕集板上のエアロゾル粒子を洗い流すとともに、これを回収する容器と、前記容器には超音波発生手段が設けられていて、この超音波によりもたらされた振動によって、エアロゾル内部よりPAHs溶液を抽出する手段と、前記抽出された極性の小さなPAHs溶液に水を加えて、そのPAHs溶液の極性を増大させる手段と、前記PAHs溶液を濃縮する濃縮カラムと、濃縮された前記PAHs溶液を分析する、蛍光検出器或いは質量検出器が装着された高速液体クロマトグラフと、を備えた多環芳香族炭化水素の分析装置である。
【0018】
本願第3請求項に記載した発明は、エアロゾル捕集装置の捕集板上のエアロゾル粒子を、溶媒により洗い流して容器に回収し、この容器に回収された溶液に超音波を加えてエアロゾル内部よりPAHs溶液を抽出した後、この抽出された極性の小さなPAHs溶液に水を加えて、そのPAHs溶液の極性を増大させ、更に前記PAHs溶液を濃縮カラムで濃縮し、この濃縮されたPAHs溶液を、蛍光検出器或いは質量検出器が装着された高速液体クロマトグラフで分析する多環芳香族炭化水素の分析方法である。
【0019】
尚、本発明において「PAHs」は、PAHs誘導体、例えばニトロ化、ヒドロキシル化されたPAHs誘導体も含む意味で用いている。
【発明の効果】
【0020】
このように、本願のエアロゾル捕集装置は、大気中のエアロゾルが慣性衝突する捕集板の表面に、複数の微細な孔が形成されているので、捕集板の上方より溶媒を注入すると、溶媒は捕集板の面上を一様に広がって流下し、これによりエアロゾルは、溶媒の溶解・縣濁液として洗い流して良好に回収されることになる。
【0021】
また、本願の多環芳香族炭化水素の分析装置は、本願のエアロゾル捕集装置を用いるので、エアロゾル粒子の回収が良好になされ、また、本願の分析方法ともども、濃縮カラムの前段に、極性の小さなPAHs溶液に水を加えて、その極性の大きく転換する手段を備えるので、濃縮カラムにおける濃縮が効率的になされ、もって、後段の高速液体クロマトグラフにおける分析が効果的になされ得るものである。
【0022】
従って、これら一連のシーケンスを自動化することが容易化され、大気中のPAHs成分の高時間分解能オンライン計測が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の具体例を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1はエアロゾル捕集装置を示す概略図である。同図において、1は捕集装置で、装置本体2に連通された吸引ポンプ(蠕動ポンプ:Peristaltic Pump)3によって、大気と過飽和水蒸気が装置入口4から吸引される。装置本体2に吸引された大気中のエアロゾルは、過飽和水蒸気発生装置5から送られる過飽和状態の水蒸気との混合により、液滴(粒径>1μm)へと成長し、出口側の捕集板(Impactor)6に慣性衝突することにより、この捕集板6に捕集される。
【0025】
更に、捕集板5には、上方より有機溶媒が連続的に注入され、捕集されたPAHsを含むエアロゾルは、有機溶媒の溶解・縣濁液として洗い流され、下流の容器7に回収される。
【0026】
ところで、捕集板は、従来用いられているガラスやプラスティック樹脂製のものでは、溶媒を上方より注入するとエアロゾルに十分に接触しないで流下し、その結果、エアロゾルの溶解が不十分であることが判明した。
【0027】
そこで、発明者等は、捕集板の表面を多孔(ポーラス)状に形成し、比表面積を大きく形成することにより、捕集板を流れる溶媒が板面上を一様に広がって、エアロゾルに十分接触することができるように工夫したものである。
【0028】
本例では、捕集板はステンレス製の焼結板で形成し、数十μ程度の微細な孔を多数設けている。もっとも、捕集板は、ステンレス製の焼結板に限らず、比表面積を大きく形成したものであれば良い。
【0029】
また、溶媒は、この例ではアセトニトリル(CHCN)を用いている。すなわち、測定するPAHsが疎水性なので、PAHsの溶解性の高い有機溶媒として、アセトニトリルを用いている。もっとも、有機溶媒はアセトニトリルに限られずに、PAHsを溶解或いは縣濁して流下させ得る溶媒、例えば、メタノールやエタノール等であっても良い。
【0030】
本例において、ステンレス製の焼結板で形成した径20mm、厚さ1mmの捕集板5に、上方より溶媒のアセトニトリルを0.2ml/minで連続注入すると、溶媒は捕集板の面上を一様に広がって流下し、これによりPAHsを含むエアロゾルは、溶媒の溶解・縣濁液として良好に下流の容器7に回収される。
【0031】
容器7は超音波を発生するように設けられており、この容器7に回収されたPAHsは、超音波によりもたらされた振動によって、エアロゾル内部より効率的に抽出される。抽出されたPAHs溶液は、後段の分析装置により分析される。
【0032】
すなわち、抽出されたPAHs溶液は、図2に示すように、濃縮カラムに導入されて高度に濃縮された後、蛍光検出器が装着された高速液体クロマトグラフ(HPLC/FR)により、各PAHs成分は高感度で分析される。
【0033】
本例においては、濃縮カラムによる濃縮の前に、極性の小さなPAHs溶液に水を加えて、その極性の大きく転換する手段8を備えている。PAHs溶液は、アセトニトリルの溶液であって、アセトニトリル自体、極性の小さな溶媒であるためPAHsの濃縮が困難であり、従って、図2に示すように、PAHs溶液0.4cc/minに対し、水を1.6cc/minを加えて極性を増大させる。
【0034】
このようにして極性が増大されたPAHs溶液は、濃縮カラム9に送られ、更に、メタノール10と水11の混合液1.5cc/minが濃縮カラム9に送られて、濃縮が行われる。
【0035】
また、前述したように、PAHs溶液は、濃縮カラムに導入されて高度に濃縮された後、本例では蛍光検出器が装着された高速液体クロマトグラフにより、各PAHs成分は高感度で分析される。
【0036】
これら一連のシーケンスを自動化することにより、大気中のPAHs成分の高時間分解能オンライン計測が可能となる。また、システムのバックグラウンドはインレット上部のエアロゾルフィルターを通過した粒子フリー大気の計測により決定する。
【0037】
次に、PAHs分析条件について説明する。
【0038】
HPLC(High Performance Liquid Chromatography、High Performance Liquid
Chromatograph)装置には、島津製作所製のLC10A-VPと分光蛍光検出器(RF-10AXL)を使用した。濃縮カラムには野村化学製のChromPack(4.6×35mm)、分離カラムにはChromPack(4.6×150mm,5μm particle size)を用いた。
【0039】
移動相にはアセトニトリルと水の混合によるグラジュエント法を用い、移動相流速は1.5ml/minとした。また、PAHsの蛍光検出(FR)においては、複数成分を高感度で分析するために、各PAHs検出における最適励起波長及び蛍光波長を組合わせたマルチスキャン方式を用いた。
【0040】
本例におけるHPLC/FRシステムによるPAH標準溶液のクロマトグラムを図3に示す。標準溶液にはSupelco社の610PAHMix混合標準溶液を希釈して、各成分の濃度を2mg/mlに調整した。希釈混合溶液の濃縮注入量は10mlである。但し、Acenaphthyleneは蛍光を発しないために検出されない。
【0041】
尚、前記Supelco社の610PAHMixは、「Naphthaleneナフタレン、Acenaphthyleneアセナフチレン、 Acenaphtheneアセナフテン、Fluoreneフルオレン、Phenanthreneフェナントレン、Antraceneアントラセン、Fluorantheneフルオランテン、Pyreneピレン、Benzo[a]anthraceneベンゾ(a)アントラセン、Chryseneクリセン、Benzo[b]fluorantheneベンゾ(b)フルオランテン、Benzo[k]fluorantheneベンゾ(k)フルオランテン、Benzo[a]pyreneベンゾ(a)ピレン、Dibenzo[ah]antraceneジベンゾ(ah)アントラセン、Benzo[ghi]peryleneベンゾ(ghi)ペリレン、Indeno[1,2,3-cd]pyreneインデノ[1,2,3-c,d]ピレン」である。
【0042】
本発明に係る装置を用いて、平成18年3月25〜29日の期間、東京都目黒区駒場4−6−1の東京大学先端科学技術研究センターにおいて、大気中15種のPAHsを2時間の時間分解能で計測した。代表的なHPLCクロマトグラムを図4に示す。
【0043】
本発明に係るPILS−HPLCシステムにより2時間の時間分解能でオンライン計測されたPAHs濃度と、従来のように石英繊維フィルターを装着したローボリュームサンプラーにより20〜24時間積分捕集し、HPLCによりオフライン測定されたPAHs濃度とを比較した結果の一例を図5に示す。
【0044】
図5は、平成18年3月25日17PM〜26日15PMの計測を示すものであって、同図において、Benzo[b]fluoranthene〜Indeno[1,2,3-cd]pyreneの5員環以上の各PAHsについては、両者の測定結果に良好な一致が認められた。
【0045】
しかしながら、Naphthalene〜Chryseneまでの2〜4員環のPAHsについては、PILSによるPAHs濃度がFilterより著しく高くなる傾向を示した。これはPAHsのガス−粒子平衡における存在率を反映した結果であるものと思料される。すなわち、本発明に係るPILSシステムでは、PAHsの抽出・回収液にアセトニトリルを使用していることから、ガス状で存在する2〜4員環の揮発性・半揮発性のPAHsがPILSに捕集されたためである。
【0046】
一方、不揮発性で粒子状のPAHs(5員環以上)には相異がないことがわかる。
【0047】
以上の結果、PILSシステムを用いて粒子状のPAHsを捕集する場合には、揮発性有機物質(VOCs)を除去するデニューダーを装着することが望ましいが、PILS−HPLCシステムの有効性が明らかとなった。更に、本発明に係るシステムのガス状PAHs計測への応用の可能性も示唆された。
【0048】
尚、上述した具体例では、蛍光検出器が装着された高速液体クロマトグラフを用いたが、質量検出器が装着された高速液体クロマトグラフを用いてもよい。
【0049】
また、具体例では、PILS−HPLCシステムにデニューダーを装着しなかったものについて説明したが、これを装着して計測しても良い。このように、デニューダーの装着の有無により、4員環以下の各PAHsについて、必要に応じて粒子状とガス状を分けて、或いは一括して分析することが可能となるものである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のエアロゾル捕集装置及びこれを用いた多環芳香族炭化水素の分析装置並びに同分析方法は、汚染物質とりわけ大気エアロゾル粒子に含有される多環芳香族炭化水素の捕集、分析に際し好適に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明のエアロゾル捕集装置を示す概略図である。
【図2】本発明の分析システムを示す概略図である。
【図3】PAH標準溶液のクロマトグラムを示す図である。
【図4】大気中のPAHs分析クロマトグラムを示す図である
【図5】本発明に係るPILS−HPLCシステムでオンライン計測されたPAHs濃度と、従来のオフライン測定されたPAHs濃度とを比較した図である。
【符号の説明】
【0052】
1 捕集装置
2 装置本体
3 吸引ポンプ
4 装置入口
5 過飽和水蒸気発生装置
6 捕集板
7 容器
8 極性を増大する手段
9 濃縮カラム
10 メタノール
11 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に連通された吸引ポンプによって、大気と過飽和水蒸気が装置入口から吸引され、前記吸引された大気中のエアロゾルが、出口側に設けられた捕集板に慣性衝突して捕集されるエアロゾル捕集装置において、
この捕集装置は、前記捕集板の上方より溶媒を流して、捕集板表面に点在するエアロゾル粒子を洗い流すものであって、
前記捕集板は、前記大気中のエアロゾルが慣性衝突する表面に、複数の微細な孔が形成されていることを特徴とするエアロゾル捕集装置。
【請求項2】
前記請求項1記載のエアロゾル捕集装置と、
溶媒を用いて、捕集板上のエアロゾル粒子を洗い流すとともに、これを回収する容器と、
前記容器には超音波発生手段が設けられていて、この超音波によりもたらされた振動によって、エアロゾル内部よりPAHs溶液を抽出する手段と、
前記抽出された極性の小さなPAHs溶液に水を加えて、そのPAHs溶液の極性を増大させる手段と、
前記PAHs溶液を濃縮する濃縮カラムと、
濃縮された前記PAHs溶液を分析する、蛍光検出器或いは質量検出器が装着された高速液体クロマトグラフと、
を備えたことを特徴とする多環芳香族炭化水素の分析装置。
【請求項3】
エアロゾル捕集装置の捕集板上のエアロゾル粒子を、溶媒により洗い流して容器に回収し、この容器に回収された溶液に超音波を加えてエアロゾル内部よりPAHs溶液を抽出した後、この抽出された極性の小さなPAHs溶液に水を加えて、そのPAHs溶液の極性を増大させ、更に前記PAHs溶液を濃縮カラムで濃縮し、この濃縮されたPAHs溶液を、蛍光検出器或いは質量検出器が装着された高速液体クロマトグラフで分析することを特徴とする多環芳香族炭化水素の分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−76323(P2008−76323A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258359(P2006−258359)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(506324149)東京ダイレック株式会社 (1)
【出願人】(591054886)三友プラントサービス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】