エアロゾル検出器
【課題】放射性物質を使用しなくともイオンを安定的に生成できるとともに、小型で検出器構成が簡便なエアロゾル検出器を提供する。
【解決手段】空気導入路108とイオン発生部103とイオン検出室101、102と空気排出路109とを備え、前記イオン検出室に流入したエアロゾルにより前記イオン検出室内のイオン数が減少することを検出してエアロゾルを検出するエアロゾル検出器において、前記イオン発生部が放電電極202、211、221から構成される。
【解決手段】空気導入路108とイオン発生部103とイオン検出室101、102と空気排出路109とを備え、前記イオン検出室に流入したエアロゾルにより前記イオン検出室内のイオン数が減少することを検出してエアロゾルを検出するエアロゾル検出器において、前記イオン発生部が放電電極202、211、221から構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気中の微粒子(エアロゾル)を検出するためのエアロゾル検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の微粒子(エアロゾル)を検出するエアロゾル検出器は、例えば、煙検知器、ガスセンサ又は漏洩検出器として広く利用されている。特殊な用途としては、高速増殖炉の冷却材として用いられるナトリウムの漏洩を検出する機器としても使われる。
【0003】
イオン化式エアロゾルの検出法は、エアロゾルが空気中のイオンを吸着することを利用したものである。すなわち、検出器内の測定室にイオンを満たし、このイオン密度をモニターする。この測定室に測定対象の外気を導入する。導入した空気中にエアロゾルが含まれると、測定室内のイオンがエアロゾルに吸着され検出室内のイオン密度が低下する。このイオン密度の減少を検出してエアロゾルの存在及び量を判断する。
【0004】
気温、湿度、気圧など外的要因によるイオン密度検出感度の変動による検出誤差を抑制するため、測定室を2つ設け、一方は、外気をあまり通さない構造とし、他方に外気を導入し、2つの測定室のイオン密度を比較してイオン数の減少を検出する方法がとられている(特許文献1)。
【0005】
イオン生成には、従来からフィラメント又は放射線源によるイオン化手段が用いられているが(特許文献1及び2)、特に、アメリシウムを用いたα線源は、装置の小型軽量化を図り、イオンを安定的に供給することができるので、エアロゾル検出器のイオン発生源として広く用いられていた。
【0006】
このような従来のエアロゾル検出器の測定原理を、図6を用いて説明する。
図6のエアロゾル検出器は煙検出器として用いられるもので、イオン生成源としてアメリシウムからなるα線源が使用されている。
【0007】
測定対象の空気は、空気導入路908から検出器の測定室911に入り、空気排出路909から検出器外へ放出される。測定室911及び対照室921内にはα線源903によって作られた空気イオンが存在する。測定室911内のイオン密度は、イオン検出電極912とイオン検出信号処理器906によって監視されている。測定室912に隣接して対照室921が設けられているが、対照室921と測定室911は連通孔904によって互いの空気が行き来できるようになっていて、両室内の気温、湿度、気圧は、長い時定数で等しく保たれるようになっている。イオン生成源としてα線源903を用いたことで、このような簡単で小型の検出器構成とすることができる。
【0008】
この煙検知器に火災による煙が流入した場合、測定室911内のイオンが煙に吸着され、測定室内のイオン密度が減少する。この変化は、イオン検出電極912によって検出される。一方、対照室921内への煙の流入は緩やかであり、対照室921のイオン密度は急激には減少せず、イオン検出電極922からの検出信号はほとんど変化しない。測定室と対照室のイオン密度信号の違いをイオン検出信号処理器906にて検出し、煙の発生を警報する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公昭63−22252号公報
【特許文献2】特公昭61−20813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、従来のエアロゾル検出器ではα線源としてアメリシウムが用いられていたが、近年の法律改正によりアメリシウム線源を使用することができなくなった。そのため、イオン生成源として放射性物質を使用しなくともイオンを安定的に生成できるとともに、小型で検出器構成が簡便なエアロゾル検出器が望まれていた。
そこで、本発明は、放射性物質を使用しなくともイオンを安定的に生成できるとともに、小型で検出器構成が簡便なエアロゾル検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、空気導入路とイオン発生部とイオン検出室と空気排出路とを備え、前記イオン検出室に流入したエアロゾルにより前記イオン検出室内のイオン数が減少することを検出してエアロゾルを検出するエアロゾル検出器において、前記イオン発生部が放電電極からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、放射性物質を使用しなくともイオンを安定的に生成できるとともに、小型で検出器構成が簡便なエアロゾル検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るエアロゾル検出器の全体構成図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るイオン発生部の構成図。
【図3】(a)は本発明の第1の実施形態に係るイオン発生部の変形例の構成図、(b)はその平面図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るエアロゾル検出器の全体構成図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るエアロゾル検出器の変形例の全体構成図。
【図6】従来のエアロゾル検出器の全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るエアロゾル検出器の実施形態を、図を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るエアロゾル検出器901の全体構成図である。
エアロゾル検出器1は、測定室101と対照室102からなるイオン検出室、測定室101と対照室102との境界部に設けられたイオン発生部103、電源104、空気導入路108、空気排出路109、イオン検出電極115,125、及び信号処理部116,126から構成される。
【0015】
図2は、イオン発生部103の構成図である。
イオン発生部103は、交流の放電駆動電源201に接続された駆動電極202を挟んで、両側に接地された対向電極211と221が平行に配置されている。対向電極211と221には、孔213,223があけられており、この端面と駆動電極202間で放電212,222を発生させる。放電が点燈しやすく、安定化させるために、駆動電極202に図2に示すような突起214,224を設けてもよい。放電により発生したイオンは、上下方向に拡散して広がる。
【0016】
次に、このエアロゾル検出器1の作用を説明する。
測定対象の空気は、空気導入路108から測定室101に入り、空気排出路109から排出される。駆動電極202に放電駆動電源201から電源が供給されると、駆動電極202の上下両面で放電が発生し、上側の対照室102と下側の測定室101に対称にイオンが生成される。測定室101と対照室102のイオンは、それぞれイオン検出電極115と125によって捕集され、イオン検出信号処理器116と126によって、イオン密度信号として出力される。
【0017】
この2つのイオン密度信号を演算処理し、エアロゾルの有無を判断したり、あるいは、含有量を算出する。その際、イオンの拡散側の対向電極211と221が接地されていることで、交流高電圧の誘導ノイズの放射を抑制する効果がある。
【0018】
測定室101と対照室102内の雰囲気は、図示しない少なくとも1つの小口径の連通孔(図示せず)により連通しており、エアロゾルが測定室に充満するより十分長い時定数で、測定室101と対照室102相互の気温、湿度、気圧が等しくなるように構成される。
【0019】
図2に示すイオン発生部103は、駆動電極202と対向電極211,221との間には空間が形成されているが、これに限定されない。
図3(a)、(b)に示すイオン発生部は、駆動電極302と対向電極311,321との間に絶縁体303が充填されており、いわゆる、誘電体バリア放電が発生する構成となっている。図3(b)はこのイオン発生部の平面図である。図3(a)において、312,322で示した放電が対向電極311,321に設けられた孔313,323の縁に沿って、上下同じように発生する。
【0020】
上述したイオン発生部において、放電用の電源は交流を用いているので、これらの電極は等価的にコンデンサとなり、放電は、コンデンサに並列に入った高抵抗体となる。電極間に加わる電圧は電極が作るコンデンサによって規定されるので、2組の電極間には常に一定の電圧が発生することになる。一方、直流を印加した場合は、等価的な負荷としてコンデンサが現れないので、放電の安定性が保てない。
【0021】
また、放電駆動電源201からの誘導ノイズを軽減するために、接地された対向電極311,321で駆動電極302を覆う構成にしたが、ノイズ対策が十分であれば、対向電極311,321を短冊状にして配置してもよい。この場合は、電極の静電容量が小さくなるので、電源容量を小さくできるという利点がある。
【0022】
本第1の実施形態によれば、イオン発生源として交流電源による放電機構を用いたことにより、安定したイオン発生源を有する小型軽量な構成のエアロゾル検出器を提供することができる。
【0023】
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態に係るエアロゾル検出器の全体構成図である。
本第2の実施形態では、空気は、空気導入路108から対照室102と測定室101の両方に流入する構成となっていて、対照室102と測定室101それぞれに空気導入孔131,133と空気放出孔132,134が設けられている。
【0024】
対照室101の空気導入孔131と空気放出孔132は、測定室の空気導入孔133と空気放出孔134より小さくなっている。すなわち、対照室102の空気交換の時定数が測定室101に比べ長くなっている。したがって、エアロゾル混入の空気が来た場合、測定室101内にエアロゾルが十分に充満しても対照室102への空気の進入は遅く、したがって、両者のイオン密度信号の比較で、エアロゾルの有無、または、エアロゾル濃度を検出することができる。
【0025】
図5に示す変形例では、対照室102の空気導入孔131に、微粒子捕捉用のフィルタ141が設置されている。これにより対照室102内へのエアロゾルの進入を阻止する構造となっている。また、必要に応じて、対照室の空気排出孔132にもフィルタを設置してもよい。
【0026】
これによって、エアロゾルを含む空気が検出器に流入した場合、測定室と対照室のイオン密度信号を比較することによって、感度良くエアロゾルの有無、または、エアロゾル濃度を検出することができる。
【符号の説明】
【0027】
1…エアロゾル検出器、101…測定室、102…対照室、103…イオン発生部、104…電源、108…空気導入路、109…空気排出路、115,125…イオン検出電極、116,126…イオン検出信号処理器、131,133…空気導入孔、132,134…空気放出孔、141…フィルタ、201…放電駆動電源、202,302…駆動電極、211,221,311,321…対向電極、212,222,312,322…放電、303…絶縁材、213,223,313,323…孔、901…エアロゾル検出器、903…α線源、904…連通孔、906…イオン検出信号処理器、908…空気導入路、909…空気排出路、911…測定室、912…イオン検出電極、921…対照室、922…イオン検出電極。
【技術分野】
【0001】
本発明は空気中の微粒子(エアロゾル)を検出するためのエアロゾル検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の微粒子(エアロゾル)を検出するエアロゾル検出器は、例えば、煙検知器、ガスセンサ又は漏洩検出器として広く利用されている。特殊な用途としては、高速増殖炉の冷却材として用いられるナトリウムの漏洩を検出する機器としても使われる。
【0003】
イオン化式エアロゾルの検出法は、エアロゾルが空気中のイオンを吸着することを利用したものである。すなわち、検出器内の測定室にイオンを満たし、このイオン密度をモニターする。この測定室に測定対象の外気を導入する。導入した空気中にエアロゾルが含まれると、測定室内のイオンがエアロゾルに吸着され検出室内のイオン密度が低下する。このイオン密度の減少を検出してエアロゾルの存在及び量を判断する。
【0004】
気温、湿度、気圧など外的要因によるイオン密度検出感度の変動による検出誤差を抑制するため、測定室を2つ設け、一方は、外気をあまり通さない構造とし、他方に外気を導入し、2つの測定室のイオン密度を比較してイオン数の減少を検出する方法がとられている(特許文献1)。
【0005】
イオン生成には、従来からフィラメント又は放射線源によるイオン化手段が用いられているが(特許文献1及び2)、特に、アメリシウムを用いたα線源は、装置の小型軽量化を図り、イオンを安定的に供給することができるので、エアロゾル検出器のイオン発生源として広く用いられていた。
【0006】
このような従来のエアロゾル検出器の測定原理を、図6を用いて説明する。
図6のエアロゾル検出器は煙検出器として用いられるもので、イオン生成源としてアメリシウムからなるα線源が使用されている。
【0007】
測定対象の空気は、空気導入路908から検出器の測定室911に入り、空気排出路909から検出器外へ放出される。測定室911及び対照室921内にはα線源903によって作られた空気イオンが存在する。測定室911内のイオン密度は、イオン検出電極912とイオン検出信号処理器906によって監視されている。測定室912に隣接して対照室921が設けられているが、対照室921と測定室911は連通孔904によって互いの空気が行き来できるようになっていて、両室内の気温、湿度、気圧は、長い時定数で等しく保たれるようになっている。イオン生成源としてα線源903を用いたことで、このような簡単で小型の検出器構成とすることができる。
【0008】
この煙検知器に火災による煙が流入した場合、測定室911内のイオンが煙に吸着され、測定室内のイオン密度が減少する。この変化は、イオン検出電極912によって検出される。一方、対照室921内への煙の流入は緩やかであり、対照室921のイオン密度は急激には減少せず、イオン検出電極922からの検出信号はほとんど変化しない。測定室と対照室のイオン密度信号の違いをイオン検出信号処理器906にて検出し、煙の発生を警報する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公昭63−22252号公報
【特許文献2】特公昭61−20813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、従来のエアロゾル検出器ではα線源としてアメリシウムが用いられていたが、近年の法律改正によりアメリシウム線源を使用することができなくなった。そのため、イオン生成源として放射性物質を使用しなくともイオンを安定的に生成できるとともに、小型で検出器構成が簡便なエアロゾル検出器が望まれていた。
そこで、本発明は、放射性物質を使用しなくともイオンを安定的に生成できるとともに、小型で検出器構成が簡便なエアロゾル検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、空気導入路とイオン発生部とイオン検出室と空気排出路とを備え、前記イオン検出室に流入したエアロゾルにより前記イオン検出室内のイオン数が減少することを検出してエアロゾルを検出するエアロゾル検出器において、前記イオン発生部が放電電極からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、放射性物質を使用しなくともイオンを安定的に生成できるとともに、小型で検出器構成が簡便なエアロゾル検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るエアロゾル検出器の全体構成図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るイオン発生部の構成図。
【図3】(a)は本発明の第1の実施形態に係るイオン発生部の変形例の構成図、(b)はその平面図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るエアロゾル検出器の全体構成図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るエアロゾル検出器の変形例の全体構成図。
【図6】従来のエアロゾル検出器の全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るエアロゾル検出器の実施形態を、図を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るエアロゾル検出器901の全体構成図である。
エアロゾル検出器1は、測定室101と対照室102からなるイオン検出室、測定室101と対照室102との境界部に設けられたイオン発生部103、電源104、空気導入路108、空気排出路109、イオン検出電極115,125、及び信号処理部116,126から構成される。
【0015】
図2は、イオン発生部103の構成図である。
イオン発生部103は、交流の放電駆動電源201に接続された駆動電極202を挟んで、両側に接地された対向電極211と221が平行に配置されている。対向電極211と221には、孔213,223があけられており、この端面と駆動電極202間で放電212,222を発生させる。放電が点燈しやすく、安定化させるために、駆動電極202に図2に示すような突起214,224を設けてもよい。放電により発生したイオンは、上下方向に拡散して広がる。
【0016】
次に、このエアロゾル検出器1の作用を説明する。
測定対象の空気は、空気導入路108から測定室101に入り、空気排出路109から排出される。駆動電極202に放電駆動電源201から電源が供給されると、駆動電極202の上下両面で放電が発生し、上側の対照室102と下側の測定室101に対称にイオンが生成される。測定室101と対照室102のイオンは、それぞれイオン検出電極115と125によって捕集され、イオン検出信号処理器116と126によって、イオン密度信号として出力される。
【0017】
この2つのイオン密度信号を演算処理し、エアロゾルの有無を判断したり、あるいは、含有量を算出する。その際、イオンの拡散側の対向電極211と221が接地されていることで、交流高電圧の誘導ノイズの放射を抑制する効果がある。
【0018】
測定室101と対照室102内の雰囲気は、図示しない少なくとも1つの小口径の連通孔(図示せず)により連通しており、エアロゾルが測定室に充満するより十分長い時定数で、測定室101と対照室102相互の気温、湿度、気圧が等しくなるように構成される。
【0019】
図2に示すイオン発生部103は、駆動電極202と対向電極211,221との間には空間が形成されているが、これに限定されない。
図3(a)、(b)に示すイオン発生部は、駆動電極302と対向電極311,321との間に絶縁体303が充填されており、いわゆる、誘電体バリア放電が発生する構成となっている。図3(b)はこのイオン発生部の平面図である。図3(a)において、312,322で示した放電が対向電極311,321に設けられた孔313,323の縁に沿って、上下同じように発生する。
【0020】
上述したイオン発生部において、放電用の電源は交流を用いているので、これらの電極は等価的にコンデンサとなり、放電は、コンデンサに並列に入った高抵抗体となる。電極間に加わる電圧は電極が作るコンデンサによって規定されるので、2組の電極間には常に一定の電圧が発生することになる。一方、直流を印加した場合は、等価的な負荷としてコンデンサが現れないので、放電の安定性が保てない。
【0021】
また、放電駆動電源201からの誘導ノイズを軽減するために、接地された対向電極311,321で駆動電極302を覆う構成にしたが、ノイズ対策が十分であれば、対向電極311,321を短冊状にして配置してもよい。この場合は、電極の静電容量が小さくなるので、電源容量を小さくできるという利点がある。
【0022】
本第1の実施形態によれば、イオン発生源として交流電源による放電機構を用いたことにより、安定したイオン発生源を有する小型軽量な構成のエアロゾル検出器を提供することができる。
【0023】
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態に係るエアロゾル検出器の全体構成図である。
本第2の実施形態では、空気は、空気導入路108から対照室102と測定室101の両方に流入する構成となっていて、対照室102と測定室101それぞれに空気導入孔131,133と空気放出孔132,134が設けられている。
【0024】
対照室101の空気導入孔131と空気放出孔132は、測定室の空気導入孔133と空気放出孔134より小さくなっている。すなわち、対照室102の空気交換の時定数が測定室101に比べ長くなっている。したがって、エアロゾル混入の空気が来た場合、測定室101内にエアロゾルが十分に充満しても対照室102への空気の進入は遅く、したがって、両者のイオン密度信号の比較で、エアロゾルの有無、または、エアロゾル濃度を検出することができる。
【0025】
図5に示す変形例では、対照室102の空気導入孔131に、微粒子捕捉用のフィルタ141が設置されている。これにより対照室102内へのエアロゾルの進入を阻止する構造となっている。また、必要に応じて、対照室の空気排出孔132にもフィルタを設置してもよい。
【0026】
これによって、エアロゾルを含む空気が検出器に流入した場合、測定室と対照室のイオン密度信号を比較することによって、感度良くエアロゾルの有無、または、エアロゾル濃度を検出することができる。
【符号の説明】
【0027】
1…エアロゾル検出器、101…測定室、102…対照室、103…イオン発生部、104…電源、108…空気導入路、109…空気排出路、115,125…イオン検出電極、116,126…イオン検出信号処理器、131,133…空気導入孔、132,134…空気放出孔、141…フィルタ、201…放電駆動電源、202,302…駆動電極、211,221,311,321…対向電極、212,222,312,322…放電、303…絶縁材、213,223,313,323…孔、901…エアロゾル検出器、903…α線源、904…連通孔、906…イオン検出信号処理器、908…空気導入路、909…空気排出路、911…測定室、912…イオン検出電極、921…対照室、922…イオン検出電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気導入路とイオン発生部とイオン検出室と空気排出路とを備え、前記イオン検出室に流入したエアロゾルにより前記イオン検出室内のイオン数が減少することを検出してエアロゾルを検出するエアロゾル検出器において、前記イオン発生部が放電電極からなることを特徴とするエアロゾル検出器。
【請求項2】
前記イオン検出室は隣接して配置された測定室と対照室とからなり、前記イオン発生部は前記測定室と対照室の境界に配置された駆動電極と前記駆動電極を挟んで対向配置された複数の対向電極からなり、前記測定室に前記空気導入路と空気排出路が連通されることを特徴とする請求項1記載のエアロゾル検出器。
【請求項3】
前記複数の対向電極に、それぞれ孔が設けられていることを特徴とする請求項2記載のエアロゾル検出器。
【請求項4】
前記駆動電極に、前記対向電極に設けられた孔に向けて突出する突起が設けられていることを特徴とする請求項3記載のエアロゾル検出器。
【請求項5】
前記駆動電極と対向電極の間に、絶縁体が充填されていることを特徴とする請求項1又は2記載のエアロゾル検出器。
【請求項6】
前記測定室と対照室との境界に、空気を連通するための連通孔が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載のエアロゾル検出器。
【請求項7】
前記イオン検出室は隣接して配置された測定室と対照室とからなり、前記イオン発生部は前記測定室と対照室の境界に配置された一つの駆動電極と前記駆動電極に対向して配置された2つの対向電極からなり、前記測定室と対照室に前記空気導入路と空気排出路が連通されることを特徴とする請求項1記載のエアロゾル検出器。
【請求項8】
前記対照室への空気の流入口が前記測定室への流入口より小さいことを特徴とする請求項7記載のエアロゾル検出器。
【請求項9】
前記対照室の空気流入口に微細エアロゾルを通過させないフィルタを装着したことを特徴とする請求項7又は8記載のエアロゾル検出器。
【請求項10】
前記放電電極は交流電源により駆動されることを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載のエアロゾル検出器。
【請求項1】
空気導入路とイオン発生部とイオン検出室と空気排出路とを備え、前記イオン検出室に流入したエアロゾルにより前記イオン検出室内のイオン数が減少することを検出してエアロゾルを検出するエアロゾル検出器において、前記イオン発生部が放電電極からなることを特徴とするエアロゾル検出器。
【請求項2】
前記イオン検出室は隣接して配置された測定室と対照室とからなり、前記イオン発生部は前記測定室と対照室の境界に配置された駆動電極と前記駆動電極を挟んで対向配置された複数の対向電極からなり、前記測定室に前記空気導入路と空気排出路が連通されることを特徴とする請求項1記載のエアロゾル検出器。
【請求項3】
前記複数の対向電極に、それぞれ孔が設けられていることを特徴とする請求項2記載のエアロゾル検出器。
【請求項4】
前記駆動電極に、前記対向電極に設けられた孔に向けて突出する突起が設けられていることを特徴とする請求項3記載のエアロゾル検出器。
【請求項5】
前記駆動電極と対向電極の間に、絶縁体が充填されていることを特徴とする請求項1又は2記載のエアロゾル検出器。
【請求項6】
前記測定室と対照室との境界に、空気を連通するための連通孔が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載のエアロゾル検出器。
【請求項7】
前記イオン検出室は隣接して配置された測定室と対照室とからなり、前記イオン発生部は前記測定室と対照室の境界に配置された一つの駆動電極と前記駆動電極に対向して配置された2つの対向電極からなり、前記測定室と対照室に前記空気導入路と空気排出路が連通されることを特徴とする請求項1記載のエアロゾル検出器。
【請求項8】
前記対照室への空気の流入口が前記測定室への流入口より小さいことを特徴とする請求項7記載のエアロゾル検出器。
【請求項9】
前記対照室の空気流入口に微細エアロゾルを通過させないフィルタを装着したことを特徴とする請求項7又は8記載のエアロゾル検出器。
【請求項10】
前記放電電極は交流電源により駆動されることを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載のエアロゾル検出器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2010−271129(P2010−271129A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122130(P2009−122130)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]