説明

エアーエレメント

【課題】燃費が向上するとともに排気ガスを浄化できるエアーエレメントを提供する。
【解決手段】抗菌性金属酸化物微粒子(A)および/または導電性金属酸化物微粒子(B)を、固形分として0.01〜5重量%の範囲で含有させた不織布を用いた。抗菌性金属酸化物微粒子(A)および導電性金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径は3〜300nmの範囲にある。抗菌性金属酸化物微粒子(A)中の抗菌性金属成分の担持量が金属として0.1〜15.0重量%の範囲にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、航空機等のエンジン稼働のための吸気用フィルタである、エアーエレメント(エアーフィルターと言うことがある。)に関し、抗菌性金属成分を担持した金属酸化物微粒子および/または導電性金属酸化物微粒子を含有する不織布を用いたエアーエレメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料の高騰に伴い、燃費の向上が求められている。また、環境問題から、省エネルギーとともに排ガス中の一酸化炭素ガス、黒鉛、粒状物質等を抑制することが求められている。
このような目的の基、燃焼促進剤として石油系、アルコール系の添加剤が研究、開発されているが、効果が実質的に認められない場合や、効果が不充分なものも多い。また、添加効果が認められるものでも高価で経済性に問題があり、さらに改善が求められている。
【0003】
特開2004−099849号公報(特許文献1)には、燃焼促進剤として5ミクロン前後に粉砕した天然ゼオライト、天然ゼオライトと貝殻の混合物を用いることにより燃焼効率が改善されるととともに有害ガスの発生を抑制できることが開示されている。しかしながら、前記燃焼促進剤を長期に亘って使用すると粉体が燃料タンクあるいは燃料供給ラインに蓄積し、燃料供給量が減少したり、燃料供給が停止し、安定的に効果を得ることができない場合があった。
【0004】
本願出願人は、鱗片状の微細なゼオライトを用いると前記燃料供給問題が無くなるとともに燃費が大きく改善できることを開示している(特開2009−126874号公報:特許文献2)。
しかしながら、従来の燃料添加剤のみでは、長期に亘って運転すると暫時効果が低減することが認められた。
【0005】
一方、燃料の燃焼効率にはエアーエレメントが重要で、燃費向上には定期的にエアーエレメントを更新することが勧められている。
特開2010−51871号公報(特許文献3)には、親水性繊維と親水性繊維に担持された金属酸化物粒子とを備えたエアークリーナー用濾材が開示されており、金属酸化物粒子としてはチタン、ジルコニウム、シリコン、スズ、インジウム等の金属酸化物粒子もしくはこれらの複合酸化物粒子を用いることが記載されており、特に二酸化チタンは水との接触角が低く、濡れ性に優れ、また、エアークリーナー用濾材に付着した有機物を分解し、汚れを防止することができ、燃費を向上したり、燃焼排ガス中のNOxや黒鉛を低減できることが開示されている。
【0006】
本発明者等は、燃費向上の観点から鋭意検討した結果、エアーエレメントに抗菌性能を有する特定の金属成分を担持した抗菌性金属酸化物粒子と導電性を有する導電性金属酸化物微粒子とを不織布に担持して用いると、燃費が向上するだけでなく、排ガス中の一酸化炭素ガス、黒鉛、粒状物質等が抑制できることを見出して本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−099849号公報
【特許文献2】特開2009−126874号公報
【特許文献3】特開2010−51871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、燃費が向上するとともに排気ガスを浄化できるエアーエレメントを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るエアーエレメントは、抗菌性金属酸化物微粒子(A)および/または導電性金属酸化物微粒子(B)を、固形分として0.01〜5重量%の範囲で含有させた不織布を用いたことを特徴としている。
前記抗菌性金属酸化物微粒子(A)が、抗菌性金属成分を担持した金属酸化物微粒子であり、該抗菌性金属成分が銀、銅、亜鉛、錫、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる1種または2種以上であり、平均粒子径が3〜300nmの範囲あることが好ましい。
前記抗菌性金属酸化物微粒子(A)中の抗菌性金属成分の担持量が金属として0.1〜15.0重量%の範囲にあることが好ましい。
前記抗菌性金属酸化物微粒子(A)の金属酸化物がシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシアおよびこれらの複合酸化物であることが好ましい。
【0010】
前記導電性金属酸化物微粒子(B)が酸化錫、Sb、FまたはPドープ酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFドープ酸化インジウム、五酸化アンチモンから選ばれる1種または2種以上であり、平均粒子径が3〜300nmの範囲あることが好ましい。
前記導電性金属酸化物微粒子(B)が銀、銅、亜鉛、錫、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる1種または2種以上の抗菌性金属成分を担持した導電性金属酸化物微粒子であり、導電性金属酸化物微粒子(B)中の抗菌性金属成分の担持量が金属として0.1〜15.0重量%の範囲にあることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のエアーエレメントでは、菌類が増殖したり、塵等が静電付着して空気抵抗が大きくなることが殆どない。また、本発明のエアーエレメントによれば、増殖した菌類、付着した塵等を除去することができ、このため、高い燃焼効率を維持して燃費が向上する。
また、本発明のエアーエレメントによれば、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素等を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明に係るエアーエレメントは、抗菌性金属酸化物微粒子(A)および/または導電性金属酸化物微粒子(B)を、固形分として0.01〜5重量%の範囲で含有させた不織布を用いたことを特徴としている。
【0013】
抗菌性金属酸化物微粒子(A)
抗菌性金属酸化物微粒子(A)に用いる金属酸化物はシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシアおよびこれらの複合酸化物であることが好ましい。
複合酸化物としては、シリカ・アルミナ、シリカ・チタニア、シリカ・ジルコニア、シリカ・アルミナ・マグネシア等が挙げられる。
抗菌性金属酸化物微粒子(A)には抗菌性金属成分が担持されており、抗菌性金属成分としては銀、銅、亜鉛、錫、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
【0014】
抗菌性金属酸化物微粒子(A)中の抗菌性金属成分の担持量は金属として0.1〜15.0重量%、さらには0.2〜12重量%の範囲にあることが好ましい。
抗菌性金属酸化物微粒子(A)中の抗菌性金属成分の担持量が金属として0.1重量%未満の場合は、後述するエアーエレメントに含有させる抗菌性金属酸化物微粒子(A)の量にもよるが、菌の繁殖を抑制する効果が不充分となる場合があり、菌が増殖してエアーエレメントの空気抵抗が大きくなり、燃費の改善、排気ガスの浄化効果が不充分となる場合がある。
抗菌性金属酸化物微粒子(A)中の抗菌性金属成分の担持量が金属として15.0重量%を越えてもさらに抗菌性能が向上することもなく、むしろ抗菌性金属成分が凝集するためか性能が低下する場合がある。
【0015】
抗菌性金属酸化物微粒子(A)の平均粒子径は3〜300nm、さらには5〜200nmの範囲あることが好ましい。
抗菌性金属酸化物微粒子(A)の平均粒子径が3nm未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても凝集する傾向があり、不織布に均一に高分散状態で含有させることができない場合あり、抗菌性能が不充分となり菌が増殖してエアーエレメントの空気抵抗が大きくなり、燃費の改善、排気ガスの浄化効果が不充分となる場合がある。
抗菌性金属酸化物微粒子(A)の平均粒子径が300nmを越えると、不織布への付着性、固定性が低下し、抗菌性金属酸化物微粒子(A)が脱落する場合があり、さらに、抗菌性金属酸化物微粒子(A)の外部表面積が小さくなるので抗菌性能が十分発揮できず、燃費の改善、排気ガスの浄化効果が不充分となる場合がある。
【0016】
このような抗菌性金属酸化物微粒子(A)の製造方法は、例えば、本願出願人による無機酸化物コロイド粒子に抗菌性金属成分を付着せしめた抗菌剤(特開平6−80527号公報)、あるいはメタ珪酸アルミン酸マグネシウムに抗菌性を有する金属イオンをイオン交換した抗菌剤(特開平3−275627号公報)に開示した方法に準拠して製造することができる。あるいは、金属成分と該金属成分以外の無機酸化物とから構成される無機酸化物微粒子であって、前記無機酸化物が酸化チタンとシリカおよび/またはジルコニアとを含んでなり、該酸化チタンが結晶性酸化チタンである抗菌性消臭剤(特開2005−318999号公報)に開示した方法に準拠して製造することもできる。
【0017】
導電性金属酸化物微粒子(B)
導電性金属酸化物微粒子(B)としては、酸化錫、Sb、FまたはPドープ酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFドープ酸化インジウム、五酸化アンチモンから選ばれる1種または2種以上の従来公知の導電性金属酸化物微粒子が用いられる。
不織布がこのような導電性金属酸化物微粒子(B)を含有していると、不織布の帯電が抑制されて静電気的な埃、塵等の付着が抑制され、エアーエレメントの空気抵抗が大きくなることがなく、燃費の改善、排気ガスの浄化効果を得ることができる。
【0018】
導電性金属酸化物微粒子(B)は、銀、銅、亜鉛、錫、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる1種または2種以上の抗菌性金属成分が担持されていることが好ましく、導電性金属酸化物微粒子(B)中の抗菌性金属成分の担持量は金属として0.1〜15.0重量%、さらには0.2〜12.0重量%の範囲にあることが好ましい。
導電性金属酸化物微粒子(B)中の抗菌性金属成分の担持量が金属として0.1重量%未満の場合は、後述するエアーエレメントに含有させる導電性金属酸化物微粒子(B)の量にもよるが、菌の繁殖を抑制する効果が不充分となる場合があり、菌が増殖してエアーエレメントの空気抵抗が大きくなり、燃費の改善、排気ガスの浄化効果が不充分となる場合がある。
導電性金属酸化物微粒子(B)中の抗菌性金属成分の担持量が金属として15.0重量%を越えてもさらに抗菌性能が向上することもなく、むしろ抗菌性金属成分が凝集するためか性能が低下する場合がある。
【0019】
導電性金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径は3〜300nm、さらには5〜200nmの範囲あることが好ましい。
導電性金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径が3nm未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても凝集する傾向があり、不織布に均一に高分散状態で含有させることができない場合あり、抗菌性能が不充分となり菌が増殖してエアーエレメントの空気抵抗が大きくなり、燃費の改善、排気ガスの浄化効果が不充分となる場合がある。
導電性金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径が300nmを越えると、不織布への付着性、固定性が低下し、導電性金属酸化物微粒子(B)が脱落する場合があり、さらに、導電性金属酸化物微粒子(B)の外部表面積が小さくなるので抗菌性能が十分発揮できず、燃費の改善、排気ガスの浄化効果が不充分となる場合がある。
【0020】
抗菌性金属成分を担持した導電性金属酸化物微粒子(B)は、前記した抗菌性金属酸化物微粒子(A)の製造方法に準拠して製造することができる。
【0021】
不織布中の抗菌性金属酸化物微粒子(A)および/または導電性金属酸化物微粒子(B)の含有量は、固形分として0.01〜5重量%、さらには0.02〜3重量%の範囲にあることが好ましい。
抗菌性金属酸化物微粒子(A)および/または導電性金属酸化物微粒子(B)の含有量が、固形分として0.01重量%未満の場合は、抗菌性能および/または帯電防止性能が不充分となり、菌が増殖したり、埃、塵等が付着してエアーエレメントの空気抵抗が大きくなり、燃費の改善、排気ガスの浄化効果が不充分となる場合がある。
抗菌性金属酸化物微粒子(A)および/または導電性金属酸化物微粒子(B)の含有量が、固形分として5重量%を越えては不織布に担持することが困難であり、担持できたとしても脱落するようになるので好ましくない。
【0022】
不織布
本発明に用いる不織布としてはエアーエレメントに使用される従来公知の不織布を用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、綿、レーヨン繊維等の不織布を用いることができる。また、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維等の不織布を用いることができる。
【0023】
エアーエレメント
本発明に係るエアーエレメントは、不織布に前記した抗菌性金属酸化物微粒子(A)および/または導電性金属酸化物微粒子(B)が担持されている以外は従来公知のエアーエレメントと同様である。
エアーエレメントには、あらかじめ塗布、浸漬等によって前記した抗菌性金属酸化物微粒子(A)および/または導電性金属酸化物微粒子(B)を含有させた不織布を用いても良く、不織布をエアーエレメントに設置後、抗菌性金属酸化物微粒子(A)および/または導電性金属酸化物微粒子(B)の分散液を塗布し、乾燥してもよい。
さらに、抗菌性金属酸化物微粒子(A)および/または導電性金属酸化物微粒子(B)を繊維に練り込む等して含有させた不織布を用いてもよく、いずれか一方の微粒子を練り込んだ不織布を用い、その後、他方の微粒子を塗布、浸漬等によって担持した不織布を用いてもよい。
【実施例】
【0024】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0025】
[実施例1]
燃費(1)・排気ガス(1)評価
約8年間で走行距離65000kmの普通乗用車(1)(トヨタ自動車(株)製:クラウン、ガソリンエンジン搭載、排気量3000cc)の燃費は6.0km/lであった。
また、走行中の排気ガスについて、炭化水素濃度、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度を測定し、結果を表に示す。排気ガス評価は下記のように実施した。
【0026】
燃費(2)・排気ガス(2)評価
この普通乗用車のエアーエレメントの不織布部分に抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)分散液(日揮触媒化成(株)製:ATOMYBALL-(S)、平均粒子径5nm、抗菌性金属:Ag2O 0.06重量%、担体:TiO2・SiO2、固形分濃度1.5重量%、分散媒:水)を用いて不織布に抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)の担持量が固形分として1.0重量%となるように塗布し、乾燥してエアーエレメント(1)を装着した普通乗用車(1)とした。この時の抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)の担持量は1.0重量%であった。
ついで、燃料タンクにガソリンを10L充填し、平坦な一般道を平均時速60キロメートル/時で燃料切れまで走行した。
【0027】
燃費(2)は、走行距離(km)を使用燃料量(L)で除して平均燃費とし、燃費向上率と併せて表に示す。
また、走行中の排気ガスについて、炭化水素濃度、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度を測定し、結果を表に示す。
なお、排気ガスの測定は、自動車排ガス測定器(HORIBA社製:MEXA−594L)によって測定した。
また、使用した抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)の抗菌性能は、以下の方法によって測定した。
【0028】
抗菌性能
走行試験後のエアーエレメントから抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)を担持した不織布を切り取り、0.4gをバイアル瓶に入れ、菌懸濁液(界面活性剤Tween80、0.05%、栄養:肉エキス、150mg/L+ペプトン、250mg/L)0.2mLを滴下し、37℃で18時間培養後、洗い出し、生菌数を測定し、次式(1)の殺菌活性値により抗菌性能を評価した。評価方法は、繊維製品の定量的抗菌性試験方法 JIS L1902に従った。
結果を表に示す。
試験菌には、黄色ぶどう球菌、大腸菌、およびMRSAを用いた。
殺菌活性値=Log(植菌数)−Log(試験片生菌数) ・・・(1)
【0029】
[実施例2]
燃費(1)・排気ガス(1)評価
別の車両で、約6年間で走行距離40000kmの普通乗用車(2)(トヨタ自動車(株)製:クラウン、ガソリンエンジン搭載、排気量3000cc)の燃費は5.8km/lであった。炭化水素濃度、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度を表に示す。
【0030】
燃費(2)・排気ガス(2)評価
実施例1において、抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)分散液を不織布に抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)の担持量が固形分として0.05重量%となるように塗布し、乾燥した以外は同様にしてエアーエレメント(2)を装着した普通乗用車(2)とした。この時の抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)の担持量は0.05重量%であった。ついで、燃費および排気ガスの評価を行い、結果を表に示す。
【0031】
[実施例3]
燃費(1)・排気ガス(1)評価
別の車両で、約5年間で走行距離53000kmの普通乗用車(3)(トヨタ自動車(株)製:クラウン、ガソリンエンジン搭載、排気量3000cc)の燃費は5.8km/lであった。炭化水素濃度、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度を表に示す。
【0032】
燃費(2)・排気ガス(2)評価
実施例1において、抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)分散液を不織布に抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)の担持量が固形分として2.0重量%となるように塗布し、乾燥した以外は同様にしてエアーエレメント(3)を装着した普通乗用車(3)とした。この時の抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)の担持量は3.0重量%であった。ついで、燃費および排気ガスの評価を行い、結果を表に示す。
【0033】
[実施例4]
燃費(1)・排気ガス(1)評価
別の車両で、約5年間で走行距離 55000kmの普通乗用車(4)(トヨタ自動車(株)製:クラウン、ガソリンエンジン搭載、排気量3000cc)の燃費は5.8km/lであった。炭化水素濃度、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度を表に示す。
【0034】
燃費(2)・排気ガス(2)評価
この普通乗用車のエアーエレメントの不織布部分に抗菌性金属酸化物微粒子(A-2)分散液(日揮触媒化成(株)製:ATOMYBALL-(L)、平均粒子径:10nm、抗菌性金属:Ag2O 0.06重量%、担体:TiO2・SiO2・ZrO2、固形分濃度1.5重量%、分散媒:水)を用いて不織布に抗菌性金属酸化物微粒子(A-2)の担持量が固形分として1.0重量%となるように塗布し、乾燥してエアーエレメント(4)を装着した普通乗用車(4)とした。この時の抗菌性金属酸化物微粒子(A-2)の担持量は1.0重量%であった。ついで、燃費および排気ガスの評価を行い、結果を表に示す。
【0035】
[実施例5]
燃費(1)・排気ガス(1)評価
別の車両で、約8年間で走行距離78000kmの普通乗用車(5)(トヨタ自動車(株)製:クラウン、ガソリンエンジン搭載、排気量3000cc)の燃費は5.9km/lであった。炭化水素濃度、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度を表に示す。
【0036】
燃費(2)・排気ガス(2)評価
この普通乗用車のエアーエレメントの不織布部分に導電性金属酸化物微粒子分散液(日揮触媒化成(株)製:ELCOM V−3560、平均粒子径:8nm、酸化アンチモン・酸化錫(ATO)、体積抵抗値:0.1Ω・cm、固形分濃度20.5重量%、分散媒:変性アルコール)を固形分濃度3.0重量%になるようにエチルアルコールで稀釈した導電性金属酸化物微粒子(B-1)分散液を用いて不織布に導電性金属酸化物微粒子(B-1)の担持量が固形分として2.0重量%となるように塗布し、乾燥してエアーエレメント(5)を装着した普通乗用車(5)とした。この時の導電性金属酸化物微粒子(B-1)の担持量は2.0重量%であった。
ついで、燃費および排気ガスの評価を行い、結果を表に示す。
【0037】
[実施例6]
燃費(1)・排気ガス(1)評価
別の車両で、約10年間で走行距離98000kmの普通乗用車(6)(トヨタ自動車(株)製:クラウン、ガソリンエンジン搭載、排気量3000cc)の燃費は5.6km/lであった。炭化水素濃度、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度を表に示す。
【0038】
燃費(2)・排気ガス(2)評価
この普通乗用車のエアーエレメントの不織布部分に抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)分散液(日揮触媒化成(株)製:ATOMYBALL-(S)、平均粒子径5nm、抗菌性金属:Ag2O 0.06重量%、担体:TiO2・SiO2、固形分濃度1.5重量%、分散媒:水)を用いて不織布に抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)の担持量が固形分として1.0重量%となるように塗布した。ついで、実施例5と同様にして調製した固形分濃度3.0重量%の導電性金属酸化物微粒子(B-1)分散液を用いて、不織布に導電性金属酸化物微粒子(B-1)の担持量が固形分として2.0重量%となるように塗布し、ついで乾燥してエアーエレメント(6)を装着した普通乗用車(6)とした。
この時の抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)の担持量は1.0重量%、導電性金属酸化物微粒子(B-1)の担持量は2.0重量%であった。ついで、燃費および排気ガスの評価を行い、結果を表に示す。
【0039】
[実施例7]
燃費(1)・排気ガス(1)評価
別の車両で、走行距離5000kmの普通乗用車(7)(トヨタ自動車(株)製:クラウン、ガソリンエンジン搭載、排気量3000cc)の燃費は7.0km/lであった。炭化水素濃度、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度を表に示す。
【0040】
燃費(2)・排気ガス(2)評価
実施例6と同様にして抗菌性金属酸化物微粒子(A-1)および導電性金属酸化物微粒子(B-1)を担持したエアーエレメント(7)を装着した普通乗用車(7)とした。
ついで、普通乗用車(7)を約半年間で5000km走行した後、実施例1と同様にして燃費および排気ガスの評価を行い、結果を表に示す。
【0041】
[比較例1]
燃費(1)・排気ガス(1)評価
別の車両で、走行距離7000kmの普通乗用車(8)(トヨタ自動車(株)製:クラウン、ガソリンエンジン搭載、排気量3000cc)の燃費は7.0km/lであった。炭化水素濃度、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度を表に示す。
【0042】
燃費(2)・排気ガス(2)評価
ついで、普通乗用車(8)を約半年間で5000km走行した後、実施例1と同様にして燃費および排気ガスの評価を行い、結果を表に示す。
【0043】
[比較例2]
燃費(1)・排気ガス(1)評価
別の車両で、約5年間で走行距離39000kmの普通乗用車(9)(トヨタ自動車(株)製:クラウン、ガソリンエンジン搭載、排気量3000cc)の燃費は5.8km/lであった。炭化水素濃度、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度を表に示す。
【0044】
燃費(2)・排気ガス(2)評価
この普通乗用車のエアーエレメントの不織布部分に金属酸化物微粒子(R-2)分散液(日揮触媒化成(株)製:ネオサンベール−1010、平均粒子径:10nm、TiO2・SiO2・ZrO2、固形分濃度10重量%、分散媒:水)を用いて不織布に金属酸化物微粒子(R-2)の担持量が固形分として1.0重量%となるように塗布し、ついで乾燥してエアーエレメント(R-2)を装着した普通乗用車(R-2)とした。この時の金属酸化物微粒子(R-2)の担持量は1.0重量%であった。ついで、燃費および排気ガスの評価を行い、結果を表に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌性金属酸化物微粒子(A)および/または導電性金属酸化物微粒子(B)を、固形分として0.01〜5重量%の範囲で含有させた不織布を用いたことを特徴とするエアーエレメント。
【請求項2】
前記抗菌性金属酸化物微粒子(A)が、抗菌性金属成分を担持した金属酸化物微粒子であり、該抗菌性金属成分が銀、銅、亜鉛、錫、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる1種または2種以上であり、平均粒子径が3〜300nmの範囲あることを特徴とする請求項1に記載のエアーエレメント。
【請求項3】
前記抗菌性金属酸化物微粒子(A)中の抗菌性金属成分の担持量が金属として0.1〜15.0重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のエアーエレメント。
【請求項4】
前記抗菌性金属酸化物微粒子(A)の金属酸化物がシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシアおよびこれらの複合酸化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエアーエレメント。
【請求項5】
前記導電性金属酸化物微粒子(B)が酸化錫、Sb、FまたはPドープ酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFドープ酸化インジウム、五酸化アンチモンから選ばれる1種または2種以上であり、平均粒子径が3〜300nmの範囲あることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエアーエレメント。
【請求項6】
前記導電性金属酸化物微粒子(B)が銀、銅、亜鉛、錫、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる1種または2種以上の抗菌性金属成分を担持した導電性金属酸化物微粒子であり、抗菌性金属酸化物微粒子(B)中の抗菌性金属成分の担持量が金属として0.1〜15.0重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエアーエレメント。

【公開番号】特開2012−71228(P2012−71228A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216258(P2010−216258)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】