説明

エアーチャンバ装置

【課題】使用者が椅子に座った状態で使用できるようにして利便性を高めつつ、使用者の荷重によって変形したり破損したりすることを防止することができるとともに、気密性を高いレベルで維持することが可能なエアーチャンバ装置を提供する。
【解決手段】エアーチャンバ装置1は、内部を高気圧に維持するエアーチャンバ2と、エアーチャンバ2を支持して固定する固定架台3とからなっている。エアーチャンバ2は、シート状の可撓性材10でその内部が覆われ、その一部に、使用者が出入りするためのスライド引戸11が設けられている。エアーチャンバ装置1は、内部に備えられた椅子に使用者が座って使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疲労回復等の目的で血液の循環を促進するために用いられるエアーチャンバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メタボリック症候群の対策や、ストレス社会における心身疲労の回復等の目的で、高気圧・高濃度酸素環境下で、溶解型酸素、すなわち血液に直接溶け込む酸素を人体に多く取り込んで、血液循環を促進するエアーチャンバ装置が注目されている。
このようなエアーチャンバ装置は、持ち運びに便利なように、軽量で可撓性を有する素材で形成されるケースが多い。
エアーチャンバ装置に関する技術の一例が、特許文献1、特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−319077号公報
【特許文献2】特開2005−348817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものは、可撓性素材を用いて円筒形のエアーチャンバを作製し、これを横向きに配置して使用するものであるが、このようにすると、所謂寝袋のような使用しかできない。寝袋状態で使用すると、エアーチャンバへの出入りは、行動しやすい身軽な服装であることが必要となり、特に、女性がスカートを着用したまま使用するのは困難である。また、けが人が出入りする際には、介護者の助けを必要とするなど、不便な場合が多い。
【0005】
特許文献2に記載のものは、高気圧環境下となっている筐体を有し、筐体内で身体運動などが行われる高気圧筐体装置において、筐体は、箱状に組み込まれた複数のパネルと各パネルの少なくとも一面に延在された複数の補強フレームとを有する周壁と、周壁の内面を覆う気密性部材とを具備するものであり、各パネルには複数の補強フレームが固定されているため、各パネルの耐圧強度が向上するとともに、周壁の内面が気密性部材で覆われているため、周壁が内圧により多少変形する場合でも、筐体内の気密性が損なわれることを防止するとされている。しかし、特許文献2に記載のものでは、装置の構成が複雑となり、重量も重くなるため、設置する場所が限定されることから、簡便に使用することができない。
【0006】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、使用者が椅子に座った状態で使用できるようにして利便性を高めつつ、使用者の荷重によって変形したり破損したりすることを防止することができるとともに、気密性を高いレベルで維持することが可能なエアーチャンバ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明のエアーチャンバ装置は、シート状の可撓性材と、前記可撓性材の形状を保持するチャンバフレームとを備えたエアーチャンバと、前記エアーチャンバを支持して固定する固定架台とを有するエアーチャンバ装置であって、前記エアーチャンバは、その長手方向が、床面に対して垂直となるように立設され、または床面に垂直な方向に対して傾斜されて配置されていることを特徴とする。
【0008】
シート状の可撓性材と、可撓性材の形状を保持するチャンバフレームとを備えたエアーチャンバを有しているため、エアーチャンバの重量を軽量化することができるとともに、エアーチャンバの形状を確実に保持することができる。
また、エアーチャンバは、その長手方向が、床面に対して垂直となるように立設され、または床面に垂直な方向に対して傾斜されて配置されているため、エアーチャンバ内で座った状態で使用することができ、利便性が高い。
【0009】
本発明のエアーチャンバ装置においては、前記可撓性材に荷重伝達開口が設けられ、前記荷重伝達開口を貫通する荷重伝達バルブが、エアーチャンバ内に設置された椅子からの荷重を受ける椅子荷重支持フレームに取付られて、前記チャンバフレームと前記固定架台とが連結されていることが好ましい。
【0010】
この構成により、椅子から椅子荷重支持フレームに与えられる使用者の荷重は、可撓性材に伝えられることなく、荷重伝達バルブを介して固定架台に伝達される。そのため、軽量化のために可撓性材を用いても、エアーチャンバの表面を覆う可撓性材が、使用者の荷重によって損傷を受けることがない。
【0011】
本発明のエアーチャンバ装置においては、前記チャンバフレームにスライド引戸ガイドレールが取付られ、前記スライド引戸ガイドレールに回転吊戸車が取付られて、前記回転吊戸車の転動によってスライド引戸が開閉され、前記回転吊戸車に対して振止め戸車が取付られていることが好ましい。
【0012】
エアーチャンバの長手方向が床面に垂直な方向に対して傾斜されて、エアーチャンバが配置されている場合には、スライド引戸も同様に傾斜し、スライド引戸の荷重の分力が、スライド引戸ガイドレールに沿う方向に発生するが、振止め戸車は、この方向の分力を受けることによって、この方向の応力を負担する。これにより、スライド引戸が傾斜しても、回転吊戸車は傾斜の影響を受けることなく、スライド引戸ガイドレール内をスムーズに転動することができ、スライド引戸の開閉動作に支障をきたすことがない。
【0013】
本発明のエアーチャンバ装置においては、前記スライド引戸にはスライド引戸を開閉するためのレバーハンドルが取付られ、前記チャンバフレームのうち、前記スライド引戸が設けられる開口部の開口端に沿って、機密性を保つためにゴムパッキンが設けられ、前記チャンバフレームのスライド引戸縦枠フレームにレバーハンドル受けが設けられ、前記スライド引戸を回転すると、前記レバーハンドルの接合部が前記レバーハンドル受けに係止され、前記スライド引戸は前記ゴムパッキンと密着して前記レバーハンドルが閉じられた状態となる構造とすることができる。
【0014】
レバーハンドルが閉じられた状態では、スライド引戸はゴムパッキンと密着しているため、エアーチャンバの機密性を確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、使用者が椅子に座った状態で使用できるようにして利便性を高めつつ、使用者の荷重によって変形したり破損したりすることを防止することができるとともに、気密性を高いレベルで維持することが可能なエアーチャンバ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るエアーチャンバ装置の外観を示す図である。
【図2】エアーチャンバを構成するシート状の可撓性材の構造を示す図である。
【図3】エアーチャンバを構成するチャンバフレームの構造を示す図である。
【図4】エアーチャンバに配置される部材を示す図である。
【図5】エアーチャンバを支持して固定する固定架台の詳細を示す図である。
【図6】チャンバフレーム内に椅子が収納され、チャンバフレームと固定架台とが固定された状態の概観を示す図である。
【図7】チャンバフレームと固定架台との固定の詳細を示す図である。
【図8】(a)は、荷重伝達バルブを構成する各部品を示し、(b)は、組み立て後の荷重伝達バルブを示す図である。
【図9】荷重伝達バルブを用いて荷重を伝達する手段を示す図である。
【図10】エアーチャンバ装置の概観を示す図である。
【図11】エアーチャンバ装置の概観を示す図である。
【図12】エアーチャンバ装置の概観を示す図である。
【図13】図1のスライド引戸の横断面を示す図である。
【図14】スライド引戸の動作を説明する図である。
【図15】スライド引戸の動作を説明する図である。
【図16】スライド引戸を取り付ける前の状態図である。
【図17】スライド引戸を取り付けた後の状態図である。
【図18】レバーハンドルの操作説明図である。
【図19】レバーハンドルの操作説明図である。
【図20】エアーチャンバ装置の使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明をその実施形態に基づいて説明する。
図1に、本発明の実施形態に係るエアーチャンバ装置の外観を示す。
図1に示すように、エアーチャンバ装置1は、内部を高気圧に維持するエアーチャンバ2と、エアーチャンバ2を支持して固定する固定架台3とからなっている。固定架台3の内部には、図示しない酸素発生装置とコンプレッサが備えられている。
【0018】
エアーチャンバ2は、シート状の可撓性材10でその内部が覆われ、その一部に、使用者が出入りするためのスライド引戸11が設けられている。スライド引戸11の周囲には開口部スチール補強枠12が配置され、開口部スチール補強枠12が設けられた位置に可撓性材10の折り返し補強部13が形成されている。エアーチャンバ2には、エアーチャンバ2内部の気圧を調整する気圧調整弁14と、エアーチャンバ2内部の気圧を測定する気圧計15が設けられている。スライド引戸11は、複数の窓16を有している。この窓16に透明素材が嵌め込まれる。
【0019】
図2は、エアーチャンバ2を構成するシート状の可撓性材10の構造を示しており、シート状の可撓性材10は、スライド引戸11が設けられる開口部20を除いて、全体として円筒形となるように形成されている。可撓性材10の上面には窓21が設けられ、この窓21に透明素材が嵌め込まれて、室内照明による光がエアーチャンバ2内に導入される。
【0020】
スライド引戸11が設けられる開口部20の周囲には、折り返し補強部13が形成されており、この折り返し補強部13は、シート状の可撓性材10と同質の素材で形成されている。可撓性材10の下面には荷重伝達開口22が設けられている。荷重伝達開口22の機能については、後に詳述する。また、可撓性材10の側面には、排気弁開口23、気圧計開口24、荷重伝達開口22、気圧調整弁開口25、酸素給気開口26、エアー給気開口27がそれぞれ設けられている。
【0021】
図3は、エアーチャンバ2を構成するチャンバフレーム30の構造を示しており、このチャンバフレーム30は、図2に示すシート状の可撓性材10の内部に配置されるものである。チャンバフレーム30は全体として円筒形の形状であり、上面側と下面側にスライド引戸ガイドフレーム31が設けられるとともに、椅子荷重支持フレーム32が設けられている。側面側にはスライド引戸縦枠フレーム33と椅子荷重支持フレーム32が設けられている。さらに、全体の形状を維持するために、チャンバ形状保持フレーム34が、スライド引戸11が設けられる開口部35を除いて、全体を覆うように形成されている。
【0022】
図4は、エアーチャンバ2に配置される部材を示しており、図3に示すスライド引戸11が設けられる開口部35に対して、スライド引戸11が取付られる。スライド引戸11はアルミニウム等によって形成することができる。スライド引戸11には窓16が設けられており、スライド引戸11の内部には、強度補強のための補強フレーム43が設けられている。また、図3に示すスライド引戸ガイドフレーム31に沿ってスライド引戸ガイドレール40が取付られる。
【0023】
エアーチャンバ2内には使用者が座るための椅子41が配置され、この椅子41はリクライニング機能を有している。椅子41の下方には連結軸42が設けられており、連結軸42は、図3に示す椅子荷重支持フレーム32に連結されてチャンバフレーム30内に固定される。
【0024】
図5は、エアーチャンバ2を支持して固定する固定架台3の詳細を示しており、ステンレスやスチール等によって形成された固定架台本体50に対して3つの支持部51が設けられている。それぞれの支持部51の上端にはチャンバフレーム取付部材52が取付られている。図2において、3つの荷重伝達開口22を示しているが、チャンバフレーム取付部材52はこれらの荷重伝達開口22を通って、図3に示すチャンバフレーム30の椅子荷重支持フレーム32と連結される。これにより、チャンバフレーム30と固定架台3とが固定される。
【0025】
図6は、チャンバフレーム30内に椅子41が収納され、チャンバフレーム30と固定架台3とが固定された状態の概観を示しており、椅子荷重支持フレーム32に対してチャンバフレーム取付部材52が取付られることによって、チャンバフレーム30と固定架台3とが固定されている。
【0026】
図7は、チャンバフレーム30と固定架台3との固定の詳細を示しており、チャンバフレーム30と固定架台3との連結部は、荷重伝達バルブ60によって連結されている。この荷重伝達バルブ60の詳細を図8に示す。
【0027】
図8(a)は、荷重伝達バルブ60を構成する各部品を示し、図8(b)は、組み立て後の荷重伝達バルブ60を示す。
両面ネジきりバルブ61が、ゴムパッキン63付きの座金62に嵌め込まれて、可撓性材10と同質の素材で補強された補強面64に設けられた荷重伝達開口22を貫通している。補強面64は、可撓性材10に対して荷重伝達開口22を設けるにあたって、強度を補強するために設けられたものである。両面ネジきりバルブ61に対して、ゴムパッキン65付きの座金66を介してバルブ固定ナット67が取付られて固定されている。なお、図8に示す構造のバルブは、荷重伝達バルブ60に限らず、他の用途のバルブとしても用いることができる。
【0028】
図9は、図8に示す荷重伝達バルブ60を用いて荷重を伝達する手段を示しており、図9(a)は、その分解図を示し、図9(b)は、組み立て図を示す。
椅子荷重支持フレーム32の上方に接合ボルト固定ナット70が配置され、椅子荷重支持フレーム32の下方にゴムパッキン72付きの接合ボルト固定ナット71が配置される。ゴムパッキン72付きの接合ボルト固定ナット71の下方に荷重伝達バルブ60が配置された状態で、荷重伝達バルブ60の下方から接合ボルト73が挿入され、ゴムパッキン72付きの接合ボルト固定ナット71と椅子荷重支持フレーム32を貫通して、接合ボルト73は接合ボルト固定ナット70により固定される。
【0029】
接合ボルト73にはボルト長調整ナット74が取付られて、接合ボルト73の長さが調整される。また、接合ボルト73の下端には架台接合座金75が取付られており、架台接合座金75によって、接合ボルト73と固定架台3とが接合される。
図9に示す構造により、椅子41から椅子荷重支持フレーム32に与えられる使用者の荷重は、可撓性材10に伝えられることなく、荷重伝達バルブ60を介して固定架台3に伝達される。
【0030】
図10から図12に、エアーチャンバ装置1の概観を示す。図10はスライド引戸11を閉じた状態、図11はスライド引戸11を半分開いた状態、図12はスライド引戸11を全開した状態を示す。図10から図12において、(a)は上方から椅子41を見た図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【0031】
図10から図12の(b)、(c)に示すように、荷重伝達バルブ60によって、エアーチャンバ装置1内の椅子41に座った使用者の荷重は、固定架台3に直接的に伝達される。そのため、エアーチャンバ2の表面を覆う可撓性材10が、使用者の荷重によって損傷を受けることがない。
エアーチャンバ装置1の側面には、排気弁バルブ80、気圧計バルブ81、気圧調整弁バルブ82、酸素給気バルブ83、エアー給気バルブ84が取付けられている。これらのバルブは、図2において示した可撓性材10の側面に設けられた、排気弁開口23、気圧計開口24、気圧調整弁開口25、酸素給気開口26、エアー給気開口27に対して取付けられたものである。これらのバルブは、図8に示した荷重伝達バルブ60と同様の構造とすることができる。排気弁バルブ80、気圧計バルブ81、気圧調整弁バルブ82、酸素給気バルブ83、エアー給気バルブ84の取付についても、図8に示した構造のバルブを用いることにより、可撓性材10に負担を与えることなく、エアーチャンバ2の機密性を保持することができる。
【0032】
図13は、図1のスライド引戸11の横断面を示しており、図13に基づいてスライド引戸11とスライド引戸縦枠フレーム33との接合部90a、90bについて説明する。
図13においては、スライド引戸11が図中の矢印の方向にスライドして開く場合を想定しており、チャンバフレーム30のスライド引戸縦枠フレーム33と可撓性材10とは、ゴムパッキン91と折り返し補強部13と可撓性材押え92を挟み込んでリベット93により固定されている。スライド引戸縦枠フレーム33には、スライド引戸縦枠フレーム補強リブ94が設けられている。可撓性材押え92はステンレスやスチール等によって形成することができる。
【0033】
スライド引戸11とスライド引戸縦枠フレーム33とは、ゴムパッキン95を介して対向している。スライド引戸11の開閉動作時には、スライド引戸11とゴムパッキン95との間には空隙を有しており、スライド引戸11の閉鎖時には、スライド引戸11とゴムパッキン95とは密着している。これについては後に詳述する。
スライド引戸11は断面が円弧状であり、使用者がエアーチャンバ装置1内に入るときは、スライド引戸11の外周側に設けられた外部引手96を用いて、スライド引戸11を開く。また、エアーチャンバ装置1内にいる使用者が外部に出るときは、レバーハンドル97を用いて、スライド引戸11を開く。レバーハンドル97の動作の詳細については、後に詳述する。
【0034】
図14、図15を用いて、スライド引戸11の動作について説明する。
図14はエアーチャンバ装置1の側面図であり、エアーチャンバ2は、その長手方向が、床面に接する固定架台本体50に垂直な方向、すなわち床面に垂直な方向に対して、所定の傾斜角をなすように傾斜して固定架台3に取付られている。この傾斜角は25°程度としている。
【0035】
図15(a)は、図14のA−A断面を示し、図15(b)は、図15(a)のB−B断面を示す。
スライド引戸11の上方および下方にはスライド引戸ガイドレール40が設けられ、スライド引戸ガイドレール40に対して転動する回転吊戸車100が取付られている。この回転吊戸車100に対して、振止め戸車101が取付られている。
【0036】
エアーチャンバ2が床面に垂直な方向に対して傾斜しているため、スライド引戸11も同様に傾斜している。そのため、スライド引戸11の荷重の分力が、スライド引戸ガイドレール40に沿う方向に発生するが、振止め戸車101は、この方向の分力を受けることによって、スライド引戸ガイドレール40の下方側端に接することにより、この方向の応力を負担する。これにより、スライド引戸11が傾斜しても、回転吊戸車100は傾斜の影響を受けることなく、スライド引戸ガイドレール40内をスムーズに転動することができ、スライド引戸11の開閉動作に支障をきたすことがない。
【0037】
スライド引戸11が傾斜していると、図13に示した接合部90bにおいて、スライド引戸11の開閉時に、スライド引戸11とゴムパッキン95との間のクリアランスが必然的に保たれる。そのため、スライド引戸11の開閉動作を頻繁に行っても、ゴムパッキン95が摩耗することがなく、耐久性が向上する。
【0038】
図16は、スライド引戸11を取り付ける前の状態図であり、図17は、スライド引戸11を取り付けた後の状態図である。図16、図17において、(a)は上方から椅子を見た図、(b)は内部展開図である。
図16に示すように、スライド引戸ガイドフレーム31とスライド引戸縦枠フレーム33とによって形成される開口端に沿って、機密性を保つためにゴムパッキン95が設けられている。また、ゴムパッキン95の外周側に沿ってリベット接合用開口110が設けられている。このリベット接合用開口110は、図13に示すリベット93を挿入して固定するためのものである。スライド引戸縦枠フレーム33には、レバーハンドル受け111が設けられている。
【0039】
図17に示すように、スライド引戸11には、レバーハンドル112が取付られている。このレバーハンドル112は、スライド引戸11を閉めた状態においては、スライド引戸縦枠フレーム33に設けられたレバーハンドル受け111に係止されている。これについては、後に詳述する。
【0040】
図18,図19に基づいて、レバーハンドル112の操作について説明する。
図18、図19において、(a)は図15(b)の断面図、(b)は(c)におけるE断面図、(c)は図17(b)におけるD側面図を示す。
図18は、レバーハンドル112を閉じる前の状態図であり、スライド引戸11とゴムパッキン95との間に空隙を生じている。これに対し、図19に示すように、スライド引戸11を回転して、レバーハンドル112の接合部120が、スライド引戸縦枠フレーム33に設けられたレバーハンドル受け111に係止するようにすると、レバーハンドル112が閉じられた状態となり、スライド引戸11がスライド引戸縦枠フレーム33に接近し、スライド引戸11はゴムパッキン95と密着する。これにより、エアーチャンバ2内の気密性が保たれる。
【0041】
図20は、エアーチャンバ装置1の使用状態図である。図20(a)に示すように、エアーチャンバ2を、その長手方向が床面に対して垂直となるように立設してもよいが、図20(b)に示すように、床面に垂直な方向に対して傾斜させて配置することもできる。エアーチャンバ2内には高気圧のエアーが充填されており、短時間にエアーを充填するためには、エアーチャンバ2が小さいことが好ましいが、そうすると図20(a)に示す配置では、使用者130は足を伸ばすことができず、窮屈な思いをすることとなる。これに対し、図20(b)に示すように、エアーチャンバ2を傾斜させると、エアーチャンバ2に空間余力が生じ、使用者130は足を伸ばすことができ、窮屈な思いをすることがない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、使用者が椅子に座った状態で使用することができ、使用者の荷重によって変形したり破損したりすることを防止することができるとともに、気密性を高いレベルで維持することが可能なエアーチャンバ装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 エアーチャンバ装置
2 エアーチャンバ
3 固定架台
10 可撓性材
11 スライド引戸
12 開口部スチール補強枠
13 折り返し補強部
14 気圧調整弁
15 気圧計
16 窓
20 スライド引戸が設けられる開口部
21 窓
22 荷重伝達開口
23 排気弁開口
24 気圧計開口
25 気圧調整弁開口
26 酸素給気開口
27 エアー給気開口
30 チャンバフレーム
31 スライド引戸ガイドフレーム
32 椅子荷重支持フレーム
33 スライド引戸縦枠フレーム
34 チャンバ形状保持フレーム
35 スライド引戸が設けられる開口部
40 スライド引戸ガイドレール
41 椅子
42 連結軸
43 補強フレーム
50 固定架台本体
51 支持部
52 チャンバフレーム取付部材
60 荷重伝達バルブ
61 両面ネジきりバルブ
62、66 座金
63、65 ゴムパッキン
64 補強面
67 バルブ固定ナット
70 接合ボルト固定ナット
71 接合ボルト固定ナット
72 ゴムパッキン
73 接合ボルト
74 ボルト長調整ナット
75 架台接合座金
80 排気弁バルブ
81 気圧計バルブ
82 気圧調整弁バルブ
83 酸素給気バルブ
84 エアー給気バルブ
90a、90b 接合部
91 ゴムパッキン
92 可撓性材押え
93 リベット
94 スライド引戸縦枠フレーム補強リブ
95 ゴムパッキン
96 外部引手
97 レバーハンドル
100 回転吊戸車
101 振止め戸車
110 リベット接合用開口
111 レバーハンドル受け
112 レバーハンドル
120 接合部
130 使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の可撓性材と、前記可撓性材の形状を保持するチャンバフレームとを備えたエアーチャンバと、前記エアーチャンバを支持して固定する固定架台とを有するエアーチャンバ装置であって、前記エアーチャンバは、その長手方向が、床面に対して垂直となるように立設され、または床面に垂直な方向に対して傾斜されて配置されていることを特徴とするエアーチャンバ装置。
【請求項2】
前記可撓性材に荷重伝達開口が設けられ、前記荷重伝達開口を貫通する荷重伝達バルブが、エアーチャンバ内に設置された椅子からの荷重を受ける椅子荷重支持フレームに取付られて、前記チャンバフレームと前記固定架台とが連結されていることを特徴とする請求項1記載のエアーチャンバ装置。
【請求項3】
前記チャンバフレームにスライド引戸ガイドレールが取付られ、前記スライド引戸ガイドレールに回転吊戸車が取付られて、前記回転吊戸車の転動によってスライド引戸が開閉され、前記回転吊戸車に対して振止め戸車が取付られていることを特徴とする請求項1または2記載のエアーチャンバ装置。
【請求項4】
前記スライド引戸にはスライド引戸を開閉するためのレバーハンドルが取付られ、前記チャンバフレームのうち、前記スライド引戸が設けられる開口部の開口端に沿って、機密性を保つためにゴムパッキンが設けられ、前記チャンバフレームのスライド引戸縦枠フレームにレバーハンドル受けが設けられ、前記スライド引戸を回転すると、前記レバーハンドルの接合部が前記レバーハンドル受けに係止され、前記スライド引戸は前記ゴムパッキンと密着して前記レバーハンドルが閉じられた状態となることを特徴とする請求項3記載のエアーチャンバ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−213753(P2010−213753A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60714(P2009−60714)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(305053880)サンセラミックス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】