説明

エアーフィルター清掃機構及びプロジェクター装置

【課題】機器の置き方や向きが変更されても、塵埃が外部に出て、光学レンズ等に塵埃が付着することがないエアーフィルター清掃機構を提供する。
【解決手段】除塵体21でプレフィルター17から除去された塵埃を収納する集塵容器29と、集塵容器29に設けられ常時閉鎖している遮蔽手段30を設け、除塵体29の移動動作に連動して遮蔽手段30が開くもので、プレフィルター17から塵埃を除去した除塵体21を集塵容器29内に移動させたときに、遮蔽手段30が開くようにすれば、除塵体21が支障なく移動し、除塵体21に付着した塵埃を集塵容器29内に回収でき、また、除塵体21を集塵容器29外に移動させたときに遮蔽手段30が閉じるようにすれば、集塵容器29内の塵埃が外部に漏れず、エアーフィルター清掃機構2が搭載された機器内の光学レンズ(図示せず)などに塵埃が付着し、映像に塵埃の影が投影されることは無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に搭載されるエアーフィルター清掃機構及びそれを用いたプロジェクター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のエアーフィルター清掃機構として、第1のフィルタ部と、第1のフィルタ部の吸気側に設けられたメッシュ状のスクリーンと、このスクリーンの表面に接触しながら移動して塵埃を除去するクリーニングブラシを含む第2のフィルタ部と、上記第2のフィルタ部に設けられ、塵埃を回収する塵受けトレーとから構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−221581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような従来のエアーフィルター清掃機構の構成では、塵受けトレーは、上面が開口し、スクリーンのクリーニング時にクリーニングブラシで除去されて落下してくる塵埃を受けるようになっているので、そのエアーフィルター清掃機構を搭載した映像表示装置の運転時に、エアーフィルターに、冷却用の外気を取り入れるための吸引力が作用したときに、塵受けトレー内の塵埃が吸い出されてスクリーンに再付着するといった課題があった。
【0005】
また、エアーフィルター清掃機構を搭載した映像表示装置をひっくり返して置いたり、側面を下にして立てたときに、塵受けトレー内の塵埃が、容易に外にこぼれ落ち、多量の塵埃がエアーフィルターに再付着する。この状態でエアーフィルターをクリーニングすると、クリーニングブラシで多量の塵埃をエアーフィルターに押し付けてしまうので、エアーフィルターを通過して、映像表示装置内部に侵入する塵埃が格段に増える。このような塵埃の再付着と清掃を繰り返すことにより、映像表示装置内部の光学レンズやミラーなどの表面に塵埃が付着し、映像に塵埃の影が投影されるなどの課題もあった。
【0006】
また、再付着によって塵埃が堆積すると発熱部品の冷却効果が低下し、誤動作や故障の原因になるという課題もあった。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、効率よくエアーフィルターに付着した塵埃を除去すると共に、エアーフィルター清掃機構が搭載された機器の置き方が変わっても、除去された塵埃が外に洩れ出ることがなく、又塵埃が、エアーフィルターに再付着したり、機器内部の光学レンズやミラーなどの表面に付着して投影映像の品質を悪化させることも無い、信頼性の高いエアーフィルター清掃機構及びプロジェクター装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決するために、本発明のエアーフィルター清掃機構は、エアーフィルターに付着した塵埃を除去する除塵体と、前記除塵体で除去された塵埃を収納する集塵容器と、前記集塵容器に設けられ常時閉鎖している遮蔽手段とを設け、前記除塵体の移動動作に連動して前記遮蔽手段が開くようにしたもので、エアーフィルターに付着した塵埃をこそぎ取るようにして除去した除塵体を集塵容器内に移動させたときに、遮蔽手段が開くようにすれば、除塵体が集塵容器内に支障なく移動し、除塵体に付着した塵埃が集塵容器内に落下し、回収することができる。また、除塵体を集塵容器外に移動させたときに遮蔽手段が閉じるようにすれば、集塵容器内の塵埃が外部に漏れ出ることが無い。従って、エアーフィルター清掃機構が搭載されたプロジェクター装置等の光学機器内部の光学レンズやミラーなどの表面に塵埃が付着し、映像に塵埃の影が投影されるなどの問題が発生しない。また、集塵容器内の塵埃がエアーフィルターに再付着することもない。
【0009】
又、本発明のプロジェクター装置は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアーフィルター清掃機構を備えたもので、プロジェクター装置の使用時に、塵埃が外部に漏れることを気にすることなく、プロジェクター装置を好きな方向で立てて使用でき、使用勝手の良いプロジェクター装置を提供できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエアーフィルター清掃機構は、効率よくエアーフィルターに付着した塵埃を除去すると共に、集塵容器に回収した塵埃が外に洩れず、しかもエアーフィルターに再付着することも無いため、常に、空気をスムーズに通過させることができる。また、本発明のプロジェクター装置は、その置き方が変わっても、除去された塵埃が外に洩れ出て、エアーフィルターに再付着することが無いので、プロジェクター装置内を冷却するための外気をスムーズに導入できる。また、エアーフィルターに再付着することが無いので、プロジェクター装置内に侵入する塵埃も大幅に軽減され、また、プロジェクター装置内部の光学レンズやミラーなどの表面に塵埃が付着し、映像に塵埃の影が投影されることも無く、信頼性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施例におけるエアーフィルター清掃機構を搭載したプロジェクター装置の外観斜視図
【図2】同プロジェクター装置の分解斜視図
【図3】図1のA−A断面図
【図4】(a)同エアーフィルター清掃機構の集塵容器の斜視図、(b)図4(a)のC−C断面図、
【図5】(a)図1のB−B断面図(プレフィルターの清掃開始時の様子を示す)、(b)図1のB−B断面図(プレフィルターの清掃完了直後の様子を示す)
【図6】同エアーフィルター清掃機構の除塵体の端部の裏面図
【図7】(a)同エアーフィルター清掃機構の第2の除塵体の斜視図、(b)同第2の除塵体の他の例を示す斜視図、(c)同第2の除塵体の他の例を示す斜視図
【図8】(a)本発明の第2の実施例におけるエアーフィルター清掃機構の除塵体の裏面斜視図、(b)同除塵体と集塵容器の斜視図、(c)同除塵体と集塵容器の部分断面図、(d)同除塵体の他の例を示す裏面斜視図
【図9】(a)同プロジェクター装置を立てた状態での集塵容器の断面図、(b)同集塵容器の断面図(除塵体が侵入又は退出するときの様子を示す)
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、エアーフィルターに付着した塵埃を除去する除塵体と、前記除塵体で除去された塵埃を収納する集塵容器と、前記集塵容器に設けられ常時閉鎖している遮蔽手段とを設け、前記除塵体の移動動作に連動して前記遮蔽手段が開くようにしたもので、エアーフィルターに付着した塵埃をこそぎ取るようにして除去した除塵体を集塵容器内に移動させたときに、遮蔽手段が開くようにすれば、除塵体が集塵容器内に支障なく移動し、除塵体に付着した塵埃が集塵容器内に落下し、回収することができる。また、除塵体を集塵容器外に移動させたときに遮蔽手段が閉じるようにすれば、集塵容器内の塵埃が外部に漏れ出ることが無い。従って、エアーフィルター清掃機構が搭載されたプロジェクター装置等の光学機器内部の光学レンズやミラーなどの表面に塵埃が付着し、映像に塵埃の影が投影されるなどの問題が発生しない。また、集塵容器内の塵埃がエアーフィルターに再付着することもない。
【0013】
第2の発明は、特に、第1の発明の遮蔽手段を、形状復元性を有する部材で形成したもので、バネやヒンジを構成する部品が不要となり、遮蔽手段を安価に構成できる。
【0014】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の除塵体が集塵容器内に移動する際に、前記除塵体より先に遮蔽手段に当接すると共に、前記遮蔽手段を押し開く開成手段を設けたもので、除塵体が集塵容器内に移動する際、除塵体が遮蔽手段に当接しないので、除塵体の集塵容器内への移動がスムーズにでき、しかも、衝撃が加わることが無いので、除塵体に付着した塵埃が、集塵容器外でこぼれることも無い。
【0015】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の遮蔽手段を、複数に分割された開閉自在の遮蔽体で構成し、前記遮蔽体のそれぞれの対向する端部をオーバーラップさせたもので、開閉時に遮蔽体の端部近傍に付着した塵埃を開閉時に確実に集塵容器内に押し込めることができ、塵埃の密閉性(ごみこぼれ防止)が向上する。
【0016】
また、遮蔽体のそれぞれの対向する端部を付き合せて、集塵容器の密閉性を保つようにするのと比べ、組み立て精度がラフで済むので、安価に構成できる。
【0017】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか一つの発明の集塵容器内に、除塵体に付着した塵埃を除去する第2の除塵体を設けたもので、除塵体に塵埃が付着したまま残るということが無いので、エアーフィルターの清掃効率が向上し、しかも塵埃のエアーフィルターへの再付着を防止できる。
【0018】
第6の発明に係るプロジェクター装置は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアーフィルター清掃機構を備えたもので、プロジェクター装置の使用時に、塵埃が外部に漏れることを気にすることなく、プロジェクター装置を好きな方向で立てて使用でき、使用勝手の良いプロジェクター装置を提供できる。
【0019】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の第1の実施例におけるエアーフィルター清掃機構を搭載したプロジェクター装置の外観斜視図、図2は、同プロジェクター装置の分解斜視図、図3は、図1のA−A断面図、図4(a)は、同エアーフィルター清掃機構の集塵容器の斜視図、図4(b)は、図4(a)のC−C断面図、図5(a)は、図1のB−B断面図(プレフィルターの清掃開始時の様子を示す)、図5(b)は、図1のB−B断面図(プレフィルターの清掃完了直後の様子を示す)、図6は、同エアーフィルター清掃機構の除塵体の裏面図、図7(a)は、同エアーフィルター清掃機構の第2の除塵体の斜視図、図7(b)は、同第2の除塵体の他の例を示す斜視図、図7(c)は、同第2の除塵体の他の例を示す斜視図である。
【0021】
図1〜6において、1は、本実施例におけるエアーフィルター清掃機構2(以下「清掃機構2」という)を内蔵したプロジェクター装置で、その本体1aの外郭は、本体ケース1bと、本体ケース1bの一側面に設けた開口1cを覆うと共に、本体ケース1bにネジ3でネジ止めされるカバー1dから構成されている。カバー1dには、開閉自在の蓋体4と、空気を取り入れるための吸気口5が設けられている。本体1aの前部には、画像を投射する投射レンズを有する投射体6が設けられ、カバー1dと反対側の側面には、排気口1eが設けられている。
【0022】
本体1aの内部には、多数の電子部品等から成り投射体6により投射される画像を光学的に処理する画像表示素子体7と、画像表示素子体7に電力を供給する電源基板体8と、本体1a内の温度や圧力等を検知するセンサー9と、プロジェクター装置1の動作を制御する制御基板10と、カバー1dとの間に、清掃機構2を収納する清掃機構収納室11を形成すると共に、その清掃機構収納室11と、電源基板体8や制御基板10などを収納する部分とをほぼ隙間なく仕切るための仕切り壁12と、排気口1eに対向して設けられると共に本体1a内の空気を排出するためのファン15と、ファン15を回転駆動するモータ16が内蔵されている。
【0023】
仕切り壁12は、略長方形状の開口12aを有すると共に、その開口12aの開口縁には、枠体12bが一体に形成されている。この枠体12bには、上流側から、すなわちカバー1d側から順に、塵埃を捕集するプレフィルター17と、九十九折り状でプレフィルター17で捕集し切れなかった細塵を捕集するメインフィルター18がほぼ隙間なく取り付けられている。
【0024】
19は、プロジェクター装置1を操作するための操作スイッチで、20は、LEDなどから構成され、プロジェクター装置1の運転状態を表示する告知部である。
【0025】
次に、本実施例における清掃機構2の詳細について述べる。
【0026】
図2において、本実施例における清掃機構2は、主に、プレフィルター17に付着した塵埃を除去する除塵体21と、除塵体21を、プレフィルター17の上流側表面(カバー1d側の表面)に沿って移動させる移動手段22と、後述の集塵容器29から構成されている。
【0027】
移動手段22は、除塵体21の両側を摺動自在に支持して、除塵体21の移動をガイドする一対のレール23と、回転自在の歯付きプーリー24と駆動プーリー25に張架されたタイミングベルト26と、駆動プーリー25を回転駆動するモータB27から構成され、除塵体21の一端は、タイミングベルト26の一部に固着され、駆動プーリー25が回転すると、タイミングベルト26が移動すると共に、除塵体21が、プレフィルター17上を移動するようになっている。
【0028】
除塵体21の端部の、その移動方向と直行する方向には、図6に示すように、下端がプレフィルター17の上流側表面に摺接して、プレフィルター17に付着した塵埃を除去する除塵片28が延設されている。
【0029】
図4において、29は、除塵体21の除塵片28で除去した塵埃を貯めておく集塵容器で、プレフィルター17の端部近傍に配されている。集塵容器29の除塵体21側の側面には、開口29aが設けられ、その開口29aには、紙、ゴムシート、硬質板、ブラシ、バネ付きのプラスチック板などの、形状復元性を有する部材から形成されると共に上下方向で2つに分割され開閉自在の遮蔽体30aからなり、それぞれの対向する端部がオーバーラップした遮蔽手段30が設けられている。
【0030】
本実施例では、除塵体21が集塵容器29側に向かって移動し、除塵体21が遮蔽手段30に当接し、更に移動すると、遮蔽手段30が除塵体21で押し広げられ、除塵体21の除塵片28が、集塵容器29内に侵入するようになっている。
【0031】
集塵容器29の一端には、内部に溜まった塵埃を廃棄する際に開閉する蓋31が設けられている。
【0032】
また、集塵容器29の内部底面の長手方向には、図7(a)に示すような第2の除塵体32が延設されている。この第2の除塵体32は、基材32aと、基材32aに、後方斜めに植毛又は、固着されたブラシ状の除塵部材32bから構成され、除塵体21の除塵片28が集塵容器29内に入ってきたときに、先端が接触し、除塵片28が戻る際に、それに付着した塵埃をこそぎ取るためのものである。
【0033】
なお、図7(b)に示すように、櫛歯状に形成した除塵部材32cを用いれば、除塵片28の深部に挟まった塵埃も容易に除去することができる。
【0034】
更には、図7(c)に示すように、除塵部材32dを、入手容易な面ファスナーで形成するようにすれば、安価に、しかも容易に組み立てることができる。
【0035】
以上のように構成された本実施例における清掃機構2及び、それを搭載したプロジェクター装置1の作用、動作は以下の通りである。
【0036】
操作スイッチ19を操作することにより、プロジェクター装置1を使用することができる。プロジェクター装置1を運転している間、あるいは、使用直後の所定の冷却期間の間は、モータ16で回転駆動されるファン15により、外気が、カバー1dに設けた吸気口5から吸引され、プレフィルター17、メインフィルター18、仕切り壁12の開口12aを通過して、本体1a内に入り、内部の電源基板体8、制御基板10、画像表示素子体7等の発熱部品を冷却した後、本体1aに設けた排気口1eから排気される。
【0037】
外気に含まれた塵埃は、プレフィルター17で捕集され、プレフィルター17で捕集し切れなかった細塵は、メインフィルター18で捕捉される。したがって、本体1a内に塵埃が侵入することが無いので、内部の電源基板体8や制御基板10に塵埃が堆積して誤動作や故障の原因になるということは無い。特に、本実施例では、除塵体21でプレフィルター17の表面から除去され、集塵容器29で回収された塵埃がプレフィルター17に再付着し、それが、除塵体21で押し付けられるようにして、プレフィルター17を通過し、更にはメインフィルター18を通過することが無いので、プロジェクター装置1内に位置する光学レンズ(図示せず)やミラー(図示せず)などの表面に付着し、投射された映像に塵埃の影が投影されるなどといった問題は発生しない。
【0038】
このようにして、プロジェクター装置1を長期間使用していると、プレフィルター17が次第に塵埃で目詰まりし、外気が本体1a内に入り難くなって、本体2a内の電源基板体8、制御基板10、画像表示素子体7等の発熱部品の冷却効果が低下してくるが、本実施例では、本体1a内の温度や圧力を検知するセンサー9を設けて、空気の流れが悪くなって本体1a内の温度が所定の温度を超えたり、空気が本体1a内に入り難くなって、本体1a内の空気圧力が所定の値以下になったことを検知すると、プレフィルター17を清掃するために、制御基板10が移動手段22の動作を開始させる。
【0039】
移動手段22の動作開始時には、図5(a)に示すように、除塵体21は、プレフィルター17の、集塵容器29とは反対側の端部に位置している(図5(a)では、左端の位置。以下、この位置を「初期位置」という)。
【0040】
そして、移動手段22の動作が開始すると、モータB27が回転し、タイミングベルト26が移動開始し、同時に除塵体21が、集塵容器29側に向かって移動する。除塵体21が、プレフィルター17上を移動している間に、プレフィルター17の上流側に付着していた塵埃は、除塵体21の除塵片28で擦りとられると共に、除塵片28に付着する。そして、除塵体21がプレフィルター17の集塵容器29側の端部に達すると、除塵体21の先端が、集塵容器29の開口29aの上下に設けた一対の遮蔽体30aに当接し、除塵体21がさらに移動すると、図5(b)に示すように、遮蔽体30aを押し広げると共に、除塵体21の除塵片28が、集塵容器29内に入り、その先端が、第2の除塵体32に接触し、除塵体21に付着した塵埃35が、第2の除塵体32で除去され、集塵容器29内に落下する。
【0041】
そして、モータB27が逆転して、除塵体21を逆方向に移動させ、除塵体21を開口29aから取り出すと、形状復元性を有する遮蔽体30aが、図5(a)に示すように元の位置に戻って、開口29aを閉塞する。除塵体21が初期位置まで戻りきると、モータB27の運転が停止し、次回のプレフィルター17の清掃に備える。
【0042】
そして、プレフィルター17が塵埃で再度目詰まりすると、センサー9がそれを検知して、上記清掃動作が繰り返される。
【0043】
このようにして、プレフィルター17の清掃を何度か繰り返す内に、集塵容器29内が塵埃で一杯になるが、その場合は、カバー1dに設けた蓋体4を開いて、着脱自在の集塵容器29を取り出し、集塵容器29に設けた蓋31を開いて、中に溜まった塵埃35を簡単に廃棄することが出来る。
【0044】
以上のように、本実施例では、プレフィルター17に付着した塵埃をこそぎ取るようにして除去した除塵体21を集塵容器29内に移動させたときに、遮蔽手段30が開くので、除塵体21は、集塵容器29内に支障なく移動し、除塵体21に付着した塵埃35が集塵容器29内に落下するので、塵埃35を確実に回収することができる。
【0045】
また、除塵体21を、初期位置まで戻すために集塵容器29外に移動させたときに、遮蔽手段30が閉じるので、集塵容器29内の塵埃が外部に漏れ出ることが無い。従って、塵埃がプレフィルター17およびメインフィルター18を通過して、清掃機構2を搭載したプロジェクター装置1内部の光学レンズ(図示せず)の表面に塵埃が付着し、映像に塵埃の影が投影されるなどの問題が発生することはない。
【0046】
また、本実施例では、集塵容器29を、プレフィルター17の一方の端部の近傍、すなわち、プレフィルター17の吸気範囲外に配置しているので、プレフィルター17の有効濾過面積が集塵容器29で減らされることが無く、また、プレフィルター17の清掃のためにプレフィルター17上を移動させた除塵体21を更に移動させるだけで集塵容器29内に塵埃を搬送できるので、移動手段22の構成を簡略することができる。また、集塵容器29は、着脱自在なので、集塵容器29内に溜まった塵埃35の廃棄作業が容易になる。
【0047】
また、遮蔽手段30を、形状復元性を有する部材、例えば、紙、ゴムシート、硬質板、ブラシ、バネ付きのプラスチック板などで形成することで、バネやヒンジを構成する部品が不要となり、遮蔽手段30を安価に構成できる。
【0048】
また、遮蔽手段30を、複数に分割された遮蔽体30aで構成し、前記遮蔽体30aのそれぞれの対向する端部をオーバーラップさせているので、遮蔽手段30の開閉時に遮蔽体30aの端部近傍に付着した塵埃も開閉時に確実に集塵容器29内に押し込めることができ、塵埃の密閉性(ごみこぼれ防止)が向上する。
【0049】
また集塵容器29内に、除塵体21の除塵片28に付着した塵埃を除去する第2の除塵体32を設けたので、除塵体21に塵埃が付着したまま残るということが無いので、プレフィルター17の清掃効率が向上し、しかも塵埃のプレフィルター17への再付着を防止できる。
【0050】
なお、上記実施例では、センサー9で、本体1a内の温度や、圧力の変化を検知して、プレフィルター17の目詰まり状態を検知して、自動でプレフィルター17の清掃運転を行うようにしたが、操作スイッチ19の一つに、プレフィルター17の清掃運転を手動で行うためのスイッチを設けて、必要に応じて、手動で、プレフィルター17の清掃運転ができるようにしても良い。
【実施例2】
【0051】
図8(a)は、本発明の第2の実施例における清掃機構の除塵体の裏面斜視図、図8(b)は、同除塵体と集塵容器の斜視図、図8(c)は、同除塵体と集塵容器の部分断面図である。なお、上記第1の実施例におけるエアーフィルター清掃機構と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
本実施例におけるエアーフィルター清掃機構は、図8に示すように、除塵体21の端部の両側に、その除塵体21が集塵容器29内に移動する際に、除塵体21より先に遮蔽手段30に当接して、それを押し開くと共に、少なくとも除塵片28の幅分(移動方向と同一方向での長さ分)に渡って、遮蔽体30aを広げた状態で維持するための開成手段34を設けたもので、他の構成は、上記第1の実施例における清掃機構2と同一である。
【0053】
以上のように、本実施例によれば、除塵体21が集塵容器29内に移動する際、除塵体21が遮蔽手段30に当接しないので、除塵体21の集塵容器29内への移動がスムーズにでき、しかも、衝撃が加わることが無いので、除塵体21の除塵片28に付着した塵埃が、集塵容器29外でこぼれることも無い。
【0054】
なお、上記実施例では、図8(a)に示すように、開成手段34の長さ(除塵体21の移動方向と同一方向での長さ)を、除塵体21の長さの半分より長く形成したが、図8(d)に示す開成手段34aのように、除塵片28の両側の部分だけに設けた短いものでも良い。
【0055】
このように開成手段34aを除塵片28の近傍だけに形成すると、除塵片28が集塵容器29内に入り終わると同時に遮蔽体30aが閉じる。そして、除塵片28が集塵容器29内から出る時には、開成手段34aによって遮蔽体30aが押し開かれ、除塵片28が集塵容器29から出ると同時に遮蔽体30aが閉じる。以上ように、開成手段34aを除塵片28の近傍だけに形成すると、除塵片28が集塵容器29へ出入りする時のみ遮蔽体30aが開閉するので、塵埃の密閉性(ごみこぼれ防止)が向上する。
【0056】
図9は、上記実施例で述べたプロジェクター装置1を、投射体6が下側になるように、具体的には、例えば、プロジェクター装置1を、天井よりつるして、映像を床面に投射するようにした場合の、集塵容器29の断面図を示すもので、図9(a)は、除塵体21が集塵容器29内に入る前の状態を示している。このような状態では、上記第1の実施例でも述べたように、対向する端部が重なり合った2つの遮蔽体30aで、塵埃35が外部に漏れないようになっている。
【0057】
そして、除塵体21が集塵容器29内に侵入するとき、或いは、除塵体21が集塵容器29から抜け出るときは、図9(b)に示すように、開成手段34(又は34a)で遮蔽体30aを上方に押し拡げることになるので、集塵容器29内の塵埃35は、集塵容器29の内壁とそれぞれの遮蔽体30aとの間で保持され、下方に位置する開口29aから塵埃が零れ落ちることがない。
【0058】
さらにまた、開成手段34が戻り、遮蔽体30aが初期の状態に重なることになるが、開成手段34の先端形状、あるいは遮蔽体30aの長さ等を細工することにより、たえず初期の状態に重なり合うよう工夫している。
【0059】
以上のように、上記実施例で述べた清掃機構2を搭載したプロジェクター装置1は、プロジェクター装置1の使用時に、塵埃が外部に漏れることを気にすることなく、プロジェクター装置を好きな方向で立てて使用でき、非常に使用勝手の良いものである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明に係るエアーフィルター清掃機構は、効率よくエアーフィルターに付着した塵埃を除去すると共に、集塵容器に回収した塵埃が外に洩れず、しかもエアーフィルターに再付着することも無い。また、本発明に係るプロジェクター装置は、その置き方が変わっても、除去された塵埃が外に洩れ出て、光学レンズの表面に付着し、映像に塵埃の影が投影されることも無く、信頼性の高いものである。
【符号の説明】
【0061】
1 プロジェクター装置
2 エアーフィルター清掃機構(清掃機構)
17 プレフィルター(エアーフィルター)
18 メインフィルター
21 除塵体
22 移動手段
28 除塵片
29 集塵容器
30 遮蔽手段
30a 遮蔽体
32 第2の除塵体
34、34a 開成手段
35 塵埃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーフィルターに付着した塵埃を除去する除塵体と、前記除塵体で除去された塵埃を収納する集塵容器と、前記集塵容器に設けられ常時閉鎖している遮蔽手段とを設け、前記除塵体の移動動作に連動して前記遮蔽手段が開くようにしたエアーフィルター清掃機構。
【請求項2】
遮蔽手段を、形状復元性を有する部材で形成した請求項1に記載のエアーフィルター清掃機構。
【請求項3】
除塵体が集塵容器内に移動する際に、前記除塵体より先に遮蔽手段に当接すると共に、前記遮蔽手段を押し開く開成手段を設けた請求項1又は2に記載のエアーフィルター清掃機構。
【請求項4】
遮蔽手段を、複数に分割された開閉自在の遮蔽体で構成し、前記遮蔽体のそれぞれの対向する端部をオーバーラップさせた請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアーフィルター清掃機構。
【請求項5】
集塵容器内に、除塵体に付着した塵埃を除去する第2の除塵体を設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアーフィルター清掃機構。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアーフィルター清掃機構を備えたプロジェクター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−145459(P2011−145459A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5757(P2010−5757)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】