説明

エアーブラシ用ノズル清掃用具

【課題】既存のエアーブラシのノズルの清掃を簡単に、且つノズルを傷めることなく行なうことのできる清掃用具を提供することにある。
【解決手段】エアーブラシBに用いるノズル清掃用具aであって、前記エアーブラシBのニードル53と同様に形成したニードル部材1を備え、該ニードル部材1の先端のノズル挿通部10を切削してその断面形を円弧形状に形成して成り、上記エアーブラシBのニードル53と交換装着できるようエアーブラシ本体51の軸芯部に抜き差し可能に構成したものであり、ノズル52aを清掃する際には、ニードルに換えてニードル部材1をエアーブラシBに装着し、ニードル部材1を回転させてノズル52a内に固着する塗料をノズル挿通部10にて削ぎ落としそのまま溶剤を噴霧して洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアーブラシ用のノズル清掃用具に関し、さらに詳しくはエアーブラシのノズル内部に残る塗料の固まりを簡単に且つノズルを傷めることなく取り除くことのできるエアーブラシ用のノズル清掃用具に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は従来のエアーブラシを示している。このエアーブラシ100は先端にノズル部102を備えた略長筒状のエアーブラシ本体101を有している。このエアーブラシ本体101内部の軸芯部に沿っては、ニードル103を進退自在に挿通し、その先端をノズル部102のノズル102a内に挿通してある。
また、エアーブラシ100は、エアーブラシ本体101の中間部に接続した空気供給口104に圧搾空気が供給される。供給された圧搾空気は空気弁105を介してエアーブラシ本体101内の通気路112に導入され、上記ノズル部102から吹き出すように構成してある。また、空気弁105は、弁杆105aを押すことにより開弁する構造となっている。
エアーブラシ100は、エアーブラシ本体101上面の中間部に嵌装した操作杆106の下端部に、枢軸107を介して押し杆108を屈曲自在に接続してある。押杆108の先端部は、上記空気弁105の弁杆105aの先端に当接してある。
【0003】
よって、使用者が操作杆106を押し下げると、押杆108を介して弁杆105aが押し下げられ、空気弁105が開弁する。これにより、圧搾空気がエアーブラシ本体101内へ供給され、通気路112を通過してノズル部102から噴出するように構成してある。
また、使用者が上記した如く押し下げた操作杆106をそのまま後方へ引き、枢軸107を支点として傾動させると、作動板120を介してニードルチャック113、及びそれに掴持されるニードル103が後退し、塗料カップ112から供給される塗料がノズル102aへ供給されると同時に、圧搾空気の噴出により霧化してノズル部102より噴霧される。
【0004】
上記したような基本構造を有するエアーブラシは、塗料を繊細に噴霧する必要から、特にノズル部の状態を良好に保つことが大切である。例えば使用後の手入れを怠ると、ノズル部102のノズル102a内には塗料が残留して固まることがあり、このような場合、噴霧形態が損なわれて綺麗な噴霧が行われなくなる。よってノズル部102の清掃はこまめに行ない常時良好な状態を維持することが肝要である。
通常、ノズル部102の清掃は使用後に塗料カップ112を洗浄すると共に溶剤を噴霧してノズル102a内とニードル103先端部との間に残る塗料を綺麗に洗浄し、次回の使用に備える。また、ニードル113の清掃が必要な場合は、ニードルチャック113を緩めてニードル103を引き抜き、ニードル103の先端部を洗浄して綺麗に拭き取る作業を行なうことも必要である。
【0005】
しかし、長期にわたり使用する間にはノズル部102に塗料の汚れがたまってしまったり、ノズル102a内に塗料の固まりが残った状態となってしまったりする場合もある。
このような場合、上記したようにニードル113を取り外して清掃する他に、ノズル102a自体をエアーブラシ本体101から取り外して清掃用のニードル等を用いてノズル102a内に残って固まった塗料を取り除く作業が必要となる。ノズル102内の清掃は小さな刷毛や細線等を用いて丁寧に時間をかけて行なうこともできるが、手間がかかるので清掃用のニードルが用いられることがある。
【0006】
図8は従来の清掃用ニードルを示している。この清掃用ニードル200は比較的短いニードル体201と摘み202により構成される。上記したニードル体201の先端部は細長い四角錐状に形成され、その先端部のテーパーは目的とするエアーブラシのノズル内の形状に略合わせて形成してある。この清掃用ニードル200を用いてノズル内部の清掃を行なう場合、ノズルの後方から清掃ニードル200を挿入し、摘み202を回しながら四角錐状のニードル先端201の角によりノズル内に残る塗料の固まりを削り落とすことになる。
しかし、この清掃作業はかなり注意を払って慎重に作業を進める必要があり、経験も必要である。特に不慣れな使用者は必要以上にニードル200をこじってしまうことがあり、この場合ニードル200先端の角によりノズルの内面を傷つけてしまったり、ノズルの内径を広げてしまったりする場合もあった。ノズルはエアーブラシの最も重要な部分であるから、ノズルの損傷は致命的である。また、首尾よく清掃作業を終えてもノズルをエアーブラシ本体に取り付けて再び組み立てる必要があるため、清掃に手間もかかっていた。
尚、上記したようエアーブラシ用の清掃用具に関する文献の存在については不知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記したような従来事情に鑑みてなされたものであり、その目的とする処は、既存のエアーブラシのノズルの清掃を簡単に、且つノズルを傷めることなく行なうことのできる清掃用具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために下記の技術的手段を採用した。
第1発明のエアーブラシ用ノズル清掃用具は、先端にノズル部を設けた略長筒形のエアーブラシ本体の軸芯部に沿って、同ノズル部を開閉するニードルを軸方向へ進退可能に挿通して装着すると共に、同エアーブラシ本体に設けた空気弁を介して供給される圧搾空気を上記ノズル部から吹き出すように構成し、エアーブラシ本体の中間部に設けた操作機構の作動により、空気弁を開いて圧搾空気をノズル部へ導入すると共に、ニードルを軸方向へ退動せしめてノズル部に供給される塗料を圧搾空気と共に噴霧するように構成したエアーブラシに用いるノズル清掃用具であって、前記エアーブラシのニードルと同様に形成したニードル部材を備え、該ニードル部材の先端のノズル挿通部を切削してその断面形を円弧形状に形成して成り、上記エアーブラシのニードルと交換装着できるようエアーブラシ本体の軸芯部に抜き差し可能に構成したものである。
上記ニードル部材先端のノズル挿通部の断面形である円弧形状とは、半円形であっても、半円形よりも深く切削した円弧形であっても、さらには、半円形よりも浅く切削形成した円弧形であってもよい。またノズル挿通部の断面形は後述するように円弧を利用して適宜に変更してもよい。
【0009】
第2発明のエアーブラシ用ノズル清掃用具は、上記ニードル部材の後部の任意の位置に摘み部材を着脱可能に装着して成るものである。
上記摘み部材はチャック構造を利用したものや、ネジ止めによりニードル部材に対する固定位置を任意に変更できるように構成したものであり、ニードル部材をエアーブラシ本体に装着した状態において、同エアーブラシ本体の後部から摘み部材が突出した状態となるように固定位置を調節して用いるものである。
【0010】
第3発明のエアーブラシ用ノズル清掃用具の作動方法は、ニードル部材をエアーブラシ本体の軸芯部に装着した状態において、そのニードル部材を回転し、且つ退動させて、ノズル部から溶剤と共に圧搾空気を噴出するものである。
上記した作動方法は、エアーブラシのニードル換えてニードル部材をエアーブラシ本体の軸芯部に装着した状態で使用者の手により行なうものであり、ニードル部材の先端のノズル挿通部をノズル内に差し込んだ状態で回転させる動作と、ニードルを多少退動させて溶剤を噴出する動作とを交互に繰り返すことにより実現する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のエアーブラシ用ノズル清掃用具によれば、下記のような優れた作用、効果が期待できる。
本発明はエアーブラシに用いるノズル清掃用具であって、エアーブラシのニードルと同様に形成したニードル部材を備え、該ニードル部材の先端のノズル挿通部を切削してその断面形を円弧形状に形成して成り、上記エアーブラシのニードルと交換装着できるようエアーブラシ本体の軸芯部に抜き差し可能に構成したものである。
よって、エアーブラシのニードルに換えて本発明のノズル清掃用具を装着し、ニードル部材を回転させることにより、断面円弧形状のニードル先端部がノズル内周面に接しながら回転し、これにより、ノズル内部に残る塗料の固まりを、ノズルの内面から削ぎ落とすように綺麗に取り除くことができる。また、ニードル部材を装着したまま、ノズルから溶剤等を噴出することにより、ノズル内部にて削ぎ落とされた塗料のカスをノズルから吹き出してノズル内を綺麗に清掃することができる。
即ち、ノズルの清掃の度にノズルを取り外す必要のあった従来の清掃作業と比較すると、ノズルの清掃にかかる手間が削減されて作業を簡単に進めることができ、また清掃作業の際には、ニードル先端のノズル挿通部のエッジ部位がノズル内面に対してこじるように触れることがないので、ノズルの内部を傷つける心配がなく、作業に慣れない使用者であっても安心してノズルの清掃作業を行なうことができる。
【0012】
第2発明のエアーブラシ用ノズル清掃用具は、上記ニードル部材の後部の任意の位置に摘み部材を着脱可能に装着して成るものであるから、エアーブラシのニードルに換えて本発明のノズル部材を装着した状態において、ニードル部材を回動する操作、及び軸方向へスライドさせる操作をエアーブラシ本体の後部に突出する形で装着される摘み部材を持ちながら容易に行なうことができる。また、摘み部材の固定位置をエアーブラシ本体に合わせて適宜に調節することにより、ニードル部材の装着位置を常時清掃に適した位置に決めることができるので便利である。
【0013】
第3発明のエアーブラシ用ノズル清掃用具の作動方法は、第1発明又は第2発明のノズル清掃用具のニードル部材をエアーブラシ本体の軸芯部に装着した状態において、そのニードル部材を回転し、且つ退動させて、ノズル部から溶剤と共に圧搾空気を噴出するものである。
上記した作動方法は、エアーブラシのニードル換えてニードル部材をエアーブラシ本体の軸芯部に装着した状態にて、使用者がニードル部材を回転させることにより、断面円弧形のノズル挿通部がノズルの内周面に接触しながら回転し、同内周面に付着する塗料を削ぎ落とすように取り除くことができるようになり、ノズル内の固着塗料を取り除く方法として非常に効果的である。また、ニードル部材先端のノズル挿通部のエッジがノズル内周面に対して直接的に接することがないので、ノズルの内部をこじって損傷してしまう危険性を最小限に抑える作業が可能となる。また、削ぎ落とした固着塗料はニードル部材を幾分後退させてノズル部から溶剤を噴霧することで綺麗に吹き飛ばして洗浄までの工程を速やかに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のエアーブラシ用ノズル清掃用具を実施するための最良の形態を図1乃至図6に基づいて説明する。図1は既存の基本構造を有するエアーブラシBを示している。また、図1中には上記エアーブラシのノズルを清掃する本発明のノズル清掃用具aも示している。
エアーブラシBは、先端にノズル部52を設けた略長筒状のエアーブラシ本体51を具備している。また、エアーブラシ本体51内部の軸芯部に沿っては、ニードル53を進退自在に挿通してある。エアーブラシBは、エアーブラシ本体51の中間部に接続した空気供給口54に圧搾空気が供給される。この圧搾空気は空気弁55を介してエアーブラシ本体51内の通気路512に導入し、上記ノズル部52から吹き出すように構成してある。
上記ノズル部52はエアーブラシ本体51の先端に螺着されるノズル52aにニードル53の先端を挿通することにより構成される。即ち、使用者が上記エアーブラシBの操作杆56を押し下げると空気弁55が開弁し、接続筒510に接続される圧搾空気の供給源から圧搾空気がエアーブラシ本体51内へ供給され、通気路512を通過してノズル部52から噴出することになる。
【0015】
上記エアーブラシ本体51の後部内にはニードルチャック513を軸方向へ摺動可能に内装し、コイルスプリング522により常時前方へ向けて付勢している。また、ニードルチャック513の後端にはチャック部514を設け、該チャック部514のネジ514aを締め付けることにより、ニードルチャック513内に挿通されるニードル53を着脱可能に掴持している。よって、使用者が操作杆56を後方へ引き込んで傾動させることにより、作動板521を介して上記ニードルチャック513が後方へ退動し、塗料カップ50から供給される塗料がノズル52a内に供給され、圧搾空気の吹き出しに伴ってノズル部52にて霧化して噴霧される。
尚、上記したニードル53は、エアーブラシ本体51の後部キャップ523を取り外した状態にて、ニードルチャックのチャック部514を緩めることにより、後方へ引き抜いて取り外すことができる。
【0016】
一方、図2乃至図4にて示したノズル清掃具aは、上記したエアーブラシBのニードル53と同形のニードル部材1と摘み部材2とを具備している。ニードル部材1はニードル53に換えて装着するものであるから、基本となる部品としてニードル53の部品をそのまま利用して加工することが好ましい。ニードル部材1の先端部にはノズル52aの内部に挿通するノズル挿通部10を形成してある。ノズル挿通部10はテーパーして針先状に形成され、その先端から挿通終端までの範囲を研削して、断面を円弧形状に形成してある。断面円弧形状とは、図2,図3にて示すようにニードル先端の半部を径方向切削して略半円形に形成したものである。
これにより、ニードル部材1のノズル挿通部10は円形断面の約半分が切欠されると共に、残る半分がエアーブラシBに装着するニードル53の外形と同形となる。さらに詳しく説明すると、ノズル挿通部10は円周面部10aと平面的な切削面部10b、さらに円周面部10aと切削面部10bとの境界となる2本のエッジ部10cとが形成される。このように構成したニードル部材は、上記したエアーブラシBの軸芯部にニードル53と交換する形でエアーブラシ本体51の軸芯部に嵌挿して装着することができる。尚、ニードル部材1は装着状態においてその先端がノズル52aから突出する状態となる(図1,図4)。
【0017】
上記したように構成したニードル部材1の後部には摘み部材2を着脱可能に取り付けてある。摘み部材2はニードルチャック513のチャック部514と同様に構成したチャック体2aとそのチャック部分に螺嵌して締め付け作用するネジ2bとから成り、それぞれの外周面にはローレット加工を施して摘みやすく構成してある。チャック体2aはネジ2bと共にニードル部材1の後部に挿通し、ネジ2bを締め付けてニードル部材1を掴持する。
摘み部材2はニードル部材1をエアーブラシ本体51の軸芯部に差し込んで装着した状態において、同エアーブラシ本体51後部に突出するようにニードル部材1に対する固定位置を調節する。清掃作業に際してニードル部材1を回転させたり軸方向に移動させたりする場合には、この摘み部材2を摘んで操作することになる。
【0018】
上記したように構成したノズル清掃用具aを用いてエアーブラシBのノズル52aを清掃する際には、エアーブラシBのニードル53を引き抜いて取り外し、これに換えてノズル清掃用具aのニードル部材1をエアーブラシ本体51に差し込んで装着する。この清掃作業の際、エアーブラシBの塗料カップ50内には塗料の溶剤を入れておくと共に、圧搾空気の噴射ができる状態にしておく。
エアーブラシ本体51に装着したノズル清掃用具aは摘み部材2を摘んでニードル部材1先端のノズル挿通部10をノズル52a内に軽く当てて左右に回転させる。この際、断面円弧形状のノズル挿通部10の円周面部10aがノズル52aの内周に接触しながら回転する。その結果、ノズル挿通部10のエッジ部10cによりノズル52a内に付着して固まった塗料を削ぎ落とすよう綺麗に剥離させることができる(図5)。
【0019】
剥離した塗料のカスはノズル52a内に残るので、ニードル部材1を少し後退させ、次いで操作杆56を押して塗料カップ50内の溶剤をノズル52aから噴霧する。これにより、ノズル52a内に残っていた塗料のカスが溶剤と共に強制的に吹き出され、ノズル52a内は綺麗に洗浄される。また、ノズル52aの汚れがひどい場合には、ニードル部材1の回転と溶剤を噴霧する作業とを交互に繰り返すことにより、ノズル52a内部の清掃をより完璧に行うことができる。
上記した清掃作業を終えたならば、ノズル清掃用具aをエアーブラシ本体51から引き抜いて取り外し、前に取り外しておいたニードル53の先端部分の汚れを拭いた後、同ニードル53を元通りに装着して作業は完了する。
【0020】
上記したように、本発明のノズル清掃用具aの作動方法を採用することにより、ニードル53に換えてノズル清掃用具aを装着するだけで、塗料を取り除いて洗浄するまでの工程を一度に済ませることができる。よって、ノズル52a自体をエアーブラシ本体51の先端部から取り外す必要のあった従来のものと比較すると、作業の手間を大幅に低減することができる。また、作業自体も簡単であり、ノズル52aを傷つけてしまう心配もないので不慣れな使用者でも安心してノズルの清掃作業を行うことができる。
【0021】
上記した実施例のノズル清掃用具aは、ニードル部材1先端のノズル挿通部10の断面形状を半円形に形成した。しかし、ノズル挿通部10の断面形状は正確な半円形に限定するものではなく、図6−(a)にて示すニードル1−2のように、径方向により深く研削して円弧を小さくしても、若しくは図6−(b)にて示すニードル1−3のように、径方向へ浅く研削して円弧を大きくしたものであってもよい。
また、切削面部は平面的に切削する他に図6−(c)にて示すニードル1−4のように凹状に形成してノズル挿通部10の断面径が略三日月形となるように構成してもよい。この場合、エッジ部10cが比較的鋭角になるので、同エッジ部10cによる塗料の削ぎ落とし効果も向上し得る。
【0022】
図6−(d)にて示すニードル部材はノズル挿通部の断面形を略1/4円弧形状に形成したものである。本発明のノズル清掃用具はノズル挿通部に回転に必要な円弧状の周面が形成されていればよく、図示するもののように小さな円弧から成る円周面部10aであってもノズル52a内に固着した塗料を削ぎ落とすことが可能である。尚、上記した断面は1/4円弧から1/3円弧程度の範囲で変更してもよい。
このような条件故に、ニードル部材のノズル挿通部は図6−(e)にて示すニードル1−6のように円弧となる円周面10aが複数箇所に分かれて配置されていてもよく、図示するようにニードル部材のノズル挿通部両側から研削して断面略小判形に形成しても塗料の削ぎ落とし効果は発揮される。このように切削面部を相対向する位置に配置することにより、削ぎ落とされた塗料カスが断面の両側に分かれる形で削ぎ落とされ、ノズル内に残されるので、塗料のカスが小さくなり易く、溶剤を吐出して塗料カスをノズルの内部から吹き出す作業をより円滑に行うことができる。
【0023】
尚、本発明のノズル清掃用具は摘み部材2を使用せずにニードル部材単体でも機能を発揮することができる。また、ニードル部材に設ける摘み部材も上記実施例の摘み部材2に限定するものではなく、摘みとなるものであれば既存のどのような構造のものを用いてもよい。また、摘み部材は例えば弾性を有する合成樹脂を用いて筒状に形成した簡単なものであってもよく、これをニードル部材の後部に弾性嵌合し、その締め付け力によりニードル部材を軸方向へスライド可能且つ回転可能に支持してもよい。また、摘み部材はニードル部材後部の適宜位置に位置決めして一体的に固定した形で設けてもよい(図示せず)。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を実施したノズル清掃用具と共に既存のエアーブラシの従断側面図を示す。
【図2】本発明のノズル清掃用具を一部切欠して示す斜視図。
【図3】(a)はノズル清掃用具先端のノズル挿通部の拡大平面図、(b)はその側面図である。
【図4】本発明のノズル清掃用具を装着した状態のエアーブラシノズル部を示す拡大重断面図。
【図5】図4におけるV-V 線に沿える拡大断面図。
【図6】ノズル清掃用具のノズル挿通部の断面形を示し(a)は半円弧よりも深く研削したノズル挿通部の円弧形状を示す縦断面図、(b)は半円弧よりも浅く研削したノズル挿通部の円弧形状を示す従断面図、(c)は略三日月型に研削したノズル挿通部の円弧形状を示す縦断面図、(d)は1/4円弧状に形成したノズル挿通部の円弧形状を示す従断面図、(e)は両側面を研削して略小判形に形成したノズル挿通部の円弧形状を示す従断面図である。
【図7】従来のエアーブラシを示す従断面図。
【図8】従来の清掃用ニードルを示す側面図。
【符号の説明】
【0025】
a・・・ノズル清掃用具
1・・・ニードル部材
2・・・摘み部材
2a・・・チャック体
2b・・・ネジ
10・・・ノズル挿通部
10a・・・周面部
10b・・・切削面部
10c・・・エッジ部
B・・・エアーブラシ
51・・・エアーブラシ本体
52・・・ノズル部
52a・・・ノズル
53・・・ニードル
513・・・ニードルチャック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にノズル部を設けた略長筒形のエアーブラシ本体の軸芯部に沿って、同ノズル部を開閉するニードルを軸方向へ進退可能に挿通して装着すると共に、同エアーブラシ本体に設けた空気弁を介して供給される圧搾空気を上記ノズル部から吹き出すように構成し、エアーブラシ本体の中間部に設けた操作機構の作動により、空気弁を開いて圧搾空気をノズル部へ導入すると共に、ニードルを軸方向へ退動せしめてノズル部に供給される塗料を圧搾空気と共に噴霧するように構成したエアーブラシに用いるノズル清掃用具であって、
前記エアーブラシのニードルと同様に形成したニードル部材を備え、該ニードル部材の先端のノズル挿通部を切削してその断面形を円弧形状に形成して成り、上記エアーブラシのニードルと交換装着できるようエアーブラシ本体の軸芯部に抜き差し可能に構成したエアーブラシ用ノズル清掃用具。
【請求項2】
上記ニードル部材の後部の任意の位置に摘み部材を着脱可能に装着して成る請求項1記載のエアーブラシ用ノズル清掃具。
【請求項3】
ニードル部材をエアーブラシ本体の軸芯部に装着した状態において、そのニードル部材を回転し、且つ退動させて、ノズル部から溶剤と共に圧搾空気を噴出する請求項1又は2記載のエアーブラシ用ノズル清掃用具の作動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−55316(P2008−55316A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235260(P2006−235260)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(594193690)株式会社ビービーリッチ (7)
【Fターム(参考)】