説明

エア供給システム

【課題】 ドライバー等の操作者の意思に従ってパージ処理の実行を禁止して、不用意にパージエアに伴って水分や油分・塵挨等が排出されることのないエア供給システムを提供する。
【解決手段】 本発明は、圧縮したエアをエアタンクに貯留して利用するエア供給システム100であって、エアタンク112の内圧が所定圧力になったときに、エアコンプレッサ111をアンロードすると共にエアドライヤ113のパージバルブ127を開弁させてパージ処理を実行するアンロード信号用エアを送出する圧力調整器117が備えられ、アンロード用配管117bの途中に三方弁200が介装され、オンオフスイッチ300がオフのときに第1入口201と出口203が連通される通常状態とされ、オンのときに第2入口202と出口203が連通されてエアコンプレッサ111をアンロードすることでパージ処理実行禁止状態とされることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等においてサービスブレーキ、エアサスなどに利用されるサービスエアから水分等を除去するためのエアドライヤ装置を備えて構成されるエア供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トラック、バスなどの大型車両においては、エアコンプレッサにより所定圧力(例えば、10kgf/cm程度)に圧縮した空気をエアタンクに貯留しておき、この圧縮空気(サービスエア)を作動動力源の一部として利用するといったサービスブレーキシステムや、コイルスプリングや板バネの代わりに圧縮空気を利用したエアサスペンションシステムなどが採用されている。
【0003】
ここで、エアコンプレッサにより圧縮された空気は、通常圧力の大気圧状態に比べて含有する水蒸気の凝結により水を発生しやすい状態にある。
また、エンジンにより回転駆動されるクランク機構やピストンを含んで構成されるエアコンプレッサを潤滑するための潤滑油が圧縮空気中に混在するといった場合も想定される。
【0004】
このため、エアコンプレッサにより圧縮した空気を、そのままエアタンクに貯留しておいて圧縮空気を、サービスブレーキシステム等の各種エアシステムに供給してしまうと、圧縮空気が触れる部分に腐食や汚損などを発生させ、延いては各種エアシステムに機能障害などを生じさせるおそれがあるなど、システムの信頼性等に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
このようなことから、エアコンプレッサにより圧縮した空気を、エアタンクに貯留する前に、エアドライヤ装置によって乾燥させ油分を除去して浄化することなどが行われている。
【0006】
かかるエアドライヤ装置の一例として、例えば特許文献1に記載されているようなものがある。
このものは、図6に示すように、ロード状態(負荷状態)において、コンプレッサ11により圧縮される圧縮空気は、図6において実線の矢印で示すように、管路14を通って乾燥装置13の入口25から入り、乾燥剤収容室21内を通過する。この乾燥剤収容室21には、油分や異物等を捕集するフィルタ及び水分を吸着する乾燥剤が収容され、当該乾燥剤収容室21を通過することで圧縮空気から油分や異物等を除去すると共に除湿するようになっている。
【0007】
その後、圧縮空気は、蓋40に設けられた図示しない逆止弁を経てパージ室22に入り出口26に至る。出口26に到達した清浄な圧縮空気は、再び管路14を実線矢印で示すように通り、逆止弁16を経てエアタンク12に貯蔵されることになる。
【0008】
そして、エアタンク12の圧力が規定の圧力に達すると、圧力調整器17はその圧力を入力管17aを介して検知し、圧力調整器17が作動して、コンプレッサ11をアンロード状態(無負荷状態)にして、管路14への圧縮空気の送出を停止する。
同時に、圧力調整器17は圧力調整用配管58にアンロード信号のエアを破線矢印で示すように供給する。
【0009】
このようなアンロード状態では、図6において破線の矢印で示すように、エア導入口28に流入したアンロード信号のエアは弁体29の上部に導かれ、このエアにより弁体29は図3に示すように下降し、ドレインバルブ27は開かれることになる。
【0010】
ドレインバルブ27が開くと、乾燥装置13内部の圧縮空気が急激に大気に放出され、これに伴い乾燥装置13内部が急激に減圧され、パージ室22内の乾燥した空気が乾燥剤収容室21に至り、そこで膨張しながら外部(大気中)へ排出されるといった所謂パージ処理が実行される。
【0011】
なお、かかるパージ処理により、乾燥装置13内の水分(乾燥剤に吸着された水分や底部に溜まった水分など)、油分や塵挨(フィルタに捕集された油分や塵挨等、及び底部に溜まった油分や塵挨など)が外部へ排出され、乾燥装置13内の乾燥剤やフィルタの再生がなされる。
【0012】
その後、エアタンク12の圧力が規定圧以下になると、圧力調整器17はその圧力を入力管17aを介して検知し、圧力調整器17が復帰動作する。圧力調整器17はコンプレッサ11をロード状態にして管路14への圧縮空気の送出を再開させると同時に、管路58へのアンロード信号のエアの送出を停止する。
【0013】
このようにして、従来のエアドライヤ装置では、上記のようなロード状態(エアタンク12へのチャージ)、アンロード状態の切り替えが、エアタンク12内のエアの消費に応じて繰り返し行われ、アンロード状態となったときにその都度パージ処理が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平9−29055号公報
【特許文献2】実開平6−60425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、パージ処理は、エア消費量にもよるが数分毎に繰り返される場合もあり、車両走行中であればパージエアが噴出されたときに衝突する位置も経時と共に変化するためあまり問題とはならないが、例えば客先などにおいて納品のために同じ位置に停車しているような状態にあっては、同一位置にて複数回パージ処理が連続的に行われるおそれもあり、かかる場合にはパージエアと伴に噴出される水分や油分等によって付近の壁や地面を汚損してしまうおそれがある。
【0016】
特に、食品関係その他のクリーン環境が要求されるような場所では、このようなパージエアと伴に噴出される水分や油分等の排出を回避することが望まれる。
【0017】
ここにおいて、パージ処理の際に、ドレインバルブ27より下流側にオイルキャッチタンクなどを介装して水分や油分等を捕集することも想定されるが、要求を満たすようなキャッチタンクの実現は、コストなどの面もあって技術的になかなか難しいのが実情である。
【0018】
このようなことから、特許文献2に記載されているエアドライヤでは、図7に示すように、コンプレッサ1がロード状態からアンロード状態へ移行してパージ処理が実行される条件下となっても、車両停止中にはパージ処理をさせないように、コントロールライン9の途中に介装された電磁弁25を閉弁し、コントロールライン9からパージバルブ10を開弁させないようにしている。
【0019】
しかしながら、特許文献2のものは、コントロールライン9の途中に比較的高価な電磁弁25を介装する構成であると共に、車速に応じて電磁弁25を制御する制御システムも必要となるため、構成が複雑化すると共に、高コスト化してしまうといった実情がある。
【0020】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、簡単かつ低コストな構成でありながら、ドライバー等の操作者の意思に従ってパージ処理の実行を禁止することができるようにして、不用意にパージエアに伴って水分や油分・塵挨等が排出されることのないエア供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
このため、本発明に係るエア供給システムは、
圧縮したエアをエアタンクに貯留して利用するエア供給システムであって、
エアタンクの内圧が所定圧力になったときに、エアコンプレッサをアンロードすると共にエアドライヤ装置のパージバルブを開弁させてパージ処理を実行するために利用されるアンロード信号用エアを送出する圧力調整器が備えられると共に、
圧力調整器からエアコンプレッサへ前記アンロード信号用エアを送出するアンロード用配管の途中に三方弁が介装され、
前記三方弁は、第1入口に圧力調整器側のアンロード用配管が接続され、第2入口にエア源との間にオンオフバルブが介装されている圧縮空気供給配管が接続され、出口にはエアコンプレッサ側のアンロード用配管が接続され、
オンオフバルブは操作者のオンオフスイッチのマニュアル操作により開閉弁されるように構成され、
オンオフスイッチがオフのときに、前記三方弁の第1入口と出口が連通される通常状態とされ、
オンオフスイッチがオンのときに、前記三方弁の第2入口と出口が連通されて、圧縮空気供給配管からのエアがエアコンプレッサをアンロードすることでパージ処理実行禁止状態とされることを特徴とする。
【0022】
本発明において、
前記三方弁はダブルチェックバルブにより構成され、
該ダブルチェックバルブは、
第1入口と第2入口を接続する通路を備えると共に、該通路は常時出口と連通するように構成され、
前記通路には、第1入口からのエア圧と、第2入口からのエア圧と、を対向して受けてエア圧の大きい側から小さい側に移動可能に構成される弁体が収容されると共に、
移動された弁体によって、第1入口或いは第2入口のうちエア圧の小さいエアが導かれている一方が閉塞されることで、エア圧の高いエアが導かれている他方と出口とを連通させるように構成されていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、簡単かつ低コストな構成でありながら、ドライバー等の操作者の意思に従ってパージ処理の実行を禁止することができるようにして、不用意にパージエアに伴って水分や油分・塵挨等が排出されることのないエアドライヤ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係るエア供給システムの全体構成を概略的に示す全体構成図である。
【図2】同上実施の形態に係るエア供給システムにおける閉弁時(ロード時)のパージバルブを拡大して示す断面図である。
【図3】同上実施の形態に係るエア供給システムにおける開弁時(パージ処理時)のパージバルブを拡大して示す断面図である。
【図4】同上実施の形態に係るエア供給システムにおけるダブルチェックバルブを説明するための模式図である。
【図5】同上実施の形態に係るエア供給システムにおけるマニュアル操作によるパージ処理の実行の禁止を説明するためのフローチャートである。
【図6】従来のエアドライヤシステムの構成例を説明するための全体構成図である。
【図7】従来のエアドライヤシステムの他の構成例を説明するための全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の一実施形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0026】
本実施形態に係るエア供給システム100は、図1に示すように、内燃機関等の駆動源により回転駆動されて内装するピストンを介してエアを圧縮するエアコンプレッサ111と、エアを貯留するエアタンク112と、の間にエアドライヤ113が設けられている。
【0027】
エアコンプレッサ111のエア吐出側は管路114を介してエアドライヤ113が接続され、エアドライヤ113には逆止弁16を介してエアタンク112が接続されている。エアコンプレッサ111により圧縮されたエアを貯留するエアタンク112は、圧力調整器117によって所定圧力(例えば、10kgf/cm程度)に維持されるようになっている。
【0028】
エアタンク112には、図示しないがサービスブレーキ、エアサス等のエア機器が接続され、エアタンク112に貯蔵される圧縮空気を利用して作動するようになっている。
【0029】
エアドライヤ113は、乾燥剤収容室121と、パージ室122と、を備えて構成されている。乾燥剤収容室121及びパージ室122の下部にはベース119が設けられ、ベース119の外周側面にはエアコンプレッサ111からの圧縮空気を取り入れる入口125とエアタンク112へ送り出す出口126が設けられている。
【0030】
また、本実施の形態では、図2、図3に示すように、ベース119の中央下部には、パージバルブ(ドレインバルブ)127が取り付けられる。パージバルブ127には開閉制御エアの導入口128と弁体129とリターンスプリング137が設けられ、パージバルブ127のベース119に臨む位置には乾燥剤収容室121に連通する中空室138が設けられる。
【0031】
なお、乾燥剤収容室121には、通過する圧縮空気からオイルや塵埃などを捕集するためのフィルタ(図示せず)が収容されると共に、その下流側には通過する圧縮空気の水分を吸着するための乾燥剤(図示せず)が収容されている。また、乾燥剤収容室121の上部には蓋140が取り付けられ、蓋140には逆止弁とオリフィス(図示せず)が設けられている。
【0032】
パージバルブ127を開閉制御するエア導入口128には圧力調整用配管158の一端が接続され、圧力調整用配管158の他端は圧力調整器117に接続される。
【0033】
圧力調整器117とエアタンク112は入力管117aにより接続され、エアコンプレッサ111と圧力調整器117はアンロード用配管117bにより接続されている。
【0034】
また、本実施の形態では、アンロード用配管117bには、図1や図4に示したように、三方弁であるダブルチェックバルブ200が介装されている。
【0035】
なお、通常時(通常状態)においては、ダブルチェックバルブ200は、後述するように、エアコンプレッサ111と圧力調整器117が連通するように動作するようになっている。
【0036】
従って、通常時(通常状態)は、圧力調整器117は、エアタンク112の圧力が所定圧力以上の場合に作動し、その作動時にはアンロード用配管117bから圧縮空気をエアコンプレッサ111へ送ってアンロード状態にすると共に、圧力調整用配管158にアンロード信号用エアを供給することで、パージバルブ127を開弁させて、パージ処理を行い、エアドライヤ113内の乾燥剤やフィルタを再生するようになっている。
【0037】
ここで、かかる構成のエア供給システム100の動作について説明する。
図1に示すように、ロード状態(負荷状態)においては、エアコンプレッサ111に内装されエンジン等により駆動されるピストンにより圧縮された圧縮空気は、エアコンプレッサ111により圧縮される圧縮空気は、図1の実線の矢印で示すように、管路114を通ってエアドライヤ113の入口125から入り、乾燥剤収容室121内を通過する。この乾燥剤収容室121には、油分や異物等を捕集するフィルタ及び水分を吸着する乾燥剤が収容されているので、当該乾燥剤収容室21を通過することで圧縮空気から油分や異物等を除去すると共に水分が除去されるようになっている。
【0038】
この後、圧縮空気は、蓋140に設けられた逆止弁を経てパージ室122に入り出口126に至る。出口126に到達した清浄な圧縮空気は、再び管路114を実線矢印で示すように通り、逆止弁116を経てエアタンク112に貯蔵されることになる。
【0039】
ここで、通常時(通常状態)は、詳細は後述するが、ダブルチェックバルブ200は、エアコンプレッサ111と圧力調整器117が連通するように動作している。
【0040】
従って、エアタンク112の圧力が所定圧力に達すると、圧力調整器117はその圧力を入力管117aを介して検知し、圧力調整器117が作動して、アンロード用配管117bを介して圧縮空気をエアコンプレッサ111のアンロード弁(図示せず)に送って、エアコンプレッサ111のシリンダを強制開放することで、エアコンプレッサ111をアンロード状態(無負荷状態)にして、管路114への圧縮空気の送出を停止する。
【0041】
同時に、圧力調整器117は、圧力調整用配管158にアンロード信号用エアを、図1の破線矢印で示すように供給し、このアンロード信号用エアはパージバルブ127のエア導入口128に流入する。
【0042】
そして、パージバルブ127では、図2の閉弁状態から、図3に示すように、エア導入口128に流入したアンロード信号用エアが、弁体129の上部に導かれ、弁体129はリターンスプリング137の付勢力に抗して、図3において下降し、パージバルブ127が開弁される。
【0043】
このようにして、パージバルブ127が開弁されると、エアドライヤ113内部の圧縮空気が急激に大気に放出され、これに伴いエアドライヤ113内部が急激に減圧され、パージ室122内の乾燥した空気が乾燥剤収容室121に至り、そこで膨張しながら外部(大気中)へ排出されるといった所謂パージ処理が実行される。
【0044】
なお、かかるパージ処理により、エアドライヤ113内の水分(乾燥剤に吸着された水分や底部に溜まった水分など)、油分や塵挨(フィルタに捕集された油分や塵挨等、及び底部に溜まった油分や塵挨など)が外部へ排出され、エアドライヤ113内の乾燥剤やフィルタの再生がなされる。
【0045】
その後、サービスブレーキ、エアサス等のエア機器がエアを消費して、エアタンク112のタンク内圧が所定圧力以下になると、圧力調整器117はその圧力を入力管117aを介して検知し、圧力調整器117が復帰動作する。圧力調整器117はエアコンプレッサ111をロード状態にして管路114への圧縮空気の送出を再開させる。
【0046】
このようにして、本実施の形態に係るエア供給システム100では、通常時(通常状態)には、上記のようなロード状態、アンロード状態の切り替えが、エアタンク112内のエアの消費に応じて繰り返し行われ、アンロード状態への移行時にはパージ処理が自動的に実行されるようになっている。
【0047】
ここで、本実施の形態に係るダブルチェックバルブ(三方弁)200について説明する。
ダブルチェックバルブ200は、図4に示すように、第1入口201と、第2入口202の二方向から流入する空気のうち圧力の高い側の一方が選択され、該選択された側の空気を、出口203から出力するように構成されている。
【0048】
より詳細に説明すると、図4に示すように、ダブルチェックバルブ200のボディには、第1入口201と、第2入口202と、これらを連通する通路211が設けられているが、この通路211には、図4において左右方向に移動自在に弁体210が収容されるようになっている。
【0049】
弁体210は、通路211内を図4において左右方向に移動自在であるが、左側に移動して通路211内の左側端と当接すると第2入口202と通路211(出口203)との連通が遮断される一方で、弁体210が右側に移動して通路211内の右側端と当接すると、第1入口201と通路211(出口203)との連通が遮断されるようになっている。
【0050】
また、通路211には、弁体210の位置に係わらず、出口203が常時連通するように接続されている。
【0051】
なお、図4に示すように、第1入口201には圧力調整器117側のアンロード用配管117bが接続され、出口203にはエアコンプレッサ111のアンロード弁側のアンロード用配管117bが接続され、第2入口202にはオンオフバルブ230が介装されている圧縮空気供給配管220に接続されている。
【0052】
このオンオフバルブ230は、電磁弁などを用いることができ、運転席(キャビン)などに設けられたオンオフスイッチ300のオンオフ操作に連動して開閉弁されるようになっている。
そして、オンオフスイッチ300のオンオフ操作は、運転者等の操作者のマニュアル操作により行うことが可能に構成されている。
【0053】
このような構成のダブルチェックバルブ200では、第1入口201側の圧力と、第2入口202側の圧力と、が弁体210を挟んで対向することになるため、何れかから流入する空気のうちの圧力の高い側から低い側に弁体210は移動して、圧力の低い側の入口と通路211と連通を閉塞するようになる。
【0054】
そして、圧力の高い方の入口が選択されて通路211と連通し、延いては出口203と連通することになる。
このため、圧力の高い方の入口から出口203へと空気が供給されることになる。
【0055】
すなわち、本実施の形態では、オンオフスイッチ300がオフとなっている通常時(通常状態)は、オンオフバルブ230が閉弁されているため、第2入口202側の圧力は低い状態となっている。
【0056】
このため、第1入口201から供給される空気の圧力で、弁体210が左側に移動して第2入口202が閉塞され、第1入口201から供給される空気が出口203を通ってアンロード用配管117bを介して圧力調整器117に送られることになる。
【0057】
従って、オンオフスイッチ300がオフとなっている通常時(通常状態)には、上で述べたように、ロード状態、アンロード状態の切り替えが、エアタンク112内のエアの消費に応じて繰り返し行われると共に、アンロード状態への移行時にはパージ処理が実行されることになる。
【0058】
この一方で、オンオフスイッチ300がオンとなっているパージ処理実行禁止時(パージ処理実行禁止状態)には、オンオフバルブ230が開弁されるため、第2入口202へエア源からエアタンク112内の圧力と略同等の圧力が供給されて、第2入口202側の圧力が高い状態となっている。
【0059】
なお、エアタンク112の内圧が所定圧力以上にならない限り、圧力調整器117からはアンロード用配管117bや圧力調整用配管158へはアンロード信号用エアは送出されない。
【0060】
このため、オンオフスイッチ300がオンとなっているパージ処理実行禁止時(パージ処理実行禁止状態)には、第2入口202から供給される空気の圧力で、弁体210が右側に移動して第1入口201が閉塞され、第2入口202から供給される空気が出口203を通ってアンロード用配管117bを介してエアコンプレッサ111のアンロード弁(図示せず)に送られることになる。
【0061】
従って、オンオフスイッチ300がオンとなっているパージ処理実行禁止時(パージ処理実行禁止状態)には、エアコンプレッサ111のアンロード弁(図示せず)が作動して、エアコンプレッサ111のシリンダが強制開放され、エアコンプレッサ111はアンロード状態(無負荷状態)にされる。
【0062】
かかる状態では、エアタンク112が所定圧以上となることがないため、圧力調整器117が作動することはなく、圧力調整器117が、圧力調整用配管158にアンロード信号用エアを送出することがない状態となる。
【0063】
すなわち、パージバルブ127が開弁されることのない状態、言い換えれば、パージ処理の実行が禁止(停止)された状態となる。
【0064】
このように、本実施の形態に係るエア供給システム100では、オンオフスイッチ300がオンとなっているパージ処理実行禁止時(パージ処理実行禁止状態)には、ドライバー等の操作者のマニュアル操作によってパージ処理の実行を禁止することができることになる。
【0065】
このため、本実施の形態に係るエア供給システム100によれば、通常時(通常状態)には、ドライバー等の操作者のスイッチ切り換え等の煩わしさを解消しつつアンロード時に自動的にパージ処理を実行させることができる一方で、オンオフスイッチ300がオンとなっているパージ処理実行禁止時(パージ処理実行禁止状態)には、ドライバー等の操作者の意思に従って、任意のタイミングでパージ処理の実行を禁止することができる。
【0066】
よって、本実施の形態に係るエア供給システム100では、通常時(通常状態)には従来同様自動的にパージ処理を実行しつつ、例えば、図5に示すように、客先などにおいて納品のために同じ位置に停車しているような状態では、オンオフスイッチ300をオンしてパージ処理の実行を禁止(停止)して、パージエアと伴に噴出される水分や油分等によって付近の壁や地面を汚損してしまうことを回避することができる。そして、納品を終了した後走行が再開された場合には、オンオフスイッチ300をオフして通常制御に復帰させることができる。
【0067】
すなわち、本実施の形態によれば、簡単かつ低コストな構成でありながら、ドライバー等の操作者の意思に従ってパージ処理の実行を禁止することができるようにして、不用意にパージエアに伴って水分や油分・塵挨等が排出されることのないエアドライヤ装置を備えたエア供給システムを提供することができる。
【0068】
以上で説明した実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。
【符号の説明】
【0069】
100 エア供給システム
111 エアコンプレッサ
112 エアタンク
113 エアドライヤ(エアドライヤ装置)
114 管路
117 圧力調整器
117a 入力管
117b アンロード用配管
119 ベース
121 乾燥剤収容室
122 パージ室
127 パージバルブ(ドレインバルブ)
158 圧力調整用配管
200 ダブルチェックバルブ(三方弁)
220 圧縮空気供給配管
230 オンオフバルブ(開閉弁)
300 オンオフスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮したエアをエアタンクに貯留して利用するエア供給システムであって、
エアタンクの内圧が所定圧力になったときに、エアコンプレッサをアンロードすると共にエアドライヤ装置のパージバルブを開弁させてパージ処理を実行するために利用されるアンロード信号用エアを送出する圧力調整器が備えられると共に、
圧力調整器からエアコンプレッサへ前記アンロード信号用エアを送出するアンロード用配管の途中に三方弁が介装され、
前記三方弁は、第1入口に圧力調整器側のアンロード用配管が接続され、第2入口にエア源との間にオンオフバルブが介装されている圧縮空気供給配管が接続され、出口にはエアコンプレッサ側のアンロード用配管が接続され、
オンオフバルブは操作者のオンオフスイッチのマニュアル操作により開閉弁されるように構成され、
オンオフスイッチがオフのときに、前記三方弁の第1入口と出口が連通される通常状態とされ、
オンオフスイッチがオンのときに、前記三方弁の第2入口と出口が連通されて、圧縮空気供給配管からのエアがエアコンプレッサをアンロードすることでパージ処理実行禁止状態とされることを特徴とするエア供給システム。
【請求項2】
前記三方弁はダブルチェックバルブにより構成され、
該ダブルチェックバルブは、
第1入口と第2入口を接続する通路を備えると共に、該通路は常時出口と連通するように構成され、
前記通路には、第1入口からのエア圧と、第2入口からのエア圧と、を対向して受けてエア圧の大きい側から小さい側に移動可能に構成される弁体が収容されると共に、
移動された弁体によって、第1入口或いは第2入口のうちエア圧の小さいエアが導かれている一方が閉塞されることで、エア圧の高いエアが導かれている他方と出口とを連通させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエア供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−99720(P2013−99720A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245031(P2011−245031)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】