説明

エア駆動ポンプ装置及びエア駆動ポンプ装置を使用した濾過装置

【課題】 動力源として電力ではなくエアを用いるエア駆動ポンプ及びエア駆動ポンプを使用した濾過装置を提供することである。
【解決手段】 本発明のエア駆動ポンプ装置を使用した濾過装置10は、被処理液が貯液されるタンク100から被処理液を濾過槽3に供給するエア駆動ポンプ装置P1と、濾過槽3に配置され、被処理液中の加工屑やスラッジを濾過するためのフィルタ4と、エア源から供給されるエアによって駆動し、フィルタ4によって濾過された濾過液を濾過槽3からタンク100に戻す第2エア駆動ポンプP2と、エア源から供給されえるエアによって駆動し、濾過槽3で濾過された加工屑やスラッジを濾過槽3の外部に排出する排出手段5と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エア駆動ポンプ装置及びエア駆動ポンプ装置を使用した濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械加工を行う作業において冷却、潤滑、また加工屑の除去のために加工箇所に液体(被処理液)を供給する場合がある。使用された液体は、通常、加工屑などを取り除き再利用する。液体中の加工屑などを取り除くには、濾過装置や洗浄装置などを用いる。例えば、特許文献1や特許文献2のような装置がある。特許文献1はエマルジョン化した油を分離回収する液体浄化装置が、特許文献2は主に工作屑(加工屑)などの固形物を取り除く除去装置が開示されている。
【0003】
ところで、特許文献1及び特許文献2以外にも開示されている装置や公知の装置は、電気を動力源とする。タンクから濾過部材に液体を供給するためのポンプ、磁力で磁性体を分離するために磁気を発生させる手段、濾材を回転させたり動かしたりするために電力が用いられる。これらの装置が設置される工場によっては、電力を動力源としていない場合がある。例えば、圧縮エアが上げられる。そのような場合、工場内には電力を供給するラインがないため、濾過装置などのために電力を供給するラインを新たに設けなければならなくなり、手間と費用とがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−75607号公報
【特許文献2】特開平9−309043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、動力源として電力ではなくエアを用いるエア駆動ポンプ及びエア駆動ポンプを使用した濾過装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明の構成上の特徴は、エア源からエアが供給されて駆動し、第1の所定場所から第2の所定場所へ水を移動するエア駆動ポンプと、
前記エア源及び前記エア駆動ポンプの間に位置し、前記エアを前記エア駆動ポンプに導入する導入位置及び導入を遮断する遮断位置を切り替え可能なエアバルブと、
弁箱と、前記弁箱に前記エア源から前記エアを供給する供給口と、前記弁箱及び前記エアバルブを連結し前記エアが流通する連結部と、前記第1の所定場所又は前記第2の所定場所の水面に浮上し液位によって昇降して前記連結部への前記エアの排出量を変化させるフロートと、を有し、前記排出量の変化によって前記エアバルブの前記導入位置及び前記遮断位置を切り替えるエア切替手段と、
を有することである。
【0007】
ここで、被処理液とは、切削や研磨などの加工作業にて使用された液体に加工屑などが混じっている液体である。
【0008】
また上記課題を解決するための請求項2に係る発明の構成上の特徴は、被処理液が貯液されるタンクから前記被処理液を濾過槽に供給する請求項1に記載のエア駆動ポンプ装置と、
前記濾過槽に配置され、前記被処理液中の加工屑やスラッジを濾過するためのフィルタと、
前記エア源から供給される前記エアによって駆動し、前記フィルタによって濾過された濾過液を前記濾過槽から前記タンクに戻す第2エア駆動ポンプと、
前記エア源から供給されえる前記エアによって駆動し、前記濾過槽で濾過された前記加工屑やスラッジを前記濾過槽の外部に排出する排出手段と、
を有することである。
【0009】
また請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項2において、前記第2エア駆動ポンプによって前記濾過槽から前記タンクに戻される前記濾過液から前記フィルタによって濾過されなかった加工屑やスラッジを更に分離し、分離した前記加工屑やスラッジを前記排出手段に排出するサイクロン式分離器を有し、
前記第2エア駆動ポンプは、前記濾過槽の前記濾過液から更に加工屑やスラッジを取り除いた第2濾過液を前記タンクに戻すことである。
【0010】
ここで、サイクロン式分離器とは、気体もしくは液体中に混じった粉末状の固体を分離するための装置であり、いわゆるサイクロンと言われる公知の装置を用いる。本願では、単純な遠心分離器やその応用も含む。
【0011】
また請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項2又は3において、前記フィルタは、前記エア源のエアによって前記フィルタを回転させるエア駆動モーターを有しており、前記エア駆動ポンプ装置によって前記濾過槽に供給された前記被処理液を濾過する濾過部分が回転により変わり、濾過に利用された箇所が適宜洗浄されることである。
【0012】
また請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項2〜4の何れか1項において、前記排出手段は、ベルトと、前記エア源の前記エアによってベルトを回転させるエア駆動モーターとを有することである。
【0013】
また請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項5において、前記タンクには、撹拌手段が設置されており、
前記撹拌手段は、前記エア駆動モーターの出力軸又はベルトの回転軸に接続しており、前記エア駆動モーターが駆動されることで前記タンク内の撹拌用ブラシが回転して、前記タンク内の被処理液を撹拌することである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明は、第1の所定場所から第2の所定場所へ液体を移動するエア駆動ポンプがエアで駆動し、エア駆動ポンプにエアを導入する又はエアの導入を遮断することを切り替えるエアバルブがエアで行われる。つまり、エアのみで液体の移動が行える。エアバルブの導入位置と遮断位置とを切り替えるのは、弁箱に供給されたエアが弁箱から排出される排出量に基づいてエア切替手段が行う。エアの排出量は、第1の所定場所エーエム又は第2の所定場所の水面に浮上し液位の変化によって昇降するフロートによって変化する。エア駆動ポンプもエア切替手段も同じエア源からエアが供給される。液位によって昇降するフロートは、エア駆動ポンプがくみ上げた液体が貯留される第1の所定場所のタンク又はエア駆動ポンプによって液体が移動した先の第2の所定場所のタンクに設置することができる。ここで、タンクとは単に液体が貯留することができるものを表しており、自然形成された池や湖なども含み、便宜上タンクと表現した。また、フロートが第1の所定場所又は第2の所定場所のどちらかで浮上するとして、フロートが設置されない方は必ずしも液体を貯留できなくても良い。
【0015】
よって、請求項1に係る発明によれば、エアで駆動するエア駆動ポンプの駆動と停止もエアを利用して自動で行うことができるため、動力源として電力ではなくエアを用いており、工業圧縮空気を動力源としている工場にすぐに導入することができる。
【0016】
請求項2に係る発明は、エアで駆動するエア駆動ポンプの駆動と停止をエアを利用して自動で行える請求項1に記載のエア駆動ポンプ装置(第1エア駆動ポンプ)と、フィルタと、エアで駆動する第2エア駆動ポンプと、エアで駆動する排出手段と、を有する。第1エア駆動ポンプ装置がタンク内の被処理液をエアで濾過槽に供する。濾過槽のフィルタで濾過された濾過液は第2エア駆動ポンプによってタンクに戻され、濾過された加工屑やスラッジは排出手段によって濾過槽から排出される。第1エア駆動ポンプ、第2エア駆動ポンプ及び排出手段はともにエア源から供給されるエアによって駆動する。よって、請求項2に係る発明によれば、被処理液から加工屑やスラッジを濾過するために、動力源として電力ではなくエアを用いており、工業圧縮空気を動力源としている工場にすぐに導入することができる。
【0017】
請求項3に係る発明は、更に、濾過槽のフィルタで濾過された濾過液をサイクロンによって加工屑やスラッジに分離し排出することができるサイクロン式分離器を有する。よって、請求項3に係る発明によれば、被処理液から加工屑やスラッジを濾過するために、動力源として電力ではなくエアを用いており、工業圧縮空気を動力源としている工場にすぐに導入することができる。
【0018】
請求項4に係る発明は、フィルタがエアで駆動するエア駆動モーターによって回転する。フィルタは回転することで、被処理液を濾過する部分が変わる。そして、濾過によって使用された濾過部分は回転で移動することで適宜洗浄される。請求項4に係る発明によれば、フィルタが適宜洗浄されるため、フィルタを逆洗しながら、被処理液の濾過が行える。よって、動力源として電力ではなくエアを用いており、工業圧縮空気を動力源としている工場にすぐに導入することができる。
【0019】
請求項5に係る発明は、排出手段がベルトとベルトを回転させるエア駆動モーターとを有し、エア駆動モーターがエアによってベルトを回転させて、濾過された加工屑やスラッジを濾過槽から外部に排出する。請求項5に係る発明によれば、排出手段がエアによってベルトが回転して濾過槽から外部に排出されるため、動力源として電力ではなくエアを用いており、工業圧縮空気を動力源としている工場にすぐに導入することができる。
【0020】
請求項6に係る発明は、更に、タンク内を撹拌する撹拌手段を有する。撹拌手段は、排出手段のエア駆動モーターの出力軸に接続しており、エア駆動モーターが駆動するとタンク内の撹拌用ブラシが回転して、タンク内の被処理液を撹拌する。つまり、エアによってタンク内の被処理液を撹拌する。請求項6に係る発明によれば、タンク内の被処理液を撹拌手段で撹拌することができるため、タンク内に加工屑やスラッジが堆積するのを防ぎ、被処理液を効率的に濾過することができる。また、撹拌もエアによって行うことができるため、動力源として電力ではなくエアを用いており、工業圧縮空気を動力源としている工場にすぐに導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態1の濾過装置10の構成を模式的に表す説明図である。
【図2】(a)は本実施形態1の濾過装置10で用いられる第1供給手段1の主要部を模式的に表す説明図で、排出口85が開放状態であり、(b)は排出口が85が閉鎖状態である。
【図3】本実施形態1の濾過装置10で用いられる濾過槽3内の主要部分についての横断面を表す説明図である。
【図4】本実施形態1の濾過装置10で用いられる濾過槽3内の主要部分について上方から見た状態を表す説明図である。
【図5】本実施形態1の濾過装置10で用いられるクーラントタンク100の横断面を表す説明図である。
【図6】本実施形態3の濾過装置で用いられる濾過槽3内の主要部分についての横断面を表す説明図である。
【図7】本実施形態3の濾過装置で用いられる濾過槽3内の主要部分について上方から見た状態を表す説明図である。
【図8】(a)はその他実施形態のパイロットバルブ8の構成の一部を表した説明図であり、排出口85が開放状態であり、(b)は排出口85が閉鎖状態である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の代表的な実施形態を図1〜図8を参照して説明する。本実施形態に係るエア駆動ポンプ装置は、液体(被処理液)中の加工屑やスラッジを濾過するための濾過装置(エア駆動ポンプ装置を使用した濾過装置)に用いられる。そして、本実施形態に係る濾過装置は、機械加工に利用されたクーラント(被処理液)から加工屑やスラッジなどを取り除き、クーラントを再利用可能にするために使用する。なお、加工屑やスラッジを、図面上、三角形及び星形で表されている場合があり、サイズは三角形>星形である。
【0023】
(実施形態1)
本実施形態1の濾過装置10は、図1に示されるように、クーラントタンク(タンク)100、第1供給手段(エア駆動ポンプ装置)1、第2供給手段(第2エア駆動ポンプ)P2、濾過槽3、フィルタ4、ベルトコンベア(排出手段)5、サイクロン式分離器6、及び、除去物タンク7を有する。そして、図示されていないエア源を有する。クーラントタンク100に、クーラントが貯液されている。クーラントには、加工屑やスラッジが混入している。図1において、クーラントタンク内100の加工屑やスラッジの図示は省略されている。
【0024】
第1供給手段1は、図1及び図2に示されるように、第1エア駆動ポンプP1と、エアバルブ12と、パイロットバルブ(エア切替手段)8と、経路部材14と、チャンバー15とを有する。
【0025】
第1エア駆動ポンプP1は、エア源からエアが供給されて駆動し、チャンバー15内を真空にする。エアバルブ12は、エア源と第1エア駆動ポンプP1との間に位置し、第1エア駆動ポンプP1へエアを導入する導入位置と、第1エア駆動ポンプP1へのエアの導入を遮断する遮断位置とを切替可能なバルブである。第1エア駆動ポンプP1が駆動すると、チャンバー15内の空気が吸い出され、チャンバー15内が真空になり、経路部材14を通ってクーラントがチャンバー15内に流入する。第1エア駆動ポンプP1が抜き出した空気は、濾過槽3にはき出すことで、消音効果及び空気と一緒に吸い出された場合のクーラントの処置を考慮している。チャンバー15に所定量のクーラントが流入するとチャンバー15に取り付けられた蓋151が開く。蓋151は、エアシリンダーで開閉可能で、チャンバー15の下方に配置されており、チャンバー15に流入したクーラントは、蓋151の開放により濾過槽3内に設置されたフィルタ4に対して排出される。
【0026】
そして、第1エア駆動ポンプP1へエアを導入又は遮断するエアバルブ12を導入位置及び遮断位置に切り替えるのがパイロットバルブ8である。パイロットバルブ8は、図2(a)に示されるように、弁箱81と、供給口82と、連結部83と、フロート84と、排出口85と、制御部86とを有する。供給口82からエアが弁箱81に供給され、供給からエアが連結部83及び/又は排出口85から排出される。連結部83は、弁箱81及びエアバルブ12を連結し前記エアが流通する。フロート84は、水面に浮上し、液位によって昇降する。フロート84には、一端がフロート84に固定された軸部841が取り付けられている。軸部841の途中には、弁842が取り付けられており、他端側が排出口85から弁箱81に挿入されており、フロート84が弁箱85から外れないようなっている。フロート84の上昇は、弁842が排出口85に取り付けられている弁座851に当接して止まる(図2(b)参照)。排出口85が弁842によって閉鎖されると、弁箱81に供給されたエアは連結部83からのみ排出される。制御部86は、連結部83の途中に位置し、弁箱81から連結部83へと排出されるエアの圧力差によって、エアバルブ12を切り替える。本実施形態1の濾過装置10で用いられるパイロットバルブ8は、フロート84が浮かべられている液位が所定値以上に上昇して、エアバルブ12を遮断位置に切り替える(遮断位置であれば遮断位置を維持する)。フロート84が浮かべられている液位が所定値より下降していれば(図2(a)参照)、エアバルブ12を導入位置に切り替える(導入位置であれば導入位置を維持する)。フロート84は濾過槽3に浮かべられ、第1エア駆動ポンプP1は濾過槽3の液位によって駆動及び停止可能である。
【0027】
図1に戻って、濾過槽3は、クーラントタンク100から第1供給手段1によってクーラントが流入する。濾過槽3内には、後述するフィルタ4とベルトコンベア5がセットされている。
【0028】
フィルタ4は、円盤状の金網を採用している。濾過精度は、濾過する加工屑やスラッジに基づいて適宜選択される。フィルタ4は、エア源からのエアによって駆動するエア駆動モーター(図示略)によって、図3に示されるように、面に対して垂直方向に円盤の中心を貫通する軸線方向を回転中心として一方向に回転する。回転方向は、時計回り反時計回りのどちらであっても良くく、適宜決め、特に限定されない。また、フィルタ4の回転に関しては、回転方向が決められたとして、逆方向への回転が禁止されるわけでなく、一方向に回転し始めたら同じ方向に回転し続け、基本的に回転方向がすぐに変更される構成ではない、という意味である。フィルタ4には、濾過部分41と逆洗部分42とがある。濾過部分41には、チャンバー15から排出されたクーラントが噴射される。チャンバー15から排出されたクーラントは、例えば、じょうごのような形状の部材を用いて、大きく開口した上方からクーラントを受け、径が細くなる足部分をフィルタ4の濾過部分41近くに設置することで、濾過部分41に流出させる。そして、逆洗部分42には、濾過部分41を通過して濾過槽3に流入した一次処理液を噴射する。一次処理液は、後述する第2供給手段P2によって圧送される。濾過部分41及び逆洗部分42には、図4に示されるように、互いに向きの異なる方向からフィルタ4に対してクーラントを噴射する。フィルタ4は、一方向に回転しており、濾過部分41及び逆洗部分42が移動する。濾過部分41であった部分が逆洗部分42に達すると一次処理液によって洗浄され、また濾過部分41となる。フィルタ4は、回転しながらフィルタ4のほぼ全面が濾過部分41として使用し、逆洗部分42で洗浄されることで連続使用される。なお、図中の濾過部分41及び逆洗部分42はともに、フィルタ4の金網がなんらかの要素で囲まれているわけではなく、液体が噴射される場所を模式的に表しているだけである。また、その範囲も図示したように楕円状と限定されるものではないが、濾過部分41及び逆洗部分41は同じ場所には設けられず、ある程度離れているのが好ましい。更に、濾過槽3内に流入するクーラントが必ずフィルタ4を通過後に流入することができるように、濾過部分41は濾過槽3内のクーラント液に浸漬していない部分が好ましい。
【0029】
ベルトコンベア5は、ベルト51とエア駆動モーター(図示略)とを有する。ベルト51は、図1に示されるように、一端が濾過槽3内のクーラントに浸漬し、徐々に高くなり、濾過槽3内のクーラントから出て、他端が濾過槽3から突出する。他端の下方には除去物タンク7が設置されている。ベルト51は、少なくとも1つの回転軸がエア源からのエアによって駆動するエア駆動モーターによって回転することで、上面511がフィルタ4下方から濾過槽3外へと移動する。ベルト51は、エア駆動モーターによって回転する回転軸以外に、従動によって回転する軸又は回転しない軸によって、移動する。濾過槽3内のクーラントに浸漬するベルト51の一端の上方には、図1、図3及び図4に示されるように、フィルタ4が位置する。フィルタ4は、図4に示されるように、回転軸がベルト51の移動方向に対して垂直に配置される。クーラントがフィルタ4を通過し、フィルタ4を通過できない加工屑やスラッジがフィルタ4の下方のベルト51の一端に落下する。ベルト51は、上面511が濾過槽3から外部に向かって移動するため、ベルト51の上面511に落下した加工屑やスラッジは、濾過槽3外に移動し、ベルト51の他端から除去物タンク7へと落下する。ベルト51の濾過槽3内の一端には、フィルタ4の逆洗される逆洗部分42も位置する。逆洗によりフィルタ4から取り除かれた加工屑やスラッジもベルト51に落下し、濾過槽3外の除去物タンク7へと搬送される。
【0030】
図1に戻って、第2供給手段P2は、フィルタ4を通過後の濾過槽3内の一次処理液を、後述するサイクロン式分離器6に圧送する。一次処理液は、濾過槽3内の吸入部21から吸入され、経路部材22、第2供給手段P2、経路部材23と経由し、サイクロン式分離器6に圧送される。
【0031】
サイクロン式分離器6では、第2供給手段P2によって圧送された一次処理液を加工屑やスラッジと、液体と、に分離する。分離された加工屑やスラッジは、サイクロン式分離器6下方からベルト51に排出される。そして、加工屑やスラッジが取り除かれた2次処理液はサイクロン式分離器6の上方から経路部材61を経由してクーラントタンク100に流出する。なお、フィルタ4の逆洗部分42に圧送されるクーラントは、一次処理液又は二次処理液のどちらでも良くい。本実施形態1の濾過装置10では、図1に示されるように、一次処理液をフィルタ4側に圧送する構成となっている。サイクロン式分離器6から排出された二次処理液を経路部材61から分岐して、フィルタ4の逆洗部分42へと圧送する構成も可能である。
【0032】
本実施形態1の濾過装置10は、更に、撹拌手段52を有する。撹拌手段52は、図5に示されるように、クーラントタンク100のクーラントに浸漬するブラシ521とブラシに連結しているフレキシャブルシャフト522とを有する。フレキシャブルシャフト522は、ブラシ521に連結している一端とは別の他端がベルト51を移動させる回転軸に連結している。フレキシャブルシャフト522が連結する回転軸は、ベルトコンベア5のエア駆動モーターによって回転する回転軸でも、エア駆動モーターによって直接回転駆動しない回転する軸でも良くい。ベルトコンベア5が稼働すると、フレキシャブルシャフト522が回転し、一端に連結しているブラシ521が回転する。ブラシ521が回転することで、クーラントタンク100内、特に底に堆積している加工屑やスラッジが撹拌され、液体中に舞い上がり、第1供給手段1によってチャンバー15へと吸引され易くなる。本実施形態1の濾過装置10は、撹拌手段52によってクーラントタンク100内を撹拌しない場合でも、第2供給手段P2によってクーラントタンク100に戻される二次処理液の流入の勢いよってクーラントタンク100内は撹拌される。しかし、撹拌手段52を追加することで、更にクーラントタンク100内が撹拌され、加工屑やスラッジがより液体中に舞い上がる。
【0033】
本実施形態1の濾過装置10は、クーラントを2段階で濾過する。第1段階目の濾過では第1段階目で大きめの加工屑及びスラッジを取り除き、2段階目の濾過(サイクロン式分離)では第1段階目よりも小さい加工屑やスラッジを取り除く。そして、二度濾過された二次処理液をクーラントタンク100に戻し、循環させながら、クーラントを再利用可能に加工屑やスラッジを除去する。第1供給手段1の第1エア駆動ポンプP1及び第2供給手段P2の2つのポンプを使用することで、2段階で濾過している。しかし、2つのポンプの能力差、濾過の処理能力により、濾過槽3からクーラントが溢れ出たり、逆に濾過槽3内が空になったりすることを回避することを、本実施形態1の濾過装置10では考慮されている。それは、第1供給手段1の第1エア駆動ポンプ装置P1を採用していることである。第1供給手段1では、第1エア駆動ポンプ装置P1が、第2供給手段P2より多くのクーラントを移動させて濾過槽3に供給される量を常に多くし、第1エア駆動ポンプ装置P1の駆動と停止を濾過槽3の液位によって行う。
【0034】
本実施形態1の濾過装置10は、各構成要素が駆動、回転、移動などするために必要な動力源をエアである。エアは圧縮エアがエア源から供給され、必要によって減圧手段を用いて減圧したエアを使用する。本実施形態1の濾過装置10は、電力を動力源とせず、圧縮エアを動力源とおり、そのため、エアを動力源として稼働する工場などに導入が容易である。
【0035】
(実施形態2)
本実施形態2の濾過装置は、実施形態1の濾過装置10のサイクロン式分離器6のない構成である。実施形態2の濾過装置は、濾過槽3内のフィルタ4の濾過部分41を通過した一次処理液を第2供給手段P2によって、クーラントタンク100に戻す構成である。クーラント内に混在する加工屑やスラッジの種類、大きさ、フィルタの処理能力により、濾過槽3のフィルタ4のみによって加工屑やスラッジが取り除けるのであれば、濾過装置としての構成が簡素であり、また装置もその分小さくできる。
【0036】
あるいは、図1において、第2供給手段P2から流出した二次処理液が通過する経路部材23と、サイクロン式分離器6の上方からクーラントタンク100への経路部材61とが接続する。そして、第2供給手段P2からの一次処理液をサイクロン式分離器6へ流入させるかサイクロン式分離器6は経由しないかの切り替えを可能な構成とすることもできる。除去したい加工屑やスラッジの種類、大きさ、除去率を考慮しなければならないが、サイクロン式分離器6を経由した除去の場合に比べて、濾過時間が短くできるメリットがある。
【0037】
(実施形態3)
本実施形態3の濾過装置は、実施形態1の濾過装置10とほぼ同じ構成及び作用効果を有する。以下は、主に異なる部分について説明する。
【0038】
本実施形態3の濾過装置は、円筒状のフィルタを採用する。フィルタ4A,4Bは、軸線方向を回転軸として回転する。回転方向としては、図6及び図7に示されるように、フィルタ4A,4Bの設置の仕方に関係する。まず、軸線方向がベルト51の移動方向に対して直交するフィルタ4Aをセットする場合について説明する。図6は、濾過槽3を側面から見た場合を表している。フィルタ4Aは、図6に示されるように、回転軸がベルト51の移動方向と直交する方向で回転する。回転方向としては、図6において時計回り及び反時計回りのどちらでも可能である。図6では、反時計回りに回転している。
【0039】
クーラントは、フィルタ4Aの上方から、フィルタ4Aの内部空間を通過し、下方へと流れる。フィルタ4Aの上方と下方との間、フィルタ4Aが回転する側の間にゴムベラ53が配置されている。ゴムベラ53は、フィルタ4Aの表面からベルト51の上面511へと形成される。上方で濾過された加工屑やスラッジは、ゴムベラ53によってフィルタ4Aの表面上から削り取られてベルト51に落下する。濾過で使用された部分は、回転により下方に位置すると、上方からのクーラント(一次処理液)が上方のときと逆に通過するため洗浄される。
【0040】
次に、軸線方向がベルト51の移動方向に対して平行にフィルタ4Bをセットする場合について説明する。図7は、濾過槽3を上方から見た場合を表している。フィルタ4Bは、図7に示すように、回転方向はベルト51の移動方向に対して直交する。フィルタ4Bは、必ずしてもベルト51の移動方向に対して回転方向が直交する必要はない。フィルタ4Bの上方から下方に回転する間にゴムベラ53がセットされ、ゴムベラ53の下にベルト51の上面511が配置される関係であれば良くい。クーラントは、フィルタ4Bの上方から、フィルタ4Bの内部空間を通過し、下方へと流れる。フィルタ4Bの上方と下方との間、フィルタ4Bが回転する側の間にゴムベラ53が配置されている。ゴムベラ53は、フィルタ4Aの表面からベルト51の上面511へと配置される。上方で濾過された加工屑やスラッジは、ゴムベラ53によってフィルタ4Bの表面上から取り除かれてベルト51に落下する。濾過で使用された部分は、回転により下方に位置すると、上方からのクーラント(一次処理液)が上方のときと逆に通過するため洗浄される。
【0041】
実施形態3の濾過装置は、逆洗用の一次処理液や二次処理液を第2供給手段P2によってフィルタ4A,4Bに対して噴射する構成が必要ないため、実施形態1の濾過雄値10に比べて構成が簡素化される。
【0042】
フィルタ4A及びフィルタ4Bは、ゴムベラ53の大きさや配置の仕方に影響されるが、ベルト51の上方に必ずしも配置する必要はない。逆洗によってフィルタから取り除かれた加工屑やスラッジがベルト51によって運ばれなくなるが、ベルト51に勢いよくクーラントが接触することで、ゴムベラ53で削り取られた加工屑やスラッジがベルト51から流れ落ちないのが好ましい。
【0043】
また、フィルタ4A、フィルタ4B及びベルト51を、クーラントに浸漬されない構成が採用できる。ベルト51もがクーラントに浸漬しないことで、ベルト51を移動させる動力が小力となる。
【0044】
(実施形態4)
本実施形態4の濾過装置は、実施形態1の濾過装置10とほぼ同じ構成及び作用効果を有する。以下は、主に異なる部分について説明する。
【0045】
本実施形態4の濾過装置は、第1供給手段1の第1エア駆動ポンプP1の駆動と停止を、フロート84の昇降による制御を逆にしたものである。本実施形態4の濾過装置では、フロート84をクーラントタンク100に浮かべる。そして、フロート84が上昇して、弁842が弁座851に当接して、排出口85からエアが流出しなくなった場合に、第1エア駆動ポンプP1にエアが導入されるように制御部86はエアバルブ12を導入位置に切り替える(維持する)。フロート84が下降して、弁842が弁座851に当接せず、排出口85からエアが流出する場合に、第1エア駆動ポンプP1へのエアの導入を遮断するように制御部86はエアバルブ12を遮断位置に切り替える(維持する)。制御部86は、連結部83からの排出されるエアの圧力差を見て制御することができるため、フロート86の昇降に対して、エアバルブ12をどちらに切り替える(維持する)か変更可能である。ただし、濾過槽3内のクーラントが無くならないようにフロートをもう一つ用いるなど、なんからの管理及び制御があるのが好ましい。
【0046】
(その他実施形態)
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態1〜実施形態4の濾過装置は、一定箇所に固定配置するとは限られず、移動可能にすることもできる。エア源となるエアが確保できれば、移動タイプの濾過装置とすることで、常に濾過が必要でない場合には濾過装置を、別の場所で濾過を必要なクーラントのある場所に移動させたり、邪魔にならないように退避させたりしておくことが可能である。また、メンテナンスも濾過装置自体が移動可能であるため、本装置のみをメンテナンスし易い適当な場所にて移動可能である。
【0047】
また、フィルタの形状は円盤状や円筒状の形状に限られない。板状としては四角形、多角形、楕円形など、立体形状としては球状のフィルタも用いることができる。そして、板状の場合において、回転方向も面に対して垂直方向に円盤の中心を貫通する軸線方向を回転中心として一方向に回転することに限られない。液面に対して垂直方向の全径を回転中心と回転する。その場合、フィルタに対してクーラントが、常に噴射されると、噴射される方向に対してフィルタの面が平行にならない構成とする。例えば、クーラントが噴射されない間あるいは一定間隔でフィルタが180度回転するなど。
【0048】
その他に、パイロットバルブ8は、フロート84が上昇したら排出口85が閉じられるのではなく、図8に示されるように、フロート84が上昇したら排出口が85が開放され、フロート84が下降したら閉鎖する構成も採用できる。
【符号の説明】
【0049】
10:濾過装置(エア駆動ポンプ装置を使用した濾過装置)、100:クーラントタンク、
1:第1供給手段(エア駆動ポンプ装置)、
P1:第1エア駆動ポンプ、12:エアバルブ、14:経路部材、15:チャンバー、
151:蓋、
P2:第2供給手段(第2エア駆動ポンプ)P2、21:吸入部、22,23:経路部材、
3:濾過槽、
4,4A,4B:フィルタ、41:濾過部分、42:逆洗部分、
5:ベルトコンベア(排出手段)、51:ベルト、52:撹拌手段、521:ブラシ、
522:フレキシャブルシャフト、53:ゴムベラ、
6:サイクロン式分離器、
7:除去物タンク、
8:パイロットバルブ(エア切替手段)、
81:弁箱、82:供給口、83:連結部、84:フロート、841:軸部、
842:弁、85:排出口、851:弁座、86制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エア源からエアが供給されて駆動し、第1の所定場所から第2の所定場所へ液体を移動するエア駆動ポンプと、
前記エア源及び前記エア駆動ポンプの間に位置し、前記エアを前記エア駆動ポンプに導入する導入位置及び導入を遮断する遮断位置を切り替え可能なエアバルブと、
弁箱と、前記弁箱に前記エア源から前記エアを供給する供給口と、前記弁箱及び前記エアバルブを連結し前記エアが流通する連結部と、前記第1の所定場所又は前記第2の所定場所の水面に浮上し液位によって昇降して前記連結部への前記エアの排出量を変化させるフロートと、を有し、前記排出量の変化によって前記エアバルブの前記導入位置及び前記遮断位置を切り替えるエア切替手段と、
を有することを特徴とするエア駆動ポンプ装置。
【請求項2】
被処理液が貯液されるタンクから前記被処理液を濾過槽に供給する請求項1に記載のエア駆動ポンプ装置と、
前記濾過槽に配置され、前記被処理液中の加工屑やスラッジを濾過するためのフィルタと、
前記エア源から供給される前記エアによって駆動し、前記フィルタによって濾過された濾過液を前記濾過槽から前記タンクに戻す第2エア駆動ポンプと、
前記エア源から供給されえる前記エアによって駆動し、前記濾過槽で濾過された前記加工屑やスラッジを前記濾過槽の外部に排出する排出手段と、
を有することを特徴とするエア駆動ポンプ装置を使用した濾過装置。
【請求項3】
前記第2エア駆動ポンプによって前記濾過槽から前記タンクに戻される前記濾過液から前記フィルタによって濾過されなかった加工屑やスラッジを更に分離し、分離した前記加工屑やスラッジを前記排出手段に排出するサイクロン式分離器を有し、
前記第2エア駆動ポンプは、前記濾過槽の前記濾過液から更に加工屑やスラッジを取り除いた第2濾過液を前記タンクに戻す請求項2に記載のエア駆動ポンプ装置を使用した濾過装置。
【請求項4】
前記フィルタは、前記エア源のエアによって前記フィルタを回転させるエア駆動モーターを有しており、前記エア駆動ポンプ装置によって前記濾過槽に供給された前記被処理液を濾過する濾過部分が回転により変わり、濾過に利用された箇所が適宜洗浄される請求項2又は3に記載のエア駆動ポンプ装置を使用した濾過装置。
【請求項5】
前記排出手段は、ベルトと、前記エア源の前記エアによってベルトを回転させるエア駆動モーターとを有する請求項2〜4の何れか1項に記載のエア駆動ポンプ装置を使用した濾過装置。
【請求項6】
前記タンクには、撹拌手段が設置されており、
前記撹拌手段は、前記エア駆動モーターの出力軸に接続しており、前記エア駆動モーターが駆動されることで前記タンク内の撹拌用ブラシが回転して、前記タンク内の被処理液を撹拌する請求項5に記載のエア駆動ポンプ装置を使用した濾過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−200827(P2012−200827A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68518(P2011−68518)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(592058315)アイシン・エーアイ株式会社 (490)
【出願人】(597174654)
【Fターム(参考)】