説明

エイコサペンタエン酸生成微生物、脂肪酸組成物、ならびにそれらを作る方法およびそれらの使用

本発明は、単離された微生物ならびにその株および変異体、バイオマス、微生物油、組成物、および培養物;微生物油、バイオマス、および変異体を生成する方法;ならびに単離された微生物、バイオマス、および微生物油を使用する方法に向けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、単離された微生物ならびにその株および変異体、バイオマス、微生物油、組成物、ならびに培養物;微生物油、バイオマス、および変異体を生成する方法;ならびに単離された微生物、バイオマス、および微生物油を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
脂肪酸は、炭素鎖の長さおよび飽和特徴に基づいて分類される。脂肪酸は、鎖に存在する炭素の数に基づいて短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、または長鎖脂肪酸と呼ばれ、炭素原子間に二重結合が存在しない時は飽和脂肪酸と呼ばれ、二重結合が存在する時は不飽和脂肪酸と呼ばれる。不飽和長鎖脂肪酸は、二重結合が1個しか存在しない時は一不飽和であり、複数の二重結合が存在する時は多価不飽和である。
【0003】
多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、脂肪酸メチル末端から最初の二重結合の位置に基づいて分類される。すなわち、ω-3(n-3)脂肪酸は3番目の炭素に最初の二重結合を含有するのに対して、ω-6(n-6)脂肪酸は6番目の炭素に最初の二重結合を含有する。例えば、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)は、22個の炭素からなる鎖長および6個の二重結合を有するω-3長鎖多価不飽和脂肪酸(LC-PUFA)であり、「22:6 n-3」と呼ばれることが多い。他のω-3 LC-PUFAには、「20:5 n-3」と呼ばれるエイコサペンタエン酸(「EPA」)および「22:5 n-3」と呼ばれるω-3ドコサペンタエン酸(「DPA n-3」)が含まれる。DHAおよびEPAは「必須」脂肪酸と呼ばれている。ω-6 LC-PUFAには、「20:4 n-6」と呼ばれるアラキドン酸(「ARA」)および「22:5 n-6」と呼ばれるω-6ドコサペンタエン酸(「DPA n-6」)が含まれる。
【0004】
ω-3脂肪酸は、細胞膜に存在するために細胞生理機能に影響を及ぼし、生物学的に活性な化合物の生成および遺伝子発現を調節し、生合成基質として役立つ生物学的に重要な分子である。Roche, H. M., Proc. Nutr. Soc. 58: 397-401(1999) (非特許文献1)。例えば、DHAはヒト大脳皮質にある脂質の約15%〜20%、網膜にある脂質の30%〜60%を占め、精巣および精子において高濃度にあり、母乳の重要な成分である。Berge, J. P., and Barnathan, G.. Adv. Biochem. Eng. Biotechnol. 96:49-125(2005) (非特許文献2)。DHAは脳にあるω-3脂肪酸の97%までを占め、網膜にあるω-3脂肪酸の93%までを占める。さらに、DHAは、胎児および乳児の発達ならびに成人における認知機能の維持に必須である。同上。ω-3脂肪酸はヒト体内で新規合成されないので、これらの脂肪酸は栄養源から得なければならない。
【0005】
亜麻仁油および魚油は優れた食事性ω-3脂肪酸源と考えられている。亜麻仁油はEPA、DHA、DPA、ARAを含有しないが、身体がEPAを製造するのを可能にする基本要素であるリノレン酸(C18:3 n-3)を含有する。しかしながら、特に、健康を害している人の間では代謝変換速度は遅く、かつ一定しない場合があるという証拠がある。魚油は、特定の種およびその飼料に応じて脂肪酸組成物のタイプおよびレベルの点で大きく異なる。例えば、水産養殖魚は天然魚より低レベルのω-3脂肪酸を有する傾向がある。さらに、魚油は環境汚染物質を含有するリスクを有し、安定性の問題および魚の臭いまたは味と関連することがある。
【0006】
ヤブレツボカビ類(Thraustochytrids)はヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)の微生物である。ヤブレツボカビ類は、シゾキトリウム属(Schizochytrium)およびヤブレツボカビ属(Thraustochytrium)のメンバーを含み、DHAおよびEPAを含むω-3脂肪酸の代替源として認識されてきた。米国特許第5,130,242号(特許文献1)を参照されたい。これらの海洋従属栄養微生物から生成された油は、対応する魚油または微細藻類油より単純な多価不飽和脂肪酸プロファイルを有することが多い。Lewis, T.E., Mar. Biotechnol. 1:580-587(1999) (非特許文献3)。ヤブレツボカビ(thraustochytrid)種の株は、その生物によって生成された高い割合の総脂肪酸としてω-3脂肪酸を生成すると報告されている。米国特許第5,130,242号(特許文献1); Huang, J. et al., J. Am. Oil. Chem. Soc. 78: 605-610 (2001) (非特許文献4); Huang, J. et al., Mar. Biotechnol. 5: 450-457(2003) (非特許文献5)。しかしながら、単離されたヤブレツボカビ類は、以前に述べられた株の中には望ましくないレベルのω-6脂肪酸を有するものもあり、および/または培養において低い生産性を示すものもあるように、生成されるLC-PUFAの同一性および量の点でばらつきがある。従って、高い生産性および望ましいLC-PUFAプロファイルを示す微生物が単離されることが引き続き必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,130,242号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Roche, H. M., Proc. Nutr. Soc. 58: 397-401(1999)
【非特許文献2】Berge, J. P., and Barnathan, G.. Adv. Biochem. Eng. Biotechnol. 96:49-125(2005)
【非特許文献3】Lewis, T.E., Mar. Biotechnol. 1:580-587(1999)
【非特許文献4】Huang, J. et al., J. Am. Oil. Chem. Soc. 78: 605-610 (2001)
【非特許文献5】Huang, J. et al., Mar. Biotechnol. 5: 450-457(2003)
【発明の概要】
【0009】
発明の簡単な概要
本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された種の単離された微生物に関する。
【0010】
本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された種の特徴を有する単離された微生物に関する。
【0011】
本発明は、SEQ ID NO:1のポリヌクレオチド配列またはSEQ ID NO:1と少なくとも94%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む18s rRNAを含む、単離された微生物に関する。
【0012】
本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された微生物の18s rRNAポリヌクレオチド配列と少なくとも94%の同一性を有する18s rRNAポリヌクレオチド配列を含む、単離された微生物に関する。
【0013】
本発明は、微生物より生成された総脂肪酸が約10重量%超のエイコサペンタエン酸を含む、ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された種の単離された微生物に関する。
【0014】
本発明は、微生物より生成された総脂肪酸が約10重量%超のエイコサペンタエン酸を含む、ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された種の特徴を有する単離された微生物に関する。
【0015】
本発明は、トリアシルグリセロール画分のエイコサペンタエン酸含有率が少なくとも約12重量%であるトリアシルグリセロール画分を生成する、単離された微生物に関する。
【0016】
一部の態様において、本発明の単離された微生物は変異株である。
【0017】
本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-10212、PTA-10213、PTA-10214、PTA-10215、PTA-10208、PTA-10209、PTA-10210、またはPTA-10211で寄託された単離された微生物に関する。
【0018】
本発明は、本発明の任意の微生物またはその混合物を含むバイオマスに関する。
【0019】
本発明は、バイオマスの細胞乾燥重量の少なくとも約20重量%が脂肪酸であり、脂肪酸の約10重量%超がエイコサペンタエン酸であり、脂肪酸が、それぞれ約5重量%未満のアラキドン酸およびドコサペンタエン酸n-6を含む、単離されたバイオマスに関する。一部の態様において、脂肪酸の少なくとも約25重量%はドコサヘキサエン酸である。
【0020】
一部の態様において、本発明は、トリアシルグリセロールの少なくとも約12重量%がエイコサペンタエン酸である、トリアシルグリセロールを含む単離されたバイオマスに関する。
【0021】
一部の態様において、本発明は、脂肪酸が、それぞれ約5重量%未満のオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、およびエルカ酸をさらに含む、本発明の任意の単離されたバイオマスに関する。
【0022】
本発明は、本発明の任意の微生物またはその混合物を含む、単離された培養物に関する。
【0023】
本発明は、本発明の任意の微生物もしくはバイオマスまたはその混合物を含む、非ヒト動物用またはヒト用の食品、化粧品、または薬学的組成物に関する。
【0024】
本発明は、少なくとも約20重量%のエイコサペンタエン酸ならびにそれぞれ約5重量%未満のアラキドン酸、ドコサペンタエン酸n-6、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エルカ酸、およびステアリドン酸を含む、微生物油に関する。一部の態様において、微生物油は少なくとも約25重量%のドコサヘキサエン酸をさらに含む。
【0025】
本発明は、少なくとも約10重量%のトリアシルグリセロール画分を含む微生物油であって、トリアシルグリセロール画分中の脂肪酸の少なくとも約12重量%がエイコサペンタエン酸であり、トリアシルグリセロール画分中の脂肪酸の少なくとも約25重量%がドコサヘキサエン酸であり、トリアシルグリセロール画分中の脂肪酸の約5重量%未満がアラキドン酸である、微生物油に関する。
【0026】
本発明は、本発明の任意の微生物油を含む、非ヒト動物用またはヒト用の食品、化粧品、または薬学的組成物に関する。一部の態様において、食品は調製粉乳である。一部の態様において、調製粉乳は未熟児に適している。一部の態様において、食品は、乳、飲料、治療用飲料、栄養飲料、またはその組み合わせである。一部の態様において、食品は、非ヒト動物用食物またはヒト用食物のための添加物である。一部の態様において、食品は栄養補助食品である。一部の態様において、食品は動物用飼料である。一部の態様において、動物用飼料は水産養殖飼料である。一部の態様において、動物用飼料は、家畜用飼料、動物園動物用飼料、重労働用に訓練され使用される動物のための飼料(work animal feed)、畜類用飼料、またはその組み合わせである。
【0027】
本発明は、ω-3脂肪酸を含む微生物油を生成するための方法であって、本発明の任意の単離された微生物またはその混合物を培養液中で増殖させて、ω-3脂肪酸を含む油を生成する工程を含む方法に関する。一部の態様において、前記方法は、油を抽出する工程をさらに含む。
【0028】
本発明は、ω-3脂肪酸を含む微生物油を生成するための方法であって、本発明の任意のバイオマスから、ω-3脂肪酸を含む油を抽出する工程を含む方法に関する。一部の態様において、微生物油は、有機溶媒抽出プロセス、例えばヘキサン抽出を用いて抽出される。一部の態様において、微生物油は、無溶媒抽出プロセスを用いて抽出される。
【0029】
本発明は、本発明の方法よって生成された微生物油に関する。
【0030】
本発明は、本発明のバイオマスを生成するための方法であって、本発明の任意の単離された微生物またはその混合物を培養液中で増殖させて、バイオマスを生成する工程を含む方法に関する。
【0031】
本発明は、本発明の方法よって生成されたバイオマスに関する。
【0032】
本発明は、本発明の変異株を生成するための方法であって、本発明の任意の微生物に変異を誘発させる工程、および変異株を単離する工程を含む方法に関する。
【0033】
本発明は、炎症または炎症に関連する状態の処置のための医用薬剤を製造するための、本発明の任意の単離された微生物、バイオマス、もしくは微生物油、またはその混合物の使用に関する。
【0034】
本発明は、炎症または炎症に関連する状態の処置のための、本発明の任意の単離された微生物、バイオマス、もしくは微生物油、またはその混合物の使用に関する。
【0035】
本発明は、炎症または炎症に関連する状態の処置における使用のための、本発明の任意の単離された微生物、バイオマス、もしくは微生物油、またはその混合物に関する。
【0036】
本発明は、炎症または炎症に関連する状態の処置を必要とする対象において炎症または炎症に関連する状態を処置するための方法であって、以下の工程:本発明の任意の単離された微生物、バイオマス、もしくは微生物油、またはその混合物、および薬学的に許容される担体を対象に投与する工程を含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明の詳細な説明
本発明は、単離された微生物、ならびにその株および変異体、ならびにそのバイオマス、微生物油、組成物、および培養物に関する。本発明は、本発明の微生物から微生物油、バイオマス、および変異体を生成する方法、ならびに微生物、バイオマス、および微生物油を使用する方法に関する。本明細書に記載の微生物は高生産性であり、独特の脂肪酸プロファイルを生成し、一つには高レベルのω-3脂肪酸、特に、高レベルのEPAを特徴とする。
【0038】
微生物
本発明は、単離された微生物およびそれに由来する株に関する。本発明の単離された微生物に「由来する」株は天然のものでもよく、例えば、変異株、変種株、または組換え株などの人工誘導体でもよい。本明細書で使用する「単離された」という用語は、必ずしも、単離されたものが精製されている程度を反映するとは限らず、天然の形または天然環境から単離または分離されていることを示す。単離されたものには、単離された微生物、 単離されたバイオマス、単離された培養物、単離された微生物油、および単離された配列(例えば、本明細書において開示された、単離されたポリヌクレオチド配列)が含まれ得るが、これに限定されない。本明細書で使用する「微生物」という用語には、「微細藻類」、「ヤブレツボカビ」という用語および本明細書に記載の任意の寄託微生物に関連する系統分類が含まれるが、これに限定されない。本明細書に記載の寄託微生物を含む本発明の任意の微生物に関連して用いられる「ヤブレツボカビ目」、「ヤブレツボカビ」、「シゾキトリウム属」、および「ヤブレツボカビ属」という用語は、利用可能な系統情報を含む現在の系統分類に基づいており、本願の出願日の後に、万が一、この系統分類が改訂された場合には限定することが意図されない。
【0039】
一部の態様において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された種の単離された微生物に関する。ATCCアクセッション番号PTA-10212に関連する単離された微生物はまた、本明細書において、ヤブレツボカビ属の種ATCC PTA-10212とも知られる。ATCCアクセッション番号PTA-10212に関連する単離された微生物は、ブダペスト条約によって、2009年7月14日に、American Type Culture Collection, Patent Depository, 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209に寄託された。一部の態様において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された単離された株に関する。
【0040】
一部の態様において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された種の特徴を有する単離された微生物またはこれに由来する株に関する。ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された種の特徴は、その増殖特性および表現型特性(表現型特性の例には形態特性および生殖特性が含まれる)、その物理的特性および化学的特性(例えば、乾燥重量および脂質プロファイル)、その遺伝子配列、ならびにその組み合わせを含んでもよく、これらの特徴によって、前記の種と、以前に特定された種が区別される。一部の態様において、本発明は、SEQ ID NO:1のポリヌクレオチド配列、またはSEQ ID NO:1と少なくとも94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む18s rRNA、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された種の形態特性および生殖特性、およびATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された種の脂肪酸プロファイルを含む、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された種の特徴を有する単離された微生物に関する。一部の態様において、本発明の単離された微生物は、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された微生物の表現型特性と実質的に同一の表現型特性を有する。一部の態様において、本発明の単離された微生物は、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された微生物の増殖特性と実質的に同一の増殖特性を有する。一部の態様において、本発明は、SEQ ID NO:1のポリヌクレオチド配列またはSEQ ID NO:1と少なくとも94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む18s rRNAを含む、単離された微生物に関する。一部の態様において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された微生物の18s rRNAポリヌクレオチド配列と少なくとも94%の同一性を有する18s rRNAポリヌクレオチド配列を含む、単離された微生物に関する。
【0041】
一部の態様において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された微生物の変異株に関する。さらなる態様において、変異株は、ATCCアクセッション番号PTA-10213、PTA-10214、またはPTA-10215で寄託された株である。ATCCアクセッション番号PTA-10213、PTA-10214、およびPTA-10215に関連する微生物は、ブダペスト条約によって、2009年7月14日に、American Type Culture Collection, Patent Depository, 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209に寄託された。
【0042】
一部の態様において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された種の単離された微生物に関する。ATCCアクセッション番号PTA-10208に関連する単離された微生物はまた、本明細書において、シゾキトリウム属の種ATCC PTA-10208とも知られる。ATCCアクセッション番号PTA-10208に関連する微生物は、ブダペスト条約によって、2009年7月14日に、American Type Culture Collection, Patent Depository, 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209に寄託された。一部の態様において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された単離された株に関する。
【0043】
一部の態様において、本発明は、微生物より生成された総脂肪酸が約10%超、約11重量%超、約12重量%超、約13重量%超、約14重量%超、約15重量%超、約16重量%超、約17重量%超、約18重量%超、約19重量%超、または約20重量%超のEPAを含む、ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された種の単離された微生物に関する。一部の態様において、本発明は、微生物より生成された総脂肪酸が約10重量%〜約55重量%、約10重量%〜約50重量%、約10重量%〜約45重量%、約10重量%〜約40重量%、約10重量%〜約35重量%、約10重量%〜約30重量%、約15重量%〜約55重量%、約15重量%〜約50重量%、約15重量%〜約45重量%、約15重量%〜約40重量%、約15重量%〜約35重量%、約15重量%〜約30重量%、約20重量%〜約55重量%、約20重量%〜約50重量%、約20重量%〜約45重量%、約20重量%〜約40重量%、約20重量%〜約35重量%、または約20重量%〜約30重量%のEPAを含む、ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された種の単離された微生物に関する。
【0044】
一部の態様において、本発明は、微生物より生成された総脂肪酸が約10重量%超のエイコサペンタエン酸を含む、ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された種の特徴を有する単離された微生物に関する。ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された種の特徴には、その増殖特性および表現型特性(表現型特性の例には形態特性および生殖特性が含まれる)、その物理的特性および化学的特性(例えば、乾燥重量および脂質プロファイル)、その遺伝子配列、ならびにその組み合わせが含まれ、これらの特徴によって、前記の種と、以前に特定された種が区別される。一部の態様において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された種の特徴を有する単離された微生物に関する。ここで、特徴には、SEQ ID NO:2のポリヌクレオチド配列を含む18s rRNA、ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された種の形態特性および生殖特性、ならびにATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された種の脂肪酸プロファイルが含まれる。一部の態様において、本発明の単離された微生物は、ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された微生物の物理的特性および化学的特性と実質的に同一の物理的特性および化学的特性を有する。
【0045】
一部の態様において、本発明は、ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された微生物の変異株に関する。さらなる態様において、変異株は、ATCCアクセッション番号PTA-10209、PTA-10210、またはPTA-10211で寄託された株である。ATCCアクセッション番号PTA-10209、PTA-10210、およびPTA-10211に関連する微生物は、ブダペスト条約によって、2009年9月25日に、American Type Culture Collection, Patent Depository, 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209に寄託された。
【0046】
一部の態様において、本発明は、トリアシルグリセロール画分のEPA含有率が少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、または少なくとも約20重量%であるトリアシルグリセロール画分を生成する、本発明の単離された微生物に関する。一部の態様において、本発明は、トリアシルグリセロール画分のEPA含有率が約12重量%〜約55重量%、約12重量%〜約50重量%、約12重量%〜約45重量%、約12重量%〜約40重量%、約12重量%〜約35重量%、約12重量%〜約30重量%、約15重量%〜約45重量%、約15重量%〜約40重量%、約15重量%〜約35重量%、約15重量%〜約30重量%、または約20重量%〜約30重量%であるトリアシルグリセロール画分を生成する、単離された微生物に関する。
【0047】
一部の態様において、本発明は、トリアシルグリセロール画分のEPA含有率が少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、または少なくとも約20重量%であるトリアシルグリセロール画分を生成する、本発明の単離された微生物の変異体、変種、または組換え体に関する。一部の態様において、本発明は、トリアシルグリセロール画分のEPA含有率が約12重量%〜約55重量%、約12重量%〜約50重量%、約12重量%〜約45重量%、約12重量%〜約40重量%、約12重量%〜約35重量%、約12重量%〜約30重量%、約15重量%〜約55重量%、約15重量%〜約50重量%、約15重量%〜約45重量%、約15重量%〜約40重量%、約15重量%〜約35重量%、約15重量%〜約30重量%、約20重量%〜約55重量%、約20重量%〜約50重量%、約20重量%〜約45重量%、約20重量%〜約40重量%、約20重量%〜約35重量%、または約20重量%〜約30重量%であるトリアシルグリセロール画分を生成する、本発明の単離された微生物の変異体、変種、または組換え体に関する。変異株は周知の手順によって作製することができる。一般的な手順には、放射線照射、高温での処理、および変異原処理が含まれる。変種株は、本明細書に記載の種の他の天然の分離株および/または下位分離株(sub-isolate)でもよい。組換え株は、外因性遺伝子を発現させるための、または内因性遺伝子の機能もしくは発現を変えるための分子生物学における任意の周知の方法によって作製することができる。一部の態様において、変異株、変種株、または組換え株は、野生型株より多い量のω-3脂肪酸、特にEPAを生成する。一部の態様において、変異株、変種株、または組換え株は、少量の1種類または複数種の脂肪酸、例えば、少量のDHA、ARA、DPA n-6、またはその組み合わせを生成する。一部の態様において、変異株、変種株、または組換え株は、培養物1リットル当たり、野生型株より多い細胞乾燥重量を生成する。このような変異株、変種株、または組換え株は、本発明の単離された微生物に由来する株の例である。
【0048】
一部の態様において、本発明の単離された微生物は、その変異体、変種、および組換え体を含めて、微生物から単離された1つまたは複数の画分の中に脂肪酸プロファイルを含む。微生物から単離された1つまたは複数の画分には、総脂肪酸画分、ステロールエステル画分、トリアシルグリセロール画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジアシルグリセロール画分、極性画分(リン脂質画分を含む)、およびその組み合わせが含まれる。ある特定の画分の脂肪酸プロファイルは、本明細書において開示されるような特定の画分に関連した任意の脂肪酸プロファイルを含んでもよい。
【0049】
本発明は、本発明の任意の微生物に変異を誘発させる工程および変異株を単離する工程を含む、変異体を生成する方法に関する。
【0050】
培養物および単離されたバイオマス
本発明は、本発明の1つまたは複数の単離された微生物を含む培養物に関する。微細藻類およびヤブレツボカビ類などのミクロフロラを接種、増殖、および回収するための様々な発酵パラメータが当技術分野において公知である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,130,242号を参照されたい。液体培地または固体培地は天然海水または人工海水を含有してもよい。従属栄養増殖のための炭素源には、グルコース、フルクトース、キシロース、サッカロース、マルトース、可溶性デンプン、糖蜜、フコース、グルコサミン、デキストラン、脂肪、油、グリセロール、酢酸ナトリウム、およびマンニトールが含まれるが、これに限定されない。窒素源には、ペプトン、酵母エキス、ポリペプトン、麦芽エキス、肉エキス、カザミノ酸、コーンスティープリカー、有機窒素源、グルタミン酸ナトリウム、尿素、無機窒素源、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、および硝酸アンモニウムが含まれるが、これに限定されない。
【0051】
ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された微生物を増殖するための典型的な培地を表1に示した。
【0052】
(表1)PTA-10212容器培地

典型的な培養条件は以下を含む。
pH 約6.5〜約9.5、約6.5〜約8.0、もしくは約6.8〜約7.8;
温度:約摂氏15〜約30度、約摂氏18〜約28度、もしくは約摂氏21〜約23度;
溶存酸素:約0.1〜約100%飽和、約5〜約50%飽和、もしくは約10〜約30%飽和;および/または
グリセロールは以下のように制御された:約5〜約50g/L、約10〜約40g/L、もしくは約15〜約35g/L
【0053】
一部の態様において、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された微生物、またはその変異体、変種、もしくは組換え体は、炭素源としてグリセロール上で従属栄養的に増殖するが、炭素源としてグルコース上では増殖しない。
【0054】
ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された微生物を増殖するための典型的な培地を表2に示した。
【0055】
(表2)PTA-10208容器培地

典型的な培養条件は以下を含む。
pH 約6.5〜約8.5、約6.5〜約8.0、もしくは約7.0〜約8.0;
温度:約摂氏17〜約30度、約摂氏20〜約28度、もしくは約摂氏22〜約24度;
溶存酸素:約2〜約100%飽和、約5〜約50%飽和、もしくは約7〜約20%飽和;および/または
グリセロールは以下のように制御された:約5〜約50g/L、約10〜約40g/L、もしくは約20〜約35g/L
【0056】
一部の態様において、培地は、飽和レベルのパーセントとして、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約7%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の溶存酸素を含む。一部の態様において、培地は、飽和レベルのパーセントとして、約0.1%〜約2%、約0.1%〜約5%、約0.1%〜約10%、約0.1%〜約20%、約0.1%〜約30%、約0.1%〜約50%、約0.1%〜約100%、約5%〜約10%、約5%〜約20%、約5%〜約30%、約5%〜約50%、約5%〜約100%、約7%〜約10%、約7%〜約20%、約7%〜約30%、約7%〜約50%、約7%〜約100%、約10%〜約20%、約10%〜約30%、約10%〜約50%、約10%〜約100%、約20%〜約30%、約20%〜約50%、または約20%〜約100%の溶存酸素を含む。
【0057】
本発明は、本発明の微生物の単離されたバイオマスに関する。本発明の単離されたバイオマスは、バイオマスを単離するための任意の従来法、例えば、米国特許第5,130,242号および米国特許出願公開第2002/0001833号に記載の従来法によって得られた収集された細胞バイオマスである。米国特許第5,130,242号および米国特許出願公開第2002/0001833号はそれぞれその全体が、参照により本明細書に組み入れられる。
【0058】
一部の態様において、炭素源、窒素源、および栄養源、ならびに約950ppm〜約8500ppm塩素イオンを含む、約pH6.5〜約9.5の培地中で約6日〜約8日間、約15℃〜約30℃で増殖させた後、培養物1リットルから単離されるバイオマスの細胞乾燥重量は、少なくとも約10g、少なくとも約15g、少なくとも約20g、少なくとも約25g、少なくとも約30g、少なくとも約50g、少なくとも約60g、少なくとも約70g、少なくとも約80g、少なくとも約100g、少なくとも約120g、少なくとも約140g、少なくとも約160g、少なくとも約180g、または少なくとも約200gである。一部の態様において、炭素源、窒素源、および栄養源、ならびに約950ppm〜約8500ppm塩素イオンを含む、約pH6.5、約pH7、約pH7.5、約pH8.0、約pH8.5、約pH9、または約pH9.5の培地中で、約6日間、約7日間、または約8日間、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、または約30℃で増殖させた後、培養物1リットルから単離されるバイオマスの細胞乾燥重量は、少なくとも約10g、少なくとも約15g、少なくとも約20g、少なくとも約25g、少なくとも約30g、少なくとも約50g、少なくとも約60g、少なくとも約70g、少なくとも約80g、少なくとも約100g、少なくとも約120g、少なくとも約140g、少なくとも約160g、少なくとも約180g、または少なくとも約200gである。一部の態様において、炭素源、窒素源、および栄養源、ならびに約950ppm〜約8500ppm塩素イオンを含む、約pH6.5〜約pH9.5の培地中で、約6日〜約8日間、約15℃〜約30℃で増殖させた後、培養物1リットルから単離されるバイオマスの細胞乾燥重量は約10g〜約200gである。一部の態様において、炭素源、窒素源、および栄養源、ならびに約950ppm〜約8500ppm塩素イオンを含む、約pH6.5、約pH7、約pH7.5、約pH8.0、約pH8.5、約pH9、または約pH9.5の培地中で、約6日間、約7日間、または約8日間、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、または約30℃で増殖させた後、培養物1リットルから単離されるバイオマスの細胞乾燥重量は、約10g〜約200g、約10g〜約100g、約10g〜約50g、約15g〜約200g、約15g〜約100g、約15g〜約50g、約20g〜約200g、約20g〜約100g、約20g〜約50g、約50g〜約200g、または約50g〜約100gである。一部の態様において、単離された培養物はポリビニルピロリドンを含有しない。
【0059】
一部の態様において、炭素源、窒素源、および栄養源、ならびに約950ppm〜約8500ppm塩素イオンを含む、約pH6.5〜約pH8.5または約pH6.5〜約pH9.5の培地中で、約6日間、約7日間、または約8日間、約15℃〜約30℃で増殖させた後、単離された培養物は、少なくとも約0.2g/L/日、少なくとも約0.3g/L/日、少なくとも約0.4g/L/日、少なくとも約0.5g/L/日、少なくとも約1g/L/日、少なくとも約1.2g/L/日、少なくとも約1.5g/L/日、少なくとも約1.7g/L/日、少なくとも約2g/L/日、少なくとも約3g/L/日、少なくとも約3.5g/L/日、少なくとも約4g/L/日、少なくとも約4.5g/L/日、少なくとも約5g/L/日、少なくとも約6g/L/日、または少なくとも約8g/L/日のω-3脂肪酸生産性を有する。一部の態様において、炭素源、窒素源、および栄養源、ならびに約950ppm〜約8500ppm塩素イオンを含む、約pH6.5〜約pH9.5の培地中で、約6日間、約7日間、または約8日間、約15℃〜約30℃で増殖させた後、単離された培養は、約0.2g/L/日〜約20g/L/日、約0.4g/L/日〜約20g/L/日、約0.4g/L/日〜約2g/L/日、約1g/L/日〜約2g/L/日、約1g/L/日〜約20g/L/日、約2g/L/日〜約15g/L/日、約2g/L/日〜約10g/L/日、約3g/L/日〜約10g/L/日、約4g/L/日〜約9g/L/日、約4g/L/日〜約8g/L/日、約4g/L/日〜約7g/L/日、または約4g/L/日〜約6g/L/日のω-3脂肪酸生産性を有する。
【0060】
一部の態様において、炭素源、窒素源、および栄養源、ならびに約950ppm〜約8500ppm塩素イオンを含む、約pH6.5〜約pH8.5または約pH6.5〜約pH9.5の培地中で、約6日間、約7日間、または約8日間、約15℃〜約30℃で増殖させた後、単離された培養物は、少なくとも約0.2g/L/日、少なくとも約0.3g/L/日、少なくとも約0.4g/L/日、少なくとも約0.5g/L/日、少なくとも約0.6g/L/日、少なくとも約0.7g/L/日、少なくとも約0.8g/L/日、少なくとも約0.9g/L/日、少なくとも約1g/L/日、少なくとも約1.2g/L/日、少なくとも約1.5g/L/日、少なくとも約1.7g/L/日、少なくとも約2g/L/日、少なくとも約3g/L/日、少なくとも約4g/L/日、または少なくとも約5g/L/日のEPA生産性を含む。一部の態様において、炭素源、窒素源、および栄養源、ならびに約950ppm〜約8500ppm塩素イオンを含む、約pH6.5〜約pH8.5または約pH6.5〜約pH9.5の培地中で、約6日間、約7日間、または約8日間、約15℃〜約30℃で増殖させた後、EPA生産性は、約0.2g/L/日〜約5g/L/日、約0.2g/L/日〜約4g/L/日、約0.2g/L/日〜約3g/L/日、約0.2g/L/日〜約2g/L/日、約0.2g/L/日〜約1g/L/日、約0.2g/L/日〜約0.8g/L/日、約0.2g/L/日〜約0.7g/L/日、約1g/L/日〜約5g/L/日、約1g/L/日〜約4g/L/日、約1g/L/日〜約3g/L/日、または約1g/L/日〜約2g/L/日である。一部の態様において、上述のいかなるEPA生産性も上述のいかなるω-3脂肪酸生産性と関連する。一部の態様において、培養物は、約0g/L/日〜約5g/L/日、約0g/L/日〜約4g/L/日、約0g/L/日〜約3g/L/日、約0g/L/日〜約2g/L/日、約0g/L/日〜約1g/L/日、約0.2g/L/日〜約5g/L/日、約0.2g/L/日〜約4g/L/日、約0.2g/L/日〜約3g/L/日、約0.2g/L/日〜約2g/L/日、約0.2g/L/日〜約1g/L/日、約1g/L/日〜約5g/L/日、約2g/L/日〜約5g/L/日、約2g/L/日〜約4g/L/日、または約2g/L/日〜約3g/L/日のDHA生産性をさらに含む。一部の態様において、DHA生産性は、約5g/L/日未満、約4g/L/日未満、約3g/L/日未満、約2g/L/日未満、約1g/L/日未満、約0.5g/L/日未満、約0.2g/L/日未満、または約0g/L/日である。
【0061】
一部の態様において、発酵体積(培養体積)は、少なくとも約2リットル、少なくとも約10リットル、少なくとも約50リットル、少なくとも約100リットル、少なくとも約200リットル、少なくとも約500リットル、少なくとも約1000リットル、少なくとも約10,000リットル、少なくとも約20,000リットル、少なくとも約50,000リットル、少なくとも約100,000リットル、少なくとも約150,000リットル、少なくとも約200,000リットル、または少なくとも約250,000リットルである。一部の態様において、発酵体積は、約2リットル〜約300,000リットル、約2リットル、約10リットル、約50リットル、約100リットル、約200リットル、約500リットル、約1000リットル、約10,000リットル、約20,000リットル、約50,000リットル、約100,000リットル、約150,000リットル、約200,000リットル、約250,000リットル、または約300,000リットルである。
【0062】
一部の態様において、本発明は、本発明の脂肪酸プロファイルを含む単離されたバイオマスに関する。一部の態様において、バイオマスの細胞乾燥重量の少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%は脂肪酸である。一部の態様において、バイオマスの細胞乾燥重量の約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約45%超、約50%超、約55%超、または約60%超は脂肪酸である。一部の態様において、バイオマスの細胞乾燥重量の約20重量%〜約55重量%、約20重量%〜約60重量%、約20重量%〜約70重量%、約20重量%〜約80重量%、約30重量%〜約55重量%、約30重量%〜約70重量%、約30重量%〜約80重量%、約40重量%〜約60重量%、約40重量%〜約70重量%、約40重量%〜約80重量%、約50重量%〜約60重量%、約50重量%〜約70重量%、約50重量%〜約80重量%、約55重量%〜約70重量%、約55重量%〜約80重量%、約60重量%〜約70重量%、または約60重量%〜約80重量%は脂肪酸である。一部の態様において、バイオマスは、EPAとして、約10重量%超、少なくとも約12重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、または少なくとも約45重量%の脂肪酸を含む。一部の態様において、バイオマスは、EPAとして、約10重量%〜約55重量%、約12重量%〜約55重量%、約15重量%〜約55重量%、約20重量%〜約55重量%、約20重量%〜約40重量%、または約20重量%〜約30重量%の脂肪酸を含む。一部の態様において、バイオマスは、トリアシルグリセロール画分の少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、または少なくとも約20重量%がEPAであるトリアシルグリセロール画分を含む。一部の態様において、バイオマスは、トリアシルグリセロール画分のEPA含有率が少なくとも約12重量%〜約55重量%、約12重量%〜約50重量%、約12重量%〜約45重量%、少なくとも約12重量%〜約40重量%、少なくとも約12重量%〜約35重量%、または少なくとも約12重量%〜約30重量%、約15重量%〜約55重量%、約15重量%〜約50重量%、約15重量%〜約45重量%、約15重量%〜約40重量%、約15重量%〜約35重量%、約15重量%〜約30重量%、約20重量%〜約55重量%、約20重量%〜約50重量%、約20重量%〜約45重量%、少なくとも約20重量%〜約40重量%、少なくとも約20重量%〜約35重量%、または約20重量%〜約30重量%であるトリアシルグリセロール画分を含む。一部の態様において、バイオマスの細胞乾燥重量の少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、または少なくとも約60重量%がDHAである。一部の態様において、バイオマスの細胞乾燥重量の約20重量%〜約60重量%、約25重量%〜約60重量%、約25重量%〜約50重量%、約25重量%〜約45重量%、約30重量%〜約50重量%、または約35重量%〜約50重量%はDHAである。一部の態様において、バイオマスは、DHAとして、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下の脂肪酸を含む。一部の態様において、バイオマスは、DHAとして、約1重量%〜約10重量%、約1重量%〜約5重量%、約2重量%〜約5重量%、約3重量%〜約5重量%、または約3重量%〜約10重量%の脂肪酸を含む。一部の態様において、バイオマスはDHAを実質的に含まない。一部の態様において、バイオマスは、ARAとして、約0.1重量%〜約5重量%未満、約0.1重量%〜約4重量%、約0.1重量%〜約3重量%、約0.1重量%〜約2重量%、約0.2重量%〜約5重量%未満、約0.2重量%〜約4重量%、約0.2重量%〜約3重量%、約0.2重量%〜約2重量%、約0.3重量%〜約2重量%、約0.1重量%〜約0.5重量%、約0.2重量%〜約0.5重量%、約0.1重量%〜約0.4重量%、約0.2重量%〜約0.4重量%、約0.5重量%〜約2重量%、約1重量%〜約2重量%、約0.5重量%〜約1.5重量%、または約1重量%〜約1.5重量%の脂肪酸を含む。一部の態様において、バイオマスは、ARAとして、約5重量%未満、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、または約0.1重量%以下の脂肪酸を含む。一部の態様において、バイオマスはARAを実質的に含まない、一部の態様において、バイオマスは、DPA n-6として、約0.4重量%〜約2重量%、約0.4重量%〜約3重量%、約0.4重量%〜約4重量%、約0.4重量%〜約5重量%、約0.4重量%〜約5重量%未満、約0.5重量%〜約1重量%、約0.5重量%〜約2重量%、約0.5重量%〜約3重量%、約0.5重量%〜約4重量%、約0.5重量%〜約5重量%、約0.5重量%〜約5重量%未満、約1重量%〜約2重量%、約1重量%〜約3重量%、約1重量%〜約4重量%、約1重量%〜約5重量%、または約1重量%〜約5重量%未満の脂肪酸を含む。一部の態様において、バイオマスは、DPA n-6として、約5重量%以下、約5重量%未満、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.75重量%以下、約0.6重量%以下、または約0.5重量%以下の脂肪酸を含む。一部の態様において、バイオマスはDPA n-6を実質的に含まない。一部の態様において、バイオマスは、約5重量%以下、約5重量%未満、約4重量%以下、約3重量%以下、または約2重量%以下のオレイン酸(18:1 n-9)、リノール酸(18:2 n-6)、リノレン酸(18:3 n-3)、エイコセン酸(20:1 n-9)、エルカ酸(22:1 n-9)、またはその組み合わせを含む脂肪酸を含む。
【0063】
本発明の単離されたバイオマスの特徴は、外因的に導入された材料ではなく、単離されたバイオマスの内因的なまたは固有の特性に関連する。一部の態様において、単離されたバイオマスはポリビニルピロリドンを含有せず、ポリビニルピロリドンを含有する培養物から単離されない。
【0064】
本発明は、バイオマスを生成する方法に関する。一部の態様において、本発明のバイオマスを生成するための方法は、本発明の任意の単離された微生物またはその混合物を培養増殖させて、バイオマスを生成する工程を含む。本発明は、前記方法よって生成されたバイオマスに関する。
【0065】
微生物油
本発明は、本発明の脂肪酸プロファイルを含む微生物油に関する。本発明の微生物油は、少なくとも約35重量%のトリアシルグリセロール画分を含む「粗製油」または「精製油」である。「粗製油」は、微生物バイオマスから抽出され、これ以上加工されない油である。「精製油」は、標準的な精製処理、漂白処理、および/または脱臭処理を用いて粗製油を処理することによって得られた油である。その全体が参照により本明細書に組み入れられる、例えば、米国特許第5,130,242号を参照されたい。微生物油はまた本明細書に記載の「最終油」も含む。「最終油」は、植物油で希釈されている精製油である。一部の態様において、最終油は、高オレイン酸のサンフラワー油で希釈されている精製油である。本明細書で使用する「微生物の」という用語は、「微細藻類の」、「ヤブレツボカビ」という用語、および本明細書に記載の任意の寄託微生物に関連した系統分類を含むが、これに限定されない。本明細書に記載の寄託微生物の任意の微生物油に関して用いられる、「ヤブレツボカビ目」、「ヤブレツボカビ」、「シゾキトリウム属」、および「ヤブレツボカビ属」という用語は、利用可能な系統情報を含む現在の系統分類に基づいており、本願の出願日の後に、万が一、この系統分類が改訂された場合には限定することが意図されない。
【0066】
一部の態様において、本明細書に記載の脂肪酸は脂肪酸エステルでもよい。一部の態様において、脂肪酸エステルには、ω-3脂肪酸エステル、ω-6脂肪酸エステル、およびその組み合わせが含まれる。一部の態様において、脂肪酸エステルは、DHAエステル、EPAエステル、またはその組み合わせである。一部の態様において、脂肪酸エステルを含む油またはその画分を生成するために、本明細書に記載の油またはその画分がエステル化される。「エステル」という用語は、脂肪酸分子のカルボン酸基の中の水素と別の置換基との交換を指す。代表的なエステルは当業者に公知であり、この議論は、Higuchi, T. and V. Stella in Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14, A.C.S. Symposium Series, Bioreversible Carriers in Drug Design, Ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association, Pergamon Press, 1987、およびProtective Groups in Organic Chemistry, McOmie ed., Plenum Press, New York, 1973によってなされた。エステルの例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、t-ブチル、ベンジル、ニトロベンジル、メトキシベンジル、ベンズヒドリル、およびトリクロロエチルが含まれる。一部の態様において、エステルは、カルボン酸保護エステル基、アラルキル(例えば、ベンジル、フェネチル)を有するエステル、低級アルケニル(例えば、アリル、2-ブテニル)を有するエステル、低級アルコキシ-低級アルキル(例えば、メトキシメチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル)を有するエステル、低級アルカノイルオキシ-低級アルキル(例えば、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、1-ピバロイルオキシエチル)を有するエステル、低級アルコキシカルボニル-低級アルキル(例えば、メトキシカルボニルメチル、イソプロポキシカルボニルメチル)を有するエステル、カルボキシ-低級アルキル(例えば、カルボキシメチル)を有するエステル、低級アルコキシカルボニルオキシ-低級アルキル(例えば、1-(エトキシカルボニルオキシ)エチル、1-(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル)を有するエステル、カルバモイルオキシ-低級アルキル(例えば、カルバモイルオキシメチル)を有するエステルなどである。一部の態様において、付加される置換基は、直鎖炭化水素基または環式炭化水素基、例えば、C1-C6アルキル、C1-C6シクロアルキル、C1-C6アルケニル、またはC1-C6アリールエステルである。一部の態様において、エステルは、アルキルエステル、例えば、メチルエステル、エチルエステル、またはプロピルエステルである。一部の態様において、脂肪酸が精製状態または半精製状態にある時に、エステル置換基は遊離脂肪酸分子に付加される。または、トリアシルグリセロールがエステルに変換されると、脂肪酸エステルは形成される。
【0067】
本発明は、微生物油を生成する方法に関する。一部の態様において、前記方法は、本発明の任意の単離された微生物またはその混合物を培養増殖させて、ω-3脂肪酸を含む微生物油を生成する工程を含む。一部の態様において、前記方法は、微生物油を抽出する工程をさらに含む。一部の態様において、前記方法は、本発明の任意のバイオマスまたはその混合物から、ω-3脂肪酸を含む微生物油を抽出する工程を含む。一部の態様において、前記方法は、単離された微生物を従属栄養的に増殖させる工程を含む。ここで、培養物は、本明細書に記載のように炭素源を含む。微生物油は、新鮮に収集されたバイオマスから抽出されてもよく、腐敗を防ぐ条件下で保管されていた以前に収集されたバイオマスから抽出されてもよい。本発明の微生物を培養するために、培養物からバイオマスを単離するために、バイオマスから微生物油を抽出するために、およびバイオマスから抽出された油の脂肪酸プロファイルを分析するために、公知の方法を使用することができる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,130,242号を参照されたい。本発明は、本発明の任意の方法よって生成された微生物油に関する。
【0068】
一部の態様において、微生物油は酵素抽出法によって抽出される。一部の態様において、微生物油は機械的抽出法によって抽出される。一部の態様において、機械的抽出法は、(1)細胞溶解および細胞からの油の放出を助けるために、殺菌した発酵ブロスをホモジナイザーに通して加工する工程;(2)ホモジナイゼーション後に、油および水エマルジョンを壊すためにイソプロピルアルコールを発酵ブロスに添加する工程;(3)油相を回収するために混合物を遠心分離する工程;ならびに(4)抗酸化物質を添加して真空乾燥する工程の1つまたは複数を含む。一部の態様において、粗製油は精製される。一部の態様において、粗製油の精製は、(1)粗製油を精製タンクに注入し、油を加熱した後に、混合しながら酸溶液を添加する工程;(2)酸処理後に、苛性溶液を油に添加する工程;(3)粗製油を再加熱し、次いで、精製油から重い相を分離するために遠心分離する工程;(4)例えば、酸、TriSyl(登録商標)、クレー、および/または濾過を用いて、残りの極性化合物、微量金属、および酸化生成物を精製油から除去する工程;(5)望ましいレベルの透明性を得るために、油から高融点成分をさらに除去するために脱色油を冷却濾過(chill filter)する工程;(6)油を加熱し、次いで、この後に、油を冷却し、ある一定の期間保って、高融点トリグリセリドおよびろうを結晶化する工程;(7)濾過助剤を冷却された油に添加し、次いで、濾過によって結晶化固体を除去する工程;(8)高温および減圧下で操作された冷却濾過の後に脱臭剤を使用して、例えば、汚臭および香りの原因となり得る、過酸化物および残りの全ての低分子量化合物を除去する工程;(9)油を脱臭剤供給タンクに移し、脱気し、脱臭する、例えば、充填カラム脱臭剤の中で脱臭する工程;ならびに(10)脱臭サイクルの終わりに冷却し、例えば、窒素ブランケット下で冷却し、酸化安定性を得るために、適切な抗酸化物質を脱臭油に添加する工程の1つまたは複数を含む。
【0069】
一部の態様において、微生物油は、約0重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約2重量%、または少なくとも約5重量%のステロールエステル画分を含む。一部の態様において、微生物油は、約0重量%〜約1.5重量%、約0重量%〜約2重量%、約0重量%〜約5重量%、約1重量%〜約1.5重量%、約0.2重量%〜約1.5重量%、約0.2重量%〜約2重量%、または約0.2重量%〜約5重量%のステロールエステル画分を含む。一部の態様において、微生物油は、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、または約0.2重量%以下のステロールエステル画分を含む。
【0070】
一部の態様において、微生物油は、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、または少なくとも約90重量%のトリアシルグリセロール画分を含む。一部の態様において、微生物油は、約35重量%〜約98重量%、約35重量%〜約90重量%、約35重量%〜約80重量%、約35重量%〜約70重量%、約35重量%〜約70重量%、約35重量%〜約65重量%、約40重量%〜約70重量%、約40重量%〜約65重量%、約40重量%〜約55重量%、約40重量%〜約50重量%、約65重量%〜約95重量%、約75重量%〜約95重量%、約75重量%〜約98重量%、約80重量%〜約95重量%、約80重量%〜約98重量%、約90重量%〜約96重量%、約90重量%〜約97重量%、約90重量%〜約98重量%、約90重量%、約95重量%、約97重量%、または約98重量%のトリアシルグリセロール画分を含む。
【0071】
一部の態様において、微生物油は、少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、または少なくとも約20重量%のジアシルグリセロール画分を含む。一部の態様において、微生物油は、約10重量%〜約45重量%、約10重量%〜約40重量%、約10重量%〜約35重量%、約10重量%〜約30重量%、約15重量%〜約40重量%、約15重量%〜約35重量%、または約15重量%〜約30重量%のジアシルグリセロール画分を含む。一部の態様において、微生物油は、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.4重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、または少なくとも約20重量%の1,2-ジアシルグリセロール画分を含む。一部の態様において、微生物油は、約0.2重量%〜約45重量%、約0.2重量%〜約30重量%、約0.2重量%〜約20重量%、約0.2重量%〜約10重量%、約0.2重量%〜約5重量%、約0.2重量%〜約1重量%、約0.2重量%〜約0.8重量%、約0.4重量%〜約45重量%、約0.4重量%〜約30重量%、約0.4重量%〜約20重量%、約0.4重量%〜約10重量%、約0.4重量%〜約5重量%、約0.4重量%〜約1重量%、約0.4重量%〜約0.8重量%、約0.5重量%〜約1重量%、約0.5重量%〜約0.8重量%、約10重量%〜約45重量%、約10重量%〜約40重量%、約10重量%〜約35重量%、約10重量%〜約30重量%、約15重量%〜約40重量%、約15重量%〜約35重量%、約15重量%〜約30重量%、または約15重量%〜約25重量%のジアシルグリセロール画分を含む。一部の態様において、微生物油は、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約2.5重量%、または少なくとも約3重量%の1,3-ジアシルグリセロール画分を含む。一部の態様において、微生物油は、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、または少なくとも約5重量%のステロール画分を含む。
【0072】
一部の態様において、微生物油は、約0.3%〜約5重量%、約0.3%〜約2重量%、約0.3重量%〜約1.5重量%、約0.5重量%〜約1.5重量%、約1重量%〜約1.5重量%、約0.5重量%〜約2重量%、約0.5重量%〜約5重量%、約1重量%〜約2重量%、または約1重量%〜約5重量%のステロール画分を含む。一部の態様において、微生物油は、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、または約1重量%以下のステロール画分を含む。
【0073】
一部の態様において、微生物油は、少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、または少なくとも約8重量%のリン脂質画分を含む。一部の態様において、微生物油は、約2重量%〜約25重量%、約2重量%〜約20重量%、約2重量%〜約15重量%、約2重量%〜約10重量%、約5重量%〜約25重量%、約5重量%〜約20重量%、約5重量%〜約20重量%、約5重量%〜約10重量%、または約7重量%〜約9重量%のリン脂質画分を含む。一部の態様において、微生物油は、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、または約8重量%未満のリン脂質画分を含む。一部の態様において、微生物油はリン脂質を実質的に含まない。一部の態様において、微生物油は、油の約2重量%未満、約1.5重量%未満、約1重量%未満、または約0.5重量%未満の不けん化物を含む。トリアシルグリセロール画分などの微生物油に存在する脂質クラスは、フラッシュクロマトグラフィーによって分離されてもよく、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって分析されてもよく、当技術分野において公知の他の方法によって分離および分析されてもよい。
【0074】
一部の態様において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジアシルグリセロール画分、およびその組み合わせより選択されるその1つもしくは複数の画分は、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、約10%超、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約19重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、約少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、または少なくとも約45重量%のEPAを含む。一部の態様において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、遊離脂肪酸画分、ステロール画分、ジアシルグリセロール画分、およびその組み合わせより選択されるその1つもしくは複数の画分は、約5重量%〜約55重量%、約5重量%〜約50重量%、約5重量%〜約45重量%、約5重量%〜約40重量%、約5重量%〜約35重量%、約5重量%〜約30重量%、約10重量%〜約55重量%、約10重量%〜約50重量%、約10重量%〜約45重量%、約10重量%〜約40重量%、約10重量%〜約35重量%、約10重量%〜約30重量%、少なくとも約12重量%〜約55重量%、少なくとも約12重量%〜約50重量%、少なくとも約12重量%〜約45重量%、少なくとも約12重量%〜約40重量%、少なくとも約12重量%〜約35重量%、または少なくとも約12重量%〜約30重量%、約15重量%〜約55重量%、約15重量%〜約50重量%、約15重量%〜約45重量%、約15重量%〜約40重量%、約15重量%〜約35重量%、約15重量%〜約30重量%、約15重量%〜約25重量%、約15重量%〜約20重量%、約20重量%〜約55重量%、約20重量%〜約50重量%、約20重量%〜約45重量%、約20重量%〜約40重量%、または約20重量%〜約30重量%のEPAを含む。一部の態様において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびその組み合わせより選択されるその1つもしくは複数の画分は、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、または少なくとも約60重量%のDHAを含む。一部の態様において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびその組み合わせより選択される1つもしくは複数の画分は、約5重量%〜約60重量%、約5重量%〜約55重量%、約5重量%〜約50重量%、約5重量%〜約40重量%、約10重量%〜約60重量%、約10重量%〜約50重量%、約10重量%〜約40重量%、約20重量%〜約60重量%、約25重量%〜約60重量%、約25重量%〜約50重量%、約25重量%〜約45重量%、約30重量%〜約50重量%、約35重量%〜約50重量%、または約30重量%〜約40重量%のDHAを含む。一部の態様において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびその組み合わせより選択されるその1つもしくは複数の画分は、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下のDHAを含む。一部の態様において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびその組み合わせより選択されるその1つもしくは複数の画分は、DHAとして、約1重量%〜約10重量%、約1重量%〜約5重量%、約2重量%〜約5重量%、約3重量%〜約5重量%、または約3重量%〜約10重量%の脂肪酸を含む。一部の態様において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびその組み合わせより選択されるその1つもしくは複数の画分はDHAを実質的に含まない。一部の態様において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびその組み合わせより選択されるその1つもしくは複数の画分は、約0.1重量%〜約5重量%、約0.1重量%〜約5重量%未満、約0.1重量%〜約4重量%、約0.1重量%〜約3重量%、約0.1重量%〜約2重量%、約0.2重量%〜約5重量%、約0.2重量%〜約5重量%未満、約0.2重量%〜約4重量%、約0.2重量%〜約3重量%、約0.2重量%〜約2重量%、約0.3重量%〜約2重量%、約0.1重量%〜約0.5重量%、約0.2重量%〜約0.5重量%、約0.1重量%〜約0.4重量%、約0.2重量%〜約0.4重量%、約0.5重量%〜約2重量%、約1重量%〜約2重量%、約0.5重量%〜約1.5重量%、または約1重量%〜約1.5重量%のARAを含む。一部の態様において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびその組み合わせより選択されるその1つもしくは複数の画分は、約5重量%以下、約5重量%未満、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、または約0.1重量%以下のARAを含む。一部の態様において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびその組み合わせより選択されるその1つもしくは複数の画分はARAを実質的に含まない。一部の態様において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびその組み合わせより選択されるその1つもしくは複数の画分は、約0.4重量%〜約2重量%、約0.4重量%〜約3重量%、約0.4重量%〜約4重量%、約0.4重量%〜約5重量%、約0.4重量%〜約5重量%未満、約0.5重量%〜約1重量%、約0.5重量%〜約2重量%、約0.5重量%〜約3重量%、約0.5重量%〜約4重量%、約0.5重量%〜約5重量%、約0.5重量%〜約5重量%未満、約1重量%〜約2重量%、約1重量%〜約3重量%、約1重量%〜約4重量%、約1重量%〜約5重量%、または約1重量%〜約5重量%未満のDPA n-6を含む。一部の態様において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびその組み合わせより選択されるその1つもしくは複数の画分は、約5重量%、約5重量%未満、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.75重量%以下、約0.6重量%以下、または約0.5重量%以下のDPA n-6を含む。一部の態様において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびその組み合わせより選択されるその1つもしくは複数の画分はDPA n-6を実質的に含まない。一部の態様において、微生物油、ならびに/またはトリアシルグリセロール画分、ジアシルグリセロール画分、ステロール画分、ステロールエステル画分、遊離脂肪酸画分、リン脂質画分、およびその組み合わせより選択されるその1つもしくは複数の画分は、約5重量%以下、約5重量%未満、約4重量%以下、約3重量%以下、または約2重量%以下のオレイン酸(18:1 n-9)、リノール酸(18:2 n-6)、リノレン酸(18:3 n-3)、エイコセン酸(20:1 n-9)、エルカ酸(22:1 n-9)、ステアリドン酸(18:4 n-3)、またはその組み合わせを含む脂肪酸を含む。
【0075】
トリアシルグリセロール分子は、異なる位置異性体の形成を可能にする、3つの中心炭素原子(C(sn-1)H2R1-(sn-2)H2R2-C(sn-3)H2R3)を含有する。一部の態様において、微生物油は、トリアシルグリセロール画分中の少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%のトリアシルグリセロールが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn-1、sn-2、およびsn-3位置のいずれか2つより選択されるトリアシルグリセロールの2つの位置にDHAを含有する(二置換DHA)、トリアシルグリセロール画分を含む。一部の態様において、微生物油は、トリアシルグリセロール画分中の約2%〜約55%、約2%〜約50%、約2%〜約45%、約2%〜約40%、約2%〜約35%、約2%〜約30%、約2%〜約25%、約5%〜約55%、約5%〜約50%、約5%〜約45%、約5%〜約40%、約5%〜約35%、約5%〜約30%、約5%〜約25%、約10%〜約55%、約10%〜約50%、約10%〜約45%、約10%〜約40%、約10%〜約35%、約10%〜約30%、約10%〜約25%、約10%〜約20%、約20%〜約40%、約20%〜約35%、または約20%〜約25%のトリアシルグリセロールが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn-1、sn-2、およびsn-3位置のいずれか2つより選択されるトリアシルグリセロールの2つの位置にEPAを含有する、トリアシルグリセロール画分を含む。一部の態様において、微生物油は、トリアシルグリセロール画分中の少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、または少なくとも約2%のトリアシルグリセロールが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn-1、sn-2、およびsn-3位置の全ての位置にDHAを含有する(三置換DHA)、トリアシルグリセロール画分を含む。一部の態様において、微生物油は、トリアシルグリセロール画分中の約0.5%〜約5%、約0.5%〜約3%、約0.5%〜約2.5%、約0.5%〜約2%、約1%〜約5%、約1%〜約3%、または約1%〜約2%のトリアシルグリセロールが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn-1、sn-2、およびsn-3位置の全てにDHAを含有する、トリアシルグリセロール画分を含む。一部の態様において、微生物油は、トリアシルグリセロール画分中の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%のトリアシルグリセロールが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn-1、sn-2、およびsn-3位置のいずれか1つより選択されるトリアシルグリセロールの1つの位置にDHAを有する、トリアシルグリセロール画分を含む。一部の態様において、微生物油は、トリアシルグリセロール画分中の約10%〜約80%、約10%〜約70%、約10%〜約60%、約15%〜約80%、約15%〜約75%、約15%〜約70%、約15%〜約65%、約15%〜約60%、約35%〜約80%、約35%〜約75%、約35%〜約65%、約35%〜約60%、約40%〜約80%、約40%〜約75%、約40%〜約70%、約40%〜約65%、約40%〜約60%、または約40%〜約55%のトリアシルグリセロールが、HPLCクロマトグラフ上のピークの相対面積パーセントに基づいてsn-1、sn-2、およびsn-3位置のいずれか1つより選択されるトリアシルグリセロールの1つの位置にDHAを含む、トリアシルグリセロール画分を含む。
【0076】
組成物
本発明は、本発明の微生物を含む組成物、本発明の単離されたバイオマス、本発明の微生物油、またはその組み合わせに関する。
【0077】
本発明の微生物、バイオマス、または微生物油は、組成物の要件に基づいて、任意の公知の技法によって化学的または物理的にさらに改変または加工されてもよい。
【0078】
微生物細胞またはバイオマスは、組成物に入れて使用する前に、凍結乾燥、風乾、噴霧乾燥、トンネル式乾燥法(tunnel drying)、真空乾燥(凍結乾燥)、および類似のプロセスを含むが、これに限定されない方法によって乾燥されてもよい。または、収集および洗浄されたバイオマスは、乾燥することなく組成物に入れて直接用いられてもよい。例えば、米国特許第5,130,242号および同第6,812,009号を参照されたい。これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0079】
本発明の微生物油は、EPAなどの脂肪酸に富む生成物をより効率的に生成するための出発物質として使用することができる。例えば、本発明の微生物油は、EPA濃度または別の脂肪酸濃度がさらに高い、さらに強力な生成物を生成するために当技術分野において公知の様々な精製法、例えば、蒸留または尿素アダクト(urea adduction)に供することができる。本発明の微生物油はまた、油中の脂肪酸に由来する化合物、例えば、EPAまたは別の脂肪酸のエステルおよび塩を生成する化学反応においても使用することができる。
【0080】
本発明の組成物は1種類または複数種の賦形剤を含んでもよい。本明細書で使用する「賦形剤」は、食物ならびに薬学的組成物、化粧品組成物、および工業用組成物を含む組成物に望ましい特徴を与える、本発明の組成物において用いられる成分または成分の混合物を指す。本発明の賦形剤は、薬学的組成物に添加される時には「薬学的に許容される」賦形剤と述べられてもよい。「薬学的に許容される」とは、この賦形剤が、合理的なベネフィット/リスク比に対応する望ましい接触期間にわたって、過度の毒性、炎症、アレルギー反応、または他の問題のある合併症なくヒトおよび非ヒト動物の組織と接触するのに適した、妥当な医学的判断の範囲内にある化合物、材料、組成物、塩、および/または剤形であることを意味する。一部の態様において、「薬学的に許容される」という用語は、連邦政府または州政府の規制当局によって認可されているか、米国薬局方、または動物において使用するための、特に、ヒトにおいて使用するための、一般に認められている他の国際薬局方に列挙されていることを意味する。様々な賦形剤を使用することができる。一部の態様において、賦形剤は、アルカリ化剤、安定剤、抗酸化物質、接着剤、分離剤、コーティング剤、外相成分、徐放成分、溶媒、界面活性剤、保湿剤、緩衝剤、増量剤、軟化薬、またはその組み合わせでもよいが、これに限定されない。本明細書において議論される賦形剤に加えて、賦形剤には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st ed.(2005)に列挙された賦形剤が含まれ得るが、これに限定されない。本明細書の特定の分類にある賦形剤(例えば、「溶媒」)の含有は、賦形剤の役割を限定するのではなく例示することを目的とする。ある特定の賦形剤が複数の分類の中にあってもよい。
【0081】
本発明の組成物には、食品、薬学的組成物、化粧品、および工業用組成物が含まれるが、これに限定されない。
【0082】
一部の態様において、組成物は食品である。食品は、非ヒト動物またはヒトが摂取するための任意の食物であり、固体組成物および液体組成物の両方を含む。食品は、動物またはヒトの食物への添加物でもよい。食物には、一般的な食物;乳、飲料、治療用飲料、および栄養飲料を含む液体製品;機能性食品;サプリメント;栄養補助食品;未熟児用調製粉乳を含む調製粉乳;妊婦または授乳中の女性のための食物;成人用の食物;老人用の食物;ならびに動物用の食物が含まれるが、これに限定されない。
【0083】
一部の態様において、本発明の微生物、バイオマス、または微生物油は、油、ショートニング、スプレッド、他の脂肪の成分、飲料、ソース、乳ベースの食物または大豆ベースの食物(例えば、乳、ヨーグルト、チーズ、およびアイスクリーム)、焼いた食べ物、栄養製品、例えば、(カプセルまたは錠剤の形をした)栄養補助食品としての栄養製品、ビタミンサプリメント、食事サプリメント、粉末飲料、ならびに完成品または半完成品の粉末食品の1つまたは複数として直接用いられてもよく、油、ショートニング、スプレッド、他の脂肪の成分、飲料、ソース、乳ベースの食物または大豆ベースの食物(例えば、乳、ヨーグルト、チーズ、およびアイスクリーム)、焼いた食べ物、栄養製品、例えば、(カプセルまたは錠剤の形をした)栄養補助食品としての栄養製品、ビタミンサプリメント、食事サプリメント、粉末飲料、ならびに完成品または半完成品の粉末食品の1つまたは複数の中の添加物として含まれてもよい。一部の態様において、栄養補助食品は、動物供給源に由来する成分から形成されず、かつ動物供給源に由来する成分を全く含有しない菜食主義者用のカプセルの形をとる。
【0084】
本発明の微生物油を含み得る食物組成物の部分的なリストには、大豆ベースの製品(乳、アイスクリーム、ヨーグルト、飲料、クリーム、スプレッド、増白剤);スープおよびスープミックス;ドー、バッター、ならびに、例えば、高級ベーカリー商品(fine bakery ware)、朝食用シリアル、ケーキ、チーズケーキ、パイ、カップケーキ、クッキー、バー、パン、ロールケーキ、ビスケット、マフィン、ペストリー、スコーン、クルトン、クラッカー、甘いもの、スナックケーキ(snack cake)、パイ、グラノーラ/スナックバー(snack bar)、およびトースターペストリー(toaster pasty)を含む、焼いた食品;キャンディー;硬い菓子;チョコレートおよび他の菓子;チューインガム;液体食品、例えば、乳、エネルギー飲料、調製粉乳、炭酸飲料、茶、流動食、果物ジュース、果物ベースの飲料、野菜ベースの飲料;マルチビタミンシロップ、食事の代用品、薬用食物(medicinal food)、およびシロップ;粉末飲料ミックス;パスタ;加工魚製品;加工肉製品;加工鳥肉製品;グレービーおよびソース;調味料(ケチャップ、マヨネーズなど);植物油ベースのスプレッド;乳製品;ヨーグルト;バター;冷凍乳製品;アイスクリーム;冷凍デザート;フローズンヨーグルト;半固体食品、例えば、ベビーフード;プディングおよびゼラチンデザート;プロセスチーズおよび加工されていないチーズ;パンケーキミックス;エネルギーバーを含むフードバー;ワッフルミックス;サラダドレッシング;代用エッグミックス(replacement egg mix);ナッツおよびナッツベースのスプレッド;塩味のスナック、例えば、ポテトチップおよび他のチップまたはクリスプ、コーンチップ、トルティーヤチップ、押し出されたスナック、ポップコーン、プレッツェル、ポテトクリスプ、ならびにナッツ;ならびにスペシャルティスナック(specialty snack)、例えば、ディップ、ドライフルーツスナック、ミートスナック、カリカリに焼いた豚の皮、健康食品バー、およびライスケーキ/コーンケーキが含まれるが、これに限定されない。
【0085】
一部の態様において、本発明の微生物油は調製粉乳を補うために用いられてもよい。調製粉乳は、本発明の微生物油のみ、または本発明の微生物油と、アラキドン酸(ARA)生成微生物に由来する物理的に精製された油の組み合わせによって補われてもよい。ARA生成微生物は、例えば、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)またはモルティエレラ属シュムケリ節(Mortierella sect.schmuckeri)である。または、調製粉乳は、本発明の微生物油と、ARASCO(登録商標)(Martek Biosciences, Columbia, MD)を含む、ARAが豊富にある油の組み合わせによって補われてもよい。
【0086】
一部の態様において、組成物は動物用飼料である。「動物」には、動物界に属する非ヒト生物が含まれ、水生動物および陸生動物が含まれるが、それに限定されるわけではない。「動物用飼料」または「動物の食物」という用語は、魚;商業用の魚;観賞魚;稚魚;二枚貝;軟体動物;甲殻類;貝(shellfish);エビ;エビの幼生;アルテミア;ワムシ;ブラインシュリンプ;濾過摂食者;両生類;ハ虫類;哺乳動物;家畜;農場の動物;動物園の動物;スポーツ動物;繁殖用動物;競走用の動物;見せ物の動物;先祖伝来の動物;珍しい動物または絶滅危惧動物;コンパニオンアニマル;ペット動物、例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、またはウマ;霊長類、例えば、サル(例えば、オマキザル、アカゲザル、アフリカミドリザル、パタスモンキー、カニクイザル、およびオナガザル)、類人猿、オランウータン、ヒヒ、ギボン、およびチンパンジー;イヌ科、例えば、イヌおよびオオカミ;ネコ科、例えば、ネコ、ライオン、およびトラ;ウマ科、例えば、ウマ、ロバ、およびシマウマ;食用動物、例えば、乳牛、ウシ、ブタ、およびヒツジ;有蹄類、例えば、シカおよびキリン;またはげっ歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、およびモルモットなどの非ヒト動物用の任意の食物を指す。動物用飼料には、水産養殖飼料、ペット飼料、動物園動物用飼料、重労働用に訓練され使用される動物のための飼料、畜類用飼料を含む家畜用飼料、およびその組み合わせが含まれるが、これに限定されない。
【0087】
一部の態様において、組成物は、ヒトが消費する食肉または製品となる全ての動物、例えば、ヒトが消費する食肉、卵、または乳を生み出す全ての動物の飼料または飼料サプリメントである。LC-PUFAなどの栄養分は、このような動物に与えられると、これらの栄養分の含有率を高めるように、このような動物の肉、乳、卵、または他の製品に組み込まれ得る。
【0088】
一部の態様において、組成物は、粉々になって、動物プランクトン、アルテミア、ワムシ、および濾過摂食者が摂食するのに適切なサイズの粒子を形成することができる噴霧乾燥された材料である。一部の態様において、組成物を食べた動物プランクトン、アルテミア、またはワムシは、次に、稚魚、魚、貝、二枚貝、または甲殻類に与えられる。
【0089】
一部の態様において、組成物は薬学的組成物である。適切な薬学的組成物には、抗炎症性組成物、冠状動脈性心疾患を処置するための薬物、動脈硬化症を処置するための薬物、化学療法剤、活性賦形剤、骨粗鬆症薬、抗うつ薬、抗痙攣薬、抗ヘリコバクター・ピロリ薬、神経変性疾患を処置するための薬物、変性性肝臓疾患を処置するための薬物、抗生物質、コレステロール低下組成物、およびトリアシルグリセロール低下組成物が含まれるが、これに限定されない。一部の態様において、組成物は薬用食物である。薬用食物には、医師の監督の下で外部より摂取または投与される組成物の中にあり、かつ認められた科学原理に基づく特異な栄養必要条件が医学的評価によって実証されている、ある状態の特定の食事による管理を目的とした食物が含まれる。
【0090】
一部の態様において、微生物油は剤形に製剤化することができる。剤形には、有効量の微生物油を含む、錠剤、カプセル、カシェ剤、ペレット、丸剤、散剤および顆粒剤、ならびに溶液、懸濁液、エマルジョン、および乾燥粉末を含むが、これに限定されない非経口剤形が含まれ得るが、これに限定されない。このような製剤は、薬学的に許容される希釈剤、増量剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、保湿剤、モイスチャーライザー、可溶化剤、防腐剤なども含有してよいことは当技術分野において公知である。投与形態には、微生物油および1種類または複数種の適切な薬学的に許容される担体を含有する、錠剤、糖衣錠、カプセル、カプレット、および丸剤が含まれ得るが、これに限定されない。
【0091】
経口投与のために、微生物油は、当技術分野において周知の薬学的に許容される担体と組み合わされてもよい。このような担体を用いると、処置しようとする対象が経口摂取するための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして本発明の微生物油を製剤化することが可能になる。一部の態様において、剤形は、錠剤、丸剤、またはカプレットである。経口使用のための薬学的調製物は、固体賦形剤を添加することによって、任意で、錠剤または糖衣錠コアを得るために、所望であれば、適切な補助剤を添加した後に、結果として生じた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を加工することによって得ることができる。適切な賦形剤には、特に、増量剤、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、およびソルビトールを含むが、これに限定されない糖;トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、バレイショデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどがあるが、これに限定されないセルロース調製物、ならびにポリビニルピロリドン(PVP)が含まれるが、これに限定されない。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムなどがあるが、これに限定されない崩壊剤が添加されてもよい。経口使用することができる薬学的調製物には、ゼラチンから作られたプッシュフィット(push-fit)カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールから作られた軟らかい密封カプセルが含まれるが、これに限定されない。一部の態様において、剤形は、動物供給源に由来する成分から形成されず、かつ動物供給源に由来する成分を全く含有しない菜食主義者用の剤形である。一部の態様において、菜食主義者用の剤形は菜食主義者用のカプセルである。
【0092】
一部の態様において、組成物は化粧品である。化粧品には、エマルジョン、クリーム、ローション、マスク、セッケン、シャンプー、洗浄液、フェイシャルクリーム、コンディショナー、メーキャップ、入浴用薬剤、および分散液が含まれるが、これに限定されない。化粧品剤は薬用でもよく、非薬用でもよい。
【0093】
一部の態様において、組成物は工業用組成物である。一部の態様において、組成物は、1種類または複数種の製品のための出発物質である。製品には、ポリマー;写真感光材;界面活性剤;工業用油;または工業用界面活性剤が含まれるが、これに限定されない。例えば、米国特許第7,259,006号は、ベヘン酸を生成するための、およびベヘン酸を用いて写真感光材を生成するためのDHAを含有する脂肪および油の使用について述べている。
【0094】
組成物を使用する方法
一部の態様において、組成物は、ヒトまたは非ヒト動物における状態の処置において使用することができる。一部の態様において、組成物は、ヒトまたは非ヒト動物における栄養補給に使用することができる。
【0095】
「処置する」または「処置」という用語は、治療的処置および予防的措置もしくは防止的措置を指す。この場合、望ましくない生理学的状態、疾患、もしくは障害を阻止もしくは遅らせる(弱める)こと、または有益なもしくは望ましい臨床結果を得ることを目的とする。本発明の目的で、有益なもしくは望ましい臨床結果には、状態、疾患、もしくは障害に関連する症状もしくは徴候の軽減もしくは排除;状態、疾患、もしくは障害の程度の減少;状態、疾患、もしくは障害の安定化(すなわち、状態、疾患、もしくは障害が悪化しない);状態、疾患、もしくは障害の開始もしくは進行の遅延;状態、疾患、もしくは障害の回復; 状態、疾患、もしくは障害の寛解(部分的な寛解でも全ての寛解でもよく、検出可能な寛解でも検出不可能な寛解でもよい);または状態、疾患、もしくは障害の向上もしくは改善が含まれるが、これに限定されない。処置は、過度の副作用なく、臨床的に意義のある応答を誘発することを含む。処置はまた、処置を受けない場合の期待される生存期間と比較して生存期間を延長することも含む。
【0096】
一部の態様において、組成物は、状態、疾患、または障害、例えば、ざ瘡、急性炎症、加齢性黄斑変性症、アレルギー、アルツハイマー、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、自己免疫疾患、血中脂質障害、乳房嚢胞、悪液質、癌、心臓再狭窄、心血管疾患、慢性炎症、冠状動脈性心疾患、嚢胞性線維症、肝臓の変性障害、糖尿病、湿疹、胃腸障害、心臓病、高トリアシルグリセロール濃度、高血圧、機能亢進、免疫疾患、腫瘍成長の阻害、炎症状態、腸障害、腎機能不全、白血病、大うつ病、多発性硬化症、神経変性障害、変形性関節症、骨粗鬆症、ペルオキシソーム病、子癇前症、早産、乾癬、肺障害、慢性関節リウマチ、心臓病リスク、または血栓症を処置するために用いられる。
【0097】
一部の態様において、組成物は、第三期の胎児の妊娠期間の長さを延長するために用いられる。
【0098】
一部の態様において、組成物は血圧を管理するために用いられる。
【0099】
一部の態様において、組成物は認知機能を改善または維持するために用いられる。
【0100】
一部の態様において、組成物は記憶を改善または維持するために用いられる。
【0101】
組成物または剤形は、組成物または剤形と適合する任意の経路によって対象の身体に投与することができる。物質は、対象によって対象身体に導入されるのであれば、または別の人、機械、または装置によって対象身体に導入されるのであれば「投与された」とみなされる。従って、「投与する」は、例えば、自己投与、他人による投与、および間接的な投与を含む。「投与」に関して本明細書で使用する「継続的」または「連続的」という用語は、投与頻度が少なくとも1日1回であることを意味する。しかしながら、投与頻度は1日1回より多くてもよく、本明細書において特定された投与量レベルを超えない限り、例えば、1日2回、さらには1日3回でも「継続的」または「連続的」であることに留意のこと。投与のための手段および方法は当技術分野において公知であり、当業者は指導のために様々な薬理学参考文献ついて言及することがある。例えば、「Modern Pharmaceutics」, Banker & Rhodes, Informa Healthcare, USA, 4th ed. (2002);および「Goodman & Gilman's The Pharmaceutical Basis of Therapeutics」, McGraw-Hill Companies, Inc., New York, 10th ed. (2001)を調べることができる。
【0102】
「対象」、「個体」、または「患者」とは、診断、予後、療法、または組成物もしくは剤形の投与が望まれるヒトまたは非ヒトの任意の対象を意味する。哺乳動物対象には、ヒト;家畜;農場の動物;動物園の動物;スポーツ動物;ペット動物、例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、もしくはウマ;霊長類、例えば、サル(例えば、オマキザル、アカゲザル、アフリカミドリザル、パタスモンキー、カニクイザル、およびオナガザル)、類人猿、オランウータン、ヒヒ、ギボン、ならびにチンパンジー;イヌ科、例えば、イヌおよびオオカミ;ネコ科、例えば、ネコ、ライオン、およびトラ;ウマ科、例えば、ウマ、ロバ、およびシマウマ;食用動物、例えば、乳牛、ウシ、ブタ、およびヒツジ;有蹄類、例えば、シカおよびキリン;げっ歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、およびモルモットなどが含まれるが、これに限定されない。対象という用語はまた、モデル動物、例えば、疾患モデル動物も含む。一部の態様において、対象という用語は、価値のある動物、経済的に価値のある動物または他の点で価値のある動物、例えば、経済的に重要な繁殖用動物、競走用の動物、見せ物の動物、先祖伝来の動物、珍しい動物もしくは絶滅危惧動物、またはコンパニオンアニマルを含む。ある特定の態様では、対象はヒト対象である。ある特定の態様では、対象は非ヒト対象である。
【0103】
組成物は、「栄養量」、「治療的有効量」、「予防的有効量」、「治療量」、または「予防量」として投与することができる。「栄養量」は、必要な投与量および期間で望ましい栄養結果を実現するのに有効な量を指す。栄養結果は、例えば、対象における高レベルの望ましい脂肪酸成分でもよい。「治療的有効量」または「治療量」は、必要な投与量および期間で望ましい治療結果を実現するのに有効な量を指す。治療結果は、例えば、例えば、症状の軽減、生存期間の延長、移動性の改善などでもよい。治療結果は「治癒」である必要はない。「予防的有効量」または「予防量」は、必要な投与量および期間で望ましい予防結果を実現するのに有効な量を指す。典型的には、疾患の前または疾患の初期段階の対象において予防量が用いられるので、予防的有効量は、進行期の疾患を処置するための治療的有効量より少ないであろう。
【0104】
対象に投与される微生物、バイオマス、または微生物油のEPAまたは他の脂肪酸成分の量に基づいて、様々な投与量の組成物、剤形、または薬学的組成物を対象に投与することができる。「一日量」、「一日量レベル」、および「一日投与量」という用語は、本明細書において、1日(24時間の期間)に投与されるEPAまたは他の脂肪酸成分の総量を指す。従って、例えば、一日量2mgのEPAを対象に投与するということは、1日に計2mgのEPAが対象に与えられることを意味する。EPAは、2mgのEPAを含む1個の剤形として投与されてもよく、それぞれ0.5mgのEPAを含む4個の剤形(計2mgのEPA)として投与されてもよい。一部の態様において、一日量のEPAは1種類の剤形で投与されるか、2種類の剤形で投与される。本発明の剤形は1回適用されて服用されてもよく、複数回適用されて服用されてもよい。例えば、毎日、4個の錠剤が服用され、各錠剤が0.5mgのEPAを含むのであれば、4個全ての錠剤が1日1回服用されてもよく、2個の錠剤が1日2回服用されてもよく、1個の錠剤が6時間毎に服用されてもよい。一部の態様において、一日量は、約100mg〜約15gのEPAである。一部の態様において、一日量は、約0.5mg〜約250mg、約100mg〜約250mg、約100mg〜約500mg、約100mg〜約1g、約1g〜約2.5g、約1g〜約5g、約1g〜約10g、約1g〜約15g、約5g〜約10g、約5g〜約15g、約10g〜約15g、約100mg〜約10g、約100mg〜約5g、または約100mg〜約2.5gのEPA、DHA、またはその組み合わせである。一部の態様において、組成物は、剤形1つにつき約0.5mg〜約250mg、100mg〜約250mg、約0.5mg〜約500mg、約100mg〜約500mg、約0.5mg〜約1g、または約100mg〜約1gのEPA、DHA、またはその組み合わせを含む剤形である。
【0105】
本発明の組成物または剤形は様々なレジメンを用いて投与することができる。例えば、一部の態様において、投与は、連日、毎日行われるか、または隔日(1日おきに)行われる。投与は1日で、またはそれより多い日で行われてもよい。
【0106】
組成物および剤形の投与は、状態を処置するのに用いられる他のレジメンと組み合わされてもよい。例えば、本発明の方法は、食事レジメン(例えば、低炭水化物食、高タンパク質食、高繊維食など)、運動レジメン、減量レジメン、禁煙レジメン、またはその組み合わせと組み合わされてもよい。本発明の方法はまた、状態の処置において他の薬学的製品と組み合わせて用いられてもよい。本発明の組成物または剤形は、他のレジメンもしくは薬学的製品の前に、または他のレジメンもしくは薬学的製品の後に投与されてもよい。
【0107】
組成物を含むキット
本発明は、本発明の組成物の1単位または複数の単位を含有するキットまたは包装容器に関する。キットまたは包装容器には、本発明の微生物、バイオマス、もしくは微生物油、またはその組み合わせを含む、食品、薬学的組成物、化粧品、または工業用組成物の単位が含まれ得る。キットまたは包装容器はまた、食物、化粧品、薬学的組成物、または工業用組成物を調製するための、本発明の微生物、バイオマス、もしくは微生物油、またはその組み合わせを含む添加物を含んでもよい。
【0108】
一部の態様において、キットまたは包装容器は、本発明の方法に従って投与しようとする薬学的組成物の1単位または複数の単位を含有する。キットまたは包装容器は1つの投与量単位を含有してもよく、複数の投与量単位(すなわち、複数の投与量単位)を含有してもよい。キットまたは包装容器の中に複数の投与量単位が存在するのであれば、複数の投与量単位は、任意で、連続投与するように並べられてもよい。
【0109】
本発明のキットは、任意で、キットの単位または剤形に関連した説明書を備えてもよい。このような説明書は、薬学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって定められた形をとってもよい。この通知書は、状態または障害を処置するヒト投与のための製造、使用、または販売の機関による認可を示している。説明書は、本発明の方法に従って、キットの中の単位または剤形の使用時に情報を伝える任意の形でよい。例えば、説明書は印刷物の形をとってもよく、予め記録された媒体装置の形をとってもよい。
【0110】
患者を検査している間に、医療従事者は、本発明の方法の1つの投与が患者に適していることを決定することができる。または、医師は、本発明の方法の1つの投与によって患者の状態を改善できることを決定することができる。いずれかのレジメンを処方する前に、医師は、例えば、レジメンに関連した様々なリスクおよび利益について患者に助言することができる。患者には、レジメンに関連した全ての公知のリスクおよび疑われるリスクを完全に開示することができる。このような助言は口頭ならびに書面でなされてもよい。一部の態様において、医師は、患者に、製品情報、教材などのレジメンに関する資料を提供することができる。
【0111】
本発明は、処置方法について消費者を教育する方法であって、販売の時点で消費者情報と共に剤形を配布する工程を含む方法に関する。一部の態様において、配布は、販売の時点で薬剤師または医療提供者が関与して行われる。
【0112】
「消費者情報」という用語には、英語の文章、英語でない文章、画像、チャート、電話録音、ウェブサイト、および人間の顧客サービス担当者へのアクセスが含まれ得るが、これに限定されない。一部の態様において、消費者情報によって、本発明の方法による剤形の使用、適切な年齢での使用、適応症、禁忌症、適切な投薬、警告、電話番号またはウェブサイトアドレスが示される。一部の態様において、前記方法は、本発明の方法による開示されたレジメンの使用に関する消費者の質問に答える地位にある関係者に専門情報を提供する工程をさらに含む。「専門情報」という用語には、医療従事者が消費者の質問に答えることができるように設計された、本発明の方法に従って投与された時のレジメンに関係した情報が含まれるが、これに限定されない。
【0113】
「医療従事者」には、例えば、医師、医師助手、看護師、ナースプラクティショナー、薬剤師、および顧客サービス担当者が含まれる。
【0114】
本発明が大まかに説明されたが、本明細書において提供された実施例を参照することによって、さらなる理解を得ることができる。これらの実施例は例示にすぎず、限定することが意図されない。
【実施例】
【0115】
実施例1
微生物の単離
北米西海岸(カリフォルニア州、オレゴン州、およびワシントン州)ならびにハワイ州に沿って、湾および河口を含む潮間環境から干潮の間に試料を収集した。水、堆積物、生きている植物材料、および腐敗している植物破片/動物破片を滅菌50mlチューブに入れた。各試料の一部を水と一緒に単離培地の固体寒天プレート上に広げた。単離培地は、500mlの人工海水、500mlの蒸留水、1gのグルコース、1gのグリセロール、13gの寒天、1gのグルタミン酸、0.5gの酵母エキス、0.5gのカゼイン加水分解物、1mlのビタミン溶液(100mg/Lチアミン、0.5mg/Lビオチン、0.5mgのB12)、1mlの微量金属溶液(PII金属、1リットルあたり以下:6.0gのFeCl36H2O、6.84gのH3BO3、0.86gのMnCl24H2O、0.06gのZnCl2、0.026gのCoCl26H2O、0.052gのNiSO4H2O、0.002gのCuSO45H2O、および0.005gのNa2MoO42H2Oを含有する)、ならびにそれぞれ500mgのペニシリンGおよび硫酸ストレプトマイシンからなった。寒天プレートを20〜25℃、暗所でインキュベートした。2〜4日後、寒天プレートを拡大して調べた。細胞コロニーを滅菌したつま楊子でつつき、新鮮なプレートの上に再度、画線した。汚染生物が除去されるまで、細胞を新鮮な培地の上に繰り返し画線した。単離された微生物のうち2つをATCCアクセッション番号PTA-10212およびPTA-10208で寄託した。
【0116】
ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された単離された微生物の分類学的特徴
ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された単離された微生物(「PTA-10212」)の培養物は、白色の、湿った、一面に塗りつけられたコロニーとして現れ、目に見える単離された胞子嚢群は無かった。
【0117】
増殖特徴をさらに調べるために、PTA-10212を、固体FFMおよび液体FFM、固体KMV、KMVスラッシュ(slush)(1%)、KMVブロス、ならびにMHブロスにおいて増殖させた。PTA-10212はKMVおよびMHにおいて急速に増殖することが観察された。例えば、Porter D., 1989. Phylum Labyrinthulomycota. In Margulis, L., Corliss, J.O., Melkonian, M., Chapman, D.J. (Eds.) Handbook of Protoctista, Jones and Bartlett, Boston, pp. 388-398 (KMV); Honda et al., Mycol. Res. 102:439-448(1998)(MH);および米国特許第5,130,242号(FFM)を参照されたい。これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0118】
PTA-10212を、KMV培地およびMHブロス中で72時間増殖させた後に、固体FFM培地上で数日間増殖させた後、以下の観察がなされた。胞子嚢は全ての培地中/培地上で凝集せず、非常に小さかった(5〜10μm)。PTA-10212は、シゾキトリウム属の切断パターンに特徴的な多量の四分子を示さなかった。新鮮な固体培地に移して約24時間後にアメーバ様細胞が現れた。数日後に、これらのアメーバ様細胞は無くなり、液体培地中またはスラッシュ培地中において、はっきりと分からなかった。Yokoyama, R. et al., Mycoscience 48(6): 329-341(2007)によって述べられ、液体培地中で増殖させた時に「フラスコの底にある小さな砂粒」の外観を有するオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)とは異なり、PTA-10212はフラスコの底に定着しないが、KMV液体培地およびMH液体培地中で懸濁された。胞子嚢は、シゾキトリウム属またはオリゴキトリム(Oligochytrium)によくみられるように高密度でなかった。シゾキトリウム属またはオリゴキトリムはまた、PTA-10212には無い頑丈な外形質ネットワーク(ectoplasmic network)も有する。ほとんどの種は、数時間にわたって、小さな胞子嚢、またはさらに大きな胞子嚢の分裂による同化細胞の栄養切断を経るが、PTA-10212はダンベル形の細長い同化細胞を形成し、次いで、ダンベルの末端部が離れるにつれて引き離される薄い峡部を形成した。結果として生じる細胞は小さな同化細胞ように見えた。アメーバ様細胞からダンベル形同化細胞への直接変換は観察されなかった。典型的な双鞭毛遊走子が泳いでいるのが観察されたが、比較的稀であった。PTA-10212は有性生殖をせず(non-prolific)、栄養切断によって分裂する。遊走子の直接放出は観察されなかったが、遊走子が泳いでいるのが観察された。栄養細胞は非常に小さかった(2μm〜5μm)。
【0119】
フロースルー(flow-through)法を用いてPTA-10212をさらに調べた。フロースルー法では、半強度(half-strength)の海水を一滴たらして寒天増殖コロニーの小さな部分を懸濁することによって、顕微鏡スライドを調製した。この技法を用いると、一次胞子嚢は球形であり、直径が約10μmであることが観察された。壁は非常に薄く、プロトプラストの二分裂が開始した時には、残遺物は観察されなかった。二分裂が繰り返されて、8〜16個のさらに小さな(直径4〜5μm)二次胞子嚢が生じた。二次胞子嚢は数時間、静止状態にあり、その後に不定形プロトプラストが再放出された。つまんで、引っぱることによって分けられた不定形プロトプラストは、最初に、典型的なダンベル形の中間段階を生じ、最終的には直径2.5〜2.8μmの4〜8個の小さな球状の本体となる。後者は数分から1〜2時間まで休止し、次いで、形を変え(細長くなり)、2.3〜2.5x3.7〜3.9μmの双鞭毛遊走子になった。遊走子は豊富にあり、止まっている時に正確に測定することができた。次いで、遊走子は丸くなり、新たな発生サイクルを開始した。遊走子はシクヨイドキトリウム・ミヌタム(Sicyoidochytrium minutum)より大きく、ウルケニア・ビスルゲンシス(Ulkenia visurgensis)より小さかった。
【0120】
PTA-10212の18s rRNA遺伝子と公知の種の18s rRNA遺伝子との類似性に基づいて、PTA-10212をさらに特徴付けた。標準的な手順によってPTA-10212からゲノムDNAを調製した。例えば、Sambrook J. and Russell D. 2001. Molecular cloning: A laboratory manual, 3rd edition. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkを参照されたい。簡単に述べると、(1)対数期中間部の培養物から500μLの細胞を遠心分離した。細胞を再懸濁し、小口径チップを用いて、液体の全ての痕跡を細胞ペレットから除去した。(2)200μLの溶解緩衝液(20mM Tris pH8.0、125μg/mLプロテイナーゼK、50mM NaCl、10mM EDTA pH8.0、0.5%SDS)を用いて、ペレットを再懸濁した。(3)細胞を50℃で1時間、溶解した。(4)溶解混合物をピペットでフェーズロック(phase-lock)ゲル(PLG-エッペンドルフ)2mLチューブに入れた。(5)同量のP:C:Iを添加し、1.5時間、混合した。(6)チューブを12,000 x gで5分間、遠心分離した。(7)PLGチューブの中のゲル上にある水相を取り出し、同量のクロロホルムを水相に添加し、30分間、混合した。(8)チューブを14,000 x gで約5分間、遠心分離した。(9)クロロホルムから上層(水相)をピペットで取り出し、新たなチューブに入れた。(10)0.1体積の3M NaOACを添加し、混合した(数回、逆さにした)。(11)2体積の100%EtOHを添加し、この段階で形成しているゲノムDNA沈殿物と混合した(数回、逆さにした)。(12)チューブを微量遠心機に入れて、14,000 x g、4℃で、約15分間、遠心分離した。(13)ゲノムDNAをチューブの底に残しながら、液体を穏やかに注ぎ出した。(14)0.5mLの70%EtOHを用いて、ペレットを洗浄した。(15)チューブを微量遠心機に入れて14,000 x g、4℃で約5分間、遠心分離した。(16)EtOHを穏やかに注ぎ出し、ゲノムDNAペレットを乾燥させた。(17)適切な体積のH2OおよびRNaseをゲノムDNAペレットに直接添加した。以前に述べられたプライマー(Honda et. al., J. Euk. Micro. 46(6): 637-647(1999))を用いて、18s rRNA遺伝子のPCR増幅を行った。染色体DNA鋳型を用いたPCR条件は、50μL総体積では以下の通りであった:0.2μMのdNTP、0.1μMの各プライマー、8%DMSO、200ngの染色体DNA、2.5UのHerculase(登録商標)II融合DNAポリメラーゼ(Stratagene)、およびHerculase(登録商標)緩衝液(Stratagene)であった。PCRプロトコールは、以下の段階:(1)95℃2分;(2)95℃35秒;(3)55℃35秒;(4)72℃1分および30秒;(5)段階2〜4を30サイクル繰り返す;(6)72℃5分;ならびに(7)4℃に保つ、を含んだ。
【0121】
PCR増幅によって、前記の染色体鋳型を用いて、予想されたサイズを有する特異なDNA産物が得られた。製造業者の説明書に従ってPCR産物をベクターpJET1.2/blunt(Fermentas)にクローニングし、供給された標準プライマーを用いてインサート配列を決定した。
【0122】
適度な助けを伴う系統発生解析から、PTA-10212は、トラウストキトリウム・パキデルマム(Thraustochytrium pachydermum)およびトラウストキトリウム・アグレガタム(Thraustochytrium aggregatum)を含む系統の中に位置づけられた。T.パキデルマムの胞子嚢には非常に厚い細胞壁がある。T.アグレガタムは、不透明な胞子嚢群からなる、はっきりと目に見える塊を形成する。PTA-10212はこれらの特徴をどちらも示さない。ウルケニア属(Ulkenia)、T.ガエルトネリウム(T.gaertnerium)、A.リミアシナム(A.limiacinum)、およびS.マングロベイ(S.mangrovei)などの他の分類群には、多くのアメーバ様細胞が存在することが述べられている。しかしながら、これらの分類群に関連した説明は、分離株の観察された特徴とは異なる。さらに、PTA-10212は、これらのいかなる分類群とも系統発生的な類縁関係を示さなかった。
【0123】
表3は、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された微生物に由来する18s rRNA配列と、米国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)電子データベースの中にあるDNA配列との比較を示す。2つの異なる計算を用いて、パーセント同一性を求めた。「計算#1」は、非相同領域または部分配列に由来する配列中に生じる全ての「ギャップ」を考慮に入れる(AlignX-VectorNTIデフォルト設定)。「計算#2」はギャップのペナルティ計算値を含めない(AlignX-VectorNTI「IDENTITY」マトリックス設定)。
【0124】
(表3)18s rRNA配列の比較

(p):部分配列を示す
【0125】
表3に示したように、%同一性の点で、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された微生物に由来する18s rRNA遺伝子配列(SEQ ID NO:1)は、NCBIデータベースにおいて入手可能な18s rRNA遺伝子配列と同一ではないが、関連することが見出された。生物は異なる属または種に属していても、密接に関連する18s rRNA遺伝子配列を有する場合があることが一般に認められている。
【0126】
前記の特徴付けに基づいて、ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された単離された微生物はヤブレツボカビ属の新種であると考えられ、従って、ヤブレツボカビ属の種、ATCC PTA-10212とも呼ばれる。
【0127】
ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された単離された微生物の分類学的特徴
ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された微生物(「PTA-10208」)を、米国特許出願第12/407,687号およびPCT/US2009/001720に記載のATCCアクセッション番号PTA-9695で寄託された微生物(「PTA-9695」)の下位分離株(培養物から単離され、新たな別個のかつ特異な培養物として維持された個々の細胞)として特定した。米国特許出願第12/407,687号およびPCT/US2009/001720はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0128】
PTA-10208はPTA-9695と分類学的特徴を共有する。PTA-9695は、放出時に、成熟胞子嚢から活発に泳ぎ去る双鞭毛遊走子を有することが見出された。胞子が放出された後に、胞子嚢の壁残遺物は(位相差で)はっきりと目に見えた。PTA-9695胞子嚢は直径が12.5μm〜25μmであり、遊走子は大きさが2.5μm〜2.8μm x 4.5μm〜4.8μmであった。PTA-9695胞子嚢1つにつき8〜24個の胞子があった。定着したPTA-9695遊走子は大きくなり、急速に二分裂して、四分子、八分子になり、最終的には胞子嚢の塊になった。四分子形成は、胞子嚢成熟前、かなり初期に始まった。これらの特徴はシゾキトリウム属と一致する。%同一性の点で、PTA-9695 18s rRNA遺伝子配列(SEQ ID NO:2)はPTA-10208と共通点があり、Honda, D. et al., J. Euk. Micro. 46(6): 637-647(1999)において示されたT.アグレガタムの18s rRNA遺伝子配列と同一でないが、密接に関連することが見出された。トラウストキトリウム・アグレガタムの公開された18s rRNA配列は部分配列であり、配列の中央に約71個のDNAヌクレオチドギャップがある。PTA-9695はシゾキトリウム属の新種であると考えられる。従って、下位分離株PTA-10208はシゾキトリウム属の種ATCC PTA-10208とも呼ばれる。
【0129】
実施例2
ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された単離された微生物の増殖特徴
ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された単離された微生物の増殖特徴を、下記のように個々の発酵実験において調べた。代表的な培地および培養条件を表1に示した。
【0130】
炭素(グリセロール)および窒素が与えられ、1000ppmCl-、22.5℃、20%溶存酸素、pH7.3の培養液において、10Lファーメンター体積中で138時間、培養した後に、PTA-10212から26.2g/Lの細胞乾燥重量が得られた。脂質収率は7.9g/Lであり、ω-3収率は5.3g/Lであり、EPA収率は3.3g/Lであり、DHA収率は1.8g/Lであった。脂肪酸含有率は30.3重量%であり、EPA含有率は41.4%脂肪酸メチルエステル(FAME)であり、DHA含有率は26.2%FAMEであった。脂質生産性は1.38g/L/日、ω-3生産性はこれらの条件下では0.92g/L/日であり、EPA生産性は0.57g/L/日であり、DHA生産性は0.31g/L/日であった。
【0131】
炭素(グリセロール)および窒素が与えられ、1000ppmCl-、22.5℃、20%溶存酸素、pH7.3の培養液において、10Lファーメンター体積中で189時間、培養した後に、PTA-10212から38.4g/Lの細胞乾燥重量が得られた。脂質収率は18g/Lであり、ω-3収率は12g/Lであり、EPA収率は5g/Lであり、DHA収率は6.8g/Lであった。脂肪酸含有率は45重量%であり、EPA含有率は27.8%FAMEであり、DHA含有率は37.9%FAMEであった。脂質生産性は2.3g/L/日、ω-3生産性はこれらの条件下では1.5g/L/日であり、EPA生産性は0.63g/L/日であり、DHA生産性は0.86g/L/日であった。
【0132】
炭素(グリセロール)および窒素が与えられ、1000ppmCl-、22.5℃、20%溶存酸素、pH6.8〜7.7の培養液において、10Lファーメンター体積中で189時間、培養した後に、PTA-10212から13g/Lの細胞乾燥重量が得られた。脂質収率は5.6g/Lであり、ω-3収率は3.5g/Lであり、EPA収率は1.55g/Lであり、DHA収率は1.9g/Lであった。脂肪酸含有率は38重量%であり、EPA含有率は29.5%FAMEであり、DHA含有率は36%FAMEであった。脂質生産性は0.67g/L/日であり、ω-3生産性はこれらの条件下では0.4g/L/日であり、EPAの生産性は0.20g/L/日であり、DHA生産性は0.24g/L/日であった。
【0133】
炭素(グリセロール)および窒素が与えられ、1000ppmCl-、22.5〜28.5℃、20%溶存酸素、pH6.6〜7.2の培養液において、10Lファーメンター体積中で191時間、培養した後に、PTA-10212から36.7g/L〜48.7g/Lの細胞乾燥重量が得られた。脂質収率は15.2g/L〜25.3g/Lであり、ω-3収率は9.3g/L〜13.8g/Lであり、EPA収率は2.5g/L〜3.3g/Lであり、DHA収率は5.8g/L〜11g/Lであった。脂肪酸含有率は42.4重量%〜53重量%であり、EPA含有率は9.8%〜22%FAMEであり、DHA含有率は38.1%〜43.6%FAMEであった。脂質生産性は1.9g/L/日〜3.2g/L/日であり、ω-3生産性はこれらの条件下では1.2g/L/日〜1.7g/L/日であり、EPA生産性は0.31g/L/日〜0.41g/L/日であり、DHA生産性は0.72g/L/日〜1.4g/L/日であった。
【0134】
ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された単離された微生物の増殖特徴
ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された単離された微生物の増殖特徴を、下記のように個々の発酵実験において調べた。代表的な培地および培養条件を表2に示した。
【0135】
炭素(グルコース)および窒素が与えられ、1000ppmCl-、22.5℃、pH7.0、窒素供給中は20%溶存酸素、その後は10%溶存酸素の培養液において、10Lファーメンター体積中で200時間、培養した後に、PTA-10208から95g/Lの細胞乾燥重量が得られた。脂質収率は53.7g/Lであり、ω-3収率は37g/Lであり、EPA収率は14.3g/Lであり、DHA収率は21g/Lであった。脂肪酸含有率は57重量%であり、EPA含有率は27.7%FAMEであり、DHA含有率は39.1%FAMEであった。脂質生産性は6.4g/L/日であり、ω-3生産性はこれらの条件下では4.4g/L/日であり、EPA生産性は1.7g/L/日であり、DHA生産性は2.5g/L/日であった。
【0136】
炭素(グルコース)および窒素が与えられ、1000ppmCl-、22.5℃、pH7.5、窒素供給中は20%溶存酸素、その後は10%溶存酸素の培養液において、10Lファーメンター体積中で139時間、培養した後に、PTA-10208から56g/Lの細胞乾燥重量が得られた。脂質収率は53g/Lであり、ω-3収率は34g/Lであり、EPA収率は11.5g/Lであり、DHA収率は22g/Lであった。脂肪酸含有率は58重量%であり、EPA含有率は21.7%FAMEであり、DHA含有率は41.7%FAMEであった。脂質生産性は9.2g/L/日であり、ω-3生産性はこれらの条件下では5.9g/L/日であり、EPA生産性は2g/L/日であり、DHA生産性は3.8g/L/日であった。
【0137】
炭素(グルコース)および窒素が与えられ、1000ppmCl-、22.5℃、pH7.0、窒素供給中は20%溶存酸素、その後は10%溶存酸素の培養液において、2000Lファーメンター体積中で167時間、培養した後に、PTA-10208から93.8g/Lの細胞乾燥重量が得られた。脂質収率は47.2g/Lであり、ω-3収率は33.1g/Lであり、EPA収率は10.5g/Lであり、DHA収率は20.4g/Lであった。脂肪酸含有率は50.6重量%であり、EPA含有率は23%FAMEであり、DHA含有率は42.6%FAMEであった。脂質生産性は6.8g/L/日であり、ω-3生産性はこれらの条件下では4.7g/L/日であり、EPA生産性は1.5g/L/日であり、DHA生産性は2.9g/L/日であった。
【0138】
炭素(グルコース)および窒素が与えられ、1000ppmCl-、22.5℃、pH7.0、窒素供給中は20%溶存酸素、その後は10%溶存酸素の培養液において、2000Lファーメンター体積中で168時間、培養した後に、PTA-10208から105g/Lの細胞乾燥重量が得られた。脂質収率は46.4g/Lであり、ω-3収率は33g/Lであり、EPA収率は10.7g/Lであり、DHA収率は20.3g/Lであった。脂肪酸含有率は43.9重量%であり、EPA含有率は24%FAMEであり、DHA含有率は43.7%FAMEであった。脂質生産性は6.6g/L/日であり、ω-3生産性はこれらの条件下では4.7g/L/日であり、EPA生産性は1.5g/L/日であり、DHA生産性は2.9g/L/日であった。
【0139】
炭素(グルコース)および窒素が与えられ、1000ppmCl-、22.5℃、pH7.0、窒素供給中は20%溶存酸素、その後は10%溶存酸素の培養液において、2000Lファーメンター体積中で168時間、培養した後に、PTA-10208から64.8g/Lの細胞乾燥重量が得られた。脂質収率は38.7g/Lであり、ω-3収率は29.9g/Lであり、EPA収率は8.5g/Lであり、DHA収率は16.7g/Lであった。脂肪酸含有率は59.6重量%であり、EPA含有率は23%FAMEであり、DHA含有率は42.3%FAMEであった。脂質生産性は5.53g/L/日であり、ω-3生産性はこれらの条件下では3.8g/L/日であり、EPA生産性は1.2g/L/日であり、DHA生産性は2.3g/L/日であった。
【0140】
実施例3
微生物ATCC PTA-10208株およびPTA-10212株の脂肪酸プロファイル
4種類のバイオマス試料(PTA-10208試料#1;PTA-10208試料#2;PTA-10212試料#1;およびPTA-10212試料#2)の総粗製油含有率を溶媒抽出によって分析した。脂質クラスを高速液体クロマトグラフィー/蒸発光散乱検出(HPLC/ELSD)によって決定し、トリアシルグリセロール(TAG)をHPLC/質量分析(HPLC/MS)によって分析し、脂肪酸(FA)プロファイルをガスクロマトグラフィーと水素炎イオン化検出(GC-FID)によって決定した。ヘキサンを使用した溶媒粉砕を用いて、それぞれの凍結乾燥バイオマスの粗脂質含有率を求め、直接エステル交換反応によって生成されたFAME合計(mg/g)と比較した。結果として得られた脂肪酸メチルエステル(FAME)をGC/FID分析によって定量した。抽出粗脂質中の脂肪酸もエステル交換反応によって定量し、結果として得られたFAMEのGC/FID分析を用いて定量した。順相HPLCとELSDおよび大気圧化学イオン化-MS(APCI-MS)特定を用いて、抽出粗脂質中の全ての中性脂質(NL)および遊離脂肪酸(FFA)の重量パーセントを求めた。この方法は、ステロールエステル(SE)、TAG、遊離脂肪酸(FFA)、1,3-ジアシルグリセロール(1,3-DAG)、ステロール、1,2-ジアシルグリセロール(1,2-DAG)、およびモノアシルグリセロール(MAG)を分離および定量する。結果を以下の表4および表5に示した。
【0141】
4種類のバイオマス試料(PTA-10208試料#1;PTA-10208試料#2;PTA-10212試料#1;およびPTA-10212試料#2)から抽出された粗製油からTAGおよびリン脂質(PL)を単離した。低圧フラッシュクロマトグラフィーを用いてTAGを単離し、固相抽出(SPE)を用いてPLを単離した。それぞれの単離画分の同一性を薄層クロマトグラフィー(TLC)によって確認した。単離されたTAG画分およびPL画分の脂肪酸プロファイルを、直接エステル交換反応の後に、GC-FIDを用いてFAMEとして決定した。結果を下記の表6および表7に示した。
【0142】
微生物ATCC PTA-10212株に由来する2種類のさらなるバイオマス試料(PTA-10212試料#3およびPTA-10212試料#4)の総粗製油含有率および単離された脂質クラスの脂肪酸プロファイルも決定した。ヘキサン抽出によって各試料から粗製油を得、低圧フラッシュクロマトグラフィーを用いて個々の脂質クラスを単離した。GC-FIDを用いて、バイオマス、粗製油、および単離画分の脂肪酸プロファイルをFAMEとして決定した。結果を下記の表8〜11に示した。
【0143】
FRIOLEX(登録商標)プロセスを用いて以前に抽出された微生物ATCC PTA-10212株に由来する粗製油試料(PTA-10212試料#5)から個々の脂質クラスを単離し、GC-FIDを用いて、各クラスの脂肪酸プロファイルをFAMEとして決定した。結果を以下の表12および13に示した。
【0144】
通常のHPLCとELSDおよびAPCI-MS特定を用いて、微生物ATCC PTA-10208株に由来する粗製油試料(PTA-10208試料#3)から個々の脂質クラスを単離した。
【0145】
実験手順
粗製油抽出-
溶媒粉砕を用いて、凍結乾燥バイオマス試料から粗製油を抽出した。例えば、約3グラムのバイオマスを秤量してSwedishチューブに直接入れた。3個のボールベアリングおよび30mLのヘキサンをSwedishチューブに添加した。Swedishチューブをネオプレンストッパーで密封し、シェーカーに2時間、入れた。結果として得られたスラリーを、ブフナー漏斗およびワットマン濾紙を用いて濾過した。濾液を収集し、溶媒を減圧下で除去し、残っている粗脂質の量を重量測定によって求めた。
【0146】
脂肪酸分析-
バイオマス、抽出粗脂質、および単離された脂質クラスの試料の脂肪酸組成をFAMEとして分析した。簡単に述べると、凍結乾燥バイオマスおよび単離された脂質クラスを秤量してスクリューキャップ試験管に直接入れたのに対して、濃度が約2mg/mLになるように粗製油試料をヘキサンに溶解した。内部標準を含有するトルエンおよび1.5N HClを含むメタノールを各チューブに添加した。チューブをボルテックスし、次いで、蓋をし、100℃まで2時間、加熱した。チューブを冷却し、飽和NaCl水を添加した。チューブを再度ボルテックスし、層を分離するために遠心分離した。次いで、有機層の一部をGCバイアルに入れ、GC-FIDによって分析した。Nu-Check-Prep GLC標準品(NuCheck, Elysian,MN)を用いて作成した3点較正曲線を用いて、FAMEを定量した。抽出物に存在する脂肪酸をmg/gおよび重量パーセントで表した。GC-FIDによって分析した時に、内部標準と同じ反応があったと仮定して、試料中の脂肪含有率を見積もった。
【0147】
HPLC/ELSD/MS法-
計器 Agilent 1100 HPLC、Alltech 3300 ELSD、Agilent 1100 MSD
カラム Phenomenex Luna Silica、250 x 4.6mm、5μm粒径w/ガードカラム
移動相 A-99.5%ヘキサン(Omnisolv)
0.4%イソプロピルアルコール(Omnisolv)
0.1%酢酸
B-99.9%エタノール(Omnisolv, 95:5エタノール:IPA)
0.1%酢酸
勾配

カラム温度 30℃
流速 1.5mL/min
注入量 5μL
ELSD検出 温度35℃、ガス流量 1.2L/min
MSD 質量範囲200〜1200、フラグメンター225V
乾燥ガス温度350℃、
バポライザー温度325℃
キャピラリー電圧3500V
コロナ電流10μΑ
【0148】
固相抽出-
Vac Elut装置(Varian Inc, Palo Alto, USA)に入れられた2gアミノプロピルカートリッジ(Biotage, Uppsala, Sweden)を用いた固相抽出(SPE)によって粗脂質からPL画分を分離した。カートリッジを15mLのヘキサンによって調整し、約60mgの各試料を1mL CHCl3に溶解し、カートリッジに適用した。中性脂質を全て溶出するように、カラムを15mLの2:1 CHCl3:イソプロピルアルコールで洗浄し、中性脂質を捨てた。次いで、2%酢酸(HOAc)を含むエーテル15mLを用いて脂肪酸を溶出し、捨てた。PL部分を、15mLの6:1メタノール:クロロホルムを用いて溶出し、収集し、窒素下で乾燥させ、秤量した。
【0149】
フラッシュクロマトグラフィー-
フラッシュクロマトグラフィーを用いて、粗製油に存在する脂質クラスを分離した。ヘキサンに溶解した約200mgの粗製油をカラムヘッドに注入した。このクロマトグラフィー装置では、Silica Gel 60(EMD Chemical, Gibbstown, NJ)と、5mL/min(表6〜7)または3mL/min(表8〜13)の石油エーテルおよび酢酸エチルからなる移動相が用いられた。段階勾配を用いて、カラムから各脂質クラスを選択的に溶出した。移動相勾配は100%石油エーテルから開始し、50%酢酸エチルで終了した。Gilson FC204ラージベッド(large-bed)フラクションコレクター(Gilson, Inc., Middleton, WI)を用いて、画分を10mL試験管に入れて収集した。各チューブを薄層クロマトグラフィー(TLC)によって分析し、(予想された保持ファクター(Rf)を有する、TLCプレート上のシングルスポットによって判断した)個々の脂質クラスを含有するチューブをプールし、乾燥するまで濃縮し、秤量した。次いで、総画分含有率を重量によって求めた。
【0150】
TLC分析-
薄層クロマトグラフィーをシリカゲルプレート上で行った。プレートを、石油エーテル:エチルエーテル:酢酸(80:20:1)からなる溶媒系を用いて希釈し、ヨウ素蒸気を用いて視覚化した。次いで、各スポットのRf値を各脂質クラスの報告文献値と比較した。
【0151】
TAG画分およびPL画分の分析-
単離されたTAG画分およびPL画分の脂肪酸組成を脂肪酸メチルエステル(FAME)として分析した。濃度が約1〜2mg/mLになるように、TAG画分をヘキサンに溶解した。1mLの溶液アリコートを窒素下で乾燥するまで濃縮した。内部標準を含有するトルエンおよび1.5N HClを含むメタノールを各チューブに添加した。チューブをボルテックスし、次いで、蓋をし、100℃まで2時間、加熱した。内部標準およびHClメタノールをPL画分含有チューブに直接添加し、加熱した。チューブを冷却し、飽和NaCl水を添加した。チューブを再度、ボルテックスし、層を分離するために遠心分離した。次いで、有機層の一部をGCバイアルに入れ、GC-FIDによって分析した。Nu-Check-Prep GLC 502B標準品(NuCheck, Elysian,MN)を用いて作成した3点較正曲線を用いてFAMEを定量した。抽出物に存在する脂肪酸をmg/gおよびFAME%で表した。
【0152】
結果
PTA-10208試料#1
GC/FIDを用いて、PTA-10208試料#1のバイオマスおよび抽出粗脂質の脂肪酸プロファイルを決定した。28.6mgのバイオマスを秤量してFAMEチューブに直接入れることによって、バイオマス中の脂肪酸をインサイチューでエステル交換した。これに対して、55.0mgの粗脂質を秤量して50mLメスフラスコに入れ、1mlを別のFAMEチューブに移すことによって、抽出粗脂質試料を調製した。バイオマスの粗脂質含有率の推定値は、GCとFID検出を用いて(FAME合計として)53.2%と求められたのに対して、乾燥バイオマスから52.0%(wt/wt)脂質が抽出されたので、総脂質の回収率は97.8%であった。粗脂質は、GC/FIDを用いて(FAME合計として)91.9%の脂肪酸と求められた。粗脂質に含まれる主な脂肪酸はC16:0(182.5mg/g)、C20:5 n-3(186.8mg/g)、およびC22:6 n-3(423.1mg/g)であった。
【0153】
55.0mgの粗脂質を秤量して50mLメスフラスコに入れ、アリコートをHPLC/ELSD/MS分析用HPLCバイアルに移すことによって、抽出粗脂質の脂質クラスプロファイルを決定した。HPLC/ELSD/MS分析によれば、粗脂質は、0.2%ステロールエステル(SE)、95.1%TAG、0.4%ステロール、および0.5%1,2-ジアシルグリセロール(DAG)を含有した。TAG画分の5%は、TAGピークの直後に溶出したピークを含んだが、認識可能な質量スペクトルを示さなかった。
【0154】
フラッシュクロマトグラフィーによって決定された時に、この試料から単離されたTAGは粗製油の約92.4%を占めた。PLは、重量によって、またはSPE単離後のTLCによって検出されなかった。TAGに含まれる主な脂肪酸(>50mg/g)は、C16:0(189mg/g)、C20:5 n-3(197mg/g)、およびC22:6 n-3(441mg/g)であった。
【0155】
PTA-10208試料#2
GC/FIDを用いて、PTA-10208試料#2のバイオマスおよび抽出粗脂質の脂肪酸プロファイルを決定した。32.0mgのバイオマスを秤量してFAMEチューブに直接入れることによって、バイオマス中の脂肪酸をインサイチューでエステル交換した。これに対して、60.1mgの粗脂質を秤量して50mLメスフラスコに入れ、1mlを別のFAMEチューブに移すことによって、抽出粗脂質試料を調製した。バイオマスの粗脂質含有率の推定値は、GCとFID検出を用いて(FAME合計として)52.4%と求められたのに対して、乾燥バイオマスから48.0%(wt/wt)脂質が抽出されたので、総脂質の回収率は91.7%であった。粗脂質は、GC/FIDを用いて(FAME合計として)95.3%の脂肪酸と求められた。粗脂質に含まれる主な脂肪酸は、C16:0(217.5mg/g)、C20:5 n-3(169.3mg/g)、およびC22:6 n-3(444.1mg/g)であった。
【0156】
60.1mgの粗脂質を秤量して50mLメスフラスコに入れ、およびアリコートをHPLC/ELSD/MS分析用HPLCバイアルに移すことによって、抽出粗脂質の脂質クラスプロファイルを決定した。HPLC/ELSD/MS分析によれば、粗脂質は、0.2%SE、95.7%TAG、0.3%ステロール、および0.7%1,2-DAGを含有した。TAG画分の5.1%は、TAGピークの直後に溶出したピークを含んだが、認識可能な質量スペクトルを示さなかった。
【0157】
この試料から単離されたTAGは粗製油の約93.9%を占めた。PLは、重量によって、またはSPE単離後のTLCによって検出されなかった。TAGに含まれる主な脂肪酸(>50mg/g)は、C16:0(218mg/g)、C20:5 n-3(167mg/g)、およびC22:6 n-3(430mg/g)であった。
【0158】
PTA-10208試料#3
HPLC/ELSD/MSを用いて、ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された微生物に由来する粗製油試料(試料PTA-10208#3)を分析した。計98.38%の脂質が回収され、ステロールエステル(SE)画分は0.32%を占め、TAG画分は96.13%を占め、1,3-ジアシルグリセロール(DAG)画分は0.22%を占め、1,2-DAG画分は0.78%を占め、ステロール画分は0.93%を占めた。
【0159】
PTA-10212試料#1
GC/FIDを用いて、PTA-10212試料#1のバイオマスおよび抽出粗脂質の脂肪酸プロファイルを決定した。27.0mgのバイオマスを秤量してFAMEチューブに直接入れることによって、バイオマス中の脂肪酸をインサイチューでエステル交換した。これに対して、52.5mgの粗脂質を秤量して50mLメスフラスコに入れ、1mlを別のFAMEチューブに移すことによって、抽出粗脂質試料を調製した。バイオマスの粗脂質含有率の推定値は、GCとFID検出を用いて(FAME合計として)38.3%と求められたのに対して、乾燥バイオマスから36.3%(wt/wt)脂質が抽出されたので、総脂質の回収率は94.6%であった。粗脂質は、GC/FIDを用いて(FAME合計として)83.2%の脂肪酸と求められた。粗脂質に含まれる主な脂肪酸は、C16:0(328.5mg/g)、C20:5 n-3(90.08mg/g)、およびC22:6 n-3(289.3mg/g)であった。
【0160】
52.5mgの粗脂質を秤量して50mLメスフラスコに入れ、およびアリコートをHPLC/ELSD/MS分析用HPLCバイアルに移すことによって、抽出粗脂質の脂質クラスプロファイルを決定した。HPLC/ELSD/MS分析によれば、粗脂質は、0.2%SE、64.2%TAG、1.9%FFA、2.8%1,3-DAG、1.4%ステロール、18.8%1,2-DAG、および0.5%MAGを含有した。TAG画分の3.4%は、TAGピークの直後に溶出したピークを含んだが、認識可能な質量スペクトルを示さなかった。
【0161】
この試料から単離されたTAGは粗製油の約49.8%を占めた。単離されたPLは粗製油の約8.1%を占めた。TAG画分に含まれる主な脂肪酸(>50mg/g)は、C16:0(400mg/g)、C20:5 n-3(91mg/g)、およびC22:6 n-3(273mg/g)であった。PL画分に含まれる主な脂肪酸(>50mg/g)は、C16:0(98mg/g)、C20:5 n-3(33mg/g)、およびC22:6 n-3(227mg/g)であった。
【0162】
PTA-10212試料#2
GC/FIDを用いて、バイオマスおよび抽出粗脂質PTA-10212試料#2の脂肪酸プロファイルを決定した。29.5mgのバイオマスを秤量してFAMEチューブに直接入れることによって、バイオマス中の脂肪酸をインサイチューでエステル交換した。これに対して、56.5mgの粗脂質を秤量して50mLメスフラスコに入れ、1mlを別のFAMEチューブに移すことによって、抽出粗脂質試料を調製した。GCとFID検出を用いて、バイオマスの粗脂質含有率の推定値は(FAME合計として)40.0%と求められたのに対して、乾燥バイオマスから41.3%(wt/wt)の脂質が抽出されたので、総脂質の回収率は106.1%であった。粗脂質は、GC/FIDを用いて(FAME合計として)82.8%の脂肪酸と求められた。粗脂質に含まれる主な脂肪酸は、C16:0(327.3mg/g)、C20:5 n-3(92.5mg/g)、およびC22:6 n-3(277.6mg/g)であった。
【0163】
56.5mgの粗脂質を秤量して50mLメスフラスコに入れ、アリコートをHPLC/ELSD/MS分析用HPLCバイアルに移すことによって、抽出粗脂質の脂質クラスプロファイルを決定した。HPLC/ELSD/MS分析によれば、粗脂質は、0.2%SE、58.2%TAG、2.3%FFA、3.4%1,3-DAG、1.7%ステロール、23.4%1,2-DAG、および0.6%MAGを含有した。TAG画分の3.3%は、TAGピークの直後に溶出したピークを含んだが、認識可能な質量スペクトルを示さなかった。
【0164】
この試料から単離されたTAGは粗製油の約51.9%を占めた。単離されたPLは粗製油の約8.8%を占めた。TAG画分に含まれる主な脂肪酸(>50mg/g)は、C16:0(402mg/g)、C20:5 n-3(92mg/g)、およびC22:6 n-3(245mg/g)である。PL画分に含まれる主な脂肪酸(>50mg/g)は、C16:0(121mg/g)、C20:5 n-3(48mg/g)、およびC22:6 n-3(246mg/g)である。
【0165】
(表4)PTA-10208およびPTA-10212バイオマスおよび抽出粗脂質の脂肪酸プロファイル(mg/g)


【0166】
(表5)PTA-10208およびPTA-10212バイオマスおよび抽出粗脂質の脂肪酸プロファイル(%)


【0167】
(表6)PTA-10208およびPTA-10212単離TAGの脂肪酸プロファイル


【0168】
(表7)PTA-10212単離PLの脂肪酸プロファイル

【0169】
PTA-10212試料#3
PTA-10212試料#3のバイオマスの脂質含有率はFAME合計として34%と見積もられ、溶媒抽出後に得られた粗製油の量は37重量%であったので、バイオマスに存在する脂肪の回収率は109%であった。フラッシュクロマトグラフィーを用いて分画した後に、粗製油の約46%がTAGとして単離され、28%がDAGとして単離された。粗製油は309mg/gのDHAおよび264mg/gのEPAを含有した。単離されたTAGは341mg/gのDHAおよび274mg/gのEPAを含有した。単離されたDAG画分は262mg/gのDHAおよび237mg/gのEPAを含有した。バイオマス、抽出された粗製油、および単離画分の総脂肪酸プロファイルを、以下のmg/gとして計算した表8および%FAMEとして計算した表9に示した。
【0170】
(表8)PTA-10212試料#3バイオマスおよび抽出粗脂質の脂肪酸プロファイル(mg/g)

【0171】
(表9)PTA-10212試料#3バイオマスおよび抽出粗脂質の脂肪酸プロファイル(%)

【0172】
PTA-10212試料#4
PTA-10212試料#4は、FAME合計として求められた約23%の脂質を含有し、このうち107%がヘキサン抽出を用いて回収された。フラッシュクロマトグラフィーを用いて分画した後に、粗製油の約42%がTAGとして単離され、18%がDAGとして単離された。粗製油は275mg/gのDHAおよび209mg/gのEPAを含有した。単離されたTAGは296mg/gのDHAおよび205mg/gのEPAを含有した。単離されたDAG画分は245mg/gのDHAおよび219mg/gのEPAを含有した。バイオマス、抽出された粗製油、および単離画分の総脂肪酸プロファイルを以下の表10(mg/g)および表11(%FAME)に示した。
【0173】
(表10)PTA-10212試料#4バイオマスおよび抽出粗脂質の脂肪酸プロファイル(mg/g)

【0174】
(表11)PTA-10212試料#4バイオマスおよび抽出粗脂質の脂肪酸プロファイル(%)

【0175】
PTA-10212試料#5
FRIOLEX(登録商標)プロセス(GEA Westfalia Separator UK Ltd., Milton Keynes, England)を用いて、PTA-10212バイオマスから粗製油試料を抽出して、微生物油PTA-10212試料#5を得た。低圧フラッシュクロマトグラフィーを用いて、PTA-10212試料#5から個々の脂質クラスを単離し、各クラスの重量パーセントを求めた。GC-FIDを用いて、各クラスの脂肪酸プロファイルを決定した。
【0176】
簡単に述べると、240mgの粗製油を600μLのヘキサンに溶解し、カラムヘッドに適用することによって、試料を調製した。フラッシュクロマトグラフィーを用いて試料を分画した後に、全ての画分の総重量は240mgであり、回収率は100%であった。ステロールエステル画分は0.9%を占め、TAG画分は42.6%を占め、遊離脂肪酸(FFA)画分は1.3%を占め、ステロール画分は2.2%を占め、DAG画分は41.6%を占めた。FRIOLEX(登録商標)粗製油および単離画分の総脂肪酸プロファイルを、以下のmg/gとして計算した表12および%FAMEとして計算した表13に示した。
【0177】
(表12)PTA-10212試料#5粗製油の脂肪酸プロファイル(mg/g)

【0178】
(表13)PTA-10212試料#5粗製油の脂肪酸プロファイル(%)

【0179】
実施例4
試料PTA-10208試料#1、PTA-10208試料#2、PTA-10212試料#1、PTA-10212試料#2、およびPTA-10212試料#3、PTA-10212試料#4、および実施例3のPTA-10212試料#5のそれぞれについて、非水性逆相HPLC分離およびAPCI-MS検出を用いて、抽出粗脂質に存在する各TAG異性体の相対量および脂肪酸組成を求めた。
【0180】
TAG法-
計器 Agilent 1100 HPLC
Agilent 1100 MSD
カラム Two Phenomenex Luna C18(2)、150 x 4.6mm
一続きにつながった3μm粒径
移動相 A-アセトニトリル
B-IPAw/0.1%酢酸アンモニウム
勾配

カラム温度 20℃
流速 0.5mL/min
注入量 5μL
MSD 質量範囲350〜1150
フラグメンター225V
乾燥ガス温度350℃、
バポライゾー(Vaporizor)温度325℃
キャピラリー電圧3500V
コロナ電流10μΑ
【0181】
PTA-10208試料#1
TAG分析のために、PTA-10208試料#1から単離された粗脂質を、5.5mgの油を秤量してHPLCバイアルに入れ、1mLのヘキサンで希釈することによって調製した。
【0182】
(表14)PTA-10208試料#1の中のTAG種の特定

【0183】
PTA-10208試料#2
TAG分析のために、PTA-10208試料#2から単離された粗脂質を、5.3mgの油を秤量してHPLCバイアルに入れ、1mLのヘキサンで希釈することによって調製した。
【0184】
(表15)PTA-10208試料#2の中のTAG種の特定

【0185】
PTA-10212試料#1
TAG分析のために、PTA-10212試料#1から単離された粗脂質を、5.3mgの油を秤量してHPLCバイアルに入れ、1mLのヘキサンで希釈することによって調製した。
【0186】
(表16)PTA-10212試料#1の中のTAG種の特定

ND=検出されず
【0187】
PTA-10212試料#2
TAG分析のために、PTA-10212試料#2から単離された粗脂質を、3.6mgの油を秤量してHPLCバイアルに入れ、1mLのヘキサンで希釈することによって調製した。
【0188】
(表17)PTA-10212試料#2の中のTAG種の特定

ND=検出されず
【0189】
PTA-10212試料#3
PTA-10212試料#3のTAG画分試料をヘキサンに溶解して調製し、個々のTAG異性体の同一性を決定するためにHPLC/APCI/MSによって分析した。
【0190】
(表18)PTA-10212試料#3の中のTAG種の特定

ND=検出されず
【0191】
PTA-10212試料#4
PTA-10212試料#4のTAG画分試料をヘキサンに溶解して調製し、個々のTAG異性体の同一性を決定するためにHPLC/APCI/MSによって分析した。
【0192】
(表19)PTA-10212試料#4の中のTAG種の特定

ND=検出されず
【0193】
PTA-10212試料#5
PTA-10212試料#5のTAG画分試料をヘキサンに溶解して調製し、個々のTAG異性体の同一性を決定するためにHPLC/APCI/MSによって分析した。
【0194】
(表20)PTA-10212試料#5の中のTAG種の特定

【0195】
実施例5
精製油を得るために、粗製油を精製、漂白、および脱臭によってさらに加工した。精製油を高オレイン酸サンフラワー油で希釈して、DHA含有率が約400mg/gの最終油を得た。個々の脂質クラスを単離し、各クラスの脂肪酸プロファイルをFAMEとしてGC-FIDを用いて決定した。
【0196】
PTA-10208最終油
単離されたTAG画分に関連するプロファイル(表23〜24)および単離されたステロール/DAG画分に関連するプロファイル(表24〜26)を含めて、PTA-10208最終油#1〜5の脂肪酸プロファイルを表21〜22にまとめた。
【0197】
また、最終油に含まれる個々の脂質クラスを、フラッシュクロマトグラフィー(表27)および通常のHPLCとELSDおよびAPCI-MS確認(表28)を用いて決定した。
【0198】
(表21)PTA-10208最終油の脂肪酸プロファイル(mg/g)

【0199】
(表22)PTA-10208最終油の脂肪酸プロファイル(%)

【0200】
(表23)単離されたTAG脂肪酸プロファイル:PTA-10208最終油(mg/g)

【0201】
(表24)単離されたTAG脂肪酸プロファイル:PTA-10208最終油(%)

【0202】
(表25)単離されたステロール/DAG脂肪酸プロファイル:PTA-10208最終油(mg/g)

【0203】
(表26)単離されたステロール/DAG脂肪酸プロファイル:PTA-10208最終油(%)

【0204】
(表27)フラッシュクロマトグラフィーによる脂質クラス分離(wt%)

【0205】
(表28)HPLC-ELSDによる脂質クラス分離(wt%)

ND=検出されず
【0206】
PTA-10212最終油
PTA-10212最終油の中に41.63%および366.9mg/g のDHAが存在したのに対して、16.52%のEPAが存在した。個々の脂肪酸プロファイルを決定し、表29にまとめた。
【0207】
(表29)PTA-10212最終油の脂肪酸プロファイル(%FAME)

ND=検出されず
【0208】
実施例6
実施例4に記載の技法を用いて、実施例5に記載のPTA-10208最終油のトリアシルグリセリド(TAG)を分析した。以下の表30にまとめたように、各脂肪酸部分を特定した。
【0209】
(表30)PTA-10208最終油の中のTAG種の特定

【0210】
実施例7
表1および表2に従う培地中での炭素および窒素が与えられた培養物として、ATCCアクセッション番号PTA-10208および10212で寄託された単離された微生物の2日齢接種材料フラスコを調製した。
【0211】
以下の手順に従って変異誘発を行った。
【0212】
滅菌T=2日齢フラスコ、約50mlを滅菌40mlガラスホモジナイザーに注いだ。培養物をホモジナイザーに50回入れた。培養物をピペットで取り出し、滅菌50ミクロンメッシュフィルターに通して濾過し、フィルターを50ml滅菌チューブに入れた(大きな塊のコロニーを保持しながら、小さな塊および単一細胞を50ミクロンメッシュに通す手段として、このメッシュを使用した)。濃縮された全ての解離物を滅菌50mlチューブに入れて収集した。解離した培養物をボルテックスし、1:100倍までのレベルで希釈を行った。希釈した解離物試料をボルテックスした後に、4〜5個のガラスビーズ(3mmガラスビーズ)を含有する培地寒天プレート100x15mmに、200μlの接種材料を添加した。ビーズが接種材料をプレート全体に均一に広げるようにするために、各プレートを穏やかに攪拌した。ビーズをプレートから捨て、プレートを静置し、乾燥させるために約5分間、蓋をした。薄暗い照明の下で手順を行うときには、滅菌フードおよび隣接区域の照明を消した。手順を行うことができる最小限の照明があったが、間接的なかつ薄暗い照明しかなかった。
【0213】
蓋を外して、5枚のレプリカプレート(replicate plate)をXLクロスリンカー(Spectronics Corporation, New York)の底に入れ、試料に電磁波を照射した。クロスリンカーはマイクロジュール単位で出力を供給し、90%〜95%の死滅に達するレベルを探し求めた。同じプロトコールを用いて、5枚のレプリカ対照プレートに非変異誘発細胞を接種した。これらの細胞数を用いて、%死滅を計算した。照射が完了したら、プレートを取り出し、蓋を交換し、プレートをパラフィルムで包んだ後に、アルミニウム箔で包んだ。プレートが損傷遺伝子を修復できないように、最初の週に暗所で増殖するということが必要であった。
【0214】
プレートを22.5℃の部屋に約10日間、置いた後に、コロニーを計数した。最後に計数した時に、個々のコロニーを滅菌した接種用ループでつつき、再度、新しい培地プレートの上に画線した。各コロニーを個々のプレートにプレートした。プレートが高密度で増殖した時に、接種用ループを用いて試料を採取し、50mlの培地を含有する滅菌250ml振盪フラスコに入れて接種した。このフラスコを、22.5℃の部屋にあるシェーカーの上に200rpmで置いた。T=7日に、振盪フラスコ培養物を50ml滅菌チューブに入れて収集した。pHを測定し、試料を遠心分離して、バイオマスペレットを収集した。各試料をリンスし、イソプロピルアルコールおよび蒸留水の50:50混合物に入れて再懸濁した後に、再遠心分離した。収集したペレットを凍結乾燥し、秤量し、FAME分析を行った。表31および表32のデータは、それぞれ、PTA-10208株から前記プロセスを用いて得られた変異体およびPTA-10212株から前記プロセスを用いて得られた変異体を示す。
【0215】
(表31)PTA-10208変異体


【0216】
(表32)PTA-10212変異体


【0217】
本明細書に記載の様々な局面、態様、および選択肢は全て任意のバリエーションおよび全てのバリエーションで組み合わせることができる。
【0218】
本明細書において述べられた全ての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許、および特許出願が参照により組み入れられるように詳細かつ個々に示されるのと同じ程度に参照により組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された種の単離された微生物。
【請求項2】
ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された種の特徴を有する単離された微生物。
【請求項3】
SEQ ID NO:1のポリヌクレオチド配列またはSEQ ID NO:1と少なくとも94%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む18s rRNAを含む、単離された微生物。
【請求項4】
ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された微生物の18s rRNAポリヌクレオチド配列と少なくとも94%の同一性を有する18s rRNAポリヌクレオチド配列を含む、単離された微生物。
【請求項5】
微生物により生成された総脂肪酸が約10重量%超のエイコサペンタエン酸を含む、ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された種の単離された微生物。
【請求項6】
微生物により生成された総脂肪酸が約10重量%超のエイコサペンタエン酸を含む、ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された種の特徴を有する単離された微生物。
【請求項7】
トリアシルグリセロール画分のエイコサペンタエン酸含有率が少なくとも約12重量%であるトリアシルグリセロール画分を生成する、単離された微生物。
【請求項8】
微生物が変異株である、請求項1〜7のいずれか一項記載の単離された微生物。
【請求項9】
ATCCアクセッション番号PTA-10212で寄託された、単離された微生物。
【請求項10】
ATCCアクセッション番号PTA-10213で寄託された、単離された微生物。
【請求項11】
ATCCアクセッション番号PTA-10214で寄託された、単離された微生物。
【請求項12】
ATCCアクセッション番号PTA-10215で寄託された、単離された微生物。
【請求項13】
ATCCアクセッション番号PTA-10208で寄託された、単離された微生物。
【請求項14】
ATCCアクセッション番号PTA-10209で寄託された、単離された微生物。
【請求項15】
ATCCアクセッション番号PTA-10210で寄託された、単離された微生物。
【請求項16】
ATCCアクセッション番号PTA-10211で寄託された、単離された微生物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項記載の微生物またはその混合物を含む、バイオマス。
【請求項18】
バイオマスの細胞乾燥重量の少なくとも約20重量%が脂肪酸であり、脂肪酸の約10重量%超がエイコサペンタエン酸であり、かつ脂肪酸が、それぞれ約5重量%未満のアラキドン酸およびドコサペンタエン酸n-6を含む、単離されたバイオマス。
【請求項19】
脂肪酸の少なくとも約25重量%がドコサヘキサエン酸である、請求項18記載の単離されたバイオマス。
【請求項20】
トリアシルグリセロールの少なくとも約12重量%がエイコサペンタエン酸である、トリアシルグリセロールを含む単離されたバイオマス。
【請求項21】
脂肪酸が、それぞれ約5重量%未満のオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、およびエルカ酸を含む、請求項18〜20のいずれか一項記載の単離されたバイオマス。
【請求項22】
請求項1〜16のいずれか一項記載の微生物またはその混合物を含む、単離された培養物。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれか一項記載の微生物もしくはバイオマスまたはその混合物を含む、非ヒト動物用またはヒト用の食品、化粧品、または薬学的組成物。
【請求項24】
少なくとも約20重量%のエイコサペンタエン酸、ならびにそれぞれ約5重量%未満のアラキドン酸、ドコサペンタエン酸n-6、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エルカ酸、およびステアリドン酸を含む、微生物油。
【請求項25】
少なくとも約25重量%のドコサヘキサエン酸をさらに含む、請求項24記載の微生物油。
【請求項26】
少なくとも約10重量%のトリアシルグリセロール画分を含む微生物油であって、トリアシルグリセロール画分中の脂肪酸の少なくとも約12重量%がエイコサペンタエン酸であり、トリアシルグリセロール画分中の脂肪酸の少なくとも約25重量%がドコサヘキサエン酸であり、かつトリアシルグリセロール画分中の脂肪酸の約5重量%未満がアラキドン酸である、微生物油。
【請求項27】
請求項24〜26のいずれか一項記載の微生物油を含む、非ヒト動物用またはヒト用の食品、化粧品、または薬学的組成物。
【請求項28】
調製粉乳である、請求項23または請求項27記載の食品。
【請求項29】
調製粉乳が未熟児に適している、請求項28記載の食品。
【請求項30】
乳、飲料、治療用飲料、栄養飲料、またはその組み合わせである。請求項23または請求項27記載の食品。
【請求項31】
非ヒト動物用食物またはヒト用食物のための添加物である、請求項23または請求項27記載の食品。
【請求項32】
栄養補助食品である、請求項23または請求項27記載の食品。
【請求項33】
動物用飼料である、請求項23または請求項27記載の食品。
【請求項34】
動物用飼料が水産養殖飼料である、請求項33記載の動物用飼料。
【請求項35】
動物用飼料が家畜用飼料、動物園動物用飼料、重労働用に訓練され使用される動物のための飼料(work animal feed)、畜類用飼料、またはその組み合わせである、請求項33記載の動物用飼料。
【請求項36】
ω-3脂肪酸を含む微生物油を生成するための方法であって、以下の工程を含む方法:
請求項1〜16のいずれか一項記載の単離された微生物またはその混合物を培養液中で増殖させて、ω-3脂肪酸を含む油を生成する工程。
【請求項37】
油を抽出する工程をさらに含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
ω-3脂肪酸を含む微生物油を生成するための方法であって、以下の工程を含む方法:
請求項17〜21のいずれか一項記載のバイオマスから、ω-3脂肪酸を含む油を抽出する工程。
【請求項39】
請求項36〜38のいずれか一項記載の方法によって生成された、微生物油。
【請求項40】
請求項17〜21のいずれか一項記載のバイオマスを生成するための方法であって、以下の工程を含む方法:
請求項1〜16のいずれか一項記載の単離された微生物またはその混合物を培養液中で増殖させて、バイオマスを生成する工程。
【請求項41】
請求項40記載の方法によって生成された、バイオマス。
【請求項42】
請求項8記載の変異株を生成する方法であって、以下の工程を含む方法:
請求項1から16のいずれか一項記載の微生物に変異を誘発させる工程;および
変異株を単離する工程。
【請求項43】
炎症または炎症に関連する状態の処置のための医用薬剤を製造するための、請求項1〜21、24〜26、39、および41のいずれか一項記載の単離された微生物、バイオマス、もしくは微生物油、またはその混合物の使用。
【請求項44】
炎症または炎症に関連する状態の処置のための、請求項1〜21、24〜26、39、および41のいずれか一項記載の単離された微生物、バイオマス、もしくは微生物油、またはその混合物の使用。
【請求項45】
炎症または炎症に関連する状態の処置において使用するための、請求項1〜21、24〜26、39、および41のいずれか一項記載の単離された微生物、バイオマス、もしくは微生物油、またはその混合物。
【請求項46】
炎症または炎症に関連する状態の処置を必要とする対象において炎症または炎症に関連する状態を処置するための方法であって、以下の工程を含む方法:
請求項1〜21、24〜26、39、および41のいずれか一項記載の単離された微生物、バイオマス、もしくは微生物油、またはその混合物、および薬学的に許容される担体を対象に投与する工程。

【公表番号】特表2013−516997(P2013−516997A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549979(P2012−549979)
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/028175
【国際公開番号】WO2011/090493
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】