説明

エイズを治療する漢方薬製剤及びその調製方法

【課題】 本発明は後天性免疫不全症候群(エイズ)を治療する伝統的な漢方薬製剤及びその製造方法に関する。
【解決手段】 エイズ治療用の漢方薬の製剤は、原料物質として、老鸛草、黄▲ぎ▼、龍葵、金銀花、木棉花、訶子、白花蛇舌草、石榴皮、糯稲根、菱角を用いており、これらの原料物質を所定の重量比で調整する。又、エイズを治療するための漢方薬錠剤の調製方法を提供するもので、原料薬材として、漢方薬の老鸛草、金銀花、瓜▲ろう▼皮、柴胡、香▲じゅ▼、石榴皮、黄▲ぎ▼、甘草、木棉花、鶏血藤、紅花、糯稲根、訶子、白花蛇舌草、菱角、銀杏の葉、馬齒▲ひゆ▼、胡黄連、龍葵、全蠍を用いて、所定の調製手順で、漢方薬錠剤を完成させる。
【効果】 人体の免疫機能を高め、抗ウイルス、抗感染および抗腫瘍効果をも有する。初期のエイズ患者が服用すると、エイズの進行を抑制或は逆転でき、中期の患者では免疫系の継続的損傷を阻止することができ、免疫機能を回復させ、改善することができる。末期の患者が服用すると合併症の発生を抑制することができる。製剤の成分が相互に協働して、病原を排除し、正の“気”を強くする目標を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は後天性免疫不全症候群(エイズ)を治療する伝統的な漢方薬製剤及びその製造方法に関する。該製剤は多標的に作用するものであり、人体の免疫機能を高めるばかりでなく、抗ウイルス、抗感染および抗腫瘍効果を有している。初期のエイズ患者が本発明の製剤を服用するとエイズの進行を抑制または逆転させることができ、中期患者が服用すると、免疫系の継続的損傷を防止し、免疫機能を回復させ、強化することができる。また、末期の患者に対しては合併症の発症を抑制することができるなど、製剤の成分が相互に協働して、病原を排除し、正の“気”を強くする目標を達成することができる。
【背景技術】
【0002】
エイズの臨床表現は複雑であるが、その発病の原因は内因と外因の二つの観点に限られる。外因は一般に、主に邪毒、毒素、皮膚病、または感染であり、一方内因は内臓、“気”および血液の極めて虚弱なことである。しかし、主として、まず、第一に内的虚弱があるから損傷を与えるのであり、内因を通じて影響を及ぼすのである。粘液の滞留およびうっ血はエイズによってひきおこされる内臓、“気”および血液の機能障害によって表れる病理現象である。同時にそれらは、併発痰核(superficial nodules)、潰瘍及び悪性腫瘍の発生をひき起こす発病要因となる。本病は一種の全身性疾病であるために、その発病においては内的要因が主たる役割を演じている。
【非特許文献1】中国特許97119177.8
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
中国特許97119177.8はエイズを治療する漢方薬を開示している。それには主に天花粉、苦瓜、蒲公英、白頭翁、甘草、白天雷、黄▲ぎ▼、馬宝、銀花、大青葉、黄▲ごん▼、野山人参、カモシカの角、石上蓮、水上飛、奥山吊雲草、七星剣(小型)、一朶雲(大型)等が含まれる。エイズ治療用のこの漢方薬は、咀嚼反芻法を採用して、動植物体内の純粋な天然成分を取得し、得られた物質をハイテク装置と先進技術により抽出し、精製している。この製剤はヒト免疫不全ウイルス(HIV)の繁殖を抑制でき、ヒト抗体の能力を改善し、副腎皮質、性腺及び細胞の免疫機能を高めることができる。
【0004】
しかしながら、この製剤の治療効果は求められている効果には、遠く及ばず、また、製造方法も工業生産には適さない。このため、新規で、効果的なエイズ治療用の漢方薬製剤が要望されている。
【0005】
本発明の目的は、エイズ治療用の漢方薬の製剤を提供するものである。さらに、本発明の目的は、エイズを治療するための漢方薬錠剤の調製方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、該製剤が原料物質を下記の重量比に従って調製されることを特徴とするエイズ治療用の漢方薬の製剤である。
老鸛草 120−150
黄▲ぎ▼ 120−150
龍葵 120−200
金銀花 120−200
木棉花 60−100
訶子 40−60
白花蛇舌草 80−150
石榴皮 40−60
糯稲根 150−200
菱角 80−150
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、下記重量比で原料薬材を配合することを特徴とするエイズ治療用漢方薬製剤である。
老鸛草 180
黄▲ぎ▼ 180
龍葵 180
金銀花 180
木棉花 120
訶子 90
白花蛇舌草 180
石榴皮 90
糯稲根 300
菱角 180
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、下記重量比で原料薬材を配合することを特徴とするエイズ治療用漢方薬製剤である。
老鸛草 120−150
黄▲ぎ▼ 120−150
龍葵 120−200
金銀花 120−200
木棉花 60−100
訶子 40−60
白花蛇舌草 80−150
石榴皮 40−60
糯稲根 150−200
菱角 80−150
瓜▲ろう▼皮 40−60
柴胡 60−100
香▲じゅ▼ 40−60
甘草 60−80
鶏血藤 120−150
紅花 40−60
銀杏の葉 40−60
馬齒▲ひゆ▼ 60−120
胡連 40−60
全蠍 28−40
【0009】
請求項4に係る発明は、エイズを治療するための漢方薬錠剤の調製方法を特徴とするものである。
原料薬材として、漢方薬の老鸛草、金銀花、瓜▲ろう▼皮、柴胡、香▲じゅ▼、石榴皮、黄▲ぎ▼、甘草、木棉花、鶏血藤、紅花、糯稲根、訶子、白花蛇舌草、菱角、銀杏の葉、馬齒▲ひゆ▼、胡黄連、龍葵、全蠍を用いる。その調製手順は、下記A〜Dのとおりである。
A.揮発性の油分を抽出するための薬材(老鸛草、柴胡、香▲じゅ▼、金銀花)を2−5cmの長さに切断し、細粉薬種の全蠍を粉砕しておく。
B.揮発性の油抽出用の薬材をとり、5時間で揮発性油を抽出し、蒸留した後、水溶液を他の容器に集め、揮発性油はサイクロデキストリンで包接させる。
C.石榴皮等の上記以外の15種類の薬材に水を加え、揮発性油を抽出した後の残滓とともに、2回煎じる。第1回目は10倍量の水を加えて、第2回目には8倍量の水を加えてから、毎回2時間かけて煎じる。得られた煎液を合わせて、160−180メッシュのスクリーンで濾過したのち、濾液と上述の水溶液を合わせて、相対密度が約1.30(50℃で測定)になるまで濃縮し、全蠍粉及びサイクロデキストリンの包接物を加えて、減圧、濃縮(65℃−75℃)して乾燥させて、得られた物質を粉砕して抽出物粉末を調製する。
D.得られた抽出物粉末に適量の16%湿澱粉を加え、均一に混合してから、95%エタノールを加え、16メッシュのスクリーンを用いて造粒し、さらに14メッシュのスクリーンで粒を整えて、乾燥させて(60℃以下)から、1%のステアリン酸マグネシウムを加えて、押圧して1000錠の錠剤にして、被覆する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によるエイズ治療用の漢方薬製剤は、多標的の製剤であって、人体の免疫機能を高めるばかりでなく、抗ウイルス、抗感染および抗腫瘍効果をも有する。初期のエイズ患者が服用すると、エイズの進行を抑制或は逆転でき、中期の患者では免疫系の継続的損傷を阻止することができ、免疫機能を回復させ、改善することができる。末期の患者が服用すると合併症の発生を抑制することができるなど、製剤の成分が相互に協働して、病原を排除し、正の“気”を強くする目標を達成することができる。
【0011】
本発明において、金銀花は主剤であり、熱を清めて解毒し、益を補充して風(疾病)を治療し、正の“気”を傷付けることはない。黄▲ぎ▼は気に利き、皮膚を強くし、糯稲根は脾臓に利き、胃を養うことができる。これらは主剤を補助して抗体の形成を促進し、抗腫瘍能力を高め、Tリンパ球や食細胞の機能を活性化して、免疫活性を高めるのである。
【0012】
邪毒が人体に侵入すると、正の“気”の消耗を引き起こし、陰陽のバランスを崩し、“気”−血消耗性疾患、過剰性疾患や病虚が起こるので、老鸛草、龍葵、白花蛇舌草等を選んで、風を退去させ、血流を活性化させて、上昇した熱を清める。この類の清熱解毒の原料薬材は佐薬であり、主剤の邪毒追放を補佐して解毒、病原力の追放に作用する。
【0013】
邪毒が人体に侵入すると体の陰陽のバランスが失調し、脾臓と胃が食物を受付けにくくなり、食欲不振に陥る。木棉花、訶子、石榴皮、菱角をメッセンジャー薬材に選んで、気を養い、脾臓を活性化させ、胃腸を調和させ、下痢を止め、脾臓と胃の水湿、輸送および変換機能を促進させ、食欲を増進させる。脾臓と胃は漢方医学における生命の源であり、それらが正の“気”と病気に対する抵抗力を増強することが出来る。
【0014】
漢方薬によりエイズを治療することは、人体の概念から出発している。本発明における多標的製剤は、人体の免疫機能を改善する薬剤であるばかりでなく、ウイルスに対して作用し、感染や腫瘍に対する抵抗力を有する薬剤でもある。初期のエイズ患者が本発明の製剤を服用すると、エイズの進行を抑制或は逆転でき、中期の患者に対しては、免疫系の継続的損傷を阻止して、免疫機能を回復させ、強化することができ、末期の患者に対しては、合併症の発生を抑制できるなど、製剤の成分が相互に協働して、邪気を駆除して正の“気”を強める目標を達成することが出来る。
【0015】
漢方薬の観点からは、エイズは「根本において虚で、表面において虚」の疾病であり、全過程は免疫が段々に破壊される過程であって、欠損症候群である。このため、本発明の清熱解毒製剤は熱を清めるものであるが、正気を傷つけないものであるために、激しい薬剤ではなく、体の抵抗力を強め、邪気を払う効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
エイズ治療用の漢方薬の製剤は、原料物質として、老鸛草(キクバフウロ)、黄▲ぎ▼(キバナオウギ)、龍葵(イヌホオズキ)、金銀花(スイカズラ)、木棉花、訶子(ミロバラン)、白花蛇舌草(フタバムグラ)、石榴皮、糯稲根、菱角を用いており、これらの原料物質を所定の重量比で調整する。
【0017】
又、エイズを治療するための漢方薬錠剤の調製方法を提供するもので、原料薬材として、漢方薬の老鸛草、金銀花、瓜▲ろう▼皮(カラスウリの果皮)、柴胡、香▲じゅ▼(ナギナタコウジュ)、石榴皮、黄▲ぎ▼、甘草、木棉花、鶏血藤、紅花、糯稲根、訶子、白花蛇舌草、菱角、銀杏の葉、馬齒▲ひゆ▼、胡黄連(コオウレン、胡連の別名)、龍葵、全蠍を用いて、所定の調製手順で、漢方薬錠剤を完成させる。
【実施例1】
【0018】
エイズを治療する1つの漢方薬製剤は下記の重量比に従い、調製される。
老鸛草 120−150
黄▲ぎ▼ 120−150
龍葵 120−200
金銀花 120−200
木棉花 60−100
訶子 40−60
白花蛇舌草 80−150
石榴皮 40−60
糯稲根 150−200
菱角 80−150
【0019】
本発明の錠剤の1つの調製方法は、次のとおりである:
老鸛草、金銀花を取って、水を加え、水蒸気の蒸留を採用して、揮発性の油分を5時間で抽出する。蒸留後の水溶液を他の容器に集め、揮発性油はサイクロデキストリンで包接させる。
【0020】
上述の揮発性油を抽出した後に残る薬滓に水を加え、入れて2回煎じる。第1回目は10倍の水を加え、第2回目は8倍の水を加えて、毎回2時間かけて煎じる。
【0021】
煎液を合わせて、濾過したのち、濾液と上述の水溶液を合わせて、混合液を相対密度が約1.30(50℃で測定)になるまで濃縮して、上述のサイクロデキストリンの包接物を加え、減圧濃縮(65−75℃)して乾燥させる。
【0022】
乾燥後、粉砕して粉にし、適量の澱粉を加えて、均一に混ぜて、エタノールで粒にし、乾燥(60℃以下)させたのち、1%のステアリン酸マグネシウムを加えて、押圧して1,000錠の錠剤とする。上述の原料薬材の重量単位はgであるが、錠剤は各錠0.4gであり、原料薬材量1.79gに相当する。
【実施例2】
【0023】
下記重量比に従い、エイズを治療する1つの漢方薬製剤が調製される。
老鸛草 180
黄▲ぎ▼ 180
龍葵 180
金銀花 180
木棉花 120
訶子 90
白花蛇舌草 180
石榴皮 90
糯稲根 300
菱角 180
上記の原料を用いて、実例1と同じ方法によって錠剤を調製する。
【実施例3】
【0024】
エイズを治療する1つの漢方薬製剤が、下記重量比に従い調製される。
老鸛草 120−150
黄▲ぎ▼ 120−150
龍葵 120−200
金銀花 120−200
木棉花 60−100
訶子 40−60
白花蛇舌草 80−150
石榴皮 40−60
糯稲根 150−200
菱角 80−150
瓜▲ろう▼皮 40−60
柴胡 60−100
香▲じゅ▼ 40−60
甘草 60−80
鶏血藤 120−150
紅花 40−60
銀杏の葉 40−60
馬齒▲ひゆ▼ 60−120
胡連 40−60
全蠍 28−40
【0025】
上記20種の原料薬材を含有する本発明の錠剤の調製方法は次のとおり:
全蠍を細かい粉に粉砕し、老鸛草、柴胡、香▲じゅ▼、金銀花をとって、揮発性の油分を5時間かけて抽出し、蒸留後の水溶液を他の容器に集め、揮発性油はサイクロデキストリンで包接させる。
【0026】
石榴皮等のその他の15種の薬材に水を加え、揮発性油を抽出した後の薬滓と一緒に、2回煎じる。このとき、第1回目には10倍の水を入れ、第2回目には8倍の水を入れて、毎回2時間かけて煎じる。煎液を合わせて、濾過して、濾液を上述の水溶液と合わせた後、相対密度が約1.30(50℃で測定)になるまで濃縮する。これに全蠍粉及び上記サイクロデキストリンの包接物を加えて、減圧濃縮して(65−75℃)乾燥させる。
【0027】
この乾燥物を粉砕して、適量の澱粉を加えて、均一に混ぜ、エタノールを混ぜて造粒して乾燥(60℃以下)させたのち、1%のステアリン酸マグネシウムを加えて、押圧して1000錠の錠剤を調製する。上記原料薬材の重量単位はgであり、錠剤は各錠0.4gで、原料薬材量1.79gに相当する。
【実施例4】
【0028】
エイズを治療する漢方薬錠剤の1つの調製方法を提供する。すなわち、漢方薬材として、例えば、老鸛草、金銀花、瓜▲ろう▼皮、柴胡、香▲じゅ▼、石榴皮、黄▲ぎ▼、甘草、木棉花、鶏血藤、紅花、糯稲根、訶子、白花蛇舌草、菱角、銀杏の葉、馬齒▲ひゆ▼、胡黄連、龍葵、全蠍が原料薬材として使用され、その調製手順は次のとおりである。
【0029】
A.揮発性の油を抽出する薬材(老鸛草、柴胡、香▲じゅ▼、金銀花)を2−5cmの長さに切断し、細粉薬材の全蠍を細かい粉に粉砕する。
【0030】
B.揮発性の油を抽出する薬材を5時間かけて油を抽出して、蒸留後の水溶液は他の容器に集める。揮発性油はサイクロデキストリンで包接させる。
【0031】
C.石榴皮等のその他の15の薬材を、上述の揮発性油を抽出した後の薬滓と合わせてそれに水を加えて、2回煎じる。このとき、第1回目には10倍の水を加え、第2回目には8倍の水を加えて、毎回2時間かけて煎じる。煎液を合わせて、160−180メッシュのスクリーンで濾過して、濾液を上述の水溶液と合わせてから、相対密度が約1.30(50℃で測定)になるまで濃縮して、全蠍の粉及びサイクロデキストリン包接物を入れて、減圧濃縮して(65℃−75℃)、乾燥させる。得られた乾燥物を粉砕して抽出物粉末を得る。
【0032】
D.得られた抽出物粉末に適量の16%湿澱粉を加え、均一に混ぜてから、95%エタノールを加えて、16メッシュのスクリーンを通して造粒し、14メッシュのスクリーンで粒を整えて、乾燥(60℃以下)させたのち、1%のステアリン酸マグネシウムを加えて、押圧して1000錠の錠剤とし、その錠剤を被覆すると調製は完結する。
以上の原料薬材の重量単位はgであるが、錠剤はそれぞれ0.4gで、原料薬材量1.79gに相当する。
【0033】
本発明の臨床治療効果観察:
本発明の錠剤の臨床試験名称は新血錠(Xinxue Tablet)であり、以下の説明ではこの名称を使用する。
【0034】
本発明の試験方法:
1.本試験は、無作為、二重盲検、偽薬(プラセボ)並行、多中心研究法(multicentre reseach method)を採用し、試験治療の総治療期間は6ヶ月であった。選ばれた患者は無作為に新血錠またはプラセボの投与を受け、それぞれ0ヶ月、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月後に診察を受けた。それにより、新血錠のHIV/AIDS治療における有効性と安全性を評価した。
176人の臨床的にHIV/AIDSと診断された患者を選び、5つの中心に関して臨床試験を行った。
【0035】
2.被験者の選定
2.1 診断基準:
アメリカCDCにより1993年に改定されたHIV感染分類及びAIDS診断基準。
2.2 選定基準
(1)患者の年齢は満18−65歳、男女制限無し
(2)HIV抗体が陽性(W.B)と確認されていた
(3)CD4細胞数が100−400/μl (BD会社の流式血球測定器)
2.3 治療の中断/中止基準
(1)重篤な副作用があって、継続観察が不可能な者
(2)観察中、病状が変化して、治療法を変更せざるをえない者
(3)研究プランに従わないかまたは禁忌薬物を服用した者
(4)約束を破り或いは診察できなかった患者
2.4 投薬方法
被験者は、6ヶ月の治療試験のために、テストグループと対照グループに無作為に分割された。薬剤は全て経口的に投与し、1日3回、毎回8錠を温水で飲み下させた。生ものや冷たいもの、スパイスのきいた食物は避け、患者が飲酒するときはその2時間後に服用させ、投与量は一定とした。
【0036】
3.治療効果評価基準
3.1 主要な治療効果指標
CD4細胞数と基準線との間の数値の絶対的および相対的変化の比較
3.2 その次に重要な治療効果指標
(1)HIV負荷量と基準線の間の比較の変化
(2)CD4/CD8値の治療前後の変化
(3)体重、臨床症状の治療前後の変化
3.3 有効性の評価基準
(1)有効:CD4数の上昇幅が30%以上(30%を含む)
(2)無効:CD4数の上昇幅が30%未満
【0037】
4. 安全性評価
4.1 安全性の観察指標
(1)一般的な医学検査項目; (2)血液および尿の通常検査; (3)肝臓および腎臓の機能; (4)胸部のX線写真、心電図および腹部のB超音波
4.2 臨床安全性の評価
(1)副作用事件の発生率
(2)臨床安全性は、患者の報告、研究者の観察或いは非誘導的な方法による質問を通して得られた副作用事件の状況により評価する。
【0038】
本発明の研究結果:
1. 事例分布
本試験で176人の患者が無作為にグループに分けられたが、新血錠グループが88人で、プラセボグループが88人であった。試験および診察を終了した患者は155人で、その中で新血錠グループは83人、プラセボグループは72人であった。172人の患者が試験薬剤を使用し、少なくとも1回安全性評価を経験し、安全人数にリストされた。171人の患者は試験薬剤を使用し、少なくとも一回の有効性評価を経験し、ITT人数に入った。また、試験を終了した155人は、PP人数にリストされた。ITTは主な研究集団であった。
【0039】
2.人口統計的特徴:表1参照
【0040】
【表1】

【0041】
2. 治療効果の評価
2.1主要な治療効果指標の分析結果
2.1.1 両グループのCD4細胞数の治療前後の変化:
治療前、治療1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月のCD4細胞数の変化の状況を比較、表2−1、2−2参照。
【0042】
【表2−1】

【0043】
【表2−2】

【0044】
上記の結果は次の内容を明らかにした。6ヶ月治療後、新血錠グループのCD4数は上昇し、プラセボグループのCD4数は下降した。共分散分析モデル(covariance analysis model)の明示するところによると、CD4数の変化は統計学的に有意(P<0.05)であった。このモデルに基づいて、2つのグループの分散値(variant values)が評価され、ITT人数において、新血錠グループは69.32上昇し、プラセボグループは24.56下降した。この結果から見ると、新血錠の効果はプラセボグループのそれより優れていた。
2.1.2 治療効果のCD4の比較:表3参照
【0045】
【表3】

【0046】
上述の分析結果は次のことを明示していた。すなわち、6ヵ月治療後の治療効果の格付け評価に対して、新血錠グループの有効率はプラセボグループのそれより明らかに高く、2つのグループの治療効果の差異は統計学的に有意(P<0.05)であった。
2.2 その次に重要な治療効果指標の分析結果
2.2.1 2つのグループの治療前、治療1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月のHIV荷重(load,log)変化の比較、4−1、4−2参照
【0047】
【表4−1】

【0048】
【表4−2】

【0049】
上述の分析結果によると、6ヵ月治療後、新血錠グループのHIV荷重(load)は治療前とほぼ同じであり、一方、対照(プラセボ)グループのHIV荷重は上昇した。共分散分析モデルによると、HIV荷重の差異には統計学的に有意性があった(P<0.05)。このモデルに基づいて、2つのグループの分散値差が、ITT人数で評価され、新血錠グループは0.05下降し、プラセボグループは0.21上昇し、新血錠グループはプラセボグループより優れていた。
【0050】
3.2.2 2グループのCD4/CD8値の変化:
6ヵ月治療後、新血錠グループのCD4/CD8値は上昇し、プラセボグループのCD4/CD8値は下降した。共分散分析モデルにおいて、CD4/CD8値の変化は統計学的に有意であり(P<0.05)、新血錠グループはプラセボグループより優れていることが証明された。
【0051】
3.2.3 臨床症状の総合的程度、体重、下痢、食欲不振、疲労、脱毛(lipsotrichia)及び機能分類(functional
classification)およびその変化:
臨床症状の総合的程度:新血錠グループの程度は下降し、プラセボグループの程度は上昇し、その差は統計学的に有意(P<0.05)であった。
体重:新血錠グループの体重は増加し、プラセボグループの体重は下降した。新血錠グループはプラセボグループより統計学的有意差(P<0.05)をもって優れていた。
単項臨床症状:下痢、食欲不振、疲労、脱毛および機能的分類等の各種臨床症状が新血錠グループにおいて明らかに改善され、プラセボグループと比較するとその差は統計学的に有意(P均<0.05)であった。
【0052】
4. 安全性の評価
副作用が発生した患者の状態を分析したところ、試験グループに発生した副作用は、全てが薬剤の副作用と関係するわけではないことが証明された。討論と判定の結果、試験グループの中では、1例に投与薬剤と関連すると考えられる吐き気と消化不良が発生した。1例は不眠症で、薬剤を2ヶ月間投与した後に発生したが、症状は軽度で、患者は薬剤を続けて服用できた。副作用は薬剤の投与と関係があるであろう。
被験者に対して、治療前後の肝機能、腎臓機能、血液の通常検査、心電図等の検査を行った。新血錠は心臓、肝臓、腎臓の機能及び血液の通常検査に対して目立った影響は無く、このことは新血錠が安全であることを証明するものである。
【0053】
結論:
無作為、二重盲検、プラセボ並行対照、多中心臨床研究を採用して、HIV/AIDS治療用新血錠の有効性と安全性を評価した。それによると、臨床研究結果によって、新血錠はCD4細胞数を有意に高める作用を持っており、また、エイズ患者の臨床症状を有意に改善することができ、患者の体重およびCD4/CD8値を増加させることができることが証明された。それはおそらくHIVの複製を遅らせたからである。臨床試験においては明らかな毒性または副作用は観察されなかった。
【0054】
上記の実施例は、本発明を説明するためのもので、本発明を制限するものではない。比較的良い実施例を参照して詳細に説明を行ったものであり、本発明の精神及びその範囲を逸脱することなく行うことが出来る種々の修正、変更、置換は、本技術分野における当業者の当然とするところである。本発明の精神及びその範囲を逸脱することなく行うことが出来る種々の修正、変更、置換は、全て本発明の権利要求の範囲に含むべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記原料薬材を下記重量比で配合することを特徴とするエイズ治療用漢方薬製剤。
老鸛草 120−150
黄▲ぎ▼ 120−150
龍葵 120−200
金銀花 120−200
木棉花 60−100
訶子 40−60
白花蛇舌草 80−150
石榴皮 40−60
糯稲根 150−200
菱角 80−150
【請求項2】
下記重量比で原料薬材を配合することを特徴とする請求項1に記載のエイズ治療用漢方薬製剤。
老鸛草 180
黄▲ぎ▼ 180
龍葵 180
金銀花 180
木棉花 120
訶子 90
白花蛇舌草 180
石榴皮 90
糯稲根 300
菱角 180
【請求項3】
下記重量比で原料薬材を配合することを特徴とする請求項1に記載のエイズ治療用漢方薬製剤。
老鸛草 120−150
黄▲ぎ▼ 120−150
龍葵 120−200
金銀花 120−200
木棉花 60−100
訶子 40−60
白花蛇舌草 80−150
石榴皮 40−60
糯稲根 150−200
菱角 80−150
瓜▲ろう▼皮 40−60
柴胡 60−100
香▲じゅ▼ 40−60
甘草 60−80
鶏血藤 120−150
紅花 40−60
銀杏の葉 40−60
馬齒▲ひゆ▼ 60−120
胡連 40−60
全蠍 28−40
【請求項4】
エイズ治療用漢方薬製剤の製造方法であって、老鸛草、金銀花、瓜▲ろう▼皮、柴胡、香▲じゅ▼、石榴皮、黄▲ぎ▼、甘草、木棉花、鶏血藤、紅花、糯稲根、訶子、白花蛇舌草、菱角、銀杏の葉、馬齒▲ひゆ▼、胡連、龍葵、全蠍のような原料薬材を用い、下記A〜Dの手順に従うことを特徴とするエイズ治療用漢方薬製剤の調製方法。
A.揮発性の油抽出用の薬材(老鸛草、柴胡、香▲じゅ▼、金銀花)を2−5cmの長さに切断し、細粉薬種の全蠍を細かい粉に粉砕する。
B.揮発性油抽出用の薬材を5時間かけて油を抽出し、蒸留後の水溶液は他の容器に集め、揮発性油はサイクロデキストリンで包接させる。
C.石榴皮等のその他15種の薬材に水を加え、揮発性油を抽出した後の薬滓を混合して、それを2回煎じる。その際、第1回目は10倍の水を加え、第2回目には8倍の水を加えて、毎回2時間かけて煎じる。その後、煎液を合わせて、濾過(160−180メッシュのスクリーン)して、濾液と上述の水溶液を合わせて、相対密度が約1.30(50℃測定)になるまで濃縮したのち、全蠍の細粉及びサイクロデキストリンの包接物を加え、減圧、濃縮(65−75℃)して、乾燥させ、粉砕して抽出物粉末とする。
D.抽出物粉末に適量の16%湿澱粉を加え、均一に混合して、95%エタノールを加え、16メッシュのスクリーンを通して粒を作り、14メッシュのスクリーンで粒を整えて、乾燥(60℃以下)させ、1%のステアリン酸マグネシウムを入れて、押圧して1000錠の錠剤にして、被覆する。

【公表番号】特表2007−532493(P2007−532493A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506639(P2007−506639)
【出願日】平成16年5月24日(2004.5.24)
【国際出願番号】PCT/CN2004/000522
【国際公開番号】WO2005/097148
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(506336887)北京奇杰源医▲薬▼科技▲発▼展有限公司 (1)
【Fターム(参考)】