説明

エキシマランプ

【課題】エキシマランプにおいて、紫外線およびオゾンを適切に発生させる。
【解決手段】外管30と内管40から成る発光管20、外側電極50A、50B、内側電極60とを備えたエキシマランプ10において、発光管20の開放空間80に内側電極60を非接触で配置する。点灯時、発光管20の壁中に密閉状態で形成された放電空間70に誘電体バリア放電が生じて紫外線が放射される一方、内管40と内側電極60との間でコロナ放電が生じ、オゾンが発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体バリア放電によって発光するエキシマランプに関し、特に、エキシマランプの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
エキシマランプなど紫外線を放射する無電極放電ランプは、滅菌、殺菌、除染、洗浄処理等に光源として利用されている。その中で、発光管内の空気に紫外線を照射することによって、紫外線とともに殺菌能力のあるオゾンを発生させる無電極放電ランプが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
そこでは、流水管内部に配置された円筒状外管に励起コイルを巻き回し、外管内部に内管を挿通させている。高周波電流をコイルに供給することで放電が生じ、紫外線が流水管内の水を殺菌する。それとともに、内管に送り込まれる空気に紫外線が当たることで、オゾンが発生する。オゾンが管内に噴出することにより、管内の流水は紫外線とオゾン両方によって殺菌される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−134779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した無電極放電ランプでは、紫外線放射量の一部がオゾン発生に使用される。オゾン発生量が紫外線放射量に依存するため、オゾン発生量を個別に調整することができない。
【0006】
したがって、紫外線放射量に関係なくオゾン発生を調整することが可能な放電ランプが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエキシマランプは、外管と、外管内に配置される内管とを有する発光管とを備え、外管の外周面側には、外側電極が配置される。一方、内管の管内を形成する空間(以下、開放空間という)には、内側電極が軸方向に沿って配置される。外管と内管との間には放電空間が形成され、放電ガスが封入される。
【0008】
発光管は、様々な形状で構成することが可能である。発光管の一方の端部のみを開口するように構成してもよく、あるいは、発光管の両端を開口するようにしてもよい。ただし、「開口する」というのは、開放空間が閉じておらず、ランプ外部空間と繋がっていることを意味する。開放空間には、空気など酸素を含むガスが存在すればよい。
【0009】
外部電極、内部電極についても、様々な形状で構成することが可能である。例えば、帯状の外部電極を外管の外周面に軸方向に沿って複数接触配置することが可能であり、あるいは、導線状の外部電極を網状に配置することもできる。また、内側電極としては、1つの柱状電極を配置することが可能であり、その断面形状を、円状、楕円状、十字状、板状、多角形状等、様々な形状にすることができる。
【0010】
本発明のエキシマランプは、内側電極が、内管と非接触になっている。そのため、点灯のため電極間に電圧が印加されると、放電空間において誘電体バリア放電が生じる一方、内管と内側電極との間でコロナ放電が生じる。その結果、開放空間内の酸素が反応してオゾンが発生し、オゾンが開放空間からランプ外部へ放出される。
【0011】
このように本発明では、紫外線を開放空間に照射してオゾンを発生させるのではなく、コロナ放電を生じさせることによってオゾンを得る。したがって、コロナ放電の発生条件等を考慮することで、紫外線放射量、および紫外線放射量の変化に関係なく、オゾン発生量を調整することが可能となる。
【0012】
このようなエキシマランプは、殺菌、滅菌、除菌、洗浄などを行う処理装置に装着することが可能である。処理装置におけるエキシマランプは、径方向に紫外線を放射するとともに、軸方向に沿ってオゾンを発生することができる。
【0013】
コロナ放電の発生は、発光管、内側電極の配置構造に依存するが、本発明では、内側電極と発光管が接触していないため、別々に保持することが可能となる。したがって、発光管と内側電極を個別に交換可能にすることで、様々な発光管、内側電極を選択的に設置することが可能であり、また、内側電極と発光管との相対的位置を変更することも可能である。
【0014】
オゾン発生量については、開放空間の中でコロナ放電が生じる空間領域の大きさに従って変化する。このことから、仕様等に合わせて、コロナ放電の生じる空間領域を変更可能であるように構成すればよい。具体的には、発光管の形状、内側電極の形状(断面サイズ、断面形状、外観形状など)、内側電極の発光管に対する配置場所等を変えることによって、コロナ放電の生じる空間領域の変更を可能とする構成にすることが出来る。
【0015】
内側電極の位置を変える場合、例えば、内側電極を軸方向に沿って移動させる、すなわち、内電極の位置を変更することが可能である。内側電極を開放空間内で外側電極に対して軸方向にシフトさせる構成が可能である。あるいは、内側電極の軸方向長さが開放空間の軸方向長さに合わせて設定されている場合、内側電極を、開放空間に対して部分的に挿入すればよい。
【0016】
挿入長さの違いによって、オゾン発生量が変化する。あるいは、電極心棒と、電極心棒を挿通させた電極管によって内側電極を構成し、電極管を、軸方向に沿って電極心棒に対し移動させることもできる。
【0017】
一方、内側電極を相対移動させる代わりに、軸方向長さ、側面から見た軸方向の外観形状(プロファイル)、断面形状を調整することでオゾン発生量を調整することができる。内側電極の軸方向長さを調整する場合、内側電極の軸方向長さを、外側電極の軸方向長さよりも所定長さだけ短くすることできる。電極の長さの差に応じて、オゾン発生量が変化する。
【0018】
一方、外観形状を調整する場合、互いに径の異なる複数の電極部を軸方向に沿って並べて内側電極を形成することができる。内側電極と内管表面との距離間隔の違いによってオゾン発生量が軸方向に沿って異なる。また、テーパー部分を有する内側電極を構成することも可能である。特に、内側電極の相対移動と外観形状とを組み合わせることにより、コロナ放電領域を細かく変更することが可能であり、オゾン発生量を高精度に調整することができる。
【0019】
また、内側電極の断面形状を考慮する場合、断面形状の違いによってコロナ放電発生領域が異なり、オゾン発生量を調整することができる。
【0020】
内側電極は誘電体バリア放電にも利用されている。そのため、内側電極の形状、配置場所変更は、紫外線放射量にも影響する。そのため、内管と内側電極との間に補助電極を配置し、誘電体バリア放電とは完全に独立してオゾン発生量を調整するようにしてもよい。補助電極は、内管の内周面に設置してもよく、内管と接触しないように配置することも可能である。
【0021】
本発明の放電ランプの点灯方法は、放電ガスが封入される発光管と、発光管の外周面側に配置される外側電極と、発光管の内周面側に形成される開放空間内に配置される内側電極とを備えた放電ランプに対し、外側電極と内側電極との間に高周波電圧を印加することによって、発光管内に誘電体バリア放電を生じさせる放電ランプの点灯方法であって、開放空間においてコロナ放電が生じるように、内側電極を発光管とは非接触で配置することを特徴とする。
【0022】
紫外線量に関係なくオゾン発生量を調整することを考慮すると、コロナ放電の生じる空間領域を変更することにより、オゾン発生量を調整するのがよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、エキシマランプにおいて、紫外線およびオゾンを適切に発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態であるエキシマランプの軸方向から見た概略的平面図である。
【図2】図1のII−IIに沿ったエキシマランプの概略的断面図である。
【図3】点灯時の放電状態を示すエキシマランプの概略的断面図である。
【図4】第2の実施形態であるエキシマランプの概略的断面図である。
【図5】第3の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【図6】第4の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【図7】第5の実施形態におけるランプ軸方向から見たエキシマランプの概略的平面図である。
【図8】第6の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【図9】第7の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【図10】第8の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【図11】第9の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【図12】内部電極を部分的に移動したときのエキシマランプの概略的断面図である。
【図13】第10の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【図14】第11の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0026】
図1は、第1の実施形態であるエキシマランプの軸方向から見た概略的平面図である。図2は、図1のII−IIに沿ったエキシマランプの概略的断面図である。
【0027】
エキシマランプ10は、石英ガラスから成る円筒状の発光管20と、帯状の外側電極50A、50Bと、柱状の内側電極60とを備えた放電ランプであり、機器、基材、液体、気体などに対して殺菌、滅菌、除菌、あるいは洗浄などを行なう処理装置15に設置されている。
【0028】
発光管20は、石英ガラスからなる外管30と内管40とを一体化させた断面U字型の筒状石英ガラス管であり、管端部20E1はランプ外部空間と繋がる一方、他方の管端部20E2はランプ外部空間に対して閉じている。内管40、外管30は、ともに有底筒状管であり、管端部20E1で一体的に繋がることで管端部20E1の表面を構成する。
【0029】
このような発光管20の構成により、発光管20(内管40)内に形成された筒状凹空間(以下では、開放空間という)80ととともに、密閉空間(以下では、放電空間という)70が、外管30と内管40との間、すなわち発光管20の管壁内に形成される。開放空間80は外気と繋がる一方、放電空間70には、Xeなどの希ガス、もしくは希ガスとハロゲンガスとの混合ガス(放電ガス)が封入されている。
【0030】
外管30の外周面30S上には、外側電極50A、50Bが接着固定されている。ランプ軸Cに沿って延びる帯状の外側電極50A、50Bは、ランプ軸Cを挟んで対向する位置に設置されている。一方、円柱状の内側電極60は、その電極軸がランプ軸Cと一致するように、開放空間80内に同軸設置されている。
【0031】
内側電極60は、内管40の内周面40Sに接しておらず、発光管20と内側電極60は別々に装着されている。そのため、発光管20と内側電極60とは個別に交換可能である。発光管20は、保持機構16によって保持されており、また、内側電極60は、保持機構18によって保持されている。
【0032】
外側電極50A、50Bと内側電極60は、交流電源部90に接続されている。点灯時、外側電極50A、50Bと内側電極60の間には、高周波で数kVの高電圧が印加される。これによって、誘電体バリア放電とともに、コロナ放電が発生する。
【0033】
図3は、点灯時の放電状態を示すエキシマランプの概略的断面図である。図3を用いて、点灯時の放電状態について説明する。
【0034】
外側電極50A、50Bと内側電極60の間に高電圧が印加されると、ともに誘電体である内管40と外管30との間で誘電体バリア放電が生じる。放電空間70には希ガスが封入されているため、紫外光であるエキシマ光が放電空間70内で生じる。その結果、紫外光がエキシマランプ10からランプ径方向に放射される。
【0035】
一方、内側電極60は内管40と接触していないため、高電圧の印加によって内側電極60と内管40との間に著しい不平等電界が生じる。その結果、ストリーマコロナ放電が開放空間80内の内側電極60と内管40との間(コロナ放電空間領域)に生じる。
【0036】
開放空間80は外気と通じていることから、コロナ放電によって空気中の酸素からオゾンが発生する。発生したオゾンは、管端部20E1から流出する。
【0037】
紫外線照射量、オゾン発生量は、内側電極60と内管40との距離間隔といったコロナ放電空間領域の構成、印加電圧などに従う。ここでは、処理装置15の仕様等に定められた紫外線照射量、オゾン発生量に基づいて定められる。
【0038】
紫外線によってオゾンが発生するのではなく、コロナ放電によってオゾンが発生する。そのため、紫外線放射量の一部をオゾン発生に当てる必要がなく、オゾン発生量を調整するために紫外線放射量を変更する必要がない。電極配置、電極形状、発光管形状などを適宜変更することにより、オゾン発生量を調整することが可能となる。
【0039】
また、開放空間80に向けて紫外線を放射する必要がないため、紫外線不透過の材質で内管40を構成しても、オゾン発生量に影響しない。また、紫外線を全てランプ外部へ放射するように構成することも可能となり、放電空間70の内管表面を鏡面にすることにより、発生する紫外線を全てランプ外部へ放射させることも可能である。
【0040】
このように本実施形態によれば、外管30と内管40から成る発光管20、外側電極50A、50B、内側電極60とを備えたエキシマランプ10において、発光管20の開放空間80に内側電極60を非接触で配置する。点灯時、発光管20の壁中に密閉状態で形成された放電空間70に誘電体バリア放電が生じて紫外線が放射される一方、内管40と内側電極60との間でコロナ放電が生じてオゾンが発生する。
【0041】
なお、発光管20内に形成される開放空間80はランプ外部(大気)と通じているが、これに限定されず、ランプ外部以外の酸素を含むガスが開放空間80に満たされるように、そのガスが存在するランプ外部空間と連通する構成であればよい。さらに、網状電極以外の電極(コイル電極)などを配置させてもよい。
【0042】
次に、図4を用いて、第2の実施形態であるエキシマランプについて説明する。第2の実施形態では、放電管の両端が開口された構成となっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じである。
【0043】
図4は、第2の実施形態であるエキシマランプの概略的断面図である。
【0044】
エキシマランプ100は、外管130と内管140から構成される発光管120と、外側電極150A、150Bと、内側電極160とを備える。外管130と内管140との間には放電空間170が形成されており、内管140に形成された開放空間180には、内側電極160が非接触状態で同軸配置されている。
【0045】
発光管120は、両端部において開口している。そのため、ランプ点灯時、紫外線が放電空間170から放射されるとともに、コロナ放電によって生じたオゾンが、開放空間180の両側から拡散していく。このように、発光管形状を変更することにより、オゾンを効率よく拡散させることができる。
【0046】
次に、図5を用いて、第3の実施形態であるエキシマランプについて説明する。第3の実施形態では、内側電極の断面サイズが、第1の実施形態と比べて大きい。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じである。
【0047】
図5は、第3の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【0048】
エキシマランプ200は、外管230と内管240から構成される発光管220と、外側電極250A、250Bと、内側電極260とを備える。外管230と内管240との間には放電空間270が形成されており、内管240に形成された開放空間280には、内側電極260が非接触状態で同軸配置されている。
【0049】
上述したように、内側電極260は、発光管220とは独立して保持されており、交換可能に保持されている。ここでは、第1の実施形態に示した内側電極とは異なる内側電極が、仕様等に合わせて設置されている。
【0050】
柱状である内側電極260の半径Pは、開放空間280の半径Jよりわずかに小さく、内側電極260と内管240との距離間隔Mは短い。すなわち、コロナ放電空間領域は、第1の実施形態と比べて非常に狭い。そのため、オゾン発生量は、第1の実施形態と比べて少ない。
【0051】
このような内側電極260を選択的に配置することにより、オゾン発生量を抑制することができる。内側電極260の径の大きさは、処理装置の仕様、動作環境等に基づいて定めればよい。
【0052】
なお、第2の実施形態で示したように、発光管両端部を開口させてもよい。
【0053】
次に、図6を用いて、第4の実施形態であるエキシマランプについて説明する。第4の実施形態では、内側電極の軸方向長さが、外側電極の軸方向長さよりも短い。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じである。
【0054】
図6は、第4の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【0055】
エキシマランプ300は、外管330と内管340から構成される発光管320と、外側電極350A、350Bと、内側電極360とを備える。外管330と内管340との間には放電空間370が形成されており、内管340に形成された開放空間380には、内側電極360が非接触状態で同軸配置されている。
【0056】
内側電極360の軸方向長さLは、外側電極350A、350Bの軸方向長さNよりも短い。そのため、第1の実施形態と比べてコロナ放電空間領域が狭い。その結果、オゾン発生量が抑えられる。また、紫外線発生量も抑えられる。
【0057】
なお、第2の実施形態で示したように、発光管両端部を開口させてもよい。また、第3の実施形態で示したように、内側電極の径の大きさを変更してもよい。
【0058】
次に、図7を用いて、第5の実施形態であるエキシマランプについて説明する。第5の実施形態では、内側電極の断面形状が十字型に構成されている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じである。
【0059】
図7は、第5の実施形態におけるランプ軸方向から見たエキシマランプの概略的平面図である。
【0060】
エキシマランプ400は、内管と外管(ともに図示せず)から構成される発光管420と、4つの外側電極450A〜450Dと、内側電極460とを備える。内管と外管との間には放電空間(図示せず)が形成されており、内管に形成された開放空間480には、内側電極460が非接触状態で同軸配置されている。
【0061】
内側電極460は、その断面が十字状に形成されており、その十字端部460A〜460Dと発光管420との距離間隔はそれぞれ等しく、外側電極450A〜450Dとそれぞれ対向するように内側電極460が位置決めされている。コロナ放電は、内側電極460の端部460A〜460Dと発光管420(内管)との間で生じる。
【0062】
このような内側電極の断面形状により、オゾン発生量を変更することができる。すなわち、内側電極と内管との距離間隔を周方向に沿って変化させることにより、コロナ放電発生領域を変化させ、オゾン発生量を調整することができる。なお、断面形状については、十字形状以外にも、板状、多角状、楕円状など、様々な形状を適用することが可能である。
【0063】
なお、第2の実施形態で示したように、発光管両端部を開口させてもよい。また、第3の実施形態で示したように、内側電極の径の大きさを変更してもよい。さらに、第4の実施形態で示したように、内側電極の軸方向長さを短くしてもよい。
【0064】
次に、図8を用いて第6の実施形態であるエキシマランプについて説明する。第6の実施形態では、内側電極の挿入長さが軸方向に沿って変更、調整される。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じである。
【0065】
図8は、第6の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【0066】
エキシマランプ500は、外管530と内管540から構成される発光管520と、外側電極550A、550Bと、内側電極560とを備える。外管530と内管540との間には放電空間570が形成されており、内管540に形成された開放空間580には、内側電極560が非接触状態で同軸配置されている。
【0067】
内側電極560は、その一部が発光管520から長さKだけ突出するように保持されている。この内側電極560の突出長さKを調整する、言い換えれば、内側電極560の開放空間580に対する軸方向挿入長さを変更、調整することにより、オゾン発生量を調整することができる。また、紫外線発生量も、内側電極560の軸方向挿入長さに応じて調整される。
【0068】
内側電極560の軸方向位置調整は、例えば、内側電極560の軸方向移動を可能にする保持機構(図示せず)によって実現可能である。本実施形態では、内側電極560の軸方向長さおよび外側電極550A、550Bの軸方向長さが開放空間580の軸方向長さに合わせてあるが、開放空間に比べて軸方向長さの短い内側電極、外側電極を用意し、内側電極を開放空間内で相対的に移動させる構成にしてもよい。
【0069】
なお、第2の実施形態で示したように、発光管両端部を開口させてもよい。この場合、内側電極の挿入長さ変更範囲が広がることにより、オゾン発生量の変化幅を大きくすることができる。
【0070】
また、第3の実施形態で示したように、内側電極の径の大きさを変更してもよい。さらに、第4の実施形態で示したように、内側電極の軸方向長さを短くしてもよい。あるいは、第5の実施形態のように、内側電極の断面形状を変更してもよい。
【0071】
次に、図9を用いて、第7の実施形態であるエキシマランプについて説明する。第7の実施形態では、内側電極の断面形状が軸方向に沿って変化している。それ以外の構成については、第1、第6の実施形態と同じである。
【0072】
図9は、第7の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【0073】
エキシマランプ600は、外管630と内管640から構成される発光管620と、外側電極650A、650Bと、内側電極660とを備える。外管630と内管640との間には放電空間670が形成されており、内管640に形成された開放空間680には、内側電極660が非接触状態で同軸配置されている。
【0074】
内側電極660は、相対的に径の小さい電極部660Aと、相対的に径の大きい電極6660Bとを軸方向に沿って並列させた構造になっている。そして、内側電極660は、軸方向に沿って移動可能である。したがって、内側電極660の挿入長さを変更することによって、オゾン発生量が、開放空間680内の電極部660Aと電極部660Bの占有割合に応じて段階的に変化することになり、オゾン発生量を細かく調整することが可能となる。
【0075】
なお、第2の実施形態で示したように、発光管両端部を開口させてもよい。また、第3の実施形態で示したように、内側電極の径の大きさを変更してもよい。さらに、第4の実施形態で示したように、内側電極の軸方向長さを短くしてもよい。あるいは、第5の実施形態のように、内側電極の断面形状を変更してもよい。
【0076】
次に、図10を用いて、第8の実施形態であるエキシマランプについて説明する。第8の実施形態では、内側電極がテーパー形状を有する。それ以外の構成については、第1、6、7の実施形態と同じである。
【0077】
図10は、第8の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【0078】
エキシマランプ700は、外管730と内管740から構成される発光管720と、外側電極750A、750Bと、内側電極760とを備える。外管730と内管740との間には放電空間770が形成されており、内管740に形成された開放空間780には、内側電極760が非接触状態で同軸配置されている。
【0079】
内側電極760は、テーパー形状の電極部760Aと、径が一定の電極部760Bから構成される。また、内側電極760は、軸方向に沿って移動可能である。したがって、テーパー形状電極部760Aの位置を変えることにより、より一層細かくオゾン発生量を調整することが可能になる。
【0080】
なお、第2の実施形態で示したように、発光管両端部を開口させてもよい。また、第3の実施形態で示したように、内側電極の径の大きさを変更してもよい。さらに、第4の実施形態で示したように、内側電極の軸方向長さを短くしてもよい。あるいは、第5の実施形態のように、内側電極の断面形状を変更してもよい。さらに、第7の実施形態の電極にテーパー部分を形成してもよい。
【0081】
次に、図11、12を用いて、第9の実施形態であるエキシマランプについて説明する。第9の実施形態では、内側電極が部分的に移動する構造になっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じである。
【0082】
図11は、第9の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。図12は、内部電極を部分的に移動したときのエキシマランプの概略的断面図である。
【0083】
エキシマランプ800は、外管830と内管840から構成される発光管820と、外側電極850A、850Bと、内側電極860とを備える。外管830と内管840との間には放電空間870が形成されており、内管840に形成された開放空間880には、内側電極860が非接触状態で同軸配置されている。
【0084】
内側電極860は、電極心棒860Bを電極管860Aに挿通させた構造であり、電極管860Aは、電極心棒860Bに対し摺動可能である(図12参照)。したがって、内側電極860自身を軸方向に移動させることなく、内側電極860の開放空間880に対する挿入長さを変更することにより、オゾン発生量を調整することが可能である。
【0085】
なお、第2の実施形態で示したように、発光管両端部を開口させてもよい。また、第3の実施形態で示したように、内側電極の径の大きさを変更してもよい。さらに、第4の実施形態で示したように、内側電極の軸方向長さを短くしてもよい。あるいは、第5の実施形態のように、内側電極の断面形状を変更してもよい。さらに第8、9の実施形態のように、軸方向に沿って外観形状を変化させてもよい。
【0086】
次に、図13を用いて、第10の実施形態であるエキシマランプについて説明する。第10の実施形態では、内側電極と外側電極との間に補助電極が設けられる。それ以外の構成については、第1、6の実施形態と同じである。
【0087】
図13は、第10の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【0088】
エキシマランプ900は、外管930と内管940から構成される発光管920と、外側電極950A、950Bと、内側電極960とを備える。外管930と内管940との間には放電空間970が形成されており、内管940に形成された開放空間980には、内側電極960が非接触状態で同軸配置されている。
【0089】
内管940の内周面940Sには、軸方向に延びる帯状補助電極910A、910Bが対になって設置されており、外側電極950A、950Bとそれぞれ対向するように内周面940Sに接触固定されている。外側電極950A、950B、補助電極910、内側電極960の電極間は電源部990と接続されており、各電極間で互いに異なる極となるように、電圧が印加される。
【0090】
補助電極910A、910Bにより、内側電極960と補助電極910A、910Bとの間でコロナ放電が生じる。一方、誘電体バリア放電は、補助電極910と外側電極950A、950Bとの間で生じる。したがって、誘電体バリア放電の放電状態に関係なく、オゾン発生量を調整することが可能である。
【0091】
なお、第2の実施形態で示したように、発光管両端部を開口させてもよい。また、第3の実施形態で示したように、内側電極の径の大きさを変更してもよい。さらに、第4の実施形態で示したように、内側電極の軸方向長さを短くしてもよい。あるいは、第5の実施形態のように、内側電極の断面形状を変更してもよい。
【0092】
また、第7、8の実施形態のように、外観形状を軸方向に沿って変化させ、第9の実施形態のように、内側電極が部分的に軸方向に移動可能であってもよい。
【0093】
次に、図14を用いて、第11の実施形態であるエキシマランプについて説明する。第11の実施形態では、補助電極と内管とが接触していない。それ以外の構成については、第1、6、10の実施形態と同じである。
【0094】
図14は、第11の実施形態におけるエキシマランプの概略的断面図である。
【0095】
エキシマランプ1000は、外管1030と内管1040から構成される発光管1020と、外側電極1050A、1050Bと、内側電極1060とを備える。外管1030と内管1040との間には放電空間1070が形成されており、内管1040に形成された開放空間1080には、内側電極1060が非接触状態で同軸配置されている。
【0096】
内管1040の開放空間1080には、補助電極1010A、1010Bが対になって設置されているが、内管1040の内周面1040Sには接しないように保持されている。これにより、補助電極1010A、1010Bと内管1040との間においても、コロナ放電を発生させることが可能となる。
【0097】
なお、第2の実施形態で示したように、発光管両端部を開口させてもよい。また、第3の実施形態で示したように、内側電極の径の大きさを変更してもよい。さらに、第4の実施形態で示したように、内側電極の軸方向長さを短くしてもよい。あるいは、第5の実施形態のように、内側電極の断面形状を変更してもよい。
【0098】
また、第7、8の実施形態のように、外観形状を軸方向に沿って変化させ、第9の実施形態のように、内側電極が部分的に軸方向に移動可能であってもよい。
【0099】
なお、上述したように、第1〜第11の実施形態では、他の実施形態との組み合わせが可能であるが、改めて説明すると、その中の任意の実施形態は、同等の作用、効果を得る範囲で、他の実施形態の1つあるいは任意の複数の実施形態と組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0100】
10 エキシマランプ
15 処理装置
20 発光管
30 外管
40 内管
50A、50B 外側電極
60 内側電極
70 放電空間
80 開放空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管と、前記外管内に配置される内管とを有する発光管と、
前記外管の外周面側に配置される外側電極と、
前記内管内に形成される開放空間に、軸方向に沿って配置される内側電極とを備え、
前記外管と前記内管との間に、放電ガスが封入される放電空間が形成され、
前記放電空間において誘電体バリア放電が生じるとともに、
前記内管と前記内側電極との間においてコロナ放電が生じるように、前記内側電極が前記内管と非接触であることを特徴とするエキシマランプ。
【請求項2】
コロナ放電の生じる空間領域を変更可能であることを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
【請求項3】
前記内側電極の位置が、軸方向に沿って変更可能であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項4】
前記内側電極が、開放空間に対して部分的に挿入されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項5】
前記内側電極が、電極心棒と、前記電極心棒を挿通させた電極管とを有し、
前記電極管が、軸方向に沿って前記電極心棒に対し移動可能であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項6】
前記内側電極の軸方向長さが、前記外側電極の軸方向長さよりも所定長さだけ短いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項7】
前記内側電極が、互いに径の異なる複数の電極部を軸方向に沿って並べて形成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項8】
前記内側電極が、テーパー部分を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項9】
前記内側電極の断面形状が、円状、楕円状、十字状、板状、多角形状のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項10】
前記内管と前記内側電極との間に配置される補助電極をさらに有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項11】
前記補助電極が、前記内管の内周面に配置されていることを特徴とする請求項10に記載のエキシマランプ。
【請求項12】
前記補助電極が、前記内管と接触せずに配置されていることを特徴とする請求項10に記載のエキシマランプ。
【請求項13】
前記発光管の一方の端部のみ、開口していることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項14】
前記発光管の両端が、開口していることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のエキシマランプ。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載のエキシマランプを備えた殺菌、滅菌、除菌、および洗浄のうち少なくともいずれかを行なう処理装置。
【請求項16】
放電ガスが封入される発光管と、前記発光管の外周面側に配置される外側電極と、前記発光管の内周面側に形成される開放空間内に配置される内側電極とを備えた放電ランプに対し、前記外側電極と前記内側電極との間に高周波電圧を印加することによって、前記発光管内に誘電体バリア放電を生じさせる放電ランプの点灯方法であって、
開放空間においてコロナ放電が生じるように、前記内側電極を前記発光管とは非接触で配置することを特徴とする放電ランプの点灯方法。
【請求項17】
コロナ放電の生じる空間領域を変更することにより、オゾン発生量を調整することを特徴とする請求項16に記載の放電ランプの点灯方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−69533(P2013−69533A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207098(P2011−207098)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000128496)株式会社オーク製作所 (175)
【Fターム(参考)】