説明

エキソソームに結合して目的のポリペプチドの分泌を可能にするキメラポリヌクレオチド及びポリペプチド、並びに免疫原性組成物の産生におけるこれらの使用

エキソソームに結合した目的のポリペプチドの分泌を可能にするキメラポリヌクレオチド及びポリペプチド、並びに免疫原性組成物の産生におけるこれらの使用。
本発明は、膜小胞、特にエキソソームに結合して分泌されることができる複数のポリペプチドドメインを含んでなるキメラポリペプチドに関する。
本発明はまた、膜小胞、特にエキソソームに結合した、目的のペプチドまたはポリペプチドの分泌のための、当該ドメインの1つによって構成されるポリペプチド関する。
本発明はまた、本発明のポリペプチド並びにエキソソームまたはDNAに基づく免疫原性組成物の産生のための或いはタンパク質相互作用をスクリーニングするための当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの使用に関する。
本発明はまた、病原性物質、病原体、腫瘍抗原または細胞質抗原による感染の予防及び/又は治療のための、特にインビボ(in vivo)で、宿主、特にヒトまたはヒト以外の哺乳類或いは鳥類で、ウイルス、細菌、寄生虫或いは腫瘍に対する体液性及び/又は細胞性応答を誘発または促進するために、本発明のポリペプチドを含んでなるエキソソーム及び本発明の免疫原性組成物の特性を利用することに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキソソームに結合して目的のポリペプチドの分泌を可能にするキメラポリペプチド及びポリヌクレオチド、並びにDNAまたはエキソソームに基づく免疫原性組成物の産生における、或いはタンパク質相互作用をスクリーニングするためのこれらの使用に関する。
本発明は、適当な真核細胞において発現される場合に、エキソソームに結合して分泌されることができるキメラポリペプチドであって、複数のポリペプチドドメインを含んでなるキメラポリペプチド、に関する。
【0002】
本発明はまた、これらのドメインの一つによって構成されるポリペプチドであって、これが結合する目的のペプチドまたはポリペプチドのエキソソームと結合した状態での分泌のための、ポリペプチドに関する。
本発明はまた、膜小胞、特に本発明のポリペプチドを含んでなるエキソソーム、このようなエキソソームに基づく免疫原性組成物、並びに当該エキソソームを産生するための方法に関する。
【0003】
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及びこれを含んでなる免疫原性組成物、特にこれを含んでなるDNAワクチンに関する。
本発明はまた、(ヒトまたはヒトでない)宿主においてインビボ(in vivo)で、病原性物質、病原体、腫瘍抗原または細胞質抗原による感染の予防及び/又は治療のために、特にウイルス、細菌、寄生虫または腫瘍に対する体液性及び/又は細胞性応答を誘発または促進するために、本発明の膜小胞及び免疫原性組成物の特性を利用することに関する。
本発明はまた、目的のペプチドまたはポリペプチドに対する抗体を産生するために、或いは目的のペプチドまたはポリペプチドと相互作用する分子をスクリーニングするための方法の中で、本発明の膜小胞の使用を想定する。
【背景技術】
【0004】
エキソソームは、脂質二重層によって囲まれた小球の形態で存在する。これらの膜小胞は、様々なタイプの細胞によって、特に上皮細胞、腫瘍細胞及び免疫システムの一定の細胞、(マスト細胞、T及びBリンパ球、樹状細胞、特にランゲルハンス細胞)によって自然に分泌される。エキソソームは、特に小さな寸法(直径50〜100nm)によって、並びにこれらの膜タンパク質組成物(とりわけ、接着、輸送、シグナル伝達分子及び主要組織適合遺伝子複合体の分子)によって、当該細胞によって分泌される他の膜小胞と区別される。
【0005】
エキソソームは、これらのエンドソームの原形質膜との融合の間に、細胞から分泌される多胞体エンドソーム(特に後期エンドソーム)の内部小胞に特に相当し得る;多胞体エンドソームは通常リソソーム区画(タンパク質分解経路)中の分子の輸送に関与するが、一定の細胞、例えば網状赤血球及び抗原提示細胞では、エキソソームを細胞外媒体(extracellular medium)中へ遊離させるためにこれらが融合する原形質膜へ向けられている。
【0006】
以前の研究から、エキソソームは体液性及び/又は細胞性免疫応答を誘発することができることが実証されている(Delcayre等、2002)。エキソソームは、抗原特異的方法でインビトロで(in vitro)直接Tリンパ球を刺激することができる抗原ベクターであると考えられている。樹状細胞によって分泌されるエキソソームは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)、クラスI及びIIの分子を発現する。エキソソームによって運搬される機能性ペプチド/MHC複合体は、ある樹状細胞から、MHC分子と結合するペプチドが由来する抗原の経験のない他の細胞へ輸送される。未感作の樹状細胞を徐々に刺激することによって、次々に、抗原性ペプチドを表面に有する分泌されたエキソソームが特定のT CD4 及びT CD8応答の増幅に寄与する(Delcayre and Le Pecq, 2006)。例えば、エキソソームに腫瘍ペプチドを保持させそしてマウスへ注射する場合、これらのエキソソームにより、強い免疫応答を促進しそして固い予め樹立された腫瘍に消失を引き起こすことができる(Zitvogel等, 1998)。
【0007】
エキソソームは、本来の完全な長さのタンパク質の形態でまたはMHCI及びII分子と結合するペプチドの形態で外来性抗原を提示することができる(Colino and Snapper 2006)。エキソソームの表面での抗原提示は細胞またはエンベロープを有するウイルスの膜での提示と同様である。しかしながら、エキソソームは、活性も感染性もないので、これらはウイルスの場合なら注意しなければならない制限はなく、通常の物質のように操作することができる利点を有する。したがって、エキソソームは、免疫付与の目的のために抗原性ペプチドまたはポリペプチドの提示物として使用することができる。「エキソソームディスプレー(display)」と呼ばれるこの技術は、MHCによる抗原の直接提示は必ずしも必要でない(Chaput 等, 2004)。しかしならが、この新規なワクチン接種技術の発達は、抗原性タンパク質をターゲティングするために使用することができる効果的な分子的「手段」はエキソソームで使用できることが想定される。しかしながら、今日まで、このような「手段」は記載されていない。
【0008】
レトロウイルス、より詳細にはヒト免疫不全ウイルス(HIV)の研究で、これらは原形質膜に出芽(bud)するために多胞体エンドソームの生合成の細胞機構を流用する能力を有することが示されている(Pornillos 等, 2002)。これらのウイルスはまた、エンドソームの膜レベル、通常の機能部位上でこの機構を使用することができる。マクロファージにおいて、HIVは多胞体エンドソームの膜で出芽し、したがって大量のウイルス粒子を蓄積する(Raposo 等, 2002)。エキソソーム及びHIV粒子の対照研究と関連するこの発見の結果、「トロイ(Trojan)のエキソソーム」仮説が立てられた(Gould 等, 2003)。この仮説では、ウイルスはウイルス粒子の形成用のエキソソーム生合成のために、予め存在する経路を使用する。
【0009】
さらに、ウイルスの組み立て場所は、病原性及び感染の発症の重要な結果となり得る。HIVの場合には、感染したマクロファージは重要な感染性保有宿主を構成することが現在知られている。実質的にこれらの細胞は、通常ウイルス粒子の存在によって誘発されるアポトーシスを起こしにくいように思われる(Herbein 等, 2002);これらのウイルス産生は、抗ウイルス剤の感受性が低くそしてウイルスは長期間に渡って感染力を保存することができるように思われる。したがって、HIVが出芽しそしてこれらの細胞の多胞体エンドソームに蓄積するという事実は、このタイプの感染には重要である。
【0010】
レトロウイルスは、RNAゲノム並びに、二重カテナリー(bicatenary)のDNA中にウイルス性RNAゲノムを転写する逆転写酵素、及び感染した細胞のゲノム中への二本鎖DNAの挿入を可能にするウイルス性インテグラーゼを使用するため、非常に特有である複製周期を有するエンベロープを有するウイルスである。
レトロウイルスのこのエンベロープは、標的細胞の受容体と結合することに関与する外側のエンベロープタンパク質(SU)、及びウイルス膜及び細胞膜の融合に関与する膜貫通型糖タンパク質(TM)によって構成される。
【0011】
エンベロープ糖タンパク質SU及びTMは、ENVと呼ばれる成熟前駆物質タンパク質の切断に由来する。env遺伝子の発現によってレトロウイルスのエンベロープ糖タンパク質がゴルジ体を貫通するタンパク質前駆物質の形態で合成され、そしてウイルス粒子の出芽中にウイルスのエンベロープとして機能するであろう(エンドソームまたはプラズマの)膜部分に到達する。途中、このオリゴマーの前駆物質はグリコシル化され、そして表面(SU)及び膜貫通型(TM)糖タンパク質に切断される。SU及びTMタンパク質は、結合したままで、そしてTMタンパク質の疎水性膜貫通型らせん体を介して細胞膜に固定される。
エンベロープ糖タンパク質(SU及びTM)は、レトロウイルスの増殖周期で重要な役割を果たす。感染の開始は、ウイルス粒子の細胞の原形質膜への結合及び融合によって生じる。この結合は、標的細胞の表面上に存在する特定の受容体へのSUの結合によって生じる。
【0012】
レトロウイルスのTM糖タンパク質は、その外側の、膜貫通型及び細胞質内の(CD(商標登録))ドメインの結合に起因する多くの小面を有し、これによりウイルス及び感染した細胞の膜の両側でのやりとりを可能にしているレトロウイルスのタンパク質のみが形成される(Cann 等, 1992; Delamarre 等, 1996)。
TMタンパク質は、ウイルス及び細胞の膜の融合を誘発することにより、ウイルスの標的細胞への貫通現象に関与する。これはまた、細胞外及び細胞内媒体間の情報伝達に関与する。内部及び外部のドメイン間の構造的依存関係だけでなく、機能的依存関係もあり、これによりこれらのドメイン間の情報の移動が行われる。従って、細胞質ドメインはTMタンパク質の融合活性を調節することができるが、しかしながらこれは分子の外部領域によって実行される。他の場合では、外部のシグナは、細胞のトリガー活性化のためにCD(商標登録)を介して変換され得る。これは、CD(商標登録)が細胞のシグナル伝達機構のタンパク質と多かれ少なかれ直接的に相互作用することを示す。
【0013】
この細胞内の輸送の間、TMタンパク質は、細胞骨格並びにユビキチン化及び出芽機構との相互作用によって、ウイルス粒子の局在化、結果、ターゲティング及び出芽へ影響しやすい(Cann 等, 1992; Delamarre 等, 1996; Straub and Levy, 1999)。
【0014】
以前の研究から示された二つのレトロウイルス、ウシ白血病ウイルス(BLV)、及びHIVのTMタンパク質の細胞質ドメインは、エキソソームでの組換え型タンパク質の差し向け(addressing)及び分泌を誘発することができる(De Gassart 等, 2004)。恒常的な態様でエキソソームを分泌するK562株由来の細胞(ヒト由来の赤白血病株細胞)は、真核細胞システムで二つのタイプのキメラタンパク質を発現することができるレトロウイルスベクターで核酸が導入された:(i)マウスのCD8タンパク質の細胞外ドメイン並びにBLVのTM糖タンパク質の膜貫通型及び細胞質ドメイン(TM-BLV/CD8 キメラ)を含んでなるキメラ、及び(ii)マウスタンパク質CD8の細胞外及び膜貫通型ドメイン並びにVIHのTMタンパク質の細胞質ドメインを含んでなるキメラ(TM-HIV/CD8 キメラ)。この二つのキメラは、核酸が導入されたK562細胞及びこれらの細胞によって分泌されるエキソソーム中に両方とも発現される。特に、K562株の細胞中のキメラTM−BLV/CD8タンパク質の発現は、トランスゴルジネットワーク及び後期のエンドソーム区画を経由して輸送された後、急速に消滅し、これらの細胞によって分泌されるエキソソームとなる。HIVのTMタンパク質の細胞質ドメインを含んでなるキメラよりも、BLVのTMタンパク質の細胞質ドメインを含んでなるキメラは、エキソソームへより強く向けられるように思われる。
【0015】
しかしながら、本出願の実施例部分で提供する結果が示すように、De Gassart等によって記載されるキメラコンストラクト(construct)TM−BLV/CD8を運ぶエキソソームは、K562株の細胞で有効に産生されるだけであり、そして他のタイプの細胞例えばHEK293株の細胞では小範囲に産生されるのみであるかまたは効率よく産生されない。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、従来技術に記載のポリペプチド、特に、De Gassart等により記載されるポリペプチドと区別される特定のポリペプチドであって、より一層効果的な態様で目的のペプチドまたはポリペプチドを、HEK293株の細胞によって産生されるエキソソームへ差し向けることができ、従って目的の当該ペプチドまたはポリペプチドを含んでなるエキソソームの産生を非常に大きく増幅することができる(10〜100回)、ポリペプチドに関する。さらに、De Gassart等により記載される、K562株の細胞でのみ有効に使用することができるコンストラクトとは対照的に、これらのポリペプチドはエキソソーム膜へ向けることができ、そして膜小胞、特に異なる細胞タイプ、特にHEK293細胞またはTまたはBリンパ球によって、並びに例外的でなくK562株の細胞によって産生されるエキソソームと結合して分泌されることができる。
【0017】
従って、本発明は特に、大量の膜小胞、特にエキソソームを産生するために使用することができ、これらは免疫付与及び特にワクチン接種で使用することができる。このような膜小胞(特にエキソソーム)はまた、免疫付与、特にワクチン接種のために、ヒトまたはヒトでない宿主(特にヒトまたはヒトでない哺乳類或いはトリ)へ免疫原性組成物を投与することによって、当該宿主でインビボ(in vivo)で産生することができ、この免疫原性組成物の活性成分(active principle)は本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、特にDNAに基づく免疫原性組成物、より詳細には活性成分が本発明のポリペプチドを含んでなる膜小胞(特にエキソソーム)から成るDNAワクチンまたは免疫原性組成物である。
【0018】
第一の態様では、本発明は、次のドメイン:
- (i)目的のペプチドまたはポリペプチド;
- (ii)細胞膜の脂質二重層で固定される能力を有する膜ドメイン;及び
- (iii)膜タンパク質の細胞質ドメイン(CD)であって、真核細胞で、上記キメラポリペプチドを上記膜小胞へ、特にエキソソーム形成小胞へ、及び/又は膜小胞の形成に関与する細胞区画(複数)へ、特に該エキソソーム形成小胞へ差し向けることができるドメイン、或いは該CDドメインの変異誘導体であって、この変異ドメインは、参照CDドメインの配列中の置換、欠失及び/又は挿入で定義され、そして該変異誘導体はCDドメインの差し向ける能力を保存しているものであり、該CDドメインまたはこの変異誘導体は、Yがチロシン残基を示し、xが任意の残基示し、そしてLがロイシン残基を示すモチーフ(motif)YxxLを少なくとも1つ含んでなるCDドメインまたはこの変異誘導体、を含んでなるまたはこれから成るキメラポリペプチドであって;
そして上記キメラポリペプチドのCDドメイン及び膜ドメインが同一のタンパク質に由来する場合に、少なくとも当該CDドメイン、この変異誘導体またはCDドメインとしての同一のタンパク質に由来する当該膜ドメインは、元のドメインの配列における1または複数の残基(複数)の置換及び/又は欠失によって変異された誘導体であると理解することができる、ことを特徴とするキメラポリペプチドを提供する。
【0019】
当該キメラポリペプチドは、適当な真核細胞で発現される場合に、膜小胞、特にエキソソームに結合して特に分泌されることができる。
本発明は、目的のペプチドまたはポリペプチド及び上記CDドメインまたはこの変異誘導体の間に位置付けられる少なくとも1つの膜ドメインが存在する任意のキメラポリペプチドに関する。
好適な実施形態よると、ドメイン(i)〜(iii)は、本発明のキメラポリペプチドにおいてN末端からC末端へ次の順で、連続して位置付けられる:目的のペプチドまたはポリペプチド−膜ドメイン−CDドメインまたはこの変異誘導体。
あるいは、ドメイン(i)〜(iii)は次の順で位置付けられる、例えば:CDドメインまたはこの変異誘導体−膜ドメイン−目的のペプチドまたはポリペプチド。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】試験した様々なタイプのCD8―CD(商標登録)のコンストラクトを表わす。コンストラクトX2(配列 配列番号79及び配列番号80):CD8の外部ドメイン(ED)は、BLVのTMタンパク質の膜貫通型(tmD)及び細胞質(CD)ドメインと融合させた。このコンストラクトは、BLVのTMタンパク質の2つのパルミトイル化部位Cys1及びCys2並びにパルミトイル化できないシステイン残基レギュレーター(Cys 3)を保存した。コンストラクトX3(配列 配列番号81及び配列番号82):CD8のED及びtmDの一部分は、BLVのtmDの一部分及びCD(商標登録)の全体と融合させた。したがって、BLVのTmDは、最初の15残基が含まれない。このコンストラクトは、BLVのTMタンパク質の2つのパルミトイル化部位(153及び158位のシステイン残基)、並びにパルミトイル化できないシステイン残基レギュレーター(C末端位のシステイン残基;Cys3)を保存した。コンストラクトX4(配列 配列番号83〜配列番号86):CD(商標登録)BLVの主要部分を保存した。このコンストラクトでは、マウスCD8アルファの膜貫通型ドメインは、リンカーを介在して「RSR」配列と共にBLVのTMタンパク質のCDドメインへ結合させた。このコンストラクトは、BLVのTMタンパク質のパルミトイル化できないシステイン残基レギュレーター(Cys 3)のみ含んだ。
【図2】マウスCD8アルファタンパク質及びBLVのTMタンパク質から得られるキメラタンパク質の配列の概要を表わす。下線を付した残基は、CD8アルファ及びTMタンパク質の膜貫通のらせん体の残基に相当する。変異(アラニン残基によって置換)されたBLVのTMタンパク質の3つのシステイン残基は、C1、C2及びC3によって示される。作成されたキメラタンパク質は、コンストラクトX2(配列 配列番号79及び配列番号80)、X3(配列 配列番号81及び配列番号82)並びにX4(配列 配列番号83〜配列番号86)に相当する。
【図3】STET方法を使用したDNAの調製を表わす。数字1〜7は、STET生成物のサンプル番号に相当する。「M」は、サイズマーカーを表わす。高次コイルのプラスミドDNAに相当するバンドは、枠で囲まれている。
【図4】カラム精製産物中のDNAの存在の測定を表わす。高次コイルのプラスミドDNAに相当するバンドが囲まれている。A:STET方法によって得られカラムに堆積したDNA。E及びE’:カラム上に保持され溶出された画分。FT:保持されなかった画分。M:サイズマーカー。
【図5】酵素消化後の一定分量の分光測定アッセイ及びDNA濃度の調整を表わす。二重矢印は、濃度を再調整したことを示す。
【図6】酵素消化後のDNA同一性の確認を表わす。CD8―CD(商標登録)突然変異体の相違。A:pX2 AAC及びpX2 CCA突然変異体の相違。B:X2突然変異体間の相違。
【図7】様々なCD8―CD(商標登録)キメラの発現のウエスタンブロット分析を表わす。CD8―CD(商標登録)キメラは、矢印で示される。
【図8】免疫沈降後の様々なCD8―CD(商標登録)キメラの発現のウエスタンブロット分析を表わす。CD8―CD(商標登録)キメラは、矢印によって示される。
【図9】超遠心分離によって単離されたエキソソーム中のCD8―CD(商標登録)の発現のウエスタンブロット分析を表わす。55kDaのシグナルは、CD8―CD(商標登録)の存在に相当する。
【図10】pX4--C及びpX4--A突然変異体に関する、ショ糖密度勾配上で沈降後に単離された小胞のCD8―CD(商標登録)内容物のウエスタンブロット分析を示す。
【図11】小胞輸送阻害剤の存在または非存在下での、細胞溶解後のCD8―CD(商標登録)の発現のウエスタンブロット分析を表わす。CD8―CD(商標登録)キメラは、矢印によって示される。
【図12】小胞輸送阻害剤の存在または非存在下での、エキソソーム中のCD8−CD(商標登録)の発現のウエスタンブロット分析を表わす。CD8―CD(商標登録)キメラは、矢印によって示される。
【図13】一般的表現型- 表現型A -pX2 CACで形質導入したHEK293細胞の共焦点免疫蛍光法イメージによる分析を表わす。この表現型は、Cys 3を保存しているpX2突然変異体:pX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CAC及びpX2 AACで確認される(参照、結果部分:「免疫蛍光法による局在性確認」)。
【図14】一般的表現型- 表現型B- pX2 CAAで形質導入した細胞の共焦点免疫蛍光法イメージによる分析を表わす。この表現型は、Cys 3を保存していないpX2突然変異体:pX2 CCA、pX2 ACA、pX2 CAA及びpX2 AAAで確認される(参照、結果部分:「免疫蛍光法による局在性確認」)。
【図15】一般的表現型- 表現型C-pX3 CCCで形質導入した細胞の共焦点免疫蛍光法イメージによる分析を表わす。この表現型は、試験した2つのpX3突然変異体:pX3 CCC及びpX3 ACCで確認される(参照、結果部分:「免疫蛍光法による局在性確認」)。
【図16】一般的表現型- 表現型D - pX4 --Cで形質導入した細胞の共焦点免疫蛍光法イメージによる分析を表わす。この表現型は、試験した2つのpX4突然変異体:pX4 --C及びpX4 --Aで確認される(参照、結果部分:「免疫蛍光法による局在性確認」)。
【図17】一般的表現型 - 表現型E -pX4 stpで形質導入した細胞の共焦点免疫蛍光法イメージによる分析を表わす。この表現型は、pX4 stpだけで確認される(参照、結果部分:「免疫蛍光法による局在性確認」)。
【図18】強いFITCシグナルを出している核周囲の共焦点免疫蛍光法イメージによる分析を表わす。pX3 CCCで形質導入した細胞。
【図19】突然変異体CD(商標登録)パネルを表わす。
【図20】様々なPCR生成物をクローン化するために使用したTopo(商標登録)(pCR-Blunt II-TOPO)プラスミドのマップ。Topo−bluntクローニングキット(Invitrogen)中に供給したTopoベクターは直線化され、3’リン酸末端各々にワクシニアウイルス(vaccinia virus)のトポイソメラーゼIを有し、これによりPCR生成物の配列の直線化したTopoベクターとの連結が可能である。
【図21】pBluescrip II KS(+)発現ベクターを表わす。
【図22】pKSII―CD8αプラスミドのマップを表わす。
【図23】キメラ遺伝子の発現のために使用したレトロウイルスのプラスミドpLPCXのマップを表わす。これらの遺伝子は、マルチクローニングサイトへ導入される。
【図24】レトロウイルスの発現ベクターpLPCX中にクローン化した最終キメラコンストラクトのマップを表わす。
【図25】キメラタンパク質の発現及びエキソソームターゲティングの視覚化を表わす。突然変異体及び野生型CD8α−CD(商標登録)タンパク質(サイズ31kDa〜27kDa)並びにネガティブコントロール(CD8αのみを有するpLPCX発現ベクター)の全ての細胞及びエキソソーム可溶化物に関するウエスタンブロット抗CD(商標登録)及び抗CD8αを表わす。抗CD(商標登録)及び抗CD8αウサギ血清を1/200thまで希釈した。ペルオキシダーゼと結合させた抗ウサギIgG二次抗体を1/5000thまで希釈した。
【図26】エキソソームと結合したCD8αを検出するためのフローサイト蛍光測定法及びウエスタンブロットによる実験結果の比較を表わす。表は、様々なキメラタンパク質の発現及びエキソソームへのターゲティングの分析結果を示している。星で示された突然変異体は、エキソソームターゲティングに関して顕著である。CD8αタンパク質の立体構造エピトープの特定の蛍光のマウスモノクローナル抗体を使用したフローサイト蛍光測定法によって、エキソソーム上でのCD8αの存在が示された(Pharmingenからの53-6.7抗体)。
【図27】エキソソームの表面におけるCD8の発現を表わす。エキソソームの表面における各キメラタンパク質の曝露測定の平均値を表わしているヒストグラムを示す。これらの測定は、フローサイト蛍光測定法によって実施した。各キメラタンパク質の曝露は、野生型CD8a−CDTMのキメラタンパク質曝露に関するパーセンテージとして発現されている(ヒストグラム上のコンストラクトn°9 = 100 %)。標準偏差を表示する。分析したキメラタンパク質:1:ネガティブコントロール(CD8αのみを含有するpLPCX発現ベクター);2:KS5;3:KS6;4:KS8;5:KS9;6:KS10;7:KS12;8:KS14;9:野生型配列;10:コンストラクトなし;11:KM4;12:KM5;13:S;14:KTMY;15:KM8;16:E;17:KM9;18:KM11/1;19:KM11/3;20:D及び21:KM13。観察される結果から、図25及び26に表わされた結果が確認される。
【図28】単一または複数の膜貫通型ドメインを有するタンパク質をコードするキメラ遺伝子のクローニング後に得られた様々なpLPCX発現プラスミドを表わす。
【図29】A.形質導入していない(N-T)HEK293T細胞または3つのキメラタンパク質をコードする3つのコンストラクトを含有するpLPCX発現ベクターで形質導入したものに由来する細胞タンパク質抽出物で実施した、ウエスタンブロット抗CD(商標登録)−BLV分析を表わす。抗ウサギCD(商標登録)―BLV一次抗体を、1/200まで希釈し、使用した。ペルオキシダーゼに結合させた抗ウサギIgG二次抗体を1/2000で使用した。B.観察されたバンドのサイズは期待されるサイズに一致し、右側に記載する。
【図30】A.形質導入されていない(N-T)HEK293T細胞または3つのキメラタンパク質をコードする3つのコンストラクトを含有するpLPCX発現ベクターで形質導入されたものによって生成されたエキソソームタンパク質抽出物上で実施したウエスタンブロット抗CD(商標登録)―BLV分析を表わす。抗ウサギCD(商標登録)−BLV一次抗体を1/200まで希釈し、使用した。ペルオキシダーゼと結合させた抗ウサギIgG二次抗体を1/2000で使用した。B.観察されたバンドのサイズは期待されるサイズ一致し、右側に記載する。
【図31】様々な細胞(A)及びエキソソーム(B)抽出物のタンパク質フィンガープリントのクマシーブルー染色を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0021】
用語「キメラ」はここでは、機能及び/又は細胞局在性で異なる少なくとも2つのタイプ由来の複数のドメインであって、当該ドメインの少なくとも2つが異なる分子に、特に同種または異なる種からの異なるタンパク質、或いは異なる種からの同じタンパク質に由来する、複数のドメインを結合させるポリペプチドを意味する。
用語タンパク質またはポリペプチドの「ドメイン」は、当該タンパク質または当該ポリペプチドに対して機能特性を有する領域を意味する。従って、本発明のキメラポリペプチドは、キメラタンパク質に含まれる場合に細胞局在性の相違によって定義される、少なくとも二つの異なるタイプのドメイン:1または複数の膜ドメイン(複数)及び特定の細胞質ドメイン、を含んでなる。
【0022】
本発明のキメラポリペプチドは必ず少なくとも1つの膜ドメインを含んでなるが、複数含んでもよい;目的のペプチドまたはポリペプチドは、ゼロ、1または複数の膜ドメインを含んでよい(以下を参照);本発明のキメラポリペプチドは、1または複数の膜ドメインを含んでなる。当該キメラポリペプチドが単一の膜ドメインのみを含む場合、これは本発明のキメラポリペプチドの目的のペプチドまたはポリペプチドとして、同一物、特に同一のタンパク質由来であっても由来でなくてもよい。
本発明のキメラポリペプチドは、組換え型ポリヌクレオチドの発現生成物であり、そして宿主細胞において組換え型方法で発現されてよい。従って、当該キメラポリペプチドは、例えば融合ポリペプチドである。
【0023】
本願で使用する語句「膜小胞」は、真核細胞によって産生されるような細胞質ゾル画分を含んでなる脂質二重層からなる任意の小胞を意味する。この語句は、特に細胞外間隙に分泌される小胞、すなわちエキソソームを含む。
本願で使用される用語「エキソソーム」は、上記の細胞膜のナノ小胞を意味する。これらのエキソソームは、分画遠心法、限外濾過または担体上への吸着、或いは実施例で見られる任意の他の方法によって、細胞の培養上清から精製することができる。
【0024】
本願で使用される語句「膜小胞、特にエキソソームに結合して分泌される」は、本発明のキメラポリペプチド及び/又は少なくともこの分解生成物の1つが可溶形態ではなく、膜小胞、特にエキソソームの膜に固定される形態で細胞外間隙中に分泌される、ことを意味する。この固定は、当該キメラポリペプチドの膜ドメイン(複数)、または当該キメラポリペプチドの分解生成物が結合するMHC(クラスIまたはII)分子の膜ドメインを介して達成される。膜小胞(特にエキソソーム)の膜にしっかりと固定されるポリペプチドにおいて、目的のペプチドまたはポリペプチドは、(完全にまたは部分的に)膜小胞の外側に露出され、(完全にまたは部分的に)膜小胞の膜に含まれ(これは、目的の当該ポリペプチドまたはペプチドが1または複数の膜ドメインを含んでなる場合である)及び/又は(完全にまたは部分的に)膜小胞の細胞質ゾル画分に含まれてよい。
【0025】
特定の実施形態によれば、本発明のキメラポリペプチドは、エキソソームが細胞から離れる前にこれらによって産生され、そしてエキソソーム内に取り込まれる。
膜小胞(特にエキソソーム)に結合する、ペプチドまたはポリペプチドの分泌は、特に(1)膜小胞特にエキソソームの形成のために当該ペプチドまたはポリペプチドをその位置(複数)へ差し向けること、及び(2)当該ペプチドまたはポリペプチドが固定される膜からの小胞の出芽、が必要である。
本願で使用される用語「差し向けること」は、「ターゲティング」、「局在化」または「細胞内ルーティング(intracellular routing)」とも呼ばれ、細胞質ゾル中で合成が開始されるペプチドを、膜小胞、特にエキソソーム形成小胞の出芽に関与する区画へ到達させる過程、及び/又は膜小胞、特にエキソソーム形成小胞へ到達させる過程を意味する。
【0026】
膜小胞の形成のために位置(複数)及び特にエキソソームの形成のための位置(複数)へ、ペプチドまたはポリペプチドを差し向けることは、特に、当該ペプチドまたはポリペプチドには、以下に説明するように、小胞体の中への取り込みのためのシグナルペプチドが含まれるべきであり、これにより当該ペプチドまたはポリペプチドを細胞膜の中に挿入することができ、膜の固定機能は膜ドメインによって提供されている、ことが必要かもしれない。
本発明の文脈で用語「分泌」は、「エキソソーム」とも呼ばれる膜小胞、が分泌される、すなわち1または複数の細胞(複数)から細胞外間隙中に放出される過程を意味する。この過程は、特に多胞体エンドソームが細胞の原形質膜に融合する場合に生じる可能性があり、この結果これらに含まれる膜小胞を細胞から放出する。
【0027】
以下の実施例に示すように、本発明のキメラポリペプチドの差し向け及び分泌の特性を示すための試験は、当該キメラポリペプチド及び/又はこの分解生成物が、当該ポリペプチドが適当な真核細胞で発現される場合に、実際に膜小胞(特にエキソソーム)と結合することを確認することからなる。
「適当な」真核細胞は、好適には分泌のための内部小胞を含んでなる真核細胞であり、この小胞は、培養することができ、開口分泌が可能であり、遺伝子的に変更可能であり、そして好適には、外部刺激の影響下で内部小胞を分泌することができるものである。特に、これは哺乳類細胞であり、そしてより詳細にはヒト由来の細胞または由来に人間以外の哺乳類を有する細胞である。これはまた、初代培養または不死化株に関する。このような「適当な」真核細胞には、特にもともとエキソソームを産生することができる真核細胞、特にマスト細胞、T及びBリンパ球並びに樹状細胞(例えば、ランゲルハンス細胞)或いはこれらの細胞のタイプ由来の細胞、並びにエキソソームを分泌することができるように遺伝子操作によって組み換えられた真核細胞または真核細胞株由来の細胞が含まれる。
【0028】
本願で使用する用語「残基」は、アミノ酸残基を意味する。これらの残基は、省略された一文字コード(例えば、チロシン残基のY、ロイシン残基のL及びプロリン残基のP)を使用して表示される。
用語「脂質二重層」は、原形質膜の基本構造及び任意の生体膜、すなわち細胞または小胞をその環境から分離している、及び細胞または小胞の細胞質を区切っている、或いは細胞質内で細胞小器官を区切っている二重シート(または二重層)中の両親媒性の脂質の任意の集合の基本構造を意味する。従って、この用語は、細胞の任意の膜、つまり原形質膜及び様々な細胞内区画の膜の両方、特に小胞体のもの、ゴルジのもの、または膜小胞のもの、例えばエキソソームまたはエンドソームのものを包含する。
【0029】
本願で使用する用語「膜ドメイン」は、脂質二重層で、特に細胞膜及びエキソソームの膜で、脂質二重層と相互作用することができる、特にそれ自体を固定する-従ってそれを含んでなるポリペプチドを固定することができる、任意のドメインを意味する。特定の実施形態によれば、この膜ドメインは、第一のドメイン(例えば、目的のペプチドまたはポリペプチド)及び第二のドメイン(例えば、細胞質ドメイン)へもまた結合することができる。例えば、10〜50残基、好ましくは15〜40残基、より好ましくは20〜30残基を含んでよい。
【0030】
特定の実施形態によると、当該膜ドメインは、膜貫通型ドメイン、すなわち細胞膜の脂質二重層を介して完全に通過する膜ドメインである。膜貫通型ドメインは、一般的には疎水性のαらせん体に配列される;複数回貫通(multiple pass)の膜貫通型タンパク質は、複数、特に2、3、4、5,6、7,8、9、または10、または実に20または20以上の、疎水性αらせん体を含んでよい。βシートに配列されてもよい。1または複数の膜貫通型ドメインはまた、β膜貫通型バレル構造、通常は8〜22のβ鎖からなる構造を採用する。
特定の実施形態によれば、当該膜ドメインは細胞膜の脂質二重層を完全に貫通する必要はない。これは、例えば、当該膜によって定義される区画のちょうど一つと接触する膜タンパク質の膜ドメインに関する場合である。そして、当該膜ドメインは、例えば、当該膜の面と平行な疎水性らせん体または疎水性ループであってよい。
当該膜ドメインは、1または複数の膜タンパク質(複数)、特に1または複数の膜貫通型タンパク質(複数)由来としてよい。
【0031】
用語「膜タンパク質」は、1または複数の上に定義した膜ドメイン(複数)を含んでなる任意のポリペプチド鎖を意味する。
本願で使用する語句「膜貫通型タンパク質」は、少なくとも一度細胞膜を、特に細胞の原形質膜を完全に貫通する任意のポリペプチド鎖を意味する。このタンパク質は、これが貫通する細胞膜によって定義される2つの区画(例えば細胞外間隙及び細胞質ゾル)と接触し、従って3つのタイプのドメインを含んでなるものであり、各々は異なる組成物を有する環境と接触している(例えば、貫通する細胞膜がこの原形質膜である場合、外部ドメイン(複数)(または細胞外ドメイン(複数))、膜貫通型ドメイン(複数)、及び細胞質ドメイン(複数)は、各々細胞外媒体、原形質膜の脂質及び細胞質ゾルと接触している)。特定の実施形態によれば、当該膜貫通型タンパク質は一度細胞膜を通過する。他の特定の実施形態では、、当該膜貫通型タンパク質は、細胞膜を数回、特に2、3、4、5、6、7、8、9または10回、或いは実に20回またはそれ以上通過する。
【0032】
当該膜または膜貫通型タンパク質は、特に:ヒトタンパク質、ヒトでない動物のタンパク質、病原体または病原性物質のタンパク質、特にウイルスのタンパク質、細菌のタンパク質或いは寄生虫または腫瘍細胞によって発現されるタンパク質から選択されてよい。
本発明のキメラポリペプチドのこの膜ドメインまたは少なくとも1つの膜ドメイン(複数)は、特に同一の膜タンパク質のもの、またはこのドメインの変異誘導体のものであってよい。当該変異誘導体は、対照の膜ドメインの配列中の1または複数の残基(複数)の置換、欠失及び/又は挿入によって定義され、そして細胞膜の脂質二重層で固定する、この対照ドメインの能力を保存する。当該変異誘導体は、例えば、他の膜タンパク質の膜ドメインに由来する配列のそばの対照ドメインの配列の一部を取替えることによって得ることができる。
【0033】
本願で使用される用語「特定のタンパク質由来」とは、目的のペプチドまたはポリペプチドが、この特定のタンパク質または当該特定のタンパク質のフラグメントを含んでなる或いはこれらから構成される、ことを意味する。
本発明の文脈の、膜または細胞質ドメインの「変異誘導体」は、この変異誘導体が通常参照の膜ドメインに付着する脂質二重層に固定しながら挿入する機能、或いは参照の細胞質ドメインに通常付随する差し向ける能力を保存するという条件で、元々のまたは参照の膜或いは細胞質ドメインに関して組換えられた(modified)任意のポリペプチドまたはペプチドを意味する。従って、このような変異誘導体は、例えば、当該膜または細胞質ドメインの隣接する残基から構成されるフラグメント(この誘導体は、特に欠失及び場合により1または複数の残基(複数)の元の配列中への置換によって得られる)、または対照的に、元の膜または細胞質ドメインより大きなサイズを有するポリペプチド、特に元の膜または細胞質ドメインを含んでなるポリペプチド(特に、1または複数の残基(複数)の元の配列への挿入によって得られるこの誘導体)に相当する。
【0034】
特定の実施形態によれば、本願の文脈の「膜ドメインの変異誘導体」は、元の膜ドメインの配列において、連続または非連続であってよい、少なくとも1つの残基、好ましくは1、2、3、4、5または5以上の残基(複数)の置換によって膜ドメインの元の配列と異なり、当該置換は場合により、保存的である、半保存的である或いは保存的でなく、並びに/或いは少なくとも1つの残基、好ましくは1、2、3、4、5または5以上の残基(複数)の欠失及び/又は挿入によるもので、これらは元のドメインの配列において、連続または非連続であってよい。膜ドメインの当該変異誘導体の配列は、当該膜ドメインの完全な配列に関して、これが由来する膜タンパク質の膜ドメインと、少なくとも60%または70%、特に少なくとも80%、90%または95%の類似性または同一性を有してよい。
【0035】
本願で使用される用語「パーセンテージ同一性」は、当該ペプチドまたはポリペプチドの残基の総数に対する同一残基の数を意味する。用語「パーセンテージ類似性」は、実験されているペプチドまたはポリペプチドの残基の総数に対する、同一のまたは化学的に類似した残基の数を定義する。パーセンテージ同一性または類似性は、比較するために二つの配列をそろえ、そして二つの配列間で全体の配列比較が可能なニードルマン及びワンチのアルゴニズムを使用することによって決定される。そしてパーセンテージ類似性または同一性は、これら2つの配列の全長に基づいて算出される。
【0036】
本願で使用される用語「細胞質ドメイン」(CD)は、特定の細胞質ドメインを意味し、これは膜小胞へ、特にエキソソーム形成小胞へ、または膜小胞の形成に関与する細胞区画(複数)、及び特に真核細胞中のエキソソーム形成小胞へ向けることができる;従って、このドメインは適当な真核細胞で発現される場合には、エキソソームに結合する細胞外間隙中へ分泌することができる。それ故に、目的のペプチドまたはポリペプチドを含んでなるキメラポリペプチドの中に取り込まれる場合、このドメインにより当該キメラポリペプチドを膜小胞及び/又はこれらの形成の位置(複数)へ送ることが可能となり、そして特に当該キメラポリペプチドを膜小胞の膜へ送ることが可能となり、特に適当な真核細胞の、膜小胞(特にエキソソーム)に結合する細胞によって、当該ポリペプチドは分泌されることができるようになる。
【0037】
このCDドメインは、少なくとも1つのモチーフYxxLを含んでなり、xは任意の残基を表わす。特に、1、2または3つのYxxLのモチーフを含んでよい。
当該YxxLモチーフまたはCDドメインのYxxLモチーフの1つは、例えばモチーフYINL(配列番号91)またはYSHL(配列番号97)であってよい。特定の実施形態によれば、CDドメインはモチーフDYxxLを含んでなり、xは任意の残基を表わす。言及する実験セクションで説明する実施例は、モチーフDYINL(配列番号93)である。
別の態様或いは相補的な態様では、CDドメインはモチーフYxxLと同等である少なくとも1つのモチーフ、例えばxが任意の残基を表わすモチーフYxxFを含んでなる。例えば、細胞タンパク質であるトランスフェリン受容体は、このようなドメインを含んでなる。
【0038】
或いは相補的な態様では、CDドメインはモチーフDYxxLと同等の少なくとも1つのモチーフ、例えばモチーフDYxxFを含んでなり、xは任意の残基を表わす。
一般にYxxLドメインに関してなされるまたは特定の配列で示されるような本願の説明はまた、ドメインDYxxLまたはDYxxFに適用することができ、これらは一般的な用語で定義されるかまたは記載したモチーフの例に由来する特定の配列を有している。
【0039】
好適な実施形態によれば、当該CDドメインはさらに少なくとも1つの、特に1、2、3または4つのモチーフ(複数)PxxPを含んでなり、配列中xは任意の残基を表わす。特定の実施形態によれば、モチーフPxxPまたはCDドメインのモチーフPxxPの1つは、モチーフPSAP(配列番号88)またはPTAP(配列番号89)である。
従って、1または複数のモチーフYxxLを言及している、本発明のキメラポリペプチドの一般的なまたは特定の説明は、モチーフPxxPをさらに含んでなるキメラポリペプチドにも適用できる。
【0040】
特定の実施形態によれば、CDドメインは少なくとも1つのモチーフYxxLまたはDYxxL(例えばモチーフYINL、YSHLまたはDYINL)及びモチーフPxxP(例えばモチーフPSAPまたはPTAP)を含んでなる。
特に、CDドメインは、モチーフPxxP及びモチーフYxxL(またはYxxF、DYxxLまたはDYxxF)を有する配列からなる。本発明の特定の実施形態では、CDドメインのモチーフPxxPはPSAPであり、モチーフYxxLはYINLまたはYSHLである。
【0041】
特定の実施形態では、CDドメインのモチーフYxxL(例えばモチーフYINLまたはYSHL)、またはこれらのモチーフの1つは、モチーフPxxP(例えばモチーフPSAP)に対してC末端位に位置するYxxLである。
特定の実施形態では、CDドメインのモチーフYxxL(例えば、モチーフYINLまたはYSHL)は、モチーフPxxP(例えばモチーフPSAP)に対してN末端位に位置する。
【0042】
少なくとも1つのモチーフYxxLを含んでなるCDドメインを有するタンパク質は、特に細胞タンパク質及びウイルスタンパク質を含む。これらのウイルスタンパク質は、特にエンベロープを有するウイルスのタンパク質、特に上に定義したエンベロープを有するウイルスのTM糖タンパク質、またはヘルペスウイルスのタンパク質、例えば少なくとも2つのYxxLモチーフを含んでなるエプスタイン・バーウイルス(Epstein-Barr virus)のタンパク質LMP2−Aである。
【0043】
特定の実施形態によれば、CDドメインは、レトロウイルスのTMタンパク質のものである。ここで使用される用語「レトロウイルス」は、任意のレトロウイルスを包含する。このレトロウイルスは、特に病原性基準に基づいて確立された次のレトロウイルスの2つの亜科から選択されてよい:
- オンコウイルス亜科(Oncovirinae)(オンコウイルス(Oncovirus))、これらは形質転換ウイルスであり、そして特に、ウシにおいて白血病を生じうるB細胞の増殖を誘発する可能性のあるウシ白血病ウイルス(BLV)、並びにヒトT細胞白血病ウイルス(またはHTLV−1)が含まれる;
- レンチウイルス亜科(lentivirinae)(レンチウイルス(Lentivirus))、これらは細胞変性ウイルスであり、特にヒト免疫不全ウイルスVIH−1及びVIH−2が含まれる。
【0044】
例えば、CDドメインは、ウシ白血病ウイルス(BLV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、特にHIV1型またはHIV2型、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)、特にHTLV−1またはHTLV−2、及びマソン・ファイザー・サルウイルス(Mason-Pfizer monkey virus)(MPMV)から選択される、レトロウイルスのTMタンパク質のものであってよい。
特定の実施形態によれば、CDドメインは、BLVのTMタンパク質のものである。58残基から構成されるBLVのこのCDドメインは、配列 配列番号6を有する。そして、本発明のキメラポリペプチドのドメイン(iii)は、配列 配列番号6のドメインか、または、配列 配列番号6のドメインの変異誘導体に相当する。
ドメイン(iii)が、配列 配列番号6のBLVのTMタンパク質のCDドメインを含んでなるまたは当該ドメインからなる特定の場合には、本発明の当該キメラポリペプチドの膜ドメイン(複数)は、配列 配列番号4を有するBLVのTMタンパク質の膜ドメインを欠損している。しかしながら、本発明のキメラポリペプチドの膜ドメインは配列 配列番号4のドメインの変異誘導体に相当してよく、当該変異誘導体は、配列 配列番号4を含まない。実施例で説明するように、このような変異誘導体は、配列 配列番号4における1または複数の残基(複数)の欠失、場合により置換によって得られてよい。
【0045】
本願の文脈において用語「CDドメインの変異誘導体」は、少なくとも1つのモチーフYxxLを包含し、xは任意の残基を表わす。特にこれは、1,2または3つのYxxLモチーフ(複数)含んでなる。この変異誘導体はさらに、少なくとも1つの、特に1、2,3または4つのPxxPモチーフ(複数)を含んでよく、xは任意の残基を示す。元の細胞質ドメインの配列における、連続したまたは連続しない、少なくとも1つの残基、好ましくは、1、2,3、4、5またはそれ以上の残基の置換であって、場合により保存的、半保存的または非保存的である置換によって、この変異誘導体は元の細胞質ドメインとは異なり、並びに/又は元の細胞質ドメインの配列で連続したまたは連続しない、少なくとも1つの残基、好ましくは1、2、3、4、5またはそれ以上の残基の欠失及び/又は挿入によって元の細胞質ドメインとは異なる。
【0046】
本発明の特定の実施形態において、CDドメインの変異誘導体は、本質的にPSAPモチーフから、特定の実施形態ではC末端部分でこれに続くモチーフYxxL(例えばYINLまたはYSHL)へ伸びるアミノ酸配列によって構成される天然の(native)CDドメインのフラグメントである。必要ならば、これらの2つのモチーフの間の、CDドメインに必然的に存在する1または複数のアミノ酸残基は、置換または欠失される。
【0047】
特定の実施形態によれば、CDドメインの変異誘導体は少なくとも1つのモチーフYxxFまたはDYxxL(例えばモチーフYINL、YSHLまたはDYINL)及びモチーフPxxP(例えばモチーフPSAPまたはPTAP)を含んでなり、xは任意の残基を表わす。
特定の実施形態によれば、本発明のキメラポリペプチドのドメイン(iii)、特にCDドメインの変異誘導体は、配列(concatenation)KCLTSRLLKLLRQが欠損している。従って、CDドメインの変異誘導体は、この配列は配列:KCLTSRLLKLLRQが欠損している、という点で、元のCDドメインとは異なってよい。
さらに、または代わりに、CDドメインの変異誘導体の配列は、配列KCLTSRLLKLLRQを欠損している元のCDドメインの配列と、少なくとも60%または70%、特に少なくとも80%、90%または95%の類似性または同一性を有してよい。
【0048】
また、本発明のキメラポリペプチドのドメイン(iii)、特にCDドメインの変異誘導体は、配列PC及び/又は配列CPを欠損していることが好適である。特定の実施形態によれば、当該ドメイン(iii)、特にCDドメインの変異誘導体は、配列PCPを欠損している。従って、元のCDドメインが配列PCPを含む場合、この変異誘導体は、特に元のCDドメインの配列中の当該配列PCPのシステイン残基を欠失することによって、または、これを他の残基、好適にはパルミトイル化可能(palmitoylable)でない残基、例えばアラニン残基と置換することによって得ることができる。
特定の実施形態によれば、CDドメインまたはこの誘導体は、配列PCP及び配列KCLTSRLLKLLRQどちらも欠損している。
【0049】
膜及び細胞質ドメイン(複数)それ自体またはこれらの一つが同じタンパク質由来の場合、特にこれらがBLVのTMタンパク質由来の場合、ドメイン(iii)として、配列PCPを欠損している及び/又は配列KCLTSRLLKLLRQを欠損しているCDドメインの変異誘導体を使用することが好適となり得る。
【0050】
本発明のキメラポリペプチドの膜ドメインの1つが、配列 配列番号4のBLVのTMタンパク質の膜貫通型ドメインを含んでなるまたはこれから成る特定の場合には、CDドメインまたはこの変異誘導体は、配列 配列番号6のBLVのTMタンパク質のCDドメインを欠損している。しかしながら、CDドメインまたはこの変異誘導体は、配列 配列番号6のドメインの変異誘導体に相当するまたは含んでよい。実施例で説明するように、このような変異誘導体は、例えば、配列 配列番号6のN末端部分に位置する残基を欠失することによって、特に配列KCLTSRLLKLLRQを欠失することによって及び/又は配列 配列番号6中の配列PCPを欠失することによって、或いは、例えば、配列PCPのシステイン残基を他の残基、好適にはパルミトイル化可能でない残基、例えばアラニン残基と置換することによって得られることができる。
例えば、BLVのTMタンパク質のCDドメインの変異誘導体は、13N末端残基が欠失されている配列 配列番号6に相当する、配列 配列番号8を含んでなるまたはこれから成ってよい。
【0051】
また例えば、配列 配列番号8に相当する当該ドメインの配列中の、連続するまたはしない、少なくとも1つの残基、好適には1、2、3、4、5または5以上の残基(複数)の置換によって、並びに/或いは連続するまたはしない、少なくとも1つの残基、好適には1、2、3、4、5または5以上の残基(複数)の欠失及び/又は挿入によって、BLVのTMタンパク質の変異誘導体の配列は、BLVのTMタンパク質のCDドメインの配列と異なる。
また例えば、BLVのTMタンパク質のCDドメイン(配列 配列番号6のCDドメイン)の変異誘導体の配列は、配列 配列番号8と少なくとも60%または70%、特に少なくとも80%、90%または95%の類似性または同一性を有してよい。好適には、当該変異誘導体の配列は特に、配列 配列番号8のモチーフYINL、YSHL(または、適切な場合、DYINL)及びモチーフPSAPを保存する。
【0052】
配列 配列番号6のCDドメインの当該変異誘導体の配列は、好適にはモチーフPC(プロリン-システイン)及びCP(システイン-プロリン)を欠損しており、より好適にはモチーフPCP(プロリン-システイン-プロリン)を欠損している。例えば、配列 配列番号10または配列番号12を含んでなるまたはこれから成ってよい。
特定の実施形態によれば、配列 配列番号6のCDドメインまたはこの変異誘導体、特にCDドメインの変異誘導体は、次の配列:
PxxPxxxxPxxPxSxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxL;
PxxPxnPxxPxnSxYxxLxnPxxPExnYxxLxnPxxPDYxxL;
PxxPxxxxPxxPxSxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxLxxxx;及び
PxxPxnPxxPxnSxYxxLxnPxxPExnYxxLxnPxxPDYxxLxxxx;
から選択される配列を含んでなるまたはこれから成り、
配列中x及びxnは各々任意の残基及び任意の1または複数の残基(複数)を表わす。
【0053】
特定の実施形態によれば、CDドメインまたはこの変異誘導体、特に配列 配列番号6のCDドメインの変異誘導体は、次の配列:
PxxPxxxxxxxxxxxxYxxL;
PxxPxxxxxxxxxxxDYxxL;
PxxPxxYxxxxxxxxxYxxL;
PxxPxxYxxxxxxxxDYxxL;
PxxPExYxxLxPxxPDYxxL;
PxxPxnYxxL;
PxxPxnDYxxL;
PxxPxnYxnYxxL;
PxxPxnYxnDYxxL;
PxxPExnYxxLxnPxxPDYxxL;
PxxPxxxxPxxPxxxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxL;
PxxPxnPxxPxnYxxLxnPxxPEXnYxxLxnPxxPDYxxL;
PxxPxxxxPxxPxxxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxLxxxx;及び
PxxPxnPxxPxnYxxLxnPxxPEXnYxxLxnPxxPDYxxLxxxx、
から選択される配列を含んでなるまたはこれから成り、
配列中x及びxnは各々任意の残基及び任意の1または複数の残基(複数)を表わす。
【0054】
特に、nは1以上50未満である。nは、特に1〜20の間の任意の値であってよい。
例えば、特定の実施形態では前述の配列中のN末端位にある、モチーフPxxPは、モチーフPSAPまたはPTAPであってよい。
或いはまたは相補的な態様では、特定の実施形態では前述の配列のC末端位にある、モチーフYxxLは、例えばモチーフYINLまたはYSHLであってよい。
本発明の特定の実施形態では、CDドメインまたはこの変異誘導体が上記配列の1つを含んでなる場合には、この配列の上流または下流に付加される連続したアミノ酸残基は、モチーフPxxP或いはモチーフYxxL、YxxF、DYxxLまたはDYxxFを形成しない。
【0055】
特定の実施形態によれば、配列 配列番号6のCDドメインの当該変異誘導体は、6〜100の残基、特に20〜80、30〜70または40〜60、例えば40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50残基を含んでなる。
例えば、CDドメインの変異誘導体の配列は、配列 配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95を含んでなるまたはこれから成ってよく、或いは完全な配列 配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95各々を参照にして、配列 配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95と、少なくとも60%または70%、特に少なくとも80%、90%または95%の類似性または同一性を有してよい。
【0056】
用語「目的のペプチドまたはポリペプチド」は、ペプチドまたはポリペプチドの構造を形成している、複数の(少なくとも2つの)連続的な残基の完全な配列を意味する。用語「ペプチド」は、2〜20の連続的な残基(特に2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20残基)の鎖、特に5〜10、10〜15または15〜20の連続的な残基の鎖を意味する。タンパク質またはタンパク質のフラグメントも意味する用語「ポリペプチド」は、20以上(少なくとも21)の連続的な残基の配列、特に21〜1000の連続的な残基、好適には21〜500、21〜250または21〜150の連続的な残基、例えば21〜50、50〜100、または100〜150の連続的な残基の鎖である。目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、特に水溶性の膜、膜貫通型及び/又は多量体のタンパク質の1または複数のドメインを含んでなるまたはこれらから成ってよい。
【0057】
特定の実施形態によれば、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、細胞外タンパク質の1または複数のドメイン(複数)或いは1または複数のこの(これらの)ドメイン(複数)の1または複数のフラグメント(複数)を含んでなるまたはこれらから成る。
特定の実施形態によれば、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、膜タンパク質の、特に膜貫通型タンパク質の1または複数の外部ドメイン(複数)及び/又は1または複数の膜ドメイン(複数)及び/又は1または複数の細胞質ドメイン(複数)、或いは1または複数のこの(これらの)ドメイン(複数)の1または複数のフラグメント(複数)を含んでなるまたはこれらから成る。
特定の実施形態によれば、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、細胞質ゾルのタンパク質の1または複数のドメイン(複数)或いはこの(これらの)ドメイン(複数)の1または複数のフラグメント(複数)を含んでなるまたはこれらから成る。
【0058】
本願では、用語ドメインの「フラグメント」は、少なくとも6つの隣接する当該ドメインの残基からなる部分、特に当該ドメインの完全な配列と、少なくとも50%、好適には少なくとも60%、70%、80%または少なくとも90%、または実に100%の同一性を有する部分を意味する。どのようなものであれ、フラグメントは大きさが、フラグメントの由来であるタンパク質よりも小さい。
特定の実施形態によれば、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、抗原性があり、すなわち、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドに対する免疫応答を引き起こすことができる。目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、特にタンパク質の1または複数のエピトープ(複数)を含んでなるまたはこれらから成ってよい。
【0059】
特定の実施形態によれば、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、病原体、例えばウイルス、細菌または寄生虫、或いは病原性物質、例えば細胞腫瘍、毒等に由来する。これが構造タンパク質であるなしにかかわらず、このような生物または病原性物質の任意のペプチド成分を使用してよい。これは特に、病原体の抗原、特にウイルスまたは細菌性の抗原或いは寄生虫由来の抗原であってよい。
目的の当該ペプチドまたはポリペプチドはまた、腫瘍抗原、細胞質抗原、膜貫通型タンパク質に、特にインテグリンにまたは共受容体にまたは相互作用に関与するタンパク質(特にタンパク質ICAM、CD4、CD8)に、リガンド受容体、特に単一の膜ドメインを有する受容体、例えばサイトカイン受容体(特にEGFに応答するHERファミリーの受容体、例えば受容体EGF−R1)、特に複数の膜ドメインを有する受容体、例えば7回膜貫通型ドメインを有する受容体(特にVIHの受容体CXCR4またはガンマアミノ酪酸(GABA)の受容体)に、或いは受容体リガンド、特にサイトカインの受容体リガンドに或いはこれらのフラグメントに由来する。
【0060】
目的のペプチドまたはポリペプチドの選択されるタイプに応じて、本発明は、インビボ(in vivo)で、特に免疫付与(immunization)で、特にワクチン接種で、及び/又はインビトロ(in vitro)で、例えば(以下に記載のように)目的の当該ペプチドまたはポリペプチドと相互作用する分子をスクリーニングするために使用してよい。
特定の実施形態によれば、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、ウイルスの表面に存在するタンパク質、例えば標的細胞に位置する受容体へのウイルス粒子の結合に関与するタンパク質、及び/若しくは標的細胞の原形質膜とウイルスのエンベロープまたは感染した細胞の原形質膜との融合に関与するタンパク質、或いはこのようなタンパク質のフラグメントに由来する。
【0061】
例えば、ドメイン(i)として、エンベロープを有するウイルスのエンベロープのタンパク質またはこのタンパク質のフラグメントを使用することができる。このエンベロープを有するウイルスは、特に次のファミリーから選択してよい:
- ポックスウイルス科(Poxviridae)、そして特にオルトポックス・ウイルス(Orthopoxvirus)属のものであって、特に天然痘ウイルス(smallpox virus)及びワクシニアウイルス(vaccinia virus)が含まれる;
- ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、特にヘルペスウイルス属のものであって、特にヘルペスウイルス1及び2型、水疱瘡ウイルス(chicken pox virus)、エプスタイン・バーウイルス(Epstein-Barr virus)、サイトメガロ・ウイルス(Cytomegalovirus)、及びヘルペスウイルス6、7、8型が含まれる;
-ヘパドナ・ウイルス科(Hepadnaviridae)、特にB型肝炎(hepatitis B)ウイルスが含まれる;
-オルトミクソ・ウイルス科(Orthomyxoviridae)、特にインフルエンザA、BまたはC型ウイルス属のものであって、特にH5N1トリインフルエンザウイルスが含まれる;
- パラミクソウイルス科(paramyxoviridae)、特にパラミクソウイルス属のものであって、特にパラインフルエンザ(parainfluenzae)ウイルス及びムンプスウイルス(mumps virus)が含まれ、また麻疹ウイルス(Morbillivirus)属のものであって、特に麻疹ウイルス(measles virus)が含まれ、並びに肺炎ウイルス属(Pneumovirus)のものであって、特に合胞体(syncytial)呼吸器系ウイルスが含まれる;
- ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)、特にリッサ・ウイルス属(Lyssavirus)のものであって、特に狂犬病ウイルス(rabies virus)が含まれる;
-フィロウイルス科(Filoviridae)、特にマールブルグウイルス(Marburg virus)及びエボラウイルス(Ebola virus)が含まれる;
- トガウイルス科(Togaviridae)、特にフラビ・ウイルス属(Flavivirus)のものであって、特に黄熱病ウイルス(yellow fever virus)及びC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus)(HCV)が含まれ、アルファ・ウイルス属(Alphavirus)のもの及びルビ・ウイルス属(Rubivirus)のものであって、特に風疹ウイルス(Rubella virus)が含まれる;
- コロナウイルス科(Coronaviridae)、特にコロナウイルス(Coronavirus)属のものであって、特に呼吸器系及び消化器系感染症、例えば重症急性呼吸器症候群(SARS)に関与するウイルスが含まれる;
- アレナ・ウイルス科(Arenaviridae)、特にアレナ・ウイルス(Arenavirus)属のものであって、特にラッサ熱ウイルス(Lassa virus)が含まれる;
- ブニヤウイルス科(Bunyaviridae)、特にブンヤ・ウイルス属(Bunyavirus)、ハンタ・ウイルス属(Hantavirus)、フレボウイルス属(Phlebovirus)のもの;並びに
- レトロウイルス科(Retroviridae)、特にレンチウイルス(Lentivirus)属のものであって、特にヒト免疫不全ウイルス(VIH)が含まれる。
【0062】
また例えば、目的のペプチドまたはポリペプチドは、インフルエンザウイルスのエンベロープのタンパク質、特にインフルエンザウイルスの赤血球凝集素(HA)、そしてより詳細にはH5N1鳥インフルエンザウイルスのHAタンパク質由来であってよい。これは、このタンパク質の外部ドメインまたはこの外部ドメインのフラグメント、或いはこの外部ドメインの1または複数のエピトープ(複数)を含んでなるまたはこれらから成るフラグメントであってよい。
これらのウイルスの他の抗原性のポリペプチド、例えばVIHのGAGポリタンパク質のタンパク質またはフラグメント、ポリオウイルス(poliovirus)または乳糖腫ウイルス(papillomavirus)のカプシドのタンパク質またはフラグメントを、当然ながら使用してよい。
【0063】
また例えば、目的のペプチドまたはポリペプチドは、これらのウイルスの1つの外側のエンベロープのタンパク質由来であってよい。これは、これらのウイルスの1つのエンベロープであってよい。これは、コロナウイルス(coronavirus)のエンベロープ、特にコロナウイルス(coronavirus)のスパイク(複数)タンパク質、そしてより詳細には重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(coronavirus)(SARS−CoV)のスパイクタンパク質であってよい。目的のこのペプチドまたはポリペプチドは、特に、このタンパク質の外部ドメイン、或いはこの外部ドメインの1または複数のエピトープ(複数)を含んでなるまたはこれらから成るフラグメントを含んでなるまたはこれから成ってよい。
【0064】
好適な実施形態によれば、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、本発明のポリペプチドのこの天然の立体構造中に存在する。
特定の実施形態によれば、本発明のキメラポリペプチドはさらに少なくとも1つの結合分子(またたリンカー)を含んでなる。用語「リンカー」は、二つの連続的なドメインの結合を可能にしている任意のエレメントを意味する。これは、可変な長さ及び性質であってよい。
特定の実施形態によれば、本発明のポリペプチドの少なくとも2つの連続的なドメインは、共有結合的に、例えばペプチド結合を介して結合する。従って、特定の実施形態によれば、当該リンカーは、ポリペプチドまたはペプチドである。このポリペプチドリンカーは、2〜50残基、好適には2〜30残基、例えば2〜5、5〜10、10〜20または20〜30の連続的な残基の配列で構成されてよい。
【0065】
特定の実施形態によれば、当該リンカーをコードするヌクレオチド配列は、制限酵素部位を含んでなるまたはこれから成る。用語「制限酵素部位」は、II型制限酵素によって切断部位として認識される、DNA分子中の特定のヌクレオチド配列を意味する。従って、このリンカーは、例えばヌクレオチド配列AGGTCTAGAによってコード化される配列RSRのリンカーであってよく、この配列は制限酵素XbaIに対する制限酵素部位(配列TCTAGA)を含んでなる。
【0066】
特定の実施形態によれば、本発明のキメラポリペプチドは、小胞体の中への取り込み(importation)のための1つ(またはそれ以上)のシグナルペプチドを含んでなる。
【0067】
用語「小胞体の中に取り込むためのシグナルペプチド」は、約5〜約60残基、特に15〜60残基、より詳細には15〜30残基の小さいな連続的なポリペプチド配列を意味し、これにより、これを含んでなるタンパク質は場合により完全または一部であるが、小胞体の膜、タンパク質通路を通過することができる;タンパク質通路の停止は、他のさらなるシグナル(または複数のシグナル)の存在次第である。同じ行き先のシグナルペプチドは、1つのタンパク質から他へ互換性があり、そこでタンパク質を小胞体へ送る任意のシグナルペプチドを、本発明の文脈で使用してよい。
例えば、小胞体の中へ取り込むためのシグナルペプチドとして、配列 配列番号2の27の残基ペプチドを使用することが可能である。
【0068】
また例えば、小胞体へ取り込むためのシグナルペプチドとして、膜タンパク質のシグナルペプチド、例えばタンパク質CD4、CD8及び赤血球凝集素(HA)等、サイトカイン受容体のシグナルペプチド、例えばIL1R1、EGFR1(HER1)、HER2、HER3またはHER4等、或いは分泌されたタンパク質のシグナルペプチド、例えば、サイトカインのもの、を使用することもまた可能である。従って、以下から選択されるシグナルペプチドを使用することが可能である:ヒトCD4タンパク質(配列 配列番号49のペプチド)またはマウスCD4タンパク質(配列 配列番号50のペプチド)のもの、マウスCD8アルファタンパク質(配列 配列番号51のペプチド)、ウシCD8アルファタンパク質(配列 配列番号52のペプチド)、ヒトCD8アルファタンパク質(配列 配列番号53のペプチド)、またはラットCD8アルファタンパク質(配列 配列番号54のペプチド)のもの、ヒトIL1R1受容体(配列 配列番号55のペプチド)、ヒトEGFR1受容体(HER1)(配列 配列番号56のペプチド)、ヒトHER2受容体(配列 配列番号57のペプチド)、ヒトHER3受容体(配列 配列番号58のペプチド)またはヒトHER4受容体(配列 配列番号59のペプチド)のもの、またはマウスIL−2サイトカイン(配列 配列番号60のペプチド)、マウスIL−6サイトカイン(配列 配列番号61のペプチド)、ヒトIL−7サイトカイン(配列 配列番号62のペプチド)、マウスIL−10サイトカイン(配列 配列番号63のペプチド)、またはヒトMIP−1−アルファケモカイン(配列 配列番号64のペプチド)のもの、B型インフルエンザウイルス(配列 配列番号65のペプチド)の赤血球凝集素のもの、A H1N1型インフルエンザウイルス(配列 配列番号66のペプチド)、A H2N2型インフルエンザウイルス(配列 配列番号67のペプチド)、A H3N2インフルエンザウイルス(配列 配列番号68のペプチド)、A H4N6インフルエンザウイルス(配列 配列番号69のペプチド)、A H5N1インフルエンザウイルス(配列 配列番号70のペプチド)、A H6N5インフルエンザウイルス(配列 配列番号71のペプチド)、A H7N7インフルエンザウイルス(配列 配列番号72のペプチド)、A H8N4インフルエンザウイルス(配列 配列番号73のペプチド)、A H9N2インフルエンザウイルス(配列 配列番号74のペプチド)、A H10N7インフルエンザウイルス(配列 配列番号75のペプチド)、A H11N6インフルエンザウイルス(配列 配列番号76のペプチド)、A H12N5インフルエンザウイルス(配列 配列番号77のペプチド)、またはA H13N6インフルエンザウイルス(配列 配列番号78のペプチド)の赤血球凝集素のもの。
【0069】
他の特定の実施形態によれば、小胞体の中に取り込むための当該シグナルペプチドは、本発明のキメラポリペプチドの目的のペプチドまたはポリペプチドの一部を形成してよい。例えばこれは、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドが膜タンパク質またはサイトカインの場合である。
単独でまたは上記実施形態と組合せて、小胞体の中へ取り込むための当該シグナルペプチドは、本発明のキメラポリペプチドの膜ドメインの一部分を形成してよい。例えばこれは、当該ポリペプチドの膜ドメインまたは膜ドメインの1つが7回膜貫通型ドメインを有する受容体由来の場合である;実際、当技術分野では、7回膜貫通型ドメインを有する一定の受容体、例えば受容体CXCR4に対して、N末端位の当該膜貫通型ドメインは小胞体の中に取り込むためのシグナルとして機能することが知られる。膜のターゲティングの増強を実行する場合には、これを使用してはならない。
【0070】
また、他の実施形態によれば、取り込むための当該シグナルペプチドは、3つのドメイン(i)、(ii)及び(iii)のいずれかの一部を形成せず、従って当該キメラポリペプチドの3つのドメイン(i)、(ii)及び(iii)の他に、これが加えられる。そして、これを本発明のキメラポリペプチドの直鎖状配列の異なる位置に置いてもよいが、通常当該ポリペプチドの一端であり、そして好適には当該ポリペプチドのN末端位である。
小胞体の中に取り込むための第二のシグナルペプチドを、本発明のキメラポリペプチド中に加える場合、必要ならば膜ターゲティングを増大することができる。
【0071】
成熟形態では、特に膜小胞、例えばエキソソームの膜に固定される場合、本発明のキメラポリペプチドは一般的に小胞体の中に取り込むためのNまたはC末端シグナルペプチドを全くまたはそれ以上有しない;この機能が満たされた後は、NまたはC末端のシグナルペプチドは、例えば小胞体またはゴルジで、タンパク質切断によってポリペプチドから分離されてもよい。
【0072】
好適な実施形態によれば、目的の当該ペプチドまたはポリペプチドは、本発明のポリペプチド中のこの天然の立体構造に存在する。
特定の実施形態によれば、当該キメラポリペプチドは、多量体であり、特に二量体または三量体の形態である。これは特に、目的のペプチドまたはポリペプチドが、この天然の形態で、二量体または三量体形成するタンパク質に由来する場合である。
特定の実施形態に従って、キメラポリペプチドはさらにキメラポリペプチドを精製することができるタグ配列を含んでなる。例えば当該タグ配列が、多数の連続的に結合されたヒスチジン残基、特に6つの連続したヒスチジン残基の配列を含んでなるまたはこれから成ってよい。
【0073】
特定の実施形態によれば、キメラポリペプチドはさらに、ELISAまたはウエスタンブロットによってキメラポリペプチドを検出するためのマーカーを含んでなる。好適には、当該マーカーは、特定のモノクローナル抗体によって認識されるエピトープ、例えばmycエピトープである。
より詳細には、本発明は、キメラポリペプチドの集合に関する、特に、これらのターゲティング及びエキソソームとの結合の後の最終段階で、すなわち成熟形態での、本質的にグリコシル化されたキメラポリペプチドの集合に関する。このような集合は、有利にはグリコシル化の早期段階または中間段階でグリコシル化されたポリペプチドが欠損している。
【0074】
本発明の特定の実施形態では、キメラポリペプチドにおいて、目的のペプチドまたはポリペプチドはエキソソームと結合する場合には、好適に天然の立体構造を有する(特にこれはマルチマーの形態、例えば二量体または三量体の形態である)。
本発明はまた、真核細胞で発現される場合に膜小胞(特にエキソソーム)に結合して、目的のペプチドまたはポリペプチドの分泌を可能にするポリペプチドに関し、当該ポリペプチドはこれらのペプチドまたはポリペプチドに結合するものであり、これはレトロウイルスのTMタンパク質のCDドメイン変異誘導体を含んでなるまたはこれから成り、当該変異誘導体は参照のCDドメインの配列中の1または複数の残基(複数)の置換、欠失及び/又は挿入によって定義され、そして少なくとも1つのモチーフYxxLを含んでなり、配列中、Yはチロシン残基、xは任意の残基及びLはロイシン残基を表わし、さらに当該変異誘導体は目的のペプチドまたはポリペプチドを膜小胞、特にエキソソーム形成小胞へ、及び/又は膜小胞、特にエキソソーム形成小胞の形成に関与する細胞区画(複数)へ向ける当該CDドメインの能力を保存している、ことを特徴とする。
本発明のキメラポリペプチドの文脈で上述した定義はまた、このポリペプチドに類推適用する。
【0075】
特定の実施形態によれば、当該変異誘導体は、BLVのTMタンパク質のCDドメイン(配列 配列番号6のCDドメイン)の変異誘導体である。この変異誘導体は、キメラポリペプチドに関する本発明の様々な態様で定義される通りである。したがって、通常配列KCLTSRLLKLLRQを欠損している及び/又はペプチドPCPを欠損している、当該変異誘導体は、次の配列から選択される配列を含んでなるまたはこれから成ってよく:
PxxPxxxxxxxxxxxxYxxL;
PxxPxxxxxxxxxxxDYxxL;
PxxPxxYxxxxxxxxxYxxL;
PxxPxxYxxxxxxxxDYxxL;
PxxPExYxxLxPxxPDYxxL;
PxxPxnYxxL;
PxxPxnDYxxL;
PxxPxnYxnYxxL;
PxxPxnYxnDYxxL;
PxxPExnYxxLxnPxxPDYxxL;
PxxPxxxxPxxPxxxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxL;
PxxPxnPxxPxnYxxLxnPxxPEXnYxxLxnPxxPDYxxL;
PxxPxxxxPxxPxxxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxLxxxx;
PxxPxnPxxPxnYxxLxnPxxPEXnYxxLxnPxxPDYxxLxxxx.
PxxPExxxPxKPDxDYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxLR;
PxxPExnPxKPDxnDYxxLxnPxxPEXnYxxLxnPxxPDYxxLR;
PxxPExxxPxKPDxDYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxLRxxxx及び
PxxPExnPxKPDxnDYxxLxnPxxPExnYxxLxnPxxPDYxxLRxxxx、
配列中、x及びxnは、任意の残基及び任意の1または複数の残基(複数)を各々表わす。
【0076】
特に、nは1以上50未満である。nは、特に1〜20の任意の値を有してよい。
例えば、特定の実施形態では前述の配列中のN末端位にある、モチーフPxxPは、モチーフPSAPまたはPTAPであってよい。
或いは、代わりにまたは相補的な態様では、特定の実施形態では、前述の配列中のC末端位にあるモチーフYxxLは、例えばモチーフYINLまたはYSHLであってよい。
特に、この変異されたCD誘導体は、上述の配列中に含まれるモチーフPxxP及びYxxLまたはDYxxLだけを含んでなる。
【0077】
好適な実施形態によれば、本発明のポリペプチドのCDドメインの変異誘導体は、少なくとも1つのモチーフYxxLまたはDYxxL(例えばモチーフYINL、YSHLまたはDYINL)及びモチーフPxxP(例えばモチーフPSAPまたはPTAP)を含んでなり、配列中xは任意の残基を表わす。
例えば、本発明のポリペプチドの変異誘導体は、配列 配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95を有する、或いは完全な配列 配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95各々を参照にして、配列 配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95と、少なくとも60%または70%、特に少なくとも80%、90%または95%の類似性または同一性を有してよい。
【0078】
より正確には、本発明のポリペプチドの変異誘導体は、配列 配列番号8を有する、或いは完全な配列 配列番号8を参照にして、配列 配列番号8と少なくとも60%または70%、特に少なくとも80%、90%または95%の類似性または同一性を有してよい。例えば、当該変異誘導体の配列は、配列 配列番号10または配列番号12を含んでなるまたはこれから成ってよい。好適には、当該変異誘導体の配列は、特に配列 配列番号8のモチーフYINLまたはYSHL(或いは適切な場合DYINL)及びPSAPモチーフを保存する。
【0079】
特定の実施形態によれば、本発明のポリペプチドは、さらに目的のペプチドまたはポリペプチドと結合または融合する。
本発明はまた、本願で定義する本発明のキメラポリペプチドまたは本発明のポリペプチドの使用、(インビボ(in vivo)またはインビトロ(in vitro)で)目的のペプチドまたはポリペプチドを膜小胞、特にエキソソーム形成小胞へ、及び/或いは膜小胞、特にエキソソーム形成小胞の形成に関与する細胞区画(複数)へ送ること、及びこの結果、適当な真核細胞によって、当該膜小胞に結合する目的のペプチドまたはポリペプチドの分泌が可能となること、に関する。
【0080】
本発明はまた、上に定義した本発明のキメラポリペプチドまたはポリペプチド、及び/或いは1または複数の当該キメラポリペプチドまたは当該ポリペプチドの分解生成物(複数)を含んでなる、膜小胞、より正確にはエキソソームに関し、必要な場合にこの(これらの)分解生成物(複数)はI型及び/又はII型の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と結合される。
本発明のキメラポリペプチドまたはポリペプチド並びに/或いはこれらの分解生成物(複数)は、これらの膜ドメイン(複数)またはこれらの1つを介して、或いはこれ(これら)が結合する(I型またはII型の)MHC分子の膜ドメインを介して、当該膜小胞の膜に固定される。
【0081】
特定の実施形態によれば、当該分解生成物は、目的のペプチドまたはポリペプチドのフラグメント、特に当該目的のペプチドまたはポリペプチドの1または複数のエピトープ(複数)を含んでなるまたはこれらから成るフラグメントを含んでなるまたはこれから成る。
【0082】
特定の実施形態によれば、目的のペプチドまたはポリペプチド或いはこのフラグメントの1つは、膜小胞の外表面に、部分的にまたは完全に露出される。従って、この膜小胞は特に、インビボ(in vivo)またはインビトロ(in vitro)で、当該目的のペプチドまたはポリペプチド或いはこれらのフラグメントと直接または間接的に相互作用している原核細胞または真核細胞或いはウイルス(例えばファージ)或いはリボソームを産生または選択するために使用されてよい。この膜小胞はまた、当該目的のペプチドまたはポリペプチド或いはこれらのフラグメントに対する、ワクチン接種のためにまたはワクチン接種以外のために、インビボ(in vivo)またはインビトロ(in vitro)で、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を産生するために使用してよい。このような抗体は、特に診断で、またはタンパク質相互作用を研究するため、特に、目的のペプチドまたはポリペプチド或いはこれらのフラグメントとの相互作用が可能な分子、例えば薬物またはサイトカイン等の高処理スクリーニングを実施するために使用してよい。さらに、この膜小胞は、宿主(ヒトまたはヒトでない)において、目的のペプチドまたはポリペプチドの由来である腫瘍に対する、或いはウイルス、細菌または寄生虫に対する体液及び/又は細胞応答を誘発または促進するために、インビボ(in vivo)で、免疫付与に使用してよい。
【0083】
本発明の膜小胞によって、特に本発明のエキソソームによって誘発または促進される免疫応答は、エキソソームに結合するポリペプチドの性質に応じて、免疫寛容誘発応答または防御応答であってよい。例えば、免疫寛容誘発応答は、宿主のぜんそくとの闘病または移植片の受容を可能にする。
好適な実施形態によれば、当該目的のペプチドまたはポリペプチド或いはこれらのフラグメントは、膜小胞の表面でこの天然の立体構造に(部分的にまたは完全に)露出される。
【0084】
特定の実施形態によれば、目的のペプチドまたはポリペプチド或いはこれらのフラグメントは、本発明の膜小胞の膜に部分的にまたは完全に含まれる、及び/或いは当該膜小胞の細胞質ゾルの画分に部分的にまたは完全に含まれる。
活性成分が1または複数の膜小胞(複数)、特に本願に定義する1または複数のエキソソーム(複数)、或いは本発明の1または複数のキメラポリペプチド(複数)、上に定義した本発明の1または複数のポリペプチド(複数)を含んでなる、医薬組成物または免疫原性組成物もまた、本発明の範囲内に含まれる。さらに当該組成物は、1または複数のビヒクル(vehicle)(複数)、希釈剤(複数)、及び/又はアジュバント(複数)或いはこれらの組合せの1つを含んでなる。注射可能な投与の場合に、水溶液、非水溶液または等張液中の形成を選択してよい。
【0085】
本願では、用語「ビヒクル」は、本発明の活性物質の生物活性の有効性を変更しない任意の担体(すなわち、少なくとも1つの活性成分を輸送することができる任意のもの)を意味する。当技術分野で多くのビヒクルが知られる。例えば、使用されるビヒクルは、水、食塩水、血清アルブミン、リンガー溶液、ポリエチレングリコール、水混和性溶媒、糖、結合剤、賦形剤、顔料、植物油または鉱油、水溶性高分子、界面活性剤、増粘剤またはゲル化剤、化粧剤(cosmetic agents)、可溶化剤、安定剤、防腐剤、アルカリ性化剤または酸性化剤、或いはこれらの組合せの一つであってよい。
【0086】
本願で使用される用語「希釈剤(diluent)」は、希釈剤(diluting agent)を意味し、そして可溶性希釈剤及び不溶性希釈剤が含まれる。一般的に、活性成分が可溶性の場合には不溶性希釈剤が使用され、そして活性成分が不溶性の場合には可溶性希釈剤が使用される。「不溶性」活性成分は、水媒体中では完全に不溶性であってよく、または水媒体で制限的な溶解度(すなわち、1.0〜7.5のpHで、水250mL中に10mg/mL未満の溶解度)を有してよい。不溶性希釈剤の例としては、微結晶性セルロース、シリコン含有微結晶性セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、第二リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム等が含まれる。可溶性希釈剤の例としては、マンニトール、グルコース、ソルビトール、マルトース、デキストレート、デキストリン、ブドウ糖等が含まれる。
【0087】
本願では用語「アジュバント」は、免疫原性組成物の内容物、特にワクチンに添加する生成物であって、当該組成物が投与される(ヒトまたはヒトでない)宿主で誘発される免疫反応の強度を増加する生成物を意味する。アジュバントは、当該組成物の投与後に当該哺乳類が産生可能な特定の抗体の量を特に増加することができ、したがって免疫付与の有効性を増加する。アジュバントは、抗原単独では誘発される免疫反応が弱過ぎて、良好な防御を提供し、宿主に投与する抗原の量を減少させ、或いは例えば粘膜への投与の場合に当該組成物の投与の特定の方法を促進することができない場合に特に有効である。特に、本発明の文脈で使用することができるアジュバントは、サポニン、リン酸アルミニウム(アラム(alum))、ペプチドグリカン、炭水化物、ペプチド、例えばムラミルジペプチド(N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン、MDP)、油型/水型エマルション、多糖、サイトカイン、ホルモン、キーホールリンペットヘモシアニン、非メチル化CpGジヌクレオチドのファミリー由来のアジュバント、ポリICファミリー由来のアジュバント、モノホスホリルリピッドAファミリー由来のアジュバント及び核酸、特に細菌のDNA、或いはアジュバント効果を有するタンパク質、例えば成長因子またはサイトカイン、より詳細にはGM−CSFまたはIL4をコードするDNAが含まれる。
【0088】
好適な実施形態では、当該ビヒクル(複数)、希釈剤(複数)及び/又はアジュバント(複数)或いはこれらの組合せは、医薬的に許容される物質または医薬的に許容される物質の組合せであり、すなわち治療または予防目的で宿主(例えばヒト、人間以外の哺乳類または鳥)へ投与するのに適当である。したがって、このような物質または物質の組合せは、好適には投与される宿主に対して無毒である。
本発明はまた、普遍的遺伝暗号に従って、並びにこのコードの縮重を考慮した、本発明のキメラポリペプチドまたはポリペプチドをコードすることを特徴とするポリヌクレオチドに関する。用語「ポリヌクレオチド」は、DNAまたはRNA(一重または二重カテナリー(catenary))の任意の分子を包含する。このポリヌクレオチドは、むき出し(naked)である、或いは、クローニングまたは発現ベクター、好適には真核細胞での発現に適当であるベクターに挿入されてよい。このベクターは好適にはプラスミドである。当該ポリヌクレオチドは特に、PCRによって集合されてよい。これは好適には2000〜50000ヌクレオチドを含んでなる。
【0089】
用語「コード」は、当該ポリヌクレオチドがコード部分のみを有することを必ずしも意味するものではない。実際、当該ポリヌクレオチドは、さらに発現の制御のための配列を含んでよく、特にプロモーター、例えば真核生物プロモーターを含んでよい。
例えば、本発明のキメラポリペプチドのドメイン(iii)をコードする配列として、当該ポリヌクレオチドは、配列 配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号47及び配列番号94から選択される配列を含んでなるまたはこれから成る配列を含んでなる。
【0090】
好適な実施形態によれば、当該ポリヌクレオチドは、小胞体の中に取り込むためのシグナルをコードする配列を含んでなる。例えば、この配列は、配列番号1、または配列 配列番号49から配列番号78のペプチドをコードする配列であってよい。前述のように、この配列によってエンコードされるシグナルペプチドは、当該ポリペプチドによってコードされるポリペプチドのN−またはC−末端位に存在する場合、キメラポリペプチドの成熟のためのステップの間に切断されてよく、これは一般的に小胞体またはゴルジ体で生じる。
【0091】
当該ポリヌクレオチドは、制御、クローニングまたは発現エレメントの支配下に置かれてよい。
従って、特定の実施形態によれば、当該ポリヌクレオチドは、クローニングまたは発現ベクター、好適には発現ベクター、より好適には真核細胞での発現に適当なベクターの中に挿入される。当該ベクターは、好適にはプラスミドである。
当該ポリヌクレオチドは、通常真核生物プロモーター、好適には強力な真核生物プロモーター、例えばウイルスのプロモーター、例えば:SV40ウイルス、ラウス肉腫ウイルス(Rous sarcoma virus)、マウス白血病ウイルス(MuLV)、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I)、ウシ白血病ウイルス(BLV)、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus)、これらのウイルスプロモーター由来のハイブリッドプロモーター及び組み換え配列を含むウイルスプロモーター、から選択されるウイルスのプロモーターの支配下に置かれる。
【0092】
当該ポリヌクレオチドは、さらにコザック配列、特に、配列中の配列ATGがコード配列の開始コドンに相当するヌクレオチド配列ACCATGGを含んでよい。
さらに、当該ポリヌクレオチドはイントロンを含んでよい。
特定の実施形態によれば、当該ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの、上に定義したポリペプチドリンカーをコードするヌクレオチドリンカーを含んでなる。このヌクレオチドリンカーは、特に制限酵素部位を含んでなるまたはこれから成ってよい。用語「制限酵素部位」は、ポリヌクレオチド中の切断部位としてII型制限酵素によって認識される特定のヌクレオチド配列を意味する。例えば、このヌクレオチドリンカーは、制限酵素XbaI(配列TCTAGA)の制限酵素部位を含んでなる、ヌクレオチド配列AGGTCTAGAから構成されてよい。
【0093】
特定の実施形態によれば、当該ポリヌクレオチドの配列は、宿主(例えば真核生物宿主)、特にヒト、ヒト以外の哺乳類及び/又は鳥で使用するために最適化される。
本発明はまた、クローニングまたは発現ベクター、好適には、制御、クローニングまたは発現要素の支配下の、本発明のポリヌクレオチドによって構成されたポリヌクレオチドの挿入断片を含んでなることを特徴とするプラスミドに関する。
本発明はまた、細菌細胞培養、真核動物細胞及び株細胞の初代細胞培養、本発明のポリヌクレオチドを含む当該細胞培養、本発明のクローニングまたは発現ベクター、或いは本発明のキメラポリペプチドを含んでなる群から選択される細胞培養に関する。
【0094】
本発明はまた、核酸、特にDNAを含んでなる免疫原性組成物であって、本発明のポリヌクレオチド、及び医薬上許容される担体、希釈剤またはビヒクルを含んでなるまたはこれらから成ることを特徴とする免疫原性組成物に関する。
特定の実施形態によれば、当該免疫原性組成物はさらに、本願で定義するアジュバントを含んでなる。
特定の実施形態によれば、当該核酸はDNAである。DNAに基づく免疫原性組成物は、インビボ(in vivo)で免疫が与えられる宿主の細胞、特に樹状細胞(特にランゲルハンス細胞)をターゲットにし、これらの細胞はワクチン化した(vaccinating)エキソソームの優れた産生者である。従って、この免疫原性組成物は、目的のペプチドまたはポリペプチド或いはこれらのフラグメントを輸送するエキソソームの当該免疫原性組成物によって免疫を有する宿主の細胞により、当該産生を誘発することが可能かもしれない。
【0095】
特定の実施形態によれば、当該免疫原性組成物はワクチン、特にDNAワクチンである。
本発明はまた、組換え型のエキソソーム産生細胞、特に免疫システムの細胞、より詳細にはマスト細胞、リンパ球、特にB及びTリンパ球、並びに樹状細胞、特にランゲルハンス細胞から選択される免疫システムの細胞に関するもので、当該細胞は本発明の1または複数のポリヌクレオチド(複数)、本発明のクローニングまたは発現ベクターと再結合すること、或いは本発明の膜小胞を吸収することを特徴とする。
【0096】
さらに本発明はまた、薬物としての使用、特に細菌、ウイルスまたは寄生虫感染、あるいは腫瘍の予防及び/又は治療での使用のための、本発明のキメラポリペプチド、本発明のポリペプチド、本発明の1または複数の膜小胞(複数)(特に本発明の1または複数のエキソソーム(複数))、本発明のポリヌクレオチド或いは本発明の免疫原性組成物に関する。これらは、特に、(ヒトまたはヒトでない)宿主において、インビボ(in vivo)で、目的のペプチドまたはポリペプチドが由来する腫瘍、ウイルス、細菌または寄生虫に対する体液性及び/又は細胞性応答を誘発または促進するために(すなわち、特に増幅するために)、特に、免疫付与での使用を目的とする。これらは特に、目的のペプチドまたはポリペプチドに対する特定のT CD4及び/又はT CD8応答を誘発または増幅するために、並びに/或いは目的のペプチドまたはポリペプチドに対するポリクローナル及び/又はモノクローナル抗体、特に1または複数の立体構造エピトープを含んでなるまたはこれらから成るペプチドまたはポリペプチドに対する抗体を産生するために、インビボ(in vivo)で使用されてよい。
【0097】
本発明はまた、腫瘍または病原体または病原性物質による感染症、特に細菌、ウイルスまたは寄生虫感染症の予防及び/又は治療のための薬剤の産生のための、本発明のポリペプチド(特に本発明のキメラポリペプチド)、本発明の1または複数の膜小胞(複数)(特に本発明の1または複数のエキソソーム(複数))、本発明のポリヌクレオチド、或いは、本発明の免疫原性組成物の使用に関する。
活性成分が本発明のポリヌクレオチド或いは本発明の1または複数の膜小胞(複数)である、免疫原性組成物の(ヒトまたはヒトでない)宿主への投与の後に、この宿主のエキソソーム産生細胞、特に樹状細胞は、本発明のキメラポリペプチドまたはポリペプチド及び/或いはこれらの後者のポリペプチド分解生成物を含んでなるエキソソームを産生するであろう、というのもこの分解生成物は本来主要組織適合遺伝子複合体の分子と結合しやすいからである。これらの膜小胞、特に目的のペプチドまたはポリペプチド或いはフラグメントが(部分的にまたは完全に)露出される表面上のものは、目的のペプチドまたはポリペプチドに対する免疫応答を誘発または促進するであろう。
【0098】
本願の文脈で「宿主」は、ヒトまたはヒトでない哺乳類を意味する。
本願で使用される用語「ヒトでない動物」には、任意の人間以外の哺乳類、特にげっ歯類(特にマウス、ラット、ハムスターまたはウサギ)、サル、ラクダ、ネコ、イヌ、ウマ、ラバ、ウシ、ヒツジ、ブタが含まれ、また鳥、特にニワトリが含まれる。
本願で使用される語句「感染」は、(ヒトまたはヒトでない)宿主が病原体または病原性物質へ、特に本願で定義するエンベロープを有するウイルスへ曝露されていることを意味する。特に、このような感染は、誘発されたまたは当該感染症を併発している病状の臨床徴候を変化させることができる。したがって、用語「感染」はまた、病原体または病原性物質への曝露に続く、(ヒトまたはヒトでない)宿主に現れている任意の臨床徴候、症状または疾患を包含する。例えば、本願の文脈では「ウイルス感染」または「細菌感染」には、ウイルス、細菌または寄生虫の混入の最初期段階、中間段階、及び混入の最終段階、並びにウイルス、細菌または寄生虫による宿主への混入の結果である様々な病状が含まれ;これにはまた病原体のゲノムの全部または一部の存在も含まれる。
【0099】
用語「予防」は、感染または腫瘍の臨床徴候または症状が出現する間の遅延の任意の程度、並びに感染のまたは腫瘍における臨床徴候または症状の重症度における抑制の任意の程度を意味し、感染またはガンの完全な予防を含むがこれに限定されない。これは、本発明のポリペプチド、本発明のポリヌクレオチド、本発明の膜小胞または免疫原性組成物が、疾患の任意の臨床徴候または症状が出現する前に、病原体または病原性物質へ曝露されやすい並びに/或いは腫瘍が発達しやすい宿主へ投与されることが必要である。当該宿主が感染に関与する生物または病原性物質へ曝露される前に、または曝露の瞬間に予防的投与を行ってよい。このような予防的投与は、任意の続発性感染症の重症化を予防及び/又は減少することに役立つ。本願の文脈において予防はまた、感染症またはガンの全体的な予防を包含する。
【0100】
用語「治療」は、本発明のキメラポリペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、膜小胞または免疫原性組成物の1つが、生物または病原性物質への曝露の瞬間に、曝露後にまたは感染の臨床徴候または症状の出現後に或いは腫瘍の出現後に宿主へ投与された場合に、これらによって宿主に産生される治療効果を意味する。ウイルスによる混入後に本発明の活性物質が宿主へ投与される場合、これらは一次感染段階の間に、無症候期の間にまたは疾患の臨床徴候または症状の出現後に投与されてよい。
用語「治療」には、本発明の活性物質によって得られる任意の治療効果、及び(ヒトまたはヒトでない)宿主で観察される臨床徴候または症状における改善、並びに宿主の健康状態における改善が含まれる。従って、用語「治療」は、特に、ウイルス、細菌若しくは寄生虫の感染、または腫瘍及び/或いは感染の有害な結果の成長、或いは腫瘍の出現の遅延、減少、遮断並びに停止を包含する;治療は必ずしも、感染または腫瘍の全臨床徴候及び疾患の全症状の完全な解消も、ウイルス、細菌、寄生虫または腫瘍細胞の完全な除去も必要でない。
【0101】
従って、本発明の活性物質は、生物または病原性物質への曝露及び感染または腫瘍の発達のリスクを呈する宿主へ(予防)、或いは宿主の病原体または病原因子への曝露後に、特に疾患の初期臨床徴候または症状の出現後に、例えばウイルス、細菌、寄生虫または腫瘍の特定のタンパク質或いは抗体が、宿主の血中に検出された後に投与することができる(治療)。
本発明はまた、ウイルス、細菌または寄生虫感染あるいは腫瘍を予防及び/又は治療する方法に関し、当該方法は、インビボ(in vivo)での、本発明のキメラポリペプチドまたはポリペプチド、本発明の1または複数の膜小胞(複数)(特に本発明の1または複数のエキソソーム(複数))、本発明ポリヌクレオチドまたは本発明の免疫原性組成物の、これを必要とする宿主への投与のための少なくとも1つのステップを含んでなる。当該治療方法は、特に、当該宿主において、インビボ(in vivo)で、目的のペプチドまたはポリペプチドの由来である腫瘍、ウイルス、細菌または寄生虫に対する体液性及び/又は細胞性応答に適当であり、また当該応答を誘発または促進することを意図する。
【0102】
本願で使用する用語「投与」及び「投与する」には、選択された投与経路にかかわらず、任意の投与が含まれる。
投与経路及び薬量は、様々なパラメータに基づいて、例えば治療を受ける宿主の状態、感染のタイプ及び感染の重症度または腫瘍のサイズの関数に基づいて変化する。
本発明のキメラポリペプチドまたはポリペプチド、及び本発明の1または複数の膜小胞(複数)(特に本発明の1または複数のエキソソーム(複数))、本発明のポリヌクレオチド或いは本発明の免疫原性組成物は、乾燥、固体形態で(特にウエハー、粉末、カプセル、丸剤、顆粒、坐薬、高分子カプセルまたは錠剤、より詳細には即放出性錠剤、胃耐性錠剤または遅放出性錠剤として)、ゲル形態または溶液形態で或いは液体懸濁液として(特にシロップ、注射可能な溶液、輸液または飲用溶液、ネブライザー(nebulizer)、微小胞、或いはリポソームとして)、或いはパッチの形態で、ヒトまたはヒトでない宿主へ投与することができる。これらの化合物はまた、使用時に適当な希釈剤と再構成するための乾燥用量(粉末、凍結乾燥体(lyophilisate)、等)の形態でよい。さらに、これらは、単回投与(単回用量(monodose))または複数回投与(複数回用量(multidose))の形態で包装してよい。
【0103】
本発明の免疫原性組成物の有利な効果を増強するために、特定の時間間隔の後に、1回または複数回繰り返される、複数の連続的な投与形態で、投与を実行することが可能である。さらにこれらは、もう一つの治療薬剤、特に抗ウイルス剤、抗細菌剤、抗寄生虫剤または抗腫瘍剤と共に投与される。
ワクチン接種での使用の文脈の中では、最初に本発明のポリヌクレオチドに基づく免疫原性組成物、特に本発明のDNAワクチンで、その後本発明の膜小胞、小胞に基づく免疫原性組成物または免疫原性組成物で宿主に免疫を与えることもまた好適かもしれず、この活性成分は本発明のポリペプチド、本発明のキメラポリペプチドまたはこれらの1または複数のフラグメント(複数)である(当該ポリペプチド、キメラポリペプチドまたはこの(これらの)フラグメント(複数)は、精製または化学合成によって得ることができる)。
【0104】
また、最初に本発明の膜小胞またはこの小胞に基づく免疫原性組成物で、その後本発明のポリヌクレオチドに基づく免疫原性組成物、特に本発明のDNAワクチンで宿主に免疫を与えることも好適かもしれない。
本発明の活性物質は、経腸的に、非経口的に(静脈内に、筋肉内にまたは皮下に)、経皮的に(或いは経皮的に(transdermally)または経皮的に(percutaneously)、皮膚性で、経口で、粘膜で、特に経口の(per os)、経鼻的に、眼科的に、鼻科的に(耳の中へ)、経膣的に、直腸性に、或いは胃内の、心臓内の、腹腔内の、肺内のまたは気管内の輸送によって投与するために製剤してよい。
【0105】
本発明のポリヌクレオチドに基づく免疫原性組成物、及び特に本発明のDNAワクチンは、好適には針及びシリンジまたは無針注射器、特にDNAが積まれた金、タングステンまたは白金のマイクロビーズを宿主の細胞内に推進することができる圧縮空気銃(「微粒子銃」または遺伝子銃)、例えば供給業者バイオラッド由来の「ヘリオス遺伝子銃システム(Helios Gene Gun System)(商標登録)」を使用して、筋肉内にまたは皮下に宿主へ投与される。
ヒトまたはヒトでない宿主へ投与される活性成分の量は、治療上有効な量、すなわち薬量上活性のある、十分な量、並びに得られる顕著な効果に必要である時間のため、及び特に本願で定義する予防または治療のための投与の状況の中で、宿主へ顕著な利益を供するための量である。治療上有効な量はまた、有利な効果が活性成分(複数)に起因する任意の有毒または有害な作用を上回る量である。このような量は、ウイルス複製、細菌増殖または腫瘍の顕著な成長を抑制する、或いは病原体または病原因子によって誘発される任意の存在する感染を消滅、縮小または改善するのに十分な量に相当する。治療上有効な量は、宿主の感染の状態、年齢、性別または体重等の要因の関数に従って変化する。薬量学的投与計画(posological regimes)は、最適な治療効果を得るために調整してよい。
【0106】
本発明はまた、インビボ(in vivo)での膜小胞、特にエキソソームの産生のための方法に関し、当該方法は、(ヒトまたはヒトでない)宿主への、本発明のポリペプチド(特に本発明のキメラポリペプチド)の投与、本発明の1または複数の膜小胞(複数)(特に本発明の1または複数のエキソソーム(複数))、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明の免疫原性組成物の投与のためのステップを含んでなることを特徴とする。この方法は、特に腫瘍或いは病原体または病原性物質による感染、特に細菌、ウイルスまたは寄生虫の感染の予防及び/又は治療のための方法の中で実施されてよい。
【0107】
本発明はさらに、インビトロ(in vitro)での膜小胞及び特に目的のペプチドまたはポリペプチド並びに/或いは当該目的のペプチドまたはポリペプチドの分解生成物を含んでなるエキソソームの産生のための方法に関し、当該分解生成物は必要ならば場合により、主要組織適合遺伝子複合体分子と結合することができる。当該方法は、次のステップを含んでなる:
a)目的のペプチド若しくはポリペプチドを含んでなるポリペプチドをコードする、本発明の1または複数のポリヌクレオチド(複数)を、エキソソーム産生細胞の中へ導入すること、或いは、目的の当該ペプチド若しくはポリペプチドを含んでなるポリペプチド、及び/又はこのポリペプチドの分解生成物を含む本発明の1または複数の膜小胞(複数)と、或いは当該小胞に基づく組成物とエキソソーム産生細胞を接触させること;
b)当該エキソソーム産生細胞を培養すること;
c)膜小胞、特に上記エキソソーム産生細胞によって産生されるエキソソームを回収すること。
【0108】
特定の実施形態によれば、エキソソーム産生細胞は、HEK293株の細胞、または誘導体株、或いは免疫システムの細胞である。特に、免疫システムの細胞は、マスト細胞、リンパ球、特にT及びBリンパ球、並びに樹状細胞から選択されてよい。免疫システムの細胞は、好適には樹状細胞、例えばランゲルハンス細胞である。
特定の実施形態によれば、ステップa)は、本発明の1または複数の膜小胞(複数)、特に本発明の1または複数のエキソソーム(複数)を樹状細胞と接触させることからなる。
【0109】
特定の実施形態によれば、当該方法はさらにステップa)及びb)の間に中間ステップを含んでなり、この間にエキソソームの分泌を誘発及び/又は増加するために或いは定義した量を有するエキソソームを得るために、特に特定の細胞タンパク質、例えばタンパク質ICAMに関してエキソソームの組成物における特異性を誘発するために、細胞が選択及び/又は刺激される。
【0110】
特定の実施形態によれば、ステップa)における本発明の1または複数のポリヌクレオチド(複数)のエキソソーム産生細胞中への導入は、核酸の導入または形質導入によって実行される。
特定の実施形態によれば、ステップc)は、分画遠心、限外濾過、担体への吸着、或いは任意の他の方法によって、エキソソームを精製することにより実行され、膜小胞、特にエキソソーム産生細胞の培養上清から開始される。
膜小胞、特にこの方法によって得られるエキソソームはまた本発明の範囲に入る。
【0111】
本発明はまた、目的のペプチドまたはポリペプチドに対する抗体を産生するための、本発明の1または複数の膜小胞(複数)、本発明の膜小胞(複数)に基づく免疫原性組成物の使用に関し、そしてこの抗体は診断または研究での使用が意図される。
本発明はまた、膜小胞、特にエキソソームの表面に発現される目的の1または複数の抗原性ペプチド(複数)またはポリペプチド(複数)に対するポリクローナル血清を調製するための方法に関し、当該方法は次のステップを含んでなる:
a)アジュバントと結合させてまたは結合させずに、本発明の膜小胞、本発明の免疫原性組成物または本発明のポリヌクレオチドをヒトでない動物へ必要ならば繰り返し投与すること;並びに
b)目的の抗原性ペプチド(複数)またはポリペプチド(複数)を認識することができる、形成された抗体を回収すること。
特定の実施形態によれば、ステップa)は、ヒトでない動物の屠殺のためのステップが続く。
【0112】
本発明はまた、膜小胞、特にエキソソームの表面上に発現される1または複数の抗原性ペプチド(複数)またはポリペプチド(複数)に対するモノクローナル抗体を調製するための2つの方法に関する。第一の方法は次のステップを含んでなる:
a)本発明の膜小胞、本発明の免疫原性組成物または本発明のポリヌクレオチドが、必要ならばアジュバントと結合して投与された、そして必要ならば繰り返しの投与により投与された、(ヒトまたはヒトでない)宿主で、例えばBalb/cマウスで、予め得られた骨髄腫細胞、脾臓細胞に融合すること;
b)抗体の産生が可能な条件下で雑種細胞を培養及び選択すること;
c)目的の抗原性ペプチド(複数)またはポリペプチド(複数)に対するモノクローナル抗体を回収すること。
【0113】
モノクローナル抗体を調製するための第二の方法は、次のステップを含んでなる:
a)必要な場合にアジュバントと結合して、そして必要ならば繰り返される投与によって、本発明の膜小胞、本発明の免疫原性組成物または本発明のポリヌクレオチドを投与した(ヒトまたはヒトでない)宿主で、例えばBalb/cマウスで予め得られた、造血細胞由来の、より詳細には血液細胞由来の抗体産生細胞、例えばリンパ球またはリンパ芽球を不死化すること;
b)抗体の産生が可能な条件下で不死化細胞を培養及び選択すること;
c)目的の抗原性ペプチド(複数)またはポリペプチド(複数)に対するモノクローナル抗体を回収すること。
【0114】
ステップa)における抗体産生細胞の不死化は、特にこれらの細胞を不死化ウイルスに感染させることによって実行されてよい。この不死化ウイルスは、ヘルペス型ウイルス、例えばエプスタイン・バーウイルスであってよい。この不死化はまた、不死化要素を有する抗体産生細胞のゲノムの改変(modification)により実行されてよい。この不死化成分は、ウイルス成分、例えばヘルペス型ウイルスの成分、或いは細胞遺伝子、例えばテロメラーゼのための遺伝子であってよい。
ポリクローナル血清を調製するための方法またはモノクローナル抗体を調製するための方法の中で、本発明の膜小胞、免疫原性組成物またはポリヌクレオチドが投与されるヒトでない動物は、特にげっ歯類(特にマウス、例えばBalb/cマウス、ラット、ハムスターまたはウサギ)、鳥、特にニワトリ、またはラバであってよい。
【0115】
本発明のモノクローナル抗体の調製のための2つの方法の特定の実施形態によれば、ステップa)の脾臓細胞または抗体産生細胞は、ヒトでない宿主において予め得られており、そして当該ヒトでない動物の屠殺のステップが続く。
必要な場合、本発明の抗体の調製のための方法によって生成されるモノクローナルまたはポリクローナル抗体は、最大数の原種の定常フラグメントFcをヒトフラグメントで取替えるために、「ヒト化」される、すなわち遺伝子操作によって調整されてよい。
【0116】
本発明はまた、当該目的のペプチドまたはポリペプチド、或いは当該目的のペプチドまたはポリペプチドのフラグメントと相互作用することができる、(特にインビトロ(in vitro)での)特定のパートナー(partners)の検出のための、本発明のキメラポリペプチド、本発明のポリペプチド、本発明の1または複数の膜小胞(複数)或いは本発明の免疫原性組成物の使用に関する。
本願はまた、インビトロ(in vitro)で、目的のペプチドまたはポリペプチド或いは当該目的のペプチドまたはポリペプチドフラグメントと相互作用している分子のスクリーニングのための方法、或いは当該分子を産生している細胞を選択するための方法に関し、当該方法には:
a)本発明の膜小胞を当該目的のペプチドまたはポリペプチドと相互作用しやすい1または複数の分子と接触させること;
b)当該目的のペプチドまたはポリペプチド、或いは当該目的のペプチドまたはポリペプチドのフラグメント及び、当該分子との間の任意の相互作用を検出すること、が含まれる。
【0117】
当該目的のペプチドまたはポリペプチド及び任意のパートナーの間、特にタンパク質及びこのリガンドの間の相互作用は、タンパク質相互作用を説明することができる任意の技術によって、例えば免疫共沈降実験によって、例えばELISAによって、例えばフロー細胞蛍光定量法(フローサイト蛍光測定法)、例えばPAGE−SDS電気泳動によって、或いはウエスタン(ウエスタンブロット)型のトランスファーによって、並びにタンパク質、特にタンパク質およびこのリガンド間の相互作用を任意の高処理スクリーニング技術、例えばイノシトールリン酸を測定する技術によって、或いはcAMP、またはカルシウムの改変、或いは分子間または分子の2つのドメイン間のエネルギー移動(例えばFRETまたはBRET技術)によって、インビトロ(in vitro)で説明することができる。
【0118】
特定の実施形態によれば、本発明のスクリーニング方法のステップa)で使用される膜小胞は、少なくとも1つの目的のペプチドまたはポリペプチド、或いは少なくとも1つのこれらのフラグメントが、部分的にまたは完全に、当該膜小胞の外側に露呈されているものである。目的のペプチドまたはポリペプチドは特に、複数の膜貫通型ドメインを有する受容体、例えば受容体CXCR4、または単回の膜貫通型ドメインを含んでなる受容体、例えばCD4またはEGF−R1であってよい。
最後に、本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含んでなるキット及び使用説明書に関する。
本発明の他の特徴及び有利な点は、下記の実施例及び図から明らかになるであろう。
【実施例】
【0119】
実施例1
方法及び装置
I.プラスミドDNAの調製:
A.細菌の形質転換:
コンピテントDH5α細菌(200μl)を、BLVウイルスの野生型または突然変異体CD(商標登録)をコードする試験した13個のDNAの各々の12.5ngを用いて、熱衝撃によって、並びにネガティブコントロールとして機能している挿入断片(pLPCX)の欠損しているプラスミドによって形質転換した。
そして、この細菌を50μg/mLのアンピシリンを含有するLB/Agar培地上に、37℃で16時間散布した。そしてこれらを4℃で保存した。
【0120】
B.細菌の前培養及び培養:
次に、細菌の各タイプのコロニーを、アンピシリン100μg/mLを含有する3mLのLB培地中で、攪拌しながら37℃で約8時間前培養した。
各前培養物を、各々250mLのLB/Amp(100 μg/mL)を含有する2つのフラスコで、1/200希釈で植菌に提供した。培養は、37℃で攪拌と伴に12〜16時間実施した。
【0121】
C.STETマキシ調製:
得られた培養物を、速度3600rpm並びに温度4℃で20分間遠心分離した(GR 412, Jouan)。残渣を25mLのSTET緩衝液(スクロース8%、トリトンX100 5%、トリス塩酸pH8、50 mM、EDTA 50 mM)に溶解し、500μlのリゾチーム(10 mg/mL; Sigma)及び250μlのRNA分解酵素(2 mg/mL; Sigma)を添加した。そしてチューブを100℃で10分間インキュベートし、そして16000rpmで30分間遠心分離した。1mg/mLのタンパク質分解酵素K(Amresco)の存在下で、得られた上清を65℃で45分間インキュベートした。上清を除去し、そしてDNAを0.15容の酢酸ナトリウム(AcNa)3M、pH6及び0.6容のイソプロパノ−ルで沈殿させた。この溶液を4℃、15000rpmで15分間遠心分離した(Aventi 30, Beckman)。得られた残渣を、同様のパラメータを使用して再度遠心分離する前に、10mLのエタノールで洗浄した。得られた核酸を乾燥し、2mLのTE 1Xに溶解し、そして4℃で保存した。
高次コイルのDNAの存在が、0.8%のアガロ−スゲル電気泳動による0.2μl及びμlの生成物の電気泳動によって、各マキシ調製生成物で確認された。
【0122】
D.カラム精製:
STETマキシ調製は、大量のプラスミドを生成するために使用することができるが、純度を改善することが可能である。この目的のために、我々は2つのパス(passes)によってAX100カラムで14個の各プラスミドを精製した(Kit Nucleobond PC 100, Macherey Nagel)。イソプロパノ−ルでの沈殿の後、得られた精製されたプラスミドを500μlのTE1X中に溶解し、4℃で保存した。
カラム上で得られた各溶出液及び保持されなかった画分(FT=流水式)に関して、高次コイルDNAの存在がアガロ−スゲル電気泳動(0.8%)によって確認された。
得られた溶液のDNA濃度を、波長260nmの分光光度法で調べた。
【0123】
E.一定分量の取り出し及びエタノールでの沈殿:
各DNAタイプを一定分量50または100μgでチューブ内に置き、そしてプラスミドを滅菌するために層流式フードで、エタノール(EtOH)及びNaClを使用して沈殿を実施した。得られた残渣を100μgのプラスミドあたり200μlのTE1Xの量、すなわち濃度500ng/μlの量で溶解した。一定分量中のDNAの存在が、0.8%のアガロ−スゲル電気泳動によって確認された。
F.得られた一定分量の分光光度アッセイ:
一定分量を、260nmの波長の分光光度法でアッセイした。サンプルを1/50まで希釈し、そして最終容積500μlでアッセイした。
G.酵素による消化:
制限酵素(New England Biolabs):Hind III/Not I pair、Xba I、Aat II、Pac I、Sfo Iでのこれら各々の20ngの消化によって、各プラスミドの同一性を確認した。各消化生成物のアガロ−スゲル電気泳動(0.8 %)の後に、得られるバンドの数及びこれらの分子量によってプラスミドを識別した。
【0124】
II.キメラ発現の分析
A.細胞培養:
HEK293細胞(ヒト胎児腎臓細胞)を、10%のウシ胎仔血清(FCS)及び20μg/mLのゲンタマイシンを追加したDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)で、5%CO2の下で37℃で培養した。
B.形質導入:
形質導入するために、5×105細胞を9.6cm2ウェルごとに2mLの培地上に蒔いた(6ウェルプレート)。5%CO2の下、37℃でオーバーナイトで培養後、培地を抗生物質非含有の完全DMEMで交換した。
その後、NaCl緩衝液(0.15 M)、6μlのJet PEI(Qbiogen)及び3μgの各テスト核酸中で、錯化剤によって形成されたポリプレックスによって細胞に形質導入した;LacZを発現しているプラスミドは、遺伝子導入のポジティブコントロールとして機能した。24時間の培養後、5%CO2の下、37℃で、培地を除去し20μg/mLのゲンタマイシンを有する完全DMEMと交換した。最適なプラスミド発現が、形質導入を開始して48時間後に得られた。
一定の場合には、CD(商標登録)の分解及びターゲティングにおける小胞輸送の重要性を分析するために、我々は、小胞輸送阻害剤、すなわちバフィロマイシン及びLy294002を使用した。遺伝子導入の32時間後、濃度0.5μMのバフィロマイシン、及び10μMのLy294002の各阻害剤を培地へ添加した。
【0125】
C.タンパク質抽出:
遺伝子導入の48時間後、細胞を0.5%のTNE−NP40緩衝液で溶解し、0.1mMのPMSFを添加した。遠心分離(14000 rpm、15分、4℃; Eppendorf 5417R)による清澄後、可溶化物をブラッドフォード法を使用して分光光度法(595nmで)でアッセイした。
各サンプルに関して、200μgのタンパク質を除去し、最終容積30μlのために溶解緩衝液を追加し、10μlの4X緩衝液サンプル(CB 4X: NaOH 200 mM, EDTA 20 mM, SDS 2%, ブロモクレゾールグリーン 0.05%, グリセロール 10%)を添加した。
【0126】
D.エキソソームの調製:
細胞を溶解する前に培地を回収し、そして温度4℃で20分間10000rpmで前遠心分離した(Aventi 30, Beckman)。次に得られた上清を温度4℃で2時間100000gで超遠心分離した(Optima LE-80K, Ti 50 rotor, Beckman)。得られた残渣を100μlのCB 1X中に溶解した。
我々はまた、エキソソームをショ糖密度勾配の沈降により分析した。培地を超遠心分離した後に得られた残渣を、100μlの0.25Mショ糖溶液中に溶解した。
次に小胞を、異なる密度(モル濃度):0.5/0.75/1/1.25/1.5/1.75/2/2.5の(1.2 mLの)8層で調製したショ糖密度勾配上で堆積させた。次にチューブを、温度4℃で16時間、39000rpmで遠心分離した(Optima LE-80K, SW 41 rotor, Beckman)。
遠心分離の後、勾配を700μlの画分中に回収した。同容積の30%TCAを添加することによって、タンパク質を沈殿させた。チューブを4℃で2時間保存し、次に温度4℃で20分間13000rpmで遠心分離した(Eppendorf, 5417R)。残渣を500μlのアセトンに溶解し、そして前述のように再度遠心分離した。
従って、得られた残渣を80μlのCB1Xに溶解し、そしてアクリルアミド-SDSゲル泳動及びウエスタンブロットによって分析した。
【0127】
E.ウエスタンブロット及び免疫沈降:
得られたタンパク質サンプルを、ウエスタンブロットによって分析した:アクリルアミドゲル(12.5 %)上で泳動及び分離後、タンパク質を疎水性のPVDF膜(Immobillon-P, Millipore)上に移動した。
次の抗体を使用して免疫標識することにより、TMタンパク質の突然変異体の存在が明らかとなった:
・一次抗体:BLV抗ウサギCD(商標登録)抗血清(希釈1/200)
・二次抗体:ペルオキシダーゼで標識した抗ウサギIgG(希釈1/5000;Jackson Immuno Research, JIR)
次の抗体を使用した免疫標識することにより、トランスフェリン受容体の存在が明らかとなった:
・一次抗体:抗ヒトTFrマウスIgG(希釈1/200; Zymed)
・二次抗体:抗マウスIgG(希釈1/5000; JIR)
実験しているタンパク質濃度を選択的に増加させるために、ゲル泳動に先立って我々はまた免疫沈降をタンパク質可溶化物上で実施した。タンパク質量を標準化後、非特異的な反応を除去するために、可溶化物吸着をセファロース6B上で実施し、そして2.5μgの次の抗体の存在下でタンパク質セファロース6Aで免疫沈降を実施した:
・一次抗体:
抗マウスCD8マウスIgG(19/178)(JIR)
抗マウスCD8マウスラットIgG(53/672)(JIR)
・二次抗体抗体:
抗マウスIgG(JIR)
抗ラットIgG(JIR)
次に、得られた残渣を70μlのCB 1.5X中に溶解した。
【0128】
III .免疫蛍光法による局在性確認(Localisation)
A.スライドの調製
層流式フード中で、カバースリップ型スライドをエタノール溶液中で滅菌し、次に1.9cm2ウェル(24ウェルプレート)中に置いた後に37℃で1時間ポリ-L-リジン(25 μg/mL, Sigma)でコーティングした。PBSで洗浄後、スライドを1mLのPBS中で4℃で保存した。
B.細胞培養及び形質導入
「キメラ発現の分析」のセクションに記述の方法に従って、HEK293細胞を培養しそして形質導入した。形質導入の24時間後、細胞を35mLの完全DMEM中に溶解し、続いて滅菌し1ウェルあたり1mLの細胞希釈の量でコーティングしたスライドを含有する、1.9cm2のウェル(24ウェルプレート)中に分配した。従って、培養を経験している細胞を、37℃で5%CO2の下で24時間、インキュベートした。
【0129】
C.固定及び透過処理
次に、細胞をホルムアルデヒド溶液(4%)で30分間固定し、そしてトリトンX―100(最終0.2 %)で透過処理した。3回のPBSでの10分のすすぎの後、スライドを1mLのPBSを使用して4℃で保存した。
D.免疫蛍光法に関する標識
我々は様々な抗体を自由に使用でき、このことから免疫蛍光法による局在確認に複数の標識をテストすることができることが示された:
CD8標識:
N°1:マウスIgG/抗マウスCD8(19/178)(JIR)+抗マウスIgG FITC(JIR)
N°2:マウスAscites/抗マウスCD8(19/178)(JIR)+抗マウスIgG FITC(JIR)
N°3:ラットIgG/抗マウスCD8(53/672)(JIR)+抗ラットIgG FITC(JIR)
N°4:ラットIgG(53/6.7)/抗マウスCD8 FITC(Pharmingen)
細胞内区画の標識:
N°5:マウスIgG/抗ヒトCD63(Lamp3)(Zymed)+抗マウスIgG Cy3(Sigma)
N°6:マウスIgG/抗ヒトLamp1+抗マウスIgG Cy3(Sigma)
N°7:マウスIgG/抗ヒトTf2(Zymed)+抗マウスIgG Cy3(Sigma)
N°8:ウサギIgG/抗カベオリン(BD)+抗ウサギIgG TRITC(JIR)
【0130】
結果
エキソソームの形成プロセスの知識は不十分である。同様に、Envの細胞質ドメインに付随した機能は、特徴があまりない。本研究は、BLVモデルがエキソソーム形成及びウイルス粒子形成の現象の研究において良好なツールであり、そしてBLVののTMタンパク質(CD(商標登録))の細胞質ドメインは「エキソソームディスプレー(display)」によるワクチン接種の発達のために潜在的に重要なツールである、という仮説に基づく。
この潜在力を評価し、そしてBLVのTMタンパク質のターゲティングに関与する機能、より詳細にはパルミトイル化されたまたは非パルミトイル化のシステイン残基の役割を特徴付けるために、我々は、真核細胞で、マウスCD8タンパク質の外部ドメイン及びCD(商標登録)ドメイン(CD8-CD(商標登録)キメラタンパク質)を含んでなるキメラ膜貫通型ベクターの発現を可能にする複数のベクターを開発した。野生型CD8―CD(商標登録)キメラ並びに変異されたCD8―CD(商標登録)キメラが、発現された。
【0131】
ヒト細胞では、マウスCD8外部ドメインは、細胞受容体を阻害しない中立の要素である。したがって、使用したキメラでは、タンパク質の外部ドメイン及び細胞構造の間の相互作用のないことが保証される。
結果としてこれらのキメラから、TMタンパク質の外部ドメイン及び関連するSUタンパク質によって生じる現象を回避しながら明らかにTMタンパク質の細胞質及び膜貫通型のドメインを実験することができる、ということが示される。
3つのタイプのコンストラクトを使用した(参照、図1及び2)。これらのコンストラクトから開始して、我々は、システイン残基1、2及び3(CCCと略す)において野生型または変異型CD8―CD(商標登録)を発現することが可能な異なるpLPCX発現ベクターを開発した。次に、システイン残基をパルミトイル化することができないアラニン残基と置換または非置換した。
【0132】
試験した野生型または変異型CD8―CD(商標登録)タンパク質は:
・1:pX2 CCC(野生型表現型)
・2:pX2 ACC
・3:pX2 CAC
・4:pX2 AAC
・5:pX2 CCA
・6:pX2 ACA
・7:pX2 CAA
・8:pX2 AAA
・9:pX3 CCC(野生型表現型)
・10:pX3 CAC
・11:pX4 −−C (野生型表現型)
・12:pX4 −−A
・13:pX4 stp(pX4 stpは単にED、tmD及びCD8のCD(商標登録)のごく一部から構成される)、であった。
【0133】
これらのコンストラクトによりTMタンパク質のターゲティングのレベルで:システイン残基の変異の結果、TMタンパク質の膜貫通型ドメインの完全性の重要性、及びTMタンパク質(CD(商標登録))の細胞質ドメインの重要性を分析することができた。
【0134】
I.プラスミドDNAの調製:
最初に、我々は13個の各DNA及びネガティブコントロールとして機能する挿入断片(pLPCX)を有しないベクターを大量に産生した。我々の様々なプラスミドにより形質転換した細菌を培養後、続いて得られたDNAを連続してカラム上でSTET方法により精製した。そして得られたプラスミドの同一性は酵素消化によって確認した。
A.STET方法によるDNA調製:
プラスミドDNAの完全性及びSTET調製の収率を確認するために、これらの各1μl及び0.20μlの泳動をアガロ−スゲル(0.8%;参照、図3)上で実施した。DNAの非分解が、均一のサイズの高次コイルDNAの異なるバンドの存在により実証される。
B.カラム精製の生成物におけるDNAの存在の確認:
STET方法により得られたDNAをカラム上で精製した;精製され得られたDNAの完全性を確認するために、保持され溶出された画分及び保持されなかった画分をゲル電気泳動により分析した。図4に示されたゲルにより、高次コイルDNAがカラム(E及びE’)から溶出された純粋画分中には実際に存在し、しかしながら非保持画分(FT)では検出できないことが示された。
【0135】
C.酵素消化後の一定分量の分光測定アッセイ及びDNA濃度の調整:
次に、精製されたDNAを分光光度法によりアッセイした。従って得られた濃度は一定分量に応じて、149μg/mL〜584μg/mLの間で変動した。エタノールでの沈殿後、当該一定分量由来のDNAをTE1X中に取り出し、そして同濃度に調製した。
DNAの濃度を確認するために、酵素消化によりプラスミドをHind III/Not Iペアにより直線化し、次にこれらをゲル電気泳動により分析した(参照、図5、最上部のプロファイル)。得られたバンドの強度は依然として可変である、ことを確認することができる。従って、分光測定アッセイ及び消化後得られたバンドの強度(参照、図5-下層のプロファイル)に応じて濃度を再調整した。プラスミドの同一性を確認する場合に、バンドを細胞に導入する前に正確なDNA濃度が示されることに加えて、等価の強度のバンドの獲得によって、酵素消化に続く電気泳動測定の良好な可読性を達成することができるであろう。
【0136】
D.酵素消化後のDNAの同一性の確認
1)一般的原理:
調製した14個のDNAの同一性を確認するために、これらを制限酵素Hind III及びNot I、Xba I、Aat II、Pac I並びにSfo Iを使用した消化により全て確認したが、これらは各DNAのゲルプロファイルの異なる組合せとなる。消化生成物のアガロ−スゲル(0.8%)泳動により、得られたバンドの数及びサイズに応じて、表1に示すようにDNAを識別することができる (NB:サイズが100塩基対以下のバンドは、我々の電気泳動ゲル上では観察することができなかった):
【0137】
【表1】

【0138】
実験のコンストラクトの消化は、各プラスミドの同一性を確認するために使用した。大きなCD8―CD(商標登録)コンストラクト型は、酵素Hind III/Not I及びXba Iでの消化後に得られたバンドの数及びサイズ分析によって識別された。様々なシステイン残基突然変異体は、酵素Aat II、Pac I及びSfo Iでの消化後に識別された。従って、得られたバンドの数は、Hind III/Not I及びXba Iでの消化によるもの以上であり、識別は特定のバンド(太字)の存在または不存在に基づいて主に実施した。
予想されるバンドのサイズ(bp):
【0139】
【表2】

【0140】
2)実施例:
突然変異体pX2 AAC及びpX2 CCAの識別に関して、得られたゲルを図6Aに示す。
【0141】
解釈:
・Hind III/Not Iでの消化:2つのサンプル各々において、約7206bpで得られた単一バンドは、コンストラクトX2またはX4の存在と一致する。
・XbaIでの消化:2つのサンプル各々において、約6822(または6812)及び367bpで得られている2つのバンドは、コンストラクトX2またはX3の存在と一致する。
これらの2つの結果により、我々は実際にX2型の2つのコンストラクトの存在下にあったことが照合されそして裏付けられる。
次に、これらの中のX2突然変異体を識別しようとした(参照、図6B):
解釈:
・AatIIでの消化:
- サンプル4:得られている約3423bp(赤)の1つの特定のバンドは、次のX2プラスミドの1つの存在と一致する:pX2 CAC、pX2 AAC、pX2 CAAまたはpX2 AAA。
- サンプル5:得られている約4285bp(青)の1つの特定のバンドは、次のX2プラスミドの1つの存在と一致する:pX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CCAまたはpX2 ACA。
【0142】
・Sfo Iでの消化:
- サンプル4:約2538bp(赤)の得られている1つの特定のバンドは、次のX2プラスミドの1つの存在と一致する:pX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CAC、pX2 AAC。
この結果は、Aat IIによる消化のものと照合され、そして我々は次のプラスミドの1つの存在下にあったことを推測することができた:pX2 AACまたはpX2 CAC。
- サンプル5:約1839bp(黒)及び699bp(緑)の得られている2つの特定のバンドは、次のX2プラスミドの1つの存在と一致する:pX2 CCA、pX2 ACA、pX2 CAA、pX2 AAA。この結果は、Aat IIによる消化のものと照合され、次のプラスミドの1つの存在下にあったことを推測することができた:pX2 CCAまたはpX2 ACA。
【0143】
・Pac Iでの消化:
各サンプルに関して、非高次コイルDNApに一致する低い強度のバンド及び高次コイルDNAp(青)に一致する高い強度のバンドを得たが、これからPac Iによる消化がこれらのサンプルにないことが示される。
サンプル4及び5は、各々突然変異体pX2 AAC及びpX2 CCAに一致する。
このプロセスは、プラスミドの全ての識別に適用した。
【0144】
3)結論:
DNAの調製のためのこのステップの間に、14個の精製プラスミドが各々数ミリグラムずつ得られ、酵素消化及びゲル分析による確認の後にこれらの同一性は全て確認された。さらに、全DNAを同濃度に調整した。
【0145】
II.キメラの発現の分析:
DNA発現を調べるために、各プラスミドの同量をHEK293細胞内に導入した。これにより発現されたタンパク質をゲル泳動により分析し、続いてPVDF膜上へ輸送した。そして当該膜は、抗ウサギCD(商標登録)血清及びペルオキシダーゼで標識した二次抗ウサギ抗体を使用して明らかにした。
【0146】
A.細胞可溶化物中のCD8―CD(商標登録)の存在の分析:
1)未精製の可溶化物の分析:
形質導入の48時間後、細胞を溶解し、得られた抽出物をブラッドフォード法を使用してアッセイした。これらの可溶化物由来の未精製タンパク質ブルート(brutes)の200μgを、ゲル泳動及びウエスタンブロットによって分析し、抗CD(商標登録)抗体で明らかにした(参照、図7)。
サンプル中で様々な特定のシグナルを観察することができた:
・CD8−CD(商標登録)の存在に一致する50kDaの二重バンド(青)。2つのバンドは、CD8のグリコシル化の2つのレベルに一致する。
・未確定のオリジンの約20kDaのシグナル(赤)。
サンプルpX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CAC、pX2 AAC、pX4 stp及びpLPCXは、これらのバンドを有しなかった。
【0147】
2)抗CD8抗体による免疫沈降の後の可溶化物の分析:
細胞可溶化物中のCD8−CD(商標登録)の検出閾値を低下させるために、大量の抽出物を使用し、CD8の外部ドメインの立体構造エピトープの特定のモノクローナル抗体での免疫沈降によってキメラを濃縮した。
形質導入48時間後、細胞を溶解し得られた抽出物をブラッドフォード法を使用してアッセイした。タンパク質濃度の標準化の後、抗CD8抗体及びタンパク質Aセファロースの存在下で抽出物を免疫沈降させた。得られた生成物をゲル泳動及びウエスタンブロットにより分析し、抗CD(商標登録)抗体(参照、図8)で明らかにした。そしてサンプル中で様々なシグナルを観察することができた:
・CD8−CD(商標登録)の存在と一致する55kDaの二重バンド(青);
・約66kDaで各サンプルで確認される、不明のシグナル;
・おそらく多量体が形成されたCD8−CD(商標登録)タンパク質の存在と一致する、66kDa以上の分子量を有する1または複数のシグナル。
この場合、pX2 AACサンプルは、免疫沈降なく実施した分析と対照的に、50kDaで検出可能なシグナルを有した。その一方で、サンプルpX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CAC、pX4 stp及びpLPCXに関して検出可能なシグナルはなかった。
【0148】
3)細胞可溶化物中のCD8−CD(商標登録)の発現の分析の概要:
各キメラの特徴(tmD BLVの完全性、第三のシステイン残基の存在及びシステイン残基の数)を有する細胞可溶化物上でウエスタンブロットによって得られたデータの相互の関係を比較することによって、以下の表2を作成することができた。
BLVのCD(商標登録)に加え、2つのファクターがCD8−CD(商標登録)キメラの存在に作用している、ように見える。これらのファクターは:tmd BLVの存在または非存在、並びに第三のシステイン残基(Cys 213)の存在または非存在である。
【0149】
【表3】

【0150】
B.CD8−CD(商標登録)とエキソソームとの関係の分析:
使用した様々なDNAは2、3のヌクレオチドが相違するだけであった。従って、おそらく合成されたCD8−CD(商標登録)の量は同量であった。しかしながら、細胞可溶化物中のCD(商標登録)の発現の分析の間、形質導入48時間後に一定のキメラは検出不可能であったことが確認された。このシグナルの見られないことは、キメラタンパク質の一部の消失を反映するかもしれない。この消失は、これらのキメラの急速な分解、またはエキソソームの形態でのこれらの分泌のいずれかが原因であったのかもしれない。
従って、エキソソーム内のCD8−CD(商標登録)の存在を検出しようとした。
【0151】
1)遠心分離によって単離された小胞中のCD8−CD(商標登録)内容物:
形質導入の48時間後、培地を回収しエキソソームを分離するために遠心分離した。次に得られた残渣をゲル泳動及びウエスタンブロットで分析し、そして抗CD(商標登録)抗体で明らかにした(参照、図9)。
一部のサンプルは、CD8−CD(商標登録)の存在に一致する55kDaでシグナルを示した。このシグナルは、サンプルpX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CAC、pX2 AAC、pX4 stp及びpLPCXに関しては検出不可能であった。
【0152】
2)ショ糖密度勾配上での小胞の沈降後のCD8−CD(商標登録)内容物:
培地の超遠心分離後に得られたシグナルは実際にエキソソーム中のキメラの存在に起因するものであり、CD8−CD(商標登録)を含有する細胞残屑の存在に起因するものではないということを確認するために、上述の方法に従ってショ糖密度勾配上での沈降によって得られたエキソソームの残渣を分析した。使用した細胞及び小胞の組成に応じて1.13g/mL〜1.20g/mLの密度でエキソソームが浮遊した。超遠心分離での沈降後、700μlの画分中で勾配を除去した。TCAを使用してタンパク質を沈殿させ、ゲル泳動、続いてウエスタンブロットで分析し、そして細胞小胞(エンドソームまたはエキソソーム)の存在を検出するために抗CD(商標登録)抗体及び抗トランスフェリン受容体(RTf)抗体で明らかにした。この分析は突然変異体pX4−−C及びpX4−−Aに関して実施した(参照図10)。
pX4−−C及びpX4−−Aにおいて、CD8−CD(商標登録)と一致するシグナルを1.13g/mL〜1.25g/mLの密度を有する画分中で検出した。これらの同密度に関して、RTfと一致するシグナルを検出することもまたできる。これらの結果は、エキソソームを含有する画分中のCD8−CD(商標登録)の存在を明らかにする。
【0153】
3)エキソソームとCD8−CD(商標登録)との関係の分析の概要:
Cys 213を有するpX2を除いた、CD(商標登録)を含有する全突然変異体で、CD8−CD(商標登録)とエキソソームとの結合を検出した。pX4−−C及びpX4−−A突然変異体は、エキソソーム中で非常に効率的にターゲティングされたと思われる。Cys 213を有しないpX3及びpX2突然変異体もまたエキソソーム中で確認されたが、pX4−−C及びpX4−−A突然変異体よりも少ない割合であった。
従って、ウイルスのCD(商標登録)の存在に加え、エキソソームでのCD8−CD(商標登録)キメラのターゲティングに2つのファクターが作用するものと思われる。
【0154】
これらのファクターは:
・BLVの膜貫通型ドメインの存在または非存在。
・Cys3の存在または非存在、である。
C.CD8−CD(商標登録)キメラの発現への小胞輸送阻害の影響:
キメラpX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CAC及びpX2 AACの検出がないことはエキソソームの分泌の増加に起因しないので、これがMVBタンパク質のリソソームへの局在化による分解に起因するか否かを調べた。
この目的のために、小胞輸送阻害剤、主にバフィロマイシン及びLy294002を使用した。これらの阻害剤は、リソソームの分解経路をブロックすることができ、これによりエキソソームによるタンパク質の分泌を促進する。形質導入の32時間後に阻害剤を培地に添加し;16時間後に細胞を溶解し培地を回収し、次にエキソソームを分離するために遠心分離した。得られたサンプルをゲル泳動で分析し、抗CD(商標登録)抗体によりウエスタンブロットで明らかにした。このようにして、キメラpX2 CCC、pX2 CCA、pX3 CCC、pX4−−C、pX4−−A及びpX4 stpの発現を分析した(参照、図11及び12)。
【0155】
これらの突然変異体に関して、得られたタンパク質に対する阻害剤の存在下でのウエスタンブロットプロファイルは、細胞可溶化物及びエキソソームどちらに関しても阻害剤なしの分析の間と同様であった、ように思われる。
従って、キメラpX2 CCC、pX2 ACC、pX2 CAC及びpX2 AACの不存在は、明らかに加速されたエキソソーム放出、またはリソソームでの分解のどちらにも起因しない。おそらく、これは小胞体(RE)及びTGN中でのフォールディングの制御に関するシステムのレベルでの非常に早期の分解での結果である。
【0156】
III.免疫蛍光法による局在確認:
細胞区画においてCD8−CD(商標登録)の膜ターゲティング及びこの局在性を評価するために、共焦点免疫蛍光顕微鏡を使用して観察を実施した。形質導入48時間後、細胞を固定し、様々な抗体を使用して標識した。
【0157】
A.抗体の選択:
最初に、標識の各タイプ(参照、方法及び装置)を、pX4−−CまたはpLPCXを発現している固定細胞上で可変の抗体希釈を使用してテストした。通常の免疫蛍光顕微鏡(ZEISS Axiovert 200 M)上で観察の後、様々な入手可能な抗体(参照、「方法及び装置」部分)をテストし、そしてこれらの有効性及びこれらの最適な希釈を測定した。複数の抗細胞内区画抗体が、ゼロまたは1つの特定のシグナルを有することが観察された。
従って、共焦点イメージ観察に関して、2つのタイプの標識を使用することができた:
・CD8−CD(商標登録)標識ラベル:
ラットIgG(53/6.7)抗マウスCD8 FITC(Pharmingen, dilution 1/50)
・Lamp3ラベル:
抗ヒトCD63(Lamp3)マウスIgG(Zymed, dilution 1/50)+抗マウスIgG Cy3(Sigma, dilution 1/500)
【0158】
B.CD8−CD(商標登録)の分布の観察:
細胞の固定及び我々の様々な抗体を使用した標識の後、共焦点顕微鏡(ZEISS LSM 510)を使用してCD8−CD(商標登録)に由来する標識の分布及びLamp3との共局在を観察した。
pLPCX(ネガティブコントロール)を発現している細胞はFITCシグナルを示さなかった。従って、このコントロールから、他の突然変異体に関して視覚化されたFITC蛍光は実際にはCD8−CD(商標登録)の存在に由来することを確認することができた。
驚くことに、ウエスタンブロットによって検出されないにもかかわらず、Cys3を含んでなるpX2コンストラクトは弱いものの免疫蛍光法で観察された。
【0159】
一般的な表現型の分析:
HEK293細胞に48時間形質導入し、固定した。ZEISS LSM 510共焦点顕微鏡(X63 immersion objective)を使用して、観察を実施した。
CD8:FITC標識(緑)からCD8を含んでなるキメラの存在が明らかとなった。
Lamp3:Cy3標識(赤)から後期エンドソームを特徴とするLamp3タンパク質の存在が明らかとなった。
CD8−CD(商標登録)/Lamp3:FITC及びCy3画像を重ね合わせた。得られた黄色の色調から、CD8−CD(商標登録)とLamp3の共局在が証明される。
この観察から、FITC標識の(小胞、膜または核周囲の)出現及び強度に基づき5つの一般的表現型を識別することができる(参照、図13〜17)。小胞の出現に関するFITC標識のLamp3との共局在は、あらゆる突然変異体中に存在するので、これらの表現型の判定のために使用することができない。さらに、この共局在は常に部分的であった。
【0160】
強度のFITCシグナルを有している核周囲の分析:
pX4 stpを除く全サンプルに関して、大きく均一なCD8の核周囲のシグナルはほぼ常に核の周囲で発見された。細胞に存在するFITC蛍光の主要部を視覚化するために必要である強度パラメータは、この区域の飽和を生じた。このような飽和シグナルは、それほど有用でなく、特にLamp3との共局在の妥当性を測定するために、これらの区域の分析に焦点を合わせることによって強度の弱いパラメータを捕捉した。
【0161】
CD8−CD(商標登録)/Lamp3[a]:CD8−CD(商標登録)(緑)のLamp3(赤)との共局在。弱いものの捕捉のための強度パラメータは、核周囲シグナルの飽和及びこのレベルでの黄色の色調の出現を生じ、これによりこれらの2つの標識の間の部分的な共局在が示された。このシグナル飽和のため、生じている共局在が本当のものかまたは人工によるものなのか述べることは不可能であった。
CD8−CD(商標登録)[d]:CD8−CD(商標登録)に由来するFITCシグナル。強度パラメータは、任意のシグナル飽和現象を除去するために大幅に減少させた。FITCシグナルは散在し、均一であり非断続的に現れた。
【0162】
CD8−CD(商標登録)/Lamp3[d]:CD8−CD(商標登録)(緑)のLamp3(赤)との共局在。強度パラメータを、任意のシグナル飽和現象を除去するために大幅に減少させた。これにより黄色の色調はなくなり、FITC及びLamp3の間の共局在がないことが示された。
このデータによると、Lamp3に由来する標識化は、この核周囲の中に位置するように見えるが、FITC標識と決して共局在しなかった(参照、図18)。
さらに、これらの核周囲のCD8−CD(商標登録)に由来する標識化は散在し、均一であり非断続的に見え、そして細胞組織内のCD8−CD(商標登録)の存在を示しているように思われた。この標識化の局在性及び出現、並びにLamp3との本当の共局在の無いことから、ゴルジ体でのCD8−CD(商標登録)の存在が示唆される。
【0163】
この表現型は、pX4 stpを除いた全突然変異体で多かれ少なかれ確認される。これが常に存在する突然変異体pX2及びpX3と対照的に、pX4−−C及びpX4−Aの突然変異体では、この表現型は少数の細胞で確認することができるだけである。
従って、FITCによって強固に標識された核周囲の特定の観察によって、TGN中のCD8−CD(商標登録)の存在の可能性を示すことができた。
我々は以下の表(参照、表3)を作成するために、得られたデータを使用した。
これらの観察から、ウイルスCD(商標登録)に加えて、2つのファクターがキメラの安定及びターゲティングに関与することが確認される。
これらのファクターは:
・tmd BLVの存在または非存在;
・BLV CD(商標登録)のN末端残基の存在または非存在;
・Cys 3の存在または非存在。
【0164】
【表4】

【0165】
結果:
分析中に、キメラpX4 stpは、単に外部ドメイン及びCD8のtmdから構成され、効率よく原形質膜へターゲティングされることによりHEK293細胞中に蓄積することが示された。
同様の態様で、キメラpX4−−C及びpX4−−Aは蓄積し、そしてpX4 stpよりも大きな割合で原形質膜で確認される。これらのキメラはエキソソーム内で非常に効率的に分泌される。
pX3キメラは、pX4キメラと対照的に、ゴルジ体中に確実に存在する。原形質膜及びエキソソームでのこれらのターゲティングは、pX4 キメラほど効率的でないようだが、多量には違いない。
【0166】
pX2キメラは、あまり安定的に見えず、原形質膜ではなくTGNで確認される。Cys 3を含んでなるpX2コンストラクトは、細胞内でそれほど安定でなく、そしてエキソソームで検出されない。コンストラクトのこのタイプにおける末端Cysの置換は、キメラタンパク質の安定性の増加に寄与するようである。実際、Cys 3のないpX2コンストラクトは、細胞及びエキソソームで検出可能である。
免疫蛍光法において、実験のキメラは全て後期エンドソームのマーカーと部分的に共局在化した小胞標識を有する。
この実験から、CD8−CD(商標登録)キメラの安定性及びターゲティングにおける、Cys 3のの存在または非存在の重要性が示された。このシステイン残基のないことは、実験のキメラの安定性及び膜ターゲティング並びにエキソソーム中でのこれらの存在に有利と思われる。これらの現象は、Cys 3のないことに関係する超パルミトイル化と無関係とすることができる。実際、パルミトイル化されていないコンストラクトpX2 AACは、Cys 3並びにCys 1及び/又はCys 2を有する3つのpX2突然変異体より安定であり、パルミトイル化することができる。しかしながら、キメラの安定性及びターゲティングにおいて、パルミトイル化の他の意味は排除することができる。
【0167】
この実験から、BLV tmDの根本的な重要性が示された。実際、tmD BLVの全ての或いは部分的な欠失は、原形質膜でのキメラの安定性及びターゲティンを大幅に増加するものと思われる。従って、驚くことに、tmD BLVの存在は、キメラの早期の分解に寄与し得る。リソソームの分解経路が原因ではないので、この分解は、細胞区画、すなわちRE及びTGNでのフォールディングを調整しているシステムを妨害し得る。小胞輸送阻害剤が無いことは、CD8−CD(商標登録)キメラの安定性及びエキソソームのターゲティング、並びに後期エンドソームとのこれらの非常に部分的な共局在に影響する、という仮設は最も安定でないキメラを考慮しても支持される。
我々の実験の本質的な魅力は、「エキソソームディスプレー(display)」のコンセプトに基づくワクチン接種モードの開発のための潜在的に有効なツールの発見に属する。実際、pX4−−C、特にpX4−−Aキメラは、ペプチド抗原(ここではCD8)のエキソソームへの非常に有効なターゲティングを可能にする分子「機構」を有するようだ。従って、この「機構」は、BLVのTMタンパク質の細胞質ドメインに位置するであろう。
【0168】
実施例2:CD(商標登録)ペプチドのエキソソーム ターゲティングに関与するアミノ酸の同定
最初の免疫付与トライアルを始める前に、BLV TM タンパク質の細胞質ドメインに位置する「機構」の正確な特質を特定するために、BLV TM タンパク質の細胞質ドメインでの変異の18タイプの影響を実験した(参照、図19):
− 13個のN末端残基の欠失及び第一のPxxPモチーフの2つのプロリン残基の置換(配列番号13及び配列番号14; 変異KM4);
- 13個の末端残基の欠失及び第二のモチーフPxxPの2つのプロリン残基の置換(配列番号15及び配列番号16; 変異KM5);
- 13個のN末端残基の欠失及び第三のPxxPモチーフの2つのプロリン残基の置換(配列番号17及び配列番号18; 変異KM8);
- 13個のN末端残基の欠失及び第四のPxxPモチーフの一番目のプロリン残基の置換(配列番号19及び配列番号20; 変異KM11/1);
- 第四のPxxPモチーフの2つのプロリン残基の置換(配列番号21及び配列番号22; 変異KM11/3);
- 13個のN末端残基の欠失及び第一のYxxLモチーフのチロシン残基の置換(配列番号23及び配列番号24; 変異KTMY);
- 13個のN末端残基の欠失及び第二のYxxLモチーフのチロシン残基の置換(配列番号25及び配列番号26; 変異KM9);
- 13個のN末端残基の欠失及び第三のYxxLモチーフのチロシン残基の置換(配列番号27及び配列番号28; 変異KM13);
- 13個のN末端残基の欠失及び第一のYxxLモチーフの前のセリン残基の置換(配列番号29及び配列番号30; 変異S);
- 13個のN末端残基の欠失及び第二のYxxLモチーフ前に位置するグルタミン酸残基の置換(配列番号31及び配列番号32; 変異E);
- 13個のN末端残基の欠失及び第三のYxxLモチーフの前に位置するアスパラギン酸残基の置換(配列番号33及び配列番号34; 変異D);
- 6つの残基まで切断された配列- 13個のN末端残基及び39個のC末端残基の欠失(配列番号35及び配列番号36; 変異KS5);
- 15個の残基まで切断された配列- 13個のN末端残基及び30個のC末端残基の欠失(配列番号37及び配列番号38; 変異KS6);
- 21個の残基まで切断された配列- 13個のN末端残基及び24個のC末端残基の欠失(配列番号39及び配列番号40; 変異KS8);
- 26個の残基まで切断された配列- 13個のN末端残基及び19個のC末端残基の欠失(配列番号41及び配列番号42; 変異KS9);
- 31個の残基まで切断された配列- 13個のN末端残基及び14個のC末端残基の欠失(配列番号43及び配列番号44; 変異KS10);
- 37個の残基まで切断された配列- 13個のN末端残基及び8個のC末端残基の欠失(配列番号45 and配列番号46; 変異KS12);
- 41個の残基まで切断された配列- 13個のN末端残基及び4個のC末端残基の欠失(配列番号47及び配列番号48; 変異KS14)。
【0169】
置換及び欠失突然変異体は、定方向突然変異誘発によって得られる;置換された残基は、アラニン残基で置換された。欠失突然変異体の翻訳は終止コドン(TGA, TAGまたはTAAコドン)の添加によって停止された。
18個の突然変異体をコードするDNA配列、並びに13個のN末端残基のみが欠失された野生型DNA CD(商標登録)配列(配列番号7; ここで「野生型配列」と呼ばれる配列)は、マウスのCD8αの外部ドメインをコードする配列の下流でサブクローン化した。次に得られた19個のキメラ遺伝子をウイルス発現ベクターの中にクローン化した。従って、生じたキメラタンパク質のエキソソームへのターゲティングを分析するために、得られた組換え型ベクターを真核細胞(HEK細胞)の中に導入した。48時間後、細胞でのタンパク質の発現をウエスタンブロットで調べた。同時に、キメラタンパク質のエキソソーム中の局在化をFACS及びウエスタンブロットで評価するために、エキソソームを超遠心分離により精製した。
【0170】
以下に示す結果は、文字通り個々に認識された2つのペプチドモチーフの、ESCRT機構及び膜間のトランスファー機構と関係するタンパク質(特にAP3を含むアダプチン)とのこれらの相互作用のための、必要性を示す。
今回初めて、これらの2つのペプチドモチーフがエキソソーム ターゲティングで相乗効果の決定的機能を有するという実験上の証拠が得られた。
これらの結果は、エキソソームを使用した細胞間のシグナル伝達に関して新規で重要な情報を提供する。従って、我々はエキソソームでのタンパク質のターゲティングのための明確に定義したツールを有する。産業上の観点から、例えばこれらは新世代ワクチンの産生を促進し、そして治療用の分子または抗体をスクリーニングするための特有のツールを提供するであろう。
【0171】
1−分子のコンストラクトの獲得
A−PCRによる挿入断片の調製:
3つの置換突然変異体S(Ser→Ala)、D(Ac. Asp→Ala)及びE(Ac.Glut→Ala)を、以下の変異プライマーを利用の二重PCRを使用した定方向突然変異誘発によって得た:
- AへのプライマーS, センス:
5' CCCTAAACCCGATGCTGATTATCAGGCGTTGCTACCATCC 3'

-AへのプライマーS, アンチセンス:
5' CGCGGATGGTAGCAACGCCTGATAATCAGCATCGGGTTTA 3'

-AへのプライマーD, センス:
5' CCACCAAGCCGGCATACATCAACCT 3'

-AへのプライマーD, アンチセンス:
5' TCGAAGGTTGATGTATGCCGGCTTGGT 3'

-AへのプライマーE, センス:
5' GCTACCATCCGCGCCAGCGATCTAC 3'

-AへのプライマーE, アンチセンス:
5' GTAGATCGCTGGCGCGGATGGTA 3'。
【0172】
ポリメリゼーションの間のエラーを制限しそして平滑末端を有するフラグメントを得るために、(3’-5’-エクソヌクレアーゼの)校正活性を有する熱安定のTaq DNAポリメラーゼ及び熱安定のTgoポリメラーゼを含有する酵素混合物を有するエキスパンドハイフィディリティ(Expand High Fidelity)PCRシステムキット(Roche(商標登録))を使用してPCRを実施した。試薬の2つの混合物を4℃で調製した:
A(25μl):増幅のためのDNAの10ng、10mMのdNTPの1μl(最終各々200μM)、10μMでの2つのセンス及びアンチセンスプライマーの各々1.5μl(最終300nM)、滅菌水(qsp 25μl);及び
B(25μl):5μlの「エキスパンドハイフィディリティ」緩衝液、15mMのMgCl2を有する10X(最終1.5mM)、0.75μlの「ハイフィディリティ」酵素混合物(最終2.6U)、滅菌水(qsp 25μl)。
【0173】
A及びBを4℃で混合し、次の増幅サイクルを実施した:
- 二重鎖DNAを2分間94℃で変性させること;
-変性(94℃、10秒)、ハイブリダイゼーション(50℃、15秒)及び伸長(72℃、20秒)を4サイクル;
- 25サイクル:94℃で10秒、64℃で15秒、そして72℃で20秒;
- 72℃で7分間の最終伸長。
得られたPCR生成物を4℃で保存した。
【0174】
18個の突然変異体及び野生型DNA配列をコードするDNA配列をPCRで組み換え(定方向突然変異誘発)、これらを特定の制限酵素部位によって取り囲んだ;制限酵素部位XbaI及びNotIを有する2つのプライマーを使用して、前述のプロトコルを実施した。
B−TOPO-bluntIIでのPCR生成物及びコントロ−ルのクローニング
19個の各DNAを、ケモコンピテント(chemocompetent)細菌中への導入のためのTopo−bluntクローニングキット(Invitrogen)のTOPOクローニングベクター中に連結させた(参照、図20)。形質転換したクローンが選択され、DNA配列の全てがシークエンシングで確認された。
【0175】
a)プラスミド中への連結及びTop10での形質転換
様々なPCR生成物の各々は、既に開口され平滑末端を有しカナマイシン耐性遺伝子を輸送するTOPO−BluntIIプラスミド中に取り込まれた。ケモコンピテントTop10細菌はこれらのプラスミドによって形質転換され、そしてLB/agarディッシュ(100μg/mLのカナマイシン)上で培養した。ネガティブコントロール及び他のコントロールとして機能する挿入断片のないTOPO−BluntIIプラスミド(1ngのPUC19プラスミド)を形質転換用のポジティブコントロールとして使用した。培養後、挿入断片を含むプラスミドまたはPUC19(ポジティブコントロール)によって形質転換された細菌のみが、選択的薬剤(抗生物質)の存在下で成長した。
b)良好なクローンのターゲティング及びシークエンシング:
クローニング結果に応じて、プラスミドDNAの抽出を実施するために2〜10個のコロニーを増幅させた。各コンストラクト及び各クローンにつき、約150ng/μlで100μlのプラスミドDNA量を得た。各精製に関して260nmでの吸収/280nmでの吸収の比率は1.8〜2の範囲に値を有し、これは調製物が純粋であることを証明している(1.8未満の値は、タンパク質混入を証明する)。
プラスミドでの挿入断片の存在を確認するために、DNAを目的の配列を取り囲むEcoRI制限酵素によって消化した。(約300pbの)フラグメントの存在が組換え型のDNAの証拠を構成する2%のアガロ−スゲル上で、これらの消化を視覚化した。
一旦良好なクローンが確認されると、目的及びオープンリーディングフレームの各配列の完全性を確認するために、各突然変異体由来の2μg〜4μgのプラスミドDNAを配列決定した。変異及び添加した制限酵素部位を同時に確認した。
【0176】
C−pKSIIクローニングベクター中のキメラ遺伝子の獲得
19個のコンストラクトを提供するために、19個の配列(1つの野生型及び18個の変異型)各々を、マウスCD8α外部ドメインをコードする配列の下流に置いた。
a)pKSII−CD8クローニングベクターの調製
pKSII−CD8αベクター(参照、図22)を連続して制限酵素XbaI及びNotIで消化し、挿入断片を取り入れることができた。一度消化が実施されると、プラスミドは脱リン酸化され、エタノールで沈殿し0.8%のアガロ−スゲル上で精製される。
b)挿入断片の調製
XbaI−NotI制限酵素部位によって囲まれた様々な挿入断片をプラスミドと同様に同じ制限酵素で消化し、これらを取り込むことができた。
c)クローニングによるキメラプラスミドの獲得
直線化したpKSII−CD8αプラスミドにDNAを挿入した:
消化した挿入断片を2.5%アガロ−スゲル上で精製した。ゲル連結法を使用してpKSII−CD8αベクター中のこれらの再挿入を実施した。最初の(virgin)ゲルのフラグメントは、ネガティブ連結コントロールとして機能した。
ベクター及び挿入断片用に同一の制限酵素を使用したので、従ってこれらは凝集性のある、相補的なXbaI及びNotIサイトを有した:プラスミド及び挿入断片はこれらの間にバンドを確立することができるであろう。1つの酵素、リガーゼは、2つの核酸の3’−OH末端及び5’−リン酸末端の間のリン酸ジエステル結合の形成を触媒する。
【0177】
一度連結ステップが完結すると、DH5α細菌は、アンピシリン耐性遺伝子を輸送しているこれらのプラスミドによって形質転換された。37℃でLB/agar(50μg/mLのアンピシリン)上での形質転換された様々な細菌の培養及びネガティブコントロールとの比較後、コロニーの成長がCD(商標登録)挿入断片の存在下で連結生成物によって形質転換された細胞上でのみ観察された。このことから、得られたコロニーがXbaI及びNotIサイトの間の挿入断片を含むベクターによって実際に形質転換されたことが示唆される。
【0178】
d)スクリーニング
キメラプラスミドが得られたことを確認するために、プラスミドDNAを2つの酵素、XhoI/NotIで消化し消化生成物の0.8%アガロ−スゲル上での泳動後、各突然変異体の様々なクローンをスクリーニングした。この二重の消化は、作成されたあらゆるキメラ遺伝子、すなわちCD(商標登録)と一致するCD8αを有するものを切除する。
各クローン及び各コンストラクト(変異型または野生型pKSII−CD8α−CD(商標登録))に関しては、直線化したpKSIIプラスミドのサイズに一致する2.9kbpで第一のバンドが観察された。第二のバンドは約950bpで見られる;これは変異型または非変異型のCD8α−CD(商標登録)キメラをコードする遺伝子に一致する。
【0179】
D−レトロウイルスの発現ベクターpLPCXにおけるキメラ遺伝子の獲得:
発現ベクターpKSIIはこのサイズ及び制限酵素部位のため操作することは容易である一方で、真核細胞でのタンパク質発現はできない。それ故、pLPCX(Clontech Laboratories Inc., 参照図23)を選択したが、これはレトロウイルスのベクターを使用した形質移入及び形質導入どちらによっても遺伝子を導入することができることを意味するものである。
精製のために、ヌクレオスピンエクストラ(Nucleospin Extract)II(商標登録)キット(Macherey-Nagel)を使用した2%アガロ−スゲル上での抽出によって、XhoI−NotIサイトの間のpKSIIプラスミドから各キメラ遺伝子を切除した。
また発現ベクターpLPCXをXhoI−NotI酵素ペアで消化し、脱リン酸化し、続いてイソプロパノールで沈殿させた(このステップは、XhoI及びNotIの間に位置する、消化の間に遊離したDNAの短いフラグメント(100pb未満)の除去のためであった)。
【0180】
T4DNAリガーゼ(Biolabs)を使用してキメラ遺伝子のpLPCXとの連結を実施した(約3分子/1分子の挿入断片/ベクターの割合)。これらの連結生成物によってケモコンピテントStbl2細菌(マックスエフィシエンシー(MAX Efficiency)(商標登録)Stbl2(商標登録)コンピテント細胞, Invitrogen)を形質転換した。同時に、ポジティブコントロール(1ngのpUC19プラスミド)及びネガティブコントロール(挿入断片なしに「連結させた」pLPCX)を調製した。50μg/mLのアンピシリンを含有するゲロース(gelose)培地上で30℃での細菌培養後、ポジティブコントロールまたは挿入断片を有する連結生成物によって形質転換した細菌のみが成長した。
続けてスクリーニングし真核細胞での形質導入に必要な十分量のDNAプラスミドを有することができるようにするため、ミディプレパレーション(Midipreparation)を実施した。XhoI次にNotIでの消化後、プラスミド中の挿入断片の存在が2%アガロ−スゲル上で確認された。各コンストラクト(変異型及び野生型pLPCX−CD8α−CD(商標登録);参照、図24)に関して、直線化されたpLPCXに一致する6.3kpbのバンド及び切除されたキメラ遺伝子に一致する950pbのバンドが観察された。
【0181】
2−エキソソームへのターゲティングの発現及び分析:
A−HEH293T細胞での形質移入:
HEK293T真核細胞の形質移入を確認し変換された細胞のパーセンテージを測定するために、細胞にLacz遺伝子を含有するプラスミドを導入しX−Gal溶液中でインキュベートした。
最初に目測で、次に光学顕微鏡での観察(倍率×40)によって、細胞の50%以上が青く染色されたことを観察し、これからLacZプラスミドによって大多数が変換されたことが分かった。キメラ遺伝子の導入に関して同じ条件を適用し、従ってキメラ遺伝子によって細胞の50%以上が変換されたであろう。
同時に、20個の遺伝子導入をHEK293T細胞で同時に実施した。これらは、各プラスミド及びネガティブコントロール(CD(商標登録)のないpLPCX-CD8)と一致した。
【0182】
B−細胞でのキメラタンパク質の発現及びエキソソームへのターゲティング
a)ウエスタンブロット分析:
形質導入に由来する細胞及びエキソソーム可溶化物を、10%のSDS−PAGEゲル泳動、続いてPVDF膜(ポリフッ化ビニリデンジフロライド、イモビロンP、Millipore)上へのトランスファーにより分析した。次にこれらの膜を、一次抗ウサギCD(商標登録)血清、続いてペルオキシダーゼと結合した二次抗ウサギIgG抗体を使用して明らかにした。明らかにした後、これらの抗体を除去し同一の方法でしかしながら抗ウサギCD8α血清を使用してトランスファー膜を明らかにした。
結果は図25及び26に表わす。
【0183】
細胞及びエキソソームでのキメラの発現レベルの比較:
細胞可溶化物では、キメラタンパク質の弱い発現のみ示したことが認められた。一方で、エキソソーム中では一定のキメラタンパク質が時折非常に大きく存在した。
この発現レベルに加え、細胞タンパク質及びエキソソームタンパク質で見られる大きな違いは、細胞に関しては2または3つのバンド及びエキソソームに関してはたった1つのバンドの存在であった。これは、細胞がグリコシル化されていない形態及び多かれ少なかれグリコシル化された形態を含有するだからである。エキソソームでは、正確にグリコシル化された形態だけが発見される。
【0184】
ポジティブ(CD8α-CD(商標登録))及びネガティブ(CD8α単独)コントロールのエキソソームのターゲティングのウエスタンブロット分析:
抗CD(商標登録)血清での、31kDaへ移動しているバンドは野生型CD8α−CD(商標登録)コントロールのエキソソーム可溶化物中に存在し、一方これはネガティブコントロールによって遺伝子導入された細胞由来の可溶化物中には存在しなかった。このバンドは期待されるキメラタンパク質の特徴を示す。
抗CD8α血清では、ネガティブCD8αコントロール単独は、27kDa付近にCD(商標登録)が欠損したCD8αの発現及びエキソソームのターゲティングに一致するバンドを有した。上述と同様に、31kDaへ移動しているバンドは野生型CD8α−CD(商標登録)コントロ−ルのエキソソーム可溶化物中に存在する。31kDa及び27kDaのバンド間の強度の相違から、CD(商標登録)と融合させる場合、CD8αはエキソソーム上で一層ターゲティングされることが示唆される。
【0185】
変異されたCD8α−CD(商標登録)のターゲティングにおけるウエスタンブロット分散分析:
抗CD8α血清で得られた結果のみ相互に同程度であった。抗CD(商標登録)血清で得られた結果を前述の結果を確認するためにのみ使用した。CD(商標登録)をコードする配列の変異に応じて、これらの結果はキメラタンパク質の発現及びエキソソームへのターゲティングにおける分散を示す。これは、タンパク質のエキソソームへのターゲティングを強固に阻害する変異に関して特に明らかである。当該突然変異体は、突然変異体KM8、KM13、D及びKS8に関してであった。
これらの見解から、(KM8突然変異体の)モチーフPSAP及び((突然変異体KM13及びDの)最後のモチーフYxxLにおける)モチーフDYは、エキソソームのターゲティングに重要であると結論付けることができる。
【0186】
b)エキソソーム上のキメラタンパク質のFACsによる定量化:
キメラタンパク質の存在はまた、蛍光モノクローナル抗CD8抗体を使用して細胞蛍光測定法分析(FACscan)によって調べた。
ラテックスビーズ(IDC (Interfacial Dynamics Corporation)超清浄アルデヒド/硫酸ラテックスビーズ)上でエキソソームを固定した後、、エキソソームの表面上に存在するキメラタンパク質をフルオレセイン(Pharmingen からの53-6.7 抗体)と結合したモノクローナルマウス抗CD8α抗体で標識し、細胞蛍光測定法で分析した(FACScan)。
得られた結果は突然変異体KM8、KM13及びDに関して特に明らかであり、エキソソーム上でのキメラタンパク質のターゲティングにおいて変異されたアミノ酸が重要であることは明らかである(参照、図26及び27)。これらの結果から、ウエスタンブロットの結果によって既に明らかである、タンパク質をエキソソームへターゲティングすることにおけるモチーフPSAP、(モチーフDYxxL中の)D及びYの影響が追認される。
【0187】
結果
この実験中、変異型またはマウスCD8αと結合した野生型CD(商標登録)の試験ペプチドを発現するためにキメラ遺伝子を構築した。アミノ酸または注目のCD(商標登録)のモチーフのこれらの変異はエキソソームへのターゲティングで重要であるアミノ酸及びコンセンサスモチーフを特定することを目的としたものであった。
様々なキメラ遺伝子のキメラタンパク質の発現を得るために、HEK293T真核細胞に形質導入するために、レトロウイルスの発現ベクターの中にこれらの遺伝子を取り込ませた。ウエスタンブロットで観察されたバンドから、天然のCD8αタンパク質のように、これらのタンパク質はゴルジ体を介するこれらの経路中で別々にグリコシル化されることが示唆される。正確にグリコシル化されたタンパク質のみがエキソソームで発見された。これらのタンパク質は、適当な翻訳後の修飾、ワクチン免疫の後の産生または治療用分子のスクリーニングに不可欠な立体構造エピトープの発現に必須の条件を受ける。しかしながら、多かれ少なかれ存在するこれらのグリコシル化は、比較タンパク質の定量化の間に妨害となった複数の散在するバンドを生じる。この課題を克服するために、ゲル上でシグナルバンドを観察するために可溶化物をエンドグリコシラーゼ(endoglycosylase)で処理しなければならなかった。
【0188】
この結果によると、モチーフPSAP及び(最後のYxxL由来の)DYは、キメラタンパク質の発現及びエキソソームへのターゲティングに必須である。これらの結果は、根本的な面及び産業上の利用の面両方において新規でありそして興味深いものである。
PSAPモチーフはESCRT複合体のTsg101タンパク質との相互作用に関与するかもしれない。モチーフDYxxLに関しては、ESCRT複合体のALIXタンパク質との相互作用に関係するかもしれない。従って、初めて、実験データから、ESCRT複合体がエキソソームの形成に関与することがが示唆される。
【0189】
実施例3:膜貫通型ドメインを有する受容体のエキソソームへのターゲティング。
膜受容体は、治療用分子の開発のための主な対象である。一般的に、薬物の高処理スクリーニングは、特に培養下で細胞上に発現された複数の膜ドメインを有する受容体で実施される。細胞表面上での受容体の強い発現を得ることが困難であることに加え、この技術はロボットによるオートメーションに困難をもたらす。しかしながら、精製される組換え型受容体の使用は現在技術上想定できないので、現在これは唯一の解決策である。
この文脈中で、受容体、特に複数のドメインを有する受容体を運搬するエキソソームは、安定性及び操作の容易性のため使用が簡単でスクリーニングに適切であるツールを構成するかもしれない。
【0190】
本実験は、1つのまたは複数の膜貫通型ドメインを有する受容体、特に受容体CxCR4(ケモカインSDS-1(CXCL-12)及びHIVに関する受容体)並びにCD4受容体(HIV受容体)を輸送するエキソソームを産生することを目的とした。
3つのキメラ遺伝子を合成した。これらは、3’末端で、配列 配列番号8のCD(商標登録)−BLVペプチドを、そして5’末端で、CxCR4ヒト受容体、307のアミノ酸(CxCR4(307))を含んでなるC末端部で切断されたCxCR4受容体のバージョン、或いは403アミノ酸(CD4(403))を含んでなるC末端部で切断されたCD4受容体バージョンをコードするDNAを含む。
CD4及びCxCR4受容体は、それぞれ1回及び7回膜貫通型ドメインを含んでなる。
【0191】
3つのキメラ遺伝子をレトロウイルスの発現ベクターpLPCX中にクローン化した。これらの細胞での様々なキメラタンパク質の発現並びにエキソソームへのこれらの局在化を観察するために、これらの様々なプラスミドをHEK293Tヒト真核細胞に導入した。
使用したクローニング及びサブクローニングストラテジーは、実施例2に記載のものと同様であった:
受容体CxCR4、CxCR4(307)及びCD4(403)をコードするDNA並びに試験ペプチドCD(商標登録)をコードするものを、増幅させたフラグメントの各末端で取り込まれる制限酵素部位のための配列を含んでなるプライマーを使用してPCRにより増幅させた(フラグメントCxCR4、CxCR4(307)及びCD4(403)は、EcoRIサイト付近の5’末端及びXbaIサイト付近の3’末端に隣接され、そしてCD(商標登録)/BLVは、XbaIサイト付近の5’末端及びNotI付近の3’末端で隣接されるであろう)。
生成された挿入断片は、Topo増幅ベクターの中にクローン化した(参照、図20)。次に得られたプラスミドを制限酵素によって消化し1.5%のアガロ−スゲル上で分析し、次にこれらの配列の完全性を確認するために配列決定した。
【0192】
続いて、CD(商標登録)/BLV挿入断片をXbaI/NotIカップルを使用して酵素消化によりTopoベクターから切除し、pKS2増幅ベクターの中にサブクローン化した(参照、図21)。そして、フラグメントCxCR4、CxCR4(307)及びCD4(403)を増幅ベクターpKS2の中にサブクローン化できるように、組換え型pKS2ベクター並びに挿入断片CxCR4、CxCR4(307)及びCD4(403)を含む組換え型Topoベクターを制限酵素EcoRI及びXbaIで消化したが、当該フラグメントはCD(商標登録)ペプチドをコードする配列の5’末端に置かれていた。
従って、得られる様々なコンストラクトを、EcoRI/NotI酵素ペアを使用した消化により組換え型pKS2プラスミドから切除し、次にレトロウイルスの発現ベクターpLPCXの中にサブクローン化した(参照、図22)。得られたベクター(参照、図28)がEcoRI/XbaI酵素ペアを使用した酵素消化によって確認された。
【0193】
キメラタンパク質CxCR4/CD(商標登録)、CxCR4(307)/CD(商標登録)及びCD4(403)/CD(商標登録)を発現するために、様々なpLPCXプラスミドをHEK293Tヒト真核細胞の中に導入した。
総細胞タンパク質(100μg)及び形質導入した細胞の各バッチによって生成されたエキソソームの懸濁タンパク質の抽出物にβ−メルカプトエタノールの存在または非存在下でSDS−PAGE(10%)泳動を実施した。抗ウサギCD(商標登録)一次血清及びペルオキシダーゼと結合させた抗ウサギIgG二次抗体を使用してウエスタンブロットにより、目的のタンパク質を明らかにした。抗体をECL溶液を使用して暗室で明らかにした。最終的に、各サンプルのタンパク質フィンガープリントをクマシーブルーでの染色により明らかにした。
【0194】
結果を図29〜31に表わす。
キメラCxCR4/CD(商標登録)、CxCR4(307)/CD(商標登録)及びCD4(403)/CD(商標登録)が細胞タンパク質抽出物中で発現されたことは注目すべきである(参照、図29)。
複数のバンド:36、42、62及び87kDaはキメラCxCR4/CD(商標登録)を特徴付ける。野生型CxCR4受容体の発現は、特にHEK293T細胞で、複数のアイソフォームによって特徴付けられる;34、40、47、62、73及び80kDaのバンドを認識することができる(Sloane JA, 等.)。HEK293T中のCxCR4/CD(商標登録)キメラの大きなサイズのバンドは、CxCR4/CD(商標登録)キメラ中の試験ペプチド(CD(商標登録)ドメイン)の存在に起因する。同様に、30、42、60及び83kDaバンドは、CxCR4(307)/CD(商標登録)キメラの存在を明らかにした。このキメラの様々なアイソフォームを表わしているバンドのサイズにおけるバリエーションは、CxCR4受容体が切断されるという事実によって説明される。CD4(403)/CD(商標登録)キメラは明確に視覚化される53kDaバンドによって特徴付けられる。
【0195】
さらに、これらのキメラは全てエキソソームへ局在化され、(CxCR4/CD(商標登録)に関して)36、42、62及び87kDaバンド;(CxCR4(307)/CD(商標登録)に関して)30、38、48及び83kDaバンド並びに(CD4(403)/CD(商標登録)に関して)53kDaバンドの存在(参照、図30)によって示される。
様々なタンパク質フィンガープリントをクマシーブルーで明らかにすることにより、これらの実験の間に使用したエキソソーム由来のタンパク質の総量(図31B)が、細胞由来のタンパク質の総量(図31A)よりはるかに少量であることが示され、一方ウエスタンブロットシグナルは等価である。コントロール細胞可溶化物中に存在する全タンパク質はエキソソームへ局在化されないと見なすことができる。CxCR4/CD(商標登録)及びCD4(403)/CD(商標登録)キメラは、エキソソームへ非常に強く向けられる。一方で、CD4(403)/CD(商標登録)キメラは、ほぼ完全にエキソソームへ局在化される。
【0196】
結果
HEK293T細胞の様々なpLPCXプラスミドでの形質導入は、キメラCxCR4/CD(商標登録)BLV、CxCR4(403)/CD(商標登録)BLV及びCD4(403)/CD(商標登録)BLVを発現するために使用されてきた。ウエスタンブロット分析により、細胞可溶化物中のこれらの存在が示されてきた。
予想通りに、プラスミドpLPCX CxCR4/CD(商標登録)BLV及びpLPCX CxCR4(307)/CD(商標登録)BLVで形質導入したHEK293T細胞で、キメラCxCR4/CD(商標登録)BLV及びCxCR4(307)/CD(商標登録)BLVの複数のアイソフォームが発現される。キメラCxCR4/CD(商標登録)BLV及びCxCR4(307)/CD(商標登録)BLVは、エキソソームへ効率的に局在化され、これらの融合タンパク質は細胞及びエキソソーム間で同等に分配されるようだ。
【0197】
さらに、キメラCD4(403)/CD(商標登録)BLVの存在が、プラスミドpLPCX CD4(403)/CD(商標登録)BLVで形質導入されたHEK293T細胞において観察される。試験ペプチドCD(商標登録)BLVは、キメラCD4(403)/CD(商標登録)BLVのエキソソームへの主な局在化を助長するように見える。
上述の結果は、試験ペプチドCD(商標登録)BLVが単一のまたは複数の膜貫通型ドメインを有するタンパク質をエキソソームへ同等に局在化することができることを示す。
これらの受容体は原形質膜の中に取り込まれず、そして天然の構造を保持しないので、溶液中でこれらに作用することが非常に困難であることが分かっている。これらのタンパク質に実施した現在の実験は、目的の受容体を発現している安定的な細胞株を使用してしばしばなされる。しかしながら、不適な扱いをした場合に常に死滅するかもしれないこれらの株の入手、培養及び維持の時間及びコストの観点からこれは制限される。この理由のため、エキソソームは生存しておらずこれらの研究に関してエキソソームが不都合なく細胞のあらゆる利点を有するので、複数の膜貫通型ドメインを有する受容体を輸送しているエキソソームの使用の事実は興味深い解決策を表わす。
エキソソームの膜の中に取り込まれる組換え型タンパク質、特に複数の膜貫通型ドメインを含んでなるタンパク質を有するエキソソームを、ワクチン上及びスクリーニングツールとして使用することができる。
【0198】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
適当な真核細胞で発現される場合に、膜小胞、特にエキソソームに結合して分泌されることができるキメラポリペプチドであって、次のドメイン:
-(i)目的のペプチドまたはポリペプチド;
-(ii)細胞膜の脂質二重層で固定される能力を有している膜ドメイン;並びに
-(iii)上記キメラポリペプチドを膜小胞、特にエキソソーム-形成小胞へ、及び/又は当該膜小胞の形成に関与する細胞区画(複数)へ差し向けることができる膜タンパク質の細胞質ドメイン(CD)、或いは当該CDドメインの変異誘導体であって、当該変異誘導体は参照のCDドメインの配列の1または複数の残基(複数)の置換、欠失及び/又は挿入によって定義されるものであり、そして当該変異誘導体は当該CDドメインの当該差し向ける能力を保存しており、当該CDドメインまたはこの変異誘導体は、配列中Yはチロシン残基を表わし、xは任意の残基を表わしそしてLはロイシン残基を表わす少なくとも1つのモチーフYxxLを含んでなるCDドメインまたはこの変異誘導体、を含んでなるまたはこれらから成ることを特徴とするキメラポリペプチドであって;そして、
上記キメラポリペプチドのCDドメイン及び膜ドメインが同一のタンパク質に由来する場合に、少なくとも当該CDドメイン、この変異誘導体またはCDドメインとしての同一のタンパク質に由来する当該膜ドメインは、元のドメインの配列における1または複数の残基(複数)の置換及び/又は欠失によって変異された誘導体であると理解することができることを特徴とする、キメラポリペプチド。
【請求項2】
前記膜ドメインが膜タンパク質または当該膜ドメインの変異誘導体の膜ドメインであって、当該変異誘導体が前記参照の膜ドメインの配列中の1または複数の残基(複数)の置換、欠失及び/又は挿入によって定義され並びに細胞膜の前記脂質二重層で固定される当該ドメインの能力を保存している、請求項1に記載のキメラポリペプチド。
【請求項3】
前記膜ドメイン並びに前記目的のペプチドまたはポリペプチドが同一物(same entity)の、特に同一のタンパク質の誘導体である、または誘導体でない、請求項1または2に記載のキメラポリペプチド。
【請求項4】
前記ドメイン(i)〜(iii)が、前記ポリペプチドにおいてN-末端からC-末端へ次の順:目的のペプチドまたはポリペプチド-膜ドメイン-細胞質ドメイン(CD)または変異誘導体、で連続して位置付けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項5】
前記CDドメインが2または3つのYxxLモチーフを含んでなるCDドメインであって、配列中xが任意の残基を表わす、請求項1〜4のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項6】
前記CDドメインまたは当該CDドメインの前記変異誘導体が少なくとも:
‐配列中xが任意の残基を表わし、例えばモチーフYINL、YSHLまたはDYINLであるモチーフYxxLまたはDYxxL;及び
‐配列中xが任意の残基を表わし、例えばモチーフPSAPまたはPTAPであるモチーフPxxP、
を含んでなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項7】
前記膜ドメインの前記変異誘導体の前記配列が、これが由来する当該膜タンパク質の膜ドメインと、当該膜ドメインの完全な配列に関して、少なくとも60%または70%、特に少なくとも80%、90%または95%の類似性または同一性を有する、請求項2〜6のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項8】
2つの連続的なドメインを結合させている少なくとも1つの結合分子(またはリンカー)をさらに含んでなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項9】
前記リンカーがペプチドまたはポリペプチドである、請求項8に記載のキメラポリペプチド。
【請求項10】
前記リンカーをコードしているヌクレオチド配列が制限酵素部位を含んでなるまたはt当該部位から成ることを特徴とする、請求項8または9に記載のキメラポリペプチド。
【請求項11】
前記CDドメインまたはこの変異誘導体が配列KCLTSRLLKLLRQを欠損している及び/又は配列PCPを欠損している、請求項1〜10のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項12】
前記CDドメインの前記変異誘導体の配列が、配列KCLTSRLLKLLRQを欠損している元のCDドメインの配列と、少なくとも60%または70%、特に少なくとも80%、90%または95%の類似性または同一性を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項13】
前記CDドメインまたはこの変異誘導体の配列が、次の配列:
PxxPxxxxxxxxxxxxYxxL
PxxPxxxxxxxxxxxDYxxL
PxxPxxYxxxxxxxxxYxxL;
PxxPxxYxxxxxxxxDYxxL;
PxxPExYxxLxPxxPDYxxL;
PxxPxnYxxL
PxxPxnDYxxL
PxxPxnYxnYxxL;
PxxPxnYxnDYxxL;
PxxPExnYxxLxnPxxPDYxxL;
PxxPxxxxPxxPxxxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxL;
PxxPxnPxxPxnYxxLxnPxxPEXnYxxLxnPxxPDYxxL;
PxxPxxxxPxxPxxxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxLxxxx; 及び
PxxPxnPxxPxnYxxLxnPxxPEXnYxxLxnPxxPDYxxLxxxx, から選択される配列を含んでなるまたは当該配列から成るキメラポリペプチドであって、配列中x及びxnが各々任意の残基及び任意の1または複数の残基(複数)を表わす、請求項1〜12のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項14】
前記CDドメインがレトロウイルスの膜貫通型タンパク質(TM)のCDドメインである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項15】
前期レトロウイルスが、ウシ白血病ウイルス(bovine leukaemia virus)(BLV)、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus)(HIV)、特にHIV 1型またはHI V2型、ヒトT細胞白血病ウイルス(human T cell leukaemia virus)(HTLV)、及びマソンファイザーサルウイルス(Mason-Pfizer monkey virus)(MPMV)から選択される、請求項14に記載のキメラポリペプチド。
【請求項16】
前記CDドメインが、配列 配列番号6である、BLVのTMタンパク質のCDドメインである、請求項1〜15のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項17】
前記変異誘導体が、完全な配列 配列番号8、配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95各々に関して、配列 配列番号8、配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95と少なくとも60%または70%、特に少なくとも80%、90%または95%の類似性または同一性を有することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項18】
前記CDドメインまたはこの変異誘導体が、配列 配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95を含んでなるまたはから成る、請求項1〜17のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項19】
前記CDドメインまたはこの変異誘導体が配列 配列番号6の、BLVのTMタンパク質のCDドメインを含んでなるまたは当該CDドメインから成り、並びに膜ドメイン(複数)が配列 配列番号4の、BLVのTMタンパク質の膜貫通型ドメインを欠損している、請求項1〜18のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項20】
前記膜ドメインがBLVのTMタンパク質の膜貫通型ドメインを含んでなるまたは当該膜貫通型ドメインから成り、前記CDドメインまたはこの変異誘導体が配列KCLTSRLLKLLRQ及び/又は配列PCPを欠損している、請求項1〜19のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項21】
前記目的のペプチドまたはポリペプチドが:
-細胞外タンパク質の1若しくは複数のドメイン(複数)或いは1若しくは複数のこの(これらの)ドメイン(複数)の1若しくは複数のフラグメント(複数);
-膜タンパク質、特に膜貫通型タンパク質の1若しくは複数の細胞外ドメイン(複数)及び/又は1若しくは複数の膜ドメイン(複数)並びに/或いは1若しくは複数の細胞質ドメイン(複数)、或いはこの(これらの)ドメイン(複数)の1若しくは複数のフラグメント(複数);或いは
-細胞質ゾルのタンパク質の1または複数のドメイン(複数)またはこの(これらの)ドメイン(複数)の1または複数のフラグメント(複数)、
を含んでなるまたはから成る、請求項1〜20のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項22】
前記目的のペプチドまたはポリペプチドが、病原体、病原性物質、腫瘍抗原、細胞質抗原、リガンド受容体、特に複数の膜ドメインを有する受容体、例えば7回膜貫通型ドメインを有する受容体、サイトカイン受容体または受容体リガンド、特にサイトカイン由来の受容体リガンド或いはこれらのフラグメントに由来する、請求項1〜21のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項23】
前記病原体が、ウイルス、細菌または寄生虫である、請求項22に記載のキメラポリペプチド。
【請求項24】
前記目的のペプチドまたはポリペプチドが:
-インフルエンザウイルス(influenza virus)の赤血球凝集素(HA)の外部ドメイン、例えばH5N1鳥インフルエンザウイルス(avian influenza virus)のHAタンパク質の外部ドメイン、または当該外部ドメインの1または複数のエピトープ(複数)を含んでなるまたはから成るフラグメント;並びに
-重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome)(SARS)のコロナウイスル(coronavirus)のスパイクタンパク質の外部ドメイン或いは当該外部ドメインの1または複数のエピトープ(複数)を含んでなるまたはから成るフラグメント、
から選択される、請求項1〜23のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項25】
さらに小胞体の中への取り込みのためのシグナルペプチドを含んでなることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項26】
前記シグナルペプチドが、前記ポリペプチド中のN-末端位にある、請求項25に記載のキメラポリペプチド。
【請求項27】
薬物としての使用のための、特に細菌、ウイルスまたは寄生虫の感染、或いは腫瘍の予防及び/又は治療のための、請求項1〜26のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項28】
免疫付与での使用のための、特に、インビボ(in vivo)で、宿主、特に哺乳類のヒト、人間以外の哺乳類または鳥類で、目的のペプチドまたはポリペプチドが由来する腫瘍、ウイルス、細菌、または寄生虫に対する体液性及び/又は細胞性応答を誘発または促進するための、請求項1〜26のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項29】
ポリペプチドが、真核細胞で発現される場合に、膜小胞、特にエキソソームと結合して、当該ポリペプチドが結合する目的のペプチドまたはポリペプチドの分泌を可能にするポリペプチドであって、
上記ポリペプチドがレトロウイルスの膜貫通型タンパク質(TM)の細胞質ドメイン(CD)の変異誘導体を含んでなるまたはから成り、当該変異誘導体が当該参照のCDドメインの配列中の1または複数の残基(複数)の置換、欠失及び/又は挿入によって定義され、そして配列中Yがチロシン残基を表わし、xが任意の残基を表わしそしてLがロイシン残基を表わす少なくとも1つのモチーフYxxLを含んでなり、当該変異誘導体が目的のペプチドまたはポリペプチドを膜小胞、特にエキソソーム形成小胞、及び/又は当該膜小胞の形成に関与する細胞区画(複数)へ差し向ける当該CDドメインの能力を、保存することを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項30】
前記CDドメインまたは当該CDドメインの変異誘導体が少なくとも:
-配列中xが任意の残基を表わし、例えばモチーフYINL、YSHLまたはDYINLであるモチーフYxxLまたはDYxxL;及び
-配列中xが任意の残基を表わし、例えばモチーフPSAPまたはPTAPであるモチーフPxxP、
を含んでなる、請求項29に記載のポリペプチド。
【請求項31】
前記CDドメインが、配列 配列番号6である、ウシ白血病ウイルス(bovine leukaemia virus)(BLV)のTMタンパク質のCDドメインであることを特徴とする、請求項29または30に記載のポリペプチド。
【請求項32】
前記変異誘導体が配列KCLTSRLLKLLRQ及び/又はペプチドPCPを欠損している、請求項29または30に記載のポリペプチド。
【請求項33】
前記変異誘導体の配列が、次の配列:
PxxPxxxxxxxxxxxxYxxL;
PxxPxxxxxxxxxxxDYxxL;
PxxPxxYxxxxxxxxxYxxL;
PxxPxxYxxxxxxxxDYxxL;
PxxPExYxxLxPxxPDYxxL;
PxxPxnYxxL;
PxxPxnDYxxL;
PxxPxnYxnYxxL;
PxxPxnYxnDYxxL;
PxxPExnYxxLxnPxxPDYxxL;
PxxPxxxxPxxPxxxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxL;
PxxPxnPxxPxnYxxLxnPxxPEXnYxxLxnPxxPDYxxL;
PxxPxxxxPxxPxxxYxxLxPxxPExYxxLxPxxPDYxxLxxxx; 及び
PxxPxnPxxPxnYxxLxnPxxPEXnYxxLxnPxxPDYxxLxxxx
から選択される配列を含んでなるまたはから成り、
配列中x及びxnは各々任意の残基及び任意の1または複数の残基(複数)を表わす、請求項29〜32のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項34】
前記変異誘導体が、完全な配列 配列番号8、配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95各々に関して、配列 配列番号8、配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95と少なくとも60%または70%、特に少なくとも80%、90%または95%の類似性または同一性を有することを特徴とする、請求項29〜33のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項35】
前記変異誘導体の配列が、配列 配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号30、配列番号42、配列番号44または配列番号95を含んでなるまたはから成る、請求項29〜34のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項36】
請求項1〜35のいずれか1項に記載のポリペプチド及び/又は当該ポリペプチドの1または複数の分解生成物(複数)を含んでなる膜小胞であって、この(これらの)分解生成物(複数)が適当な場合に主要組織適合遺伝子複合体I型またはII型の分子と結合する、膜小胞。
【請求項37】
前記膜小胞がエキソソームであることを特徴とする、請求項36に記載の膜小胞。
【請求項38】
分解生成物が、前記ポリペプチドまたはこのフラグメントに含まれる前記目的のペプチドまたはポリペプチドを含んでなるまたはから成る、請求項36または37に記載の膜小胞。
【請求項39】
少なくとも1つの目的のペプチドまたはポリペプチド或いはこれらのフラグメントが、当該膜小胞の外面に、部分的にまたは完全に曝露される、請求項36〜38のいずれか1項に記載の膜小胞。
【請求項40】
活性成分が請求項36〜39のいずれか1項に記載の1または複数の膜小胞(複数)を含んでなる、免疫原性組成物。
【請求項41】
薬剤としての使用のための、特に免疫付与での使用のための、請求項40に記載の免疫原性組成物。
【請求項42】
細菌、ウイルスまたは寄生虫の感染、或いは腫瘍の予防及び/又は治療における使用のための、特にインビボ(in vivo)で、宿主、特に哺乳類のヒト、人間以外の哺乳類または鳥類で、目的のペプチドまたはポリペプチドが由来する腫瘍、或いはウイルス、細菌または寄生虫に対する体液性及び/又は細胞性応答を誘発または促進するための、請求項40または41に記載の免疫原性組成物。
【請求項43】
請求項1〜35のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードすることを特徴とする、ポリヌクレオチド。
【請求項44】
クローニングまたは発現ベクター、好適には発現ベクター、より好適には真核細胞での発現に適当であるベクターに挿入された、請求項43に記載のポリヌクレオチド。
【請求項45】
前記ベクターがプラスミドである、請求項44に記載のポリヌクレオチド。
【請求項46】
真核生物プロモーター、好適にはウイルスプロモーター、例えばSV40ウイルス、ラウス肉腫ウイルス(rous sarcoma virus)若しくはマウス白血病ウイルス(murine leukaemia virus)(MuLV)、またはヒトT細胞白血病ウイルス(human T cell leukaemia virus)(HTLV-I)或いはウシ白血病ウイルス(bovine leukaemia virus)(BLV)或いはサイトメガロウイルス(cytomegalovirus)のプロモーター、或いは当該ウイルスプロモーター由来のハイブリッドプロモーター或いは組み換え配列を含むウイルスプロモーターを含んでなる、請求項43〜45のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項47】
核酸、特にDNAを含んでなる免疫原性組成物であって、請求項43〜46のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド及び医薬的に許容される担体、希釈剤またはビヒクルを含んでなるまたはこれらから成ることを特徴とする、免疫原性組成物。
【請求項48】
アジュバント、特に、サポニン、リン酸アルミニウム(アラム(alum))、ペプチドグリカン、炭水化物、ペプチド、例えばムラミルジペプチド(N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン、MDP)、油型/水型エマルション、多糖、サイトカイン、ホルモン、キーホールリンペットヘモシアニン、非メチル化CpGジヌクレオチドのファミリー由来のアジュバント、ポリICファミリー由来のアジュバント、モノホスホリルリピッドAファミリー由来のアジュバント及び核酸、特に細菌DNA、或いはアジュバント効果を有するタンパク質、例えば成長因子またはサイトカイン、より詳細にはGM−CSFまたはIL4をコードするDNA、によって構成される群から選択されるアジュバントをさらに含んでなる、請求項47に記載の免疫原性組成物。
【請求項49】
薬剤としての使用のための、特に細菌、ウイルスまたは寄生虫の感染、或いは腫瘍の予防及び/又は治療における使用のための、特にインビボ(in vivo)で、宿主、特にヒト、または人間以外の哺乳類或いは鳥類で、前記ドメイン(i)が由来する腫瘍、或いはウイルス、細菌または寄生虫に対する体液性及び/又は細胞性応答を誘発または促進するための、請求項47または48に記載の免疫原性組成物。
【請求項50】
組換え型のエキソソーム産生細胞、特に免疫システムの細胞、より詳細にはマスト細胞、リンパ球、特にT及びBリンパ球、並びに樹状細胞、特にランゲルハンス細胞から選択される免疫システムの細胞であって、当該細胞が請求項43〜46のいずれか1項に記載の1または複数のポリヌクレオチド(複数)と再結合する、或いは当該細胞が請求項36〜39のいずれか1項に記載の膜小胞を吸収したことを特徴とする、細胞。
【請求項51】
適当な真核細胞で、目的のペプチドまたはポリペプチドを、膜小胞、特にエキソソーム-形成小胞、及び/又は当該膜小胞の形成に関与する細胞区画(複数)へ差し向けるための、請求項29〜35のいずれか1項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項52】
前記目的のペプチドまたはポリペプチド、或いは当該ペプチドまたはポリペプチドのフラグメントと相互作用することができる特定のパートナーのインビトロ(in vitro)での検出のための、請求項39に記載の1または複数の膜小胞(複数)の使用。
【請求項53】
膜小胞、特に目的のペプチドまたはポリペプチド及び/或いは目的の当該ペプチドまたはポリペプチドの分解生成物を含んでなるエキソソームのインビトロ(in vitro)での産生のための方法であって、必要ならば当該分解生成物は主要組織適合遺伝子複合体の分子に結合され、当該方法が次のステップ:
a)請求項43〜46のいずれか1項に記載の1または複数のポリヌクレオチド(複数)であって、前記目的のペプチドまたはポリペプチドを含んでなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、エキソソーム-産生細胞、特に293T細胞、または免疫システムの細胞、より詳細にはマスト細胞、リンパ球、特にT及びBリンパ球、並びに樹状細胞、特にランゲルハンス細胞から選択される免疫システムの細胞へ導入すること、或いは当該目的のペプチドまたはポリペプチドを含んでなるポリペプチド及び/又は当該ポリペプチドの分解生成物を含んでなる、請求項36〜39のいずれか1項に記載の1または複数の膜小胞(複数)とエキソソーム-産生細胞とを接触させること;
b)前記エキソソーム-産生細胞を培養すること;
c)膜小胞、特に前記エキソソーム-産生細胞によって産生されたエキソソームを回収することを含んで成る、方法。
【請求項54】
前記方法がさらに、ステップa)及びb)の間に中間ステップを含んでなり、この間にエキソソームの分泌を誘発及び/又は増加するために、或いは特定の細胞タンパク質、例えばタンパク質ICAMに関してエキソソーム組成物で特異性を誘発するために、細胞が選択及び/又は刺激されること特徴とする、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
膜小胞、特にエキソソームの表面に発現される目的の1または複数の抗原性ペプチド(複数)またはポリペプチド(複数)に対して向けられるポリクローナル血清を調製するための方法であって、次のステップ:
a)請求項36〜39のいずれか1項に記載の膜小胞、請求項40〜42または47〜49のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、或いは請求項43〜46のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを、アジュバントと結合させてまたは結合させずに、ヒトでない動物へ必要ならば繰り返し投与すること;並びに
b)目的の抗原性ペプチド(複数)またはポリペプチド(複数)を認識することができる、形成された抗体を回収することを含んでなる、方法。
【請求項56】
膜小胞、特にエキソソームの表面に発現される1または複数の抗原性ペプチド(複数)またはポリペプチド(複数)に対して向けられるモノクローナル抗体を調製するための方法であって、次のステップ:
a)請求項36〜39のいずれか1項に記載の膜小胞、請求項40〜42または47〜49のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、或いは請求項43〜46のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドが、必要ならばアジュバントと結合して及び必要ならば繰り返しの投与によって投与された、(ヒトまたはヒトでない)宿主、例えばBalb/cマウスで、予め得られた骨髄腫細胞、脾臓細胞に融合すること;
b)抗体の産生が可能な条件下で雑種細胞を培養及び選択すること;
c)目的の抗原性ペプチド(複数)またはポリペプチド(複数)に対して向けられるモノクローナル抗体を回収することを含んでなる、方法。
【請求項57】
膜小胞、特にエキソソームの表面に発現される1または複数の抗原性ペプチド(複数)またはポリペプチド(複数)に対して向けられるモノクローナル抗体を調製するための方法であって、次のステップ:
a)請求項36〜39のいずれか1項に記載の膜小胞、請求項40〜42または47〜49のいずれか1項に記載の免疫原性組成物、或いは請求項43〜46のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドが、必要ならばアジュバントと結合して及び必要ならば繰り返しの投与によって投与された、(ヒトまたはヒトでない)宿主、例えばBalb/cマウスで予め得られた、造血細胞由来の、より詳細には血液細胞由来の抗体産生細胞、例えばリンパ球またはリンパ芽球を不死化すること;
b)抗体の産生が可能な条件下で不死化細胞を培養及び選択すること;
c)目的の抗原性ペプチド(複数)またはポリペプチド(複数)に対して向けられるモノクローナル抗体を回収することを含んでなる、方法。
【請求項58】
目的のペプチドまたはポリペプチド或いは当該目的のペプチドまたはポリペプチドのフラグメントと相互作用する分子をスクリーニングするためのインビトロ(in vitro)での方法であって、当該方法が:
a)請求項39に記載の膜小胞を当該目的のペプチドまたはポリペプチドと相互作用しやすい1または複数の分子と接触させること;
b)当該目的のペプチドまたはポリペプチド、或いは当該目的のペプチドまたはポリペプチドのフラグメント、及び当該分子との間の任意の相互作用を検出することを含んでなる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31A】
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【図31B】
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【公表番号】特表2011−517402(P2011−517402A)
【公表日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500220(P2011−500220)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053221
【国際公開番号】WO2009/115561
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【出願人】(510251453)ユニベルシテ モンペリエ 2 スイヤーンス エ テクニーク (3)
【Fターム(参考)】