説明

エキノキャンディン誘導体

本発明は、(i) 1種以上の菌類の種または属に対する活性を有し; (ii) 増大した水溶解度を有し; (iii) 増大した治療係数を有し; (iv) 局所投与に好適であり; かつ/または(v) 経口投与に好適であるように改変されているエキノキャンディンクラスの化合物を特徴とする。本発明のエキノキャンディンクラスの化合物には、例えば、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール置換基が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は菌類感染の治療分野に関する。
【背景技術】
【0002】
新規抗菌治療の必要性は重大であり、医療分野で特に決定的である。免疫無防備状態の患者は、現在の保健医療の実施におそらく最大の課題をもたらす。過去30年間に、これらの患者で菌類感染の頻度の劇的な増加があった(Herbrecht, Eur. J. Haematol., 56:12, 1996; Cox et al., Curr. Opin. Infect. Dis., 6:422, 1993; Fox, ASM News, 59:515, 1993)。臓器移植を受けている患者および積極的癌化学療法を受けている患者で根深い真菌症がますます観察されている(Alexander et al., Drugs, 54:657, 1997)。侵襲性菌類感染に関連する最も一般的な病原体は、日和見性の酵母であるカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、および糸状菌のアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)である(Bow, Br. J. Haematol., 101:1, 1998; Wamock, J. Antimicrob. Chemother., 41:95, 1998)。院内菌類感染を獲得する推定200,000人/年の患者が存在する(Beck-Sague et al., J. Infect. Dis., 167:1247, 1993)。また、菌類感染数の増加に加えて、後天性免疫不全症候群(AIDS)の出現があり、該症候群では、実質的にすべての患者が、疾患の過程で、ある型の真菌症に罹患する(Alexander et al., Drugs, 54:657, 1997; Hood et al., J. Antimicrob. Chemother., 37:71, 1996)。これらの患者が遭遇する最も一般的な生物は、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)、およびカンジダ・アルビカンス(C. albicans)である(HIV/AIDS Surveillance Report, 1996, 7(2), Year-End Edition; Polis, M. A. et al., AIDS: Biology, Diagnosis, Treatment and Prevention, fourth edition, 1997)。新規の日和見菌類病原体、例えばペニシリウム・マルネッフェイ(Penicillium marneffei)、カンジダ・クルセイ(C. krusei)、カンジダ・グラブラータ(C. glabrata)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、およびコクシディオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)が世界中の免疫無防備状態の患者で規則的に報告されている。
【0003】
抗菌治療計画の開発は、引き続き存在する課題である。現在利用可能な菌類感染の治療のための薬物には、真菌膜ステロールと相互作用するマクロライドポリエンであるアンホテリシンB、真菌タンパク質およびDNA生合成を妨害するフルオロピリミジンであるフルシトシン、および真菌膜ステロール生合成を阻害する種々のアゾール(例えば、ケトコナゾール、イトラコナゾール、およびフルコナゾール)が含まれる(Alexander et al., Drugs, 54:657, 1997)。アンホテリシンBは広い活性範囲を有し、かつ抗菌療法の「標準」とみなされるが、注入関連反応および腎毒性のせいでその使用は制限される(Wamock, J. Antimicrob. Chemother., 41:95, 1998)。フルシトシン使用もまた、耐性微生物の発生およびその狭い活性スペクトルのせいで制限される。アゾールの広範な使用はカンジダ種の臨床耐性株の出現を生じさせている。現行の治療に伴う問題のせいで、新規治療の追求が続いている。
【0004】
エキノキャンディンであるカスポファンギンの販売が2002年に認可されたとき、それは10年を超えて認可される抗菌剤の最初の新規クラスであった。それ以来、2種の他のエキノキャンディン抗菌剤、アニデュラファンギンおよびミカファンギンが種々の市場で認可されている。このクラスの化合物の各物質は、多数の菌類の細胞壁中のグルカンの合成の重要な酵素であるβ-1, 3-グルカンシンターゼの阻害によって作用する。全3種のこれらの薬物は、発酵によって取得される天然物で出発する半合成によって作製される。
【0005】
エキノキャンディンは、典型的に環状ヘキサペプチドおよび親油性尾部からなり、後者がアミド結合によってヘキサペプチドコアに結合している、広い群の抗菌剤である。多数のエキノキャンディンは天然物であるが、このクラスの臨床的に重要なメンバーはすべて半合成誘導体である。天然に存在するエキノキャンディンは抗菌活性を有するが、それらは、主に不十分な水溶解度および/または溶血作用のせいで治療薬として好適ではない。認可されているエキノキャンディンは、グルカンシンターゼ阻害を維持するが溶血効果を引き起こさない誘導体を作製するための熱心な努力の産物である。治療物質として、それらは、その全身性半減期、大きい治療域(therapeutic windows)、安全性プロファイル、および他の薬物との相互作用の相対的欠如の点から魅力的な化合物である。残念ながら、これらの化合物の不十分な水溶解度および不十分な腸管吸収により、それらは静脈内注入による送達に追いやられている。これらの薬物を服用する患者は深刻な感染で入院していることがよくあるが、病院環境での静脈内送達から自宅環境での経口送達へ患者を移すことができれば、特に一般に14日を超える治療計画の過程を考慮すると、非常に望ましい。さらに、経口エキノキャンディンは、軽度の菌類感染を示す患者を含むよう、この薬物クラスの使用を拡大することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Herbrecht, Eur. J. Haematol., 56:12, 1996;
【非特許文献2】Cox et al., Curr. Opin. Infect. Dis., 6:422, 1993;
【非特許文献3】Fox, ASM News, 59:515, 1993
【非特許文献4】Alexander et al., Drugs, 54:657, 1997
【非特許文献5】Bow, Br. J. Haematol., 101:1, 1998
【非特許文献6】Wamock, J. Antimicrob. Chemother., 41:95, 1998
【非特許文献7】Beck-Sague et al., J. Infect. Dis., 167:1247, 1993
【非特許文献8】Alexander et al., Drugs, 54:657, 1997;
【非特許文献9】Hood et al., J. Antimicrob. Chemother., 37:71, 1996
【非特許文献10】HIV/AIDS Surveillance Report, 1996, 7(2), Year-End Edition
【非特許文献11】Polis, M. A. et al., AIDS: Biology, Diagnosis, Treatment and Prevention, fourth edition, 1997
【非特許文献12】Alexander et al., Drugs, 54:657, 1997
【非特許文献13】Wamock, J. Antimicrob. Chemother., 41:95, 1998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、増大した水溶解度を有することができ、かつ/または経口送達に好適であるエキノキャンディン抗菌剤の誘導体を特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(i) 1種以上の菌類の種または属に対する活性を有し; (ii) 増大した水溶解度を有し; (iii) 増大した治療係数を有し; (iv) 局所投与に好適であり; かつ/または(v) 経口投与に好適であるように改変されているエキノキャンディンクラスの化合物を特徴とする。本発明のエキノキャンディンクラスの化合物には、例えば、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG (alkaryl-PEG)、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール置換基が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の態様では、本発明は、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を含むエキノキャンディンクラスの化合物を特徴とする。
【0010】
該エキノキャンディンクラスの化合物は以下の式(I)によって示すことができる。
【化1】

【0011】
式(I)中、R1は、NHCH2CH2NHRA1、NHCH2CH2NRA1RA2、NHCH2CH2NHC(O)RA1、CH2NHRA1、CH2NRA1RA2、CH2NHC(O)RA1、またはORA1であり; R2は、H、CH3、CH2CH2NHRB1、CH2CH2NRB1RB2、CH2CH2NHC(O)RB1、CH2C(O)NHRB1、CH2CH2CH(ORB1)NHRB2、CH2CH2CH(ORB1)NRB2RB3、またはCH2CH2CH(ORB1)NHC(O)RB2であり; R3はHまたはCH3であり; R4は、H、OSO3H、CH2NHRC1、CH2NRC1RC2、CH2NHC(O)RC1であり; R5は、PEG; C(O)-PEG; PEG-アルキル; C(O)-PEG-アルキル; PEG-アリール; C(O)-PEG-アリール; PEG-アルカリール; C(O)-PEG-アルカリール; アルキル-PEG; C(O)-アルキル-PEG; アリール-PEG; C(O)-アリール-PEG; アルカリール-PEG; C(O)-アルカリール-PEG;
【化2】


【0012】
から選択される親油基であり; かつ
RA1、RA2、RB1、RB2、RB3、RC1、およびRC2のそれぞれは、独立して、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル(C3-10 alkheterocyclyl)、C1-10ヘテロアルキル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリール、および製薬的に許容されるその塩から選択され、ただし、エキノキャンディンクラスの化合物は、少なくとも1個のPEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を含むことを条件とする。
【0013】
式(I)のエキノキャンディンクラスの化合物は式(II)によってさらに表すことができる。
【化3】

【0014】
式(II)中、R1Aは、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、C1-10ヘテロアルキル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリールであり; R2Aは、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、C1-10ヘテロアルキル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリールであり; R4は、H、OSO3H、CH2NHRC1、CH2NRC1RC2、CH2NHC(O)RC1であり; かつRC1およびRC2のそれぞれは、独立して、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、C1-10ヘテロアルキル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリール、および製薬的に許容されるその塩から選択され、ただし、エキノキャンディンクラスの化合物は少なくとも1個のPEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリールを含むことを条件とする。
【0015】
式(II)のエキノキャンディンクラスの化合物の特定の実施形態では、R1A、R2A、RC1およびRC2の1つは: (i) -(CH2)p-O-(CH2CH2O)m-Me、および(ii) -(CH2CH2O)m-Me、および(iii) -C(O)(CH2)n-(OCH2CH2)m-OMeから選択され、式中、nは0〜11 (例えば、0〜7、1〜7、2〜7、3〜9、または4〜11)の整数であり、pは3〜12 (例えば、3〜8、4〜10、または6〜12)の整数であり、かつmは1〜10 (例えば、1〜7、1〜5、2〜7、2〜5、または3〜7)の整数である。式(II)のエキノキャンディンクラスの化合物の特定の実施形態では、R1AはHであり、かつR2Aは、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリールであるか; R1Aは、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリールであり、かつR2AはHであるか; またはR1AおよびR2Aのそれぞれは、独立して、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリールから選択される。
【0016】
式(I)のエキノキャンディンクラスの化合物は式(III)によってさらに表すことができる。
【化4】

【0017】
式(III)中、R1は、NHCH2CH2NHRA1、NHCH2CH2NRA1RA2、NHCH2CH2NHC(O)RA1、CH2NHRA1、CH2NRA1RA2、CH2NHC(O)RA1、またはORA1であり; R4は、H、OSO3H、CH2NHRC1、CH2NRC1RC2、CH2NHC(O)RC1であり; かつRA1、RA2、RC1、およびRC2のそれぞれは、独立して、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、C1-10ヘテロアルキル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリール、および製薬的に許容されるその塩から選択され、ただし、エキノキャンディンクラスの化合物は少なくとも1個のPEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を含むことを条件とする。
【0018】
式(III)のエキノキャンディンクラスの化合物の特定の実施形態では、R1は: (i) -O-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、(ii) -NH-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、(iii) -O-(CH2)q-O-(CH2CH2O)m-Me、(iv) -NH-(CH2)q-O-(CH2CH2O)m-Me、(v) -O-(CH2)p-NH-(CO)-(CH2)n-O-(CH2CH2O)m-Me、(vi) -NH-(CH2)p-NH-(CO)-(CH2)n-O-(CH2CH2O)m-Me、(vii) -NHCH[(CH2O(CH2CH2O)s-Me)(CH2O(CH2CH2O)t-Me)]、および(viii) -O-CH[(CH2O(CH2CH2O)s-Me)(CH2O(CH2CH2O)t-Me)]から選択され、式中、nは0〜11 (例えば、0〜7、1〜7、2〜7、3〜9、または4〜11)の整数であり、qは3〜12 (例えば、3〜7、5〜9、または7〜12)の整数であり、pは2〜8 (例えば、2〜4、3〜6、または4〜8)の整数であり、sは0〜5 (例えば、0、1、2、3、4、または5)の整数であり、tは0〜5 (例えば、0、1、2、3、4、または5)の整数であり、かつmは1〜10 (例えば、1〜7、1〜5、2〜7、2〜5、または3〜7)の整数である。
【0019】
式(I)のエキノキャンディンクラスの化合物は式(IV)によってさらに表すことができる。
【化5】

【0020】
式(IV)中、R1は、NHCH2CH2NHRA1、NHCH2CH2NRA1RA2、NHCH2CH2NHC(O)RA1、CH2NHRA1、CH2NRA1RA2、CH2NHC(O)RA1、またはORA1であり; R2は、H、CH3、CH2CH2NHRB1、CH2CH2NRB1RB2、CH2CH2NHC(O)RB1、CH2C(O)NHRB1、CH2CH2CH(ORB1)NHRB2、CH2CH2CH(ORB1)NRB2RB3、またはCH2CH2CH(ORB1)NHC(O)RB2であり; R4は、H、OSO3H、CH2NHRC1、CH2NRC1RC2、CH2NHC(O)RC1であり; かつRA1、RA2、RB1、RB2、RB3、RC1、およびRC2のそれぞれは、独立して、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、C1-10ヘテロアルキル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリール、および製薬的に許容されるその塩から選択され、ただし、エキノキャンディンクラスの化合物は少なくとも1個のPEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を含むことを条件とする。
【0021】
式(IV)のエキノキャンディンクラスの化合物の特定の実施形態では、R1は: (i) -O-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、(ii) -NH-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、(iii) -O-(CH2)q-O-(CH2CH2O)m-Me、(iv) -NH-(CH2)q-O-(CH2CH2O)m-Me、(v) -O-(CH2)p-NH-(CO)-(CH2)n-O-(CH2CH2O)m-Me、(vi) -NH-(CH2)p-NH-(CO)-(CH2)n-O-(CH2CH2O)m-Me、(vii) -NHCH[(CH2O(CH2CH2O)s-Me)(CH2O(CH2CH2O)t-Me)]、および(viii) -O-CH[(CH2O(CH2CH2O)s-Me)(CH2O(CH2CH2O)t-Me)]から選択され、式中、nは0〜11 (例えば、0〜7、1〜7、2〜7、3〜9、または4〜11)の整数であり、qは3〜12 (例えば、3〜7、5〜9、または7〜12)の整数であり、pは2〜8 (例えば、2〜4、3〜6、または4〜8)の整数であり、sは0〜5 (例えば、0、1、2、3、4、または5)の整数であり、tは0〜5 (例えば、0、1、2、3、4、または5)の整数であり、かつmは1〜10 (例えば、1〜7、1〜5、2〜7、2〜5、または3〜7)の整数である。
【0022】
式(I)のエキノキャンディンクラスの化合物は式(V)によってさらに表すことができる。
【化6】

【0023】
式(V)中、R1は、NHCH2CH2NHRA1、NHCH2CH2NRA1RA2、NHCH2CH2NHC(O)RA1、CH2NHRA1、CH2NRA1RA2、CH2NHC(O)RA1、またはORA1であり; R2は、H、CH3、CH2CH2NHRB1、CH2CH2NRB1RB2、CH2CH2NHC(O)RB1、CH2C(O)NHRB1、CH2CH2CH(ORB1)NHRB2、CH2CH2CH(ORB1)NRB2RB3、またはCH2CH2CH(ORB1)NHC(O)RB2であり; かつRA1、RA2、RB1、RB2、およびRB3のそれぞれは、独立して、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、C1-10ヘテロアルキル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリール、および製薬的に許容されるその塩から選択され、ただし、エキノキャンディンクラスの化合物は少なくとも1個のPEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を含むことを条件とする。
【0024】
式(V)のエキノキャンディンクラスの化合物の特定の実施形態では、R1は: (i) -O-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、(ii) -NH-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、(iii) -O-(CH2)q-O-(CH2CH2O)m-Me、(iv) -NH-(CH2)q-O-(CH2CH2O)m-Me、(v) -O-(CH2)p-NH-(CO)-(CH2)n-O-(CH2CH2O)m-Me、(vi) -NH-(CH2)p-NH-(CO)-(CH2)n-O-(CH2CH2O)m-Me、(vii) -NHCH[(CH2O(CH2CH2O)s-Me)(CH2O(CH2CH2O)t-Me)]、および(viii) -O-CH[(CH2O(CH2CH2O)s-Me)(CH2O(CH2CH2O)t-Me)]から選択され、式中、nは0〜11 (例えば、0〜7、1〜7、2〜7、3〜9、または4〜11)の整数であり、qは3〜12 (例えば、3〜7、5〜9、または7〜12)の整数であり、pは2〜8 (例えば、2〜4、3〜6、または4〜8)の整数であり、sは0〜5 (例えば、0、1、2、3、4、または5)の整数であり、tは0〜5 (例えば、0、1、2、3、4、または5)の整数であり、かつmは1〜10 (例えば、1〜7、1〜5、2〜7、2〜5、または3〜7)の整数である。
【0025】
式(I)のエキノキャンディンクラスの化合物の特定の実施形態では、R4は: (i) -CH2NH-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、(ii) -CH2NH-(CH2)q-O-(CH2CH2O)m-Me、(iii) -CH2NH-(CH2)p-NH-(CO)-(CH2)n-O-(CH2CH2O)m-Me、および(iv) -CH2NHCH[(CH2O(CH2CH2O)s-Me)(CH2O(CH2CH2O)t-Me)]から選択され、式中、nは0〜11 (例えば、0〜7、1〜7、2〜7、3〜9、または4〜11)の整数であり、qは3〜12 (例えば、3〜7、5〜9、または7〜12)の整数であり、pは2〜8 (例えば、2〜4、3〜6、または4〜8)の整数であり、sは0〜5 (例えば、0、1、2、3、4、または5)の整数であり、tは0〜5 (例えば、0、1、2、3、4、または5)の整数であり、かつmは1〜10 (例えば、1〜7、1〜5、2〜7、2〜5、または3〜7)の整数である。
【0026】
式(I)のエキノキャンディンクラスの化合物のさらに他の実施形態では、R5は: (i) -(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、(ii) -C(O)-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、(iii) -C(O)CH2-O-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、および(iv) -C(O)-O-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Meから選択され、式中、nは0〜11 (例えば、0〜7、1〜7、2〜7、3〜9、または4〜11)の整数であり、かつmは1〜10 (例えば、1〜7、1〜5、2〜7、2〜5、または3〜7)の整数である。
【0027】
特定の実施形態では、本発明のエキノキャンディンクラスの化合物は、(i) 増大した経口バイオアベイラビリティを有し; (ii) 増大した経皮バイオアベイラビリティを有し; かつ/または(iii) 増大した治療係数を有する。
【0028】
関連の態様では、本発明は、本発明のエキノキャンディンクラスの化合物またはその塩、および製薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を特徴とする。特定の実施形態では、該医薬組成物は、実質的に単分散であるエキノキャンディンクラスの化合物の混合物を含む。
【0029】
本発明のエキノキャンディンクラスの化合物は、単位投与剤形として経口投与用に製剤化するか、または本明細書中に記載の任意の様式で製剤化して投与することができる。
【0030】
本発明はまた、感染を治療するために十分な量の本発明のエキノキャンディンクラスの化合物またはその塩を対象に投与することによって対象の菌類感染を治療する方法を特徴とする。
【0031】
本発明のエキノキャンディンクラスの化合物を使用して治療することができる菌類感染には、非限定的に、頭部白癬、体部白癬、足白癬、爪真菌症(onychomycosis)、爪周囲真菌症(perionychomycosis)、でん風(pityriasis versicolor)、口腔カンジダ症、膣カンジダ症、気道カンジダ症、胆道カンジダ症(biliary candidosis)、食道カンジダ症(eosophageal candidosis)、尿路カンジダ症、全身性カンジダ症、粘膜皮膚カンジダ症、アスペルギルス症、ムーコル症、パラコクシジオイデス症、北アメリカブラストミセス症、ヒストプラスマ症、コクシジウム症、およびスポロトリクム症が含まれる。例えば、本発明のエキノキャンディンクラスの化合物を使用して、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・パラプシローシス(C. parapsilosis)、カンジダ・グラブラータ(C. glabrata)、カンジダ・ギリエルモンジイ(C. guilliermondii)、カンジダ・クルセイ(C. krusei)、カンジダ・トロピカリス(C. tropicalis)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フラブス(A. flavus)、またはアスペルギルス・テレウス(A. terreus)の菌類感染を治療することができる。
【0032】
本発明のエキノキャンディンクラスの化合物は、経口投与するか、または本明細書中に記載の任意の投与様式で投与することができる。
【0033】
本発明は、菌類または菌類増殖を被りやすい部位(例えば、靴、浴室タイル、シャワーカーテンなど)を本発明のエキノキャンディンクラスの化合物またはその塩と接触させることによって、菌類の増殖を予防、安定化、または阻害するか、または菌類を死滅させる方法を特徴とする。
【0034】
本発明のエキノキャンディンクラスの化合物および医薬組成物は、場合により、エキノキャンディンクラスの化合物の1個以上の水素原子が重水素で同位体標識(例えば、85%、90%、95%、または98%)されている、重水素化された化合物である。
【0035】
本明細書中で使用される用語「エキノキャンディンクラスの化合物」とは、1,3-β-D-グルカンの合成のインヒビターである、抗菌性環状リポヘキサペプチドを表す。エキノキャンディンクラスの化合物を以下に示される主鎖を含む。
【化7】

【0036】
エキノキャンディンクラスの化合物には、非限定的に、カスポファンギン、エキノキャンディンB、アニデュラファンギン、ニューモキャンディンB0、アクレアシンAγ、およびミカファンギンが含まれる。
【0037】
本発明の化合物の一般的記載では、置換基中の特定タイプの原子の数を、概して、範囲として記載する。そのような範囲への言及は、指定範囲内のそれぞれの整数の原子を有する基への具体的言及を含むものとする。例えば、1〜10個の炭素原子のアルキル基には、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、およびC10のそれぞれが含まれる。他の数の原子および他のタイプの原子も同様の様式で記載される。
【0038】
「PEG」とは、式A-B-(C)q[式中、Aは、不存在、NH、またはOであり; Bは(CH2CH2O)mまたはCH[(CH2O(CH2CH2O)p)(CH2O(CH2CH2O)r)]であり、式中mは1〜10の整数であり、pは0〜5の整数であり、かつrは0〜5の整数であり; Cは末端基であり、それは、H、CH3、またはCH2CH3であり; かつqは1または2である]を有する基を意味する。
【0039】
「アルキル-PEG」とは、式A-B-(C)q[式中、Aは、C3-15アルキル、C3-15アルケニル、C3-15アルキニル、またはC3-15ヘテロアルキルであり; BはX(CH2CH2O)mまたはXCH[(CH2O(CH2CH2O)p)(CH2O(CH2CH2O)r)]であり、式中、mは1〜10の整数であり、pは0〜5の整数であり、rは0〜5の整数であり、かつXはOまたはNHであり; Cは末端基であり、それはHまたは100ダルトン未満の有機基、例えばCH3、またはCH2CH3であり; かつqは1または2である]を有する基を意味する。
【0040】
「アリール-PEG」とは、式A-B-(C)q[式中、AはC6-18アリールであり; BはX(CH2CH2O)mまたはXCH[(CH2O(CH2CH2O)p)(CH2O(CH2CH2O)r)]であり、式中、mは1〜10の整数であり、pは0〜5の整数であり、rは0〜5の整数であり、かつXはOまたはNHであり; Cは末端基であり、それはHまたは、100ダルトン未満の有機基、例えばCH3、またはCH2CH3であり; かつqは1または2である]を有する基を意味する。
【0041】
「アルカリール-PEG」とは、式A-B-(C)q[式中、Aは、C6-18アリール(例えば、フェニル、ビフェニル、またはトリフェニル)によって置換されているC1-15アルキル、C2-15アルケニル、C2-15アルキニル、またはC1-15ヘテロアルキル基であり; BはX(CH2CH2O)mまたはXCH[(CH2O(CH2CH2O)p)(CH2O(CH2CH2O)r)]であり、式中、mは1〜10の整数であり、pは0〜5の整数であり、rは0〜5の整数であり、かつXはOまたはNHであり; Cは末端基であり、それはHまたは、100ダルトン未満の有機基、例えばCH3、またはCH2CH3であり; かつqは1または2である]を有する基である。
【0042】
「PEG-アルキル」とは、式A-B-(C)q[式中、Aは、不存在、O、またはNHであり; Bは(CH2CH2O)mまたはCH[(CH2O(CH2CH2O)p)(CH2O(CH2CH2O)r)]であり、式中、mは1〜10の整数であり、pは0〜5の整数であり、かつrは0〜5の整数であり; Cは、C1-15アルキル、C2-15アルケニル、C2-15アルキニル、またはC1-15ヘテロアルキルであり; かつqは1または2である]を有する基を意味する。
【0043】
「PEG-アリール」とは、式A-B-(C)q[式中、Aは、不存在、O、またはNHであり; Bは(CH2CH2O)mまたはCH[(CH2O(CH2CH2O)p)(CH2O(CH2CH2O)r)]であり、式中、mは1〜10の整数であり、pは0〜5の整数であり、かつrは0〜5の整数であり; CはC6-18アリールであり; かつqは1または2である]を有する基を意味する。
【0044】
「PEG-アルカリール」とは、式A-B-(C)q[式中、Aは、不存在、O、またはNHであり; Bは(CH2CH2O)mまたはCH[(CH2O(CH2CH2O)p)(CH2O(CH2CH2O)r)]であり、式中、mは1〜10の整数であり、pは0〜5の整数であり、かつrは0〜5の整数であり; Cは、C6-18アリール(例えば、フェニル、ビフェニル、またはトリフェニル)によって置換されているC1-15アルキル、C2-15アルケニル、C2-15アルキニル、またはC1-15ヘテロアルキル基であり; かつqは1または2である]を有する基である。
【0045】
「実質的に単分散」とは、混合物中のエキノキャンディンクラスの化合物の少なくとも約90%、95%、または98%が同一分子量を有する、エキノキャンディンクラスの化合物の混合物を意味する。
【0046】
「C1-10アルキル」とは、1〜10個の炭素原子を有する分岐または非分岐炭化水素基を意味する。C1-10アルキル基は置換または非置換であってよい。典型的な置換基には、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハライド、ヒドロキシル、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル(perfluoralkyl)、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、カルボキシル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリール基が含まれる。C1-10アルキルには、非限定的に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロブチル、n-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、およびオクチルがとりわけ含まれる。他の長さのアルキル基も同様に、分岐または非分岐でかつ置換または非置換である。
【0047】
「C2-10アルケニル」とは、1個以上の二重結合を含みかつ2〜10個の炭素原子を有する分岐または非分岐炭化水素基を意味する。C2-10アルケニルは、場合により、単環式または多環式環を含んでよく、各環は望ましくは3〜6員を有する。C2-10アルケニル基は置換または非置換であってよい。典型的な置換基には、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハライド、ヒドロキシル、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、カルボキシル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリール基が含まれる。C2-10アルケニルには、非限定的に、ビニル、アリル、2-シクロプロピル-1-エテニル、1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチル-1-プロペニル、および2-メチル-2-プロペニルが含まれる。他の長さのアルケニル基も同様に、分岐または非分岐でかつ置換または非置換である。
【0048】
「C2-10アルキニル」とは、1個以上の三重結合を含みかつ2〜10個の炭素原子を有する分岐または非分岐炭化水素基を意味する。C2-10アルキニルは、場合により、単環式、二環式、または三環式環を含んでよく、各環は望ましくは5または6員を有する。C2-10アルキニル基は置換または非置換であってよい。典型的な置換基には、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハライド、ヒドロキシ、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、カルボキシル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリール基が含まれる。C2-10アルキニルには、非限定的に、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、および3-ブチニルが含まれる。他の長さのアルキニル基も同様に、分岐または非分岐でかつ置換または非置換である。
【0049】
「C2-6ヘテロシクリル」とは、飽和、部分的不飽和、または不飽和(芳香族)であり、かつ2〜6個の炭素原子および、N、O、およびSから独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子からなる、安定な5〜7員単環式または7〜14員二環式複素環式環を意味し、上記で定義される任意の複素環式環がベンゼン環に融合している任意の二環式基を含む。ヘテロシクリル基は置換または非置換であってよい。典型的な置換基には、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハライド、ヒドロキシ、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、カルボキシル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリール基が含まれる。窒素および硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてよい。複素環式環を任意のヘテロ原子または炭素原子を介して共有結合によって結合させて安定な構造を生じさせてよく、例えば、イミダゾリニル環は環炭素原子の位置または窒素原子で連結してもよい。複素環中の窒素原子は場合により四級化されていてよい。好ましくは、複素環中のSおよびO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接していない。複素環には、非限定的に、1H-インダゾール、2-ピロリドニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、2H-ピロリル、3H-インドリル、4-ピペリドニル、4aH-カルバゾール、4H-キノリジニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダザロニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、b-カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニルペルイミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、キサンテニルが含まれる。好ましい5〜10員複素環には、非限定的に、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、フラニル、チエニル、チアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、1H-インダゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、オキシンドリル、ベンゾオキサゾリニル、キノリニル、およびイソキノリニルが含まれる。好ましい5〜6員複素環には、非限定的に、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、フラニル、チエニル、チアゾリル、ピロリル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、およびテトラゾリルが含まれる。
【0050】
「C6-12アリール」とは、共役π電子を有する炭素原子からなる環系を有する芳香族基(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル(napthyl)など)を意味する。アリール基は6〜12個の炭素原子を有する。アリール基は、場合により、単環式、二環式、または三環式環を含んでよく、各環は望ましくは5または6員を有する。アリール基は置換または非置換であってよい。典型的な置換基には、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハライド、フルオロアルキル、カルボキシル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、一置換アミノ、二置換アミノ、四級アミノ、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリール基が含まれる。他のサイズのアリール基も同様に、置換または非置換である。
【0051】
「C7-14アルカリール」とは、7〜14個の炭素原子を有する、C6-12アリール基(例えば、ベンジル、フェネチル、または3,4-ジクロロフェネチル)によって置換されているC1-4アルキルを意味する。
【0052】
「C3-10アルキルヘテロシクリル(alkheterocyclyl)」とは、1個以上のヘテロ原子に加えて3〜10個の炭素原子を有するアルキル置換複素環式基(例えば、3-フラニルメチル、2-フラニルメチル、3-テトラヒドロフラニルメチル、または2-テトラヒドロフラニルメチル)を意味する。
【0053】
「C1-10ヘテロアルキル」とは、N、O、S、およびPからなる群から独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子に加えて1〜10個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル、アルケニル、またはアルキニル基を意味する。ヘテロアルキルには、非限定的に、三級アミン、二級アミン、エーテル、チオエーテル、アミド、チオアミド、カルバメート、チオカルバメート、ヒドラゾン、イミン、リン酸ジエステル、ホスホロアミダート、スルホンアミド、およびジスルフィドが含まれる。ヘテロアルキルは、場合により、単環式、二環式、または三環式環を含んでよく、各環は望ましくは3〜6員を有する。ヘテロアルキル基は置換または非置換であってよい。典型的な置換基には、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハライド、ヒドロキシル、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、四級アミノ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、カルボキシル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリール基が含まれる。C1-10ヘテロアルキルの例には、非限定的に、ポリアミン、メトキシメチル、およびエトキシエチルが含まれる。他の長さのヘテロアルキル基も同様に、分岐または非分岐でかつ置換または非置換である。
【0054】
「ハライド」とは、臭化物(ブロミド)、塩化物(クロライド)、ヨウ化物(ヨーダイド)、またはフッ化物(フルオライド)を意味する。
【0055】
「フルオロアルキル」とは、フッ素原子で置換されているアルキル基を意味する。
【0056】
「パーフルオロアルキル」とは、炭素およびフッ素原子のみからなるアルキル基を意味する。
【0057】
「カルボキシアルキル」とは、式-(R)-COOH[式中、Rは、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、またはC1-10ヘテロアルキルから選択される]を有する化学的部分を意味する。
【0058】
「ヒドロキシアルキル」とは、式-(R)-OH[式中、Rは、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、またはC1-10ヘテロアルキルから選択される、を有する化学的部分を意味する。
【0059】
「アルコキシ」とは、式-OR、式中、Rは、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、またはC1-10ヘテロアルキルから選択される]の化学置換基を意味する。
【0060】
「アリールオキシ」とは、式-OR[式中、RはC6-12アリール基である]の化学置換基を意味する。
【0061】
「アルキルチオ」とは、式-SR[式中、Rは、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、およびC1-10ヘテロアルキルから選択される]の化学置換基を意味する。
【0062】
「アリールチオ」とは、式-SR[式中、RはC6-12アリール基である]の化学置換基を意味する。
【0063】
「四級アミノ」とは、式-(R)-N(R')(R'')(R''')+[式中、R、R'、R''、およびR'''は、それぞれ独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール基である]の化学置換基を意味する。Rは、四級アミノ窒素原子を置換基として別の部分に連結するアルキル基であってよい。窒素原子、Nは、アルキルおよび/またはアリール基の4個の炭素原子に共有結合によって結合し、その結果、窒素原子の位置での正電荷が生じる。
【0064】
「親エキノキャンディンクラス化合物」とは、本発明のエキノキャンディンクラスの化合物を形成させるためのPEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基への結合によって改変されるエキノキャンディンクラスの化合物を意味する。
【0065】
「増大した経口バイオアベイラビリティ」とは、同一条件(例えば絶食または摂食)下で経口投与される親エキノキャンディンクラス化合物(すなわち、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を欠いているエキノキャンディンクラスの化合物)と比較して、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を保持するエキノキャンディンクラスの化合物に関して、対象への経口投与後に吸収される薬物のフラクションが増加することを意味する。本発明の化合物は、派生元の対応する親エキノキャンディンクラス化合物より、少なくとも25%、50%、100%、200%、または300%高い経口バイオアベイラビリティを示すことができる。
【0066】
「増大した経皮バイオアベイラビリティ」とは、同一条件下で(例えば、同一担体および他の不活性賦形剤を用いて)局所投与される親エキノキャンディンクラス化合物(すなわち、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を欠いているエキノキャンディンクラスの化合物)と比較して、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を保持するエキノキャンディンクラスの化合物に関して、対象への局所投与後に吸収される薬物のフラクションが増加することを意味する。本発明の化合物は、派生元の対応する親エキノキャンディンクラス化合物より、少なくとも25%、50%、100%、200%、または300%高い経皮バイオアベイラビリティを示すことができる。
【0067】
「増大した治療係数」とは、同一条件下で(例えば、同一担体および他の不活性賦形剤を用いて、かつ同一経路によって)投与される親エキノキャンディンクラス化合物(すなわち、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を欠いているエキノキャンディンクラスの化合物)と比較された、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を保持するエキノキャンディンクラスの化合物に関する半致死量(LD50)と半有効量(ED50)の比の増加を意味する。本発明の化合物は、派生元の対応する親エキノキャンディンクラス化合物より、少なくとも25%、50%、100%、200%、または300%高い治療係数を示すことができる。
【0068】
本明細書中で使用される用語「治療」とは、予防および/または治療目的での医薬組成物の投与を表す。「疾患の予防」とは、まだ病気ではないが、特定の疾患にかかりやすいか、またはその他の点で特定の疾患のリスクがある対象の予防的処置を表す。「疾患の治療」または、「治療的処置」のための使用とは、対象の症状を改善または安定化するための、疾患をすでに患っている対象に対する治療の投与を表す。ゆえに、特許請求の範囲および実施形態では、治療とは、治療または予防目的での対象への投与である。
【0069】
本明細書中で使用される用語「十分な量」("an amount sufficient" and "sufficient amount")とは、感染を治療または予防するために必要とされるエキノキャンディンクラスの化合物の量を表す。感染によって引き起こされるかまたは感染が寄与する症状の治療的または予防的処置のための本発明の実施に使用される十分な量は、投与様式、感染のタイプ、対象の年齢、体重、および全般的健康に応じて変動する。最終的に、主治医または獣医師が適切な量および投与計画を決定する。そのような量は「十分な」量とみなされる。
【0070】
用語「単位投与剤形」とは、丸剤、錠剤、カプレット、硬カプセルまたは軟カプセルなどの、単位用量として好適な物理的に別個の単位を表し、各単位は、あらかじめ決められた量の本発明のエキノキャンディンクラスの化合物を含む。「硬カプセル」とは、薬物および賦形剤の固体または液体積載量を保持可能な2つの部分からなるカプセル状の容器を形成する膜を含むカプセルを意味する。「軟カプセル」とは、薬物および賦形剤の液体または半固体積載量を保持する単一容器に成形されたカプセルを意味する。
【0071】
「菌類感染」とは、病原性菌類による宿主の侵襲を意味する。例えば、感染には、対象の身体中または身体上に通常存在する菌類の過剰増殖または対象中または対象上に通常存在しない菌類の増殖が含まれる。より一般的に、菌類感染は、菌類集団(群)の存在が宿主体に有害である任意の状況であってよい。ゆえに、対象は、過剰量の菌類集団が対象の身体中または身体上に存在する場合、または菌類集団(群)の存在が対象の細胞または他の組織に有害である場合に、菌類感染を「患っている」。
【0072】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。
【0073】
本発明は、(i) 1種以上の菌類の種または属に対する活性を有し; (ii) 増大した水溶解度を有し; (iii) 増大した治療係数を有し; (iv) 局所投与に好適であり; かつ/または(v) 経口投与に好適であるように改変されているエキノキャンディンクラスの化合物を特徴とする。本発明のエキノキャンディンクラスの化合物には、例えば、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリールが含まれる。
【0074】
エキノキャンディンクラスの化合物
本発明のエキノキャンディンクラスの化合物には、式(I)〜(V)のいずれかの化合物が含まれる。これらの化合物は、例えば実施例に記載されるように、標準反応条件下で官能化または非官能化エキノキャンディンクラス化合物を適切なアシル、アルキルおよび/またはアミノ基とカップリングすることによって合成することができる。
【0075】
典型的に、半合成の本発明のエキノキャンディンクラスの化合物は、天然に存在するエキノキャンディン骨格を改変することによって作製される。例えば、ニューモキャンディンB0は発酵反応によって製造され; 発酵および混合ブロスは生成物の混合物を生じさせ、次いで該混合物の分離によりニューモキャンディンB0が得られ、該ニューモキャンディンB0はカスポファンギンの合成に使用される(数個の抽出プロセスの実施による、ニューモキャンディンB0、WF 11899およびエキノキャンディンBなどのエキノキャンディンクラスの化合物の抽出を記載する米国特許第6,610,822号を参照のこと; かつ粗製抽出物を精製するための方法を記載する米国特許第6,610,822号を参照のこと)。
【0076】
本発明のエキノキャンディンクラスの化合物への半合成アプローチでは、化合物の立体化学は出発材料によって影響される。ゆえに、非天然エキノキャンディン誘導体の立体化学は、典型的に、派生元の天然に存在するエキノキャンディン骨格と同一の立体化学(エキノキャンディンB、アニデュラファンギン、ミカファンギン、およびカスポファンギンに関する代表例を以下に示す)を有する。したがって、天然に存在する化合物中で見出され、各アミノ酸残基において同じ立体化学配置を共有するエキノキャンディンクラスの化合物、エキノキャンディンB、アニデュラファンギン、ミカファンギン、およびカスポファンギンのいずれも、本発明のエキノキャンディンクラスの化合物の合成での出発材料として使用することができる。
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【0077】
したがって、本発明のエキノキャンディンクラスの化合物は、種々の微生物を培養することによって製造される環状ペプチド抗菌剤から誘導することができる。いくつかの環状ペプチド抗菌剤が公知である。それには、エキノキャンディンB (A30912A)、アクレアシン、ムルンドキャンディン(mulundocandin)、スポリオファンギン(sporiofungin)、L-671,329、FR901379、およびS31794/F1が含まれる。すべてのそのような抗菌剤は、環状ヘキサペプチドコアによって構造的に特徴付けられ、1つの環状アミノ酸のアミノ基は、コアまたは核から離れた側鎖を形成する脂肪酸アシル基を保持する。例えば、エキノキャンディンBはリノレオイル側鎖を有し、アクレアシンはパルミトイル側鎖を有する。環状ヘキサ-ペプチドのこれらの脂肪酸側鎖は酵素による脱アシル化によって除去されて、遊離アミン末端(例えば、式(I)のR5はHである)を提供することができる。核のアミノ基の再アシル化によって半合成抗菌性化合物が得られる。例えば、エキノキャンディンBコアは、特定の非天然側鎖部分で再アシル化されると、いくつかの抗菌剤を提供する(Debono, 米国特許第4,293,489号を参照のこと)。例えば、エキノキャンディンクラスの化合物の、酵素による脱アシル化は、Abbott et al., 米国特許第4,293,482号によって記載されるように生物Actinoplanes utahensisおよび関連微生物によって生産されるデアシラーゼを用いて実行することができる。施すことができる他の合成改変には、Mannich反応を介するアリール環の誘導体化(例えば、式(I)のR4をHからCH2NH2に変換する); R1でのヒドロキシル基の改変(例えば、式(I)のR1をOHからCH2NH2に変換する) (スルホンまたはヘミアミナールチオエーテル中間体をNaCNで処理して、対応するニトリルをもたらし、該ニトリルの還元によってアミノメチル誘導体を得る; PCT公開第WO 96/22784号およびBansi Lal et al., Bioorganic and Medicinal Chemistry 11:5189 (2003)を参照のこと); アミン基のアルキル化; アミン基のアミド化; および実施例に記載される改変が含まれる。
【0078】
エキノキャンディンクラスの化合物は、分岐PEG基を保持する置換基を含んでよい。そのような分岐PEGは、Miller et al., Bioconjugate Chem., 17:267 (2006)に記載のように製造することができる。
【0079】
療法および製剤化
本発明は、本発明の化合物を投与することによって菌類感染に関連する疾患または症状を治療または予防するための組成物および方法を特徴とする。本発明の化合物は、菌類感染に関連する疾患または症状の治療または予防に適切な任意の経路によって投与することができる。ヒト、ペット(domestic pets)、家畜、または他の動物に製薬的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤とともにこれらを投与することができる。経口投与される場合、これらは単位投与剤形であってよい。投与は、局所、非経口、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、頭蓋内、眼窩内、眼、脳室内、嚢内、脊髄内、槽内、腹腔内、鼻内、エアロゾル、坐剤による投与、または経口投与であってよい。
【0080】
治療用製剤は液体溶液または懸濁液の形式であってよく; 経口投与の場合は、製剤は錠剤またはカプセルの形式であってよく; 鼻内製剤の場合は、粉末、点鼻剤、点耳剤、またはエアロゾルの形式であってよい。
【0081】
製剤を作製するための当技術分野で周知の方法は、例えば、"Remington: The Science and Practice of Pharmacy" (20th ed., ed. A.R. Gennaro, 2000, Lippincott Williams & Wilkins)に見出せる。非経口投与用製剤は、例えば、賦形剤、滅菌水、または生理食塩水、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、植物起源の油、または水素化ナフタレン(napthalenes)を含んでよい。吸入用製剤は、賦形剤、例えば、ラクトースを含むか、または、例えば、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリコラート(glycholate)およびデオキシコラートを含む水性溶液であるか、または点鼻剤の形式での、またはゲルとしての投与のための油性溶液であってよい。製剤中の化合物の濃度は、いくつかの要因に応じて変動し、該要因には、投与される薬物の用量、および投与経路が含まれる。
【0082】
化合物または組み合わせは、場合により、無毒の酸付加塩、アルカリおよびアルカリ土類塩(例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、またはカルシウム塩)、または製薬産業で一般に使用される金属錯体などの製薬的に許容される塩として投与することができる。酸付加塩の例には、有機酸、例えば酢酸、乳酸、パモン酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸など; 高分子酸、例えばタンニン酸、カルボキシメチルセルロースなど; および無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などが含まれる。金属錯体には、亜鉛、鉄などが含まれる。
【0083】
経口使用のための製剤には、無毒の製薬的に許容される賦形剤との混合物中に活性成分(群)を含む錠剤が含まれる。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤または充填剤(例えば、スクロースおよびソルビトール)、潤滑剤、流動促進剤、および抗接着剤(antiadhesives) (例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油、またはタルク)であってよい。経口使用のための製剤は、チュアブル錠、錠剤、カプレット、またはカプセル(すなわち、活性成分が不活性固体希釈剤と混合されているゼラチン硬カプセル、または活性成分が水または油媒体と混合されているゼラチン軟カプセル)として単位投与剤形で提供してもよい。
【0084】
製剤は、治療上有効量でヒト対象に投与することができる。典型的な用量範囲は、1日あたり体重1 kgあたり約0.01μg/kg〜約800 mg/kg、または約0.1 mg/kg〜約50 mg/kgである。投与される薬物の好ましい用量は、障害のタイプおよび程度、具体的な対象の全体的健康状態、投与される具体的化合物、化合物を製剤化するために使用される賦形剤、およびその投与経路などの変数に依存するであろう。
【0085】
本発明の化合物を使用して、例えば、頭部白癬、体部白癬、足白癬、爪真菌症、爪周囲真菌症、でん風、口腔カンジダ症、膣カンジダ症、気道カンジダ症、胆道カンジダ症、食道カンジダ症、尿路カンジダ症、全身性カンジダ症、粘膜皮膚カンジダ症、アスペルギルス症、ムーコル症、パラコクシジオイデス症、北アメリカブラストミセス症、ヒストプラスマ症、コクシジウム症、およびスポロトリクム症を治療することができる。
【0086】
以下の実施例は、ここに特許請求される方法および化合物がどのように達成され、作製され、かつ評価されるかの完全な開示および説明を当業者に提供するために提案され、純粋に本発明の典型例であるものとし、発明者らが自らの発明とみなすものの範囲を限定しないものとする。
【0087】
分析用HPLCは、以下のカラム(群)および条件: Phenomenex Luna C18(2), 5μm, 100Å, 2.0 x 150 mm, H2O (0.1% TFA)中の1〜99% CH3CN (0.1% TFA)/15分を使用して実施した。分取HPLCは、以下のカラム: Waters Nova-Pak HR C18, 6μm, 60Å, 19 x 300 mm, 10 mL/分でのCH3CN/H2Oの種々の線形勾配および必要に応じた変更を使用して実施した。
【0088】
以下の実施例では、以下の略語: min (分), hr (時間), mmol (ミリモル), mL (ミリリットル), μm (ミクロン), Å(オングストローム), THF (テトラヒドロフラン), DMF (ジメチルホルムアミド), TLC (薄層クロマトグラフィー), TFA (トリフルオロ酢酸), HPLC (高性能液体クロマトグラフィー), RP (逆相), DIEA (ジイソプロピルエチルアミン), LC/MS (液体クロマトグラフィー/質量分析), MEG (メチルエチレングリコール), MPEG (メチルポリエチレングリコール), TR (HPLCでの保持時間), C (摂氏), およびFMOC (フルオレニルメチルオキシカルボニル)を使用する。
【実施例】
【0089】
実施例1. 化合物MPEG7ヘキシルアルコールの合成
【化12】

【0090】
アルゴン雰囲気下の5 mlのジエチルエーテル中のMPEG7ヘキシルスクシンイミジルエステル(650 mg; 1.16 mmol)をLiBH4 (59 mg; 2.71 mmol)で処理した。混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、混合物を乾燥THF中で再溶解させた。TLC [SiO2; 10%メタノール/ジクロロメタン; KMnO4検出]で残留出発材料が示され、反応物を追加のLiBH4 (約50 mg; 2.3 mmol)で処理した。混合物をTLCによってモニターし、出発材料が残留しなくなるまで約4時間加熱還流し、単一生成物が観察された。飽和NaHCO3水溶液をゆっくり加えて反応をクエンチした。約25 mLのジクロロメタンを加え、混合物を分離した。有機相を約25 mlのaq. NaHCO3およびブラインで各1回洗浄し、次いでMgSO4で乾燥し、減圧下で濃縮し、441 mg (85% TY)のMPEG7ヘキシルアルコールを無色透明の油状物として得た。
【0091】
実施例2. 化合物1および2の合成
【化13】

【化14】

【0092】
0.5 mL THF中のカスポファンギンアセテート(10 mg; 0.008 mmol)を2-メトキシエタノール-スクシンイミジルカーボネート(THF中10 mg/mLで175μL; 1.75 mg; 0.008 mmol)で処理した。得られた溶液を室温で約45分攪拌し、2つの主要生成物および1つの微量生成物が生じた。溶液を室温で減圧下で濃縮し、水で希釈し、0.05M CH3CO2-NH4+ (pH 5.0)/CH3CNで溶出する分取RP HPLCによって2つの主要生成物を分離した。精製された生成物を凍結乾燥によって単離し、白色固体を得た。十分な量の精製サンプルが蓄積するまで反応を繰り返し、生成物を純度に基づいてまとめて、7.9 mgのモノコンジュゲート(monoconjugate)、化合物1、および5.7 mgのジコンジュゲート(diconjugate)、化合物2を得た。HPLC TR 9.92 min (84%); LC/MS, ESI+, m/z 598.3 [M+2H]+。HPLC TR 11.04 min (97%); LC/MS, ESI+, m/z 1297.7 [M+H]+, 660.3 [M+H+Na]2+
【0093】
実施例3. 化合物3および4の合成
【化15】

【化16】

【0094】
0.5 mL THFおよび4滴の水に溶解されたカスポファンギンジアセテート(15 mg; 0.012 mmol)をMPEG7オクチルスクシンイミジルエステル(7.2 mg; 0.012 mmol)で処理した。得られた溶液を室温で約15時間攪拌し、次いで室温で減圧下で濃縮し、水(0.1% TFA)/CH3CN (0.1% TFA)で溶出する分取RP HPLCによって精製した。純粋な目的のフラクションを凍結乾燥して、7.3 mgのモノコンジュゲート、化合物3、および4.7 mgのジコンジュゲート、化合物4を白色固体として得た: HPLC TR 10.38 min (95.2%); LC/MS, ESI+ m/z 1557.9 [M+H]+, 779.5 [M+2H]2+, 527.3 [M+2H+Na]3+。HPLC TR 11.71 min (97%); LC/MS, ESI+ m/z 1023 [M+H+Na]2+, 1034 [M+2Na]2+, 689.7 [M+H+2Na]3+
【0095】
実施例4. 化合物5の合成
【化17】

【0096】
1,4-ジオキサン中のアニデュラファンギン(10 mg; 0.008 mmol)を、そのまま加えた(added neat) MPEG4OH (78 mg; 0.37 mmol)で処理した。p-トルエンスルホン酸を加え(1,4-ジオキサン中2.8 mg/mlで0.020 ml; 0.06 mg; 0.0003 mmol)、得られた透明な溶液を室温で3日攪拌した。溶液を水およびアセトニトリルで希釈し、水およびアセトニトリルで溶出する分取RP HPLCによって精製した。生成物を凍結乾燥によって単離し、5.1 mgの化合物5を白色固体として得た。HPLC TR 12.32 min (90.3%)。LC/MS, ESI+, m/z 1352.6 [M+Na]+
【0097】
実施例5. 化合物6の合成
【化18】

【0098】
アニデュラファンギン(10 mg; 0.008 mmol)をMPEG7OH (156 mg; 0.46 mmol)に加えて、粘性溶液を得た。p-トルエンスルホン酸(1,4-ジオキサン中2.8 mg/mlで0.030 ml; 0.08 mg; 0.0004 mmol)を加え、得られた溶液を室温で2日攪拌した。溶液を水およびアセトニトリルで希釈し、水およびアセトニトリルで溶出する分取RP HPLCによって精製した。生成物を凍結乾燥によって単離し、4.5 mgの化合物6を白色固体として得た。HPLC TR 12.21 min (92.2%); LC/MS, ESI+ m/z 1484.7 [M+Na]+, 753.8 [M+2Na]2+
【0099】
実施例6. 化合物7の合成
【化19】

【0100】
アニデュラファンギン(11 mg; 0.010 mmol)をMPEG7C6OH (56 mg; 0.13 mmol)と混合した。乾燥DMF (10滴)を加えて透明な溶液を生じさせ、該溶液をHCl (1,4-ジオキサン中4M; 2.5μL; 0.01 mmol)で処理した。溶液を室温で6時間攪拌し、次いで4℃で約15時間攪拌した。溶液を水およびアセトニトリルで希釈し、水およびアセトニトリルで溶出する分取RP HPLCによって精製した。生成物を凍結乾燥によって単離し、7.2 mgの化合物7を白色固体として得た。HPLC TR 12.72 min (84.5%)。LC/MS, ESI+, m/z 1584.8 [M+Na]+, 1562.8 [M+H]+
【0101】
実施例7. 化合物8の合成
【化20】

【0102】
ニューモキャンディンB0 (11 mg; 0.010 mmol)をMPEG4OH (100 mg; 0.48 mmol)中に懸濁した。乾燥DMF (5滴)を加えて透明な溶液を生じさせ、該溶液をHCl (1,4-ジオキサン中4M; 2.5μL; 0.01 mmol)で処理した。溶液を3時間攪拌した後、水およびアセトニトリルで希釈し、水およびアセトニトリルで溶出する分取RP HPLCによって精製した。生成物を凍結乾燥によって単離し、6.5 mgの化合物9を白色固体として得た。HPLC TR 11.76 min (96.9%)。LC/MS, ESI+, m/z 1277.7 [M+Na]+
【0103】
実施例8. 化合物9の合成
【化21】

【0104】
ニューモキャンディンB0 (10 mg; 0.009 mmol)をMPEG7OH (135 mg; 0.40 mmol)中に懸濁した。混合物をHCl (1,4-ジオキサン中4M; 2.5μL; 0.01 mmol)で処理し、数滴の乾燥DMFを加えた。溶液を一晩攪拌した後、水およびアセトニトリルで希釈し、水およびアセトニトリルで溶出する分取RP HPLCによって精製した。生成物を凍結乾燥によって単離し、4.4 mgの化合物10を白色固体として得た。HPLC TR 11.62 min (97.8%)。LC/MS, ESI+, m/z 1409.8 [M+Na]+, 1387.8 [M+H]+
【0105】
実施例9. 化合物10の合成
【化22】

【0106】
ニューモキャンディンB0 (12.5 mg; 0.012 mmol)をMPEG7C6OH (65 mg; 0.15 mmol)中に懸濁した。乾燥DMF (5滴)を加え、混合物を攪拌および超音波処理して透明な溶液を生じさせ、該溶液をHCl (1,4-ジオキサン中4M; 2.5μL; 0.01 mmol)で処理した。溶液を室温で18時間攪拌した後、水およびアセトニトリルで希釈し、水およびアセトニトリルで溶出する分取RP HPLCによって精製した。生成物を凍結乾燥によって単離し、6.7 mgの化合物10を白色固体として得た。HPLC TR 12.09 min (96.3%)。LC/MS, ESI+, m/z 1509.8 [M+Na]+, 1487.9 [M+H]+
【0107】
実施例10. エキノキャンディンクラスの化合物のin vitro活性
種々のカンジダおよびアスペルギルス属の種に対する本発明のエキノキャンディンクラスの化合物のMIC値(μg/mL)を以下のように取得した。
【0108】
試験生物をAmerican Type Culture Collection (Manassas, VA)から入手した。単離体を-80℃で維持し、次いで解凍し、試験の1日前に継代培養した(アスペルギルス株の場合は7日)。
【0109】
酵母および糸状菌に対するMICアッセイの試験培地は以下の通りであった: RPMI-1640 (0.165M MOPS, pH 7.0で緩衝化)を、マウス血清が存在しない場合、105%で調製して容量で5%の薬物の存在を相殺し、155%で調製して5%の薬物およびマウス血清の存在を相殺した。マウス血清を、56℃で30分、熱不活性化し、使用前に0.2μm低タンパク質結合フィルターユニットに通してろ過した。
【0110】
ブロス微量希釈を使用してMIC値を測定した。娘プレートのウェルは、最終的に、マウス血清を含むか含まない180μLのRPMI-1640培地、10μLの薬物溶液、および10μLの酵母または真菌の種菌を含んだ。
【0111】
感受性試験の前に、真菌単離体を凍結貯蔵から取り出し、室温で解凍し、ポテトデキストロース寒天に継代培養した。カンジダ株を35℃で一晩インキュベートし、アスペルギルス株を25℃で7日インキュベートした。酵母コロニーを滅菌生理食塩水に接種し、0.5 McFarland標準の濁度に調節した。0.05%のTween 20を含む1 mLの滅菌生理食塩水で寒天斜面の表面を洗浄することによってアスペルギルス株由来の種菌を調製した。得られたコロイド状(colloidial)懸濁液をλ625 nmで0.09〜0.11の光学密度に調節した。
【0112】
酵母および糸状菌の両懸濁液をさらにRPMI-1640培地中で1:100希釈し、滅菌容器に分配し、娘プレートへの接種に使用した。10μLの標準化種菌を各ウェルに送達した。これにより、娘プレートでの最終細胞濃度約2.5 x 103コロニー形成単位/mLが得られた。プレートを35℃で約48時間インキュベートした。
【0113】
インキュベーション後、プレートビューワを使用してマイクロプレートを底面から観察した。薬物沈殿の証拠に関して非接種溶解度コントロールプレートを観察した。目視で検出された場合に生物の増殖を実質的に阻害する抗菌剤の最低濃度としてMICを定義した。カンジダ株の場合、48時間の時点でMIC測定を行った。アスペルギルス株の場合、48時間の時点で各MICウェルの増殖を増殖コントロールの増殖と比較した。
【表1】

【0114】
実施例11. 化合物3および11の1:1混合物
【化23】

【0115】
化合物3の調製物から単離され、濃縮されたモノコンジュゲートサンプルをまとめて、モノコンジュゲートの1:1混合物(すなわち、化合物3および11の1:1混合物)を得た。LC/MS: 100:97の比のUV検出による2成分, 両成分に関してESI+ m/z 1557.95 [M+H]+
【0116】
実施例12. 化合物12の合成
【化24】

【0117】
0.25 mL THFおよび3滴の水中のカスポファンギンアセテート(5 mg; 0.004 mmol)をMPEG3-スクシンイミジルカルボナート(1.2 mg; 0.004 mmol)で処理した。得られた溶液を室温で一晩攪拌した。溶液を気流下で濃縮し、次いで水およびアセトニトリルで希釈し、水(0.1% TFA)/CH3CN (0.1% TFA)で溶出する分取RP HPLCによって精製した。反応を繰り返して十分な生成物を生じさせ、精製された生成物を凍結乾燥によって単離し、まとめて、3.5 mgの化合物12を白色固体として得た。LC/MS, LCによる純度85%; ESI+, m/z 1283.73 [M+H]+
【0118】
実施例13. 化合物13の合成
【化25】

【0119】
0.2 mL DMF中のカスポファンギンアセテート(5 mg; 0.004 mmol)をDIEA (3.0μL; 0.017 mmol)および1-ブロモ-2-メトキシエタン(1.5μL; 0.016 mmol)で処理した。得られた溶液を35〜40℃で3日加熱した。反応物を水で希釈し、水(0.1% TFA)/CH3CN (0.1% TFA)で溶出する分取RP HPLCによって精製した。反応を繰り返して十分な生成物を生じさせ、精製された生成物を凍結乾燥によって単離し、まとめて、2.1 mgの化合物13を白色固体として得た。HPLC TR 9.54 min (94%); LC/MS, ESI+/- m/z 1551.71 [M+H]+, 1149.67 [M-H]-, 1033.59 [アミナール除去由来のイミンフラグメント]+ (算出値1033.58)はR1置換を裏づける。
【0120】
実施例14. 化合物14の合成
【化26】

【0121】
無水DMF中のカスポファンギンアセテート(4.9 mg; 0.004 mmol)をFMOC-スクシンイミジルカーボネート(1.4 mg; 0.004 mmol)で処理した。溶液を4℃で3.5時間攪拌した。次いで反応物を2-メトキシエタノール-スクシンイミジルカーボネート(3 mg; 0.014 mmol)で処理し、室温で一晩撹拌しておいた。次いで反応物をDMF中の5%ピペリジンで処理した。HPLC分析で、FMOC保護中間体が残留しないことが示された。混合物を水で希釈し、TFAでの滴定によって酸性化して、透明な溶液を取得し、該溶液を、水(0.1% TFA)/CH3CN (0.1% TFA)で溶出する分取RP HPLCによって精製した。反応を繰り返して十分な生成物を得た。生成物を凍結乾燥によって単離し、まとめて、2.6 mgの化合物14を白色固体として得た。HPLC TR10.06 min (85%); LC/MS, ESI+/- m/z 1195.68 [M+H]+, 1193.67 [M-H]-。陽イオンモードでイミンフラグメントは観察されない。
【0122】
実施例15. 化合物15の合成
【化27】

【0123】
無水DMF中のカスポファンギンアセテート(10 mg; 0.008 mmol)をFMOC-スクシンイミジルカーボネート(2.7 mg; 0.008 mmol)で処理した。出発材料が消費されるまで溶液を4℃で攪拌した後、MPEG3-スクシンイミジルカーボネート(3 mg; 0.010 mmol)で処理し、室温で一晩攪拌しておいた。次いで反応物をDMF中の5%ピペリジンで処理した。HPLC分析で、FMOC保護中間体が残留しないことが示された。混合物を水およびアセトニトリルで希釈し、TFAでの滴定によって酸性化して、透明な溶液を取得し、該溶液を、水(0.1% TFA)/CH3CN (0.1% TFA)で溶出する分取RP HPLCによって精製した。生成物を凍結乾燥によって単離し、3.0 mgの化合物15を白色固体として得た。HPLC TR 10.12 min (85%); LC/MS, ESI+ m/z 1283.73 [M+H]+。陽イオンモードでイミンフラグメントは観察されない。
【0124】
実施例16. 化合物16の合成
【化28】

【0125】
ニューモキャンディンヘミアミナール-(4-メトキシ)フェニルチオエーテル: アセトニトリルに懸濁されたニューモキャンディンB0 (103 mg; 0.097 mmol)を-15℃に冷却し、4-メトキシチオフェノール(13μL; 0.107 mmol)で処理し、次いTFA (0.28 mL)で処理した。得られた混合物を-15〜-20℃で一晩攪拌した後、水(5 mL)をゆっくり加えてクエンチした。得られた懸濁液を0℃で30分攪拌した後、分離した。沈殿物を、超音波処理および撹拌しながら、25%アセトニトリル/水(5 mL)に2回再懸濁した後、分離した。次いで固体を減圧下で一晩乾燥し、94 mgのニューモキャンディンヘミアミナール-(4-メトキシ)フェニルチオエーテルを白色固体として得た。HPLC TR 12.75 min (78%)。LC/MS, ESI+/- m/z 1187.60 [M+H]+, 1185.58 [M-H]-
【0126】
ニューモキャンディンヘミアミナール-(4-メトキシ)フェニルチオエーテルアミン: 無水条件およびアルゴン雰囲気下で、ニューモキャンディンヘミアミナール-(4-メトキシ)フェニルチオエーテル(93 mg; <0.08 mmol)をTHF (4 mL)に懸濁し、フェニルボロン酸(13 mg; 0.11 mmol)で処理し、次いで活性化3Åモレキュラシーブで処理した。混合物を室温で一晩攪拌して透明な溶液を生じさせ、ポジティブアルゴンフロー下で該溶液をおよそ2 mLに濃縮した。溶液を追加のモレキュラシーブで処理し、30分攪拌した後、乾燥フラスコに移した。モレキュラシーブを乾燥THFですすぎ、それをまた移して、総容量4 mLを得た。反応物を0.5 mLの乾燥1,4-ジオキサンでさらに希釈した後、-10℃に冷却し、BH3-ジメチルスルフィド(THF中2.0M; 250μL; 0.50 mmol)で処理した。3時間後、溶液はゲルを形成し、それを1,4-ジオキサンでさらに希釈し、追加のBH3-ジメチルスルフィド(80μL; 0.16 mmol)で処理した。反応物を-10℃で2時間以上攪拌した後、1.0M HCl (0.20 mL)をゆっくり加えてクエンチした。得られた溶液を約2 mLに濃縮した後、水で約10 mLに希釈し、水(0.1% TFA)/CH3CN (0.1% TFA)で溶出する分取RP HPLCによって精製した。生成物を凍結乾燥によって単離し、36 mgの標題化合物を白色固体および推定TFA塩として得た。HPLC TR 11.69 min (>99%)。LC/MS, ESI+/- m/z 1173.62 [M+H]+, 1207.58 [M+Cl]-
【0127】
化合物16: ニューモキャンディンヘミアミナール-(4-メトキシ)フェニルチオエーテルアミン(10 mg; 0.008 mmol)、MPEG4NH2 (0.1 mL; およそ0.5 mmol)、およびDIEA (20μL; 0.12 mmol)を混合し、60℃で一晩加熱した。得られた溶液をメタノール(0.5 mL)および水(1 mL)で希釈し、酢酸で酸性化した後、水(0.1% TFA)/CH3CN (0.1% TFA)で溶出する分取RP HPLCによって精製した。生成物を凍結乾燥によって単離し、6.4 mgの化合物16を白色固体として得た。HPLC TR 10.72 min (94%)。LC/MS, ESI+/- m/z 1240.73 [M+H]+, 1238.72 [M-H]-
【0128】
実施例17. 化合物17の合成
【化29】

【0129】
ニューモキャンディンヘミアミナール-(4-メトキシ)フェニルチオエーテルアミン(20 mg; 0.016 mmol)を2-メトキシエチルアミン(0.1 mL)に溶解した。溶液を40℃で一晩加熱し、次いで60℃で4時間加熱した後、メタノール(0.5 mL)および水(2 mL)で希釈し、TFAで酸性化した。酸性化された混合物を水およびメタノールでさらに希釈した後、水(0.1% TFA)/CH3CN (0.1% TFA)で溶出する分取RP HPLCによって精製した。生成物を凍結乾燥によって単離し、12 mgの化合物17を白色固体として得た。HPLC TR 9.91 min (97%)。LC/MS, ESI+/- m/z 1108.65 [M+H]+, 1106.64 [M-H]-
【0130】
実施例18. 化合物18の合成
【化30】

【0131】
2-メトキシエタノール(およそ200 mg)に溶解されたアニデュラファンギン(4 mg; 0.003 mmol)をHCl (1,4-ジオキサン中4M; 0.5μL; 0.002 mmol)で処理した。得られた溶液を室温で30分攪拌した後、およそ120容量の水で希釈した。沈殿した固体を分離し、水およびアセトニトリルで溶出する分取RP HPLCによって精製した。反応を繰り返して十分な生成物を生じさせ、該生成物を凍結乾燥によって単離し、まとめて、4.3 mgの化合物18を白色固体として得た。HPLC TR 12.34 min (98.9%)。LC/MS, ESI+ m/z 1220.5 [M+Na]+, 1198.5 [M+H]+
【0132】
実施例19. 化合物19の合成
【化31】

【0133】
MPEG2OH (およそ200 mg)に溶解されたアニデュラファンギン(5.5 mg; 0.0048 mmol)をHCl (1,4-ジオキサン中4M; 1.0μL; 0.004 mmol)で処理した。得られた溶液を室温で1時間攪拌した後、およそ120容量の水で希釈した。沈殿した固体を分離し、水およびアセトニトリルで溶出する分取RP HPLCによって精製した。生成物を凍結乾燥によって単離し、2.2 mgの化合物19を白色固体として得た。HPLC TR 12.34 min (>99%)。LC/MS, ESI+ m/z 1264.5 [M+Na]+
【0134】
実施例20. 化合物20の合成
【化32】

【0135】
MPEG3OH (およそ200 mg)に溶解されたアニデュラファンギン(6.3 mg; 0.0055 mmol)をHCl (1,4-ジオキサン中4M; 1.0μL; 0.004 mmol)で処理した。得られた溶液を室温で1時間攪拌した後、およそ120容量の水で希釈した。沈殿した固体を分離し、水およびアセトニトリルで溶出する分取RP HPLCによって精製した。生成物を凍結乾燥によって単離し、4.0 mgの化合物20を白色固体として得た。HPLC TR 12.36 min (>98%)。LC/MS, ESI+ m/z 1308.5 [M+Na]+, 1286.6 [M+H]+
【0136】
実施例21. 化合物21の合成
【化33】

【0137】
ジエチレングリコール(0.2 mL)に溶解されたアニデュラファンギン(20 mg; 0.018 mmol)をHCl (1,4-ジオキサン中4M; 4.0μL; 0.016 mmol)で処理した。得られた溶液を室温で2日攪拌し、次いで-20℃で3日攪拌した。溶液を水およびメタノールで希釈し、水およびアセトニトリルで溶出する分取RP HPLCによって精製した。生成物を凍結乾燥によって単離し、6.6 mgの化合物21を白色固体として得た。HPLC TR 11.83 min (>99%)。LC/MS, ESI+/- m/z 1228.6 [M+H]+, 1210.55 [M-OH]+, 1226.56 [M-H]-
【0138】
実施例22. エキノキャンディンクラスの化合物のin vivo活性
本研究の目的は、マウスカンジダ症感染モデルでの試験化合物の効力を評価することであった。
【0139】
種菌調製
C. albicans R303株を凍結貯蔵からSabauroudデキストロース寒天(SDA)プレート上に移し、35℃でおよそ24時間培養した。プレートからリン酸緩衝食塩水(PBS)にコロニーを移すことによって種菌を調製し、分光光度計を活用して濃度を106 CFU/mLに調節した。ストックを1:9希釈して種菌を調製した。各実験前に、希釈プレートカウント法を使用して濃度を検証した。
【0140】
本研究で使用される雌性CD-1マウスをCharles River Laboratories, Portage, MIから入手した。動物は研究の開始時点で約7週齢であり、体重約16〜26 gであった。
【0141】
1アプローチでは、接種の4および1日前の時点でシクロホスファミド(10 mL/kg中の150 mg/kg)のIP注射でマウスを好中球減少性にした。各動物の尾静脈に0.1 mLの種菌を注射することによって適切な濃度で接種した。感染後2時間の時点で試験化合物をIP投与した。
【0142】
感染後2時間の時点でコントロール群1 (無処置)の4マウスから腎臓を回収し、感染後24時間の時点で研究の残りのマウスから腎臓を回収した。腎臓を各マウスから無菌的に取り出し、滅菌試験管中にまとめた。一定分量(2 mL)の滅菌PBSを各試験管に加え、組織ホモジナイザー(Polytron 3100)で内容物をホモジナイズした。組織ホモジネートの段階希釈を行い、0.1 mLの一定分量をSDAプレート上に広げ、プレートを35℃で一晩インキュベートした。コロニーカウントからCFU/腎臓を測定した。Tukey-Kramer Multiple Comparisons Testとともに一元配置ANOVAを使用してデータを解析した(GraphPad InStat version 3.06, GraphPad Software, San Diego, CA)。
【0143】
1回目の実験
表2に示されるデータは、感染2時間後に試験化合物で処置されたマウスの腎臓および感染後24時間の時点で評価された腎臓中のC. albicansの平均密度を示す。2.1 x 105 CFU/mLの生物での感染後2時間の時点で処置を施した。データは4マウスの平均である。
【表2】

【0144】
1回目の実験の結果
感染後2時間の時点での感染コントロールマウス中のC. albicansの密度は3.01 logであり、感染24時間後までに4.77 logに増加した(表2)。2つの試験化合物処置はまた、酵母密度を有意に減少させた。化合物1および化合物5は、各5 mg/kg用量で、密度を、それぞれ2.87および1.76 log減少させた。
【0145】
2回目の実験
表3に示されるデータは、感染2時間後に試験化合物で処置されたマウスの腎臓および感染後24時間の時点で評価された腎臓中のC. albicansの平均密度を示す。6.4 x 105 CFU/mLの生物での感染後2時間の時点で処置を施した。データは4マウスの平均である。
【表3】

【0146】
2回目の実験の結果
感染後2時間の時点での感染コントロールマウス中のC. albicansの密度は3.27 logであり、感染24時間後までに5.20 logに増加した(表3)。化合物12、化合物14、および化合物15を除き、すべての試験化合物は感染マウスの腎臓の酵母密度を、感染コントロールと比較して有意に減少させた。
【0147】
3回目の実験
表4に示されるデータは、感染2時間後に試験化合物で処置されたマウスの腎臓および感染後24時間の時点で評価された腎臓中のC. albicansの平均密度を示す。3.8 x 105 CFU/mLの生物での感染後2時間の時点で処置を施した。データは4マウスの平均である。
【表4】

【0148】
3回目の実験の結果
感染後2時間の時点での感染コントロールマウス中のC. albicansの密度は2.92 logであり、感染24時間後までに4.87 logに増加した(表4)。すべての用量レベルの化合物21は、処置マウスの腎臓のC. albicansの密度を、感染コントロールと比較して有意に減少させた。
【0149】
4回目の実験
表5に示されるデータは、感染2時間後に試験化合物で処置されたマウスの腎臓および感染後24時間の時点で評価された腎臓中のC. albicansの平均密度を示す。3.8 x 105 CFU/mLの生物での感染後2時間の時点で処置を施した。データは4マウスの平均である。
【0150】
表5
【表5】

【0151】
4回目の実験の結果
感染後2時間の時点での感染コントロールマウス中のC. albicansの密度は2.89 logであり、感染24時間後までに5.20 logに増加した(表5)。化合物17は4.5および1.5 mg/kgで密度を有意に減少させたが、0.5 mg/kgでは減少させなかった。化合物16は本アッセイにおいてすべての用量レベルで無効であった。
【0152】
他の実施形態
本明細書中に記載のすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の各刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参照により組み入れられると記載されているのと同程度に参照によりここに組み入れられる。
【0153】
本発明をその特定の実施形態に関連して記載してきたが、さらなる改変が可能であることが理解され、かつ本出願は、本発明の原理に概して従いかつ本発明が関係する技術分野内の公知の実施または慣行に入る、本開示内容からの逸脱を含み、かつ前記の、および特許請求の範囲に記載の本質的特徴に適用することができる、本発明の任意のバリエーション、使用、または改変を含むものとする。
【0154】
他の実施形態は特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を含むエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項2】
以下の式(I):
【化1】

[式中、
R1は、NHCH2CH2NHRA1、NHCH2CH2NRA1RA2、NHCH2CH2NHC(O)RA1、CH2NHRA1、CH2NRA1RA2、CH2NHC(O)RA1、またはORA1であり;
R2は、H、CH3、CH2CH2NHRB1、CH2CH2NRB1RB2、CH2CH2NHC(O)RB1、CH2C(O)NHRB1、CH2CH2CH(ORB1)NHRB2、CH2CH2CH(ORB1)NRB2RB3、またはCH2CH2CH(ORB1)NHC(O)RB2であり;
R3はHまたはCH3であり;
R4は、H、OSO3H、CH2NHRC1、CH2NRC1RC2、CH2NHC(O)RC1であり;
R5は、PEG; C(O)-PEG; PEG-アルキル; C(O)-PEG-アルキル; PEG-アリール; C(O)-PEG-アリール; PEG-アルカリール; C(O)-PEG-アルカリール; アルキル-PEG; C(O)-アルキル-PEG; アリール-PEG; C(O)-アリール-PEG; アルカリール-PEG; C(O)-アルカリール-PEG;
【化2】

から選択される親油基であり;
RA1、RA2、RB1、RB2、RB3、RC1、およびRC2のそれぞれは、独立して、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、C1-10ヘテロアルキル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリールから選択される]
および製薬的に許容されるその塩によってさらに表され、ただし該エキノキャンディンクラスの化合物は少なくとも1個のPEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を含むことを条件とする、請求項1に記載のエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項3】
以下の式(II):
【化3】

[式中、
R1Aは、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、C1-10ヘテロアルキル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリールであり;
R2Aは、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、C1-10ヘテロアルキル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリールであり;
R4は、H、OSO3H、CH2NHRC1、CH2NRC1RC2、CH2NHC(O)RC1であり; かつ
RC1およびRC2のそれぞれは、独立して、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、C1-10ヘテロアルキル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリールから選択される]
および製薬的に許容されるその塩によってさらに表され、ただし該エキノキャンディンクラスの化合物は少なくとも1個のPEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリールを含むことを条件とする、請求項1に記載のエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項4】
R1A、R2A、RC1およびRC2の1つが以下の基:
(i) -(CH2)p-O-(CH2CH2O)m-Me、および
(ii) -(CH2CH2O)m-Me、および
(iii) -C(O)(CH2)n-(OCH2CH2)m-OMe
[式中、nは0〜11の整数であり、pは3〜12の整数であり、かつmは1〜10の整数である]
から選択される、請求項3に記載のエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項5】
以下の式(III):
【化4】

[式中、
R1は、NHCH2CH2NHRA1、NHCH2CH2NRA1RA2、NHCH2CH2NHC(O)RA1、CH2NHRA1、CH2NRA1RA2、CH2NHC(O)RA1、またはORA1であり;
R4は、H、OSO3H、CH2NHRC1、CH2NRC1RC2、CH2NHC(O)RC1であり; かつ
RA1、RA2、RC1、およびRC2のそれぞれは、独立して、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、C1-10ヘテロアルキル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリールから選択される]
および製薬的に許容されるその塩によってさらに表され、ただし該エキノキャンディンクラスの化合物は少なくとも1個のPEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を含むことを条件とする、請求項1に記載のエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項6】
R1が以下の基:
(i) -O-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、
(ii) -NH-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、
(iii) -O-(CH2)q-O-(CH2CH2O)m-Me、
(iv) -NH-(CH2)q-O-(CH2CH2O)m-Me、
(v) -O-(CH2)p-NH-(CO)-(CH2)n-O-(CH2CH2O)m-Me、
(vi) -NH-(CH2)p-NH-(CO)-(CH2)n-O-(CH2CH2O)m-Me、
(vii) -NHCH[(CH2O(CH2CH2O)s-Me)(CH2O(CH2CH2O)t-Me)]、および
(viii) -O-CH[(CH2O(CH2CH2O)s-Me)(CH2O(CH2CH2O)t-Me)]
[式中、nは0〜11の整数であり、qは3〜12の整数であり、pは2〜8の整数であり、sは0〜5の整数であり、tは0〜5の整数であり、かつmは1〜10の整数である]
から選択される、請求項5に記載のエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項7】
以下の式(IV):
【化5】

[式中、
R1は、NHCH2CH2NHRA1、NHCH2CH2NRA1RA2、NHCH2CH2NHC(O)RA1、CH2NHRA1、CH2NRA1RA2、CH2NHC(O)RA1、またはORA1であり;
R2は、H、CH3、CH2CH2NHRB1、CH2CH2NRB1RB2、CH2CH2NHC(O)RB1、CH2C(O)NHRB1、CH2CH2CH(ORB1)NHRB2、CH2CH2CH(ORB1)NRB2RB3、またはCH2CH2CH(ORB1)NHC(O)RB2であり;
R4は、H、OSO3H、CH2NHRC1、CH2NRC1RC2、CH2NHC(O)RC1であり; かつ
RA1、RA2、RB1、RB2、RB3、RC1、およびRC2のそれぞれは、独立して、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、C1-10ヘテロアルキル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリールから選択される]
および製薬的に許容されるその塩によってさらに表され、ただし該エキノキャンディンクラスの化合物は少なくとも1個のPEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を含むことを条件とする、請求項1に記載のエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項8】
R1が以下の基:
(i) -O-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、
(ii) -NH-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、
(iii) -O-(CH2)q-O-(CH2CH2O)m-Me、
(iv) -NH-(CH2)q-O-(CH2CH2O)m-Me、
(v) -O-(CH2)p-NH-(CO)-(CH2)n-O-(CH2CH2O)m-Me、
(vi) -NH-(CH2)p-NH-(CO)-(CH2)n-O-(CH2CH2O)m-Me、
(vii) -NHCH[(CH2O(CH2CH2O)s-Me)(CH2O(CH2CH2O)t-Me)]、および
(viii) -O-CH[(CH2O(CH2CH2O)s-Me)(CH2O(CH2CH2O)t-Me)]
[式中、nは0〜11の整数であり、qは3〜12の整数であり、pは2〜8の整数であり、sは0〜5の整数であり、tは0〜5の整数であり、かつmは1〜10の整数である]
から選択される、請求項7に記載のエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項9】
以下の式(V):
【化6】

[式中、
R1は、NHCH2CH2NHRA1、NHCH2CH2NRA1RA2、NHCH2CH2NHC(O)RA1、CH2NHRA1、CH2NRA1RA2、CH2NHC(O)RA1、またはORA1であり;
R2は、H、CH3、CH2CH2NHRB1、CH2CH2NRB1RB2、CH2CH2NHC(O)RB1、CH2C(O)NHRB1、CH2CH2CH(ORB1)NHRB2、CH2CH2CH(ORB1)NRB2RB3、またはCH2CH2CH(ORB1)NHC(O)RB2であり; かつ
RA1、RA2、RB1、RB2、およびRB3のそれぞれは、独立して、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルキルヘテロシクリル、C1-10ヘテロアルキル、PEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、およびPEG-アルカリールから選択される]
および製薬的に許容されるその塩によってさらに表され、ただし該エキノキャンディンクラスの化合物は少なくとも1個のPEG、アルキル-PEG、アリール-PEG、アルカリール-PEG、PEG-アルキル、PEG-アリール、またはPEG-アルカリール基を含むことを条件とする、請求項1に記載のエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項10】
R1が以下の基:
(i) -O-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、
(ii) -NH-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、
(iii) -O-(CH2)q-O-(CH2CH2O)m-Me、
(iv) -NH-(CH2)q-O-(CH2CH2O)m-Me、
(v) -O-(CH2)p-NH-(CO)-(CH2)n-O-(CH2CH2O)m-Me、
(vi) -NH-(CH2)p-NH-(CO)-(CH2)n-O-(CH2CH2O)m-Me、
(vii) -NHCH[(CH2O(CH2CH2O)s-Me)(CH2O(CH2CH2O)t-Me)]、および
(viii) -O-CH[(CH2O(CH2CH2O)s-Me)(CH2O(CH2CH2O)t-Me)]
[式中、nは0〜11の整数であり、qは3〜12の整数であり、pは2〜8の整数であり、sは0〜5の整数であり、tは0〜5の整数であり、かつmは1〜10の整数である]
から選択される、請求項9に記載のエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項11】
R4が以下の基:
(i) -CH2NH-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、
(ii) -CH2NH-(CH2)q-O-(CH2CH2O)m-Me、
(iii) -CH2NH-(CH2)p-NH-(CO)-(CH2)n-O-(CH2CH2O)m-Me、および
(iv) -CH2NHCH[(CH2O(CH2CH2O)s-Me)(CH2O(CH2CH2O)t-Me)]
[式中、nは0〜11の整数であり、qは3〜12の整数であり、pは2〜8の整数であり、sは0〜5の整数であり、tは0〜5の整数であり、かつmは1〜10の整数である]
から選択される、請求項2、3、5または7に記載のエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項12】
R5が以下の基:
(i) -(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、
(ii) -C(O)-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、
(iii) -C(O)CH2-O-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me、および
(iv) -C(O)-O-(CH2CH2O)m-(CH2)n-Me
[式中、nは0〜11の整数であり、かつmは1〜10の整数である]
から選択される、請求項2に記載のエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項13】
増大した経口バイオアベイラビリティを有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項14】
増大した経皮バイオアベイラビリティを有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項15】
増大した治療係数を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のエキノキャンディンクラスの化合物。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のエキノキャンディンクラスの化合物またはその塩、および製薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項17】
実質的に単分散であるエキノキャンディンクラスの化合物の混合物を含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
単位投与剤形で経口投与用に製剤化された、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
対象の菌類感染を治療するための方法であって、感染を治療するために十分な量の請求項1〜12のいずれか1項に記載のエキノキャンディンクラスの化合物またはその塩を対象に投与することを含む方法。
【請求項20】
感染が、頭部白癬、体部白癬、足白癬、爪真菌症、爪周囲真菌症、でん風、口腔カンジダ症、膣カンジダ症、気道カンジダ症、胆道カンジダ症、食道カンジダ症、尿路カンジダ症、全身性カンジダ症、粘膜皮膚カンジダ症、アスペルギルス症、ムーコル症、パラコクシジオイデス症、北アメリカブラストミセス症、ヒストプラスマ症、コクシジウム症、またはスポロトリクム症から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
菌類感染が、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・パラプシローシス(C. parapsilosis)、カンジダ・グラブラータ(C. glabrata)、カンジダ・ギリエルモンジイ(C. guilliermondii)、カンジダ・クルセイ(C. krusei)、カンジダ・トロピカリス(C. tropicalis)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フラブス(A. flavus)、またはアスペルギルス・テレウス(A. terreus)の感染である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
エキノキャンディンクラスの化合物を経口投与する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
菌類の増殖を予防、安定化、もしくは阻害するか、または菌類を死滅させる方法であって、菌類または菌類増殖を被りやすい部位に請求項1〜12のいずれか1項に記載のエキノキャンディンクラスの化合物またはその塩を接触させることを含む方法。

【公表番号】特表2013−503179(P2013−503179A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526983(P2012−526983)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/046800
【国際公開番号】WO2011/025875
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(512047162)シーチェイド ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】