説明

エクチナサイジンの製造方法

【課題】エクチナサイジン743の効率的な製造方法に有用な製造用中間体、及び該製造用中間体を用いたエクチナサイジンの製造方法を提供する。
【解決手段】 下記の一般式(1)(R1は水素原子又はフェノール性水酸基の保護基を示し、R101は水素原子又はC1-6アルキル基を示し、R102及びR103はC1-6アルキル基を示し、R104は水素原子、C1-6アルキル基、又はC1-6アルキルオキシカルボニル基を示す)で表される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗腫瘍剤の有効成分として有用なエクチナサイジン743の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エクチナサイジン(Ecteinascidin)743はカリブ海原産のホヤの抽出物から単離された海洋産の抗腫瘍物質である。エクチナサイジン743は、現在抗腫瘍剤として広く使用されているタキソールやカンプトテシンに比べて非常に強い抗腫瘍活性を有しており、有効な抗腫瘍剤が提供されてない軟部肉腫や既存の抗腫瘍剤での治療後の再発がんに対して有効性を示すことから、抗腫瘍剤としての実用化が進められており、欧州においてはすでに臨床に供されている。しかしながら、ホヤから抽出可能なエクチナサイジン743は極微量であり、ホヤの大量養殖によっても十分な量のエクチナサイジン743を確保することは困難であることから、臨床応用に際しては化学合成により大量生産することが求められている。
【0003】
エクチナサイジン743は極めて複雑な化学構造を有していることから化学合成に際しては環の構築や立体制御などに多くの困難を伴う。Coreyらによる最初の全合成(J. Am. Chem. Soc., 118, pp.9202-9203, 1996)が報告されて以来、いくつかの全合成方法及び各種の製造用中間体が報告されているが、いずれも工程が極めて多く、工業的な応用は難しいという問題がある(国際公開WO 03/64432; J. Am. Chem. Soc., 124, pp.6552-6554, 2002; 特開2004-269434号公報など)。また、発酵により容易に入手可能なシアノサフラシンB(cyanosafracin B)から半合成する方法が提案され実用化されているが(Org. Lett., 2, pp.2545-2548, 2000)、この方法も21段階の工程を要することから工業的に効率的な方法とは言いがたい。従って、エクチナサイジン743のさらに効率的な合成方法の提供が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO 03/64432
【特許文献2】特開2004-269434号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc., 124, pp.6552-6554, 2002
【非特許文献2】Org. Lett., 2, pp.2545-2548, 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題はエクチナサイジン743の効率的な製造方法に有用な製造用中間体、及び該製造用中間体を用いたエクチナサイジンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行い、L-グルタミン酸を出発原料として用い、Pictet-Spengler反応を用いたジアザビシクロ[3.3.1]ノナン骨格の構築、エナミド中間体化合物に対するHeck反応を用いた立体選択的なA環ユニットの導入、及び二重結合の酸化的開裂によるアルデヒドの生成と該アルデヒドを用いたB環の構築を組み合わせることにより、L-グルタミン酸から23工程でCoreyらにより報告された前駆体化合物を合成できることを見出した。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明により、エクチナサイジン743の効率的な製造に有用な下記の一般式(1)ないし(7):
【化1】

(式中、R1は水素原子又はフェノール性水酸基の保護基を示し、R2は水素原子、C1-6アルキル基、又はC1-6アルキルオキシカルボニル基を示し、R3は水素原子又はフェノール性水酸基の保護基を示し、R101は水素原子又はC1-6アルキル基を示し、R102及びR103はC1-6アルキル基を示し、R104は水素原子、C1-6アルキル基、又はC1-6アルキルオキシカルボニル基を示す)で表される化合物が提供される。
【0009】
また、本発明により、エクチナサイジン743の効率的な製造に有用な下記の一般式(41):
【化2】

(式中、R1は水素原子又はフェノール性水酸基の保護基を示し、R21は水素原子又はアミノ基の保護基を示し、R22は水素原子又はチオール基の保護基を示し、R101は水素原子又はC1-6アルキル基を示し、R102及びR103はC1-6アルキル基を示し、R104はC1-6アルキル基を示す)で表される化合物が提供される。
【0010】
さらに、上記の一般式(1)ないし(7)で表される化合物の製造に有用な下記の一般式(11)ないし(17):
【化3】

(式中、R1は水素原子又はフェノール性水酸基の保護基を示し、R2は水素原子、C1-6アルキル基、又はC1-6アルキルオキシカルボニル基を示し、R4はC1-6アルキル基を示し、R5はC1-6アルキルカルボニル基を示し、R6及びR7はそれぞれ独立にフェノール性水酸基の保護基を示し、R101は水素原子又はC1-6アルキル基を示し、R102はC1-6アルキル基を示す)で表される化合物が提供される。
【0011】
上記の化合物に加えて、本発明により、一般式(17)で表される化合物の製造に有用な下記の一般式(31)ないし(35):
【化4】

(式中、R11はフェノール性水酸基の保護基を示し、R12はC1-6アルキル基を示し、R103はC1-6アルキル基を示し、R111はC1-6アルキル基を示す)で表される化合物も本発明により提供される。
上記の各化合物において、R101、R102、R103、R104、及びR111としてはメチル基が好ましい。
【0012】
別の観点からは、本発明により、エクチナサイジン743の製造用中間体として用いるための上記の一般式(1)ないし(7)、一般式(41)、一般式(11)ないし(17)、及び一般式(31)ないし(35)で表される化合物が提供される。
【0013】
さらに別の観点からは、エクチナサイジン743の製造方法の一部として利用可能な以下の方法が提供される。
上記の一般式(16)で表される化合物を製造する方法であって、上記の一般式(17)で表される化合物を水素化触媒の存在下で接触水素化する工程を含む方法;
上記の一般式(14)で表される化合物を製造する方法であって、上記の一般式(15)で表される化合物を酸で処理する工程を含む方法;
上記の一般式(7)で表される化合物を製造する方法であって、上記の一般式(31)で表される化合物と上記の一般式(11)で表される化合物とをパラジウム錯体の存在下で反応させる工程を含む方法;
一般式(5)で表される化合物を製造する方法であって、一般式(6)で表される化合物の1,2-ジオールを酸化的に開裂する工程を含む方法;及び
一般式(4)で表される化合物の製造方法であって、一般式(5)で表される化合物を酸で処理する工程を含む方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明により提供される製造用中間体を用いることにより、安価かつ大量に入手可能なL-グルタミン酸から23工程でCoreyらにより報告された中間体化合物を製造することができ、Coreyらの中間体化合物から5段階でエクチナサイジン743を製造することができることから、本発明の製造用中間体はエクチナサイジン743を工業的スケールで効率的に製造するために極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において記載された立体表記は特に言及しない場合には絶対配置を示す。
R1、R3、R6、R7、及びR11が示すフェノール性水酸基の保護基の種類は特に限定されず、例えば、メチル基(Me)やエチル基などのアルキル基、アリル基、ベンジル基(Bn)などのアラルキル基、メトキシメチル基(MOM)などのアルコキシアルキル基、アセチル基(Ac)などのアルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、トリフルオロメタンスルホニル基(Tf)などのスルホニル基、又はメトキシカルボニル基などのアルキルオキシカルボニル基などを用いることができる。これらのうち、R1が示す保護基としては、例えば、トリフルオロメタンスルホニル基又はメトキシメチル基などが好ましく、R3、R6、R7、及びR11が示す保護基としては、例えばベンジル基などが好ましいが、これらに限定されることはない。
【0016】
R2及びR104が示すC1-6アルキル基としては、メチル基又はエチル基などを挙げることができ、R2及びR104が示すC1-6アルキルオキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。本明細書において「C1-6アルキル」とは炭素数1〜6個の直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状、又はそれらの組み合わせからなるアルキル基を意味する。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基などが挙げられるが、これらに限定されることはない。R2が水素原子又はC1-6アルキルオキシカルボニル基であることが好ましい。R104がC1-6アルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
【0017】
R101はC1-6アルキル基であることが好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。R102及びR103が示すC1-6アルキル基としてはメチル基が好ましい。R111が示すアルキル基としてはメチル基が好ましい。
【0018】
R21が示すアミノ基の保護基としては、例えば、メチル基などのアルキル基、メトキシカルボニル基やtert-ブトキシカルボニル基などのアルキルオキシカルボニル基、アセチル基などのアルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、アリルオキシカルボニル基(Alloc)、又はスルホニル基などを用いることができるが、これらに限定されることはない。R22が示すチオール基の保護基としては、例えば、メチル基などのアルキル基、アセチル基などのアルカノイル基などを用いることができるが、これらに限定されることはない。
【0019】
保護基については、保護すべき官能基の種類、反応や脱保護の条件などに応じて適宜転宅できることは言うまでもない。保護基の導入及び脱保護に関しては、例えば、Greenら、Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, 1999, John Wiley & Sons, Inc.などの成書を参照することができる。
【0020】
以下、本発明の製造用中間体を用いてエクチナサイジン743を製造する方法に関して、R101、R102、R103、及びR104、及びR111がそれぞれメチル基である各化合物を経由する方法について具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の説明において言及する特定の態様や好ましい態様に限定されることはない。また、下記の合成スキームにおいて用いられている特定の保護基を他の適宜の保護基で置き換えることにより同様の反応を行うことができることは当業者に容易に理解されることであり、従って、本発明の化合物は下記の合成スキームに記載された方法において使用された特定の保護基を有する化合物に限定されるものではない。また、下記の説明において言及する酸、塩基、溶媒、縮合剤、酸化剤、還元剤、及び触媒などの各種の試薬類、並びに反応温度及び反応時間などの反応条件は同様の反応を行う目的で適宜選択できることも当業者に自明であり、下記に説明する特定の試薬や条件に限定されるわけではない。
【0021】
本明細書の実施例には、下記に示したスキームに従って、さらに各工程について具体的な製造方法が開示されている。従って、当業者は下記の一般的な説明及び実施例の具体的な説明を参照することによって本発明の製造用中間体を容易に製造することができ、かつエクチナサイジン743の効率的な製造に利用することができる。スキーム中、Meはメチル基、OMEはメトキシ基を示す。
【0022】
<一般式(32)で表される化合物の製造>
A環ユニットとして利用する一般式(32)で表される化合物においてR11がベンジル基であり、R103がメチル基である化合物は、文献記載の化合物(36)(特開2004-269434号公報)から下記のスキームに記載した方法により製造することができる(スキーム中、MOMはメトキシメチル基、Bnはベンジル基、Meはメチル基を示す)。
【0023】
【化5】

【0024】
化合物(38)(J. Am. Chem. Soc., 124, 6552, 2002)を原料として用い、メチレンジオキシ基とフェノール性水酸基にはさまれた炭素原子をテトラヒドロフラン(THF)などの溶媒中でn-ブチルリチウムなどのリチウム化合物を用いて0℃ないし室温程度の温度でリチオ化した後に、ヨウ化メチルなどのメチル化剤を-78℃から室温程度の温度で反応させてメチル基を導入することにより化合物(37b)(Chem. Commun., 2896, 2003)を製造し、続いて化合物(37b)のメトキシメチル(MOM)基をメタノールなどの溶媒中で濃塩酸などの酸により室温から溶媒還流温度程度の温度で処理して脱保護を行うことにより化合物(37a)(J. Chem. Soc. Perkin Trans., 1, 53, 1997)に変換し、さらにメタノールなどの溶媒中でジアセトキシヨードベンゼンなどの酸化剤を用いて0℃程度の温度で酸化することにより化合物(36)を製造することができる。
【0025】
化合物(36)のα,β-不飽和ケトンのβ位に共役付加反応によりシアノ基を導入した後に、メタノールを脱離させて芳香環を形成させることにより化合物(35)を製造することができる。シアノ基の導入は例えばジメチルホルムアミド(DMF)などの有機溶媒と水との混合物中で0℃から室温程度の温度でシアン化ナトリウムなどのシアン化合物を作用させることにより行うことができる。化合物(35a)のフェノール性水酸基をベンジルブロミドなどのベンジル化剤と反応させてベンジル基で保護した後、塩基性条件下でシアノ基に対して過酸化水素を付加し、その後に還元処理することによりアミド化合物(34)を製造することができる。過酸化水素との反応は、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)などを溶媒として用いて室温程度の温度で過酸化水素水と炭酸カリウムとの組み合わせなどを用いて行うことができる。
【0026】
得られたアミド化合物(34)を酸化剤として例えばジアセトキシヨードベンゼンなどを用いてホフマン転位反応に付して化合物(33)を得た後、化合物(33)のメチルカルバメート基を加水分解することにより化合物(32)を得ることができる。ホフマン転位はメタノールなどの溶媒中で0℃程度の温度下に酸化剤を水酸化カリウムとともに用いて処理することにより行うことができる。メチルカルバメートの加水分解は、例えばエタノールと水との混合物中で水酸化リチウムなどの無機塩基を用いて溶媒の還流温度程度で行うことができる。
【0027】
<一般式(11)で表される化合物の製造>
C、D、及びE環のユニットとして利用する一般式(11)で表される化合物においてR1がメトキシメチル基であり、R2がメトキシカルボニル基であり、R101がメチル基であり、R102がメチル基である化合物は、公知の化合物(21b)(Tetrahedron, 34, 4373, 1993)から下記の工程に従って製造することができる。
【0028】
【化6】

【0029】
L-グルタミン酸(23a)からメチルエステル(23b)をメタノール中で塩化水素などを用いて製造した後、得られたメチルエステルをN-ベンジルオキシカルボニル(Cbz)-グリシンと縮合させることにより化合物(22)を製造することができる。この縮合反応は、例えばトリエチルアミンとジメチルアミノピリジンの存在下で1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(DEC hydrochloride; WSCD)などの汎用の縮合剤を用いてジクロルメタンなどの溶媒中で0℃〜室温程度の温度で行うことができる。Cbz基をパラジウム炭素触媒などの水素化触媒を用いた接触水素化などの手法により除去した後に、得られた脱保護化合物を加熱することによりジケトピペラジン化合物(21a)を得ることができる。加熱は例えば溶媒中で溶媒還流温度程度で行えばよい。得られた化合物(21a)を無水酢酸などのアセチル化剤で処理することにより化合物(21b)を製造することができる。化合物(21b)ではカルボニルのα位がイミドとして活性化されていることから、この位置にアルデヒド化合物(51)を縮合させることができる。
【0030】
化合物(21)とアルデヒド化合物(51)との縮合は、例えば1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(DBU)などの有機強塩基の存在下に-78℃〜0℃程度の温度でテトラヒドロフランなどの溶媒中でtert-ブトキシカリウム/tert-ブトキシアルコールを作用させることにより行うことができる。得られた縮合化合物(17a)からtert-ブトキシカルボニル基(Boc)で保護された化合物(17b)をBoc2Oなど通常のBoc化試薬で処理することにより得ることができる。その後、化合物(17b)を酢酸エチルなどの溶媒中でパラジウム炭素触媒などの水素化触媒を用いて室温程度の温度で接触水素化を行うことにより二重結合の還元及びベンジル基の脱保護を行って化合物(16)を製造することができる。この接触水素化反応では、グルタミン酸由来の嵩高い側鎖を避ける側から還元が進行して立体選択的に目的物を得ることができる。その後、THFなどの溶媒中で室温程度の温度下にヒドラジンを作用させてアセチル基を脱保護し、続いてメタノールなどの溶媒中で水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を0℃程度の温度で作用させることによりイミドが選択的に還元されたアルコール化合物(15)を得ることができる。
【0031】
化合物(15)をトリフルオロエタノールなどの溶媒中でトリフルオロ酢酸(TFA)などの酸を室温程度の温度で作用させることによりPictet-Spengler反応を行ってD環を構築した後、フェノール性水酸基を一般的な条件でトリフルオロメタンスルホニル(Tf)化することにより化合物(14)を製造することができる。この化合物(14)に対して1,4-ジオキサンなどの溶媒中でトリメチルボロキシンとPd(PPh3)4及びK3PO4の存在下に100℃程度の温度で鈴木-宮浦カップリングを行うと、より立体障害の小さいTfOに対して選択的にメチル化が進行して化合物(13a)を得ることができる。続いてBoc基を除去し、メトキシカルボニル基を導入した化合物(13b)を製造し、この化合物(13b)のメチルエステルをTHFなどの溶媒中で還元剤として例えば水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素リチウム(L-Selectride)などを用いて-42℃程度の温度ですることにより、生じたアルデヒドがアミドの窒素原子に捕捉されてヘミアミナール化合物(12)が得られる。この化合物(12)をトルエンなどの溶媒中でキノリンの存在下にカンファースルホン酸などの酸を用いた弱酸条件により脱水を行ってエナミド化合物(11a)とした後に、1,4-ジオキサン中で水酸化カリウムなどの塩基を室温程度の温度で作用させてTf基を除去し、遊離したフェノール性水酸基にMOM基を導入することにより化合物(11b)を製造することができる。
【0032】
<一般式(1)で表される化合物の製造>
上記のスキームにおいて示した化合物(32)及び化合物(11b)を用いてB環ユニットを構築することにより、一般式(1)においてR1がメトキシメチル基であり、R101、R102、R103、及びR104がメチル基である化合物を製造することができる。
【0033】
【化7】

【0034】
化合物(32)を溶媒としてTHFなどを用いて亜硝酸tert-ブチルなどの亜硝酸化合物を-15℃から0℃程度の温度で作用させてジアゾニウム塩(31)に変換した後、このジアゾニウム塩を擬ハロゲン化物として用い、アセトニトリルなどの溶媒中でPd2(dba)3の存在下に0℃〜室温程度の温度でHeck反応を行って、より立体障害の小さい側から反応を進行させることにより化合物(7)を製造することができる。化合物(7)の二重結合をtert-ブタノール及び水の混合物などの溶媒中で例えば炭酸カリウムなどの塩基及びキヌクリジンの存在下に4酸化オスミウムを用いて室温程度の温度で反応を行ってジオール化合物(6)に変換した後、THFなどの溶媒中で酸化剤として過ヨウ素酸を0℃程度の温度で作用させて1,2-ジオールを酸化的に開裂すると、ジアルデヒドに水が付加して6員環のヘミアセタール化合物(5)が得られる。この化合物(5)からベンジル基をメタノール中でパラジウム炭素触媒などの水素化触媒を用いた接触水素化などにより除去し、例えばトルエンなどの溶媒中で塩酸などの微量の酸の存在下に100℃程度の温度に加熱するとフェノールのオルト位においてアルデヒドへの付加反応が進行し、新たな環が形成された化合物(4)を得ることができる。
【0035】
その後、化合物(4)のアルデヒド基及びアミド基をTHFなどの溶媒中で還元剤として例えば水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Red-Al)などを用いて-78〜0℃程度の温度で還元すると、アルデヒド基が先に還元され、アミド基の還元の中間体であるヘミアミナールがアルデヒド由来の一級水酸基により捕捉されて環状ヘミアミナール化合物(3)が得られる。得られた化合物(3)においてR2で表されるメトキシカルボニル基をTHFなどの溶媒中で還元剤として例えばRed-Alを用いて0℃〜還流温度で還元してR104がメチル基である化合物(2)を製造し、続いて化合物(2)に酸性条件下でシアン化カリウムを室温程度の温度で作用させて環状ヘミアミナールを開裂させて、アミノニトリル化合物(1)を製造することができる。
【0036】
<エクチナサイジン743前駆体の製造>
一般式(1)においてR1がメトキシメチル基であり、R101、R102、R103、及びR104がメチル基である上記の化合物からCoreyら(J. Am. Chem. Soc., 118, pp.9202-9203, 1996)により報告されている前駆体化合物(43)を下記のスキームに従って製造することができる。
【0037】
【化8】

【0038】
化合物(1)の一級水酸基に対して保護されたシステインをジクロルメタンなどの溶媒中でジメチルアミノピリジンなどの塩基の存在下に縮合剤としてWSCDなどを用いて縮合することにより化合物(41b)を得ることができる。化合物(41b)をアセトニトリルなどの溶媒中で室温程度の温度下にヒドラジンを作用させることにより硫黄原子の保護基のアセチル基が除去された化合物(41a)を製造することができる。化合物(41a)をトリフルオロエタノールなどの溶媒中でトリフルオロ酢酸などの酸で処理してフェノール性水酸基のオルト位のベンジル位においてオルトキノンメチドを経由した炭素-硫黄結合反応を行なうことにより化合物(42)を製造し、続いて、化合物(43)のフェノール性水酸基をピリジン中で無水酢酸などのアセチル化剤を作用させることによりエクチナサイジン743の合成に有用な前駆体化合物(43)を製造することができる。上記前駆体化合物(43)からはCoreyらにより報告された方法に従って5段階で最終目的物であるエクチナサイジン743を製造することができる。
【0039】
本発明により、上記の製造用中間体を用いたエクチナサイジン743の製造方法が提供される。本発明の方法は、エクチナナサイジン743の製造方法であって、以下の工程:
・一般式(n+1)で表される化合物から一般式(n)で表される化合物を製造する工程(ただしnは1から6のいずれかの整数である);
・一般式(31)で表される化合物と一般式(11)で表される化合物とを反応させて一般式(7)で表される化合物を製造する工程
・一般式(n+1)で表される化合物から一般式(n)で表される化合物を製造する工程(ただしnは16から11のいずれかの整数である);
・一般式(21)で表される化合物と化合物(51)とを反応させて一般式(17)で表される化合物を製造する工程;
・一般式(n+1)で表される化合物から一般式(n)で表される化合物を製造する工程(ただしnは34から32のいずれかの整数である);及び
・一般式(1)で表される化合物から一般式(41)で表される化合物を製造する工程
を少なくとも1つ含む方法である。
【0040】
例えば、本発明の方法の好ましい態様として、
(a)一般式(1)で表される化合物から一般式(41)で表される化合物を製造する工程;
(b)一般式(2)で表される化合物から一般式(1)で表される化合物を製造する工程;
(c)一般式(3)で表される化合物から一般式(2)で表される化合物を製造する工程;
(d)一般式(4)で表される化合物から一般式(3)で表される化合物を製造する工程;
(e)一般式(5)で表される化合物から一般式(4)で表される化合物を製造する工程;
(f)一般式(6)で表される化合物から一般式(5)で表される化合物を製造する工程;及び
(g)一般式(7)で表される化合物から一般式(6)で表される化合物を製造する工程
(h)一般式(31)で表される化合物と一般式(11)で表される化合物とを反応させて一般式(7)で表される化合物を製造する工程;
(i)一般式(12)で表される化合物から一般式(11)で表される化合物を製造する工程;
(j)一般式(13)で表される化合物から一般式(12)で表される化合物を製造する工程;
(k)一般式(14)で表される化合物から一般式(13)で表される化合物を製造する工程;
(l)一般式(15)で表される化合物から一般式(14)で表される化合物を製造する工程;
(m)一般式(16)で表される化合物から一般式(15)で表される化合物を製造する工程;
(n)一般式(17)で表される化合物から一般式(16)で表される化合物を製造する工程;及び
(o)化合物(21)と化合物(51)とを反応させて一般式(17)で表される化合物を製造する工程;
のいずれか1以上の工程を含む方法を挙げることができる。
【0041】
より好ましくは、上記の(a)ないし(g)の工程から選ばれる2以上の連続した工程を含む方法を挙げることができる。特に好ましいのは、上記の(a)ないし(g)の工程の全てを含む方法である。より好ましい別の方法として、上記の(i)ないし(n)の工程から選ばれる2以上の連続した工程を含む方法を挙げることができる。さらに好ましい方法は、上記の(i)ないし(n)の工程の全てを含む方法、及び上記の(a)ないし(o)の全てを含む方法である。これらの(i)ないし(n)の工程において、R101、R102、R103、R104、及びR111としてはメチル基が好ましい。
【0042】
上記(a)の工程において、一般式(1)及び一般式(41)で表される化合物におけるR1としてはメトキシメチル基が好ましい。一般式(41)で表される化合物におけるR21としてはアリルオキシカルボニル基などが好ましく、R22としてはアセチル基などが好ましい。
【0043】
上記(b)ないし(g)の工程において、一般式(1)ないし一般式(7)で表される化合物におけるR1としてはメトキシメチル基が好ましい。上記(d)ないし(g)の工程において、一般式(3)ないし一般式(7)で表される化合物におけるR2としては、Red-Alなどの還元剤により還元してC1-6アルキル基、好ましくはメチル基を生成する保護基が好ましく、例えばメトキシカルボニル基が好ましい。上記(f)及び(g)の工程において、一般式(5)ないし(7)で表される化合物におけるR3としては接触水素化により除去可能な保護基が好ましく、例えばベンジル基が好ましい。
【0044】
上記(h)の工程において、一般式(11)で表される化合物におけるR1としてはメトキシメチル基が好ましく、R2としては、Red-Alなどの還元剤により還元してC1-6アルキル基、好ましくはメチル基を生成する保護基が好ましく、例えばメトキシカルボニル基が好ましい。一般式(31)で表される化合物におけるR11としては接触水素化により除去可能な保護基が好ましく、例えばベンジル基が好ましい。
【0045】
上記(i)の工程において、一般式(12)で表される化合物におけるR1としてはトリフルオロメタンスルホニル基が好ましく、R2としてはメトキシメチル基が好ましい。一般式(11)で表される化合物におけるR1としてはトリフルオロメタンスルホニル(Tf)基、水素原子、又はメトキシメチル基が好ましく、R2としてはメトキシカルボニル基が好ましい。一般式(12)で表される化合物においてR1がトリフルオロメタンスルホニル基である化合物から一般式(11)で表される化合物においてR1がトリフルオロメタンスルホニル基である化合物を製造した後、水酸化カリウムなどの塩基を用いてトリフルオロメタンスルホニル基を除去し、遊離したフェノール性水酸基にR1としてメトキシメチル基を導入することが好ましい。
【0046】
上記(j)の工程において、一般式(13)で表される化合物及び一般式(12)で表される化合物におけるR1としてはトリフルオロメタンスルホニル基が好ましく、R2としてはメトキシカルボニル基が好ましい。一般式(13)で表される化合物におけるR4としてはメチル基が好ましい。
【0047】
上記(k)の工程において、一般式(14)及び一般式(13)で表される化合物におけるR1としてはトリフルオロメタンスルホニル基が好ましく、R4としてはメチル基が好ましい。一般式(14)で表される化合物において、R2としてはtert-ブトキシカルボニル基が好ましい。一般式(13)で表される化合物におけるR2としてはtert-ブトキシカルボニル基、水素原子、又はメトキシカルボニル基が好ましい。一般式(14)で表される化合物においてR2がtert-ブトキシカルボニル基である化合物から一般式(13)で表される化合物におけるR2がtert-ブトキシカルボニル基である化合物を製造した後、塩酸などの酸を用いてBoc基を除去してメトキシカルボニル基を導入することが好ましい。
【0048】
上記(l)の工程において、一般式(15)及び一般式(14)で表される化合物におけるR2としてはtert-ブトキシカルボニル基が好ましく、R4としてはメチル基が好ましい。一般式(14)で表される化合物においてR1としては水素原子又はトリフルオロメタンスルホニル基が好ましい。一般式(15)で表される化合物から一般式(14)で表される化合物においてR1が水素原子である化合物を製造した後に、2個のフェノール性水酸基に同時にトリフルオロメタンスルホニル基を導入することが好ましい。
上記(m)の工程において、一般式(16)及び一般式(15)で表される化合物におけるR2としてはtert-ブトキシカルボニル基が好ましく、R4としてはメチル基が好ましい。
【0049】
上記(n)の工程において、一般式(17)及び一般式(16)で表される化合物におけるR4としてはメチル基が好ましい。一般式(17)で表される化合物におけるR2は水素原子又はtert-ブトキシカルボニル基であることが好ましく、R5はアセチル基であることが好ましく、R6及びR7は接触水素化により除去可能な保護基、例えばベンジル基であることが好ましい。一般式(16)で表される化合物におけるR2はtert-ブトキシカルボニル基であることが好ましく、R5は水素原子又はアセチル基であることが好ましい。一般式(17)においてR2が水素原子であり、R5がアセチル基であり、R6及びR7がベンジル基である化合物に対して、R2としてtert-ブトキシカルボニル基を導入して一般式(17)においてR2がtert-ブトキシカルボニル基であり、R5がアセチル基であり、R6及びR7がベンジル基である化合物を製造した後、パラジウム炭素などの水素化触媒を用いて接触水素化を行って、一般式(16)においてR2がtert-ブトキシカルボニル基であり、R5がアセチル基である化合物を製造することができ、その後、この化合物をヒドラジンなどで処理することによって、一般式(16)においてR2がtert-ブトキシカルボニル基であり、R5が水素原子である化合物を製造することができる。
【0050】
特に好ましい方法ではR101、R102、R103、R104、及びR111がメチル基である化合物を用いることができる。特に好ましい方法の一例として、一般式(17)で表される化合物から水素化触媒の存在下で接触水素化を行うことにより一般式(16)で表される化合物を製造する工程を含む方法が挙げられる。一般式(17)及び一般式(16)で表される化合物においてR2がC1-6アルキルオキシカルボニル基であることが好ましく、R2がtert-ブトキシカルボニル基であることがより好ましい。R4としてはメチル基が好ましく、R5としてはアセチル基が好ましい。水素化触媒としてはパラジウム炭素触媒が好ましく、溶媒としては酢酸エチルなどを用いることができる。
【0051】
別の特に好ましい方法として、一般式(15)で表される化合物を酸で処理して一般式(14)で表される化合物を製造する工程を含む方法が挙げられる。一般式(15)及び一般式(14)で表される化合物においてR2がC1-6アルキルオキシカルボニル基であることが好ましく、R2がtert-ブトキシカルボニル基であることがより好ましい。R4としてはメチル基が好ましい。
【0052】
さらに別の特に好ましい方法として、一般式(31)で表される化合物と一般式(11)で表される化合物とを反応させて一般式(7)で表される化合物を製造する工程を含む方法が挙げられる。一般式(31)で表される化合物においてR11としては接触水素化により除去可能な保護基、例えばベンジル基などが好ましい。一般式(11)で表される化合物においてR1として好ましくはメトキシメチル基を用いることができ、R2はC1-6アルキルオキシカルボニル基であることが好ましく、R2がメトキシカルボニル基であることがより好ましい。一般式(7)で表される化合物においてもR11が接触水素化により除去可能な保護基、例えばベンジル基などであり、R1がメトキシメチル基であり、R2がC1-6アルキルオキシカルボニル基、例えばがメトキシカルボニル基であることが好ましい。Heck反応に用いるパラジウム錯体としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)[Pd2(dba)3]などを用いることができるが、他のパラジウム錯体も適宜使用することができる。反応はアセトニトリル中で酢酸ナトリウムの存在下で行うことができるが、この条件に限定されるわけではない。
【0053】
また、一般式(6)で表される化合物の1,2-ジオールを酸化的に開裂して一般式(5)で表される化合物を製造する工程を含む方法も特に好ましい方法として挙げることができる。一般式(6)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物において、R1としてはメトキシメチル基が好ましく、R2としてはメトキシカルボニル基が好ましく、R3としては接触水素化により除去可能な保護基、例えばベンジル基が好ましい。酸化剤としては過ヨウ素酸を用いることが好ましく、溶媒としては例えばTHFなどを用いることができる。
【0054】
さらに、一般式(5)で表される化合物を酸で処理することにより一般式(4)で表される化合物を製造する工程を含む方法も特に好ましい方法として挙げることができる。一般式(5)で表される化合物においてR3が水酸基の保護基である場合には反応に先立って除去する必要があるが、例えばR3がベンジル基である場合には、パラジウム炭素触媒などの水素化触媒を用いた接触水素化により除去してR3が水素原子である化合物を製造して、一般式(4)を製造するための原料として用いることができる。一般式(5)及び一般式(4)で表される化合物においてとしてはメトキシメチル基が好ましく、R2としてはメトキシカルボニル基が好ましい。酸としては塩酸などを用いることができ、溶媒としてはトルエンなどを用いることができる。反応は一般的には加熱下において行うことが好ましい。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。実施例中の化合物番号は前記スキーム中の化合物番号に対応させてある。
(1)化合物(37b)
化合物(38)(J. Am. Chem. Soc., 124, 6552, 2002)(40.0 g, 219 mmol)のテトラヒドロフラン(260 ml)溶液に0℃でn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.66 M, 91 ml)を滴下した後、0℃に昇温した。-78℃に冷却した後、ヨウ化メチル(15 ml, 242 mmol)のテトラヒドロフラン(10 ml)溶液を滴下し、室温まで昇温した。反応液に水、飽和塩化アンモニウム水溶液を順次加え、水層をヘキサンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。この化合物(37b)は精製することなく次工程に使用した。
1H NMR (CDCl3): δ 6.57 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.51 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 5.91 (s, 2H), 5.10 (s, 2H), 3.49 (s, 3H), 2.14 (s, 3H).
【0056】
(2)化合物(37a)
化合物(37b)のメタノール(300 ml)溶液に室温で濃塩酸(2.0 ml)を滴下し、加熱還流下1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、炭酸水素ナトリウムを加えて中和し、減圧下濃縮した。残留物を酢酸エチルで希釈し、セライト濾過を行った。濾液を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物をヘキサン/ジエチルエーテル混合溶媒で洗浄し、化合物(37a)を29.2 g(88%)得た。
1H NMR (CDCl3): δ 6.51 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 6.23 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 5.90 (s, 2H), 4.55 (s, 1H), 2.13 (s, 3H).
【0057】
(3)化合物(36)
ジアセトキシヨードベンゼン(66.83 g, 207.5 mmol)のメタノール(316 ml)溶液に、0℃で化合物(37a)(21.05 g, 138.4 mmol)のメタノール(147 ml)溶液を滴下ロートを用いてゆっくりと滴下した。反応液を減圧下濃縮した後、水、酢酸エチルを順次加え、水層を酢酸エチルで3回抽出した。合致した有機層を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。この化合物(36)は精製することなく次工程に使用した。
1H NMR (CDCl3): δ 6.86 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 6.29 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 5.68 (s, 1H), 5.62 (s, 1H), 3.32 (s, 3H), 1.82 (s, 3H).
【0058】
(4)化合物(35a)
化合物(36)のN,N-ジメチルホルムアミド(227 ml)溶液に0℃でシアン化ナトリウム(6.78 g, 138.3 mmol)の水(138 ml)溶液を滴下した。室温まで昇温した後、27時間攪拌した。反応液に塩化アンモニウムを加えた後、酢酸エチルで3回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物をメタノール/クロロホルムから再結晶し、化合物(35a)を9.15 g(37%)得た。
1H NMR (CDCl3): δ 6.39 (s, 1H), 6.07 (s, 2H), 4.79 (s, 1H), 2.16 (s, 3H).
【0059】
(5)化合物(35b)
化合物(35a)(1.71 g, 9.65 mmol)、炭酸カリウム(2.67 g, 19.3 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(19.3 ml)懸濁液に室温で臭化ベンジル(1.15 ml, 9.65 mmol)を滴下し、同温で1時間攪拌した後、臭化ベンジル(0.23 ml, 1.93 mmol)を滴下し、さらに40分間攪拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで3回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。この化合物(35b)は精製することなく次工程に使用した。
1H NMR (CDCl3): δ 7.44-7.30 (m, 5H), 6.42 (s, 1H), 6.06 (s, 2H), 5.00 (s, 2H), 2.17 (s, 3H).
【0060】
(6)化合物(34)
化合物(35b)、炭酸カリウム(2.00 g, 14.5 mmol)のジメチルスルホキシド(38.6 ml)懸濁液に室温で30%過酸化水素水(10.9 ml, 96.5 mmol)を滴下し、同温で4時間攪拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで3回抽出した。合致した有機層を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。この化合物(34)は精製することなく次工程に使用した。
1H NMR (CDCl3): δ 7.50-7.29 (m, 5H), 7.07 (s, 1H), 6.87 (brs, 1H), 6.06 (s, 2H), 5.79 (brs, 1H), 5.07 (s, 2H), 2.19 (s, 3H).
【0061】
(7)化合物(33)
化合物(34)のメタノール(28.3 ml)溶液に0℃で水酸化カリウムのメタノール溶液(1 M, 24.1 ml)を滴下した後、同温でジアセトキシヨードベンゼン(3.11 g, 9.65 mmol)のメタノール(20 ml)溶液を滴下した。同温で5時間攪拌した後、反応液に水を加え、減圧下濃縮した。酢酸エチルで3回抽出し、合致した有機層を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。この化合物(33)は精製することなく次工程に使用した。
1H NMR (CDCl3):δ 7.50-7.28 (m, 5H), 7.16 (brs, 1H), 6.51 (brs, 1H), 5.91 (s, 2H), 5.02 (s, 2H), 3.78 (s, 3H), 2.11 (s, 3H).
【0062】
(8)化合物(32)
化合物(33)のエタノール(96.5 ml)溶液に水酸化リチウム一水和物(2.02 g, 48.1 mmol)を最小限の水に溶解させたものを室温で添加した。加熱還流下5時間攪拌した後、反応液を室温まで冷却した。反応液に水を加え、減圧下濃縮した後、酢酸エチルで3回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、10-30%酢酸エチル/ヘキサン溶出部より化合物(32)を2.05 g(83%)得た。
1H NMR (CDCl3): δ 7.48-7.28 (m, 5H), 5.92 (s, 1H), 5.87 (s, 2H), 4.95 (s, 2H), 3.43 (brs, 2H), 2.07 (s, 3H).
【0063】
(9)化合物(23b)
L-グルタミン酸(23a)(50.03 g, 340 mmol)のメタノール(680 ml)溶液に0℃にて塩化チオニル (112 ml, 1.53 mol)を滴下し、室温にて2日間撹拌した。溶媒を留去した後にジエチルエーテルを加え更に溶媒を留去した。得られた固体を濾取し、ジエチルエーテルにて洗浄し化合物(23b)を62.21 g得た。
【0064】
(10)化合物(22)
化合物(23b)(46.00 g, 217 mmol)、N-Cbz-グリシン(45.40 g, 217 mmol)の塩化メチレン(400 ml)溶液に0℃にてトリエチルアミン(30.2 ml, 217 mmol)、WSCD塩酸塩(50.00 g, 261 mmol)、DMAP(2.65 g, 21.7 mmol)を加え、室温にて40分間撹拌した。反応溶液に1規定塩酸を加え、水槽を酢酸エチルにて2回抽出した。合致した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。この化合物(22)は精製することなく次工程に使用した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.35 (m, 5H), 6.71 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 5.34 (br, 1H), 5.15 (s, 2H), 4.63 (td, J = 8.2, 4.6 Hz, 1H), 3.91 (ddd, J = 5.5, 16.5, 28.4 Hz, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.57 (s, 3H), 2.37 (m, 2H), 2.22 (m, 1H), 2.01 (m, 1H).
【0065】
(11)化合物(21a)
化合物(22)(84.20 g, 217 mmol)、10% パラジウム炭素(含水, 11.60 g, 10.9 mmol)のメタノール(600 ml)懸濁液に室温で1 atmの水素ガスを添加し、同温で2時間攪拌した。水素ガスを除去した後、反応液をセライト濾過し、濾液を1日間加熱還流下撹拌した。反応液を0℃まで冷却し、析出した固体を濾取した。この化合物(21a)は精製することなく次工程に使用した。
【0066】
(12)化合物(21b)
化合物(21a)(44.10 g, 217 mmol)の無水酢酸(400 ml)溶液を17時間加熱還流下撹拌した。水浴下反応液に水(400 ml)を加え撹拌した後にトルエンにて希釈し、溶媒を減圧下留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、30-40%酢酸エチル/ヘキサン溶出部より化合物(21b)を47.65 g(77% for 4 steps)得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.17 (d, J = 19.2 Hz, 1H), 5.16 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 4.18 (d, J = 19.2 Hz, 1H), 3.67 (s, 3H), 2.57 (s, 3H), 2.56 (s, 3H), 2.13 (m, 4H).
【0067】
(13)化合物(17a)
化合物(21b)(7.48 g, 26.3 mmol)、アルデヒド(51)(Chem. Pharm. Bull., 54, 1662, 2006)(9.17 g, 26.3 mmol)のテトラヒドロフラン(105 ml)溶液に-78℃でカリウムt-ブトキシドのt-ブタノール溶液(1.00 M, 28.3 ml)を滴下した。同温で30分間攪拌した後、0℃に昇温して10分間攪拌した。同温でDBU(1.0 ml, 6.6 mmol)を滴下し、同温で10分間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルを順次加え、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。この化合物(17a)は精製することなく次工程に使用した。一部分取薄層クロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン、Rf=0.6)にて精製し機器データを測定した。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.55 (br s, 1H), 7.46-7.26 (m, 10H), 6.99 (s, 1H), 6.72 (s, 2H), 5.17 (s, 4H), 5.04 (t, J = 7.56 Hz, 1H), 3.94 (s, 3H), 3.64 (s, 3H), 2.58-2.45 (m, 5H), 2.25-2.16 (m, 1H), 2.12-2.04 (m, 1H).
【0068】
(14)化合物(17b)
化合物(17a)、Boc2O(6.31 g, 28.9 mmol)のテトラヒドロフラン(105 ml)溶液に室温でDMAP(64.3 mg, 0.53 mmol)を添加し、同温で3.5時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、50%酢酸エチル/ヘキサン溶出部より化合物(17b)を17.61 g(100%)得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.46-7.26 (m, 10H), 7.23 (s, 1H), 6.86 (s, 2H), 5.26-5.15 (m, 5H), 3.93 (s, 3H), 3.60 (s, 3H), 2.59 (s, 3H), 2.44 (dd, J = 3.20 Hz, 3.32 Hz, 2H), 2.23-2.14 (m, 1H), 1.94-1.83 (m, 1H), 1.09 (s, 9H).
【0069】
(15)化合物(16)
化合物(17b)(17.55 g, 26.1 mmol)、5% パラジウム炭素(含水, 6.94g, 3.26 mmol)の酢酸エチル(87 ml)懸濁液に室温で750 psiの水素ガスを添加し、同温で8時間攪拌した。水素ガスを除去した後、反応液をセライト濾過し、濾液を減圧下濃縮した。この化合物(16)は精製することなく次工程に使用した。一部分取薄層クロマトグラフィー(75%酢酸エチル/ヘキサン、Rf=0.3)にて精製し機器データを測定した。
1H-NMR (CDCl3): δ 6.37 (s, 2H), 5.89 (s, 2H), 5.13 (t, J = 6.40 Hz, 1H), 4.97 (dd, J = 8.68 Hz, 6.40 Hz, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.68 (s, 3H), 3.17 (d, J = 6.40 Hz, 2H), 2.59-2.48 (m, 5H), 1.86-1.69 (m, 2H), 1.45 (s, 9H).
【0070】
(16)化合物(15)
化合物(16)のTHF(87 ml)溶液に室温でヒドラジン一水和物(1.27 ml, 26.1 mmol)を滴下し、同温で10分間攪拌した。反応液をトルエンで希釈し、減圧下濃縮した。残留物をメタノール(87 ml)に溶解し、0℃で水素化ホウ素ナトリウム(1.49 g, 39.1 mmol)を3回に分けて添加した。同温で45分攪拌した後、同温で飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、3%メタノール/ジクロロメタン溶出部より化合物(15)を6.70 g(57%)得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 6.94-6.82 (m, 1H), 6.75-6.62 (m, 2H), 6.46 (br s, 2H), 5.83 (br s, 1H), 4.67 (br s, 1H), 4.27 (br s, 10/27H), 4.13 (br s, 17/27H), 3.86 (s, 3H), 3.67 (s, 3H), 3.52 (br s, 20/27H), 3.19 (br s, 34/27H), 2.48 (t, J = 6.88 Hz, 2H), 2.00-1.85 (m, 2H), 1.28-1.24 (m, 9H).
【0071】
(17)化合物(14)
化合物(15)(6.70 g、14.8 mmol)の2,2,2-トリフルオロエタノール(50 ml)溶液に室温でトリフルオロ酢酸(127 μl, 1.85 mmol)を滴下し、同温で1.5時間攪拌した。反応液をトルエンで希釈し、減圧下濃縮した。残留物、N-フェニルビストリフルオロメタンスルホンイミド(11.63 g, 32.6 mmol)、炭酸セシウム(13.48 g, 41.4 mmol)をアセトニトリル(74 ml)に懸濁し、室温でDMAP(90.5 mg, 0.74 mmol)を添加した。同温で50分攪拌した後、反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、60%酢酸エチル/ヘキサン溶出部より化合物(14)を8.91 g(88%)得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.14 (s, 1H), 6.61-6.40 (m, 1H), 5.70-5.58 (m, 1H), 5.00 (s, 2/3H), 4.87 (s, 1/3H), 3.98 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 3.24-3.09 (m, 2H), 2.58-2.45 (m, 2H), 2.17-2.08 (m, 1H), 1.47 (s, 9H), 1.30-1.24 (m, 1H).
【0072】
(18)化合物(13a)
化合物(14)(8.91 g、12.7 mmol)、トリメチルボロキシン(2.1ml, 15.2 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(220 mg, 0.19 mmol)、リン酸カリウム(4.04 g, 19.1 mmol)の1,4-ジオキサン(64 ml)懸濁液を100℃で1.5時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、60%酢酸エチル/ヘキサン溶出部より化合物(13a)を6.32 g(88%)得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.01 (s, 1H), 6.40 (br s, 1/3H), 6.27 (br s, 2/3H), 5.62 (s, 1/3H), 5.54 (s, 2/3H), 4.97 (s, 2/3H), 4.84 (s, 1/3H), 3.95 (br s, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.69 (s, 3H), 3.23-2.97 (m, 2H), 2.56-2.45 (m, 2H), 2.31 (s, 3H), 2.17-2.09 (m, 1H), 1.47 (s, 9H), 1.38-1.24 (m, 1H).
【0073】
(19)化合物(13b)
化合物(13a)(450 mg、0.794 mmol)に塩酸の酢酸エチル溶液(4 M, 3.2 ml)を添加し、室温で30分間攪拌した。反応液を0℃に冷却し、クロロギ酸メチル(113 ml, 1.19 mmol)を添加した。飽和重曹水(3.2 ml)を1分間で滴下し、炭酸水素ナトリウム(1.08 g, 12.8 mmol)を4回に分けて添加した後、同温で60分間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水で洗浄した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、70%酢酸エチル/ヘキサン溶出部より化合物(13b)を380.2 mg(91%)得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.00 (s, 1H), 6.51-6.48 (m, 1H), 5.65 (s, 2/5H), 5.53 (s, 3/5H), 4.98 (d, J = 6.40 Hz, 3/5H), 4.87 (d, J = 5.96 Hz, 2/5H), 4.01-3.96 (m, 1H), 3.83-3.66 (m, 9H), 3.26-3.04 (m, 2H), 2.54-2.46 (m, 2H), 2.30 (s, 3H), 2.17-2.09 (m, 1H), 1.35-1.25 (m, 1H).
【0074】
(20)化合物(12)
化合物(13b)(12.1 mg, 28.8 μmol)のテトラヒドロフラン(230 μl)溶液に-42℃でL-セレクトリドのテトラヒドロフラン溶液(1.00 M, 90 μl)を滴下した。同温で60分間攪拌した後、メタノールを滴下し、同温で5分間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。水層を酢酸エチルで4回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物を分取薄層クロマトグラフィー(60%酢酸エチル/ヘキサン、Rf=0.3)に付し、化合物(12)を7.6 mg(67%)得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.00 (s, 1H), 5.76 (s, 5/11H), 5.65-5.61 (m, 1H), 5.58 (s, 6/11H), 5.01-4.98 (m, 5/11H), 4.89-4.85 (m, 6/11H), 4.37-4.33 (m, 6/11H), 4.15-4.11 (m, 5/11), 3.84-3.69 (m, 6H), 3.21-3.07 (m, 2H), 2.34 (s, 3H), 2.24-2.17 (m, 1H), 1.88-1.85 (m, 1H), 1.77-1.69 (m, 1H), 1.59-1.55 (m, 1H).
【0075】
(21)化合物(11a)
化合物(12)(18.6 mg, 37.6 μmol)、カンファースルホン酸(8.6 mg, 37 μmol)、キノリン(3 μl, 34 μmol)のトルエン(750 μl)溶液を110℃で3時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水で洗浄した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物を分取薄層クロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン、Rf=0.6)に付し、化合物(11a)を12.5 mg(70%)得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.02-7.00 (m, 1H), 6.79 (s, 1H), 5.91 (d, J = 3.68 Hz, 3/7H), 5.79 (d, J = 3.64 Hz, 4/7H), 5.30 (s, 1H), 5.05 (d, J = 6.44 Hz, 4/7H), 4.93 (d, J = 5.48 Hz, 3/7H), 4.57-4.53 (m, 1H), 3.82-3.75 (m, 6H), 3.29-3.11 (m, 2H), 2.67-2.61 (m, 1H), 2.32 (s, 3H), 2.29-2.19 (m, 1H).
【0076】
(22)化合物(11b)
化合物(11a)(13.7 mg, 28.8μmol)の1,4-ジオキサン(300μl)溶液に室温で水酸化カリウム水溶液(6 M、 48μl)を滴下し、同温で60分間攪拌した。反応液を0℃に冷却後、クロロメチルメチルエーテル(5μl, 72.0μmol)を滴下し、同温で10分間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水で洗浄した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物を分取薄層クロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン、Rf=0.5)に付し、化合物(11b)を10.6 mg(95%)得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 6.78-6.72 (m, 2H), 5.98 (d, J = 4.12 Hz, 4/7H), 5.88 (d, J = 4.12 Hz, 3/7H), 5.27 (s, 1H), 5.20-5.15 (m, 2H), 5.03 (d, J = 5.76 Hz, 3/7H), 4.89 (d, J = 3.56 Hz, 4/7H), 4.57-4.51 (m, 1H), 3.77-3.71 (m, 9H), 3.25-3.07 (m, 2H), 2.66-2.59 (m, 1H), 2.43-2.36 (m, 1H), 2.21 (s, 3H).
【0077】
(23)化合物(7)
化合物(32)(25.7 mg, 100 μmol)のテトラヒドロフラン(200 μl)溶液に-15℃で亜硝酸t-ブチル(15 μl, 120 μmol)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(17 μl, 150 μmol)を順次滴下し、同温で30分間攪拌した後、0℃で30分間攪拌した。反応液に酢酸ナトリウム(20.3 mg, 248 μmol)、化合物(11b)(24.6 mg, 55 μmol)のアセトニトリル(900 μl)溶液、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(5.0 mg, 5.5 μmol)を順次加え、室温で30分間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水で洗浄した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物を分取薄層クロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン、Rf=0.6)に付し、化合物(7)を34.6 mg(88%)得た。
1H-NMR (CDCl3): δ 6.70-6.67 (m, 1H), 6.23-6.15 (m, 2H), 5.91-5.87 (m, 2H), 5.70-5.67 (m, 1H), 5.51 (s, 1H), 5.21-5.13 (m, 3H), 4.99-4.86 (m, 3H), 3.79-3.68 (m, 9H), 3.14-3.10 (m, 2H), 2.19 (s, 3H), 2.10 (s, 3H).
【0078】
(24)化合物(6)
化合物(7)(125.4 mg, 199 μmol)、フェリシアン酸カリウム(327.6 mg, 995 μmol)、炭酸カリウム(275.0 mg, 1.99 mmol)、キヌクリジン塩酸塩(146.9 mg, 995 μmol)、メタンスルホンアミド(94.6 mg, 995 μmol)のt-ブタノール(700 μl)-水(700 μl)懸濁液に室温で四酸化オスミウムのt-ブタノール溶液(1.00 g/100 ml, 250 μl)を加え、同温にて34時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、70%酢酸エチル/ヘキサン溶出部より化合物(6)を127.7 mg(97%)得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.28-7.42 (m, 5H), 6.80 & 6.77 (s, 1H), 6.16 & 6.15 (s, 1H), 5.99 & 5.88 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 5.88 (s, 2H), 5.36 & 5.34 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 5.17 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 4.96 (s, 2H), 5.00 & 4.82 (m, 2H), 4.54 (m, 1H), 4.16 & 4.08 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 3.79 (s, 3H), 3.78 (s, 3H), 3.75 & 3.67 (s, 3H), 3.42-3.45 (m, 1H), 3.13 & 3.09 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 3.08 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 2.24 (s, 3H), 2.10 (s, 3H).
【0079】
(25)化合物(5)
化合物(6)(127.7 mg, 193 μmol)のテトラヒドロフラン(1.0 ml)溶液に0℃でオルト過ヨウ素酸(48.3 mg, 212 μmol)を加え、同温にて1時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。水層を酢酸エチルで2回抽出した。合致した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、70%酢酸エチル/ヘキサン溶出部より化合物(5)を116.4 mg(89%)得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.41-7.26 (m, 5H), 6.79 & 6.76 (s, 1H), 6.34 & 6.26 (s, 1H), 5.97 & 5.87 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 5.82 (s, 2H), 5.64 & 5.60 (s, 1H), 5.11-5.29 (m, 4H), 4.94 (br, 3H), 4.15 & 4.05 (dd, J = 4.6, 7.8 Hz, 1H), 3.72 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 3.65 & 3.64 (s, 3H), 3.60 (br, 1H), 3.10-3.16 (br, 2H), 2.22 (s, 3H), 2.10 (s, 3H).
【0080】
(26)化合物(3)
化合物(5)(19.9 mg, 27.6 μmol)、10% パラジウム炭素(含水, 2.9 mg, 2.8 μmol)のメタノール(2 ml)懸濁液に室温で1 atmの水素ガスを添加し、同温で2時間攪拌した。水素ガスを除去した後、反応液をセライト濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残留物の1 mM塩酸-トルエン溶液(4 M塩酸-酢酸エチル溶液より調製、2.0 ml)を加熱還流下40分間撹拌し、溶媒を留去して化合物(4)を得た。残留物のテトラヒドロフラン(400 μl)溶液に-78℃でRed-Alのトルエン溶液(1.6 M, 120 μl)を加え、0℃にて30分間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し硫酸ナトリウム十水和物を加え室温で30分間撹拌した後にセライト濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残留物を分取薄層クロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン、Rf=0.5)に付し、化合物(3)を6.0 mg(43%)得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.77 & 8.72 (s, 1H), 6.75 & 6.74 (s, 1H), 5.88 & 5.77 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 5.82 (s, 1H), 5.77 (s, 1H), 5.38 & 5.37 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 5.22 & 5.18 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.90 & 4.76 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 4.79 & 4.31 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 4.03 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 3.75 (s, 3H), 3.73 & 3.72 (s, 3H), 3.56-3.62 (m, 2H), 3.16-3.23 (m, 1H), 2.98 (d, J = 17.4 Hz, 1H), 2.70 (dd, J = 8.2, 17.4 Hz, 1H), 2.23 (s, 3H), 2.05 (s, 3H).
【0081】
(27)化合物(1)
化合物(3)(2.1 mg)のテトラヒドロフラン溶液(200 μl)に0℃でRed-Alのトルエン溶液(1.1 M, 56 μl)を加え、加熱還流下1時間撹拌して化合物(2)に変換した。室温まで放冷した反応液に酢酸(350 μl)とシアン化カリウム(20 mg)を加え、同温にて一晩撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。合致した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物を分取薄層クロマトグラフィー(60%酢酸エチル/ヘキサン、Rf=0.5)に付し、化合物(1)を1.4 mg(63%)得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.60 (s, 1H), 6.80 (s, 1H), 5.90 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 5.87 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 5.82 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 5.28 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 5.14 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.45 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 4.35 (dd, J = 4.1, 9.6 Hz, 1H), 4.08 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 3.98 (t, J = 3.2 Hz, 1H), 3.77 (s, 3H), 3.62 (s, 3H), 3.37-3.43 (m, 3H), 3.11 (dd, J = 8.0, 18.4 Hz, 1H), 2.54 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 2.41 (s, 3H), 2.34 (s, 3H), 2.07 (s, 3H).
【0082】
(28)化合物(41b)
化合物(1)(3.3 mg)、保護されたシステイン(J. Am. Chem. Soc., 124, 6552, 2002)(7.5 mg)の塩化メチレン(200 μl)溶液に室温でWSCD塩酸塩(2.9 mg)、DMAP(1欠片)を加え、同温で6時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。水層を酢酸エチルで2回洗浄した。合致した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過を行い、濾液を減圧下濃縮した。残留物を分取薄層クロマトグラフィー(60%酢酸エチル/ヘキサン、Rf=0.6)に付し、化合物(41b)を4.3 mg(92%)得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.67 (s, 1H), 6.76 (s, 1H), 6.06 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 5.90 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 5.94 (s, 1H), 5.80-5.94 (m, 1H), 5.80 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 5.11-5.27 (m, 3H), 5.21 (dd, J = 1.4, 10.5 Hz, 1H), 5.17 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 5.12 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.48-4.60 (m, 3H), 4.36-4.40 (m, 2H), 4.11-4.22 (m, 4H), 3.87 (dd, J = 5.0, 11.0 Hz, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.61 (s, 3H), 3.37 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 3.33 & 3.25 (dd, J = 2.8, 9.6 Hz, 1H), 2.98-3.10 (m, 2H), 2.90 (dd, J = 7.8, 14.2 Hz, 1H), 2.63 & 2.58 (d, J = 18.3 Hz, 1H), 6.06 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 2.33 (s, 6H), 2.23 (s, 3H), 2.08 (s, 3H).
【0083】
(29)化合物(41a)
化合物(41b)(4.5 mg)のアセトニトリル(200 μl)溶液に室温でヒドラジン(アセトニトリルとヒドラジン一水和物を体積比4:1にて混合したものの上澄み20 μl)を加え、同温で15分間撹拌した。反応液をアセトンで希釈し、溶媒を減圧下留去した。残留物を分取薄層クロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン、Rf=0.7)に付し、化合物(41a)を 3.5mg(80%)得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.66 & 9.63 (s, 1H), 6.76 & 6.75 (s, 1H), 6.06 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 5.95 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 5.80-5.94 (m, 1H), 5.80 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 5.27-5.43 (m, 3H), 5.22 (dd, J = 0.9, 10.1 Hz, 1H), 5.13 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.43-4.60 (m, 2H), 4.32-4.42 (m, 3H), 3.80 & 3.82 (s, 3H), 3.61 (s, 3H), 3.37 (d, J = 7.80.8 Hz, 1H), 3.30 (dd, J = 3.2, 9.6 Hz, 1H), 2.97-3.07 (m, 1H), 2.60 (d, J = 18.3 Hz, 1H), 2.51-2.55 (m, 1H), 2.34 & 2.32 (s, 3H), 2.25 & 2.24 (s, 3H), 2.08 (s, 3H).
【0084】
(30)化合物(42)
化合物(41a)(5.3 mg)のトリフルオロエタノール(700 μl)溶液に室温でトリフルオロ酢酸(1/10トリフルオロエタノール溶液、54 μl)を加え、同温で2時間30分間撹拌した。反応液をトルエンで希釈し、溶媒を減圧下留去した。残留物を分取薄層クロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン、1%トリエチルアミン、Rf=0.7)に付し、化合物(42)1.5 mg(30%)得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.81 (s, 1H), 6.03 (s, 1H), 5.93-5.97 (m, 1H), 5.91 (s, 1H), 5.21-5.34 (m, 4H), 5.01 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 4.81 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 4.45-4.60 (m, 3H), 4.34-4.37 (m, 2H), 4.29 (s, 1H), 4.08-4.15 (m, 2H), 3.74 (s, 3H), 3.58 (s, 3H), 3.54-3.56 (m, 1H), 3.40-3.42 (m, 1H), 2.91-2.94 (m, 2H), 2.37-2.45 (m, 2H), 2.29 (s, 3H), 2.25-2.28 (m, 1H), 2.20 (s, 3H), 2.25 (s, 3H).
【0085】
(31)化合物(43)
化合物(42)(1.5 mg)のピリジン(100 μl)溶液に室温で無水酢酸(50 μl)を加え、同温で間撹拌した。反応液をトルエンで希釈し、溶媒を減圧下留去した。残留物を分取薄層クロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン、Rf=0.5)に付し、化合物(43)を1.2 mg(82%)得た。この化合物の物理化学的データは文献(J. Am. Chem. Soc., 118, pp.9202-9203, 1996)に記載されたデータと完全に一致した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.80 (s, 1H), 6.09 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 6.00 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 5.86-6.00 (m, 1H), 5.20-5.35 (m, 1H), 5.15 (d, J = 5.5 Hz, 2H), 4.83 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 4.50-4.59 (m, 3H), 4.30-4.34 (m, 2H), 4.25 (s, 1H), 4.15-4.18 (m, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.57 (s, 3H), 3.45 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 3.40-3.45 (m, 1H), 2.91-2.95 (m, 2H), 2.29 (s, 3H), 2.28 (s, 3H), 2.22 (s, 3H), 2.11-2.17 (m, 2H), 2.03 (s, 3H).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)ないし(7):
【化1】

(式中、R1は水素原子又はフェノール性水酸基の保護基を示し、R2は水素原子、C1-6アルキル基、又はC1-6アルキルオキシカルボニル基を示し、R3は水素原子又はフェノール性水酸基の保護基を示し、R101は水素原子又はC1-6アルキル基を示し、R102及びR103はC1-6アルキル基を示し、R104は水素原子、C1-6アルキル基、又はC1-6アルキルオキシカルボニル基を示す)のいずれかで表される化合物。
【請求項2】
下記の一般式(41):
【化2】

(式中、R1は水素原子又はフェノール性水酸基の保護基を示し、R21は水素原子又はアミノ基の保護基を示し、R22は水素原子又はチオール基の保護基を示し、R101は水素原子又はC1-6アルキル基を示し、R102及びR103はC1-6アルキル基を示し、R104はC1-6アルキル基を示す)で表される化合物。
【請求項3】
下記の一般式(11)ないし(17):
【化3】

(式中、R1は水素原子又はフェノール性水酸基の保護基を示し、R2は水素原子、C1-6アルキル基、又はC1-6アルキルオキシカルボニル基を示し、R4はC1-6アルキル基を示し、R5はC1-6アルキルカルボニル基を示し、R6及びR7はそれぞれ独立にフェノール性水酸基の保護基を示し、R101は水素原子又はC1-6アルキル基を示し、R102はC1-6アルキル基を示す)のいずれかで表される化合物。
【請求項4】
下記の一般式(31)ないし(35):
【化4】

(式中、R11はフェノール性水酸基の保護基を示し、R12はC1-6アルキル基を示し、R103はC1-6アルキル基を示し、R111はC1-6アルキル基を示す)のいずれかで表される化合物。
【請求項5】
エクチナサイジン743の製造用中間体として用いるための上記の一般式(1)ないし(7)、一般式(41)、一般式(11)ないし(17)、及び一般式(31)ないし(35)で表されるいずれかの化合物。
【請求項6】
上記の一般式(16)で表される化合物を製造する方法であって、上記の一般式(17)で表される化合物を水素化触媒の存在下で接触水素化する工程を含む方法。
【請求項7】
上記の一般式(14)で表される化合物を製造する方法であって、上記の一般式(15)で表される化合物を酸で処理する工程を含む方法。
【請求項8】
上記の一般式(7)で表される化合物を製造する方法であって、上記の一般式(31)で表される化合物と上記の一般式(11)で表される化合物とをパラジウム錯体の存在下で反応させる工程を含む方法。
【請求項9】
一般式(5)で表される化合物を製造する方法であって、一般式(6)で表される化合物の1,2-ジオールを酸化的に開裂する工程を含む方法。
【請求項10】
一般式(4)で表される化合物の製造方法であって、一般式(5)で表される化合物を酸で処理する工程を含む方法。

【公開番号】特開2012−116775(P2012−116775A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266281(P2010−266281)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】