説明

エコドライブ運転による燃費意識管理システム

【課題】エコドライブ運転における燃費意識を管理して燃費改善を図り、これにより環境負荷軽減の実現に寄与すること。
【解決手段】上記課題解決のため、運転操作内容から燃費改善に寄与した運転操作を解析し、その解析結果を運転記録カードに記録する一方、表示画面上にはその解析結果を表示することで、燃費改善意識を管理しかつ燃費を改善できる運転操作を学習可能としたシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車におけるエネルギー効率のよい運転操作であるエコドライブ運転により、運転者の燃費意識を管理するシステムに関するものであり、このシステムによりCO2等の排出量を減らすことで環境負荷に対する軽減も図ることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車においてエコドライブが推奨されており、そのエコドライブのための燃費等の車両の運転状態を制御するシステムも提案されている(特許文献1、2等参照)。上述のエコドライブ運転意識を保つことはCO2等の排出量削減に繋がるなど、環境負荷軽減には非常に大切なことである。燃費を改善する走行として急発進、急加速の回避、定速走行、高速段の活用、アイドリングストップなど、燃費悪化を防止すると共に、燃費が向上するエコドライブ運転が推奨されている。運転者における燃費向上意識改善のため、表示器に燃費情報を表示する表示器が提案されている(特許文献3、4参照)。なお、燃費とは単位燃料消費量当たりの走行距離である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−331380号公報
【特許文献2】特開2009−122927号公報
【特許文献3】特開2003−220851号公報
【特許文献4】特開2002−370560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エコドライブ運転の状態を単に表示器に表示することは燃費改善意識を保つことには効果はありえるものの、実際には、どのようにしてエコドライブ運転を実施するかは必ずしも容易ではない。その理由としては、燃費改善につながる運転操作の1つに、例えば、アクセル操作がある。アクセル操作は、自動車の燃費改善に重要な操作になるが、どのような態様で操作すればよいかは難しい。その他、ブレーキ操作、ハンドル操作、シフト操作等も燃費改善に関係するが、これらの運転操作を使い分けて、燃費を改善することには困難を伴う。
【0005】
本発明では、エコドライブ運転による燃費改善意識を保ちつつ、具体的にエコドライブ運転による燃費改善の実施を容易に可能となし、これにより環境負荷軽減を実現化することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エコドライブ運転による燃費意識管理システムにかかり、該システムは、運転者の運転操作を複数の運転操作項目に分けて電子記録される運転記録カードと、上記運転操作を上記項目ごとに上記運転記録カードに電子記録する運転記録手段と、上記運転記録カードに電子記録されている各項目の運転操作に対して燃費改善に寄与したか否かを解析する運転解析手段と、上記解析により運転操作における燃費改善状態を表示画面上に表示する表示手段とを具備し、上記表示画面上での表示から燃費改善に関わる運転操作の学習を可能としたことを特徴とする。
【0007】
本発明では、運転中は運転記録手段により運転者の運転状態を運転記録カードに電子記録させ、記録終了後は、運転解析手段により燃費改善に寄与した運転操作を項目ごとに解析し、燃費が改善したと判定した運転操作については表示画面上に表示するようにしたので、各運転者は表示画面に表示されている自己の運転記録から、燃費を改善できる運転操作を学習することができる結果、燃費改善意識を保ちつつ、一層のエコドライブ運転を行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運転者は、運転記録手段により運転記録カードに運転操作が記録され、運転解析手段により自動的に燃費改善に寄与できる運転操作が解析され、表示手段によりその結果が表示されるので、燃費改善に寄与できる運転操作を学習することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明の実施の形態にかかる燃費意識管理システムを実施する自動車の内部制御構成をブロックで示す図である。
【図2】図2は図1の自動車が備える運転制御装置のブロック構成を示す図である。
【図3】図3は上記表示器の内部ブロック構成を示す図である。
【図4】図4は図1の自動車の表示器にセットされる運転記録カードの内部ブロック構成を示す図である。
【図5】図5は運転操作項目と燃費改善と判定結果とを表示する表示器の表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る燃費意識管理システムを説明する。
【0011】
図1にこのシステムを実施する自動車の内部制御ブロック構成を示す。図1を参照して、自動車1においては、概略、電気自動車全体を電子制御する運転制御ユニット2と、カーナビ表示器3と、を具備する。4は運転記録カードであり、この運転記録カード4はカーナビ表示器3にセットされて使用されるようになっている。
【0012】
運転制御ユニット2は、走行や停止その他ではハンドル5や図示略のアクセルペダル等の各種操作に応答して、車輪を駆動制御するものであり、各種制御、操作、応答等の信号が入・出力する。そして、運転制御ユニット2は、カーナビ表示器3に対して燃費改善に関わる運転操作信号を出力することができるようになっている。カーナビ表示器3には運転記録カード4がセットされる。カーナビ表示器3は、運転制御ユニット2からの運転操作信号から燃費改善に寄与できる運転操作データを運転記録カード4に電子記録することができるようになっている。
【0013】
図2を参照して、運転制御ユニット2は、ハードウエア的に、CPU2a、メモリ2b、通信インターフェース2c、および入・出力インターフェース2dを具備する。CPU2aは、メモリ2bに格納するプログラムに従って自動車1全体の電子制御を司る。メモリ2bには上記プログラム以外に各種データ、特に運転操作信号を記憶することができる。通信インターフェース2cは、カーナビ表示器3と通信して必要とする運転操作信号を出力する。入・出力インターフェース2dは、自動車1内の各部との間で信号を入・出力するものであり、CPU2aは、この入・出力インターフェース2dを介して、アクセル、ブレーキ、ハンドル、シフトの各操作信号、エアコン、ライト、等の信号、運転操作に関わる信号、燃料消費信号、走行距離信号、その他の信号の入・出力を行う。
【0014】
運転制御ユニット2は、上述したように、CPU2aが処理した運転操作信号を通信インターフェース2cを介してカーナビ表示器3に出力することができるようになっている。この運転操作信号は、例えば、アクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作、シフト操作等に関わる信号である。例えばアクセル操作であれば、アクセル操作履歴と共にそのときのガソリン等の燃料消費量のデータとが運転操作信号として出力される。この運転操作信号には、アクセル操作信号以外に、ブレーキ操作、ハンドル操作、シフト操作に関わる信号、ならびに走行速度、走行時間等のデータ信号や、そのときの燃料消費量のデータ信号も含む。
【0015】
さらに、運転操作信号にはエアコン操作の信号、ライト操作の信号、その他の各種信号を含む。これらは燃費に関係するからである。
【0016】
図3(a)を参照して、カーナビ表示器3は、GPS等の所要のカーナビゲーションシステム31に加えて、実施の形態にかかる運転記録カード処理部32を具備する。カーナビゲーションシステム31は周知であるから、その詳細説明は略する。カーナビゲーションシステム31は地図案内情報を表示する表示画面31aを含む。
【0017】
運転記録カード処理部32は、ハードウエア的には、CPU3a、メモリ3b、および通信インターフェース3cを具備する。CPU3aは、メモリ3bに格納する運転記録処理プログラムに従って運転記録カード4への電子記録に関する処理を司る。メモリ3bには、上記運転記録処理プログラムに加えて、上記処理に関わるデータが記憶される。通信インターフェース3cは、運転制御ユニット2との通信および運転記録カード4への電子記録データの読み込みや該データの送信をインターフェースする。この通信インターフェース3cには図示略の運転記録カード装着口が設けられ、この運転記録カード装着口に運転記録カード4が装着されると、通信インターフェース3cを介して運転記録カード4に対してCPU3aからデータの記録、読み込み等が行われる。
【0018】
図3(b)を参照して、運転記録カード処理部32を機能的に説明する。運転記録カード処理部32は、CPU3aの運転記録処理プログラム実行機能により、複数の運転操作項目ごとに運転記録カード4に運転操作と燃費改善結果とを電子記録する運転記録手段3a1と、運転記録カード4から運転記録データを読み取る運転記録データ読み取り手段3a2と、複数の運転操作項目ごとに燃費改善に寄与した運転操作を解析する運転解析手段3a3とを構成し、上記運転解析結果をカーナビゲーションシステム31内の表示画面31aに表示させるようになっている。
【0019】
図4を参照して、運転記録カード4は、ハードウエア的に、CPU4a、メモリ4b、および通信インターフェース4cを具備する。CPU4aは、メモリ4bに格納するプログラムに従って運転操作の電子記録に関する処理を司る。メモリ4bには、上記プログラムに加えて、上記処理に関わるデータが記憶される。通信インターフェース4cは、運転制御ユニット2との通信および運転記録カード4への電子記録データの読み込みや該データの送信をインターフェースする。
【0020】
図5(a)(b)を参照して燃費改善のための運転操作の電子記録について説明する。図5(a)(b)は、カーナビ表示器3の表示画面上での上記運転操作の電子記録表示例を示す。燃費改善には、様々な条件が存在する。雨天走行、雪道走行では通常の晴天走行とは異なり、燃費が悪化する。また、高速道路、山道走行、登坂走行等でも燃費は相違する。さらに、市街地、渋滞道路でも相違する。また、運転操作では、アクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作、シフト操作でも大きく相違する。本実施の形態では、それら多数の燃費改善項目のうち、代表例として、通常の道路を晴天走行していると仮定し、アクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作、シフト操作を燃費改善項目の運転操作とする。燃費解析には、走行時間、走行距離、平均アクセル開度、停車時間、等が必要となる。本実施の形態では、説明の簡略化のため、これら燃費解析には、走行時間、走行距離を用いる。図5(a)(b)には、運転者氏名、走行時間、走行距離と共に、運転操作、燃費改善の各項目が表示されている。
【0021】
運転操作は、アクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作、シフト操作とし、図5(a)で示すカーナビ表示器3の運転操作記録画面では、すべて燃費が改善される良好な運転操作が行われていることが判り、図5(b)で示す運転操作記録画面では、アクセル操作で燃費が悪化していて全体的に燃費が改善されていないことが判る。
【0022】
以上説明したように本実施の形態では、エコドライブ運転による燃費改善意識管理システムにおいて、運転記録カード4に対して、運転者の運転を複数の運転操作項目に分けて燃費改善に寄与した運転操作を解析して電子記録すると共に、燃費改善したと判定された運転操作を表示画面に表示できるようにしたから、運転者は表示画面に表示されている自己の運転記録から、燃費が改善できる運転操作を学習することができ、これにより、燃費改善意識を保ちつつ、一層のエコドライブ運転を行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0023】
1 自動車
2 運転制御ユニット
3 カーナビ表示器
4 運転記録カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の運転操作を複数の運転操作項目に分けて電子記録される運転記録カードと、
上記運転操作を上記項目ごとに上記運転記録カードに電子記録する運転記録手段と、
上記運転記録カードに電子記録されている各項目の運転操作に対して燃費改善に寄与したか否かを解析する運転解析手段と、
上記解析により運転操作における燃費改善状態を表示画面上に表示する表示手段と、
を具備し、
上記表示画面の表示から燃費改善に関わる運転操作の学習を可能とした、ことを特徴とする燃費意識管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−133407(P2011−133407A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294304(P2009−294304)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】