説明

エコ資源スラグ有効利用システム

【課題】有害物質含有スラグを含めてスラグを直接に溶融生成加工せずに、無害化してエコロジー資源材に成生し、環境に全く負荷を与えることなく大容量の汚染水域等の浄化蘇生に有効利用する。
【解決手段】鉱石から鉄、銅、アルミニウム等の金属を製錬する工程において生成する鉱滓副産物スラグのうち、リサイクル利用不可能な有害物質含有の未利用スラグと窯業用に用いる磁器土と窯業用石英粉、アルミナ粉等の窯業用鉱物粘土とを夫々所定の割合で混練して適当大の胎土を形成する。胎土を窯業用焼却窯等で、胎土内部に釉薬液が十分に浸透できるような所定の温度で所定時間燃焼させて素焼質胎土を形成し、前記素焼質胎土に特殊天然石を砕石した粉体と、窯業用釉薬とを所定の割合で混練して製造、熟成させた釉薬液を浸透させ、再び所定の温度で所定時間燃焼させてガラス質の濾材を形成させ、有害物質含有の未利用スラグを無害化して、汚染水浄化蘇生等のエコロジー質源濾材として利用する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、エコ資源有効利用システム分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明で使用の鉱石製錬工程で生成する鋼鉄スラグ、ごみ焼却施設で発生の焼却灰スラグ、下水処理施設で発生する汚泥スラグ、火力発電施設で発生するコークス焼却残渣、家畜類排泄糞尿焼却により発生の焼却灰スラグ等は、いずれも施設内の溶融高温燃焼炉で溶融スラグに生成加工されてきた。
【0003】
さらに、用途は主として土木工事用の路盤材、コンクリート製品、埋立て用骨材、天然砂利材の代替製品等に利用されてきた。
【0004】
また、スラグをブロック状に形成のうえ浄水を目的として海洋に沈設の上、珊瑚着床用や海草着床用等に利用されてきた。
【0005】
さらに、従来の浄水材料として、特開平11−10140公開特許広報が開示されている。しかし、この水浄化材1の核部はセラミック粉体を造粒化したものである。
【0006】
また、従来の浄水装置として特開平6−134454公開特許広報が開示されている。しかし、この浄水用セラミック6a6bは、本発明で使用する鉄鋼スラグ、ごみ焼却灰スラグ、下水汚泥スラグ、火力発電焼却スラグ、家畜類排泄糞尿焼却スラグをもとに形成されたものではない。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記、スラグ類を溶融スラグに生成する工程で、製鉄工場で、生成される鉄鋼スラグ約3,800万トン(年間)のうち約39万トン相当のスラグについては、溶融スラグに生成しても重金属等の有害物質が除去しきれず有効利用方法がないため、特別産業管理廃棄物として手つかずのまま国内の工場敷地内に保有されたままになっていた。
【0008】
また、他のスラグも溶融スラグ骨材として路盤材等の代替コンクリート製品等のいわゆる陸上型土木製品として利用できても、汚染水浄化用の水域型土木製品の利用には不向きである、などの問題があった。
【0009】
さらに、スラグをブロック形成して海洋に沈設し水質浄化を図りながら海草や珊瑚の着床を試みているケースがあるが、海水温の上昇や水域汚染等の引き金が要因で期待通りの成果が得られない、などの問題があった。
【0010】
本発明は、前記した有害物質含有スラグを含めて、スラグを直接に溶融、生成せずに無害化してエコ資源材に生成し、環境に全く負荷を与えずに大容量の汚染水域の浄化蘇生等に有効利用できるようにしたシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は製鉄所において生成するスラグのうち、有効利用不可能な有害物質含有の鉄鋼スラグを溶融スラグに生成せず、窯業用に使用する磁器土及び粘土などと夫々所定の割合で混練して適当大の胎土を形成させる。
乾燥後、窯業用高温焼却炉(窯)又は既設のスラグ溶融焼却窯で所定の温度と時間で焼成して素焼胎土を形成させる。
前記、素焼き胎土内部に、あらかじめ製造しておいた釉薬液を浸透させ乾燥させる。
乾燥した胎土を再び前記高温焼却炉(窯)等で所定の高温焼却温度と時間でガラス質に焼成させて有害物質をガラス質の内部に封じ込めて固形物濾材を形成させ、外部への溶出を完全に防止させる。
【0012】
前記、有害スラグの他、リサイクル可能な鉄鋼スラグ及び,請求項2記載のごみ焼却灰スラグ、請求項3記載の下水汚泥スラグ、請求項4記載の火力発電用コークス焼却残渣スラグ等の未加工スラグも前記と同様の方法で胎土を形成の上ガラス質に高温焼成させて濾材を形成させる。
【0013】
請求項5記載の家畜類排泄糞尿燃焼スラグも前記と同様の方法で濾材を形成させるが,形成品を顆粒状に粉砕の上、土壌やコンポスト(堆肥)等と混ぜ合わせて土壌蘇生材に用いる。
【0014】
請求項6記載の海洋砂丘浸食蘇生は前記、請求項1〜4記載の形成濾材を礫大に粉砕して浸食砂と混練して礫養浜資源材として利用する。
【0015】
請求項7記載の既設下水用排水溝の浄化や悪臭除去には前記、形成濾材を籠等に内包して沈設又は懸架して使用する。
【0016】
請求項8記載の河川、池、湖沼、海洋等の浄化蘇生には、前記形成濾材をスラグ水和コンクリートと混練の上、型枠に打設してコンクリート固形物に形成させ、表面を被水に接触可能な状態に洗い出し工法、又は掻き落し工法とによって形成させたものを、汚染水域の川上から川下の海洋に至るまでを連鎖的に沈設又は懸架使用する。
【0017】
請求項9記載のインターロッキングブロックや外装タイル等の路面材においても、表面部を前記と同様の工法によって被水に接触可能な状態に形成して路面舗装材として使用する。
【0018】
請求項10記載の家畜類排泄尿濾過においては、形成させたスラグ濾材を金属製籠等に内包のうえ,汚水ピット等に懸架させ排泄尿を濾過して悪臭やBOD成分等を除去し。正常な安全処理水として排出溝に流出させる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明効果は、製鉄所で生成される鉄鋼スラグの内リサイクル不可能な有害物質含有スラグを既設スラグ溶融燃焼窯又は前記の第一工程から第五工程に至る工程によってガラス質の濾材資源を形成させ、汚染された水域に沈設投入することにより、汚染水を正常水に浄化蘇生させる効果があると共に、リサイクル不可能な有害スラグを無害化して、水質浄化資源として利用できるエコロジー効果があり、さらに既設のスラグ溶融燃焼窯を使用して浄化濾材を製造できる利点がある。
【0020】
請求項2記載の発明効果は、ごみ焼却施設から発生するダイオキシン成分含有スラグを既設のごみ焼却場燃焼窯を使用、又は前記の第一工程から第五工程に至る工程によってガラス質の濾材資源を形成させ、前記と同様に汚染された水域に沈設投入することにより、汚染水を正常水に浄化蘇生させる効果があると共に、ダイオキシン成分含有スラグを無害化して水質浄化資源に利用できるエコロジー効果があり、さらに既設のごみ焼却プラント窯を使用して浄化濾材を製造できる利点がある。
【0021】
請求項3記載の発明効果は、下水処理施設から生成の有害成分含有の未利用スラグを、既設の汚泥スラグ溶融加工燃焼窯を使用、又は前記の第一工程から第五工程に至る工程によってガラス質の濾材資源を形成させ、前記と同様に汚染された水域に沈設投入することにより、汚染水を正常水に浄化蘇生させる効果があると共に、有害成分含有の未利用汚泥スラグを無害化して水質浄化資源に利用できるエコロジー効果があり、さらに既設の汚泥スラグ溶融加工燃焼窯を使用して浄化濾材を製造できる利点がある。
【0022】
請求項4記載の発明効果は、火力発電所から発生する石炭燃焼有害コークス残渣スラグを既設の火力発電用プラント窯を使用、又は前記請求項1〜3の固形物製造の第一工程から第五工程に至る工程によってガラス質の濾材資源を形成させ、前記と同様に汚染された水域に沈設投入することにより、汚染水を正常水に浄化蘇生させる効果があると共に、有害成分含有のコークス残渣スラグを無害化して水質浄化資源に利用できるエコロジー効果があり、さらに、既設の火力発電用プラント窯を使用して浄化濾材を製造できる利点がある。
【0023】
請求項5記載の発明効果は、家畜類が排泄した糞尿塊を採取して乾燥させた後、燃焼して発生したダイオキシン等含有の焼却灰スラグを、窯業用燃焼窯を使用して、前記請求項1〜3の固形物製造の第一工程から第五工程に至る工程によってガラス質の濾材資源を形成させたものを、粉砕機等で顆粒状に粉砕して土壌蘇生用の有機鋤き込み剤に利用できる効果があり、さらに土壌に降雨した雨水によって土壌内の有害物質を浄化して無害化させる作用をもつため、地下水の汚染を防止するエコロジー効果がある。
【0024】
請求項6記載の発明効果は、前記請求項1〜5の固形物製造の第一工程から第五工程によってガラス質の濾材資源を、礫状大に形成させたものを、高潮等による海浜砂丘の浸食被害場所に礫敷きすることにより、天然の海砂を自然に礫敷上に積もらせて砂丘を元の状態に蘇生させる効果があると共に、礫状に敷きつめたエコロジー資源濾材によって、汚染された海水を浄化する利点がある。
【0025】
請求項7記載の発明効果は、前記請求項1〜5の固形物製造の第一工程から第五工程によって製造したガラス質の濾材資源を籠容器等に内包のうえ、既設のU字型溝又は下水用排水溝に沈設又は懸架して使用し、排水溝等への流入悪臭物質の除去エコロジー資源として有効利用できる。悪臭の要因物質はアンモニア、トリメチルアミン等の塩基性系物質、硫化水素系の塩化水素やメチルメカプタン、中性系物質の二硫化ジメチル、硫化ジメチル、アセトアルデヒドなどの汚染水が排水溝に流入するため、排水構内に汚泥として沈殿して外部に悪臭として放出されるが、濾材エコロジー資源が前記した悪臭物質含有水と接触することにより、分解と破壊作用によって汚染水が蘇生されるため、悪臭を除去する効果があり、設置状態を常に保つことにより、悪臭放出の再発を防ぐ利点がある。
【0026】
請求項8記載の発明効果は、前記請求項1〜5の固形物製造の第一工程から第五工程によって製造した濾材資源と製鋼工程で副産物として生成された鉄鋼スラブ及び高炉スラグの微粉末を水で混練し、水和反応によって固形形成して更に微粉砕したものと、土木建設用に使用する天然砂とを夫々所定の割合で混ぜ合わせ、水を加えて混練して適当の大きさと形状の型枠に打ち込んでコンクリート固形物を形成させ、半乾時に水圧を加えて洗い出し、又はワイヤーブラシ等で掻き落し等の工法によって混練した濾材部のみを外部に露出させ、水域沈設ブロックや波消しブロック、護岸工事用のブロック等に形成して、水源域の川上から最終流入域の川下の海洋に至るまでを連鎖的に利用して淡水や海水、汽水域等の汚染被水に接触させることによって、汚染水域の浄化蘇生ができる効果と共に、汚染物質の海洋への流入を未然に防止するエコロジー資源として有効利用できる利点がある。
【0027】
請求項9記載の発明効果は、前記請求項1〜5の固形物製造の第一工程から第五工程によって製造した濾材資源と製鋼工程で副産物として生成された鉄鋼スラブ及び高炉スラグの微粉末を水で混練し、水和反応によって固形形成して更に微粉砕したものと、土木建設用に使用する天然砂とを夫々所定の割合で混ぜ合わせ、水を加えてインターロッキングブロックやタイル形状の型枠に打ち込んで路面材を形成させ、前記と同様に水圧で洗い出し、又は掻き落し工法等によって混練した濾材部のみを外部に露出させた後、再び乾燥させた表面を研磨機などで研磨して平坦状に形成させ、通常のインターロッキングブロックや外装タイル舗装と同様の方法で、歩道等の路面の舗装材として使用することによって舗装路面のヒートアイランドの減少効果と共に、舗装路面に冠水する汚染物質等の浄化エコロジー資源として有効利用できる利点がある。
【0028】
請求項10記載の発明効果は、牛や豚等の家畜類の排泄糞尿のうち、排泄尿処理方法において、前記請求項1〜5において形成されたスラグ濾材固形物と所定量の固形物を内包させるための金網等によって濾過装置を形成して前記家畜類排泄尿の濾過をくり返し行い前記排泄尿中に含有の有害なBOD成分の低減化を図ることによって、通常実施される排泄物処理工程が簡素化できる効果がある。さらに、環境に無害の排泄尿を河川等に放流できることになるため、家畜排泄物法の管理基準に満たない小規模家畜農家の垂れ流し汚染公害を未然に防止できるエコロジー資源として有効利用できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
前記した請求項1〜10に記載の発明を実施するための最良の形態は、一部に共通する部分があるため、以下通り一括して説明する。
【0030】
本発明システムの要を司るのは胎土に被水浄化機能の役割を担う釉薬液を浸透させて高温焼成させてガラス質の濾材エコロジー資源を形成させることにある。
【0031】
しかし、本発明の汚染汚泥水の浄化還元濾材を有する濾材資源aは、従来の汚染、汚泥水の浄化還元濾材bとは,製造工程や作用,効果などが著しく異なる。
【0032】
前記した従来の濾材bを構成する陶器質核部3は第一工程で、所定量の粘土と磁器土とを1,000℃付近の高温度で所定時間焼成して陶器質に形成し、第二工程で、前記の陶器質胎土の表面部に釉薬液4を塗布し乾燥後1,200℃付近の高温度で所定時間焼成して磁器質濾材を完成させたものである。
【0033】
しかも、陶器質核部3はその表面部1に釉薬液4を塗布しただけであり,そのため胎土内部にまで釉薬液4が十分に浸透しないままの状態で形成されていた。
【0034】
その結果、前記の濾材bは高温で陶器質状に形成され、内部まで釉薬液が十分に浸透されていないため、汚染、汚泥水の浄化還元作用が劣っていたり、破損した場合は機能が十分に果たせないなどの欠点があった。
【0035】
さらに、前記の濾材bを粉砕して粉末状にして使用した場合、前記濾材bの内部に前記釉薬液が浸透されていないため機能は著しく劣ることになる。
【0036】
従って、本発明の濾材資源aは,前記した濾材bとはその製造過程や作用、効果等が著しく相違しているため、その具体的な工程を説明する。
【0037】
まず、濾材資源の要となる濾材aを形成するには、釉薬液を予め製造しておく必要があり、前記釉薬液について詳細に説明すると、以下の通りである。
【0038】
釉薬液の主成分は、例えば火山岩や玄武岩、花崗岩などの天然鉱石である。前記天然鉱石は多様な元素を豊富に含み、微細な連結多孔質構造と静電エネルギーを持ち、親水性があり、各種イオンの発生と酸化還元作用により、有害物質を無害な状態に変化させる作用がある。
【0039】
そして、珪素、アルミニウム、鉄などの分子がコロイド(小粒子状)化し、水の浄化、および活性化を促し、間接的に有害微粒生物の増殖を抑制する機能を持っている。
【0040】
本発明システムの釉薬液製造に使用する天然鉱石より検出された元素はSi、Al、Fe、Ca、K、Na、Ti、P、S、Mn、Cr、Sr、Cl、Rb、Zr、Ni、Y、Zn、Ga、As等である。
【0041】
前記の天然石はその生成過程から層状または結晶時において、水分を含有している。
【0042】
静電エネルギーを効率よく外部に放射させるために、焼成窯で約800℃以上に除去水処理を行い、含有水の結晶体を除去する必要がある。
【0043】
そのため、天然鉱石を粉砕して総合的再構築温度を基準にした焼成温度で焼成して水分除去を行う。
【0044】
これを窯業用釉薬(SrO、TiO、CoO、FeO、Fe等)を基に鉱物成分90〜95重量%と釉薬成分5〜10重量%、又は80〜95重量%釉薬成分5〜20重量%をそれぞれ配合して、混練後、熟成をさせると釉薬液が完成する。
【0045】
以上が本発明において使用する釉薬液4である。
【0046】
つぎに、汚染被水の浄化を司る胎土Pについて詳細に説明する。
【0047】
胎土の形成は、夫々のスラグ生成過程において発生したスラグに、窯業用の磁器土、窯業用粘土とにより混練して行う。
【0048】
本発明においての前記胎土pの大きさは形状的に限定はしないが、棒状若しくは球状で直径が約10mmから15mmで手作業で行う。
【0049】
胎土の混合比率は、スラグ微粉砕20〜25重量%磁器土40〜45重量%粘土40〜45重量%附近の割合で混練して形成させる。
【0050】
前記胎土を乾燥後高温焼成窯(炉)で600℃〜800℃附近の温度で12〜15時間かけて焼成させて陶器質ではなく、釉薬液が内部まで十分に浸透し易いように素焼質の胎土を形成させる。
【0051】
そして、形成後の素焼質胎土全体に前記で製造した釉薬液を内部にまで浸透させて再び乾燥させる。
【0052】
乾燥後の釉薬液浸透胎土rを再び高温焼成窯(炉)で1,200〜1,300℃附近の高温で12〜15時間かけて焼成して、ガラス質の濾材aを形成させる。その結果、前記有害物質であるスラグsがガラス質内部2に封じ込められ、外部に全く溶出しなくなる。
【0053】
高温焼成には本発明においては、窯業用で使用する焼成窯kを使用するが、スラグ溶融生成に用いる既設の焼成窯を使用できる。
【0054】
さらに、前記濾材aは、汚染、汚濁水の浄化還元用としてそのまま使用したり、あるいは粉砕して使用する。微粉砕使用した場合でも、本発明濾材aは、素焼胎土pの形成後、前記釉薬液4を内部まで隈なく浸透させるので、微粉砕末にも、汚染、汚濁水等の浄化還元機能を十分に発揮できる。
【0055】
つぎに、前記で形成させた濾材を汚染被水中に沈設して、汚染水を浄化するメカニズムについて説明する。
【0056】
本発明のスラグ類を濾材化したエコ資源濾材aは図2のように汚染水に接触させることによって、触媒反応により被処理体成分を高度に分解、破壊して有害物を無害化したり、悪臭を除去したり、汚染水を正常化させる機能を発揮する。
【0057】
さらに、濾材a全体が複数の天然鉱石を主成分とした釉薬液でガラス化されていることにより、天然鉱石と同等及びそれ以上のメカニズムをもつからである。
【0058】
さらに、本発明の濾材aの触媒反応による分解方法は、他の方法は処理能力が小さいことや遅いことに短所があるが、本発明のシステムは処理能力が大きく、しかも早いことに大きな長所がある。
【0059】
前記理由は、濾材全体に釉薬を浸透させてガラス質に高温焼成(溶融)させたことによって、釉薬液成分4が特有の赤外線エネルギーを持つことになり、その濾材a表面に特定の光波を受けると特定のところでその光波を吸収する機能を発揮するからである。
【0060】
そして、被水にも特有の光波の吸収波長があって、正常な水と汚染した水では吸収する波長が異なり、水が吸収する波長と光波の波長が合致すると共鳴を起こし、濾材の静電エネルギーが水に移行(偏角・伸縮振動)して触媒反応によって分解、破壊するためである。この作用は淡水にも海水にも同様である。
【0061】
さらに、完成した濾材aに赤外線静電エネルギー波長の存在することは「赤外線分光放射率試験」(図22)の分析で説明されている通りで、しかも、この静電エネルギーは無限であるため、濾材が消滅しない限りこのエネルギーは及ぼし続け、被水はこれを受け続けることになり、他の「付着・吸着」方法では目詰りのため、いちいち保守管理する必要があるのに対し、本発明の「分解・破壊」の方法は寿命が長く、メンテナンスが不要のため半永久的に全水域等に使用できる。
【0062】
また、本発明の濾材aは、汚染被水の浄化を目的の一つとしている理由は、近年、海水温の上昇により海洋の磯焼けが拡大して漁業被害が増大しているが,海水温の上昇要因は地球温暖化によるものだけではなく、水域汚染が海水温上昇の引き金になっていることが明らかになっているからである。
【0063】
即ち、汚染水域は、太陽熱を異常に吸収するため、プランクトンの発生率が増大し、エチゼンクラゲ等の漁害類の発生は特に、汚染海域で発生していることも明らかになっているなど、汚染水域の浄化蘇生は喫緊の課題となっているため、浄化濾材の活躍が大きく期待されている。
【0064】
そして、本発明の浄化濾材aはその使用頻度が拡大することにより、本発明に使用する無害化したスラグ類の用途が増大すると共に、従来の陸上土木型から水域土木型製品へとシフトされることによってスラグの用途価値も高まるため、「水域土木」という新しいビジネスを創出するきっかけにもなり得る。
【0065】
また、浄化濾材aは一般に籠6やネット等に内包して濾材が被水に接触可能な状態にして、水域に沈設して使用したり、排水溝9等の下水管に懸架して使用すると、浄化と共に悪臭も同時に除去する効果がある。
【0066】
また、請求項8記載のように、濾材aと水和コンクリートとを混練して成形後、濾材aが被水に接触可能な状態にコンクリート形成品7の表面を、洗い出し工法、掻き落し仕上げ27とによって露出させ形成させる。
【0067】
さらに、前記成形製品7を海洋浄化だけに使用せず図5のように海洋jに流出する全水域の川上から川下に至るまでの水域経路に連鎖的に使用することにより、海洋への汚染物質の流入を未然に防止できる効果がある。
【0068】
即ち、全水域を浄化することにより、海洋jは元の状態、つまり正常の状態に蘇生されるため、磯焼け拡大をくい止めて海藻類の繁茂を促す役割を担う効果が期待できる。
【0069】
さらに、濾材aは水域浄化のほかに請求項6記載の海洋砂丘浸食蘇生材として使用できる。
【0070】
近年の砂丘浸食は、海水上昇や高波によって発生し、全国の海洋に接する地域で毎年、160ヘクタール(東京ドーム約34個分)が浸食し続けていることが明らかになっている。
【0071】
そして、波消しブロックを設置しても浸食防止効果はないが、礫敷きすれば、礫のすき間に海砂がたまり、約2ヶ月で砂が浜に戻ってくることが明らかになっているため、本発明の濾材aをφ10〜20の礫状に形成、または形成濾材を礫状大に粉砕して敷きつめることにより、濾材aを礫養浜資材として利用できる効果がある。
【0072】
また、本発明の濾材aは、前記した洗い出し工法、掻き落し仕上げによって表面を研磨28して、インターロッキングブロック26や外装タイル29等の路面舗装材として使用ができる。
【0073】
さらに、本発明濾材aを舗装材として使用した場合、路面に冠水した汚染水を除去して河川等への汚染水の流入を未然に防止する効果が期待できる。
【0074】
また、白色スラグの素材色彩効果によって太陽熱を反射するため、大都市圏のヒートアイランド現象を低下させる効果が期待できる。
【0075】
さらに、請求項5記載の家畜類糞尿燃焼スラグを濾材aに形成したものを顆粒状21に粉砕し、土壌24に鋤込んで使用することにより、土壌蘇生材として利用できる。
【0076】
土壌24は、農薬や酸性雨等で機能を失っている。有機農業等でコンポスト22により回復させようと試みているが、土壌そのものが農薬等で損なわれているケースでは、コンポストだけでは蘇生されないのが現状である。
【0077】
そこで、本発明顆粒状濾材21は、既存畑土20、コンポスト22とを混合して、畑土20に鋤きこむと、混合土壌23となり、降雨や散水による濾材aのスペクトルが被水スペクトルに相応してコンポスト22の腐植熟成を促進させ、発酵作用によりミミズや微生物を増殖させるため、農薬等で損なわれた土壌を元の土壌に蘇生する効果が期待できる。
【0078】
また、本発明の顆粒状濾材21をさらに微粉末状にして水に混和のうえ、散水具等で撒布することにより、土壌改質と肥沃化を図ることも可能になる。25は、混合土壌23によって作付けされた農作物である。
【0079】
請求項10記載の家畜類排泄尿濾過において、本発明濾材aを濾過籠6に内包のうえ、上部から排泄尿を浸透濾過させることを2〜3回くり返すと、短時間で排泄尿の悪臭が除去できる。16は濾過ピット、17は排泄尿誘導管、18は濾過水貯蔵部、19は排水管である。
【0080】
前記、排泄尿の汚染度合いのBOD値を計測したところ、好気的バクテリアが排泄尿中の有機物を酸化分解するのに要する酸素量が原水と比較して大きく減少している結果が判明した。
これにより、家畜排泄尿の直接放流による河川等の汚染がくい止められる効果と共に、畜産業経営者や住民に対して悪臭への悩みの解消へつながる効果がある。
【0081】
さらに、本発明の実施例について、その具体的な内容を各図面に基づいて説明すると以下の通りである。
【0082】
図4は前述した通り、未利用スラグsをもとにして本発明濾材aを形成させる工程において、カゴ等に内包して使用する6と、家畜排泄尿を濾過して使用する濾過ピット16と、顆粒状に粉砕して土壌中に鋤込み使用する21と、浸食砂丘に使用する30ならびに、前記濾材aと水和コンクリートと混練して使用する成形品7と、前記混練によって形成される掻き落し27と、前記27を研磨して形成される28をそれぞれの使用目的別に図解して、本発明システム全体像をフローチャートで示したものである。
【0083】
図5は、本発明の濾材資源a及び前記濾材とコンクリートで混練成形品7等を、それぞれの水域に,連鎖的に使用することにより、それぞれの水域環境の浄化を達成させながら、最終水域の海洋水域の蘇生を実現させるシステムをイメージ図で示したものである。
【0084】
図6は、既設の下水用排水溝の蓋部10にカゴ6に濾材aを内包して懸架し、排水構内に流入する被水を浄化還元したり、前記排水構内から発生する悪臭を除去することを示したものである。この方法により、浄化や悪臭除去機能をもたない排水溝が機能をもつことになるため、排水溝から放流される排水により河川等が汚染される心配がなくなる。
【0085】
図7は、本発明濾材a及び濾材粉砕微粉末を混練のうえ、固化させて筏材11を形成させ、海水と淡水の交わる汽水域に沈設して使用することを示したものである。汽水域は魚介類が産卵する重要な場所であるが、近年、水域汚染が要因で産卵する場所がないため、魚介類減少の要因にもなっている。筏材による産卵場所設置により、魚介類は浄化蘇生された沈設筏cのすき間を利用して産卵できる利点を有している。
【0086】
図8は、濾材aとコンクリート混練形枠形成品7の掻き落しの状態27を示したものであるが、濾材表面部12を被水との接触を容易にするための工法である。河川に使用の場合は自然石と同様に並列に沈設して使用し、池や湖沼、海洋等に沈設使用のときは、積み重ねて使用することにより魚礁14が構築できる
【0087】
図9は前記の成形品7を積み重ねて沈設使用し、魚礁14を構築した状態を示したものであるが、海藻類や珊瑚の胞子等が経年により着床して藻場を形成させるため、磯焼け水域を蘇生させる効果がある。
【0088】
図10は、前記の図8で示したコンクリート混練形枠成形品7を海底にモザイク状に沈設して、龍宮城などのモザイク画を描きながら、海洋浄化と藻場蘇生を実施することで、パブリックに海洋汚染浄化訴求のメッセージ発信に役立つことができる。
【0089】
図11は、無害の鉄鋼スラグ水和コンクリートによる「イソギンチャク」をイメージして、擬似珊瑚形成品7をつくり、海洋に沈設して使用する実施例である。前記の図7の筏材形成と同様に、濾材粉砕微粉末と水和コンクリートを混練のうえ、型枠を製造して流し込んで形成させることも可能であり、植桝部の孔には濾材aを内包させることにより、海洋水域の浄化とPH値を安定させる利点がある。
【0090】
図12は、前記した擬似珊瑚形成品を海底に並列して沈設して、海底に幾何学模様の珊瑚礁を形成し、珊瑚の胞子を自然着床させることも可能である。
【0091】
図13は、無害の鉄鋼スラグ水和コンクリート又は、前記濾材aの微粉砕末と混練してコンクリート製容器を形成させ、容器内部に濾材aを内包させた状態で、池や湖沼、海洋等に沈設して夫々の浄化蘇生を図ることができる。特に、海洋は、ワカメやコンブ等の生育繁茂に不可欠の窒素やリン、鉄分等の栄養分が不足していることが明らかになっているため、前記容器内に腐植土塊やサプリメント形状の栄養分を内包して補給することが可能である。
【0092】
図14は前記のコンクリート製容器14の沈設積上げにより、魚礁を構築させることが可能である。
【0093】
図15は、使用済み古タイヤ又は廃棄タイヤ15をリサイクル活用して、湖沼や海洋等の水域に沈設させるが、古タイヤのままで使用すると、ごみとして廃棄したものと看做される恐れがあるため、タイヤ表面部には、麻材等の植物繊維材を下地材として吹付けるか、予め、海草、藻類gの刻み片を吹付け、陸上で発根させた後、濾材aを内包してパンチングメタルfで蓋をした状態で海洋等に沈設実施すると、前記のコンクリート製容器と同様のリサイクル魚礁が実現できる。
図16は前記タイヤの切欠断面を示し、15は廃棄タイヤ、gは海草藻類吹付植栽、aは濾材内包fはパンチングメタル等の蓋である。
【0094】
図17は、濾材aを使用した家畜類排泄尿濾過装置図であるが、濾材aを籠等に内包した濾過ピット16に上部から排泄尿を放流させ、排泄尿中に含有する大腸菌やBOD値を減少させる目的のものである。近年、河川等に直接排泄尿が放流されるケースが多く、河川等の汚染要因となっているが、小規模畜産農家については管理基準適用外であり、こうしたケースが後を絶たないため、当装置はこれらの小規模畜産農家の家畜類排泄尿放流手段に対応するためのものである。
【0095】
図18は、濾材aを顆粒状に粉砕21して土壌蘇生状態を示したものであり、土壌24に鋤き込んで使用することにより、土壌を農薬に頼らず自然の状態に蘇生させる目的と、降雨によって農薬が土壌を介して地下水を汚染させているため、濾材aにより土壌中の汚染水を正常な状態に還元させることを目的として実施するものである。
【0096】
図19は、濾材aを礫養浜に形成した実施例図であるが近年、高波による浸食砂丘30の被害が増大しているため、濾材aを浸食砂丘被害域に礫敷き使用することにより、砂浜の蘇生と、海洋浄水化を同時に実施し、砂丘と海洋jを元の状態にとり戻すことを目的として実施するものである。
【0097】
図20は歩行用路盤材の斜視図であるが前記の図8と同様の方法で濾材aとスラグ水和コンクリートで混練し、型枠に打ち込んで形成させた後、表面部を掻き落し27工法によって濾材aを露出させ、乾燥後に固化したものをそのままの状態でインターロッキングブロック26として使用することも可能であるが、歩行の安全性を考えて、表面部を研磨機で研磨28して平坦にした状態で使用する。
インターロッキングブロック等の路盤材への利用は混練した白色のスラグの光反応効果によって路面冷却効果のあることは以前から知られているため、都市部のヒートアイランド対応製品になり得る。
図21は、前記と同様の工法で形成された外装タイルの斜視図であり、前記と同様の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明エコ資源スラブ有効利用システムにおける第一工程から第五工程によって形成された汚泥、汚染水の浄化還元機能を有する濾材の縦断面図である。
【図2】図1の濾材が汚染水の分解と破壊活動による浄化メカニズムを図示した縦断面図である。
【図3】従来の濾材の縦断面図である。
【図4】図1の濾材が形成されるまでの工程と、当濾材が多分野に実施することが可能なシステムの全体をフローチャート化した図である。
【図5】図1の濾材及び成形品を全水域に使用した水域浄化システムフロー図である。
【図6】図1の濾材を既設の下水用排水溝に浄化使用した縦断面図である。
【図7】図1の濾材を汽水域浄化用沈設筏としての設置状態を示す斜視図である。
【図8】図1の濾材を含有するコンクリート混練形粋形式品の掻き落し状態を示す斜視図である。
【図9】図8の成形品を積み重ね使用する漁礁構築状態を示す図である。
【図10】図8の成形品を使用して形成の竜宮城の海底モザイク作画の漁礁構築実施例を示す図である。
【図11】図1の濾材を含有するコンクリート製擬似珊瑚枠成形品の斜視図である。
【図12】図11の成形品の幾何学模様の使用状態を示す平面図である。
【図13】図1の濾材を内包して形成のコンクリート製容器の沈設積上げ使用状態を示す正面図である。
【図14】図13の積上げコンクリートの斜視図である。
【図15】図1の濾材を内包する廃棄タイヤを積み上げた状態の平面図である。
【図16】図15のタイヤの一部切欠縦断面図である。
【図17】図1の濾材を使用した家畜類排泄尿濾過装置の一部切欠正面図である。
【図18】図1の濾材を顆粒状に粉砕して使用の土壌蘇生状態を示す一部切欠縦断面図である。
【図19】図1の濾材を礫養浜形成例として使用した海洋と砂浜の一部切欠縦横断面図である。
【図20】図1の濾材を含有するインターロッキングブロックの濾材研磨仕上げを施した斜視図である。
【図21】濾材を混練した陶器板を研磨仕上げした外装タイルの斜視図である。
【図22】図1の濾材の赤外線分光放射率測定試験結果を示す図である。
【図23】釉薬高温処理前の製鋼(鉄)スラグの斜視図である。
【図24】釉薬高温処理後の製鋼(鉄)スラグの斜視図である。
【図25】釉薬高温処理前の高炉スラグの斜視図である。
【図26】釉薬高温処理後の高炉スラグの斜視図である。
【図27】図24及び図26のスラグの分析結果表である。
【符号の説明】
【0099】
a 濾材
b 濾材
c 沈設筏
d 珊瑚体
e コンテナ容器
f パンチングメタル
g 海草藻類
h 海砂
j 海洋
k 燃焼窯
p 胎土
s スラグ
r 素焼胎土
1 表面部
2 内部
3 陶器質核部
4 釉薬部
5 釉薬ガラス質成分
6 籠
7 成形品
8 懸架金具
9 排水溝
10 蓋
11 筏材
12 濾材表面部
13 鉄筋
14 魚礁
15 廃棄タイヤ
16 濾過ピット
17 排泄尿誘導管
18 濾過水貯蔵
19 配水管
20 既存畑土
21 顆粒状粉砕濾材
22 コンポスト
23 混合土壌
24 土壌
25 農作物
26 インターロッキングブロック
27 掻落し仕上げ
28 研磨仕上げ
29 外装タイル
30 浸食砂丘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱石から鉄、銅、アルミニウム等の金属を製錬する工程において生成する鉱滓副産物(スラグ)のうち、リサイクル利用不可能な有害物質含有の未利用スラグと、窯業用に用いる磁器土と、窯業用石英粉、アルミナ粉等の窯業用鉱物粘土とを夫々所定の割合で混練して適当大の胎土を形成することを第一工程とし、前記を窯業用焼却窯又は既設のスラグ溶融焼却窯で胎土内部に釉薬液が十分に浸透できるような所定の温度で焼却させて素焼質胎土に形成させることを第二工程とし、特殊天然石を砕石した粉体と、窯業用釉薬とを所定の割合で混練して釉薬液を製造、熟成させることを第三工程とし、前記素焼質胎土内部に前記釉薬液を十分に浸透させた固形物とすることを第四工程とし、前記の釉薬液浸透固形物を再度、既設スラグ溶融燃焼窯又は窯業用燃焼窯で所定の温度で高温焼成させ、スラグ中に含有されている有害成分を溶融してガラス質中に封じ込めてガラス質の固形物にすることを第五工程とし、形成された固形物からなる濾材を汚染した被水域に沈設投入して正常な水に浄化蘇生を行う第六工程とからなり、前記有害物質含有未利用スラグを無害化してエコロジー資源濾材として利用できるようにしたことを特長とした、エコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項2】
可燃ごみ焼却施設において、一般ごみを燃焼する工程において発生するごみ焼却灰スラグのうち、溶融スラグ未利用の有害ダイオキシン類含有スラグと、窯業用に用いる磁器土と窯業用石英粉、アルミナ粉等の窯業用鉱物粘土とを夫々所定の割合で混練して適当大の胎土を形成することを第一工程とし、前記を窯業用焼却窯又はごみ焼却窯で胎土内部に釉薬液が十分に浸透できるような所定の温度で焼却させて素焼質胎土に形成させることを第二工程とし、特殊天然石を砕石した粉体と、窯業用釉薬とを所定の割合で混練して釉薬液を製造、熟成させることを第三工程とし、前記素焼質胎土内部に前記釉薬液を十分に浸透させた固形物とすることを第四工程とし、前記の釉薬液浸透固形物を再度窯業用又はごみ燃焼窯で所定の温度で高温焼成させ、スラグ中に含有されている有害成分を溶融してガラス質中に封じ込めてガラス質の固形物にすることを第五工程とし、形成された固形物からなる濾材を汚染した被水域に沈設投入して正常な水に浄化蘇生を行う第六工程とからなり、前記有害物質含有未利用スラグを無害化してエコロジー資源濾材として利用できるようにしたことを特長とした、エコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項3】
下水処理プラント施設において、下水汚泥を生成する工程において発生する下水汚泥スラグのうち、汚泥溶融スラグ未利用の有害成分汚泥含有スラグと、窯業用に用いる磁器土と窯業用石英粉、アルミナ粉等の窯業用鉱物粘土とを夫々所定の割合で混練して適当大の胎土を形成することを第一工程とし、前記を窯業用又は溶融加工焼却窯で胎土内部に釉薬液が十分に浸透できるような所定の温度で焼却させて素焼質胎土に形成させることを第二工程とし、特殊天然石を砕石した粉体と、窯業用釉薬とを所定の割合で混練して釉薬液を製造、熟成させることを第三工程とし、前記素焼質胎土内部に前記釉薬液を十分に浸透させた固形物とすることを第四工程とし、前記の釉薬液浸透固形物を再度窯業用又は溶融加工燃焼窯で所定の温度で高温焼成させスラグ中に含有されている有害成分を溶融してガラス質中に封じ込めてガラス質の固形物にすることを第五工程とし、形成された固形物からなる濾材を汚染した被水域に沈設投入して正常な水に浄化蘇生を行う第六工程とからなり、前記有害物質含有未利用汚泥スラグを無害化してエコロジー資源濾材として利用できるようにしたことを特長とした、エコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項4】
火力発電施設において、石炭を燃焼する工程で発生する有害成分含有のコークス焼却残渣を微粉砕加工したスラグと、前記請求項1〜3の固形物の製造工程1〜5と同様の方法又は発電用プラント窯を使用して、前記コークス焼却残渣スラグをもとに形成させた固形物からなる濾材を、汚染した被水域に沈設投入して正常な水に浄化蘇生を行い、前記有害成分含有コークススラグを無害化してエコロジー資源濾材として利用できるようにしたことを特長とした、エコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項5】
牛や豚等の家畜が排泄する有害糞尿の採取処理において乾燥、燃焼によって生成した糞尿スラグと、前記1〜4の固形物の製造工程1〜5と同様の方法で、前記家畜糞尿スラグをもとに形成させた固形物からなる濾材を顆粒状に微粉砕して土壌に鋤き込んで肥沃化させて正常な土壌蘇生を行い、前記有害成分含有の家畜糞尿スラグを無害化して、有機エコロジー資源濾材として有効利用できるようにしたことを特長としたエコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項6】
海洋砂丘侵食被害場所において、海洋砂丘残渣砂と前記請求項1〜5において形成されたスラグ固形物とを所定の割合で混ぜ合わせて砂丘浸食場所に礫敷きして、高波による浸食災害個所の蘇生と防止を行い、前記有害スラグ類を無害化したエコロジー資源濾材を礫養浜(れきようひん)資源として有効利用できるようにしたことを特長としたエコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項7】
生活排水や都市排水、工場排水等で利用する既設下水用排水溝において、前記請求項1〜5において形成されたスラグ固定物からなる濾材と、濾材を内包させるための網目袋又は金網籠等によって既設下水用排水構内に沈設若しくは懸架し、排水構内の悪臭除去と、排水構内に流入する汚染水の浄化を行い、前記有害スラブ類を無害化したエコロジー資源濾材を、既設下水用の排水溝流入汚染水除去資源として有効利用できるようにしたことを特長としたエコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項8】
河川や池、湖沼や海洋等の汚染水域において、前記請求項1〜5において形成されたスラグ固形物からなる濾材と製鋼工程で副産物として生成した鉄鋼スラグ及び高炉スラグの微粉末を水で混練し、水和反応によって固化形成して更に微粉砕したものと、土木建築用に使用する天然砂とを所定の割合で混ぜ合わせ、水を加えて混練して適当な大きさと形状の型枠に打込んでコンクリート固形物を形成させ、前記コンクリート固形物表面を半乾き時に水圧を加えて洗い出し、又はワイヤーブラシ等で掻き落し等の工法によって混練した濾材部のみを外部に露出させ、水域沈設ブロックや波消しブロック、護岸工事用ブロック等に形成して水源域の川上から最終流入域の川下の海洋に至るまでを連鎖的に使用して、淡水や海水、汽水域等の汚染被水に接触させることによって、汚染水域の浄化蘇生資源として有効利用できるようにしたことを特長としたエコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項9】
歩道などを舗装するインターロッキングブロックや外装タイルなどの路盤材において、前記請求項1〜5において形成されたスラグ濾材固形物と、前記製鋼スラグまたは水和固化体粉砕物と、前記土木建築用に使用する天然砂とを所定の割合で混ぜ合わせ、水を加えてインターロッキングブロックやタイル形状の型枠に打ち込んで路面材を形成させ、前記と同様に水圧で洗い出し、又は掻き落し工法等によって混練した濾材部のみを外部に露出させたあと再び乾燥させた表面を研磨機等で研磨して平坦状に形成させ、通常のインターロッキングブロックや外装タイル舗装と同様の方法で歩道等の路面の舗装材として使用することによって舗装路面のヒートアイランドの減少効果と、舗装路面に冠水する汚染物質等の浄化資源として有効利用できるようにしたことを特長としたエコ資源スラグ有効利用システム。
【請求項10】
牛や豚等の家畜類の排泄糞尿のうち排泄尿処理方法において、前記請求項1〜5において形成された濾材固形物と所定量の固定物を内包させるための金網などによって濾過装置を形成して前記家畜類排泄尿の濾過を繰り返し行い、前記排泄尿中に含有の有害なBOD成分等の低減化を図ることによって、通常実施される排泄物処理工程の簡素化と、無害の排泄尿の放流が行えるようにするため、前記有害スラグ類を無害化したエコロジー資源濾材を、家畜類排泄尿含有のBOD成分除去資源として利用できるようにしたことを特長としたエコ資源スラグ有効利用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−224528(P2011−224528A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110617(P2010−110617)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(591082661)有限会社日本エクステリア研究所 (3)
【Fターム(参考)】