エスカレータまたは動く歩道のための手すり
エスカレータまたは動く歩道のための手すり(2)が、手すり(3a)および嵌合されたけん引手段(9l、9b)のみからなり、欄干の頂側(7)上の誘導表面(5f〜5m)と相補的である誘導表面(11h〜11n)を有するように設計される。手すり(3a)または手すり(3a)のカバーは、耐火性、不燃性、または難燃性の材料から作製される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータまたはムービングウォークの形態の人運搬装置のための手すりに関する。
【背景技術】
【0002】
「手すり」とは、エスカレータまたはムービングウォークの(片側または)両側に配置された欄干のところにある装置であると理解される。手すりストリップまたは握りストリップは、特に、エスカレータまたはムービングウォークが動くのと同じ速度でこの欄干に沿って誘導される。それによって、握りストリップは、運搬装置上に位置し、これに乗るまたはこれから降りる人に対して支持または握り部分を提供する。
【0003】
人運搬装置の必須の構成要素として、これは、たとえば駅または百貨店などの公共施設が考えられるが、手すりは、高レベルの機能だけでなく高度の安全要求も満たさなければならない。
【0004】
手すりは、大抵けん引手段を備え、その助けを得て、駆動装置によってガイドを通して引っ張られる。ガイドは、エスカレータまたはムービングウォークの(片側または)両側に配置された欄干に沿って通っている。エスカレータに見られるような欄干を回る循環が描かれ得るように、けん引手段だけでなく、手すり自体も、可撓性になるまたは諸要素からなる必要がある。この循環は、さまざまな湾曲部および半円部または半楕円部ならびに駆動ホイールのルーピングから構成される。
【0005】
特許公開明細書の独国特許第2203178号明細書は、4つの主要な個々の部分からなる手すりを開示している。けん引手段が、第1の主要な個々の部分として示されたものである。けん引手段は、好ましくは、鋼バンドからなる。第2に、横断面がC字形であり、長手方向に個々のセグメントからなるプロファイル部材。セグメントは固定されるが、湾曲した循環を描けるように中間空間を有する。これらの中間空間は、隣接するセグメントのそれぞれ凹(後ろ)側の反対側に配設された凸型端部によって形成される。第3に、この特許公開明細書に開示された手すりは、別の、ほぼ矩形の小さいプロファイル部材を有する。この非常に短いプロファイル部材は、歯を有し、さらに連結レセプタクルが取り付けられる。けん引運搬具は、C字形とほぼ矩形の小さいプロファイル部材の間の定位置に、C字形プロファイル部材内の適切な連結要素によってクランプ締めされ、この要素は、レセプタクル内に押し込まれる。第4に、この特許公開明細書に開示された手すりは、C字形運搬具のプロファイル部材またはプロファイル部材を包む握りストリップを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第2203178号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/010181号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この手すり構成は、これほどの多くの部分または個々の部分からなることが欠点である。横断面には4つの個々の部分が存在し、長手方向の横断面には、循環経路に沿った屈曲が確実になるように多くの小さい、狭小の個々の部片が存在する。しかしながら、これほど多くの個々の部分は、コストまたは組立てコストの大きな増大だけでなく、現場での組立てにおける経費の上昇も生じさせる。長手方向部片をより少なく選択することによって個々の部分の数を低減しようとする場合、けん引手段のよじれ負荷が屈曲硬性を除々に増大させ、これは、湾曲誘導および半円誘導の低下または誘導能力の全体的な低下という結果を有する。
【0008】
この特許公開明細書の独国特許第2203178号明細書に説明された手すり構成からすると、その目的は、説明された欠点を有さない手すりを備えた人運搬装置を作り出すことにある。加えて、より経済的なものであり、人間工学的に、また握るという点で改良された手すりが、作り出されなければならない。さらに、手すりは、必要となる安全要求を維持またはさらには上回らなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、欄干上側部とガイドプロファイル部材の間に従来形成されているガイド表面が、欄干上側部と握りストリップ自体の間にも形成され得ることを認識した。本発明によれば、手すりの誘導は、握りストリップ内に一体化される。手すりは、横断面で考えて、このようにして、握りストリップおよびけん引手段の2つの個々の部分だけに低減されることができる。
【0010】
さらに、本発明によれば、握りストリップは、製造時、けん引手段を機械的にしっかりと方法で囲むように、注入され、鋳造され、または射出成形され、あるいは押し出しもされる。この機械的にしっかりとした囲い込みは、けん引手段が、(たとえば射出成形された)握りストリップおよび対応するくぼみによって機械的にしっかりと囲まれる突出部および凹部を有するようなものになり得る。しかしながら、注入および/または鋳造または押し出しまたは引き抜き成形中に、先ほど説明された突出部およびくぼみを用いない全くの表面融合自体が、この場合では、機械的なしっかりとした囲い込みとして考えられるものとする。
【0011】
本発明による握りストリップの1つの可能な実施形態は、けん引手段を省くが、このとき、1つの材料または1つの材料化合物から製造することが必要であり、この材料は、一方では、それ自体引っ張り耐性が非常に強く可撓性であり、他方では依然として安定性のものであり、そのため、手すりの駆動装置が、けん引手段によって、ただしたとえばローラ駆動装置によって引っ張ることによって機能しない。
【0012】
すでに上記で述べられたように、握りストリップは、たとえば射出成形され得る。これに関連して、握りストリップは、プラスチック材料から射出成形または鋳造されることができ、そのため、個々のセグメントからだけでなく、単体品からも長手方向に製造することを可能にする。この構造では、けん引手段は、極めて可撓性であり、容易な偏向を可能にする必要がある。この点において、工場においてシーム位置ですでに連結され、仕上がった握りストリップのリングとして組立て現場に搬送される製造の形が考慮される。しかしながら、最初からリングであり、後で握りストリップリングを形成するのに閉じられなければならない、開いた握りストリップバンドでない製造も考慮される。しかしながら、これに加えて、たとえば突出せず、平滑な連結点を確実にする重なり連結を用いることによる現場での組立ても問題になる。平滑な連結点を確実にすることは、輸送されている人に対する負傷のリスクが存在しないように、特に握りストリップの上側部上で要求される。
【0013】
握りストリップは、その横断面で見られるように、中実または半中実または中空として単一の材料から作製され得るが、ウエブによって補強された部分的に中空のプロファイル部材からも作製され得る。これに関連して、選択された材料は、要求された、または望まれる、または目的である材料の要求事項をできるだけ満足がいくように同時に実現するための有利なまたはより有利な特性を有する結合または融合を表すものである。
【0014】
長手方向の一体化設計の変形形態の場合、材料は、循環の屈曲および湾曲を描くことを可能にする上で可撓性である必要がある。しかしながら、それと同時に、材料はまた、屈曲および屈曲における交番する負荷が割れを引き起こさないように柔軟なものでなければならない。ローラ駆動装置の場合、材料は、駆動ローラ(複数可)の推力に耐える十分な摩擦強度を有する必要がある。ガイド表面は、耐摩耗性、耐擦傷性、および硬性のものでなければならず、良好な滑り特性を有さなければならない。握り部の表面は、触覚的に心地よく、しっかりした握りを可能にする必要がある。
【0015】
したがって、本発明による握りストリップの好ましい実施形態は、以前のようにその横断面では正に一体化構造のものであるが、2つ、3つ、またはそれ以上の材料を有する材料合成物からなる握りストリップが作り出されたために、部分的に相反する材料の要求をより良好に満たすことが想到される。これは、たとえば、共通の射出成形方法でそのように射出成形されたプラスチック材料の2つまたは3つの異なる種類または変形形態でもよく、たとえば、ガイド表面が、非常に良好な滑り能力を備えた高度な耐擦傷性のプラスチック材料からなり、握りストリップの残りの横断面プロファイルが、可撓性および触覚的に心地よいプラスチック材料から形成される。滑りに適合する耐摩耗性のプラスチック材料として適切であるのは、とりわけ、Hard,AustriaのFaigle社のPAS(R)−LXYである。しかしながら、PTFEまたはテフロン、またはポリテトラフルオロエチレンまたはPOM−PTFE 18 Silc2、PA6.6 PTFE 18 Silc2、PA6−PTFE 13 Silc 2、PA6.6 PTFE20、PA12 PTFE 18 Silc2、PPS PTFE15 GF30、PAI PTFE20、PPSO PTFE20、PPSU PTFE20、PPE PTFE18、POM−PTFE 18、POM−PTFE 20、POM PFTE 25なども適している。全般的に、本発明によれば、0.05から0.35、好ましくは0.10から0.15の範囲の摩擦係数を有する材料を利用することが好ましい。全般的に、好ましくは、テフロンプラスチック材料またはポリテトラフルオロエチレンプラスチック材料および/またはNANO滑りラッカーまたはNANO滑り合成材料またはNANO滑り部品またはNANO滑り粒子が使用される。
【0016】
本発明による握りストリップの別の好ましい実施形態は、3つまたはそれ以上の異なる材料の材料合成物を提供する。この点において、ガイド表面は、上記で説明されたテフロン滑り材料からなることができるが、握りストリップの土台本体領域は、構造的要求(逆屈曲の特性、引っ張り強さ)を最適に実現する材料のものであり、握りストリップの円周領域またはカバー領域は、ここでも軟質で触覚的に心地よい材料のものである。握りストリップの土台本体領域は、好ましくは、30から185N/mm2、好ましくは50から95N/mm2の範囲の屈曲強さを有するプラスチック材料から作製され、15から30N/mm2の数値もまた考えられる。
【0017】
本発明による握りストリップのカバー領域の材料特性に関して、触覚的に心地よい材料、好ましくは柔らかい感触の表面および/または発泡体表皮を有する材料が選択される。これは、一方では、接触時の触感が過度の刺激を生じさせないことを意味する。これは、たとえば、粗さ、手滑り特性、温度および熱伝導性に関するものであるが、水分および油分を吸収する能力に関するものでもある。しかしながら、他方では、握りストリップのカバー領域は、安全要求を満たさなければならない。これに関連して関係するのは、特に材料の防炎特性または防火特性、および滑り特性である。材料が滑りやすい場合、エスカレータの傾斜部内ではほとんど握り部が存在しない。それに対して、材料の滑り耐性が強すぎる場合、たとえば衣料品または鞄がこれに固着することによる、事故のリスクおよびハンドリング問題が伴う。握りストリップのカバー層は、好ましくは、0.4から8ミクロンの範囲、好ましくは2ミクロンの粗さおよび/または0.05から0.5W/mK、好ましくは0.2から0.3W/mKの範囲の比熱伝導性λを有する異なるプラスチック材料から作製される。
【0018】
基本的に、本発明による握りストリップに対しては、以下の材料:たとえばPA(ポリアミド)、PA6(Perlon(R))、POM(ポリオキシメチレン、たとえばDelrin(R))、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PAS(ポリアリーレンサルファイド)、PE(ポリエチレン)、PUR(ポリウレタン)、PP(ポリプロピレン)、PVDF(フッ化ポリビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのプラスチック材料、天然繊維または複合繊維またはGRP(ガラス繊維強化プラスチック)またはCRP(炭素繊維強化プラスチック)またはプレスセメントまたは繊維マトリクスまたはポリトロンまたはプリプレグ(含浸済み繊維)または射出成形されたセラミックまたは麻セメントまたは再利用材料またはすでに挙げられた材料の組合せが考慮され得る。
【0019】
さらに、本発明による握りストリップをそれが1つだけの材料からなるか、材料合成物からなるかに関係なく、防火性または「自己消火性」材料から構築することが想到される。Hard、AustriaのFaigle社のPAS−PVDF、またはここでは、特に、Middlebury、Vermont、USAのMonahan Filaments社のWytex(R)という名称のプラスチック材料が考慮される。
【0020】
握りストリップの材料、すなわち3つのすべての材料または特にカバー層の材料は、追加的に本発明によって以下の付随する目的を実現することができる:
静電気の防止、
遮音、
断冷および断熱、
良好な清掃および清潔度を保つことに関する衛生対策または衛生状態の要求事項の維持、だけでなく、ナノ銀粒子による材料の殺菌および浸透性の可能性、加えてカバー材料の選択的な反射化またはクロム処理または金属化。
【0021】
国際公開第2006/010181号パンフレットは、握りストリップ自体を防火性または自己消火性材料から製造するのではなく、握りストリップにコーティング剤を施すことによって、エスカレータまたはムービングウォークのための手すりの握りストリップの耐火性を改良することを開示している。どの材料または物質が改良された防火性コーティングをもたらすかは、開示されていない。
【0022】
本発明による握りストリップの横断面プロファイルは、たとえば、凸性および凹性が、載せている手の表面、たとえば閉じている親指により良好に適合するために、人間工学的に改良された構造のものになり得る。好ましい実施形態は、より小さい直径かつ下方からより握りやすいストリップが握りストリップ内に一体化されるために、子供に対して向上した握り性を提供することが想到される。
【0023】
握りストリップの表面は、粗く、平滑に、波形に、またはぎざぎざになるように構築され得る。さらに、握りストリップの表面は、コ−ティング、塗装、または色づけされることができ、あるいはPVD表面(「物理的蒸着」=物理的気相成長)として、金属化(たとえばクロムで蒸着させた)表面として、もしくはDLC(「ダイヤモンドライクカーボン」=炭素のダイヤモンドライク保護層)としてまたはプラズマ表面またはナノ表面として構築され得る。
【0024】
加えて、本発明による手すりの別の好ましい実施形態によれば、表面は、ローラ上の対応する対合ガイドまたはフランジまたは横方向のガイドがその中に嵌合する溝の形態のガイドフルートを有する。したがって、本発明による人運搬装置は、好ましい実施形態では、欄干上側部で、互いに相補的なガイド表面の機械的にしっかりと相互係合によって誘導される手すりが循環されるが、手すりは、ローラによって欄干の下面で支持される。これらのローラの少なくとも1つは、誘導ローラとして設計される。手すりの駆動は、1つまたは複数のホイールによって行うことができる。摩擦ホイールは、けん引手段が手すりストリップ内の定位置に鋳造され、したがって、強化としての役割のみを果たす、または別個のけん引手段を有さない手すりの実施形態の変形形態が関係する場合に特に好ましい。しかしながら、誘導ローラまたはローラ以外に、他の戻りガイドもまた考えられ、加えて、これは、同様に説明されたように欄干下面自体だけでなく、エスカレータまたはムービングウォークの支持構造または枠組みの領域内にくぼみが付けられた、欄干の土台領域内またはその下方にも存在する。
【0025】
欄干上側部の手すりストリップ/握りストリップの誘導に対して、すでに述べられたように、機械的に正に相互係合する相補的なガイド表面が、本発明によって、欄干上側部および握りストリップに形成される。これは、欄干上側部自体が、最少バージョンで、3つのガイド表面を有する矩形として構築されていることを意味する。このとき、これに対応する握りストリップの3つ相補的なガイド表面だけが欄干を囲むので、握りストリップが、欄干上側表面上に位置し、横方向の表面が横方向の誘導支持を与えるようになる。
【0026】
しかしながら、本発明による手すりガイドの好ましい実施形態は、握りストリップが、(誘導ローラまたはローラのフランジに対して)力を加えることによって横方向に変位され得ないことを実現する。このために、溝および鍵連結の方法で相互係合する別のガイド表面が設けられる。
【0027】
本発明によれば、欄干の側面のみに、垂直に支持もするガイド表面を有する手すりガイドを提供することも可能である。この実施形態は、特に、握りストリップの下側部と欄干上側部の間に、中間スペースが残され得るという利点を有し、それにより、手すりの循環速度は、たとえば人がそれらをきつく支持するまたは重い鞄類をその上に置く場合、減速する恐れはなくなる。
【0028】
本発明による手すりガイドの別の好ましい実施形態は、摩擦係数の増大による速度の減速を回避するために、ガイド表面内に、小さいローラまたは針状軸受または針状ローラ平ベルトまたは円筒ローラ平ベルトを提供する。
【0029】
本発明による手すりストリップの上述された実施形態は、ガイド表面を備えた欄干上側部自体の構造を開示した。しかしながら、ガイド表面無しの欄干上側部を形成すること、およびその上にガイドレールを装着することも考えられる。
【0030】
欄干上側部自体にガイド表面が装備されているか、ガイドレールがその上に装着されているかに関係なく、欄干上側部にあるガイド表面の横断面プロファイルは、正または負のものになり得る。握りストリップの下側部にあるガイド表面の横断面プロファイルは、それぞれ、ガイド表面の欄干上側部にあるガイド表面と相補的である。従来の手すりの取り付けとは反対に、ガイドがまた、欄干では負に形成され、握りストリップでは直接正に形成され得るということは、必要性および使用される材料によって捕捉のリスクがより小さい、改善されたより安全なガイドを得ようとする可能性を開く。
【0031】
本発明による手すりストリップは、すでに上記で説明されたように、長手方向に単体品または複数のセグメントからなる。個々のセグメントを備えた実施形態の場合、手すりストリップの湾曲部または偏向部で分かれる中間空間に、可撓性および可逆性の伸縮ケーシングを設けることを可能にする。しかしながら、可撓性のセグメントと可撓性および可逆性の伸縮ケーシングの組合せは、別の好ましい実施形態を表す。これは、セグメントの可撓性が、ケーシング無しの一体化握りストリップの変形形態の場合と同じ高さにならなくてもよいが、それと同時に、セグメントが可撓性であるために、ケーシングは、そのように広く開く中間空間を覆わなくてよいという利点を提供する。
【0032】
本発明による手すりの好ましい実施形態によれば、この可撓性および可逆性の伸縮ケーシングは、不燃性材料から作製される。このために、(ケーシング無しの)握りストリップ自体に関してすでに上記で説明されたように、好ましくは、Middlebury、Vermont、USAのMonahan Filaments社の合成材料Wytex(R)が使用される。難燃性合成材料のWytex(R)FR−HおよびWytex6は、特に、ハロゲンまたはリンを全く含有しない。これらの合成材料は、ナイロンまたはポリアミドのすべての有利な硬性および強さ特性を有し、加えて、毒性度、酸性度、および煙の光学濃度が非常に低いという利点も有する。さらに、材料は、自己消火性および防火性および難燃性のものである。可燃性は、0.75mm厚さにおける保険業者研究所の試験UL 94において、(Vゼロとして定められた)クラスV0に相当する。これは、単に、定められた材料の厚さの試料が、垂直に固定され、直火にさらされた後、10秒未満で自己消火することを意味する。こうして、自己消火性が証明され、極度の難燃性が与えられる。
【0033】
加えて、これらの合成材料は、顕著な電気絶縁特性を有する一方で、高い機械強さを維持する。基本材料の基本的な特徴は以下のとおりである:
密度1.16kg/dm3
Izodによる衝撃靱性 40J/m2
引き裂き/引き伸ばし強さ 75N/mm2
固有の伸び率 10%
屈曲強さ 95N/mm2
弾性率 2300N/mm2
クリープ電流強さ>600V
変形温度 190℃
酸素指数 34%
0.75mmにおけるUL94による可燃性は、V0に相当する。
毒性指数 38
煙の光学濃度 75(F)/50(IMF)Dm
煙の酸性度 8pH。
【0034】
セグメントを備えた実施形態の最後に説明された変形形態はまた、本発明によれば、けん引手段が装備され得ない。この場合、セグメント間に回転可能な連結が存在しなければならない。これは、たとえばウエブおよびその周りで閉じる結合器または爪によって確実にされ得る。しかしながら、自転車の鎖の場合のようにピンおよびピン穴によって実現される連結もまた非常に適している。
【0035】
本出願の教示と同じ出願人によって同時に出願された出願(手すりを備える、人運搬装置、特にエスカレータまたはムービングウォーク)の教示を組み合わせることができる可能性が、明示的に言及される。さらにもっとまたはそれ以上または何倍も改良された材料特性および安全特性を備えた手すりが、別の本出願人の補完出願で開示される。
【0036】
本発明による手すりの別のまたは有利な実施形態は、従属請求項の主題を形成する。
【0037】
本発明は、より詳細に象徴的にかつ図に基づいた例によって説明される。
【0038】
図は、連結的かつ全般的に説明される。同じ参照符号は、同じ構成要素を表し、異なる添え字を有する参照符号は、機能的に同等または類似の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による人運搬装置の概略図である。
【図2】本発明による手すりの図1の横断面軸A−Aに沿った横断面図である。
【図3】本発明による任意選択で設計された手すりの図1の同じ横断面軸A−Aに沿った横断面図である。
【図4】横断面図で横断面化され、材料化合物からなる、本発明による握りストリップの概略図である。
【図5a】手すりの特別な形態を示す図である。
【図5b】手すりの特別な形態を示す図である。
【図5c】手すりの特別な形態を示す図である。
【図6a】ガイドローラを用いることによる、特別に成形された握りストリップのガイドを示す図である。
【図6b】ガイドローラを用いることによる、特別に成形された握りストリップのガイドを示す図である。
【図7a】握りストリップの別の好ましい形態を示す図である。
【図7b】握りストリップの別の好ましい形態を示す図である。
【図8】湾曲部または手すり湾曲部内のセグメント隙間の変化の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
エスカレータが、図1において、人運搬装置1に関する例として極めて概略的な側面図から示されている。エスカレータは、レベルE1からレベルE2までまたはその逆に人を運搬する。このために、エスカレータは、個々のステップ22のための循環部からなる基礎構造と、欄干6を回る手すり2から実質的に形成された上部構造とを有する。したがって、握りストリップ3が、握りストリップの下側部10に形成されたガイド表面5を用いることによってガイド4または手すりガイド4内で欄干上側部7に沿って走行するために、手すり2は、ステップ22の上向きおよび下向き移動に随伴する位置にある。握りストリップ3は、たとえばローラ20a〜20c、21によって欄干の下側部19において偏向される。握りストリップ3の戻りガイドは、ここでは、欄干の下側部における任意選択のローラによって示されている。ローラ21は、調整装置23によって調整可能になる誘導ローラとして構築され、これは、両矢印を用いて示されている。少なくとも1つが駆動している2つの両側のローラから形成された駆動装置8は、握りストリップ3をガイド4およびローラ20a〜20fおよび21から形成された循環経路内で、時計方向または反時計方向の感覚でそれぞれ上向きまたは下向きの輸送方向に回転させる。横断面軸A−Aは、手すり2の上部分ならびに握りストリップ3およびガイド4または手すりガイド4を貫通して切り取られたものである。
【0041】
図2は、図1の横断面軸A−Aによる横断面図として、ガイド4または手すりガイド4が本発明によってどのように構築され得るか、すなわち欄干上側部7の欄干6cがガイド表面5a〜5eの形状で正の横断面プロファイル15aを形成している点において概略的に示している。握りストリップ3または3cは、けん引手段9cによって、長手方向14に、シートの平面に入るようにまたはそこから出るように引かれる。けん引手段9は、握りストリップ3内の対応するくぼみ13に嵌合する、けん引運搬具12の形態の突出部である。握りストリップ3は、その握りストリップの下側部10のところに、ガイド表面11a〜11gを用いることによって、負の横断面プロファイル15bを形成する。欄干6aは、中実の構造のものであるように図示されているが、中空でもよく、あるいは横断面プロファイル部材15aのように構築され得る、横断面プロファイル部材がその上に着座する上側縁上において、垂直に配設された1枚のプレートまたはシートまたはパネルまたは嵌め込みパネルまたはパネル壁のみからなることができる。けん引手段は、さまざまな形態の構造のものでよく、たとえば、ベルト、支持ベルト、鎖、アラミドベルト、歯車付きベルト、ポリ−V−ベルト、ヘリングボーン歯車付きベルト、伝達鎖などでよい。
【0042】
図3は、これもまた図1の横断面軸A−Aに対応する、欄干6bが、ガイド表面5f〜5mが負に成形された横断面プロファイル15cを形成するように、その欄干上側部7に構築されるガイド4の別の実施形態を示している。握りストリップ3aは、正の横断面プロファイル15dとしてガイド表面11h〜11nと共に形成され、2つのベルト部分、すなわち鎖部分、支持ベルト部分または歯車付きベルト部分9aおよび9bによって引っ張られる。
【0043】
図4は、一体的に形成されるが、2つまたは3つまたはそれ以上の異なる材料の材料化合物からなる握りストリップ3bを示している。握りストリップのガイド部分16は、1つの材料から形成され、握りストリップの土台領域17は別の材料から、握りストリップのカバー層18もまた、異なる基本的特性または保護特性を有し、2つの先述された材料とは異なる別の材料から形成される。
【0044】
図5aから図5cは、ここでも横断面軸A−Aによる横断面で任意選択の手すり2cを示している。欄干6c上に配置されているのは、ガイド4内に受け入れられたガイドプロファイル部材24である。けん引手段9cは、そのために形成されたレセプタクル32を用いることによって握りストリップ3c内に一体化される。握りストリップ3cは、任意選択の上側ブレーシング27aおよび27bと、下側ブレーシング28aおよび28bと、空間29aから29dまたは空洞とを有する。さらに、次の図で説明される機能を有する2つの溝25aおよび25bが、任意選択で握りストリップ3cの上側部に形成され得る。握りストリップ3cは、ガイドプロファイル部材24上へと長手方向14に押し出されまたは引っ張られ得る。図5cは、けん引手段9cが、どのようにして握り部3c内に容易にかつ簡単に収容され得るかを示している。レセプタクル32は、けん引手段9cを受け入れ、それを恒久的に収容する。
【0045】
図6aおよび図6bは、握りストリップ3cの上側部が2つの長手方向に延びる溝25aおよび25bを有する目的を示している。手すりの戻り誘導では、したがって、欄干の下側部(握りストリップ3cが、鏡像で示されている、またはその180°逆さまに回転されている)に沿って、本発明による手すりは、特にガイドローラ20または誘導ローラ20によって誘導および/または駆動もされ得る。対応するフランジまたは横方向のガイド26aおよび26bは、横方向の誘導および安定性をより良好にするためだけでなく、接触面積を増大するために溝25aおよび25b内に係合する。
【0046】
図7aおよび図7bは、特別な別の使用可能な横断面プロファイルを有する手すり2dまたは2e、握りストリップ3dおよび3eの追加の任意選択の形態を示している。図7aに示されるのは、握りストリップ3dであり、この握りストリップ3dは、横断面に、図5に示された上側部ブレーシング27aおよび27b、ならびに下側ブレーシング28aおよび28b、または空間29aから29dまたは空洞を有するが、それに加えて、上側領域内に、補強コンパートメント30を備えた二重に強化された構造および/または二重壁構造を有する。本発明によるこの実施形態は、安定性および材料の対合性に対するだけでなく、絶縁および減衰ならびに改良された触覚および強化された握り性に対しても利点をもたらす。図7bは、例として、好ましくは欄干6cの内側に配置され、たとえば子供が、ハンドストリップまたは握りストリップ上に、より安全かつより容易な握り部、保持部または保持ノブを見つけることができる、隆起部31または凸部31または子供用ハンドグリップ31を示している。
【0047】
図8は、手すり偏向領域内または手すり湾曲部内の手すり2cの握りストリップ3cの個々の手すりセグメントの傾斜変化を示している。手すりセグメントの偏向湾曲部上の角度の偏差は、最大でも1.5mmから2mmの移動変化または間隔変化を可能にし、すなわちセグメントの隙間変化は、最大でも1.5mmから2mmであり、セグメントの重複領域は、3mmから5mmで十分に寸法設定される。さらに、空隙または開放隙間の形は生じず、それにより、捕捉されるまたは挟まれるリスクは存在しない。けん引手段9cは、湾曲領域または偏向領域内の角度または間隔の変化が、容易に、直ちに、かつ簡単に可能になるような可撓性または弾性または連接型の構造のものである。握りストリップ3cの個々の手すりセグメントのけん引手段9c上へのまたはこれとの必要な固定または締め付けは、レセプタクル32によって非常に満足のいくように提供される。手すりセグメントの追加の固定は、可能であり考えられるが、省略されてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータまたはムービングウォークの形態の人運搬装置のための手すりに関する。
【背景技術】
【0002】
「手すり」とは、エスカレータまたはムービングウォークの(片側または)両側に配置された欄干のところにある装置であると理解される。手すりストリップまたは握りストリップは、特に、エスカレータまたはムービングウォークが動くのと同じ速度でこの欄干に沿って誘導される。それによって、握りストリップは、運搬装置上に位置し、これに乗るまたはこれから降りる人に対して支持または握り部分を提供する。
【0003】
人運搬装置の必須の構成要素として、これは、たとえば駅または百貨店などの公共施設が考えられるが、手すりは、高レベルの機能だけでなく高度の安全要求も満たさなければならない。
【0004】
手すりは、大抵けん引手段を備え、その助けを得て、駆動装置によってガイドを通して引っ張られる。ガイドは、エスカレータまたはムービングウォークの(片側または)両側に配置された欄干に沿って通っている。エスカレータに見られるような欄干を回る循環が描かれ得るように、けん引手段だけでなく、手すり自体も、可撓性になるまたは諸要素からなる必要がある。この循環は、さまざまな湾曲部および半円部または半楕円部ならびに駆動ホイールのルーピングから構成される。
【0005】
特許公開明細書の独国特許第2203178号明細書は、4つの主要な個々の部分からなる手すりを開示している。けん引手段が、第1の主要な個々の部分として示されたものである。けん引手段は、好ましくは、鋼バンドからなる。第2に、横断面がC字形であり、長手方向に個々のセグメントからなるプロファイル部材。セグメントは固定されるが、湾曲した循環を描けるように中間空間を有する。これらの中間空間は、隣接するセグメントのそれぞれ凹(後ろ)側の反対側に配設された凸型端部によって形成される。第3に、この特許公開明細書に開示された手すりは、別の、ほぼ矩形の小さいプロファイル部材を有する。この非常に短いプロファイル部材は、歯を有し、さらに連結レセプタクルが取り付けられる。けん引運搬具は、C字形とほぼ矩形の小さいプロファイル部材の間の定位置に、C字形プロファイル部材内の適切な連結要素によってクランプ締めされ、この要素は、レセプタクル内に押し込まれる。第4に、この特許公開明細書に開示された手すりは、C字形運搬具のプロファイル部材またはプロファイル部材を包む握りストリップを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第2203178号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/010181号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この手すり構成は、これほどの多くの部分または個々の部分からなることが欠点である。横断面には4つの個々の部分が存在し、長手方向の横断面には、循環経路に沿った屈曲が確実になるように多くの小さい、狭小の個々の部片が存在する。しかしながら、これほど多くの個々の部分は、コストまたは組立てコストの大きな増大だけでなく、現場での組立てにおける経費の上昇も生じさせる。長手方向部片をより少なく選択することによって個々の部分の数を低減しようとする場合、けん引手段のよじれ負荷が屈曲硬性を除々に増大させ、これは、湾曲誘導および半円誘導の低下または誘導能力の全体的な低下という結果を有する。
【0008】
この特許公開明細書の独国特許第2203178号明細書に説明された手すり構成からすると、その目的は、説明された欠点を有さない手すりを備えた人運搬装置を作り出すことにある。加えて、より経済的なものであり、人間工学的に、また握るという点で改良された手すりが、作り出されなければならない。さらに、手すりは、必要となる安全要求を維持またはさらには上回らなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、欄干上側部とガイドプロファイル部材の間に従来形成されているガイド表面が、欄干上側部と握りストリップ自体の間にも形成され得ることを認識した。本発明によれば、手すりの誘導は、握りストリップ内に一体化される。手すりは、横断面で考えて、このようにして、握りストリップおよびけん引手段の2つの個々の部分だけに低減されることができる。
【0010】
さらに、本発明によれば、握りストリップは、製造時、けん引手段を機械的にしっかりと方法で囲むように、注入され、鋳造され、または射出成形され、あるいは押し出しもされる。この機械的にしっかりとした囲い込みは、けん引手段が、(たとえば射出成形された)握りストリップおよび対応するくぼみによって機械的にしっかりと囲まれる突出部および凹部を有するようなものになり得る。しかしながら、注入および/または鋳造または押し出しまたは引き抜き成形中に、先ほど説明された突出部およびくぼみを用いない全くの表面融合自体が、この場合では、機械的なしっかりとした囲い込みとして考えられるものとする。
【0011】
本発明による握りストリップの1つの可能な実施形態は、けん引手段を省くが、このとき、1つの材料または1つの材料化合物から製造することが必要であり、この材料は、一方では、それ自体引っ張り耐性が非常に強く可撓性であり、他方では依然として安定性のものであり、そのため、手すりの駆動装置が、けん引手段によって、ただしたとえばローラ駆動装置によって引っ張ることによって機能しない。
【0012】
すでに上記で述べられたように、握りストリップは、たとえば射出成形され得る。これに関連して、握りストリップは、プラスチック材料から射出成形または鋳造されることができ、そのため、個々のセグメントからだけでなく、単体品からも長手方向に製造することを可能にする。この構造では、けん引手段は、極めて可撓性であり、容易な偏向を可能にする必要がある。この点において、工場においてシーム位置ですでに連結され、仕上がった握りストリップのリングとして組立て現場に搬送される製造の形が考慮される。しかしながら、最初からリングであり、後で握りストリップリングを形成するのに閉じられなければならない、開いた握りストリップバンドでない製造も考慮される。しかしながら、これに加えて、たとえば突出せず、平滑な連結点を確実にする重なり連結を用いることによる現場での組立ても問題になる。平滑な連結点を確実にすることは、輸送されている人に対する負傷のリスクが存在しないように、特に握りストリップの上側部上で要求される。
【0013】
握りストリップは、その横断面で見られるように、中実または半中実または中空として単一の材料から作製され得るが、ウエブによって補強された部分的に中空のプロファイル部材からも作製され得る。これに関連して、選択された材料は、要求された、または望まれる、または目的である材料の要求事項をできるだけ満足がいくように同時に実現するための有利なまたはより有利な特性を有する結合または融合を表すものである。
【0014】
長手方向の一体化設計の変形形態の場合、材料は、循環の屈曲および湾曲を描くことを可能にする上で可撓性である必要がある。しかしながら、それと同時に、材料はまた、屈曲および屈曲における交番する負荷が割れを引き起こさないように柔軟なものでなければならない。ローラ駆動装置の場合、材料は、駆動ローラ(複数可)の推力に耐える十分な摩擦強度を有する必要がある。ガイド表面は、耐摩耗性、耐擦傷性、および硬性のものでなければならず、良好な滑り特性を有さなければならない。握り部の表面は、触覚的に心地よく、しっかりした握りを可能にする必要がある。
【0015】
したがって、本発明による握りストリップの好ましい実施形態は、以前のようにその横断面では正に一体化構造のものであるが、2つ、3つ、またはそれ以上の材料を有する材料合成物からなる握りストリップが作り出されたために、部分的に相反する材料の要求をより良好に満たすことが想到される。これは、たとえば、共通の射出成形方法でそのように射出成形されたプラスチック材料の2つまたは3つの異なる種類または変形形態でもよく、たとえば、ガイド表面が、非常に良好な滑り能力を備えた高度な耐擦傷性のプラスチック材料からなり、握りストリップの残りの横断面プロファイルが、可撓性および触覚的に心地よいプラスチック材料から形成される。滑りに適合する耐摩耗性のプラスチック材料として適切であるのは、とりわけ、Hard,AustriaのFaigle社のPAS(R)−LXYである。しかしながら、PTFEまたはテフロン、またはポリテトラフルオロエチレンまたはPOM−PTFE 18 Silc2、PA6.6 PTFE 18 Silc2、PA6−PTFE 13 Silc 2、PA6.6 PTFE20、PA12 PTFE 18 Silc2、PPS PTFE15 GF30、PAI PTFE20、PPSO PTFE20、PPSU PTFE20、PPE PTFE18、POM−PTFE 18、POM−PTFE 20、POM PFTE 25なども適している。全般的に、本発明によれば、0.05から0.35、好ましくは0.10から0.15の範囲の摩擦係数を有する材料を利用することが好ましい。全般的に、好ましくは、テフロンプラスチック材料またはポリテトラフルオロエチレンプラスチック材料および/またはNANO滑りラッカーまたはNANO滑り合成材料またはNANO滑り部品またはNANO滑り粒子が使用される。
【0016】
本発明による握りストリップの別の好ましい実施形態は、3つまたはそれ以上の異なる材料の材料合成物を提供する。この点において、ガイド表面は、上記で説明されたテフロン滑り材料からなることができるが、握りストリップの土台本体領域は、構造的要求(逆屈曲の特性、引っ張り強さ)を最適に実現する材料のものであり、握りストリップの円周領域またはカバー領域は、ここでも軟質で触覚的に心地よい材料のものである。握りストリップの土台本体領域は、好ましくは、30から185N/mm2、好ましくは50から95N/mm2の範囲の屈曲強さを有するプラスチック材料から作製され、15から30N/mm2の数値もまた考えられる。
【0017】
本発明による握りストリップのカバー領域の材料特性に関して、触覚的に心地よい材料、好ましくは柔らかい感触の表面および/または発泡体表皮を有する材料が選択される。これは、一方では、接触時の触感が過度の刺激を生じさせないことを意味する。これは、たとえば、粗さ、手滑り特性、温度および熱伝導性に関するものであるが、水分および油分を吸収する能力に関するものでもある。しかしながら、他方では、握りストリップのカバー領域は、安全要求を満たさなければならない。これに関連して関係するのは、特に材料の防炎特性または防火特性、および滑り特性である。材料が滑りやすい場合、エスカレータの傾斜部内ではほとんど握り部が存在しない。それに対して、材料の滑り耐性が強すぎる場合、たとえば衣料品または鞄がこれに固着することによる、事故のリスクおよびハンドリング問題が伴う。握りストリップのカバー層は、好ましくは、0.4から8ミクロンの範囲、好ましくは2ミクロンの粗さおよび/または0.05から0.5W/mK、好ましくは0.2から0.3W/mKの範囲の比熱伝導性λを有する異なるプラスチック材料から作製される。
【0018】
基本的に、本発明による握りストリップに対しては、以下の材料:たとえばPA(ポリアミド)、PA6(Perlon(R))、POM(ポリオキシメチレン、たとえばDelrin(R))、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PAS(ポリアリーレンサルファイド)、PE(ポリエチレン)、PUR(ポリウレタン)、PP(ポリプロピレン)、PVDF(フッ化ポリビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのプラスチック材料、天然繊維または複合繊維またはGRP(ガラス繊維強化プラスチック)またはCRP(炭素繊維強化プラスチック)またはプレスセメントまたは繊維マトリクスまたはポリトロンまたはプリプレグ(含浸済み繊維)または射出成形されたセラミックまたは麻セメントまたは再利用材料またはすでに挙げられた材料の組合せが考慮され得る。
【0019】
さらに、本発明による握りストリップをそれが1つだけの材料からなるか、材料合成物からなるかに関係なく、防火性または「自己消火性」材料から構築することが想到される。Hard、AustriaのFaigle社のPAS−PVDF、またはここでは、特に、Middlebury、Vermont、USAのMonahan Filaments社のWytex(R)という名称のプラスチック材料が考慮される。
【0020】
握りストリップの材料、すなわち3つのすべての材料または特にカバー層の材料は、追加的に本発明によって以下の付随する目的を実現することができる:
静電気の防止、
遮音、
断冷および断熱、
良好な清掃および清潔度を保つことに関する衛生対策または衛生状態の要求事項の維持、だけでなく、ナノ銀粒子による材料の殺菌および浸透性の可能性、加えてカバー材料の選択的な反射化またはクロム処理または金属化。
【0021】
国際公開第2006/010181号パンフレットは、握りストリップ自体を防火性または自己消火性材料から製造するのではなく、握りストリップにコーティング剤を施すことによって、エスカレータまたはムービングウォークのための手すりの握りストリップの耐火性を改良することを開示している。どの材料または物質が改良された防火性コーティングをもたらすかは、開示されていない。
【0022】
本発明による握りストリップの横断面プロファイルは、たとえば、凸性および凹性が、載せている手の表面、たとえば閉じている親指により良好に適合するために、人間工学的に改良された構造のものになり得る。好ましい実施形態は、より小さい直径かつ下方からより握りやすいストリップが握りストリップ内に一体化されるために、子供に対して向上した握り性を提供することが想到される。
【0023】
握りストリップの表面は、粗く、平滑に、波形に、またはぎざぎざになるように構築され得る。さらに、握りストリップの表面は、コ−ティング、塗装、または色づけされることができ、あるいはPVD表面(「物理的蒸着」=物理的気相成長)として、金属化(たとえばクロムで蒸着させた)表面として、もしくはDLC(「ダイヤモンドライクカーボン」=炭素のダイヤモンドライク保護層)としてまたはプラズマ表面またはナノ表面として構築され得る。
【0024】
加えて、本発明による手すりの別の好ましい実施形態によれば、表面は、ローラ上の対応する対合ガイドまたはフランジまたは横方向のガイドがその中に嵌合する溝の形態のガイドフルートを有する。したがって、本発明による人運搬装置は、好ましい実施形態では、欄干上側部で、互いに相補的なガイド表面の機械的にしっかりと相互係合によって誘導される手すりが循環されるが、手すりは、ローラによって欄干の下面で支持される。これらのローラの少なくとも1つは、誘導ローラとして設計される。手すりの駆動は、1つまたは複数のホイールによって行うことができる。摩擦ホイールは、けん引手段が手すりストリップ内の定位置に鋳造され、したがって、強化としての役割のみを果たす、または別個のけん引手段を有さない手すりの実施形態の変形形態が関係する場合に特に好ましい。しかしながら、誘導ローラまたはローラ以外に、他の戻りガイドもまた考えられ、加えて、これは、同様に説明されたように欄干下面自体だけでなく、エスカレータまたはムービングウォークの支持構造または枠組みの領域内にくぼみが付けられた、欄干の土台領域内またはその下方にも存在する。
【0025】
欄干上側部の手すりストリップ/握りストリップの誘導に対して、すでに述べられたように、機械的に正に相互係合する相補的なガイド表面が、本発明によって、欄干上側部および握りストリップに形成される。これは、欄干上側部自体が、最少バージョンで、3つのガイド表面を有する矩形として構築されていることを意味する。このとき、これに対応する握りストリップの3つ相補的なガイド表面だけが欄干を囲むので、握りストリップが、欄干上側表面上に位置し、横方向の表面が横方向の誘導支持を与えるようになる。
【0026】
しかしながら、本発明による手すりガイドの好ましい実施形態は、握りストリップが、(誘導ローラまたはローラのフランジに対して)力を加えることによって横方向に変位され得ないことを実現する。このために、溝および鍵連結の方法で相互係合する別のガイド表面が設けられる。
【0027】
本発明によれば、欄干の側面のみに、垂直に支持もするガイド表面を有する手すりガイドを提供することも可能である。この実施形態は、特に、握りストリップの下側部と欄干上側部の間に、中間スペースが残され得るという利点を有し、それにより、手すりの循環速度は、たとえば人がそれらをきつく支持するまたは重い鞄類をその上に置く場合、減速する恐れはなくなる。
【0028】
本発明による手すりガイドの別の好ましい実施形態は、摩擦係数の増大による速度の減速を回避するために、ガイド表面内に、小さいローラまたは針状軸受または針状ローラ平ベルトまたは円筒ローラ平ベルトを提供する。
【0029】
本発明による手すりストリップの上述された実施形態は、ガイド表面を備えた欄干上側部自体の構造を開示した。しかしながら、ガイド表面無しの欄干上側部を形成すること、およびその上にガイドレールを装着することも考えられる。
【0030】
欄干上側部自体にガイド表面が装備されているか、ガイドレールがその上に装着されているかに関係なく、欄干上側部にあるガイド表面の横断面プロファイルは、正または負のものになり得る。握りストリップの下側部にあるガイド表面の横断面プロファイルは、それぞれ、ガイド表面の欄干上側部にあるガイド表面と相補的である。従来の手すりの取り付けとは反対に、ガイドがまた、欄干では負に形成され、握りストリップでは直接正に形成され得るということは、必要性および使用される材料によって捕捉のリスクがより小さい、改善されたより安全なガイドを得ようとする可能性を開く。
【0031】
本発明による手すりストリップは、すでに上記で説明されたように、長手方向に単体品または複数のセグメントからなる。個々のセグメントを備えた実施形態の場合、手すりストリップの湾曲部または偏向部で分かれる中間空間に、可撓性および可逆性の伸縮ケーシングを設けることを可能にする。しかしながら、可撓性のセグメントと可撓性および可逆性の伸縮ケーシングの組合せは、別の好ましい実施形態を表す。これは、セグメントの可撓性が、ケーシング無しの一体化握りストリップの変形形態の場合と同じ高さにならなくてもよいが、それと同時に、セグメントが可撓性であるために、ケーシングは、そのように広く開く中間空間を覆わなくてよいという利点を提供する。
【0032】
本発明による手すりの好ましい実施形態によれば、この可撓性および可逆性の伸縮ケーシングは、不燃性材料から作製される。このために、(ケーシング無しの)握りストリップ自体に関してすでに上記で説明されたように、好ましくは、Middlebury、Vermont、USAのMonahan Filaments社の合成材料Wytex(R)が使用される。難燃性合成材料のWytex(R)FR−HおよびWytex6は、特に、ハロゲンまたはリンを全く含有しない。これらの合成材料は、ナイロンまたはポリアミドのすべての有利な硬性および強さ特性を有し、加えて、毒性度、酸性度、および煙の光学濃度が非常に低いという利点も有する。さらに、材料は、自己消火性および防火性および難燃性のものである。可燃性は、0.75mm厚さにおける保険業者研究所の試験UL 94において、(Vゼロとして定められた)クラスV0に相当する。これは、単に、定められた材料の厚さの試料が、垂直に固定され、直火にさらされた後、10秒未満で自己消火することを意味する。こうして、自己消火性が証明され、極度の難燃性が与えられる。
【0033】
加えて、これらの合成材料は、顕著な電気絶縁特性を有する一方で、高い機械強さを維持する。基本材料の基本的な特徴は以下のとおりである:
密度1.16kg/dm3
Izodによる衝撃靱性 40J/m2
引き裂き/引き伸ばし強さ 75N/mm2
固有の伸び率 10%
屈曲強さ 95N/mm2
弾性率 2300N/mm2
クリープ電流強さ>600V
変形温度 190℃
酸素指数 34%
0.75mmにおけるUL94による可燃性は、V0に相当する。
毒性指数 38
煙の光学濃度 75(F)/50(IMF)Dm
煙の酸性度 8pH。
【0034】
セグメントを備えた実施形態の最後に説明された変形形態はまた、本発明によれば、けん引手段が装備され得ない。この場合、セグメント間に回転可能な連結が存在しなければならない。これは、たとえばウエブおよびその周りで閉じる結合器または爪によって確実にされ得る。しかしながら、自転車の鎖の場合のようにピンおよびピン穴によって実現される連結もまた非常に適している。
【0035】
本出願の教示と同じ出願人によって同時に出願された出願(手すりを備える、人運搬装置、特にエスカレータまたはムービングウォーク)の教示を組み合わせることができる可能性が、明示的に言及される。さらにもっとまたはそれ以上または何倍も改良された材料特性および安全特性を備えた手すりが、別の本出願人の補完出願で開示される。
【0036】
本発明による手すりの別のまたは有利な実施形態は、従属請求項の主題を形成する。
【0037】
本発明は、より詳細に象徴的にかつ図に基づいた例によって説明される。
【0038】
図は、連結的かつ全般的に説明される。同じ参照符号は、同じ構成要素を表し、異なる添え字を有する参照符号は、機能的に同等または類似の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による人運搬装置の概略図である。
【図2】本発明による手すりの図1の横断面軸A−Aに沿った横断面図である。
【図3】本発明による任意選択で設計された手すりの図1の同じ横断面軸A−Aに沿った横断面図である。
【図4】横断面図で横断面化され、材料化合物からなる、本発明による握りストリップの概略図である。
【図5a】手すりの特別な形態を示す図である。
【図5b】手すりの特別な形態を示す図である。
【図5c】手すりの特別な形態を示す図である。
【図6a】ガイドローラを用いることによる、特別に成形された握りストリップのガイドを示す図である。
【図6b】ガイドローラを用いることによる、特別に成形された握りストリップのガイドを示す図である。
【図7a】握りストリップの別の好ましい形態を示す図である。
【図7b】握りストリップの別の好ましい形態を示す図である。
【図8】湾曲部または手すり湾曲部内のセグメント隙間の変化の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
エスカレータが、図1において、人運搬装置1に関する例として極めて概略的な側面図から示されている。エスカレータは、レベルE1からレベルE2までまたはその逆に人を運搬する。このために、エスカレータは、個々のステップ22のための循環部からなる基礎構造と、欄干6を回る手すり2から実質的に形成された上部構造とを有する。したがって、握りストリップ3が、握りストリップの下側部10に形成されたガイド表面5を用いることによってガイド4または手すりガイド4内で欄干上側部7に沿って走行するために、手すり2は、ステップ22の上向きおよび下向き移動に随伴する位置にある。握りストリップ3は、たとえばローラ20a〜20c、21によって欄干の下側部19において偏向される。握りストリップ3の戻りガイドは、ここでは、欄干の下側部における任意選択のローラによって示されている。ローラ21は、調整装置23によって調整可能になる誘導ローラとして構築され、これは、両矢印を用いて示されている。少なくとも1つが駆動している2つの両側のローラから形成された駆動装置8は、握りストリップ3をガイド4およびローラ20a〜20fおよび21から形成された循環経路内で、時計方向または反時計方向の感覚でそれぞれ上向きまたは下向きの輸送方向に回転させる。横断面軸A−Aは、手すり2の上部分ならびに握りストリップ3およびガイド4または手すりガイド4を貫通して切り取られたものである。
【0041】
図2は、図1の横断面軸A−Aによる横断面図として、ガイド4または手すりガイド4が本発明によってどのように構築され得るか、すなわち欄干上側部7の欄干6cがガイド表面5a〜5eの形状で正の横断面プロファイル15aを形成している点において概略的に示している。握りストリップ3または3cは、けん引手段9cによって、長手方向14に、シートの平面に入るようにまたはそこから出るように引かれる。けん引手段9は、握りストリップ3内の対応するくぼみ13に嵌合する、けん引運搬具12の形態の突出部である。握りストリップ3は、その握りストリップの下側部10のところに、ガイド表面11a〜11gを用いることによって、負の横断面プロファイル15bを形成する。欄干6aは、中実の構造のものであるように図示されているが、中空でもよく、あるいは横断面プロファイル部材15aのように構築され得る、横断面プロファイル部材がその上に着座する上側縁上において、垂直に配設された1枚のプレートまたはシートまたはパネルまたは嵌め込みパネルまたはパネル壁のみからなることができる。けん引手段は、さまざまな形態の構造のものでよく、たとえば、ベルト、支持ベルト、鎖、アラミドベルト、歯車付きベルト、ポリ−V−ベルト、ヘリングボーン歯車付きベルト、伝達鎖などでよい。
【0042】
図3は、これもまた図1の横断面軸A−Aに対応する、欄干6bが、ガイド表面5f〜5mが負に成形された横断面プロファイル15cを形成するように、その欄干上側部7に構築されるガイド4の別の実施形態を示している。握りストリップ3aは、正の横断面プロファイル15dとしてガイド表面11h〜11nと共に形成され、2つのベルト部分、すなわち鎖部分、支持ベルト部分または歯車付きベルト部分9aおよび9bによって引っ張られる。
【0043】
図4は、一体的に形成されるが、2つまたは3つまたはそれ以上の異なる材料の材料化合物からなる握りストリップ3bを示している。握りストリップのガイド部分16は、1つの材料から形成され、握りストリップの土台領域17は別の材料から、握りストリップのカバー層18もまた、異なる基本的特性または保護特性を有し、2つの先述された材料とは異なる別の材料から形成される。
【0044】
図5aから図5cは、ここでも横断面軸A−Aによる横断面で任意選択の手すり2cを示している。欄干6c上に配置されているのは、ガイド4内に受け入れられたガイドプロファイル部材24である。けん引手段9cは、そのために形成されたレセプタクル32を用いることによって握りストリップ3c内に一体化される。握りストリップ3cは、任意選択の上側ブレーシング27aおよび27bと、下側ブレーシング28aおよび28bと、空間29aから29dまたは空洞とを有する。さらに、次の図で説明される機能を有する2つの溝25aおよび25bが、任意選択で握りストリップ3cの上側部に形成され得る。握りストリップ3cは、ガイドプロファイル部材24上へと長手方向14に押し出されまたは引っ張られ得る。図5cは、けん引手段9cが、どのようにして握り部3c内に容易にかつ簡単に収容され得るかを示している。レセプタクル32は、けん引手段9cを受け入れ、それを恒久的に収容する。
【0045】
図6aおよび図6bは、握りストリップ3cの上側部が2つの長手方向に延びる溝25aおよび25bを有する目的を示している。手すりの戻り誘導では、したがって、欄干の下側部(握りストリップ3cが、鏡像で示されている、またはその180°逆さまに回転されている)に沿って、本発明による手すりは、特にガイドローラ20または誘導ローラ20によって誘導および/または駆動もされ得る。対応するフランジまたは横方向のガイド26aおよび26bは、横方向の誘導および安定性をより良好にするためだけでなく、接触面積を増大するために溝25aおよび25b内に係合する。
【0046】
図7aおよび図7bは、特別な別の使用可能な横断面プロファイルを有する手すり2dまたは2e、握りストリップ3dおよび3eの追加の任意選択の形態を示している。図7aに示されるのは、握りストリップ3dであり、この握りストリップ3dは、横断面に、図5に示された上側部ブレーシング27aおよび27b、ならびに下側ブレーシング28aおよび28b、または空間29aから29dまたは空洞を有するが、それに加えて、上側領域内に、補強コンパートメント30を備えた二重に強化された構造および/または二重壁構造を有する。本発明によるこの実施形態は、安定性および材料の対合性に対するだけでなく、絶縁および減衰ならびに改良された触覚および強化された握り性に対しても利点をもたらす。図7bは、例として、好ましくは欄干6cの内側に配置され、たとえば子供が、ハンドストリップまたは握りストリップ上に、より安全かつより容易な握り部、保持部または保持ノブを見つけることができる、隆起部31または凸部31または子供用ハンドグリップ31を示している。
【0047】
図8は、手すり偏向領域内または手すり湾曲部内の手すり2cの握りストリップ3cの個々の手すりセグメントの傾斜変化を示している。手すりセグメントの偏向湾曲部上の角度の偏差は、最大でも1.5mmから2mmの移動変化または間隔変化を可能にし、すなわちセグメントの隙間変化は、最大でも1.5mmから2mmであり、セグメントの重複領域は、3mmから5mmで十分に寸法設定される。さらに、空隙または開放隙間の形は生じず、それにより、捕捉されるまたは挟まれるリスクは存在しない。けん引手段9cは、湾曲領域または偏向領域内の角度または間隔の変化が、容易に、直ちに、かつ簡単に可能になるような可撓性または弾性または連接型の構造のものである。握りストリップ3cの個々の手すりセグメントのけん引手段9c上へのまたはこれとの必要な固定または締め付けは、レセプタクル32によって非常に満足のいくように提供される。手すりセグメントの追加の固定は、可能であり考えられるが、省略されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
握りストリップ(3)と、欄干(6)の欄干上側部(7)におけるガイド表面(5)を備えたガイド(4)と、手すり(2)をガイド(4)に沿ってけん引手段(9)によって移動させる駆動装置(8)とを備える、エスカレータまたはムービングウォークのための手すり(2)であって、ケーシングが握りストリップ(3)を取り囲み、ケーシングが、少なくとも部分的に自己消火性材料および/または自己消火性プラスチック材料および/または難燃性材料および/または難燃性プラスチック材料および/または防火性材料および/または防火性プラスチック材料のものであることを特徴とする、手すり(2)。
【請求項2】
握りストリップ(3)が、その長手方向(14)のその転動円周に沿った一体化構造のものであることを特徴とする、請求項1に記載の手すり(2)。
【請求項3】
握りストリップ(3)が、その長手方向(14)の多部片および/または多部分構造のものであり、および/または個々のセグメントからなることを特徴とする、請求項1に記載の手すり(2)。
【請求項4】
握りストリップ(3)が、異なる材料または異なるプラスチック材料または材料化合物からなることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項5】
握りストリップ(3)が、完全にまたは部分的に、好ましくは5分の1から4分の3が、自己消火性プラスチック材料のものであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項6】
自己消火性プラスチック材料が、塩化物および/またはフッ化物および/またはハロゲンおよび/またはリンを全く含有しないことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項7】
着火時、自己消火性プラスチック材料が、不活性ガスおよび/または二酸化硫黄および/または亜硫酸および/またはアンモニアおよび/または酸化窒素および/または硝酸および/または硫酸および/または煤煙および/またはシアン化水素酸またはシアン化水素および/またはフッ化水素および/または塩化水素および/または臭化水素および/またはヨウ化水素および/または窒素物質および/または窒素ガスを全く放出または排出しないことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項8】
自己消火性プラスチック材料が、30から185N/mm2、ただし好ましくは50から95N/mm2の範囲の屈曲強さを有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項9】
自己消火性プラスチック材料が、30から50の範囲、好ましくは38の毒性指数を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項10】
自己消火性プラスチック材料が、400ボルトを超えるクリープ電流強さを有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項11】
0.75の厚さにおける保険業者研究所の試験UL94による可燃率が、少なくともクラスV1、好ましくはクラスV0に相当することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項12】
握りストリップ(3)が、40と78mmの間、好ましくは70と75mの間の範囲の手すりの長さまたは幅にあることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項13】
握りストリップ(3)が、34から70mm、好ましくは35と62mmの間の範囲の高さにあることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項14】
握りストリップ(3)が、70から40mmの長さおよび60から40mmの高さを備えた長円または楕円の横断面を有することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項15】
手すりが、ブレーシング(27a、27b、28a、28b)および/または空間(29aから29d)および/または空洞(29aから29b)および/または補強コンパートメント(30)を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項16】
下側部(10)に配置され、欄干上側部(7)におけるガイド表面(5a〜5m)と相補的であるガイド表面(11a〜11n)と、人運搬装置(1)、特にエスカレータまたはムービングウォークの手すり内の握りストリップ(3)内に、定位置に嵌合された、および/または定位置に押し込まれた、および/または定位置に接合された、および/または定位置にねじ込まれた、および/または定位置に一体化されたけん引手段(9、9a、9b)とを備えた長手方向の一体的または多部分の構造のものである、握りストリップ(3)における自己消火性プラスチック材料の使用。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の手すり(2)の握りストリップ(3)のケーシングにおける自己消火性プラスチック材料の使用。
【請求項1】
握りストリップ(3)と、欄干(6)の欄干上側部(7)におけるガイド表面(5)を備えたガイド(4)と、手すり(2)をガイド(4)に沿ってけん引手段(9)によって移動させる駆動装置(8)とを備える、エスカレータまたはムービングウォークのための手すり(2)であって、ケーシングが握りストリップ(3)を取り囲み、ケーシングが、少なくとも部分的に自己消火性材料および/または自己消火性プラスチック材料および/または難燃性材料および/または難燃性プラスチック材料および/または防火性材料および/または防火性プラスチック材料のものであることを特徴とする、手すり(2)。
【請求項2】
握りストリップ(3)が、その長手方向(14)のその転動円周に沿った一体化構造のものであることを特徴とする、請求項1に記載の手すり(2)。
【請求項3】
握りストリップ(3)が、その長手方向(14)の多部片および/または多部分構造のものであり、および/または個々のセグメントからなることを特徴とする、請求項1に記載の手すり(2)。
【請求項4】
握りストリップ(3)が、異なる材料または異なるプラスチック材料または材料化合物からなることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項5】
握りストリップ(3)が、完全にまたは部分的に、好ましくは5分の1から4分の3が、自己消火性プラスチック材料のものであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項6】
自己消火性プラスチック材料が、塩化物および/またはフッ化物および/またはハロゲンおよび/またはリンを全く含有しないことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項7】
着火時、自己消火性プラスチック材料が、不活性ガスおよび/または二酸化硫黄および/または亜硫酸および/またはアンモニアおよび/または酸化窒素および/または硝酸および/または硫酸および/または煤煙および/またはシアン化水素酸またはシアン化水素および/またはフッ化水素および/または塩化水素および/または臭化水素および/またはヨウ化水素および/または窒素物質および/または窒素ガスを全く放出または排出しないことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項8】
自己消火性プラスチック材料が、30から185N/mm2、ただし好ましくは50から95N/mm2の範囲の屈曲強さを有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項9】
自己消火性プラスチック材料が、30から50の範囲、好ましくは38の毒性指数を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項10】
自己消火性プラスチック材料が、400ボルトを超えるクリープ電流強さを有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項11】
0.75の厚さにおける保険業者研究所の試験UL94による可燃率が、少なくともクラスV1、好ましくはクラスV0に相当することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項12】
握りストリップ(3)が、40と78mmの間、好ましくは70と75mの間の範囲の手すりの長さまたは幅にあることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項13】
握りストリップ(3)が、34から70mm、好ましくは35と62mmの間の範囲の高さにあることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項14】
握りストリップ(3)が、70から40mmの長さおよび60から40mmの高さを備えた長円または楕円の横断面を有することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項15】
手すりが、ブレーシング(27a、27b、28a、28b)および/または空間(29aから29d)および/または空洞(29aから29b)および/または補強コンパートメント(30)を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の手すり(2)。
【請求項16】
下側部(10)に配置され、欄干上側部(7)におけるガイド表面(5a〜5m)と相補的であるガイド表面(11a〜11n)と、人運搬装置(1)、特にエスカレータまたはムービングウォークの手すり内の握りストリップ(3)内に、定位置に嵌合された、および/または定位置に押し込まれた、および/または定位置に接合された、および/または定位置にねじ込まれた、および/または定位置に一体化されたけん引手段(9、9a、9b)とを備えた長手方向の一体的または多部分の構造のものである、握りストリップ(3)における自己消火性プラスチック材料の使用。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の手すり(2)の握りストリップ(3)のケーシングにおける自己消火性プラスチック材料の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【公表番号】特表2011−520728(P2011−520728A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509915(P2011−509915)
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055426
【国際公開番号】WO2009/141223
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(390040729)インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト (166)
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055426
【国際公開番号】WO2009/141223
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(390040729)インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト (166)
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
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