説明

エスカレータ欄干照明装置およびエスカレータ欄干照明装置取付方法

【課題】移動手摺の曲線部に沿うように基板を配置することができるエスカレータ欄干照明装置を得る。
【解決手段】帯状に形成された可撓性を有する基板321、基板321に実装されたLED322、基板321が移動手摺2の曲線部23に沿って変形可能となるように基板321に対して固定されたスチールテープ323および基板321、LED322およびスチールテープ323を覆う樹脂部324を有したLEDユニット32と、欄干1に設けられ、基板321が移動手摺2の曲線部23に沿うようにスチールテープ323を吸引する磁石34とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LEDユニットを備えたエスカレータ欄干照明装置およびLEDユニットをエスカレータの欄干に取り付けるエスカレータ欄干照明装置取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状に形成された基板およびこの基板に実装された複数のLEDを有した複数のLED基板のそれぞれが基板の長手方向に一列に連結されたLEDユニットと、欄干に設けられ、移動手摺の曲線部に沿うように配置されたLEDユニットを欄干に取り付けるための取付部材とを備えたエスカレータ欄干照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−116498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板の形状が板状であるので、移動手摺の曲線部に沿うように基板を配置することができない。その結果、エスカレータ欄干照明装置の見栄えが悪いという問題点があった。
【0005】
この発明は、移動手摺の曲線部に沿うように基板を配置することができるエスカレータ欄干照明装置およびエスカレータ欄干照明装置取付方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエスカレータ欄干照明装置は、可撓性を有する基板、前記基板に実装されたLEDおよび前記基板が移動手摺の曲線部に沿って変形可能となるように前記基板に対して固定された鉄部材を有したLEDユニットと、欄干に設けられ、前記基板が前記移動手摺の前記曲線部に沿うように前記鉄部材を吸引する磁石とを備えている。
【0007】
この発明に係るエスカレータ欄干照明装置取付方法は、可撓性を有する基板、前記基板に実装されたLEDおよび前記基板が移動手摺の曲線部に沿って変形可能となるように前記基板に対して固定された鉄部材を有したLEDユニットを欄干に取り付けるエスカレータ欄干照明装置取付方法であって、前記欄干に磁石を取り付ける磁石取付工程と、前記基板が前記移動手摺の前記曲線部に沿うように、前記鉄部材を前記磁石に吸引させる鉄部材吸引工程とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るエスカレータ欄干照明装置によれば、可撓性を有する基板、この基板に実装されたLEDおよび基板が移動手摺の曲線部に沿って変形可能となるように基板に対して固定された鉄部材を有したLEDユニットと、欄干に設けられ、基板が移動手摺の曲線部に沿うように鉄部材を吸引する磁石とを備えているので、基板が移動手摺の曲線部に沿うように基板を変形させることができる。これにより、移動手摺の曲線部に沿うように基板を配置することができる。その結果、エスカレータ欄干照明装置の見栄えを良くすることができる。
【0009】
この発明に係るエスカレータ欄干照明装置取付方法によれば、可撓性を有する基板、この基板に実装されたLEDおよび基板が移動手摺の曲線部に沿って変形可能となるように基板に対して固定された鉄部材を有したLEDユニットを欄干に取り付けるエスカレータ欄干照明装置取付方法であって、欄干に磁石を取り付ける磁石取付工程と、基板が移動手摺の曲線部に沿うように、鉄部材を磁石に吸引させる鉄部材吸引工程とを備えているので、基板が移動手摺の曲線部に沿うように基板を変形させることができる。これにより、移動手摺の曲線部に沿うように基板を配置することができる。その結果、エスカレータ欄干照明装置の見栄えを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエスカレータを示す側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った矢視断面図である。
【図3】図2のLEDユニットを示す底面図である。
【図4】図2のLEDユニット上面図である。
【図5】図3のV−V線に沿った矢視断面図である。
【図6】図3のVI−VI線に沿った矢視断面図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係るエスカレータ欄干照明装置のLEDユニットを示す平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿った矢視断面図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係るエスカレータの要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の各実施の形態を図に基づいて説明するが、各図において、同一または相当の部材、部位については、同一符号を付して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエスカレータを示す側面図である。図において、下階側乗降口と上階側乗降口との間に渡って、欄干1が設けられている。欄干1には、循環移動する移動手摺2が設けられている。また、欄干1には、移動手摺2の往路側の部分に沿って延びたエスカレータ欄干照明装置3が設けられている。
【0013】
移動手摺2は、下階側乗降口および上階側乗降口のそれぞれに位置する水平部21と、各水平部21の間に位置し、水平面に対して傾斜する傾斜部22と、水平部21と傾斜部22との間に位置する曲線部23とを有している。
【0014】
図2は図1のII−II線に沿った矢視断面図である。図において、欄干1は、ガラスパネル11と、ガラスパネル11に対して固定され移動手摺2を案内する手摺ガイド12とを有している。
【0015】
エスカレータ欄干照明装置3は、ガラスパネル11に固定された照明ボックス31と、照明ボックス31に収容されたLEDユニット32と、照明ボックス31に取り付けられた照明カバー33と、手摺ガイド12に取り付けられた磁石34とを備えている。照明ボックス31の下壁には、移動手摺2に沿って延びた開口部311が形成されている。LEDユニット32は、照明ボックス31の上壁に取り付けられている。照明カバー33は、開口部311を塞いでいる。これにより、照明ボックス31内に利用者の手等が進入することを防止することができる。照明カバー33は、光が透過可能である材料から構成されている。手摺ガイド12は、照明ボックス31の上壁の上面に設けられている。つまり、手摺ガイド12は、照明ボックス31を介して、ガラスパネル11に支持されている。LEDユニット32および磁石34は、それぞれの間に手摺ガイド12および照明ボックス31が挟まれるように配置されている。
【0016】
図3は図2のLEDユニット32を示す底面図、図4は図2のLEDユニット32を示す上面図、図5は図3のV−V線に沿った矢視断面図、図6は図3のVI−VI線に沿った矢視断面図である。図において、LEDユニット32は、帯状に形成された可撓性を有する基板321と、基板321の一方の面に実装された6個のLED322と、LED322が実装された基板321の面とは反対側の面に貼り付けられた可撓性を有するスチールテープ(鉄部材)323と、基板321、LED322およびスチールテープ323を覆う樹脂部324とを有している。LED322は、基板321の長手方向に等間隔に並べて配置されている。スチールテープ323は、基板321のほぼ全面に貼り付けられている。スチールテープ323が可撓性を有しているので、基板321は、スチールテープ323が基板321に貼り付けられた場合であっても、曲線部23(図2)に沿って変形可能である。
【0017】
図2に示すように、LEDユニット32は、LED322が開口部311に対向しスチールテープ323が照明ボックス31の上壁に対向するように配置されている。LEDユニット32は、スチールテープ323が磁石34に吸引されることにより、欄干1に取り付けられている。
【0018】
次に、LEDユニット32の欄干1への取付方法について説明する。まず、磁石34を移動手摺2の曲線部23を案内する手摺ガイド12の部分に取り付ける(磁石取付工程)。その後、基板321が移動手摺2の曲線部23に沿うように、スチールテープ323を磁石34に吸引させる(鉄部材吸引工程)。以上により、LEDユニット32が欄干1に取り付けられる。
【0019】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るエスカレータ欄干照明装置3によれば、可撓性を有する基板321、この基板321に実装されたLED322および基板321が移動手摺2の曲線部23に沿って変形可能となるように基板321に対して固定されたスチールテープ323を有したLEDユニット32と、欄干1に設けられ、基板321が移動手摺2の曲線部23に沿うようにスチールテープ323を吸引する磁石34とを備えているので、基板321が移動手摺2の曲線部23に沿うように基板321を変形させることができる。これにより、移動手摺2の曲線部23に沿うように基板321を配置することができる。その結果、エスカレータ欄干照明装置3の見栄えを良くすることができる。また、欄干1に設けられた磁石34がスチールテープ323を吸引するので、LEDユニット32を欄干1に簡単に取り付けることができる。
【0020】
また、スチールテープ323は、基板321に貼り付けられているので、基板321を放熱することができる。これにより、LED322の点灯によって発生する熱が基板321に伝達する場合に、基板321の温度上昇を抑制することができる。その結果、LED322の点灯によるLED322の温度上昇を抑制することができる。
【0021】
また、LEDユニット32は、基板321が移動手摺2の曲線部23に沿って変形可能となるように基板321に対して固定された可撓性を有するスチールテープ323を有しているので、スチールテープ323が基板321の変形を抑制することが防止される。これにより、基板321が移動手摺2の曲線部23に沿うように簡単に変形させながら、LEDユニット32を欄干1に取り付けることができる。
【0022】
この発明の実施の形態1に係るエスカレータ欄干照明装置取付方法によれば、可撓性を有する基板321、この基板321に実装されたLED322および基板321が移動手摺2の曲線部23に沿って変形可能となるように基板321に対して固定されたスチールテープ323を有したLEDユニット32を欄干1に取り付けるエスカレータ欄干照明装置取付方法であって、欄干1に磁石34を取り付ける磁石取付工程と、基板321が移動手摺2の曲線部23に沿うように、スチールテープ323を磁石34に吸引させる鉄部材吸引工程とを備えているので、基板321が移動手摺2の曲線部23に沿うように基板321を変形させることができる。これにより、移動手摺2の曲線部23に沿うように基板321を配置することができる。その結果、エスカレータ欄干照明装置3の見栄えを良くすることができる。また、欄干1に設けられた磁石34がスチールテープ323を吸引するので、LEDユニット32を欄干1に簡単に取り付けることができる。
【0023】
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2に係るエスカレータ欄干照明装置3のLEDユニット32を示す平面図、図8は図7のVIII−VIII線に沿った矢視断面図である。図において、LEDユニット32は、実施の形態1に係るエスカレータ欄干照明装置3のスチールテープ323と異なり、基板321に貼り付けられた6枚の鉄板325を有している。6枚の鉄板325は、LED322が実装された基板321の面とは反対側の面に貼り付けられている。6枚の鉄板325は、基板321の長手方向に並べて配置されている。6枚の鉄板325が基板321の長手方向に並べて配置されているので、基板321は、鉄板325が基板321に貼り付けられた場合であっても、曲線部23(図2)に沿って変形可能である。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0024】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るエスカレータ欄干照明装置3によれば、LEDユニット32は、基板321が移動手摺2の曲線部23に沿って変形可能となるように基板321に対して固定され基板321の長手方向に並べて配置された6枚の鉄板325を有しているので、鉄部材325が基板321の変形を抑制することが防止される。これにより、基板321が移動手摺2の曲線部23に沿うように簡単に変形させながら、LEDユニット32を欄干1に取り付けることができる。また、LED322が実装されている基板321の部分にのみ鉄板325を貼り付けることができるので、基板321の全面にスチールテープ323を貼り付ける場合と比較して、効果的に基板321を放熱することができる。
【0025】
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3に係るエスカレータの要部を示す断面図である。図において、エスカレータ欄干照明装置3は、手摺ガイド12に設けられた保持金具35をさらに備えている。照明ボックス31に重ねられた手摺ガイド12の部分には、貫通孔121が形成されている。照明ボックス31の上壁には、貫通孔121に重ねられた貫通孔312が形成されている。保持金具35は、貫通孔121および貫通孔312を通るように配置されている。磁石34は、照明ボックス31内に配置されている。磁石34は、保持金具35に保持されている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。なお、実施の形態2のように、スチールテープ323の換わりに複数の鉄板325を基板321に貼り付けてもよい。
【0026】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係るエスカレータ欄干照明装置3によれば、手摺ガイド12に設けられた保持金具35をさらに備え、保持金具35は、照明ボックス31内に配置された磁石34を保持するので、磁石34とスチールテープ323との間の距離を近づけることができる。これにより、磁石34がスチールテープ323を吸引する力を増大させることができる。その結果、LEDユニット32を欄干1に対してより確実に取り付けることができる。
【0027】
なお、上記実施の形態3では、保持金具35を取り付けるために、手摺ガイド12に貫通孔121を形成し、照明ボックス31に貫通孔312を形成する構成について説明したが、蛍光灯装置を備えた既設のエスカレータ欄干照明装置からLEDユニット32を備えた新たなエスカレータ欄干照明装置3に交換する場合には、蛍光灯照明装置を取り付けるために既に形成された手摺ガイド12の貫通孔121および照明ボックス31の貫通孔312をそのまま流用してもよい。これにより、交換作業の効率化を図ることができる。
【0028】
また、各上記実施の形態では、基板321の面に貼り付けられるスチールテープ323または鉄板325を有したLEDユニット32の構成について説明したが、例えば、基板321が樹脂部324に覆われ、この樹脂部324に貼り付けられるスチールテープ323または鉄板325を有したLEDユニット32であってもよい。
【0029】
また、各上記実施の形態では、移動手摺2の曲線部23を案内する手摺ガイド12の部分に磁石34を取り付け、基板321が移動手摺2の曲線部23に沿うように、スチールテープ323または鉄板325を磁石34に吸引させる構成について説明したが、これに加えて、移動手摺2の水平部21または傾斜部22を案内する手摺ガイド12の部分に磁石34を取り付け、基板321が移動手摺2の水平部21または傾斜部22に沿うように、スチールテープ323または鉄板325を磁石34に吸引させる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 欄干、2 移動手摺、3 エスカレータ欄干照明装置、11 ガラスパネル、12 手摺ガイド、21 水平部、22 傾斜部、23 曲線部、31 照明ボックス、32 LEDユニット、33 照明カバー、34 磁石、35 保持金具、121 貫通孔、311 開口部、312 貫通孔、321 基板、322 LED、323 スチールテープ(鉄部材)、324 樹脂部、325 鉄板(鉄部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する基板、前記基板に実装されたLEDおよび前記基板が移動手摺の曲線部に沿って変形可能となるように前記基板に対して固定された鉄部材を有したLEDユニットと、
欄干に設けられ、前記基板が前記移動手摺の前記曲線部に沿うように前記鉄部材を吸引する磁石と
を備えたことを特徴とするエスカレータ欄干照明装置。
【請求項2】
前記鉄部材は、前記基板に貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のエスカレータ欄干照明装置。
【請求項3】
前記鉄部材は、可撓性を有するスチールテープであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエスカレータ欄干照明装置。
【請求項4】
前記鉄部材は、前記基板の長手方向に並べて配置された複数の鉄板であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエスカレータ欄干照明装置。
【請求項5】
可撓性を有する基板、前記基板に実装されたLEDおよび前記基板が移動手摺の曲線部に沿って変形可能となるように前記基板に対して固定された鉄部材を有したLEDユニットを欄干に取り付けるエスカレータ欄干照明装置取付方法であって、
前記欄干に磁石を取り付ける磁石取付工程と、
前記基板が前記移動手摺の前記曲線部に沿うように、前記鉄部材を前記磁石に吸引させる鉄部材吸引工程と
を備えたことを特徴とするエスカレータ欄干照明装置取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−60275(P2013−60275A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200290(P2011−200290)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】