説明

エステラーゼ活性を用いたStreptococcusagalactiaeの検出方法

【課題】エステラーゼ活性を用いたStreptococcus agalactiaeの検出方法の提供。
【解決手段】(i)エステラーゼ基質、及び、(ii)α−グルコシダーゼ基質、ホスファターゼ基質、β−セロビオシダーゼ基質、N−アセチルグルコサミニダーゼ基質及びβ−グルコシダーゼ基質から選択される少なくとも1つの酵素基質を含む、反応培地を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Streptococcus agalactiaeの検出及び識別の分野に関する。具体的には、本発明は、任意にα−グルコシダーゼ基質、ホスファターゼ基質、β−セロビオシダーゼ(cellobiosidase)基質又はN−アセチルグルコサミニダーゼ(acetylglucosaminidase)基質の少なくとも1つとの併用による、エステラーゼ基質の、Streptococcus agalactiaeを検出及び識別するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
連鎖球菌属は、自然界、並びに、ヒト及び動物の皮膚及び粘膜上に非常に広く存在しており、多くの感染の原因である。この細菌は遍在しており、外部環境(土、空気、水)では遊離した状態で見られ、ヒト及び動物においては腐生植物の状態又は共生状態で見られる。この細菌は、A群、C群、G群及びH群連鎖球菌及びsalivariusは鼻咽腔に、D群のfecal streptococciは腸に、並びに、B群連鎖球菌は膣腔に存在する。この細菌の病原性は非常に多様であり、当該種、及び、生体における位置に依存する。
【0003】
連鎖球菌はグラム陽性球菌であり、直径0.5〜1μmで、短鎖の形で群が区別され、かつ、移動しない。この菌はカタラーゼ陰性であって、発酵代謝性であり、任意に嫌気性であって、温度(最適増殖37℃)及びpH(最適pH7)の変化に感受性を有する。
【0004】
Streptococcus agalactiae(又は、B群連鎖球菌)は、牛の乳腺炎の原因となる主要な病原菌の1つと認識されている。ヒトにおいては、本質的に女性の生殖管(膣)の腐生植物であるが、鼻咽腔及び腸、特に直腸にも見られる。成人においては、Streptococcus agalactiaeはコロニー化しても無症候性のままであることが多いが、敗血症、肺炎、脳膜炎、関節炎、尿路感染及び深刻な化膿を引き起こす可能性がある。妊娠中又は出産後の女性が感染すると、子宮内膜炎及び不妊につながる可能性もある。
【0005】
新生児においては、子宮内で、最も一般的には出産中に子宮内で、羊水又は膣分泌物の吸入により雑菌が混入する。初期感染は、誕生直後又は誕生初期に生じることが多い。初期感染は、早産、母親の膣の膜の破裂及び強固なコロニー化によって進行する。この種の感染における死亡率は非常に高い(>50%)。晩期感染は一般的に、脳膜炎(幼児脳膜炎)及び関節炎としてあらわれる。
【0006】
特に臨月期間における罹患率(フランスでは10%、すなわち年間で妊婦少なくとも75000人)及び重篤度は公衆衛生上の問題であり、これらの理由から、Streptococcus agalactiaeの媒介についての系統的検査を、妊娠終期、理想的には34〜38週間の無月経の期間(妊娠35〜37週)に実施することが推奨される。
【0007】
選択培地、及び/又は、診断を示唆できる培地は市販されている。しかし、これらの培地には、単独ではStreptococcus agalactiaeの診断において不十分であること、並びに、B群Lancefield抗原(ラムノースが主要である多糖)の実証及び馬尿酸塩加水分解(馬尿酸塩培地)等の補足試験を実施する必要があること、といった欠点がある。
【0008】
最も一般に使用される選択培地はTodd−Hewitt培地であり、これは妊婦においてB群連鎖球菌を探索するための増菌培地である。この培地には、付随する植物相のグラム陰性微生物を非常に良好に阻害する、ナリキシディック酸(nalixidic acid)及びゲンタマイシン、又は、ナリキシディック酸、ポリミキシン及びクリスタルバイオレット等の様々な抗生物質が含まれている。
【0009】
増殖過程の終了後、抗生物質を補足したTodd−Hewitt培地を連鎖球菌探索用の培地上で経代培養する必要がある(非特許文献1参照)。
【0010】
Lim培地はTodd−Hewitt培地から派生したものであり、酵母エキス、ナリキシディック酸及びコリスチンを1%含む。
【0011】
血液を5%含むコロンビア寒天も使用することができ、これを使用すれば、特にStreptococcus agalactiaeのβ−溶血特性を実証することができる。しかし、この特性は常に明白であるわけではない:コロニーのまわりの溶血輪が狭いと、α−溶血性又はγ−溶血性の外観を示す場合がある。一方、Streptococcus agalactiaeのコロニー内においては、黄色ブドウ球菌のコロニー(Camp因子)があるために上記の特性は明らかである。
【0012】
これらの選択培地には、生化学的な試験及び/又は免疫アッセイを補助的に実施する必要があるという欠点がある。
【0013】
現在、市販されている使用準備済みの選択培地はGranada培地(Biolys社)のみであり、これを使用すれば、Streptococcus agalactiaeを直腸膣サンプルから直接分離及び識別することができる。この培地は、培地中に可溶性デンプン、プロテオースペプトンNo.3、グルコース、ピルビン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、メトトレキサート、コリスチン、クリスタルバイオレット、寒天、ウマ血清、無水NaHPO、メトロニダゾール、MOPS(モルホリノプロパンスルホン酸)半ナトリウム塩及び蒸留水を含み、かつ、嫌気条件下でインキュベートすると、Streptococcus agalactiae株によるカロテノイド顔料の生成を促進する特性を有している。従って、この培地には、Streptococcus agalactiaeの直接の検出は嫌気状態下で実施されるが、これは容易ではないという欠点がある。また、1つ以上の酵素基質を含む検出培地で、利用できるものはない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】CDC(Center for Disease Control)の推奨,MMWR(Morbidity and Mortality Weekly Report), 16 August 2002, Vol. 51, No. RR−11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
予想外にも、本出願人は、Streptococcus agalactiaeを特異的に検出して識別する際に、酵素基質、特にエステラーゼ酵素基質を使用できるということを実証した。
【0016】
とりわけ、予想外にも、本出願人は、関連方法において頻繁に遭遇する近い細菌種のうちで、Streptococcus agalactiaeのみがエステラーゼ酵素基質を早い時期(播種後18時間未満)に消費できず、従って、これらのみが、例えば早い時期に培地中でのコロニーに変化がないために、例えば発色性エステラーゼ基質を消費した際に培地中でのコロニー着色に変化がないために、着色が反応培地中に拡散せずコロニーの中に集まるが細菌増殖に害を及ぼす物質ではないために、エステラーゼ基質によって顕現化されない、ということを実証した。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、(i)エステラーゼ基質、及び、(ii)α−グルコシダーゼ基質、ホスファターゼ基質、β−セロビオシダーゼ基質、N−アセチルグルコサミニダーゼ基質及びβ−グルコシダーゼ基質から選択される少なくとも1つの酵素基質を含む、反応培地に関する。
【0018】
前記反応培地は、(i)エステラーゼ基質、及び、(ii)ホスファターゼ基質又はα−グルコシダーゼ基質
を含むことが好ましい。
【0019】
前記反応培地は、さらに、(iii)β−セロビオシダーゼ基質、N−アセチルグルコサミニダーゼ基質及びβ−グルコシダーゼ基質から選択される酵素基質を含むことが好ましい。
【0020】
前記酵素基質のそれぞれの濃度が10〜2000mg/lであることが好ましい。
【0021】
前記反応培地は、リン酸塩溶液を更に含むことが好ましい。
【0022】
リン酸塩溶液がNaHPO溶液、又はKHPO溶液であることが好ましい。
【0023】
前記反応培地は、さらに、望ましくない菌株の増殖を阻害又は制限するための阻害剤の混合物を含むことが好ましい。
【0024】
阻害剤が抗生物質であることが好ましい。
【0025】
抗生物質がアズトレオナム及びアンホテリシンBであることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
Streptococcus agalactiaeを特異的に検出及び識別することを可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0027】
従って、この酵素基質には、上記の利点以外にも、早い時期に、特に約18〜20時間インキュベートした後で、差異の非常にはっきりとした結果を読み取ることができるという利点がある。
【0028】
従って、本発明の主題は、Streptococcus agalactiaeを特異的に検出及び識別する方法であって、少なくとも1つのエステラーゼ酵素基質を含む反応培地を使用することを特徴とする方法である。本発明の目的について好適なエステラーゼ酵素基質は、上記の酵素活性を実証できる、当業者に公知の任意の基質である。例えば、このような基質は、発色性であっても蛍光性であってもよく、例えばBIOSYNTH社のカタログ(“Substrates and Reagents”又はwww.biosynth.com)又はGLYCOSYNTH社のカタログ(“enzyme substrates catalog”又はwww.glycosynth.co.uk)に記載されている。
【0029】
エステラーゼ基質の一例としては、インドキシルオクタノエート、インドキシルノナノエート又はインドキシルデカノエート誘導体、好ましくはインドキシルオクタノエート誘導体、より好ましくはそれらのハロゲン化誘導体、更に好ましくは、読み取りの特に早い5−ブロモ−6−クロロ−3−インドキシルオクタノエート及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシルオクタノエート等の塩素化又は臭素化誘導体を挙げることができる。
【0030】
24時間インキュベートした後でエステラーゼ活性がわずかに観察されたため(活性は0〜4の間で0.6未満)、Streptococcus agalactiaeの検出は少なくとも1つの他の酵素基質を添加することによって改良される可能性がある。Streptococcus agalactiaeはエステラーゼ基質を消費しない又はほとんど消費しないという特有の特性を有するため、Streptococcus agalactiae及び他の種が他の酵素基質を消費するかしないかによる違いはない。また、Streptococcus agalactiaeはエステラーゼ基質をほとんど消費しないため、得られるコロニーの外観はほとんど変化しないので、本発明者らは、Streptococcus agalactiaeはエステラーゼ基質を消費できないとのみ以下に示す。
【0031】
従って、一実施形態によれば、本発明の方法は、エステラーゼ基質以外の酵素基質も含む反応培地を使用する。
【0032】
エステラーゼ基質以外(非エステラーゼ基質)で本発明の目的について好適な酵素基質は、菌株に消費された際に、エステラーゼ基質が消費された際に得られるコロニーの外観とは異なる外観を呈するコロニーが得られるような、任意の基質である。上記外観の差異は、例えば着色の差異である。また、この非エステラーゼ基質は、菌株がこの非エステラーゼ基質及びエステラーゼ基質の両方を消費する場合に(Streptococcus agalactiae以外の菌株)、得られるコロニーの外観(例えば着色)はStreptococcus agalactiaeのコロニーの外観とは異なる。特に、エステラーゼ基質、及び、Streptococcus agalactiae株が消費できる非エステラーゼ基質の両方を反応培地中で併用すると、Streptococcus agalactiae株はエステラーゼに対して陰性かつ非エステラーゼ基質に対して陽性であり(−/+と記号化でき、等式の始めの部分はエステラーゼ基質に相当し、次の部分は非エステラーゼ基質に相当する)、他の菌株はエステラーゼ基質のみを消費する場合もあれば(+/−である)、エステラーゼ基質及び非エステラーゼ基質の両方を消費する場合もある(+/+である)。同様に、エステラーゼ基質、及び、Streptococcus agalactiae株が消費できない非エステラーゼ基質の両方を反応培地中で併用すると、Streptococcus agalactiae株はエステラーゼに対して陰性かつ非エステラーゼ基質に対しても陰性であり(−/−である)、他の菌株はエステラーゼ基質のみを消費する場合もあれば(+/−である)、エステラーゼ基質及び非エステラーゼ基質の両方を消費する場合もある(+/+である)。要約すると、Streptococcus agalactiae株は常に−/+又は−/−であり、他方の種は常に+/−又は+/+である。
【0033】
従って、例えば、目的のコロニーに消費されるとコロニーが青く着色するような発色性エステラーゼ基質を、目的のコロニーに消費されるとコロニーがピンク色に着色するような他の発色性酵素基質と併用すると、4とおりの着色が得られるであろう:ピンク色、又は、無色から薄青色、又は、青色、又は、紫色(ピンク色+青色)。ピンク色の着色及び無色から薄青色の外観は、以下のように、Streptococcus agalactiaeのみに特有である:この株が非エステラーゼ基質を消費できてコロニーがピンク色になる(−/+株)、又は、この株が非エステラーゼ基質を消費できずコロニーは無色のままか薄青色になる(−/−株)。青及び青紫色の着色は、以下のように他の種を表す:この株がエステラーゼ基質のみを消費できて青色になる(+/−株)、又は、この株がエステラーゼ基質及び他の酵素基質の両方を消費できてピンク色+青色(すなわち青紫色)になる(+/+株)。
【0034】
同様に、例えば、目的のコロニーに消費されると蛍光が消光するような蛍光吸収性エステラーゼ基質を、目的のコロニーに消費されるとコロニーが蛍光性になるような他の蛍光性酵素基質と併用すると(後者の基質はStreptococcus agalactiaeに消費される)、2通りの着色が得られるであろう:蛍光性コロニー、又は、弱〜非蛍光性のコロニー。この種はエステラーゼ基質以外の酵素基質のみを消費できるため、蛍光性コロニーはStreptococcus agalactiaeを表すのみである。弱〜非蛍光性のコロニーは、以下のように他の種を表す:この株がエステラーゼ基質のみを消費できて非蛍光性である、又は、この株がエステラーゼ基質及び他の酵素基質の両方を消費できて弱〜非蛍光性である。
【0035】
エステラーゼ基質以外で本発明の目的について好適な上記基質の例としては、α−グルコシダーゼ基質、ホスファターゼ基質、β−セロビオシダーゼ基質、N−アセチルグルコサミニダーゼ基質及びβ−グルコシダーゼ基質が含まれる。
【0036】
従って、別の実施形態によれば、本発明の方法は、反応培地として、エステラーゼ基質に加えて、α−グルコシダーゼ基質、ホスファターゼ基質、β−セロビオシダーゼ基質、N−アセチルグルコサミニダーゼ基質及びβ−グルコシダーゼ基質から選択される少なくとも1つの酵素基質を含む反応培地を使用する。
【0037】
エステラーゼ基質、及び、α−グルコシダーゼ基質、ホスファターゼ基質及びβ−セロビオシダーゼ基質から選択される少なくとも1つの酵素基質を含む又はこれからなる反応培地は新規であり、本発明の別の主題を構成する。
【0038】
本発明の目的について好適なα−グルコシダーゼ酵素基質は、上記の酵素活性を実証できる、当業者に公知の任意の基質である。例えば、このような基質は、発色性であっても蛍光型であってもよく、例えばBIOSYNTH社のカタログ(“Substrates and Reagents”又はwww.biosynth.com)又はGLYCOSYNTH社のカタログ(“enzyme substrates catalog”又はwww.glycosynth.co.uk)に記載されている。
【0039】
α−グルコシダーゼ基質の例としては、インドキシル誘導体に基づく基質、ウンベリフェロン誘導体に基づく基質及びナフトール誘導体に基づく基質を挙げることができる。
【0040】
好ましくは、本発明の目的について好適なα−グルコシダーゼ酵素基質は、インドキシル誘導体に基づく基質である。
【0041】
上記インドキシル誘導体の例としては、3−インドリル−α−D−グルコピラノシドの誘導体、好ましくはこれらの化合物のハロゲン化誘導体が含まれる。3−インドリル−α−D−グルコピラノシドのハロゲン化誘導体の例としては、6−ブロモ−3−インドリル−α−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−α−グルコピラノシド及び6−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコピラノシドを挙げることができ、後者の化合物が特に好ましい。
【0042】
本発明の目的について好適なホスファターゼ酵素基質は、上記の酵素活性を実証できる、当業者に公知の任意の基質である。例えば、このような基質は、発色性であっても蛍光性であってもよく、例えばBIOSYNTH社のカタログ(“Substrates and Reagents”又はwww.biosynth.com)に記載されている。
【0043】
ホスファターゼ基質の例としては、インドリル誘導体に基づく基質、ウンベリフェロン誘導体に基づく基質及びニトロフェニルに基づく基質を挙げることができる。
【0044】
好ましくは、本発明の目的について好適なホスファターゼ酵素基質は、インドキシル誘導体に基づく基質である。
【0045】
上記インドキシル誘導体の例としては、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸塩、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルリン酸塩及び6−クロロ−3−インドリルリン酸塩等の3−インドリルリン酸塩誘導体が含まれ、後者の化合物が特に好ましい。
【0046】
本発明の目的について好適なβ−セロビオシダーゼ酵素基質は、上記の酵素活性を実証できる、当業者に公知の任意の基質である。例えば、このような基質は、発色性であっても蛍光型であってもよく、例えばBIOSYNTH社のカタログ(“Substrates and Reagents”又はwww.biosynth.com)又はGLYCOSYNTH社のカタログ(“enzyme substrates catalog”又はwww.glycosynth.co.uk)に記載されている。
【0047】
β−セロビオシダーゼ基質の例としては、インドリル誘導体に基づく基質、ウンベリフェロン誘導体に基づく基質及びニトロフェニルに基づく基質を挙げることができる。
【0048】
好ましくは、本発明の目的について好適なβ−セロビオシダーゼ酵素基質は、インドキシル誘導体に基づく基質である。
【0049】
上記インドキシル誘導体の例としては、6−クロロ−3−インドリル−β−D−セロビオシダーゼ及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−セロビオシダーゼ等の3−インドリル−β−D−セロビオシダーゼ誘導体が含まれ、後者の化合物が特に好ましい。
【0050】
本発明の目的について好適なN−アセチルグルコサミニダーゼ酵素基質は、上記の酵素活性を実証できる、当業者に公知の任意の基質である。例えば、このような基質は、発色性であっても蛍光型であってもよく、例えばBIOSYNTH社のカタログ(“Substrates and Reagents”又はwww.biosynth.com)又はGLYCOSYNTH社のカタログ(“enzyme substrates catalog”又はwww.glycosynth.co.uk)に記載されている。
【0051】
N−アセチルグルコサミニダーゼ基質の例としては、インドキシル誘導体に基づく基質、ウンベリフェロン誘導体に基づく基質及びニトロフェニルに基づく基質を挙げることができる。
【0052】
好ましくは、本発明の目的について好適なN−アセチルグルコサミニダーゼ酵素基質は、インドキシル誘導体に基づく基質である。
【0053】
上記インドキシル誘導体の例としては、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−N−アセチル−β−D−グルコサミニド、6−クロロ−3−インドリル−N−アセチル−β−D−グルコサミニド及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−N−アセチルグルコサミニド等の3−インドリル−β−N−アセチルグルコサミニド誘導体が含まれ、後者の化合物が特に好ましい。
【0054】
本発明の目的について好適なN−グルコシダーゼ酵素基質は、上記の酵素活性を実証できる、当業者に公知の任意の基質である。例えば、このような基質は、発色性であっても蛍光型であってもよく、例えばBIOSYNTH社のカタログ(“Substrates and Reagents”又はwww.biosynth.com)又はGLYCOSYNTH社のカタログ(“enzyme substrates catalog”又はwww.glycosynth.co.uk)に記載されている。
【0055】
β−グルコシダーゼ基質の例としては、インドリル誘導体に基づく基質、ウンベリフェロン誘導体に基づく基質及びニトロフェニルに基づく基質を挙げることができる。
【0056】
好ましくは、本発明の目的について好適なβ−グルコシダーゼ酵素基質は、インドキシル誘導体に基づく基質である。
【0057】
上記インドキシル誘導体の例としては、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド、6−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−β−D−グルコピラノシド等の3−インドリル−β−D−グルコピラノシド誘導体を挙げることができる。
【0058】
一実施形態によれば、本発明の方法は、i)エステラーゼ基質、及び、ii)ホスファターゼ基質又はα−グルコシダーゼ基質を含む反応培地を使用し、エステラーゼ基質/ホスファターゼ基質の併用が好ましい。
【0059】
別の実施形態によれば、反応培地は、エステラーゼ基質及びホスファターゼ基質又はα−グルコシダーゼ基質に加えて、β−セロビオシダーゼ基質、N−アセチルグルコサミニダーゼ基質及びβ−グルコシダーゼ基質から選択される酵素基質を含み、好ましくはβ−セロビオシダーゼ基質及びN−アセチルグルコサミニダーゼ基質を含む。
【0060】
従って、本発明の方法において使用される反応培地は、少なくとも1つの酵素基質の存在による検出用反応培地である。
【0061】
この反応培地は、視覚化培地としてのみ使用してもよいし、培養基及び視覚化培地の両方として使用してもよい。前者の場合においては播種前に微生物を培養し、後者の場合においては反応培地が培養基でもある。
【0062】
反応培地は、固形、半固形又は液体であってよい。「固形又は半固形培地」という用語は、例えばゲル化培地を意味するものとする。
【0063】
微生物を培養するために微生物学において従来から使用される固形培地は寒天であるが、ゼラチン又はアガロースも使用可能である。例えば、コロンビア寒天(Columbia agar)、トリプカーゼ大豆寒天(trypcase−soy agar)、マッコンキー寒天(MacConkey agar)、サブロー寒天(Sabouraud agar)、又は、より一般的には、Handbook of Microbiological Media(CRC Press)中に記載されているもの等、いくつかの市販の調製品を使用することができる。
【0064】
反応培地中の寒天の量は2〜40g/lである。固形培地については、寒天の量は、好ましくは9〜25g/l、より好ましくは12〜14g/lである。半固形培地については、寒天の量は2〜6g/lであることが好ましい。
【0065】
本発明の酵素基質は、広い範囲のpHにおいて、特にpH5.5〜10において使用可能である。
【0066】
反応培地中の酵素基質の濃度は10〜2000mg/l、好ましくは50〜500mg/l、より好ましくは80〜400mg/lであり、これは本発明の好ましい実施形態を構成する。
【0067】
言うまでもなく、当業者であれば、選択された基質に応じて、上記範囲内において培地中の酵素基質の濃度を決定できるであろう。従って、エステラーゼ基質として5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルオクタノエートを使用する場合には、濃度は100〜400mg/lであることが好ましい。
【0068】
本発明の目的について使用できる反応培地は、本発明の方法の特異性及び/又は感度の改良に有用な他の成分をさらに含んでいてよい。
【0069】
従って、本発明の一実施形態によれば、反応培地は、NaHPO及びKHPO溶液等のリン酸塩溶液を含む。
【0070】
というのは、このようなリン酸塩溶液を使用することによって、培地の判読し易さ(色の鮮明度、又は、18時間の時点におけるホスファターゼ活性の発現及び/若しくは検出の増大のいずれかによって反映される)を本質的に改良できるからである。
【0071】
このようなリン酸塩溶液の濃度は、各溶液について0.3〜1.5g/lであり、0.5g/lの濃度が好ましい。
【0072】
反応培地は、カンジダ又はStaphylococcus saprophyticusといった偽陽性反応株等の望ましくない菌株の増殖を、培地の検出感度を変化させずに阻害又は制限するための阻害剤の混合物をさらに含んでいてよい。
【0073】
この点で、反応混合物は、抗生物質の混合物を含んでいてもよい。反応培地に抗生物質を添加することによって、とりわけ、Streptococcus agalactiaeの識別が直接実施されるので時間が短縮される。
【0074】
本発明の目的について好適な抗生物質の例としては、アズトレオナム及びアンホテリシンBが含まれる。これらの抗生物質は、ICN社、Squibb社又はシグマ社から市販されている。
【0075】
反応培地中における各抗生物質の量は、その抗生物質によって異なり、当業者であれば容易に決定できるであろう。
【0076】
また、反応培地は、アミノ酸、ペプトン、炭水化物、ヌクレオチド、無機物、ビタミン、界面活性剤、バッファー、リン酸塩、アンモニウム塩、ナトリウム塩又は金属塩等の一種以上の成分を組み合わせて含んでいてよい。培地の例が、本出願人によるヨーロッパ特許EP656421及びPCT出願WO99/09207中に記載されている。
【0077】
本発明の方法の実施は、次の工程によって実施することができる:
a) サンプルのすべて又は一部を上記反応培地に播種すること、
b) 播種した培地をインキュベートすること、
c) 少なくとも1つのエステラーゼ活性の存在を、単独で、又は、エステラーゼ活性以外の少なくとも1つの他の酵素活性と共に顕現させること
(本発明の別の主題を構成する)。
【0078】
上記播種段階及びインキュベート段階は、当業者に広く知られている。
【0079】
例えば、インキュベート時の温度は37℃であってよい。また、インキュベート時の雰囲気は好気的であることが好ましい。
【0080】
上記顕現は、反応培地中に拡散せずにコロニーの中に集まる着色の変化を視覚化することにより、肉眼で実施される。蛍光を顕現化する際、当業者に公知の蛍光読み取り装置が使用される。
【0081】
分析する生体試料は、膣試料若しくは尿試料といった、Streptococcus agalactiaeを含んでいることが多い任意の臨床試料、又は、その分析が臨床医による診断を援助可能な他の任意の試料である。
【実施例】
【0082】
本発明は以下の実施例によってより明瞭に理解されるであろう。しかし、これらの実施例はいかなる制限を加えるものでもない。
(実施例1)
【0083】
<エステラーゼ酵素基質を消費するStreptococcus agalactiaeの検出>
1.1 反応培地の調製
反応培地は、心臓−脳抽出物(4.84g/l;Solabia社)、肉汁(1.96g/l;Solabia社)、ビオチン(biothione)(1g/l;Solabia社)、ビオトリプカーゼ(biotrypcase)(7.2g/l;Solabia社)、炭酸ナトリウム(0.3g/l;VWR社)、ピルビン酸ナトリウム(2g/l;Fluka社)、HEPESバッファー(0.4g/l;シグマ社)、ラクトアルブミンペプトン(2g/l;DMV)、グルコース(1g/l;メルク社)、アメリカ寒天(2g/l;Sobigel社)及びヨーロッパ寒天(12g/l;Roko社)を混合することによって調製された。
【0084】
121℃で15分間でオートクレーブした後、エステラーゼ酵素基質を下記のように0.3g/lの割合で添加した;続いて、50℃の水槽中で冷却した:
* 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルオクタノエート(X−C8;Inalco社)(これが消費されると青緑色になる)、
* 5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリルオクタノエート(Magenta−C8;Inalco社)(これが消費されると赤ピンク色になる)。
【0085】
その後、次の細菌を播種するために培地をペトリ皿に注いだ。
【0086】
1.2 微生物株の播種
Streptococcus agalactiae株3つ及び他の細菌株3つ(いずれも本出願人が保存している株に由来)を、生理食塩水中に懸濁して播種し、各培地上に別々にコロニーを形成させる。培養皿を37℃において48時間インキュベートした。18時間、24時間又は40時間以上インキュベートした後に、形成されたコロニーの外観を調べた。このコロニーの着色、増殖及びこの着色の濃さ(エステラーゼ活性を表す)について記録した。
【0087】
1.3 結果
得られた結果を、下記表1中に示し、以下のように示す。
− 増殖(G)について、大きさはmmで示される、
− 色(Co)について、T=青緑色、R=ピンク色又は赤色である、
− 着色の濃さ(I)について、0〜4の任意のスケールに基づいて、0は活性がないことに相当し、4は非常に濃い着色があることに相当する、
− インキュベート時間について、時間(T)である。
【0088】
【表1】

【0089】
結果から、18〜24時間において0〜非常に弱い活性が示されるため、エステラーゼ酵素基質を使用すればB群連鎖球菌を早い時期に検出できることが実証される。
(実施例2)
【0090】
<エステラーゼ基質及びα−グルコシダーゼ基質又はホスファターゼ基質を消費するStreptococcus agalactiaeの検出>
エステラーゼ基質X−C8 0.3g/lと同時に、消費されるとピンク色の着色を与える6−クロロ−3−インドリル−α−D−グルコピラノシド(Rose−α−Glu)0.3g/l又は6−クロロ−3−インドリルリン酸塩(Rose−P)0.3g/lを添加する以外は、実施例1中で上述するプロトコルを繰り返した。
【0091】
結果は下記表2に示すが、表中、増殖、着色及び濃さは、実施例1中と同様に、R=ピンク色/(ローズ色)/赤色、PB=ピンク褐色、T=青緑色、Gr=緑、Vi=青紫色、B=青色、GVi=灰色がかった青紫色、及び、GB=灰色がかった青色である。
【0092】
【表2】

【0093】
この表から、Streptococcus agalactiae株の検出は、発色性エステラーゼ基質を、エステラーゼ基質以外の発色性酵素基質(Streptococcus agalactiae株が消費できる)と併用することによって改良されることが実証される。
(実施例3)
【0094】
<エステラーゼ基質、ホスファターゼ基質及びβ−セロビオシダーゼ基質を消費するStreptococcus agalactiaeの検出>
X−C8 0.3g/l及びRose−P 0.2g/lを使用し、オートクレーブする前に他の基質と同時にNaHPO 0.5g/l及びKHPO 0.5g/lと共に5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−セロビオシダーゼ(Cellobio)0.08g/lを更に添加する以外は、実施例2中に記載されるプロトコルを繰り返した。
【0095】
コントロールの培地として、X−C8及びRose−Pのみを含む培地を使用した。
【0096】
結果は下記表3に示すが、表中、増殖、着色及び濃さは、実施例1中と同様に、R=ピンク色/ローズ色)/赤色、Ma=藤色、Vi=青紫色、B=青色、GB=灰色がかった青色、及び、DP=暗紫色である。
【0097】
【表3】

【0098】
表3中の結果から、エステラーゼ基質を含む3つの酵素基質を使用すると、Streptococcus agalactiaeの検出の特異性が、他の菌株と比較して改良されることが実証される。
(実施例4)
【0099】
<エステラーゼ基質、ホスファターゼ基質及びN−アセチルグルコサミニダーゼ基質を消費するStreptococcus agalactiaeの検出>
Cellobioの代わりに5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−N−アセチルグルコサミニド(X−NAGlu)0.4g/lを使用する以外は、実施例3中に記載されるプロトコルを繰り返した。
【0100】
コントロール培地は、X−NAGluを全く含まないこと以外は、試験培地と同一である。
【0101】
結果は下記表4に示すが、表中、増殖、着色及び濃さは、実施例1中と同様に、R=ピンク色/赤色、B=青色、GP=灰色がかったピンク色、及び、Mg=赤紫色である。
【0102】
【表4】

【0103】
この表中の結果から、エステラーゼ基質を含む3つの酵素基質を使用すると、Streptococcus agalactiaeの検出の特異性が、他の菌株と比較して改良されることが実証される。
(実施例5)
【0104】
<エステラーゼ基質、ホスファターゼ基質及びβ−グルコシダーゼ基質を消費するStreptococcus agalactiaeの検出>
X−NAGluの代わりに5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルコピラノシド(X−β−Glu)0.08g/l及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−N−メチル−β−D−グルコピラノシド(GreenA−β−Glu)0.3g/lを使用する以外は、実施例4中に記載されるプロトコルを繰り返した。
【0105】
コントロール培地は、X−β−Glu又はGreenA−β−Gluを全く含まないこと以外は、試験培地と同一である。
【0106】
結果は下記表5に示すが、表中、増殖、着色及び濃さは、実施例1中と同様に、R=ピンク色/赤色、Ma=藤色、Vi=青紫色、B=青色、及び、GB=灰色がかった青色である。
【0107】
【表5】

【0108】
表5中の結果から、エステラーゼ基質を含む3つの酵素基質を使用すると、Streptococcus agalactiaeの検出の特異性が、他の菌株と比較して改良されることが実証される。
(実施例6)
【0109】
<リン酸塩溶液の添加による検出感度の改良>
エステラーゼ基質X−C8 0.3g/lと同時にRose−P 0.3g/lとNaHPO 0.5g/l及びKHPO 0.5g/lを添加する以外は、実施例1中に記載されるプロトコルを繰り返した。
【0110】
リン酸塩溶液を含まない以外は同一の培地を、コントロール培地として使用した。
【0111】
結果は下記表6に示すが、表中、増殖、着色及び濃さは、実施例1中と同様に、R=ピンク色、及び、Mg=赤紫色である。
【0112】
【表6】

【0113】
この表6中の結果から、18時間以降で着色の鮮明度が改良されること、又は、S.agalactiae株の発現が増加することが実証される。
(実施例7)
【0114】
<本発明によるエステラーゼ基質を含む培地及び市販の培地を消費するS.agalactiaeの検出の感度及び特異性の比較>
上記の感度及び特異性を試験するために、実施例1中に記載されるように調製された、X−C8 0.3g/lと、Rose−P 0.2g/l、Cellobio 0.08g/l、NaHPO 0.5g/l、KHPO 0.5g/l、アズトレオナム0.012g/l及びアンフォテリシンB 0.004g/lを含む本発明による培地を使用した。
【0115】
比較用の培地として、Granada medium(品番10077、BIOLYS社(フランス))(Granada培地)を使用した。
【0116】
Streptococcus agalactiae14株を含む微生物69株を播種し、37℃で最長24時間、及び、室温でそれ以上の時間インキュベートした。上述のようにコロニーを視覚化した。B群連鎖球菌の特性を有する疑いのあるコロニー、すなわち外観がピンク色/赤色のコロニーの確認を、供給元の推薦(ビオメリュー社(フランス))に従ってSlidex Streptoキット試薬を使用し、凝集アッセイにより実施した。特有でないコロニー(すなわち、ピンク色以外のコロニー、又は、特有の着色を有するものの凝集アッセイでの応答が陰性であるコロニー(偽陽性株))を、Galeries ID 32 Strep(ビオメリュー社)(フランス))を用いて識別した。
【0117】
結果は、下記表7中に、感度及び特異性については、すべての試験についての正確な診断に対する%、培地上で検出された真の陽性の数を検出された真の陽性の総数で割った値(100)に相当する%感度、及び、培地上で検出された真の陰性の数を検出された真の陰性の総数で割った値(100)に相当する%特異性で表す。
【0118】
【表7】

【0119】
この表中に示される結果から、本発明の方法を使用すれば、連鎖球菌B(Streptococcus agalactiae)の検出感度が改良されることが実証される。また、本発明の検出用培地は特異性が良好であり、この特異性は、寒天播種の前に、5% COの存在下又は非存在下で、Todd−Hewitt培地を35〜37℃で18〜24時間通して増殖させると改良されることも実証される(参照:CDC(Center for Disease Control) recommendations, MMWR(Morbidity and Mortality Weekly Report), 16 August 2002, Vol. 51, No. RR−11)。
(実施例8)
【0120】
<臨床サンプルに基づく培地の使用>
この試験には、上記実施例7中で調製された本発明による培地を使用した。
【0121】
この試験では、妊婦の膣又は子宮頚管の試料に由来する計134サンプル/綿球を使用した。
【0122】
綿球はそれぞれ、無菌生理食塩水1ml中で乳化し、まずこの溶液100μlをウマ血液5%を含むコロンビア寒天上に置いて、次に本発明の方法で使用される培地上に置いた。続いて、上記溶液100μlを使用してTodd Hewitt培地に播種した。好気性条件下において37℃で20時間インキュベートした後、血液−寒天培地及び本発明の培地をTodd Hewitt培地を使用して播種し、その後、好気性条件下で37℃で20時間インキュベートした。
【0123】
B群連鎖球菌の特性を有する疑いのあるコロニー(すなわち外観色がピンク色/赤色)の確認は、供給元の推薦(ビオメリュー社(フランス))に従ってSlidex Streptoキット試薬を使用し、凝集アッセイを用いて実施した。
【0124】
サンプル134個のうち、まず、112個を生理食塩水懸濁液から寒天培地上に直接播種し、次にTodd Hewitt培地中で増殖させた。残りのサンプル22個を、生理食塩水懸濁液から寒天培地上に単に直接播種した。
【0125】
結果は平均%感度及び特異性で表し、下記表8中に示す。
【0126】
【表8】

【0127】
上記表8中の結果から、本発明の培地を臨床サンプルと共に使用すると、Streptococcus agalactiaeの検出の感度及び特異性を改善できることが示される。具体的には、Streptococcus agalactiaeを含む試料は、Columbia培地上では19/20であるのに対し、本発明の培地上では20/20検出され、偽陽性結果はコロンビア寒天上では24であるのに対してエステラーゼ培地上では1つのみであった。この結果は培地を研究所の株で試験した際よりも良好であるということにも注目できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)エステラーゼ基質、及び、
(ii)α−グルコシダーゼ基質、ホスファターゼ基質、β−セロビオシダーゼ基質、N−アセチルグルコサミニダーゼ基質及びβ−グルコシダーゼ基質から選択される少なくとも1つの酵素基質
を含む、反応培地。
【請求項2】
(i)エステラーゼ基質、及び、
(ii)ホスファターゼ基質又はα−グルコシダーゼ基質
を含む、請求項1に記載の反応培地。
【請求項3】
さらに、(iii)β−セロビオシダーゼ基質、N−アセチルグルコサミニダーゼ基質及びβ−グルコシダーゼ基質から選択される酵素基質を含む、請求項2に記載の反応培地。
【請求項4】
前記酵素基質のそれぞれの濃度は10〜2000mg/lである、請求項1〜3のいずれかに記載の反応培地。
【請求項5】
リン酸塩溶液を更に含む、請求項1〜4のいずれかに記載の反応培地。
【請求項6】
リン酸塩溶液がNaHPO溶液、又はKHPO溶液である、請求項5に記載の反応培地。
【請求項7】
さらに、望ましくない菌株の増殖を阻害又は制限するための阻害剤の混合物を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の反応培地。
【請求項8】
阻害剤が抗生物質である、請求項7に記載の反応培地。
【請求項9】
抗生物質がアズトレオナム及びアンホテリシンBである、請求項8に記載の反応培地。

【公開番号】特開2013−31456(P2013−31456A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−244264(P2012−244264)
【出願日】平成24年11月6日(2012.11.6)
【分割の表示】特願2007−531807(P2007−531807)の分割
【原出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(504238301)ビオメリュー (74)
【Fターム(参考)】