説明

エステルの製造方法

【課題】α−トコフェロールおよびそのアルカノエートを触媒の存在下かつ溶媒中で製造する方法を提供する。
【解決手段】


で示される化合物からなる群から選択される化合物のエステルの製造方法であって、触媒としてのインジウム塩の存在下で行われることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とするアルケニル化芳香族化合物の新規な製造方法と、該化合物をクロマン誘導体に変換する閉環反応と、さらには該化合物およびそれ自体少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物のアシル化と、に関する。本発明は、とくに、トコール、トコフェロール、およびそれらのアルカノエート、たとえば、α−トコフェロール(TCP)およびそのアルカノエート(TCPA)、好ましくはα−トコフェリルアセテート(TCPAc)の製造方法に関する。本発明に係る方法は、該方法の少なくとも1つの工程が触媒としてのインジウム塩の存在下で行われることを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
TCPおよびTCPAを製造するための出発物質として、2,3,5−トリメチルヒドロキノン(TMHQ)もしくは2,3,6−トリメチルヒドロキノン−1−アルカノエートと、フィトール(PH)、イソフィトール(IP)、および(イソ)フィトール誘導体からなる群から選択される化合物と、の混合物が使用されるか、または「開環」化合物である2−フィチル−3,5,6−トリメチル−ヒドロキノン(PTMHQ)、3−フィチル−2,5,6−トリメチルヒドロキノン−1−アルカノエート(PTMHQA)、もしくはそれらの異性体が使用されるか、のいずれかである。
【0003】
したがって、本発明の目的は、少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物のフリーデル・クラフツアルキル化反応および得られた「開環」生成物から有機溶媒中でクロマン環化合物を生成させる閉環反応における触媒としてのインジウム塩の使用である。本発明の他の態様によれば、トコール、トコフェロール、および少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物を、それぞれ、アシル化剤と反応させることにより、トシルアルカノエート、トコフェリルアルカノエート、および少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物のアルカノエートを製造する方法において、インジウム塩を触媒として使用することが可能である。
【0004】
公知のごとく、(all−rac)−α−トコフェロール(または先行技術でほとんどの場合に表記されてきたように「d,l−α−トコフェロール」)は、2,5,7,8−テトラメチル−2−(4’,8’,12’−トリメチル−トリデシル)−6−クロマノール(α−トコフェロール)のエナンチオマーの4種のジアステレオマー対の混合物であり、ビタミンE群の中で生物学的に最も活性が高くかつ工業的に最も重要なメンバーである。
【0005】
触媒または触媒系の存在下かつ溶媒中または溶媒系中でTMHQ/2,3,6−トリメチル−ヒドロキノン−1−アセテート(TMHQAc)をIPまたはPHと反応させることにより「d,l−α−トコフェロール」(これ以降でレビューされている文献ではそのように記されている)およびそのアセテートを製造する多くの方法が、先行技術に記載されている。
【0006】
その一例は、欧州特許出願公開第0694541号明細書であり、そこには、触媒としての鉱酸、ルイス酸、酸性イオン交換樹脂、またはSc、Y、もしくはランタニド元素のトリフル酸塩、硝酸塩、もしくは硫酸塩の存在下におけるTMHQとIP、PH、またはPH誘導体との反応が記載されている。
【0007】
他の例は、欧州特許出願公開第1000940号明細書であり、そこでは、ビス−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド[HN(SOCF]または式M(N(SOCFで示されるその金属塩が触媒として使用され(式中、Mは、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、ランタン、セリウム、ネオジム、プラセオジム、ユウロピウム、ジスプロシウム、イッテルビウム、ハフニウム、白金、金などのような金属原子であり、そしてnは、金属原子Mの対応する価数(1、2、3、または4)である)、かつ超臨界COまたはNOが溶媒として使用されている。低級脂肪族のアルカノール、ケトン、または炭化水素である共溶媒を使用することも可能である。
【0008】
TCPは、標準的な方法により、たとえば、ウルマン工業化学百科事典(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry)、第A27巻、第5版、484−485頁、ファウツェーハー・フェアラークスゲゼルシャフト・エムベーハー(VCH Verlagsgesellschaft mbH)、D−69451ヴァインハイム(Weinheim)、1996年に記載されている方法により、そのアセテート、スクシネート、およびさらなる公知の適用形態に変換することが可能である。酸化性条件に対して不安定なTCPとは対照的に、エステル(TCPA)は、より安定でありかつより取扱いに便利である。
【0009】
先行技術におけるインジウム塩の公知の使用に関して、次の選択された文献について考察する、すなわち、米国特許第6,180,557号明細書によれば、芳香族化合物のアルキル化、アラルキル化、アシル化、またはアロイル化のようなフリーデル・クラフツ反応の触媒として、一般式AMZ(c)/Sで示される担持触媒が使用される。式中、Aは、化学元素Ga、Al、B、Zn、Fe、Sn、Ti、Th、Zr、またはそれらのうちの2種以上からなる混合物から選択され;Mは、化学元素In、Tl、またはそれらの混合物から選択され;Zは、化学元素O、Cl、Br、またはIから選択され;Sは、ポーラスな触媒担体またはキャリヤーであり;aは、約0.001〜約100の範囲内のA/Mのモル比であり;bは、担持触媒中に存在する金属元素AMの価数要件を満たすのに必要とされるZの原子数であり;そしてcは、該触媒担体またはキャリヤー(S)上に堆積された約0.5重量%〜約50重量%の範囲内のAMZの担持率重量パーセントである。たとえば、実施例13では、Ga12.6InCl40.8(11.0重量%)/モンモリロナイトK10が、ベンジルクロリドまたはベンジルブロミドによるベンゼン、アニソール、フェノール、p−キシレン、メシチレン、およびトルエンのアラルキル化を触媒する。
【0010】
国際公開第03/028883号パンフレットによれば、イオン性液体成分とハロゲン化インジウム(III)成分とからなる「イオン性液体触媒系」は、フリーデル・クラフツのアルキル化反応およびアシル化反応の触媒である。
【0011】
欧州有機化学誌(European Journal of Organic Chemistry)、2000年、2347−2356頁には、とくに、エステル交換法の触媒としてヨウ化インジウム(III)の使用が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とするアルケニル化芳香族化合物ならびにその閉環生成物(たとえば、α−トコフェロールおよびそのアルカノエート)を触媒の存在下かつ溶媒中で製造する方法を提供することである。ただし、可能なかぎり選択的にかつ高収率で所望の反応を触媒する触媒を使用するものとする。さらに、触媒は、少量(実際上触媒量)でその活性を呈することが望ましく、しかも容易に分離可能かつ数回再使用可能であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、この目的は、触媒としてインジウム塩を使用することにより達成される。驚くべきことに、少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物(たとえば、TMHQまたはTMHQA)と、二重結合を含有する化合物(たとえば、IP、PH、またはそれらの誘導体)と、の縮合反応、ならびにアルケニル化フェノール(たとえば、PTMHQもしくはPTMHQAおよび/またはそれらの異性体)からクロマン誘導体(たとえばα−トコフェロール)を生成させる閉環反応、さらには少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物、トコール、およびトコフェロールのアシル化に対して、インジウム塩が最も好適な触媒であることを見いだした。
【0014】
少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物のアルケニル化(ArOHのフリーデル・クラフツアルキル化)の方法
一態様において、本発明は、少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物(ArOH)を式IIIおよび/またはIVで示される化合物により有機溶媒中でアルケニル化する方法に関する。
【化1】


ただし、ArOHは、少なくとも1つの無置換位置ならびに0〜4個の線状C1〜6−アルキル基および合計で1〜3個のヒドロキシ基を含み、Rは、ヒドロキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、またはハロゲンであり、nは、0〜3の整数であり、そして反応は、触媒としてのインジウム塩の存在下で行われる。これ以降では、この方法を方法1と記す。
【0015】
化合物IIIおよび/またはIVのR部分に関して、好ましくは、Rは、ヒドロキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、塩素、または臭素であり、より好ましくは、Rは、ヒドロキシ、アセチルオキシ、または塩素であり、最も好ましくは、Rはヒドロキシである。
【0016】
整数nに関して、好ましくは、nは3である。
【0017】
「少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物(ArOH)」という用語は、0〜4個の線状C1〜6−アルキル基および合計で1〜3個のヒドロキシ基ならびに少なくとも1つの無置換位置を有するフェノール;0〜4個の線状C1〜6−アルキル基および合計で1〜3個のヒドロキシ基ならびに少なくとも1つの無置換位置を有する1−ナフトール(ただし、無置換位置は、ヒドロキシ基のオルト位にある);さらには0〜4個の線状C1〜6−アルキル基および合計で1〜3個のヒドロキシ基ならびに少なくとも1つの無置換位置を有する2−ナフトール(ただし、無置換位置は、ヒドロキシ基のオルト位にある)を包含する。
【0018】
好ましくは、フェノール、1−ナフトール、および2−ナフトールは、それぞれ、1〜3個の線状C1〜6−アルキル基および合計で1〜3個のヒドロキシ基ならびに少なくとも1つの無置換位置を有する(ただし、該無置換位置またはある1つの無置換位置は、ヒドロキシ基のオルト位にある)。より好ましくは、フェノール、1−ナフトール、および2−ナフトールは、それぞれ、1〜3個のC1〜2−アルキル基および合計で1〜3個のヒドロキシ基ならびに少なくとも1つの無置換位置を有する(ただし、該無置換位置またはある1つの無置換位置は、ヒドロキシ基のオルト位にある)。最も好ましくは、フェノール、1−ナフトール、および2−ナフトールは、それぞれ、1〜3個のメチル基および合計で1〜3個のヒドロキシ基ならびに少なくとも1つの無置換位置を有する(ただし、該無置換位置またはある1つの無置換位置は、ヒドロキシ基のオルト位にある)。
【0019】
以上に列挙した好ましいフェノール、1−ナフトール、および2−ナフトールのうち、とくに好ましいのは、次式IIで示されるフェノールである。
【化2】


式中、X、X、X、およびXは、互いに独立して、水素、ヒドロキシ、または線状C1〜6−アルキルである。
【0020】
記号X、X、X、およびXに関して、好ましくは、これらは、互いに独立して、水素、ヒドロキシ、またはC1〜2−アルキルを意味し、より好ましくは、それらは、互いに独立して、水素、ヒドロキシ、またはメチルを意味する。
【0021】
より好ましいフェノールは、2,3,5−トリメチルヒドロキノン、2,3,6−トリメチルヒドロキノン1−アルカノエート、2,3−ジメチルヒドロキノン、2,5−ジメチルヒドロキノン、2,6−ジメチルヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、およびヒドロキノンである。さらにより好ましいフェノールは、2,3,5−トリメチルヒドロキノンおよび2,3,6−トリメチルヒドロキノン1−アルカノエートである。最も好ましいフェノールは、2,3,5−トリメチルヒドロキノンおよび2,3,6−トリメチルヒドロキノン1−アセテートである。
【0022】
式IIで示されるフェノールを式IIIおよび/またはIVで示される化合物と反応させる場合、触媒の活性、その量、およびさらなる反応条件に依存して、式Iで示される「開環」化合物および/または式VIIで示される化合物が得られる。
【0023】
【化3】


式中、X、X、X、X、およびnは、先に記載したのと同一の意味および優先度を有する。
【0024】
したがって、好ましい一態様において、本発明は、式I
【化4】


で示されるアルケニル化フェノール化合物の製造方法に関し、この方法は、式II
【化5】


で示されるフェノールを式IIIおよび/またはIV
【化6】


で示される化合物と有機溶媒中で反応させることにより行われ、
式中、X、X、X、およびXは、互いに独立して、線状C1〜6−アルキル、水素、またはヒドロキシであり、
は、ヒドロキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、またはハロゲンであり、
nは、0〜3の整数であり、そして
この反応は、触媒としてのインジウム塩の存在下で行われる(方法1−1)。
【0025】
先に述べたように、式Iで示される「開環」化合物を閉環させることにより、式VIIで示される化合物を得ることが可能である。したがって、触媒の活性、その量、またはさらなる反応条件に起因して、式Iで示される中間体を単離しえない場合、式VIIで示される最終生成物が得られる。したがって、本発明のさらなる好ましい態様は、式VII
【化7】


で示される化合物の製造方法であり、この方法は、式II
【化8】


で示されるフェノールを式IIIおよび/またはIV
【化9】


で示される化合物と有機溶媒中で反応させることにより行われ、
式中、X、X、X、およびXは、互いに独立して、線状C1〜6−アルキル、
水素、またはヒドロキシであり、
は、ヒドロキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、またはハロゲンであり、
nは、0〜3の整数であり、そして
この反応は、触媒としてのインジウム塩の存在下で行われる(方法1−2)。
【0026】
当然のことながら、方法1は、方法1−1および方法1〜2を包含する。
【0027】
本発明のさらなる目的は、式VII
【化10】


で示される化合物の製造方法であり、この方法は、
a)(工程a)式II
【化11】


で示されるフェノールを式IIIおよび/またはIV
【化12】


で示される化合物により有機溶媒中で場合によりアルケニル化することと、
b)(工程b)式I
【化13】


で示される化合物および場合によりその1種以上の二重結合異性体(いずれも、工程aにより取得可能である)を有機溶媒中で閉環処理に付して式VIIで示される化合物を生成させることと、
により行われ、
式中、X、X、X、およびXは、互いに独立して、水素、ヒドロキシ、または線状C1〜6−アルキルであり、Rは、ヒドロキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、またはハロゲンであり、nは、0〜3の整数であり、そして工程aおよびbの少なくとも一方は、触媒としてのインジウム塩の存在下で行われる。以下では、この方法を方法2と称する。
【0028】
さらに他の態様において、本発明は、少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物(ArOH)および式VII
【化14】


で示される化合物からなる群から選択される化合物のエステルの製造方法に関し、
式中、X、X、X、およびXは、互いに独立して、水素、ヒドロキシ、または線状C1〜6−アルキルであり(ただし、置換基X、X、X、およびXの少なくとも1つは、ヒドロキシである)、アシル化剤が使用され、反応が、触媒としてのインジウム塩の存在下で行われることを特徴とする(以下では方法3と記す)。
【0029】
「少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物(ArOH)」に対して、方法1で与えたのと同一の定義が適用される。
好適なアシル化剤については、以下でさらに考察する。
【0030】
工程1、2、および3で触媒として使用されるインジウム塩に関して:
工程1、2、および/または3で触媒として使用されるインジウム塩は、好適にはインジウム(III)塩である。好ましくは、それは、ハロゲン化インジウム(III)(たとえば、三塩化インジウム[InCl]、三臭化インジウム[InBr]、または三ヨウ化インジウム[InI])、インジウムトリス(トリフルオロメタンスルホネート)(=トリフル酸インジウム(III))[In(SOCF;In(OTf)]、インジウムトリス[ビス(トリフルオロメタンスルホンアミド)][In(NTf]、および三酢酸インジウム[In(OAc)]からなる群から選択される。より好ましいのは、In(OTf)またはInClである。
【0031】
インジウム塩は、市販されている公知の化合物である。それらは、固形、無水形、または水和形(InCl・4HOは、その例である)の状態で、さらには溶解状態または懸濁状態で、使用することが可能である。好ましくは、触媒は、有機溶媒中または水中に溶解または懸濁され;方法1および2の場合、触媒は、最も好ましくは水中に溶解される。そのような溶液の濃度は、それほど重要ではない。さらに、触媒は、無水酢酸および他のアシル化剤ならびにプロトン性溶媒(たとえば、酢酸、メタノール、エタノール、および水)に耐える。反応終了後、触媒を再生することが可能である。
【0032】
工程1、2、および3の出発物質の製造
出発物質TMHQAcは、たとえば、欧州特許出願公開第1239045明細書に記載されているように2,3,5−トリメチルヒドロキノンジアセテートの選択的加水分解により、取得可能である。2,3,5−トリメチルヒドロキノンジアセテートは、たとえば、欧州特許出願公開第0850910号明細書、欧州特許出願公開第0916642号明細書、欧州特許出願公開第0952137号明細書、または欧州特許出願公開第1028103号明細書に記載されているように無水酢酸または他のアセチル化剤の存在下におけるケトイソホロンの酸触媒転位により、調製可能である。
【0033】
(イソ)フィチル化合物は、当業者に公知の従来法により製造可能である。フィトールおよびn=3のときの式IVで表されるその誘導体は、E/Z混合物としてならびに純粋E形または純粋Z形で使用可能である。好ましいのは、E/Z混合物としてのフィトールおよび式IVで表されるその誘導体の使用である。(イソ)フィチル化合物から選択される最も好ましい出発物質は、IPである。
【0034】
当然ながら、任意の他の適切な異性体形の(イソ)フィトール誘導体も使用可能である。たとえば、(R,R)−フィトール、(R,R,R)−イソフィトール、(S,R,R)−イソフィトール、もしくは(RS,R,R)−イソフィトール、または適切な(イソ)フィトール誘導体を使用し、TMHQ/TMHQAを他の成分として使用すれば、(R,R)−PTMHQ/(R,R)−PTMHQAまたは(RS,R,R)−TCP/(RS,R,R)−TCPAを得ることが可能である。
【0035】
他の(ジ)(メチル)ヒドロキノンならびにnが0、1、または2であるときの式IIIおよびIVで示される化合物は、当業者に公知の方法に従って調製可能である。
【0036】
方法1、方法2の工程a
方法1および方法2の工程aにより取得可能な化合物は、少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とするアルケニル化芳香族化合物である。この生成物が式Iで示される構造を有する場合、それを閉環反応によりさらに反応させて式VIIで示される化合物に変換することが可能である。これは、触媒の活性、その量、およびさらなる反応条件に依存する。すなわち、大量の触媒、高活性の触媒、および/または高い反応温度を利用すれば、反応を最終生成物(式VIIで示される化合物)まで進行させることが可能であり(方法1、方法2の工程aおよびb)、その逆であれば、反応は、式Iで示される中間体を単離しうる程度に十分に緩速である(方法1、方法2の工程aだけが行われる)。
【0037】
便宜上、少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物と式IIIおよび/またはIVで示される化合物との反応は、不活性ガス雰囲気下、好ましくは気体の窒素下またはアルゴン下で行われる。それは、大気圧または加圧下で行うことが可能である。
【0038】
反応は、バッチ方式または連続方式で、かつ一般的には操作の非常に簡単な方法で、行うことが可能である。たとえば、(i)以下に述べるように、式IIIまたはIVで示される化合物をそのままの状態でまたは非極性溶媒に溶解させた状態で(反応を非極性溶媒中または二相溶媒系中で行う場合)、好ましくはそのままの状態で少しずつまたは連続的に、触媒と、少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物(ArOH)と、溶媒/二相溶媒系と、の混合物に添加することにより、行うことが可能である。
【0039】
同様に、(ii)以下に述べるように、触媒を好ましくはそのままの状態でまたは水溶液としておよび式IIIまたはIVで示される化合物をそのままの状態でまたは非極性溶媒に溶解させた状態で(反応を非極性溶媒中または二相溶媒系中で行う場合)、好ましくはそのままの状態でArOHおよび溶媒/二相溶媒系に後続添加することも可能である。
【0040】
便宜上、反応を単一溶媒中とくに非プロトン性非極性溶媒中で行う場合、式IIIまたはIVで示される化合物は、約15〜約180分間以内に、好ましくは約30〜約150分間以内に、より好ましくは約45〜約130分間以内に、ArOHに連続的に添加される。反応を二相溶媒系中で行う場合、供給速度はそれほど重要ではない。触媒は、好ましくは、ArOHと溶媒/二相溶媒系との混合物に一度に添加される。
【0041】
式IIIまたはIVで示される化合物の添加(非極性溶媒中)の終了後、好適には、反応混合物は、反応温度で約10分間〜約360分間、好ましくは約30分間〜約240分間さらに加熱される。後処理は、有機化学で慣用される手順により行うことが可能である。
【0042】
方法1および方法2の工程aに好適な有機溶媒は、非プロトン性非極性有機溶媒、たとえば、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素、およびそれらの混合物、好ましくは、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素、さらには、非プロトン性極性溶媒、たとえば、脂肪族カーボネートおよび環状カーボネート、脂肪族エステルおよび環状エステル(ラクトン)、脂肪族ケトンおよび環状ケトン、ならびにそれらの混合物である。
【0043】
ハロゲン化脂肪族炭化水素の好ましい例は、モノハロゲン化もしくはポリハロゲン化された線状、分枝状、もしくは環状のC〜C15−アルカンである。とくに好ましい例は、モノ塩素化もしくはポリ塩素化またはモノ臭素化もしくはポリ臭素化された線状、分枝状、もしくは環状のC〜C15−アルカンである。より好ましいのは、モノ塩素化もしくはポリ塩素化された線状、分枝状、もしくは環状のC〜C15−アルカンである。最も好ましいのは、1,1,1−トリクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、メチレンクロリド、およびメチレンブロミドである。
【0044】
脂肪族炭化水素の好ましい例は、線状、分枝状、もしくは環状のC〜C15−アルカンである。とくに好ましいのは、線状、分枝状、もしくは環状のC〜C10−アルカンであり、なかでもとくに好ましいのは、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサン、または、それらの混合物である。
【0045】
芳香族炭化水素の好ましい例は、ベンゼン、トルエン、o−、m−、およびp−キシレン、1,2,3−トリメチルベンゼン、プソイドクメン、メシチレン、ナフタレン、ならびにそれらの混合物である。
【0046】
ハロゲン化芳香族炭化水素の好ましい例は、モノハロゲン化もしくはポリハロゲン化されたベンゼンである。とくに好ましいのは、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、および1,4−ジクロロベンゼンである。
【0047】
脂肪族カーボネートおよび環状カーボネートの好ましい例は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、および1,2−ブチレンカーボネートである。脂肪族エステルおよび環状エステル(ラクトン)の好ましい例は、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、およびn−ブチルアセテート;ならびにγ−ブチロラクトンである。脂肪族ケトンおよび環状ケトンの好ましい例は、アセトン、ジエチルケトン、およびイソブチルメチルケトン;ならびにシクロペンタノンおよびイソホロンである。なかでもとくに好ましいのは、環状カーボネートおよび環状ラクトン、特定的には、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネート;ならびにγ−ブチロラクトンである。最も好ましいのは、環状カーボネート、特定的には、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートならびにそれらの混合物である。
【0048】
極性溶媒と非極性溶媒とを含む二相溶媒系を使用することも可能である。そのような二相溶媒系の非極性溶媒の例は、先に指定した非極性溶媒である。そのような二相溶媒系の極性溶媒の例は、先に指定した極性溶媒である。
【0049】
最も好ましい二相溶媒系は、エチレンカーボネートおよび/またはプロピレンカーボネートと、ヘキサン、ヘプタン、またはオクタンと、の混合物、特定的には、エチレンカーボネートとヘプタンとの混合物、プロピレンカーボネートとオクタンとの混合物、およびエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとヘプタンとの混合物である。
【0050】
大気圧で、すなわち、約0.96bar〜約1.03barの絶対圧力で反応を行う場合、先に指定したような二相溶媒系を使用することが好ましい(同一の優先度で)。加圧下で、すなわち、少なくとも1.03barの絶対圧力、好ましくは少なくとも1.1bar、より好ましくは約1.1〜約20.0bar、さらにより好ましくは約1.1〜約6.0barの絶対圧力で反応を行う場合、先に指定したような非プロトン性非極性溶媒を使用することが好ましい(同一の優先度で)。なかでもとくに好ましい非プロトン性非極性溶媒は、はトルエンおよびヘプタンである。
【0051】
大気圧で、すなわち、約0.96bar〜約1.03barの絶対圧力で反応を行う場合、便宜上、反応混合物中のArOHと式IIIおよび/またはIVで示される化合物とのモル比は、約3:1〜約0.8:1、好ましくは約2:1〜約1:1、より好ましくは約1.75:1〜約1:1のさまざまな値をとる。
【0052】
加圧下で、すなわち、少なくとも1.03barの絶対圧力、好ましくは少なくとも1.1bar、より好ましくは約1.1bar〜約6.0bar、さらにより好ましくは約1.1bar〜約5.1bar、なかでもさらにより好ましくは約1.7bar〜約5.1bar、最も好ましくは約2.0〜約3.6bar絶対圧力で反応を行う場合、便宜上、反応混合物中のArOHと式IIIまたはIVで表される化合物(いずれを利用する場合にも)とのモル比は、約1:1〜約1:1.05、好ましくは約1:1.01〜約1:1.03のさまざまな値をとる。
【0053】
便宜上、使用される有機溶媒の量は、式IIIまたはIVで表される化合物(いずれを利用する場合にも)1mmolを基準にして、約0.10ml〜約6ml、好ましくは約0.15ml〜約3mlであり、これらの量は、溶媒の全量を表す(すなわち、反応を単一相(単一溶媒もしくは均一溶媒混合物)中で行うかまたは二相溶媒系中で行うかを問わない)。
【0054】
本方法を二相溶媒系中で行う場合、便宜上、非極性溶媒と極性溶媒との体積比は、約1:5〜約30:1、好ましくは約1:3〜約20:1、最も好ましくは約1:1〜約15:1の範囲内である。
【0055】
有利なことに、二相溶媒系で使用される環状カーボネートを数回再生しうることを見いだした。
【0056】
触媒として使用されるインジウム塩は、化合物IIIまたはIV(いずれを利用する場合にも)を基準にして、約0.1〜約5mol%の相対量、好ましくは約0.1mol%〜約2mol%の相対量、より好ましくは約0.1〜約1mol%の相対量、最も好ましくは約0.1〜約0.5mol%の相対量で存在可能である。これに関連して、「インジウム塩の量」という表現は、たとえ触媒が不純および/または水和形であっても、存在する純粋インジウム塩の重量を表すものとする。
【0057】
好適には、反応を大気圧で行う場合、アルキル化の反応温度は、約10℃〜約160℃、好ましくは約15℃〜約150℃、より好ましくは約20〜約150℃である。
【0058】
少なくとも1.03bar、好ましくは少なくとも1.1barの絶対圧力下、より好ましくは約1.1bar〜約20.0barの絶対圧力、さらにより好ましくは約1.1〜約6.0barの絶対圧力で反応を行う場合、反応温度は、加えられる圧力に依存するが、便宜上、反応温度は、約106〜約170℃、好ましくは約112〜約160℃、より好ましくは約125〜約150℃である。
【0059】
方法2の工程b
この閉環反応は、少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物(ArOH)(とくに、式IIで示されるフェノール)と式IIIおよび/またはIVで示される化合物との反応に対して先に記載したのと実質的に同一の反応条件下で同一の触媒を用いて行うことが可能である。したがって、式Iで示される化合物および場合によりその1種以上の二重結合異性体が工程aにより生成される場合、工程bを実現するには、工程aの反応時間を単に延長するだけで十分である(すなわち、反応時間を約30分間〜約240分間延長する)。他の選択肢としてまたはそれと同時に、触媒の量および/または反応温度を増加させることが可能である。
【0060】
方法3
本発明のさらに他の態様によれば、式VIIで示される化合物(すなわち、トコフェロール、たとえば、α−トコフェロールもしくはγ−トコフェロール、またはDE−OS2160103の5頁の第3および第4パラグラフに記載されている任意の他のトコール誘導体)ならびに先に定義したように少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物(ArOH)は、インジウム塩の存在下においてアシル化剤で処理することにより、そのエステル(たとえばそのアセテート)に変換することが可能である。
【0061】
本発明のその態様に係るアシル化は、トコフェロールのアシル化で慣用されるアシル化剤(たとえば、無水物またはハロゲン化物)を用いて行うことが可能である。
【0062】
これらの例は、酢酸、プロピオン酸、ピバル酸、パルミチン酸、ニコチン酸、およびコハク酸のようなアルカン酸の無水物またはハロゲン化物である。典型的には無水酢酸または酢酸クロリド、特定的には無水酢酸が使用される。
【0063】
便宜上、反応混合物中の少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物(ArOH)または式VIIで示される化合物とアシル化剤とのモル比は、約1:0.8〜約1:5、好ましくは約1:1〜約1:3、より好ましくは約1:1.1〜約1:2のさまざまな値をとる。
【0064】
使用される触媒の量は、より少ないモル量の反応物(すなわち、ArOH/式VIIで示される化合物またはアシル化剤)を基準にし、バッチ方式で操作する場合、約0.006mol%〜約2.0mol%、好ましくは約0.0075mol%〜約1.5mol%、より好ましくは約0.01mol%〜約1.0mol%の範囲内でありうる。連続式操作の場合、触媒の量は、反応器のサイズおよび反応物の流量に合わせて調整されるであろう。バッチ式操作に適した数値に基づいて適切な数値を決定することは、通常技術の範囲内にあることは理解されよう。
【0065】
アシル化反応は、好ましくは約120℃未満の温度、より好ましくは約15℃〜約120℃の温度、最も好ましくは約15℃〜約40℃の温度で、行うことが可能である。
【0066】
反応は、本質的に追加の有機溶媒の不在下で行うことが可能であり、そうすることが好ましい。
【0067】
本発明に関連して「本質的に追加の有機溶媒の不在下で」とは、反応時に本質的に有機溶媒が存在せずかつ有機溶媒が意図的に添加されることはないことを意味する。しかしながら、痕跡量の有機溶媒が出発物質または触媒中に不純物として存在する可能性はありうる。言い換えれば、反応は、実質的に行われる。すなわち、ArOH/式VIIで示される化合物、無水酢酸、および触媒を除く他の化合物は、反応に意図的に使用されることはないので、反応の開始時、出発物質であるArOH/式VIIで示される化合物および無水酢酸を除くかつ反応混合物中の触媒を除くいかなる物質の量も、≦5重量%、好ましくは≦3重量%、より好ましくは≦0.5重量%であり、しかも反応時、さらなる化合物が添加されることはない。
【0068】
便宜上、反応は、不活性ガス雰囲気下、好ましくは気体窒素下またはアルゴン下で、行われる。
【0069】
便宜上、反応は、少なくとも0.02barの絶対圧力、好ましくは約0.02〜約10.0barの絶対圧力、より好ましくは約0.02bar〜約6.0barの絶対圧力、さらにより好ましくは約0.1bar〜約5barの絶対圧力、最も好ましくは約0.2bar〜約3barの絶対圧力で、行われる。
【0070】
少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とするキラルな芳香族化合物またはトコールおよびトコフェロール、たとえば、(エナンチオマー的に純粋な)(R,R,R)−γ−トコフェロール(X=H、X=OH、X=X=メチル、かつn=3であるときの式VII)を使用した場合、本質的にエピマー化を伴うことなくアシル化が進行することは、本発明に係るアシル化に特有な特徴である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
方法1の好ましい実施形態
好ましいのは、2−フィチル−3,5,6−トリメチルヒドロキノンまたは3−フィチル−2,5,6−トリメチルヒドロキノン1−アルカノエート(いずれも、n=3のときの式Iaで表される)
【化15】


の製造方法であり、この方法は、2,3,5−トリメチルヒドロキノンまたは2,3,6−トリメチルヒドロキノン1−アルカノエート(いずれも、式IIaで表される)
【化16】


を式IIIaおよび/またはIVaで示される化合物(いずれも、n=3)
【化17】


と有機溶媒中で反応させることにより行われ、
式中、Rは、水素、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイル、またはパルミチルであり、
は、ヒドロキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、またはハロゲンであり、そしてnは3であり、
さらに反応は、触媒としてのインジウム塩の存在下で行われる。以下では、この方法を方法1Aと称する。
【0072】
式IIaおよびIaで示される化合物の記号Rに関して、好ましくは、それは水素またはアセチルを意味し、より好ましくは、それは水素である。
【0073】
式IIIaおよび/またはIVaで示される化合物のR部分に関して、好ましくは、Rは、ヒドロキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、塩素、または臭素であり、より好ましくは、Rは、ヒドロキシ、アセチルオキシ、または塩素であり、最も好ましくは、Rはヒドロキシである。
【0074】
本発明に係る方法1Aでは、(all−rac)−PTMHQまたは(all−rac)−PTMHQA、特定には(all−rac)−PTMHQAcの製造が好ましいが、本発明は、その特定の異性体形の製造に限定されるものではなく、フィトール、イソフィトール、またはそれらの誘導体を適切な異性体形で出発物質として使用することにより、他の異性体形を得ることが可能である。したがって、(R,R)−フィトール、(R,R,R)−イソフィトール、(S,R,R)−イソフィトール、もしくは(RS,R,R)−イソフィトール、または適切な(イソ)フィトール誘導体を使用した場合、(R,R)−PTMHQまたは(R,R)−PTMHQAが得られるであろう。
【0075】
触媒の活性、その量、およびさらなる反応条件に依存して、式Iaで示される中間体は、単離されずにさらに反応して、式VIIaで示される最終生成物α−トコフェロールまたはそのアルカノエートに変換される可能性がある。したがって、方法1Aはまた、α−トコフェロールまたはそのアルカノエート(いずれも、式VIIaで表される)
【化18】


の製造方法(方法1A−2と記す)を包含し、この方法は、2,3,5−トリメチルヒドロキノンまたは2,3,6−トリメチルヒドロキノン1−アルカノエート(いずれも、式IIaで表される)
【化19】


を式IIIaおよび/またはIVaで示される化合物(いずれもn=3)
【化20】


と有機溶媒中で反応させることにより行われ、
式中、R、R、およびnは、方法1Aに対して記載したのと同一の意味および優先度を有し、そして
反応は、触媒としてのインジウム塩の存在下で行われる。
【0076】
方法2の好ましい実施形態
この態様において、本発明は、α−トコフェロールまたはそのアルカノエートの製造方法に関し、この方法は、
a)(工程a)2,3,5−トリメチルヒドロキノンまたは2,3,6−トリメチルヒドロキノン1−アルカノエート(いずれも、式IIaで表される)
【化21】


を式IIIaおよび/またはIVaで示される化合物(いずれも、n=3)
【化22】


と有機溶媒中で場合により反応させることと、
式中、R、R、およびnは、方法1Aに対して記載したのと同一の意味および優先度を有し、
b)(工程b)2−フィチル−3,5,6−トリメチルヒドロキノンまたは3−フィチル−2,5,6−トリメチルヒドロキノン1−アルカノエートおよび場合によりそれらの1種以上の異性体(いずれも、工程aにより取得可能である)を有機溶媒中で閉環処理に付してα−トコフェロールまたはそのアルカノエートを生成させることと、
により行われ、
ただし、工程aおよびbの少なくとも一方は、触媒としてのインジウム塩の存在下で行われる。以下では、この方法を方法2Aと称する。
【0077】
本発明に係る方法2Aでは、(all−rac)−α−トコフェロール(R=水素のときの式VIIa)または(all−rac)−α−トコフェリルアルカノエート(R=アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイル、またはパルミチルのときの式VIIa)、特定的には(all−rac)−α−トコフェリルアセテート(R=アセチルのときの式VIIa)の製造が好ましいが、本発明は、その特定の異性体形の製造に限定されるものではなく、フィトール、イソフィトール、またはその誘導体を適切な異性体形で出発物質として使用することにより、他の異性体形を得ることが可能である。したがって、たとえば、(R,R)−PTMHQもしくは(R,R)−PTMHQAc、あるいは(R,R)−フィトール、(R,R,R)−イソフィトール、(S,R,R)−イソフィトール、もしくは(RS,R,R)−イソフィトール、または適切な(イソ)フィトール誘導体を使用した場合、(RS,R,R)−α−トコフェロール/(RS,R,R)−α−トコフェリルアセテートが得られるであろう。
【0078】
本発明のとくに好ましい実施形態では、2,3,5−トリメチルヒドロキノンを、フィトール(R=OHかつn=3のときの式IVa)および/またはイソフィトール(R=OHかつn=3のときの式IIIa)、好ましくはイソフィトールと、反応させて、α−トコフェロールに変換する。その際、中間体として、2−フィチル−3,5,6−トリメチルヒドロキノン(式Ia;主成分として)、3−(3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデク−3−エニル)−2,5,6−トリメチルヒドロキノン(R=Hのときの式Va)、および3−[3−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−ブト−3−エニル]−2,5,6−トリメチルヒドロキノン(R=Hのときの式VIa)が生成される。
【化23】

【0079】
方法3の好ましい実施形態
この態様において、本発明は、α−トコフェリルアルカノエート(式VIIIで表される)
【化24】


の製造方法に関し、この方法は、α−トコフェロール(式VIIbで表される)
【化25】


をアシル化剤と反応させることにより行われ、この反応が、触媒としてのインジウム塩の存在下で行われることを特徴とする(以下では、方法3Aと記す)。
【0080】
置換基Rに関して、好ましくは、Rは、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、パルミチル、HOC−CH−CH−CO、またはニコチノイルであり、より好ましくは、Rは、HOC−CH−CH−COまたはアセチルであり、最も好ましくは、Rはアセチルである。
【0081】
本発明に係る方法3Aのとくに好ましい実施形態では、(all−rac)−α−トコフェリルアルカノエート(式VIII;上記参照)、特定的には(all−rac)−α−トコフェリルアセテート(R=アセチルのときの式VIII)が生成されるが、本発明は、その特定の異性体形の製造に限定されるものではなく、フィトール、イソフィトール、またはそれらの誘導体を適切な異性体形で出発物質として使用することにより、他の異性体形を得ることが可能である。したがって、出発物質として(R,R,R)−α−トコフェロールを使用した場合、反応条件下でエピマー化が起こることはないので、(R,R,R)−α−トコフェリルアルカノエート/アセテートが得られるであろう。
【0082】
好ましい実施形態では、方法2Aにより得られる(all−rac)−α−トコフェロールは、溶媒を除去した後、さらなる精製を行うことなく無水酢酸により室温で短い反応時間(10分間まで)で完全転化でアセチル化される。インジウム塩は継続的に存在するので、追加の触媒を使用する必要はない。アセチル化の後、(all−rac)−α−トコフェリルアセテートは、優れた収率[(all−rac)−α−トコフェロールに基づいて>99.5%]で単離された。
【0083】
好ましい実施形態の方法1A、2A、および3Aで触媒として使用されるインジウム塩に関して:
二相溶媒系中で行う場合、α−トコフェロールのアシル化(方法3A)およびTMHQまたはTMHQAと式IIIaおよび/またはIVaで表される化合物との反応(方法1Aまたは方法2Aの工程a)に対して、In(OTf)がなかでもとくに好ましい。TMHQまたはTMHQAと式IIIaおよび/またはIVaで表される化合物との反応(方法1Aまたは方法2Aの工程a)を単一相溶媒系中で行う場合、InClが最も好ましい触媒である。
【0084】
方法1Aおよび2Aでは、触媒は、最も好ましくし水に溶解される。そのような溶液の濃度は、それほど重要ではない。
【0085】
方法1A、方法2Aの工程a
自明なことであろうが、本発明に係るこの方法で反応物としてTMHQを使用すると、PTMHQが得られ、一方、TMHQA、特定的にはTMHQAcを使用すると、対応するPTMHQA/PTMHQAcが得られるであろう。
【0086】
副生成物として、PTMHQ(A)の異性体である(Z)−または(E)−2,3,6−トリメチル−5−(3,7,11,15−テトラメチル−ヘキサデク−3−エニル)ヒドロキノン(1−アルカノエート)(式Vaで表される;上記参照)および/または2,3,6−トリメチル−5−[3−(4,8,12−トリメチル−トリデシル)−ブト−3−エニル]ヒドロキノン(1−アルカノエート)(式VIaで表される;上記参照)が、副次量で、方法1Aおよび方法2Aの工程aで生成される可能性がある。
【0087】
PTMHQ(A)ならびに式VaおよびVIaで表されるその異性体は、α−トコフェロールまたはそのアルカノエート(最終生成物)を製造するための中間体である。
【0088】
触媒の活性、その量、およびさらなる反応条件に依存して、反応は、最終生成物であるα−トコフェロール(アルカノエート)まで進行するか(方法2Aの工程aおよびb)、または式Iaで示されるこれらの中間体を単離しうる程度に十分に緩速である(方法2Aの工程aだけが行われる)。
【0089】
好ましくは、TMHQを、PHおよび/またはIP、より好ましくはIPと、反応させる。
【0090】
便宜上、TMHQ(−1−アルカノエート)と式IIIaで示される化合物および/または式IVaで示される化合物との反応は、不活性ガス雰囲気下、好ましくは気体窒素下またはアルゴン下で行われる。それは、大気圧または加圧下で行うことが可能である。
【0091】
反応は、バッチ方式または連続方式で、かつ一般的には操作の非常に簡単な方法で、行うことが可能である。たとえば、(i)以下に述べるように、式IIIaまたはIVaで表される化合物をそのままの状態でまたは非極性溶媒に溶解させた状態で(反応を非極性溶媒中または二相溶媒系中で行う場合)、好ましくはそのままの状態で少しずつまたは連続的に、触媒と、TMHQまたはその1−アルカノエートと、溶媒/二相溶媒系と、の混合物に添加することにより、行うことが可能である。
【0092】
同様に、(ii)以下に述べるように、触媒を好ましくはそのままの状態でまたは水溶液としておよび式IIIaまたはIVaで表される化合物をそのままの状態でまたは非極性溶媒に溶解させた状態で(反応を非極性溶媒中または二相溶媒系中で行う場合)、好ましくはそのままの状態でTMHQまたはその1−アルカノエートおよび溶媒/二相溶媒系に後続添加することも可能である。
【0093】
便宜上、反応を単一溶媒中とくに非プロトン性非極性溶媒中で行う場合、式IIIaまたはIVaで示される化合物は、約15〜約180分間以内に、好ましくは約30〜約150分間以内に、より好ましくは約45〜約130分間以内に、TMHQまたはその1−アルカノエートに連続的に添加される。反応を二相溶媒系中で行う場合、供給速度はそれほど重要ではない。触媒は、好ましくは、TMHQまたはその1−アルカノエートと溶媒/二相溶媒系との混合物(すでに反応温度に達している)に一度に添加される。
【0094】
式IIIaまたはIVaで表される化合物の添加(非極性溶媒中)の終了後、好適には、反応混合物は、反応温度で約10分間〜約360分間、好ましくは約30分間〜約240分間さらに加熱される。後処理は、有機化学で慣用される手順により行うことが可能である。
【0095】
好適には、反応を大気圧で行う場合、アルキル化の反応温度は、約10℃〜約160℃、好ましくは約15℃〜約150℃、より好ましくは約20℃〜約150℃である。
【0096】
加圧下で、すなわち、少なくとも1.03barの絶対圧力、好ましくは少なくとも1.1barの絶対圧力、より好ましくは約1.1〜約20.0barの絶対圧力、さらにより好ましくは約1.1〜約6.0barの絶対圧力で反応を行う場合、反応温度は、加えられる圧力に依存するが、便宜上、反応温度は、約106〜約170℃、好ましくは約112〜約160℃、より好ましくは約125〜約150℃である。
【0097】
加圧下で、すなわち、少なくとも1.03barの絶対圧力で反応を行う場合、好ましくは、非プロトン性非極性有機溶媒、たとえば、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素、およびそれらの混合物が使用される。例およびその優先度は、方法1および方法2の工程aに対して先に記載したものと同一である。
【0098】
大気圧で、すなわち、約0.96bar〜約1.03barの圧力で反応を行う場合、反応は、好ましくは、極性溶媒と非極性溶媒とを含む二相溶媒系中で行われる。そのような二相溶媒系の非極性溶媒および極性溶媒の例ならびにそれらの優先度は、方法1または方法2の工程aに対して先に指定したのと同一である。
【0099】
大気圧で、すなわち、約0.96bar〜約1.03barの絶対圧力で反応を行う場合、便宜上、反応混合物中のTMHQまたはその1−アルカノエートと式IIIaおよび/またはIVaで表される化合物とのモル比は、約3:1〜約0.8:1、好ましくは約2:1〜約1:1、より好ましくは約1.75:1〜約1:1のさまざまな値をとる。
【0100】
加圧下で、すなわち、少なくとも1.03bar、好ましくは少なくとも1.1barの絶対圧力、より好ましくは約1.1bar〜約6.0bar、さらにより好ましくは約1.1bar〜約5.1bar、なかでもさらにより好ましくは約1.7bar〜約5.1bar、最も好ましくは約2.0〜約3.6bar絶対圧力で反応を行う場合、便宜上、反応混合物中のTMHQまたはその1−アルカノエートと式IIIaまたはIVaで表される化合物(いずれを利用する場合にも)とのモル比は、約1:1〜約1:1.05、好ましくは約1:1.01〜約1:1.03のさまざまな値をとる。
【0101】
便宜上、使用される有機溶媒の量は、式IIIaまたはIVaで表される化合物(いずれを利用する場合にも)1mmolを基準にして、約0.10ml〜約6ml、好ましくは約0.15ml〜約3mlであり、これらの量は、溶媒の全量を表す(すなわち、反応を単一相(単一溶媒もしくは溶媒混合物)中で行うかまたは二相溶媒系中で行うかを問わない)。
【0102】
本方法を大気圧でかつ二相溶媒系中で行う場合、便宜上、非極性溶媒と極性溶媒との体積比は、約1:5〜約30:1、好ましくは約1:3〜約20:1、最も好ましくは約1:1〜約15:1の範囲内である。
【0103】
有利なことに、二相溶媒系で使用される環状カーボネートを数回再生しうることを見いだした。
【0104】
触媒として使用されるインジウム塩は、化合物IIIaまたはIVa(いずれを利用する場合にも)を基準にして、約0.1〜約5mol%の相対量、好ましくは約0.1mol%〜約2mol%の相対量、より好ましくは約0.1〜約1mol%の相対量、最も好ましくは約0.1〜約0.5mol%の相対量で存在可能である。これに関連して、「インジウム塩の量」という表現は、たとえ触媒が不純および/または水和形であっても、存在する純粋インジウム塩の重量を表すものとする。
【0105】
方法2Aの工程b
自明なことであろうが、本発明に係る方法で反応物としてPTMHQまたはその異性体を使用すると、α−トコフェロールが調製され、一方、PTMHQAまたはその異性体を使用すると、対応するα−トコフェリルアルカノエートが得られるであろう。
【0106】
出発物質として、当業者に公知の任意の方法で調製されるPTMHQまたはPTMHQAおよび場合によりそれらの1種以上の異性体(それらは、PTMHQまたはPTMHQAの製造時に副次量の副生成物として得られる)を使用することが可能である。
【0107】
この閉環は、式IIaで表されるTMHQまたはTMHQAと式IIIaおよび/またはIVaで示される化合物との反応に対して先に記載したのと実質的に同一の反応条件下で同一の触媒を用いて行うことが可能である。したがって、PTMHQまたはPTMHQAおよび場合によりそれらの1種以上の異性体が工程aにより生成される場合、工程bを実現するには、工程aの反応時間を単に延長するだけで十分である(すなわち、反応時間を約30分間〜約240分間延長する)。他の選択肢としてまたはそれと同時に、触媒の量および/または反応温度を増加させることが可能である。
【0108】
方法3A
本発明のさらに他の態様によれば、インジウム塩の存在下においてアシル化剤で処理することにより、α−トコフェロールをそのアルカノエート(たとえば、そのアセテート)に変換することが可能である。
【0109】
本発明のその態様に係るアシル化は、方法3に対してすでに記載したのと同一の反応条件下で行うことが可能である。
【0110】
(R,R,R)−α−トコフェロールを使用した場合、本質的にエピマー化を伴うことなくアシル化が進行することは、本発明に係るアシル化に特有の特徴である。したがって、たとえば、(R,R,R)−α−トコフェロールを方法3Aの出発物質として使用した場合、(R,R,R)−α−トコフェリルアルカノエートが得られる。
【0111】
方法4
本発明のさらに他の態様によれば、DE−OS2160103(5頁の第3パラグラフ)に規定されているおよび本発明に係る方法により得られるα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、およびδ−トコフェロールは、アシル化剤で処理することにより、それらのアルカノエート(たとえば、それらのアセテート)に変換する可能性がある。
【0112】
本発明のその態様に係るアシル化は、当業者にすでに公知の方法により行うことが可能である。
【0113】
α−トコフェロールまたはそのアルカノエートの製剤の製造方法
方法1、2、3、3A、または4のうちの1つにより得られるα−トコフェロールまたはそのアルカノエートは、当業者に公知の任意の方法により、たとえば、米国特許第6,162,474号明細書、米国特許公開第2001/0009679号明細書、米国特許第6,180,130号明細書、米国特許第6,426,078号明細書、米国特許第6,030,645号明細書、米国特許第6,150,086号明細書、米国特許第6,146,825号明細書、米国特許第6,001,554号明細書、米国特許第5,938,990号明細書、米国特許第6,530,684号明細書、米国特許第6,536,940号明細書、米国特許公開第2004/0053372号明細書、米国特許第5,668,183号明細書、米国特許第5,891,907号明細書、米国特許第5,350,773号明細書、米国特許第6,020,003号明細書、米国特許第6,329,423号明細書、国際公開第96/32949号パンフレット、米国特許第5,234,695号明細書、国際公開第00/27362号パンフレット、EP0664116、米国特許公開第2002/0127303号明細書、米国特許第5,478,569号明細書、米国特許第5,925,381号明細書、米国特許第6,651,898号明細書、米国特許第6,358,301号明細書、米国特許第6,444,227号明細書、国際公開第96/01103号パンフレット、および国際公開第98/15195号パンフレットの各明細書に開示されている方法により、さらに製剤化することが可能である。
【0114】
先に指定したインジウム塩の使用
本発明はまた、本発明に係る方法である方法1、1−1、1−2、1A、1A−1、2、2A、3、および3Aにおける先に指定したインジウム塩の使用に関する。特定的には、本発明は、有機溶媒中での少なくとも1個のヒドロキシ基を有することを特徴とする芳香族化合物のフリーデル・クラフツアルキル化反応における触媒としてのインジウム塩の使用と、さらには有機溶媒中でクロマン環化合物を生成させる閉環反応における触媒としてのインジウム塩の使用と、に関する。
【0115】
以下の実施例により本発明についてさらに具体的に説明する。
【実施例】
【0116】
以下の実施例では、副次量の次の副生成物が得られた:
PTMQ:フィチルトリメチルキノン:
【化26】


PTD:フィタジエン=IPの脱水副生成物(容易に分離可能);
DHTC:3,4−デヒドロ−α−トコフェロール
【化27】


BZF:ベンゾフラン:
【化28】


フィチル−トルエン化合物およびその二重結合異性体(容易に分離可能):
【化29】

【0117】
生成物の分析は、内部標準を用いてガスクロマトグラフィー(GC)により行った。
【0118】
ジェフソルEC50(Jeffsol EC50)(登録商標)は、米国テキサス州オースティン私書箱15730/ベルギー国アントワープのハンツマン・コーポレーション(Huntsman Corp.,PO Box 15730 Austin,Texas,USA/Antwerp 2030,Belgium)から入手可能な溶媒混合物であり、体積比1:1のエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートからなる。
【0119】
「大気圧」で実施例を行った場合、これは、約0.96bar〜約1.03barの圧力で反応を行ったことを示唆する。
【0120】
実施例1〜14:PTMHQの調製
実施例1〜3:InCl触媒
InCl触媒の存在下(触媒の量は、表1に与えられている)かつ大気圧において、表1に与えられている溶媒中または溶媒系中で、12.88mmolのTMHQと8.58mmolのIPとを反応させた。反応時間は、2時間であった。さらに詳しい明細および結果についは、表1を参照されたい。
【0121】
実施例4および5:In(OTf)触媒
漸増量(表1参照)のIn(OTf)触媒の存在下かつ大気圧において、20mlのヘプタンと20gのジェフソルEC50(Jeffsol EC50)(登録商標)との混合物中で、12.88mmolのTMHQと8.58mmolのIPとを反応させた。反応条件および結果に関するさらに詳しい内容については、表1を参照されたい。
【0122】
【表1】

【0123】
実施例6および7:InCl触媒
45mlのトルエン中、110℃、1.0mol%(IP基準)のInCl触媒の存在下、かつ大気圧において、さまざまな量のTMHQを17.17mmolのIPと反応させた。さらに詳しい明細および結果を表2に示す。
【0124】
実施例8:In(OTf)触媒
1.0mol%(IP基準の量)のIn(OTf)触媒の存在下、22℃、かつ大気圧において、TMHQ(38.63mmol)とIP(25.75mmol、97%、1時間添加)とを、1.5:1のモル比で反応させた。さらに詳しい明細および結果についは、表2を参照されたい。ヘプタン相を分離してヘプタン相をジェフソルEC50(Jeffsol EC50)(登録商標)(60ml)で洗浄した後、得られた混合物(ヘプタン中の懸濁液)を真空下で濾過した。ペースト状のほぼ無色の固体をGCにより分析した。
【0125】
実施例9:In(OTf)触媒
1.0mol%(IP基準の量)のIn(OTf)触媒の存在下、22℃、かつ大気圧において、TMHQ(24.691g、161.1mmol)とIP(38.833ml、107.4mmol、97%、1時間添加)とを、1.5:1のモル比で反応させた。さらに詳しい明細および結果については、表2を参照されたい。ヘプタン相を分離してヘプタン相をジェフソルEC50(Jeffsol EC50)(登録商標)(250ml)で洗浄した後、得られたヘプタン中の懸濁液を真空下で濾過した。ペースト状のほぼ無色の固体を定量GCにより分析した。
【0126】
【表2】

【0127】
実施例10〜14
漸増量のIn(OTf)触媒(実施例10)またはInCl触媒(実施例11〜14)の存在下、100mlの有機溶媒中において、200mmolのTMHQを、それぞれ、200mmolのIP(実施例10および13)ならびに203mmolのIP(実施例11、12、および14)と、反応させた。実施例10および14を加圧下で行い、実施例11〜13を大気圧で行った。反応温度、圧力、反応時間、および溶媒のタイプについては、表3を参照されたい。
【0128】
【表3】

【0129】
実施例15〜18:InCl触媒を用いる二相溶媒系中における(all−rac)−TCPの調製
機械的攪拌機、温度計、ディーン・スターク分離器、および還流冷却器を備えた100ml四口フラスコ中で、2.00g(12.878mmol)のTMHQ(純度98%)、2.0mol%(IP基準)のInCl、および特定量の二相溶媒系(表4参照)を、アルゴン雰囲気下で加熱して、還流させた(140〜145℃の油浴)。3.106ml(8.585mmol)のIP(純度97%)を毎分0.052mlの速度で1時間以内で添加した。IPを完全に添加した後、約0.15mlの水を捕集した。20分間攪拌した後、ヘプタンを約10分以内で留去した。その後、反応混合物を125〜130℃で1時間加熱した。反応混合物を80℃に冷却し、40mlのヘプタンをカーボネート相に添加した。反応混合物を60℃でさらに20分間攪拌した。ヘプタン層を分離し、カーボネート相をヘプタン(40ml)で抽出した。合わせたヘプタン相を減圧下でエバポレートした。粘性油としてTCPを得た。収率(IP基準)については、表4を参照されたい。
【0130】
実施例19〜20:InCl触媒を用いる単一相溶媒中における(all−rac)−TCPの調製
機械的攪拌機、温度計、ディーン・スターク分離器、および還流冷却器を備えた100ml四口フラスコ中で、2.00g(12.878mmol)のTMHQ、2.0mol%(IP基準)のInCl、20mlの溶媒(ジエチルケトンまたはブチルアセテート)を、アルゴン雰囲気下で昇温し、還流させた(140〜145℃の油浴)。3.106ml(8.585mmol)のIPを毎分0.052mlの速度で1時間以内で添加した。IPを完全に添加した後、反応混合物を103℃で4時間加熱した(140〜145℃の油浴)。反応混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、(all−rac)−TCPを得た。
収率(IP基準)を表4に示す。
【0131】
実施例21〜22:
In(OTf)触媒を用いる単一相溶媒中における(all−rac)−TCPの調製
実施例15を反復したが、InClの代わりにIn(OTf)を触媒として使用し、単一溶媒中で反応を行った。
【0132】
【表4】

【0133】
実施例23〜25:InCl触媒の量の作用
実施例16を反復したが、InClの量および反応時間を変化させた。結果を表5に示す。
【0134】
【表5】

【0135】
実施例26〜31:異なるインジウム塩の使用
実施例16を反復したが、触媒の量およびタイプを変化させた。実施例26〜29および31では、12.878mmolのTMHQと8.858mmolのIPとを互いに反応させ、実施例30では、8.858mmolのTMHQと8.858mmolのIPとを使用した。結果を表6にまとめる。
【0136】
【表6】

【0137】
実施例32〜34:(all−rac)−TCPAの調製
機械的攪拌機、温度計、ディーン・スターク分離器、および還流冷却器を備えた100ml四口フラスコ中で、2.50g(12.878mmol)のTMHQA、触媒(表7参照)、20mlのエチレンカーボネート、および20mlのヘプタンを、アルゴン雰囲気下で昇温し、還流させた(140〜145℃の油浴)。3.106ml(8.585mmol)のIPを毎分0.052mlの速度で添加した。IPを完全に添加した後、約0.15mlの水を捕集した。20分間攪拌した後、ヘプタンを約10分以内で留去した。その後、反応混合物を125〜130℃で60分間加熱した。反応混合物を80℃に冷却し、40mlのヘプタンをカーボネート相に添加した。反応混合物を60℃でさらに20分間攪拌した。ヘプタン層を分離し、エチレンカーボネート相をヘプタン(40ml)で抽出した。合わせたヘプタン相を減圧下でエバポレートした。(all−rac)−TCPAを含む粘性油を得た。収率(IP基準)については、表7を参照されたい。
【0138】
【表7】

【0139】
実施例35〜41:TCPからの(all−rac)−TCPAの調製
温度計、アルゴンパージ用ガラス管、還流冷却器、および機械的攪拌機を備えた加熱/冷却ジャケット付き230ml四口平底フラスコに、特定量の触媒(表8参照)および58.22g(133mmol)の(all−rac)−TCP(98.4%)を充填した。攪拌下、3分間以内で、40.64g(400mmol、37.60ml)の無水酢酸(AcO)を添加した。サンプルを定性GC分析にかけた。結果を表8にまとめる。
【0140】
【表8】

【0141】
実施例42〜46:さまざまな量の触媒およびAcOを用いるTCPからの(all−rac)−TCPAの調製
実施例39を反復したが、さまざまな量の触媒およびAcOを用いた。実施例42〜46では、反応時間もまた異なっていた。より良好な比較を行うために、実施例39および40の結果もまた、実施例42〜46の結果を示す以下の表9に組み入れた。
【0142】
【表9】

【0143】
実施例47:(2R,4’R,8’R)−α−TCPAの調製
温度計、Arパージ用ガラス管、還流冷却器、および機械的攪拌機を備えた加熱/冷却ジャケット付き230ml四口平底フラスコに、2.6mgのIn(OTf)((2R,4’R,8’R)−α−TCP基準で0.01mol%)および21.08g(47.06mmol)の(2R,4’R,8’R)−α−TCPを充填し、褐色の油を得た。毎分400回転の攪拌下、10分間以内で、14.56g(141.2mmol、13.47ml)のAcOを添加した。添加中、反応混合物は、暗褐色に変化し、最終的に黒色になった。反応混合物の温度は、添加の4分後に32℃に達し、その後、反応の残りの全時間をかけて25℃に冷却された。反応混合物のサンプルを採取し、定性GC分析により分析した。4.5時間後、0.2g(1.89mmol)の重炭酸ナトリウムを添加することにより反応をクエンチし、得られた溶液を減圧下で濃縮し、橙色の粘性油として粗生成物を得た。クーゲルロール(Kugelrohr)装置を用いてバルブツーバルブ蒸留(0.009mbar、200℃)により、この油を精製し、(2R,4’R,8’R)−α−TCPA(21.582g、収率97.0%、(2R,4’R,8’R)−α−TCP基準)を得た。キラルHPLC分析では、その(2S,4’R,8’R)エピマーの痕跡は、なんら見られなかった。
【0144】
実施例48:γ−トコフェロール(γ−TCP)からの(all−rac)−γ−トコフェリルアセテートの調製
温度計、Arパージ用ガラス管、還流冷却器、および機械的攪拌機を備えた加熱/冷却ジャケット付き230ml四口平底フラスコに、In(OTf)(γ−TCP基準で0.01mol%;2.7mg)および20.82g(47.33mmol)の(all−rac)−γ−トコフェロールを充填し、褐色の溶液を得た。毎分400回転の攪拌下、10分間以内で、14.615g(142mmol、13.530ml)のAcOを添加した。添加中、反応混合物は、暗褐色に変化し、最終的に黒色になった。反応混合物の温度は、添加の1分後に28℃に達し、その後、反応の残りの全時間をかけて25℃に冷却された。反応混合物のサンプルを採取し、1mlのエチルアセテートで希釈し、その後、定性GCにより分析した。21.66時間後、重炭酸ナトリウム(1.89mmol、0.2g)を添加することにより反応をクエンチし、得られた溶液を減圧下で濃縮し、暗橙色の粘性油の形態で粗生成物を得た。クーゲルロール(Kugelrohr)装置を用いてバルブツーバルブ蒸留により、この油を精製し、黄色の油(20.761g、収率95.6%)として(all−rac)−γ−トコフェリルアセテートを得た。
【0145】
実施例49:PTMHQを介する(all−rac)−α−トコフェロールの調製
機械的攪拌機、還流冷却器、および温度計を備えた50ml四口フラスコ中で、実施例5により調製された0.734g(1.70mmol)のPTMHQ(表1も参照されたい)、0.5mol%のIn(OTf)、および20mlのジェフソルEC−50(Jeffsol EC−50)(登録商標)を、アルゴン雰囲気下、135℃で1時間攪拌した。その後、反応混合物を室温に冷却し、カーボネート相をヘプタン(2×30ml)で抽出した。合わせたヘプタン相を減圧下で濃縮し、黄色の油として0.74gの(all−rac)−TCPを得た。全収率(IP基準)は、92.2%である。
【0146】
実施例50〜51:
大気圧における(all−rac)−TCPの調製
スターラー、温度計、圧力指示計、ディーン・スターク分離器、および還流冷却器を備えた250mlビューヒ(Buechi)反応器中またはオートクレーブ中で、30.447g(200mmol)のTMHQ(99.97%)、特定量のInCl(表10参照、IP基準の量)、および100mlのトルエンを、114℃、連続窒素流動下、かつ1.0barの絶対圧力下で、加熱した。74.035ml(200mmol)のIP(94.6%)を毎分1.234mlの供給速度で添加した。反応が終了するまで、約3.6mlの水を捕集した。添加の終了後、反応混合物を114℃で1時間攪拌し、室温に冷却した。その後、反応混合物を減圧下で濃縮した(45℃、95〜15mbar)。粘性油として(all−rac)−TCPを得た。結果については、表10を参照されたい。
【0147】
実施例52**
実施例51を反復したが、トルエンの代わりにヘプタンを溶媒として使用した。
【0148】
実施例53〜54:加圧下における(all−rac)−TCPの調製
実施例50および51を反復したが、2barの絶対圧力下、137℃で反応を行った。137℃で1時間経過した後、反応混合物を室温に冷却し、室温に達した時点で圧力を開放した。
【0149】
実施例55**:加圧下における(all−rac)−TCPの調製
スターラー、温度計、圧力指示計、ディーン・スターク分離器、および還流冷却器を備えた250mlビューヒ(Buechi)反応器中またはオートクレーブ中で、30.447g(200mmol)のTMHQ(99.97%)、5mlのInCl(0.2M水溶液、0.5mol%、1mmol)、および100mlのヘプタンを、147℃、連続窒素流動下、かつ3.4barの絶対圧力下で、加熱した。75.304ml(203mmol)のIP(94.6%)を毎分0.605mlの供給速度で添加した。反応が終了するまで、約3.6mlの水を捕集した。IPの添加の終了後、反応混合物を147℃で1時間攪拌し、そして室温に冷却した。その後、圧力を開放した。反応混合物を減圧下で濃縮した(45℃、110〜15mbar)。粘性油(91.51g)として(all−rac)−TCPを得た。収率は、IP基準で92.0%であった。
【0150】
【表10】

【0151】
実施例56および58(***):過剰のIPを用いる(all−rac)−TCPの調製
100mlのトルエン中、137℃で、または100mlのヘプタン中、147℃で、200mmolのTMHQと203mmolのIP(1.38%モル過剰に相当する)とを反応させた。IPを120分間かけて添加した。その後、混合物をさらに60分間反応させた。収率および選択率(表11に与えられている)はすべて、IP基準である。
【0152】
実施例57、59、および60:異なるインジウム塩触媒を用いる(all−rac)−TCPの調製
100mlのトルエン中、137℃で、または100mlのヘプタン中、147℃で、200mmolのTMHQと200mmolのIPとを反応させた。IPを60分間かけて添加した。その後、混合物をさらに60分間反応させた。収率および選択率(表11に与えられている)はすべて、IP基準である。
【0153】
【表11】

【0154】
InClを用いた場合、ヘプタンおよびトルエンのいずれの溶媒中においても、優れた収率が得られた。この触媒を用いたときの所望の6員環生成物(all−rac)−TCPの生成の選択率は、In(OTf)を用いたときの結果と比較して、非常に高く、28〜30%の選択率差が観測された。
【0155】
また、少し過剰のIP(+1.38%)を用いると、かなり良好な収率が得られることが判明した(表11、実施例58を参照されたい)。実際に、後処理の後、収率93.9%で(all−rac)−TCPを単離することができた。強調すべき点として、大気圧では、1.5/1のTMHQ/IP比を使用したが、加圧下では、優れた収率で所望のクロマン環化合物(all−rac)−TCPを生成させるのに等モル比で十分であった。
【0156】
加圧下でこれらの反応に使用したTMHQの割合が大気圧での割合の20倍であったこと(0.2モル/lに対して4モル/l)かつ反応の収率に影響を及ぼさなかったことは注目に値する。
【0157】
実施例61:(all−rac)−TCPの調製
100mlのトルエン中、137℃で、200mmolのTMHQと203mmolのIPとを反応させた。IPを120分間かけて添加した。その後、反応混合物をさらに60分間反応させた。収率(IP基準)を表12に示す。
【0158】
実施例62:(all−rac)−TCPの調製
100mlのトルエン中、137℃で、200mmolのTMHQと203mmolのIPとを反応させた。IPを120分間かけて添加した。その後、反応混合物をさらに566分間反応させた。収率(IP基準)を表12に示す。
【0159】
実施例63:(all−rac)−TCPの調製
100mlのヘプタン中、147℃で、200mmolのTMHQと203mmolのIPとを反応させた。IPを120分間かけて添加した。その後、反応混合物をさらに120分間反応させた。収率(IP基準)を表12に示す。
【0160】
【表12】

【0161】
InClの量を0.25mol%に減少させたとき、(all−rac)−TCPは、良好な収率で得られた(表12参照、実施例62および63)。しかしながら、ほぼ完全な閉環が行われるようにするには、より長い反応時間(たとえば、トルエン中で566分まで)が必要とされた。
【0162】
(all−rac)−TCPの選択率、収率、および触媒量の良好なバランスは、とくにヘプタン中では、2mol%のInClを使用したときに得られるように思われた。トルエン中およびヘプタン中で、所望のクロマン生成物(all−rac)−TCPを95.5%までの収率で単離することができた。
【0163】
実施例64:(all−rac)−TCPの調製
100mlのシクロヘキサン中、135℃、4.0barの絶対圧力下、かつ0.5mol%(IP基準)のInClの存在下において、200mmolのTMHQと203mmolのIPとを反応させた。IPを120分間かけて添加した。その後、混合物をさらに380分間反応させた。表13に与えられている(all−rac)−TCPの収率は、IP基準である。
【0164】
実施例65:(all−rac)−TCPの調製
100mlのヘキサン中、0.5mol%(IP基準)のInClの存在下で、200mmolのTMHQと203mmolのIPとを反応させた。125℃かつ4.0barの絶対圧力下で120分間かけてIPを添加した。その後、混合物を、125℃かつ4.0barの絶対圧力下でさらに180分間、135℃かつ5.1barの絶対圧力下でさらに206分間、反応させた。表13に与えられている(all−rac)−TCPの収率は、IP基準である。
【0165】
【表13】

【0166】
トルエンと比較したときのヘプタンの利点の1つは、溶媒に起因するフィチル-トルエン化合物のような副生成物が不在であることであった。
【0167】
実施例55−a〜55−e:再現性
反応はすべて、100mlのヘプタン中、200mmolのTMHQ、203mmolのIP、0.5mol%のInClを用いて、3.4barの絶対圧力下、かつ147℃で、行った。120分間以内でIPを添加する。反応時間は、60分間であった。収率はすべて、IP基準である。結果を表14にまとめる。
【0168】
【表14】

【0169】
5回の実験で観測された収率の最大変動は、わずか1.04%であり、平均収率は、91.6%であったことから、優れた再現性であることが判明した。
【0170】
実施例53、55−d、および59:副生成物の量
これらの3つの実験における副生成物に関する正確な分析データを表15に示す。
【0171】
【表15】

【0172】
すでに述べたように、InClは、TCPの生成に関してIn(OTf)よりも高い選択率を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のヒドロキシ基を有する芳香族化合物および式VII
【化1】

〔式中、X、X、X、およびXは、互いに独立して、水素、ヒドロキシ、または線状C1〜6−アルキルであり、ただし、置換基X、X、X、およびXの少なくとも1つは、ヒドロキシである〕で示される化合物からなる群から選択される化合物のエステルの製造方法であって、
この方法が、少なくとも1個のヒドロキシ基を有する該芳香族化合物または式VIIで示される化合物をアシル化剤と反応させることにより行われ、この反応が、触媒としてのインジウム塩の存在下で行われることを特徴とする、方法。
【請求項2】
式VIIで示される化合物がα−トコフェロールであり、これを、酢酸、プロピオン酸、ピバル酸、コハク酸、ニコチン酸、パルミチン酸、もしくは安息香酸、それらの無水物またはハロゲン化物からなる群から選択されるアシル化剤と反応させて、対応するα−トコフェリルエステルを取得する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
使用されるα−トコフェロールが、式Ia
【化2】


[式中、Rは、水素、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、HOC−CH−CH−CO、ニコチノイル、またはパルミチルであり、nは3である。]
で示される化合物を有機溶媒中、触媒としてのインジウム塩の存在下で閉環処理に付して生成されたものであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記反応が少なくとも0.02barの絶対圧力で行われることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記インジウム塩が三塩化インジウムまたはインジウムトリス(トリフルオロメタンスルホネート)であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの工程が少なくとも0.96barの絶対圧力で行われることを特徴とする、請求項1〜3および5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒が、α−トコフェロールを基準にして0.0075mol%〜2mol%の量で使用されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、およびδ−トコフェロールのアルカノエートの製造方法であって、式I
【化3】


[式中、X、Xは、水素又はメチルであり、Xはヒドロキシであり、Xはメチルであり、nは3である。]
で示される化合物を有機溶媒中、触媒としてのインジウム塩の存在下で閉環処理に付してそれぞれ生成させたα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、およびδ−トコフェロールをアシル化剤と反応させることを特徴とする、方法。
【請求項9】
、XおよびXはすべてメチルであり、Xはヒドロキシである、請求項8に記載のα−トコフェロールのアルカノエートの製造方法。
【請求項10】
前記アルカノエートはアセチルエステルであり、前記アシル化剤はアセチル化剤である、請求項9に記載の方法。

【公開番号】特開2011−178801(P2011−178801A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98558(P2011−98558)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【分割の表示】特願2006−541912(P2006−541912)の分割
【原出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】