説明

エステル化反応生成物の製造方法及び化粧料

【課題】 肌等に対する密着性が高く、耐水皮膜形成能、顔料分散性、抱水性、非染着性及び経時安定性に優れるエステル化反応生成物を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 本発明のエステル化反応生成物の製造方法は、ジペンタエリスリトール1モルに対して、平均重合度が6〜12である12−ヒドロキシステアリン酸重合物2〜4モルとをエステル化することによって得られるエステル化反応生成物の製造方法であって、該エステル化反応生成物の水酸基価が20〜70mgKOH/gであり、酸価が3mgKOH/g以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エステル化反応生成物の製造方法に関する。特には、肌等に対する密着性が高く、耐水皮膜形成能、顔料分散性、抱水性、非染着性及び経時安定性に優れるエステル化反応生成物の製造方法に関する。
また、本発明は上記エステル化反応生成物の製造方法により得られたエステル化反応生成物を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料は、従来より肌等に美的外観を付与するために用いられている。また、化粧料は、肌等に美的外観を付与する以外に、肌からの水分の蒸散を防止することにより肌を乾燥から保護し、さらに肌へトリートメント効果を付与することを目的としても使用されている。
肌の乾燥防止及び肌へのトリートメント効果を有する化粧料を得るために、ラノリン、ヒマシ油等の天然由来の油剤や抱水性を有する合成エステル油剤が原料として、用いられることが多い。特に、油中水型化粧料の場合、水中油型化粧料と比較して肌表面を油膜で被覆し、肌への高い親和性を有するので、乾燥防止及びトリートメント効果を有する化粧料として使用されることが多い。
【0003】
天然由来の油剤としては、従来よりラノリンが多く用いられてきた。このラノリンは、羊毛脂が原料であり、皮膚に対して親和性、付着性、湿潤性等に富み、また抱水力、乳化力が優れているので、基礎化粧料、メイクアップ化粧料を始め多くの化粧料に使用されてきた(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、近年発生した狂牛病問題の中で、動物由来原料の使用が控えられるようになり、動物由来原料が化粧料に直接使用することが非常に減少してきている。また、ラノリンやヒマシ油は、天然物であるため、安定した品質のものが得にくいという問題があり、また価格変動も大きいため、品質及び価格の点で安定な原料ではなかった。
【0004】
このため、最近では天然由来の油剤に代え、合成エステル油剤が用いられるようになってきた。このような合成エステル油剤としては、12−ヒドロキシステアリン酸と多価アルコールとのエステル化合物(例えば、特許文献1、2、3及び4参照)や、12−ヒドロキシステアリン酸重合物と多価アルコールとのエステル化合物(例えば、特許文献5、6、7、8及び9参照)が開発されており、これらの特許文献に開示された合成エステル油剤は、抱水性を付与する機能を有している。
【0005】
上述した特許文献1〜7に開示されたエステル化合物を使用して、油中水型乳化化粧料を調製した場合、抱水状態が不安定になり、化粧料の経時安定性、顔料分散性が悪くなる場合がある。また、特許文献1〜7に開示されたエステル化合物を使用して製造された化粧料は、肌等への密着性や耐水皮膜形成能、非染着性もある程度は発揮されるが、これらの特性を更に向上させることが望まれている。
また、特許文献8及び9に記載されたエステル化合物は乳化剤であるため、油剤が有するような皮膜性機能を有していない。また、化粧料に用いた場合、化粧料の種類によっては使用量が制限される場合がある。
【0006】
【特許文献1】特開昭52−48613号公報
【特許文献2】特開昭54−109917号公報
【特許文献3】特開昭55−57509号公報
【特許文献4】特開昭56−115740号公報
【特許文献5】特開昭56−108739号公報
【特許文献7】特開平05−331023号公報
【特許文献9】特開2000−290232号公報
【特許文献6】特開昭64−90025号公報
【特許文献8】特開平07−8781号公報
【非特許文献1】化粧品辞典、丸善株式会社 平成15年12月15発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、肌等に対する密着性が高く、耐水皮膜形成能、顔料分散性、抱水性、非染着性及び経時安定性に優れるエステル化反応生成物を製造する方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、水(及び多価アルコール類)の配合量を多くすることができ、保水安定性及び経時安定性が良好な化粧料(水中油型乳化化粧料及び油中水型乳化化粧料)を製造するために用い得るエステル化反応生成物の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、肌等に対する密着性が良好で、耐水皮膜形成能、顔料分散性、柔軟性、保湿性、抱水性、非染着性及び安定性に優れた化粧料を提供することにある。
また、本発明の目的は、肌、毛髪等への密着性に優れ、エモリエント効果が良好で、化粧もちの改善された化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討し、特定のエステル化反応生成物の製造方法を用いることにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、ジペンタエリスリトール1モルに対して、平均重合度が6〜12である12−ヒドロキシステアリン酸重合物2〜4モルとをエステル化することによって得られるエステル化反応生成物の製造方法であって、該エステル化反応生成物の水酸基価が20〜70mgKOH/gであり、酸価が3mgKOH/g以下である、エステル化反応生成物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記エステル化反応生成物の製造方法により得られたエステル化反応生成物を含有してなる化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、抱水性が高く、かつ顔料等の分散性が良好なエステル化反応生成物が提供される。
上記エステル化反応生成物を用いることにより、水(及び/または多価アルコール)の配合量が多く、しかも保水安定性及び経時安定性の高い水中油型乳化化粧料及び油中水型乳化化粧料をを提供することができる。本発明において、エステル化反応生成物が高い抱水性を有することは、エステル化反応生成物と水との質量比が7:3の抱水物を調製して示差走査熱量測定を行った場合に、温度0℃付近における水の吸熱ピークが検出されないことにより確認できる。また、本発明の化粧料は高い抱水性に加え、相溶しないグリセリンをはじめとする水溶性多価アルコール類を水と同様に抱き込むことができる。なお、本明細書において、多価アルコールとは、グリセリン及びその重合物、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のグリコール類、キシリトール、ソルビトール、マルチトール等の糖類を意味するものとする。また、本発明のエステル化反応生成物を用いた製品は、抱水する水に無機塩、有機塩、水溶性の薬剤、動植物エキス等を溶解させた水溶液を水と同様に抱き込むことができる。具体的には、無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。有機塩としては、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等が挙げられる。水溶性の薬剤としては、美白用薬剤、具体的にはアスコルビン酸及び又はその誘導体L−アスコルビン酸グルコシド、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル、L−アスコルビン酸−3−リン酸エステル、L−アスコルビン酸−6−リン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−ポリリン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル、L−アスコルビン酸−2−パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−6−パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸−6−ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸−2,6−ジブチルエステル、L−アスコルビン酸−2,6−ジパルミチン酸エステル等が挙げられ、これらの塩類を用いることもできる。また、塩類としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、トリイソプロパノールアミン塩が挙げられる。また、他の美白用薬剤としては、例えば、アルブチン、コウジ酸、グルタチオン等が挙げられる。水溶性の薬剤としては、抗炎症剤が挙げられ、具体的にはグリチルリチン酸誘導体、アラントイン等が挙げられる。動植物エキスとしては、例えばイラクサ葉エキス、エゾウコギエキス、オウバクエキス、コーヒーエキス、シラカバエキス、セイヨウハッカエキス、タイムエキス、チャエキス、ハマメリスエキス、ヒキオコシエキス、フキタンポポエキス、ブドウ葉エキス、ホップエキス、マロニエエキス、メリッサエキス、アセロラエキス、エイジツエキス、キウイエキス、アルニカエキス、オウゴンエキス、オウレンエキス、オドリコソウエキス、ガマ穂エキス、カミツレエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、クチナシエキス、クマザサエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、コンフリーエキス、シソエキス、シコンエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、スイカズラエキス、セージエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、トウキンセンカエキス、ビワ葉エキス、モモ葉エキス、ヤグルマギクエキス、ユキノシタエキス、ヨモギエキス、レタスエキス、ローマカミツレエキス、ワレモコウエキス等が挙げられる。本発明は、上述した無機塩、有機塩、水溶性の薬剤、動植物エキス等を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のエステル化反応生成物を用いることにより、肌等に対する密着性が高く、耐水皮膜形成能、顔料分散性、柔軟性、保湿性、抱水性、非染着性、経時安定性に優れた化粧料が提供される。
さらに、本発明のエステル化反応生成物を用いることにより、肌、毛髪等への密着性に優れ、エモリエント効果が高く、化粧持ち改善効果に優れた化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】製造例1で得られたエステル化反応生成物の抱水性試験2の結果を示すグラフである。
【図2】製造例2で得られたエステル化反応生成物の抱水性試験2の結果を示すグラフである。
【図3】製造例3で得られたエステル化反応生成物の抱水性試験2の結果を示すグラフである。
【図4】液状ラノリンの抱水性試験2の結果を示すグラフである。
【図5】ヒドロキシステアリン酸コレステリルの抱水性試験2の結果を示すグラフである。
【図6】リンゴ酸ジイソステアリルの抱水性試験2の結果を示すグラフである。
【図7】酸化安定性(CDM試験)の評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、先ず本発明のエステル化反応生成物について説明する。
本発明のエステル化反応生成物は、ジペンタエリスリトールと、12−ヒドロキシステアリン酸重合物とをエステル化することによって得られるエステル化反応生成物であって、該エステル化反応生成物の水酸基価が20〜70mgKOH/gであり、酸価が3mgKOH/g以下である。
本発明のエステル化反応生成物を製造するために用いられるジペンタエリスリトールは、市販品を用いることもでき、例えば、広栄パーストープ(株)製、商品名「ジ・ペンタリット」等が使用可能である。
【0013】
本発明のエステル化反応生成物を製造するために用いられる12−ヒドロキシステアリン酸重合物は、分子内に水酸基を1個有する12−ヒドロキシステアリン酸の重合物であり、例えば、ヒマシ種子油を加水分解して得られるリシノール酸を水素添加し得られる12−ヒドロキシステアリン酸を重合反応することによって得ることができる。
12−ヒドロキシステアリン酸の重合反応は、12−ヒドロキシステアリン酸分子中の水酸基又はカルボキシル基を、他の12−ヒドロキシステアリン酸分子中のカルボキシル基又は水酸基とをエステル化する反応、すなわち分子間エステル化反応である。
【0014】
12−ヒドロキシステアリン酸の重合反応は、例えば以下のようにして実施することができる。
12−ヒドロキシステアリン酸を反応容器に仕込み、酸、アルカリ、その他金属触媒の存在下、又は非存在下、好ましくは反応に不活性な有機溶媒及び/又は気体中において、180℃〜220℃の温度で5〜30時間、攪拌しながらエステル化反応(重合反応)を行なう。
12−ヒドロキシステアリン酸としては、市販品を使用することができ、例えば、小倉合成工業(株)製、商品名「12−ヒドロ酸(HP)」、川研ファインケミカル(株)製の商品「ヒドロキシステアリン酸」、日本油脂(株)製の商品、「ヒマシ硬化脂肪酸」等が使用可能である。
【0015】
本発明のエステル化反応生成物を製造するために用いられる12−ヒドロキシステアリン酸重合物は、その重合度が2〜12であることが好ましい。重合度が上記範囲であると、抱水性、分散性、密着性、耐水皮膜形成能、非染着性が向上する。重合度は、4〜12であることがより好ましく、6〜12であることが最も好ましい。平均重合度を上記範囲とするには、12−ヒドロキシステアリン酸の重合反応中に、反応生成物の酸価を測定することによって実施することができる。すなわち、12−ヒドロキシステアリン酸の重合反応中に反応生成物をサンプリングし、その酸価を測定することにより平均重合度を算出し、所望の平均重合度となった時点でエステル化反応(重合反応)を停止することによって容易に実施可能である。
【0016】
本発明のエステル化反応生成物は、水酸基価が20〜70mgKOH/gであり、好ましくは20〜60mgKOH/gであり、より好ましくは25〜50mgKOH/gであり、最も好ましくは30〜40mgKOH/gである。水酸基価が20mgKOH/g未満であると、目的とする抱水性、分散性を有するものを得ることができない。また、水酸基価が70mgKOH/gを超えると、製造が困難になるためである。一方、水酸基価が20mgKOH/gより小さいと、製造が困難になる。エステル化反応生成物の水酸基価を上記範囲とするには、例えば、ジペンタエリスリトール及び12−ヒドロキシステアリン酸重合物の使用割合を調整することにより実施することができる。
【0017】
本発明のエステル化反応生成物は、酸価が3mgKOH/g以下であり、好ましくは0〜3mgKOH/gである。酸価が3mgKOH/gを超えると、においが生じてしまうことがある。
エステル化反応生成物の酸価を上記範囲とするには、エステル化反応中に、反応生成物をサンプリングし、その酸価を測定し、所望の酸価となった時点でエステル化反応を停止することによって実施可能である。
【0018】
本発明のエステル化反応生成物は、上述したように、ジペンタエリスリトールと12−ヒドロキシステアリン酸重合物とをエステル化することによって得られるものである。
エステル化反応に用いる、12−ヒドロキシステアリン酸重合物の仕込み量は、水酸基価の値を上記範囲とし、また、未反応のジペンタエリスリトール残量を少なくすることを考慮して、ジペンタエリスリトール1モルに対して、1〜6モルとするのが好ましく、1.5〜5モルとするのがより好ましく、2〜4モルとするのが最も好ましい。
このように仕込み比を調整することで、得られるエステル組成物の外観、粘度及び抱水性を、ニーズに合ったものに調整することができる。
【0019】
ジペンタエリスリトールと12−ヒドロキシステアリン酸重合物とのエステル化は、具体的には、以下のように実施する。ジペンタエリスリトール、及び12−ヒドロキシステアリン酸重合物を反応容器に入れ、不活性な有機溶媒及び/または気体中において、200℃〜220℃の温度で1〜20時間エステル化反応を行った後、精製処理してジペンタエリスリトールと12−ヒドロキシステアリン酸重合物とのエステル化反応生成物を得る。
上記エステル化反応には、必要に応じて、触媒を使用してもよい。触媒としては、酸触媒、及びアルカリ土類金属のアルコキシド等が挙げられ、酸触媒、又はアルカリ土類金属のアルコキシドを触媒として用いる場合、その使用量は、反応原料の総質量に対して0.001〜1.0質量%程度であることが好ましい。
反応後、水洗、アルカリ脱酸、及び吸着処理等の公知の精製処理を行なうことで、触媒や原料未反応物を除去することができる。更に、脱色、脱臭処理を施すことで、得られた反応物をさらに精製することができる。
このようにして、無色〜淡黄色の透明液状で、かつ無臭のエステル化反応生成物を得ることができる。得られたエステル化反応生成物は、以下に説明する化粧料の構成成分として用いることができる。
【0020】
次に、本発明の化粧料について説明する。
本発明の化粧料は、本発明のエステル化反応生成物を含有してなる。
本発明の化粧料の用途及び剤形等については特に制限はなく、例えば、口唇化粧料、ファンデーション、エモリエントクリーム、乳液、化粧下地、ヘアクリーム、シャンプー、リンス、ヘアコンディショニング、ハンドクリーム、美容液、眉目化粧料、爪化粧料及び日焼け止め化粧料等が挙げられる。
これらの化粧料の製造方法に特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。
【0021】
上記化粧料の中でも、本発明の化粧料は上記エステル化反応生成物を含有してなるので、特に、口唇化粧料、化粧下地、ファンデーション、眉目化粧料、爪化粧料等のメイクアップ化粧品において、粘着性、耐水皮膜形成能、顔料分散性、非染着性の機能を活かすことができる。化粧下地、ファンデーション(リキッドファンデーション、パウダーファンデーション、スティックファンデーション及びクリームファンデーション)においては、耐水皮膜形成能を活かし皮膚表面の凹凸を均一化しファンデーションののりを良好にするとともに、柔軟性、保湿効果を付与するという効果を発揮し得る。
また、皮脂、汗、こすれに対する耐久性が向上し、化粧のしあがりを継続することができ、日焼け防止剤等への応用も可能である。口唇化粧料(口紅、リップグロス、リップクリーム)、眉目化粧料(アイライナー、マスカラ、アイシャドー、眉墨)、爪化粧料(ネールエナメル、ベースコート、トップコート)においては、優れた密着性による均一な化粧膜を持続させる効果を有する他、高い顔料分散性(色素分散性)が発色を向上させる効果を有する。一般に、口唇化粧料に染料が配合された場合、染料による染着により皮膚、粘膜にトラブル(荒れ、乾燥、アレルギー、黒ずみ等)を招く場合があるが、本発明のエステル化反応生成物を含有させることによって、色素が皮膚や唇に染着することなく、また化粧もちが良好となり、にじみの少ない化粧料を提供することができ、乳化タイプの口唇化粧料を調製するのが容易になる。また、保湿剤、無機塩、有機塩、水溶性の薬剤、動植物エキス等を配合することで、口唇に対して保湿効果、トリートメント効果を付与することができる。同様にファンデーションにおいても粉末固形タイプや油性タイプに保湿剤、無機塩、有機塩、水溶性の薬剤、動植物エキス等を配合することが可能であり、保湿効果を付与することができる。また、本発明のエステル化反応生成物を水中油型乳化化粧料の油相に配合することもできる。
特に、日焼け止め化粧料としては油中水型(W/O型)クリーム状日焼け止め化粧料、油中水型(W/O型)乳液状日焼け止め化粧料、油中水型(W/O型)多層状乳化日焼け止め化粧料、水中油型(O/W型)クリーム状日焼け止め化粧料、水中油型(O/W型)乳液状日焼け止め化粧料等の剤形があるが、本発明のエステル化反応生成物を配合することにより、肌への持続性、密着性、皮膜感に優れた日焼け止め化粧料を得ることができる。
また、本発明のエステル化反応生成物は高い顔料分散性を有するため、日焼け止め化粧料に配合することによって、化粧料中で無機顔料が均一に分散され、肌に塗布したときに肌上に均一な無機顔料の膜ができるため紫外線防御効果を高めることができる。すなわち、化粧料中の無機顔料の量が同じであっても、SPF(SUN PROTECTION FACTOR)を高める効果がある。また、本発明のエステル化反応生成物は高い抱水性を持ち、W/O乳化安定性を向上させる効果があるため、これを配合することにより、経時安定性に優れた油中水型(W/O型)乳化物を得ることができる。このように、上記エステル化合物を日焼け止め化粧料中に配合することにより、肌への持続性、密着性、皮膜感に優れ、さらに、紫外線防御効果が高く、経時安定性に優れた、日焼け止め化粧料を得ることができる。
【0022】
本発明の化粧料中のエステル化反応生成物の含有量は、化粧料の剤形により異なるが、化粧料の密着性、耐水皮膜形成性、及び保湿感等の使用感をより向上させるために、化粧料中の本発明のエステル化反応生成物の含有量は、好ましくは0.1〜80質量%であり、更に好ましくは1〜80質量%であり、更に好ましくは1〜60質量%であり、更に好ましくは1〜40質量%であり、最も好ましくは5〜40質量%である。
【0023】
本発明のエステル化反応生成物は高い抱水性を有しており、W/O乳化安定性を向上させる効果があるため、これを配合することにより、経時安定性に優れた油中水型(W/O型)乳化物を得ることができる。中でも、有機変性粘土鉱物と組み合わせると、特に効果が高い。このような油中水型(W/O型)乳化物としては、例えば、(a)エステル化反応生成物、(b)有機変性粘土鉱物、(c)油分、(d)水を含有する油中水型(W/O型)乳化物が挙げられる。このとき各成分の含有量は乳化物の総量を基準として、好ましくは(a)1〜30質量%、(b)0.01〜10質量%、(c)10〜80質量%、(d)10〜80質量%であり、より好ましくは(a)1〜20質量%、(b)0.1〜5質量%、(c)15〜80質量%、(d)20〜80質量%である。この油中水型(W/O型)乳化物はクリーム、乳液、エアゾール等の乳化化粧料に広く用いることができ、なかでも、日焼け止め化粧料や保湿クリーム等として好適に用いられる。
【0024】
本発明の化粧料には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、一般に化粧料に用いられる各種成分を配合することができる。
かかる成分としては、化粧料の用途及び剤形によって異なるが、例えば、油性成分、水性成分、ポリマーエマルション、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、親油性非イオン界面活性剤、親水性非イオン界面活性剤、天然系界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、粉末成分、顔料、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、香料、色素、金属イオン封鎖剤、及び精製水等が挙げられる。
【0025】
上記油性成分としては、例えば、流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、固形パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、モンタンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類;ミツロウ、キャンデリラワックス、ゲイロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、モクロウ等のロウ類;2-エチルヘキサン酸セチル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、トリオクタノイン、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジデカン酸プロピレングリコール、コレステロール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、モノステアリン酸グリセリル、グリセリン脂肪酸エステルエイコサンニ酸縮合物、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、デキストリン脂肪酸エステル等のエステル類;ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類;ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、イソヘキサデシルアルコール等の高級アルコール類;低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン等のシリコン類;パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類;ステアロイルグルタミン酸等のN−アシルグルタミン酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル又はフィトステロール・べへニル・オクチルドデシル)等のアミノ酸系エステル油剤;ラノリン、液状ラノリン、酢酸ラノリン、酢酸液状ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられる。上記油性成分は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
上記水性成分としては、例えば、エチルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類;アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、トマト、リンゴ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられる。上記水性成分は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】

上記ポリマーエマルションとしては、例えば、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、メタクリル酸アルキル重合体エマルション、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、メタクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリル酸・アクリル酸アルキル共重合体エマルション、メタクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション、メタクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション、酢酸ビニル重合体エマルション、ポリ酢酸ビニルエマルション、酢酸ビニル含有共重合体エマルション、ビニルピロリドン・スチレン共重合体エマルション、シリコーン含有共重合体エマルション等が挙げられる。ポリマーエマルションは、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
上記アニオン界面活性剤としては、例えば、セッケン用素地、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸セッケン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン(POE)−ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE−ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸;N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;POE−オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE−ステアリルエーテルリン酸等のリン酸エステル塩;ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩;ロート油等の硫酸化油;POE−アルキルエーテルカルボン酸、POE−アルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム等が挙げられる。上記アニオン界面活性剤は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
上記カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N‘−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩;アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POE−アルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。カチオン界面活性剤は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
上記両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、及びスルホベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。両性界面活性剤は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
上記親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;ショ糖脂肪酸エステル類;モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α‘−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸類;モノイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;硬化ヒマシ油誘導体、及びグリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。親油性非イオン界面活性剤は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
上記親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレート、POE−ソルビタンテトラオレエート等のPOE−ソルビタン脂肪酸エステル類;POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等のPOE−ソルビット脂肪酸エステル類;POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOE−グリセリン脂肪酸エステル類;POE−モノオレエート、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等のPOE−脂肪酸エステル類;POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等のPOE−アルキルエーテル類;プルロニック等のプルロニック型類;POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等のPOE・POP−アルキルエーテル類;テトロニック等のテトラ POE・テトラPOP−エチレンジアミン重合物類;POE−ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE−硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOE−ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体;POE−ソルビットミツロウ等のPOE−ミツロウ・ラノリン誘導体;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド;POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル、POE−アルキルアミン、POE−脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POE−ノニルフェニルホルムアルデヒド重合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、及びトリオレイルリン酸等が挙げられる。親水性非イオン界面活性剤は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
上記天然系界面活性剤としては、例えば、大豆リン脂質、水添大豆リン脂質、卵黄リン脂質、水添卵黄リン脂質等のレシチン類;及び大豆サポニン等が挙げられる。天然系界面活性剤は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
上記保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、尿素、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザイヨバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、及びメリロート抽出物等が挙げられる。保湿剤は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
上記増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、第四級アンモニウム塩型カチオン変性ベントナイト、第四級アンモニウム塩型カチオン変性ヘクトライト及びデカグリセリン脂肪酸エステルエイコサンニ酸縮合物等が挙げられる。増粘剤は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
上記防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、及びブチルパラベン等が挙げられる。防腐剤は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
上記粉末成分としては、例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等の無機粉末;ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、及びセルロース粉末等の有機粉末等が挙げられる。粉末成分は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0038】
上記顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料(紫外線散乱剤として用いられる、微粒子タイプの二酸化チタン、酸化亜鉛、又はこれらの表面をアルミニウムステアレート、ジンクパルミテート等の脂肪酸石けん、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、パルミチン酸デキストリン等の脂肪酸エステル等により被覆した表面被覆無機白色顔料も含む);酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料;赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号などのジルコニウム、及びバリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料等が挙げられる。顔料は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
上記pH調整剤としては、例えば、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びトリエタノールアミン等が挙げられる。pH調整剤は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
上記酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、トコフェロール類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、及び没食子酸エステル類等が挙げられる。酸化防止剤は、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABA と略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAオクチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート) 、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等の桂皮酸系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2‘−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル-ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、及び2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2‘−エチルヘキシル−1’−オキシ)1,3,5−トリアジン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。紫外線吸収剤は単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
上記色素としては、例えば、クロロフィル、及びβ−カロチン等が挙げられる。色素は単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
上記香料としては、例えば、バラ油、ジャスミン油、ラベンダー油等の植物性香料、リモネン、シトラール、リナロール、オイゲノール等の合成香料等が挙げられる。香料は単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
上記金属イオン封鎖剤としては、例えば、エデト酸二ナトリウム、エデト酸塩、及びヒドロキシエタンジホスホン酸等が挙げられる。金属イオン封鎖剤は単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。なお、以下の実施例において、部および%は、特に断りのない限り質量部又は質量%を表す。
なお、エステル化反応生成物の酸価及び水酸基価は、旧化粧品原料基準に準じて測定した。
【0046】
製造例1
撹拌機、温度計、窒素ガス吹込管及び水分分離器を備えた1Lの四つ口フラスコに12−ヒドロキシステアリン酸(川研ファインケミカル(株)製、商品名:ヒドロキシステアリン酸)483gを仕込み、触媒として全体仕込み量の0.1%の塩化スズ、及び還流溶剤として全体仕込み量の5%のキシロールを加え、窒素気流下、生成した水を除去しながら200℃の温度で、15時間反応を行い、12−ヒドロキシステアリン酸重合物を得た。得られた重合物の酸価を測定したところ、酸価は33mgKOH/gであり、酸価より算出した平均重合度は6であることから、得られた生成物は12−ヒドロキシステアリン酸6量体であることがわかった。
【0047】
次いで、撹拌機、温度計、窒素ガス吹込管及び水分分離器を備えた1Lの四つ口フラスコに、上述のようにして得られた12−ヒドロキシステアリン酸重合物(酸価:33mgKOH/g、6量体)477g、及びジペンタエリスリトール(広栄パーストープ(株)製、商品名「ジ・ペンタリット」)17gを加え、窒素気流下、生成した水を除去しながら210℃の温度で、生成物の酸価が1mgKOH/g以下になるまで反応を行った。
反応終了後、触媒を濾別し、次に活性白土を用いて脱色後、減圧下にて水蒸気吹込みによる脱臭を行い、常温で粘ちょう性の液体のエステル化反応生成物340gを得た。得られたエステル化反応生成物の酸価は0.5mgKOH/gであり、水酸基価は35mgKOH/gであった。
【0048】
製造例2
12−ヒドロキシステアリン酸として、小倉合成工業(株)製、商品名「12−ヒドロ酸HP」を487g用い、反応時間を18時間とした以外は、製造例1と同様に操作を行い、12−ヒドロキシステアリン酸重合物を得た。得られた重合物の酸価を測定したところ、酸価は19mgKOH/gであり、酸価より算出した平均重合度は10であることから、10量体であることがわかった。
【0049】
次いで、上述のようにして得られた12−ヒドロキシステアリン酸重合物(酸価:19mgKOH/g、10量体)478gを用い、ジペンタエリスリトールの使用量を13gとした以外は、製造例1と同様に操作を行い、エステル化反応生成物344gを得た。得られたエステル化反応生成物の酸価は0.2mgKOH/gであり、水酸基価は31mgKOH/gであった。
【0050】
製造例3
撹拌機、温度計、窒素ガス吹込管、水分分離器を備えた1Lの四つ口フラスコに12−ヒドロキシステアリン酸(川研ファインケミカル(株)製、商品名:ヒドロキシステアリン酸)413g、及びジペンタエリスリトール(広栄パーストープ(株)社製、商品名「ジ・ペンタリット」)87gを仕込み、触媒として全体仕込み量の0.1%の塩化スズ、及び還流溶剤として全体仕込み量の5%のキシロールを加え、窒素気流下、生成した水を除去しながら210℃の温度で20時間反応した。
反応終了後、触媒を濾別し、つぎに活性白土を用いて脱色後、減圧下にて水蒸気吹込みによる脱臭を行い、常温で半固形液状(ペースト状)のエステル化反応生成物325gを得た。
得られたエステル組成物の酸価は1.2mgKOH/gであり、水酸基価は123mgKOH/gであった。
【0051】
製造例4
攪拌機、温度計、窒素ガス吹込み管及び水分分離器を備えた1Lの四つ口フラスコに、製造例1と同様の製法で得られた12−ヒドロキシステアリン酸重合物(酸価:33mgKOH/g、6量体)442g、及びジペンタエリスリトール(広栄ハープトープ(株)製、商品名「ジ・ペンタリット」)43gを加え、窒素気流下、生成した水を除去しながら210℃の温度で、生成物の酸価が1mgKOH/g以下になるまで反応を行った。
反応終了後、生成物と未反応ジペンタエリスリトールとが分離してしまい、目的とする水酸基価が約100mgKOH/gのエステル化反応生成物を得ることはできなかった。
【0052】
製造例5
製造例1と同様の製法で得られた12−ヒドロキシステアリン酸重合物(酸価:33mgKOH/g、6量体)の使用量を462gとし、ジペンタエリスリトール(広栄ハープトープ(株)製、商品名「ジ・ペンタリット」)の使用量を29gとした以外は、製造例1と同様に操作を行い、常温で粘ちょう性の液体のエステル化反応生成物330gを得た。得られたエステル化反応物の酸価は0.4mgKOH/gであり、水酸基価は44mgKOH/gであった。
【0053】
製造例6
12−ヒドロキシステアリン酸(川研ファインケミカル(株)製、商品名:ヒドロキシステアリン酸)に代え、小倉合成工業(株)製、商品名「12−ヒドロ酸HP」を用いた以外は、製造例1と同様に操作を行い、12−ヒドロキシステアリン酸重合物(酸価:33mgKOH/g、6量体)を得た。
次いで、得られた12−ヒドロキシステアリン酸重合物の使用量を475gとし、ジペンタエリスリトール(広栄ハープトープ(株)製、商品名「ジ・ペンタリット」)の使用量を16gとした以外は、製造例1と同様に操作を行い、常温で粘ちょう性の液体のエステル化反応生成物338gを得た。得られたエステル化反応物の酸価は0.9mgKOH/gであり、水酸基価は52mgKOH/gであった。
【0054】
製造例1〜3によって得られたエステル化反応生成物について下記方法にて評価を行った。評価(1)、(3)及び(4)の結果を表1に、評価(5)及び(6)の結果を表2に、評価(2)の結果を図1〜図6に、評価(7)の結果を図7に示す。また、比較として、評価(1)、(2)、(3)及び(4)においては、液状ラノリン、ヒドロキシステアリン酸コレステリル(日清オイリオグループ(株)製、商品名:サラコスHS)及びリンゴ酸ジイソステアリル(日清オイリオグループ(株)製、商品名:コスモール222)についても試験を行った。また、評価(5)及び(6)においては、比較として、液状ラノリン、トリイソステアリン酸ポリグリセリル(日清オイリオグループ(株)製、商品名:コスモール43V)及びリンゴ酸ジイソステアリル(日清オイリオグループ(株)製、商品名:コスモール222)についても試験を行った。また、評価(7)においては、比較として、液状ラノリン、トリオクタノイン(日清オイリオグループ(株)製、商品名:T.I.O)、トリイソステアリン酸ポリグリセリル(日清オイリオグループ(株)製、商品名:コスモール43V)及びリンゴ酸ジイソステアリル(日清オイリオグループ(株)製、商品名:コスモール222)についても試験を行なった。
【0055】
(1)抱水性試験1
エステル化反応生成物の抱水性試験は、英国薬局方(BP)のラノリン含水価測定法を参考に以下のように試験を実施した。
測定試料1g、及びワセリン9gを混合し、40℃の恒温槽中において精製水を滴下しながら強攪拌した(200〜300rpm)。水が入りきらなくなった点を終点とし、混合試料質量に対する水の質量の百分率で示した。この数値が高いほど試料の抱水性が高いといえる。
【0056】
(2)抱水性試験2
測定試料と水とを7:3の質量比で混合し、70℃恒温槽中で強攪拌して抱水物を得た(500rpm/3分)。得られた抱水物を示差走査熱量測定(セイコーインスツルメント(株)製、機器名「DSC6200」)により分析した。測定は、−15〜45℃の範囲で2℃/1分の速度で昇温させて行い、示差走査熱量曲線を作成し、0℃付近における水の吸熱ピークの有無を確認した。この吸熱ピークがない場合は抱水性が良好であるといえる。
【0057】
(3)保水性試験
測定試料1g及びワセリン9gを混合し、40℃恒温槽中で精製水10gを滴下し(試料及びワセリンの混合物と精製水との比=1:1)、強攪拌した(500rpm/3分)。試料がクリーム状になった後、試料10gをシャーレ上に、膜厚が0.5〜1,5mmになるように均一に塗布し、40℃恒温槽中で蓋を開けた状態で静置した。24時間経過した後に取り出し、静置後の質量を測定し、静置前後における減少質量を算出した。結果は、塗布試料の質量に対する減少質量の百分率で示した。この数値が低いほど、保水性が良好であるといえる。
【0058】
(4)分散性試験
試料4g及び酸価チタン20gを混合し、次いでパルミチン酸オクチル(日清オイリオグループ(株)製、商品名:サラコスP−8)を加えていき、全体が一つにまとまる点を湿潤点とし、全体に傾けたときに流れ始める点を流動点として、それぞれの点に達するまでに加えたパルミチン酸オクチルの量を測定し、それぞれ湿潤点値、及び流動点値とした。
湿潤点値が低いほど、また、湿潤点値と流動点値の差が小さいほど、試料の顔料分散性が高いといえる。
【0059】
(5)非染着性試験
染料(赤色218号)を試料に、染料の濃度が0.5質量%となるように溶解して、染料混合物を調製した。この染料混合物を上腕部に塗布し、3時間後に塗布部をウエスで拭き取りマイクロスコープ(×100倍)で観察し、皮膚に残存する染料の量を観察した。
皮膚の塗布部をマイクロスコープ(×100倍)で観察し、目視により以下の3段階で評価を行った。
○:染料が皮膚に染着していない。
△:染料が皮膚にわずかに染着している。
×:染料が皮膚に染着している。
本評価においては、皮膚に残存する染料の量が少量であるほど非染着性に優れているといえる。
【0060】
(6)耐水性能(耐水皮膜形成能)
試料をクロロホルムに10質量%濃度となるように溶解して試料溶液を調製した。得られた試料溶液を洗浄済みガラス板上に塗布した後、溶剤を除去することで塗膜を形成した。形成された塗膜に蒸留水を1滴滴下して塗膜−水滴間の接触角を測定した。測定後、塗膜を水道水で流水洗浄(25mL/s、1min)し、洗浄前と比較することで耐水性を評価した。洗浄前後における接触角の差が小さいほど、耐水性が高いといえる。
【0061】
(7)酸化安定性(CDM試験)
試料のCDM試験(基準油脂試験法:120℃、Air:20L/hr)により、酸化安定性の評価を行った。試験においては、ランシマット743型(Metrohm製)装置を用いて時間経過による誘電率を測定して評価を行った。CDM試験においては、時間経過にともない、誘電率が上昇しないものほど酸化安定性に優れているといえる。
【0062】
【表1】

【0063】
表1の結果から以下のことがわかる。液状ラノリン、ヒドロキシステアリン酸コレステリル及びリンゴ酸ジイソステアリルは、抱水性、保水性及び分散性が良好でないことがわかる。また、12−ヒドロキシステアリン酸重合物を用いないで製造された、水酸基価が本発明のエステル化反応生成物の有する範囲でない、製造例3のエステル化反応生成物は抱水性、保水性及び分散性が良好でないことがわかる。これに対し、製造例1及び製造例2で得られたエステル化反応生成物は抱水性、保水性及び分散性に優れている。
【0064】
抱水性試験2の結果を図1〜図6に示す。図1は、製造例1で得られたエステル化反応生成物の抱水性試験2の結果を示すグラフである。図1に示すように、製造例1で得られたエステル化反応生成物は、0℃付近における水の吸熱ピークが検出されなかった。このことは、製造例1で得られたエステル化反応生成物が多量の水を微細粒子として抱含する能力を有しており、更に熱変化にも安定であることを示す。
【0065】
図2は、製造例2で得られたエステル化反応生成物の抱水性試験2の結果を示すグラフである。図2に示すように、製造例2で得られたエステル化反応生成物は、0℃付近における水の吸熱ピークが検出されなかった。このことは、製造例2で得られたエステル化反応生成物が多量の水を微細粒子として抱含する能力を有しており、更に熱変化にも安定であることを示す。
【0066】
図3は、製造例3で得られたエステル化反応生成物の抱水性試験2の結果を示すグラフである。図3に示すように、製造例3で得られたエステル化反応生成物は、0℃付近における水の吸熱ピークが検出された。このことは、製造例3で得られたエステル化反応生成物が多量の水を微細粒子として抱含する能力を有しておらず、更に熱変化にも安定でないことを示す。
【0067】
図4、図5及び図6は、それぞれ、液状ラノリン、ヒドロキシステアリン酸コレステリル及びリンゴ酸ジイソステアリルの抱水性試験2の結果を示すグラフである。図4〜図6に示すように、上記化合物は、0℃付近における水の吸熱ピークが検出された。このことは、上記化合物が多量の水を微細粒子として抱含する能力を有しておらず、更に熱変化にも安定でないことを示す。
【0068】
【表2】

【0069】
表2の結果から以下のことがわかる。製造例1及び製造例2で得られたエステル化反応生成物は非染着性に優れ、染料が皮膚へ染着することを抑制する効果を示した。また、製造例1及び2で得られたエステル化反応生成物は、液状ラノリン、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリルと比較し、洗浄前後における塗膜−水滴間の接触角の差が小さく、耐水性に優れていることを示す。すなわち、製造例1及び2で得られたエステル化反応生成物は、非染着性及び耐水性に優れているものである。
【0070】
酸化安定性の評価結果を図7に示す。図7は、酸化安定性(CDM試験)の評価結果を示すグラフであり、横軸は経過時間を示し、縦軸は誘電率を示す。図7に示すように、製造例1で得られたエステル化反応生成物は時間の経過によっても、誘電率にほとんど変化がなく、酸化安定性が非常に優れていることがわかる。また、試験の前後における色相、臭気に変化がなく、熱安定性にも優れていることがわかる。本試験において用いられた他の化合物においては、時間の経過と共に誘電率が上昇し、酸化安定性は、製造例1で得られたエステル化反応生成物よりも劣ることがわかる。また、図示はしないが、製造例2で得られたエステル化反応生成物も、酸化安定性について製造例1と同様の効果を示した。
【0071】
次に、化粧料を作製し、それぞれ評価を行った。化粧料の評価は官能評価により行った。官能評価の方法は以下の通りである。
化粧料の官能評価
10名の官能評価パネラーに、それぞれの化粧料を使用してもらい、のび(肌等の塗布部位に対して化粧料が滑らかにのびるか否か)、保湿感(肌等の塗布部位に対して保湿効果があるか否か)、つや(髪等の使用部位に自然なつやを付与するか否か)、柔軟性(肌や髪等の使用部位へ柔軟さを付与するか否か)、皮膜感(使用後の皮膜感があるか否か)、密着性(使用後の密着感があるか否か)、まとまり感(使用後の髪のまとまり感があるか否か)、つきやすさ(使用時の睫へのつきやすさが良好であるか否か)、なめらかさ(使用時のなめらかさがあるか否か)、カール感(睫を上にカールする効果があるか否か)、はり感(使用部位にはりを出すことができるか否か)、光沢(使用部位の光沢が良好であるか否か)、持続性(使用後の化粧持ちが良好であるか否か)、発色性(使用部位で鮮やかに発色するか否か)、耐衝撃性(外部からの接触により化粧が維持されるか否か)洗浄性(洗浄力が良好であるか否か)硬さ(口紅等に硬さがあるか否か)等の官能評価について、それぞれの評価項目について下記評価基準に従って評価点をつけ、評価を行った。
評価基準
6点:非常に良好である。
5点:良好である。
4点:やや良好である。
3点:普通である。
2点:やや悪い。
1点:悪い。
0点:非常に悪い。
【0072】
また、10名の官能評価パネラーの平均点を算出し、その値につき下記評価基準に従って評価を行った。
5点以上:◎ 非常に優れている。
3点以上5点未満:○ 優れている。
1点以上3点未満:△ どちらともいえない。
1点未満:× 特に劣る。
【0073】
実施例1、比較例1及び2
スティック状口紅の製造
表3に示す配合のスティック状口紅を以下の方法で製造した。なお、以下の実施例において、表中の数字は、全て質量%を表す。
原料3〜5を原料11の一部に加えて、ローラーで処理し、顔料部を調製した。原料6を原料11の一部に溶解させ、染料部を調製した。原料1又は2と原料7〜15とを混合し、加熱溶解した後、上記顔料部及び染料部を加え、ホモミキサーで均一に分散させた。分散物を型に流し込んだ後、急冷し、スティック状口紅を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表4に示す。
【0074】
【表3】

【0075】
【表4】

【0076】
表4から以下のことがわかる。
実施例1のスティック状口紅は、唇に対して滑らかにのび、自然なつやと保湿効果が付与されていることが認められる。また、実施例1のスティック状口紅は、比較例1及び2のスティック状口紅と比較して効果が優れており、味や臭いも感じられないものである。さらに、実施例1のスティック状口紅はにじみを抑制する効果も確認された。
【0077】
実施例2及び比較例3
ペースト状口紅の製造
表5に示す配合のペースト状口紅を以下の方法で製造した。
原料1〜12を均一に加熱混合して溶解した後、原料13〜16を加え、均一に混合した。得られた混合物を容器に充填しペースト状口紅を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表6に示す。
【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【0080】
表6から以下のことがわかる。
実施例2のペースト状口紅は、顔料の発色性、密着性及び皮膜感(化粧膜の均一性)に優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例2のペースト状口紅は、比較例3のペースト状口紅と比較して、発色性、密着性及び皮膜感のいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0081】
実施例3及び比較例4
グリセリン含有スティック状リップクリームの製造
表7に示す配合のグリセリン含有スティック状リップクリームを以下の方法で製造した。
全ての原料を混合し、加熱溶解した後、ホモミキサーで均一に分散させ、分散物を得た。得られた分散物を型に流し込んだ後、急冷し、グリセリン含有スティック状リップクリームを得た。
なお、表7において、グリセリン含有物は以下のようにして調製したものである。
製造例1で得られたエステル化反応生成物及びワセリンを、エステル化反応生成物:ワセリンの質量比が1:9(質量比)となるように混合し、この混合物の10倍量のグリセリンを滴下しながら攪拌することでグリセリン含有物を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表8に示す。
【0082】
【表7】

【0083】
【表8】

【0084】
表8から以下のことがわかる。
実施例3のグリセリン含有スティック状リップクリームは、保湿感に優れており、唇に対して滑らかにのび、自然なつやを付与する効果があることが認められた。また、実施例3のグリセリン含有スティック状リップクリームは、比較例4のスティック状リップクリームと比較して、保湿感、のび、つやのいずれにおいても効果が優れており、味や臭いも感じられないものであった。
【0085】
実施例4及び比較例5
ビタミンC誘導体含有スティック状口紅の製造
表9に示す配合のビタミンC誘導体含有スティック状口紅を以下の方法で製造した。
全ての原料を混合し、加熱溶解した後、ホモミキサーで均一に分散させ、分散物を得た。得られた分散物を型に流し込んだ後、急冷し、ビタミンC誘導体含有スティック状口紅を得た。
なお、表9において、ビタミンC誘導体含有物は以下のようにして調製したものである。
製造例1で得られたエステル化反応生成物及びワセリンを、エステル化反応生成物:ワセリンの質量比が1:9(質量比)となるように混合し、この混合物の10倍量の20%リン酸L−アスコルビルマグネシウム水溶液を滴下しながら攪拌することでビタミンC誘導体含有物を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表10に示す。
【0086】
【表9】

【0087】
【表10】

【0088】
表10から以下のことがわかる。
実施例4のビタミンC誘導体含有スティック状口紅は、保湿感に優れており、唇に対して滑らかにのび、自然なつやを付与する効果があり、また十分な硬さを有していることが認められた。また、実施例4のビタミンC誘導体含有スティック状口紅は、比較例5のスティック状口紅と比較して、保湿感、のび、つや、硬さのいずれにおいても効果が優れており、味や臭いも感じられないものであった。
【0089】
実施例5及び比較例6
リキッドファンデーション(O/W型)の製造
表11に示す配合のリキッドファンデーション(O/W型)を以下の方法で製造した。
原料18を原料10に分散させ、これに原料19及び20を加えて70℃の温度でホモミキサー処理し、残りの水性成分(原料11〜12)を添加して十分に攪拌し、水相を調製した。 次いで、十分に混合粉砕された粉体成分(原料13〜17)を水相に攪拌しながら添加して、70℃の温度でホモミキサー処理した。
これとは別に、原料1又は2、及び油性成分(原料3〜8)を70〜80℃の温度で加熱溶解して、油相を調製した。次いで、水相に粉体成分を添加し処理したものに、油相を徐々に添加して70℃の温度でホモミキサー処理し、これを攪拌しながら45℃まで冷却して、原料9を加え、室温まで冷却した。冷却物を脱気し、容器に充填してリキッドファンデーション(O/W型)を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表12に示す。
【0090】
【表11】

【0091】
【表12】

【0092】
表12から以下のことがわかる。
実施例5のリキッドファンデーション(O/W型)は、肌に密着し、保湿効果、柔軟性が付与されていることが認められる。実施例5のリキッドファンデーション(O/W型)は、比較例6のリキッドファンデーション(O/W型)と比較して、皮膜感、密着性、保湿感及び柔軟性のいずれにおいても、効果が優れていることが確認された。
【0093】
実施例6及び比較例7
ファンデーション(W/O型)の製造
表13に示す配合のファンデーション(W/O型)を以下の方法で製造した。
原料1〜9を加熱混合し、40℃に冷却した後、原料10〜18を加えてホモミキサーで分散し、混合物(A)を得た。一方、原料19〜24を均一に混合溶解し、混合物(B)を得た。次いで、混合物(A)に混合物(B)を添加し、ホモミキサーで乳化することにより、ファンデーション(W/O型)を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表14に示す。
【0094】
【表13】

【0095】
【表14】

【0096】
表14から以下のことがわかる。
実施例6のファンデーション(W/O型)は、肌への密着性、のび、皮膜感(化粧膜の均一性)に優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例6のファンデーション(W/O型)は、比較例7のファンデーション(W/O型)と比較して、密着性、のび及び皮膜感のいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0097】
実施例7及び比較例8
固形粉末状ファンデーションの製造
表15に示す配合の固形粉末状ファンデーションを以下の方法で製造した。
原料1〜4を50℃に加熱し混合し、混合物(A)を得た。一方、原料5〜13を混合分散し、これに、上記混合物(A)を添加して混合し、混合物(B)を得た。得られた混合物(B)を粉砕し、皿に圧縮成型することにより、固形粉末状ファンデーションを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表16に示す。
【0098】
【表15】

【0099】
【表16】

【0100】
表16から以下のことがわかる。
実施例7の固形粉末状ファンデーションは、肌への密着性、皮膜感(化粧膜の均一性)に優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例7の固形粉末状ファンデーションは、比較例8の固形粉末状ファンデーションと比較して、密着性及び皮膜感のいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0101】
実施例8及び比較例9
固形粉末状白粉の製造
表17に示す配合の固形粉末状白粉を以下の方法で製造した。
原料6〜10を混合分散し、混合物(A)を得た。得られた混合物(A)に、原料1〜5を添加し均一混合し、混合物(B)を得た。得られた混合物(B)を粉砕し、皿に圧縮成型することにより、固形粉末状白粉を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表18に示す。
【0102】
【表17】

【0103】
【表18】

【0104】
表18から以下のことがわかる。
実施例8の固形粉末状白粉は、肌への密着性、皮膜感(化粧膜の均一性)に優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例8の固形粉末状白粉は、比較例9の固形粉末状白粉と比較して、密着性及び皮膜感のいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0105】
実施例9及び比較例10
固形粉末状ケーキファンデーション(水使用)の製造
表19に示す配合の固形粉末状ケーキファンデーションを以下の方法で製造した。
原料8〜15を混合分散し、混合物(A)を得た。一方、原料1〜6を50℃に加熱して混合し、混合物(B)を得た。次いで、混合物(A)に、混合物(B)及び原料7を添加し均一混合し、混合物(C)を得た。次いで、得られた混合物Cを粉砕し、皿に圧縮成型することで固形粉末状ケーキファンデーションを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表20に示す。
【0106】
【表19】

【0107】
【表20】

【0108】
表19において、※1は、メチルハイドロジェンポリシロキサン5重量%処理を行ったものであり、※2は、パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩5重量%処理を行ったものである。
表20から以下のことがわかる。
実施例9の固形粉末状ケーキファンデーションは、肌への密着性、のびに優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例9の固形粉末状ケーキファンデーションは、比較例10の固形粉末状ケーキファンデーションと比較して、密着性及びのびのいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0109】
実施例10及び比較例11
粉末状アイカラーの製造
表21に示す配合の粉末状アイカラーを以下の方法で製造した。
原料3〜8を均一に混合分散し、混合物(A)を得た。次いで、混合物(A)に原料1及び2を添加して得られた混合物を粉砕し、粉末状アイカラーを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表22に示す。
【0110】
【表21】

【0111】
【表22】

【0112】
表22から以下のことがわかる。
実施例10の粉末状アイカラーは、肌への密着性、のびに優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例10の粉末状アイカラーは、比較例11の粉末状アイカラーと比較して、密着性及びのびのいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0113】
実施例11及び比較例12
アイカラーの製造
表23に示す配合のアイカラーを以下の方法で製造した。
原料1〜6を80℃で溶解混合し、混合物(A)を得た。原料13〜18を80℃に加熱し、そこに原料7〜12を加えホモミキサーで分散し、分散物(B)を得た。次いで、混合物(A)に分散物Bを添加し、ホモミキサーで処理して冷却することによりアイカラーを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表24に示す。
【0114】
【表23】

【0115】
上記表23において、※はジメチルポリシロキサン5重量%処理を行ったものである。
【0116】
【表24】

【0117】
表24から以下のことがわかる。
実施例11のアイカラーは、密着性、皮膜感(化粧膜の均一性)に優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例11のアイカラーは、比較例12のアイカラーと比較して、密着性、皮膜感のいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0118】
実施例12及び比較例13
マスカラ(O/W型)の製造
表25に示す配合のマスカラ(O/W型)を以下の方法で製造した。
原料1〜9を加熱溶解し、これに原料10〜12を加えて均一に混合し、混合物(A)を得た。一方、原料13〜21を均一に混合し、混合物(B)を得た。次いで、混合物(A)に混合物(B)を添加し、乳化することによりマスカラ(O/W型)を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表26に示す。
【0119】
【表25】

【0120】
【表26】

【0121】
表26から以下のことがわかる。
実施例12のマスカラ(O/W型)は、肌への密着性、皮膜感(化粧膜の均一性)、耐衝撃性に優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例12のマスカラ(O/W型)は、比較例13のマスカラ(O/W型)と比較して、密着性、皮膜感及び耐衝撃性のいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0122】
実施例13及び比較例14
マスカラの製造
表27に示す配合のマスカラを以下の方法で製造した。
原料6を原料9に加え、ホモミキサーで分散させた後、原料5を加え加熱して70℃保つ(A相)。他の原料を混合し、70℃に加熱する(B相)。B相にA相を加えホモミキサーで均一に乳化分散して、マスカラを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表28に示す。
【0123】
【表27】

【0124】
【表28】

【0125】
表28から以下のことがわかる。
実施例13のマスカラは、睫毛に対してつきやすく、なめらかであり、はり、カール感が付与されていることが認められた。また、実施例13のマスカラは比較例14のマスカラと比較して効果が優れており、臭いも感じられなかった。
【0126】
実施例14及び比較例15
アイライナー(O/W型)の製造
表29に示す配合のアイライナー(O/W型)を以下の方法で製造した。
原料1〜5を加熱溶解し、これに原料6及び7を加えて均一に混合し、混合物(A)を得た。一方、原料8〜14を均一に混合し、混合物(B)を得た。次いで、混合物(A)に混合物(B)を添加し、乳化することによりアイライナー(O/W型)を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表30に示す。
【0127】
【表29】

【0128】
【表30】

【0129】
表30から以下のことがわかる。
実施例14のアイライナー(O/W型)は、皮膜感(化粧膜の均一性)、発色性に優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例14のアイライナー(O/W型)は、比較例15のアイライナー(O/W型)と比較して、皮膜感及び発色性のいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0130】
実施例15及び比較例16
アイシャドー(O/W型)の製造
表31に示す配合のアイシャドー(O/W型)を以下の方法で製造した。
原料1〜7を加熱溶解し、これに原料8及び9を加えて均一に混合し、混合物(A)を得た。一方、原料10〜15を均一に混合し、混合物(B)を得た。次いで、混合物(A)に混合物(B)を添加し、乳化することによりアイシャドー(O/W型)を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表32に示す。
【0131】
【表31】

【0132】
【表32】

【0133】
表32から以下のことがわかる。
実施例15のアイシャドー(O/W型)は、皮膜感(化粧膜の均一性)、発色性に優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例15のアイシャドー(O/W型)は、比較例16のアイシャドー(O/W型)と比較して、皮膜感及び発色性のいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0134】
実施例16及び比較例17
アイブロウ(O/W型)の製造
表33に示す配合のアイブロウ(O/W型)を以下の方法で製造した。
原料1〜7を加熱溶解し、これに原料8を加えて均一に混合し、混合物(A)を得た。一方、原料9〜13を均一に混合し、混合物(B)を得た。次いで、混合物(A)に混合物(B)を添加し、乳化することによりアイブロウ(O/W型)を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表34に示す。
【0135】
【表33】

【0136】
【表34】

【0137】
表34から以下のことがわかる。
実施例16のアイブロウ(O/W型)は、皮膜感(化粧膜の均一性)、発色性に優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例16のアイブロウ(O/W型)は、比較例17のアイブロウ(O/W型)と比較して、皮膜感及び発色性のいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0138】
実施例17及び比較例18
アイグロス(ペースト状)の製造
表35に示す配合のアイグロス(ペースト状)を以下の方法で製造した。
原料1〜10を均一に加熱混合溶解して混合物を得た。次いで、得られた混合物を容器に充填し、アイグロス(ペースト状)を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表36に示す。
【0139】
【表35】

【0140】
【表36】

【0141】
表36から以下のことがわかる。
実施例17のアイグロスは、つや、皮膜感(化粧膜の均一性)に優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例17のアイグロスは、比較例18のアイグロスと比較して、つや、皮膜感のいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0142】
実施例18及び比較例19
粉末状頬紅の製造
表37に示す配合の粉末状頬紅を以下の方法で製造した。
原料3〜8を均一に混合分散し、混合物(A)を得た。ついで、混合物(A)に原料1及び2を添加して得られた混合を粉砕し、皿に圧縮成型することにより、粉末状頬紅を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表38に示す。
【0143】
【表37】

【0144】
【表38】

【0145】
表38から以下のことがわかる。
実施例18の粉末状頬紅は、肌への密着性、のびに優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例18の粉末状頬紅は、比較例19の粉末状頬紅と比較して、密着性及びのびのいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0146】
実施例19及び比較例20
ベースコートの製造
表39に示す配合のベースコートを以下の方法で製造した。
原料1〜5を均一に混合し、混合物(A)を得た。次いで、得られた混合物(A)に、原料6〜8を添加し均一に混合することによりベースコートを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表40に示す。
【0147】
【表39】

【0148】
【表40】

【0149】
表40から以下のことがわかる。
ベースコートは、美爪料を爪に塗布する前に使用するものであり、爪表面の凹凸を均一化すると共に美爪料ののりを良好にするものである。実施例19のベースコートは、美爪料のつやを向上させ、皮膜感が向上するものであり、その効果を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例19のベースコートは、比較例20のベースコートと比較して、つや及び皮膜感のいずれにおいても効果が優れており、つやの持続時間が長いものであった。
【0150】
実施例20及び比較例21
トップコートの製造
表41に示す配合のトップコートを以下の方法で製造した。
原料1〜5を均一に混合し、混合物(A)を得た。次いで、得られた混合物(A)に、原料6〜9を添加し均一に混合することによりトップコートを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表42に示す。
【0151】
【表41】

【0152】
【表42】

【0153】
表42から以下のことがわかる。
トップコートは、美爪料の上に塗布することで、美爪料の光沢を向上させ、美爪料の効果を持続させるものである。実施例20のトップコートは、美爪料の上に塗布することで、美爪料の光沢を向上させ、美爪料の効果を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例20のトップコートは、比較例21のトップコートと比較して、光沢の向上及び密着性の向上が認められ、光沢の持続時間が長いものであった。
【0154】
実施例21及び比較例22
ネールエナメルの製造
表43に示す配合のネールエナメルを以下の方法で製造した。
原料7と原料4と原料1または原料2を混合し、よく練り合わせる。次いで、その他の原料を加えて均一に分散させて、ネールエナメルを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表44に示す。
【0155】
【表43】

【0156】
【表44】

【0157】
表44から以下のことがわかる。
実施例21のネールエナメルは、爪に対してつきやすく、なめらかであり、光沢もよく、つめの溝を埋め密着性が良いことことが認められた。また、実施例21のネールエナメルは比較例22のネールエナメルと比較して、爪に対してつきやすいという効果を有し、なめらかさ、密着性が向上し、光沢性の向上効果が優れていることが確認できた。
【0158】
実施例22及び比較例23
洗顔クリームの製造
表45に示す配合の洗顔クリームを以下の方法で製造した。
原料1〜8を混合し、70℃で加熱溶解し、混合物(A)を得た。一方、原料9〜13を混合し、70℃に加熱し、混合物(B)を得た。70℃の温度にて混合物(B)に混合物(A)を攪拌しながら徐々に加え、けん化反応を行い、けん化反応が終了した後、攪拌しながら冷却し、洗顔クリームを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表46に示す。
【0159】
【表45】

【0160】
【表46】

【0161】
表46から以下のことがわかる。
実施例22の洗顔クリームは、洗浄性に優れ、使用後の肌に対して、柔軟性、保湿感、なめらかさを付与することが認められた。また、実施例22の洗顔クリームは、比較例23の洗顔クリームと比較して、柔軟性、保湿性、なめらかさの効果が優れていることに加え、洗浄性に優れることが確認された。
【0162】
実施例23及び比較例24
クレンジングオイルの製造
表47に示す配合のクレンジングオイルを以下の方法で製造した。
原料1〜7を均一に混合することより、クレンジングオイルを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表48に示す。
【0163】
【表47】

【0164】
【表48】

【0165】
表48から以下のことがわかる。
実施例23のクレンジングオイルは、洗浄性に優れ、使用後の肌に対して柔軟性、保湿感、なめらかさを付与することが認められた。また、実施例23のクレンジングオイルは、比較例24のクレンジングオイルと比較して、柔軟性、保湿性、なめらかさの効果が優れていることに加え、洗浄性に優れることが確認された。
【0166】
実施例24及び比較例25
クレンジングクリームの製造
表49に示す配合のクレンジングクリームを以下の方法で製造した。
原料1〜9を加熱溶解し均一に混合し、混合物(A)を得た。一方、原料10〜15を加温し均一に混合し、混合物(B)を得た。80℃の温度にて、混合物(A)に混合物(B)を加えて乳化し、冷却することによりクレンジングクリームを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表50に示す。
【0167】
【表49】

【0168】
【表50】

【0169】
表50から以下のことがわかる。
実施例24のクレンジングクリームは、洗浄性に優れ、使用後の肌に対して柔軟性、保湿感、なめらかさを付与することが認められた。また、実施例24のクレンジングクリームは、比較例25のクレンジングクリームと比較して、柔軟性、保湿性、なめらかさの効果が優れていることに加え、洗浄性に優れることが確認された。
【0170】
実施例25及び比較例26
化粧水の製造
表51に示す配合の化粧水を以下の方法で製造した。
原料1〜4を均一に混合溶解し、混合物(A)を得た。一方、原料5〜9を均一に混合溶解し、混合物(B)を得た。次いで、混合物(B)に混合物(A)を攪拌しながら加え、化粧水を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表52に示す。
【0171】
【表51】

【0172】
【表52】

【0173】
表52から以下のことがわかる。
実施例25の化粧水は、肌に対して柔軟性、保湿感、なめらかさを付与することが認められた。また、実施例25の化粧水は、比較例26の化粧水と比較して、柔軟性、保湿性、なめらかさの効果が優れていることが確認された。
【0174】
実施例26及び比較例27
美容液の製造
表53に示す配合の美容液を以下の方法で製造した。
原料1〜5を80℃で溶解混合し、混合物(A)を得た。原料6〜11を混合し、80℃に加熱し、混合物(B)を得た。次いで、得られた混合物(B)を混合物(A)に添加しホモミキサー処理し、次いで冷却することで美容液を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表54に示す。
【0175】
【表53】

【0176】
【表54】

【0177】
表54から以下のことがわかる。
実施例26の美容液は、肌に対してのび、柔軟性を付与し、保湿感を長時間持続することが認められた。また、実施例26の美容液は、比較例27の美容液と比較して、のび、保湿性及び柔軟性の効果が優れていることが確認された。
【0178】
実施例27及び比較例28
乳液の製造
表55に示す配合の乳液を以下の方法で製造した。
原料1〜6を80℃で溶解混合し、混合物(A)を得た。一方、原料7〜12を混合し、80℃に加熱し、これを混合物(A)に添加し、ホモミキサー処理した後、冷却することにより乳液を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表56に示す。
【0179】
【表55】

【0180】
【表56】

【0181】
表56から以下のことがわかる。
実施例27の乳液は、肌に対してのび、柔軟性を付与し、保湿感を長時間持続することが認められた。また、実施例27の乳液は、比較例28の乳液と比較して、のび、保湿性及び柔軟性の効果が優れていることが確認された。
【0182】
実施例28及び比較例29
エモリエントクリーム(W/O型)の製造
表57に示す配合のエモリエントクリーム(W/O型)を以下の方法で製造した。
原料1と、原料2又は原料3とを室温で混合し、混合物(A)を得た。一方、原料4〜8を80℃の温度に加温しながら均一に溶解させ、これに混合物(A)を徐々に加え均一に分散させ、混合物(B)を得た。次いで、原料9及び10を70℃の温度に加温し、これを混合物(B)に添加しながらホモミキサーで乳化した後、脱気、濾過、冷却してエモリエントクリーム(W/O型)を得た。得られたエモリエントクリームについて、それぞれ官能評価を行った結果を表58に示す。
【0183】
【表57】

【0184】
【表58】

【0185】
表58から以下のことがわかる。
実施例28及び比較例29のエモリエントクリームは、肌に対するのびが良好であり、保湿効果、柔軟性が付与されていることが認められた。また、実施例28のエモリエントクリームは、比較例29のエモリエントクリームよりも、のび、保湿感及び柔軟性のいずれにおいても効果が優れていることがわかる。
【0186】
実施例29及び比較例30
ビタミンC誘導体含有クリームの製造
表59に示す配合のビタミンC誘導体含有クリームを以下の方法で製造した。
原料1〜3を均一に混合し、混合物(A)を得た。一方、原料4〜9を均一に混合し、混合物(B)を得た。次いで、混合物(A)に混合物(B)を添加して乳化し、ビタミンC誘導体含有クリームを得た。得られたビタミンC誘導体含有クリームについて、それぞれ官能評価を行った結果を表60に示す。
【0187】
【表59】

【0188】
【表60】

【0189】
表60から以下のことがわかる。
実施例29のビタミンC誘導体含有クリームは、肌に保湿感、密着性及び柔軟性を付与し、皮膜感を長時間維持することが認められた。実施例29のビタミンC誘導体含有クリームは、比較例30のビタミンC誘導体含有クリームと比較して効果が優れていることが確認された。
【0190】
実施例30及び比較例31
アイクリームの製造
表61に示す配合のアイクリームを以下の方法で製造した。
原料1〜8を80℃で溶解混合し、混合物(A)を得た。次いで、原料9〜14を混合し、80℃に加熱し、これを混合物(A)に添加しホモミキサー処理し冷却することによりアイクリームを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表62に示す。
【0191】
【表61】

【0192】
【表62】

【0193】
表62から以下のことがわかる。
実施例30のアイクリームは、肌に対してのび、柔軟性を付与し、保湿感を長時間持続することが認められた。また、実施例30のアイクリームは、比較例31のアイクリームと比較して、のび、保湿感及び柔軟性のいずれにおいても効果が優れていることが確認された。
【0194】
実施例31及び比較例32
コンディショニングシャンプーの製造
表63に示す配合のコンディショニングシャンプーを以下の方法で製造した。
原料12に原料8を添加し、加熱攪拌して70℃まで昇温させた。これに、その他の成分を加えて攪拌溶解し、冷却することによりコンディショニングシャンプーを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表64に示す。
【0195】
【表63】

【0196】
【表64】

【0197】
表64から以下のことがわかる。
実施例31のコンディショニングシャンプーは、毛髪に対して保湿感、つや、柔軟性及び髪のまとまり感を付与することが認められた。また、実施例31のコンディショニングシャンプーは、比較例32のコンディショニングシャンプーと比較して、保湿感、つや、柔軟性及びまとまり感のいずれにおいても、効果が優れていることが確認された。
【0198】
実施例32及び比較例33
キューティクル保護ジェルの製造
表65に示す配合のキューティクル保護ジェルを以下の方法で製造した。
原料1〜5を均一に混合し、混合物(A)を得た。一方、原料6〜10及び原料12を均一に混合し、混合物(B)を得た。次いで、混合物(B)に混合物(A)を添加しながら混合し、原料11を加えて均一に混合することにより、キューティクル保護ジェルを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表66に示す。
【0199】
【表65】

【0200】
【表66】

【0201】
表66から以下のことがわかる。
実施例32のキューティクル保護ジェルは、毛髪に対して柔軟性、保湿感、つやを与え、かつ髪のまとまり感を付与することが認められた。また、実施例32のキューティクル保護ジェルは、比較例33のキューティクル保護ジェルと比較して、柔軟性、保湿感、つや及び髪のまとまり感の効果が優れていることが確認された。
【0202】
実施例33及び比較例34
ヘアリンスの製造
表67に示す配合のヘアリンスを以下の方法で製造した。
原料1〜5を均一に混合溶解し、混合物(A)を得た。一方、原料6〜9及び原料11を均一に混合溶解し、混合物(B)を得た。混合物(A)及び(B)を80℃に加温し、80℃の温度で混合物(B)に混合物(A)を添加し乳化した後、原料10を添加し混合することにより、ヘアリンスを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表68に示す。
【0203】
【表67】

【0204】
【表68】

【0205】
表68から以下のことがわかる。
実施例33のヘアリンスは、毛髪に対して柔軟性、保湿感、つやを与え、かつ髪のまとまり感を付与することが認められた。また、実施例33のヘアリンスは、比較例34のヘアリンスと比較して、柔軟性、保湿感、つや及び髪のまとまり感の効果が優れていることが確認された。
【0206】
実施例34及び比較例35
ヘアコンディショナーの製造
表69に示す配合のヘアコンディショナーを以下の方法で製造した。
原料1〜7を均一に混合溶解し、混合物(A)を得た。一方、原料8〜11及び原料13を均一に混合溶解し、混合物(B)を得た。混合物(A)及び(B)を80℃に加温し、80℃の温度で混合物(B)に混合物(A)を添加し乳化した後、原料12を添加し混合することにより、ヘアコンディショナーを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表70に示す。
【0207】
【表69】

【0208】
【表70】

【0209】
表70から以下のことがわかる。
実施例34のヘアコンディショナーは、毛髪に対して柔軟性、保湿感、つやを与え、かつ髪のまとまり感を付与することが認められた。また、実施例34のヘアコンディショナーは、比較例35のヘアコンディショナーと比較して、柔軟性、保湿感、つや及び髪のまとまり感の効果が優れていることが確認された。
【0210】
実施例35及び比較例36
ヘアクリームの製造
表71に示す配合のヘアクリームを以下の方法で製造した。
原料1〜5を均一に混合溶解し、混合物(A)を得た。原料6〜10及び原料12を均一に混合溶解し、混合物(B)を得た。混合物(A)及び(B)を80℃に加温し、80℃の温度で混合物(A)に混合物(B)を添加し乳化した後、原料11を添加し冷却することにより、ヘアクリームを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表72に示す。
【0211】
【表71】

【0212】
【表72】

【0213】
表72から以下のことがわかる。
実施例35のヘアクリームは、毛髪に対して柔軟性、保湿感、つやを与え、かつ髪のまとまり感を付与することが認められた。また、実施例35のヘアクリームは、比較例36のヘアクリームと比較して、柔軟性、保湿感、つや及び髪のまとまり感の効果が優れていることが確認された。
【0214】
実施例36及び比較例37
ヘアワックスの製造
表73に示す配合のヘアワックスを以下の方法で製造した。
原料1〜9を均一に混合溶解し、混合物(A)を得た。一方、原料10、11、13及び14を均一に混合溶解し、混合物(B)を得た。混合物(A)及び(B)を80℃に加温し、80℃の温度で混合物(B)に混合物(A)を添加し乳化した後、原料12を添加し混合することにより、ヘアワックスを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表74に示す。
【0215】
【表73】

【0216】
【表74】

【0217】
表74から以下のことがわかる。
実施例36のヘアワックスは、毛髪に対して柔軟性、保湿感、つやを与え、かつ髪のまとまり感を付与することが認められた。また、実施例36のヘアワックスは、比較例37のヘアワックスと比較して、柔軟性、保湿感、つや及び髪のまとまり感の効果が優れていることが確認された。
【0218】
実施例37及び比較例38
多層状乳化日焼け止め料(W/O型)の製造
表75に示す配合の多層状乳化日焼け止め料(W/O型)を以下の方法で製造した。
原料1〜12を均一に混合し、混合物(A)を得た。一方、原料13〜16を均一に混合し、混合物(B)を得た。次いで、混合物(A)に混合物(B)を添加して乳化した。乳化物をステンレスボール入りの樹脂ボトルに充填し多層状乳化日焼け止め料(W/O型)を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表76に示す。
【0219】
【表75】

【0220】
【表76】

【0221】
表76から以下のことがわかる。
実施例37の多層状乳化日焼け止め料(W/O型)は、肌への密着性、皮膜感(化粧膜の均一性)に優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例37の多層状乳化日焼け止め料(W/O型)は、比較例38の多層状乳化日焼け止め料(W/O型)と比較して、密着性及び皮膜感のいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0222】
実施例38及び比較例39
クリーム状日焼け止め料(O/W型)の製造
表77に示す配合のクリーム状日焼け止め料(O/W型)を以下の方法で製造した。
原料1〜11を70℃に加熱し均一に混合し、混合物(A)を得た。一方、原料13〜17を70℃に加熱し均一に混合し、混合物(B)を得た。次いで、混合物(A)に混合物(B)を添加して乳化し、得られた乳化物を室温まで冷却した後、原料12を添加し、混合することによりクリーム状日焼け止め料(O/W型)を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表78に示す。
【0223】
【表77】

【0224】
【表78】

【0225】
表78から以下のことがわかる。
実施例38のクリーム状日焼け止め料(O/W型)は、肌への密着性、皮膜感(化粧膜の均一性)に優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例38のクリーム状日焼け止め料(O/W型)は、比較例39のクリーム状日焼け止め料(O/W型)と比較して、密着性及び皮膜感のいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0226】
実施例39及び比較例40
乳液日焼け止め料(W/O型)の製造
表79に示す配合の乳液日焼け止め料(W/O型)を以下の方法で製造した。
原料5を溶解させるため、原料1と5を混合し加熱溶解させた。原料1及び5を加熱溶解させた後、原料2〜4、及び6〜16を加えて均一に混合し、混合物(A)を得た。一方、原料17及び18を均一に混合し、混合物(B)を得た。次いで、混合物(A)に混合物(B)を添加して乳化し、乳液日焼け止め料(W/O型)を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表80に示す。
【0227】
【表79】

【0228】
【表80】

【0229】
表80から以下のことがわかる。
実施例39の乳液日焼け止め料(W/O型)は、肌への密着性、皮膜感(化粧膜の均一性)に優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例39の乳液日焼け止め料(W/O型)は、比較例40の乳液日焼け止め料(W/O型)と比較して、密着性及び皮膜感のいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。また、溶解性の良くない4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンをエステル化反応生成物(製造例1)と混合することで溶解性が向上することが認められた。
【0230】
実施例40〜42、比較例41
クリーム状日焼け止め料(W/O型)の製造
表81に示す配合のクリーム状日焼け止め料(W/O型)を以下の方法で製造した。
原料1〜7を均一に混合し、混合物(A)を得た。一方、原料8〜11を均一に混合し、混合物(B)を得た。次いで、混合物(A)に混合物(B)を添加して乳化し、クリーム状日焼け止め料(W/O型)を得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表82に示す。本実施例においては、日焼け止め料としての紫外線防御効果を試験するため、Labsphere社製UV−1000Fを用いてSPF値を測定した。測定したSPF値について下記評価基準に従って評価を行い、評価が○の場合を合格とした。
○:SPFが20以上である。
△:SPFが10以上20未満である。
×:SPFが10未満である。
また、経時安定性については、クリーム状日焼け止め料を50℃に1ヶ月恒温静置し、外観変化を目視にて観察し、以下の基準に従って評価した。評価が◎又は○である場合を合格とした。
◎:外観の変化はまったく認められない。
○:外観の変化は多少認められるが、分離傾向は認められない。
△:わずかに分離している。
×:完全に分離している。
【0231】
【表81】

【0232】
【表82】

【0233】
表82から以下のことがわかる。
実施例40、41、42のクリーム状日焼け止め料(W/O型)は持続性、肌への密着性、皮膜感(化粧膜の均一性)に優れ、かつSPF値も高いことが認められた。また、実施例40、41、42のクリーム状日焼け止め料(W/O型)は、比較例41のクリーム状日焼け止め料(W/O型)と比較して、密着性、皮膜感、持続性、SPF値のいずれにおいても効果が優れていた。
【0234】
実施例43及び比較例42
スティック状油性型コンシーラーの製造
表83に示す配合のスティック状油性型コンシーラーを以下の方法で製造した。
原料8〜15を70℃に加熱し均一に混合し、混合物(A)を得た。次いで、得られた混合物(A)に、原料1〜7及び原料16を添加し均一に混合し、混合物(B)を得た。得られた混合物(B)を再び加熱し脱泡した。脱泡した処理物をスティック容器に充填し、室温まで冷却することによりスティック状油性型コンシーラーを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表84に示す。
【0235】
【表83】

【0236】
【表84】

【0237】
表84から以下のことがわかる。
実施例43のスティック状油性型コンシーラーは、発色性、肌への密着性、皮膜感(化粧膜の均一性)に優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例43のスティック状油性型コンシーラーは、比較例42のスティック状油性型コンシーラーと比較して、発色性、密着性及び皮膜感のいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0238】
実施例44及び比較例43
ボディソープの製造
表85に示す配合のボディソープを以下の方法で製造した。
原料1〜11を均一に混合し、ボディソープを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表86に示す。
【0239】
【表85】

【0240】
【表86】

【0241】
表86から以下のことがわかる。
実施例44のボディソープは、洗浄性に優れ、使用後の肌に対して柔軟性、保湿感、つやを付与することが認められた。また、実施例44のボディソープは、比較例43のボディソープと比較して、柔軟性、保湿感、つや及び洗浄性のいずれにおいても、効果が優れていることが確認された。
【0242】
実施例45及び比較例44
粉末状ボディパウダーの製造
表87に示す配合の粉末状ボディーパウダーを以下の方法で製造した。
原料3〜6を均一に混合分散し、混合物(A)を得た。得られた混合物(A)に、原料1又は2を添加して得られた混合物を粉砕し、粉末状ボディパウダーを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表88に示す。
【0243】
【表87】

【0244】
【表88】

【0245】
表88から以下のことがわかる。
実施例45の粉末状ボディーパウダーは、肌への密着性、のびに優れ、かつ化粧を長時間持続することが可能であることが認められた。また、実施例45の粉末状ボディーパウダーは、比較例44の粉末状ボディーパウダーと比較して、密着性及びのびのいずれにおいても効果が優れており、化粧の持続時間が長いものであった。
【0246】
実施例46及び比較例45
油中水系ハンドクリームの製造
表89に示す配合の油中水系ハンドクリームを以下の方法で製造した。
原料1又は2と、原料3〜7とを混合し、次いで、原料8を添加しデスパミキサーで分散し、混合物(A)を得た。残りの成分を均一に混合したものを、混合物(A)に添加しながら分散し、油中水型ハンドクリームを得た。それぞれについて官能評価を行った結果を表90に示す。
【0247】
【表89】

【0248】
【表90】

【0249】
表90から以下のことがわかる。
実施例46の油中水系ハンドクリームは、肌に密着性、保湿感及び柔軟性を付与し、皮膜感を長時間維持することが認められた。実施例46の油中水系ハンドクリームは、比較例45の油中水系ハンドクリームと比較して効果が優れていることが確認された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジペンタエリスリトール1モルに対して、平均重合度が6〜12である12−ヒドロキシステアリン酸重合物2〜4モルとをエステル化することによって得られるエステル化反応生成物の製造方法であって、該エステル化反応生成物の水酸基価が20〜70mgKOH/gであり、酸価が3mgKOH/g以下である、エステル化反応生成物の製造方法。
【請求項2】
水酸基価が20〜60mgKOH/gである、請求項1に記載のエステル化反応生成物の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエステル化反応生成物の製造方法により得られたエステル化反応生成物を含有してなる化粧料。
【請求項4】
前記エステル化反応生物の含有量が0.1〜80質量%である、請求項3に記載の化粧料。
【請求項5】
前記化粧料が、口唇化粧料、ファンデーション、エモリエントクリーム、乳液、化粧下地、ヘアクリーム、シャンプー、リンス、ヘアコンディショニング、ハンドクリーム、美容液、眉目化粧料、爪化粧料及び日焼け止め化粧料からなる群から選択される、請求項3又は4に記載の化粧料。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−10787(P2013−10787A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−220137(P2012−220137)
【出願日】平成24年10月2日(2012.10.2)
【分割の表示】特願2006−522578(P2006−522578)の分割
【原出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000227009)日清オイリオグループ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】