説明

エステル化合物の製造方法

【課題】医農薬の製造中間体として有用なエステル化合物の製造方法の提供。
【解決手段】下記の工程A〜工程Gを含む、化合物(1)又はその塩の製造方法:〔工程A〕アルデヒド化合物(2)とニトロメタンとを反応させる工程;〔工程B〕得られた化合物(3)とアルコールとを反応させる工程;〔工程C〕得られた化合物(4)を還元する工程;〔工程D〕得られた化合物(5)のアミノ基を保護する工程;〔工程E〕得られた化合物(6)を酸で処理し、塩基で処理し、シアノ化剤とを反応させる工程;〔工程F〕得られた(7)を酸で処理する工程;〔工程G〕得られた(8)のRの基を水素原子に置換するステップと、カルボキシル基を保護するステップとを有する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医農薬の製造中間体として有用なエステル化合物の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
式(1)
【化1】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、Rはカルボキシル基の保護基を表し、nは1又は2を表す。]
で示されるエステル化合物は、医薬、農薬等の製造中間体、例えば、C型肝炎治療薬Telaprevirの製造中間体として知られている。
【0003】
式(1)で示される化合物の製造方法として、例えば特許文献1および2には、3−アザビシクロ[3.3.0]ノナン塩酸塩から、式(1a)
【化2】

で示される化合物を得る方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2007/022459公報
【特許文献2】WO2010/126881公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、式(1)で示されるエステル化合物等を製造できる新たな方法等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、式(1)で示されるエステル化合物等の製造方法等について鋭意検討した結果、本発明を見出すに至った。本発明は、以下の通りである。
[1]
以下の工程A〜工程Gを含む、式(1)
【化3】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、Rはカルボキシル基の保護基を表し、nは1又は2を表す。]
で示されるエステル化合物(以下、エステル化合物(1)と記すことがある)又はその塩の製造方法:
【0007】
〔工程A〕
ピロリジン化合物の存在下、式(2)
【化4】

[式中、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示されるアルデヒド化合物(以下、アルデヒド化合物(2)と記すことがある)と、ニトロメタンとを反応させる工程;
【0008】
〔工程B〕
工程Aで得られた式(3)
【化5】

[式中、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示されるニトロアルデヒド化合物(以下、ニトロアルデヒド化合物(3)と記すことがある)とアルコールとを反応させる工程;
【0009】
〔工程C〕
工程Bで得られた式(4)
【化6】

[式中、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。Rはそれぞれアルキル基を表すか、又は2個のRが結合して一緒になってアルキレン基を表す。]
で示されるニトロアセタール化合物(以下、ニトロアセタール化合物(4)と記すことがある)を還元する工程;
【0010】
〔工程D〕
工程Cで得られた式(5)
【化7】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示されるアミノアセタール化合物(以下、アミノアセタール化合物(5)と記すことがある)又はその塩のアミノ基を保護する工程;
【0011】
〔工程E〕
工程Dで得られた式(6)
【化8】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。
はアミノ基の保護基を表す。]
で示される保護アミノアセタール化合物(以下、保護アミノアセタール化合物(6)と記すことがある)又はその塩を酸で処理し、塩基で処理し、前記処理により得られた生成物とシアノ化剤とを反応させる工程;
【0012】
〔工程F〕
工程Eで得られた式(7)
【化9】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示されるニトリル化合物又はその塩を加水分解処理する工程;及び
【0013】
〔工程G〕
工程Fで得られた式(8)
【化10】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される保護アミノ酸化合物又はその塩に含まれるRで表される基を水素原子に置換するステップと、カルボキシル基を保護するステップとを有する工程。
【0014】
[2] 工程Aが、さらに水の存在下、式(2)で示されるアルデヒド化合物と、ニトロメタンとを反応させる工程である[1]記載の製造方法。
[3] 工程Aが、さらにカルボン酸の存在下、式(2)で示されるアルデヒド化合物と、ニトロメタンとを反応させる工程である[1]又は[2]記載の製造方法。
[4] 工程Aにおけるピロリジン化合物が、式(9)
【化11】

[式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を表し、Zはアルキル基又はトリアルキルシリル基(当該トリアルキルシリル基におけるアルキル基はそれぞれ同一又は異なっていてよい)を表す。]
で示される化合物(以下、触媒(9)と記すことがある)である[1]〜[3]のいずれか記載の製造方法。
[5] Arがフェニルであり、Zがトリメチルシリル基である[4]記載の製造方法。
[6] 式(2)で示されるアルデヒド化合物が1−ホルミルシクロペンテンである[1]〜[5]のいずれか記載の製造方法。
【0015】
[7] 工程Eが、工程Dで得られた式(6)で示される保護アミノアセタール化合物又はその塩を酸で処理して、式(6a)
【化12】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される保護アミノアルデヒド化合物とするステップと、該ステップで得られる式(6a)で示される保護アミノアルデヒド化合物を塩基で処理して、式(6b)
【化13】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される保護アミノアルコール化合物とするステップと、該ステップで得られる式(6b)で示される保護アミノアルコール化合物とシアノ化剤とを反応させるステップとからなる[1]〜[6]のいずれか記載の製造方法。
【0016】
[8] 塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン又は金属アルコキシドである[7]記載の製造方法。
【0017】
[9] 式(6a)で示される保護アミノアルデヒド化合物が、式(6aX)
【化14】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される化合物であり、式(6b)で示される保護アミノアルコール化合物が、式(6bX)
【化15】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される化合物であり、式(7)で示されるニトリル化合物が、式(7X)
【化16】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される化合物であり、式(8)で示される保護アミノ酸化合物が、式(8X)
【化17】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される化合物である[7]又は[8]記載の製造方法。
【0018】
[10] 式(6X)
【化18】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、Rはそれぞれアルキル基を表すか、又は2個のRが結合して一緒になってアルキレン基を表す。Rは、アミノ基の保護基を表す。nは1又は2を表す。]
で示される保護アミノアセタール化合物又はその塩を酸で処理して、式(6aX)
【化19】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される保護アミノアルデヒド化合物とするステップと、該ステップで得られる式(6aX)で示される保護アミノアルデヒド化合物を塩基で処理するステップとを有する、式(6bX)
【化20】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される保護アミノアルコール化合物の製造方法。
【0019】
[11] 塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン又は金属アルコキシドである[10]記載の製造方法。
【0020】
[12] 式(4)
【化21】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、Rはそれぞれアルキル基を表すか、又は2個のRが結合して一緒になってアルキレン基を表し、nは1又は2を表す。]
で示されるニトロアセタール化合物。
【0021】
[13] 式(5)
【化22】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、Rはそれぞれアルキル基を表すか、又は2個のRが結合して一緒になってアルキレン基を表し、nは1又は2を表す。]
で示されるアミノアセタール化合物又はその塩。
【0022】
[14] 式(6)
【化23】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、Rはそれぞれアルキル基を表すか、又は2個のRが結合して一緒になってアルキレン基を表し、Rは、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基であるアミノ基の保護基を表し、nは1又は2を表す。]
で示される保護アミノアセタール化合物又はその塩。
【0023】
[15] 式(7)
【化24】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、Rはそれぞれアルキル基を表すか、又は2個のRが結合して一緒になってアルキレン基を表し、Rは、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基であるアミノ基の保護基を表し、nは1又は2を表す。]
で示されるニトリル化合物又はその塩。
【0024】
[16] 式(8)
【化25】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表す。Rは、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基であるアミノ基の保護基を表し、nは1又は2を表す。]
で示される保護アミノ酸化合物又はその塩。
【0025】
[17] 式(6a)
【化26】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表す。Rは、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基であるアミノ基の保護基を表す。nは1又は2を表す。]
で示される保護アミノアルデヒド化合物又はその塩。
【0026】
[18] 式(6b)
【化27】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表す。Rは、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基であるアミノ基の保護基を表す。nは1又は2を表す。]
で示される保護アミノアルコール化合物又はその塩。
【発明の効果】
【0027】
本発明によって、式(1)で示されるエステル化合物等を製造できる新たな方法等が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
「アルキル基」としては、例えば直鎖又は分岐鎖のC〜C10アルキル基が挙げられ、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル等が挙げられ、特に好ましくは、メチル、エチル等が挙げられる。
【0029】
「アルコキシ基」としては、例えば直鎖又は分岐鎖のC〜C10アルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等が挙げられる。好ましくは、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ等が挙げられ、特に好ましくは、メトキシ、エトキシ等が挙げられる。等が挙げられる。
【0030】
「アルケニル基」としては、例えば直鎖又は分岐鎖のC〜C10アルケニル基が挙げられ、具体的にはアリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル等が挙げられる。好ましくは、アリル、2-ブテニル等が挙げられる。
【0031】
「アルケニルオキシ基」としては、例えば直鎖又は分岐鎖のC〜C10アルケニルオキシ基が挙げられ、具体的にはアリルオキシ、ブテニルオキシ、ペンテニルオキシ、ヘキセニルオキシ、ヘプテニルオキシ、オクテニルオキシ、ノネニルオキシ、デセニルオキシ等が挙げられる。好ましくは、アリルオキシ、2-ブテニルオキシ等が挙げられる。
【0032】
「シクロアルキル基」としては、例えば、C〜C10シクロアルキル基が挙げられ、具体的にはシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等が挙げられる。
【0033】
「シクロアルコキシ基」としては、例えば、C〜C10シクロアルコキシ基が挙げられ、具体的にはシクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ、シクロノニルオキシ、シクロデシルオキシ等が挙げられる。
【0034】
「アリール基」としては、例えば、C〜C10アリール基が挙げられ、具体的にはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニルが挙げられる。
【0035】
「ヘテロアリール基」としては、例えば、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含有する5又は6員ヘテロアリールが挙げられる。具体的には、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル等が挙げられる。
【0036】
「ハロゲン」としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、好ましくはフッ素、塩素が挙げられる。
【0037】
における「アミノ基の保護基」としては、有機化学の分野で知られたアミノ基の保護基が挙げられ、例えば"Protective Groups in Organic Synthesis",T.W. Greene及びP.G.M. Wuts著(Wiley-Interscience刊,第4版,2006年)に具体的に挙げられたもの等が挙げられる。同保護基としては、Rのカルボキシル基の保護基と異なる条件で脱保護できる保護基が好ましく、より好ましくは、ウレタン系保護基、アミド系保護基が挙げられる。特に好ましくは、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アセチル、ベンジル等が挙げられる。また、R及びRにおいて、「置換基を有していてもよいアミノ基」とは、好ましくは保護基を有していてもよいアミノ基であり、かかる保護基の具体例もここに示したものを挙げることができる。
【0038】
における「カルボキシル基の保護基」としては、有機化学の分野で知られたカルボキシル基の保護基が挙げられ、例えば"Protective Groups in Organic Synthesis",T.W. Greene及びP.G.M. Wuts著(Wiley-Interscience刊,第4版,2006年)に具体的に挙げられたもの等が挙げられる。同保護基としては、Rのアミノの保護基と異なる条件で脱保護できるエステル系保護基が好ましく、より好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基等が挙げられ、さらに好ましくは、置換基を有していてもよい直鎖又は分岐鎖のC〜C10アルキル基、置換基を有していてもよい直鎖又は分岐鎖のC〜C10アルケニル基、置換基を有していてもよいC〜C10シクロアルキル基が挙げられ、特に好ましくは、メチル、エチル等が挙げられる。
【0039】
アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、アリール基及びヘテロアリール基に置換する「置換基」としては、例えば、アルキル基、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられる。アミノ基の「置換基」としては、例えば、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アリール基、シクロアルコキシ基等が挙げられる。置換基を複数有する場合は、置換基はそれぞれ同一又は異なってよい。
【0040】
本発明の工程A〜工程Gを含む製造方法によって、エステル化合物(1)又はその塩を製造することができる。
〔工程A〕
【化28】

[式中、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
【0041】
工程Aは、ピロリジン化合物の存在下、アルデヒド化合物(2)と、ニトロメタンとを反応させる工程である。工程Aを行うことによって、ニトロアルデヒド化合物(3)が製造される。
アルデヒド化合物(2)は、市販されているか、市販の化合物から容易に調製することができる。
ニトロメタンの使用量としては、例えばアルデヒド化合物(2)1モルに対して、1〜20モル、好ましくは1〜10モル、より好ましくは1〜3モルが挙げられる。
【0042】
ピロリジン化合物は、アルデヒド化合物(2)とニトロメタンとの反応を触媒することができる化合物である。好ましくは、式(9)
【化29】

[式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を表す。Zはアルキル基又はトリアルキルシリル基(当該トリアルキルシリル基におけるアルキル基はそれぞれ同一又は異なっていてよい)を表す。]
で示される化合物が挙げられる。Arとしては、アリールは好ましくはフェニルであり、アリール基の置換基としては例えばアルキル基、ハロゲン、ハロゲン置換アルキル基、ニトロ等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、フッ素、塩素、トリフルオロメチル等が挙げられる。好ましいArとしては無置換のフェニルが挙げられる。また、Zとしては、好ましくはメチル、エチル、トリメチルシリル等が挙げられ、さらに好ましくはトリメチルシリル等が挙げられる。触媒(9)は、不斉炭素を有しており、その不斉炭素によって光学活性体として、又はラセミ体として存在しうる。光学活性体の触媒(9)を用いる場合は、ニトロアルデヒド化合物(3)のβ位に極めて高い選択性で不斉誘導を起こすことができる。触媒(9)の使用量としては、多量を用いてもよいが、触媒量を用いることができる。例えば、アルデヒド化合物(2)1モルに対して、0.1%モル〜50%モル、好ましくは0.5%モル〜30%モル、より好ましくは1%モル〜5%モルが挙げられる。
【0043】
反応溶媒としては、例えば、アルコール、エーテル、スルホキシド、アミド、ハロゲン系溶媒、水、又はこれらの混合物等が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、ネオペンチルアルコール、sec-ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール等が挙げられる。エーテルとしては、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール等が挙げられる。スルホキシドとしては、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。アミドとしては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等が挙げられる。反応溶媒としては、アルコールが好ましく、より好ましくはC〜Cアルコールが挙げられ、さらに好ましくはメタノール及びイソプロパノールが挙げられ、特に好ましくはメタノールが挙げられる。反応溶媒の量としては、例えばアルデヒド化合物(2)1gに対して、好ましくは0.5mL〜50mLであり、より好ましくは1mL〜10mLであり、さらに好ましくは2mL〜5mLである。
【0044】
また、工程Aにおいて、水を添加することも好ましい。水を添加することにより反応速度を高めることができる。工程Aにおいて、ピロリジン化合物の使用量を少なくすると反応速度が遅くなる傾向にあるが、その遅れた反応速度を水添加によって速めることができる。すなわち、水を添加するによって、ピロリジン化合物の使用量を削減することもできる。添加する水の量としては、例えばアルデヒド化合物(2)1モルに対して、好ましくは0.01モル〜20モルであり、より好ましくは0.1モル〜5モルであり、さらに好ましくは1モル〜3モルである。
【0045】
また、工程Aの反応において、カルボン酸を加えることも好ましい。カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸等のアルカン酸、置換基を有していてもよい安息香酸等が挙げられ、好ましくは酢酸及び安息香酸等が挙げられ、より一層好ましくは酢酸である。カルボン酸の使用量としては、例えばピロリジン化合物1モルに対して0.05モル〜1モル、好ましくは0.1モル〜0.5モル、より好ましくは0.1モル〜0.3モルが挙げられる。なお、カルボン酸の使用量が多い場合には、アルデヒド化合物(2)が反応溶媒のアルコールと反応したジアルキルアセタールが副生することがある。この副生物の生成を確認しつつ、カルボン酸の使用量を調整することも好ましい。
【0046】
反応温度としては、例えば−40℃〜50℃が挙げられ、好ましくは−20℃〜40℃が挙げられ、より好ましくは0℃〜30℃が挙げられる。低い温度のほうが、副反応を抑えることができるため、好ましい。反応時間としては、反応の進行及び副生物の量を確認して適宜選択することができるが、例えば、30分間〜50時間、好ましくは1時間〜25時間で選択することができる。反応終了後、常法に従って、後処理を行い、ニトロアルデヒドを単離することができる。
【0047】
反応の仕込み方法は特に規定されないが、溶媒中にピロリジン化合物、ニトロメタン、並びに必要に応じて水及びカルボン酸を混合させ、その混合物にアルデヒド化合物(2)を滴下する方法が好ましい。
【0048】
工程Aに用いられるアルデヒド化合物(2)は例えば、溶媒中、臭化物及びN−オキシル化合物の存在下、所望のnに応じたα,ω−アルカンジオール(例えば、1,6−ヘキサンジオール)と酸化剤とを接触させることにより製造できる。この溶媒としては、非プロトン性溶媒が使用可能であり、中でも、ハロゲン化炭化水素が好ましく、ジクロロメタン、クロロホルムがさらに好ましい。溶媒の使用量は、α,ω−アルカンジオール1kgに対して通常5〜50L、好ましくは10〜30Lである。
【0049】
臭化物としては、臭化ナトリウムなどの金属臭化物、テトラn−ブチルアンモニウムブロミドなどの4級アンモニウムブロミドなどが使用できる。中でも、臭化カリウムが好ましい。臭化物の使用量は、α,ω−アルカンジオール1モルに対して通常0.05〜1モル、好ましくは0.1〜0.5モルである。
【0050】
N−オキシル化合物としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンN−オキシル(TEMPO)が好ましい。N−オキシル化合物の使用量は、α,ω−アルカンジオール1モルに対して通常0.003〜0.1モル、好ましくは0.005〜0.03モルである。
【0051】
酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウムが好ましく、この次亜塩素酸ナトリウムは水溶液の形態で用いられることが好ましい。酸化剤の使用量は、α,ω−アルカンジオール1モルに対して通常2〜4モル、好ましくは2〜3モルである。
【0052】
また、α,ω−アルカンジオールと酸化剤との反応系には、pH調整剤を添加すると好ましい。pH調整剤としては、燐酸水素二ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸カリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられ、中でも炭酸水素ナトリウムが好ましい。pH調整剤の使用量は、α,ω−アルカンジオール1モルに対して通常0.5〜3モル、好ましくは1〜2モルである。
【0053】
α,ω−アルカンジオールと酸化剤との反応の反応温度は通常−20〜40℃であり、好ましくは0〜20℃の範囲である。反応時間は通常0.1〜5時間、好ましくは0.5〜2時間の範囲である。
【0054】
〔工程B〕
【化30】

[式中、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。Rはそれぞれアルキル基を表すか、又は2個のRが結合して一緒になってアルキレン基を表す。]
工程Bは、工程Aで得られたニトロアルデヒド化合物(3)とアルコールとを反応させる工程である。工程Bを行うことで、ニトロアルデヒド化合物(3)がアセタール化され、ニトロアセタール化合物(4)が製造される。このアセタール化は、常法に従って実施でき、例えば、酸性条件下でニトロアルデヒド化合物(3)とアルコールとを反応させればよい。
【0055】
アルコールとしては、アルデヒドの保護に通常用いられるものはいかなるものも使用しうるが、例えば、ROHで示されるアルコールが挙げられ、具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2,2−ジメチルプロピレングリコール等が挙げられ、エチレングリコールが好ましい。アルコールの使用量としては、ニトロアルデヒド化合物(3)1モルに対して、1モル〜30モル、好ましくは1.1モル〜10モル、より好ましくは1.2モル〜5モルが挙げられる。
【0056】
アセタール化を酸性条件下で行う場合、用いる酸としては、スルホン酸(メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等)、無機酸(硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸等)が挙げられ、好ましくはスルホン酸が挙げられる。酸の使用量としては、ニトロアルデヒド化合物(3)1モルに対して、0.01%モル〜10%モル、好ましくは0.1%モル〜5%モル、より好ましくは1%モル〜3%モルが挙げられる。
【0057】
反応を完結させるためには、反応系中から水を取り除くことが好ましく、そのためには水と共沸し、水と混和しない溶媒(例えば、トルエン、ベンゼン等)を用いてディーン・スターク管等で水を取り除くか、あるいは脱水剤を添加することが好ましく、該脱水剤としては、トリアルコキシメタンが特に好ましい。脱水剤を用いる場合、その使用量はニトロアルデヒド化合物(3)1モルに対して通常、0.5〜5モル、好ましくは1〜3モルである。
【0058】
反応温度としては、例えば0℃〜130℃が挙げられ、好ましくは20℃〜120℃が挙げられる。反応時間としては、反応の進行及び副生物の量を確認して適宜選択することができるが、例えば、30分間〜40時間、好ましくは1時間〜20時間で選択することができる。上記の反応終了後、常法に従って後処理を行うことができる。
【0059】
〔工程C〕
【化31】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
工程Cは、工程Bで得られたニトロアセタール化合物(4)を還元する工程である。工程Cを行うことによって、アミノアセタール化合物(5)又はその塩が製造される。
【0060】
ニトロ基の還元に使用しうるものであって、アセタールを脱離させないものが本工程に用いられる。例えば、水素添加で還元することができる。その場合は、触媒(Pd/炭素、水酸化パラジウム、白金等)の存在下、水素雰囲気下、0℃〜50℃で攪拌することで実施できる。
【0061】
〔工程D〕
【化32】

[式中、R、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
工程Dは、工程Cで得られたアミノアセタール化合物(5)又はその塩のアミノ基を保護する工程である。工程Dを行うことによって、保護アセタール化合物(6)又はその塩が製造される。
【0062】
アミノ基の保護基としては、前述の通り、例えば"Protective Groups in Organic Synthesis",T.W. Greene及びP.G.M. Wuts著(Wiley-Interscience刊,第4版,2006年)に具体的に挙げられたもの等が挙げられるが、その保護基の導入方法は、同書に記載のもの等、常法に従って実施できる。ウレタン系保護基、アミド系保護基等を用いる場合は、例えば、塩基存在下、その対応する塩化物で反応させる方法や、適当なアルデヒド化合物と反応させてシッフ塩基とした後、該シッフ塩基を還元する(水素化)する方法で実施できる。
【0063】
〔工程E〕
【化33】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
【0064】
工程Eは、工程Dで得られた保護アセタール化合物(6)又はその塩を酸で処理し、塩基で処理し、続いてシアノ化剤を反応させる工程である。工程Dで得られた保護アセタール化合物(6)のRは、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基であると特に好ましい。工程Eを行うことによって、ニトリル化合物(7)又はその塩が製造される。
【0065】
工程Eは、工程Dで得られた式(6)で示される保護アミノアセタール化合物又はその塩を酸で処理して、式(6a)
【化34】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される保護アミノアルデヒド化合物とするステップと、該ステップで得られる式(6a)で示される保護アミノアルデヒド化合物を塩基で処理して、式(6b)
【化35】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される保護アミノアルコール化合物とするステップと、該ステップで得られる式(6b)で示される保護アミノアルコール化合物とシアノ化剤とを反応させるステップとからなると好ましい。
【0066】
さらに、本発明の製造方法においては、式(6a)で示される保護アミノアルデヒド化合物が、式(6aX)
【化36】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される保護アミノアルデヒド化合物を用いると、式(6bX)
【化37】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される保護アミノアルコール化合物を製造することができる。この反応においては、式(6aX)で示される保護アミノアルデヒド化合物のカルボニルに対してα位において異性化が生じる。かかる異性化を生じさせるうえで、式(6aX)で示される保護アミノアルデヒド化合物を処理する塩基は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン又は金属アルコキシドであると特に好ましい。
【0067】
式(6aX)で示される保護アミノアルデヒド化合物から式(6bX)で示される保護アミノアルコール化合物を製造する場合、式(6aX)で示される保護アミノアルデヒド化合物のホルミル基のα位の立体反転が必要であるが、本発明者の検討の結果、塩基として、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン又は金属アルコキシドを用いると、効率的に立体反転(異性化)及び環化が進行し、式(6bX)で示される保護アミノアルコール化合物を、不純物の生成を抑制し、高収率で得られることを見出した。さらには、Rがベンジルなどのアリールメチルである保護アミノアルデヒド化合物を用いる場合には、塩基として金属アルコキシドを用いることが好ましく、ナトリウムメトキシドを用いることが一層好ましい。
【0068】
さらに、式(6bX)で示される保護アミノアルコール化合物にシアノ化剤を反応させると、式(7)で示されるニトリル化合物として、式(7X)
【化38】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される化合物が得られ、この式(7X)で示される化合物からは、式(8)で示される保護アミノ酸化合物又はその塩として、式(8X)
【化39】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される化合物又はその塩が得られる。
【0069】
アセタールの脱保護は、常法に従って、酸で処理することで実施することができる。酸としては、いかなるものも使用しうるが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が好適に使用しうる。
【0070】
続いて、生成したアルデヒドを塩基で処理を行う。塩基としては、例えば、水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、炭酸アルカリ金属(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、水素化アルカリ金属(水素化ナトリウム等)、アミン(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)等)等を用いることができる。塩基の使用量としては、保護アセタール化合物(6)又はその塩1モルに対して、0.1モル〜20モル、好ましくは0.5モル〜10モル、より好ましくは1モル〜5モルが挙げられる。反応溶媒としては、例えば、工程Aで用いられる溶媒と同じものを用いることができ、具体的にはアルコール、エーテル、スルホキシド、アミド、ハロゲン系溶媒、水、又はこれらの混合物等が挙げられる。反応温度としては、例えば−20℃〜60℃が挙げられ、好ましくは0℃〜40℃が挙げられる。反応時間としては、反応の進行及び副生物の量を確認して適宜選択することができるが、例えば、30分間〜40時間、好ましくは1時間〜20時間で選択することができる。上記の反応終了後、常法に従って後処理を行うことができる。なお、本反応では、アルデヒドのα位の炭素の立体が必要に応じて反転する。
【0071】
続いて、生成した化合物のヒドロシキシをシアノに変換する。シアノ化剤としては、通常用いられるものを使用することができる。例えば、TMSCNを用いることもできる。
【0072】
〔工程F〕
【化40】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
【0073】
工程Fは、工程Eで得られたニトリル化合物(7)又はその塩を加水分解処理する工程である。工程Eにおいて、Rは、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基である保護アセタール化合物(6)を用いた場合、ニトリル化合物(7)のRも置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基であるものとなる。工程Fを行うことで、保護アミノ酸化合物(8)又はその塩が製造される。
【0074】
ニトリル化合物(7)の加水分解処理は例えば、ニトリル化合物(7)の酸処理を挙げることができる。かかる酸処理は、常法に従って実施することができる。用いる酸としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。反応溶媒としては、アルコール、エーテル、スルホキシド、アミド、水、又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0075】
〔工程G〕
【化41】

[式中、R、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
【0076】
工程Gは、工程Fで得られた保護アミノ酸化合物(8)又はその塩を脱保護することで、Rで示される基を水素原子に置換するステップ(以下、脱保護ステップと記すことがある)と、カルボキシルを保護するステップ(以下、保護ステップと記すことがある)とを有する。工程Gを行うことで、エステル化合物(1)又はその塩が製造される。工程Gにおける2つのステップの順序は特に限定されず、Rで示される基を水素原子に置換してから、カルボキシル基を保護してもよいし、カルボキシル基を保護してから、Rで示される基を水素原子に置換してもよい。ただし、Rがウレタン系保護基又はアシルである場合、工程Fでニトリル化合物(7)の酸処理をした際に、ニトリルの加水分解と同時に、Rの保護基も脱離する(Rで示される基が水素原子に置換される)こともある。この場合は、ニトリル化合物(7)の酸処理により、ニトリルの加水分解と、Rの保護基の脱離とが生じることで得られるアミノ酸化合物(8a)のカルボキシルを保護することで、エステル化合物(1)又はその塩が製造される。
【0077】
工程Gにおいて、脱保護ステップを先に行った場合、アミノ酸化合物(8a)又はその塩が生成する。生成したアミノ酸化合物(8a)又はその塩のカルボキシル基を常法に従って、エステル系保護基で保護することができる。例えば"Protective Groups in Organic Synthesis",T.W. Greene及びP.G.M. Wuts著(Wiley-Interscience刊,第4版,2006年)を参考にして、保護基を選択し、導入することができる。
【0078】
上述のエステル系保護基で保護する常法は、保護アミノ酸化合物(8)又はその塩に対して、先に保護ステップを行う場合にも採用される。エステル系保護基で保護された保護アミノ酸化合物(8b)又はその塩は、脱保護ステップにより、Rの保護基を脱離する(Rで示される基を水素原子に置換する)ことで、エステル化合物(1)又はその塩が製造される。
【0079】
ここで、保護アミノ酸化合物(8)又はその塩のカルボキシルをt−ブチルで保護する保護ステップの好適例を挙げる。保護アミノ酸化合物(8)又はその塩を3級アミン、好ましくはN,N−ジメチルアミノピリジンの存在下、ジ−t−ブチルジカーボネートと接触させることで、カルボキシルのt−ブチル保護が行える。3級アミンの使用量は、保護アミノ酸(8)又はその塩1モルに対して通常0.01〜0.5モル、好ましくは0.02〜0.1モルであり、ジ−t−ブチルジカーボネートの使用量は、保護アミノ酸(8)又はその塩1モルに対して、通常1〜10モル、好ましくは1.5〜3モルの範囲である。この反応は溶媒の存在下でも不在下でも行えるが、溶媒の存在下であることが好ましい。かかる溶媒としては、t−ブチルメチルエーテルなどが使用でき、その使用量は、保護アミノ酸(8)又はその塩1kgに対して、通常3〜50L、好ましくは5〜20Lである。また、この反応においては、収率や反応速度を上げるためにt−ブタノールを混合しておくことが好ましい。その使用量は、保護アミノ酸(8)1モルに対して通常1〜10モル、好ましくは1.5モル〜5モルである。
この反応の反応温度は、通常0〜80℃、好ましくは20〜50℃であり、反応時間は通常2〜48時間、好ましくは8〜32時間である。
【0080】
また、必要に応じて、エステル化合物(1)を常法に従って塩にすることができる。塩としては、無機酸塩(塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、有機酸塩(酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩等)等が挙げられ、好ましくは塩酸塩が挙げられる。
【0081】
以上、工程A〜工程Fの各段階で、必要に応じて、生成物を精製することができる。精製の方法としては、常法に従って実施することができるが、例えば、再結晶、抽出操作、カラムクロマトグラフィー等を用いることができる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0083】
製造例1(アルデヒド化合物(2)の合成)
クロロホルム1.5Lに、1,6−ヘキサンジオール100.0g(0.846モル)、臭化カリウム40.3g(0.338モル)、炭酸水素ナトリウム106.6g(1.269モル)及び、TEMPO0.46g(0.0030モル)を加えて攪拌した。この混合物を、10℃以下まで冷却し、11.8%次亜塩素酸ナトリウム水溶液1227.5gを温度を2〜9℃の範囲を保持したまま、3時間40分かけて滴下した後、約5℃の温度で1時間攪拌した。この溶液にチオ硫酸ナトリウム5水和物21.0g(0.0846モル)を添加し、さらに15分攪拌した後、析出している固体をろ別した。固体をろ別した2層の溶液の有機層を分液し、残った水槽にクロロホルム500mLを添加して室温にて20分攪拌後、有機層を分液した。2つの有機層を混合し、この混合した有機層(2898.3g)に酢酸0.72g(0.0118モル)とピペリジン1.01g(0.0118モル)を添加した。この溶液を40〜45℃に加温し、12h攪拌した。室温付近まで冷却した後、20%食塩水226gを添加して20〜30℃で10分攪拌したのち、有機層(2890.6g)を分液した。この有機層を減圧濃縮したのち、得られた残さ(229.9g)を真空蒸留(減圧度:8〜14Torr、温水バス温40〜70℃)することによって、44.7gの1−シクロペンテン‐1−カルボアルデヒドを得た。
【0084】
実施例1(工程Aの実施例)
【化42】

ニトロメタン9.5g(156.0mmol)、(S)−2−(ジフェニルトリメチルシリルオキシメチル)−プロリン(ピロリジン化合物)1.7g(5.2 mmol)及び安息香酸0.13g(1.04mmol)のイソプロパノール(104mL)溶液に、周囲の温度で5時間をかけて1−ホルミルシクロペンテン(a)(アルデヒド化合物(2))4.0g(41.6mmol)を添加した。反応混合物を同温度で攪拌した。ガスクロマトグラフィーで反応の終了を確認して、減圧下、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:トルエン=1:80)で精製することで、化合物(b)(ニトロアルデヒド化合物(3))7.3g(収率88.9%)を淡黄色油状物として得た。
[GC反応分析条件]
キャピラリーカラム:Agilent J&W DB−WAX 30m×0.53mm,1.00μm
キャリアガス:ヘリウム; 流速20mL/分; 全量注入/注入量1μL
カラム温度:70℃(5分)→10℃/分→200℃(12分)
気化室温度:250℃; 検出器(FID)温度:250℃
保持時間
1−ホルミルシクロペンテン(a):6.1分
化合物(b):17.4分
H−NMR(CDCl)δ:9.67(1H, d, J = 1.7 Hz), 4.47-4.37 (2H, m), 3.06-2.97 (1H, m), 2.67-2.61 (1H, m), 2.05-1.90 (3H, m), 1.83-1.73 (1H, m), 1.71-1.60 (1H, m), 1.51-1.41 (1H, m)
13C−NMR(CDCl)δ:201.2, 78.5, 54.6, 37.8, 30.2, 26.6, 24.3
【0085】
実施例2(工程Aの実施例)
ニトロメタン1.9g(31.2mmol,3.0モル倍率)、(S)−2−(ジフェニルトリメチルシリルオキシメチル)−プロリン0.068g(0.21mmol,0.02モル倍率)及び、酢酸0.003g(0.05mmol,0.005モル倍率)のイソプロパノール(3.0mL)溶液に、周囲の温度で5分程度かけて1−ホルミルシクロペンテン(a)1.0g(10.4mmol)を滴下した。周囲の温度で24時間反応を行い、実施例1のGC反応分析条件で分析を行うと、残原料が63.7%であった。
[残原料計算式]
残原料%=[1−ホルミルシクロペンテン(a)GC面積]/([1−ホルミルシクロペンテン(a)GC面積]+[化合物(b)GC面積])×100
【0086】
実施例3(工程Aの実施例)
ニトロメタン0.63g(10.4mmol,2.0モル倍率)、(S)−2−(ジフェニルトリメチルシリルオキシメチル)−プロリン(ピロリジン化合物)0.034g(0.10mmol,0.02モル倍率)及び、酢酸0.0016g(0.03mmol,0.005モル倍率)のイソプロパノール(1.5mL)溶液に水9.4μL(0.52mmol,0.1モル倍率)を添加し、周囲の温度で5分程度かけて1−ホルミルシクロペンテン(a)0.5g(5.2mmol)を滴下した。周囲の温度で25時間反応を行い、実施例1のGC反応分析条件で分析を行うと、残原料が15.8%であった。実施例1のGC反応分析条件でGC収率定量をおこなうと、化合物(b)の収率は74.8%であった。
【0087】
実施例4〜8(工程Aの実施例)
イソプロパノールと水の量を下記の表の通りに変更した以外は、実施例3と同様の条件で反応を行った。
【表1】

反応20〜25時間目の残原料値と収率定量時の残原料値・化合物(b)のGC定量収率を以下の表にまとめた。
【表2】

【0088】
実施例9〜12(工程Aの実施例)
実施例3で用いたイソプロパノールをメタノールに変更し、メタノールと水を下記の表の通り使用した以外は、実施例3と同様の条件で反応を行った。
【表3】

反応18〜22時間目の残原料値と収率定量時の残原料値・化合物(b)のGC定量収率を以下の表にまとめた。
【表4】

【0089】
実施例13(工程Aの実施例)
ニトロメタン3.05g(49.9mmol,1.2モル倍率)、(S)−2−(ジフェニルトリメチルシリルオキシメチル)−プロリン(ピロリジン化合物)0.27g(0.83mmol,0.02モル倍率)及び、酢酸0.013g(0.21mmol,0.005モル倍率)のメタノール(8.8g)溶液に水1.2g(66.6mol,1.6モル倍率)を添加し、周囲の温度で2.5時間かけて1−ホルミルシクロペンテン(a)4.0g(41.6mmol)を滴下した。周囲の温度で6時間反応を行い、実施例1のGC反応分析条件で分析を行うと、残原料が0.8%であった。その後、14時間静置したあと、実施例1のGC反応分析条件でGC収率定量をおこなうと、化合物(b)の収率が84.4%であった。
また、化合物(b)を、下記したGC光学分析条件により分析したところ、化合物(b)のエナンチオマーは観測されなかった。
[GC光学分析条件]
キャピラリーカラム:Astec CHIRALDEX β−DM 30m×0.25mm,0.12μm
キャリアガス:ヘリウム; 流速1.13mL/分
スプリット比50:1/注入量1μL
カラム温度:100℃(0分)→3℃/分→200℃(10分)
気化室温度:200℃; 検出器(FID)温度:250℃
保持時間
化合物(b):16.8分
化合物(b)エナンチオマー:17.1分。
【0090】
実施例14(工程Aの実施例)
ニトロメタン4.57g(74.9mmol,1.2モル倍率)、(S)−2−(ジフェニルトリメチルシリルオキシメチル)−プロリン(ピロリジン化合物)0.31g(0.94mmol,0.015モル倍率)及び、酢酸0.011g(0.19mmol,0.003モル倍率)のメタノール(12.9g)溶液に水1.8g(99.9mmol,1.6モル倍率)を添加し、周囲の温度で4時間かけて1−ホルミルシクロペンテン(a)6.0g(62.4mmol)を滴下した。周囲の温度で3時間反応を行い、実施例1のGC反応分析条件で分析を行うと、残原料が14.8%であった。その後、14時間静置したあと、実施例1のGC反応分析条件でGC収率定量をおこなうと、残原料が1.0%になっており、化合物(b)の収率が84.4%であった。
また、化合物(b)を、実験項13記載のGC光学分析条件により分析したところ、光学純度は99.9%e.e.であった。
【0091】
実施例15(工程Bの実施例)
【化43】

化合物(b)13.0g(82.7mmol)、エチレングリコール6.0g(95.2mmol)及びp−トルエンスルホン酸0.267gのトルエン(315mL)溶液を2時間、ディーン・スターク管で生成する水を除去しながら、還流した。実施例1記載のGC反応分析条件でGC分析を行い、出発物質が完全に消費したことを確認してから、混合物を冷却して、減圧下、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:トルエン=1:80)で精製することで、ニトロアセタール(c)(ニトロアセタール化合物(4))15.3g(収率92%)を無色油状物として得た。
H−NMR(CDCl)δ:4.78 (1H, d, J = 4.9 Hz), 4.70 (1H, dd, J = 12.2, 4.9 Hz), 4.25 (1H, dd, 12.2, 9.8 Hz), 4.00-3.92 (2H, m), 3.91-3.82 (2H, m), 2.66-2.60 (1H, m) 1.98-1.81 (3H, m), 1.71-1.58 (3H, m), 1.47-1.38 (1H, m)
13C−NMR(CDCl)δ:106.3, 80.0, 65.1, 64.9, 45.9, 39.2, 32.0, 27.9, 24.4
【0092】
実施例16(工程Bの実施例)
【化44】

化合物(b)7.0g(44.5mmol)を、トリメトキシメタン9.4g(89mmol)及びp−トルエンスルホン酸0.164gを含むメタノール(89mL)に溶解し、この溶液を25℃で24時間攪拌した。反応混合物にナトリウムメトキシド/メタノールを加えて中和し、中和後の反応混合物から減圧下、メタノールを留去した。残渣を、メチルt-ブチルエーテル(45mL)に溶解し、得られたエーテル溶液を水(35mL)により、3回分液洗浄した。水洗後のエーテル層を硫酸マグネシウムにより乾燥させた後、減圧下、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:トルエン=1:80)で精製することで、ニトロアセタール(c1)(ニトロアセタール化合物(4))7.2g(収率80%)を無色油状物として得た。
H−NMR(CDCl)δ:4.67 (1H, dd, J = 12.2, 5.4 Hz), 4.25-4.19 (2H, m) 3.38 (3H, s), 33.32 (3H, s), 2.56-2.47 (1H, m), 2.00-1.86 (2H, m) 1.84-1.75 (1H, m) 1.67-1.60 (2H, m), 1.58-1.48 (1H, m), 1.46-1.37 (1H, m)
13C−NMR(CDCl)δ:107.7, 79.9, 55.3, 52.4, 45.1, 40.3, 30.9, 27.9, 24.0
【0093】
実施例17(工程Cの実施例)
【化45】

水素雰囲気(500kPa)下、ニトロアセタール(c)15.1g(75.0mmol)及び20%水酸化パラジウム/炭素5.0gの混合物を、周囲の温度(約27℃)でメタノール(75mL)中、2時間半攪拌した。反応混合物を窒素雰囲気下でろ過し、溶媒を留去して乾固させることで、無色の残渣を得た。得られた未精製のアミノアセタール(d)(アミノアセタール化合物(5))12.3g(収率96%)は、H−NMR分析の結果、十分に純粋であると思われた。そこで、そのまま次に工程に処した。
H−NMR(CDCl)δ:4.75 (1H, d, J = 4.9 Hz), 4.00-3.94 (2H, m), 3.87-3.82 (2H, m) 2.78 (1H, dd, J = 12.2, 5.9 Hz), 2.59 (1H, dd, J = 12.2, 7.3 Hz), 1.96-1.71 (4H, m), 1.61-1.54 (5H, m), 1.35-1.27 (1H, m)
13C−NMR(CDCl)δ:107.1, 64.9, 64.7, 47.1, 46.4, 44.3, 31.0, 28.1, 24.9
【0094】
実施例18(工程Cの実施例)
【化46】

ニトロアセタール(c1)6.3g(31.0mmol)及び20%Pd(OH)/炭素2.1gと、メタノール(31mL)とを混合し、得られた混合物を窒素加圧下(500kPa)、室温(〜27℃)で2.5時間攪拌した。窒素雰囲気で不溶物をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去し、無色の残渣を得た。かくして得られた未精製のアミノアセタール(d1)(アミノアセタール化合物(5))5.2g(収率96%)はH−NMR分析の結果、十分に純粋であると思われた。そこで、そのまま次に工程に処した。
H−NMR(CDCl)δ:4.14 (1H, d, J = 7.3 Hz), 3.37 (3H, s), 3.32 (3H, s), 2.78 (1H, dd, J = 12.7, 5.86 Hz), 2.55 (1H, dd, J = 12.7, 7.32 Hz), 1.92-1.62 (6H, m), 1.58-1.47 (3H, m), 1.37-1.29 (1H, m)
13C−NMR(CDCl)δ:107.8, 54.5, 52.1, 46.9, 45.1, 44.8, 30.7, 28.1, 24.5
【0095】
実施例19(工程Dの実施例)
【化47】

水(200mL)及びメチルt-ブチルエーテル(150mL)の混合物中のアミノアセタール(d)12.3g(71.8mmol:未精製)の溶液を0℃に冷却し、炭酸カリウム31.1g(225.0mmol)を加えて攪拌した。その中に、0℃でベンジルオキシカルボニルクロリド14.1g(82.5mmol)を10分かけて加え、その混合物を室温まで昇温し、12時間攪拌した。その混合物の攪拌を停止し、分離した有機層を分取した後、水層をメチルt-ブチルエーテル50mLで3回抽出した。これらの有機層を合一し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下、留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=1:3)で精製することで、目的の保護アセタール(e)(保護アミノアセタール化合物(6))21.2g(収率97%)を無色油状物として得た。
H−NMR(CDCl)δ:7.37-7.29 (5H, m), 5.6 (1H, brs), 5.13-5.06 (2H, m), 4.72 (1H, d, J = 4.9 Hz), 3.96-3.94 (2H, m), 3.86-3.83 (2H, m), 3.31-3.25 (1H, m), 3.11-3.04 (1H, m), 2.04-1.99 (1H, m), 1.87-1.73 (3H, m), 1.61-1.56 (3H, m), 1.35-1.28 (1H, m)
13C−NMR(CDCl)δ:156.6, 137.0, 128.4, 127.9, 127.8, 106.7, 66.3, 64.9, 64.8, 47.0, 45.9, 40.0, 31.6, 28.9, 24.9
【0096】
実施例20(工程Dの実施例)
【化48】

水(80mL)及びメチルt-ブチルエーテル(60mL)の混合物中のアミノアセタール(d1)5.0g(28.9mmol:未精製)の溶液を0℃に冷却し、炭酸カリウム12.0g(86.7mmol)を加えて攪拌した。その中に、0℃でベンジルオキシカルボニルクロリド5.9g(34.7mmol)を10分かけて加え、その混合物を室温まで昇温し、18時間攪拌した。その混合物の攪拌を停止し、分離した有機層を分取した後、水層をメチルt-ブチルエーテル50mLで3回抽出した。これらの有機層を合一し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下、留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=1:3)で精製することで、目的の保護アセタール(e1)(保護アミノアセタール化合物(6))8.6g(収率97%)を無色油状物として得た。
H−NMR(CDCl)δ:7.36-7.27 (5H, m), 5.67 (1H, s), 5.13-5.06 (2H, m), 4.12 (1H, d, J = 6.8 Hz), 3.39 (3H, s), 3.30 (3H, s), 3.27-3.21 (1H, m), 3.08-3.01 (1H, m), 1.96-1.89 (2H, m), 182-1.70 (2H, m), 1.58-1.45 (3H, m), 1.34-1.28 (1H, m)
13C−NMR(CDCl)δ:156.6, 136.9, 128.4, 127.9, 127.8, 107.8, 66.2, 65.1, 55.4, 52.0, 46.0, 40.8, 31.5, 28.8, 24.8
【0097】
実施例21(工程Dの実施例)
【化49】

ディーン・スターク管を備えたフラスコ中に、アミノアセタール(d)9.9g(57.7mmol)をトルエン(115mL)に溶解した溶液を仕込み、ベンズアルデヒド6.4g(60.6mmol)を加えた。得られた混合物を120℃で2時間、共沸脱水しながら攪拌した。脱水量が理論量になった後、真空下に溶媒を留去し、残渣をメタノール(115mL)に溶解した。続いて、氷浴で冷却しながら、水素化ホウ素ナトリウム3.3g(86.5mmol)を徐々に添加し、添加後、温度を室温まで昇温し、同温度で2時間攪拌した。真空下、メタノールを留去し、残渣を酢酸エチル(88mL)で溶解した。この溶液を水(70mL)により、3回分液洗浄した。洗浄後の酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下、留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=1:3)で精製することで、目的の保護アセタール(e2)(保護アミノアセタール化合物(6))10.8g(収率72%)を無色油状物として得た。
H−NMR(CDCl)δ:7.33-7.22 (5H, m), 4.76 (1H, d, J = 4.9 Hz), 3.98-3.91 (2H, m), 3.86-3.78 (4H, m), 2.70 (1H, dd, J = 11.2, 6.3 Hz), 2.55 (1H, dd, J = 11.2, 7.3 Hz), 2.12-2.03 (1H, m), 1.92-1.69 (4H, m), 1.61-1.52 (3H, m), 1.36-1.25 (1H, m)
13C−NMR(CDCl)δ:140.8, 128.2, 128.0, 126.6, 107.1, 65.0, 64.8, 54.8, 54.0, 47.1, 40.9, 31.9, 28.0, 25.0
【0098】
実施例22(工程Dの実施例)
【化50】

ディーン・スターク管を備えたフラスコに、アミノアセタール(d1)10.0g(57.7mmol)及びトルエン(115mL)を仕込み、ここにベンズアルデヒド6.4g(60.6mmol)を添加した。この混合物を、理論量の水が流出するまで2時間共沸脱水した。その後、真空下で溶媒を留去し、残渣にメタノール(115mL)を加えた。混合物を氷浴で冷却し、水素化ホウ素ナトリウム3.3g(86.6mmol)を少量ずつ添加した。添加終了後、室温まで昇温し、同温度で2時間攪拌した。反応後、真空下でメタノールを留去し、残渣に酢酸エチル(88mL)を加え溶解させた。得られた酢酸エチル溶液に対して、水70mLを用いた水洗を3回行い、水洗後の酢酸エチル溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下、留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=1:3)で精製することで、目的の保護アセタール(e1)(保護アミノアセタール化合物(6))10.9g(収率72%)を無色油状物として得た。H−NMRデータは上記と同じであった。
H−NMR(CDCl)δ:7.32-7.21 (5H, m), 4.14 (1H, d, J = 7.3 Hz), 3.79 (2H, s), 3.34 (3H, s), 3.30 (3H, s), 2.69 (1H, dd, J = 11.2, 6.3 Hz), 2.51 (1H, dd, J = 11.2, 7.3 Hz), 2.01-1.86 (3H, m), 1.82-1.76 (1H, m), 1.72-1.66 (1H, m), 1.57-1.46 (3H, m), 1.34-1.26 (1H, m)
13C−NMR(CDCl)δ:140.7, 128.1, 127.9, 126.6, 108.0, 54.8, 54.7, 54.0, 52.4, 46.1, 41.7, 31.7, 28.2, 24.8
【0099】
実施例23(工程Eの実施例)
【化51】

保護アセタール(e)21.2g(69.4mmol)のTHF(278mL)溶液に、4M塩酸278mL(1112mmol)を加えて、室温で攪拌した。20時間後、固体の炭酸カリウムを慎重に加えて、pHを8に調整した。得られた混合物をメチルt-ブチルエーテル70mLで3回抽出して、有機層を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=1:3)で精製することで、目的のアルデヒド(f)14.1g(収率77.8%)を無色油状物として得た。
H−NMR(CDCl)δ:9.62 (1H, d, J = 1.5 Hz), 7.35-7.28 (5H, m), 5.15-5.05 (2H, m), 5.03 (1H, brs), 3.28-3.14 (2H, m), 2.52-2.46 (1H, m), 2.43-2.35 (1H, m), 1.92-1.80 (3H, m), 1.75-1.67 (1H, m), 1.64-1.53 (1H, m), 1.40-1.31 (1H, m)
13C−NMR(CDCl)δ:203.5, 156.5, 136.5, 128.4, 128.1, 128.0, 66.6, 55.8, 45.0, 40.7, 30.3, 26.7, 24.7
【0100】
実施例24(工程Eの実施例)
【化52】

保護アセタール(e1)8.0g(26.0mmol)のTHF(278mL)溶液に、4M塩酸278mL(1112mmol)を加えて、室温で攪拌した。20時間後、固体の炭酸カリウムを慎重に加えて、pHを8に調整した。得られた混合物をメチルt-ブチルエーテル70mLで3回抽出して、有機層を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=1:3)で精製することで、目的のアルデヒド(f)5.1g(収率75%)を無色油状物として得た。H−NMRデータは上記と同じであった。
【0101】
実施例25(工程Eの実施例)
【化53】

保護アセタール(e1)2.2g(7.6mmol)のIPA(7.6mL)溶液に、水(15mL)及び35%塩酸(1.3mL,15.2mmol)を加え、得られた混合物を室温で2時間攪拌した。HPLC分析により反応が完結したことを確認した後、トルエン(15mL)を加えて0.5時間攪拌した。分液により水層を取り出し、この水層をトルエン15mLで2回抽出した。有機層を合わせて、真空で濃縮することで、目的のアルデヒドの塩酸塩(f’)1.9g(収率98%)を黄色油状物として得た。
H−NMR(CDCl)δ:8.46 (1H, s), 7.35-7.29 (5H, m), 4.94-4.85 (2H, m), 4.12-4.09 (1H, m), 3.80-3.70 (1H, m), 3.62-3.59 (1H, m), 2.98-2.89 (1H, m), 1.85-1.58 (3H, m), 1.55-1.43 (1H, m), 1.32-1.12 (2H, m)
13C−NMR(CDCl)δ:183.7, 132.0, 131.6, 131.3, 131.2, 66.8, 59.3, 55.4, 39.5, 34.9, 30.2, 26.7
【0102】
実施例26(工程Eの実施例)
【化54】

アルデヒド(f)13.08g(50.0 mmol)のメタノール(100mL)溶液に、室温でDBU9.1g(60.0mmol)を加えて、22時間攪拌した。溶媒を減圧下、留去して、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=1:3)で精製することで、目的のヘミアミナール(g)8.12g(収率62%)を無色油状物として得た。
H−NMR(CDCl)δ:7.39-7.29 (5H, m), 5.31-5.28 (1H, m), 5.17-5.10 (2H, m), 3.77-3.72 (2H, m), 3.26-3.19 (1H, m), 2.89-2.79 (1H, m), 2.57-2.51 (1H, m), 1.93-1.77 (2H, m), 1.68-1.43 (4H, m)
【0103】
実施例27(工程Eの実施例)
【化55】

アルデヒドの塩酸塩(f’)1.8g(7.1mmol)のメタノール(15mL)溶液に、70%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液1.6g(21.3mmol)を10分かけて滴下した。この混合物を12時間攪拌した後、氷水(15mL)に加えた。メチルt−ブチルエーテル15mlで3回抽出を行い、有機層を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮した。溶媒を減圧下、留去して、目的のヘミアミナール(g)1.4g(収率91%)を淡黄色油状物として得た。H−NMRデータは上記と同じであった。
H−NMR(CDCl)δ:7.36-7.21 (5H, m), 3.92-3.73 (3H, m), 3.00-2.96 (1H, m), 2.68-2.58 (1H, m), 2.55-2.45 (1H, m), 2.43-2.36 (1H, m), 1.82-1.62 (3H, m) 1.49-1.36 (3H, m)
【0104】
実施例28(工程Eの実施例)
(1S,3aR,6aS)−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボニトリルの合成
【化56】

窒素雰囲気下、5重量%ヘミアミナール(g)/トルエン溶液100.0g(19.1mmol)に、−40℃でTMSCN3.9g(4.9mL;39.2mmol)を加えた。続いて、BF・OEt5.6g(5.0mL;39.2mmol)のトルエン(28mL)溶液を10分間に亘って、加えた。−40℃で1時間半攪拌して、0℃までゆっくりと暖めた。水(10mL)を加え、35%水酸化カリウム水溶液(19.6mL)を加えて、pHを12〜13の間にして30分間攪拌した。12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液17.8g(15mL;28.7mmol)を加えて、0〜5℃の温度を維持しながら、混合物を攪拌した。硫酸ナトリウム1.8gの水(16.2mL)の溶液を滴下して、濃硫酸でpHを7〜8に調整した。有機層を分離し、水50mLで3回洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下、留去して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=1:5)でニトリル(h)(ニトリル化合物(7))のそれぞれの異性体を精製することで、エキソ体3.15g及びエンド体1.38g(合わせて、収率88%)を得た。
エキソ体:H−NMR(CDCl)δ:7.38-7.30 (5H, m), 5.21-5.14 (2H, m), 4.42 (1H, d, J = 32.2 Hz), 3.68-3.63 (1H, m), 3.40-3.36 (1H, m), 2.92-2.89 (2H, m), 2.07-1.98 (1H, m), 1.95-1.86 (1H, m), 1.80-1.70 (1H, m), 1.66-1.55 (1H, m), 1.46-1.45 (2H, m)
13C−NMR(CDCl)δ:154.0, 135.9, 128.4, 128.0, 127.8, 118.5, 67.5, 53.0, 51.8, 49.3, 41.9, 32.0, 31.9, 25.4
【0105】
実施例29(工程F及び工程Gの脱保護ステップの実施例)
(1S,3aR,6aS)−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸塩酸塩の合成
【化57】

ニトリル(h)1.2g(4.4 mmol)のメタノール(7.2mL)溶液に、4M塩酸21.6mL(86.4mmol)を加えた。混合物を24時間還流して、その後、約60℃まで冷却した。溶媒を減圧下、留去して、得られた残渣を水(30mL)に溶解させ、その後、トルエン30mLで3回洗浄した。減圧下、水を留去して乾固させることで、アミノ酸(i)の塩酸塩と塩化アンモニウムの混合物1.01gを淡褐色固体として得た。
H−NMR(DO)δ:3.79 (1H, d, J = 6.8 Hz), 3.55-3.51 (1H, m), 2.85-2.81 (3H, m), 1.73-1.39 (6H, m)
13C−NMR(DO)δ:173.3, 67.0, 52.8, 48.7, 43.6, 33.2, 32.8, 26.4
【0106】
実施例30(工程Gの保護ステップの実施例)
(1S,3aR,6aS)−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸t-ブチルエステルの合成
【化58】

[遊離塩基としての単離]
実施例26で得られた、アミノ酸(i)の塩酸塩と塩化アンモニウムの混合物160mgにクロロホルム0.7mL及び酢酸t-ブチル1.0mLを加えた。得られた懸濁液を0℃に冷却して、メタンスルホン酸0.15mLを加えた。混合物を25℃までゆっくりと暖めて、同温度で18時間攪拌した。白色の懸濁液を0℃に冷却して、温度が20℃以下になるようにして、50%水酸化ナトリウム水溶液0.8mLを慎重に加えた。水10mL及びクロロホルム10mLを加えて、15分間攪拌した。層を分離し、水層をクロロホルム10mLで3回抽出した。有機層を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=1:1)で精製することで、t-ブチルエステル(j)(エステル化合物(1))0.022g(0.103 mmol:ニトリル(h)から全収率16%)を淡緑色油状物として得た。
H−NMR(CDCl)δ:3.33-3.28 (1H, m), 3.15 (1H, d, J = 5.9 Hz), 2.62-2.50 (2H, m), 2.48-2.44 (1H, m), 2.13 (1H, s), 1.80-1.68 (1H, m), 1.66-1.55 (5H, m), 1.47 (9H, s)
13C−NMR(CDCl)δ:173.7, 80.6, 68.1, 53.9, 49.7, 44.2, 32.3, 32.1, 28.0, 25.3
【0107】
[シュウ酸水素塩としての単離]
実施例26で得られた、アミノ酸(i)の塩酸塩と塩化アンモニウムの混合物250mgにクロロホルム4mL及び酢酸t-ブチル1.7mLを加えた。得られた懸濁液を0℃に冷却して、メタンスルホン酸0.25mLを加えた。混合物を25℃までゆっくりと暖めて、同温度で18時間攪拌した。白色の懸濁液を0℃に冷却して、温度が20℃以下になるようにして、50%水酸化ナトリウム水溶液1.3mLを慎重に加えた。水15mL及びクロロホルム15mLを加えて、15分間攪拌した。層を分離し、水層をクロロホルム15mLで3回抽出した。有機層を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を留去した。その淡緑色残渣に、酢酸t-ブチル2.5mL及びシュウ酸146.7mgのイソプロピルアルコール(2.5mL)溶液を加えた。混合物を75〜80℃まで加熱して、30分間攪拌し、周囲の温度(約20℃)まで放冷して、18時間攪拌し、ろ過した。そのケーキをイソプロピルアルコール5mL及びメチルt-ブチルエーテル5mLでそれぞれ洗浄して、乾燥することで、t-ブチルエステル(j)のシュウ酸水素塩0.08g(0.27 mmol:ニトリル(h)から全収率25%)を白色固体として得た。
【0108】
実施例31(工程Eの実施例)
【化59】

保護アセタール(e2)10.8g(41.4mmol)をイソプロピルアルコール(69mL)に溶解した溶液に、水(6.9mL)及び35%塩酸6.9mL(82.8mmol)の混合液を添加した。混合物を室温下、48時間攪拌し、保護アセタール(e2)が転化したことをHPLCで確認した。DBU31.5g(207mmol)を加え、得られた混合物を室温下、20時間攪拌した。攪拌後の混合物を0℃まで冷却し、シアン化ナトリウム2.4g(49.7mmol)を水(13.8mL)に溶解した溶液を20分かけて滴下した。同温度で、1時間攪拌した後、10%炭酸カリウム水溶液(69mL)を添加した。この混合物を、メチルt-ブチルエーテル69mLで3回抽出した。エーテル層を合一し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下に留去して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=40:1)でニトリル(h2)(ニトリル化合物(7))のそれぞれの異性体を精製することで、エキソ体4.82g及びエンド体2.18g(合わせて、収率74%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:7.35-7.22 (5H, m), 3.84 (1H, d, J = 13.2 Hz), 3.61 (1H, d, J = 13.2 Hz), 3.43-3.41 (1H, m), 2.81-2.75 (1H, m), 2.74-2.70 (1H, m), 2.67-2.60 (2H, m) 1.92-1.81 (2H, m), 1.78-1.69 (1H, m), 1.48-1.36 (3H, m)
13C−NMR(CDCl)δ:137.8, 128.5, 128.4, 127.3, 117.6, 59.6, 58.5, 55.8, 48.3, 41.2, 34.3, 33.5, 27.2
【0109】
実施例32(工程Fの実施例)
【化60】

ニトリル(h2)3.8g(16.8mmol)に35%塩酸(114mL)を加え、得られた混合物を75℃で15時間攪拌した後、室温まで冷却した。トルエン(38mL)を加えた後、得られた粘調な溶液が分液するまで攪拌した。水層を分離後、この水層をトルエン(38mL)で2回抽出した。トルエン層を合一し、減圧下溶媒を留去した。残渣を水(38mL)に溶解し、1%水酸化ナトリウム溶液を加えて、pHを約7にした。1−ブタノール(38mL)で3回抽出し、有機層を合一した後、減圧下で溶媒を留去することで、保護アミノ酸(k2)4.0g(収率98%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:8.34 (1H, s), 7.46-7.35 (5H, m), 4.65 (1H, d, J = 13.2 Hz), 4.05 (1H, d, J = 13.2 Hz), 3.73 (1H, dd, J = 10.7, 8.3 Hz), 3.22 (1H, d, J = 9.3 Hz), 3.05-2.97 (1H, m), 2.84-2.78 (1H, m), 2.26 (1H, t, J = 10.2 Hz), 1.98-1.88 (1H, m), 1.76-1.63 (2H, m), 1.62-1.52 (1H, m), 1.47-1.34 (2H, m)
13C−NMR(CDCl)δ:170.6, 130.6, 129.9, 129.4, 129.1, 73.2, 57.1, 56.4, 47.5, 39.7, 31.9, 30.9, 24.0
【0110】
実施例33(工程Gの保護ステップの実施例)
【化61】

保護アミノ酸(k2)0.5g(2.0mmol)及びMsOH0.7mg(7.7mmol)をクロロホルム(25mL)に溶解した溶液に、室温下、イソブチレンをバブリングしながら18時間攪拌した。20%水酸化ナトリウム水溶液(25mL)を添加した後、得られた粘調の溶液を1時間攪拌した。分液によりクロロホルム層を分離後、水層をクロロホルム(25mL)で2回抽出した。クロロホルム層を合一し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下に留去して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=10:1)で精製することで、目的の保護エステル(l2)0.6g(収率99%)を無色油状物として得た。
H−NMR(CDCl)δ:7.34-7.22 (m, 5H), 3.96 (d, J = 12.7 Hz, 1H), 3.32-3.29 (m, 1H), 3.19-3.15 (m, 1H), 2.70-2.60 (m, 3H), 1.91-1.81 (m, 1H), 1.75-1.52 (m, 6H), 1.49 (s, 9H)
13C−NMR(CDCl)δ:172.7, 138.3, 129.1, 128.1, 127.0, 80.6, 73.2, 59.9, 58.0, 48.6, 41.0, 31.9, 31.8, 28.2, 24.9
【0111】
実施例34(工程Gの保護ステップの実施例)
【化62】

保護アミノ酸(k2)2.00g(8.15mmol)及びN,N−ジメチルアミノピリジン49.8mg(0.41mmol)及びt−BuOH1.21g(16.31mmol)をt−ブチルメチルエーテル(15mL)に溶解した溶液を35℃に昇温した後、ジ−t−ブチルジカーボネート(12.23mmol)を滴下し24時間攪拌した。(反応収率97%)*)得られた反応混合溶液を水(4g)で1回、15%塩化ナトリウム水溶液(4g)で1回洗浄した。得られた有機層の溶媒を減圧下に留去して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン=20:1)で精製することで、目的の保護エステル(l2)2.16g(収率88%)を淡黄色油状物として得た。
*) HPLCを用いて下記条件で定量分析した。
[HPLC条件]
カラム:CAPCELLPACKC8DD,4.6mmφ×150mm,5μm(資生堂製)
流速: 1.00ml/min
検出波長:UV 210nm
移動相:A液(0.1%TFA)/B液(アセトニトリル)
グラジエント条件:
時間(分) 0 25 45
A液 90 20 20
B液 10 80 80
カラム温度:30℃
【0112】
実施例35(工程Gの脱保護ステップの実施例)
【化63】

保護エステル(l2)0.5g(1.6mmol)、20%Pd(OH)/炭素0.27g及びメタノール(25mL)の混合物を水素加圧下(500kPa)、30℃で2時間攪拌した。反応混合物を、窒素雰囲気下、セライトをプレコートしたフィルターでろ過し、ろ液から減圧下で溶媒を留去し、エステル(j)0.33g(収率98%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:3.33-3.28 (1H, m), 3.15 (1H, d, J = 5.9 Hz), 2.62-2.50 (2H, m), 2.48-2.44 (1H, m), 2.13 (1H, s), 1.80-1.68 (1H, m), 1.66-1.55 (5H, m), 1.47 (9H, s)
13C−NMR(CDCl)δ:173.7, 80.6, 68.1, 53.9, 49.7, 44.2, 32.3, 32.1, 28.0, 25.3
【0113】
実施例36(工程Gの脱保護ステップの実施例)
【化64】

保護アミノ酸(k2)0.5g(2.0mmol)、20%Pd(OH)/炭素0.34g及びメタノール(30mL)の混合物を、水素加圧下(500kPa)、30℃で2時間攪拌した。反応混合物を、窒素雰囲気下、セライトをプレコートしたフィルターでろ過し、ろ液から減圧下で溶媒を留去し、緑色固体を得た。この固体をメタノール及びメチルt-ブチルエーテル混合溶媒により再結晶し、アミノ酸(i2)の精製品0.28g(収率90%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:3.57 (d, J = 6.84 Hz, 1H), 3.51-3.46 (m, 1H), 2.85-2.70 (m, 3H), 182-1.75 (m, 1H), 1.70-1.59 (m, 4H), 1.42-1.30 (m, 1H)
13C−NMR(DO)δ:175.6, 68.5, 52.1, 48.8, 43.3, 33.4, 32.4, 26.0
【0114】
実施例37(工程Gの保護ステップの実施例)
【化65】

アミノ酸(i2)0.16g(1.0mmol)及びMsOH0.36mg(3.8mmol)をクロロホルム(1.2mL)に溶解した溶液を0℃に冷却し、イソブチレン3.4gを添加・封入し、室温に温度を戻して、同温度で18時間攪拌したた後、再び、0℃まで冷却した。50%水酸化ナトリウム水溶液(1.32mL)を慎重に添加した後、20℃に保温した、水2.0mLを加えて、15分間攪拌した。分液によりクロロホルム層を分離後、水層をクロロホルム(20mL)で3回抽出した。クロロホルム層を合一し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を真空下に留去して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=1:1)で精製することで、目的のエステル(j)0.18g(収率85%)を緑色油状物として得た。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明によって、式(1)で示されるエステル化合物等を製造できる新たな方法等が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程A〜工程Gを含む、式(1)
【化1】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、Rはカルボキシル基の保護基を表し、nは1又は2を表す。]
で示されるエステル化合物又はその塩の製造方法:
〔工程A〕
ピロリジン化合物の存在下、式(2)
【化2】

[式中、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示されるアルデヒド化合物と、ニトロメタンとを反応させる工程;
〔工程B〕
工程Aで得られた式(3)
【化3】

[式中、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示されるニトロアルデヒド化合物とアルコールとを反応させる工程;
〔工程C〕
工程Bで得られた式(4)
【化4】

[式中、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。Rはそれぞれアルキル基を表すか、又は2個のRが結合して一緒になってアルキレン基を表す。]
で示されるニトロアセタール化合物を還元する工程;
〔工程D〕
工程Cで得られた式(5)
【化5】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示されるアミノアセタール化合物又はその塩のアミノ基を保護する工程;
〔工程E〕
工程Dで得られた式(6)
【化6】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。
はアミノ基の保護基を表す。]
で示される保護アミノアセタール化合物又はその塩を酸で処理し、塩基で処理し、前記処理により得られた生成物とシアノ化剤とを反応させる工程;
〔工程F〕
工程Eで得られた式(7)
【化7】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示されるニトリル化合物又はその塩を酸で処理する工程;及び
〔工程G〕
工程Fで得られた式(8)
【化8】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される保護アミノ酸化合物又はその塩に含まれるRで表される基を水素原子に置換するステップと、カルボキシル基を保護するステップとを有する工程。
【請求項2】
工程Aが、さらに水の存在下、式(2)で示されるアルデヒド化合物と、ニトロメタンとを反応させる工程である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
工程Aが、さらにカルボン酸の存在下、式(2)で示されるアルデヒド化合物と、ニトロメタンとを反応させる工程である請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
工程Aにおけるピロリジン化合物が、式(9)
【化9】

[式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を表し、Zはアルキル基又はトリアルキルシリル基(当該トリアルキルシリル基におけるアルキル基はそれぞれ同一又は異なっていてよい)を表す。]
で示される化合物である請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
【請求項5】
Arがフェニルであり、Zがトリメチルシリル基である請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
式(2)で示されるアルデヒド化合物が1−ホルミルシクロペンテンである請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
【請求項7】
工程Eが、工程Dで得られた式(6)で示される保護アミノアセタール化合物又はその塩を酸で処理して、式(6a)
【化10】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される保護アミノアルデヒド化合物とするステップと、該ステップで得られる式(6a)で示される保護アミノアルデヒド化合物を塩基で処理して、式(6b)
【化11】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される保護アミノアルコール化合物とするステップと、該ステップで得られる式(6b)で示される保護アミノアルコール化合物とシアノ化剤とを反応させるステップとからなる請求項1〜6のいずれか記載の製造方法。
【請求項8】
塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン又は金属アルコキシドである請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
式(6a)で示される保護アミノアルデヒド化合物が、式(6aX)
【化12】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される化合物であり、式(6b)で示される保護アミノアルコール化合物が、式(6bX)
【化13】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される化合物であり、式(7)で示されるニトリル化合物が、式(7X)
【化14】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される化合物であり、式(8)で示される保護アミノ酸化合物が、式(8X)
【化15】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される化合物である請求項7又は8記載の製造方法。
【請求項10】
式(6X)
【化16】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、Rはそれぞれアルキル基を表すか、又は2個のRが結合して一緒になってアルキレン基を表す。Rは、アミノ基の保護基を表す。nは1又は2を表す。]
で示される保護アミノアセタール化合物又はその塩を酸で処理して、式(6aX)
【化17】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される保護アミノアルデヒド化合物とするステップと、該ステップで得られる式(6aX)で示される保護アミノアルデヒド化合物を塩基で処理するステップとを有する、式(6bX)
【化18】

[式中、R、R、R及びnはそれぞれ前記と同じ意味を有する。]
で示される保護アミノアルコール化合物の製造方法。
【請求項11】
塩基が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン又は金属アルコキシドである請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
式(4)
【化19】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、Rはそれぞれアルキル基を表すか、又は2個のRが結合して一緒になってアルキレン基を表し、nは1又は2を表す。]
で示されるニトロアセタール化合物。
【請求項13】
式(5)
【化20】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、Rはそれぞれアルキル基を表すか、又は2個のRが結合して一緒になってアルキレン基を表し、nは1又は2を表す。]
で示されるアミノアセタール化合物又はその塩。
【請求項14】
式(6)
【化21】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、Rはそれぞれアルキル基を表すか、又は2個のRが結合して一緒になってアルキレン基を表し、Rは、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基であるアミノ基の保護基を表し、nは1又は2を表す。]
で示される保護アミノアセタール化合物又はその塩。
【請求項15】
式(7)
【化22】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、Rはそれぞれアルキル基を表すか、又は2個のRが結合して一緒になってアルキレン基を表し、Rは、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基であるアミノ基の保護基を表し、nは1又は2を表す。]
で示されるニトリル化合物又はその塩。
【請求項16】
式(8)
【化23】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表す。Rは、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基であるアミノ基の保護基を表し、nは1又は2を表す。]
で示される保護アミノ酸化合物又はその塩。
【請求項17】
式(6a)
【化24】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表す。Rは、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基であるアミノ基の保護基を表す。nは1又は2を表す。]
で示される保護アミノアルデヒド化合物又はその塩。
【請求項18】
式(6b)
【化25】

[式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表す。Rは、置換基を有していてもよいアルキルオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基であるアミノ基の保護基を表す。nは1又は2を表す。]
で示される保護アミノアルコール化合物又はその塩。

【公開番号】特開2013−10738(P2013−10738A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−4149(P2012−4149)
【出願日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】