説明

エステル縮合の生成物としてコーティングを形成するコーティング前駆体を用いて基材をコーティングするためのプロセス、及びかかるコーティング前駆体でコーティングされた製品

エステル縮合の生成物としてコーティングを形成するように反応する反応性混合物を含むコーティング前駆体を用いて基材の表面をコーティングするためのプロセスが提供される。反応性混合物は、少なくとも1種の多価アルコールと、少なくとも1種の有機ポリ酸、少なくとも1種の有機無水物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される反応物質と、を含むモノマー混合物を包含する。あるいは、その反応性混合物は、モノマー混合物から形成されるプレポリマー;プレポリマーとモノマー混合物の組み合わせ;又は、プレポリマーと、多価アルコール、有機ポリ酸、有機無水物、及びこれらの組み合わせなどの反応物質との組み合わせを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の表面上にコーティングを形成するように処方された、架橋された熱硬化性樹脂、特にアルキド樹脂を作製できる、モノマー混合物又は反応性プレポリマーのいずれかを含む反応性混合物を目的とする。具体的な実施形態では、この反応性混合物は、基材の表面に適用され、反応することによりエステル縮合の生成物として固体コーティングを形成するコーティング前駆体を提供する。
【背景技術】
【0002】
コーティングは、材料の特性を保護し向上させるために、多くの用途において使用される。例えば、紙、ライナーボード、段ボール中芯紙(corrugated medium)、カートン用板紙、及び紙構造体などのリグノセルロース材料の特性は一般に、コーティングを付加することによって変更され、強度を増したり耐水性などの特性を付与することができる。コーティングはまた、ガラス、木材、及び金属の表面に付加されて、強度を高め、保護を与える。加えて、フィルム、紙シート、及び不織布などの薄い基材は、均一のコーティングの代わりに空間的に分布したコーティング材料で被覆されて、屈曲性又は延伸性などの局在化した又は指向性の機械特性を提供することができる。コーティングは典型的に粘稠及び粘着性で、適用中に特別な注意を必要とし、及びそれらが適用される材料の加工時の取扱いを困難にする。
【0003】
アルキドは一群の合成熱硬化性樹脂に適用される用語であり、ポリエステル縮合樹脂と記載されることが最も適している。この群の材料は、多価アルコールと有機ポリ酸とのエステル縮合体を含む。グリセリンは、エステル縮合に使用される有力な多価アルコール成分である。グリセリン供給の増大は、アルキド樹脂を利用する用途を開発するための機会を促してきた。
【0004】
アルキドは保護コーティングに必須である多くの望ましい特性を有する。アルキド樹脂は、自由流動性の液体状態で処方することのできる、モノマー混合物又は反応性プレポリマー混合物のいずれかを含む低粘度の液体反応性混合物を出発物質とし、適用が容易である。こうしたモノマー又はプレポリマー反応性混合物は、典型的には熱の適用によって誘発される架橋化学反応によって硬化されて粘稠な又は硬質の材料を形成することができる。結果として、アルキドは、液体モノマー又はプレポリマー形態で基材に適用され、その後に加熱されて固体コーティングを形成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
適用後に重合し又は反応してエステル縮合の生成物としてコーティングを形成する液体モノマー又はプレポリマー反応性混合物で基材をコーティングするためのプロセスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、反応することによりエステル縮合の生成物として固体コーティングを形成するコーティング前駆体を用いて、基材の表面をコーティングするためのプロセスを提供する。コーティング前駆体としては、少なくとも1種の多価アルコールと、少なくとも1種の有機ポリ酸、少なくとも1種の有機無水物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される反応性混合物と、を有するモノマー混合物を含む反応性混合物が挙げられる。あるいは、その反応性混合物は、モノマー混合物から形成されるプレポリマー;プレポリマーとモノマー混合物の組み合わせ;又は、プレポリマーと、多価アルコール、有機ポリ酸、有機無水物、及びこれらの組み合わせなどの反応物質との組み合わせ、を含む。
【0007】
本発明はまた、基材と、その基材の表面に付着され反応されてエステル縮合の生成物としてコーティングを形成するコーティング前駆体と、を含む複合構造物に関する。コーティング前駆体は、少なくとも1種の多価アルコールと、少なくとも1種の有機ポリ酸、少なくとも1つの有機無水物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される反応物質と、を含むモノマー混合物を包含する反応性混合物を含む。あるいは、その反応性混合物は、モノマー混合物から形成されるプレポリマー;プレポリマーとモノマー混合物との組み合わせ;又は、プレポリマーと、多価アルコール、有機ポリ酸、有機無水物、及びこれらの組み合わせなどの反応物質との組み合わせ、を含む。
【0008】
本発明は更に、複合構造物、かつ、基材と、反応することによりその基材の選択的強化を提供する固体コーティングを形成する、基材の表面上の選択位置に付着する前述のコーティング前駆体と、を含む複合構造物を形成するプロセスに関する。この実施形態に関しては、コーティング前駆体は基材の表面にパターンをなして印刷されることができ、これが固化して基材の一体部分、及び機械的一体性が付加された対応する複合構造物を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用される全ての百分率、比率、割合は、特に指示がない限り反応性混合物の重量百分率による。全ての平均値は、特に明確に指示がない限り、反応性混合物又はそれらの構成要素の「重量により」計算される。ポリマーの「平均分子量」又は「分子量」は、特に指示がない限り、重量平均分子量を指す。重量平均分子量は、特に規定がない限り、ゲル透過クロマトグラフィーにより決定される。
【0010】
本明細書で使用するとき、「コポリマー」とは、コポリマー、ターポリマー、及び他のマルチモノマーポリマーを網羅することを意味する。
【0011】
本明細書で使用するとき、「反応物質」とは、化学反応の開始時に存在し、化学反応の系内にあるか又は化学反応の一部として曝される1種以上の他の物質又は触媒と反応する化学物質を指す。
【0012】
本明細書で使用するとき、「混合物」とは、特に規定がない限り、定義された群の構成要素のいずれかの2種以上の混合物を指す。代替の成分の列挙は、特に指示がない限り、そのような成分の混合物を包含する。
【0013】
本明細書で使用するとき、「生分解性」とは、微生物及び/又は天然の環境因子によって最終的にCH4、CO2及び水又は生物資源(biomass)に完全に分解される化合物の能力を指す。
【0014】
本明細書で使用するとき、「堆肥化可能」とは、次の3つの要件を満たす材料を指す。(1)材料は、固形廃棄物用の堆肥化施設で処理することができる、(2)材料は、そのように処理されると、最後には最終堆肥になる、及び(3)堆肥を土壌中で使用すると、材料は最終的に土壌中で生物分解する。
【0015】
本明細書で使用するとき、「含む」という用語は、本発明を実施する際に多様な構成成分、成分、又は工程を組み合わせて使用できることを意味する。したがって、「含む」という用語は、より制限された用語「から本質的になる」及び「からなる」を包含する。本反応性組成物は本明細書にて開示されるあらゆる必須構成要素及び任意要素を含むことができ、これらから本質的になることができ、又はこれらからなることができる。
【0016】
本明細書で使用するとき、マーカッシュ言語は、特に指示がない限り、マーカッシュ群の個々の要素の組み合わせを包含する。
【0017】
用語「透水性」「不透水性」は、使い捨て吸収性物品の意図された使用法に関連した材料の浸透性を指す。具体的には、用語「透水性」は、強制圧力の非存在下でも液体水がその厚みを通り抜けられるようにする孔、開口部及び/若しくは相互に連結された空隙を有する層又は層状構造を指す。それとは逆に、用語「不透水性」は、強制圧力の非存在下では、液体水がその厚みを通り抜けることができない層又は層状構造を指す。この定義による不透水性の層又は層状構造は、水蒸気に対して透過性であってもよく、即ち、「水蒸気透過性」であってもよい。そのような水蒸気透過性の層又は層状構造は、一般に、当該技術分野において「通気性」として既知である。当該技術分野において周知であるように、吸収性物品において典型的に使用される材料の水に対する透過性を測定するための一般的な方法は、静水圧試験であり、この静水圧試験はまた、静水頭試験(hydrostatic head test)又は単に「水頭(hydrohead)」試験とも呼ばれる。水頭試験(hydrohead)のための好適な周知の簡潔な方法が、INDA(元国際不織布及び使い捨て用品協会(International Nonwovens and Disposables Association)、現在の不織布工業協会(Association of the Nonwoven Fabrics Industry))及びEDANA(欧州使い捨て用品及び不織布協会(European Disposables And Nonwovens Association))によって承認されている。
【0018】
本明細書において開示される全ての数値範囲に関して、本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように包含すると理解すべきである。加えて、本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように包含する。更に、本明細書全体を通じて与えられるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るあらゆるより狭い数値範囲を包含し、並びにその数値範囲内のそれぞれの個々の数値をも、そのようなより狭い数値範囲及び個々の数値が全て、あたかも本明細書に明示的に記載されているかの如く包含するものである。
【0019】
本プロセス及び物品は、エステル縮合反応により架橋熱硬化性樹脂、特にアルキド樹脂を作製できる反応性混合物を含むコーティングを使用する。この反応性混合物は、多価アルコール及び多官能性有機ポリ酸又は無水物を包含するモノマー混合物を含む。この反応性混合物はまた、プレ架橋段階(precrosslinking stage)にまでモノマー混合物を反応させることにより作製されたプレポリマー、又はこのプレポリマーとモノマーとの組み合わせを包含することもできる。この反応性混合物は、反応することによりコーティングを形成できる自由流動性の液体コーティング前駆体として基材表面に容易に適用されるように処方される。反応中、コーティング前駆体は、反応副生成物として水を開放空気中に遊離させることによって混合物を重合及び架橋して結果として固体コーティング物質をもたらす反応性混合物のエステル縮合反応を誘発するのに十分なだけ高温に加熱することが可能である。
【0020】
前述のコーティング前駆体を形成するのに使用される材料、それを製造する方法、及びそのコーティング前駆体を使用して形成された複合構造物について、下記で更に説明する。
【0021】
多価アルコール
コーティング前駆体を形成するのに使用される反応性混合物は、多価アルコールを包含する。本明細書で使用するとき、「多価アルコール」とは、2個以上のアルコール(即ち、ヒドロキシル)官能基を有するアルコールを指す。あらゆる好適な多価アルコール又は多価アルコールの組み合わせが有用である。しかし、2000g/mol未満の分子量を有する、モノマー、オリゴマー、又は短鎖ポリマーの多価アルコールが好ましい。好適な多価アルコールの非限定例には、グリセロール(グリセリンとしても当該技術分野において既知)、グリコール、糖、糖アルコール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。有用なグリコールの非限定例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサントリオール、及び同種のもの、これらのオリゴマー、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。有用な糖の非限定例には、グルコース、スクロース、フルクトース、ラフィノース、マルトデキストロース、ガラクトース、キシロース、マルトース、ラクトース、マンノース、エリトロース、ペンタエリスリトール、及びこれらの混合物が挙げられる。有用な糖アルコールの非限定例には、エリスリトール、キシリトール、マリトール、マンニトール、ソルビトール、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明の具体的な実施形態では、多価アルコールは、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、及びこれらの組み合わせを含む。
【0022】
反応性混合物を形成するのに好適な多価アルコールの別の形態としては粗グリセリンが挙げられる。粗グリセリンは、基本的にエステル結合によって互いに結合されたグリセリン及び3つの脂肪酸である、トリグリセリドの種々の反応から誘導される。粗グリセリンを生ずる反応としては、エステル化、加水分解、及びけん化が挙げられる。粗グリセリンは典型的に80〜95%のグリセリンであり、及びその化学的背景(chemistry)及び回収プロセスに基づいていくらかの濃度、典型的に3〜15%の水(水分)を含有する。粗グリセリンはまた、全脂肪酸として定量化される、いくらかの濃度の非グリセリン有機物をも含有する。これらは典型的に未反応トリグリセリド(又はジグリセリド/モノグリセリド)、脂肪酸、及びメチルエステルである。
【0023】
典型的には、多価アルコールは、本発明の反応性混合物中に約5%〜約80%、約10%〜約75%、約25%〜約70%、又は約35%〜約65%の量で存在することができる。
【0024】
有機ポリ酸及び無水物
本コーティング前駆体を形成するのに使用される反応性混合物は、有機ポリ酸及び無水物を包含する。有機ポリ酸とは2個以上の酸官能基を有する有機酸を意味し、二塩基酸、三塩基酸(少なくとも3個の酸基を有する)、4個以上の酸官能基を有するその他の酸、酸ポリマー若しくは酸コポリマー、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。このような酸には、アジピン酸、セバチン酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸(terphthalic acid)、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。このような酸の無水物がまた同様に用いられてもよく、本明細書の文脈の中での有機ポリ酸の参照にはこのような無水物が包含される。ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸(miristic acid)、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、セバシン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、及びグリシジルメタクリレートなどの一塩基酸は、所望により、どの段階でもポリ酸に加えて、包含されてもよい。例えば、一塩基酸は加工助剤として又は最終製品の特性、例えば可撓性、強度などを改質するために添加されてもよい。
【0025】
本発明には多くの異なった種類の有機ポリ酸及び無水物が使用でき、アジピン酸、クエン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ポリアクリル酸、無水フタル酸、及び同種のもの、並びにこれらの混合物が挙げられる。一塩基酸、特にステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、及びリノール酸のような脂肪酸も反応性混合物の中に組み入れることができる。反応性の酸又はアルコール官能基を有するその他の官能性化合物、例えば、シリコーンオリゴマー又はポリエチレングリコールなども組み入れてもよい。
【0026】
典型的には、有機ポリ酸又は無水物は、本発明の反応性混合物中に約5%〜約80%、約10%〜約75%、約25%〜約70%、又は約35%〜約65%の量で用いられる。
【0027】
トリグリセリド
トリアシルグリセロールとして当該技術分野において既知であるいずれかの好適なトリグリセリドも本反応性混合物中に包含されてもよい。有用なトリグリセリドの非限定例には、トリステアリン、トリオレイン、トリパルミチン、1,2−ジパルミトオレイン、1,3−ジパルミトオレイン、1−パルミト−3−ステアロ−2−オレイン、1−パルミト−2−ステアロ−3−オレイン、2−パルミト−1−ステアロ−3−オレイン、トリリノレイン、1,2−ジパルミトリノレイン、1−パルミト−ジリノレイン、1−ステアロ−ジリノレイン、1,2−ジアセトパルミチン、1,2−ジステアロ−オレイン、1,3−ジステアロ−オレイン、トリミリスチン、トリラウリン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
好適なトリグリセリドは、希釈していない(neat)状態で本発明の反応性組成物に添加してもよい。更に又はあるいは、好適なトリグリセリドを含有する油及び/又は加工油を反応性組成物に添加してもよい。油の非限定例には、ココヤシ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、パーム種子油、綿実油、パーム油、菜種油、ヒマワリ油、鯨油、大豆油、ピーナッツ油、亜麻仁油、トール油、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
典型的には、トリグリセリドは反応性混合物中に約75%まで、又は約2%〜約50%、又は約5%〜約25%の量で用いられる。
【0030】
いくつかの実施形態では、酸及びトリグリセリドの組み合わせが反応性混合物中に用いられる。このような実施形態では、酸及びトリグリセリドの総量は約20%〜約80%、約30%〜約70%、又は約40%〜約60%である。更に又はあるいは、アルコール官能基とエステル及び酸官能基の合計とのモル比は、少なくとも約1:1、又は少なくとも約4:1である。いくつかの実施形態では、そのモル比は、約1:1〜約200:1、又は約1:1〜約50:1である。
【0031】
本発明の反応性混合物はまた、一塩基酸、及び適切な量のモノグリセリド、又はトリグリセリドの代替としてジグリセリドを包含することができる。
【0032】
追加構成成分
本コーティング前駆体を形成するのに使用される反応性混合物は、所望に応じて組成物の加工及び/又は最終用途のために1種以上の追加の構成成分を更に包含してもよい。追加の構成成分は、あらゆる好適な量で存在してもよい。いくつかの実施形態では、追加の構成成分は、本反応性混合物の約0.01重量%〜約35重量%、又は約2重量%〜約20重量%の量で存在してもよい。追加の構成成分の非限定例には、追加のポリマー、加工助剤、及び同種のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
有用な追加のポリマーの非限定例としては、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、マレイン酸化ポリエチレン、マレイン酸化ポリプロピレン、ポリ乳酸、変性ポリプロピレン、ナイロン、カプロラクトン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。追加のポリマーとしてはまた、2000g/molを超える分子量を有するポリビニルアルコール及び多価アルコールが挙げられる。
【0034】
生分解性及び/又はフラッシャブル性が挙げられるがこれらに限定されない特性が所望される実施形態では、追加の好適な生分解性ポリマー及びこれらの組み合わせが有用である。いくつかの実施形態では、脂肪族構成成分を含有するポリエステルが、好適な生分解性熱可塑性ポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリエステルの中でも、脂肪族構成成分及びポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含有するエステル重縮合体が好ましい。エステル重縮合体には、ポリブチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネートコ−アジパートのような二酸/ジオール脂肪族ポリエステル;ブチレンジオール、アジピン酸、及びテレフタル酸から作製されるターポリマーのような脂肪族/芳香族ポリエステルが挙げられるが、これらに限定されない。ポリ(ヒドロキシカルボン酸)としては、乳酸系ホモポリマー及びコポリマー、ポリヒドロキシブチレート、並びに他のポリヒドロキシアルカノエートホモポリマー及びコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、ポリ乳酸のホモポリマー又はコポリマーが好ましい。変性ポリ乳酸及びその異なる立体構成も使用してよい。好適なポリ乳酸は、典型的には、約4,000g/mol〜約400,000g/molの範囲の分子量を有する。好適な市販のポリ乳酸の例には、カーギルダウ(Cargill Dow)からのネイチャーワークス(NATUREWORKS)(商標)、及び三井化学(Mitsui Chemical)からのラセア(LACEA)(商標)が挙げられる。好適な市販の二塩基酸/ジオール脂肪族ポリエステルの例は、ビオノーレ(BIONOLLE)(商標)1000及びビオノーレ(商標)3000として、昭和高分子社(Showa Highpolmer Company, Ltd.)(日本、東京)から販売されている、ポリブチレンサクシネート/アジパートコポリマーである。好適な市販の脂肪族/芳香族コポリエステルの例は、イーストマンケミカル(Eastman Chemical)からイースタービオ(EASTAR BIO)(商標)コポリエステル、又はBASFからエコフレックス(ECOFLEX)(商標)として、販売されているポリ(テトラメチレンアジパート−コ−テレフタレート)である。いくつかの実施形態では、生分解性ポリマー又はポリマーの組み合わせは、ポリビニルアルコールを含んでもよい。
【0035】
前述の生分解性ポリマー及びこれらの組み合わせは、本反応性混合物の約0.1重量%〜約70重量%、約1重量%〜約50重量%、又は約2重量%〜約25重量%の量で存在してもよい。
【0036】
加工助剤は通常、本反応性混合物中に反応性混合物の約0.1重量%〜約3重量%、又は約0.2重量%〜約2重量%で存在する。加工助剤の非限定例には、潤滑剤、抗粘着剤、ポリマー、界面活性剤、油、スリップ剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。具体的な加工助剤の非限定例としては、ステアリン酸マグネシウム;脂肪酸アミド;脂肪酸の金属塩;ワックス酸エステル及びそれらの石鹸;モンタンワックス酸、エステル及びそれらの石鹸;ポリオレフィンワックス;非極性ポリオレフィンワックス;天然及び合成パラフィンワックス;フルオロポリマー;並びにシリコンが挙げられる。こうした化合物の市販の例としては、クロダミド(Crodamide)(商標)(クローダ(Croda)(英国、ノースハンバーサイド(North Humberside)))、アトマー(Atmer)(商標)(ユニケマ(Uniqema)(ベルギー、エバーバーグ(Everberg)))、及びエポスタン(Epostan)(商標)(日本触媒(Nippon Shokobai)(日本、東京))が挙げられるがこれらに限定されない。
【0037】
他の添加剤が、反応性混合物中に、これらから形成される最終製品又は材料に追加の物理的特性を付与するために存在することができる。このような添加剤には、酸基、アルコール基、及びこれらの組み合わせなどの官能基を有する化合物が挙げられる。このような化合物には、シリコーンオリゴマー、ポリエチレングリコール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
充填剤
充填剤を、本コーティング前駆体を提供する反応性混合物と混合することができる。充填剤は、300マイクロメートル未満、100マイクロメートル未満、又は50マイクロメートル未満の等価直径を有する固体粒子状物質を含む。本発明の反応性混合物中に存在する充填剤の非限定例には、タルク、粘土、パルプ、木粉(wood, flour)、クルミ殻、セルロース、綿、黄麻、ラフィア、米のもみ殻、動物の剛毛、キチン、TiO2、熱可塑性デンプン、生デンプン、粒状デンプン、珪藻土、ナノ粒子、炭素繊維、ケナフ、シリカ、無機ガラス、無機塩、粉末可塑剤、粉末ゴム、ポリマー樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられる。マグネシウム、アルミニウム、ケイ素及びチタンの酸化物などの無機充填剤を包含する更なる添加剤も、高価でない充填剤又は加工助剤として添加してもよい。他の無機材料には、水和ケイ酸マグネシウム、二酸化チタン、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、石灰岩、雲母、ガラス、石英、及びセラミックスが挙げられる。更に、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、リン酸塩などの無機塩を加工助剤として使用してもよい。添加することができる別の材料は、環境による分解プロセスを更に加速するように処方された、ステアリン酸コバルト、クエン酸、酸化カルシウム、及び米国特許第5,854,304号(ガルシア(Garcia)ら)に見出される他の化学組成物などの化学組成物である。
【0039】
前述した充填剤及びそれらの組み合わせは、コーティング前駆体を形成する反応性混合物中に、反応性混合物の約40重量%まで;反応性混合物の約1重量%〜約30重量%、2重量%〜約20重量%、及び5重量%〜約10重量%の量で存在してもよい。
【0040】
エステル縮合反応
本明細書で前述しているように、アルキド樹脂を含むコーティングは、多価アルコール及び多官能性有機ポリ酸などのモノマーを含む反応性混合物の縮合反応から、又は、多価アルコールと酸との間に縮合反応が既に少なくとも部分的には生じているが完全には生じていないプレ架橋段階にまでモノマー混合物を反応させることにより作製されるプレポリマーであるオリゴマーから、作製される。縮合反応の間、反応性混合物の温度が多価アルコールと酸との間の反応を推進するために十分な時間にわたって十分に高いならば、形成される組成物は水安定性アルキド樹脂組成物に転換することになる。例えば、反応性混合物は加工されて十分な水の除去を提供し、水安定性の組成物へと転換することができる。こうした実施形態においては、組成物は基材の表面上に形成される固体コーティングのような最終用途に好適である形態へと加工されることができる。
【0041】
一方、反応性混合物の溶融加工が行われる温度又は条件が十分に低く及び/又は多価アルコールと酸との間の反応を推進するのに不十分な時間であった場合、得られる組成物は所望に応じて更に加工されてもよい反応性混合物を含み、更に加熱することによって水安定性の組成物へと転換可能である。本反応性混合物はしたがって、この実施形態においては、コーティング前駆体の形で基材の表面に適用することができる液体形態で提供されることができ、このコーティング前駆体を本反応性混合物の水安定性コーティング組成物への転換を起こさせるのに十分な温度及び時間の条件に適ったものとすることができる。あるいは、本コーティング前駆体が、反応性組成物の転換を起こすのに十分な温度及び時間の条件に適っていない場合には、得られる反応性混合物は後で加熱されて水安定性コーティング組成物へと転換されることができる。
【0042】
コーティング前駆体の適用
コーティング前駆体を材料又は基材に適用するために、印刷ステーション(例えば輪転グラビア若しくはフレキソなど)、スプレーステーション)、コーターステーション(例えばスロット、ロール、若しくはエアナイフ等)、サイズプレスステーション、又はフォームアプリケータステーションなど、いかなる好適なアプリケータを使用してもよい。コーティング前駆体を適用するための好適な装置は、米国特許第5,840,403号(トロクハン(Trokhan)ら、1998年11月24日発行)に開示されており、この開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
コーティング前駆体を適用するために、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スロットコーティング、インクジェット印刷(例えば、サーマル・ドロップ・オン・デマンドインクジェット、ピエゾ・ドロップ・オン・デマンドインクジェット、連続インクジェット等)、並びに、静電印刷及びクレオサイテックス(CreoScitex)(イスラエル、テルアビブ(Tel Aviv))のクレオサイテックスSPシステムのような電子写真が挙げられる他の形態のデジタル印刷を包含する、あらゆる既知の印刷技術を使用できる。他の代表的なプリンターシステムとしては、高解像度ワイドインクジェットプリンター(例えば2メートル)の例としてはビュテック・ウルトラビュ(Vutek UltraVu)プリンター(ビュテック(Vutek)(ニューハンプシャー州、メレディス(Meredith)));カラースパン社(ColorSpan Corp.)(ミネソタ州、エデンプレイリー(Eden Prairie))のディスプレーメーカー・ファブリジェット(the DisplayMaker FabriJet)XII 12−カートリッジプリンター、及びデュポン(DuPont)(デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington))のワイドインクジェット印刷オーティストリ(Artistri)システムが挙げられる。インクを適用するために従来使用されている印刷技術は一般に、コーティング前駆体を色を添加して又は色を添加せずに適用するようにすることが可能である。例えば、フレキソ印刷をコーティング前駆体のティッシュ及び他の繊維ウェブへの適用に適合させる原理は、米国特許出願第10/329,991号、「粘稠性の高い剤を吸収性物品の皮膚接触面にパターン状に送達するためのフレキソ印刷(Flexographic Printing to Deliver Highly Viscous Agents in a Pattern to the Skin-Contacting Surface of an Absorbent Article)」(チェン(Chen)及びリンゼイ(Lindsay)、2002年12月26日出願)、及び米国特許出願第10/305791号、「吸収性ウェブの構造印刷(Structural Printing of Absorbent Webs)」(チェンら、2002年11月27日出願)に開示されており、それらは共に参照により本明細書に組み入れられる。印刷された接着剤をティッシュウェブの片側又は両側に適用するためのアニロックス(Anilox)ロールは、米国特許第6,607,630号、「プリント結合されたマルチプライティッシュ(Print Bonded Multi-Ply Tissue)」(パートマン(Bartman)ら、2003年8月19日発行)に開示されており、これらはシングル又はマルチプライウェブの印刷に適応できる。
【0044】
コーティング前駆体を適用するために、R.H.ドンネリー(Donnelly)及びM.カンガス(Kangas)によりPaperi ja Puu(83巻第7号530〜531頁)に記載されるような、ドライアドテクノロジー(Dryad Technology)(デラウェア州)によるDRYADスプレー技術を包含するあらゆる既知のスプレー技術を使用できる。別の実施形態は、米国特許第4,944,960号、「紙等をコーティングするための方法及び装置(Method and Apparatus for Coating Paper and the Like)」(サンドホルム(Sundholm)ら、1990年7月31日発行)に開示されている。この技術では、コーティング前駆体は、基材の表面に前駆体材料を運ぶ環状の高速ガスフローを周りに有する状態で所定領域に材料を噴出するノズル内に通される。コーティング前駆体の基材への送達を改善するために帯電を使用することができる。コーティング前駆体の印刷は基材の表面に対して選択的に又は均一に行うことができる。
【0045】
コーティング前駆体は、微細な線、ドット、交差する線、しなやかな線、花又は他の模様の画像のような認識可能な画像を形成するパターンなどの、あらゆる望ましいパターンで適用することが可能である。本発明の種々の実施形態において、コーティング前駆体は基材の片側の表面積の約15%〜約60%を占める。あるいは、コーティング前駆体は、基材の片側の以下の百分率範囲のいずれかを占有してもよい:約5%以上、約30%以上、50%超、約10%〜約90%、約20%〜約80%、約20%〜約70%、約60%未満、及び50%未満。
【0046】
コーティング前駆体の後硬化
反応性混合物から形成されたコーティング前駆体がコーティングされるべき基材の表面に適用される場合、コーティング前駆体の適用時に、あるいは追加の後硬化工程によって、架橋反応を完結させることができる。コーティング前駆体から完全に架橋されたコーティングを生成するためには、反応性混合物のエステル縮合反応を誘発し、及び/又は熱の適用によって完結の方向へと推進する。反応副生成物として生じた水は、反応を促進させるために効率良く取り除かれる。架橋反応を完結へと推進するためには、反応性混合物の温度は約100℃〜約300℃、約120℃〜約280℃、又は約150℃〜約260℃とされてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、エステル縮合及び/若しくはエステル交換反応を、開始する並びに/又は促進するために触媒を使用してもよい。あらゆる好適な触媒が有用である。有用な触媒の非限定例には、ルイス酸が挙げられる。ルイス酸の非限定例は、パラ−トルエンスルホン酸である。
【0047】
後硬化による架橋反応の完結は、従来の対流式若しくは放射オーブン又はマイクロ波オーブン中で、並びに後硬化工程中にコーティング前駆体を加熱してエステル縮合反応及び対応するそこからの水の最終的除去を完結させるための他の手段で達成できる。
【0048】
物品
本明細書で使用するとき、「物品」とは、少なくとも一部分が本発明によるコーティング前駆体を利用してコーティングされた物品を包含することを意味する。物品としては、成人用失禁製品、女性用衛生パッド及び衛生ナプキン、使い捨ておむつ、並びにトレーニングパンツが挙げられるがこれらに限定されない。
【0049】
選択的強化
本発明のモノマー混合物及びプレポリマーの低粘度は、従来の積層フィルムの生成において適用されるような均一コーティングの代わりに、コーティング前駆体を特定のパターンで基材表面に送達するために、単純な印刷技術を利用することを可能にする。印刷されたパターンは硬化されて、機械的一体性が付加された複合構造物の一体部分となる。このプロセスは当業界において広く実施されている接着剤の空間分解印刷(the spatially resolved printing)に似ている。違いは、適度に強固な強化材料を選択することによって、印刷されたパターンそのものがいまや追加の機械的強度の供給源として機能することである。印刷パターンの特定のデザインに応じて、複合材料は全体として機械特性において種々の異方性及び局在化した不均質性を有することになる。こうして、一方向には伸張できるが他の方向には伸張できない複合材料を形成することが可能である。さらに、いくつかのパターンは一連のひだと類似した態様で折り線として機能することが可能である。例えば、選択部分が応力下で容易に変形するのを防ぐように強化材料を所定の態様で基材の表面上に分布させて、その強化材料の分布に応じて屈曲及び折り畳みが起こるようにすることができる。本プロセスは、基材の表面上に印刷された強化剤の二次元パターンから打ち出される所定の曲げ易さ、折り畳み易さ、及び引き伸ばし易さを付することによって、最終製品の三次元形状を設計するための汎用的な手段を提供できる。
【0050】
やや高温へと加熱された典型的なアルキド樹脂モノマー又はプレポリマーは、従来の溶融プラスチック又は接着剤と比較して非常に低い液体様の粘度を有する。この低粘度はアルキド樹脂を用いた表面複合材の調製において明確な有利性を提供する。こうしたモノマー又はプレポリマーは従来の印刷技術を用いて種々の表面上へと付着させることができる。印刷インクのものと類似した熱アルキドプレポリマーの低粘度は、基材表面の上部にアルキドのかなり入り組んだ微細パターンを作製できるようにするが、このことは高粘度のポリマー溶融物では容易に達成できない。
【0051】
基材はフィルム、シート、不織布、紙、積層体、又は更に他の複合材料とすることができる。印刷は基材の片側又は両側に行うことができる。異なる強化材料を同じ表面上に同時に又は連続して印刷することができる。機械的強化効果に加えて、印刷パターンは、パターン印刷のより従来的な意図を達成するように画像を生成するために、目に見えるようにすることもできる。
【実施例】
【0052】
実施例1:グリセロール−マレアートオリゴマーの調製:
1モルのグリセロール及び0.50重量%のメタンスルホン酸触媒をビーカーに加える。これらの材料を攪拌し、ビーカー中で一緒に素早く温め透明な溶液を形成する。次いで、1モルの無水マレイン酸を量り取り、グリセロール溶液に加える。混合物を、温度及び粘度を監視しながら引き続き加熱及び攪拌する。初期反応は発熱反応であるため、過熱しないように温度はゆっくりと上昇させる。混合物は70〜80℃付近で透明となり、わずかに麦わら色の透明溶液を形成する。溶液の温度をおよそ140℃に調節する。この時点でいくらかの泡立ちが認められ、数分以内に穏やかな程度となるはずである。1〜5ポアズの所望の粘度に達するまで(10〜30分かかる)、溶液をこの温度で引き続き加熱及び攪拌する。材料は上記の粘度範囲内で容易に注出されるはずであり、及び透明かつ麦わら色となる。
【0053】
実施例2:p−トルエンスルホン酸によるグリセロール−マレアートオリゴマーの調製:
1モルのグリセロール及び出発原料の0.50重量%のp−トルエンスルホン酸を触媒としてビーカーに加える。これらの材料を攪拌し、素早く一緒に温め、透明な溶液を形成する。次いで、1モルの無水マレイン酸を量り取り、グリセロール溶液に加える。混合物を、温度及び粘度を監視しながら引き続き加熱及び攪拌する。初期反応は発熱反応であるため、過熱しないように温度はゆっくりと上昇させる。混合物は70〜80℃付近で透明となり、わずかに麦わら色の透明溶液を形成する。溶液の温度をおよそ140℃に調節する。この時点でいくらかの泡立ちが認められ、数分以内に穏やかな程度となるはずである。1〜5ポアズの所望の粘度に達するまで(10〜30分かかる)、溶液をこの温度で引き続き加熱及び攪拌する。材料は上記の粘度範囲内で容易に注出されるはずであり、及び透明かつ麦わら色となる。
【0054】
実施例3:グリセロール−マレアートオリゴマーの大スケール調製:
100モルのグリセロール及び出発原料の0.50重量%のメタンスルホン酸を触媒として反応器に加える。材料を攪拌し、反応器内で一緒に素早く温め、透明な溶液を形成する。次いで、100モルの無水マレイン酸を量り取り、反応器内のグリセロール溶液に加える。この添加は、最初に60℃超の温度に設定したビーカー内で無水マレイン酸を液体化してから、この液体を反応器に移すことによって簡素化することができる。混合物を、温度及び粘度を監視しながら引き続き加熱及び攪拌する。初期反応は発熱反応であるため、過熱しないように温度はゆっくりと上昇させる。混合物は70〜80℃付近で透明となり、わずかに麦わら色の透明溶液を形成する。溶液の温度をおよそ140℃に調節する。この時点でいくらかの泡立ちが認められ、数分以内に穏やかな程度となるはずである。1〜5ポアズの所望の粘度に達するまで(10〜30分かかる)、溶液をこの温度で引き続き加熱及び攪拌する。材料は上記の粘度範囲内で容易に注出されるはずであり、及び透明かつ麦わら色となる。
【0055】
実施例4:グリセロール−シトレートオリゴマーの調製:
1モルのグリセロール及び出発原料の0.50重量%のメタンスルホン酸を触媒としてビーカーに加える。材料を攪拌し、素早く一緒に温め、透明な溶液を形成する。次いで、1モルのクエン酸を量り取り、グリセロール溶液に加える。混合物を、温度及び粘度を監視しながら引き続き加熱及び攪拌する。過熱しないように温度はゆっくりと上昇させる。混合物は110〜120℃付近で透明となり、わずかに黄色の透明溶液を形成する。120〜130℃の範囲でいくらかの泡立ちが認められる。溶液の温度を135〜140℃に調節する。溶液はこの温度範囲で急速に泡立つ。1〜5ポアズの所望の粘度に達するまで(10〜30分かかる)、溶液をこの温度範囲で引き続き加熱及び攪拌する。材料は上記の粘度範囲内で容易に注出されるはずであり、及び透明かつ黄色となる。
【0056】
実施例5:グリセロール−サクシネートオリゴマーの調製:
1モルのグリセロール及び出発原料の0.50重量%のメタンスルホン酸を触媒としてビーカーに加える。材料を攪拌し、素早く一緒に温め、透明な溶液を形成する。次いで、1モルの無水コハク酸を量り取り、グリセロール溶液に加える。混合物を、温度及び粘度を監視しながら引き続き加熱及び攪拌する。過熱しないように温度はゆっくりと上昇させる。混合物は130〜140℃付近で透明となり、わずかに麦わら色の透明溶液を形成する。140〜150℃の範囲でかすかな泡立ちが観察される。溶液の温度を150〜155℃に調節する。この温度範囲で数分以内に泡立ちが増加する。1〜2ポアズの所望の粘度に達するまで(60〜120分程度かかる)、溶液をこの温度範囲で加熱及び攪拌する。材料は上記の粘度範囲内で容易に注出されるはずであり、及び透明かつ麦わら色となる。
【0057】
実施例6:グリセロール−アジパートオリゴマーの調製:
1モルのグリセロール及び出発原料の0.50重量%のメタンスルホン酸を触媒としてビーカーに加える。これらの材料を攪拌し、素早く一緒に温め、透明な溶液を形成する。次いで、1モルのアジピン酸を量り取り、グリセロール溶液に加える。温度及び粘度を監視しながら引き続きこの混合物を加熱及び攪拌する。過熱しないように温度はゆっくりと上昇させる。混合物は100〜110℃付近で透明となり、わずかに黄色の透明溶液を形成する。初めに110〜120℃の範囲で泡立ちが認められた。温度を150〜155℃の範囲に調節する。この温度において数分後、泡立ちは穏やかとなる。所望の粘度(一般に1〜5ポアズ)に達するまで(60〜120分程度かかる)、溶液をこの温度範囲で引き続き加熱及び攪拌する。材料は上記の粘度範囲内でなお容易に注出されるはずであり、及び透明かつわずかに黄色となる。
【0058】
実施例7:基材のグリセロール−マレアートオリゴマーによるコーティング及び対流式オーブン硬化:
実施例1のグリセロール−マレアートを80〜100℃に温め、容易に流動するのに十分な流体にする。次いで、コーティングすべき木材基材を入手し、その表面を確実にきれいにする。グリセロール−マレアートがなお流体である間に、ペイントブラシを用いてオリゴマーの薄い層を基材の表面上に均一に広げる。このグリセロール−マレアート材料の薄い層は温かい間はまだ流体であり、冷やされてもなお粘着性でべたっとする。このグリセロール−マレアートオリゴマーの層を完全に硬化するために、コーティングされた木材サンプルを対流式オーブン中に110〜150℃で3〜60分間入れる。
【0059】
実施例8:基材のグリセロール−シトレートオリゴマーによるコーティング及び対流式オーブン硬化:
実施例4のグリセロール−シトレートを80〜100℃に温め、容易に流動するのに十分な流体にする。次いで、コーティングすべきガラス基材を入手し、その表面を確実にきれいにする。グリセロール−シトレートがなお流体である間に、ペイントブラシを用いてオリゴマーの薄い層をガラス基材の表面上に均一に広げる。この材料の薄い層は温かい間は流体であり、冷やされても粘着性でべたっとする。このグリセロール−シトレートオリゴマーの層を完全に硬化するために、コーティングされたガラスサンプルを対流式オーブン中に110〜150℃で3〜60分間入れる。
【0060】
実施例9:基材のグリセロール−サクシネートオリゴマーによるコーティング及び対流式オーブン硬化:
実施例5のグリセロール−サクシネートオリゴマーを80〜100℃に温め、容易に流動するのに十分な流体にする。次いで、コーティングすべき金属基材を入手し、その表面を確実にきれいにする。グリセロール−サクシネートがなお流体である間に、ペイントブラシを用いてオリゴマーの薄い層を金属基材の表面上に均一に広げる。この材料の薄い層は温かい間は流体であり、冷やされても粘着性でべたっとする。このグリセロール−サクシネートオリゴマーの層を完全に硬化するために、コーティングされた金属サンプルを対流式オーブン中に110〜150℃で3〜60分間入れる。
【0061】
実施例10:基材のグリセロール−アジパートオリゴマーによるコーティング及び対流式オーブン硬化:
実施例6のグリセロール−アジパートを80〜100℃に温め、容易に流動するのに十分な流体にする。次いで、木材基材を入手し、その表面を確実にきれいにする。グリセロール−アジパートがなお流体である間に、ペイントブラシを用いてオリゴマーの薄い層を木材基材の表面上に均一に広げる。この材料の薄い層は温かい間は流体であり、冷やされても粘着性でべたっとする。このグリセロール−アジパートオリゴマーの層を完全に硬化するために、コーティングされた木材サンプルを対流式オーブン中に110〜150℃で3〜60分間入れる。
【0062】
実施例11:基材のグリセロール−マレアートオリゴマーによるコーティング及びマイクロ波オーブン硬化:
実施例1のグリセロール−マレアートを80〜100℃に温め、容易に流動するのに十分な流体にする。次いで、ガラス基材を入手し、その表面を確実にきれいにする。グリセロール−マレアートがなお流体である間に、ペイントブラシを用いてオリゴマーの薄い層をガラス基材の表面上に均一に広げる。この材料の薄い層は温かい間は流体であり、冷やされても粘着性でべたっとする。このグリセロール−マレアートオリゴマーの層を完全に硬化するために、コーティングされたガラスサンプルをマイクロ波オーブン中に100〜1000ワットで1〜10分間入れる。
【0063】
実施例12:基材のグリセロール−マレアートオリゴマーによるコーティング及びドライスチーム硬化:
実施例1のグリセロール−マレアートを80〜100℃に温め、容易に流動するのに十分な流体にする。次いで、金属基材を入手し、その表面を確実にきれいにする。グリセロール−マレアートがなお流体である間に、ペイントブラシを用いてオリゴマーの薄い層を金属基材の表面上に均一に広げる。この材料の薄い層は温かい間は流体であり、冷やされても粘着性でべたっとする。このグリセロール−マレアートオリゴマーの層を完全に硬化するために、コーティングされた金属サンプルをドライスチームの蒸気中に110〜300℃で0.5〜10分間入れる。
【0064】
実施例13:基材のグリセロール−マレアートオリゴマーによるスプレーコーティング及び対流式オーブン硬化:
実施例1のグリセロール−マレアートを80〜100℃に温め、容易に流動するのに十分な流体にする。次いで、木材基材を入手し、その表面を確実にきれいにする。グリセロール−マレアートがなお流体である間に、オリゴマーの薄い層を木材基材の表面上に噴霧する。この材料の薄い層は温かい間は流体であり、冷やされても粘着性でべたっとする。このグリセロール−マレアートオリゴマーの層を完全に硬化するために、コーティングされた木材サンプルを対流式オーブン中に110〜150℃で3〜60分間入れる。
【0065】
実施例14:基材のグリセロール−マレアートオリゴマーによるグラビアコーティング及び対流式オーブン硬化:
実施例1のグリセロール−マレアートを80〜100℃に温め、容易に流動するのに十分な流体にする。次いで、ガラス基材を入手し、その表面を確実にきれいにする。オリゴマーを基材に適用するため、グラビアコーティングプロセスにより、グリセロール−マレアートオリゴマーが流体である間に、彫刻ローラーを流体材料の浴を通って走らせローラーの彫り込みドット又は線をコーティング材料で満たす方法を用いる。ローラー上の過剰のコーティングをドクターブレードにより拭き取り、次に彫刻ローラーと加圧ロールの間に基材を通しながらコーティングを基材上に付着させる。この材料の薄い層は温かい間は流体であり、冷やされても粘着性でべたっとする。このグリセロール−マレアートオリゴマーの層を完全に硬化するために、コーティングされたガラスサンプルを対流式オーブン中に110〜150℃で3〜60分間入れる。
【0066】
実施例15:基材のグリセロール−マレアートオリゴマーによる押出しコーティング及び対流式オーブン硬化:
実施例1のグリセロール−マレアートを80〜100℃に温め、容易に流動するのに十分な流体にする。次いで、金属基材を入手し、その表面を確実にきれいにする。グリセロール−マレアートオリゴマーが流体である間に、コーティングを重力により又は圧力下で、スロットを通して移動ベルト又はライン上の基材上へと搾り出す。適用される材料の厚さを制御するための方法として、このベルト又はラインの速度はグリセロール−マレアートオリゴマーコーティングの押出しの速度よりも速く又は遅くなるように調節可能である。これによりコーティングをスロットの幅よりもかなり薄く又は厚くできる。この材料の薄い層は温かい間は流体であり、冷やされても粘着性でべたっとする。このグリセロール−マレアートオリゴマーの層を完全に硬化するために、コーティングされた金属サンプルを対流式オーブン中に110〜150℃で3〜60分間入れる。
【0067】
実施例16:基材のグリセロール−マレアートオリゴマーによる「ナイフオーバーロール(Knife Over Roll)」コーティング及び対流式オーブン硬化:
実施例1のグリセロール−マレアートオリゴマーを80〜100℃に温め、容易に流動するのに十分な流体にする。次いで、木材基材を入手し、その表面を確実にきれいにする。グリセロール−マレアートオリゴマーが流体である間に、材料を、移動ベルト又はライン上に置かれた木材基材の表面に適用し、次いで基材を「ナイフ」と支持ローラーの間の「隙間(gap)」に通す。コーティング及び基材が通過するときに、過剰のオリゴマーが擦り落とされる。この材料の層は温かい間は流体であり、冷やされても粘着性でべたっとする。このグリセロール−マレアートオリゴマーの層を完全に硬化するために、コーティングされた木材サンプルを対流式オーブン中に110〜150℃で3〜60分間入れる。
【0068】
実施例17:グリセロール−マレアートオリゴマーの水中懸濁液の調製
実施例1のグリセロール−マレアートオリゴマーを80〜100℃に温め、流動するのに十分な流体にする。グリセロール−マレアートオリゴマーの流体5〜40g及び水40gをビーカーに加える。この混合物を30秒間作動される高速ローター・ステーター分散ツールを用いて分散させる。このプロセスにより乳状の白色懸濁液が生ずる。
【0069】
実施例18:グリセロール−サクシネートオリゴマーの水中懸濁液の調製
実施例5に従い調製されたグリセロール−サクシネートオリゴマーを80〜100℃に温め、容易に流動するのに十分な流体にする。グリセロール−サクシネートオリゴマーの流体5〜40g及び水40gをビーカーに加える。この混合物を30秒間作動される高速ローター・ステーター分散ツールを用いて分散させる。このプロセスにより乳状の白色懸濁液が生ずる。
【0070】
実施例19:グリセロール−アジパートオリゴマーの水中懸濁液の調製
実施例6に従い調製されたグリセロール−アジパートオリゴマーを80〜100℃に温め、容易に流動するのに十分な流体にする。グリセロール−アジパートオリゴマーの流体5〜40g及び水40gをビーカーに加える。この混合物を30秒間作動される高速ローター・ステーター分散ツールを用いて分散させる。このプロセスにより乳状の白色懸濁液が生ずる。
【0071】
実施例20:基材のグリセロール−マレアートオリゴマー水中懸濁液によるコーティング及び対流式オーブン硬化
金属基材を入手し、その表面を確実にきれいにする。実施例17に従って調製されたグリセロール−マレアートオリゴマー水中懸濁液の薄い層をペイントブラシを用いて金属基材の表面上に均一に広げる。この材料の薄い層は、全水分が蒸発しても粘着性でべたっとする。このグリセロール−マレアートオリゴマーの層を完全に硬化するために、コーティングされた金属サンプルを対流式オーブン中に110〜150℃で3〜60分間入れる。
【0072】
実施例21:基材のグリセロール−サクシネートオリゴマー水中懸濁液によるコーティング及び対流式オーブン硬化
木材基材を入手し、その表面を確実にきれいにする。実施例18に従って調製されたグリセロール−サクシネートオリゴマー水中懸濁液の薄い層をペイントブラシを用いて木材基材の表面上に均一に広げる。この材料の薄い層は、全水分が蒸発しても粘着性でべたっとする。このグリセロール−サクシネートオリゴマーの層を完全に硬化するために、コーティングされた木材サンプルを対流式オーブン中に110〜150℃で3〜60分間入れる。
【0073】
実施例22:基材のグリセロール−アジパートオリゴマー水中懸濁液によるコーティング及び対流式オーブン硬化
ガラス基材を入手し、その表面を確実にきれいにする。実施例19に従って調製されたグリセロール−アジパートオリゴマー水中懸濁液の薄い層をペイントブラシを用いてガラス基材の表面上に均一に広げる。この材料の薄い層は、全水分が蒸発しても粘着性でべたっとする。このグリセロール−アジパートオリゴマーの層を完全に硬化するために、コーティングされたガラスサンプルを対流式オーブン中に110〜150℃で3〜60分間入れる。
【0074】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図されている。例えば、「40mm」として開示した寸法は、「約40mm」を意味することを意図したものである。
【0075】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、その関連部分において参照により本明細書に組み込まれ、いかなる文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものと解釈すべきではない。本明細書中の用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献中の同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本明細書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0076】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変形及び修正を実施できることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるような全ての変形及び修正は、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面をコーティングする方法であって、
(a)基材を提供する工程と、
(b)反応性混合物を含むコーティング前駆体を提供する工程であって、前記反応性混合物は、
1)少なくとも1種の多価アルコール、並びに、少なくとも1種の有機ポリ酸、少なくとも1種の有機無水物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される反応物質と、
2)(1)による反応性混合物から形成されるプレポリマーと、
3)(1)の反応性混合物と(2)のプレポリマーとの組み合わせと、
4)(2)のプレポリマーと、多価アルコール、有機ポリ酸、有機無水物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される反応物質との組み合わせと、からなる群から選択される工程と、
(c)前記コーティング前駆体を前記基材の表面に適用する工程と、
(e)前記コーティング前駆体を反応させて前記基材の前記表面上にエステル縮合の生成物としてコーティングを形成する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記多価アルコールは、グリセロール、グリコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機ポリ酸は、アジピン酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、ポリアクリル酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記無水物は、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記反応性混合物は、一塩基酸、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応性混合物は、酸基、アルコール基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を有する化合物を更に含み、及び更に、前記化合物は、シリコーンオリゴマー、ポリエチレングリコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
基材の表面を選択的に強化する方法であって、
(a)
1)少なくとも1種の多価アルコール、並びに、少なくとも1種の有機ポリ酸、少なくとも1種の有機無水物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される反応物質と、
2)(1)による反応性混合物から形成されるプレポリマーと、
3)(1)の反応性混合物と(2)のプレポリマーとの組み合わせと、
4)(2)のプレポリマーと、多価アルコール、有機ポリ酸、有機無水物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される反応物質との組み合わせと、
からなる群から選択される反応性混合物を提供する工程と、
(b)前記反応性混合物を、コーティング前駆体として選択位置において前記基材の表面に適用する工程と、
(c)前記反応性混合物を反応させて前記コーティング前駆体をエステル縮合の生成物として固化させ、基材の選択的強化を提供する工程と、
を含む方法。
【請求項8】
基材と前記基材の表面上に付着されたコーティング前駆体とを含む複合構造物であって、前記コーティング前駆体は、
a)少なくとも1種の多価アルコール、並びに、少なくとも1種の有機ポリ酸、少なくとも1種の有機無水物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される反応性混合物と、
b)(a)による反応性混合物から形成されるプレポリマーと、
c)(a)の反応性混合物と(b)のプレポリマーとの組み合わせと、
d)(b)のプレポリマーと、多価アルコール、有機ポリ酸、有機無水物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される反応物質との組み合わせと、からなる群から選択される反応性混合物を含み、
前記反応性混合物は、反応により前記コーティング前駆体をエステル縮合の生成物としての固体コーティングへと変化させる、複合構造物。
【請求項9】
基材と前記基材の表面上の選択位置に付着されたコーティング前駆体とを含む複合構造物であって、前記コーティング前駆体は、
a)少なくとも1種の多価アルコール、並びに、少なくとも1種の有機ポリ酸、少なくとも1種の有機無水物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される反応性混合物と、
b)(a)による反応性混合物から形成されるプレポリマーと、
c)(a)の反応性混合物と(b)のプレポリマーとの組み合わせと、
d)(b)のプレポリマーと、多価アルコール、有機ポリ酸、有機無水物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される反応物質との組み合わせと、からなる群から選択される反応性混合物を含み、
前記反応性混合物は、反応により前記コーティング前駆体をエステル縮合の生成物としての固体コーティングへと変化させ、基材の選択的強化を提供する、複合構造物。
【請求項10】
前記基材は、木材、ガラス、不織布、紙、及び厚紙からなる群から選択される、請求項8又は請求項9に記載の複合構造物。

【公表番号】特表2010−538817(P2010−538817A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524616(P2010−524616)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053694
【国際公開番号】WO2009/034549
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】