説明

エステル誘導体並びに該エステル誘導体を含有する化粧料、外用剤、塗料及びインキ組成物

【課題】安全性が高く、皮膚に塗布した際に油性感を抑え、軽い感触で通気性があり、エモリエント性のある植物由来の油性成分並びに該油性成分を含有する化粧料、外用剤、塗料及びインキ組成物を提供することを課題とした。
【解決手段】植物由来原料である2−オクタノールを構成成分とするエステル誘導体が、石油由来の2−エチルヘキサノールのエステル誘導体と同程度に化学的に安定で極性があり、安全性が高く、且つ皮膚に塗布した際に油性感を抑え、軽い感触で通気性があり、エモリエント性のある独特の感触を持っていること、また、本発明の2−オクタノールのエステル誘導体は、化粧料、外用剤、塗料及びインキ組成物に利用できることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来の2−オクタノールのエステル誘導体並びに該エステル誘導体を含有する化粧料、外用剤、塗料、インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から用いられている油性成分としては油脂類、ロウ類、炭化水素類、合成エステル類などがあり、それぞれ固有の性質、構造、成分などを利用してあらゆる化粧品や医薬品に広く用いられている。その使用目的としては、過脂肪剤としての皮膚の保護、皮膚表面に疎水性被膜を形成し、水分蒸散の抑制、皮膚への柔軟性、滑沢性の賦与、皮膚表面での摩擦効果などいくつか挙げられる。これらの目的は、油の本来の性質を利用して、皮膚の表面を覆い皮膚を保護しているのに過ぎない。
【0003】
また、皮膚表面での過度の水分揮散抑制の目的で用いられているエモリエント剤は油性物質で、皮膚表面に薄膜を形成させることにより摩擦抵抗を減じ、皮膚面に滑らかさを与えるほか閉塞作用によって上皮細胞からの大気中への過度の水分蒸散を抑制し、角質層への水和作用を強化する働きがある。現在化粧品及び外用剤の原料として用いられている物の中でエモリエント剤と言われている物質は、天然の油状油脂のほか脂肪酸エステル、ラノリン及びその誘導体、高級アルコール、炭化水素、脂肪酸、ステリン類などがある(非特許文献1)。
【0004】
化粧品及び外用剤は一部のものを除いて、多くのものが皮膚表面上に数時間あるいはそれ以上塗布されているものであるから、皮膚の生理作用を妨げないものでなければならない。特に皮膚面を完全に覆い密閉してしまうような物質は、角質層が膨潤状態を起こし、皮膚の生理作用を妨げ何らかの障害を与える。
【0005】
一方、植物由来の原料は環境負荷の少ないサステイナブルなバイオマス原料として着目されており、有限資源である石油由来の原料からの切り替えが多分野で進んでいる。
【0006】
油に機能を持たせ、安全性が高く、皮膚に塗布した際に油性感を抑え、サラッとした軽い感触で通気性があり、シットリした感触で水分を保持したエモリエント性のある油相成分として分岐鎖を持つ2−エチルヘキサノールのエステルが使用されるが(特許文献1)、2−エチルヘキサノールは石油由来原料であり、植物由来の原料を使用した製品が求められている。
【0007】
なお、2−エチルヘキサノールのエステルは粉体の分散性や油相成分の可溶化能が高く塗料やインキ等の油相成分としても使用されているが(特許文献2)、インクや塗料分野でも、環境負荷の少ない植物由来の溶剤の使用が試みられている。植物由来の脂肪酸エステル成分を溶剤とするインクが、環境負荷が少なく、インクの滲みや薄紙に対するインクの裏抜けがなく、画像再現性が優れた高濃度の印字物が得られている(特許文献3)。しかしながら、植物由来の2−オクタノールのエステルについては報告がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表平09−506359号公報
【特許文献2】特開2005−105273号公報
【特許文献3】特開2005−132907号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「新化粧品ハンドブック」、日光ケミカルズ株式会社、日本サーファクタント工業株式会社、東色ピグメント株式会社、株式会社コスモステクニカルセンター、株式会社ニコダーム編 平成18年、p.1〜86
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、油に機能を持たせ、安全性が高く、皮膚に塗布した際に油性感を抑え、サラッとした軽い感触で通気性があり、シットリした感触で水分を保持したエモリエント性のある植物由来の油性成分並びに該油性成分を含有する化粧料、外用剤、塗料及びインキ組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上述の事情に鑑み鋭意研究した結果、植物由来の2級アルコールとして、2−オクタノールを利用できることを見出した。そして、植物由来原料である2−オクタノールを構成成分とするエステル誘導体が、石油由来の2−エチルヘキサノールのエステル誘導体と同程度に化学的に安定で極性があり、人体に対し安全性が高く、且つ皮膚に塗布した際に油性感を抑え、サラッとした軽い感触で通気性があり、シットリした感触で水分を保持したエモリエント性のある独特の感触を持っていること、また、本発明の2−オクタノールのエステル誘導体は、化粧料、外用剤、塗料及びインキ組成物に利用できることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
即ち、本発明は、
〔1〕 一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体である。
【化1】

(式中、Rは、直鎖又は分岐のアルキル基あるいはアルケニル基を有する脂肪酸、炭素数2以上の多価カルボン酸、ヒドロキシ酸からなる群から選択されるカルボン酸残基、R1は、一般式(2)で表される2−オクタノール残基を示す。)
【化2】

【0013】
なお、前記2−オクタノールが植物由来であることが好ましい。
【0014】
更に、
〔2〕 一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体を含有することを特徴とする化粧料、外用剤、塗料又はインキ組成物である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体は、化学的に安定で極性のある油性成分であり、人体に対し安全性が高く、溶解性、相溶性、混和性さらに顔料や無機質などの分散性にすぐれ、且つ皮膚に塗布した際に油性感を抑え、サラッとした軽い感触で通気性があり、シットリした感触で水分を保持したエモリエント性のある独特の感触を持っている。従って、本発明の一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体は、化粧料及び外用剤の油性成分として、また、油剤型又は乳剤型の医薬品等に配合する油性成分として利用しても優れた効果を発揮する。
【0016】
また、本発明の一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体は、粉体の分散性や油相成分の可溶化能が高いため、塗料やインキ等の顔料、粉体の分散剤や水性染料の乳化剤として利用しても優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体の構成成分である植物由来の2−オクタノールは、一般的に、ひまし油から導くことができるが、リシノール酸を構成成分とする植物成分をもつものであれば、ひまし油に限定されるものではない。
【0018】
本発明の一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体は、直鎖又は分岐のアルキル基あるいはアルケニル基を有する脂肪酸、炭素数2以上の多価カルボン酸、あるいはヒドロキシ酸などと一般式(1)で表される植物由来の2−オクタノールとのエステル化反応により得られ、必要に応じ適宜精製されたものである。
【0019】
前記脂肪酸としては、特に限定されるものではないが、炭素数1〜30の直鎖のアルキル基またはアルケニル基を有する脂肪酸が挙げられる。例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸などが挙げられる。
【0020】
また分岐脂肪酸としては、特に限定されるものではないが、炭素数3〜30の分岐のアルキル基またはアルケニル基を有する脂肪酸が挙げられる。例えば、イソプロピオン酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、イソオクチル酸、イソステアリン酸、ネオヘプタン酸、ネオデカン酸、ネオトリデカン酸などが挙げられる。
【0021】
炭素数2以上の多価カルボン酸としては、特に限定されるものではないが、炭素数2〜30の直鎖の多価カルボン酸が挙げられる。例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。
【0022】
また、ヒドロキシ酸などとしては、特に限定されるものではないが、炭素数2〜30の水酸基をもつ脂肪酸が挙げられる。例えば、クエン酸、グリコール酸、酒石酸、乳酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸などが挙げられる。
【0023】
なお、多価カルボン酸を利用する場合は、本発明の一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体は、ジエステル誘導体、トリエステル誘導体などの多価エステルであってもかまわなし、多価エステルの方がより本発明の効果を発揮する場合がある。
【0024】
また、多価カルボン酸を利用する場合は、本発明にて利用する一般式(2)で表される2−オクタノールと、利用目的に合わせて他のアルコール成分の1種又は2種以上と組合せて(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体を合成することもできる。
【0025】
一般式(2)で表される2−オクタノールと、利用目的に合わせて他のアルコール成分としては、特に限定されるものではないが、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ウンデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコールなどが挙げられ、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
ヒドロキシ酸を利用した場合、本発明の一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体は、オリゴエステルとなる場合もあり、オリゴエステルの方がより本発明の効果を発揮する場合がある。
【0027】
これらの脂肪酸、分岐脂肪酸、炭素数2以上の多価カルボン酸、ヒドロキシ酸において、好ましい成分は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、セバシン酸、酒石酸、乳酸などである。これらを用いれば、本発明の効果をより発揮することができる。
【0028】
油として利用する場合は、直鎖又は分岐の脂肪酸などを利用すると、より油性感が少なく、より軽い感触で通気性がある油を得ることができる。分散剤又は可溶化剤として利用する場合は分岐の脂肪酸、ヒドロキシ酸、多価カルボン酸などを利用するとより、分散能、可溶化能が向上し、より優れた効果を発揮することができる。
【0029】
本発明の一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体の製造方法としては、特に限定されるものではないが、触媒の存在下2−オクタノールとカルボン酸類との脱水縮合反応によって得ることができる。また、油脂とのエステル交換反応によっても得ることができる。
【0030】
一般に油脂、ロウ類は粘度が高く、比重が軽く使用時にべたついたり、のびが悪いといった欠点を有している。炭化水素類は天然の動植物油脂またはロウ類から得られる特殊なものを除いては、ほとんどが石油資源から採取される。これらの鉱物性原料は動植物性原料に比較して、油性が強すぎる点や、皮膚科学的にはあまり優れた性質を持っていないなどの点で、問題を有している。合成エステル油は安全性が時として問題となり、また感触、酸敗などの点で問題がある。
【0031】
本発明の一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体は、植物資源から採取される原料からなるため、人体に対し安全性が高く、皮膚に塗布した際に油性感を抑え、サラッとした軽い感触で通気性があり、シットリした感触で水分を保持したエモリエント性のある独特の感触を持っている。
【0032】
本発明の一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体は、化粧料及び外用剤の油性成分として、また、油剤型又は乳剤型の医薬品等に配合する油性成分として、また、塗料やインキ等の顔料、粉体の分散剤や水性染料の乳化剤として利用することができる。
【0033】
本発明の化粧料又は皮膚外用剤における本発明の一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体の配合量は、皮膚外用剤の用途や形態により異なるが、通常0.1〜99質量%であり、好ましくは0.2〜50質量%であり、更に好ましくは0.5〜20質量%である。この範囲であれば、本発明の効果をより発揮できる。
【0034】
本発明の化粧料又は外用剤には、一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体のほか、使用目的にあわせて通常化粧料に用いられる各種の成分、例えば、薬剤、抽出液、活性成分、ビタミン類、紫外線吸収剤、粉体、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、色素、香料等を混合添加しても良い。またアルコール、脂肪酸、油脂、ワックス、界面活性剤、保湿剤、他の水溶性高分子や樹脂などを均質安定、粘度調整などの目的で混合添加しても良い。
【0035】
本発明の化粧料及び外用剤の使用用途は特に限定されるものではないが、例えば、ローション、クリーム、乳液、美容液、ファンデーション、口紅、アイライナー、マスカラ、クレンジングフォーム、クレンジングクリーム、クレンジンゲルなどの化粧品、シャンプー、リンスなどのトイレタリー製品、日焼け止めまたは日焼け用クリーム、リップクリーム、尿素クリーム、軟膏などの医薬品などの分野で好適に使用することができる。
【0036】
本発明で特定する前記植物由来2−オクタノールのエステル誘導体は、油相成分を含有する化粧料及び外用剤の油相成分の一部ないし全部に用いることができる。化粧料及び外用剤における油相成分の含有率は、化粧料及び外用剤の種類に応じて所定の含有率で用いることができる。
【0037】
本発明の一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体の塗料又はインキ組成物に対する含有量は、一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体の組成及び種類により異なるが、塗料又はインキの総量に対し、1〜40質量%添加するのが好ましい。
【0038】
本発明の塗料又はインキ組成物には、一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体のほか、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、鉄黄、べんがら、酸化亜鉛、酸化チタン、ジスアゾイエロー、カーミン6B、レーキレッドCなどの顔料と、必要に応じて本発明の一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体以外の分散剤及び油剤を添加し練合してもよい。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。配合量は質量%である。
【0040】
(製造例1)
パルミチン酸メチルヘプチルの合成
2−オクタノール 100g、パルミチン酸 60gを反応フラスコに仕込み触媒存在下もしくは無触媒下180〜250℃で脱水縮合を行った後蒸留精製を施し、パルミチン酸メチルヘプチル 130gを得た。
【実施例1】
【0041】
クレンジングクリーム
(A)
ラウリン酸メチルヘプチル(本発明品) 10%
ポリオキシエチレン(10)モノステアリン酸ソルビタン 2%
ポリオキシエチレン(40)テトラオレイン酸ソルビタン 1%
ステアリン酸グリセリル 2%
ステアリン酸 4%
セタノール 2%
パルミチン酸セチル 2%
パラフィン(135°F) 2%
ミネラルオイル(#70) 30%
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 10%
(B)
1,3−ブチレングリコール 5%
アルギニン 0.1%
精製水 残部
(調製方法)
(A)相を充分撹拌し、予め(B)相を混合しておいたものを(A)相に撹拌しながら添加した。撹拌しつつ冷却して、乳化組成物を調製した。
【0042】
(結果)
得られたクレンジングクリームは安定で皮膚になじみが良く、あっさりした感触を有し、特に、塗擦すると急に粘度が低下する特徴的なクレンジングクリームであった。
【実施例2】
【0043】
乳液
(A)
パルミチン酸メチルヘプチル(本発明品) 3%
ポリオキシエチレン(5)モノステアリン酸グリセリル 1%
ステアリン酸グリセリル 1%
ポリエーテル変性シリコーン 0.4%
ステアリン酸カリウム 0.4%
ベヘニルアルコール 0.4%
ワセリン 4%
スクワラン 10%
テトラ2−エチルヘキシルペンタエリスリチル 3%
ホホバ種子油 1%
(B)
グリセリン 5%
ジプロピレングリコール 4%
マルチトール(75%水溶液) 1%
カルボマー 0.1%
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.1%
精製水 残部
(C)
アルギニン 0.1%
精製水 10%
(調製方法)
(A)相を加温し溶解混合する。加温し混合しておいた(B)相を、(A)相に撹拌しながら添加した。撹拌しつつ冷却して、(C)相を添加撹拌し、乳化組成物を調製した。
【0044】
(結果)
この乳液は非常に安定で、伸びが良く、さっぱりした感触の乳液であった。
【実施例3】
【0045】
クリーム
(A)
ペンタステアリン酸デカグリセリル 1%
ステアリン酸 3.5%
セトステアリルアルコール 2.5%
ミリスチン酸メチルヘプチル(本発明品) 1%
ステアリン酸メチルヘプチル(本発明品) 2%
ヘキサメチルテトラコサン 8%
マカデミアナッツ油 8%
メチルポリシロキサン 0.2%
(B)
1,3−ブチレングリコール 3.0%
グリセリン 3.0%
L−アルギニン 0.2%
精製水 残部
【0046】
(結果)
非常に安定で、伸びが良く、さっぱりした感触のクリームであった。
【実施例4】
【0047】
口紅
(A)
パルミチン酸メチルヘプチル(本発明品) 5%
パルミチン酸メチルヘプチル(本発明品) 3%
乳酸メチルヘプチル(本発明品) 1%
クエン酸トリメチルヘプチル(本発明品) 1%
キャンデリラワックス 10%
セレシン 5%
カルナバワックス 3%
マイクロクリスタリンワックス 3%
液状ラノリン 15%
硬化ヒマシ油 3%
水添ポリデセン 10%
(B)
顔料 8%
パール剤 10%
ヒマシ油 23%
(調製方法)
(A)相を溶解混合し、予め良く混合しておいた(B)相を(A)相に混練した後、成型し、口紅を得た。
【0048】
(結果)
上記処方で調製した口紅は折れ強度が強く発汗も少なく、しかも伸びが良く、のりの良い口紅であった。
【実施例5】
【0049】
リキッドファンデーション
(A)
パルミチン酸メチルヘプチル(本発明品) 3%
12−ヒドロキシステアリン酸メチルヘプチル(本発明品) 1%
セバシン酸ジメチルヘプチル(本発明品) 1%
ステアリン酸グリセリル 2.2%
ポリオキシエチレン(25)ステアリン酸 0.8%
ステアリン酸 1%
セタノール 0.5%
パルミチン酸セチル 3%
流動パラフィン 5%
メチルポリシロキサン 0.5%
プロピルパラベン 適量
(B)
メチルパラベン 適量
顔料 12%
精製水 残部
(調製方法)
(A)相、(B)相を80℃に加熱して溶解し、(A)相に(B)相を加え撹拌して乳化後、撹拌しながら冷却し乳化組成物を得た。
【0050】
(結果)
上記処方で調製したリキッドファンデーションは、顔料の分散性が良く、さらっとした感触のリキッドファンデーションであった。
【実施例6】
【0051】
サンスクリーン剤
(A)
イソステアリン酸メチルヘプチル(本発明品) 2%
オレイン酸メチルヘプチル(本発明品) 0.5%
酒石酸メチルヘプチル(本発明品) 0.5%
ステアリン酸グリセリル 3%
テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット 3%
セタノール 5%
ステアリン酸 2%
オリーブ油 4%
ポリオキシメチルフェニルシリレン 0.3%
パラジメチルアミノ安息香酸オクチル 2%
酸化チタン 3%
ブチルパラベン 適量
(B)
メチルパラベン 適量
プロピレングリコール 5%
精製水 残部
(調製方法)
(A)相、(B)相を80℃に加熱して溶解し、(A)相に(B)相を加え撹拌後、撹拌しながら冷却し上記製剤を得た。
【0052】
(結果)
上記処方で調製したサンスクリーン剤は、粉体の分散性が良く、さらっとした感触のサンスクリーン剤であった。
【実施例7】
【0053】
ヘアコンディショナー
(A)
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(50%水溶液) 5%
ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド 1%
モノステアリン酸グリセリン 1%
セタノール 2%
イソステアリン酸メチルヘプチル(本発明品) 3%
(ヒマシ油/コハク酸/イソステアリン酸)縮合物 2%
メチルポリシロキサン(100CS) 3%
カチオン化セルロース 0.1%
(B)
グリセリン 3%
精製水 残部
【0054】
(結果)
上記処方で調製したヘアコンディショナーは、毛髪への塗布時の感触がよく、使用後はエモリエント性が優れていた。
【実施例8】
【0055】
ネイルエナメル
(A)
ニトロセルロース 14%
アルキッド樹脂 16%
フタル酸ジブチル 5%
コハク酸ジメチルヘプチル(本発明品) 1%
クエン酸アセチルトリメチルヘプチル(本発明品) 1%
(B)
酢酸エチル 20%
酢酸n−ブチル 35.6%
エタノール 8.0
(C)
塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム処理ヘクトライト
0.2
顔料 0.2
(調製方法)
(B)相に(A)相及び(C)相を加え、撹拌、混合した。
【0056】
(結果)
上記処方で調製したネイルエナメルは、顔料の分散性がよく、エモリエント性にも優れていた。
【実施例9】
【0057】
インキ組成物
カプリル酸メチルヘプチル(本発明品) 82%
ポリエステル系分散剤 6%
カーボンブラック 12%
(調製方法)
各成分を均一混合した。
【0058】
(結果)
上記処方で調製したインキは、混和性、顔料分散性が良く、にじみのないインクであった。
【実施例10】
【0059】
塗料
ラウリン酸メチルヘプチル(本発明品) 1%
(12−ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/セバシン酸)
メチルヘプチル(本発明品) 1%
白色チタン 60%
脱水ヒマシ油変性アルキッド樹脂ワニス 33%
流動パラフィン 5%
マンガンドライヤー 0.5%
(調製方法)
各成分を均一混合した。
【0060】
(結果)
上記処方で調製した塗料は、安定性がよく、混和性、顔料分散性にも優れる塗料であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される2−オクタノールのエステル誘導体。
【化1】

(式中、Rは、直鎖又は分岐のアルキル基あるいはアルケニル基を有する脂肪酸、炭素数2以上の多価カルボン酸、ヒドロキシ酸からなる群から選択されるカルボン酸残基、R1は、一般式(2)で表される2−オクタノール残基を示す。)
【化2】

【請求項2】
前記2−オクタノールが植物由来であることを特徴とする請求項1に記載のエステル誘導体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエステル誘導体を含有することを特徴とする化粧料又は外用剤。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のエステル誘導体を含有することを特徴とする塗料又はインキ組成物。

【公開番号】特開2012−20984(P2012−20984A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174846(P2010−174846)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000228729)日本サーファクタント工業株式会社 (44)
【Fターム(参考)】