説明

エストロゲン受容体のモジュレーターとして有用な新規な複素環式ベンゾ[c]クロメン誘導体

本発明は、式(I)
【化1】


で表される新規な複素環式ベンゾ[c]クロメン誘導体、これらを含有させた製薬学的組成物、そしてこれらを1種以上のエストロゲン受容体が媒介する障害の治療で用いることに向けたものである。本発明の化合物は、エストロゲン枯渇に関連した障害、例えばのぼせ、膣乾燥、オステオペニアおよび骨粗鬆症、乳房、子宮内膜、頸部および前立腺のホルモンに敏感な癌および過形成、子宮内膜症、子宮筋腫、変形性関節症の治療および避妊薬として単独またはプロゲストゲンもしくはプロゲストゲン拮抗薬との組み合わせで用いるに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2005年1月21日付けで出願した米国仮出願60/646,007(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の利点を請求するものである。
【0002】
本発明は、新規な複素環式ベンゾ[c]クロメン誘導体、これらを含有させた製薬学的組成物、そしてこれらをエストロゲン受容体が媒介する障害および病気、例えばのぼせ、膣乾燥、オステオペニア、骨粗鬆症、高脂血症、認識機能の損失、変性脳病、心臓血管病、脳血管病、ホルモン感受性癌および過形成(女性における乳房、子宮内膜および頸部そして男性における前立腺を包含する組織における)、子宮内膜症、子宮筋腫、変形性関節症などの治療または予防そして避妊薬として単独またはプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗薬との組み合わせのいずれかで用いることに向けたものである。本発明の化合物は選択的エストロゲン受容体モジュレーターである。
【背景技術】
【0003】
エストロゲンは生殖過程そして子宮および乳房の発育および思春期に関連した他の身体的変化に必須な群の女性ホルモンである。エストロゲンは女性の体全体に渡るいろいろな組織、即ち生殖過程に関係する組織、例えば子宮、乳房および外性器などばかりでなくまた中枢神経系、骨、肝臓、皮膚および尿路などの組織にも影響を与える。女性の体の中のエストロゲンの大部分を卵巣が産生する。
【0004】
内因性エストロゲン、例えば17β−エストラジールおよびエストロンなどは女性の性器、乳腺および他の性的特徴の発育および維持で中心的な役割を果たす。エストロゲンは、女性の性ホルモンとして果たす役割に加えて、女性および男性両方の他のいろいろな組織、例えば心臓血管系、中枢神経系および骨格などの成長および機能に関与している。女性生殖系の発育にとってエストロゲンが重要であることから、エストロゲン受容体と相互作用するいろいろな化合物、例えば避妊薬および乳癌治療薬などの開発がもたらされた。より最近行われている集中的な研究は、閉経後状態、例えば骨粗鬆症、冠動脈疾患、鬱病およびアルツハイマー病などを治療および予防する目的で、選択的エストロゲン受容体モジュレーターに焦点が当てられている。
【0005】
閉経は、卵巣の卵胞機能が失われかつエストロゲンの産生がほとんど停止することが理由で起こる月経の永久的な停止であるとして定義される。中年の閉経過渡期は、エストロゲンの減少によって血管運動、尿生殖器、心臓血管、骨格および中枢神経系に関する短期および長期両方の症状、例えばのぼせ、尿生殖器の萎縮、心臓血管病、骨粗鬆症、認識および心理的悪化などの危険性が高くなること[認識障害およびアルツハイマー病(AD)の危険性が高くなることを包含]が引き起こされることを特徴とする。
【0006】
女性全体の75パーセントが閉経の開始に関連した血管運動症状、例えば体の発汗およびのぼせなどをいくらか経験する。そのような症状は閉経の数年前に始まる可能性があり、ある女性たちは10年以上に渡って比較的一様に継続するか或は限定可能な誘発原因なしに突然の攻撃として始まり得る。
【0007】
閉経の開始に関連して膣に関して起こる尿生殖器の症状には、乾燥した感覚、焼け、かゆみ、性交中の痛み、表面出血および分泌物に加えて萎縮および狭窄が含まれる。尿路に関する症状には、排尿時の焼ける感覚、頻繁に起こる切迫、繰り返す尿路感染および尿失禁が含まれる。そのような症状は閉経時近くの女性全体の50%に及んで起こると報告されており、より頻繁には、閉経後数年間に渡って起こる。そのような問題を処置しないままにしておくと永久的になる可能性がある。
【0008】
高齢の女性の中で心臓発作および卒中が罹病率および死亡率の主原因である。女性がそのような病気にかかる率は閉経後に急速に高くなる。早期に閉経を起こした女性は同じ年齢であるが月経のある女性よりも血栓症の危険が高い。血清エストロゲンの存在は血清脂質に対して肯定的な影響を与える。このホルモンは血管拡張を助長しかつ新しい血管の形成を増強する。このように、閉経後の女性では血清エストロゲン濃度が低くなる結果として心臓血管に不利な影響が生じる。加うるに、血液が凝固する能力に差があることが心臓病の罹病率に関して閉経前と閉経後に差があることが観察されることを説明している可能性があると理論付けされている。
【0009】
骨格は、骨細胞間の注意深く調節された相互作用によって骨の退化と再生が継続して起こる過程下にある。前記細胞はエストロゲンの影響を直接受ける。エストロゲンが欠乏すると結果として骨構造が失われかつ骨強度が低下する。閉経直後の1年の間に骨質量が急速に失われる結果として閉経後骨粗鬆症および骨折の危険性が高まる。
【0010】
エストロゲンの欠乏は、また、中枢神経系が退化して変化する原因の1つでもあり、それによって、アルツハイマー病および認識の低下がもたらされる可能性がある。最近の証拠によってエストロゲンと閉経と認識の間に関連があることが分かってきている。より詳細には、女性ではエストロゲン補充治療およびエストロゲンの使用によってADの進行が防止されかつ認識機能が向上し得ると報告された。
【0011】
ホルモン補充治療(HRT)、より具体的にはエストロゲン補充治療(ERT)は、閉経に関連した医学的問題を取り扱いかつまた骨粗鬆症および原発性心臓血管合併症(例えば冠状動脈病)を予防および治療両方の様式で防止するに役立たせる目的で一般に処方される。このように、HRTは閉経後の女性の平均寿命を長くしかつ生活の質をより良好にする医学治療であると見なされる。
【0012】
ERTは更年期の症状および尿生殖器の症状を有効に軽減しかつ閉経後女性における心臓病の予防および治療の点で有意な利点を有することが示された。臨床報告により、ERTは心臓発作率を下げかつERTを与えた集団の方がERTを与えていない同様な集団に比べて死亡率が低くなることが示された。閉経直後にERTを開始すると、また、骨の質量を数年間に渡って保持するにも役立つ可能性がある。管理された調査により、ERTによる治療は年齢が75歳を超えた高齢の女性にも肯定的な効果を与えることが示された。
【0013】
しかしながら、患者の応諾を低下させるERTに関連した望ましくない影響がいくつか存在する。静脈の血栓塞栓症、胆嚢病、月経の再開、乳房痛および子宮および/または乳癌を発病する危険性が高くなる可能性があることがERTに関連した危険性である。ERTを処方された女性は30%に及んでそのような処方を満たしておらず、安全性の懸念および中断の最も重要な理由である副作用[鼓腸および突破出血(break−through bleeding)]によって中断する率は38%から70%である。
【0014】
選択的エストロゲン受容体モジュレーターまたはSERMとして知られる新規な種類の薬理学的作用剤がHRTの代替として考案されかつ開発されてきた。非ステロイド系ベンゾチオフェレ(bezothiophere)SERMであるラロキシフェン(raloxifene)が骨粗鬆症の予防および治療の目的でEvistaの商標の下で米国およびヨーロッパで市販されている。ラロキシフェンは子宮内膜および乳房組織を不利に刺激することなく骨の損失を軽減しかつ骨折を防止することが示されたが、ラロキシフェンが骨の損失に対して示す防護はERTが示す効力よりもいくらか低い。ラロキシフェンは子宮内膜を刺激せずかつ乳癌を予防する効力を有する点でユニークでありかつ有意にERTとは異なる。また、ラロキシフェンは心臓血管危険因子に対して有益なエストロゲン作動効果を有し、より具体的には、ラロキシフェンによる治療を受けた患者では全および低密度リポ蛋白コレステロールの濃度が迅速に低下しかつそれが維持されることを通して心臓血管危険因子に対して有益なエストロゲン作動効果がもたらされることも示されている。加うるに、ラロキシフェンはアテローム性動脈硬化症および血栓塞栓病の独立した危険因子であるホモシステインの血漿中濃度を下げることも示された。
【0015】
しかしながら、ラロキシフェンは閉経に関連した症状、例えばのぼせおよび膣乾燥などを悪化させることが報告されており、かつ高齢の患者における認識機能を向上させることはない。ERTを受けている女性の方がラロキシフェンまたはプラセボを服用した人よりも膣出血および乳房不快さの率が高いが、ラロキシフェンを服用した患者はプラセボまたはERTを受けた人に比べてのぼせの率が高くかつプラセボを受けた人よりも足の痙攣の度合が高いことが報告されている。
【0016】
今までのところラロキシフェンも現在入手可能な他の如何なるSERM化合物も現在利用できるERTの利点の全部を与えることができず、例えば不利な副作用、例えば子宮内膜および乳房の癌および出血の危険性などを高めることなく閉経後の症状を制御しかつADを予防するなどの能力を持たないことが示されている。このように、選択的エストロゲン受容体モジュレーターでありかつERTが有する利点の全部を与えると同時にまた閉経に関連して起こるエストロゲンの全身的減少に関連した血管運動、尿生殖器および認識障害または状態も取り扱う化合物の必要性が存在する。
【発明の開示】
【0017】
発明の要約
本発明は、 式(I)
【0018】
【化1】

【0019】
[式中、
【0020】
【化2】

【0021】
は、単もしくは二重結合を表し、
Xは、OおよびSから成る群から選択され、
【0022】
【化3】

【0023】
は、窒素原子を1から2個含有する6員のヘテロアリール環構造であり、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリール−アルキルから成る群から選択され、ここで、前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、−SH、−S(アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−OR、−SO−NR、−NR、NR−SO−R、−(アルキル)0−4−C(O)NR、(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル−アルキルから成る群から選択され、ここで、前記シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、−SH、−S(アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−SO−NR、NR、NR−SO−R、−(アルキル)0−4−C(O)NR、−(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Qは、O、S、NH、N(アルキル)および−CH=CH−から成る群から選択され、
およびRは、各々独立して、水素およびアルキルから成る群から選択されるか、あるいは、RとRはこれらが結合している窒素原子と一緒になってヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルから成る群から選択される4から8員の環を形成しており、ここで、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル−アルキルから成る群から選択され、ここで、前記シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
は、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−アルキルから成る群から選択され、ここで、前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、−SH、−S(アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−OR、−SO−NR、−NR、NR−SO−R、−(アルキル)0−4−C(O)NR、(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいか、
あるいは、RとRは、これらが結合している炭素原子と一緒になってC(O)を形成しており、
nは、0−4から選択される整数であり、
各Rは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、R、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、SO、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−N(R)C(O)R、−OSi(R−OR、−SON(R、−O−(アルキル)1−4−C(O)Rおよび−O−(アルキル)1−4−C(O)ORから成る群から選択され、
各Rは、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキルおよび1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オンから選択され、ここで、前記アルキル、アリールまたはアラルキル基は場合によりアルキル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、−OC(O)−アルキルまたは−C(O)O−アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいか、
あるいは、2つのR基がこれらが結合している窒素原子と一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成しており、ここで、前記ヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
mは、0−4から選択される整数であり、
各Rは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、R、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、SO、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−N(R)C(O)R、−OSi(R−OR、−SON(アルキル)、−O−(アルキル)1−4−C(O)Rおよび−O−(アルキル)1−4−C(O)ORから成る群から選択され、
は、水素、アルキル、ハロゲン置換アルキル、アリール、アラルキルから成る群から選択されるか、あるいは、
とRが一緒になって6員環を形成しているが、但し
【0024】
【化4】

【0025】
が二重結合であり、XがOであり、
【0026】
【化5】

【0027】
が窒素原子を1から2個含有する6員のヘテロアリール環構造でありそしてRとRがこれらが結合している炭素原子と一緒になってC(O)を形成している時にはnまたはmの少なくとも一方が1から4から選択される整数であることを条件とし、
【0028】
【化6】

【0029】
が単結合であり、XがOであり、
【0030】
【化7】

【0031】
が窒素原子を1から2個含有する6員のヘテロアリール環構造であり、Rが水素でありそしてRがアルキルの時にはnまたはmの少なくとも一方が1から4から選択される整数であることをさらなる条件とし、
【0032】
【化8】

【0033】
が単結合であり、XがOであり、
【0034】
【化9】

【0035】
が窒素原子を1から2個含有する6員のヘテロアリール環構造であり、Rが水素であり、Rがアルキルであり、nが1でありそしてmが1の時にはRおよびRがメトキシでもエトキシでもないことをさらなる条件とし、
【0036】
【化10】

【0037】
が二重結合であり、XがOであり、
【0038】
【化11】

【0039】
が窒素原子を1から2個含有する6員のヘテロアリール環構造であり、RとRがこれらが結合している炭素原子と一緒になってC(O)を形成しており、nが0でありそしてmが2の時には各Rがヒドロキシでもアルコキシでもないことをさらなる条件とし、
【0040】
【化12】

【0041】
が二重結合であり、XがOであり、
【0042】
【化13】

【0043】
が窒素原子を1から2個含有する6員のヘテロアリール環構造であり、RとRがこれらが結合している炭素原子と一緒になってC(O)を形成しており、R基の1つとR基が一緒になって6員環構造になっている時にはnまたはmの少なくとも一方が1から4から選択される整数であることをさらなる条件とする]
で表される化合物およびこれの製薬学的に受け入れられる塩に向けたものである。
【0044】
本発明の実例は、製薬学的に受け入れられる担体とこの上に記述した化合物のいずれかを含んで成る製薬学的組成物である。本発明の実例は、この上に記述した化合物のいずれかと製薬学的に受け入れられる担体を混合することで作られた製薬学的組成物である。本発明の実例は、この上に記述した化合物のいずれかと製薬学的に受け入れられる担体を混合することを含んで成る製薬学的組成物製造方法である。
【0045】
本発明の実例は、1種以上のエストロゲン受容体が媒介する障害の治療を必要としている被験体におけるそれを治療する方法であり、この方法は、前記被験体にこの上に記述した化合物または製薬学的組成物のいずれかを治療的に有効な量で投与することを含んで成る。
【0046】
本発明の実例は避妊方法であり、これは、それを必要としている被験体に治療的に有効な量の式(I)で表される化合物とプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗薬を用いた共治療薬を投与することを含んで成る。
【0047】
本発明の別の例は、本明細書に記述する化合物のいずれかを(a)のぼせ、(b)膣乾燥、(c)オステオペニア、(d)骨粗鬆症、(e)高脂血症、(f)認識機能の損失、(g)変性脳病、(h)心臓血管病、(i)脳血管病、(j)乳癌、(k)子宮内膜癌、(l)頸癌、(m)前立腺癌、(n)良性前立腺過形成、(o)子宮内膜症、(p)子宮筋腫、(q)変形性関節症の治療および(r)避妊を必要としている被験体におけるそれを実施するに適した薬剤を製造する時に用いる例である。
発明の詳細な説明
本発明は、エストロゲン受容体が媒介する障害の治療で用いるに有用な式(I)
【0048】
【化14】

【0049】
[式中、
X、R、R、R、R、R
【0050】
【化15】

【0051】
、mおよびnは、この上で定義した通りである]
で表される化合物に向けたものである。より詳細には、本発明の化合物は、エストロゲン−αおよびエストロゲン−βの受容体が媒介する障害の治療および予防で用いるに有用である。より好適には、本発明の化合物は組織に選択的なエストロゲン受容体モジュレーターである。
【0052】
本発明の化合物は、エストロゲンの欠乏に関連した障害、ホルモンに敏感な癌および過形成、子宮内膜症、子宮筋腫、変形性関節症の治療および避妊薬として単独またはプロゲストゲンもしくはプロゲストゲン拮抗薬と組み合わせて用いるに有用である。
【0053】
より詳細には、本発明の化合物は、のぼせ、膣乾燥、オステオペニア、骨粗鬆症、高脂血症、認識機能の損失、変性脳病、心臓血管病、脳血管病、乳房組織の癌もしくは過形成、子宮内膜の癌もしくは過形成、頸部の癌もしくは過形成、前立腺の癌もしくは過形成、子宮内膜症、子宮筋腫および変形性関節症から成る群から選択される状態または障害の治療および予防および避妊薬として用いるに有用である。好適には、前記障害は骨粗鬆症、のぼせ、膣乾燥、乳癌および子宮内膜症から成る群から選択される。
【0054】
前記式(I)で表される化合物において、基RとRの相対的配向を固定することを意図するものでなく、むしろ、これらの基が取り得る両方の配向を前記式(I)で表される化合物の定義内に含めることを意図する。
【0055】
本発明の1つの態様における化合物は、XがOである式(I)で表される化合物である。本発明の別の態様における化合物は、XがSである式(I)で表される化合物である。
【0056】
本発明の1つの態様では、
【0057】
【化16】

【0058】
をピリジニル、オキシ−ピリジニル、ピリミジニル、オキシ−ピリミジニル、ピラジニルまたはオキシ−ピラジニルから成る群から選択する。より好適には、
【0059】
【化17】

【0060】
をピリジニルまたはピリミジニルから成る群から選択する。更により好適には、
【0061】
【化18】

【0062】
をm−ピリジニル、p−ピリジニルおよびp−ジメトキシ−ピリミジニルから成る群から選択する。
【0063】
本発明の1つの態様では、Rを水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルから成る群から選択し、ここで、前記アリールまたはアラルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、NO、CNおよびCOHから独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよい。より好適には、Rを水素および低級アルキルから成る群から選択する。更により好適には、Rを水素およびメチルから成る群から選択する。
【0064】
本発明の1つの態様では、Rをヒドロキシ、低級アルキル、アリールまたはアラルキルから成る群から選択し、ここで、前記アリールまたはアラルキルは場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、NO、CN、COH、R、−OR、−NR、−(アルキル)0−4−C(O)NRおよび−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NRから独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよい。
【0065】
好適には、Rをヒドロキシ、低級アルキル、アリールおよびアラルキルから成る群から選択し、ここで、前記アリールまたはアラルキルは場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、NO、CN、COH、R、−ORまたは−NRから独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよく、ここで、
をアルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリールまたはアラルキルから成る群から選択し、ここで、前記シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリールまたはアラルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、NO、CN、COH、R、NR、−(アルキル)0−4−C(O)NRまたは−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NRから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、ここで、
QをO、S、NH、N(アルキル)および−CH=CH−から成る群から選択し、ここで、
およびRを各々独立して水素およびアルキルから成る群から選択するか、あるいは、RとRがこれらが結合している窒素原子と一緒になってヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルから成る群から選択される4から8員の環を形成しており、ここで、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0066】
より好適には、Rをヒドロキシ、アリール、4−(1−ヘテロシクロアルキル−アルコキシ)−フェニル、4−(ジ(アルキル)アミノ−アルコキシ)−フェニル、4−(ジ(アルキル)アミノ)−フェニルおよび4−アラルキルオキシ−フェニルから成る群から選択する。更により好適には、Rをヒドロキシ、フェニル、4−(1−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−ピロリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(4−モルホリニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−アゼピニル−エトキシ)−フェニル、4−(ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ)−フェニル、4−ベンジルオキシ−フェニルおよび4−(1−ピペリジニル−n−プロポキシ)−フェニルから成る群から選択する。更により好適には、Rをフェニル、4−(1−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−ピロリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(4−モルホリニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−アゼピニル−エトキシ)−フェニル、4−(ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ)−フェニルおよび4−(1−ピペリジニル−n−プロポキシ)−フェニルから成る群から選択する。更により好適には、Rをフェニル、4−(1−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−ピロリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(4−モルホリニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−アゼピニル−エトキシ)−フェニル、4−(ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニルおよび4−(ジメチルアミノ)−フェニルから成る群から選択する。更により好適には、Rをフェニル、4−(1−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−ピロリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(4−モルホリニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−アゼピニル−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニルおよび4−(ジメチルアミノ)−フェニルから成る群から選択する。
【0067】
本発明の1つの態様における化合物は、RとRがこれらが結合している炭素原子と一緒になってC(O)を形成している式(I)で表される化合物である。
【0068】
本発明の1つの態様では、Rをハロゲン、ヒドロキシ、R、アミノ、(低級アルキル)−アミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−OSi(R−OR、−O−(アルキル)1−4−C(O)Rおよび−O−(アルキル)1−4−C(O)ORから成る群から選択する。
【0069】
好適には、Rをヒドロキシ、R、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−OSi(R−OR、−O−(アルキル)1−4−C(O)Rおよび−O−(アルキル)1−4−C(O)ORから成る群から選択する。
【0070】
より好適には、Rをハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、(低級アルキル−ジ(低級アルキル))−シリルオキシ、−OC(O)−(低級アルキル)、−OC(O)−C(フェニル)−OC(O)−(低級アルキル)、−OC(O)−(1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オン)およびOC(O)−C(CH)(CF)−フェニルから成る群から選択する。更により好適には、Rをフルオロ、ヒドロキシ、メトキシ、t−ブチル−ジメチル−シリルオキシ、−OC(O)−t−ブチル、−OC(O)−C(フェニル)−OC(O)CH、−OC(O)−(1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オン)および−OC(O)−C(CH)(CF)−フェニルから成る群から選択する。更により好適には、Rをヒドロキシおよび−OC(O)−t−ブチルから成る群から選択する。
【0071】
本発明の1つの態様では、Rを水素、低級アルキル、アリール、アラルキルおよび1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オンから選択し、ここで、前記アルキル、アリールまたはアラルキル基は場合により低級アルキル、ハロゲン置換低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、−OC(O)−(低級アルキル)および−C(O)O−(低級アルキル)から独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよい。
【0072】
本発明の別の態様では、2つのR基がこれらが結合している窒素原子と一緒になって5から6員のヘテロシクロアルキル基を形成しており、ここで、前記ヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、カルボキシ、アミノ、(低級アルキル)−アミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよい。
【0073】
本発明の1つの態様では、Rをハロゲン、ヒドロキシ、R、アミノ、(低級アルキル)−アミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−OSi(R−OR、−O−(アルキル)1−4−C(O)Rおよび−O−(アルキル)1−4−C(O)ORから成る群から選択する。
【0074】
好適には、Rをヒドロキシ、R、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−OSi(R−OR、−O−(アルキル)1−4−C(O)Rおよび−O−(アルキル)1−4−C(O)ORから成る群から選択する。
【0075】
より好適には、Rをヒドロキシ、低級アルコキシ、(低級アルキル−(ジ(低級アルキル))−シリルオキシ、−OC(O)−(低級アルキル)、−OC(O)−C(フェニル)−OC(O)(低級アルキル)、−OC(O)−(1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オン)およびOC(O)−C(CH)(CF)−フェニルから成る群から選択する。更により好適には、Rをヒドロキシ、メトキシ、t−ブチル−ジメチル−シリルオキシ、−OC(O)−t−ブチル、−OC(O)−C(フェニル)−OC(O)CH、−OC(O)−(1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オン)および−OC(O)−C(CH)(CF)−フェニルから成る群から選択する。更により好適には、Rをヒドロキシおよび−OC(O)−t−ブチルから成る群から選択する。
【0076】
本発明の別の態様では、Rを水素、低級アルキル、ハロゲン置換アルキル、アリール、アラルキルから成る群から選択する。より好適には、Rを水素、メチル、エチル、クロロメチル、ブロモメチルから成る群から選択する。更により好適には、Rをメチルおよびブロモメチルから成る群から選択する。
【0077】
本発明の特に好適な態様は、下記の化合物:
【0078】
【化19】

【0079】
に向けたものである。
【0080】
本発明の1つの態様におけるmは、0から2から選択した整数である。好適には、mは0から1から選択した整数である。より好適には、mは1である。
【0081】
本発明の1つの態様におけるnは、1から2から選択した整数である。好適には、nは1である。
【0082】
本発明の化合物の塩を薬剤で用いる場合、これは無毒の「製薬学的に受け入れられる塩」を指す。しかしながら、本発明に従う化合物またはこれらの製薬学的に受け入れられる塩を調製する時に他の塩を用いることも有用である。本化合物の適切な製薬学的に受け入れられる塩には酸付加塩が含まれ、これらは、例えば本化合物の溶液を製薬学的に受け入れられる酸、例えば塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、こはく酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸または燐酸などの溶液と一緒に混合することで調製可能である。更に、本発明の化合物が酸性部分を持つ場合、これらの適切な製薬学的に受け入れられる塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩など、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩など、そして適切な有機配位子と一緒にした時に生じる塩、例えば第四級アンモニウム塩などが含まれ得る。このように、代表的な製薬学的に受け入れられる塩には下記が含まれる:
酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート(esylate)、フマル酸塩、グルセプテート(gluceptate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、燐酸塩/二燐酸塩、ポリガラクツロネート、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、こはく酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート(teoclate)、トシル酸塩、トリエチオジド(triethiodide)および吉草酸塩。
【0083】
本発明は、本発明の化合物のプロドラッグを本発明の範囲内に包含する。そのようなプロドラッグは、一般に、生体内で必要な化合物に容易に変化し得る前記化合物の機能的誘導体である。このように、本発明の治療方法では、用語「投与する」に、具体的に開示した化合物を用いるか或は具体的には開示することができなかったが患者に投与した後に生体内で指定化合物に変化する化合物を用いて記述したいろいろな障害を治療することを包含させる。適切なプロドラッグ誘導体を選択および調製する通常の手順は、例えばH.Bundgaard、Elsevier編集の「Design of Prodrugs」(1985)などに記述されている。
【0084】
本発明に従う化合物がキラル中心を少なくとも1つ有する場合、それらはそれに応じて鏡像異性体として存在し得る。本化合物がキラル中心を2つ以上有する場合、それらは追加的にジアステレオマーとして存在し得る。そのような異性体およびこれらの混合物の全部が本発明の範囲内に包含されると理解されるべきである。その上、本化合物の結晶形態の数種は多形として存在する可能性があり、このように、それらも本発明に包含させることを意図する。加うるに、本化合物の数種は水との溶媒和物(即ち水化物)または通常の有機溶媒との溶媒和物を形成する可能性があり、そのような溶媒和物もまた本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0085】
本明細書で用いる如き用語「変性脳病」は、認識障害、認知症(根本の原因に関係なく)およびアルツハイマー病を包含する。
【0086】
本明細書で用いる如き用語「心臓血管病」は、高血中脂質濃度、血栓性アテローム性動脈硬化症および血栓性心臓病を包含する。
【0087】
本明細書で用いる如き用語「脳血管病」は、異常な局所的脳血管流および虚血性脳損傷などを包含する。
【0088】
本明細書で用いる如き用語「プロゲストゲン拮抗薬」は、ミフェプリストン(mifepristone)(RU−486)、J−867(Jenapharm/TAP Pharmaceuticals)、J−956(Jenapharm/TAP Pharmaceuticals)、ORG−31710(Organon)、ORG−33628(Organon)、ORG−31806(Organon)、オナプリストン(onapristone)(ZK98299)およびPRA248(Wyeth)を包含する。
【0089】
本明細書で用いる如き「ハロゲン」は、特に明記しない限り、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素を意味する。
【0090】
本明細書で用いる如き用語「アルキル」は、これを単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘らず、特に明記しない限り、炭素原子数が1から8の直鎖および分枝鎖組成を包含する。例えば、アルキル基にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチルなどが含まれる。特に明記しない限り、アルキルに関して「低級」を用いる場合、これは炭素原子数が1−4の炭素鎖組成を意味する。同様に、基「−(アルキル)0−4−」は、これを単独で用いるか或は大きな置換基の一部として用いるかに拘らず、アルキル基が存在しないか或は炭素原子数が1から4のアルキル基が存在することを意味する。適切な例には、これらに限定するものでないが、−CH−、−CHCH−、−CH−CH(CH)−、CHCHCH−、−CHCH(CH)CH−、CHCHCHCH−などが含まれる。
【0091】
本明細書で用いる如き「アルコキシ」は、特に明記しない限り、上述した直鎖もしくは分枝鎖アルキル基の酸素エーテル基を表す。例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ヘキシルオキシなど。
【0092】
本明細書で用いる如き「アリール」は、特に明記しない限り、置換されていない炭素環式芳香基、例えばフェニル、ナフチルなどを指す。
【0093】
本明細書で用いる如き「アラルキル」は、特に明記しない限り、アリール基、例えばフェニル、ナフチルなどで置換されている低級アルキル基のいずれかを意味する。適切な例にはベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチルなどが含まれる。
【0094】
本明細書で用いる如き用語「シクロアルキル」は、特に明記しない限り、3−8員の適切な単環式飽和環系、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルなどのいずれかを意味する。
【0095】
本明細書で用いる如き用語「シクロアルキル−アルキル」は、特に明記しない限り、シクロアルキル基で置換されている低級アルキル基のいずれかを意味する。適切な例には、これらに限定するものでないが、シクロヘキシル−メチル、シクロヘプチル−メチル、シクロヘキシル−エチルなどが含まれる。
【0096】
本明細書で用いる如き用語「アシルオキシ」は、特に明記しない限り、式−O−C(O)−R[式中、Rはアルキル、アリールまたはアラルキルである]で表される基を意味し、ここで、前記アルキル、アリールまたはアラルキルは場合により置換されていてもよい。本明細書で用いる如き用語「カルボキシレート」は、式−C(O)O−R[式中、Rはアルキル、アリールまたはアラルキルである]で表される基を意味し、ここで、前記アルキル、アリールまたはアラルキルは場合により置換されていてもよい。
【0097】
本明細書で用いる如き「ヘテロアリール」は、特に明記しない限り、O、NおよびSから成る群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有しかつ場合によりO、NおよびSから成る群から独立して選択される追加的ヘテロ原子を1から3個含有していてもよい5員もしくは6員の単環式芳香環構造、またはO、NおよびSから成る群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有しかつ場合によりO、NおよびSから成る群から独立して選択される追加的ヘテロ原子を1から4個含有していてもよい9員もしくは10員の二環式芳香環構造のいずれかを表す。このヘテロアリール基は結果として生じる構造が安定な構造であるように環のヘテロ原子もしくは炭素原子のいずれかの所で結合し得る。
【0098】
適切なヘテロアリール基の例には、これらに限定するものでないが、ピロリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、プラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラニル、フラザニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリニル、インダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、プテリジニルなどが含まれる。
【0099】
本明細書で用いる如き用語「ヘテロアリール−アルキル」は、特に明記しない限り、ヘテロアリール基で置換されている低級アルキル基のいずれかを意味する。適切な例には、これらに限定するものでないが、ピリジル−メチル、イソキノリニル−メチル、チアゾリル−エチル、フリル−エチルなどが含まれる。
【0100】
本明細書で用いる如き用語「ヘテロシクロアルキル」は、O、NおよびSから成る群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有しかつ場合によりO、NおよびSから成る群から独立して選択される追加的ヘテロ原子を1から3個含有していてもよい5員から7員の単環式飽和または部分不飽和環構造、またはO、NおよびSから成る群から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有しかつ場合によりO、NおよびSから成る群から独立して選択される追加的ヘテロ原子を1から4個含有していてもよい9員から10員の飽和、部分不飽和または部分芳香二環式環系のいずれかを表す。このヘテロシクロアルキル基は結果として生じる構造が安定な構造であるように環のヘテロ原子もしくは炭素原子のいずれかの所で結合し得る。
【0101】
適切なヘテロアリール基の例には、これらに限定するものでないが、ピロリニル、ピロリジニル、ジオキサラニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、トリチアニル、インドリニル、クロメニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−ジヒドロベンゾフリルなどが含まれる。
【0102】
本明細書で用いる如き用語「ヘテロシクロアルキル−アルキル」は、特に明記しない限り、ヘテロシクロアルキル基で置換されている低級アルキル基のいずれかを意味する。適切な例には、これらに限定するものでないが、ピペリジニル−メチル、ピペラジニル−メチル、ピペラジニル−エチル、モルホリニル−メチルなどが含まれる。
【0103】
個々の基(例えばシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル)が「置換されている」場合、そのような基は置換基のリストから独立して選択される置換基を1つ以上、好適には置換基を1から5個、より好適には置換基を1から3個、最も好適には置換基を1から2個持っていてもよい。追加的に、アラルキル、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキル−アルキルまたはシクロアルキル−アルキル基が置換されている場合、そのような置換基1つまたは2つ以上はそのような基の如何なる位置に存在していてもよい[即ち、そのような置換基1つまたは2つ以上は当該基のアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルまたはアルキル部分に存在していてもよい]。
【0104】
置換基の言及に関して、用語「独立して」は、そのような置換基が2個以上可能な場合にそのような置換基が互いに同じまたは異なってもよいことを意味する。
【0105】
本開示の全体に渡って用いる標準的命名法の下では、表示する側鎖の末端部分を最初に記述し、その後、それに隣接する官能性を結合点に向かって記述する。従って、例えば「フェニルC−CアルキルアミノカルボニルC−Cアルキル」置換基は、式
【0106】
【化20】

【0107】
で表される基を指す。
【0108】
特に明記しない限り、R基などの如き置換基を挙げる場合、中心構造に関して下記の番号付けを適用する。四環式中心構造の個々の環を表示する目的で大文字A、B、CおよびDを用いる。
【0109】
【化21】

【0110】
本明細書、特にスキームおよび実施例で用いて省略形は下記の通りである:
【0111】
【表1】

【0112】
【表2】

【0113】
【表3】

【0114】
本明細書で用いる如き用語「被験体」は、治療、観察または実験の対象である動物、好適には哺乳動物、最も好適には人を指す。
【0115】
本明細書で用いる如き用語「治療的に有効な量」は、研究者、獣医、医者または他の臨床医が探求している活性化合物または薬剤が組織系、動物または人に生物学的もしくは医薬的反応(治療を受けさせる病気または障害の症状の軽減を包含)を引き出す量を意味する。本発明が式Iで表される1種以上の化合物とプロゲストゲンもしくはプロゲストゲン拮抗薬を投与することを含んで成る共治療に向けたものである場合の「治療的に有効な量」は、そのような薬剤を一緒に組み合わせた量がその組み合わせ効果によって所望の生物学的もしくは医薬的反応を引き出すような量であることを意味する。例えば、式Iで表される化合物とプロゲストゲンを投与することを含んで成る共治療の治療的に有効な量は、式Iで表される化合物の量とプロゲストゲンの量がそれらを一緒または逐次的に用いた時の組み合わせた効果が治療的に有効であると言った量であろう。その上、本分野の技術者は、この上に示した例のように、治療的に有効な量による共治療の場合、式Iで表される化合物の量および/またはプロゲストゲンもしくはプロゲストゲン拮抗薬の量の各々は治療的に有効な量であってもよいか或は治療的に有効な量でなくてもよいことも理解するであろう。
【0116】
本明細書で用いる如き用語「共治療」は、それを必要としている被験体に式Iで表される1種以上の化合物をプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗薬と一緒に投与することで前記被験体を治療することを意味し、ここで、前記式Iで表される化合物1種または2種以上とプロゲストゲンもしくはプロゲストゲン拮抗薬を適切な任意手段で同時、逐次的、個別または単一の製薬学的製剤の状態で投与する。前記式Iで表される化合物1種または2種以上とプロゲストゲンもしくはプロゲストゲン拮抗薬を個別の投薬形態で投与する場合、各化合物を1日当たりに投与する投薬回数は同じまたは異なってもよい。前記式Iで表される化合物1種または2種以上とプロゲストゲンもしくはプロゲストゲン拮抗薬を同じまたは異なる投薬経路で投与しても構わない。適切な投与方法の例には、これらに限定するものでないが、経口、静脈内(iv)、筋肉内(im)、皮下(sc)、経皮および直腸が含まれる。また、化合物を神経系に直接投与することも可能であり、そのような投与には、これらに限定するものでないが、脳内、心室内、脳室内、鞘内、槽内、脊椎内そして/または頭蓋内もしくは椎骨内針および/またはカテーテルをポンプ装置の有り無しで用いて送達することによる脊椎周囲投与経路が含まれる。前記式Iで表される化合物1種または2種以上とプロゲストゲンもしくはプロゲストゲン拮抗薬を同時または交互療法に従って治療過程中に同じまたは異なる時間に分割した形態または単一形態で同時に投与することも可能である。
【0117】
本明細書で用いる如き用語「組成物」は、これに、指定材料を指定量で含んで成る製品ばかりでなく指定材料を指定量で組み合わせる結果として直接または間接的にもたらされる如何なる生成物も包含させることを意図する。
【0118】
X、R1、R2、R3、R4、R5、m、nおよび
【0119】
【化22】

【0120】
がこの上に記述した如くである式(I)で表される化合物の調製は、スキーム1に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0121】
【化23】

【0122】
より詳細には、式(II)で表される適切に置換されている化合物と式(III)で表される化合物(公知化合物)を銅(I)塩、例えばCuBr、CuI、CuClなどの触媒作用下で有機塩基、例えばNaH、NaOMe、t−BuOKなどを存在させて有機溶媒、例えばTHF、ジオキサン、DMFなど中で約60から約120℃の範囲内の温度で反応させることで相当する式(IV)で表される化合物を生じさせる。
【0123】
前記式(IV)で表される化合物と無機塩基、例えばNaOH、KOHまたはLiOHなどを混合溶媒、例えばTHF、MeOH、EtOHなどと混合した水など中で80から約120℃の範囲内の温度で反応させることで相当する式(V)で表される化合物を生じさせる。
【0124】
前記式(V)で表される化合物とXがOまたはSである式(VI)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)をDCC、DIC、Pybropなど、有機塩基、例えばTEA、DIPEA、ピリジンなどの存在下で有機溶媒、例えばTHF、ジオキサン、DCMなど中で約40から約60℃の範囲内の高温で反応させることで相当する式(VII)で表される化合物を生じさせる。
【0125】
本分野の技術者は、この上に記述した工程の範囲内の段階のいずれかでRおよび/またはR基の中の1つ以上を保護する必要がありそして/またはその方が望ましい可能性があることを認識するであろう。これは公知の保護基および公知の保護および脱保護用反応体および条件、例えばJ.F.W.McOmie編集「Protective Groups in Organic Chemistry」、Plenum Press、1973、そしてT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons、1991などに記述されている如きそれらを用いて達成可能である。
【0126】
従って、前記式(VII)で表される化合物と水素化ジイソブチルアルミニウム、L−セレクトリド(selectride)などを有機溶媒、例えばトルエン、ベンゼン、THF、塩化メチレンなど中で約0から約−80℃の範囲内の低温で反応させることで相当する式(VIII)で表される化合物を生じさせる。
【0127】
前記式(VIII)で表される化合物とMQがリチウムもしくはマグネシウムのハロゲン化物、例えばMgCl、MgBrまたはMgIなどである式(IX)で表される適切に置換されている化合物(相当する公知アルキルもしくはアリールハライドを用いて公知方法で調製)を有機溶媒、例えばTHF、ジエチルエーテル、ジオキサン、ヘキサンなど中で反応させることで相当する式(X)で表される化合物を生じさせる。次に、分離を行うことなく、前記式(X)で表される化合物にプロトン酸、例えばHCl、HSO、p−トルエンスルホン酸、樟脳スルホン酸(CSA)、TFAなど、またはルイス酸、例えばBFエーテラート、AlCl、SnClなどによる処理を溶媒、例えばトルエン、塩化メチレン、アセトニトリルなど中で受けさせることで相当する式(XI)で表される化合物を生じさせる。
【0128】
あるいは、前記式(X)で表される化合物にトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどまたはアゾジカルボキサミド、例えばDEAD、DIADなどの如き反応体を用いた処理を溶媒、例えばトルエン、THFなど中で受けさせることで相当する式(XI)で表される化合物を生じさせる。
【0129】
【化24】

【0130】
が−(アリール)−O−(アルキル)0−4−NRである式(XI*)で表される化合物の調製は、R基が−(アリール)−O−(アルキル)0−4−Hal(HalはCl、BrまたはIから選択される)である式(XI)で表される適切に置換されている化合物と触媒量のヨウ素塩、例えばNaI、KI、NHNIなどとアミン源であるNR、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンなどを溶媒、例えばDMF、DMSO、DMAなど中で反応させることで相当する式(X)で表される化合物を生じさせることで実施可能である。例えば、Rが−(アリール)−O−(アルキル)0−4−NRである式(X*)で表される化合物の調製は、スキーム2に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0131】
本分野の技術者は、この上に記述した工程の範囲内の段階のいずれかでR基の中の1つ以上を保護する必要がありそして/またはその方が望ましい可能性があることを認識するであろう。これは公知の保護基および公知の保護および脱保護用反応体および条件、例えばJ.F.W.McOmie編集「Protective Groups in Organic Chemistry」、Plenum Press、1973、そしてT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons、1991などに記述されている如きそれらを用いて達成可能である。
【0132】
本発明に従う化合物製造方法によって立体異性体の混合物がもたらされる場合、そのような異性体の分離は通常技術、例えば調製用クロマトグラフィーなどを用いて実施可能である。
【0133】
前記式(XII)で表される化合物に選択的水添をスキーム3に示すようにして受けさせることで相当する式(XIII)で表される化合物を生じさせることができる。
【0134】
【化25】

【0135】
従って、前記式(XII)で表される化合物と水素ガスを約20から約100psiの範囲内の圧力下で金属触媒、例えばCに担持されているPd、Cに担持されているPt、ラネーニッケル、Pd(OH)などを存在させて反応させることで相当する式(XIII)で表される化合物を主にシス異性体として生じさせる。
【0136】
あるいは、前記式(XII)で表される化合物と水素化物、例えばLAH、Cuの水素化物、SmI、Stryker試薬([PhP)CuH])などを約−20から約60℃の範囲内の温度の溶媒、例えばTHF、ジエチルエーテルなど中で反応させることで相当する式(XIII)で表される化合物を主にトランス異性体として生じさせる。
【0137】
あるいは、前記式(XII)で表される化合物とトリエチルシランを酸、例えばTFA、BFエーテラート、四塩化錫などの存在下で有機溶媒、例えば塩化メチレン、トルエンなど中で反応させることで相当する式(XIII)で表される化合物をシス異性体とトランス異性体の混合物として生じさせる。
【0138】
式(M)で表される化合物の調製はスキーム4に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0139】
【化26】

【0140】
式(VII*)で表される化合物と臭素または臭素源もしくは塩素源、例えばNBS、NCSなどを塩基、例えばLHMDS、LDA、KHMDS、NaHMDSなどの存在下で約30から約−78℃の範囲内の低温で反応させることで相当する式(XIV)で表される化合物を生じさせる。
【0141】
あるいは、式(VII*)で表される化合物をラジカル臭素化剤、例えばNBS、CBrCl、NaBROなどとこれをNaHSOなどと組み合わせて反応させるか或はラジカル塩素化剤、例えばNCS、SOCl、Clガス、t−ブチルハイポクロライドなど、好適にはラジカル臭素化剤、例えばNBSなどとラジカル開始剤、例えばベンゾイルパーオキサイド、AIBNなどの存在下および/または光源、例えばタングステンランプ、120ワットの電球、日照などの存在下で場合により約50−120℃の範囲内の高温で反応させることで相当する式(XIV)で表される化合物を生じさせる。
【0142】
前記式(XIV)で表される化合物と脱メチル用反応体、例えばヨウ化TMS、BBr、AlClなどとエタンチオールなどを塩素置換溶媒、例えば塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロメタンなど中で反応させた後に弱塩基、例えばKCO、NaCO、1NのNaOH、1NのKOHなどを用いた処理を行うことで相当する式(M)で表される化合物を生じさせる。
【0143】
あるいは、前記式(XIV)で表される化合物と脱メチル用反応体、例えば塩酸ピリジン、臭化水素酸ピリジン、ヨウ化水素酸ピリジンなどを場合により有機溶媒、例えばキシレン、酢酸など中で約170から約220℃の範囲内の高温で反応させた後に弱塩基、例えばKCO、NaCO、1NのNaOH、1NのKOHなどを用いた処理を行うことで相当する式(M)で表される化合物を生じさせる。
【0144】
本分野の技術者は、この上に記述した工程の範囲内の段階のいずれかでRおよび/またはR基の中の1つ以上を保護する必要がありそして/またはその方が望ましい可能性があることを認識するであろう。これは公知の保護基および公知の保護および脱保護用反応体および条件、例えばJ.F.W.McOmie編集「Protective Groups in Organic Chemistry」、Plenum Press、1973、そしてT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons、1991などに記述されている如きそれらを用いて達成可能である。
【0145】
本発明の化合物を生じさせる過程のいずれかを行っている間に、関係する分子のいずれかが有する敏感または反応性基を保護する必要がありそして/またはその方が望ましい可能性がある。これは通常の保護基、例えばJ.F.W.McOmie編集「Protective Groups in Organic Chemistry」、Plenum Press、1973、そしてT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons、1991に記述されている如き保護基を用いて達成可能である。このような保護基は本技術分野で公知の方法を用いて後の便利な段階で除去可能である。
【0146】
本発明の化合物をエストロゲン受容体が媒介する障害の治療で用いることができることを本明細書の実施例1−43に記述する手順に従って確認することができる。
【0147】
従って、本発明は、エストロゲン受容体が媒介する障害の治療を必要としている被験体におけるそれを治療する方法を提供し、この方法は、本明細書に定義する如き化合物のいずれかを前記障害の治療に有効な量で投与することを含んで成る。本化合物は通常の如何なる投与経路で患者に投与されてもよく、そのような投与経路には、これらに限定するものでないが、静脈内、経口、皮下、筋肉内、皮内および非経口が含まれる。エストロゲン受容体が媒介する障害の治療に有効な本化合物の量は被験体の体重1kg当たり0.01mgから1kg当たり20mgの範囲である。
【0148】
本発明は、また、本発明の1種以上の化合物を製薬学的に受け入れられる担体と一緒に含んで成る製薬学的組成物も提供する。本組成物を好適には単位投薬形態物、例えば経口、非経口、鼻内、舌下もしくは直腸投与または吸入もしくは通気による投与に適した錠剤、ピル、カプセル、粉末、顆粒、無菌の非経口用溶液もしくは懸濁液、定量エーロゾルもしくは液体スプレー、滴、アンプル、自動注入デバイスまたは座薬などの形態にする。あるいは、本組成物を週に1回または月に1回投与するに適した形態で提供することも可能であり、例えば本活性化合物の不溶塩、例えばデカン酸塩などは筋肉内注射用持続性製剤を生じさせるに適合し得る。固体状組成物、例えば錠剤などを調製する場合、本主要有効成分を製薬学的担体、例えば通常の錠剤用材料、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、燐酸ジカルシウムまたはゴムなどおよび他の製薬学的希釈剤、例えば水などと混合して本発明の化合物またはこれの製薬学的に受け入れられる塩の均一な混合物を含有する固体状の予備調合組成物を生じさせる。このような予備調合組成物が均一であると述べる場合、これは、この組成物を等しく有効な投薬形態物、例えば錠剤、ピルおよびカプセルなどに容易に細分可能なように有効成分が組成物全体に渡ってむらなく分散していることを意味する。次に、このような固体状の予備調合組成物を細分して本発明の有効成分を5から約1000mg含有する前記種類の単位投薬形態物にする。作用が長期に渡ると言った利点を与える投薬形態物が得られるように本新規組成物の錠剤またはピルに被覆を受けさせてもよいか或は他の様式で配合してもよい。例えば、そのような錠剤またはピルに内部の投薬成分と外側の投薬成分を含めて、その後者が前者の上を覆う形態にしてもよい。この2成分を腸溶性[これは胃の中で起こる崩壊に抵抗して前記内部成分が無傷のまま十二指腸の中に運ばれるようにするか或は放出が遅れるようにする働きをする]で分離しておいてもよい。そのような腸溶性層または被膜ではいろいろな材料が使用可能であり、そのような材料には数多くの高分子量酸に加えてシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの如き材料が含まれる。
【0149】
本発明の新規な組成物を経口または注射で投与する目的で添加することができる液体形態物には、水溶液、適切な風味のシロップ、水性または油懸濁液、そして食用油、例えば綿実油、ゴマ油、椰子油または落花生油などが用いられている風味付き乳液ばかりでなく、エリキシルおよび同様な製薬学的媒体が含まれる。水性懸濁液用の適切な分散もしくは懸濁剤には、合成および天然のゴム、例えばトラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドンまたはゼラチンなどが含まれる。
【0150】
本発明に記述するエストロゲン受容体が媒介する障害を治療する方法は、また、本明細書で定義した如き化合物のいずれかと製薬学的に受け入れられる担体を含んで成る製薬学的組成物を用いることでも実施可能である。この製薬学的組成物の本化合物含有量は約5mgから1000mg、好適には約10から500mgの範囲であってもよく、そしてこれを選択した投与様式に適した如何なる形態に構築してもよい。担体には、必要かつ不活性な製薬学的賦形剤が含まれ、これには、これらに限定するものでないが、結合剤、懸濁剤、滑剤、風味剤、甘味剤、防腐剤、染料およびコーティングが含まれる。経口投与に適した組成物には、固体形態物、例えばピル、錠剤、カプレット、カプセル[各々に瞬時放出、好機放出および徐放製剤が含まれる]、顆粒および粉末など、そして液状形態物、例えば溶液、シロップ、エリキシル、乳液および懸濁液などが含まれる。非経口投与で用いるに有用な形態物には無菌の溶液、乳液および懸濁液が含まれる。
【0151】
本発明の化合物は有利に1日1回の投与で投与可能であるか、或は1日当たりの投薬量全体を1日当たり2回、3回または4回に分割した用量で投与することも可能である。更に、本発明の化合物を適切な鼻内媒体を局所的に用いることによる鼻内形態で投与するか或は本分野の通常の技術者に良く知られた経皮皮膚パッチを用いて投与することも可能である。投与を経皮送達系の形態で行う時には、勿論、そのような投与は断続的ではなくむしろ投薬療法全体に渡って連続的であろう。
【0152】
例えば錠剤またはカプセル形態の経口投与の場合には、本活性薬剤成分を無毒で製薬学的に受け入れられる不活性な経口用担体、例えばエタノール、グリセロール、水などと一緒にしてもよい。その上、望まれるか或は必要な場合には、また、適切な結合剤、滑剤、崩壊剤および着色剤をそのような混合物に添加することも可能である。適切な結合剤には、これらに限定するものでないが、澱粉、ゼラチン、天然糖、例えばグルコースまたはベータ−ラクトースなど、コーン甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントなど、またはオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、これらに限定するものでないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどが含まれる。
【0153】
液状形態物には適切な風味の懸濁もしくは分散剤、例えば合成および天然ゴム、例えばトラガカント、アカシア、メチル−セルロースなどを含有させてもよい。非経口投与の場合には無菌の懸濁液および溶液が望まれる。静脈内投与が望まれる場合には一般に適切な防腐剤が入っている等浸透圧性製剤を用いる。
【0154】
また、本発明の化合物をリポソーム送達系、例えば小型の単層ベシクル、大型の単層ベシクルおよび多層ベシクルなどの形態で投与することも可能である。いろいろな燐脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどを用いてリポソームを生じさせることができる。
【0155】
また、本化合物の分子を結合させたモノクローナル抗体を個々の担体として用いて本発明の化合物を送達することも可能である。また、本発明の化合物を標的可能薬剤担体としての可溶重合体と結合させおくことも可能である。そのような重合体には、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されているポリエチレンオキサイドポリリジンが含まれ得る。更に、本発明の化合物を薬剤の徐放の達成で用いるに有用な種類の生分解性重合体、例えばポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、そしてヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロック共重合体などに結合させておくことも可能である。
【0156】
本発明の化合物は前記組成物のいずれかの形態でエストロゲン受容体が媒介する障害の治療が必要とされている時にはいつでも本技術分野で確立された投薬療法に従って投与可能である。
【0157】
本製品の1日当たりの投薬量は成人1人当たり約5から約1,000mg/日に及んで幅広い範囲に渡って多様であり得る。経口投与の場合には、本組成物を、好適には、治療を受けさせるべき患者の症状に応じて投薬量を調整して、本有効成分を1.0、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、250および500ミリグラム含有する錠剤の形態で提供する。通常は、有効量の本薬剤を体重1kg当たり約0.01mg/日から体重1kg当たり約20mg/日の投薬レベルで供給する。この範囲は好適には体重1kg当たり約0.1mg/日から体重1kg当たり約10mg/日、特に体重1kg当たり約0.5mg/日から体重1kg当たり約10mg/日である。本化合物を1日当たり1から4回の計画で投与してもよい。
【0158】
本分野の技術者は投与すべき最適な投薬量を容易に決定することができ、これは使用する個々の化合物、投薬様式、製剤の濃度、投与様式および病気の状態の進行に伴って変わるであろう。加うるに、治療を受けさせる個々の患者に関連した要因の結果として投薬量を調整する必要もあり、そのような要因には、患者の年齢、体重、食事および投与時期が含まれる。
【0159】
本発明は、本発明の化合物のプロドラッグを本発明の範囲内に包含する。そのようなプロドラッグは、一般に、生体内で必要な化合物に容易に変化し得る前記化合物の機能的誘導体である。このように、本発明の治療方法では、用語「投与する」に、具体的に開示した化合物を用いるか或は具体的には開示することができなかったが患者に投与した後に生体内で指定化合物に変化する化合物を用いて記述したいろいろな障害を治療することを包含させる。適切なプロドラッグ誘導体を選択および調製する通常の手順は、例えばH.Bundgaard、Elsevier編集の「Design of Prodrugs」(1985)などに記述されている。
【0160】
以下に示す実施例は本発明の理解の補助で挙げるものであり、決して本明細書に示す請求の範囲に挙げる発明を限定することを意図するものでなく、そのように解釈されるべきでない。
【実施例1】
【0161】
1−[2−ヒドロキシ−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−フェニル]−エタノン
【0162】
【化27】

【0163】
1−(2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−エタノン(10.91g、71.7ミリモル)をアセトン(200mL)に入れることで生じさせた室温の溶液にKCO(9.9g、71.7ミリモル)に続いてSEMCl(12.7mL、71.7ミリモル)を加えた。次に、その結果として得た混合物を50℃に2時間若干加熱した。固体を濾過で除去した。その濾液に濃縮を受けさせることで粗生成物を得た後、それをシリカゲルクロマトグラフィーにかけて4:1のヘキサン:酢酸エチルを溶離剤として用いて精製することで表題の生成物を白色の固体として得た。
【0164】
HNMR(CDCl、δ)12.60(s、1H)、7.62(d、J=8.5Hz、1H)、6.62(s、1H)、6.55(d、J=8.5Hz、1H)、5.24(s、2H)、3.75(t、J=11.5Hz、2H)、2.58(s、3H)、0.95(t、J=11.5Hz、2H)、0.02(s、9H)。MS、MH、282。
【実施例2】
【0165】
5−ブロモ−2,4−ビス−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−ピリミジン
【0166】
【化28】

【0167】
5−ブロモ−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(5.6g、29.3ミリモル)をCHCl(20mL)に入れることで生じさせた室温の溶液にEtN(4.2mL、29.9ミリモル)に続いてSEMCl(4.87mL、29.9ミリモル)を加えた。その結果として得た反応混合物を4時間撹拌した。溶媒を除去することで無色の油を得た後、それをカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン:酢酸エチル(4:1の比率)を溶離剤として用いて精製することで表題の化合物を若干黄色の油として得た。
【0168】
HNMR(CDCl、δ)7.65(s、1H)、7.25(s、1H)、5.46(s、2H)、5.15(s、2H)、3.70(t、J=9.5Hz、2H)、3.62(t、J=9.5Hz、2H)、0.95(t、J=9.5Hz、4H)、0.03(s、9H)、0.02(s、9H)。
【実施例3】
【0169】
2−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−マロン酸ジエチルエステル
【0170】
【化29】

【0171】
5−ブロモ−2−メトキシ−ピリジン(16.5ミリモル、2.13mL)と臭化銅(I)(32.9ミリモル、4.72g)とマロン酸ジエチル(32.9ミリモル、5.0mL)を1,4−ジオキサン(20mL)に入れることで生じさせた室温の溶液に水素化ナトリウム(60%、36.2ミリモル、1.45g)をゆっくり添加した。添加後に結果として得た混合物を100℃に加熱して一晩撹拌した。次に、その混合物をセライトの詰め物に通すことで褐色の固体を除去した。次に、その濾液に濃縮を真空下で受けさせることで褐色の油を得た後、それをカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン:酢酸エチル(4:1〜2:1の比率)を溶離剤として用いて精製することで表題の化合物を若干黄色の油として得た。
【0172】
HNMR(CDCl、δ)8.10(s、1H)、7.74(d、J=8.5Hz、1H)、6.75(d、J=8.5Hz、1H)、4.55(s、1H)、4.25(m、4H)、3.95(s、3H)、1.25(m、6H)。MS、MH、268。
【実施例4】
【0173】
2−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−マロン酸ジエチルエステル
【0174】
【化30】

【0175】
5−ヨード−2,4−ジメトキシ−ピリミジンを出発材料として用いて実施例3に記述した手順に従うことで表題の生成物を黄色の油として調製した。
【0176】
HNMR(CDCl、δ)8.28(s、1H)、4.32(m、4H)、4.05(s、3H)、4.01(s、3H)、1.35(m、6H)。MS、MH、298。
【実施例5】
【0177】
2−[2,4−ビス−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−ピリミジン−5−イル]−マロン酸ジエチルエステル
【0178】
【化31】

【0179】
5−ブロモ−2,4−ビス−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−ピリミジンを出発材料として用いて実施例3に記述した手順に従うことで表題の生成物を黄色の油として調製した。
【0180】
HNMR(CDCl、δ)7.30(s、1H)、7.25(s、1H)、5.40(s、2H)、5.18(s、2H)、4.68(s、1H)、4.25(m、4H)、3.65(m、4H)、1.75(m、6H)、1.05(m、4H)、0.03(s、9H)、0.02(s、9H)。MS、MH、531。
【実施例6】
【0181】
(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−酢酸
【0182】
【化32】

【0183】
実施例3で調製した2−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−マロン酸ジエチルエステル(5.6g、21.0ミリモル)を2NのNaOH/THF:HO(1:1)(20mL)に溶解させた。その結果として得た混合物を還流に3時間加熱した。次に、その反応混合物を濃HClでpH=1に調整した後、室温で更に1時間撹拌した。次に、その溶液を1NのNaOHでpH=13に調整した後、エーテルを用いて抽出した。その水相を1NのHClで酸性にしてpH=5にした後、酢酸エチルを用いた抽出を実施した(3X)。次に、その有機相を一緒にして食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した後、濃縮することで表題の化合物を白色の固体として得た(2.45、70%)。
【0184】
HNMR(CDCl、δ)12.5(br、1H)、7.91(s、1H)、7.46(d、J=8.1Hz、1H)、6.62(d、J=8.1Hz、1H)、3.83(s、3H)、3.24(s、2H)。
【実施例7】
【0185】
(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−酢酸
【0186】
【化33】

【0187】
2−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−マロン酸ジエチルエステルを出発材料として用いて実施例6に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0188】
HNMR(CDCl、δ)10.3(s、br、1H)、8.15(s、1H)、4.05(s、6H)、3.48(s、2H)。
【実施例8】
【0189】
[2,4−ビス−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−ピリミジン−5−イル]−酢酸
【0190】
【化34】

【0191】
2−[2,4−ビス−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−ピリミジン−5−イル]−マロン酸ジエチルエステルを出発材料として用いて実施例6に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0192】
HNMR(CDCl、δ)9.48(br、s、1H)、7.45(s、1H)、5.45(s、2H)、5.18(s、2H)、3.98(m、2H)、3.65(m、4H)、0.98(t、J=11.5Hz、4H)、0.03(s、9H)、0.02(s、9H)。
【実施例9】
【0193】
7−メトキシ−4−メチル−3−ピリジン−4−イル−クロメン−2−オン
【0194】
【化35】

【0195】
1−(2−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−エタノン(2.1g、12.0ミリモル)と□イリジン−4−イル酢酸のHCl塩(2.0g、12.0ミリモル)をCHCl(20mL)に入れることで生じさせた室温の溶液にトリエチルアミン(3.4mL、24ミリモル)、DMAP(180mg、1.2ミリモル)およびDCC(3.71g、8ミリモル)を加えた。その混合物を一晩撹拌した後、還流に更に2時間加熱した。その結果として生じた溶液に濃縮を真空下で受けさせた後、それを〜100mLのエーテルに溶解させた。固体を濾過で除去した。次に、その濾過に濃縮を受けさせることで粗材料を得た後、それをシリカゲルクロマトグラフィーにかけてヘキサン:酢酸エチル(3:1から1:1)を溶離剤として用いて精製することで表題の生成物を白色の固体として得た(1.85g、58%)。
【0196】
HNMR(CDCl、δ)8.75(s、1H)、7.58(d、J=6.8Hz、1H)、7.25(d、J=4.32、2H)、6.90(d、J=6.8Hz、1H)、6.82(s、1H)、3.91(s、3H)、2.30(s、3H)。MS、MH、267。
【実施例10】
【0197】
4,7−ジメチル−3−ピリジン−4−イル−クロメン−2−オン
【0198】
【化36】

【0199】
1−(2−ヒドロキシ−4−メチル−フェニル)−エタノンと□イリジン−4−イル酢酸のHCl塩を出発材料として用いて実施例9に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0200】
HNMR(CDCl、δ)8.72(d、J=6.1Hz、2H)、7.52(s、1H)、7.42(d、J=8.5Hz、1H)、7.23(d、J=8.5Hz、1H)、7.20(d、J=6.1Hz、2H)、2.55(s、3H)、2.34(s、3H)。MS、MH、252、MNa、274。
【実施例11】
【0201】
7−メトキシ−4−メチル−3−(1−オキシ−ピリジン−4−イル)−クロメン−2−オン
【0202】
【化37】

【0203】
0℃のCHCl溶液にmCPBAを加えた。その反応物を室温になるまでゆっくり温めた後、飽和Naで洗浄した。その有機層にCHClを用いた抽出を3x受けさせた。その有機相を一緒にして飽和NaHCOそして食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した後、濃縮することで粗材料を得た後、それをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン:酢酸エチル(1:1から高純度の酢酸エチル)を用いて精製することで表題の生成物を白色の固体として得た。
【0204】
HNMR(CDCl、δ)8.28(d、J=7.5Hz、2H)、7.58(d、J=7.0Hz、1H)、7.26(d、J=7.5Hz、2H)、6.92(d、J=7.0Hz、1H)、6.84(s、1H)、3.98(s、3H)、2.35(s、3H)。MS、MH、284、MNa、306。
【実施例12】
【0205】
7−ヒドロキシ−4−メチル−3−ピリジン−4−イル−クロメン−2−オン
【0206】
【化38】

【0207】
7−メトキシ−4−メチル−3−ピリジン−4−イル−クロメン−2−オン(600mg、2.24ミリモル)をCHCl(10mL)に入れることで生じさせた0℃の溶液にEtSH(〜1mL)に続いてAlBr(6.74ミリモル、1.80g)を加えた。その混合物を室温になるまでゆっくり温めた後、氷冷飽和NaHCO溶液の中に注ぎ込んだ。CHClを用いた抽出を3回実施した。その有機相を一緒にして食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した後、濃縮することで粗材料を得た後、それをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン:酢酸エチル(1:1)を溶離剤として用いて精製することで表題の生成物を淡黄色の固体として得た。
【0208】
HNMR(MeOD、δ)8.61(s、br、1H)、7.72(d、J=7.5Hz、2H)、7.45(d、J=7.45Hz、2H)、7.35(d、J=5.5Hz、1H)、6.86(d、J=5.5Hz、1H)、6.72(s、1H)、2.30(s、3H)。MS、MH、254。
【実施例13】
【0209】
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−メチル−3−ピリジン−4−イル−クロメン−2−オン
【0210】
【化39】

【0211】
7−ヒドロキシ−4−メチル−3−ピリジン−4−イル−クロメン−2−オン(310mg、1.23ミリモル)をDMF(5mL)に入れることで生じさせた室温の溶液にイミダゾール(84mg、1.23ミリモル)に続いてTBDMSCl(185mg、1.23ミリモル)を加えた。その混合物を2時間撹拌した後、酢酸エチルと水の間で分離させた。その水層に酢酸エチルを用いた抽出を2x受けさせた。その有機層を一緒にして食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した後、濃縮することで粗材料を得た後、それをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン:酢酸エチル(1:1)を溶離剤として用いて精製することで表題の生成物を淡黄色の固体として得た。
【0212】
HNMR(CDCl、δ)8.68(d、J=5.8Hz、2H)、7.55(d、J=8.5Hz、1H)、7.24(d、J=5.8Hz、2H)、6.85(d、J=8.5Hz、1H)、6.81(s、1H)、2.23(s、3H)、1.05(s、9H)、0.28(s、6H)。MS、MH、382。
【実施例14】
【0213】
7−メトキシ−4−メチル−3−ピリジン−3−イル−クロメン−2−オン
【0214】
【化40】

【0215】
1−(2−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−エタノンと□イリジン−3−イル酢酸HClを出発材料として用いて実施例9に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0216】
HNMR(CDCl、δ)8.65(s、1H)、8.60(d、J=6.5Hz、1H)、7.62〜7.49(m、3H)、7.02(d、J=7.5Hz、1H)、6.15(s、1H)、3.88(s、3H)、2.48(s、3H)。MS、MH、267。
【実施例15】
【0217】
7−メトキシ−3−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−4−メチル−クロメン−2−オン
【0218】
【化41】

【0219】
1−(2−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−エタノンと(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−酢酸を出発材料として用いて実施例9に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0220】
HNMR(CDCl、δ)8.10(s、1H)、7.62(d、J=7.5Hz、1H)、7.60(d、J=7.5Hz、1H)、6.92(d、J=9.2Hz、1H)、6.85(d、J=9.2Hz、2H)、6.82(s、1H)、4.01(s、3H)、3.95(s、3H)、2.32(s、3H)。
【実施例16】
【0221】
3−(6−ヒドロキシ−ピリジン−3−イル)−7−メトキシ−4−メチル−クロメン−2−オン
【0222】
【化42】

【0223】
7−メトキシ−3−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−4−メチル−クロメン−2−オンをCHCl(5mL)に入れることで生じさせた室温の溶液にBBr(1.0N、24.2ミリモル、24mL)を滴下した。滴下後の反応物を還流に4時間若干加熱した。氷冷飽和NaHCOを用いて反応を消滅させ、CHClを用いた抽出を3x実施し、食塩水を用いた洗浄を実施し、無水NaSOを用いた乾燥を実施し、濾過を実施した後、濃縮を実施することで粗材料を得た。その粗材料に再結晶化を2:1のヘキサン:酢酸エチルを用いて受けさせることで表題の生成物を淡い赤色がかった固体として得た。
【0224】
HNMR(CDCl、δ)7.57(d、J=7.5Hz、1H)、7.42(d、J=6.5Hz、1H)、7.25(s、1H)、6.86(d、J=6.5Hz、1H)、6.80(s、1H)、6.62(d、J=7.5Hz、1H)、3.82(s、3H)、1.98(s、3H)。MS、MH、284。
【実施例17】
【0225】
3−[6−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ピリジン−3−イル]−7−メトキシ−4−メチル−クロメン−2−オン
【0226】
【化43】

【0227】
3−(6−ヒドロキシ−ピリジン−3−イル)−7−メトキシ−4−メチル−クロメン−2−オンをDMF(5mL)に入れることで生じさせた室温の溶液にイミダゾール(174mg、2.56ミリモル)に続いてTBDMSCl(384mg、2.56mL)を加えた。その結果として得た混合物を2時間撹拌した後、飽和NaHCOを用いて反応を消滅させた。その結果として生じた懸濁液に酢酸エチルを用いた抽出を3x受けさせ、それを食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した後、濃縮することで粗材料を得た後、それをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン:酢酸エチル(2:1)を溶離剤として用いて精製することで表題の生成物を淡黄色の固体として得た。
【0228】
HNMR(CDCl、δ)8.08(s、1H)、7.61(d、J=6.5Hz、1H)、7.55(d、J=7.5Hz、1H)、6.82(m、4H)、3.98(s、3H)、2.35(s、3H)、1.05(s、9H)、0.36(s、6H)。
【実施例18】
【0229】
3−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−クロメン−2−オン
【0230】
【化44】

【0231】
1−[2−ヒドロキシ−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−フェニル]−エタノンと(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−酢酸を出発材料として用いて実施例9に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0232】
HNMR(CDCl、δ)8.08(s、1H)、7.58(m、2H)、7.05(m、2H)、6.82(d、J=6.5Hz、1H)、5.28(s、2H)、3.98(s、3H)、3.76(t、J=6.5Hz、1H)、2.40(s、3H)、0.93(t、J=6.5Hz、2H)、0.00(s、9H)。
【実施例19】
【0233】
3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−7−メトキシ−4−メチル−クロメン−2−オン
【0234】
【化45】

【0235】
1−(2−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−エタノンと(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−酢酸を出発材料として用いて実施例9に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0236】
HNMR(CDCl、δ)8.15(s、1H)、7.62(d、J=7.5Hz、1H)、6.91(d、J=7.5Hz、1H)、6.88(s、1H)、4.05(s、3H)、4.00(s、3H)、3.91(s、3H)、2.25(s、3H)。MS、MH、329、MNa、351、[2M+Na]、679。
【実施例20】
【0237】
3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−クロメン−2−オン
【0238】
【化46】

【0239】
1−[2−ヒドロキシ−4−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−フェニル]−エタノンと(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−酢酸を出発材料として用いて実施例9に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0240】
HNMR(CDCl、δ)8.15(s、1H)、7.54(d、J=10.1Hz、1H)、7.05(s、1H)、7.00(d、J=10.1Hz、1H)、5.28(s、2H)、4.08(s、3H)、4.01(s、3H)、3.75(t、J=11.5Hz、2H)、2.25(s、3H)、0.98(t、J=11.5Hz、2H)、0.02(s、9H)。
【実施例21】
【0241】
4−ブロモメチル−3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−7−メトキシ−クロメン−2−オン
【0242】
【化47】

【0243】
3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−7−メトキシ−4−メチル−クロメン−2−オン(210mg、0.64ミリモル)を無水THF(5mL)に入れることで生じさせた−78℃の溶液にLiHMDS(1.0M、1.28ミリモル、1.28mL)を滴下した。その結果として生じた赤色がかった溶液を−78℃で20分間撹拌した。この溶液にNBS(114mg、0.64ミリモル)をTHF(2mL)に入れてゆっくり加えた。その反応物を−78℃で2時間撹拌した後、飽和NaHCOを用いて反応を消滅させ、室温になるまで温めた。THFを真空下で除去した後、その残留物をCHClと水の間で分離させた。その水相にCHClを用いた抽出を3回受けさせた。その有機層を一緒にして食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮することで黄色の固体を得た後、それをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン:酢酸エチル(4:1から2:1)を用いて精製することで表題の化合物を白色の固体として得た。
【0244】
HNMR(CDCl、δ)8.28(s、1H)、7.68(d、J=7.5Hz、1H)、6.95(dd、J=7.5Hz、1.5Hz、1H)、6.85(d、J=1.5Hz、1H)、4.35(abq、J=12.5Hz、2H)、4.08(s、3H)、4.00(s、3H)、3.95(s、3H)。
【実施例22】
【0245】
2,8−ジヒドロキシ−11H−6,12−ジオキサ−1,3−ジアザ−クリセン−5−オン
【0246】
【化48】

【0247】
4−ブロモメチル−3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−7−メトキシ−クロメン−2−オン(200mg、0.492ミリモル)をClCHCHCl(5mL)に入れることで生じさせた室温の溶液にBBr(1.0N、2.50ミリモル、2.5mL)を加えた。その結果として得た反応混合物を室温で30分間撹拌した後、還流に一晩加熱した。その反応物を冷却した後、溶媒を真空下で除去した。その残留物をMeOH:アセトン(〜1:1、10mL)中10%のKCOに0℃で溶解させた後、撹拌を更に2時間保持した。溶媒を蒸発させることで乾固させ、その残留物を水(15mL)に溶解させた後、希塩酸で酸性にすることでpHを約4にした。沈澱してきた褐色の固体を濾過で単離し、水で洗浄した後、乾燥させることで表題の化合物を得た。
【0248】
HNMR(d−DMSO、δ)11.6(s、1H)、8.68(s、1H)、7.58(d、J=8.5Hz、1H)、6.91(d、J=8.5Hz、1H)、6.80(s、1H)、5.74(s、2H)。
【実施例23】
【0249】
7−メトキシ−3−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−4−メチル−2H−クロメン−2−オール
【0250】
【化49】

【0251】
7−メトキシ−3−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−4−メチル−クロメン−2−オン(430mg、1.45ミリモル、1当量)をトルエン(5mL)に入れることで生じさせた溶液を100mLの3つ口丸底フラスコに入れて窒素下で−78℃に冷却した。この反応混合物に水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(1.0Mを1.5mL、ミリモル、1.1当量)を反応混合物の温度を−70℃未満に維持しながらゆっくり加えた。この反応物を1時間撹拌し、メタノール(0.5mL)を加えることで反応を消滅させた。その結果として生じた溶液をジクロロメタンで希釈し、その溶液をRochelle塩の飽和溶液で洗浄した後に食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、蒸発させることで粗化合物を黄色の固体として得た。その固体をカラムクロマトグラフィーにかけてヘキサン:酢酸エチル混合物(1:1)を用いて精製することで表題の生成物を黄色の固体として得た。
【0252】
HNMR(CDCl、δ)8.18(s、1H)、7.60(d、J=7.2Hz、1H)、7.32(d、J=8.0Hz、1H)、6.75(d、J=7.5Hz、1H)、6.62(m、1H)、6.58(s、1H)、5.86(d、J=6.5Hz、1H)、4.05(d、J=6.5Hz、1H)、4.01(s、3H)、3.82(s、3H)、2.10(s、3H)。MS、MH、282、MNa、314。
【実施例24】
【0253】
3−[6−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ピリジン−3−イル]−7−メトキシ−4−メチル−2H)−クロメン−2−オール
【0254】
【化50】

【0255】
3−[6−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ピリジン−3−イル]−7−メトキシ−4−メチル−クロメン−2−オンを出発材料として用いて実施例23に記述した手順に従うことで表題の生成物を黄色の固体として調製した。
MS、MH+、400。
【実施例25】
【0256】
3−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−2H−クロメン−2−オール
【0257】
【化51】

【0258】
3−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−クロメン−2−オンを出発材料として用いて実施例23に記述した手順に従うことで表題の生成物を黄色の固体として調製した。
【0259】
HNMR(CDCl、δ)8.18(s、1H)、7.60(m、1H)、7.29(d、J=6.0Hz、1H)、6.75(m、3H)、5.87(d、J=5.8Hz、1H)、5.20(s、2H)、3.95(s、3H)、3.71(t、J=6.5Hz、1H)、2.10(s、3H)、0.93(t、J=6.5Hz、2H)、0.00(s、9H)。
【実施例26】
【0260】
7−メトキシ−4−メチル−3−ピリジン−4−イル−2H−クロメン−2−オール
【0261】
【化52】

【0262】
7−メトキシ−4−メチル−3−ピリジン−4−イル−クロメン−2−オンを出発材料として用いて実施例23に記述した手順に従うことで表題の生成物を黄色の固体として調製した。
【0263】
HNMR(CDCl、δ)8.52(d、J=5.5Hz、2H)、7.33(d、J=5.5Hz、2H)、7.30(d、J=7.0Hz、1H)、6.62(m、2H)、5.98(s、1H)、5.92(br、s、1H)、3.85(s、3H)、2.18(s、3H)。MS、MH、270。
【実施例27】
【0264】
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニル)−4−メチル−3−ピリジン−4−イル−2H−クロメン−2−オール
【0265】
【化53】

【0266】
7−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−メチル−3−ピリジン−4−イル−クロメン−2−オンを出発材料として用いて実施例23に記述した手順に従うことで表題の生成物を黄色の固体として調製した。
【0267】
HNMR(CDCl、δ)8.48(d、J=6.5Hz、2H)、7.33(d、J=6.5Hz、2H)、7.21(d、J=7.5Hz、1H)、6.55(m、2H)、5.75(s、1H)、5.65(br、s、1H)、2.04(s、3H)、1.05(s、9H)、0.28(s、6H)。MS、MH、354。
【実施例28】
【0268】
3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−2H−クロメン−2−オール
【0269】
【化54】

【0270】
3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−7−メトキシ−4−メチル−クロメン−2−オンを出発材料として用いて実施例23に記述した手順に従うことで表題の生成物を黄色の固体として調製した。
【0271】
HNMR(CDCl、δ)8.15(s、1H)、7.28(d、J=8.5Hz、1H)、6.78(d、J=8.5Hz、1H)、6.72(d、J=6.0Hz、1H)、5.88(d、J=9.5Hz、1H)、5.20(s、2H)、4.02(s、3H)、4.00(s、3H)、3.71(t、J=9.5Hz、1H)、1.98(s、3H)、0.95(t、J=9.5Hz、2H)、0.02(s、9H)。
【実施例29】
【0272】
2−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−5−{2−[4−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−7−メトキシ−4−メチル−2H−クロメン−3−イル}−ピリジン
【0273】
【化55】

【0274】
100mLの1口丸底フラスコの中で1−(2−クロロ−エトキシ)−4−ヨード−ベンゼン(530mg、1.88ミリモル、5.0当量)をテトラヒドロフラン(5mL)に窒素下で溶解させて撹拌しそしてこの混合物を−78℃に冷却した。撹拌を5分間実施した後、n−BuLiのヘキサン溶液(2.5Mを0.75mL、1.88ミリモル、5.0当量)をシリンジ経由で加えた。次に、その反応混合物を約−78℃で30分間撹拌した。次に、実施例24と同様にして調製した3−[6−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ピリジン−3−イル]−7−メトキシ−4−メチル−2H−クロメン−2−オールのテトラヒドロフラン溶液(2mL中150mg、0.376ミリモル、1当量)を加え、冷却用浴を取り外した後、その反応混合物を一晩かけて室温になるまで温めた。約18時間後の反応物に飽和酢酸アンモニウム溶液を加えることで処理を実施した後、エチルエーテルを用いた抽出を実施した。その有機抽出液を一緒にして食塩水そして水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、蒸発させることで粘性のある半固体状残留物を得た。この固体に室温で0.2mLのHClを10mLのトルエンに入れて加えた。この混合物を室温で2時間撹拌した。この反応物を重炭酸ナトリウムで洗浄した後、酢酸エチルを用いて3回抽出することで処理した。その有機抽出液を一緒にして水そして食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、蒸発させることで褐色の油を得た。シリカゲルを用いたクロマトグラフィーで1:1のヘキサン:酢酸エチルを溶離剤として用いて溶離させることで表題の生成物を白色の半固体状発泡体として単離した。
【0275】
HNMR(CDCl、δ)7.75(s、1H)、7.15(d、J=6.5Hz、1H)、7.10(d、J=8.5Hz、2H)、7.01(d、J=6.5Hz、1H)、6.60(d、J=8.5Hz、2H)、6.55(d、J=6.5Hz、1H)、6.25(d、J=7.1Hz、1H)、6.11(s、1H)、5.61(s、1H)、4.02(t、J=9.5Hz、2H)、3.78(s、3H)、3.55(t、J=9.5Hz、2H)、1.95(s、3H)、0.78(s、3H)、0.02(s、6H)。MS、MH、424。
【実施例30】
【0276】
5−[2−[4−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−2H−クロメン−3−イル]−2−メトキシ−ピリジン
【0277】
【化56】

【0278】
3−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−2H−クロメン−2−オールを出発材料として用いて実施例29に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0279】
HNMR(CDCl、δ)8.00(s、1H)、7.35−7.15(m、6H)、6.80(d、J=6.5Hz、2H)、6.70(m、2H)、6.50(s、1H)、5.70(s、1H)、5.18(s、2H)、4.15(t、J=4.5Hz、2H)、3.90(s、3H)、3.75(t、J=6.5Hz、2H)、2.10(s、3H)、1.25(t、J=4.5Hz、2H)、0.95(t、J=6.5Hz、2H)、0.00(s、9H)。
【実施例31】
【0280】
5−[2−[4−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−2H−クロメン−3−イル]−2,4−ジメトキシ−ピリミジン
【0281】
【化57】

【0282】
3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−2H−クロメン−2−オールを出発材料として用いて実施例29に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0283】
HNMR(CDCl、δ)7.82(s、1H)、7.27(d、J=6.5Hz、1H)、7.22(d、J=9.5Hz、2H)、6.82(d、J=9.5Hz、2H)、6.62(d、J=6.5Hz、1H)、6.48(s、1H)、5.85(s、1H)、5.21(s、2H)、4.15(t、J=8.5Hz、2H)、4.03(s、3H)、4.01(s、3H)、3.76(t、J=10.5Hz、2H)、3.70(t、J=10.5Hz、2H)、1.99(s、3H)、0.95(t、J=8.5Hz、2H)、0.03(s、9H)。MS、MH、586。
【実施例32】
【0284】
4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−3−ピリジン−4−イル−2H−クロメン−7−オール
【0285】
【化58】

【0286】
4−[2−(ピペリジン−1−イル)−エトキシ]−ヨードベンゼン(2.56g、7.73ミリモル、3当量)をテトラヒドロフラン(10mL)に入れることで生じさせた−78℃の溶液にアルゴン下でイソプロピルマグネシウムブロマイド(2.13Mを3.6mL、7.73ミリモル、3当量)を滴下した。次に、この反応混合物を約−78℃で2時間撹拌した。次に、実施例27と同様に調製した7−(t−ブチル−ジメチル−シラニル)−4−メチル−3−ピリジン−4−イル−2H−クロメン−2−オールのテトラヒドロフラン溶液(5mL中950mg、2.58ミリモル、1当量)を加え、冷却用浴を取り外した後、その反応混合物を一晩かけて室温になるまで温めた。約18時間後の反応物に飽和酢酸アンモニウム溶液(15mL)を加えることで処理を実施した後、エチルエーテルを用いた抽出を実施した(2x)。その有機抽出液を一緒にして食塩水そして水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、蒸発させることで粘性のある半固体状残留物を得た。この固体をTHFに入れて、これに室温で0.5mLのHClをMeOHに入れて加えた。この混合物を30分間撹拌し、飽和NaHCOで反応を消滅させた後、CHClと水の間で分離させた。その水層にCHClを用いた抽出を3x受けさせた。その有機相を一緒にして食塩水で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した後、濃縮することで粗材料を得た。シリカゲルを用いたクロマトグラフィーで3%メタノール/ジクロロメタンを用いて溶離させることで表題の化合物を粘性のある無色の半固体状発泡体として単離した。
【0287】
HNMR(CDCl、δ)7.45(d、J=6.4Hz、1H)、7.25(d、J=8.5Hz、2H)、7.15(d、J=8.0Hz、2H)、6.81(d、J=8.0Hz、2H)、6.62(d、J=8.5Hz、2H)、6.40(d、J=6.4Hz、1H)、6.25(s、1H)、5.78(s、1H)、4.05(t、J=9.5Hz、2H)、2.73(t、J=9.5Hz、2H)、2.55(m、4H)、2.08(s、3H)、1.55〜1.45(m、6H)。MS、MH、443。
【実施例33】
【0288】
2−メトキシ−5−{7−メトキシ−4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−3−イル}−ピリジン
【0289】
【化59】

【0290】
7−メトキシ−3−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−4−メチル−2H−クロメン−2−オールを出発材料として用いて実施例32に記述した手順に従うことで表題の生成物を淡黄色の固体として調製した。
【0291】
HNMR(CDCl、δ)7.98(s、1H)、7.55(d、J=5.5Hz、1H)、7.32(d、J=5.5Hz、1H)、7.20(d、J=8.5Hz、2H)、7.05(d、J=5.5Hz、1H)、6.70(d、J=8.5Hz、2H)、6.58(d、J=6.5Hz、1H)、6.32(s、1H)、5.78(s、1H)、4.10(t、J=10.5Hz、2H)、3.95(s、3H)、3.78(s、3H)、2.75(t、J=10.5Hz、2H)、2.55(m、4H)、2.10(s、3H)、1.75(m、6H)。MS、MH、487、MNa、509。
【実施例34】
【0292】
5−[7−メトキシ−4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−3−イル}−ピリジン−2−オール
【0293】
【化60】

【0294】
DMF(2mL)中(80mg、0.15ミリモル、1.0当量)に触媒量のKI(15mg、0.09ミリモル、0.6当量)およびピペリジン(30mg、0.30ミリモル、2.0当量)を加えた。この反応混合物を50℃に2時間加熱した。CHClおよび水を加え、有機層を分離した後、水層にジクロロメタンを用いた再抽出を受けさせた。その有機抽出液を一緒にして食塩水で洗浄し、乾燥(無水硫酸ナトリウム)させ、濾過した後、真空下で蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用クロマトグラフィーにかけて2%メタノール/ジクロロメタンを溶離剤として用いて精製することで表題の生成物を結晶性固体として得た。
【0295】
HNMR(CDCl、δ)8.01(s、1H)、7.81(d、J=6.5Hz、1H)、7.42(d、J=6.5Hz、1H)、7.30(d、J=7.5Hz、1H)、7.20(d、J=7.5Hz、2H)、6.68(d、J=7.5Hz、2H)、6.42(d、J=6.5Hz、1H)、6.25(s、1H)、5.72(s、1H)、4.23(t、J=9.5Hz、2H)、3.98(s、3H)、3.68(t、J=9.5Hz、2H)、2.70(m、4H)、2.15(s、3H)、1.68(m、6H)。MS、MH、473、MNa、495。
【実施例35】
【0296】
3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オール
【0297】
【化61】

【0298】
5−[2−[4−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−2H−クロメン−3−イル]−2,4−ジメトキシ−ピリミジンとピペリジンを出発材料として用いて実施例34に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0299】
HNMR(CDCl、δ)7.82(br、s、1H)、7.24(d、J=8.2Hz、1H)、7.18(d、J=8.0Hz、1H)、6.80(d、J=8.2Hz、2H)、6.48(d、J=8.0Hz、1H)、6.18(s、1H)、5.78(s、1H)、4.18(t、J=9.5Hz、2H)、4.05(s、3H)、3.98(s、3H)、2.95(t、J=9.5Hz、2H)、2.75(m、4H)、1.98(s、3H)、1.68(m、6H)。MS、MH、504、MNa、526。
【実施例36】
【0300】
2−[4−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニル]−3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−4−メチル−2H−クロメン−7−オール
【0301】
【化62】

【0302】
5−[2−[4−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−2H−クロメン−3−イル]−2,4−ジメトキシ−ピリミジンとジエチルアミンを出発材料として用いて実施例34に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0303】
HNMR(CDCl、δ)7.82(s、1H)、7.25(d、J=7.5Hz、2H)、7.15(s、1H)、6.72(d、J=7.5Hz、2H)、6.52(d、J=6.5Hz、1H)、6.48(d、J=6.5Hz、1H)、6.28(s、1H)、5.75(s、1H)、4.05(s、3H)、4.01(s、3H)、4.08(t、J=9.5Hz、2H)、2.95(t、J=9.5Hz、2H)、2.60(q、J=10.5Hz、4H)、1.95(s、3H)、1.15(t、J=10.5Hz、6H)。MS、MH、492、MNa、514。
【実施例37】
【0304】
3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−4−メチル−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オール
【0305】
【化63】

【0306】
5−[2−[4−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−2H−クロメン−3−イル]−2,4−ジメトキシ−ピリミジンとピロリジンを出発材料として用いて実施例34に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0307】
HNMR(CDCl、δ)7.72(s、1H)、7.25(d、J=10.5Hz、2H)、7.18(d、J=8.5Hz、1H)、6.85(d、J=10.5Hz、2H)、6.38(d、J=8.5Hz、1H)、6.12(s、1H)、5.78(s、1H)、4.25(t、J=10.5Hz、2H)、4.01(s、3H)、3.95(s、3H)、3.51(t、J=10.5Hz、2H)、3.30(m、4H)、2.10(m、4H)、1.96(s、3H)。MS、MH、490、MNa、512。
【実施例38】
【0308】
3−(2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル)−4−メチル−2−[4−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オール
【0309】
【化64】

【0310】
5−[2−[4−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−2H−クロメン−3−イル]−2,4−ジメトキシ−ピリミジンとモルホリンを出発材料として用いて実施例34に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0311】
HNMR(CDCl、δ)7.80(s、1H)、7.23(d、J=6.5Hz、2H)、7.10(s、1H)、6.72〜6.48(m、4H)、6.25(s、1H)、5.85(s、1H)、4.02(s、3H)、3.98(s、3H)、3.90(t、J=8.5Hz、2H)、3.75(d、J=9.5Hz、4H)、3.56(t、J=9.5Hz、4H)、2.90(t、J=8.5Hz、2H)、2.01(s、3H)。MS、MH、506。
【実施例39】
【0312】
3−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−4−メチル−2−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オール
【0313】
【化65】

【0314】
5−[2−[4−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−2H−クロメン−3−イル]−2−メトキシ−ピリジンとピペリジンを出発材料として用いて実施例34に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0315】
HNMR(CDCl、δ)7.95(s、1H)、7.40(m、2H)、7.35−7.15(m、3H)、6.65(m、3H)、6.40(m、1H)、6.25(s、1H)、5.75(s、1H)、4.00(t、J=2.1Hz、2H)、3.90(s、3H)、2.75(m、2H)、2.60(m、4H)、2.00(s、3H)、1.65(m、4H)、1.45(m、2H)。
【実施例40】
【0316】
3−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−4−メチル−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−クロメン−7−オール
【0317】
【化66】

【0318】
5−[2−[4−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−4−メチル−7−(2−トリメチルシラニル−エトキシメトキシ)−2H−クロメン−3−イル]−2−メトキシ−ピリジンとピロリジンを出発材料として用いて実施例34に記述した手順に従うことで表題の生成物を白色の固体として調製した。
【0319】
HNMR(CDCl、δ)7.90(s、1H)、7.30−7.10(m、5H)、6.65(m、3H)、6.30(m、1H)、6.20(s、1H)、5.70(s、1H)、4.00(t、J=2.1Hz、2H)、3.90(s、3H)、2.90(m、2H)、2.60(m、4H)、2.00(s、3H)、1.75(m、4H)。
【0320】
表1に挙げる如き本発明の代表的な化合物の調製を前記スキームおよび実施例に記述した手順に従って実施した。
【0321】
【表4】

【0322】
【表5】

【0323】
【表6】

【実施例41】
【0324】
MCF−7細胞増殖検定
この検定をWelshons他(Breast Cancer Res.Treat.、1987、10(2)、169−75)に記述されている手順に従うが若干の修飾を伴わせて実施した。
【0325】
簡単に述べると、MCF−7細胞(Dr.C.Jordan、Northwestern Universityから入手)をウシインスリンおよび非必須アミノ酸(Sigma)を補充しておいたRPMI 1640培地(Gibco)[フェノールレッドが入っていない、10%FBS(Hyclone)中]で維持した。前記細胞を最初に4−ヒドロキシルタモキシフェン(10−8M)で処理した後、37℃に24時間放置した。このタモキシフェンと一緒にインキュベートした後の細胞に化合物をいろいろな濃度で用いた処理を受けさせた。
【0326】
化合物に試験を作動薬様式で受けさせる場合、それを前記培養培地にいろいろな濃度で加えた。化合物に試験を拮抗薬様式で受けさせる場合にもそれを同様に調製したが、培養培地にまた10nMの17βエストラジールも添加した。細胞を37℃で24時間インキュベートした。このインキュベーション後の培養培地に14C−チミジン(56mCi/ミリモル、Amersham)を0.1□Ci加えた後、細胞を37℃で更に24時間インキュベートした。次に、その細胞をHankの緩衝塩溶液(HBSS)(Gibco)で2回洗浄した後、シンチレーションカウンターを用いて計数を実施した。当該化合物で処理した細胞が示す14C−チミジン増加度(媒体対照細胞と比較)を細胞増殖増加パーセントとして報告した。
【0327】
本発明の代表的な化合物に試験を前記手順に従って受けさせた時の結果は表2に示す如くであった。
【0328】
【表7】

【実施例42】
【0329】
ヒト子宮内膜Ishikawa細胞におけるアルカリ性ホスファターゼ検定
この検定をAlbert他、Cancer Res、(9910)、50(11)、330−6−10に記述されている手順に従うが若干の修飾を伴わせて実施した。
【0330】
Ishikawa細胞(ATCCから入手)をウシ血清(Hyclone)を10%補充しておいたDMEM/F12(1:1)培地(Gibco)[フェノールレッドが入っていない]で維持した。試験の24時間前に培地をウシ血清含有量が2%のDMEM/F12(1:1)[フェノールレッドが入っていない]と交換した。
【0331】
化合物に試験を作動薬様式で受けさせる場合、それを前記培養培地にいろいろな濃度で加えた。化合物に試験を拮抗薬様式で受けさせる場合にもそれを同様に調製したが、培養培地にまた10nMの17βエストラジールも添加した。次に、細胞を37℃で3日間インキュベートした。4日目に培地を除去して、穴に1Xの希釈用緩衝液(Clontech)を1倍の体積で加えた後、検定用緩衝液(Clontech)を1倍の体積で加えた。次に、細胞を室温で5分間インキュベートした。新しく調製した化学発光用緩衝液[1体積の化学発光基質(CSPD)が19体積の化学発光増強剤にCSPDの最終濃度が1.25mMになるように入っている;Sigma Chemical Co.]を1倍の体積で加えた。その細胞を室温で10分間インキュベートした後、照度計を用いてそれを量化した。媒体対照と比べた時の化学発光増加度を用いてアルカリ性ホスファターゼ活性の増加度を計算した。
【0332】
本発明の代表的な化合物に試験を前記手順に従って受けさせた時の結果は表3に示す如くであった。
【0333】
【表8】

【実施例43】
【0334】
経口用組成物の具体的な態様として、実施例11と同様にして調製した化合物11を100mg用いて、これをサイズOの硬質ゲル製カプセルを満たす総量である580から590mgになるに充分な量の微細ラクトースと一緒に配合する。
【0335】
この上に示した明細に説明の目的で与えた実施例を伴わせて本発明の原理を教示してきたが、本発明の実施は本請求項およびこれらの相当物の範囲内に入る如き通常の変形、応用形および/または修飾形の全部を包含することは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
【化2】

は、単もしくは二重結合を表し、
Xは、OおよびSから成る群から選択され、
【化3】

は、窒素原子を1から2個含有する6員のヘテロアリール環構造であり、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリール−アルキルから成る群から選択され、ここで、前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、−SH、−S(アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−OR、−SO−NR、−NR、NR−SO−R、−(アルキル)0−4−C(O)NR、(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル−アルキルから成る群から選択され、ここで、前記シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、−SH、−S(アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−SO−NR、NR、NR−SO−R、−(アルキル)0−4−C(O)−NR、−(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Qは、O、S、NH、N(アルキル)および−CH=CH−から成る群から選択され、
およびRは、各々独立して、水素およびアルキルから成る群から選択されるか、あるいは、RとRはこれらが結合している窒素原子と一緒になってヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルから成る群から選択される4から8員の環を形成しており、ここで、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル−アルキルから成る群から選択され、ここで、前記シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
は、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−アルキルから成る群から選択され、ここで、前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、−SH、−S(アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−OR、−SO−NR、−NR、NR−SO−R、−(アルキル)0−4−C(O)NR、(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいか、
あるいは、RとRは、これらが結合している炭素原子と一緒になってC(O)を形成しており、
nは、0−4から選択される整数であり、
各Rは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、R、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、SO、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−N(R)C(O)R、−OSi(R−OR、−SON(R、−O−(アルキル)1−4−C(O)Rおよび−O−(アルキル)1−4−C(O)ORから成る群から選択され、
各Rは、独立して、水素、アルキル、アリール、アラルキルおよび1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オンから選択され、ここで、前記アルキル、アリールまたはアラルキル基は場合によりアルキル、ハロゲン置換アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、−OC(O)−アルキルまたは−C(O)O−アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいか、
あるいは、2つのR基がこれらが結合している窒素原子と一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成しており、ここで、前記ヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
mは、0−4から選択される整数であり、
各Rは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、R、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、SO、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−N(R)C(O)R、−OSi(R−OR、−SON(アルキル)、−O−(アルキル)1−4−C(O)Rおよび−O−(アルキル)1−4−C(O)ORから成る群から選択され、
は、水素、アルキル、ハロゲン置換アルキル、アリール、アラルキルから成る群から選択されるか、あるいは、
とRが一緒になって6員環を形成しているが、但し
【化4】

が二重結合であり、XがOであり、
【化5】

が窒素原子を1から2個含有する6員のヘテロアリール環構造でありそしてRとRがこれらが結合している炭素原子と一緒になってC(O)を形成している時にはnまたはmの少なくとも一方が1から4から選択される整数であることを条件とし、
【化6】

が単結合であり、XがOであり、
【化7】

が窒素原子を1から2個含有する6員のヘテロアリール環構造であり、Rが水素でありそしてRがアルキルの時にはnまたはmの少なくとも一方が1から4から選択される整数であることをさらなる条件とし、
【化8】

が単結合であり、XがOであり、
【化9】

が窒素原子を1から2個含有する6員のヘテロアリール環構造であり、Rが水素であり、Rがアルキルであり、nが1でありそしてmが1の時にはRおよびRがメトキシでもエトキシでもないことをさらなる条件とし、
【化10】

が二重結合であり、XがOであり、
【化11】

が窒素原子を1から2個含有する6員のヘテロアリール環であり、RとRがこれらが結合している炭素原子と一緒になってC(O)を形成しており、nが0でありそしてmが2の時には各Rがヒドロキシでもアルコキシでもないことをさらなる条件とし、
【化12】

が二重結合であり、XがOであり、
【化13】

が窒素原子を1から2個含有する6員のヘテロアリール環構造であり、RとRがこれらが結合している炭素原子と一緒になってC(O)を形成しており、RとRが一緒になって6員環になっている時にはnまたはmの少なくとも一方が1から4から選択される整数であることをさらなる条件とする]
で表される化合物およびこれの製薬学的に受け入れられる塩。
【請求項2】
【化14】

がピリジニル、オキシ−ピリジニル、ピリミジニル、オキシ−ピリミジニル、ピラジニルおよびオキシ−ピラジニルから成る群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が水素、低級アルキル、アリールまたはアラルキルから成る群から選択され、ここで、前記アリールまたはアラルキル基が場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、NO、CNおよびCOHから独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項4】
がヒドロキシ、低級アルキル、アリールまたはアラルキルから成る群から選択され、ここで、前記アリールまたはアラルキルが場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、NO、CN、COH、R、−OR、−NR、−(アルキル)0−4−C(O)NRおよび−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NRから独立して選択される1から2個の置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物。
【請求項5】
とRがこれらが結合している炭素原子と一緒になってC(O)を形成している請求項1記載の化合物。
【請求項6】
がハロゲン、ヒドロキシ、R、アミノ、(低級アルキル)−アミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−OSi(R−OR、−O−(アルキル)1−4−C(O)Rおよび−O−(アルキル)1−4−C(O)ORから成る群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項7】
がハロゲン、ヒドロキシ、R、アミノ、(低級アルキル)−アミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−OSi(R−OR、−O−(アルキル)1−4−C(O)Rおよび−O−(アルキル)1−4−C(O)ORから成る群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項8】
が水素、低級アルキル、ハロゲン置換アルキル、アリール、アラルキルから成る群から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項9】
下記の式:
【化15】

で表される請求項1記載の化合物。
【請求項10】
製薬学的に受け入れられる担体と請求項1記載の化合物を含んで成る製薬学的組成物。
【請求項11】
エストロゲン受容体が媒介する障害の治療を必要としている被験体におけるそれを治療する方法であって、前記被験体に請求項1記載の化合物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方法。
【請求項12】
エストロゲン受容体が媒介する前記障害がのぼせ、膣乾燥、オステオペニア、骨粗鬆症、高脂血症、認識機能の損失、変性脳病、心臓血管病、脳血管病、乳房組織の癌、乳房組織の過形成、子宮内膜の癌、子宮内膜の過形成、頸部の癌、頸部の過形成、前立腺の癌、前立腺の過形成、子宮内膜症、子宮筋腫、変形性関節症および避妊から成る群から選択される請求項11記載の方法。
【請求項13】
エストロゲン受容体が媒介する前記障害が骨粗鬆症、のぼせ、膣乾燥、乳癌および子宮内膜症から成る群から選択される請求項11記載の方法。
【請求項14】
エストロゲン受容体が媒介する障害の治療を必要としている被験体におけるそれを治療する方法であって、前記被験体に請求項10記載の組成物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る方法。
【請求項15】
避妊方法であって、治療的に有効な量の式(I)で表される化合物とプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗薬を用いた共治療を含んで成る方法。

【公表番号】特表2008−528496(P2008−528496A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552265(P2007−552265)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/001928
【国際公開番号】WO2006/078834
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】