説明

エストロゲン受容体の調節剤として有用なスピロ−ベンゾ[c]クロメン誘導体

本発明は、新規なスピロ−ベンゾ[C]クロメン誘導体、それらを含有する製薬学的組成物および1種もしくはそれ以上のエストロゲン受容体により介在される疾患の処置におけるそれらの使用に関する。本発明の化合物は、例えばのぼせ、膣乾燥、オステオペニアおよび骨粗鬆症の如きエストロゲンの枯渇に伴う疾患;乳房、子宮内膜、子宮頸部および前立腺のホルモン敏感性の癌および過形成;子宮内膜症、子宮筋腫、変形性関節症の処置において、そして単独でのまたはプロゲストゲンもしくはプロゲストゲン拮抗物質と組み合わせての避妊剤として、有用である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願のクロス・リファレンス】
【0001】
本出願は、引用することにより本発明の内容となる、2004年7月19日に出願された米国特許暫定出願第60/560,753号の権利を主張する。
【技術分野】
【0002】
発明の分野
本発明は、新規なスピロ−ベンゾ[c]クロメン誘導体、それらを含有する製薬学的組成物、並びにエストロゲン受容体により介在される疾患および疾病、例えばのぼせ、膣乾燥、オステオペニア、骨粗鬆症、高脂血症、認知機能の損傷、変性脳疾病、心臓血管疾病、脳血管疾病、(乳房、子宮内膜、並びに女性における子宮頸部および男性における前立腺を包含する組織中の)ホルモン敏感性癌および過形成、子宮内膜症、子宮筋腫、変形性関節症、の処置または予防における、並びに単独でのまたはプロゲストゲンもしくはプロゲストゲン拮抗物質と組み合わせた避妊剤としてのそれらの使用に関する。本発明の化合物は選択的なエストロゲン受容体調節剤である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
エストロゲン類は、生殖工程並びに子宮、乳房、および思春期に伴う他の身体的変化の発達にとって必須な女性ホルモン類の一群である。エストロゲン類は女性の身体を介して種々の組織に、例えば子宮、乳房、および外性器の如き生殖工程に関連するものだけでなく、中枢神経系、骨、肝臓、皮膚、および尿路中の組織にも影響を有する。卵巣が女性の体内のエストロゲン類のほとんどを生成する。
【0004】
内因性エストロゲン類、例えば17β−エストラジオールおよびエストロンは女性生殖器官、乳腺、および他の性的特徴の発達および維持において中心的な役割を演ずる。女性の性ホルモンとしてのそれらの役割の他に、エストロゲン類は多くの他の組織、例えば心臓血管系、中枢神経系、および骨格の成長および機能に、女性および男性の両方で関連する。女性の生殖系の発達におけるエストロゲン類の重要性が、エストロゲン受容体、例えば避妊薬および乳癌の処置剤と相互作用する種々の化合物の開発をもたらした。さらに最近では、閉経後症状、例えばオステロポローシス、冠状動脈疾病、鬱病およびアルツハイマー病の処置および予防のための選択的なエストロゲン受容体調節剤に大きな関心が集中してきた。
【0005】
閉経は卵胞機能の損失による月経の永続的停止およびエストロゲン生成の大方の停止として定義される。更年期は、血管運動、尿生殖器、心臓血管、骨格および中枢神経系での短期的および長期的徴候、例えばのぼせ、尿生殖器萎縮症、心臓血管疾病の危険性増加、骨粗鬆症、認知疾患およびアルツハイマー病(AD)の危険性増加を包含する認知性および心理的障害を誘発するエストロゲンの減少により特徴づけられる。
【0006】
全ての女性の75%が、例えば身体発汗およびのぼせの如き閉経開始に伴う血管運動徴候の何かの発生を経験する。これらの病訴は閉経前の数年間に始まることもありそして一部の女性では10年以上にわたり比較的一定にまたは定義できる誘因なしの緊急発作として持続しうる。
【0007】
膣に関連する閉経開始に伴う尿生殖器徴候は乾燥感、焼けるような感じ、痒み、性交時疼痛、表面出血および分泌を、萎縮および狭窄と一緒に包含する。尿管に関連する徴候は、排尿中の焼けるような感じ、頻尿、反復する尿管感染症、および尿失禁を包含する。これらの徴候は閉経時に近い全ての女性の50%までに起きることが報告されておりそして閉経後数年間に比較的頻繁に起きる。未処置の場合には、問題は永続しうる。
【0008】
心臓発作および衝撃は老人女性における罹病率および死亡率の主要原因である。これらの疾病からの女性の罹病率は閉経後に急速に増加する。早期閉経を受けた女性は同年齢の月経のある女性より大きな冠状危険性がある。血清エストロゲンの存在は血清脂質に対する陽性影響を有する。ホルモンは血管の拡張を促進し、そして新血管の形成を増加する。それ故、閉経女性における血清エストロゲン水準の低下は心臓血管への悪影響をもたらす。さらに、血管が凝固する能力における差異が閉経前後の心臓疾病の発生における観察された差異を説明しうる。
【0009】
骨格は骨細胞間の注意深く調節された相互作用における骨退化および再生の連続的工程下にある。これらの細胞はエストロゲンにより直接影響を受ける。エストロゲン不足は骨構造の損傷および骨強度の低下をもたらす。閉経の翌年中の骨質量の急速な損失は閉経後骨粗鬆症および骨折の危険性増加をもたらす。
【0010】
エストロゲン不足は中枢神経系における退化性変化の原因の1つでもありそしてアルツハイマー病および認知衰退をもたらしうる。最近の証明は、エストロゲン、閉経および認知の間の関連性を示唆している。より特に、エストロゲン置換療法および女性におけるエストロゲンの使用がADの進行を予防しそして認知機能を改良しうることが報告された。
【0011】
ホルモン置換療法(HRT)−より具体的にはエストロゲン置換療法(ERT)−は閉経に伴う医学的問題を処理するために、そしてまた予防および治療方法の両方で骨粗鬆症および一次的心臓血管合併症(例えば冠状動脈疾病)の防止を助けるために、処方される。そういうものとして、HRTは閉経後女性の平均寿命を延ばしそしてより良好な生活の質を提供するための医学的療法であると考えられる。
【0012】
ERTは更年期徴候および尿生殖器徴候を効果的に緩和しそして閉経後女性における心臓疾病の予防および処置における有意な利点を示す。臨床報告は、ERTを受容した集団対ERTを受容しなかった同様な集団ではERTが心臓発作割合および死亡率割合を低下させたことを示した。閉経直後に開始されたERTは数年間にわたり骨質量の維持を助けうる。管理された研究(controlled investigations)は、ERTを用いる処置が75歳までの老人女性においても陽性効果を有することを示した。
【0013】
しかしながら、患者のコンプライアンスを低下させるERTに伴う多くの望ましくない影響がある。静脈血栓塞栓症、胆嚢疾病、月経の再開、乳房痛並びに子宮および/または乳房癌の進行可能危険性増加がERTに伴う危険性である。ERTを処方された女性の30%までは処方を遂行せず、そして停止割合は38%〜70%の間であり、安全問題並びに副作用(鼓張および突破出血)が停止に関する最も重要な理由である。
【0014】
選択的なエストロゲン受容体調節剤すなわちSERM類として知られる薬理学的剤の新種がHRTの代替法として企画されそして開発された。非ステロイド性ベンゾチオフェンSERMであるラロキシフェン(Raloxifene)は米国および欧州でエビスタ(Evista)(R)の商標で骨粗鬆症の予防および処置のために販売されている。ラロキシフェンは子宮内膜および乳房組織を有害に刺激せずに骨損傷を減少させそして骨折を予防することが示されたが、ラロキシフェンは骨損傷に対して保護するためにはERTより幾分効果が少ない。ラロキシフェンはそれが子宮内膜を刺激せずそして乳癌を予防する能力を有する点で特異的でありそしてERTとは有意に異なる。ラロキシフェンは、より具体的にはラロキシフェンで処置される患者における合計および低密度リポ蛋白質コレステロール水準における急速で且つ持続する減少により、心臓血管危険性因子に対する有利なエストロゲン作用物質効果も示す。さらに、ラロキシフェンは動脈硬化および血栓塞栓疾病に関する独立危険性因子であるホモシステインの血漿濃度を減ずることも示した。
【0015】
しかしながら、ラロキシフェンは閉経に伴う徴候、例えばのぼせおよび膣乾燥を悪化させることが報告されており、そして老人患者における認知機能を改良しない。ラロキシフェンを摂取する患者はプラセーボまたはERT使用者のいずれかと比べて高い割合ののぼせをそしてプラセーボ使用者より多い足の痙攣を報告したが、ERTを摂取した女性はラロキシフェンまたはプラセーボ使用者より高い膣出血および乳房不快感の発生を有した。
【0016】
今までのところ、ラロキシフェンまたは他の現在入手可能なSERM化合物のいずれも、例えば子宮内膜および乳癌の危険性増加並びに出血の如き悪い副作用を引き起こさずに、例えば閉経後症候群を抑制しそしてADを予防するような現在入手可能なERTの全ての利点を与える能力を有することは示されなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
それ故、選択的なエストロゲン受容体調節剤でありそしてERTの全ての利点を与えながら、閉経に伴う全身的なエストロゲンにおける減少に伴う血管運動、尿生殖器および認知疾患または症状も処理する化合物に関する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
発明の要旨
本発明は、式(I)
【0019】
【化1】

【0020】
[式中、
【0021】
【化2】

【0022】
は単結合または二重結合を表し、
X、YはO、S、SOおよびSOよりなる群から選択され、
ZはOおよびSよりなる群から選択され、
は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリール−アルキルよりなる群から選択され、ここでシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、−SH、−S(アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−OR、−SO−NR、−NR、NR−SO−NR、−(アルキル)0−4−C(O)NR、(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、
ここでRはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル−アルキルよりなる群から選択され、ここでシクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、−SH、−S(アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−SO−NR、NR、NR−SO−R、−(アルキル)0−4−C(O)−NR、−(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、
ここでQはO、S、NH、N(アルキル)および−CH=CH−よりなる群から選択され、
ここでRおよびRは各々独立して水素およびアルキルよりなる群から選択され、或いはRおよびRはそれらが結合される窒素原子と一緒になってヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルよりなる群から選択される4〜8員の環を形成し、ここでヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、
ここでRは水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル−アルキルよりなる群から選択され、ここでシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、
はヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリール−アルキルよりなる群から選択され、ここでシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、−SH、−S(アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−OR、−SO−NR、−NR、NR−SO−R、−(アルキル)0−4−C(O)NR、(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、
或いは、RおよびRはそれらが結合される炭素原子と一緒になってC(O)を形成し、
mは0〜4から選択される整数であり、
はハロゲン、ヒドロキシ、R、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、SO、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−N(R)C(O)R、−OSi(R−OR、−SON(R、−O−(アルキル)1−4−C(O)Rおよび−O−(アルキル)1−4−C(O)ORよりなる群から独立して選択され、
ここで各Rは水素、アルキル、アリール、アラルキルおよび1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オンから独立して選択され、ここでアルキル、アリールまたはアラルキル基は場合によりアルキル、ハロゲン化されたアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、−OC(O)−アルキルまたは−C(O)O−アルキルから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、
或いは2個のR基はそれらが結合される窒素原子と一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し、ここでヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、
lは0、1から選択される整数である]
の化合物に関する。
【0023】
一面では、本発明は製薬学的に許容可能な担体およびいずれかの上記化合物を含んでなる製薬学的組成物である。第二の面では、本発明はいずれかの上記化合物および製薬学的に許容可能な担体を混合することにより製造される製薬学的組成物である。別の面では、本発明はいずれかの上記化合物および製薬学的に許容可能な担体を混合することを含んでなる製薬学的組成物の製造方法である。
【0024】
本発明は、また、処置を必要とする患者に治療的に有効な量の上記の化合物または製薬学的組成物のいずれかを投与することを含んでなる、患者において1種もしくはそれ以上のエストロゲン受容体により介在される疾患の処置する方法も提供する。
【0025】
本発明のこの面の1つの態様は、処置を必要とする患者に治療的に有効な量の式(I)の化合物をプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗物質と共に用いる同時療法を行うことを含んでなる避妊方法である。
【0026】
本発明は、また、処置を必要とする患者における(a)のぼせ、(b)膣乾燥、(c)オステオペニア、(d)骨粗鬆症、(e)高脂血症、(f)認知機能の損傷、(g)変性脳疾病、(h)心臓血管疾病、(i)脳血管疾病、(j)乳癌、(k)子宮内膜癌、(l)子宮頸部癌、(m)前立腺癌、(n)良性前立腺過形成、(o)子宮内膜症、(p)子宮筋腫、(q)変形性関節症を処置するため、並びに(r)避妊のための薬品の製造におけるここに記載されたいずれかの化合物の使用にも関する。
【0027】
発明の詳細な記述
本発明は、エストロゲンにより介在される疾患の処置に有用な、式(I)
【0028】
【化3】

【0029】
[式中、X、Y、Z、R、R、R、m、およびlは本明細書において定義された通りである]
の化合物に関する。より特に、本発明の化合物はエストロゲン−αおよびエストロゲン−β受容体により介在される疾患の処置および予防に有用である。より好ましくは、本発明の化合物は組織選択的エストロゲン受容体調節剤である。
【0030】
本発明の化合物は、エストロゲンの枯渇に伴う疾患、ホルモン敏感性の癌および過形成、子宮内膜症、子宮筋腫、変形性関節症の処置において、並びに単独でのまたはプロゲストゲンもしくはプロゲストゲン拮抗物質と組み合わせての避妊剤として有用である。
【0031】
より特に、本発明の化合物はのぼせ、膣乾燥、オステオペニア、骨粗鬆症、高脂血症、認知機能の損傷、変性脳疾病、心臓血管疾病、脳血管疾病、乳房組織の癌または過形成、子宮内膜の癌または過形成、子宮頸部の癌または過形成、前立腺の癌または過形成、子宮内膜症、子宮筋腫および変形性関節症よりなる群から選択される症状または疾患の処置において、並びに避妊剤として有用である。好ましくは、疾患は骨粗鬆症、のぼせ、膣乾燥、乳癌、および子宮内膜症よりなる群から選択される。
【0032】
式(I)の化合物において、基RおよびRの相対的な配向が固定されることは意図されず、むしろ基の2つの可能な配向が式(I)の化合物の定義内に包含されることが意図される。
【0033】
本発明の態様には、XがSであり、YがSでありそしてZがOである式(I)の化合物がある。本発明の別の態様には、XがOであり、YがOでありそしてZがOである式(I)の化合物がある。
【0034】
本発明の態様では、Rは水素および低級アルキルよりなる群から選択される。好ましくは、Rは水素である。
【0035】
本発明の態様では、Rは水素でありそしてRはR立体−配置である。本発明の別の態様では、Rは水素でありそしてRはS立体−配置である。
【0036】
本発明の態様では、Rは水素、低級アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリール−(低級アルキル)よりなる群から選択され、ここでアリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−(低級アルキル)基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、−SH、−S(低級アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−OR、−SO−NR、−NR、NR−SO−NR、−(アルキル)0−4−C(O)NR、(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
【0037】
好ましくは、Rは水素、低級アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリール−(低級アルキル)よりなる群から選択され、ここでアリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−(低級アルキル)基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、−SH、−S(低級アルキル)、SO、NO、CN、COH、RまたはNRから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい。より好ましくは、Rは水素および低級アルキルよりなる群から選択される。さらにより好ましくは、Rは水素およびメチルよりなる群から選択される。
【0038】
本発明の態様では、Rは低級アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(低級アルキル)、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル−(低級アルキル)よりなる群から選択され、ここでアリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(低級アルキル)、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル−(低級アルキル)基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、−SH、−S(アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−SO−NR、NR−SO−R、−(アルキル)0−4−C(O)NR、−(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
【0039】
好ましくは、Rは低級アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(低級アルキル)、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル−(低級アルキル)よりなる群から選択され、ここでアリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(低級アルキル)、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル−(低級アルキル)基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、−SH、−S(アルキル)、SO、NO、CN、COH、RまたはNRから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
【0040】
本発明の態様では、QはO、Sおよび−CH=CH−よりなる群から選択される。好ましくは、QはOおよび−CH=CH−よりなる群から選択され、より好ましくはQはOである。
【0041】
本発明の態様では、RおよびRは各々独立して水素および低級アルキルよりなる群から選択される。本発明の別の態様では、RおよびRはそれらが結合される窒素原子と一緒になってヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルよりなる群から選択される5〜6員の環を形成し、ここでヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、カルボキシ、アミノ、(低級アルキル)−アミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
【0042】
本発明の態様では、Rは水素、低級アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(低級アルキル)、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル−(低級アルキル)よりなる群から選択され、ここでアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(低級アルキル)、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル−(低級アルキル)基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、カルボキシ、アミノ、(低級アルキル)−アミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
【0043】
本発明の態様では、Rはヒドロキシ、低級アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリール−(低級アルキル)よりなる群から選択され、ここでアリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−(低級アルキル)基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、−SH、−S(低級アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−OR、−SO−NR、−NR、−(アルキル)0−4−C(O)NR、(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい。好ましくは、Rはヒドロキシ、低級アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリール−(低級アルキル)よりなる群から選択され、ここでアリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−(低級アルキル)基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、−SH、−S(低級アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−ORまたは−NRから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい。より好ましくは、Rはヒドロキシ、アリール、4−(1−ヘテロシクロアルキル−アルコキシ)−フェニル、4−(ジ(アルキル)アミノ−アルコキシ)−フェニル、4−(ジ(アルキル)アミノ)−フェニルおよび4−アラルキルオキシ−フェニルよりなる群から選択される。さらにより好ましくは、Rはヒドロキシ、フェニル、4−(1−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−ピロリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(4−モルホリニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−アゼピニル−エトキシ)−フェニル、4−(ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ)−フェニル、4−ベンジルオキシ−フェニルおよび4−(1−ピぺリジニル−n−プロポキシ)−フェニルよりなる群から選択される。さらにより好ましくは、Rはフェニル、4−(1−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−ピロリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(4−モルホリニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−アゼピニル−エトキシ)−フェニル、4−(ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ)−フェニルおよび4−(1−ピぺリジニル−n−プロポキシ)−フェニルよりなる群から選択される。さらにより好ましくは、Rはフェニル、4−(1−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−ピロリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(4−モルホリニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−アゼピニル−エトキシ)−フェニル、4−(ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニルおよび4−(ジメチルアミノ)−フェニルよりなる群から選択される。さらにより好ましくは、Rはフェニル、4−(1−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−ピロリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(4−モルホリニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−アゼピニル−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニルおよび4−(ジメチルアミノ)−フェニルよりなる群から選択される。
【0044】
本発明の別の態様では、Rは−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NRおよび−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)ORよりなる群から選択される。本発明のさらに別の態様では、Rは−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NRよりなる群から選択され、ここでRおよびRはそれらが結合される窒素原子と一緒になってヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルよりなる群から選択される5〜7員の環を形成する。
【0045】
本発明の態様には、RおよびRがそれらが結合される炭素原子と一緒になってC(O)を形成する式(I)の化合物がある。
【0046】
本発明の態様では、Rはハロゲン、ヒドロキシ、R、アミノ、(低級アルキル)−アミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、ニトロ、シアノ、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−OSi(R−OR、−O−(アルキル)1−4−C(O)Rおよび−O−(アルキル)1−4−C(O)ORよりなる群から選択される。好ましくは、Rはヒドロキシ、R、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−OSi(R−OR、−O−(アルキル)1−4−C(O)Rおよび−O−(アルキル)1−4−C(O)ORよりなる群から選択される。
【0047】
より好ましくは、Rはハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、(低級アルキル−ジ(低級アルキル))−シリルオキシ、−OC(O)−(低級アルキル)、−OC(O)−C(フェニル)−OC(O)−(低級アルキル)、−OC(O)−(1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オン)および−OC(O)−C(CH)(CF)−フェニルよりなる群から選択される。さらにより好ましくは、Rはフルオロ、ヒドロキシ、メトキシ、t−ブチル−ジメチル−シリルオキシ、−OC(O)−t−ブチル、−OC(O)−C(フェニル)−OC(O)CH、−OC(O)−(1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[.2.1]ヘプタン−3−オン)および−OC(O)−C(CH)(CF)−フェニルよりなる群から選択される。さらにより好ましくは、Rはヒドロキシおよび−OC(O)−t−ブチルよりなる群から選択される。
【0048】
本発明の態様では、Rは水素、低級アルキル、アリール、アラルキルおよび1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オンから選択され、ここでアルキル、アリールまたはアラルキル基は場合により低級アルキル、ハロゲン化された低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、−OC(O)−(低級アルキル)および−C(O)O−(低級アルキル)から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
【0049】
本発明の別の態様では、2個のR基はそれらが結合される窒素原子と一緒になって5〜6員のヘテロシクロアルキル基を形成し、ここでヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、カルボキシ、アミノ、(低級アルキル)−アミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
【0050】
本発明の態様では、mは0〜2から選択される整数である。好ましくは、mは0〜1から選択される整数である。より好ましくは、mは1である。
【0051】
本発明の態様では、mは1〜2から選択される整数である。好ましくは、mは1である。
【0052】
薬品中での使用のためには、本発明の化合物の塩は無毒な「製薬学的に許容可能な塩」をさす。しかしながら、他の塩は本発明に従う化合物またはそれらの製薬学的に許容可能な塩の製造において有用でありうる。化合物の適する製薬学的に許容可能な塩は、例えば、化合物の溶液を製薬学的に許容可能な酸、例えば塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、琥珀酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸または燐酸、の溶液と混合することにより製造されうる酸付加塩を包含する。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合には、それらの適する製薬学的に許容可能な塩はアルカリ金属塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩;並びに適当な有機配位子を用いて製造される塩、例えば第四級アンモニウム塩類を包含しうる。それ故、代表的な製薬学的に許容可能な塩は下記のものを包含する:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、ジヒドロクロリド、エデト酸塩、エジシレート、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレソルシネート、ヒドラバミン、臭化水素塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、粘液酸塩、ナプシレート、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、燐酸塩/二燐酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、スバセテート、琥珀酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエチオダイドおよび吉草酸塩。
【0053】
本発明はその範囲内に本発明の化合物のプロドラッグを包含する。一般的に、そのようなプロドラッグはインビボで要求される化合物に容易に転化可能である化合物の官能性誘導体であろう。それ故、本発明の処置方法において、用語「投与する」は、具体的に開示された化合物または具体的に開示されていないが患者への投与後にインビボで特定の化合物に転化する化合物を用いて上記の種々の疾患の処置を包括するであろう。適するプロドラッグ誘導体の選択および製造に関する一般的工程は、例えば、“Design of Prodrugs”, ed. H.Bundgaard, Elsevier, 1985に記載されている。
【0054】
本発明に従う化合物が少なくとも1個のキラル中心を有する場合には、それらは従ってエナンチオマーとして存在する。化合物が2個もしくはそれ以上のキラル中心を有する場合には、それらはさらにジアステレオマーとして存在しうる。全てのそのような異性体およびそれらの混合物が本発明の範囲内に包括されることを理解すべきである。さらに、化合物に関する結晶形態のあるものは多形相として存在することができそしてそのままで本発明に包含されることが意図される。さらに、化合物のあるものは水との溶媒和物(すなわち、水和物)または普通の有機溶媒との溶媒和物を形成することができ、そしてそのような溶媒和物も本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0055】
ここで使用される用語「変性脳疾病」(”degenerative brain disease”)は、認知疾患、原因に無関係な認知症およびアルツハイマー病を包含するであろう。
【0056】
ここで使用される用語「心臓血管疾病」(”cardiovascular disease”)は、上昇した血液脂質水準、冠状アテローム硬化症および冠状心臓疾病を包含するであろう。
【0057】
ここで使用される用語「脳血管疾病」(”cerebrovascular disease”)は、異常な脳血液流および虚血性脳損傷を包含するであろう。
【0058】
ここで使用される用語「プロゲストゲン拮抗物質」(”progestogen antagonist”)は、ミフェプリストン、J−867(ジェナファーム(Jenapharm)/TAP・ファーマシューティカルズ(TAP Pharmaceuticals))、J−956(ジェナファーム/TAP・ファーマシューティカルズ)、ORG−31710(オルガノン(Organon))、ORG−32638(オルガノン)、ORG−31806(オルガノン)、オナプリストンおよびPRA248(ウィェス(Wyeth))を包含するであろう。
【0059】
断らない限り、ここで使用される「ハロゲン」は、塩素、臭素、弗素およびヨウ素を意味するであろう。
【0060】
断らない限り、ここで使用される用語「アルキル」は、単独でまたは置換基の一部として使用されるどちらでも炭素数1〜8の直鎖状および分枝鎖状の組成を包含する。例えば、アルキル基はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチルなどを包含する。断らない限り、アルキルと共に使用される時の「低級」は、炭素数1〜4の炭素連鎖組成を意味する。同様に、基「−(アルキル)0−4−」は単独でまたは大きな置換基の一部として使用されるどちらでもアルキル基の不存在または炭素数1〜4のアルキル基の存在を意味するであろう。適する例は−CH−、−CHCH−、CH−CH(CH)−、CHCHCH−、−CHCH(CH)CH−、CHCHCHCH−などを包含するが、それらに限定されない。
【0061】
断らない限り、ここで使用される「アルコキシ」は、上記の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基の酸素エーテル基を示すであろう。例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ヘキシルオキシなど。
【0062】
断らない限り、ここで使用される「アリール」は、未置換の炭素環式芳香族基、例えばフェニル、ナフチルなどをさすであろう。
【0063】
断らない限り、ここで使用される「アラルキル」は、アリール基、例えばフェニル、ナフチルなど、で置換された低級アルキル基を意味するであろう。適する例はベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチルなどを包含する。
【0064】
断らない限り、ここで使用される用語「シクロアルキル」は、安定な3−8員の単環式の飽和環系、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル、を意味するであろう。
【0065】
断らない限り、ここで使用される用語「シクロアルキル−アルキル」は、シクロアルキル基で置換された低級アルキル基を意味するであろう。適する例はシクロヘキシル−メチル、シクロペンチル−メチル、シクロヘキシル−エチルなどを包含するが、それらに限定さらない。
【0066】
断らない限り、ここで使用される用語「アシルオキシ」は、式−O−C(O)−Rのラジカル基を意味し、ここでRはアルキル、アリールまたはアラルキルであり、ここでアルキル、アリールまたはアラルキルは場合により置換されていてもよい。ここで使用される用語「カルボキシレート」は式−C(O)O−Rのラジカル基を意味し、ここでRはアルキル、アリールまたはアラルキルであり、ここでアルキル、アリールまたはアラルキルは場合により置換されていてもよい。
【0067】
断らない限り、ここで使用される用語「ヘテロアリール」は、O、NおよびSよりなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、場合によりO、NおよびSよりなる群から独立して選択される1〜3個の別のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の単環式芳香族環構造;またはO、NおよびSよりなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、場合によりO、NおよびSよりなる群から独立して選択される1〜4個の別のヘテロ原子を含有する9もしくは10員の二環式芳香族環構造を示すであろう。ヘテロアリール基は環のヘテロ原子または炭素原子のところで、安定な構造を生ずるように、結合されうる。
【0068】
適するヘテロアリール基の例はピロリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、プラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラニル、フラザニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリニル、インダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、プテリジニルなどを包含するが、それらに限定されない。
【0069】
断らない限り、ここで使用される用語「ヘテロアリール−アルキル」は、ヘテロアルキル基で置換された低級アルキル基を意味するであろう。適する例はピリジル−メチル、イソキノリニル−メチル、チアゾリル−エチル、フリル−エチルなどを包含するが、それらに限定されない。
【0070】
ここで使用される用語「ヘテロシクロアルキル」は、O、NおよびSよりなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、場合によりO、NおよびSよりなる群から独立して選択される1〜3個の別のヘテロ原子を含有する5〜7員の単環式の飽和もしくは部分的に不飽和の環構造;またはO、NおよびSよりなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、場合によりO、NおよびSよりなる群から独立して選択される1〜4個の別のヘテロ原子を含有する9〜10員の飽和の、部分的に不飽和のもしくは部分的に芳香族の二環式環構造を示すであろう。ヘテロシクロアルキル基は環のヘテロ原子または炭素原子のところで、安定な構造を生ずるように結合されうる。
【0071】
適するヘテロアリール基の例はピロリニル、ピロリジニル、ジオキサラニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、トリチアニル、インドリニル、クロメニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−ジヒドロベンゾフリルなどを包含するが、それらに限定されない。
【0072】
断らない限り、ここで使用される用語「ヘテロシクロアルキル−アルキル」は、ヘテロシクロアルキル基で置換された低級アルキル基を意味するであろう。適する例はピペリジニル−メチル、ピペラジニル−メチル、ピペラジニル−エチル、モルホリニル−メチルなどを包含するが、それらに限定されない。
【0073】
ここで使用される表記「*」はステレオジェン中心の存在を示す。
【0074】
特定の基(例えば、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル)が「置換されている」場合には、その基は置換基のリストから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基、好ましくは1〜5個の置換基、より好ましくは1〜3個の置換基、最も好ましくは1〜2個の置換基を有することができる。さらに、アラルキル、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキル−アルキルまたはシクロアルキル−アルキル基が置換されている場合には、1種もしくは複数の置換基は基のいずれかの部分にありうる(すなわち、1種もしくは複数の置換基は基のアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルまたはアルキル部分にありうる)。
【0075】
置換基に言及すると、用語「独立して」は、1個より多いそのような置換基が可能である場合にそのような置換基が互いに同一もしくは相異なりうることを意味する。
【0076】
この開示全体で使用される標準的命名法では、指定された側鎖の末端部分が最初に記載され、引き続き結合点に向かって隣の官能基が記載される。それ故、例えば、「フェニルC−CアルキルアミノカルボニルC−Cアルキル」は式
【0077】
【化4】

【0078】
の基をさす。
【0079】
断らない限り、例えばR基の如き置換基を命名する場合には、芯構造の下記の番号付けが適用されるであろう。大文字A、B、CおよびDは四環式芯構造の特定の環を指示するために使用されるであろう。
【0080】
【化5】

【0081】
明細書、特にスキームおよび実施例、で使用される略語は以下の通りである。
Ac=アセチル基(−C(O)−CH
AD=アルツハイマー病
CSA=ショウノウスルホン酸
DCC=1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM=ジクロロメタン
DEAD=ジエチルアゾジカルボキシレート
DIAD=ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
Dibal−H=水素化ジイソブチルアルミニウム
DIC=ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEAまたはDIEA=ジイソプロピルエチルアミン
DMA=ジメチルアセトアミド
DMAP=N,N−ジメチルアミノピリジン
DMF=ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
ERT=エストロゲン置換療法
Et=エチル(すなわち−CHCH
EtOAc=酢酸エチル
FBS=胎牛血清
HPLC=高圧液体クロマトグラフィー
HRT=ホルモン置換療法
IPA=イソプロピルアルコール
iPrNH=ジイソプロピルアミン
MeOH=メタノール
Ph=フェニル
PIVまたはPiv=ピバロイル
P(Ph)=トリフェニルホスフィン
PPTS=p−トルエンスルホン酸ピリジニウム
ロシェル溶液=酒石酸ナトリウムカリウム四水和物の水溶液
SERM=選択的エストロゲン受容体調節剤
TBAF=弗化テトラ(n−ブチル)アンモニウム
TBDMS=tert−ブチルジメチルシラン
TBS=tert−ブチル−ジメチル−シリル
TBSCl=塩化tert−ブチル−ジメチル−シリル
TEAまたはEtN=トリエチルアミン
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TsOH=トシック・アシド(Tosic acid)
ここで使用される用語「患者」は、処置、観察または実験の対象である動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくは人間、をさす。
【0082】
ここで使用される用語「治療的に有効な量」は、研究者、獣医、医師または他の臨床士により求められる処理しようとする疾病または疾患の徴候の緩和を包含する組織系統、動物または人間における生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物または薬剤の量を意味する。1種もしくはそれ以上の式Iの化合物およびプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗物質の投与を含んでなる同時療法に指示された本発明では、「治療的に有効な量」は、一緒になって組み合わせ効果が所望する生物学的または医学的応答を誘発するような剤の組み合わせの量を意味するであろう。例えば、式Iの化合物およびプロゲストゲンの投与を含んでなる同時療法の治療的に有効な量は一緒になった時にまたは連続的に治療的に有効である組み合わせ効果を有する式Iの化合物の量およびプロゲストゲンの量であろう。さらに、上記の例のように治療的に有効な量での同時療法の場合には、式Iの化合物の量および/またはプロゲストゲンもしくはプロゲストゲン拮抗物質の量が個別に治療的に有効であってもよくまたはなくてもよいことを、当業者は認識するであろう。
【0083】
ここで使用される用語「同時療法」(”co−therapy”)は、1種もしくはそれ以上の式Iの化合物をプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗物質と共に投与することによるそれを必要とする患者の処置を意味し、ここで1種もしくは複数の式Iの化合物およびプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗物質はいずれかの適当な手段により、同時に、連続的に、別個にまたは単一の製薬学的調合物中で、投与される。1種もしくは複数の式Iの化合物およびプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗物質が別個の薬用量形態で投与される場合には、それぞれの化合物に関する1日当たりに投与される薬用量の数は同一もしくは相異なりうる。1種もしくは複数の式Iの化合物およびプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗物質は同一もしくは相異なる投与方式により投与することができる。適する投与方法の例は経口、静脈内(iv)、筋肉内(im)、皮下(sc)、経皮、および直腸を包含するが、それらに限定されない。化合物は、大脳内、脳室内、大脳脳室内、包膜内、槽内、脊椎内並びに/或いは頭蓋内もしくは椎骨内針および/またはポンプ装置を有するかもしくは有していないカテーテルを介する分配による脊椎周囲投与方式を包含するがそれらに限定されない神経系統に直接投与することもできる。1種もしくは複数の式Iの化合物およびプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗物質は同時または交互処方に従い、療法過程中に同じ時にまたは異なる時に、同時に分割または単一形態で投与することができる。
【0084】
ここで使用される用語「組成物」は、特定成分を特定量で含んでなる生成物並びに特定量の特定成分の組み合わせから直接的にまたは間接的に生ずる生成物を包括することが意図される。
【0085】
XがSであり、YがSでありそしてZがOである式(I)
【0086】
【化6】

【0087】
の化合物はスキーム1に概略記述された方法に従い製造することができる。
【0088】
【化7】

【0089】
より特に、既知の化合物または既知の方法により製造される化合物であるZがOまたはSである式(II)の適当に置換された化合物を、例えばNaH、NaOMe、t−BuOKなどの如き有機塩基の存在下で、例えばTHF、ジオキシラン、エチルエーテルなどの如き有機塩基中で、約0〜約25℃の範囲内の温度において、既知の化合物である式(III)の化合物と反応させて、対応する式(IV)の化合物を生ずる。
【0090】
式(IV)の化合物を、例えば硫酸、塩酸などの如き無機酸または例えばpTSA、CSAなどの如き有機酸の存在下で、例えばベンゼン、トルエン、THFなどの如き有機溶媒中で、0〜約25℃の範囲内の温度において、既知の化合物である式(V)の適当に置換された化合物と反応させて、対応する式(VI)の化合物を生ずる。
【0091】
当業者は、1個もしくはそれ以上のRおよび/またはR基を上記方法の中のいずれかの段階において保護することが必要でありおよび/または望ましいこともありうることを認識するであろう。これは、例えばProtective Groups in Organic Chemistry, ed. J.F.W.McOmie, Plenum Press, 1973、およびT.W.Greene & P.G.M.Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1991に記載されているもののような、既知の保護基並びに既知の保護および脱保護試薬および条件を用いて、行うことができる。
【0092】
従って、式(VI)の化合物を、例えばトルエン、ベンゼン、THF、塩化メチレンなどの如き有機溶媒中で、約0〜約−80℃の範囲内の低められた温度において、水素化ジイソブチルアルミニウム、L−セレクトリドなどと反応させて、対応する式(VII)の化合物を生ずる。
【0093】
式(VII)の化合物を、例えばTHF、ジエチルエーテル、ジオキサン、ヘキサンなどの如き有機溶媒中で、MQが例えばMgCl、MgBrまたはMgIの如きマグネシウムハライドである対応する既知のアルキルまたはアリールハライドから既知の方法により製造される式(VIII)の適当に置換された化合物と反応させて、対応する式(IX)の化合物を生ずる。
【0094】
式(IX)の化合物を、例えばトルエン、塩化メチレン、アセトニトリルなどの如き溶媒中で、例えばHCl、HSO、p−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸(CSA)、TFAなどの如きプロトン酸または例えばBFエーテレート、AlCl、SnClなどの如きルイス酸で処理して、対応する式(X)の化合物を生ずる。
【0095】
或いは、式(IX)の化合物を、例えばトルエン、THFなどの如き溶媒中で、例えばトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどの如き試薬または例えばDEAD、DIADなどの如きアゾジカルボキサミドで処理して、対応する式(X)の化合物を生ずる。
【0096】
【化8】

【0097】
が−(アリール)−O−(アルキル)0−4−NRである式(X)の化合物は、R基が−(アリール)−O−(アルキル)0−4−Hal(HalはCl、BrまたはIから選択される)である式(X)の適当に置換された化合物を、例えばDMF、DMSO、DMAなどの如き溶媒中で、触媒量の例えばNaI、KI、NHNIなどの如きヨウ素塩および例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンなどの如きアミン源NHRと反応させて、対応する式(X)の化合物を生ずることにより、製造される。例えば、Rが−(アリール)−O−(アルキル)0−4−NRである式(X)の化合物はスキーム2に概略記述された方法に従い製造することができる。
【0098】
当業者は、1個もしくはそれ以上のR基を上記方法の中のいずれかの段階において保護することが必要でありおよび/または望ましいこともありうることを認識するであろう。これは、例えばProtective Groups in Organic Chemistry, ed. J.F.W.McOmie, Plenum Press, 1973、およびT.W.Greene & P.G.M.Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1991に記載されているもののような、既知の保護基並びに既知の保護および脱保護試薬および条件を用いて、行うことができる。
【0099】
1個もしくはそれ以上のRがアシルオキシである式(I)の化合物は、1種もしくは複数のRがヒドロキシである式(I)の適当に置換された化合物を適当に置換された酸塩化物、適当に置換されたカルボン酸または適当に置換された無水物と反応させることにより、製造することができる。例えば、2位置におけるRがアシルオキシである式(I)の化合物はスキーム3に概略記述された方法に従い製造することができる。
【0100】
【化9】

【0101】
従って、スキーム1の通りにして製造された式(X)の適当に置換された化合物を、例えばTEA、DIPEA、ピリジンなどの如き有機アミンの存在下で、例えばDCM、塩化メチレン、クロロホルムなどの如きハロゲン化された有機溶媒中で、または例えばベンゼン、トルエンなどの如き炭化水素溶媒中で、適当に置換された酸塩化物、式(XI)の化合物、または適当に置換された無水物である、Rが以上で定義された通りである式(XII)の化合物である、既知の化合物または既知の方法により製造された化合物と反応させて、対応する式(XIV)の化合物を生ずる。
【0102】
或いは、式(X)の化合物を、例えばDCC、DICなどの如きカップリング剤の存在下で、例えばDMF、THF、塩化メチレンなどの如き有機溶媒中で、適当に置換されたカルボン酸である、Rが以上で定義された通りである式(VIII)の化合物である、既知の化合物または既知の方法により製造された化合物と反応させて、対応する式(XIV)の化合物を生ずる。
【0103】
1個もしくはそれ以上のR基が例えばTBSの如きシリル保護基で保護されたヒドロキシ基である式(X)の化合物では、式(X)の化合物を、例えばTHF、ジエチルエーテルなどの如き有機溶媒中で、例えばTBAFなどの如き弗化tert−アルキルアンモニウムと反応させ、そして次に式(XI)の適当に置換された酸塩化物と反応させて、対応する式(X)の化合物を生ずる。
【0104】
本発明に従う化合物の製造方法が立体異性体の混合物を生ずる場合には、これらの異性体を例えば分取クロマトグラフィーの如き一般的な技術により分離することができる。化合物をラセミ形態で製造することもでき、或いはエナンチオ特定合成もしくは分解により個別のエナンチオマーを製造することもできる。例えば、化合物を例えば(−)−ジ−p−トルオイル−d−酒石酸および/または(+)−ジ−p−トルオイル−d−酒石酸の如き光学的に活性な酸を用いる塩生成並びにその後の分別結晶化および遊離塩基の再生によるジアステレオマー対の生成の如き標準的技術によりそれらの成分エナンチオマーに分離することができる。化合物はジアステレオマーエステル類またはアミド類の生成、その後のクロマトグラフィー分離およびキラル助剤の除去によっても分離できる。或いは、キラルHPLCカラムを使用して化合物を分離することもできる。
【0105】
スキーム4に示されるように、式(VI)の化合物を選択的に水素化して対応する式(XV)の化合物を生ずることができる。
【0106】
【化10】

【0107】
従って、式(VI)の化合物を、約20〜約100psiの範囲内の圧力において、例えばC上のPd、C上のPt、ラネーニッケル、Pd(OH)などの如き金属触媒の存在下で、水素気体と反応させて、対応する式(XV)の化合物を主としてシス異性体として生ずる。
【0108】
或いは、式(VI)の化合物を、例えばTHF、ジエチルエーテルなどの如き溶媒中で、約−20〜約60℃の範囲内の温度において、例えばLAH、水素化Cu、SmI、ストライカー試薬( [(PhP)CuH])などの如き水素化物と反応させて、対応する式(XV)の化合物を主としてトランス異性体として生ずる。
【0109】
或いはさらに、式(VI)の化合物を、例えばTFA、BFエーテレート、四塩化錫などの如き酸の存在下、例えば塩化メチレン、トルエンなどの如き有機溶媒中で、トリエチルシランと反応させて、対応する式(XV)の化合物をシスおよびトランス異性体の混合物として生ずる。
【0110】
本発明の化合物の製造工程のいずれかの間に、当該分子のいずれかの上の敏感なまたは反応性の基を保護することが必要でありおよび/または望ましいこともありうる。これは、例えばProtective Groups in Organic Chemistry, ed. J.F.W.McOmie, Plenum Press, 1973、およびT.W.Greene & P.G.M.Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1991に記載されているもののような、一時的な保護基により、行うことができる。保護基は簡便なその後の段階において当該技術から既知である方法を用いて除去することができる。
【0111】
エストロゲン受容体により介在される疾患を処置するための本発明の化合物の効用は実施例1−26およびここに記載された工程に従い測定することができる。
【0112】
本発明は従って、ここで定義された化合物のいずれかをエストロゲン受容体により介在される疾患を処置するために有効な量で投与することを含んでなるそれを必要とする患者における疾患を処置する方法を提供する。化合物は患者に、静脈内、経口、皮下、筋肉内、皮内および非経口を包含するがそれらに限定されないいずれかの一般的な投与方式により投与することができる。エストロゲン受容体により介在される疾患を処置するために有効な化合物の量は1kgの患者体重当たり0.01mg〜20mgの間である。
【0113】
本発明は、また、1種もしくはそれ以上の本発明の化合物を製薬学的に許容可能な担体と組み合わせて含んでなる製薬学的組成物も提供する。好ましくは、これらの組成物は経口、非経口、鼻内、舌下もしくは直腸投与のための、または吸引もしくは吸入による投与のための、単位薬用量形態、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、粒剤、殺菌性非経口液剤もしくは懸濁剤、計量エーロゾルもしくは液体スプレー剤、ドロップ剤、アンプル剤、自動注入装置または坐剤である。或いは、組成物を1週1回もしくは1月1回の投与に適する形態にすることもでき、例えば、デカン酸塩の如き活性化合物の不溶性塩を適用して筋肉内注射用のデポ調剤を提供することができる。例えば錠剤の如き固体組成物を製造するためには、主な活性成分を製薬学的担体、例えば一般的な製剤成分、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、燐酸二カルシウムまたはゴム類、および他の製薬学的希釈剤、例えば水と混合して、本発明の化合物またはその製薬学的に許容可能な塩の均質な混合物を含有する固体の予備調合組成物を生成する。これらの予備調合組成物を均質であると言及する時には、それは活性成分が組成物全体にわたり均一に分散されて組成物が例えば錠剤、丸剤およびカプセル剤の如き同等に有効な薬用量形態に容易に細分できることを意味する。この固体の予備調合組成物を次に5〜約1000mgの本発明の活性成分を含有する上記タイプの単位薬用量形態に細分する。新規組成物の錠剤または丸剤をコーティングするかまたは他の方法で混和して長期作用の利点を与える薬用量形態にすることができる。例えば、錠剤または丸剤は内側の薬用量および外側の薬用量成分を含んでなることができ、後者は前者の包装品の形態である。二つの成分は、胃の中での消化に抵抗するように作用しそして内部成分を無傷のまま十二指腸に送るかまたは放出を遅らせる腸溶層により分離することができる。種々の物質をそのような腸溶層またはコーティング用に使用することができ、そのような物質は例えばセラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースの如き物質を有する多くの重合体状の酸を包含する。
【0114】
本発明の新規な組成物を経口的にまたは注入により導入することができる液体形態は、水溶液、適当な香料入りシロップ剤、水性もしくは油性懸濁剤、および例えば綿実油、ゴマ油、ココヤシ油もしくはピーナッツ油の如き食用油を有する香料入り乳剤、並びにエリキシル剤および同様な製薬学的賦形剤を包含する。水性懸濁剤に適する分散化剤または懸濁化剤は、合成および天然ゴム類、例えばトラガカント、アラビアゴム、アルギネート、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドンまたはゼラチンを包含する。
【0115】
本発明に記載されたエストロゲン受容体により介在される疾患の処置方法は、ここで定義された化合物のいずれかおよび製薬学的に許容可能な担体を含んでなる製薬学的組成物を用いて行うこともできる。製薬学的組成物は約5mg〜約1000mg、好ましくは約10〜500mg、の間の化合物を含有することができ、そして選択される投与方式に適するいずれかの形態に構成することができる。担体は、結合剤、懸濁化剤、潤滑剤、香味剤、甘味料、防腐剤、染料、およびコーティングを包含するがそれらに限定されない必要であり且つ不活性な製薬学的賦形剤を包含する。経口投与に適する組成物は、固体形態、例えば丸剤、カプレット剤、カプセル剤(それぞれが即時放出、間隔をおいた放出および持続放出調合物を包含する)、粒剤、および散剤、並びに液体形態、例えば液剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、および懸濁剤、を包含する。非経口投与に有用な形態は殺菌性液剤、乳剤および懸濁剤を包含する。
【0116】
有利には、本発明の化合物は単一の1日服用量で投与することができ、或いは全部の1日薬用量を1日当たり2、3もしくは4回の分割服用量で投与することもできる。さらに、本発明の化合物を適当な鼻内装置の局部的使用によりまたは当業者に既知である経皮パッチにより鼻内に投与することもできる。経皮分配システムの形態で投与するためには、もちろん、薬用量投与は薬用量処方全体にわたり間欠的よりむしろ連続的であろう。
【0117】
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態での経口投与のためには、活性薬品成分を経口用の無毒の製薬学的に許容可能な不活性担体、例えばエタノール、グリセロール、水など、と組み合わせることができる。さらに、所望される場合または必要な場合には、適当な結合剤、潤滑剤、崩壊剤および着色剤を混合物中に加えることもできる。適する結合剤は澱粉、ゼラチン、天然糖類、例えばグルコースまたはベータ−ラクトース、コーン甘味料、天然および合成ゴム類、例えばアラビアゴム、トラガカント、またはオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを包含するが、それらに限定されない。崩壊剤は澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどを包含するが、それらに限定されない。
【0118】
液体形態は適当な香料入り懸濁化剤または分散化剤、例えば合成および天然ゴム類、例えば、トラガカント、アラビアゴム、メチル−セルロースなどを包含するが、それらに限定されない。非経口投与用には、殺菌性懸濁剤および液剤が望ましい。静脈内投与が望まれる場合には、一般的には適当な防腐剤を含有する等張性調合物が使用される。
【0119】
本発明の化合物は、リポソーム分配システム、例えば小さい単層水疱、大きい単層水疱、および多層水泡、の形態で投与することができる。リポソームは種々の燐脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン類から形成することができる。
【0120】
本発明の化合物は、化合物分子がそれに結合される個別担体としてのモノクローン抗体の使用により分配することもできる。本発明の化合物を標的可能な薬品担体としての可溶性重合体と結合させることもできる。そのような重合体はポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、またはパルミトイル基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを包含しうる。さらに、本発明の化合物を薬品の調節放出を行う際に有用な種類の生分解可能な重合体、例えば、ポリ乳酸、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロピラン類、ポリシアノアクリレート類、およびヒドロゲル類の架橋結合されたもしくは両親媒性ブロック共重合体と結合させることもできる。
【0121】
本発明の化合物は、エストロゲン受容体により介在される疾患の処置が必要な時には常に、いずれかの前記組成物中でそして当該技術で確立された薬用量処方に従い投与することができる。
【0122】
生成物の1日薬用量は1日当たり成人当たり5〜1,000mgの広範囲にわたり変動しうる。経口投与用には、組成物は好ましくは処置しようとする患者に対して徴候調節のための薬用量の1.0、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、250および500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供される。薬品の有効量は一般的には1日当たり約0.01mg/kg〜約20mg/kgの体重の薬用量水準で供給される。好ましくは、この範囲は1日当たり約0.1mg/kg〜約10mg/kgの体重、そして特に約0.5mg/kg〜約10mg/kgの体重である。化合物は1日1〜4回の処方で投与することができる。
【0123】
投与される最適な薬用量は当業者により容易に決めることができ、そして使用される特定の化合物、投与方式、調合物の強度、投与方式、および疾病状態の進行度に応じて変動するであろう。さらに、患者年令、体重、食事および投与時間を包含する処置しようとする特定の患者に関連する因子により薬用量の調節が必要になるであろう。
【0124】
以下の実施例は本発明の理解を助けるために示されており、そして以下の特許請求の範囲に示された本発明を何らかの方法で限定することは意図されず且つそのように解釈してはならない。
【0125】
本発明はその範囲内に本発明の化合物のプロドラッグを包含する。一般的に、そのようなプロドラッグはインビボで要求される化合物に容易に転化可能である化合物の官能性誘導体であろう。それ故、本発明の処置方法では、用語「投与する」は具体的に開示された化合物または具体的に開示されていないが患者への投与後にインビボで特定の化合物に転化する化合物を用いて上記の種々の疾患の処置を包括するであろう。適するプロドラッグ誘導体の選択および製造に関する一般的工程は、例えば、“Design of Prodrugs”, ed. H.Bundgaard, Elsevier, 1985に記載されている。
【0126】
上記のスキームおよび実施例に記載された工程に従い、表1に挙げられているような本発明の代表的な化合物が製造された。R基の立体配置に関しては、R−(−)およびS−(+)表記は正確な配向が決められなかったことを示す。
【実施例】
【0127】
実施例1
8−ヒドロキシ−1,4−ジチア−スピロ[4.5]デセ−7−エン−7−カルボン酸メチルエステル
【0128】
【化11】

【0129】
THF(10mL)中の1,4−ジチア−スピロ[4.5]デカン−8−オン(2.35g、12.5ミリモル、1.0当量)に0℃において窒素下でNaH(60%、2.0g、50ミリモル、4.0当量)をゆっくり加えた。気体放出が完了した後に、炭酸ジメチル(11.3g、125ミリモル、10.0当量)を注射器を通して加えた。反応混合物を室温に暖めそしてさらに50℃に2時間にわたり加熱した。反応物を次に室温に冷却しそして飽和塩化アンモニア溶液でクエンチした。溶媒を真空中で除去しそして残渣をエチルエーテルおよび水の間に分配させた。水層をエチルエーテルで2回抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過しそして濃縮して無色油を与えた。粗製物質を次に5:1ヘキサン:酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して標記化合物を無色固体として与えた。
【0130】
H NMR(δ,CDCl)12.2(s,1H),3.78(s,3H),3.35(m,4H),2.88(s,2H),2.52(t,J=9.2Hz,2H),2.18(t,J=9.2Hz,2H)。
【0131】
実施例2
9−ヒドロキシ−1,5−ジチア−スピロ[5.5]ウンデセ−8−エン−8−カルボン酸メチルエステル
【0132】
【化12】

【0133】
実施例1に記載された工程に従い1,5−ジチア−スピロ[5.5]ウンデカン−9−オンを出発物質として使用して標記生成物が無色固体として製造された。
【0134】
H NMR(δ,CDCl)12.2(s,1H),3.80(s,3H),2.95(m,4H),2.66(s,2H),2.45(t,J=8.5Hz,2H),2.25(m,2H),2.10(t,J=8.5Hz,2H)。
【0135】
実施例3
2−ヒドロキシ−11,14−ジチア−スピロ[4.5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[c]クロメン−9−オン
【0136】
【化13】

【0137】
CHCl(10mL)中の実施例1から製造された8−ヒドロキシ−1,4−ジチア−スピロ[4.5]デセ−7−エン−7−カルボン酸メチルエステル(1.88g、7.64ミリモル、1.0当量)およびレソルシノール(841mg、7.64ミリモル、1.0当量)に窒素下で0℃においてメチルスルホン酸(〜5mL)を加えた。反応混合物を0℃において30分間にわたり撹拌しそして次に室温に暖めた。水およびCHClを加えそして混合物を水およびCHClの間に分配させた。水層をCHClで2回抽出した。一緒にした有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液および食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過しそして濃縮して褐色油を与えた。粗製物質を次に4:1CHCl:MeOHを使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して標記化合物を黄色半固体として与えた。
【0138】
H NMR(δ,CDCl)7.55(d,J=6.8Hz,1H),6.80(d,J=6.8Hz,1H),6.68(s,1H),3.38(m,2H),3.32(m,2H),3.11(s,2H),3.05(t,J=10.5Hz,2H),2.28(t,J=10.5Hz,2H).MS 307 MH,329 MNa
【0139】
実施例4
2−ヒドロキシ−11,15−ジチアースピロ[5,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[c]クロメン−9−オン
【0140】
【化14】

【0141】
実施例3に記載された工程に従い9―ヒドロキシ1,5―ジチア−スピロ[5.5]ウンデセ−8−エン−8−カルボン酸メチルエステルを出発物質として使用して標記生成物が褐色固体として製造された。
【0142】
H NMR(δ,CDCl)7.58(d,J=7.5Hz,1H),6.92(d,J=7.5Hz,1H),6.72(s,1H),3.40(m,2H),3.35(m,2H),3.15(s,2H),3.10(t,J=9.0Hz,2H),2.50(t,J=9.0Hz,2H),2.20(m,2H).MS 321 MH,343 MNa
【0143】
実施例5
2−tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ−11,14−ジチア−スピロ [4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[c]クロメン−9−オン
【0144】
【化15】

【0145】
実施例3の通りにして製造された2−ヒドロキシ−10,14−ジチア−スピロ[4.5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[c]クロメン−9−オン(5.72g、18.7ミリモル、1当量)のDMF(20mL)中スラリーをイミダゾール(1.4g、20.6ミリモル、1.1当量)で処理し、引き続き塩化t−ブチルジメチルシリル(3.1g、20.6ミリモル、1.1当量)を添加した。反応混合物を室温において窒素下で18時間にわたり撹拌した。反応混合物をエチルエーテルで希釈しそして食塩水で1回洗浄した。水性洗浄液をエチルエーテルで2回再抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、濾過しそして真空中で蒸発させて黄色固体残渣を生じた。固体残渣を5:1ヘキサン:酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーから精製して標記化合物を淡黄色固体として生じた。
【0146】
H NMR(δ,CDCl)7.45(d,J=7.5Hz,1H),6.78(m,2H),3.45(m,4H),3.21(s,2H),3.05(t,J=10.5Hz,2H),2.36(t,J=10.5Hz,2H)),1.02(s,9H),0.25(s,6H).MS 443 MH
【0147】
実施例6
2−ヒドロキシ−11,15−ジチア−スピロ[5,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[c]クロメン−9−オン
【0148】
【化16】

【0149】
実施例5に記載された工程に従い2−ヒドロキシ−11,15−ジチア−スピロ[5,5] 5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[c]クロメン−9−オンを出発物質として使用して標記生成物が淡黄色固体として製造された。
【0150】
H NMR(δ,CDCl)7.48(d,J=6.8Hz,1H),6.80(d,J=6.8Hz,1H),6.78(s,1H),3.40(m,2H),3.20(s,2H),3.03(t,J=9.0Hz,2H),2.30(t,J=9.0Hz,2H),2.20(m,2H),1.10(s,9H),0.20(s,6H).MS 457 MH
【0151】
実施例7
2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−11,14−ジチア−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[c]クロメン−9−オール
【0152】
【化17】

【0153】
2−tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ−10,14−ジチア−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[c]クロメン−9−オン(5.00g、11.9ミリモル、1当量)のトルエン(20mL)中溶液を200mLの三首丸底フラスコ中で窒素下で−78℃に冷却した。反応混合物に水素化ジイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(8.7mLの1.5M、13.1ミリモル、1.1当量)を、反応混合物の温度を−70℃以下に保ちながら、ゆっくり加えた。反応物を1時間にわたり撹拌し、メタノール(2mL)の添加によりクエンチした。生じた溶液をジクロロメタンで希釈し、溶液をロシェル塩の飽和溶液で洗浄し、次に食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過しそして蒸発させて粗製化合物を黄色固体として生じた。固体をヘキサン:酢酸エチル混合物(2:1)を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して標記化合物を白色固体として生じた。
【0154】
H NMR(δ,CDCl)6.92(d,J=8.0Hz,1H),6.30(m,2H),5.38(d,J=6.5Hz,1H),3.21(m,4H),2.85〜2.55(m,4H),2.41(m,1H),2.11(m,2H),0.88(s,9H),0.10(s,6H),
MS 405,[ M−HO]H
【0155】
実施例8
2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−11,15−ジチア−スピロ[5,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[c]クロメン−9−オール
【0156】
【化18】

【0157】
実施例7に記載された工程に従い2−ヒドロキシ−11,15−ジチア−スピロ[5,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[c]クロメン−9−オンを出発物質として使用して標記生成物が白色固体として製造された。
【0158】
H NMR(δ,CDCl)6.95(d,J=6.8Hz,1H),6.32(s,1H),6.28(m,1H),5.36(d,J=6.5Hz,1H),3.90〜2.81(m,10H),1.12(m,2H),0.85(s,9H),0.02(s,6H),MS 419,[ M−HO]H
【0159】
実施例9
2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−{9−[4’−(2’−クロロ−エトキシ)−フェニル]−11,14−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[c]クロメン
【0160】
【化19】

【0161】
100mLの一首丸底フラスコ中で1−(2−クロロ−エトキシ)−4−ヨード−ベンゼン(3.55g、10.7ミリモル、2.0当量)をテトラヒドロフラン(20mL)中に窒素下で溶解させそして撹拌し、そして混合物を−78℃に冷却した。5分間の撹拌後に、n−BuLiのヘキサン溶液(4.28mLの2.5M、10.7ミリモル、2.0当量)を注射器を通して加えた。反応混合物を次に30分間にわたり約−78℃において撹拌した。実施例7の通りにして製造された2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−10,14−ジチア−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[c]クロメン−9−オール(2.26g、5.36ミリモル、1当量、10mL中)のテトラヒドロフラン溶液を次に加え、冷却浴を除去しそして反応混合物を自然に一晩にわたり室温に暖めた。約18時間後に、反応物を飽和酢酸アンモニウム溶液の添加およびエチルエーテルを用いる抽出で処理した。一緒にした有機抽出物を食塩水および水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過しそして蒸発させて粘着性の半固体残渣を生じた。この固体に20mLのトルエン中の0.5mLのHClを室温において加えた。混合物を2時間にわたり室温において撹拌した。反応物を酢酸エチルを用いる抽出で3回処理した。一緒にした有機抽出物を食塩水および水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過しそして蒸発させて褐色油を生じた。2:1ヘキサン:酢酸エチルを溶離剤として使用する溶離するシリカゲル上のクロマトグラフィーにより標記生成物が白色半固体として単離された。
【0162】
H NMR(δ,CDCl)7.18(d,J=7.2Hz,2H),6.88(d,J=7.0Hz,1H),6.72(d,J=7.2Hz,2H),6.22(d,J=7.0Hz,1H),6.08(s,1H),5.31(s,1H),4.05(t,J=11.5Hz,2H),3.62(t,J=11.5Hz,2H),3.12(m,4H),2.71〜2.45(m,2H),2.46〜2.20(abq,J=15.4Hz,2H),2.10(t,J=10.5Hz,2H),0.72(s,9H),0.12(s,6H).MS 561 MH
【0163】
実施例10
2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−{9−[4’−(2’−クロロ−エトキシ)−フェニル]−11,15−スピロ[5,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[c]クロメン
【0164】
【化20】

【0165】
実施例9に記載された工程に従い2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−11,15−ジチア−スピロ[5,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[c]クロメン−9−オールを出発物質として使用して標記生成物が白色半固体として製造された。
【0166】
NMR(δ,CDCl)7.15(d,J=7.2Hz,2H),6.88(d,J=6.8Hz,1H),6.72(d,J=7.2Hz,2H),6.21(d,J=6.8Hz,1H),6.08(d,J=1.5Hz,1H),5.32(s,1H),4.05(t,J=11.2Hz,2H),3.62(t,J=11.2Hz,2H),2.88〜2.48(m,3H),2.45〜2.05(m,3H),1.92〜1.34(m,2H),1.15(m,4H),0.80(s,9H),0.05(s,6H)。
【0167】
実施例11
2−(ヒドロキシ)−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−11,14−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン
【0168】
【化21】

【0169】
DMF(5mL)中の2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−{9−[4’−(2’−クロロ−エトキシ)−フェニル]−10,14−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン(250mg、0.445ミリモル、1.0当量)に触媒量のKI(8mg、0.04ミリモル、0.1当量)およびピペリジン(80mg、0.89ミリモル、2.0当量)を加えた。反応混合物を2時間にわたり50℃に加熱した。CHClおよび水を加え、有機層を分離しそして水層をジクロロメタンで再抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、濾過しそして真空中で蒸発させた。残渣を2%メタノール/ジクロロメタンを溶離剤として使用するシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製して標記生成物を結晶性固体として生じた。
【0170】
NMR(δ,CDCl)7.25(d,J=9.0Hz,2H),7.05(d,J=7.8Hz,1H),6.85(d,J=9.0Hz,2H),6.32(d,J=7.8Hz,1H),6.10(s,1H),5.40(s,1H),4.15(t,J=12.5Hz,2H),3.36(m,4H),3.20(m,2H),2.75(t,J=12.5Hz,2H),2.58(m,4H),2.55(m,2H),2.25(t,J=9.8Hz,2H),1.65(m,4H),1.50(m,2H)。
【0171】
実施例12
2−(ヒドロキシ)−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−11,15−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン
【0172】
【化22】

【0173】
実施例11に記載された工程に従い2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−{9−[4’−(2’−クロロ−エトキシ)−フェニル]−11,15−スピロ[5,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメンを出発物質として使用して標記生成物が白色固体として製造された。
【0174】
H NMR(δ,CDCl)7.28(d,J=8.5Hz,2H),6.98(d,J=8.0Hz,1H),6.70(d,J=8.5Hz,2H),6.30(d,J=8.0Hz,1H),6.12(s,1H),5.48(s,1H),4.05(t,J=17.8Hz,2H),3.05〜2.75(m,6H),2.65(m,4H),2.55〜2.23(m,4H),2.12〜1.88(m,4H),1.72(m,4H),1.48(m,2H)。
【0175】
実施例13
9R−2−(ヒドロキシ)−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−11,14−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメンおよび9S−2−(ヒドロキシ)−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−11,14−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン
【0176】
【化23】

【0177】
(〜300mg)のラセミ混合物をキラルパック(ChiralPak)ADキラルHPLCカラム(21mmI.D.×250mmL)上に充填しそしてイソプロピルアルコール中50%メタノールを用いて4mL/分の流速で溶離した。2つのピークを別々に収集しそして真空下で除去してRをピーク1
MS(Cl)m/z496(MH),[α]CDCl320=+16.8
として、そしてSをピーク2
MS(Cl)m/z496(MH),[α]CDCl320=−11.5
として、生じた。
【0178】
実施例14
2−(ヒドロキシ)−{9−[4’−(2’−ピロリジニル−エトキシ)−フェニル]−11,14−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン
【0179】
【化24】

【0180】
実施例11に記載された工程に従いピロリジンを塩基として使用して標記生成物が白色固体として製造された。
【0181】
H NMR(δ,CDCl)7.22(d,J=8.0Hz,2H),7.10(d,J=6.8Hz,1H),6.85(d,J=8.0Hz,2H),6.40(d,J=6.8Hz,1H),6.20(s,1H),5.90(s,1H),4.15(t,J=10.5Hz,2H),3.40〜3.22(m,4H),2.95(t,J=10.5Hz,2H),2.80〜2.65(m,4H),2.58(m,4H),2.55(m,2H),1.85(m,4H).MS(Cl)m/z 482(MH)。
【0182】
実施例15
2−(ヒドロキシ)−{9−[4’−(2’−ジエチル−エトキシ)−フェニル]−11,14−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン
【0183】
【化25】

【0184】
実施例11に記載された工程に従いジエチルアミンを塩基として使用して標記生成物が白色半固体として製造された。
【0185】
H NMR(δ,CDCl)7.25(d,J=6.5Hz,2H),7.15(d,J=6.8Hz,1H),6.88(d,J=6.5Hz,2H),6.48(d,J=6.8Hz,1H),6.25(s,1H),5.88(s,1H),4.12(t,J=11.5Hz,2H),3.42〜3.20(m,4H),2.85(t,J=11.5Hz,2H),2.82〜2.68(m,4H),2.65(m,J=12.5Hz,4H),2.55(m,2H),1.15(t,J=12.5Hz,6H),MS(Cl)m/z 484(MH)。
【0186】
実施例16
2’’,2’’−ジメチル−プロピオン酸−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−11,14−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン−2−イル−エステル
【0187】
【化26】

【0188】
実施例11の通りにして製造された2−(ヒドロキシ)−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−10,14−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン(0.200g、0.404ミリモル)のジクロロメタン(5mL)中の氷冷されそして撹拌されたスラリーに窒素下でトリエチルアミン(0.11mL、0.808ミリモル、2.0当量)を0℃において加えた。約10分後に、反応混合物が透明になったことが観察された。反応混合物に次に塩化2,2−ジメチルプロピオニル(すなわち、塩化ピバロイル、0.075mL、0.606ミリモル、1.5当量)を(約5分間の期間にわたり)ゆっくり加えた。冷却浴を次に除去しそして反応混合物を自然に一晩にわたり室温に暖めた。反応混合物に次に飽和NaHCO溶液を加えそして生じた溶液を室温において1時間にわたり撹拌した。有機層を分離しそして水層をジクロロメタンで再抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、濾過しそして真空中で蒸発させた。残渣を2%メタノール/ジクロロメタンを溶離剤として使用するシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製して標記生成物を象牙色の結晶性固体として生じた。
【0189】
H NMR(δ,CDCl)7.26(d,J=8.5Hz,2H),7.15(d,J=8.0Hz,1H),6.82(d,J=8.5Hz,2H),6.60(d,J=8.0Hz,1H),6.42(s,1H),5.51(s,1H),4.08(t,J=7.8Hz,2H),3.28(m,4H),2.75(d,J=7.8Hz,2H),2.70〜2.38(m,4H),2.25(t,J=7.8Hz,2H),1.62(m,4H),1.48(m,2H),1.32(s,9H),MS 580 MH,602 MNa
【0190】
実施例17
2’’,2’’−ジメチル−プロピオン酸−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−11,15−スピロ[5,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン−2−イル−エステル
【0191】
【化27】

【0192】
実施例14に記載された工程に従い2−(ヒドロキシ)−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−11,15−スピロ[5,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメンを出発物質として使用して標記生成物が白色半固体として製造された。
【0193】
H NMR(δ,CDCl)7.28(d,J=8.4Hz,2H),7.14(d,J=7.8Hz,1H),6.82(d,J=8.4Hz,2H),6.60(d,J=7.8Hz,1H),6.42(s,1H),5.50(s,1H),4.12(t,J=6.5Hz,2H),3.05〜2.76(m,4H),2.80(t,J=6.5Hz,2H),2.70〜2.40(m,8H),2.15〜1.88(m,4H),1.68(m,4H),1.48(m,2H),1.30(s,9H).MS 594 MH,616 MNa
【0194】
実施例18
2−(ヒドロキシ)−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−11,15−スピロ[5,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン−11,11,15,15−テトラオキシド
【0195】
【化28】

【0196】
エチレングリコール(0.5mL)、CHCl(0.5mL)およびアセトニトリル(4mL)の混合物溶液中の実施例10から製造された2−(ヒドロキシ)−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−11,15−スピロ[5,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン(300mg、0.521ミリモル、1.0当量)に室温においてオキソン(OXONE)(640mg、1.04ミリモル、2.0当量)を一回に加えた。反応混合物を4時間にわたり室温において撹拌した。溶媒を除去しそして残渣をCHClおよび水の間に分配させた。有機層を分離しそして水層をジクロロメタンで再抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、濾過しそして真空中で蒸発させた。残渣、KI(8mg、0.05ミリモル、0.1当量)およびピペリジン(90mg、1.04ミリモル、2.0当量)をDMF(5mL)中で2時間にわたり50℃に加熱した。反応混合物を次にCHClおよび水の間に分配させた。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、次に2%メタノール/ジクロロメタンを溶離剤として使用するシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製して標記化合物を象牙色の結晶性固体として生じた。
【0197】
H NMR(δ,CDCl)7.28(d,J=8.0Hz,2H),7.10(d,J=7.5Hz,1H),6.90(d,J=8.0Hz,2H),6.42(d,J=7.5Hz,1H),6.12(s,1H),5.45(s,1H),4.10(t,J=11.5Hz,2H),3.75(m,4H),3.25(m,2H),2.80(t,J=11.5Hz,2H),2.62(m,4H),2.58(m,2H),2.18(t,J=8.5Hz,2H),1.55(m,4H),1.48(m,2H).MS 574, MH
【0198】
実施例19
9R−2’’,2’’−ジメチル−プロピオン酸−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−11,14−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン−2−イルエステルおよび9S−2’’,2’’−ジメチル−プロピオン酸−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−11,14−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン−2−イルエステル
【0199】
【化29】

【0200】
(〜200mg)のラセミ混合物をキラルパックADキラルHPLCカラム(21mmI.D.×250mmL)上に充填しそしてイソプロピルアルコールを用いて4mL/分の流速で溶離した。2つのピークを別々に収集しそして真空下で除去してRをピーク1
MS(Cl)m/z580(MH
として、そしてSをピーク2
MS(Cl)m/z580(MH
として、生じた。
【0201】
実施例20
9R−2’’,2’’−ジメチル−プロピオン酸−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−11,15−スピロ[5,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン−2−イルエステルおよび9S−2’’,2’’−ジメチル−プロピオン酸−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−11,15−スピロ[5,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン−2−イルエステル
【0202】
【化30】

【0203】
(〜200mg)のラセミ混合物をキラルパックADキラルHPLCカラム(21mmI.D.×250mmL)上に充填しそしてイソプロピルアルコールを用いて4mL/分の流速で溶離した。2つのピークを別々に収集しそして真空下で除去してRをピーク1
MS(Cl)m/z594(MH
として、そしてSをピーク2
MS(Cl)m/z594(MH
として、生じた。
【0204】
実施例21
9−[4’−(2’−ピペリジン−1’−イル−エトキシ)−フェニル]−9H−ベンゾ[c]クロメン−2,7−ジオール
【0205】
【化31】

【0206】
THF(5mL)および水(1mL)中の2−(ヒドロキシ)−{9−[4’−(2’−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル]−10,14−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン(225mg、0.48ミリモル、1当量)にHg(ClO(4M水溶液、130mL、0.52ミリモル、1.08当量)を、引き続きCaCO(52mg、0.52ミリモル、1.08当量)を、室温において加えた。反応物を5分後に処理した。溶媒を除去しそして残渣をCHClおよび水の間に分配させた。有機層を分離しそして水層をジクロロメタンで再抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、濾過しそして真空中で蒸発させた。残渣を2%メタノール/ジクロロメタンを溶離剤として使用するシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製して標記化合物を白色固体として生じた。
【0207】
H NMR(δ,CDCl)7.52(d,J=6.8Hz,2H),6.88(d,J=7.0Hz,1H),6.71(d,J=6.8Hz,2H),6.58(d,J=7.0Hz,1H),6.52(s,1H),6.62(s,1H),5.88(s,1H),4.05(t,J=12.5Hz,2H),2.81(t,J=12.5Hz,2H),2.53(m,4H),1.65(m,4H),1.55(m,2H).MS 443 MNa
【0208】
実施例22
2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−9−[4−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−5,6−ジヒドロ−8H,9H−ベンゾ[c]クロメン−7−オン
【0209】
【化32】

【0210】
THF(5mL)および水(1mL)中の2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−{9−[4’−(2’−クロロ−エトキシ)−フェニル]−10,14−スピロ[4,5]−5,6,7,8−テトラヒドロ−9H−ベンゾ[c]クロメン(310mg、0.553ミリモル、1当量)にHg(ClO(243mg、0.608ミリモル、1.08当量)を、引き続きCaCO(61mg、0.608ミリモル、1.08当量)を、室温において加えた。反応物を5分後に処理した。溶媒を除去しそして残渣をCHClおよび水の間に分配させた。有機層を分離しそして水層をジクロロメタンで再抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、濾過しそして真空中で蒸発させた。残渣を2%メタノール/ジクロロメタンを溶離剤として使用するシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製して標記化合物を白色フォームとして生じた。
【0211】
H NMR(δ,CDCl)7.12(d,J=12.5Hz,2H),6.91(d,J=9.5Hz,1H),6.72(d,J=12.5Hz,2H),6.24(d,J=9.5Hz,1H),6.12(s,1H),5.36(s,1H),4.05(t,J=12.5Hz,2H),3.65(t,J=12.5Hz,2H),2.85〜2.45(m,6H),0.82(s,9H),0.02(s,6H)。
【0212】
実施例23
【0213】
【化33】

【0214】
THF(5mL)中の2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−9−[4−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−5,6−ジヒドロ−8H,9H−ベンゾ[c]クロメン−7−オン(250mg、0.52ミリモル、1.0当量)に−78℃においてTMSOTf(12.mg、0.05ミリモル、0.1当量)を、引き続き1,2−ビス(トリメチルシロキシ)エタン(118mg、0.57ミリモル、1.1当量)を滴下した。反応混合物を−78℃において6時間にわたり撹拌しそして次にMeOH(1mL)によりクエンチした。溶媒を除去しそして残渣をCHClおよび水の間に分配させた。有機層を分離しそして水層をジクロロメタンで再抽出した。一緒にした有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、濾過しそして真空中で蒸発させた。残渣(〜200mg、0.38ミリモル、1.0当量)、KI(7mg、0.04ミリモル、0.1当量)およびピペリジン(65mg、0.76ミリモル、2.0当量)をDMF(5mL)中で2時間にわたり50℃に加熱した。反応混合物を次にCHClおよび水の間に分配させた。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、次に2%メタノール/ジクロロメタンを溶離剤として使用するシリカゲル上のクロマトグラフィーにより精製して標記化合物を象牙色の結晶性固体として生じた。
【0215】
H NMR(δ,CDCl)7.30(d,J=7.8Hz,2H),7.10(d,J=7.5Hz,1H),6.95(d,J=7.8Hz,2H),6.42(d,J=7.5Hz,1H),6.25(s,1H),5.55(s,1H),4.23(t,J=12.5Hz,2H),4.05(m,4H),3.25(m,2H),2.84(t,J=12.5Hz,2H),2.64(m,4H),2.60(m,2H),2.35(t,J=9.8Hz,2H),1.75(m,4H),1.55(m,2H).MS,464,MH
【0216】
【表1】

【0217】
【表2】

【0218】
実施例24
MCF−7細胞増殖検定
この検定はWelshons, et al., (Breast Cancer Res. Treat., 1987, 10(2), 169−75)により記載された工程に従い少し変更して、行われた。
【0219】
簡単に述べると、(ノースウェスタン大学のC.Jordan博士からの)MCF−7細胞を、牛インシュリンおよび非−必須アミノ酸(シグマ(Sigma))が補充された10%FBS(ハイクローン(Hyclone))中のRPMI1640フェノールレッドフリー培地(ギブコ(Gibco))の中に維持した。細胞を最初に4−ヒドロキシタモキシフェン(10−8M)で処理しそして37℃において24時間にわたり放置した。タモキシフェンを用いるこのインキュベーション後に、細胞を化合物で種々の濃度で処理した。
【0220】
作用物質方式で試験しようとする化合物を培養培地に種々の濃度で加えた。拮抗物質方式で処理しようとする化合物は同様にして製造され、そして10nMの17β−エストラジオールも培養培地に加えられた。細胞を24時間にわたり37℃においてインキュベートした。このインキュベーション後に、0.1□Ciの14C−チミジン(56mCi/ミリモル、アメルシャム(Amersham))を培養培地に加えそして細胞をさらに24時間にわたり37℃においてインキュベートした。細胞を次にハンク緩衝塩溶液(HBSS)(ギブコ)で2回洗浄しそしてシンチレーションカウンターを用いて計数した。賦形剤で処理された細胞と比べた化合物で処理された細胞中の14C−チミジンにおける増加が細胞増殖における増加百分率として報告された。
【0221】
本発明の代表的な化合物が上記の工程に従い試験され、結果は表2示された通りである。
【0222】
【表3】

【0223】
実施例25
ヒト子宮内膜イシカワ(Ishikawa)細胞中のアルカリ性ホスファターゼ検定
この検定はAlbert et a., Cancer Res, (9910), 50(11), 330−6−10により記載された工程に従い少し変更して、行われた。
【0224】
(ATCCからの)イシカワ細胞を、10%子牛血清(ハイクローン)が補充されたDMEM/F12(1:1)フェノールレッドフリー培地(ギブコ)の中に維持した。試験の24時間前に、培地を2%子牛血清を含有するDMEM/F12(1:1)フェノールレッドフリーと交換した。
【0225】
作用物質方式で試験しようとする化合物を培養培地に種々の濃度で加えた。拮抗物質方式で処理しようとする化合物は同様にして製造され、そして10nMの17β−エストラジオールも培養培地に加えられた。細胞を次に37℃において3日間にわたりインキュベートした。4日目に、培地を除去し、1容量の1×希釈緩衝液(クロンテク(Clontech))をウエルに加え、引き続き1容量の検定緩衝液(クロンテク)を加えた。細胞を次に室温において5分間にわたりインキュベートした。1容量の製造したての化学発光緩衝液(1.25mMのCSPDの最終濃度を有する19容量の化学発光促進剤中の1容量の化学発光基質(CSPD);シグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Co.))を加えた。細胞を室温において10分間にわたりインキュベートしそして次にルミノメーター上で定量化した。賦形剤対照と比べた化学発光の増加を使用してアルカリ性ホスファターゼ活性における増加を計算した。
【0226】
本発明の代表的な化合物が上記の工程に従い試験され、結果は表3示された通りである。
【0227】
【表4】

【0228】
実施例26
経口組成物の具体的な態様として、100mgの実施例11の通りにして製造された化合物11を580〜590mgの合計量を与えるのに充分な微細分割ラクトースと調合して寸法Oの硬質ゲルカプセル剤を充填した。
【0229】
前記の明細書は説明目的のために提供されている実施例と共に本発明の原理を教示するものであるが、本発明の実施法は以下の特許請求の範囲およびそれらの同等物に入る一般的な変更、応用および/または改質の全てを包括する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
【化2】

は単結合または二重結合を表し、
X、YはO、S、SOおよびSOよりなる群から選択され、
ZはOおよびSよりなる群から選択され、
は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリール−アルキルよりなる群から選択され、ここでシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、−SH、−S(アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−OR、−SO−NR、−NR、NR−SO−NR、−(アルキル)0−4−C(O)NR、(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、
ここでRはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル−アルキルよりなる群から選択され、ここでシクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、−SH、−S(アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−SO−NR、NR、NR−SO−R、−(アルキル)0−4−C(O)−NR、−(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、
ここでQはO、S、NH、N(アルキル)および−CH=CH−よりなる群から選択され、
ここでRおよびRは各々独立して水素およびアルキルよりなる群から選択され、或いはRおよびRはそれらが結合される窒素原子と一緒になってヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルよりなる群から選択される4〜8員の環を形成し、ここでヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、
ここでRは水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル−アルキルよりなる群から選択され、ここでシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、
はヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリール−アルキルよりなる群から選択され、ここでシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−アルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、−SH、−S(アルキル)、SO、NO、CN、COH、R、−OR、−SO−NR、−NR、NR−SO−R、−(アルキル)0−4−C(O)NR、(アルキル)0−4−NR−C(O)−R、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−NR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−OR、−(アルキル)0−4−(Q)0−1−(アルキル)0−4−C(O)−NRまたは−(アルキル)0−4−C(O)−(アルキル)0−4−C(O)−ORから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、
或いは、RおよびRはそれらが結合される炭素原子と一緒になってC(O)を形成し、
mは0〜4から選択される整数であり、
はハロゲン、ヒドロキシ、R、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、SO、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)N(R、−N(R)C(O)R、−OSi(R−OR、−SON(R、−O−(アルキル)1−4−C(O)Rおよび−O−(アルキル)1−4−C(O)ORよりなる群から独立して選択され、
ここで各Rは水素、アルキル、アリール、アラルキルおよび1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オンから独立して選択され、ここでアルキル、アリールまたはアラルキル基は場合によりアルキル、ハロゲン化されたアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、−OC(O)−アルキルまたは−C(O)O−アルキルから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、
或いは2個のR基はそれらが結合される窒素原子と一緒になってヘテロシクロアルキル基を形成し、ここでヘテロシクロアルキル基は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはシアノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、
lは0、1から選択される整数である]
の化合物。
【請求項2】
【化3】

が二重結合を表し、
XがSであり、
YがSであり、
ZがOであり、
が水素および低級アルキルよりなる群から選択され、
がヒドロキシ、アリール、4−(1−ヘテロシクロアルキル−アルコキシ)−フェニル、4−(ジ(アルキル)アミノ−アルコキシ)−フェニル、4−(ジ(アルキル)アミノ)−フェニルおよび4−アラルキルオキシ−フェニルよりなる群から選択され、
或いはRおよびRがそれらが結合される炭素原子と一緒になってC(O)を形成し、
lが1であり、
mが1であり、
がハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、(低級アルキル−ジ(低級アルキル))−シリルオキシ、−OC(O)−(低級アルキル)、−OC(O)−C(フェニル)−OC(O)−(低級アルキル)、−OC(O)−(1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オン)および−OC(O)−C(CH)(CF)−フェニルよりなる群から選択される、
請求項1に記載の化合物およびその製薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
XがSであり、
YがSであり、
ZがOであり、
が水素およびメチルよりなる群から選択され、
がヒドロキシ、フェニル、3−(1−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−ピロリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(4−モルホリニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−アゼピニル−エトキシ)−フェニル、4−(ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ)−フェニル、4−ベンジルオキシ−フェニルおよび4−(1−ピペリジニル−n−プロポキシ)−フェニルよりなる群から選択され、
或いはRおよびRがそれらが結合される炭素原子と一緒になってC(O)を形成し、
l=2であり、
m=1であり、
がフルオロ、ヒドロキシ、メトキシ、t−ブチル−ジメチル−シリルオキシ、−OC(O)−t−ブチル、−OC(O)−CH(フェニル)−OC(O)CH、−OC(O)−(1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[.2.1]ヘプタン−3−オン)、および−OC(O)−C(CH)(CF)−フェニルよりなる群から選択され、
がフルオロ、ヒドロキシ、メトキシ、t−ブチル−ジメチル−シリルオキシ、−OC(O)−t−ブチル、−OC(O)−CH(フェニル)−OC(O)CH、−OC(O)−(1,7,7−トリメチル−2−オキサビシクロ[.2.1]ヘプタン−3−オン)および−OC(O)−C(CH)(CF)−フェニルよりなる群から選択される、
請求項1に記載の化合物およびその製薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
X=Oであり、
Y=Oであり、
Z=Oであり、
が水素およびメチルよりなる群から選択され、
がフェニル、4−(1−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−ピロリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(4−モルホリニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−アゼピニル−エトキシ)−フェニル、4−(ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニルおよび4−(ジメチルアミノ)−フェニルよりなる群から選択され、
或いはRおよびRがそれらが結合される炭素原子と一緒になってC(O)を形成し、
l=1であり、
m=1であり、
がヒドロキシおよび−OC(O)−t−ブチルよりなる群から選択される、
請求項1に記載の化合物およびその製薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
X=Oであり、
Y=Oであり、
Z=Oであり、
が水素およびメチルよりなる群から選択され、
がフェニル、4−(1−ピペリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−ピロリジニル−エトキシ)−フェニル、4−(4−モルホリニル−エトキシ)−フェニル、4−(1−アゼピニル−エトキシ)−フェニル、4−(ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニル、4−(ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニルおよび4−(ジメチルアミノ)−フェニルよりなる群から選択され、
或いはRおよびRがそれらが結合される炭素原子と一緒になってC(O)を形成し、
l=2であり、
m=1であり、
がヒドロキシおよび−OC(O)−t−ブチルよりなる群から選択される、
請求項1に記載の化合物およびその製薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
製薬学的に許容可能な担体および請求項1の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項7】
請求項1の化合物および製薬学的に許容可能な担体を混合することを含んでなる製薬学的組成物の製造方法。
【請求項8】
処置を必要とする患者に治療的に有効な量の請求項1の化合物を投与することを含んでなる、患者におけるエストロゲン受容体により介在される疾患の処置方法。
【請求項9】
エストロゲン受容体により介在される疾患がのぼせ、膣乾燥、オステオペニア、骨粗鬆症、高脂血症、認知機能の損傷、変性脳疾病、心臓血管疾病、脳血管疾病、乳房組織の癌、乳房組織の過形成、子宮内膜の癌、子宮内膜の過形成、子宮頸部の癌、子宮頸部の過形成、前立腺の癌、前立腺の過形成、子宮内膜症、子宮筋腫、変形性関節症および避妊よりなる群から選択される請求項8の方法。
【請求項10】
エストロゲン受容体により介在される疾患が骨粗鬆症、のぼせ、膣乾燥、乳癌および子宮内膜症よりなる群から選択される、請求項8の方法。
【請求項11】
処置を必要とする患者に治療的に有効な量の請求項6の組成物を投与することを含んでなる、患者におけるエストロゲン受容体により介在される疾患の処置方法。
【請求項12】
治療的に有効な量の式(I)の化合物およびプロゲストゲンまたはプロゲストゲン拮抗物質を用いる同時療法を含んでなる避妊方法。

【公表番号】特表2008−506781(P2008−506781A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522653(P2007−522653)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/025562
【国際公開番号】WO2006/014634
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】