説明

エストロゲン様作用剤

【課題】本発明の課題は、有効性の高いツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花の抽出物に関して有効に活用する方法を見つけることにある。また一方で、エストロゲンは加齢によって分泌が衰え、それに伴って起こる疾患・悩みに対し、有効かつ安全な皮膚外用剤ならびに機能性健康食品の開発が望まれている。
【解決手段】ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花の抽出物がこれまでに確認されていなかった機能、すなわちエストロゲン様作用を有することが分かり、エストロゲン分泌低下によって引き起こされる種々の疾患・悩みに対して有効であることが分かった。疾患・悩みとしては糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化などの生活習慣病、自律神経失調症、更年期障害、肌トラブル、しわ、たるみなどを多面的に予防・改善することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明品は、特定の属の植物から抽出された抽出物が加齢によって分泌が衰えるエストロゲンと同様の作用を示し、それに伴って起こる疾患・悩み、すなわち、高血圧、高脂血症、動脈硬化などの生活習慣病、自律神経失調症、更年期障害、肌トラブル、しわ、たるみなどを予防・改善する機能性製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の日本においては高齢化社会が急速に進んでいる。老いてもいつまでも活発に、日常生活を送りたいというのは人々の共通の願いである。その願望に応えるべく、昨今、多くの抗老化対応製品が開発されており、食品や化粧品分野においても然りである。加齢に伴って体の機能は衰えていくが、具体的にはエストロゲンの分泌低下がある。エストロゲンは女性ホルモンの一種で発情作用および類似の作用を持つ物質の総称を言う。エストロゲンは日常的に男女ともに分泌されるものの、男女とも加齢によってホルモン分泌細胞のアポトーシス(遺伝的に死ぬことが組み込まれた自然死)や血流量の減少、ホルモン分泌臓器の老化、また酸化ストレスにより分泌が低下する。特に女性では閉経後、その分泌量が急激に減少することが知られている。エストロゲンの作用としては、血管拡張作用、血圧コントロール作用、脂質代謝コントロール、抗酸化酵素SODの生成促進(抗酸化作用)、自律神経の調整などがあげられ、その機能が多岐に渡っているのが特徴である。こうした作用を有するエストロゲンの分泌が衰えると体に種々の疾患や悩みとなって現れる。例えば代表的な疾患、悩みとして、高血圧、高脂血症、動脈硬化などの生活習慣病、自律神経失調症、更年期障害、肌トラブル、しわ、たるみなどがあげられる。よって、エストロゲン様物質を補うことは加齢で衰えていく体の種々の機能を高めることができ、非常に有効な機能性物質と言える。
【0003】
チャノキは中国原産で、ツバキ科チャ属植物で、学名をThea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntzeといい、九州で野生化している常緑小低木である。製茶用として各地で栽培されている。飲用の用途に葉を釜炒りして発酵させた中国緑茶は、古くは薬として考えられてきたが、蒸して発酵を止める製法によってできる日本の緑茶にも様々な効果があると人々に親しまれてきた。近年茶に含まれるカテキンが注目されたことで、再び茶への関心が広がってきており、例えば特定保健用食品の認可を受けた茶関連商品も多く見られるようになってきた。また、飲食用に留まらず、その用途は医薬品や化粧品にも広がっている(特許文献1−3)。
【0004】
しかし、これらはチャノキの葉を利用したものであり、チャノキの花の抽出物を応用した例はこれまで確認されていない。学術面での研究についても公表数は数少なく、チャノキの花の抽出物の成分分析、生理作用については近年始まったばかりである(非特許文献1−4)。またこれまでにザクロの花においてエストロゲン様作用を有する報告はされていない。
【特許文献1】特開2001−122765号
【特許文献2】特開平6−24937号
【特許文献3】特開平11−246388号
【非特許文献1】Chem Pharm Bull(Tokyo).2007 Apr;55(4):598−605
【非特許文献2】Asia Pac J.Clin Nutr.2007;16Suppl:148−52.
【非特許文献3】J.Nat.Prod.2005;68(9):1360−1365
【非特許文献4】J.Agric Food Chem.2003 Feb 12;51(4):975−80
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的はこれまでエストロゲン様作用としての効果が知られていないツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis (L.)O.Kuntze)の花の抽出物にその作用を見出し、高血圧、高脂血症、動脈硬化などの生活習慣病、自律神経失調症、更年期障害、肌トラブル、しわ、たるみなどを予防、改善するため、さらにはこれを有効に活用するために種々検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花の抽出物がエストロゲン作用を有し、その作用によって多面的に糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化などの生活習慣病、自律神経失調症、更年期障害、肌トラブル、しわ、たるみなど種々の疾患・悩みを予防・改善することが分かった。
【0007】
定義
「エストロゲン様作用剤」とは、哺乳動物(本明細書において人間を包含する)に投与した際に、エストロゲンと同一又は類似の作用、効果及び役割を果たすものをいう。このことから、「エストロゲン様作用剤」とはエストロゲン代替組成物をも意味する。
「抽出物」とは抽出処理によって得られる抽出液、抽出液の希釈液若しくは濃縮液、抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの精製物或いはこれらの調製品の全てを包含する概念である。
【0008】
1.エストロゲン様作用剤
本発明によるエストロゲン様作用剤は、ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花の抽出物そのものであってよく、また、その他の成分を含んでなるものであってよい。
抽出物/抽出方法
原料
原料は、ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花である。
【0009】
抽出溶媒
本発明にあっては、抽出溶媒として、水、直鎖または分岐鎖を有する炭素数1〜5の低級アルコール、直鎖または分岐鎖を有する炭素数1〜5の低級エステル、直鎖または分岐鎖を有する炭素数1〜5の低級アセトン、及びこれらの二種以上の混合物が使用される。直鎖または分岐鎖を有する炭素数1〜5の低級アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が好ましくは挙げられ、より好ましくは、メタノール、エタノール(好ましい)が挙げられる。直鎖または分岐鎖を有する炭素数1〜5の低級エステルの具体例としては、酢酸メチル、酢酸エチル等が好ましくは挙げられ、より好ましくは酢酸エチルが挙げられる。直鎖または分岐鎖を有する炭素数1〜5の低級アセトンとしては、アセトンが好ましくは挙げられる。本発明にあっては、溶媒で抽出した溶媒抽出物をそのままエストロゲン様作用剤として使用する場合、これら溶媒の中でも食品として使用されるものを選択し使用することが好ましく、より好ましくは水、エタノール及びこれらの混合物である。
【0010】
抽出溶媒の添加量は、原料の量、抽出温度等に適合させて適宜定めることができる。また、溶媒抽出は、常温、常圧下で行って良く、抽出温度は各溶媒の沸点等を考慮して適宜定めることができる。
【0011】
本発明にあっては、溶媒抽出する場合、ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花(乾燥)と溶媒の重量比率は、1:20〜1:1であり、好ましくは1:15であり、より好ましくは1:10である。また、抽出する際に加温するときの温度は、30℃以上100℃以下程度であり好ましくは、下限値が45℃以上であり上限値が90℃以下である。また、抽出する際、室温で行う際には、原料の量、抽出溶媒の質、構成及び量にもよるが、原料1kg当たり、2日以上6日以下程度であり、下限値が3日以上であり上限値が5以下である。
【0012】
濃縮
本発明の別の態様によれば、溶媒抽出物から溶媒を除去した抽出物を得ることができる。溶媒を除去する方法としては、一般的には、減圧濃縮、加熱濃縮、通風濃縮、冷凍濃縮、噴霧濃縮、およびその他の濃縮方法、またはこれらの混合方法を用いることができる。濃縮の際の、圧力、温度、風力、噴霧等は、得られる抽出物の量及び使用用途に併せて適宜設定することができる。本発明においては、減圧濃縮が好ましくは利用される。減圧濃縮を行う場合、圧力、温度は得られる濃縮物の量及び使用用途に併せて適宜設定することができる。
【0013】
乾燥/乾燥物
本発明の別の態様によれば、抽出物または溶媒を除去した抽出物を、乾燥し、乾燥物を得ることができる。本発明において、乾燥方法は、天日乾燥、(熱)風乾燥、真空乾燥、通気乾燥、流動乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、高周波乾燥、およびその他の乾燥法、またはこれらの混合方法が用いられる。乾燥は、上記した濃縮と同時に行われても良い。
【0014】
好ましい抽出実施形態
本発明の好ましい態様によれば、例えば、ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花の生薬粉末1kgに対して3〜5リットルの溶媒を加え、加温または冷温下で抽出して抽出物を得ることができる。加温する場合、80〜90℃の温度で数時間、冷温する場合、室温(25度前後)で3日間浸漬することが好ましい。加温または冷温処理を行った後に、ろ過し、ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花から抽出された抽出物を得ることができる。本発明のより好ましい態様によれば、この抽出物を例えば45℃以下で減圧濃縮し、溶媒を留去して乾燥抽出物質とすることができる。
【0015】
製造方法
従って、本発明の別の態様によれば、エストロゲン様作用剤を製造する方法が提案することができ、その方法は、
ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花を用意し、
必要に応じて温度調整をしつつ、前記ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花を溶媒に浸漬し、
ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花から浸漬した抽出物質を得ることを含んでなるものである。
本発明による製造方法は、必要に応じて、抽出物質を濃縮し及び/又は乾燥すること、また、抽出物質に第三成分を添加することを含んでなるものであってもよい。
【0016】
2.用途
エストロゲン様作用剤
本発明による、ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花から抽出された抽出物質を含んでなる、エストロゲン様作用剤は様々ものに使用することができ、具体的には、以下の用途を有する。
【0017】
食品添加剤/機能性食品(健康食品)
本発明によるエストロゲン様組成物は食品添加剤として使用されてよい。また、本発明の別の態様によれば、本発明によるエストロゲン様作用剤を含んでなる食品(機能性食品、健康食品)が提案される。本発明による食品は、エストロゲン欠乏の動物に対して、エストロゲン様作用剤を供給し、エストロゲン様作用剤としての機能を発揮させることが可能となる。本発明による食品は、本発明によるツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花がその薬理効果を実現できる形態で食品に添加されてなるものである。
【0018】
本発明による食品の具体例としては、本発明によるツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花の抽出物を含んでなる、麺類、パン、米飯、餅等の穀物加工品;マーガリン、マヨネーズ等の油脂加工品;ハム、ソーセージ等の食肉加工品;かまぼこ、ちくわ等の水産加工品;ヨーグルト、バター、チーズ、アイスクリーム等の乳製品;ジャムなどの果実加工品;漬物などの野菜加工品;チョコレート、クッキー、ケーキ、キャンディー、チューイングガム、ゼリー等の菓子類;ジュース、コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、炭酸飲料、牛乳等の各種飲料;醤油、ソース、みりん等の調味料;等が挙げられる。
【0019】
本発明による機能性食品(健康食品)は、成人1日当たりの摂取量として、ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花の抽出物の質量換算で1.0mg以上1,000mg以下であり、好ましくは下限値が10mg以上であり上限値が600mg以下とになるように設定されることが好ましい。
【0020】
医薬組成物
本発明の別の態様によれば、本発明によるエストロゲン様作用剤を含んでなる医薬組成物を提案することができる。この医薬組成物は、エストロゲン欠乏を補うものであり、抗エストロゲン欠乏症に対して効果を発揮する。具体的には、本発明による医薬組成物は、エストロゲン欠乏に伴う疾病又は抽出不安定愁訴、例えば、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化などの生活習慣病、自律神経失調症、更年期障害、肌トラブル、しわ、たるみ等を予防し改善し治癒する部室本発明による抗更年期障害剤は更年期障害(若年性更年期障害)の予防、抑制、改善、または治療する目的に利用され、その効能が認められる。
【0021】
本発明による医薬組成物は、経口および非経口(例えば、直腸投与、経皮投与)のいずれかの投与経路で、動物に投与することができる。本発明による医薬組成物は、投与経路に応じた適切な剤形として提供されることが好ましい。例えば、液剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤、トローチ錠等の経口剤、直腸投与剤等の種々に調製して使用することが可能である。
【0022】
医薬組成物としての効果をより確実なものとするために、例えば、賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤等、薬学上許容される担体または添加剤を適宜選択し、組み合わせたものを本発明による医薬組成物に添加してよい。使用可能な無毒性の上記添加剤は、例えば乳糖、果糖、ブドウ糖、でん粉、ゼラチン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、シロップワセリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0023】
本発明による医薬組成物は、成人1日当たりの摂取量として、ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花の抽出物の質量換算で1.0mg以上1,000mg以下であり、好ましくは下限値が10mg以上であり上限値が600mg以下とになるように設定されることが好ましい。
【0024】
皮膚用組成物/化粧品
本発明によるエストロゲン様作用剤は皮膚用(医薬)組成物又は化粧品としても使用可能である。本発明による皮膚用組成物又は化粧品は、皮膚に適応した場合の使用感と安全性に優れている。本発明による皮膚用組成物又は化粧品は使用用途を加味して、例えば軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、入浴剤等が挙げられる。ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花の抽出物の添加量は、皮膚用組成物(化粧品)の総重量に対して、約0.0001%以上であり、20重量%以下であり、好ましくは下限値が0.0001重量%以上であり上限値が10重量%以下である。
【0025】
本発明における皮膚用組成物又は化粧品は、任意成分を含んでなることができる。任意成分の具体例としては、保湿剤、紫外線吸収剤、複合脂質、活性酸素消去作用を有する物質、抗炎症剤、ビタミンおよびその誘導体、油性成分、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、コレステロール類、植物ステロール類、リポプロテイン類、微生物由来成分、藻類抽出物、血行促進剤、抗脂漏剤、増粘剤、着色料等が挙げられる。
【実施例】
【0026】
次に実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれになんら制約されるものではない。また使用した薬剤の抽出液についての抽出方法は何ら限定されるものではない。
【0027】
(試験例1)エストロゲン様作用試験
本試験例1において使用した「MCF−7」は、ヒト乳ガン由来細胞の中でも、女性ホルモンであるエストロゲンに対する受容体を豊富に持ち、エストロゲン依存的に増殖する特性を有するものである。MCF−7細胞藩種後、サンプルと培地を添加して一定期間培養し、その後の増殖細胞数を測定することで作用率を算出した。サンプル溶媒添加時の培養細胞の作用率を100%として算出した。
【0028】
【表1】

(注1)チャノキの花の熱水抽出液はチャノキの花10gに精製水300mLを加えて80℃8時間熱した後、ろ過し、溶媒留去したエキスを用いた。
(注2)チャノキの花の50%Et抽出物はチャノキの花10gに精製水150mLとエタノール150mLの混合液を加えて50℃5時間熱した後、ろ過し、溶媒留去したエキスを用いた。
(注3)チャノキの葉の50%Et抽出物はチャノキの葉10gに精製水150mLとエタノール150mLの混合液を加えて50℃5時間熱した後、ろ過し、溶媒留去したエキスを用いた。
【0029】
(試験例2)皮膚外用剤の効果
実施例および比較例の処方を表2に示す。作成方法は常法により行った。なお表2は美容液の処方で、配合量は重量部で示す。
【表2】


(注3)チャノキの花の抽出物はチャノキの花10gに精製水150mLとエタノール150mLの混合液を加えて50℃5時間熱した後、ろ過し、溶媒留去したエキスを用いた。
(注5)チャノキの葉の抽出物はチャノキの葉10gに精製水150mLとエタノール150mLの混合液を加えて50℃5時間熱した後、ろ過し、溶媒留去したエキスを用いた。
【0030】
表2記載の実施例1〜2、比較例1の美肌効果試験を実施した。試験方法は35〜60歳の女性30名をパネルとし、毎日朝と夜の2回、12週間に渡って洗顔後に被験外用剤の適量を顔面に塗布した。塗布による美肌効果の結果を表3に示す。
【0031】
【表3】

【0032】
(試験例3)更年期障害予防に関する試験
実施例および比較例の比率を表4に示す。なお表4の配合量は重量部で示す。これらを混合した後に打錠剤し、質量が0.3gの楕円形錠剤状の食品製剤を得た。
【0033】
【表4】

(注6)チャノキの花の抽出物はチャノキの花10gに精製水150mLとエタノール150mLの混合液を加えて24時間静置した後、ろ過し、溶媒留去したエキス粉末を用いた。
(注)チャノキの葉の抽出物はチャノキの葉10gに精製水150mLとエタノール150mLの混合液を加えて24時間静置した後、ろ過し、溶媒留去したエキス粉末を用いた。
【0034】
実施例3、4および比較例2の食品製剤について、更年期障害改善に関する試験を行った。具体的には、45〜65歳の更年期障害の自覚症状のある女性5例に、実施例3、4および比較例2の食品製剤を1日5錠、10日間摂取させた。各例の摂取前及び摂取後の精神状態を聞き取りした。聞き取り結果を表5に示す。
【0035】
【表5】

【0036】
この結果、実施例3のツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花の抽出物含有食品製剤は更年期障害特有の不安定愁訴を低減させることが分かった。
【0037】
エストロゲン様作用を有するツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis(L.)O.Kuntze)の花の抽出物はエストロゲン様作用を示すことが確認され、多面的に糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化などの生活習慣病、自律神経失調症、更年期障害、肌トラブル、しわ、たるみの予防、改善効果があることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツバキ科チャ属チャノキ植物(Thea sinensis L.=Camellia sinensis (L.)O.Kuntze)の花から抽出された抽出物質を含んでなる、エストロゲン様作用剤。
【請求項2】
食品添加剤である、請求項1に記載のエストロゲン様組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のエストロゲン様組成物を含んでなる、食品。
【請求項4】
請求項1に記載のエストロゲン様組成物を含んでなる、抗エストロゲン欠乏症用医薬組成物。
【請求項5】
請求項1に記載のエストロゲン様組成物を含んでなる、皮膚用組成物又は化粧品。

【公開番号】特開2008−280320(P2008−280320A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149740(P2007−149740)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(599000212)香栄興業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】