エストロゲン欠乏に関連する症状を予防または改善するための組成物を製造するためのリグナンの使用
本発明は、個体におけるエストロゲン欠乏に関連する症状を予防または改善するための組成物を製造するための、植物性リグナン、その代謝物またはそれら両方の組み合わせであるリグナンの使用に関する。さらに、本発明は、エストロゲン欠乏を患っているかまたはエストロゲン欠乏のリスクがある個体の血清中の、エンテロラクトン、または植物性リグナンの別の代謝物の濃度を高めるために有用な組成物を製造するための、エンテロラクトン、または植物性リグナンの別の代謝物の前駆体となり得る、植物性リグナンの使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個体におけるエストロゲン欠乏に関連する症状、特に、女性におけるエストロゲンホルモン産生の年齢による減少に関連するがそれだけには限定されない閉経期の症状または閉経後の症状を予防または改善するための方法に関する。特に、本発明は、閉経時および閉経後の女性の更年期症状(たとえば顔面紅潮)の予防または改善に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景を示すために本明細書中で挙げられる刊行物および他の材料、特に実施に関するさらなる詳細を示すための刊行物および他の材料は、参考として組み込まれる。
【0003】
特に、年齢、疾患、外科手術、薬物治療および環境因子により、生理的なホルモンバランス(ホルモン合成および分解、ホルモンシグナル伝達妨害)が崩れて異常を引き起こすことがあり、体内のホルモン活性がしばしば減少する。このことに関連して、閉経期の女性では、エストロゲンホルモンの産生が減少することにより、不眠、気分の激しい変化、健忘症および顔面紅潮という症状が起こることがよくある。これらの症状は、卵巣によるエストロゲン産生の低下および/または異常産生と直接的な関係がある。ほとんどすべての女性は、閉経に関連する血管運動症状(顔面紅潮)および他の症状が生活の質をかなり下げる現象であることを知っている。医師らはこれらの症状を緩和するためにホルモン補充療法(HRT)を薦めることが多いが、Women's Health Initiative(WHI)の最近の研究では、HRTに関連した副作用が開示されている。このデータによれば、長期間にわたるHRTにより、乳癌、脳卒中、肺塞栓症および冠状動脈心疾患の危険度が高まることが示された。そのため、女性におけるエストロゲン産生/作用の低下に関連する徴候および症状を改善するための代わりとなる治療が必要であることは明らかである。
【0004】
HRTが以前に考えられていたほど安全および/または効果的ではないという理解から、HRTにかわるものとして植物由来エストロゲン(植物性エストロゲンと呼ばれる)を用いることに関心が集まってきている。
【0005】
リグナンは植物性エストロゲンであると考えられており、2,3−ジベンジルブタン骨格を有するフェノール化合物の一種であると定義される。これらは、前駆体と呼ばれるモノマー単位(たとえば、桂皮酸、コーヒー酸、フェルラ酸、クマル酸および没食子酸)のカップリングによって形成される(1)。リグナンは、植物中に広く分布している。リグナンは、異なる部位(根、葉、茎、種、果実)中で発見することができるが、たいていの場合は少量しか存在しない。多くの供給源(種、果実)では、リグナンは、植物の繊維成分と結合したグリコシド接合体として発見される。哺乳動物のリグナン前駆体の最も一般的な供給源(dietary sources)は、未精製の穀物製品である。食用植物中で最も高濃度のリグナンは、亜麻仁中で見られ、その次が未精製穀物製品、特にライ麦である。
【0006】
かなりの量のリグナンが針葉樹中でも発見されている。リグナンの種類は、種が異なれば異なり、リグナンの量も樹の部位が異なれば異なる。トウヒ(Picea abies)の心材中の典型的なリグナンは、7−ヒドロキシマタイレシノール(HMR)、α−コニデンドリン、コニデンドリン酸、マタイレシノール、イソラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、リオビル、ピノレシノール、ラリシレシノールおよびピノレシノールである(2)。トウヒ中に存在するリグナンのうち最も含有量の多い成分は7−HMRであり、全リグナンの約60%であり、接合していない遊離形態で主に存在する。
【0007】
7−ヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノールおよびセコイソラリシレシノールのような植物性リグナンは、腸内の微小植物(gut microflora)によって哺乳動物リグナンであるエンテロラクトンまたはエンテロジオールに変換される(3;国際公開第00/59946号)。最近の研究(4)によれば、マタイレシノール、セコイソラリシレシノール、ラリシレシノールおよびピノレシノールグルコシドがエントロラクトンに変換されることも示されている。
【0008】
エンテロラクトンは、多くの有益な治療に使える性質を有していることが知られている。エンテロラクトンの尿排泄量および血清濃度は、乳癌であると診断された女性では低く(5、6)、骨中の塩濃度が低い女性でも低く(7)、リグナンが化学的に予防していることが示唆されている。エストロゲンレセプターαへのエンテロラクトンの直接的な結合(図1)またはエンテロラクトンによるステロイド代謝アロマターゼの阻害は、リグナンを豊富に含む植物を食べることによりエストロゲン依存性疾患(たとえば乳癌)を減らせる可能性があるという機序を示唆するものである(8、9)。
【0009】
近年の研究(10)では、亜麻仁を加えた食事を摂ることで閉経時の女性において更年期の症状を改善する効果があることが開示されている。亜麻は、高濃度のセコイソラリシレシノールを含んでおり、このセコイソラリシレシノールはヒトの体内でエストロゲン様物質のエンテロラクトンに容易にかつゆっくりと変換される。亜麻で強化された食事はまた、ヒトの体内で循環するエンテロラクトン濃度を容易に上げる(11、12およびこの文献中に記載の参考文献)。まとめると、これらの知見は、エンテロラクトン前駆体として役立つリグナンが閉経期の症状および骨粗しょう症を改善するのに効果的であることを示唆する。
【0010】
エンテロラクトンを合成する方法は、文献(13)に開示されている。しかし、単離された哺乳動物リグナン(たとえばエンテロラクトン)は、動物実験または治験で使用されるのに十分な量とは程遠い量しか手に入れることができない。哺乳動物リグナンの供給量を高める唯一の可能性は、繊維が豊富な植物(たとえば亜麻仁)の消費量を増やすことである。
【0011】
国際公開第WO00/59946号は、7−ヒドロキシマタイレシノールがインビボで効果的にエンテロラクトンに変換され、よってエンテロラクトンの濃度を増やすのに有効であることが開示されている。この刊行物には、7−ヒドロキシマタイレシノールはインビトロで抗酸化活性を有するため、それ自体が有効であることも示されている。この刊行物は、癌(たとえば乳癌、前立腺癌および結腸癌)、非癌、ホルモン依存性疾患(たとえば下部尿路の萎縮、尿道共同運動障害、不安定膀胱、膀胱出口閉塞症、良性前立腺過形成、および男性の女性化乳房)、および血清中の酸化LDLに起因する心血管疾患の予防にヒドロキシマタイレシノールが有用であることを開示している。
【発明の開示】
【0012】
1つの局面によれば、本発明は、個体におけるエストロゲン欠乏に関連する症状を予防または改善するための方法であって、植物性リグナン、その代謝物またはそれら両方の組み合わせである有効量のリグナンを該個体に投与する工程を含む方法に関する。
【0013】
別の局面によれば、本発明は、エストロゲン欠乏症を患っているかまたはエストロゲン欠乏のリスクがある個体の血清中のエンテロラクトン、または植物性リグナンの別の代謝物の濃度を高めるための方法であって、エンテロラクトン、または該植物性リグナンの別の代謝物の前駆体となり得る有効量の植物性リグナンを個体に投与する工程を含む方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
卵巣の機能およびエストロゲン産生の閉経期の低下は、エストロゲンおよびプロゲスチンをホルモン補充することによって補われることが多い。しかし、HRTの潜在的な副作用が認識されるようになったため、閉経期の女性はこの治療を拒むようになった。このことにより、重篤な血管運動症状(更年期の症状)が増え、閉経後の骨塩量の著しい低下による骨折の危険度が高まった。
【0015】
植物性エストロゲンと呼ばれるいくつかの植物由来化合物は、少なくとも薬理学的試験系ではエストロゲンの作用を模倣しており、これらの生成物を使用すること(たとえば閉経期および閉経後の女性に)に関心が集まってきている。
【0016】
本発明の方法によって予防可能な症状および疾患は、たとえば、閉経期の血管運動症状、気分の激しい変化、不眠および下部尿路の粘膜の乾燥である。
【0017】
さらに、リグナンを用いた長期治療により、エストロゲン機能の低下に起因する骨塩量の低下を遅らせることにより骨粗しょう症の進行を止めることも可能である。
【0018】
第1の変形例として、哺乳動物リグナン(特にエンテロラクトン)の血中濃度が減少すると、閉経期に重篤な症状および状態に進行する危険性が高まる。そのために、閉経期および閉経後の女性に積極的に植物性リグナンを摂取してもらうことが、血中エンテロラクトン濃度を高めることによってこれらの症状を改善するのに有効である場合がある。血中エンテロラクトン濃度を適切なレベルまで高める(たとえば30〜200nMol/l)ことによって、閉経期の症状/状態を顕著に改善させることができる。
【0019】
第2の変形例として、リグナンは、栄養補助食品としての予想されるいくつかの有益な性質を有し(たとえば、リグナンは抗酸化剤である)、したがって、閉経時/閉経後の女性は植物性リグナンに関連した直接的な効果の恩恵も受け得る。植物性リグナン(たとえば7−ヒドロキシマタイレシノール)を日々の食事に加えることにより、哺乳動物リグナン(たとえばエンテロラクトン)に変換することなく有利な健康効果を誘発することができることも正しいと思われる。閉経時/閉経後の症状に対して治療効果に先立ち、植物性リグナンが哺乳動物リグナン(エンテロラクトン)に変換されなければならないという最終的な証拠が存在しないため、この推定も考慮するべきである。さらに、エストロゲンは、免疫システムのバランスをとり、調整するメディエーターであると考えられており、閉経時のエストロゲン産生の低下は、特定の自己免疫疾患および他の免疫性疾患(心血管疾患、全身性エリテマトーデス、アルツハイマー病)の発症の危険性が高まることとも関係がある。そのために、強力な抗酸化作用および抗炎症作用によって、リグナンのこの性質が閉経時および閉経後の女性に有利にはたらく場合がある。
【0020】
第3の変形例として、哺乳動物リグナン(たとえば、エンテロラクトンまたはエンテロジオール)自体を個体に投与することができる。
【0021】
第4の変形例として、植物性リグナンおよび/または哺乳動物リグナンは、閉経時の症状を改善するのに有利な効果を有することが推定されている他の種類の植物性エストロゲン由来の化合物(たとえば、イソフラボン類(たとえば、大豆ゲニステイン)、クメスタン類、ムラサキツメクサ)と組み合わせることができる。個々の成分を単独で投与するよりも組み合わせることにより大きな治療効果を有することが予想される。
【0022】
好ましい植物性リグナンは、たとえば、7−ヒドロキシマタイレシノール、アロヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノール、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、イソラリシレシノール、オキソマタイレシノール、コニデンドリン、コニデンドリン酸、ピノレシノール、ピノレシノールグルコシド、リオビル、ピセアレシノール、ノルトラセロゲニン、アークチゲニン、それらの幾何異性体および立体異性体、塩および付加物および混合物である。
【0023】
特に好ましいのは、植物性リグナンのヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノール、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、ピノレシノールおよびピノレシノールグルコシド、およびそれらの幾何異性体および立体異性体、塩および付加物および混合物である。これらのリグナンは、エンテロラクトンに良好に変換される性質を示す。
【0024】
好ましい哺乳動物リグナンはエンテロラクトンおよびエンテロジオールであり、特にエンテロラクトンである。
【0025】
投与されるリグナンは、本文中ではこれらの化合物の任意の幾何異性体または立体異性体または異性体の任意の混合物(たとえばラセミ体)を含むと理解される。これらの化合物の塩、付加物および複合体もこの用語に含まれると理解される。
【0026】
本発明で使用されるリグナンは、医薬製剤(Pharmaceutical preparation)、栄養補助食品、臨床で使用する栄養製剤または機能性食品の形態で供給される可能性がある。特に好ましい実施態様によれば、リグナンはセリアック病患者の臨床的な栄養補給のための補助食品として投与される。
【0027】
本発明の医薬製剤は、好ましくは、経口製剤である。活性化合物または活性化合物の混合物の必要量は、化合物の種類および予防される特定の状態によって変動するであろう。典型的な用量の範囲は、成人1人あたり約10mg/日〜約2000mg/日、好ましくは成人1人あたり約100mg/日〜約600mg/日である。典型的な剤形としては、限定されないが、経口剤形(たとえば、粉末、顆粒、カプセル、錠剤、カプレット、トローチ剤、液体、エリキシル、エマルジョンおよび縣濁液)が挙げられる。このようなあらゆる剤形は、従来の担体、希釈剤、賦形剤、バインダーおよび医薬分野で当業者に既知の添加剤を含んでいてもよい。
【0028】
典型的に使用される薬学的担体または他の製剤担体は、固体または液体であってもよい。たとえば、固形担体としては、多糖類(たとえば、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、寒天)があげられ、液状担体としては、塩類の水溶液、多糖類、錯化剤、界面活性剤、シロップ、植物油(たとえばピーナッツ油またはオリーブ油)、および特定のアルコールが挙げられる。しかし、任意の受容可能な固形担体または液状担体を、本発明にしたがって投与される医薬製剤または他の食品または栄養製剤に使用することができる。
【0029】
本発明の方法で使用されるのに適した典型的な食品は、特に、機能性食品、栄養補助食品、栄養剤、ファーマフーズ、ニュートラシューティカル、健康食品、デザイナーフードまたは任意の食品である。食品中の活性化合物の適切な濃度は、たとえば、食品100gあたり5〜1000mg、好ましくは食品100gあたり約10〜100mgである。
【実施例】
【0030】
組み換えエストロゲンレセプターαを用いたエストロゲンレセプター結合アッセイで植物性エストロゲンとエンテロラクトンの効力を試験した。結果を図1に示す。簡単に説明すると、市販のエストロゲンレセプターα結合キット(インビトロゲン/パンベラ社(Invitrogen/PanVera Corp.)、エストトゲンレセプター競合物アッセイグリーン #P2614,P2698)を用いて試験を行なった。試験化合物および対照化合物を10-2Mストック溶液になるようにDMSOに溶解した。試験化合物および試薬を96ウェルマイクロタイタープレートに入れ、滅菌希釈液を調製し、結合活性を試験した。試験化合物によって誘発される蛍光偏光の変化の測定結果を得た。この蛍光偏向の変化はエストロゲンレセプターαに化合物が結合する能力を反映している。化合物を1、10、100、1000および10000nMの濃度で試験し、結果をTecan Ultra Evolutionマイクロプレートリーダー(スイス)で得た。エストロゲンレセプターαの交換曲線を得て(Prismソフトウェア、グラフパッド社(GraphPad Inc.))、IC50濃度を曲線から外挿で得ることができる。
【0031】
エンテロラクトン前駆体としての7−ヒドロキシマタイレシノールの効力もヒト被検体で細菌確認された。その結果から、7−ヒドロキシマタイレシノールをカプセル形態で4週間投与すると循環するエンテロラクトン濃度が持続的に増加することがわかった。結果を図2に示す。簡潔にいうと、健常な男性志願者に7−ヒドロキシマタイレシノールのカプセル製剤を1日に計315mg、105mgを朝昼晩の3回摂取してもらった。被検体にこの製品を29日連続して摂取してもらった。エンテロラクトンの濃度を、実験日1日目と29日目に、最初の7−HMR105mg摂取から0、0.5、1、3、4、4.5、5、8、10、10.5、12および24時間後に測定した。濃度はタンデム質量分析計(アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems Inc.))に接続した高速液体クロマトグラフィーで測定した。
【0032】
本発明の方法は種々の実施態様の形態で組み込まれており、そのうちの数例のみを本明細書中に開示したことが理解されるべきである。他の実施態様が存在するが、本発明の精神からは逸脱しないことが当業者には明らかである。そのために、記載した実施態様は例示であり、発明を限定するものとみなされるべきではない。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】組み換えエストロゲンレセプターα結合試験における種々の植物性エストロゲンの競合を示す。
【図2】7−ヒドロキシマタイレシノールを315mg/日で(105mgずつ3回に分けて)29日間投与されたヒト被検体中のエンテロラクトンの血漿濃度(平均+SD)を示す。1日目と29日目の実験データを示す。x軸には最初の105mg投薬後の時間経過(時間)を示す。矢印は、試験1日目および29日目における3回のHMRリグナンTM(ヒドロキシマタイレシノール)105mg投与を示す。N=6。
【技術分野】
【0001】
本発明は、個体におけるエストロゲン欠乏に関連する症状、特に、女性におけるエストロゲンホルモン産生の年齢による減少に関連するがそれだけには限定されない閉経期の症状または閉経後の症状を予防または改善するための方法に関する。特に、本発明は、閉経時および閉経後の女性の更年期症状(たとえば顔面紅潮)の予防または改善に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景を示すために本明細書中で挙げられる刊行物および他の材料、特に実施に関するさらなる詳細を示すための刊行物および他の材料は、参考として組み込まれる。
【0003】
特に、年齢、疾患、外科手術、薬物治療および環境因子により、生理的なホルモンバランス(ホルモン合成および分解、ホルモンシグナル伝達妨害)が崩れて異常を引き起こすことがあり、体内のホルモン活性がしばしば減少する。このことに関連して、閉経期の女性では、エストロゲンホルモンの産生が減少することにより、不眠、気分の激しい変化、健忘症および顔面紅潮という症状が起こることがよくある。これらの症状は、卵巣によるエストロゲン産生の低下および/または異常産生と直接的な関係がある。ほとんどすべての女性は、閉経に関連する血管運動症状(顔面紅潮)および他の症状が生活の質をかなり下げる現象であることを知っている。医師らはこれらの症状を緩和するためにホルモン補充療法(HRT)を薦めることが多いが、Women's Health Initiative(WHI)の最近の研究では、HRTに関連した副作用が開示されている。このデータによれば、長期間にわたるHRTにより、乳癌、脳卒中、肺塞栓症および冠状動脈心疾患の危険度が高まることが示された。そのため、女性におけるエストロゲン産生/作用の低下に関連する徴候および症状を改善するための代わりとなる治療が必要であることは明らかである。
【0004】
HRTが以前に考えられていたほど安全および/または効果的ではないという理解から、HRTにかわるものとして植物由来エストロゲン(植物性エストロゲンと呼ばれる)を用いることに関心が集まってきている。
【0005】
リグナンは植物性エストロゲンであると考えられており、2,3−ジベンジルブタン骨格を有するフェノール化合物の一種であると定義される。これらは、前駆体と呼ばれるモノマー単位(たとえば、桂皮酸、コーヒー酸、フェルラ酸、クマル酸および没食子酸)のカップリングによって形成される(1)。リグナンは、植物中に広く分布している。リグナンは、異なる部位(根、葉、茎、種、果実)中で発見することができるが、たいていの場合は少量しか存在しない。多くの供給源(種、果実)では、リグナンは、植物の繊維成分と結合したグリコシド接合体として発見される。哺乳動物のリグナン前駆体の最も一般的な供給源(dietary sources)は、未精製の穀物製品である。食用植物中で最も高濃度のリグナンは、亜麻仁中で見られ、その次が未精製穀物製品、特にライ麦である。
【0006】
かなりの量のリグナンが針葉樹中でも発見されている。リグナンの種類は、種が異なれば異なり、リグナンの量も樹の部位が異なれば異なる。トウヒ(Picea abies)の心材中の典型的なリグナンは、7−ヒドロキシマタイレシノール(HMR)、α−コニデンドリン、コニデンドリン酸、マタイレシノール、イソラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、リオビル、ピノレシノール、ラリシレシノールおよびピノレシノールである(2)。トウヒ中に存在するリグナンのうち最も含有量の多い成分は7−HMRであり、全リグナンの約60%であり、接合していない遊離形態で主に存在する。
【0007】
7−ヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノールおよびセコイソラリシレシノールのような植物性リグナンは、腸内の微小植物(gut microflora)によって哺乳動物リグナンであるエンテロラクトンまたはエンテロジオールに変換される(3;国際公開第00/59946号)。最近の研究(4)によれば、マタイレシノール、セコイソラリシレシノール、ラリシレシノールおよびピノレシノールグルコシドがエントロラクトンに変換されることも示されている。
【0008】
エンテロラクトンは、多くの有益な治療に使える性質を有していることが知られている。エンテロラクトンの尿排泄量および血清濃度は、乳癌であると診断された女性では低く(5、6)、骨中の塩濃度が低い女性でも低く(7)、リグナンが化学的に予防していることが示唆されている。エストロゲンレセプターαへのエンテロラクトンの直接的な結合(図1)またはエンテロラクトンによるステロイド代謝アロマターゼの阻害は、リグナンを豊富に含む植物を食べることによりエストロゲン依存性疾患(たとえば乳癌)を減らせる可能性があるという機序を示唆するものである(8、9)。
【0009】
近年の研究(10)では、亜麻仁を加えた食事を摂ることで閉経時の女性において更年期の症状を改善する効果があることが開示されている。亜麻は、高濃度のセコイソラリシレシノールを含んでおり、このセコイソラリシレシノールはヒトの体内でエストロゲン様物質のエンテロラクトンに容易にかつゆっくりと変換される。亜麻で強化された食事はまた、ヒトの体内で循環するエンテロラクトン濃度を容易に上げる(11、12およびこの文献中に記載の参考文献)。まとめると、これらの知見は、エンテロラクトン前駆体として役立つリグナンが閉経期の症状および骨粗しょう症を改善するのに効果的であることを示唆する。
【0010】
エンテロラクトンを合成する方法は、文献(13)に開示されている。しかし、単離された哺乳動物リグナン(たとえばエンテロラクトン)は、動物実験または治験で使用されるのに十分な量とは程遠い量しか手に入れることができない。哺乳動物リグナンの供給量を高める唯一の可能性は、繊維が豊富な植物(たとえば亜麻仁)の消費量を増やすことである。
【0011】
国際公開第WO00/59946号は、7−ヒドロキシマタイレシノールがインビボで効果的にエンテロラクトンに変換され、よってエンテロラクトンの濃度を増やすのに有効であることが開示されている。この刊行物には、7−ヒドロキシマタイレシノールはインビトロで抗酸化活性を有するため、それ自体が有効であることも示されている。この刊行物は、癌(たとえば乳癌、前立腺癌および結腸癌)、非癌、ホルモン依存性疾患(たとえば下部尿路の萎縮、尿道共同運動障害、不安定膀胱、膀胱出口閉塞症、良性前立腺過形成、および男性の女性化乳房)、および血清中の酸化LDLに起因する心血管疾患の予防にヒドロキシマタイレシノールが有用であることを開示している。
【発明の開示】
【0012】
1つの局面によれば、本発明は、個体におけるエストロゲン欠乏に関連する症状を予防または改善するための方法であって、植物性リグナン、その代謝物またはそれら両方の組み合わせである有効量のリグナンを該個体に投与する工程を含む方法に関する。
【0013】
別の局面によれば、本発明は、エストロゲン欠乏症を患っているかまたはエストロゲン欠乏のリスクがある個体の血清中のエンテロラクトン、または植物性リグナンの別の代謝物の濃度を高めるための方法であって、エンテロラクトン、または該植物性リグナンの別の代謝物の前駆体となり得る有効量の植物性リグナンを個体に投与する工程を含む方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
卵巣の機能およびエストロゲン産生の閉経期の低下は、エストロゲンおよびプロゲスチンをホルモン補充することによって補われることが多い。しかし、HRTの潜在的な副作用が認識されるようになったため、閉経期の女性はこの治療を拒むようになった。このことにより、重篤な血管運動症状(更年期の症状)が増え、閉経後の骨塩量の著しい低下による骨折の危険度が高まった。
【0015】
植物性エストロゲンと呼ばれるいくつかの植物由来化合物は、少なくとも薬理学的試験系ではエストロゲンの作用を模倣しており、これらの生成物を使用すること(たとえば閉経期および閉経後の女性に)に関心が集まってきている。
【0016】
本発明の方法によって予防可能な症状および疾患は、たとえば、閉経期の血管運動症状、気分の激しい変化、不眠および下部尿路の粘膜の乾燥である。
【0017】
さらに、リグナンを用いた長期治療により、エストロゲン機能の低下に起因する骨塩量の低下を遅らせることにより骨粗しょう症の進行を止めることも可能である。
【0018】
第1の変形例として、哺乳動物リグナン(特にエンテロラクトン)の血中濃度が減少すると、閉経期に重篤な症状および状態に進行する危険性が高まる。そのために、閉経期および閉経後の女性に積極的に植物性リグナンを摂取してもらうことが、血中エンテロラクトン濃度を高めることによってこれらの症状を改善するのに有効である場合がある。血中エンテロラクトン濃度を適切なレベルまで高める(たとえば30〜200nMol/l)ことによって、閉経期の症状/状態を顕著に改善させることができる。
【0019】
第2の変形例として、リグナンは、栄養補助食品としての予想されるいくつかの有益な性質を有し(たとえば、リグナンは抗酸化剤である)、したがって、閉経時/閉経後の女性は植物性リグナンに関連した直接的な効果の恩恵も受け得る。植物性リグナン(たとえば7−ヒドロキシマタイレシノール)を日々の食事に加えることにより、哺乳動物リグナン(たとえばエンテロラクトン)に変換することなく有利な健康効果を誘発することができることも正しいと思われる。閉経時/閉経後の症状に対して治療効果に先立ち、植物性リグナンが哺乳動物リグナン(エンテロラクトン)に変換されなければならないという最終的な証拠が存在しないため、この推定も考慮するべきである。さらに、エストロゲンは、免疫システムのバランスをとり、調整するメディエーターであると考えられており、閉経時のエストロゲン産生の低下は、特定の自己免疫疾患および他の免疫性疾患(心血管疾患、全身性エリテマトーデス、アルツハイマー病)の発症の危険性が高まることとも関係がある。そのために、強力な抗酸化作用および抗炎症作用によって、リグナンのこの性質が閉経時および閉経後の女性に有利にはたらく場合がある。
【0020】
第3の変形例として、哺乳動物リグナン(たとえば、エンテロラクトンまたはエンテロジオール)自体を個体に投与することができる。
【0021】
第4の変形例として、植物性リグナンおよび/または哺乳動物リグナンは、閉経時の症状を改善するのに有利な効果を有することが推定されている他の種類の植物性エストロゲン由来の化合物(たとえば、イソフラボン類(たとえば、大豆ゲニステイン)、クメスタン類、ムラサキツメクサ)と組み合わせることができる。個々の成分を単独で投与するよりも組み合わせることにより大きな治療効果を有することが予想される。
【0022】
好ましい植物性リグナンは、たとえば、7−ヒドロキシマタイレシノール、アロヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノール、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、イソラリシレシノール、オキソマタイレシノール、コニデンドリン、コニデンドリン酸、ピノレシノール、ピノレシノールグルコシド、リオビル、ピセアレシノール、ノルトラセロゲニン、アークチゲニン、それらの幾何異性体および立体異性体、塩および付加物および混合物である。
【0023】
特に好ましいのは、植物性リグナンのヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノール、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、ピノレシノールおよびピノレシノールグルコシド、およびそれらの幾何異性体および立体異性体、塩および付加物および混合物である。これらのリグナンは、エンテロラクトンに良好に変換される性質を示す。
【0024】
好ましい哺乳動物リグナンはエンテロラクトンおよびエンテロジオールであり、特にエンテロラクトンである。
【0025】
投与されるリグナンは、本文中ではこれらの化合物の任意の幾何異性体または立体異性体または異性体の任意の混合物(たとえばラセミ体)を含むと理解される。これらの化合物の塩、付加物および複合体もこの用語に含まれると理解される。
【0026】
本発明で使用されるリグナンは、医薬製剤(Pharmaceutical preparation)、栄養補助食品、臨床で使用する栄養製剤または機能性食品の形態で供給される可能性がある。特に好ましい実施態様によれば、リグナンはセリアック病患者の臨床的な栄養補給のための補助食品として投与される。
【0027】
本発明の医薬製剤は、好ましくは、経口製剤である。活性化合物または活性化合物の混合物の必要量は、化合物の種類および予防される特定の状態によって変動するであろう。典型的な用量の範囲は、成人1人あたり約10mg/日〜約2000mg/日、好ましくは成人1人あたり約100mg/日〜約600mg/日である。典型的な剤形としては、限定されないが、経口剤形(たとえば、粉末、顆粒、カプセル、錠剤、カプレット、トローチ剤、液体、エリキシル、エマルジョンおよび縣濁液)が挙げられる。このようなあらゆる剤形は、従来の担体、希釈剤、賦形剤、バインダーおよび医薬分野で当業者に既知の添加剤を含んでいてもよい。
【0028】
典型的に使用される薬学的担体または他の製剤担体は、固体または液体であってもよい。たとえば、固形担体としては、多糖類(たとえば、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、寒天)があげられ、液状担体としては、塩類の水溶液、多糖類、錯化剤、界面活性剤、シロップ、植物油(たとえばピーナッツ油またはオリーブ油)、および特定のアルコールが挙げられる。しかし、任意の受容可能な固形担体または液状担体を、本発明にしたがって投与される医薬製剤または他の食品または栄養製剤に使用することができる。
【0029】
本発明の方法で使用されるのに適した典型的な食品は、特に、機能性食品、栄養補助食品、栄養剤、ファーマフーズ、ニュートラシューティカル、健康食品、デザイナーフードまたは任意の食品である。食品中の活性化合物の適切な濃度は、たとえば、食品100gあたり5〜1000mg、好ましくは食品100gあたり約10〜100mgである。
【実施例】
【0030】
組み換えエストロゲンレセプターαを用いたエストロゲンレセプター結合アッセイで植物性エストロゲンとエンテロラクトンの効力を試験した。結果を図1に示す。簡単に説明すると、市販のエストロゲンレセプターα結合キット(インビトロゲン/パンベラ社(Invitrogen/PanVera Corp.)、エストトゲンレセプター競合物アッセイグリーン #P2614,P2698)を用いて試験を行なった。試験化合物および対照化合物を10-2Mストック溶液になるようにDMSOに溶解した。試験化合物および試薬を96ウェルマイクロタイタープレートに入れ、滅菌希釈液を調製し、結合活性を試験した。試験化合物によって誘発される蛍光偏光の変化の測定結果を得た。この蛍光偏向の変化はエストロゲンレセプターαに化合物が結合する能力を反映している。化合物を1、10、100、1000および10000nMの濃度で試験し、結果をTecan Ultra Evolutionマイクロプレートリーダー(スイス)で得た。エストロゲンレセプターαの交換曲線を得て(Prismソフトウェア、グラフパッド社(GraphPad Inc.))、IC50濃度を曲線から外挿で得ることができる。
【0031】
エンテロラクトン前駆体としての7−ヒドロキシマタイレシノールの効力もヒト被検体で細菌確認された。その結果から、7−ヒドロキシマタイレシノールをカプセル形態で4週間投与すると循環するエンテロラクトン濃度が持続的に増加することがわかった。結果を図2に示す。簡潔にいうと、健常な男性志願者に7−ヒドロキシマタイレシノールのカプセル製剤を1日に計315mg、105mgを朝昼晩の3回摂取してもらった。被検体にこの製品を29日連続して摂取してもらった。エンテロラクトンの濃度を、実験日1日目と29日目に、最初の7−HMR105mg摂取から0、0.5、1、3、4、4.5、5、8、10、10.5、12および24時間後に測定した。濃度はタンデム質量分析計(アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems Inc.))に接続した高速液体クロマトグラフィーで測定した。
【0032】
本発明の方法は種々の実施態様の形態で組み込まれており、そのうちの数例のみを本明細書中に開示したことが理解されるべきである。他の実施態様が存在するが、本発明の精神からは逸脱しないことが当業者には明らかである。そのために、記載した実施態様は例示であり、発明を限定するものとみなされるべきではない。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】組み換えエストロゲンレセプターα結合試験における種々の植物性エストロゲンの競合を示す。
【図2】7−ヒドロキシマタイレシノールを315mg/日で(105mgずつ3回に分けて)29日間投与されたヒト被検体中のエンテロラクトンの血漿濃度(平均+SD)を示す。1日目と29日目の実験データを示す。x軸には最初の105mg投薬後の時間経過(時間)を示す。矢印は、試験1日目および29日目における3回のHMRリグナンTM(ヒドロキシマタイレシノール)105mg投与を示す。N=6。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体におけるエストロゲン欠乏に関連する症状を予防または改善するための組成物を製造するための、植物性リグナン、その代謝物またはそれら両方の組み合わせであるリグナンの使用。
【請求項2】
前記症状が閉経期の症状または閉経後の症状である請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記症状が更年期症状である請求項2記載の使用。
【請求項4】
前記症状が顔面紅潮である請求項3記載の使用。
【請求項5】
前記症状が、膣の乾燥、膣萎縮、下部尿路の萎縮、骨塩量減少、閉経期の血管運動症状、気分の激しい変化、不眠、骨粗しょう症または任意の他の閉経に関連する状態である請求項2記載の使用。
【請求項6】
前記エストロゲン欠乏が医薬または外科手術によって生じる請求項1記載の使用。
【請求項7】
前記植物性リグナンが、7−ヒドロキシマタイレシノール、アロヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノール、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、イソラリシレシノール、オキソマタイレシノール、コニデンドリン、コニデンドリン酸、ピノレシノール、ピノレシノールグルコシド、リオビル、ピセアレシノール、ノルトラセロゲニン、アークチゲニン、それらの幾何異性体もしくは立体異性体、塩もしくは付加物、またはそれらの混合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記植物性リグナンが、木材由来の7−ヒドロキシマタイレシノール、その幾何異性体、立体異性体、塩または付加物である請求項7記載の使用。
【請求項9】
代謝物がエンテロラクトンおよび/またはエンテロジオールである請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
エストロゲン欠乏を患っているかまたはエストロゲン欠乏のリスクがある個体の血清中でエンテロラクトンまたは植物性リグナンの別の代謝物の濃度を高めるために有用な組成物を製造するための、エンテロラクトンまたは該植物性リグナンの別の代謝物の前駆体となり得る植物性リグナンの使用。
【請求項11】
前記植物性リグナンが、7−ヒドロキシマタイレシノール、アロヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノール、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、イソラリシレシノール、オキソマタイレシノール、コニデンドリン、コニデンドリン酸、ピノレシノール、ピノレシノールグルコシド、リオビル、ピセアレシノール、ノルトラセロゲニン、アークチゲニン、それらの幾何異性体もしくは立体異性体、塩もしくは付加物、またはそれらの混合物である請求項10記載の使用。
【請求項12】
前記植物性リグナンが、木材由来ヒドロキシマタイレシノール、その幾何異性体、立体異性体、塩または付加物である請求項11記載の使用。
【請求項13】
さらに別の植物エストロゲン、特にイソフラボンおよび/またはムラサキツメクサが投与される請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
有効量の植物性リグナン、その代謝物またはそれら両方の組み合わせであるリグナンを個体に投与する工程を含む、前記個体におけるエストロゲン欠乏に関連する症状を予防または改善するための方法。
【請求項15】
前記症状が閉経期の症状または閉経後の症状である請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記症状が更年期症状である請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記症状が顔面紅潮である請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記症状が、膣の乾燥、膣萎縮、下部尿路の萎縮、骨塩量減少、閉経期の血管運動症状、気分の激しい変化、不眠、骨粗しょう症または任意の他の閉経に関連する状態である請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記エストロゲン欠乏が医薬または外科手術によって生じる請求項14記載の方法。
【請求項20】
前記植物性リグナンが、7−ヒドロキシマタイレシノール、アロヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノール、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、イソラリシレシノール、オキソマタイレシノール、コニデンドリン、コニデンドリン酸、ピノレシノール、ピノレシノールグルコシド、リオビル、ピセアレシノール、ノルトラセロゲニン、アークチゲニン、それらの幾何異性体もしくは立体異性体、塩もしくは付加物、またはそれらの混合物である請求項14〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記植物性リグナンが、木材由来7−ヒドロキシマタイレシノール、その幾何異性体、立体異性体、塩または付加物である請求項20記載の方法。
【請求項22】
代謝物がエンテロラクトンおよび/またはエンテロジオールである請求項14〜19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
エンテロラクトンまたは前記植物性リグナンの別の代謝物の前駆体となり得る有効量の植物性リグナンを個体に投与する工程を含む、エストロゲン欠乏を患っているかまたはエストロゲン欠乏のリスクがある個体の血清中でエンテロラクトンまたは植物性リグナンの別の代謝物の濃度を高めるための方法。
【請求項24】
前記植物性リグナンが、7−ヒドロキシマタイレシノール、アロヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノール、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、イソラリシレシノール、オキソマタイレシノール、コニデンドリン、コニデンドリン酸、ピノレシノール、ピノレシノールグルコシド、リオビル、ピセアレシノール、ノルトラセロゲニン、アークチゲニン、それらの幾何異性体もしくは立体異性体、塩もしくは付加物、またはそれらの混合物である請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記植物性リグナンが、木材由来ヒドロキシマタイレシノール、その幾何異性体、立体異性体、塩または付加物である請求項24記載の方法。
【請求項26】
さらに別の植物エストロゲン、特にイソフラボンおよび/またはムラサキツメクサが投与される請求項14〜25のいずれか1項に記載の使用。
【請求項1】
個体におけるエストロゲン欠乏に関連する症状を予防または改善するための組成物を製造するための、植物性リグナン、その代謝物またはそれら両方の組み合わせであるリグナンの使用。
【請求項2】
前記症状が閉経期の症状または閉経後の症状である請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記症状が更年期症状である請求項2記載の使用。
【請求項4】
前記症状が顔面紅潮である請求項3記載の使用。
【請求項5】
前記症状が、膣の乾燥、膣萎縮、下部尿路の萎縮、骨塩量減少、閉経期の血管運動症状、気分の激しい変化、不眠、骨粗しょう症または任意の他の閉経に関連する状態である請求項2記載の使用。
【請求項6】
前記エストロゲン欠乏が医薬または外科手術によって生じる請求項1記載の使用。
【請求項7】
前記植物性リグナンが、7−ヒドロキシマタイレシノール、アロヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノール、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、イソラリシレシノール、オキソマタイレシノール、コニデンドリン、コニデンドリン酸、ピノレシノール、ピノレシノールグルコシド、リオビル、ピセアレシノール、ノルトラセロゲニン、アークチゲニン、それらの幾何異性体もしくは立体異性体、塩もしくは付加物、またはそれらの混合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記植物性リグナンが、木材由来の7−ヒドロキシマタイレシノール、その幾何異性体、立体異性体、塩または付加物である請求項7記載の使用。
【請求項9】
代謝物がエンテロラクトンおよび/またはエンテロジオールである請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
エストロゲン欠乏を患っているかまたはエストロゲン欠乏のリスクがある個体の血清中でエンテロラクトンまたは植物性リグナンの別の代謝物の濃度を高めるために有用な組成物を製造するための、エンテロラクトンまたは該植物性リグナンの別の代謝物の前駆体となり得る植物性リグナンの使用。
【請求項11】
前記植物性リグナンが、7−ヒドロキシマタイレシノール、アロヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノール、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、イソラリシレシノール、オキソマタイレシノール、コニデンドリン、コニデンドリン酸、ピノレシノール、ピノレシノールグルコシド、リオビル、ピセアレシノール、ノルトラセロゲニン、アークチゲニン、それらの幾何異性体もしくは立体異性体、塩もしくは付加物、またはそれらの混合物である請求項10記載の使用。
【請求項12】
前記植物性リグナンが、木材由来ヒドロキシマタイレシノール、その幾何異性体、立体異性体、塩または付加物である請求項11記載の使用。
【請求項13】
さらに別の植物エストロゲン、特にイソフラボンおよび/またはムラサキツメクサが投与される請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
有効量の植物性リグナン、その代謝物またはそれら両方の組み合わせであるリグナンを個体に投与する工程を含む、前記個体におけるエストロゲン欠乏に関連する症状を予防または改善するための方法。
【請求項15】
前記症状が閉経期の症状または閉経後の症状である請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記症状が更年期症状である請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記症状が顔面紅潮である請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記症状が、膣の乾燥、膣萎縮、下部尿路の萎縮、骨塩量減少、閉経期の血管運動症状、気分の激しい変化、不眠、骨粗しょう症または任意の他の閉経に関連する状態である請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記エストロゲン欠乏が医薬または外科手術によって生じる請求項14記載の方法。
【請求項20】
前記植物性リグナンが、7−ヒドロキシマタイレシノール、アロヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノール、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、イソラリシレシノール、オキソマタイレシノール、コニデンドリン、コニデンドリン酸、ピノレシノール、ピノレシノールグルコシド、リオビル、ピセアレシノール、ノルトラセロゲニン、アークチゲニン、それらの幾何異性体もしくは立体異性体、塩もしくは付加物、またはそれらの混合物である請求項14〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記植物性リグナンが、木材由来7−ヒドロキシマタイレシノール、その幾何異性体、立体異性体、塩または付加物である請求項20記載の方法。
【請求項22】
代謝物がエンテロラクトンおよび/またはエンテロジオールである請求項14〜19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
エンテロラクトンまたは前記植物性リグナンの別の代謝物の前駆体となり得る有効量の植物性リグナンを個体に投与する工程を含む、エストロゲン欠乏を患っているかまたはエストロゲン欠乏のリスクがある個体の血清中でエンテロラクトンまたは植物性リグナンの別の代謝物の濃度を高めるための方法。
【請求項24】
前記植物性リグナンが、7−ヒドロキシマタイレシノール、アロヒドロキシマタイレシノール、マタイレシノール、ラリシレシノール、セコイソラリシレシノール、イソラリシレシノール、オキソマタイレシノール、コニデンドリン、コニデンドリン酸、ピノレシノール、ピノレシノールグルコシド、リオビル、ピセアレシノール、ノルトラセロゲニン、アークチゲニン、それらの幾何異性体もしくは立体異性体、塩もしくは付加物、またはそれらの混合物である請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記植物性リグナンが、木材由来ヒドロキシマタイレシノール、その幾何異性体、立体異性体、塩または付加物である請求項24記載の方法。
【請求項26】
さらに別の植物エストロゲン、特にイソフラボンおよび/またはムラサキツメクサが投与される請求項14〜25のいずれか1項に記載の使用。
【図1】
【図2】
【図2】
【公表番号】特表2008−526819(P2008−526819A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549917(P2007−549917)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【国際出願番号】PCT/FI2005/000490
【国際公開番号】WO2006/072647
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(301058757)ホルモス メディカル リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【国際出願番号】PCT/FI2005/000490
【国際公開番号】WO2006/072647
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(301058757)ホルモス メディカル リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
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