説明

エゼチミブおよびそれを含む組成物の調製方法

本発明は、触媒的水素化により4−(p−ヒドロキシフェニル)保護基を脱保護するステップを含み、触媒は、脱保護反応に使用される化合物の重量に対して0.7重量%以下の量で使用される、保護された化合物からエゼチミブ(EZT)を製造する方法について記載する。脱保護反応のステップを実施した後、この方法は好ましくは:a)反応生成物を酢酸エチル中に溶解させるまたは酢酸エチルで抽出するステップ、およびb)酢酸エチル溶液を塩水溶液で洗浄するステップを含む。本発明は、粗EZTは0.1g/ml未満の濃度で溶媒中に溶解し、結晶化ステップはこの溶液から実施される、純粋なEZTを得るための方法についてさらに記載する。これらの手段は、それぞれ単独で、また特に組み合わせて、本明細書で記載されている重大な不純物を含まないエゼチミブ(EZT)を得、したがって、著しく純粋なエゼチミブ(EZT)を使用して、薬学的に許容される担体または賦形剤と一緒に医薬組成物に製剤するのに寄与するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、純粋な形態のエゼチミブ(以下においてEZTと略記される場合がある。)、および著しく純粋なエゼチミブ(EZT)ならびに薬学的に許容される担体および/または賦形剤と一緒にそれを含む医薬組成物を製造または調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学的に(3R,4S)−1−(p−フルオロフェニル)−3−((3S)−3−(p−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)−4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノンと定義されるエゼチミブ(EZT)は、有用な薬物として、特に抗コレステロール剤、抗脂質異常症薬[とりわけ腸内コレステロール吸収阻害剤として]、抗脂血薬および代謝拮抗物質として知られている。
【0003】
エゼチミブの合成において、EZTの4−(p−ヒドロキシフェニル)構造部分のヒドロキシ基の脱保護は通常合成経路における最後のステップである。OH保護基の除去による脱保護は周知の有機反応であり、一般に、適切な触媒と水素供給源を用いた触媒的水素化により実施される。合成経路と脱保護ステップは、例えばEP720599A、WO2004/99132A2およびUS2007/0049748A1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第720599号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/99132号
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0049748号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、エゼチミブ(EZT)を製造するための改善された方法を提供すること、純粋な、好ましくは著しく純粋なエゼチミブ(EZT)を作製できるようにすること、およびEZTを含むより安全な医薬組成物を得るためのそうした著しく純粋なEZTの出発化合物としての使用を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
第1の態様では、本発明は、触媒的水素化によりOR保護基を脱保護するステップを含み、金属触媒は、脱保護反応に使用される式Iの化合物の重量に対して0.7重量%以下の量で使用される、式Iの化合物からの式IIのエゼチミブ(EZT)の製造方法を提供する。
【0007】
【化1】

(式中、RはOH保護基を表す。)
【0008】
他の態様によれば、本発明は、4−(p−ヒドロキシフェニル)ヒドロキシ基の脱保護反応のステップを実施した後、
(a)反応生成物を酢酸エチルに溶解させるまたは酢酸エチルで抽出するステップ、および
(b)ステップ(a)で得られた酢酸エチル溶液を塩水溶液で洗浄するステップ
を含む、4−(p−ヒドロキシフェニル)保護された前駆化合物から(3R,4S)−1−(p−フルオロフェニル)−3−((3S)−3−(p−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)−4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン(エゼチミブ[EZT])を得る方法を提供する。
【0009】
さらに他の態様によれば、粗エゼチミブ(EZT)は0.1g/ml溶液より低い濃度で溶媒中に溶解し、結晶化ステップはこの溶液から実施される、純粋な(3R,4S)−1−(p−フルオロフェニル)−3−((3S)−3−(p−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)−4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン(エゼチミブ[EZT])を得る方法を提供する。
【0010】
本発明による方法の上記態様の条件を組み合わせると、式IIIの化合物
【0011】
【化2】

を本質的に含まない、さらにはそれを全く含まない、これまで達成できなかった著しく純粋なエゼチミブ(EZT)を得ることが可能になる。
【0012】
したがって、本発明は、出発化合物としての式IIIの化合物を本質的に含まない、好ましくはそれを全く含まない著しく純粋なエゼチミブを、少なくとも1つの薬学的に許容される担体および/または賦形剤と一緒に医薬組成物に製剤するのに使用できるようにする。最も有利には、EZT活性成分は、本発明による方法の上記第1から第3の態様で規定したような、脱保護反応、酢酸エチル中への抽出および塩水溶液による洗浄ならびに結晶化の手順としてのすべての手段にかけたものである。
【0013】
本明細書で使用する「本質的に含まない」という用語は、得られたEZT生成物の総重量に対して0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満の式IIIの化合物を意味する。「全く含まない」という用語は、H−または13C−NMRの方法を用いて検出限界以下であることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】反応条件の適切な制御なしで、式Iを有するEZTの4−(p−ヒドロキシフェニル)保護された前駆化合物を触媒的に水素化するための反応スキームを概略的に示す図である。したがって、所望の生成物である式IIのEZTの他に、相当な量の不純物式IIIのEZT−FAMが不可避的に生成する。これに対して、
【図1B】反応条件の適切な制御を用いて、式Iを有するEZTの4−(p−ヒドロキシフェニル)保護された前駆化合物を触媒的に水素化することを含む対応反応スキームを概略的に示す図である。したがって、不純物式IIIのEZT−FAMは回避されまたは最少化され、さらに、所望の生成物である式IIのEZTの収量は実質的に増大する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、驚くべきことに、触媒的水素化を用いると、脱保護反応において、未知であるまたは隠れているが重大な不純物が生成することが見出された。この重大な不純物は、図1Aの反応スキームに示すように、最終的にEZT−FAM(式IIIの化合物)を生成する二次的水素化の生成物として特定された。この基本的な知見によって、驚くべきことに、本発明によれば、図1Bの反応スキームに概略的に示したように、触媒的水素化反応で使用する金属触媒の量を減らすと、最少量のEZT−FAMを含む所望EZTが得られるようになることが分かった。したがって、第1の態様では、本発明の方法は、脱保護反応において、上記に参照した従来技術に記載されている従来の金属触媒量より少ない量、具体的には、保護されたEZT化合物の重量に対して0.7重量%以下、好ましくは0.6重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下を使用することによって著しく改善される。金属触媒の下限は、脱水素反応の触媒作用をするのに有効な最少量に依存する(他の反応条件によっても影響を受ける可能性がある。)。適切な下限は、例えば保護されたEZT化合物の重量に対して0.001重量%である。触媒の特に好ましい範囲は保護されたEZT化合物の重量に対して0.01から0.1重量%である。
【0016】
さらに、驚くべきことに、酢酸エチルによるEZT生成物の抽出、続く塩水溶液による洗浄、および0.1g/ml溶液より低い低濃度のEZTを含む溶液からの精製された粗EZTの結晶化は、それぞれ単独でまたは好ましくは組み合わせて、EZT−FAMをさらに大幅に低減させることを見出した。上記の先行する脱保護反応における金属触媒の制御と組み合わせて、この重大な不純物が完全に存在しない状態、すなわち、H−および13C−NMR、場合により質量分析の方法によって実質的に検出できないレベルを達成することが可能である。同じ質量を有するEZT−AOL(式IVの化合物を参照されたい。)などの他の可能性のある不純物と間違えないようにするために、13C−NMRは、重大な不純物EZT−FAMおよび可能性のある他の不純物または副生物が存在しないことを確認するための好ましい参照方法である。最も有利には、本発明によれば、EZT−FAM(式IIIの化合物)を全く含まない、すなわち、ゼロレベルまたはせいぜい検出不能なレベルのEZT−FAMを有する著しく純粋なエゼチミブ(EZT)を提供することができる。さらに有利には、本発明による方法は、他の不純物も実質的に含まない、さらには全く含まないEZTを得ることを可能にする。
【0017】
したがって、以下の3つの技術的コンセプト、すなわち:
1.EZT合成経路における、不純物に関して最終であるがEZT−FAMおよび他の副生物の量を最少化するための最も重要な合成ステップとしての脱保護反応の際の特定の反応条件;
2.なお残留しているEZT−FAMの大部分を除去する、抽出および洗浄を含む特定の精製ステップの組合せ;ならびに、
3.EZT−FAMおよびエゼチミブのジアステレオマーを含む他のすべての不純物を完全に除去する特定の結晶化手順
のそれぞれは従来達成できなかった、著しく純粋な形態でEZTを得るのにそれぞれ大いに寄与する。
【0018】
上記の技術的コンセプト2および3は、単独でもまたは組み合わせても、本発明による著しく純粋なエゼチミブの収率を妥当なものにするのに不十分であることに留意することが重要である。この理由は、これらが、EZTに対するEZT−FAMおよび他の不純物の比を単に相対的に低減するが、ゼロに近いレベルまたはゼロに達する(すなわち、例えば13C−NMによって検出できない最大)までには全く低減しないからである。これを実現するために、EZTの合成経路における最も重要な最終ステップである触媒的水素化反応の際の触媒量を実質的に減らして使用することによって、EZT−FAMおよび他の副生物の量を確実に最少化することが重要である。技術的コンセプト1における反応条件が適切であると認められない場合でも、コンセプト2および/またはコンセプト3はEZT製造プロセスの改善をもたらす。
【0019】
脱保護ステップの触媒的水素化において、本発明の第1の態様によって触媒の担持量を低減、好ましくは実質的に低減しても、脱保護手順の収率は、驚くべきことに従来報告されているEZTの収率を大きく超える。これは多分、EZT−FAMおよび可能性のある他の副生物の最少化および最終的にはその完全な除去による結果である。したがって、高価な触媒の量がより少ししか必要ないこと、OR保護された出発化合物の収率が50%超、好ましくは70%超、さらに少なくとも75%(モルパーセント)実質的に改善されることよって、本発明による方法は、EZTを得るための特に有利な経済的プロセスを提示する。
【0020】
本明細書で用いる「OR保護基」という用語は、ヒドロキシル保護基を意味し、一般にこれは、触媒的水素化による脱保護を受けやすい保護基である。
【0021】
特に適切なOR保護基には、これらに限定されないが、ベンジル(Bn)、炭酸ベンジル(Cbz)、ベンジルオキシメチルエーテル(BOM)、パラメトキシベンジルエーテル(PMB)などが含まれる。
【0022】
本発明による脱保護反応は、EZT(以下においてBnEZTと略記される場合がある。)の4−(p−ヒドロキシフェニル)構造部分にあるベンジル保護基の脱保護を含むことが最も好ましい。
【0023】
触媒的水素化のための水素の供給源として、Hガス;ギ酸アンモニウム+ギ酸;シクロヘキセン;シクロヘキサジエン、ジイミドなどを使用することができるが、これらに限定されない。
【0024】
触媒的水素化にもとづく脱保護反応のための触媒には、これらに限定されないが、それぞれ単独でのまたは組み合わせたPt、PdおよびRhなどの金属またはMo、W、Cr、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属が含まれる。触媒の活性および/または安定性を高めるために、これらに限定されないが、例えば活性炭、アルミナ、シリカなどの適切な支持材料と一緒に使用することができる。活性をさらに制御するために、固体支持体上の金属触媒の好ましい担持量は5重量%である。パラジウム、より好ましくは活性炭担持パラジウムを触媒として使用することが好ましく、活性炭上の好ましいパラジウム担持量は5%である。
【0025】
本発明による特定の態様の方法の抽出および洗浄手順では、驚くべきことに、EZT−FAMの形態の重大な不純物およびその他を、最大で約10重量%実質的に削減できることが分かった。抽出溶媒として酢酸エチルを選択すると、EZT−FAMに対してEZTを効果的かつ選択的に溶解し、続く塩水溶液による洗浄を組み合わせると、他の不純物および副生物がさらに最少化される。適切な塩水溶液は、NaCl水溶液、特に少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10重量%のNaClを含むブラインである。特に適切な洗浄溶液は飽和ブラインである。
【0026】
触媒的水素化による脱保護ならびに続く抽出および洗浄手順を実施する際の重大な反応条件の先行するステップが実施されれば、後続の結晶化は、EZT−FAMの残りおよび他のすべての不純物を、エゼチミブのジアステレオマーを含めて完全に除去できるような仕方で実施することができる。低濃度、好ましくは結晶化溶液の全体積に対して0.1g/ml未満、より好ましくは0.05g/ml未満、特に約0.005g/mlから0.025g/mlの濃度範囲で結晶化を実施することは、これまで達成されていない著しく純粋なエゼチミブを得るために一緒に実施すべき最後の重大なステップである。EZTを結晶化させるのに適切な溶媒には、これらに限定されないが、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサンが含まれる。最も好ましいトルエンなどのエゼチミブが溶解しにくい溶媒は、結晶化ステップにおいて好ましい。それは、結晶化によって高収率が得られるためである。収率をさらに高めるために、溶媒を、低温、適切には10℃未満、好ましくは約0から約4℃の範囲に調節すべきである。上記結晶化ステップは、好ましくは2回または3回繰り返すことができる。
【0027】
したがって、本発明により提供される著しく純粋なエゼチミブは、少なくとも1つの薬学的に許容される担体および/または賦形剤と一緒に医薬組成物に有利に製剤することができる。医薬組成物は、コレステロール血症、脂質異常症および脂肪血症の状態、癌、および抗菌的状態(antibiotic condition)から選択される疾患のいずれか1つの予防および/または治療のために使用することができる。好ましい適用は高コレステロール血症である。エゼチミブの適切な投与量は、全医薬組成物の0.1mgから100mg、より適切には1mgから20mgの範囲である。薬学的に許容される担体および/または賦形剤は、当業者に公知の適切な担体および賦形剤から選択することができる。例えば、適切な薬学的に許容される担体および/または賦形剤は、これらに限定されないが、マトリックス形成剤、希釈剤、酸化防止剤、緩衝剤、消泡剤、粘着性消失剤(detackifier)、保存剤、キレート剤、粘度調節剤、等張化剤、香味剤、着色剤、着臭剤、乳白剤、安定剤、可溶化剤、結合剤、増量剤、可塑剤、滑剤およびその混合物を含むことができる。
【0028】
担体および賦形剤は所望の投与形態および剤形に応じて選択することもできる。適切な投与形態には、これらに限定されないが、経口、非経口、注入、経皮、経鼻、経直腸、吸入が含まれる。適切な剤形には、これらに限定されないが、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、ペレット剤、懸濁剤、液剤、坐剤、持続放出剤形が含まれる。本発明による医薬品では、エゼチミブはまた、1つまたは複数の他の活性成分と併用してよい。
【0029】
実施例を参照して本発明を詳細にさらに説明するが、これは例示のためだけであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
(実施例)
【実施例1】
【0031】
400mlのメタノール中に懸濁した20g[10ミリモル、1EQ]BnEZTに、25gのギ酸アンモニウム[9.9EQ]を加え、懸濁液をアルゴンまたは窒素で脱気した。反応混合物を35℃に加熱し、次いで、使用したBnEZTの量に対して0.06重量%に相当する0.24gのPd(C)(5%Fluka)および2mlギ酸[1.3EQ]を加えた。反応を35℃で6−7時間保持し、続いてセライトでろ過した。ろ液を蒸発させた。400ml酢酸エチル(EtOAc)に溶解して生成物を抽出し、EtOAc相を400mlブライン(10%)で洗浄した。有機相を濃縮した。固形残さをトルエン(50ml/g)から2−3回結晶化させ:結晶/沈殿物をろ取した。続いてこれらを2−プロパノール(7.5ml/g)に溶解し、次いで水(30ml/g)を徐々に加えて沈殿させた。沈殿物を収集し、真空下で乾燥して12.4g(75%)の著しく純粋なエゼチミブを得た。
2421NO
M.W.409,43
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ 1.73−1.88(m,4H)、3.08(m,1H)、4.50(d,1H,3.4)、4.79(d,1H,2.1)、5.29(d,1H,4.1)、6.77(d,2H,8.6)、7.07−7.33(m,10H)、9.54(s,1H)
13C NMR(75MHz,DMSO−d):δ 24.6、36.4、59.5、59.6、71.1、114.7(21Hz)、115.8、115.9(23Hz)、118.3(8Hz)、127.6(8Hz)、127.6、127.9、130.0(2Hz)、142.2(2Hz)、157.9(227Hz)、157.5、161.3(228Hz)、167.4。
【実施例2】
【0032】
85mlのメタノール中に懸濁した5g[1EQ]BnEZTに、6.3gのギ酸アンモニウム[10EQ]を加え、懸濁液をアルゴンまたは窒素で脱気した。次いで、3.6gPd(C)(5%Fluka)および0.5mlのギ酸[1.3EQ]を加えた。反応液を30分間室温で保持し、セライトでろ過した。ろ液を蒸発させた。EtOAcに溶解して生成物を抽出し、次いでEtOAc相をブライン(10%)で洗浄した。有機相を濃縮した。トルエンから結晶化して、EZTとEZT−FAMの両方を単離することができた。
純粋な結晶化EZT−FAMを単離して:
2423NO
M.W.411,16
を得る。
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ 1.49−1.82(m,4H)、2.48−2.53(m,2H)、2.76(m,1H)、4.47(m,1H)、5.20(d,4.5Hz,1H)、6.62(d,8.4Hz,2H)、6.95(d,8.4Hz,2H)、7.08(m,4H)、7.26(m,2H)、7.54(m,2H)、9.13(bs,1H)、9.79(bs,1H)。
13C NMR(75MHz,DMSO−d):δ 28.5、37.2、37.7、48.8、71.4、114.6(21HZ)、114.9、115.2(22.6Hz)、121.0(8Hz)、127.6(8Hz)、129.7、135.5(2Hz)、142.3(2Hz)、155.5、157.8(234Hz)、161.1(236Hz)、173.4。
【実施例3】
【0033】
85mlのメタノール中に懸濁した5g[1EQ]BnEZTに、6.3gのギ酸アンモニウム[10EQ]を加え、懸濁液をアルゴンまたは窒素で脱気した。次いで、BnEZTに対して0.12重量%に相当する0.6gPd(C)(5%Fluka)および0.5mlのギ酸[1.3EQ]を加えた。反応液を3時間室温で保持し、セライトでろ過した。ろ液は、大部分を占めるエゼチミブと不純物としてのFAMからなっていた。
【0034】
ろ液を蒸発させた。EtOAcに溶解して生成物を抽出し、次いでEtOAc相をブライン(10%)で洗浄した。有機相を濃縮した。これは、ほとんどを占める純粋なエゼチミブとさらに減少した不純物としてのFAMからなっていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒的水素化によってOR保護基を脱保護するステップを含み、触媒は、脱保護反応に使用される式Iの化合物の重量に対して0.7重量%以下の量で使用される金属触媒である、式Iの化合物からの式IIのエゼチミブ(EZT)
【化1】

(式中、RはOH保護基を表す)
の製造方法。
【請求項2】
RがOH保護基としてのベンジルを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
金属触媒がパラジウムである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
金属触媒が、触媒支持体の全量に対して好ましくは多くて5重量%の担持量で支持体に担持されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
金属触媒が、保護されたEZT化合物の重量に対してそれぞれ、0.6重量%以下、好ましくは0.3重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下の量で使用される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
4−(p−ヒドロキシフェニル)ヒドロキシ基の脱保護反応のステップを実施した後、
(a)反応生成物を酢酸エチルに溶解させるまたは酢酸エチルで抽出するステップ、および
(b)ステップ(a)で得られた酢酸エチル溶液を塩水溶液で洗浄するステップ
を含む、4−(p−ヒドロキシフェニル)保護された前駆化合物から(3R,4S)−1−(p−フルオロフェニル)−3−((3S)−3−(p−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)−4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン(エゼチミブ、[EZT])を得る方法。
【請求項7】
塩水溶液がブラインである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
4−(p−ヒドロキシフェニル)ヒドロキシ基の脱保護反応のステップが、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法によって実施される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
粗エゼチミブ(EZT)は0.1g/ml溶液より低い濃度で溶媒中に溶解し、結晶化ステップはこの溶液から実施される、純粋な(3R,4S)−1−(p−フルオロフェニル)−3−((3S)−3−(p−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)−4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン(エゼチミブ、[EZT])を得るための方法。
【請求項10】
EZT生成物を溶解するための溶媒がトルエンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
最終的に得られたEZT生成物が、得られたEZT生成物の総重量に対して0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満の式IIIの化合物:
【化2】

を含有することによって、式IIIの化合物を実質的に含まない、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
得られたEZT生成物の総重量に対して0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満の式IIIの化合物:
【化3】

を含有することによって、式IIIの化合物を実質的に含まない、(3R,4S)−1−(p−フルオロフェニル)−3−((3S)−3−(p−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)−4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン(エゼチミブ[EZT])。
【請求項13】
H−および13C−NMRならびにHPLCで検出できないという点で式IIIの化合物:
【化4】

を全く含まない、(3R,4S)−1−(p−フルオロフェニル)−3−((3S)−3−(p−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)−4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン(エゼチミブ[EZT])。
【請求項14】
医薬組成物中に製剤されたエゼチミブは、得られたEZT生成物の総重量に対して0.2重量%未満の式IIIの化合物を含有することによって、式IIIの化合物:
【化5】

を実質的に含まず、好ましくは前記エゼチミブは、H−および13C−NMRで検出できないという点で、式IIIの化合物を全く含まない(3R,4S)−1−(p−フルオロフェニル)−3−((3S)−3−(p−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)−4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン(エゼチミブ[EZT])ならびに薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項15】
医薬組成物中に製剤されたエゼチミブが、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法によって得られた、請求項14に記載の医薬組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【公表番号】特表2011−521001(P2011−521001A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510986(P2011−510986)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056366
【国際公開番号】WO2009/150038
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(504359293)レツク・フアーマシユーテイカルズ・デー・デー (60)
【Fターム(参考)】