エゼチミブを含む配合物
(i)粒状形態にある適切な親水性賦形剤と配合されるとき、親水性賦形剤の粒子の表面上に吸着することを可能にする、一次粒子の形態にあるエゼチミブの存在;(ii)特定のタイプの賦形剤の選択;および/または(iii)エゼチミブの配合物を得る方法の慎重な制御に、代わりに、または必要に応じて組み合わせて注意が払われる、エゼチミブの配合物が記述される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、エゼチミブの新規配合物に加えて、これらを含有する医薬配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術の記述)
エゼチミブ、化学的には1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3−(4フルオロフェニル)−3(S)−ヒドロキシプロピル]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノンは、コレステロールおよび関連植物ステロールの腸管吸収を選択的に阻害する、脂質低下性化合物のクラスに属する。
【0003】
この薬物は、血管事象、例えば、アテローム性動脈硬化の二次予防における利点を備える、良好な忍容性および有効性のtotal−C(総コレステロール)、LDL−C(低密度リポタンパク質コレステロール)、ApoB(アポリポタンパク質B)およびTG(トリグリセリド)減少剤である。他方、エゼチミブは、高コレステロール血症の患者においてHDL−C(高密度リポタンパク質コレステロール)または「良性コレステロール」を増加させる。
【0004】
米国特許7,030,106 B2は、エゼチミブ並びに、賦形剤としての、ラクトース一水和物(充填剤)、微結晶性セルロース(充填剤)、ポビドン(結合剤)、クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤)、ラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤)およびステアリン酸マグネシウム(潤滑剤)からなる医薬組成物を主張する。EP 1 849 459 A1は少なくとも1種類の親水性賦形剤と共粉砕されているエゼチミブを含む組成物を記載する。共粉砕は、約25μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは約5μm以下のd(0.9)のエゼチミブ粒子サイズを得るため、糖類または多糖類、典型的には、デンプンと共に行われる。
【0005】
さらなる背景技術がKosoglou T.et al.,Clin Pharmacokinet 44(2005)467−494;Christensen L.H.et al.,Drug Dev Ind Pharm 20(1994)2195−2213;Inghelbrecht S.et al.,Int J Pharm 171(1998)195−206;Physicians’Desk Reference,61st edition,Thomson PDR,NJ,USA,2007,pp.2120−2125;およびSharma S.et al.,Pharm Sci Tech 6(2005)618−625に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,030,106号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1849459号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Kosoglou T.et al.,Clin Pharmacokinet 44(2005)467−494
【非特許文献2】Christensen L.H.et al.,Drug Dev Ind Pharm 20(1994)2195−2213
【非特許文献3】Inghelbrecht S.et al.,Int J Pharm 171(1998)195−206
【非特許文献4】Physicians’Desk Reference,61st edition,Thomson PDR,NJ,USA,2007,pp.2120−2125
【非特許文献5】Sharma S.et al.,Pharm Sci Tech 6(2005)618−625
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(発明の要旨)
本発明の目的は改善されたエゼチミブ配合物への取り組みを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本発明は、一次粒子の形態にあるエゼチミブおよび、これに吸着するエゼチミブ粒子を有する粒状形態にある、親水性賦形剤を含むエゼチミブの配合物を提供する。
【0010】
別の態様によると、本発明は、少なくとも2つのタイプの親水性賦形剤と組み合わされているエゼチミブを含むエゼチミブの配合物であって、親水性賦形剤の一方のタイプがデンプンであり、親水性賦形剤の他方のタイプが単糖類、二糖類およびセルロース物質を含む糖類から選択される配合物を提供する。
【0011】
さらに別の態様によると、本発明は、8重量%まで、好ましくは6重量%まで、より好ましくは4重量%まで、例えば、0.5から4重量%の水と混合して、または10重量%まで、好ましくは1から10重量%の、液体物質から選択される非水性賦形剤と混合して造粒される、エゼチミブを含むエゼチミブの配合物を提供する。
【0012】
さらに別の態様によると、本発明は、固溶体の状態で固溶体剤(solid solution agent)と混合されたエゼチミブを含むエゼチミブの配合物を提供する。
【0013】
本発明の特定の実施形態によると、エゼチミブの配合物を製造するための方法は、造粒液が存在しない状態での、または8重量%までの限定量の水もしくは水性液体の存在下での、もしくは10重量%までの限定量の非水性液体の存在下での乾式造粒を用いるか、またはエゼチミブの固溶体形成を用いる。
【0014】
さらなる態様によると、本発明は、上記態様のいずれかによるエゼチミブの配合物を含むか、または前述の特定の製造方法によって得られるエゼチミブの配合物を含む医薬配合物を提供する。
【0015】
本発明のさらなる態様は、コレステロール関連疾患の予防もしくは治療への上記態様による配合物のいずれかもしくは医薬配合物のいずれかの使用、またはコレステロール減少量の配合物もしくはこの中で活性剤として存在するエゼチミブを投与することによる治療方法である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、エゼチミブおよび賦形剤の異なる組み合わせの配合後の溶解プロフィールを、USP溶解試験装置2を用いて、0.01M HClおよび0.25% SDS(900ml)で示す。
【図2】図2は、約10μmのd(0.9)を有する、このようなものとしてのエゼチミブのSEMを示す。
【図3】図3は、配合後のエゼチミブおよびデンプンのSEMを示す。
【図4】図4は、配合後のエゼチミブおよびイソマルトのSEMを示す。
【図5】図5は、配合後のエゼチミブおよびラクトースのSEMを示す。
【図6】図6は、それぞれ、配合後の、ラクトースおよびデンプン(図6a)との、並びにイソマルトおよびデンプン(図6b)とのエゼチミブのSEMを示す。
【図7】図7は、エゼチミブを処理するための様々な技術および様々な機能的賦形剤(900ml)の使用の影響を示す。
【図8】図8は、技術に加えて特定の機能的賦形剤(500ml)の使用のさらなる影響要因を示す。
【図9】図9は、それぞれ、ポリエチレングリコール(図9a)およびポリビニルピロリドン(図9b)との固溶体中のエゼチミブのSEMを示す。
【図10】図10は、実施例10(500ml)において製造されるエゼチミブ錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図11】図11は、エゼチミブおよび賦形剤の異なる組み合わせの配合、活性化および錠剤化後の溶解プロフィールを、USP溶解試験装置2を用いて、0.01M HClおよび0.25% SDS(500ml)で示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明、ならびに有利性および好ましい実施形態の記述)
本発明の態様、有利な特徴および好ましい実施形態は、それぞれ単独で、または組み合わせて、エゼチミブの良好な化学的および物理的安定性に加えて、錠剤のような単一の単位投薬形態に配合するときに良好な溶解特性および許容可能なレベルの硬度を可能にする、エゼチミブの配合物および、最終的には、これを含有する医薬配合物を生成することと組み合わされた自由流動性、粘着性粉末および圧縮特性の間の良好なバランスの観点で、改善されたエゼチミブ配合物の提供に寄与する。
【0018】
好ましい実施形態並びに有利な特徴、特性および効果を参照してさらなる説明を以下に示すが、これらは本発明を限定しようとすることなしに説明の目的で提供されるものである。
【0019】
エゼチミブ物質は低水溶性であり、低浸透性であり、薬物配合物において通常用いられるほとんどの賦形剤と不適合であり、安定性の問題を提示し、および本質的に圧縮可能ではない。従って、特に低強度、例えば、許容し得る溶解プロフィールで単位投薬形態あたり10mg用量のエゼチミブで配合するとき、または僅かに5mg用量のエゼチミブで配合するときでさえ、投薬形態に配合することができる自由流動性で粘着性のエゼチミブ組成物を提供する必要性がある。
【0020】
このような制約にもかかわらず、(i)粒状形態の適切な親水性賦形剤と共粉砕なしに単に配合されるときに満足のいくパーセンテージの一次粒子状態で親水性賦形剤の粒子の表面上に吸着する、一次粒子の形態にあるエゼチミブの存在;(ii)特定のタイプの賦形剤の選択;および/または(iii)エゼチミブの配合物が得られる方法の慎重な制御に注意を払い、代わりに、または必要に応じてこれらの組み合わせに注意を払うとき、驚くべきことに、エゼチミブの配合物をより堅調で経済的な方法で提供することができ、並びにこれが化学的および物理的安定性、自由流動性および圧縮性を含む特性の良好なバランスに加えて、許容し得る硬度および、特に、良好な溶解プロフィールに受容され得ることを示すことをできることが見出されている。前述の有益な効果は、前述の特徴(i)、(ii)および(iii)の2つまたはすべてが組み合わせて観察される場合、より強化される。
【0021】
好ましい実施形態によると、賦形剤と配合および混合するためのエゼチミブは、好ましくは≦約40μm、より好ましくは≦約25μm、より好ましくは≦約18μm、特に約10μm、例えば、8.5μmから12.5μmの範囲の粒子サイズd(0.9)を有する一次粒子の形態でエゼチミブ配合物中に提供される。特に、高い溶解速度を視野に入れて、エゼチミブの一次粒子の物理的に安定な形態を保証し、および凝集の形成に向かう傾向を低減し、好ましくは最小化することが重要であることが見出されている。粒状エゼチミブを粒状形態の適切な親水性賦形剤と組み合わせることでこれらが粒状親水性賦形剤の表面上に吸着し、それにより、処理の最中並びにこれらによって生成される配合物および医薬配合物の両者におけるエゼチミブ凝集の生成が制御され、好ましくは、最小化される。好ましい実施形態によると、エゼチミブの一次および凝集粒子の合計に対する凝集粒子の割合を20%未満、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下(%表示は数−%(number−%)を示す。)に制限することが本発明によって可能である。ここで用いられる「凝集粒子」という用語は、典型的には、20μm以上の平均粒子サイズを有するエゼチミブ粒子を意味する。著しい利点および効果を達成するため、配合物の他の成分または賦形剤との共粉砕は不必要であるだけではなく省略することが好ましく、これら自体がこのようなものとして望ましい粒子サイズを有するように別々に粉末化、粉砕、ペグミル処理(peg−milled)または微粉化することによって一次粒子の形態にあるエゼチミブを提供する。これは、配合による粒状親水性賦形剤の表面への、好ましくは比較的高率で一次粒子の形態にある、エゼチミブ粒子の吸着の制御を可能にする。特に、エゼチミブおよび、この表面上をエゼチミブ一次粒子が吸着によって覆う、親水性賦形剤の両者の粒子サイズの間の適正な制御および比率を可能にする。吸着によって粒状親水性賦形剤と会合するエゼチミブは、特徴全体の達成をさらに手助けするためにより高い割合で後に添加され得る、さらなる任意の賦形剤とのより良好な適合性を可能にする。さらに、エゼチミブの化学的および/または物理的変化の傾向が減少する。
【0022】
好ましくは、凝集粒子が制限される可能性のある、前述の比較的小さい一次エゼチミブ粒子を吸着による比較的大きい賦形剤粒子の被覆に用いることが有益であると見出されている。この表面上にエゼチミブ粒子が吸着する親水性賦形剤の適切な粒子サイズは10から400μm(平均粒子サイズとして決定)の範囲である。
【0023】
親水性粒状賦形剤に吸着しているエゼチミブ粒子の適切な状態は適切な手段によって、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)によって観察することができる。従って、小粒子、好ましくは、高率のエゼチミブの一次粒子によって被覆されている粒状親水性賦形剤の表面の状態は容易に視認可能である。粒子形態の合計に対する凝集粒子の割合もこのような適切な手段によって決定することができる。
【0024】
親水性賦形剤は、多糖類および、特に、単糖類または二糖類を含む、糖類からなる群より適切に選択される。親水性賦形剤にとって好ましい糖類のうちでの選択は、吸着状態を高めること、および賦形剤粒子表面上の一次粒子の高い割合を維持することである。糖類型の親水性賦形剤の好ましい例には粒状単糖類または二糖類が含まれ、これには、それぞれ単独の、または組み合わせでの、ラクトース、イソマルト、マンニトール、ソルビトール、グルコース、フラクトース、ラクチトール、マルトース、好ましくは、マンニトール、ラクトースおよびイソマルト、より好ましくは、ラクトースおよびイソマルトが含まれるがこれらに限定されるものではない。好ましい多糖類にはデンプンおよびセルロース物質が含まれ、好ましいセルロース物質には微結晶性セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース並びに架橋形態に加えてこれらの組み合わせが含まれる。
【0025】
さらなる好ましい実施形態によると、これらに吸着した前記エゼチミブ粒子を有する粒状親水性賦形剤は結合剤と混合する。マトリックスとしての結合剤はエゼチミブの粒子と親水性賦形剤との吸着状態をさらに安定化および強化することができる。この表面上にエゼチミブ粒子を吸着させることができる前述の多糖類の幾つかは同時に結合剤として作用し得る。適切な結合剤には、これらに限定されるものではないが、微結晶性セルロース、デンプン、カルシウムまたはナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、酢酸セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、デキストラン、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリデキストロース、α化デンプン、ゼイン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、好ましくは、デンプン、ポリエチレングリコール、好ましくは、固体PEG、例えば、PEG−4000またはPEG−6000、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリビニルピロリドン(PVP)が含まれる。
【0026】
親水性粒状賦形剤の表面に吸着しているエゼチミブ粒子、好ましくは、すべての存在するエゼチミブ粒子形態に対する主な割合として、一次粒子の形態にあるエゼチミブ粒子を有する配合物は、必要に応じてさらなる賦形剤と共に、両成分を配合することによって適切に得ることができる。さらなる選択肢として、エゼチミブおよび親水性賦形剤粒子を配合した後、さらなる賦形剤を部分的に、または完全に混合することができる。配合のための良好な機器は、粒状親水性賦形剤に吸着しているエゼチミブ粒子の適正状態を補佐し、および、好ましくは多糖類物質がさらなる賦形剤として用いられるとき、さらなる賦形剤にマトリックスまたは網構造を形成させる、高剪断ミキサーである。
【0027】
粒状親水性賦形剤の表面に吸着しているエゼチミブ粒子の有益な状態を達成する前述の好ましい実施形態とは別に、特定のタイプの親水性賦形剤を選択することによって本発明の別の実施形態によるエゼチミブの配合物を改善することができる。しかしながら、本実施形態を、溶解度、溶解速度および溶解プロフィールのような望ましい特徴を特に強化する、前述の好ましい実施形態と組み合わせることができることは述べておく。この好ましい実施形態によると、エゼチミブを少なくとも2つのタイプの親水性賦形剤と組み合わせ、一方のタイプの親水性賦形剤はデンプンであり、他方のタイプの親水性賦形剤は単糖類、二糖類およびセルロース物質から選択される糖類である。必ずしも必要なものではないが、これら2つのタイプの親水性賦形剤は、適切には、粒子の形態で存在する。
【0028】
驚くべきことに、このように、即ち、好ましくは他の成分と共粉砕されることなく、および他の活性成分を含まないエゼチミブをデンプンおよび適切に選択されたさらなる糖類の両者と組み合わせるとき、特に、デンプンおよび単糖類および/または二糖類と組み合わせるとき、賦形剤のうちでの適合性、特に、さらなる任意の賦形剤の包含との適合性が比較的低い投薬量パーセンテージ(賦形剤全体の高い割合に相当する。)であっても強化され、エゼチミブの化学的および/または物理的変化の傾向が減少し、並びに、同時に、錠剤の硬さおよび良好な溶解特性を含む特徴の優れたバランスが達成され得ることが見出されている。従って、エゼチミブとデンプンおよびさらなる糖類(特に、単糖類または二糖類)の両者との組み合わせは、このような賦形剤とエゼチミブとの適合性および、重大なことには、凝集エゼチミブ粒子の生成の制限におけるさらなる補佐に有利なだけではなく、それに加えて、これ単独ではエゼチミブとの適合性の問題を有するが、他方ではさらなる有益な効果に加えて寄与し得る、さらなる賦形剤を添加することを可能にする。例えば、界面活性剤の好ましい選択、例えば、Tweenを添加し、並びに結合剤の好ましい選択、例えば、ポリエチレングリコール、好ましくは、固体ポリエチレングリコール、例えば、PEG−4000もしくはPG−6000、ポリビニルピロリドン(Povidone;PVP)および/またはポリビニルアルコール(PVA)を添加することが可能である。
【0029】
デンプンによって形成されるマトリックスまたは網と組み合わせて、単糖類および/または二糖類は、好ましくは、ラクトース、イソマルト、マンニトール、ソルビトール、グルコース、フラクトース、ラクチトール、マルトース、好ましくは、ラクトースおよびイソマルトからなる群より選択される。デンプンは、特に、微結晶性セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース並びに架橋形態に加えてこれらの組み合わせを含む、セルロース型多糖類物質と適切に組み合わせることもできる。
【0030】
上述の好ましい実施形態とは別ではあるが、必要に応じてこれらの代わりに、またはこれらと組み合わせて、本発明の好ましい実施形態は適切な処理技術の選択に関する。上述の好ましい実施形態との組み合わせは、例えば、湿式造粒、乾式造粒および当業者に公知の他のものを含む、様々な公知配合技術のうちで選択する自由の利点をもたらす。ここで開示されるエゼチミブの配合物が、上述のようにエゼチミブ活性成分に起因する特徴が関与する固有の困難性のために湿式造粒よりも挑戦的であるものの、経済的に好ましい(economically preferably)乾式造粒の使用を可能にすることには利点がある。
【0031】
他方、エゼチミブ配合物の改善が上述の好ましい実施形態とは別に達成されるべきである場合、本発明は、エゼチミブの配合物を得る方法を慎重に制御することにより、さらなる有益な実施形態を提供する。特別に開発された技術の1つは限定された量の液体と混合される造粒である。驚くべきことに、造粒が施されるエゼチミブの配合物の総量に対して、それぞれ、8重量%まで、好ましくは6重量%まで、より好ましくは4重量%まで、例えば、0.5から4重量%、より特別には1から4重量%、特に2から3重量%の限定された量の水もしくは水性液体と混合される造粒、または10重量%まで、例えば、1から10重量%未満までの液体物質から選択される限定された量の非水性賦形剤と混合される造粒、および、続いて、この配合物にさらなる造粒液なしに造粒を施すことで、エゼチミブ配合物の自由流動特性、粘着特性および圧縮性が強化され、並びに、加えて、良好な溶解特性が示されるエゼチミブ配合物を得ることができることが見出されている。限られた量の液体賦形剤に加えて、他の点でも乾燥状態が設定されるため、乾燥工程は不要になる。これは、限られた量の液体賦形剤を吸収することができる結合剤の添加によってさらに補助することができる。固体ポリエチレングリコール、イソマルト、微結晶性セルロース(例えば、Avicel)、マンニトールおよびラクトースからの固体賦形剤の選択は限られた量の液体を用いる乾式造粒に特に適することが見出されている。
【0032】
造粒の最中に限られた量の液体賦形剤を添加するこの実施形態においては、水単独または水性液体のいずれかを用いることができる。水性液体においては、水を水混和性有機溶媒、例えば、低級アルコール、アルキルエーテルなど、例えば、メタノール、エタノール、n−もしくはイソ−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールまたはオクタノールと混合することができる。その代わりに、または水性液体と組み合わせて、非水性液体物質を乾式造粒支援に用いるとき、非水性賦形剤は、好ましくは非イオン型の、液体界面活性剤;液体ポリエチレングリコール;液体パラフィン;プロピレングリコール;少なくとも8個の炭素原子を有する液体脂肪アルコール;液体トリグリセリドまたは油;液体ワックス;液体ポリエトキシル化脂肪酸;液体PEGグリセロール脂肪酸エステル;並びにポリエチレングリコールおよびアルキルアルコールの液体エーテル;から選択することができ、好ましくは、ポリソルベート、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、液体パラフィンおよびプロピレングリコールからなる群より選択される。好ましい非水性賦形剤は、好ましくは非イオン型の、液体界面活性剤であり、より好ましくはTween、ドデシル硫酸ナトリウムおよびポロキサマーの群より選択され、より好ましくはTweenから選択され、特にTween80が選択される。
【0033】
特に適することが見出される別の処理技術は固溶体の状態にあるエゼチミブを固溶体剤と混合することによるものである。この特別な処理技術は、特に溶解速度に関して、良好な溶解特性に寄与する。ここで用いられる「固溶体」という用語はエゼチミブとの混合物中に存在する単相である。固溶体はエゼチミブおよび固溶体剤および、固溶体中に可溶化された、任意のさらなる賦形剤のみに限定することができ、または1種類以上の別々の、非可溶化された、または粒状の、さらなる任意の賦形剤と組み合わせることができる。固溶体成分は、典型的には、エゼチミブが溶解または分散する様々な化学組成物の全体にわたって存在する単相とみなすことができる。幾つかの無機物は広範で多様な化学に耐えることができ、それに対して他のものはこれらの理想的な化学式からの限られた化学的逸脱のみを許容する。多くの場合、固溶体の程度は温度の関数であって、固溶体は高温で有利であり、それに対して非混合および/または秩序化は低温で有利である。
【0034】
エゼチミブの固溶体を調製するための実施形態においては、これ自体固体である適切な賦形剤形態から適切に選択される固溶体剤および液体媒体が液体中の固溶体の調製に用いられる。固溶体剤として用いられる適切な固体賦形剤は結合剤物質から、好ましくは、コロイド状二酸化ケイ素、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよびポリビニルアルコール(PVA)からなる群より選択され得る。最も好ましいのは、固体ポリエチレングリコール(PEG)、特に、4000から20000の範囲の分子量に入るもの、例えば、PEG−4000またはPEG−6000およびポリビニルピロリドン(PVP)、必要に応じて、さらにポリビニルアルコール(PVA)の使用である。特に、必要に応じてPVAをさらに含めて、PEGおよびPVPを用いるとき、前述の固溶体剤の2種類以上を組み合わせて用いて効果をさらに高めることができる。
【0035】
固溶体を調製するのに適する液体媒体には有機溶媒、例えば、低級アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−もしくはイソ−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールまたはオクタノールおよび有機溶媒の水との混合物が含まれる。好ましくは、エタノールおよびエタノール水溶液が用いられる。必要に応じて均質または均一分配溶液を製造するための加熱処理を含めて、エゼチミブの溶液および固溶体剤を調製した後、液体中での固溶体の調製に用いられる液体媒体成分を蒸発させる。蒸発は高温、例えば、40から50℃の範囲でより効率的に行われる。これは流動床頂部スプレー造粒法(fluid bed top spray granulation procedure)の最中に最も効率的に行われる。
【0036】
同時に結合剤として作用する固溶体剤は、追加で含められる必要に応じて粒状の賦形剤との適合性も改善する。任意の追加の賦形剤は固溶体形成によって含めることもでき、または、エゼチミブの固溶体形成の後、適切な方法、例えば、流動床造粒技術によって含められる。
【0037】
上述の態様および好ましい実施形態にとって、以下の特徴はさらに格別の意義を有するものである。
【0038】
上述の技術によってエゼチミブを処理するとき、エゼチミブは、適切には、必ずしもこれらに限定されるものではないが、粒状形態で存在し得る。特定の実施形態においては、例えば、エゼチミブの固溶体形成を選択するとき、溶解状態のような他の形態がより適切である。
【0039】
前述の態様および好ましい実施形態の各々が、代わりに、または組み合わせて、賦形剤の間の適合性の改善に寄与するため、達成しようとする望ましい機能性に依存して用いようとする賦形剤のより大きな多様性のうちでの有益な選択の自由が存在し、従って、選択される賦形剤に起因する有益な効果が可能となる。従って、例えば、錠剤のような単一投薬形態として存在する最終医薬配合物に向けて、エゼチミブおよび、必要に応じて、さらなる活性医薬成分の他に幾つかの成分を用いることができる。例えば、機械的特徴、例えば、かさ高さ、改善された流動、より良好な圧縮性、改善された崩壊特性、硬度、味、および錠剤性能、香味、または強化された外見を改善するのに賦形剤成分を用いることができる。賦形剤の多くのタイプおよび例を、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、界面活性剤、着色剤、希釈剤、粘着防止剤、流動促進剤を単独で、または組み合わせて含むが、これらに限定されるものではない、このような機能性の達成に用いることができる。さらなる有用な添加物には、これらに限定することなしに、単独で、または組み合わせで、緩衝剤、酸化防止剤、着色料、安定化剤、充填剤、可塑剤、乳化剤、保存剤、粘度改質剤(viscosity−modifying agents)、またはパシフィア(passifiers)、香味料が含まれ得る。
【0040】
特にエゼチミブ活性成分の溶解特性並びに化学的および物理的安定性を含む、特性のバランスは、賦形剤が、例えば、固体ポリエチレングリコール(PEG;Macrogol)、好ましくは、4000から20000の範囲の分子量を有するPEG;ポリビニルピロリドン(PVP)またはこの架橋形態クロスポビドン;二酸化ケイ素、好ましくは、ヒュームドシリカまたはコロイド状二酸化ケイ素;糖エステルおよびポリヒドロキシ糖を含む単糖類/二糖類/多糖類、好ましくは、マンニトール;ラクトース、イソマルト、ラクチトール;ソルビトール、グルコース、フラクトース、マルトース、デキストラン、デキストリン、マルトデキストリンおよびデキストロースの好ましい多糖類、より好ましくは、デンプンおよびセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCフタレート、ポリデキストロース、シクロデキストリンおよびカルボマー、微結晶性セルロース(MCC)、ケイ化微結晶性セルロース、粉末化セルロース、カルボキシメチルセルロース(カルシウムまたはナトリウム)、ヒプロメロース、α化デンプン、ゼイン;バッファ塩、好ましくは、無水1、2または3塩基性ホスフェート、より好ましくは、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムおよびケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム;親水性、アニオン性、カチオン性、双性イオン性および非イオン性界面活性剤並びに親油性添加物、例えば、モノ−、ジ−またはトリグリセリド、ポリエトキシル化脂肪酸、脂肪酸エステルおよび油、例えば、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム並びにポリグリコール化グリセリド;タルク;ポリペプチド、例えば、ゼラチン;並びにこれらの混合物からなる群より選択されるものを、これらに限定されることなしに含む特別に適合する固体賦形剤から選択されるとき、良好なレベルにある。本発明の一実施形態としての1回投薬医薬配合物はカバーフィルムまたはシェルをさらに含むことができ、これらは好ましい実施形態によると非吸湿性でもある。さらなる好ましい実施形態においては、二または多機能性賦形剤、例えば、微結晶性セルロース(MCC)と混合されたコロイド状二酸化ケイ素(CSD)、例えば、Prosolv(商標)を用いることができる。用いられる賦形剤には、好ましくは、ポリエチレングリコール、イソマルト、微結晶性セルロース、マンニトールおよびラクトースからなり、好ましくは、少なくともデンプン、ラクトース、イソマルト、PEG、PVPおよびTween、必要に応じて、さらにクロスカルメロースナトリウムを含む群の少なくとも1つ以上が含まれる。
【0041】
所望であれば、本発明は、特にエゼチミブが単独の活性成分である場合、低重量パーセンテージの、または投薬単位あたり低い絶対用量の活性主成分のエゼチミブの利用を許容する。この概念は、特に、処理の最中の自由流動、粘着および圧縮特性を含み、エゼチミブ単独の非常に低い溶解度(典型的には、水中で0.01mg/ml未満)にもかかわらず溶解特性を含み、並びにエゼチミブには安定性に課題がありがちであるにもかかわらず物理的および/または化学的安定性を含む、寄与効果の望ましい大きさに依存して有用および有効量の賦形剤を選択する可能性を伴いつつ、次には高重量パーセンテージまたは高絶対量の適切な賦形剤を意味する。従って、特定の有益な実施形態においては、エゼチミブ以外に、必要な場合のみ第2または第3の異なる活性成分をさらに含めて、適切に選択された賦形剤のみによってエゼチミブ配合物のバランスを形成することができる。これは、例えば、エゼチミブの含有量が、例えば約10mgまたは約5mgの標準レベルを含めて、投薬形態あたり25mgまで、または20mgまでの用量である場合に適用される。最終医薬配合物中のエゼチミブのパーセンテージレベルは望みに応じて、例えば、医薬配合物の総重量に対して、それぞれ、50重量%未満、より適切には25重量%未満、特に約10重量%以下のレベル、または約5重量%のレベルの割合で適切に選択することができる。
【0042】
最終的に医療目的で用いられる医薬配合物は上述の様々な態様、好ましい実施形態および特定の特徴に記述されるエゼチミブの配合物のいずれか1つを含む。これに関連して、最終的に望まれる優勢な効果の大きさに依存して様々な技術を用いることができ、および選択することができることが注目される。特に、技術は、湿式造粒、造粒液が存在しないか、または乾式造粒に適する水性もしくは非水性賦形剤の限られた存在下での乾式造粒、流動床造粒または直接圧縮からなる群より好ましく選択することができる。処理には、適切には、ブリケッティングまたはスラッギング、ふるい分け、粉砕、配合、打錠および圧縮の1以上の工程が含まれ得る。直接圧縮も含まれ得る。上述のように、ここで開示される配合物は、造粒液を用いることのない古典的な乾式造粒または限られた量の水性(8重量%まで)もしくは非水性液体(10重量%まで)を一種の水分活性化として用いる改変乾式造粒;並びに固溶体形成および/または流動床造粒を含む有利で特に好ましい技術を可能にし、これらは、適切な溶解プロフィールを可能にしながら、それぞれエゼチミブを含有する錠剤のような単一単位投薬形態を形成する方法をより堅牢および経済的なものにする。
【0043】
処理時間および経費の減少のような乾式造粒の利点にもかかわらず、湿式造粒は一般的であり、産業において固体投薬形態を調製するのに広く用いられる。湿式造粒は、許容し得る固体投薬形態を得るのに必要な必要とされる流動および粘着特性を有する物質を提供する観点で、配合物中の、活性の、または賦形剤としての、様々な成分の物理的特徴と関連するあらゆる問題を克服するより多くの機会を有しているため、湿式造粒は乾式造粒および直接圧縮よりもしばしば好ましい。一般には、直接圧縮および乾式造粒では分離が潜在的な問題であり得るが、圧縮しようとする顆粒を構成する粒子のサイズおよび形状は湿式造粒法によってより容易に制御される。加えて、乾燥固体を湿式造粒するとき、結合剤「グルー」粒子が一緒であり、そのためこれらは凝集して球状顆粒となる。
【0044】
湿式造粒によってもたらされる明らかな処理の容易さにもかかわらず、多くの製造者は、特に低用量のエゼチミブが望ましい場合、錠剤を乾式造粒する機会を歓迎する。製造者が低用量エゼチミブ錠剤を乾式造粒によって調製することを可能にし、湿式造粒の時間および支出に加えて最終配合物中の活性主成分のより高い溶解度を回避する、技術および医薬配合物に対する産業におけるこの要求を満たすことが本発明の利点である。
【0045】
本発明による医薬配合物は、USP装置2を用い、配合物を37±0.5℃の0.1M塩酸1000ml中に入れて50rpmのパドル速度で試験して、配合物中のエプロサルタンの元の量に対して30分以内に30%を上回り、好ましくは40%を上回り、少なくとも60%という速度でさえもエゼチミブを放出することにより、有益な溶解プロフィールを達成することを可能にする。
【0046】
乾式造粒法においては、高圧下で粉末粒子を会合させる。配合物の成分は乾燥段階で圧縮する。圧縮単独によっては十分な結合力を達成することができない場合、これも乾燥状態で結合剤を添加する。初期圧縮段階は2つの方法の一方によって行うことができる。第1のものは、しばしばスラッギングまたはブリケッティングと呼ばれる、従来の錠剤プレスを用いる。配合物の成分は許容し得る特徴(硬度、脆弱性、重量、形状、崩壊、溶解)を有する錠剤を生成するのに必要な特質を有していないため、この段階で生成される錠剤(スラグまたはブリケット)は、特に外見および重量均一性に関して、許容し得る品質のものではない。従って、次にこれらのブリケットを破壊して顆粒状生成物を形成し、ふるい分けの後、これらを再度圧縮して満足のいく錠剤を得ることができる。この第2圧縮での配合物の圧縮性の容易さはブリケッティング段階で用いられる圧力に反比例することが立証されており、高圧でのブリケッティングは回避するべきであることが暗示される。
【0047】
乾式造粒法の独自の改変がエゼチミブ配合物に特に適することが見出された。従って、本発明者らの研究において、本発明者らは限定された量の水、水性液体または非水性液体およびさらなる任意の賦形剤を用いてエゼチミブ粉末の顆粒を開発した。この改変は、限定された量の水を用いる場合の湿気活性化乾式造粒(Moisture Activated Dry Granulation)(MADG)、または限定された量の非水性液体賦形剤、例えば、界面活性剤を用いる場合の非水性湿気活性化乾式造粒(Non−Aqueous Moisture Activated Dry Granulation)(NAMADG)で示される。エゼチミブの良好な溶解プロフィールを達成するのに有効なさらなる代替として、限定された量の水および限定された量の非水性液体賦形剤、例えば、界面活性剤の両者が有用であり、ここでは二重湿気活性化乾式造粒(Double Moisture Activated Dry Granulation)(DMADG)と命名される。DMADGの場合、水の非水性液体賦形剤に対する比は、好ましくは、1:4から4:1である。このような乾式造粒の特別に開発された改変は、流動性に劣り、不十分な圧縮特性を有し(特に、より高い薬物用量が望ましい場合)、および溶解度に劣る(依然として低用量配合物に関連する。)エゼチミブに非常に適するものになった。限定された量の液体賦形剤を吸収することが可能である調整可能な量の結合剤を添加することができる。成分は、必要に応じて高速ミキサーにおいて、液体賦形剤を添加した後の混合の時間を意味する、適切な湿式塊化時間(wet massing time)内で混合することができる。好ましい湿式塊化時間は10分まで、より好ましくは、2から5分である。伝統的な乾燥工程は有利に省略することができる。
【0048】
流動床造粒法は、気流中に微粒子を懸濁させ、流動床上に上から下へ液体を噴霧することを含む。スプレーの経路中の粒子は僅かに湿潤し、粘着性になる。これらの粘着性粒子は他の粒子と衝突し、これらと接着して顆粒を形成する。流動床造粒の2つの異なる様式が存在する:乾燥段階および湿潤段階。乾燥段階造粒において、粒子は僅かに湿潤して粘着性になり、互いに固着することのみを必要とする。造粒液は蒸発速度以下の速度で適用される。従って、過程全体を通して粒子は「乾燥」したままである。湿潤段階造粒においては、粒子は、互いに固着するのに十分な粘着性になる前に、著しく湿潤する必要がある。造粒液は、粒子が顆粒化するのに十分な湿気を構築するまで、蒸発速度を上回る速度で適用される。湿潤するときの粒子の特徴および用いられる造粒液のタイプはどちらの造粒様式が最も適切であるかを決定する。乾燥段階がより一般的ではあるが、湿潤段階造粒はより濃密な生成物を可能にする。流動床造粒は多孔性および有効表面積の開発に通常用いられ、従って、これらは活性主成分のより高い溶解度をもたらす。
【0049】
以下の実施例は単に本発明を説明するものであり、これらの実施例および変更に加えてこれらの等価物は本開示および添付の特許請求の範囲に照らして当業者に明らかになるため、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものと考えられるべきではない。図面において:
図1は、エゼチミブおよび賦形剤の異なる組み合わせの配合後の溶解プロフィールを、USP溶解試験装置2を用いて、0.01M HClおよび0.25% SDS(900ml)で示す。
図2は、約10μmのd(0.9)を有する、このようなものとしてのエゼチミブのSEMを示す。
図3は、配合後のエゼチミブおよびデンプンのSEMを示す。
図4は、配合後のエゼチミブおよびイソマルトのSEMを示す。
図5は、配合後のエゼチミブおよびラクトースのSEMを示す。
図6は、それぞれ、配合後の、ラクトースおよびデンプン(図6a)との、並びにイソマルトおよびデンプン(図6b)とのエゼチミブのSEMを示す。
図7は、エゼチミブを処理するための様々な技術および様々な機能的賦形剤(900ml)の使用の影響を示す。
図8は、技術に加えて特定の機能的賦形剤(500ml)の使用のさらなる影響要因を示す。
図9は、それぞれ、ポリエチレングリコール(図9a)およびポリビニルピロリドン(図9b)との固溶体中のエゼチミブのSEMを示す。
図10は、実施例10(500ml)において製造されるエゼチミブ錠剤の溶解プロフィールを示す。
図11は、エゼチミブおよび賦形剤の異なる組み合わせの配合、活性化および錠剤化後の溶解プロフィールを、USP溶解試験装置2を用いて、0.01M HClおよび0.25% SDS(500ml)で示す。
【0050】
図1に示されるように、エゼチミブと組み合わせようとする賦形剤の選択はエゼチミブの溶解プロフィールに有意に影響を及ぼす。粒状形態のエゼチミブとデンプンおよび糖類ラクトースまたはイソマルトとの組み合わせは、より低い適合性によって定義される他の組み合わせと比較して、溶解速度を著しく強化する。
【0051】
図2は、参考のための、このようなものとしての、即ち、他の活性成分が存在せず、および賦形剤と共粉砕されることのないエゼチミブの粒状構造および性質を示し、一方で図3から6は、これら自体粒状形態にある様々な選択された親水性賦形剤に吸着しているエゼチミブ粒子の形態の重要性を示す。
【0052】
図3に示されるように、エゼチミブとデンプンとの配合はエゼチミブの幾らかの凝集を生じる。しかしながら、図4に示されるように、エゼチミブをイソマルトと配合するとき、イソマルトの表面はエゼチミブの小粒子で実質的に覆われ、従って、一次粒子の存在に有利であり、および凝集粒子の形成の傾向が制御され、好ましくは、最小化される。図3に示されるデンプンの状況と比較すると、実質的により多量のエゼチミブ粒子がデンプンの表面上に存在する。
【0053】
同様に、図5はエゼチミブとラクトースとの配合の結果を示し、ここでもラクトースの表面はエゼチミブの小粒子によって実質的に覆われる。
【0054】
図6は、ここでは好ましい二糖類としてラクトースまたはイソマルトの特別な選択によって説明される、エゼチミブとデンプンおよび糖類との有益な組み合わせの結果を示す。示されるように、それぞれ賦形剤成分としてデンプンと組み合わせられるラクトースおよび/またはイソマルトは、イソマルトがエゼチミブを有するデンプンおよびエゼチミブ単独によって覆われるのに対して、ラクトースの表面がエゼチミブの小粒子によって覆われる効果に寄与することによって特に有益である。
【0055】
図7はエゼチミブ配合物の溶解プロフィールに対する様々な技術の影響および重要性を示す。示されるように、界面活性剤、特に、Tweenの包含は、特に、湿式造粒または、限られた量の液体賦形剤、即ち、限られた量の界面活性剤(Tween)および/または水の存在下で実施される、乾式造粒を用いる技術の適正な選択との組み合わせで、溶解速度を強化する。より高価で、経済的に劣る湿式造粒を回避する観点で、限られた量の液体賦形剤を用いる乾式造粒の条件が、許容し得る溶解特性と組み合わされた、堅牢で経済的に有益な技術を確立する。
【0056】
図8は、これも湿式造粒を迂回する観点での、技術および関連賦形剤の選択の影響および重要性のさらなる結果を示す。限られた量の液体賦形剤、例えば、界面活性剤および/または水の存在下での流動床造粒および乾式造粒のような技術によって許容し得る結果を得ることができることが示される。様々な技術および賦形剤の効果を明らかにするデータを下記表7からさらに示すことができる。
【0057】
図9は、ここでは賦形剤ポリエチレングリコール4000(図9a)およびポリビニルピロリドン(PVP K−25;図9b)の選択で図示される、適切な固溶体剤との固溶体中に存在するときのエゼチミブの適切な物理的状態を示す。溶解試験において示されているように、PEGおよびPVPは固溶体中に存在するエゼチミブの溶解度の増加に肯定的な影響を示す。従って、固溶体は湿潤造粒および他の技術に対する有用な代替法を提供する。さらに、適切な結合剤が粒子間の結合特性を強化し得ることがさらなる試験で示されている;例えば、ポリビニルアルコール(PVA)は、エゼチミブと好ましく組み合わせるのに適する結合剤として作用することが見出されている。
【0058】
図10は、限られた量の非水性液体賦形剤(Tween 80)を用いる乾式造粒技術によって得られているエゼチミブ錠剤の溶解プロフィールに関する優れた結果を示す。このタイプの技術を用いるさらなる研究において、非水性液体賦形剤は造粒に処される配合物の全量の10重量%までの濃度範囲、例えば、1から10重量%であるべきであることが見出された。優れた溶解特性および崩壊特性(≦5分)を伴う、活性化乾式造粒に対して選択された液体賦形剤としてTweenを含む錠剤の優れた結果は、2.5重量%のTween 80で達成された。
【0059】
図11は、限られた量の非水性液体賦形剤(Tween 80)の有無にかかわらず、限られた量の水を用いる乾式造粒技術によって得られているエゼチミブ錠剤の溶解プロフィールに関する優れた結果を示す。さらに、エゼチミブとの配合における様々な賦形剤の肯定的な効果が、特に、粒状糖類と配合するときに明らかとなり、これらの糖類には、特に配合はそれぞれデンプンと共に用いられるため、好ましくは噴霧乾燥のもの(SDタイプ)であるラクトース、またはイソマルトが含まれる。
【0060】
異なる例に記述される配合物サンプルの変化で実施された結果から推察することができる観察には以下が含まれる:
【0061】
本発明の好ましい実施形態は、少量の錠剤(例えば、20から250mg、好ましくは、50から150mg、とりわけ、100mgの標準サイズの錠剤サイズ)に圧縮することが可能である、自由流動性粘着性粉末および錠剤化顆粒の形態にあるエゼチミブ配合物を提供することが可能である。
【0062】
ここで開示されるエゼチミブ配合物は、許容し得る溶解プロフィールに加えて、許容し得る硬度(50から100N)および短い崩壊時間の間のチップ化に対する耐性を有する、単位投薬形態にある圧縮エゼチミブ錠剤を提供することを可能にする。
【0063】
ここで開示されるエゼチミブ配合物は、圧縮エゼチミブ錠剤を乾式造粒、湿気活性化乾式造粒(MADG)、非水性湿気活性化乾式造粒(NAMADG)、二重湿気活性化乾式造粒(DMADG)、湿式造粒または流動床造粒により単位投薬形態で、活性主成分の物理的または化学的変化なしに、調製するための方法を提供することをさらに促進する。
【0064】
エゼチミブをデンプンおよび糖類の異なる組み合わせ、特に、デンプン+ラクトースおよび/またはデンプン+イソマルトと混合することの、溶解プロフィールに対する肯定的な影響が確認された。
【0065】
Tweenおよびポロキサマーのような界面活性剤は、用いられるパーセンテージおよび技術に依存して、エゼチミブの溶解プロフィールにおける有意の変化を示した。
【0066】
特定の例は、それぞれ引き続いて蒸発させられるエタノールのような液体媒体中のPVP(ポビドン)、PEG−4000またはPEG−6000(ポリエチレングリコール)およびPVA(ポリビニルアルコール)を好ましい例として用いる、異なる量の適切な結合剤物質とのエゼチミブの固溶体配合物のより高い溶解度をも示した。
【実施例】
【0067】
(実施例1Aから1E)
微粉末化活性主成分の使用を基にして、第1に製造方法としての直接圧縮を調べた。ステアリン酸マグネシウムを除いて下記表1に示される活性物質およびすべての他の賦形剤の混合物を均質化し、ふるい掛けした(0.7mm)。次に、ステアリン酸マグネシウムを添加して均質に混合し、錠剤(質量100mg)に圧縮することを試みた。エゼチミブの非常に低い溶解度(水中に0.01mg/mL未満)および賦形剤と比較した活性主成分の低いパーセンテージ(10%)のため、最も一般的に用いられる賦形剤との異なる組み合わせでの直接圧縮は許容し得る溶解プロフィールをもたらさなかった(30分ですべての調べた溶解液中に放出されたAPIは80%未満)。
【0068】
【表1】
【0069】
(実施例2)
さらなる研究を、ブリケッティング工程を含む乾式造粒法により、エゼチミブおよび表2に一般的に列挙される賦形剤、即ち、具体的には、89.0%のラクトース(70から100メッシュまたはSD)、イソマルト、Avicel PH101(MCC)、ラクトース/デンプン(79/10)、イソマルト/デンプン(79/10)、Avicel PH101/デンプン(79/10)、ラクトース/デンプン/Avicel PH101(55/10/24)およびイソマルト/デンプン/Avicel PH101(55/10/24)で行った。すべての場合において、1%のステアリン酸マグネシウムを添加した。これらの成分(APIおよび賦形剤)を秤量し、実験用ブレンダー内で5分間配合した。次に、回転錠剤プレス(rotary tablet press)を制御された環境内で用いて、粉末の混合物をブリケットへの圧縮に用いた。その後、ブリケットを2.0mm、次いで1.2mmふるいを通して2回粉砕した。その後、外部賦形剤(ステアリン酸マグネシウム)を0.3mmふるいを通してふるい掛けし、顆粒に添加して1分間混合した。得られる最終配合物を、回転錠剤プレスを制御された環境内で用いて、錠剤に圧縮した。錠剤はカプセル型パンチを用いて100mgの圧縮重量で圧縮した。
【0070】
さらなるエゼチミブ錠剤研究のために選択された成分を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
高剪断ミキサー(Mi−PRO;500rpm)内での配合の後のエゼチミブおよび賦形剤の異なる組み合わせからの溶解プロフィールは図1におけるように示される。凡例は以下の通りである:ラクトース−ラクトース 70から100メッシュ;デンプン−トウモロコシデンプン;イソマルト−galenlQ721;MCC−Avicel PH102。図1に示されるように、粒状形態のエゼチミブと適切な糖類、とりわけ、デンプンおよび他の糖類の両者との組み合わせは、より低い適合性によって定義される他の組み合わせと比較して、溶解速度に影響を及ぼし、これを部分的に著しく強化する。他の糖類としてのラクトース、イソマルトまたは微結晶性セルロースと組み合わされたデンプンは溶解強化の点で有用である。
【0073】
図2においてはエゼチミブ単独の粒状構造および性質が参照のために示されるが、図3から6はこれら自体粒状形態で存在する様々な選択された親水性賦形剤に吸着しているエゼチミブ粒子の形態の重要性を示す。
【0074】
エゼチミブとデンプン単独の配合はエゼチミブの幾らかの凝集を生じる(図3)。ここではイソマルトで示される、粒状形態にある他の配合された親水性糖類賦形剤にエゼチミブを吸着させてこの表面を覆うとき、状況は改善される。実質的な量の、主として小(一次粒子でさえある。)の形態にあるエゼチミブ粒子が粒状イソマルトの表面上に存在し、エゼチミブ粒子凝集の傾向が制限される(例えば、図4を参照)。
【0075】
エゼチミブを別の糖類、ラクトースと配合するとき、エゼチミブの多数の小粒子の有益な接着会合に関する同様の結果が得られる(図5を参照)。
【0076】
さらなる改善が、図6に示されるエゼチミブとデンプンおよび他の糖類との組み合わせにより、エゼチミブとa)ラクトース/デンプンおよびb)イソマルト/デンプンとの配合の後に達成される。ラクトースの表面はエゼチミブの小粒子によって覆われ、一方でイソマルトはエゼチミブを伴うデンプンによって覆われる。
【0077】
さらに、溶解試験結果の点で、最終配合物におけるエゼチミブの凝集のレベルは重要な影響パラメータである。錠剤における凝集の高いパーセンテージは良好な溶解プロフィールの到達に有害である。エゼチミブを適切な量の親水性賦形剤、例えば、糖類、特に、イソマルトおよび/またはラクトースと配合することは、表面に接着した状態のエゼチミブの被覆に助力し、それにより高率の小粒子、特に、一次粒子を維持する。さらに、適切な結合剤の網構造との組み合わせ、特に、デンプンとの組み合わせは、可能性のある凝集体を小エゼチミブ粒子に破壊する手助けをするものと推測される。
【0078】
(実施例3Aおよび3B)
次の工程は、図3に示される、前の実施例における最も見込みのある賦形剤の幾つかと組み合わされた、水またはエタノールを造粒液として用いる湿式造粒であった。
【0079】
【表3】
【0080】
湿式造粒における造粒液としての精製水またはエタノールの使用は、質量の均一性(RSD≧2%)に加えてエゼチミブの凝集および分離に関する重大な問題をもたらす。
【0081】
(実施例4Aから4C、実施例5Aおよび5B、並びに実施例6Aから6D)
従って、湿気活性化乾式造粒(MADG)の概念における造粒液の制限を試験の次工程において用いた。実施例4から6について、MADGの成分および変化をそれぞれ表4から6に示す。
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】
MADG法においては、結合剤を薬物に加えて充填剤と配合し、少量の水(4%まで)およびTween(5%まで)を添加した後、この混合物を完全に配合した。用いられる場合には、微結晶性セルロース(MCC)および/または湿気を吸収することができるより小さい成分を次に添加し、存在する少量の湿気を吸収させた。伝統的な乾燥工程は含めなかった。加えて、崩壊剤を添加して配合した。これらのサンプルを2回ふるい掛け(0.7mm)した後、実験用ブレンダーで1分間、ステアリン酸マグネシウム(0.3mm)およびアエロジルの混合物と配合した。
【0086】
MADG法の最中の微結晶性セルロース(PH200LMではない。)、ラクトース、デンプン、tweenおよびイソマルトと少量の他の賦形剤との組み合わせは、直接圧縮、乾式造粒および湿式造粒用の混合物と比較して、溶解プロフィールを著しく改善した。他方、異なる流動促進剤および潤滑剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムの混合物はエゼチミブの溶解に対する肯定的な効果を示さなかった。その上、異なる特徴(粒子サイズ、流動性、圧縮性、溶解度、空隙率)を有するラクトースは、錠剤化過程の最中の粉末の流動性および圧縮性における極端な変化に加えて、ラクトースの表面を被覆して混合物を結合させるエゼチミブの親和性における変化を示した。球状性および粒子サイズは錠剤混合物の圧縮性の手助けをする。これは、効率的な配合および優れた流動につながる、粒子間摩擦が大幅に低下した混合物を生じる。良好な流動性は錠剤重量および硬度における変動を減少させる。技術および溶解の観点からの最良の結果はラクトース一水和物70から100メッシュおよび噴霧乾燥ラクトースでのものであった。
【0087】
デンプンと組み合わされたラクトースおよび/またはイソマルトは錠剤の圧縮性(10から20%)に対して著しい影響を有する。さらに、これら2種類の賦形剤で溶解プロフィールが有意に改善される。さらなる観察として、錠剤化過程の最中での流動促進剤および潤滑剤とイソマルト(GalenlQ721(商標))またはラクトースとの組み合わせは、デンプンおよび粘着性粉末、例えば、エゼチミブを含む粉末の流動性を有意に改善する(≧1.5g/s;安息角30から40°)。
【0088】
実施例6(表6)により、溶解プロフィールに対する異なる技術(MADGおよび湿式造粒)の影響に加えて、Tween80およびKlucel EXFの影響をさらに調べた。Tweenおよび湿式造粒はエゼチミブの溶解プロフィール対して有意の影響を有する(図7を参照)。図7に示される試験の詳細な条件は:6A−Tweenを伴うMADG(2.5%の水);5Bから5Aと同じ配合物であるが、湿式造粒;5C−TweenなしのMADG;5D−TweenおよびKlucel EXFなしのMADG。
【0089】
(実施例7Aから7D)
前の実施例の結果を基にして、溶解プロフィールの改善およびエゼチミブ溶解度の刺激因子の観点でさらなる変動を調べた。湿式造粒および流動床造粒をこれらのさらなる研究において単独で、またはMADGもしくは固溶体形成との組み合わせで用いた。成分および技術を表7にまとめる。
【0090】
【表7】
【0091】
エゼチミブ、MCC、ラクトースまたはイソマルト、デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ポロキサマーおよびklucelを高剪断ミキサーまたは流動床造粒機において混合し、tweenを含む水をノズル(MADG)またはスプレーノズル(流動床)を通して添加した。MADGにおいては、造粒部の後にavicel、aerosilおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、ふるい掛け(0.7mm)の後、混合物を錠剤形態に圧縮した。流動床造粒においては、水/tweenの噴霧の終了後、塊を2%未満の湿気まで乾燥させ、2回ふるい掛けした(1mmおよび0.7mm)。ステアリン酸マグネシウムを添加し、最後に配合した。回転錠剤プレスを制御された環境において用いて、得られる最終配合物を錠剤に圧縮した。
【0092】
溶解プロフィールに対する技術の変化並びに特別な成分およびこれらの量、例えば、Tween、ポロキサマーおよびavicel PH200LMの影響を図8に示す。
【0093】
結果によると、流動床造粒並びに限られた量の液体賦形剤、例えば、界面活性剤および/または水の存在下での乾式造粒は許容し得る溶解プロフィールを導く。Avicel PH200LMがMADG法または「ハードパスタ(hard pasta)」造粒(湿式造粒工程の最中に40から50%の水)により良好に用いられることが見出された。
【0094】
(実施例8Aから8C)
表8に要約されるように、異なる処理技術の使用および賦形剤の変化をさらに調べた。
【0095】
【表8】
【0096】
実施例8Aおよび8Cにおいては、エゼチミブをエタノールに溶解(エタノール中250mg/mL)した後、ノズルを通して賦形剤の表面に噴霧した。成分を秤量し、実験用ブレンダー内で5分間配合した。次に、粉末の混合物(内部)にエゼチミブ/エタノールまたはエゼチミブ/SDS/Ca−ケイ酸塩/エタノールで製造される溶液を噴霧した。その後、混合物を乾燥させ;ふるい掛けし(0.7mm、2回)、外部賦形剤を添加した。回転錠剤プレスを制御された環境において用いて、得られる最終配合物を錠剤に圧縮した。
【0097】
ケイ酸カルシウム、ドデシル硫酸ナトリウムおよびエタノールの使用は造粒過程の最中のエゼチミブの凝集の防止の強化をもたらし、最終錠剤をより多孔性にした。
【0098】
実施例8Bに記述される手順の最中、まず第1に内部賦形剤およびエゼチミブを高剪断ミキサー内で配合し、次にtweenに加えて精製水を添加した。乾燥質量に対する算出で約40から45%の水を添加した後、本発明者らはエゼチミブのパスタを得た。過剰量の水を取るためにAvicel PH200LMおよびイソマルトが添加されており、この混合物は流動床における3%の湿気までの乾燥工程の準備ができていた。その後、混合物を乾燥させ;ふるい掛けし(0.7mm、2回)、潤滑剤および流動促進剤を添加した。
【0099】
溶解プロフィールに対する肯定的な効果の観点で、さらなる研究を行った。
【0100】
(実施例9Aから9C)
次の段階において固溶体を調べた。
【0101】
【表9】
【0102】
エゼチミブおよび固溶体剤をエタノールに単純に溶解した後、高温(45から50℃)で溶媒を蒸発させた。エタノールの蒸発の後、本発明者らはPEGおよびPVP中のエゼチミブの固溶体を得た。PVAは粒子間の強力な結合性を生じた。
【0103】
ここでは賦形剤ポリエチレングリコール4000(図9a)およびポリビニルピロリドン(PVP K−25;図9b)の選択で示される適切な固溶体剤を用いて、固溶体の状態のエゼチミブの物理状態が確認された。従って、固溶体は湿式造粒および他の技術の有用な代替法を提供する。さらに、適切な結合剤がエゼチミブ粒子間の結合特性を強化できることをさらなる試験が示している;例えば、ポリビニルアルコール(PVA)はエゼチミブと好ましく組み合わされる適切な結合剤として作用することが見出されている。
【0104】
適切な固溶体剤、ここではPEGおよびPVPでの固溶体の形成はエゼチミブの溶解度の増加に対する肯定的な影響を示している。
【0105】
(実施例10Aおよび10B)
固溶体の形成をさらなる研究において用い、湿式造粒と比較した。実験の構成を下記表10にまとめる。
【0106】
【表10】
【0107】
湿式造粒は他のサンプルについて記述されるものと同じ方法で、同じ技術を用いて行った。研究のこの部分によると固溶体流動化が興味深い。Texaponeを水に溶解し、エゼチミブ/PVPをエタノールに溶解した。デンプン、ラクトース、クロスカルメロースナトリウムおよびクロスポビドンを配合した後、texaponeの溶液を賦形剤に噴霧した。次の工程は、流動床における、賦形剤に活性溶液を噴霧した後の流動床造粒機内での乾燥であった。顆粒の湿気は1.5%未満であることに注意を払った。次に、0.7mmふるいを通して塊を2回ふるい掛けした。最終混合物を外部成分と配合し、錠剤を調製した。
【0108】
溶解プロフィールは固溶体(実施例9)の結果に類似していたが、下記実施例11に記述されるように、界面活性剤および造粒剤としてのTween80を用いる非水性湿気活性化乾式造粒(NAMAGD)によって改善することができた。
【0109】
(実施例11)
1.0から10.0%(w/w)のTween80含有率で研究を行った。これらのTween含有率の選択は、2.0から4.0%の含水率を用いたMADGモデルのための前の実験に基づくものであった。錠剤の最良の品質に加えて崩壊特性(≦5分)が2.5%のTween80で達成された。
【0110】
【表11】
【0111】
ラクトースSDおよびデンプンを最初に単独で配合した後、エゼチミブと配合した。ふるい0.7mmを通して混合物をふるい掛けし、崩壊剤を添加して混合した。活性主成分を含む賦形剤にTweenを噴霧した。高剪断混合およびチップ化を用いて造粒を行った。顆粒を2回ふるい掛けした(0.7mm)。klucel、aerosilおよびステアリン酸マグネシウムを添加した後、錠剤化のために塊を調製した。この非常に単純で、経済的で、堅牢なサンプルの溶解プロフィールは良好であった(図10)。ラクトース、デンプンおよびtweenの肯定的な影響はエゼチミブの非常に良好な溶解プロフィールに及ぶことが確認された。
【0112】
(実施例12)
MADGおよびNAMADGを用いる実験に基づき、DMADGと命名される、限られた量の水および限られた量の非水性液体賦形剤(界面活性剤としてのTween80で試験)の組み合わせで代替研究を行った。
【0113】
【表12】
【0114】
ラクトースSDおよびデンプンを最初に単独で配合した後、エゼチミブと配合し、3分後に崩壊剤を添加してさらに1分間混合した。最初に、活性主成分を含む賦形剤に水を噴霧し、親水性化合物およびAPIの間の結合剤を強力にした。第2の活性化は賦形剤および活性主成分の水活性化混合物にTweenを噴霧することによって行った。高剪断混合およびチップ化(200から250rpmで3分間)で造粒を行った。顆粒をふるい掛けした(0.7mm)。klucel、aerosilおよびステアリン酸マグネシウムを添加した後、錠剤化のために塊を調製した。この非常に単純で、経済的で、堅牢なサンプルの溶解プロフィールは許容し得るものであり、第1点(5分)においては図10に示される結果よりも良好ですらあった。
【0115】
(実施例13)
この実施例においては、APIと配合した後の親水性賦形剤の肯定的な影響を試験し、最終圧縮錠剤においても確認した。噴霧乾燥ラクトースまたはイソマルトを粒状糖類賦形剤として用いた。さらに、限られた量の非水性液体賦形剤(界面活性剤としてのTween80)によるさらなる活性化の有無にかかわらず、乾式造粒の湿気活性化のための限られた量の水を試験した。
【0116】
造粒手順は実施例11および12に用いたものに類似する。
【0117】
【表13】
【0118】
実施例13Aから13Hのすべては非常に簡単で、経済的で、堅牢なサンプルを提供した。図11に示されるように、溶解プロフィールに関する良好な結果が達成された。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、エゼチミブの新規配合物に加えて、これらを含有する医薬配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術の記述)
エゼチミブ、化学的には1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3−(4フルオロフェニル)−3(S)−ヒドロキシプロピル]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノンは、コレステロールおよび関連植物ステロールの腸管吸収を選択的に阻害する、脂質低下性化合物のクラスに属する。
【0003】
この薬物は、血管事象、例えば、アテローム性動脈硬化の二次予防における利点を備える、良好な忍容性および有効性のtotal−C(総コレステロール)、LDL−C(低密度リポタンパク質コレステロール)、ApoB(アポリポタンパク質B)およびTG(トリグリセリド)減少剤である。他方、エゼチミブは、高コレステロール血症の患者においてHDL−C(高密度リポタンパク質コレステロール)または「良性コレステロール」を増加させる。
【0004】
米国特許7,030,106 B2は、エゼチミブ並びに、賦形剤としての、ラクトース一水和物(充填剤)、微結晶性セルロース(充填剤)、ポビドン(結合剤)、クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤)、ラウリル硫酸ナトリウム(界面活性剤)およびステアリン酸マグネシウム(潤滑剤)からなる医薬組成物を主張する。EP 1 849 459 A1は少なくとも1種類の親水性賦形剤と共粉砕されているエゼチミブを含む組成物を記載する。共粉砕は、約25μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは約5μm以下のd(0.9)のエゼチミブ粒子サイズを得るため、糖類または多糖類、典型的には、デンプンと共に行われる。
【0005】
さらなる背景技術がKosoglou T.et al.,Clin Pharmacokinet 44(2005)467−494;Christensen L.H.et al.,Drug Dev Ind Pharm 20(1994)2195−2213;Inghelbrecht S.et al.,Int J Pharm 171(1998)195−206;Physicians’Desk Reference,61st edition,Thomson PDR,NJ,USA,2007,pp.2120−2125;およびSharma S.et al.,Pharm Sci Tech 6(2005)618−625に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,030,106号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1849459号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Kosoglou T.et al.,Clin Pharmacokinet 44(2005)467−494
【非特許文献2】Christensen L.H.et al.,Drug Dev Ind Pharm 20(1994)2195−2213
【非特許文献3】Inghelbrecht S.et al.,Int J Pharm 171(1998)195−206
【非特許文献4】Physicians’Desk Reference,61st edition,Thomson PDR,NJ,USA,2007,pp.2120−2125
【非特許文献5】Sharma S.et al.,Pharm Sci Tech 6(2005)618−625
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(発明の要旨)
本発明の目的は改善されたエゼチミブ配合物への取り組みを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本発明は、一次粒子の形態にあるエゼチミブおよび、これに吸着するエゼチミブ粒子を有する粒状形態にある、親水性賦形剤を含むエゼチミブの配合物を提供する。
【0010】
別の態様によると、本発明は、少なくとも2つのタイプの親水性賦形剤と組み合わされているエゼチミブを含むエゼチミブの配合物であって、親水性賦形剤の一方のタイプがデンプンであり、親水性賦形剤の他方のタイプが単糖類、二糖類およびセルロース物質を含む糖類から選択される配合物を提供する。
【0011】
さらに別の態様によると、本発明は、8重量%まで、好ましくは6重量%まで、より好ましくは4重量%まで、例えば、0.5から4重量%の水と混合して、または10重量%まで、好ましくは1から10重量%の、液体物質から選択される非水性賦形剤と混合して造粒される、エゼチミブを含むエゼチミブの配合物を提供する。
【0012】
さらに別の態様によると、本発明は、固溶体の状態で固溶体剤(solid solution agent)と混合されたエゼチミブを含むエゼチミブの配合物を提供する。
【0013】
本発明の特定の実施形態によると、エゼチミブの配合物を製造するための方法は、造粒液が存在しない状態での、または8重量%までの限定量の水もしくは水性液体の存在下での、もしくは10重量%までの限定量の非水性液体の存在下での乾式造粒を用いるか、またはエゼチミブの固溶体形成を用いる。
【0014】
さらなる態様によると、本発明は、上記態様のいずれかによるエゼチミブの配合物を含むか、または前述の特定の製造方法によって得られるエゼチミブの配合物を含む医薬配合物を提供する。
【0015】
本発明のさらなる態様は、コレステロール関連疾患の予防もしくは治療への上記態様による配合物のいずれかもしくは医薬配合物のいずれかの使用、またはコレステロール減少量の配合物もしくはこの中で活性剤として存在するエゼチミブを投与することによる治療方法である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、エゼチミブおよび賦形剤の異なる組み合わせの配合後の溶解プロフィールを、USP溶解試験装置2を用いて、0.01M HClおよび0.25% SDS(900ml)で示す。
【図2】図2は、約10μmのd(0.9)を有する、このようなものとしてのエゼチミブのSEMを示す。
【図3】図3は、配合後のエゼチミブおよびデンプンのSEMを示す。
【図4】図4は、配合後のエゼチミブおよびイソマルトのSEMを示す。
【図5】図5は、配合後のエゼチミブおよびラクトースのSEMを示す。
【図6】図6は、それぞれ、配合後の、ラクトースおよびデンプン(図6a)との、並びにイソマルトおよびデンプン(図6b)とのエゼチミブのSEMを示す。
【図7】図7は、エゼチミブを処理するための様々な技術および様々な機能的賦形剤(900ml)の使用の影響を示す。
【図8】図8は、技術に加えて特定の機能的賦形剤(500ml)の使用のさらなる影響要因を示す。
【図9】図9は、それぞれ、ポリエチレングリコール(図9a)およびポリビニルピロリドン(図9b)との固溶体中のエゼチミブのSEMを示す。
【図10】図10は、実施例10(500ml)において製造されるエゼチミブ錠剤の溶解プロフィールを示す。
【図11】図11は、エゼチミブおよび賦形剤の異なる組み合わせの配合、活性化および錠剤化後の溶解プロフィールを、USP溶解試験装置2を用いて、0.01M HClおよび0.25% SDS(500ml)で示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明、ならびに有利性および好ましい実施形態の記述)
本発明の態様、有利な特徴および好ましい実施形態は、それぞれ単独で、または組み合わせて、エゼチミブの良好な化学的および物理的安定性に加えて、錠剤のような単一の単位投薬形態に配合するときに良好な溶解特性および許容可能なレベルの硬度を可能にする、エゼチミブの配合物および、最終的には、これを含有する医薬配合物を生成することと組み合わされた自由流動性、粘着性粉末および圧縮特性の間の良好なバランスの観点で、改善されたエゼチミブ配合物の提供に寄与する。
【0018】
好ましい実施形態並びに有利な特徴、特性および効果を参照してさらなる説明を以下に示すが、これらは本発明を限定しようとすることなしに説明の目的で提供されるものである。
【0019】
エゼチミブ物質は低水溶性であり、低浸透性であり、薬物配合物において通常用いられるほとんどの賦形剤と不適合であり、安定性の問題を提示し、および本質的に圧縮可能ではない。従って、特に低強度、例えば、許容し得る溶解プロフィールで単位投薬形態あたり10mg用量のエゼチミブで配合するとき、または僅かに5mg用量のエゼチミブで配合するときでさえ、投薬形態に配合することができる自由流動性で粘着性のエゼチミブ組成物を提供する必要性がある。
【0020】
このような制約にもかかわらず、(i)粒状形態の適切な親水性賦形剤と共粉砕なしに単に配合されるときに満足のいくパーセンテージの一次粒子状態で親水性賦形剤の粒子の表面上に吸着する、一次粒子の形態にあるエゼチミブの存在;(ii)特定のタイプの賦形剤の選択;および/または(iii)エゼチミブの配合物が得られる方法の慎重な制御に注意を払い、代わりに、または必要に応じてこれらの組み合わせに注意を払うとき、驚くべきことに、エゼチミブの配合物をより堅調で経済的な方法で提供することができ、並びにこれが化学的および物理的安定性、自由流動性および圧縮性を含む特性の良好なバランスに加えて、許容し得る硬度および、特に、良好な溶解プロフィールに受容され得ることを示すことをできることが見出されている。前述の有益な効果は、前述の特徴(i)、(ii)および(iii)の2つまたはすべてが組み合わせて観察される場合、より強化される。
【0021】
好ましい実施形態によると、賦形剤と配合および混合するためのエゼチミブは、好ましくは≦約40μm、より好ましくは≦約25μm、より好ましくは≦約18μm、特に約10μm、例えば、8.5μmから12.5μmの範囲の粒子サイズd(0.9)を有する一次粒子の形態でエゼチミブ配合物中に提供される。特に、高い溶解速度を視野に入れて、エゼチミブの一次粒子の物理的に安定な形態を保証し、および凝集の形成に向かう傾向を低減し、好ましくは最小化することが重要であることが見出されている。粒状エゼチミブを粒状形態の適切な親水性賦形剤と組み合わせることでこれらが粒状親水性賦形剤の表面上に吸着し、それにより、処理の最中並びにこれらによって生成される配合物および医薬配合物の両者におけるエゼチミブ凝集の生成が制御され、好ましくは、最小化される。好ましい実施形態によると、エゼチミブの一次および凝集粒子の合計に対する凝集粒子の割合を20%未満、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下(%表示は数−%(number−%)を示す。)に制限することが本発明によって可能である。ここで用いられる「凝集粒子」という用語は、典型的には、20μm以上の平均粒子サイズを有するエゼチミブ粒子を意味する。著しい利点および効果を達成するため、配合物の他の成分または賦形剤との共粉砕は不必要であるだけではなく省略することが好ましく、これら自体がこのようなものとして望ましい粒子サイズを有するように別々に粉末化、粉砕、ペグミル処理(peg−milled)または微粉化することによって一次粒子の形態にあるエゼチミブを提供する。これは、配合による粒状親水性賦形剤の表面への、好ましくは比較的高率で一次粒子の形態にある、エゼチミブ粒子の吸着の制御を可能にする。特に、エゼチミブおよび、この表面上をエゼチミブ一次粒子が吸着によって覆う、親水性賦形剤の両者の粒子サイズの間の適正な制御および比率を可能にする。吸着によって粒状親水性賦形剤と会合するエゼチミブは、特徴全体の達成をさらに手助けするためにより高い割合で後に添加され得る、さらなる任意の賦形剤とのより良好な適合性を可能にする。さらに、エゼチミブの化学的および/または物理的変化の傾向が減少する。
【0022】
好ましくは、凝集粒子が制限される可能性のある、前述の比較的小さい一次エゼチミブ粒子を吸着による比較的大きい賦形剤粒子の被覆に用いることが有益であると見出されている。この表面上にエゼチミブ粒子が吸着する親水性賦形剤の適切な粒子サイズは10から400μm(平均粒子サイズとして決定)の範囲である。
【0023】
親水性粒状賦形剤に吸着しているエゼチミブ粒子の適切な状態は適切な手段によって、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)によって観察することができる。従って、小粒子、好ましくは、高率のエゼチミブの一次粒子によって被覆されている粒状親水性賦形剤の表面の状態は容易に視認可能である。粒子形態の合計に対する凝集粒子の割合もこのような適切な手段によって決定することができる。
【0024】
親水性賦形剤は、多糖類および、特に、単糖類または二糖類を含む、糖類からなる群より適切に選択される。親水性賦形剤にとって好ましい糖類のうちでの選択は、吸着状態を高めること、および賦形剤粒子表面上の一次粒子の高い割合を維持することである。糖類型の親水性賦形剤の好ましい例には粒状単糖類または二糖類が含まれ、これには、それぞれ単独の、または組み合わせでの、ラクトース、イソマルト、マンニトール、ソルビトール、グルコース、フラクトース、ラクチトール、マルトース、好ましくは、マンニトール、ラクトースおよびイソマルト、より好ましくは、ラクトースおよびイソマルトが含まれるがこれらに限定されるものではない。好ましい多糖類にはデンプンおよびセルロース物質が含まれ、好ましいセルロース物質には微結晶性セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース並びに架橋形態に加えてこれらの組み合わせが含まれる。
【0025】
さらなる好ましい実施形態によると、これらに吸着した前記エゼチミブ粒子を有する粒状親水性賦形剤は結合剤と混合する。マトリックスとしての結合剤はエゼチミブの粒子と親水性賦形剤との吸着状態をさらに安定化および強化することができる。この表面上にエゼチミブ粒子を吸着させることができる前述の多糖類の幾つかは同時に結合剤として作用し得る。適切な結合剤には、これらに限定されるものではないが、微結晶性セルロース、デンプン、カルシウムまたはナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、酢酸セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、デキストラン、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリデキストロース、α化デンプン、ゼイン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、好ましくは、デンプン、ポリエチレングリコール、好ましくは、固体PEG、例えば、PEG−4000またはPEG−6000、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリビニルピロリドン(PVP)が含まれる。
【0026】
親水性粒状賦形剤の表面に吸着しているエゼチミブ粒子、好ましくは、すべての存在するエゼチミブ粒子形態に対する主な割合として、一次粒子の形態にあるエゼチミブ粒子を有する配合物は、必要に応じてさらなる賦形剤と共に、両成分を配合することによって適切に得ることができる。さらなる選択肢として、エゼチミブおよび親水性賦形剤粒子を配合した後、さらなる賦形剤を部分的に、または完全に混合することができる。配合のための良好な機器は、粒状親水性賦形剤に吸着しているエゼチミブ粒子の適正状態を補佐し、および、好ましくは多糖類物質がさらなる賦形剤として用いられるとき、さらなる賦形剤にマトリックスまたは網構造を形成させる、高剪断ミキサーである。
【0027】
粒状親水性賦形剤の表面に吸着しているエゼチミブ粒子の有益な状態を達成する前述の好ましい実施形態とは別に、特定のタイプの親水性賦形剤を選択することによって本発明の別の実施形態によるエゼチミブの配合物を改善することができる。しかしながら、本実施形態を、溶解度、溶解速度および溶解プロフィールのような望ましい特徴を特に強化する、前述の好ましい実施形態と組み合わせることができることは述べておく。この好ましい実施形態によると、エゼチミブを少なくとも2つのタイプの親水性賦形剤と組み合わせ、一方のタイプの親水性賦形剤はデンプンであり、他方のタイプの親水性賦形剤は単糖類、二糖類およびセルロース物質から選択される糖類である。必ずしも必要なものではないが、これら2つのタイプの親水性賦形剤は、適切には、粒子の形態で存在する。
【0028】
驚くべきことに、このように、即ち、好ましくは他の成分と共粉砕されることなく、および他の活性成分を含まないエゼチミブをデンプンおよび適切に選択されたさらなる糖類の両者と組み合わせるとき、特に、デンプンおよび単糖類および/または二糖類と組み合わせるとき、賦形剤のうちでの適合性、特に、さらなる任意の賦形剤の包含との適合性が比較的低い投薬量パーセンテージ(賦形剤全体の高い割合に相当する。)であっても強化され、エゼチミブの化学的および/または物理的変化の傾向が減少し、並びに、同時に、錠剤の硬さおよび良好な溶解特性を含む特徴の優れたバランスが達成され得ることが見出されている。従って、エゼチミブとデンプンおよびさらなる糖類(特に、単糖類または二糖類)の両者との組み合わせは、このような賦形剤とエゼチミブとの適合性および、重大なことには、凝集エゼチミブ粒子の生成の制限におけるさらなる補佐に有利なだけではなく、それに加えて、これ単独ではエゼチミブとの適合性の問題を有するが、他方ではさらなる有益な効果に加えて寄与し得る、さらなる賦形剤を添加することを可能にする。例えば、界面活性剤の好ましい選択、例えば、Tweenを添加し、並びに結合剤の好ましい選択、例えば、ポリエチレングリコール、好ましくは、固体ポリエチレングリコール、例えば、PEG−4000もしくはPG−6000、ポリビニルピロリドン(Povidone;PVP)および/またはポリビニルアルコール(PVA)を添加することが可能である。
【0029】
デンプンによって形成されるマトリックスまたは網と組み合わせて、単糖類および/または二糖類は、好ましくは、ラクトース、イソマルト、マンニトール、ソルビトール、グルコース、フラクトース、ラクチトール、マルトース、好ましくは、ラクトースおよびイソマルトからなる群より選択される。デンプンは、特に、微結晶性セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース並びに架橋形態に加えてこれらの組み合わせを含む、セルロース型多糖類物質と適切に組み合わせることもできる。
【0030】
上述の好ましい実施形態とは別ではあるが、必要に応じてこれらの代わりに、またはこれらと組み合わせて、本発明の好ましい実施形態は適切な処理技術の選択に関する。上述の好ましい実施形態との組み合わせは、例えば、湿式造粒、乾式造粒および当業者に公知の他のものを含む、様々な公知配合技術のうちで選択する自由の利点をもたらす。ここで開示されるエゼチミブの配合物が、上述のようにエゼチミブ活性成分に起因する特徴が関与する固有の困難性のために湿式造粒よりも挑戦的であるものの、経済的に好ましい(economically preferably)乾式造粒の使用を可能にすることには利点がある。
【0031】
他方、エゼチミブ配合物の改善が上述の好ましい実施形態とは別に達成されるべきである場合、本発明は、エゼチミブの配合物を得る方法を慎重に制御することにより、さらなる有益な実施形態を提供する。特別に開発された技術の1つは限定された量の液体と混合される造粒である。驚くべきことに、造粒が施されるエゼチミブの配合物の総量に対して、それぞれ、8重量%まで、好ましくは6重量%まで、より好ましくは4重量%まで、例えば、0.5から4重量%、より特別には1から4重量%、特に2から3重量%の限定された量の水もしくは水性液体と混合される造粒、または10重量%まで、例えば、1から10重量%未満までの液体物質から選択される限定された量の非水性賦形剤と混合される造粒、および、続いて、この配合物にさらなる造粒液なしに造粒を施すことで、エゼチミブ配合物の自由流動特性、粘着特性および圧縮性が強化され、並びに、加えて、良好な溶解特性が示されるエゼチミブ配合物を得ることができることが見出されている。限られた量の液体賦形剤に加えて、他の点でも乾燥状態が設定されるため、乾燥工程は不要になる。これは、限られた量の液体賦形剤を吸収することができる結合剤の添加によってさらに補助することができる。固体ポリエチレングリコール、イソマルト、微結晶性セルロース(例えば、Avicel)、マンニトールおよびラクトースからの固体賦形剤の選択は限られた量の液体を用いる乾式造粒に特に適することが見出されている。
【0032】
造粒の最中に限られた量の液体賦形剤を添加するこの実施形態においては、水単独または水性液体のいずれかを用いることができる。水性液体においては、水を水混和性有機溶媒、例えば、低級アルコール、アルキルエーテルなど、例えば、メタノール、エタノール、n−もしくはイソ−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールまたはオクタノールと混合することができる。その代わりに、または水性液体と組み合わせて、非水性液体物質を乾式造粒支援に用いるとき、非水性賦形剤は、好ましくは非イオン型の、液体界面活性剤;液体ポリエチレングリコール;液体パラフィン;プロピレングリコール;少なくとも8個の炭素原子を有する液体脂肪アルコール;液体トリグリセリドまたは油;液体ワックス;液体ポリエトキシル化脂肪酸;液体PEGグリセロール脂肪酸エステル;並びにポリエチレングリコールおよびアルキルアルコールの液体エーテル;から選択することができ、好ましくは、ポリソルベート、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、液体パラフィンおよびプロピレングリコールからなる群より選択される。好ましい非水性賦形剤は、好ましくは非イオン型の、液体界面活性剤であり、より好ましくはTween、ドデシル硫酸ナトリウムおよびポロキサマーの群より選択され、より好ましくはTweenから選択され、特にTween80が選択される。
【0033】
特に適することが見出される別の処理技術は固溶体の状態にあるエゼチミブを固溶体剤と混合することによるものである。この特別な処理技術は、特に溶解速度に関して、良好な溶解特性に寄与する。ここで用いられる「固溶体」という用語はエゼチミブとの混合物中に存在する単相である。固溶体はエゼチミブおよび固溶体剤および、固溶体中に可溶化された、任意のさらなる賦形剤のみに限定することができ、または1種類以上の別々の、非可溶化された、または粒状の、さらなる任意の賦形剤と組み合わせることができる。固溶体成分は、典型的には、エゼチミブが溶解または分散する様々な化学組成物の全体にわたって存在する単相とみなすことができる。幾つかの無機物は広範で多様な化学に耐えることができ、それに対して他のものはこれらの理想的な化学式からの限られた化学的逸脱のみを許容する。多くの場合、固溶体の程度は温度の関数であって、固溶体は高温で有利であり、それに対して非混合および/または秩序化は低温で有利である。
【0034】
エゼチミブの固溶体を調製するための実施形態においては、これ自体固体である適切な賦形剤形態から適切に選択される固溶体剤および液体媒体が液体中の固溶体の調製に用いられる。固溶体剤として用いられる適切な固体賦形剤は結合剤物質から、好ましくは、コロイド状二酸化ケイ素、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよびポリビニルアルコール(PVA)からなる群より選択され得る。最も好ましいのは、固体ポリエチレングリコール(PEG)、特に、4000から20000の範囲の分子量に入るもの、例えば、PEG−4000またはPEG−6000およびポリビニルピロリドン(PVP)、必要に応じて、さらにポリビニルアルコール(PVA)の使用である。特に、必要に応じてPVAをさらに含めて、PEGおよびPVPを用いるとき、前述の固溶体剤の2種類以上を組み合わせて用いて効果をさらに高めることができる。
【0035】
固溶体を調製するのに適する液体媒体には有機溶媒、例えば、低級アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−もしくはイソ−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールまたはオクタノールおよび有機溶媒の水との混合物が含まれる。好ましくは、エタノールおよびエタノール水溶液が用いられる。必要に応じて均質または均一分配溶液を製造するための加熱処理を含めて、エゼチミブの溶液および固溶体剤を調製した後、液体中での固溶体の調製に用いられる液体媒体成分を蒸発させる。蒸発は高温、例えば、40から50℃の範囲でより効率的に行われる。これは流動床頂部スプレー造粒法(fluid bed top spray granulation procedure)の最中に最も効率的に行われる。
【0036】
同時に結合剤として作用する固溶体剤は、追加で含められる必要に応じて粒状の賦形剤との適合性も改善する。任意の追加の賦形剤は固溶体形成によって含めることもでき、または、エゼチミブの固溶体形成の後、適切な方法、例えば、流動床造粒技術によって含められる。
【0037】
上述の態様および好ましい実施形態にとって、以下の特徴はさらに格別の意義を有するものである。
【0038】
上述の技術によってエゼチミブを処理するとき、エゼチミブは、適切には、必ずしもこれらに限定されるものではないが、粒状形態で存在し得る。特定の実施形態においては、例えば、エゼチミブの固溶体形成を選択するとき、溶解状態のような他の形態がより適切である。
【0039】
前述の態様および好ましい実施形態の各々が、代わりに、または組み合わせて、賦形剤の間の適合性の改善に寄与するため、達成しようとする望ましい機能性に依存して用いようとする賦形剤のより大きな多様性のうちでの有益な選択の自由が存在し、従って、選択される賦形剤に起因する有益な効果が可能となる。従って、例えば、錠剤のような単一投薬形態として存在する最終医薬配合物に向けて、エゼチミブおよび、必要に応じて、さらなる活性医薬成分の他に幾つかの成分を用いることができる。例えば、機械的特徴、例えば、かさ高さ、改善された流動、より良好な圧縮性、改善された崩壊特性、硬度、味、および錠剤性能、香味、または強化された外見を改善するのに賦形剤成分を用いることができる。賦形剤の多くのタイプおよび例を、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、界面活性剤、着色剤、希釈剤、粘着防止剤、流動促進剤を単独で、または組み合わせて含むが、これらに限定されるものではない、このような機能性の達成に用いることができる。さらなる有用な添加物には、これらに限定することなしに、単独で、または組み合わせで、緩衝剤、酸化防止剤、着色料、安定化剤、充填剤、可塑剤、乳化剤、保存剤、粘度改質剤(viscosity−modifying agents)、またはパシフィア(passifiers)、香味料が含まれ得る。
【0040】
特にエゼチミブ活性成分の溶解特性並びに化学的および物理的安定性を含む、特性のバランスは、賦形剤が、例えば、固体ポリエチレングリコール(PEG;Macrogol)、好ましくは、4000から20000の範囲の分子量を有するPEG;ポリビニルピロリドン(PVP)またはこの架橋形態クロスポビドン;二酸化ケイ素、好ましくは、ヒュームドシリカまたはコロイド状二酸化ケイ素;糖エステルおよびポリヒドロキシ糖を含む単糖類/二糖類/多糖類、好ましくは、マンニトール;ラクトース、イソマルト、ラクチトール;ソルビトール、グルコース、フラクトース、マルトース、デキストラン、デキストリン、マルトデキストリンおよびデキストロースの好ましい多糖類、より好ましくは、デンプンおよびセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCフタレート、ポリデキストロース、シクロデキストリンおよびカルボマー、微結晶性セルロース(MCC)、ケイ化微結晶性セルロース、粉末化セルロース、カルボキシメチルセルロース(カルシウムまたはナトリウム)、ヒプロメロース、α化デンプン、ゼイン;バッファ塩、好ましくは、無水1、2または3塩基性ホスフェート、より好ましくは、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムおよびケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム;親水性、アニオン性、カチオン性、双性イオン性および非イオン性界面活性剤並びに親油性添加物、例えば、モノ−、ジ−またはトリグリセリド、ポリエトキシル化脂肪酸、脂肪酸エステルおよび油、例えば、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム並びにポリグリコール化グリセリド;タルク;ポリペプチド、例えば、ゼラチン;並びにこれらの混合物からなる群より選択されるものを、これらに限定されることなしに含む特別に適合する固体賦形剤から選択されるとき、良好なレベルにある。本発明の一実施形態としての1回投薬医薬配合物はカバーフィルムまたはシェルをさらに含むことができ、これらは好ましい実施形態によると非吸湿性でもある。さらなる好ましい実施形態においては、二または多機能性賦形剤、例えば、微結晶性セルロース(MCC)と混合されたコロイド状二酸化ケイ素(CSD)、例えば、Prosolv(商標)を用いることができる。用いられる賦形剤には、好ましくは、ポリエチレングリコール、イソマルト、微結晶性セルロース、マンニトールおよびラクトースからなり、好ましくは、少なくともデンプン、ラクトース、イソマルト、PEG、PVPおよびTween、必要に応じて、さらにクロスカルメロースナトリウムを含む群の少なくとも1つ以上が含まれる。
【0041】
所望であれば、本発明は、特にエゼチミブが単独の活性成分である場合、低重量パーセンテージの、または投薬単位あたり低い絶対用量の活性主成分のエゼチミブの利用を許容する。この概念は、特に、処理の最中の自由流動、粘着および圧縮特性を含み、エゼチミブ単独の非常に低い溶解度(典型的には、水中で0.01mg/ml未満)にもかかわらず溶解特性を含み、並びにエゼチミブには安定性に課題がありがちであるにもかかわらず物理的および/または化学的安定性を含む、寄与効果の望ましい大きさに依存して有用および有効量の賦形剤を選択する可能性を伴いつつ、次には高重量パーセンテージまたは高絶対量の適切な賦形剤を意味する。従って、特定の有益な実施形態においては、エゼチミブ以外に、必要な場合のみ第2または第3の異なる活性成分をさらに含めて、適切に選択された賦形剤のみによってエゼチミブ配合物のバランスを形成することができる。これは、例えば、エゼチミブの含有量が、例えば約10mgまたは約5mgの標準レベルを含めて、投薬形態あたり25mgまで、または20mgまでの用量である場合に適用される。最終医薬配合物中のエゼチミブのパーセンテージレベルは望みに応じて、例えば、医薬配合物の総重量に対して、それぞれ、50重量%未満、より適切には25重量%未満、特に約10重量%以下のレベル、または約5重量%のレベルの割合で適切に選択することができる。
【0042】
最終的に医療目的で用いられる医薬配合物は上述の様々な態様、好ましい実施形態および特定の特徴に記述されるエゼチミブの配合物のいずれか1つを含む。これに関連して、最終的に望まれる優勢な効果の大きさに依存して様々な技術を用いることができ、および選択することができることが注目される。特に、技術は、湿式造粒、造粒液が存在しないか、または乾式造粒に適する水性もしくは非水性賦形剤の限られた存在下での乾式造粒、流動床造粒または直接圧縮からなる群より好ましく選択することができる。処理には、適切には、ブリケッティングまたはスラッギング、ふるい分け、粉砕、配合、打錠および圧縮の1以上の工程が含まれ得る。直接圧縮も含まれ得る。上述のように、ここで開示される配合物は、造粒液を用いることのない古典的な乾式造粒または限られた量の水性(8重量%まで)もしくは非水性液体(10重量%まで)を一種の水分活性化として用いる改変乾式造粒;並びに固溶体形成および/または流動床造粒を含む有利で特に好ましい技術を可能にし、これらは、適切な溶解プロフィールを可能にしながら、それぞれエゼチミブを含有する錠剤のような単一単位投薬形態を形成する方法をより堅牢および経済的なものにする。
【0043】
処理時間および経費の減少のような乾式造粒の利点にもかかわらず、湿式造粒は一般的であり、産業において固体投薬形態を調製するのに広く用いられる。湿式造粒は、許容し得る固体投薬形態を得るのに必要な必要とされる流動および粘着特性を有する物質を提供する観点で、配合物中の、活性の、または賦形剤としての、様々な成分の物理的特徴と関連するあらゆる問題を克服するより多くの機会を有しているため、湿式造粒は乾式造粒および直接圧縮よりもしばしば好ましい。一般には、直接圧縮および乾式造粒では分離が潜在的な問題であり得るが、圧縮しようとする顆粒を構成する粒子のサイズおよび形状は湿式造粒法によってより容易に制御される。加えて、乾燥固体を湿式造粒するとき、結合剤「グルー」粒子が一緒であり、そのためこれらは凝集して球状顆粒となる。
【0044】
湿式造粒によってもたらされる明らかな処理の容易さにもかかわらず、多くの製造者は、特に低用量のエゼチミブが望ましい場合、錠剤を乾式造粒する機会を歓迎する。製造者が低用量エゼチミブ錠剤を乾式造粒によって調製することを可能にし、湿式造粒の時間および支出に加えて最終配合物中の活性主成分のより高い溶解度を回避する、技術および医薬配合物に対する産業におけるこの要求を満たすことが本発明の利点である。
【0045】
本発明による医薬配合物は、USP装置2を用い、配合物を37±0.5℃の0.1M塩酸1000ml中に入れて50rpmのパドル速度で試験して、配合物中のエプロサルタンの元の量に対して30分以内に30%を上回り、好ましくは40%を上回り、少なくとも60%という速度でさえもエゼチミブを放出することにより、有益な溶解プロフィールを達成することを可能にする。
【0046】
乾式造粒法においては、高圧下で粉末粒子を会合させる。配合物の成分は乾燥段階で圧縮する。圧縮単独によっては十分な結合力を達成することができない場合、これも乾燥状態で結合剤を添加する。初期圧縮段階は2つの方法の一方によって行うことができる。第1のものは、しばしばスラッギングまたはブリケッティングと呼ばれる、従来の錠剤プレスを用いる。配合物の成分は許容し得る特徴(硬度、脆弱性、重量、形状、崩壊、溶解)を有する錠剤を生成するのに必要な特質を有していないため、この段階で生成される錠剤(スラグまたはブリケット)は、特に外見および重量均一性に関して、許容し得る品質のものではない。従って、次にこれらのブリケットを破壊して顆粒状生成物を形成し、ふるい分けの後、これらを再度圧縮して満足のいく錠剤を得ることができる。この第2圧縮での配合物の圧縮性の容易さはブリケッティング段階で用いられる圧力に反比例することが立証されており、高圧でのブリケッティングは回避するべきであることが暗示される。
【0047】
乾式造粒法の独自の改変がエゼチミブ配合物に特に適することが見出された。従って、本発明者らの研究において、本発明者らは限定された量の水、水性液体または非水性液体およびさらなる任意の賦形剤を用いてエゼチミブ粉末の顆粒を開発した。この改変は、限定された量の水を用いる場合の湿気活性化乾式造粒(Moisture Activated Dry Granulation)(MADG)、または限定された量の非水性液体賦形剤、例えば、界面活性剤を用いる場合の非水性湿気活性化乾式造粒(Non−Aqueous Moisture Activated Dry Granulation)(NAMADG)で示される。エゼチミブの良好な溶解プロフィールを達成するのに有効なさらなる代替として、限定された量の水および限定された量の非水性液体賦形剤、例えば、界面活性剤の両者が有用であり、ここでは二重湿気活性化乾式造粒(Double Moisture Activated Dry Granulation)(DMADG)と命名される。DMADGの場合、水の非水性液体賦形剤に対する比は、好ましくは、1:4から4:1である。このような乾式造粒の特別に開発された改変は、流動性に劣り、不十分な圧縮特性を有し(特に、より高い薬物用量が望ましい場合)、および溶解度に劣る(依然として低用量配合物に関連する。)エゼチミブに非常に適するものになった。限定された量の液体賦形剤を吸収することが可能である調整可能な量の結合剤を添加することができる。成分は、必要に応じて高速ミキサーにおいて、液体賦形剤を添加した後の混合の時間を意味する、適切な湿式塊化時間(wet massing time)内で混合することができる。好ましい湿式塊化時間は10分まで、より好ましくは、2から5分である。伝統的な乾燥工程は有利に省略することができる。
【0048】
流動床造粒法は、気流中に微粒子を懸濁させ、流動床上に上から下へ液体を噴霧することを含む。スプレーの経路中の粒子は僅かに湿潤し、粘着性になる。これらの粘着性粒子は他の粒子と衝突し、これらと接着して顆粒を形成する。流動床造粒の2つの異なる様式が存在する:乾燥段階および湿潤段階。乾燥段階造粒において、粒子は僅かに湿潤して粘着性になり、互いに固着することのみを必要とする。造粒液は蒸発速度以下の速度で適用される。従って、過程全体を通して粒子は「乾燥」したままである。湿潤段階造粒においては、粒子は、互いに固着するのに十分な粘着性になる前に、著しく湿潤する必要がある。造粒液は、粒子が顆粒化するのに十分な湿気を構築するまで、蒸発速度を上回る速度で適用される。湿潤するときの粒子の特徴および用いられる造粒液のタイプはどちらの造粒様式が最も適切であるかを決定する。乾燥段階がより一般的ではあるが、湿潤段階造粒はより濃密な生成物を可能にする。流動床造粒は多孔性および有効表面積の開発に通常用いられ、従って、これらは活性主成分のより高い溶解度をもたらす。
【0049】
以下の実施例は単に本発明を説明するものであり、これらの実施例および変更に加えてこれらの等価物は本開示および添付の特許請求の範囲に照らして当業者に明らかになるため、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものと考えられるべきではない。図面において:
図1は、エゼチミブおよび賦形剤の異なる組み合わせの配合後の溶解プロフィールを、USP溶解試験装置2を用いて、0.01M HClおよび0.25% SDS(900ml)で示す。
図2は、約10μmのd(0.9)を有する、このようなものとしてのエゼチミブのSEMを示す。
図3は、配合後のエゼチミブおよびデンプンのSEMを示す。
図4は、配合後のエゼチミブおよびイソマルトのSEMを示す。
図5は、配合後のエゼチミブおよびラクトースのSEMを示す。
図6は、それぞれ、配合後の、ラクトースおよびデンプン(図6a)との、並びにイソマルトおよびデンプン(図6b)とのエゼチミブのSEMを示す。
図7は、エゼチミブを処理するための様々な技術および様々な機能的賦形剤(900ml)の使用の影響を示す。
図8は、技術に加えて特定の機能的賦形剤(500ml)の使用のさらなる影響要因を示す。
図9は、それぞれ、ポリエチレングリコール(図9a)およびポリビニルピロリドン(図9b)との固溶体中のエゼチミブのSEMを示す。
図10は、実施例10(500ml)において製造されるエゼチミブ錠剤の溶解プロフィールを示す。
図11は、エゼチミブおよび賦形剤の異なる組み合わせの配合、活性化および錠剤化後の溶解プロフィールを、USP溶解試験装置2を用いて、0.01M HClおよび0.25% SDS(500ml)で示す。
【0050】
図1に示されるように、エゼチミブと組み合わせようとする賦形剤の選択はエゼチミブの溶解プロフィールに有意に影響を及ぼす。粒状形態のエゼチミブとデンプンおよび糖類ラクトースまたはイソマルトとの組み合わせは、より低い適合性によって定義される他の組み合わせと比較して、溶解速度を著しく強化する。
【0051】
図2は、参考のための、このようなものとしての、即ち、他の活性成分が存在せず、および賦形剤と共粉砕されることのないエゼチミブの粒状構造および性質を示し、一方で図3から6は、これら自体粒状形態にある様々な選択された親水性賦形剤に吸着しているエゼチミブ粒子の形態の重要性を示す。
【0052】
図3に示されるように、エゼチミブとデンプンとの配合はエゼチミブの幾らかの凝集を生じる。しかしながら、図4に示されるように、エゼチミブをイソマルトと配合するとき、イソマルトの表面はエゼチミブの小粒子で実質的に覆われ、従って、一次粒子の存在に有利であり、および凝集粒子の形成の傾向が制御され、好ましくは、最小化される。図3に示されるデンプンの状況と比較すると、実質的により多量のエゼチミブ粒子がデンプンの表面上に存在する。
【0053】
同様に、図5はエゼチミブとラクトースとの配合の結果を示し、ここでもラクトースの表面はエゼチミブの小粒子によって実質的に覆われる。
【0054】
図6は、ここでは好ましい二糖類としてラクトースまたはイソマルトの特別な選択によって説明される、エゼチミブとデンプンおよび糖類との有益な組み合わせの結果を示す。示されるように、それぞれ賦形剤成分としてデンプンと組み合わせられるラクトースおよび/またはイソマルトは、イソマルトがエゼチミブを有するデンプンおよびエゼチミブ単独によって覆われるのに対して、ラクトースの表面がエゼチミブの小粒子によって覆われる効果に寄与することによって特に有益である。
【0055】
図7はエゼチミブ配合物の溶解プロフィールに対する様々な技術の影響および重要性を示す。示されるように、界面活性剤、特に、Tweenの包含は、特に、湿式造粒または、限られた量の液体賦形剤、即ち、限られた量の界面活性剤(Tween)および/または水の存在下で実施される、乾式造粒を用いる技術の適正な選択との組み合わせで、溶解速度を強化する。より高価で、経済的に劣る湿式造粒を回避する観点で、限られた量の液体賦形剤を用いる乾式造粒の条件が、許容し得る溶解特性と組み合わされた、堅牢で経済的に有益な技術を確立する。
【0056】
図8は、これも湿式造粒を迂回する観点での、技術および関連賦形剤の選択の影響および重要性のさらなる結果を示す。限られた量の液体賦形剤、例えば、界面活性剤および/または水の存在下での流動床造粒および乾式造粒のような技術によって許容し得る結果を得ることができることが示される。様々な技術および賦形剤の効果を明らかにするデータを下記表7からさらに示すことができる。
【0057】
図9は、ここでは賦形剤ポリエチレングリコール4000(図9a)およびポリビニルピロリドン(PVP K−25;図9b)の選択で図示される、適切な固溶体剤との固溶体中に存在するときのエゼチミブの適切な物理的状態を示す。溶解試験において示されているように、PEGおよびPVPは固溶体中に存在するエゼチミブの溶解度の増加に肯定的な影響を示す。従って、固溶体は湿潤造粒および他の技術に対する有用な代替法を提供する。さらに、適切な結合剤が粒子間の結合特性を強化し得ることがさらなる試験で示されている;例えば、ポリビニルアルコール(PVA)は、エゼチミブと好ましく組み合わせるのに適する結合剤として作用することが見出されている。
【0058】
図10は、限られた量の非水性液体賦形剤(Tween 80)を用いる乾式造粒技術によって得られているエゼチミブ錠剤の溶解プロフィールに関する優れた結果を示す。このタイプの技術を用いるさらなる研究において、非水性液体賦形剤は造粒に処される配合物の全量の10重量%までの濃度範囲、例えば、1から10重量%であるべきであることが見出された。優れた溶解特性および崩壊特性(≦5分)を伴う、活性化乾式造粒に対して選択された液体賦形剤としてTweenを含む錠剤の優れた結果は、2.5重量%のTween 80で達成された。
【0059】
図11は、限られた量の非水性液体賦形剤(Tween 80)の有無にかかわらず、限られた量の水を用いる乾式造粒技術によって得られているエゼチミブ錠剤の溶解プロフィールに関する優れた結果を示す。さらに、エゼチミブとの配合における様々な賦形剤の肯定的な効果が、特に、粒状糖類と配合するときに明らかとなり、これらの糖類には、特に配合はそれぞれデンプンと共に用いられるため、好ましくは噴霧乾燥のもの(SDタイプ)であるラクトース、またはイソマルトが含まれる。
【0060】
異なる例に記述される配合物サンプルの変化で実施された結果から推察することができる観察には以下が含まれる:
【0061】
本発明の好ましい実施形態は、少量の錠剤(例えば、20から250mg、好ましくは、50から150mg、とりわけ、100mgの標準サイズの錠剤サイズ)に圧縮することが可能である、自由流動性粘着性粉末および錠剤化顆粒の形態にあるエゼチミブ配合物を提供することが可能である。
【0062】
ここで開示されるエゼチミブ配合物は、許容し得る溶解プロフィールに加えて、許容し得る硬度(50から100N)および短い崩壊時間の間のチップ化に対する耐性を有する、単位投薬形態にある圧縮エゼチミブ錠剤を提供することを可能にする。
【0063】
ここで開示されるエゼチミブ配合物は、圧縮エゼチミブ錠剤を乾式造粒、湿気活性化乾式造粒(MADG)、非水性湿気活性化乾式造粒(NAMADG)、二重湿気活性化乾式造粒(DMADG)、湿式造粒または流動床造粒により単位投薬形態で、活性主成分の物理的または化学的変化なしに、調製するための方法を提供することをさらに促進する。
【0064】
エゼチミブをデンプンおよび糖類の異なる組み合わせ、特に、デンプン+ラクトースおよび/またはデンプン+イソマルトと混合することの、溶解プロフィールに対する肯定的な影響が確認された。
【0065】
Tweenおよびポロキサマーのような界面活性剤は、用いられるパーセンテージおよび技術に依存して、エゼチミブの溶解プロフィールにおける有意の変化を示した。
【0066】
特定の例は、それぞれ引き続いて蒸発させられるエタノールのような液体媒体中のPVP(ポビドン)、PEG−4000またはPEG−6000(ポリエチレングリコール)およびPVA(ポリビニルアルコール)を好ましい例として用いる、異なる量の適切な結合剤物質とのエゼチミブの固溶体配合物のより高い溶解度をも示した。
【実施例】
【0067】
(実施例1Aから1E)
微粉末化活性主成分の使用を基にして、第1に製造方法としての直接圧縮を調べた。ステアリン酸マグネシウムを除いて下記表1に示される活性物質およびすべての他の賦形剤の混合物を均質化し、ふるい掛けした(0.7mm)。次に、ステアリン酸マグネシウムを添加して均質に混合し、錠剤(質量100mg)に圧縮することを試みた。エゼチミブの非常に低い溶解度(水中に0.01mg/mL未満)および賦形剤と比較した活性主成分の低いパーセンテージ(10%)のため、最も一般的に用いられる賦形剤との異なる組み合わせでの直接圧縮は許容し得る溶解プロフィールをもたらさなかった(30分ですべての調べた溶解液中に放出されたAPIは80%未満)。
【0068】
【表1】
【0069】
(実施例2)
さらなる研究を、ブリケッティング工程を含む乾式造粒法により、エゼチミブおよび表2に一般的に列挙される賦形剤、即ち、具体的には、89.0%のラクトース(70から100メッシュまたはSD)、イソマルト、Avicel PH101(MCC)、ラクトース/デンプン(79/10)、イソマルト/デンプン(79/10)、Avicel PH101/デンプン(79/10)、ラクトース/デンプン/Avicel PH101(55/10/24)およびイソマルト/デンプン/Avicel PH101(55/10/24)で行った。すべての場合において、1%のステアリン酸マグネシウムを添加した。これらの成分(APIおよび賦形剤)を秤量し、実験用ブレンダー内で5分間配合した。次に、回転錠剤プレス(rotary tablet press)を制御された環境内で用いて、粉末の混合物をブリケットへの圧縮に用いた。その後、ブリケットを2.0mm、次いで1.2mmふるいを通して2回粉砕した。その後、外部賦形剤(ステアリン酸マグネシウム)を0.3mmふるいを通してふるい掛けし、顆粒に添加して1分間混合した。得られる最終配合物を、回転錠剤プレスを制御された環境内で用いて、錠剤に圧縮した。錠剤はカプセル型パンチを用いて100mgの圧縮重量で圧縮した。
【0070】
さらなるエゼチミブ錠剤研究のために選択された成分を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
高剪断ミキサー(Mi−PRO;500rpm)内での配合の後のエゼチミブおよび賦形剤の異なる組み合わせからの溶解プロフィールは図1におけるように示される。凡例は以下の通りである:ラクトース−ラクトース 70から100メッシュ;デンプン−トウモロコシデンプン;イソマルト−galenlQ721;MCC−Avicel PH102。図1に示されるように、粒状形態のエゼチミブと適切な糖類、とりわけ、デンプンおよび他の糖類の両者との組み合わせは、より低い適合性によって定義される他の組み合わせと比較して、溶解速度に影響を及ぼし、これを部分的に著しく強化する。他の糖類としてのラクトース、イソマルトまたは微結晶性セルロースと組み合わされたデンプンは溶解強化の点で有用である。
【0073】
図2においてはエゼチミブ単独の粒状構造および性質が参照のために示されるが、図3から6はこれら自体粒状形態で存在する様々な選択された親水性賦形剤に吸着しているエゼチミブ粒子の形態の重要性を示す。
【0074】
エゼチミブとデンプン単独の配合はエゼチミブの幾らかの凝集を生じる(図3)。ここではイソマルトで示される、粒状形態にある他の配合された親水性糖類賦形剤にエゼチミブを吸着させてこの表面を覆うとき、状況は改善される。実質的な量の、主として小(一次粒子でさえある。)の形態にあるエゼチミブ粒子が粒状イソマルトの表面上に存在し、エゼチミブ粒子凝集の傾向が制限される(例えば、図4を参照)。
【0075】
エゼチミブを別の糖類、ラクトースと配合するとき、エゼチミブの多数の小粒子の有益な接着会合に関する同様の結果が得られる(図5を参照)。
【0076】
さらなる改善が、図6に示されるエゼチミブとデンプンおよび他の糖類との組み合わせにより、エゼチミブとa)ラクトース/デンプンおよびb)イソマルト/デンプンとの配合の後に達成される。ラクトースの表面はエゼチミブの小粒子によって覆われ、一方でイソマルトはエゼチミブを伴うデンプンによって覆われる。
【0077】
さらに、溶解試験結果の点で、最終配合物におけるエゼチミブの凝集のレベルは重要な影響パラメータである。錠剤における凝集の高いパーセンテージは良好な溶解プロフィールの到達に有害である。エゼチミブを適切な量の親水性賦形剤、例えば、糖類、特に、イソマルトおよび/またはラクトースと配合することは、表面に接着した状態のエゼチミブの被覆に助力し、それにより高率の小粒子、特に、一次粒子を維持する。さらに、適切な結合剤の網構造との組み合わせ、特に、デンプンとの組み合わせは、可能性のある凝集体を小エゼチミブ粒子に破壊する手助けをするものと推測される。
【0078】
(実施例3Aおよび3B)
次の工程は、図3に示される、前の実施例における最も見込みのある賦形剤の幾つかと組み合わされた、水またはエタノールを造粒液として用いる湿式造粒であった。
【0079】
【表3】
【0080】
湿式造粒における造粒液としての精製水またはエタノールの使用は、質量の均一性(RSD≧2%)に加えてエゼチミブの凝集および分離に関する重大な問題をもたらす。
【0081】
(実施例4Aから4C、実施例5Aおよび5B、並びに実施例6Aから6D)
従って、湿気活性化乾式造粒(MADG)の概念における造粒液の制限を試験の次工程において用いた。実施例4から6について、MADGの成分および変化をそれぞれ表4から6に示す。
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】
MADG法においては、結合剤を薬物に加えて充填剤と配合し、少量の水(4%まで)およびTween(5%まで)を添加した後、この混合物を完全に配合した。用いられる場合には、微結晶性セルロース(MCC)および/または湿気を吸収することができるより小さい成分を次に添加し、存在する少量の湿気を吸収させた。伝統的な乾燥工程は含めなかった。加えて、崩壊剤を添加して配合した。これらのサンプルを2回ふるい掛け(0.7mm)した後、実験用ブレンダーで1分間、ステアリン酸マグネシウム(0.3mm)およびアエロジルの混合物と配合した。
【0086】
MADG法の最中の微結晶性セルロース(PH200LMではない。)、ラクトース、デンプン、tweenおよびイソマルトと少量の他の賦形剤との組み合わせは、直接圧縮、乾式造粒および湿式造粒用の混合物と比較して、溶解プロフィールを著しく改善した。他方、異なる流動促進剤および潤滑剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムの混合物はエゼチミブの溶解に対する肯定的な効果を示さなかった。その上、異なる特徴(粒子サイズ、流動性、圧縮性、溶解度、空隙率)を有するラクトースは、錠剤化過程の最中の粉末の流動性および圧縮性における極端な変化に加えて、ラクトースの表面を被覆して混合物を結合させるエゼチミブの親和性における変化を示した。球状性および粒子サイズは錠剤混合物の圧縮性の手助けをする。これは、効率的な配合および優れた流動につながる、粒子間摩擦が大幅に低下した混合物を生じる。良好な流動性は錠剤重量および硬度における変動を減少させる。技術および溶解の観点からの最良の結果はラクトース一水和物70から100メッシュおよび噴霧乾燥ラクトースでのものであった。
【0087】
デンプンと組み合わされたラクトースおよび/またはイソマルトは錠剤の圧縮性(10から20%)に対して著しい影響を有する。さらに、これら2種類の賦形剤で溶解プロフィールが有意に改善される。さらなる観察として、錠剤化過程の最中での流動促進剤および潤滑剤とイソマルト(GalenlQ721(商標))またはラクトースとの組み合わせは、デンプンおよび粘着性粉末、例えば、エゼチミブを含む粉末の流動性を有意に改善する(≧1.5g/s;安息角30から40°)。
【0088】
実施例6(表6)により、溶解プロフィールに対する異なる技術(MADGおよび湿式造粒)の影響に加えて、Tween80およびKlucel EXFの影響をさらに調べた。Tweenおよび湿式造粒はエゼチミブの溶解プロフィール対して有意の影響を有する(図7を参照)。図7に示される試験の詳細な条件は:6A−Tweenを伴うMADG(2.5%の水);5Bから5Aと同じ配合物であるが、湿式造粒;5C−TweenなしのMADG;5D−TweenおよびKlucel EXFなしのMADG。
【0089】
(実施例7Aから7D)
前の実施例の結果を基にして、溶解プロフィールの改善およびエゼチミブ溶解度の刺激因子の観点でさらなる変動を調べた。湿式造粒および流動床造粒をこれらのさらなる研究において単独で、またはMADGもしくは固溶体形成との組み合わせで用いた。成分および技術を表7にまとめる。
【0090】
【表7】
【0091】
エゼチミブ、MCC、ラクトースまたはイソマルト、デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ポロキサマーおよびklucelを高剪断ミキサーまたは流動床造粒機において混合し、tweenを含む水をノズル(MADG)またはスプレーノズル(流動床)を通して添加した。MADGにおいては、造粒部の後にavicel、aerosilおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、ふるい掛け(0.7mm)の後、混合物を錠剤形態に圧縮した。流動床造粒においては、水/tweenの噴霧の終了後、塊を2%未満の湿気まで乾燥させ、2回ふるい掛けした(1mmおよび0.7mm)。ステアリン酸マグネシウムを添加し、最後に配合した。回転錠剤プレスを制御された環境において用いて、得られる最終配合物を錠剤に圧縮した。
【0092】
溶解プロフィールに対する技術の変化並びに特別な成分およびこれらの量、例えば、Tween、ポロキサマーおよびavicel PH200LMの影響を図8に示す。
【0093】
結果によると、流動床造粒並びに限られた量の液体賦形剤、例えば、界面活性剤および/または水の存在下での乾式造粒は許容し得る溶解プロフィールを導く。Avicel PH200LMがMADG法または「ハードパスタ(hard pasta)」造粒(湿式造粒工程の最中に40から50%の水)により良好に用いられることが見出された。
【0094】
(実施例8Aから8C)
表8に要約されるように、異なる処理技術の使用および賦形剤の変化をさらに調べた。
【0095】
【表8】
【0096】
実施例8Aおよび8Cにおいては、エゼチミブをエタノールに溶解(エタノール中250mg/mL)した後、ノズルを通して賦形剤の表面に噴霧した。成分を秤量し、実験用ブレンダー内で5分間配合した。次に、粉末の混合物(内部)にエゼチミブ/エタノールまたはエゼチミブ/SDS/Ca−ケイ酸塩/エタノールで製造される溶液を噴霧した。その後、混合物を乾燥させ;ふるい掛けし(0.7mm、2回)、外部賦形剤を添加した。回転錠剤プレスを制御された環境において用いて、得られる最終配合物を錠剤に圧縮した。
【0097】
ケイ酸カルシウム、ドデシル硫酸ナトリウムおよびエタノールの使用は造粒過程の最中のエゼチミブの凝集の防止の強化をもたらし、最終錠剤をより多孔性にした。
【0098】
実施例8Bに記述される手順の最中、まず第1に内部賦形剤およびエゼチミブを高剪断ミキサー内で配合し、次にtweenに加えて精製水を添加した。乾燥質量に対する算出で約40から45%の水を添加した後、本発明者らはエゼチミブのパスタを得た。過剰量の水を取るためにAvicel PH200LMおよびイソマルトが添加されており、この混合物は流動床における3%の湿気までの乾燥工程の準備ができていた。その後、混合物を乾燥させ;ふるい掛けし(0.7mm、2回)、潤滑剤および流動促進剤を添加した。
【0099】
溶解プロフィールに対する肯定的な効果の観点で、さらなる研究を行った。
【0100】
(実施例9Aから9C)
次の段階において固溶体を調べた。
【0101】
【表9】
【0102】
エゼチミブおよび固溶体剤をエタノールに単純に溶解した後、高温(45から50℃)で溶媒を蒸発させた。エタノールの蒸発の後、本発明者らはPEGおよびPVP中のエゼチミブの固溶体を得た。PVAは粒子間の強力な結合性を生じた。
【0103】
ここでは賦形剤ポリエチレングリコール4000(図9a)およびポリビニルピロリドン(PVP K−25;図9b)の選択で示される適切な固溶体剤を用いて、固溶体の状態のエゼチミブの物理状態が確認された。従って、固溶体は湿式造粒および他の技術の有用な代替法を提供する。さらに、適切な結合剤がエゼチミブ粒子間の結合特性を強化できることをさらなる試験が示している;例えば、ポリビニルアルコール(PVA)はエゼチミブと好ましく組み合わされる適切な結合剤として作用することが見出されている。
【0104】
適切な固溶体剤、ここではPEGおよびPVPでの固溶体の形成はエゼチミブの溶解度の増加に対する肯定的な影響を示している。
【0105】
(実施例10Aおよび10B)
固溶体の形成をさらなる研究において用い、湿式造粒と比較した。実験の構成を下記表10にまとめる。
【0106】
【表10】
【0107】
湿式造粒は他のサンプルについて記述されるものと同じ方法で、同じ技術を用いて行った。研究のこの部分によると固溶体流動化が興味深い。Texaponeを水に溶解し、エゼチミブ/PVPをエタノールに溶解した。デンプン、ラクトース、クロスカルメロースナトリウムおよびクロスポビドンを配合した後、texaponeの溶液を賦形剤に噴霧した。次の工程は、流動床における、賦形剤に活性溶液を噴霧した後の流動床造粒機内での乾燥であった。顆粒の湿気は1.5%未満であることに注意を払った。次に、0.7mmふるいを通して塊を2回ふるい掛けした。最終混合物を外部成分と配合し、錠剤を調製した。
【0108】
溶解プロフィールは固溶体(実施例9)の結果に類似していたが、下記実施例11に記述されるように、界面活性剤および造粒剤としてのTween80を用いる非水性湿気活性化乾式造粒(NAMAGD)によって改善することができた。
【0109】
(実施例11)
1.0から10.0%(w/w)のTween80含有率で研究を行った。これらのTween含有率の選択は、2.0から4.0%の含水率を用いたMADGモデルのための前の実験に基づくものであった。錠剤の最良の品質に加えて崩壊特性(≦5分)が2.5%のTween80で達成された。
【0110】
【表11】
【0111】
ラクトースSDおよびデンプンを最初に単独で配合した後、エゼチミブと配合した。ふるい0.7mmを通して混合物をふるい掛けし、崩壊剤を添加して混合した。活性主成分を含む賦形剤にTweenを噴霧した。高剪断混合およびチップ化を用いて造粒を行った。顆粒を2回ふるい掛けした(0.7mm)。klucel、aerosilおよびステアリン酸マグネシウムを添加した後、錠剤化のために塊を調製した。この非常に単純で、経済的で、堅牢なサンプルの溶解プロフィールは良好であった(図10)。ラクトース、デンプンおよびtweenの肯定的な影響はエゼチミブの非常に良好な溶解プロフィールに及ぶことが確認された。
【0112】
(実施例12)
MADGおよびNAMADGを用いる実験に基づき、DMADGと命名される、限られた量の水および限られた量の非水性液体賦形剤(界面活性剤としてのTween80で試験)の組み合わせで代替研究を行った。
【0113】
【表12】
【0114】
ラクトースSDおよびデンプンを最初に単独で配合した後、エゼチミブと配合し、3分後に崩壊剤を添加してさらに1分間混合した。最初に、活性主成分を含む賦形剤に水を噴霧し、親水性化合物およびAPIの間の結合剤を強力にした。第2の活性化は賦形剤および活性主成分の水活性化混合物にTweenを噴霧することによって行った。高剪断混合およびチップ化(200から250rpmで3分間)で造粒を行った。顆粒をふるい掛けした(0.7mm)。klucel、aerosilおよびステアリン酸マグネシウムを添加した後、錠剤化のために塊を調製した。この非常に単純で、経済的で、堅牢なサンプルの溶解プロフィールは許容し得るものであり、第1点(5分)においては図10に示される結果よりも良好ですらあった。
【0115】
(実施例13)
この実施例においては、APIと配合した後の親水性賦形剤の肯定的な影響を試験し、最終圧縮錠剤においても確認した。噴霧乾燥ラクトースまたはイソマルトを粒状糖類賦形剤として用いた。さらに、限られた量の非水性液体賦形剤(界面活性剤としてのTween80)によるさらなる活性化の有無にかかわらず、乾式造粒の湿気活性化のための限られた量の水を試験した。
【0116】
造粒手順は実施例11および12に用いたものに類似する。
【0117】
【表13】
【0118】
実施例13Aから13Hのすべては非常に簡単で、経済的で、堅牢なサンプルを提供した。図11に示されるように、溶解プロフィールに関する良好な結果が達成された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次粒子の形態にあるエゼチミブおよび、これに吸着する前記エゼチミブ粒子を有する粒状形態にある親水性賦形剤を含む、エゼチミブの配合物。
【請求項2】
親水性賦形剤が糖類、好ましくは、単糖類または二糖類である、請求項1に記載のエゼチミブの配合物。
【請求項3】
少なくとも2つのタイプの親水性賦形剤と組み合わされているエゼチミブを含むエゼチミブの配合物であって、親水性賦形剤の一方のタイプがデンプンであり、ならびに親水性賦形剤の他方のタイプが単糖類、二糖類およびセルロース物質から選択される糖類である配合物。
【請求項4】
糖類がラクトースおよびイソマルトから選択される、請求項2または3に記載のエゼチミブの配合物。
【請求項5】
8重量%まで、好ましくは6重量%まで、より好ましくは4重量%までの水もしくは水性液体と、および/または10重量%まで、好ましくは1から10重量%未満の、液体物質から選択される非水性賦形剤と混合して造粒される、エゼチミブを含むエゼチミブの配合物。
【請求項6】
非水性賦形剤が、好ましくは非イオン型の、液体界面活性剤;液体ポリエチレングリコール;液体パラフィン;プロピレングリコール;少なくとも8個の炭素原子を有する液体脂肪アルコール;液体トリグリセリドまたは油;液体ワックス;液体ポリエトキシル化脂肪酸;液体PEGグリセロール脂肪酸エステル;並びにポリエチレングリコールおよびアルキルアルコールの液体エーテルから選択され;好ましくは、ポリソルベート、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、液体パラフィンおよびプロピレングリコールからなる群より選択される、請求項5に記載の配合物。
【請求項7】
固溶体中で固溶体剤と混合されたエゼチミブを含むエゼチミブの配合物。
【請求項8】
固溶体剤がポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンから選択される、請求項7に記載の配合物。
【請求項9】
微結晶性セルロース、ラクトース、イソマルト、マンニトール、ソルビトール、デンプン、リン酸カルシウム、カルシウムまたはナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、酢酸セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、デキストラン、デキストリン、グルコース、エチルセルロース、フラクトース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ラクチトール、炭酸マグネシウム、マルトデキストリン、マルトース、メチルセルロース、ポリデキストロース、α化デンプン、ゼインおよびケイ酸カルシウムから選択され、好ましくは、固体ポリエチレングリコール、イソマルト、微結晶性セルロース、マンニトールおよびラクトースから選択される固体賦形剤をさらに含み、好ましくは、少なくともデンプン、ラクトース、イソマルト、PEG、PVPおよびTween、必要に応じて、さらにクロスカルメロースナトリウムを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項10】
エゼチミブ粒子が40μm以下の粒子サイズd(0.9)、好ましくは、25μm以下のd(0.9)を有し、および/または前記粒状親水性賦形剤がエゼチミブ粒子よりも比較的大きい平均粒子サイズを有し、好ましくは、前記粒状親水性賦形剤が10から400μmの平均粒子サイズを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のエゼチミブの配合物。
【請求項11】
エゼチミブの配合物を製造するための方法であって、造粒液が存在しない状態での、または8重量%までの限られた量の水もしくは水性液体の存在下での、および/または10重量%までの限られた量の非水性液体の存在下での乾式造粒を用いるか、またはエゼチミブの固溶体形成を用いる方法。
【請求項12】
好ましくは非イオン型の、液体界面活性剤;液体ポリエチレングリコール;液体パラフィン;プロピレングリコール;少なくとも8個の炭素原子を有する液体脂肪アルコール;液体トリグリセリドまたは油;液体ワックス;液体ポリエトキシル化脂肪酸;液体PEGグリセロール脂肪酸エステル;並びにポリエチレングリコールおよびアルキルアルコールの液体エーテルから選択され;好ましくは、ポリソルベート、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、液体パラフィンおよびプロピレングリコールからなる群より選択される、限られた量の非水性液体の存在下で乾式造粒を行う、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載のエゼチミブの配合物を含むか、または請求項11または12に記載の方法によって得られるエゼチミブの配合物を含む医薬配合物。
【請求項14】
USP装置2を用い、配合物を37±0.5℃の0.1M塩酸1000mlに入れ、50rpmのパドル速度を用いる試験で、配合物中のエプロサルタンの元の量に対して、30分以内に30%を上回り、好ましくは40%を上回り、より好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも60%の速度でエゼチミブを放出することによる溶解プロフィールを有する、請求項13に記載の医薬配合物。
【請求項15】
コレステロール関連疾患の予防または治療において用いるための、請求項1から10のいずれかに記載の配合物、または請求項13もしくは14に記載の医薬配合物。
【請求項1】
一次粒子の形態にあるエゼチミブおよび、これに吸着する前記エゼチミブ粒子を有する粒状形態にある親水性賦形剤を含む、エゼチミブの配合物。
【請求項2】
親水性賦形剤が糖類、好ましくは、単糖類または二糖類である、請求項1に記載のエゼチミブの配合物。
【請求項3】
少なくとも2つのタイプの親水性賦形剤と組み合わされているエゼチミブを含むエゼチミブの配合物であって、親水性賦形剤の一方のタイプがデンプンであり、ならびに親水性賦形剤の他方のタイプが単糖類、二糖類およびセルロース物質から選択される糖類である配合物。
【請求項4】
糖類がラクトースおよびイソマルトから選択される、請求項2または3に記載のエゼチミブの配合物。
【請求項5】
8重量%まで、好ましくは6重量%まで、より好ましくは4重量%までの水もしくは水性液体と、および/または10重量%まで、好ましくは1から10重量%未満の、液体物質から選択される非水性賦形剤と混合して造粒される、エゼチミブを含むエゼチミブの配合物。
【請求項6】
非水性賦形剤が、好ましくは非イオン型の、液体界面活性剤;液体ポリエチレングリコール;液体パラフィン;プロピレングリコール;少なくとも8個の炭素原子を有する液体脂肪アルコール;液体トリグリセリドまたは油;液体ワックス;液体ポリエトキシル化脂肪酸;液体PEGグリセロール脂肪酸エステル;並びにポリエチレングリコールおよびアルキルアルコールの液体エーテルから選択され;好ましくは、ポリソルベート、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、液体パラフィンおよびプロピレングリコールからなる群より選択される、請求項5に記載の配合物。
【請求項7】
固溶体中で固溶体剤と混合されたエゼチミブを含むエゼチミブの配合物。
【請求項8】
固溶体剤がポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンから選択される、請求項7に記載の配合物。
【請求項9】
微結晶性セルロース、ラクトース、イソマルト、マンニトール、ソルビトール、デンプン、リン酸カルシウム、カルシウムまたはナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、酢酸セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、デキストラン、デキストリン、グルコース、エチルセルロース、フラクトース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ラクチトール、炭酸マグネシウム、マルトデキストリン、マルトース、メチルセルロース、ポリデキストロース、α化デンプン、ゼインおよびケイ酸カルシウムから選択され、好ましくは、固体ポリエチレングリコール、イソマルト、微結晶性セルロース、マンニトールおよびラクトースから選択される固体賦形剤をさらに含み、好ましくは、少なくともデンプン、ラクトース、イソマルト、PEG、PVPおよびTween、必要に応じて、さらにクロスカルメロースナトリウムを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の配合物。
【請求項10】
エゼチミブ粒子が40μm以下の粒子サイズd(0.9)、好ましくは、25μm以下のd(0.9)を有し、および/または前記粒状親水性賦形剤がエゼチミブ粒子よりも比較的大きい平均粒子サイズを有し、好ましくは、前記粒状親水性賦形剤が10から400μmの平均粒子サイズを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のエゼチミブの配合物。
【請求項11】
エゼチミブの配合物を製造するための方法であって、造粒液が存在しない状態での、または8重量%までの限られた量の水もしくは水性液体の存在下での、および/または10重量%までの限られた量の非水性液体の存在下での乾式造粒を用いるか、またはエゼチミブの固溶体形成を用いる方法。
【請求項12】
好ましくは非イオン型の、液体界面活性剤;液体ポリエチレングリコール;液体パラフィン;プロピレングリコール;少なくとも8個の炭素原子を有する液体脂肪アルコール;液体トリグリセリドまたは油;液体ワックス;液体ポリエトキシル化脂肪酸;液体PEGグリセロール脂肪酸エステル;並びにポリエチレングリコールおよびアルキルアルコールの液体エーテルから選択され;好ましくは、ポリソルベート、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、液体パラフィンおよびプロピレングリコールからなる群より選択される、限られた量の非水性液体の存在下で乾式造粒を行う、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載のエゼチミブの配合物を含むか、または請求項11または12に記載の方法によって得られるエゼチミブの配合物を含む医薬配合物。
【請求項14】
USP装置2を用い、配合物を37±0.5℃の0.1M塩酸1000mlに入れ、50rpmのパドル速度を用いる試験で、配合物中のエプロサルタンの元の量に対して、30分以内に30%を上回り、好ましくは40%を上回り、より好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも60%の速度でエゼチミブを放出することによる溶解プロフィールを有する、請求項13に記載の医薬配合物。
【請求項15】
コレステロール関連疾患の予防または治療において用いるための、請求項1から10のいずれかに記載の配合物、または請求項13もしくは14に記載の医薬配合物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−504155(P2012−504155A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529529(P2011−529529)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062575
【国際公開番号】WO2010/037728
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(504359293)レツク・フアーマシユーテイカルズ・デー・デー (60)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062575
【国際公開番号】WO2010/037728
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(504359293)レツク・フアーマシユーテイカルズ・デー・デー (60)
【Fターム(参考)】
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