説明

エチルセルロース樹脂組成物、成形体及び電気電子機器用筺体

【課題】耐熱性及び力学的強度に優れ、成形加工に適したエチルセルロース樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】エトキシ基の含有率が少なくとも40質量%で、数平均分子量が30000以上であるエチルセルロースを含有するエチルセルロース樹脂組成物であって、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機塩を含有し、前記無機塩の含有量が0.1〜50質量%である、エチルセルロース樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチルセルロース樹脂組成物、成形体及び電気電子機器用筺体に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンター等の電気電子機器を構成する部材には、その部材に求められる特性、機能等を考慮して、各種の素材が使用されている。例えば、電気電子機器の駆動機等を収納し、当該駆動機を保護する役割を果たす部材(筺体)にはPC(Polycarbonate)、ABS(Acrylonitrile-butadiene-styrene)樹脂、PC/ABS等が一般的に多量に使用されている(特許文献1)。これらの樹脂は、石油を原料として得られる化合物を反応させて製造されている。
【0003】
ところで、石油、石炭、天然ガス等の化石資源は、長年月の間、地中に固定されてきた炭素を主成分とするものである。このような化石資源、または化石資源を原料とする製品を燃焼させて、二酸化炭素が大気中に放出された場合には、本来、大気中に存在せずに地中深くに固定されていた炭素を二酸化炭素として急激に放出することになり、大気中の二酸化炭素が大きく増加し、これが地球温暖化の原因となっている。したがって、化石資源である石油を原料とするABS、PC等のポリマーは、電気電子機器用部材の素材としては、優れた特性を有するものであるものの、化石資源である石油を原料とするものであるため、地球温暖化の防止の観点からは、その使用量の低減が望ましい。
【0004】
一方、植物由来の樹脂は、元々、植物が大気中の二酸化炭素と水とを原料として光合成反応によって生成したものである。そのため、植物由来の樹脂を焼却して二酸化炭素が発生しても、その二酸化炭素は元々、大気中にあった二酸化炭素に相当するものであるから、大気中の二酸化炭素の収支はプラスマイナスゼロとなり、結局、大気中のCO2の総量を増加させない、という考え方がある。このような考えから、植物由来の樹脂は、いわゆる「カーボンニュートラル」な材料と称されている。石油由来の樹脂に代わって、カーボンニュートラルな材料を用いることは、近年の地球温暖化を防止する上で急務となっている。
【0005】
このため、PCポリマーにおいて、石油由来の原料の一部としてデンプン等の植物由来資源を使用することにより石油由来資源を低減する方法が提案されている(特許文献2)。しかし、より完全なカーボンニュートラルな材料を目指す観点から、さらなる改良が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭56−55425号公報
【特許文献2】特開2008−24919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、カーボンニュートラルな樹脂として、エチルセルロースを使用することを検討した。しかし、このエチルセルロースは脆性材料であるため成形加工ができない場合があった。また、エチルセルロースは、本来は剛性及び耐衝撃性に優れた性質を有するものの、高温下で分子量低下を起こしやすいため、加熱溶融時に樹脂が劣化し、成型体において所望の力学的強度が得られないという問題もあった。
そこで、本発明の目的は、耐熱性及び力学的強度に優れ、成形加工に適したエチルセルロース樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者による検討の結果、特定のエチルセルロースと特定の無機塩を配合することにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は以下の手段により達成することができる。
(1)エトキシ基の含有率が少なくとも40質量%で、数平均分子量が30000以上であるエチルセルロースを含有するエチルセルロース樹脂組成物であって、
アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機塩を含有し、前記無機塩の含有量が0.1〜50質量%である、エチルセルロース樹脂組成物。
(2)前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機塩がカルシウム又はマグネシウムを含む無機塩である、上記(1)に記載のエチルセルロース樹脂組成物。
(3)前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機塩が炭酸カルシウム及び珪酸マグネシウムのいずれかである、上記(1)又は(2)に記載のエチルセルロース樹脂組成物。
(4)酸化防止剤を2〜15質量%含有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエチルセルロース樹脂組成物。
(5)前記酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤である、上記(4)に記載のエチルセルロース樹脂組成物。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のエチルセルロース樹脂組成物を成形して得られる成形体。
(7)上記(6)に記載の成形体から構成される電気電子機器用筺体。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエチルセルロース樹脂組成物は、成形加工に適しており、また、高温下における分子量の低下が抑制されているため耐熱性に優れ、力学的強度にも優れている。また、本発明のエチルセルロース樹脂組成物によれば、成型体の着色を抑制することができ、剛性(特に、曲げ弾性率)を向上させることができる。
さらに、本発明のエチルセルロース樹脂組成物によって形成された成形体は、良好な耐熱性、機械強度等を有しており、電気電子機器の内装または外装部品、自動車、機械部品、住宅・建築用材料として好適に使用することができる。また、植物由来の樹脂により形成されているため、温暖化防止に貢献できる素材として、従来の石油由来の樹脂に代替できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係るエチルセルロース樹脂組成物は、エトキシ基の含有率が少なくとも40質量%で、数平均分子量が30000以上であるエチルセルロースを含有する。
本発明において、エチルセルロースとは、セルロース{(C10)n}の置換可能な3つの水酸基(すなわち、β−グルコース中の2位、3位、及び6位の水酸基)の大部分が、エトキシ基によって置換されたものを意味する。
【0011】
エチルセルロースにおけるエトキシ基の含有率は、40質量%以上である。好ましくは43質量%以上であり、より好ましくは45質量%以上である。エトキシ基の含有率が40質量%未満であると熱可塑性が損なわれ、成形材料として用いることができない。なお、エトキシ基の含有率の上限は特に限定されないが、理論上54質量%程度であり、好ましくは52質量%である。
【0012】
また、エチルセルロースの数平均分子量(Mn)は、30000以上である。好ましくは40000以上であり、より好ましくは50000以上である。数平均分子量が30000未満では成形物として十分な強度が得られない。数平均分子量の上限は特に限定されないが、500000程度であり、好ましくは300000であり、より好ましくは200000である。
なお、エチルセルロースの重量平均分子量(Mw)としては、60000〜1000000であることが好ましく、80000〜600000であることがより好ましい。
【0013】
エチルセルロースは、エトキシ基含有率及び数平均分子量が前記範囲を満たすものであれば、市販品を利用してもよいし、合成物であってもよい。
市販品としては、例えば、ダウ・ケミカル日本(株)社製のエトセルSTD20 エトセルSTD45Ind エトセルSTD100Ind エトセルSTD200Ind エトセルSTD300Ind、エトセルMED70Ind等、HERCULES社製のAQUALON-K、AQUALON-N、AQUALON-T、AQUALON-X等が挙げられる。
【0014】
また、エチルセルロースの合成物を利用する場合は、セルロースを原料としてクロロエタンを用いてエトキシ化する方法等により、合成物が得られる。原料であるセルロースとしては、例えば、綿、リンター、パルプ等から得られる。具体的な製造条件等は、例えば、「セルロースの事典」(朝倉書店、2000年)等に記載の方法に従うことができる。
【0015】
エチルセルロースの樹脂組成物中の含有量は、40〜99.9質量%であることが好ましく、50〜99質量%であることがより好ましく、60〜90質量%であることがさらに好ましい。
【0016】
また、本発明に係るエチルセルロース樹脂組成物は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機塩を含有する。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機塩の含有量は、樹脂組成物全体の質量に対して、0.1〜50質量%であり、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは10〜20質量%である。
前述のように、エチルセルロースは加熱溶融時に分子量の低下を起こしやすい。これは分子内に微小量残留するカルボン酸イオンの影響であると考えられる。これに対し、本発明では、樹脂組成物にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機塩を0.1質量%以上配合していることで、成型時の分子量低下を抑制することができる。これは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属に由来する金属イオンがカルボン酸イオンに配位することにより、カルボン酸イオンを起点とした樹脂の分解が抑制されるためと考えられる。さらにアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有する無機物を添加することにより補強材としての効果も得ることができ、剛性(特に、曲げ弾性率)を向上させることもできる。
また、前記無機塩を50質量%以下とすることにより植物由来度を向上させることができる。
【0017】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のハロゲン化物、水酸化物、酸化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。好ましくは、カルシウム又はマグネシウムを含む無機塩であり、より好ましくは、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化マグネシウムであり、最も好ましくは、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウムである。
なお、本発明に用いる無機塩としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機塩を主成分とする天然物(例えば、タルク等)を使用しても良い。
【0018】
また、本発明に係るエチルセルロース樹脂組成物は、酸化防止剤を含有することが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられ、好ましくは、フェノール系酸化防止剤である。
フェノール系酸化防止剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガノックス1010、イルガノックス1076、イルガノックス3114等を好適に使用できる。
【0019】
酸化防止剤の含有量は、樹脂組成物全体の質量に対して、2〜15質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましく、5〜10質量%であることがさらに好ましい。
酸化防止剤は、0.01〜0.5質量%程度使用されるのが通常であるが、本発明の好ましい態様においては、前述のように過剰量添加される。これは以下のような理由によるものである。
エチルセルロースは、一般に高い配向性を有していることから、射出成形において樹脂が流れる方向にエチルセルロース分子が並ぶ特徴を有する。このため、配向方向には高い剛性を発現することができるが、配向に対して垂直方向においてはその強度が低下する場合がある。
これに対し、エチルセルロース樹脂組成物に上記のように酸化防止剤を2質量%以上配合することにより、樹脂の配向を抑制することができ、強度が均一な成型体を得ることができる。また、空気下での樹脂の熱分解温度を向上させることができる。
【0020】
本発明に係るエチルセルロース樹脂組成物は、前述の成分のほかに、目的に応じて各種の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、フィラー(強化材)、難燃剤、エチルセルロース以外のポリマー、可塑剤、紫外線吸収剤、離型剤、帯電防止剤、難燃助剤、加工助剤、ドリップ防止剤、抗菌剤、防カビ剤、着色剤等が挙げられる。
【0021】
本発明の樹脂組成物はフィラー(強化材)を含有することができる。フィラーを含有することにより、樹脂組成物によって形成される成形体の機械的特性を強化することができる。
【0022】
フィラーとしては、常用のものを使用できる。フィラーの形状は、繊維状、板状、粒状、粉末状等いずれでもよい。また、無機物でも有機物でもよい。
具体的には、無機フィラーとしては、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維および硼素繊維等の繊維状の無機フィラーや;ガラスフレーク、非膨潤性雲母、カーボンブラック、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト、白土等の板状や粒状の無機フィラーが挙げられる。
【0023】
有機フィラーとしては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維等の合成繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、マニラ麻、亜麻、リネン、絹、ウール等の天然繊維、微結晶セルロース、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙等から得られる繊維状の有機フィラーや、有機顔料等の粒状の有機フィラーが挙げられる。
【0024】
本発明の樹脂組成物がフィラーを含有する場合、その含有量は限定的でないが、エチルセルロース100質量部に対して、通常30質量部程度以下、好ましくは5〜10質量部程度とすればよい。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、難燃剤を含有することができる。これによって、その燃焼速度の低下または抑制といった難燃効果を向上させることができる。
難燃剤は、特に限定されず、常用のものを用いることができる。例えば、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン含有難燃剤、ケイ素含有難燃剤、窒素化合物系難燃剤、無機系難燃剤等が挙げられる。これらの中でも、樹脂との複合時や成形加工時に熱分解してハロゲン化水素が発生して加工機械や金型を腐食させたり、作業環境を悪化させたりすることがなく、また、焼却廃棄時にハロゲンが気散したり、分解してダイオキシン類等の有害物質の発生等によって環境に悪影響を与える可能性が少ないことから、リン含有難燃剤およびケイ素含有難燃剤が好ましい。
【0026】
リン含有難燃剤としては、特に限定されることはなく、常用のものを用いることができる。例えば、リン酸エステル、リン酸縮合エステル、ポリリン酸塩などの有機リン系化合物が挙げられる。
【0027】
リン酸エステルの具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチルなどを挙げることができる。
【0028】
リン酸縮合エステルとしては、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物などの芳香族リン酸縮合エステル等を挙げることができる。
【0029】
また、リン酸、ポリリン酸と周期律表1族〜14族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンとの塩からなるポリリン酸塩を挙げることもできる。ポリリン酸塩の代表的な塩として、金属塩としてリチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、鉄(II)塩、鉄(III)塩、アルミニウム塩など、脂肪族アミン塩としてメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチレンジアミン塩、ピペラジン塩などがあり、芳香族アミン塩としてはピリジン塩、トリアジン等が挙げられる。
【0030】
また、前記以外にも、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート)などの含ハロゲンリン酸エステル、また、リン原子と窒素原子が二重結合で結ばれた構造を有するホスファゼン化合物、リン酸エステルアミドを挙げることができる。
これらのリン含有難燃剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
ケイ素含有難燃剤としては、二次元または三次元構造の有機ケイ素化合物、ポリジメチルシロキサン、またはポリジメチルシロキサンの側鎖または末端のメチル基が、水素原子、置換または非置換の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基で置換または修飾されたもの、いわゆるシリコーンオイル、または変性シリコーンオイルが挙げられる。
【0032】
置換または非置換の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基、カルボキシル基、メルカプト基、クロロアルキル基、アルキル高級アルコールエステル基、アルコール基、アラルキル基、ビニル基、またはトリフロロメチル基等が挙げられる。
これらのケイ素含有難燃剤は1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
リン含有難燃剤またはケイ素含有難燃剤以外の難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、メタスズ酸、酸化スズ、酸化スズ塩、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化第一錫、酸化第二スズ、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸の金属塩、タングステンとメタロイドとの複合酸化物、スルファミン酸アンモニウム、臭化アンモニウム、ジルコニウム系化合物、グアニジン系化合物、フッ素系化合物、黒鉛、膨潤性黒鉛等の無機系難燃剤を用いることができる。これらの他の難燃剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
【0034】
本発明の樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、その含有量は限定的でないが、エチルセルロース100質量部に対して、通常30質量部程度以下、好ましくは2〜10質量部程度とすればよい。この範囲とすることにより、耐衝撃性・脆性等を改良させたり、ペレットブロッキングの発生を抑制できる。
【0035】
本発明の樹脂組成物は、エチルセルロース以外のポリマーを含有することができる。
エチルセルロース以外のポリマーとしては、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマーのいずれも用い得るが、成形性の点から熱可塑性ポリマーが好ましい。具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー(エチレン−プロピレンブロックコポリマーなど)、ポリブテン−1およびポリ−4−メチルペンテン−1等のポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートおよびその他の芳香族ポリエステル等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン12等のポリアミド、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ポリアセタール(ホモポリマーおよび共重合体を含む)、ポリウレタン、芳香族および脂肪族ポリケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性澱粉樹脂、ポリメタクリル酸メチルやメタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ABS樹脂、AES樹脂(エチレン系ゴム強化AS樹脂)、ACS樹脂(塩素化ポリエチレン強化AS樹脂)、ASA樹脂(アクリル系ゴム強化AS樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ビニルエステル系樹脂、無水マレイン酸−スチレン共重合体、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の熱可塑性ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素系ポリマー、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリイミドなどを挙げることができる。また、各種アクリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)、ジエン系ゴム(例えば、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン)、ジエンとビニル単量体との共重合体(例えば、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合させたもの、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)、ポリイソブチレン、イソブチレンとブタジエンまたはイソプレンとの共重合体、ブチルゴム、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、その他ポリウレタン系やポリエステル系、ポリアミド系などの熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0036】
更に、各種の架橋度を有するものや、各種のミクロ構造、例えばシス構造、トランス構造等を有するもの、ビニル基などを有するもの、あるいは各種の平均粒径(樹脂組成物中における)を有するものや、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、また隣接し合った層が異種の重合体から構成されるいわゆるコアシェルゴムと呼ばれる多層構造重合体なども使用することができ、さらにシリコーン化合物を含有したコアシェルゴムも使用することができる。
これらのポリマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0037】
本発明の樹脂組成物がエチルセルロース以外のポリマーを含有する場合、その含有量は、エチルセルロース100質量部に対して30質量部程度以下が好ましく、2〜10質量部程度がより好ましい。
【0038】
本発明の樹脂組成物は、可塑剤を含有することができる。これにより、難燃性及び成形性をより一層向上させることができる。可塑剤としては、ポリマーの成形に常用されるものを用いることができる。例えば、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤およびエポキシ系可塑剤等が挙げられる。
【0039】
ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ロジンなどの酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール成分からなるポリエステルや、ポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル等が挙げられる。これらのポリエステルは単官能カルボン酸もしくは単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物などで末端封鎖されていてもよい。
【0040】
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレートおよびグリセリンモノアセトモノモンタネート等が挙げられる。
【0041】
多価カルボン酸系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシルなどのトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸メチルジグリコールブチルジグリコール、アジピン酸ベンジルメチルジグリコール、アジピン酸ベンジルブチルジグリコールなどのアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、およびセバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0042】
ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロックおよび/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、および末端エーテル変性化合物等が挙げられる。
【0043】
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリドなどを指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
【0044】
その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートなどの脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール等が挙げられる。
【0045】
本発明の樹脂組成物が可塑剤を含有する場合、その含有量は、エチルセルロース100質量部に対して通常5質量部程度以下であり、0.005〜5質量部程度が好ましく、より好ましくは0.01〜1質量部程度である。
【0046】
また、離型剤としては、脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変成シリコーンを使用できる。
【0047】
本発明の成形体は、エチルセルロース樹脂組成物を成形することにより得られる。具体的には、上記で説明したエチルセルロース、及び必要に応じて各種添加剤等を含む樹脂組成物を加熱等により溶融し、各種の成形方法により成形することによって得られる。
成形方法としては、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形等が挙げられる。
加熱温度は、通常160〜260℃程度であり、好ましくは180〜240℃程度である。
【0048】
本発明の成形体の用途は、とくに限定されるものではないが、例えば、電気電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)の内装または外装部品、自動車、機械部品、住宅・建築用材料等が挙げられる。これらの中でも、優れた耐熱性及び耐衝撃性を有しており、環境への負荷が小さい観点から、例えば、コピー機、プリンター、パソコン、テレビ等といった電気・電子機器用の外装部品(特に筺体)として好適に使用することができる。
【実施例】
【0049】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す実施例に限定されるものではない。
[成形体の作製]
(実施例1)
エチルセルロース(M−1:ダウ・ケミカル日本(株)、エトセルSTD100Ind)と、タルク(日本タルク(株)、MICRO ACEシリーズ P−6)を、表1に示す配合割合で混合し、エチルセルロース樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物を、シリンダー温度210℃に設定した二軸混練押出機(テクノベル(株)製、Ultranano)に供給し、ペレットを作製した。得られたペレットを、射出成形機((株)井元製作所製、半自動射出成形機)に供給して、シリンダー温度210℃、金型温度30℃で、射出圧力1.5kgf/cm(0.147MPa)にて4×10×80mmの多目的試験片(衝撃試験片および曲げ試験片)を成形した。
【0050】
(実施例2)
実施例1において、エチルセルロース樹脂組成物にタルクを添加せず、炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)、Vigot10)を添加し、各成分の配合割合を表1に示すとおりにしたこと以外は同様にして、試験片を作製した。
【0051】
(実施例3)
実施例1において、エチルセルロース樹脂組成物にさらに酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))、イルガノックス1010)を添加し、各成分の配合割合を表1に示すとおりにしたこと以外は同様にして、試験片を作製した。
【0052】
(実施例4)
実施例1において、エチルセルロース樹脂組成物の組成を、エチルセルロース(M−2:ダウ・ケミカル日本(株)、エトセルMED70Ind)、炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)、Vigot10)、及びフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)、イルガノックス1010)とし、各成分の配合割合を表1に示すとおりにしたこと以外は同様にして、試験片を作製した。
【0053】
(比較例1)
ポリカーボネート(M−3:帝人(株)、パンライトL1225Y)を射出成形機((株)井元製作所製、半自動射出成形機)に供給して、シリンダー温度260℃、金型温度30℃で、実施例1と同様の試験片を成形した。
【0054】
(比較例2)
実施例1において、エチルセルロース樹脂組成物にタルクを添加せず、酸化防止剤(チバガイギー(株)、イルガノックス1010)を添加し、各成分の配合割合を表1に示すとおりにしたこと以外は同様にして、試験片を作製した。
【0055】
(比較例3)
実施例1において、エチルセルロースは同様のものを使用し、添加剤は何も使用しなかったこと以外は同様にして、試験片を作製した。
【0056】
(比較例4)
実施例1において、エチルセルロース(M−4:Dow Chemical Japan LTD、エトセルSTD10Ind)を使用し、添加剤を何も使用しなかったこと以外は同様にして、試験片を作製した。
【0057】
(比較例5)
実施例1において、エチルセルロース(M−2:ダウ・ケミカル日本(株)、エトセルMED70Ind)を使用し、エチルセルロース樹脂組成物にタルクを添加せず、酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)、イルガノックス1010)を添加し、各成分の配合割合を表1に示すとおりにしたこと以外は同様にして、試験片を作製した。
【0058】
(比較例6)
実施例1において、エチルセルロース樹脂組成物にタルクを添加せず、酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)、イルガノックス1010)を添加し、各成分の配合割合を表1に示すとおりにしたこと以外は同様にして、試験片を作製した。
【0059】
(比較例7)
実施例1において、エチルセルロース(M−4:Dow Chemical Japan LTD、エトセルSTD10Ind)を使用し、エチルセルロース樹脂組成物にタルクを添加せず、炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)、Vigot10)を添加し、各成分の配合割合を表1に示すとおりにしたこと以外は同様にして、試験片を作製した。
【0060】
[評価]
得られた多目的試験片を用いて、以下の項目について評価した。
(植物由来度)
得られた試験片の植物由来度を下記式に従って算出した。
植物由来度(質量%)={1−(エチル基の質量/エチルセルロースの質量)}×樹脂の配合量(質量%)
【0061】
(シャルピー衝撃強度)
ISO179に準拠して、射出成形にて成形した試験片に入射角45±0.5°、先端0.25±0.05mmのノッチを形成し、95℃±2℃、50%±5%RHで100時間調整した後、シャルピー衝撃試験機(東洋精機製、DG−C)によって、試験片固定間距離62mm、エッジワイズにて衝撃強度(kJ/m)を測定した。
【0062】
(曲げ弾性率)
ISO178に準拠して、射出成形にて成形した試験片を23℃±2℃、50%±5%RHで48時間以上調整した後、インストロン(東洋精機製、ストログラフV50)によって支点間距離64mm、試験速度2mm/minで曲げ弾性率(GPa)を測定した。
【0063】
(成形後の数平均分子量(Mn))
数平均分子量(Mn)の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いた。具体的には、テトラヒドロフランを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から予め求められた換算分子量較正曲線を用いて求めた。GPC装置は、HLC−8220GPC(東ソー社製)を使用した。また、得られた成形後の数平均分子量(Mn)と成形前のエチルセルロースの数平均分子量(Mn)から、成形後と成形前の数平均分子量(Mn)の比を算出した。
【0064】
(熱分解温度)
示差熱熱重量同時測定装置(品番:TG/DTA6200、セイコー電子社製)を用い、200ml/分での空気流量において、10℃/分で昇温し、2%重量減少する温度(℃)を読み取った。
【0065】
(均一性)
樹脂の流れ方向を、通常の試験片の長辺方向ではなく、試験片の短辺方向となるよう変更した金型を用いて、前記と同形状の多目的試験片を作製した。
両者の曲げ弾性率を比較することによって均一性を評価した。
○:流れ方向によらず弾性率が同じ(弾性率の比が95%以上100%以下)
△:弾性率の比が(80%以上95%未満)
×:弾性率の比が(80%未満)
【0066】
以上の結果を表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
比較例4、7のエチルセルロース樹脂組成物は脆性により成形体を作製できないのに対し、実施例1〜4のエチルセルロース樹脂組成物は、良好な成形加工性を有していた。また、実施例1〜4は、比較例2、3に比べ、成形後の分子量低下も顕著に抑制されており、曲げ弾性率及び衝撃強度も優れていた。さらに、実施例1〜4は、熱による着色もなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エトキシ基の含有率が少なくとも40質量%で、数平均分子量が30000以上であるエチルセルロースを含有するエチルセルロース樹脂組成物であって、
アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機塩を含有し、前記無機塩の含有量が0.1〜50質量%である、エチルセルロース樹脂組成物。
【請求項2】
前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機塩がカルシウム又はマグネシウムを含む無機塩である、請求項1に記載のエチルセルロース樹脂組成物。
【請求項3】
前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む無機塩が炭酸カルシウム及び珪酸マグネシウムのいずれかである、請求項1又は2に記載のエチルセルロース樹脂組成物。
【請求項4】
酸化防止剤を2〜15質量%含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のエチルセルロース樹脂組成物。
【請求項5】
前記酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤である、請求項4に記載のエチルセルロース樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のエチルセルロース樹脂組成物を成形して得られる成形体。
【請求項7】
請求項6に記載の成形体から構成される電気電子機器用筺体。

【公開番号】特開2010−241847(P2010−241847A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88516(P2009−88516)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】