説明

エチレン−アクリレートコポリマー及びポリオレフィン並びに粘着付与剤を含む組成物

PCTFEなどのフルオロポリマーに強い気密性の接着を提供する、エチレン/(メタ)アクリレートコポリマー、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)、粘着付与剤樹脂および任意成分の充填材の組成物が開示されている。これらの組成物は、押出し積層によって調製された多層構造における接着剤層として有用であることができる。これらの多層構造を含む、熱成形ブリスターパック、剛性容器およびポーチなどのパッケージもまた開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレンコポリマーと、ポリオレフィンと、粘着付与剤とを含む組成物;これから製造される多層構造;および多層構造を含むパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージング産業においては、種々の熱可塑性樹脂および組成物から製造された多様なフィルムおよび容器が、食品および非食品製品をパッケージングするために用いられる。これらのパッケージは、内に収納された製品の保護(例えば機械的損傷からの保護、空気または水分等に対するバリア)を、消費者が製品を用いる準備ができるまで提供する。パッケージはまた、消費者が適切な時に容易に製品を利用することができるように設計されていることが望ましい。
【0003】
パッケージングに用いられる材料としては、高い水分および酸素バリア特性を有し、パッケージされた製品のより優れた保管寿命を許容するポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などのフルオロポリマーが挙げられる。それらの固有特性により、押出し処理において、PCTFEのPVCまたはPETに対する積層について効果的なポリマー、またはPCTFEなどのフルオロポリマーに対する接着性が良好なポリマーは知られていない。例えば、米国特許第6,649,005号明細書を参照のこと。
【0004】
PCTFEに結合する既存の接着系としては、溶剤型および、とりわけ、エチレン/ビニルアセテート(EVA)コポリマー、スチレンブタジエンまたはアモルファスポリエステルをベースとする系が挙げられる。接着剤(水性)は、キャリアウェブ(例えば1ミル厚のPVC)に対してローラまたはグラビア系によって塗布され、および溶剤を除去すると共に残存溶剤量を低く維持するために高い温度での乾燥を必要とする(例えば、キャリアウェブを乾燥オーブン中に通すことによって水を除去し、および次いで材料を一緒にホットニップする)。このように製造された接着剤コートは、一般にきわめて薄くおよび溶剤系に可溶の処方成分に限定される。一般に、現在の湿式積層処理において用いる前に、1週間以下の硬化時間が必要とされる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)約10〜約80重量%(重量%)の少なくとも1種のエチレンコポリマー;(b)約5〜約60重量%の少なくとも1種のポリオレフィン;(c)約0.5〜約35重量%の少なくとも1種の粘着性樹脂;および(d)0〜約35重量%の充填材;を含むかまたはそれから製造される組成物を包含する。
【0006】
本発明はまた、フルオロポリマー材料の、フォイル、紙、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリエチレンビニルアセテート、酸コポリマー、酸コポリマーのアイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、無水物変性ポリオレフィン、またはこれらの2つ以上の組み合わせを包含する材料に対する接着などの組成物の使用を包含する。エチレン酸コポリマーはエチレンおよび(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位を包含する。
【0007】
本発明はまた、上記に開示された組成物を含む少なくとも1つの層と少なくとも1種のフルオロポリマーを含むかまたはそれから製造される少なくとも1つの層とを含むかまたはそれから製造される多層構造を包含する。多層構造は、フォイル、紙、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリエチレンビニルアセテート、エチレン/(メタ)アクリル酸コポリマーまたはこれのアイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、無水物変性ポリオレフィン、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含むかまたはそれから製造される少なくとも1つの追加の層をさらに含むことができる。
【0008】
本発明は、上記に開示された組成物および/または多層構造を含むブリスターパック、剛性容器、またはポーチを包含する物品をさらに包含する。
【0009】
本発明は、上記のエチレン/アルキル(メタ)アクリレート−ポリオレフィン−粘着付与剤組成物を含む少なくとも1つの層と;フルオロポリマー、特にポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)を含む少なくとも1つの層と;フォイル、板紙、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、高耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アモルファスポリエチレンテレフタレート(APET)、結晶性ポリエチレンテレフタレート(CPET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアクリロニトリルホモポリマーおよびコポリマー、ポリアセタールおよびポリアセタールコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの層とを含む構造を含む熱成形ブリスターパックの形態でパッケージを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
「コポリマー」とは、2つ以上の異なるモノマーを含有するポリマーを意味し、ジポリマー、ターポリマー、またはテトラポリマーを挙げることができる。「種々のモノマーのコポリマー」とは、その単位が種々のモノマーから誘導されたコポリマーを意味する。
【0011】
「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸および/またはアクリル酸を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートおよび/またはアクリレートを意味する。
【0012】
熱可塑性組成物は、加圧下に加熱されたときに流動性となることができる高分子材料であり、押出し処理によるフィルムおよび多層構造の調製に用いることができる。メルトインデックス(MI)は、温度および圧力の制御された条件下での特定の毛管を通るポリマーの流れの質量割合であり、ならびにASTM1238に準拠して、190℃で、2.16kg荷重を用いて測定され、g/10分間でMIの値を示した。本願明細書において熱可塑性組成物が記載されている。
【0013】
「フォイル」とは、金属(例えば、アルミニウム)などの薄い、可撓性フィルムあるいはシート、または金属の少なくとも1つの層が他の材料の追加の層に接着されている多層構造を指し、一般に、多層構造の少なくとも1つの外層が金属(例えば、アルミニウム)の層である。
【0014】
フッ素含有ポリマー(フルオロポリマーまたはフッ素化ポリマー)は、例えば、フルオロエラストマーおよびフッ素樹脂を包含する、重要なポリマーの区分である。この幅広いポリマー区分には、高熱安定性のポリマー、化学的(および溶媒)耐性を示すポリマー、および幅広い範囲の温度で有用性を発現するポリマーがある。多数のフルオロポリマーが、様々な有機溶剤にほとんど完全に不溶である;例えば、F.W.Billmeyer,Textbook of Polymer Science,第3版,第398〜403頁,John Wiley & Sons,New York (1984年)を参照のこと。フッ化ビニリデンと、他のエチレン不飽和ハロゲン化モノマー(例えば、ヘキサフルオロプロピレン)とのコポリマーなどのフルオロエラストマーは、シールガスケットおよびライニングを包含する高温での用途で実用性を有する。例えば、Brullo,R.A.,「Fluoroelastomer Rubber for Automotive Applications」Automotive Elastomer & Design,1985年6月、「Fluoroelastomers Seal Up Automotive Future」Materials Engineering Engineering,1988年10月、および「Fluorinated Elastomers」Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,第3版,第8巻,第500〜515頁,John Wiley & Sons,New York(1979年)を参照のこと。
【0015】
PCTFEと、ポリテトラフルオロエチレンと、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンのコポリマーと、ポリ(フッ化ビニリデン)などのフッ素樹脂は、数多くの電気的、機械的、および化学的用途を有する。フッ素樹脂は、例えば、ワイヤコーティング、電気部品、シール、ならびに固体中のおよびラインドパイプおよび圧電地震計として有用である。例えば、「Organic Fluorine Compounds」Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,第11巻,第20、21、32、33、40、41、48、50、52、62、70、および71頁,John Wiley & Sons,New York(1980年)を参照のこと。これらのフッ素樹脂はまた、多数のパッケージング用途において用い得る。クロロトリフルオロエチレンの重合から誘導される多数のホモポリマーおよびコポリマーは、PCTFEなどが、Aclar(登録商標)の商品名でHoneywell,Inc.,Morristown,NJから市販されている。
【0016】
本発明は、所望の接着強度を得るための接着剤層の厚さまたは成分の組み合わせによっては限定されない。ここに開示された接着性組成物は溶媒を含まないことができ、溶剤の使用に関わる環境への配慮に対処することができる。非溶剤接着系はより単純でおよび汎用性をより示し、これは、完成パッケージングウェブの生産における経済性を改善し得る。本願明細書において開示された本発明は、結合した直後に、材料が処理可能となることを許容することができる。
【0017】
PCTFEなどのフルオロポリマーを第2の基材に結合するための接着剤として有用であることができる組成物はまた、(a)約15〜約70重量%の少なくとも1種のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー;(b)約15〜約45重量%の少なくとも1種のポリオレフィン;(c)10〜約20重量%の少なくとも1種の粘着性樹脂;および(d)任意成分の充填材を含むかまたはそれから製造されることができる。
【0018】
組成物はまた、(a)約40〜約70重量%の少なくとも1種のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー;(b)約15〜約45重量%の少なくとも1種のポリオレフィン;および(c)約10〜約20重量%の少なくとも1種の粘着性樹脂を含むかまたはそれから製造されることができる。
【0019】
エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー
本願明細書において「エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー」および「エチレン/(メタ)アクリレートコポリマー」は同様に用いられ、およびエチレンモノマーおよび少なくとも1種のアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートコモノマーの共重合から誘導される熱可塑性エチレンコポリマーを意味し、ここで、アルキル基は1〜8個の炭素原子を含有する。アルキルアクリレートの例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレートおよびブチルアクリレートが挙げられる。「エチレン/メチルアクリレート(EMA)」とは、エチレン(E)およびメチルアクリレート(MA)のコポリマーを意味する。「エチレン/エチルアクリレート(EEA)」とは、エチレン(E)およびエチルアクリレート(EA)のコポリマーを意味する。「エチレン/ブチルアクリレート(EBA)」とは、エチレン(E)およびブチルアクリレート(BA)のコポリマーを意味する。
【0020】
エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーに組み込まれるアルキルアクリレートコモノマーの量は、総コポリマーの約0.1から40重量%もの多さ、またはさらに多くまで変化することができる。アルキル基の選択は、1つ以上のC1〜C8またはC1〜C4アルキルであることができる。アルキル(メタ)アクリレートコモノマーは、総エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーの、約5〜約30重量%、替わりに9〜27重量%の濃度範囲を有する。例えば、メチルアクリレートは、エチレン/(メタ)アクリレートジポリマーの5〜30重量%、替わりに9〜25重量%、または9〜24重量%の濃度範囲で存在することができる。
【0021】
2つ以上のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーの混合物を用いることができる。例えば、2種のエチレン/アルキルアクリレートコポリマーをブレンドで用いると(エチレン/アルキルアクリレート成分が2種の異なるエチレン/メチルアクリレートコポリマーを含むものを包含する)、有用な特性が得られる可能性がある。ブレンド中の単一のEMAグレードを2種のEMAグレードの適当に選択された混合物の等量と置き換えてもよく、ここで、混合物は、同じ重量%メチルアクリレート含有量を有し、および置き換えられた単一のEMAグレードと同じメルトインデックスを有する。2種の異なる適当に選択されたEMAコポリマーグレードを組み合わせることによって、ただ1種のEMA樹脂グレードを含有する組成物と比して、組成物の特性の変性を達成し得る。
【0022】
エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーとしてはまた、任意成分の、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレートおよび一酸化炭素からなる群から選択される少なくとも1種の追加のコモノマーが挙げられ、エチレン/イソブチルアクリレート/メタクリル酸、エチレン/メチルアクリレート/無水マレイン酸、エチレン/ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート(EBAGMA)およびエチレン/ブチルアクリレート/一酸化炭素(EBACO)などのターポリマーが形成されてもよい。
【0023】
エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーは、オートクレーブまたは管型反応器の一方を用いる、ポリマー技術分野において周知の手法によって調製することができる。共重合はオートクレーブ中での連続方法として実行することができる。例えば、エチレン、メチルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、および任意成分のタノールなどの溶剤(米国特許第5,028,674号明細書を参照のこと)が、開始剤と共に、米国特許第2,897,183号明細書に開示されたタイプの攪拌下のオートクレーブに連続的に供給される。添加速度は、コポリマーの目標組成物を得るために必要とされる、重合温度、圧力、および反応混合物中におけるメチルアクリレートモノマーの濃度に依存し得る。いくつかの場合において、分子量を制御するために、プロパンなどのテロゲンを用いることが望ましい場合がある。反応混合物は、オートクレーブから連続的に除去されてもよい。反応混合物が反応容器から出た後、コポリマーは、未反応モノマーおよび溶剤(溶剤が用いられた場合)から、例えば、減圧下および高い温度での、未重合の材料および溶剤の蒸発などの従来の手法により分離され得る。オートクレーブアクリレートコポリマーが、VoridianからEMAC(商標)の名称で、ExxonMobilからOptema(商標)の名称で、およびAtofinaからLotryl(商標)の名称で入手可能である。
【0024】
管型反応器製造エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーは、一般に技術分野において周知であるより従来的なオートクレーブ製造エチレン/(メタ)アクリレートから区別することができる。従って用語または句「管型反応器製造」エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーは、高圧および高い温度で管型反応器等の中で製造されたエチレンコポリマーを表し、ここで、それぞれのエチレンコモノマーおよびアルキル(メタ)アクリレート(例えばメチルアクリレート)コモノマーについての非類似の反応動力学の固有の結果は、管型反応器内の反応流経路に沿ったモノマーの内部的導入によって、緩和されるまたは部分的に補償される。このような管型反応器共重合技術は、ポリマー主鎖(バックボーン)に沿ってより高い相対的異質性度を有するコポリマーを製造することができ(コモノマーのより塊状の分布)、長鎖分岐の存在が低減される傾向とすることができ、および高圧攪拌下のオートクレーブ反応器において同一のコモノマー比で製造されたものより高い融点によって特徴付けられるコポリマーを製造することができる。
【0025】
この性質の管型反応器製造エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーは、E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,Delaware(DuPont)から市販されている。
【0026】
管型反応器エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーの生産は、米国特許第3,350,372号明細書;同第3,756,996号明細書;および同第5,532,066号明細書に開示されているとおり、当業者に周知である。管型反応器製造エチレン/アルキルアクリレートコポリマーおよびオートクレーブ製造エチレン/アルキルアクリレートコポリマーの間の差異に関する追加の考察については、Richard T.Chou,Mimi Y.KeatingおよびLester J.Hughes,「High Flexibility EMA made from High Pressure Tubular Process」,Annual Technical Conference − Society of Plastics Engineers(2002年)、60回(2巻)、1832〜1836頁を参照のこと。
【0027】
エチレン/アルキルアクリレートコポリマーは、DuPontから入手可能である。
【0028】
エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーは、分子量が多様であることができる。用いられるポリマー成分のメルトインデックス(MI)グレードの特定の選択は、多層構造を形成するために用いられる処理によって影響され得る。例えば、エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーは、約0.1〜約100g/10分、約0.5〜約50および最も好ましくは約0.50〜約30g/10分のMIを有する。
【0029】
成分の前記エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーが管型反応器において調製された組成物が好ましい。
【0030】
ポリオレフィン
ポリオレフィンは、オレフィンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されることができ、ここで、オレフィンモノマーは2〜8個の炭素原子を有する。ポリエチレンホモポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、エチレンを含むコポリマー、およびプロピレンを含むコポリマーからなる群から選択されるポリオレフィンが好ましい。本願明細書において記載された組成物に有用なポリエチレン(PE)は、多様な手法により調製することができ、例えば、限定されないが、周知のZiegler−Natta触媒重合(例えば米国特許第4,076,698号明細書および米国特許第3,645,992号明細書を参照のこと)、メタロセン触媒重合(例えば米国特許第5,198,401号明細書および米国特許第5,405,922号明細書を参照のこと)、Versipol(登録商標)触媒重合およびフリーラジカル重合によって調製できる。重合は、溶液相法、気相法等として実施することができる。本願明細書において有用なポリエチレンポリマーとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度または超超低密度ポリエチレン(VLDPEまたはULDPE)などの線状ポリエチレン、および低密度ポリエチレン(LDPE)などの分岐ポリエチレンを挙げることができる。本発明で用いるのに好適なポリエチレンの密度は、約0.865g/cc〜約0.970g/ccの範囲である。本願明細書において用いるための線状ポリエチレンは、ブテン、ヘキセンまたはオクテンなどのα−オレフィンコモノマーを、記載された密度範囲内にそれらの密度を低減するために組み込むことができる。用語「ポリエチレン」は、本願明細書において用いられるとき、上記のエチレンを含むポリマーのいずれかまたはすべてを総称的に指すのに用いられる。
【0031】
注目すべきポリエチレンは、エチレンおよび1−ブテンのコポリマーである。このような、12.6重量%1−ブテンを備え、3.5のメルトインデックスを有するコポリマーは、Exact(登録商標)3035としてExxonMobilから入手可能である。
【0032】
注目すべき他のポリエチレンは、エチレンおよび1−オクテンのコポリマーである。このような、12重量%オクテンを備え、3.5のメルトインデックスを有するコポリマーは、Engage(登録商標)8450としてDuPont Dow Elastomerから入手可能である。
【0033】
ポリプロピレン(PP)ポリマーとしては、プロピレンと、エチレン、1−ブテン、2−ブテンおよび種々のペンテン異性体等などの他のオレフィンとのコポリマー、ならびにプロピレンと、エチレンと他のオレフィンの一つとのコポリマーを包含する、プロピレンのホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーおよびターポリマーが挙げられる。ランダムコポリマー(statistical copolymers)としても知られているランダムコポリマーは、プロピレンおよびコモノマーが、プロピレン対コモノマーの供給比に対応する比で高分子鎖の全体にランダムに分布されているポリマーである。ブロックコポリマーは、プロピレンホモポリマーからなる鎖断片および、例えば、プロピレンおよびエチレンのランダムコポリマーからなる鎖断片から形成されている。PPは、プロピレンを含むポリマーのいずれかまたはすべてを総称的に指す。
【0034】
ホモポリマーおよびランダムコポリマーは、有機金属化合物および三塩化チタンを含有する固体をベースとするZiegler−Nattaとして知られる触媒系が存在するものなどの公知の方法のいずれかによって生産されることができる。
【0035】
ブロックコポリマーは、プロピレンが先ず、一般に第1のステージで単独で重合され、ならびにプロピレンと、エチレンなどの追加のコモノマーとが、次いで、第2のステージで第1のステージで得られたポリマーの存在下に重合されることを除き、同様に生産されることができる。これらのステージの各々は、例えば、炭化水素希釈剤中の懸濁液において、液体プロピレン中の懸濁液において、あるいは気相において、連続的にまたは非連続的に、同一の反応器または別の反応器において実施されることができる。
【0036】
ブロックコポリマーおよびそれらの生産に関連する追加の情報は、「Block Copolymers」D.C. AllportおよびW.H.Janes編、Applied Science Publishers Ltd.(1973年)に見出され得る。
【0037】
ポリオレフィンはまた、限定されないが、ビニルアセテート、アルキルアクリレート、一酸化炭素、グリシジルメタクリレート、(メタ)アクリル酸および無水マレイン酸を包含する1つ以上の極性モノマーを低レベル(例えば、約3重量%未満)で組み込むことによって変性させることができる。これらの極性コモノマーの組み込みは、共重合またはグラフト化によって達成することができる。
【0038】
2つ以上のポリオレフィンのブレンドを用いることができ、例えば、LLDPEをLDPEまたはHDPEの一方とブレンドして、本発明において用いるのに好適なポリエチレンブレンドを提供することができる。他の好適なポリオレフィンブレンドは、ポリプロピレンおよびポリ(1−ブテン)(PB)のブレンドである。
【0039】
粘着性樹脂
本発明の組成物は粘着性樹脂(粘着付与剤)を含有する。粘着付与剤は、米国特許第3,484,405号明細書において列挙されたものなどの、技術分野において周知であるいずれかの粘着付与剤であり得る。このような粘着剤としては、多様な天然および合成樹脂およびロジン材料が挙げられる。樹脂は、一般に明確な融点を有さずおよび結晶化する傾向のない有機化合物の混合物の形態である液体、半固体−固体、複合アモルファス材料であることができる。このような樹脂は不水溶性であり、および植物または動物に由来のものであることができ、または合成樹脂であることができる。樹脂は、組成物に対して相当なおよび改善された粘着性を提供することができる。好適な粘着剤としては、限定されないが、以下に考察された樹脂が挙げられる。
【0040】
樹脂の種類は、パラ−クマロンインデン樹脂などのクマロンインデン樹脂であることができる。クマロンインデン樹脂は、約500〜約5,000の範囲の分子量を有することができる。市販されているこのタイプの樹脂の例としては、「Picco」−25および「Picco」−100として取引されている材料が挙げられる。
【0041】
樹脂の他の種類は、スチレン化テルペンをも包含するテルペン樹脂であることができる。これらのテルペン樹脂は、約600〜6,000の範囲の分子量を有することができる。通常市販されているこのタイプの樹脂は、「Piccolyte」S−100として、水素化ロジンのグリセロールエステルである「Staybelite Ester」#10として、およびポリテルペン樹脂である「Wingtack」95として取引されている。
【0042】
樹脂の第3の種類は、約500〜約5,000の範囲の分子量を有するブタジエン−スチレン樹脂であることができる。通常のこのタイプの市販製品は、約2,500の分子量を有する液体ブタジエン−スチレンコポリマー樹脂である「Buton」100として取引されている。
【0043】
樹脂の第4の種類は、約500〜約5,000の範囲の分子量を有するポリブタジエン樹脂であることができる。普通入手可能なこのタイプの製品は、約2,000〜約2,500の分子量を有する液体ポリブタジエン樹脂である「Buton」150として取引されている。
【0044】
樹脂の第5の種類は、いわゆる石油の精製で得られる選択された分画の触媒重合によって製造された炭化水素樹脂であることができ、および約500〜約5,000の範囲の分子量を有することができる。このような樹脂の例は、「Piccopale」−100として、ならびに「Amoco」および「Velsicol」樹脂として取引されているものである。同様に、イソブチレンの重合から得られるポリブテンが粘着付与剤として含まれ得る。
【0045】
粘着付与剤としてはまた、ロジン材料、「Piccolastic」A−75として取引されている材料などの低分子量スチレン硬質樹脂、不均化ペンタエリスリトールエステル、ならびに、「Velsicol」WX−1232として取引されているタイプの、芳香族および脂肪族モノマー系のコポリマーが挙げられる。本発明において用いられ得るロジンはガム、木材またはタル油ロジンであり得るが、タル油ロジンであることが好ましい。また、ロジン材料は、二量化ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、またはロジンのエステルなどの変性ロジンであり得る。エステルは、ロジンと2〜6個のアルコール基を含有する多価アルコールとのエステル化によって調製することができる。
【0046】
注目すべき粘着性樹脂は、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、ブタジエン−スチレン樹脂、炭化水素樹脂、およびロジン材料の1つ以上である。
【0047】
注目すべきテルペン樹脂ベースの粘着付与剤は、Piccolyte(登録商標)C115として(Pinova)から入手可能な柑橘類産業から回収されるモノマーであるポリリモネンから誘導される。
【0048】
注目すべき他の粘着付与剤樹脂は、Eastmanから入手可能なRegalite R1125である。
【0049】
本発明において用いることができる粘着剤のより包括的な一覧が、TAPPI CA Report#55、1975年2月、第13〜20頁、Technical Association of the Pulp and Paper Industry発行、Atlanta,GAにおいて提供されており、200をはるかに上回る市販されている粘着付与剤樹脂が列挙されている。
【0050】
粘着付与剤はまた、2つ以上の個別の粘着剤のブレンドであることができる。
【0051】
粘着付与剤成分は、本発明の他の成分に直接的に添加されても、またはマスターバッチ調合物に予め溶融配合されてもよい。このような技術は米国特許第6,255,395号明細書および特開2002―173,653号公報に開示されている。例えば、ポリリモネンが、エチレン/オクタンコポリマーにブレンドされて、その後のブレンド操作で組成物の残りの成分に添加されることができる、粘着付与剤マスターバッチを調製し得る。
【0052】
充填材
充填材の添加は、組成物の耐熱性を増加しおよび剥離シール特徴に影響させる手段として機能することができる。
【0053】
剥離性ヒートシールは、通例、シール−シールまたはシール−分化基材で剥離するとき3つの異なる破壊モードを有するよう設計されることができる。種々の剥離角および剥離速度の応力下で一方を他方から剥離するとき、破壊は界面性、層剥離または粘着性であることができる。界面性シールは、選択されたシール表面のヒートシール界面で破壊されるよう設計される(すなわちシーリング材層は基材層からきれいに剥離される)。シール強度は、温度、圧力および加圧保持時間によってされることができる。きれいに剥離しないシールは、パッケージの内容物をシールまたはふたの断片で汚染してしまう可能性がある。界面性剥離性シールは、このような汚染が防止されることが望ましい。層剥離ヒートシールは、多層フィルム構造の内部界面で破壊されるよう設計される。この設計された破壊界面は、フィルム構造中の実際のヒートシール層の裏のどこかの選ばれた層にある。選ばれた内部層界面に対する厚さおよび接着性は、剥離時におけるシールの強度を決定し得る。この場合には、フィルム構造が剥離されるに伴ってすべてのシーリング材層が基材に移行する。設計による粘着性シール破壊は、実際のシーリング材層自体の中で破壊される。応力および速度下でシールを剥離するとき、シール層自体が内部で裂けて、シーリング材材料の一部がシーリング材基材に移行する。シーリング材材料の内部強度は、ヒートシールの実際の強度についての決定要因である。
【0054】
充填材としては、ミネラルおよび塩などの無機化合物の粒子を挙げることができる。本発明の組成物に重量ベースで包含されることができる充填材は、充填材の密度に応じることができる。充填材の粒径および形状は、ブレンドの特性に影響を有し得る。微小な粒径充填材は、一般により高いブレンド粘度となる傾向を有し、およびこれらはまた、より高価である。9番重炭酸カルシウム(約95%が325メッシュを通る)は、粗さ、入手容易性、およびコストの実行可能な中間点を示す。より好ましい充填材は、炭酸カルシウムおよびタルク(基本的にMg3Si410(OH)3)であり、および最も好ましくは、タルクである。例えば、充填材は、組成物中に約0重量%〜約35重量%、または0重量%〜約30重量%で存在することができる。
【0055】
充填材は、マスターバッチ中において、本発明の組成物にブレンドする前にエチレン/アルキルアクリレートまたはポリオレフィンと予めブレンドされ得る。例えば、タルクが、エチレン/メチルアクリレート(20重量%MA)コポリマーにブレンドされて、続くブレンド作業において組成物の残りの成分に添加されることができる充填材マスターバッチを調製し得る。
【0056】
充填材はまた、スチレンあるいはαメチルスチレンのホモポリマー、またはスチレンと、特に限定されないが、エチレン、ブテン、ブタジエン、またはイソプレンなどの不飽和モノマーとのコポリマーを包含する、例えば、ポリスチレン系樹脂などの高分子系であり得る。特定の例としては、限定されないがエチレン/スチレンランダムまたはブロックコポリマー、エチレン/ブタジエンランダムまたはブロックコポリマー、および水素化および部分水素化ブタジエン/スチレンコポリマーが挙げられる。ポリスチレン系樹脂は、増強された耐衝撃特性のためにさらに変性されることができ、および通常は高耐衝撃性ポリスチレンまたは高耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)として称される。ポリスチレン系樹脂のブレンドおよび混合物を用い得る。特定の例としては、限定されないが、Nova ChemicalsからのHIPSまたはDow Chemicalによって販売されているエチレン/スチレンコポリマーが挙げられる。
【0057】
1つ以上の酸化防止剤および熱安定剤、紫外(UV)光安定剤、着色剤、顔料および染料、充填材、艶消剤、増摩剤、可塑剤、粘着防止剤、相容化剤、摩擦係数(COF)などの表面特徴の改質成分、帯電防止剤および防曇剤、他の処理助剤などの他の添加剤が、組成物中に存在することができる。これらの添加剤は、本発明において用いられる組成物中に、一般に、組成物の0.01〜20重量%、または0.1〜15重量%の量で存在し得る(このような添加剤の百分率は、[課題を解決するための手段]における組成物の総重量百分率には包含されない)。多種のこのような添加剤が、0.01〜5重量%で存在し得る。
【0058】
組成物は、さらに、酸化防止剤、熱安定剤、紫外光安定剤、着色剤、顔料、染料、艶消剤、増摩剤、可塑剤、粘着防止剤、相容化剤、表面特徴改質成分、帯電防止剤、防曇剤および他の処理助剤から選択された少なくとも1種の添加剤を約0.01〜約20重量%で含むことができる。
【0059】
0.01〜1重量%で存在し得る酸化防止剤は、Ciba Geigy Inc.,Tarrytown,New Yorkから、商品名Irganoxで入手可能である。例えば、IrganoxE201またはIrganox1010またはその誘導体などのフェノール系酸化防止剤が組成物に添加され得る。摩擦係数などの表面特徴を改質するための添加剤、粘着防止のための添加剤またはチルロールリリースのための添加剤は、0.01〜5重量%の量で存在し得る。例えば、このような添加剤は、樹脂中にブレンドするための担体濃縮物として用いられる、エチレン/メタクリル酸コポリマー中の二酸化ケイ素(2重量%)の分散物(DuPontからConpol(登録商標)20Bとして入手可能)である。
【0060】
任意成分の、このような従来の要素の組成物への組み込みは、公知のいずれの方法によって実施することができる。この組み込みは、例えば、乾式配合により、種々の構成成分の混合物を押出すことにより、従来のマスターバッチ技術等により実施することができる。
【0061】
組成物は、フルオロポリマー含有基材と、フォイル、板紙、HDPE、PP、HIPS、アモルファスポリエチレンテレフタレート(APET)、結晶性ポリエチレンテレフタレート(CPET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアクリロニトリルホモポリマーおよびコポリマー、ポリアセタール、ポリアセタールコポリマー、およびこれらの2つ以上の組み合わせを包含する第2の基材との積層のための接着を提供することができる。
【0062】
本発明は、上記のエチレン/アルキル(メタ)アクリレート−ポリオレフィン−粘着付与剤組成物を含む少なくとも1つの層と、PCTFEなどの1つ以上のフルオロポリマーを含む少なくとも1つの層とを含む多層構造を提供する。
【0063】
本発明はまた、上記のエチレン/アルキル(メタ)アクリレート−ポリオレフィン−粘着付与剤組成物を含む少なくとも1つの層と、フルオロポリマーを含む少なくとも1つの層と、フォイル、紙、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリエチレンビニルアセテート、エチレン/(メタ)アクリル酸コポリマーおよびこれらのアイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、無水物変性ポリオレフィン、またはこれらの2つ以上の組み合わせを包含する材料を含む少なくとも1つの追加の層とを含む多層構造を提供する。
【0064】
エチレン/アルキル(メタ)アクリレート−ポリオレフィン−粘着付与剤組成物を含む少なくとも1つの層を含む構造は、押出しコーティングまたは共押出しによって調製することができる。
【0065】
押出しコーティングにおいて、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート−ポリオレフィン−粘着付与剤組成物の溶融カーテンが、高速(典型的には約100〜1000フィート/分および好ましくは約300〜800フィート/分)で移動するPCTFEフィルム基材上に敷かれる。溶融カーテンは、フラットダイを通して組成物を押出すことにより形成される。ダイから出る組成物の温度は、約290および340℃または約310〜330℃の間であることができる。溶融組成物は、次いでフィルム基材がコールドロールに接触するに伴って冷却される。
【0066】
多層構造は、種々の成分の粒質物を溶融することによる共押出しによって調製することができる。溶融ポリマーは、ダイまたは一組のダイを通過されて、層流として処理される溶融ポリマーの層を形成することができる。溶融ポリマーは冷却されて層構造が形成される。溶融押出しポリマーは、インフレーションフィルム押出し成形、キャストフィルム押出し成形およびキャストシート押出し成形などの好適な転化技術を用いてフィルムに転化することができる。組成物のフルオロポリマーとの共押出しは、フルオロポリマー層を備える、組成物を含むシール層を有するパッケージングウェブ(例えば、成形体、ポーチまたはふた用ウェブ)を単一工程で形成することを可能とする。
【0067】
これらの方法のいずれかによって調製された多層フィルムの例は、約0.7〜約1.0ミル厚のPCTFEの層と、約0.2〜約1.0ミル厚の本発明の組成物の層とから構成される2層フィルムである。
【0068】
多層構造はまた、フィルムがコールドロールに接触するにつれて、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート−ポリオレフィン−粘着付与剤組成物の溶融カーテンを、高速(約100〜1000または約300〜800フィート/分)で移動するフルオロポリマーフィルムおよび第2の基材の間に敷くなどの押出し積層によって調製されることができる。ダイを出るエチレン/アルキル(メタ)アクリレート−ポリオレフィン−粘着付与剤組成物の温度は、好ましくは約270および340℃の間であり、最も好ましくは約290および330℃の間である。ダイ出口とコールドロールとの間のエアギャップは、典型的には約3〜15インチ、好ましくは約5〜約10インチである。ポリマー組成物の熱安定性の限界を条件として、より高い温度は、より高い接着値を付与し得る。より遅いライン速度および大きいエアギャップは、接着性に有利となり得る。ライン速度で除されたエアギャップとして定義される、エアギャップ時間(TIAG)は、押出し積層における最適な接着については約50および100msの間であることができる。V.AntonovおよびA.Soutar,1991年TAPPI PLC Conference予稿集、第553頁を参照のこと。積層体はコールドロール上で冷却され、および約100および1000フィート/分、好ましくは約300および800フィート/分のライン速度で引取られる。
【0069】
フィルムおよび/または基材は、予備処理されることができ、またはライン中において処理を適用してそれらの表面特徴および耐衝撃性結合強度を変性することができる。処理としては、限定されないが、例えばポリエチレンイミン(MICAにより販売されている)またはウレタン(Rohm & Haasにより販売されている)を用いる、コロナ処理、酸化条件または還元条件下における火炎処理を挙げることができる。
【0070】
多層構造を調製する積層処理において第2の基材として用いられるフィルムまたはシートは、当業者に公知のフィルム成形のためのほとんどの手法によって形成することができる。フィルムは、単層または多層高分子フィルムの一方であることができる。このように、フィルムおよびフィルム構造は、種々の方法(例えば、インフレーションフィルム、機械的引張り等)による延伸(一軸延伸または二軸延伸の一方)が包含される、典型的にはキャストされ、押出し成形され、共押出し成形され、積層等されることができる。上に開示された種々の添加剤がフィルム層中に存在することができる。
【0071】
多層高分子シートとしては、特に限定されないが、最外構造または酷使層と、内側バリア層と、充填層および/または接着剤層と、パッケージの意図された内容物に接触すると共に適合し、および必要なシール(例えば最も好ましくはヒートシール性)を自己におよびパッケージの他の部分に形成することができる最内層とを包含する数種の層からの選択物を挙げることができる。他の層もまた、接着剤または「結束」層として機能してこれらの層を一緒に結合することを補助するために存在し得る。
【0072】
最外構造または酷使層は、延伸ポリエステルまたは延伸PVCであることができ、また、延伸ポリプロピレン、延伸ポリアミド(ナイロン)または、高密度ポリエチレンなどのポリエチレンまたは紙またはフォイルを挙げることができる。この層は、光学的に透明である場合、裏面印刷可能であり得、および、パッケージは多層構造の全厚さを通してシールされるため、パッケージの形成に用いられるシール温度によって影響されない。外側構造または酷使層が光学的に透明ではない場合、この層は、表面印刷されることができ、および次いで任意に保護コーティングまたはラッカーでコートされることができる。この層の厚さは、フィルムの剛性を制御するようにされることができ、約10μm〜約100μm、または約12μm〜約50μmの範囲であり得る。
【0073】
内側層としては、1つ以上の充填層を挙げることができる。この層は、普通の低コストのポリマーを用いることにより、最終的な、予め規定された厚さを有する構造を作製するために追加することができる。充填層は、例えば、ポリオレフィン、ポリオレフィン極性コポリマー、ポリエステルおよび/または種々の充填層成分のブレンドであることができる。充填層はまた、生産処理において発生した粉砕再生材料およびスクラップの組み込みに好適である。例えば、種々の理由から、販売に好適ではない材料、または半仕上げロールの縁のトリミングにより発生する材料から発生したスクラップは、粉砕し、および比較的低コストでバルクを提供する内側層に組み込むことができる。
【0074】
内側層としては、1つ以上の接着剤層を挙げることができる。この接着剤層は、外側構造層を内側層に、内側層を最内層に接着することができ、または、内側層が単に接着剤として作用し得る場合には、外側層を直接的に最内層に結合する。
【0075】
構造およびバリア層は、水分および酸素に対する効果的なバリアと、処理および/または製品をパッケージングするのに好適な、清澄性、靭性および耐破壊性などの内部機械特性とを提供する、ポリマーの種々の層を含むよう組み合わされることができる。いくつかの用途において、構造およびバリア層の機能は、構造およびバリア層の機能は、好適な樹脂の単一の層中に組み合わされ得る。例えば、ナイロンまたはPETが、構造およびバリア機能の両方について好適である。
【0076】
ポリアミド(ナイロン)としては、脂肪族ポリアミド(脂肪族ポリアミド、脂肪族コポリアミド、およびこれらのブレンドまたは混合物)、アモルファスポリアミド、またはこれらの混合物が挙げられる。脂肪族ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6.66、これらのブレンドおよび混合物が挙げられる。ポリアミド6.66は、商品名「Ultramid(登録商標)C4」および「Ultramid(登録商標)C35」でBASFから、または商品名「Ube(登録商標)5033FXD27」でUbe Industries Ltd.から市販されている。ポリアミド6は、例えば、商品名Capron(登録商標)でHoneywell Internationalから市販されている。
【0077】
フィルムはさらに、米国特許第5,408,000号明細書;同第4,174,358号明細書;同第3,393,210号明細書;同第2,512,606号明細書;同第2,312,966号明細書および同第2,241,322号明細書に開示されたものなどの他のポリアミドを含み得る。
【0078】
フィルムはまた、部分的に、商品名Selar(登録商標)PAでDuPontから市販されている、または商品名Grivory(登録商標)G21でEMS−Chemie AGから市販されているアモルファスナイロン樹脂6−I/6−Tなどの芳香族コポリアミドを包含する芳香族ポリアミドを含み得る。
【0079】
アイオノマーは、エチレンなどのオレフィンと、アクリル酸またはメタクリル酸などの不飽和カルボン酸と、任意成分の軟化モノマーとのコポリマーであり、ナトリウム、カリウムまたは亜鉛などのアルカリ金属、遷移金属、またはアルカリ土類金属カチオンの少なくとも1つ以上が、コポリマー中の酸性基のいくつかの部分を中和するのに用いられる。例えば、「エチレン/(メタ)アクリル酸(E/(M)AA)」は、エチレン(E)/アクリル酸(AA)および/またはエチレン/メタクリル酸(MAA)のコポリマーを意味し、これは、アルカリ金属、遷移金属、またはアルカリ土類金属カチオンの1つ以上によって少なくとも部分的に中和されて、アイオノマーが形成されている。ターポリマーはまた、エチレンなどのオレフィンと、不飽和カルボン酸と、アルキル(メタ)アクリレートなどの他のコモノマーとから形成することができ、より軟らかいアイオノマーを形成するために中和されることができる「より軟らかい」樹脂が提供される。アイオノマーは、従来公知であり、およびそれらの調製手法は、例えば、米国特許第3,344,014号明細書に記載されている。
【0080】
無水物または酸−変性エチレンおよびプロピレンホモ−およびコ−ポリマーを、押出し可能な接着剤層(「結束」層としても知られている)として用いることができ、ポリマーが互いに良好に接着しない場合、ポリマーの層同士の結合性が改善され、従って多層構造中における層−層接着が改善される。ポリマー技術分野における当業者は、構造中に用いられた他の材料に基づいて適切な結束層を選択することができる。例えば、DuPontからのBynel(登録商標)などの種々の結束層組成物が市販されている。
【0081】
約20〜約50モル%エチレンを有するポリエチレンビニルアルコール(EVOH)を用いることができる。好適なEVOHコポリマーが市販されている(例えばKurarayからのEVAL(登録商標)または日本合成化学工業株式会社からのSoarnol(登録商標))。
【0082】
本願明細書において用いるのに好適なポリ塩化ビニリデン(PVDC)ポリマーおよびコポリマーは、例えばDow Chemicalから商品名Saran(登録商標)で商業的に得ることができる。
【0083】
第2の基材として用いられるフィルムの生産は、公知の手法のいずれかに基づいて実施されることができる。例えば、組成物の押出しにより一次フィルムを生産するために、いわゆる「インフレーションフィルム」または」フラットダイ」手法を用い得る。インフレーションフィルムは、高分子組成物を環状ダイを通して押出すと共に、得られたチューブラーフィルムを空気流で膨張させてインフレーションフィルムを提供することにより調製される。キャストフラットフィルムは、組成物をフラットダイを通して押出すことによって調製される。ダイを出るフィルムは、内部循環流体を含有するロール(チルロール)または水浴の少なくとも一方により冷却されてキャストフィルムが提供される。フィルムは、スリッティングなどの従来の技術によってサイジングされて、パッケージングフィルムを提供することができる。フィルムの幅は約60cm(2フィート)であることができる。
【0084】
フィルムはさらに、即時の急冷またはフィルムのキャスティングの後延伸されることができ、溶融ポリマーの層流を押出す工程と、押出し物を急冷する工程と、急冷された押出し物を少なくとも1つ以上の方向に延伸する工程とを含む。「急冷された」とは、固体のフィルム材料を得るために実質的にその融点未満に冷却された押出し物を表現する。
【0085】
当業者に周知である通り、フィルムは、非延伸であることができ、一軸方向へ延伸(例えば縦方向)、または二軸方向へ延伸(例えば縦方向および交差方向)されていることができる。例えば、米国特許第3,278,663号明細書;同第3,337,665号明細書;同第3,456,044号明細書;同第4,590,106号明細書;同第4,760,116号明細書;同第4,769,421号明細書;同第4,797,235号明細書および同第4,886,634号明細書(本願明細書においてこれらの説明は簡潔さのために省略する)を参照のこと。例えば、インフレーションフィルムは西洋ナシ形押出し処理を用いて延伸され得、一次チューブを押出すことにより同時の二軸延伸が達成され、これが続いて急冷され、再加熱されおよび次いで、内部ガス圧によって膨張されて交差延伸が誘起され、ならびに縦方向に延伸を誘起する比での差動速度ニップまたはコンベヤーローラによって延伸される。二軸延伸は、フィルムの面内において2つの相互に直交する方向に延伸することにより行うことができ、良好な機械的および物理特性の組み合わせが達成される。
【0086】
また、例えば、フィルムは、フィルム中のポリマー鎖が一般に押出し方向に整列される押出し方法によって形成されることができる。高度に一軸延伸された後の直鎖ポリマーは、延伸方向にかなりの強度を備えるが、交差方向において強度に劣る。
【0087】
基材として用いられるフィルムは、良好な接着には処理は必要ではないが、コロナ放電の手段、オゾンの手段または産業において標準的な他の手段によって表面処理されていてもよい。
【0088】
接着剤層の厚さは、好ましくは約10および40μmまたは約15および30μmの厚さである。
【0089】
多層構造は、パッケージ材料として、産業フィルムとして、または可熱成形ウェブとして、多種多様なパッケージング用途において有用であり得る。
【0090】
パッケージ材料はまた、例えば、印刷、エンボス加工、および/または着色によってさらに処理され得、その中の製品についての情報を消費者に提供するおよび/またはパッケージの好ましい外観を提供するパッケージ材料が提供される。
【0091】
特定の多層構造が以下に列挙されており、ここにおける接着剤結束層は、本発明のエチレン/アルキル(メタ)アクリレート−ポリオレフィン組成物から調製され、ここで、「tie」とは、上述した通り押出し可能な接着剤または結束層を指し、および「adh」とは接着剤系を指す。
【0092】
PVC/tie/PCTFE;
PET/tie/PCTFE;または
ナイロン/adh/PET/tie/PCTFE。
【0093】
多層構造は、ブリスターパック、ポーチおよびふた付き容器を包含する容器などのパッケージに、技術分野において周知である標準的な手法によって組み込み得る。従って、本発明は、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート−ポリオレフィン組成物および/または上記の多層構造を含むパッケージを提供する。
【0094】
PCTFE層は、PVCまたはポリエステルの層に、本発明の組成物で接着されて、成形構造を作製することができる。PVCまたはPETを、いずれもPCTFEよりかなり安価であるためバルクを構造に提供するのに用いることができる。両方の材料は高い清澄性および成形性を提供する。
【0095】
PCTFEフィルムは、最内層およびヒートシール性トップウェブ用のシール基材になり得、最終的なパッケージにPCTFEの完全なバリア特性を実現化し、より長い保管寿命をもたらすことを許容する。
【0096】
パッケージは、上に開示されたエチレン/アルキル(メタ)アクリレート−ポリオレフィン−粘着付与剤組成物を含む少なくとも1つの層と、フルオロポリマー(例えば、PCTFE)を含む少なくとも1つの層と;フォイル、板紙、HDPE、PP、HIPS、APET、CPET、PVC、ポリアクリロニトリルホモポリマーおよびコポリマー、ポリアセタールおよびポリアセタールコポリマー、またはこれらの2つ以上の組み合わせを包含する少なくとも1つの層とを含む構造を含む熱成形ブリスターパックの形態であることができる。
【0097】
パッケージまたは容器としては、フォイル、板紙、ガラス、高密度HDPE、PP、HIPS、発泡ポリスチレン(EPS)、アクリル系ホモポリマーおよびアクリル系コポリマー、ポリカーボネート、ポリスルホン、APET、CPET、PVC、PCTFE、ポリアクリロニトリルホモポリマーおよびコポリマー、ポリアセタールおよびポリアセタールコポリマー、またはこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの層を含み、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート−ポリオレフィン組成物を含む剥離性ふたおよび/または上記の多層構造を備える構造を含む成形された、打抜きされたまたは熱成形された剛性容器が挙げられる。上に列挙された材料に加えて、容器は他の材料を含有し得る。例えば、高分子樹脂が、種々の添加剤によって変性されて、強化CPETなどの容器の調製に好適な変性高分子ブレンドを提供し得る。材料はまた、嵌め外し剤(denesting agents)などの他の添加剤で変性されることができ、および充填材などの添加剤で変性されることもできる。容器は、最内製品接触層と、バリアまたは充填層であることができる内側層と、外側または酷使層とを含有する多層容器であることができる。
【0098】
このような容器は、ヨーグルト、プディング、カスタード、ゼラチン、フルーツソース(例えば、リンゴソース)等などの製品のパッケージに用い得る。これらはまた、チーズスプレッドおよびディップのパッケージに用い得る。
【0099】
パッケージはまた、可撓性フィルム(例えば、ポーチ)を包含し得る。ポーチは、典型的には、ポーチの周縁の周りに永久的にシールされる、可撓性フィルムのシートを重ね合わせて形成される。ポーチは、水で戻すための、麺類および調味料などのドライフード;クッキー、チップ等などのドライスナック;ならびに食肉および冷凍または冷蔵食のパッケージとして用いることができる。
【0100】
フルオロポリマー−含有多層構造の他の用途としては、燃料経路ホースおよび関連する容器ならびに、バリア特性、高温および低温耐性、および耐薬品性の特定の組み合わせが必要とされる、レトロフレクティブ(retroflective)シート材料、フィルム、容器、またはチューブが挙げられる。例えば、燃料蒸発基準についての関心の増加が燃料充填材経路、燃料供給経路、燃料タンク、およびエンジンの燃料制御系の他の部品を包含する自動車部品を通る燃料蒸気の透過を最小限にする、増加されたバリア特性を有する燃料系部品に対する必要性;ならびに、耐薬品性およびバリア特性が重要である、フィルムおよびボトルなどの吹き込み成形物品の必要性を生じさせている。
【0101】
以下の実施例は単に例示であり、および本発明の範囲の限定として解釈されるべきではない。
【実施例】
【0102】
押出し機中における乾式配合に続く溶融配合の、標準的なブレンド技術を用いて以下に列挙した材料から組成物を調製して、以下の表1〜3にまとめた本発明の組成物である実施例1から12を提供した。
【0103】
用いた材料
EMA−7:DuPontから入手可能な、MIが6である、エチレン/メチルアクリレート(9重量%)コポリマー。
【0104】
EMA−8:DuPontから入手可能な、MIが8である、エチレン/メチルアクリレート(20重量%)コポリマー。
【0105】
EMA−9:DuPontから入手可能な、MIが9である、エチレン/メチルアクリレート(13重量%)コポリマー。
【0106】
PE−1:MIが3.5である、エチレンおよび1−ブテンのコポリマー(Exact(登録商標)3035としてExxonMobilから入手可能)。
【0107】
PE−2:MIが3.5である、エチレンおよび1−オクテンのコポリマー(12重量%オクタン)(Engage(登録商標)8450としてDuPont Dow Elastomersから入手可能)。
【0108】
PE−3:DuPontから入手可能な低密度ポリエチレン。
【0109】
Add−1:エチレン/メタクリル酸コポリマー中の2重量%の二酸化ケイ素分散物(Conpol(登録商標)20S2としてDuPontから入手可能)。
【0110】
Tack−1:Piccolyte(登録商標)C115としてPinovaから入手可能な、ポリリモネンから誘導された粘着付与剤樹脂。
【0111】
Tack−2:Regalite R1125としてEastmanから入手可能な粘着付与剤樹脂。
【0112】
Filler−1:50重量%のタルクおよび50重量%のEMA−8のマスターバッチプレブレンド。Filler−1が組成物に存在していると報告されている場合、存在する充填材(すなわちタルク)の実際の量は、報告された重量%の半分であった。さらに、Filler−1が組成物に存在していると報告されている場合、報告された重量%の半分が、組成物中の他のいずれのエチレン/アルキルアクリレートの量に追加されたエチレン/アルキルアクリレートの量であった。
【0113】
Filler−2:高耐衝撃性ポリスチレン(FX510としてNova Chemical Companyから入手可能)。
【0114】
Antiox−1:酸化防止剤Irganox(登録商標)1010。
【0115】
組成物は、量が重量部として列挙されて表1〜3にまとめられている。「−−」は成分が組成物中に存在しなかったことを意味する。
【0116】
表1

【0117】
表2

【0118】
表3

【0119】
実施例13
接着剤層として実施例10の組成物を含む多層構造を、Egan積層機での押出し積層により調製した。実施例10の組成物を、以下の温度プロファイル(°F)でフラットダイを通してエクストルーダに供給した:
供給ゾーン:350、ゾーン2:470、ゾーン3:490、計量ゾーン:490、アダプター:490、ダイ:490。
【0120】
得られた溶融カーテンを、300フィート/分(fpm)のライン速度で、0.02〜0.05ミルの公称範囲で9ミルPVC1次基材および0.9ミルPCTFE2次フィルム基材の間に敷き、および艶消仕上ロールおよびTeflon(登録商標)加圧ロールの間にニップした。基材を表面処理しなかった。
【0121】
実施例14
0.9ミルPCTFEフィルム基材上に接着剤コーティング層として実施例10の組成物を含む2層構造を、実施例13に類似の処理条件を用いて、Egan積層機での押出しコーティングによって調製した。
【0122】
実施例15
接着剤結束層として実施例10の組成物を含む、9ミルPVC/0.02〜0.05ミルtie/0.9ミルPCTFE3層構造を、実施例13に類似の処理条件を用いて、積層機での押出し積層によって調製した。
【0123】
実施例16
接着剤結束層として実施例10の組成物を含む、9ミルPET/0.02〜0.05ミルtie/0.9ミルPCTFE3層構造を、実施例13に類似の処理条件を用いて、積層機での押出し積層によって調製した。
【0124】
実施例17
9ミルPVC/0.02〜0.05ミルtie/0.9ミルPCTFE基材上に、接着剤ヒートシールコーティング層として実施例10の組成物を含む4層構造を、実施例13に類似の処理条件を用いて、実施例9の3層積層体のPCTFE表面を積層機で押出しコーティングすることによって調製した。替わりに、4層構造は、タンデム機能を備えた積層機(すなわち第2の積層アセンブリを備えた機器)を通す単一パスで、第1の積層アセンブリにおいて、実施例10の組成物の溶融カーテンをPVCおよびPCTFE基材の間に敷き、および次いで第2の積層アセンブリにおいて、PCTFE表面を実施例10の組成物で押出しコーティングすることにより調製することができた。
【0125】
実施例18
9ミルPET/0.02〜0.05ミルtie/0.9ミルPCTFE基材上に、接着剤ヒートシールコーティング層として実施例10の組成物を含む4層構造を、実施例13に類似の処理条件を用いて、実施例10の3層積層体のPCTFE表面を積層機で押出しコーティングすることによって調製した。替わりに、4層構造は、タンデム機能を備えた積層機(すなわち第2の積層アセンブリを備えた機器)を通す単一パスで、第1の積層アセンブリにおいて、実施例10の組成物の溶融カーテンをPVCおよびPCTFE基材の間に敷き、および次いで第2の積層アセンブリにおいて、PCTFE表面を実施例10の組成物で押出しコーティングすることにより調製することができた。
【0126】
実施例19
接着剤結束層およびヒートシール層として実施例10の組成物を含む4層構造を、層状ダイを通した共押出しによって調製して、9ミルPVC/0.02〜0.05ミルtie/0.9ミルPCTFE/0.02〜0.05ミルシーリング材構造を提供した。
【0127】
実施例20
接着剤結束層およびヒートシール層として実施例10の組成物を含む4層構造を、層状ダイを通した共押出しによって調製して、9ミルPET/0.02〜0.05ミルtie/0.9ミルPCTFE/0.02〜0.05ミルシーリング材構造を提供した。
【0128】
実施例21〜25
押出し機中における乾式配合に続く溶融配合の、標準的なブレンド技術を用いて、表4および5に列挙された材料をブレンドすることにより組成物を調製して、本発明の組成物である実施例21〜25を提供した。80重量%のTack−1および20重量%のPE−2の溶融ブレンドを、これらの組成物において、Tack−1の供給源(補足的なPE−2と共に)として用いた(表4および5において、これらの成分について報告された量は、プレブレンドの組み込み後の総量である)。
【0129】
表4

【0130】
表5

【0131】
実施例において利用されたテスト
剥離強度:シール層を、標準的なシーリング機器および条件を用いて基材にシールして、1インチ幅のシールされたストリップを提供した。層を、特に記載のない限り、シール層/基材界面で分離し、および引張試験機において室温で、12インチ/分の剥離速度での「T−剥離」構成で引張った。層を分離するための平均の力を幅で除したものが剥離強度(g/インチ)として報告された。典型的には、3〜10の個別の測定値を一緒に平均して報告した。
【0132】
実施例13の多層構造のサンプルを剥離強度についてテストした。10個のサンプルについての平均は、380g/インチであった。
【0133】
実施例26
実施例9のフィルムの多層構造を、Medipak Model CP−2lパッケージング機(上部および下部成形温度115℃)を用いてブリスターパックブランクに熱成形した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のエチレンコポリマー、少なくとも1種のポリオレフィン、少なくとも1種の粘着性樹脂、および任意成分の充填材を含む組成物であって、
前記エチレンコポリマーがエチレン、アルキル(メタ)アクリレート、および任意成分のコモノマーから誘導される繰り返し単位を含み、
前記ポリオレフィンが、好ましくはポリエチレンホモポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、エチレンを含むコポリマー、またはプロピレンを含むコポリマー、またはこれらの2つ以上の組み合わせを包含し、
前記粘着性樹脂が、好ましくはクマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、ブタジエン−スチレン樹脂、炭化水素樹脂、ロジン材料、またはこれらの2つ以上の組み合わせを包含し、
前記任意成分のコモノマーが無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、一酸化炭素、またはこれらの2つ以上の組み合わせを包含し、ならびに
(a)約10〜約80重量%の少なくとも1種のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、約5〜約60重量%の少なくとも1種のポリオレフィン、約0.5〜約35重量%の少なくとも1種の粘着性樹脂、および0〜約35重量%の充填材、または
(b)約15〜約70重量%の少なくとも1種のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、約15〜約45重量%の少なくとも1種のポリオレフィン、および(c)約10〜約20重量%の少なくとも1種の粘着性樹脂、または
(c)約40〜約70重量%の少なくとも1種のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、約15〜約45重量%の少なくとも1種のポリオレフィン、および約10〜約20重量%の少なくとも1種の粘着性樹脂
を含むかまたはそれから製造される組成物。
【請求項2】
前記エチレンコポリマーが前記組成物に約40〜約70重量%で存在し、前記エチレンコポリマーが5〜30重量%のC1-4アルキル(メタ)アクリレートから誘導される繰り返し単位を含み、好ましくは前記エチレンコポリマーが9〜24重量%のメチルアクリレートから誘導される繰り返し単位を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エチレンコポリマーが約0.1〜約100g/10分、約0.5〜約50g/10分、または約0.5〜約30g/10分のメルトインデックスを有し、および前記エチレンコポリマーが好ましくは各々エチレンおよびメチルアクリレートから誘導される2種の異なるコポリマーを含む請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記エチレンコポリマーが前記任意成分のコモノマーから誘導される繰り返し単位をさらに含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリオレフィンが、エチレンおよび1−ブテン、1オクテン、またはこれらの組み合わせから誘導されるコポリマーである請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記粘着性樹脂がポリリモネンから誘導される請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記エチレンコポリマーが管型反応器製造エチレンコポリマーである請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が第1の基材、第2の基材、または両方に接着されており、前記第1の基材がフルオロポリマー材料であり、前記第2の基材がフォイル、紙、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリエチレンビニルアセテート、エチレン酸コポリマー、エチレン酸コポリマーのアイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、無水物変性ポリオレフィン、またはこれらの2つ以上の組み合わせであり、および前記第1の基材、前記第2の基材、または両方はフィルムまたはシートの形態であってもよい請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物を含む少なくとも1つの層と、少なくとも1種のフルオロポリマーを含む少なくとも1つの層を含み、および少なくとも1つの層を任意に含んでもよい多層構造であって、前記組成物が、請求項1〜8のいずれか一項に記載のものであり、前記フルオロポリマーが、好ましくはポリクロロトリフルオロエチレンであり、前記任意に含んでいてもよい層がフォイル、紙、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリエチレンビニルアセテート、エチレン酸コポリマー、エチレン酸コポリマーのアイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、無水物変性ポリオレフィン、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含み、および前記任意に含んでいてもよい層が、好ましくはポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含む多層構造。
【請求項10】
前記任意に含んでいてもよい層を含み、前記多層構造が可熱成形ウェブまたは可撓性フィルムを包含する請求項9に記載の多層構造。
【請求項11】
多層構造を含むかまたはそれから製造されるパッケージであって、前記パッケージが成形容器、加圧容器、熱成形剛性容器、ブリスターパック、熱成形ブリスターパック、またはこれらの2つ以上の組み合わせを包含し、および前記多層構造が請求項9または10に記載のものであるパッケージ。
【請求項12】
フォイル、板紙、ガラス、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、高耐衝撃性ポリスチレン、発泡ポリスチレン、アクリル系ホモポリマーおよびアクリル系コポリマー、ポリカーボネート、ポリスルホン、アモルファスポリエチレンテレフタレート、結晶性ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、フルオロポリマー、ポリアクリロニトリルホモポリマーおよびコポリマー、ポリアセタール、ポリアセタールコポリマー、またはこれらの2つ以上の組み合わせを包含する基材層と、
少なくとも第1の層および少なくとも第2の層を含む剥離性ふたであって、前記第1の層が組成物を含むかまたはそれから製造され、前記組成物が、約10〜約90重量%の少なくとも1種のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、約5〜約60重量%の少なくとも1種のポリオレフィン、0〜約35重量%の少なくとも1種の粘着性樹脂、および0〜約35重量%の充填材を含むかまたはそれから製造され、および前記第2の層がフルオロポリマー、好ましくはポリクロロトリフルオロエチレンを含むかまたはそれから製造されるふたとを含み、ならびに
前記パッケージが容器、ポーチ、または両方である
請求項11に記載のパッケージ。
【請求項13】
組成物を(1)フルオロポリマー、好ましくはポリクロロトリフルオロエチレンを含むかまたはそれから製造される物品、(2)任意に含んでいてもよい層、または(1)および(2)の両方に接着する工程を含み、前記組成物が請求項1〜8のいずれか一項に記載のものであり、および前記任意に含んでいてもよい層が請求項26に記載のものである方法。

【公表番号】特表2008−507597(P2008−507597A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521641(P2007−521641)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/025006
【国際公開番号】WO2006/019922
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】