説明

エチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法

【課題】2種類以上配合しても、生産性及び溶融成形性に優れたエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の提供
【解決手段】エチレン−ビニルエステル共重合体(A')及び、特定の水酸基、アルコキシ基、アシル基又は環状カーボネート構造又は環状アセタール構造を有する不飽和化合物に由来する構造単位を含有する変性エチレン−ビニルエステル共重合体(B')を同一系内で加溶媒分解して、エチレン−ビニルエステル共重合体の加溶媒分解物(A)及び水酸基を側鎖に2個有する構造単位を有する変性エチレン−ビニルエステル共重合体の加溶媒分解物(B)を含有するエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物を製造する工程を含み、該加溶媒分解工程における各成分の含有量の比(B')/(A')が1以上であり、かつ、各成分の配合割合(B')/(A')が、重量比にて50/50〜1/99である該加溶媒分解物組成物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエチレン−ビニルエステル共重合体の加溶媒分解物(以下EVOH樹脂と称することがある)及び変性EVOH樹脂を含むEVOH樹脂組成物の製造方法に関するものであり、特に生産性、および溶融成形性に優れる。そして、融解ピーク差が0であるか、融解ピークが2つ以上ある場合は、最も高温の融解ピークと最も低温の融解ピークの差が特に小さいEVOH樹脂組成物を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にEVOH樹脂は、透明性、ガスバリア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れている。従来より、かかる特性を生かして、食品包装材料、医薬品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料等のフィルムやシート、或いはチューブ、カップ、トレイ、ボトル等の容器に成形されて利用されている。
【0003】
そして、EVOH樹脂の溶融成形性を改善するために、下記一般式(α)で示される側鎖1,2−ジオール構造単位を有する変性EVOH樹脂を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【化1】

[ここで、Xは結合鎖であってエーテル結合を除く任意の結合鎖で、R1〜Rはそれぞれ独立して任意の置換基であり、nは0または1を表す。]
【0004】
一方、EVOH樹脂のガスバリア性や溶融成形性を向上させるため、例えば、エチレン含有量やケン化度等の異なる2種以上のEVOH樹脂を混合したEVOH樹脂組成物を成形物に用いる技術が知られている。これを上記技術に適用し、未変性のEVOH樹脂と上記変性EVOH樹脂をブレンドする技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
かかる技術では、樹脂組成物層とポリオレフィン樹脂層とを積層することにより、高速製膜を行った場合でもネックインが小さく、延伸性に優れ、延伸後のガスバリア性が安定した積層体を得ることが可能である。
【0005】
一般的に、EVOH樹脂は、主として溶融成形に用いられるため、熱によって均一に溶融し、かつ成形後に均一に固化することが好ましい。しかしながら、上記のように異なるEVOH樹脂を混合する技術では、エチレン含量やケン化度、変性基の種類や変性量などが互いに異なるEVOH樹脂を用いるため、当然ながら各々EVOH樹脂の有する融点が異なる。ゆえに、溶融成形する場合には、融解性が均一でないために組成成分の相溶性が不十分となったり、また各成分が固化するスピードが異なるために相分離を起こしたりする傾向があるため、該EVOH樹脂組成物から得られた成形物には厚みムラやすじが発生するという問題があった。
【0006】
かかる問題に対する解決法として、あらかじめ各々のEVOH樹脂の融解ピーク差を小さくするようにエチレン含有量やケン化度や変性度を調節した変性EVOH樹脂と通常のEVOH樹脂をそれぞれ別に製造した後、混合する方法がある。しかしながらかかる方法では、一つ一つの樹脂を個別に製造しなければならないため、生産性を損なう傾向がある。
また、各々の加溶媒分解前の樹脂を混合し、同時に加溶媒分解すると、生産性が良好になり、かつ互いに融解ピークが近づく傾向があるが、融解ピーク差は未だ大きく、溶融成形物の厚みやスジを完全に解消するには改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−359965号公報
【特許文献2】特開2006−124668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、側鎖1,2−ジオール構造単位を含有する変性EVOH樹脂と、異なるEVOH樹脂とを含むEVOH樹脂組成物において、簡便な工程にて、融解ピーク差が特に小さくなり、溶融成形性に優れたEVOH樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記事情に鑑み、鋭意検討した結果、変性エチレン−ビニルエステル共重合体(以下、エチレン−ビニルエステル共重合体をEVE樹脂と略することがある)(B')のエチレン含有量を、EVE樹脂(A')のエチレン含有量以上とし、(B')の配合重量比を(A’)の同量以下とすることにより、EVOH樹脂組成物の融解ピーク差が小さくなることを見出し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、EVE樹脂(A')、および一般式(2)に示される化合物に由来する構造単位を含有する変性EVE樹脂(B')を同一系内で加溶媒分解し、かつ前記EVE樹脂(A')のエチレン含有量と、前記変性EVE樹脂(B')のエチレン含有量の比(B')/(A')が1以上であり、かつ(B')/(A')の配合比が、重量比にて50/50〜1/99として製造することにより、得られるEVOH樹脂組成物の融解ピーク差が特に小さくなり、生産性および溶融成形性が向上するという予想外の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は実施例1におけるEVOH樹脂組成物の融解ピークを示す。
【図2】図2は実施例2におけるEVOH樹脂組成物の融解ピークを示す。
【図3】図3は比較例1におけるEVOH樹脂組成物の融解ピークを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
【0013】
本発明は、EVE樹脂(A')及び、一般式(2)に示される化合物に由来する構造単位を含有する変性EVE樹脂(B')を同一系内で加溶媒分解する工程、及び、EVOH樹脂(A)及び一般式(1)で示される構造単位を有する変性EVOH樹脂(B)を含有するEVOH樹脂組成物を製造する工程を含み、該加溶媒分解する工程におけるEVE樹脂(A')及び変性EVE樹脂(B')のエチレン含有量の比(B')/(A')が1以上であり、かつ(B')/(A')の配合比が、重量比にて50/50〜1/99である、EVOH樹脂組成物の製造方法に関する。
【化6】

[一般式(1)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表す。]
【化7】


[一般式(2)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、R7及びR8はそれぞれ独立して水素原子、炭化水素基またはR9−CO−(式中、R9はアルキル基である)を表し、R7とR8は結合して5員環を形成してもよく、該5員環は環状カーボネート構造または環状アセタール構造である。]
なお、下記一般式(3)は、一般式(2)において、R7及びR8が結合して5員環を形成し、該5員環が環状カーボネート構造である化合物の例であり、下記一般式(4)は、一般式(2)において、R7及びR8が結合して5員環を形成し、該5員環が環状アセタール構造である化合物の例である。
【化8】

【化9】

[一般式(4)において、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子または炭化水素基を表す。]
【0014】
<EVE樹脂(A')、およびEVOH樹脂(A)の説明>
本発明における、EVOH樹脂(A)は、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合させたエチレン−ビニルエステル共重合体(以下、EVE樹脂と称することがある)(A')を得た後に、該EVE樹脂(A')を加溶媒分解させることにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。一般的に食品包装用のフィルム等に用いられる。該EVE樹脂(A')は公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造される。
【0015】
上記ビニルエステル系モノマーとしては、代表的には酢酸ビニルが用いられる。場合によっては例えばギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられ、通常炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルである。これらビニルエステル系モノマーは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体をEVA樹脂と称する。
【0016】
EVE樹脂(A')、およびEVOH樹脂(A)におけるエチレン含有量は、加溶媒分解の前後に変化するものではないので、同じ値となる。かかるエチレン含有量はISO14663に基づいて測定した値で、通常20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%、特に好ましくは30〜40モル%である。かかる含有量が低すぎる場合は、溶融成形性が不足する傾向があり、逆に高すぎる場合は、ガスバリア性が不足する傾向がある。
【0017】
EVE樹脂(A')において、エチレン由来の構造単位でない部分は、ビニルエステルまたは後述する他の共重合可能な成分由来の構造単位である。
【0018】
EVOH樹脂(A)において、エチレン由来の構造単位でない部分は、ビニルエステル由来の構造単位が加溶媒分解されたビニルアルコール構造単位、および加溶媒分解後に残存する微量のビニルエステル由来の構造単位、あるいは後述する他の共重合可能な成分由来の構造単位である。EVOH樹脂(A)におけるビニルアルコール構造単位含有量は、通常40〜80モル%、好ましくは50〜70モル%、特に好ましくは60〜70モル%である。
【0019】
また、該EVE樹脂(A')のペースト粘度は、メタノール溶媒にて樹脂分40重量%のペースト粘度をB型粘度計(ローターNo.2、回転数10rpm、ペースト温度65℃)にて測定した値で、通常101〜105mPa・s、好ましくは102〜104mPa・s、特に好ましくは102〜103mPa・sである。かかる値が大きすぎる場合又は小さすぎる場合、後述する変性EVE樹脂(B’)との相溶性が不良となる傾向がある。
EVE樹脂(A')の一定樹脂分におけるペースト粘度は、EVE樹脂(A')の重合度に対応する数値である。EVE樹脂(A')の重合度が高ければ粘度が大きくなる傾向があり、低ければ粘度が小さくなる傾向がある。
【0020】
<変性EVE樹脂(B')、および変性EVOH樹脂(B)の説明>
本発明で用いる、一般式(1)で示される構造単位を有する変性EVOH樹脂(B)について説明する。
【化10】

[一般式(1)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
【0021】
かかる樹脂は通常、エチレンとビニルエステル系モノマーと一般式(2)で示される化合物との共重合により得られた変性EVE樹脂(B')を加溶媒分解することにより得られる樹脂である。
【化11】

[一般式(2)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、R7及びR8はそれぞれ独立して水素原子、炭化水素基またはR9−CO−(式中、R9はアルキル基である)を表し、R7とR8は結合して5員環を形成してもよく、該5員環は環状カーボネート構造または環状アセタール構造である。]
【0022】
かかる一般式(2)で示される化合物は、エチレンおよびビニルエステル系モノマーとの共重合後、該共重合体を加溶媒分解した場合に、ビニルエステル系モノマー由来の構造単位が加溶媒分解される条件と同条件下で加溶媒分解され、上記一般式(1)で示される構造単位となるような化合物である。
かかる樹脂は例えば、日本国特開2004−359965号公報に記載の方法で製造することができる。
【0023】
なお、上述したように、下記一般式(3)は、一般式(2)において、R7及びR8が結合して5員環を形成し、該5員環が環状カーボネート構造である化合物の例であり、下記一般式(4)は、一般式(2)において、R7及びR8が結合して5員環を形成し、該5員環が環状アセタール構造である化合物の例である。
【化12】


【化13】

[一般式(4)において、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子または炭化水素基を示す。]
【0024】
一般式(2)で示される化合物の中でも、EVE樹脂(A’)と構造が類似するためにEVE樹脂(A’)との親和性が高く混合効率に優れる点、および製造時に出る不純物がEVE樹脂(A’)と類似するため工業生産性に優れる点から、下記一般式(2a)に示すような化合物を用いることが好ましい。
【化14】


[一般式(2a)において、R7及びR8はそれぞれ独立して水素原子またはR9−CO−(式中、R9はアルキル基である)である]
【0025】
但し、上記一般式(2a)において、R1〜R6は前記一般式(1)と同様である。R7及びR8について好ましくはそれぞれR9−CO−である。R9は通常炭素数1〜20のアルキル基であり、工業生産性から好ましくは1〜10のアルキル基であり、特に好ましくは1〜5のアルキル基であり、殊に好ましくはメチル基である。
すなわち、一般式(2a)に示す化合物として具体的には、通常、3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテンが挙げられ、好ましくは3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、3−アセトキシ−4−オール−1−ブテン、4−アセトキシ−3−オール−1−ブテン、3,4−ジアセトキシ−2−メチル−1−ブテンであり、特に好ましくは3,4−ジアセトキシ−1−ブテンである。
【0026】
前記ビニルエステル系モノマーとしては、前記EVE樹脂(A')およびEVOH樹脂(A)に用いられるものと同様のものが用いられ、通常炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルである。経済的な点から、特に好ましくは酢酸ビニルが用いられる。かかるビニルエステル系モノマーは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
【0027】
上記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位におけるR1〜R6は、すべて水素原子であることが好ましい。
1〜R6が有機基である場合、R1〜R3は、それぞれ独立して、通常炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15、さらに好ましくは炭素数1〜4の炭化水素基である。R4〜R6は、それぞれ独立して、通常炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜15、さらに好ましくは炭素数1〜4の炭化水素基である。
具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。
すなわち、R1〜R3は、それぞれ独立して、通常炭素数1〜30のアルキル基または水素原子、より好ましくは炭素数1〜15のアルキル基または水素原子、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基または水素原子であり、水素原子が最も好ましい。R4〜R6は、それぞれ独立して、通常炭素数1〜30のアルキル基または水素原子、より好ましくは炭素数1〜15のアルキル基または水素原子、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基または水素原子であり、水素原子が最も好ましい。特に、R1〜R6がすべて水素原子であるものが最も好ましい。
なお、上記R1〜R6に関する規定は、上記一般式(2)におけるR1〜R6においても同様に規定される。
【0028】
また、一般式(1)で表わされる構造単位中のXは、結晶性が維持されガスバリア性が優れる点から、結合鎖が短いことが好ましく、最も好ましくは単結合である。
なお、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよく、かかる結合鎖としては特に限定されないが、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素鎖(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2m−、−(CH2O)mCH2−等のエーテル結合部位を含む構造、−CO−、−COCO−、−CO(CH2mCO−、−CO(C64)CO−等のカルボニル基を含む構造、−S−、−CS−、−SO−、−SO2−等の硫黄原子を含む構造、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−等の窒素原子を含む構造、−HPO4−等のリン原子を含む構造などのヘテロ原子を含む構造、−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−等の珪素原子を含む構造、−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−等のチタン原子を含む構造、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等のアルミニウム原子を含む構造などの金属原子を含む構造等が挙げられる(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数であり、通常1〜30、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜10である。)。その中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で−CH2OCH2−、および炭素数1〜10の炭化水素鎖が好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜6の炭化水素鎖、特に好ましくは炭素数1の炭化水素鎖である。
なお、上記R1〜R6に関する規定は、上記一般式(2)におけるR1〜R6においても同様に規定される。
【0029】
上記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位における最も好ましい構造は、R1〜R6がすべて水素原子であり、Xが単結合であるものである。すなわち、下記一般式(1a)で示される構造単位が最も好ましい。
【化15】

【0030】
次に、EVOH樹脂(B)の加溶媒分解前のポリマーであるEVE樹脂(B')が有する構造単位について説明する。
[i]一般式(2)で表わされる化合物に由来する構造単位
下記一般式(2−1)で示される構造単位は、一般式(2)で表わされる化合物に由来する構造単位である。
【化16】

[一般式(2−1)において、R7及びR8はそれぞれ独立して水素原子、炭化水素基またはR9−CO−(式中、R9はアルキル基である)を表し、R7とR8は結合して5員環を形成してもよく、該5員環は環状カーボネート構造または環状アセタール構造である。]
但し、上記一般式(2−1)において、R1〜R6は前記一般式(1)と同様である。
【0031】
[ii]一般式(3)で表わされる化合物に由来する構造単位
下記一般式(3−1)で示される構造単位は、一般式(3)で表わされる化合物に由来する構造単位である。なお、一般式(3)は、一般式(2)において、R7及びR8が結合して5員環を形成し、該5員環が環状カーボネート構造である化合物の例である。
【化17】

但し、上記一般式(3−1)において、R1〜R6は前記一般式(1)と同様である。
【0032】
[iii]一般式(4)で表わされる化合物に由来する構造単位
下記一般式(4−1)で示される構造単位は、一般式(4)で表わされる化合物に由来する構造単位である。なお、一般式(4)は、一般式(2)において、R7及びR8が結合して5員環を形成し、該5員環が環状アセタール構造である化合物の例である。
【化18】

[一般式(4−1)において、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子または炭化水素基を示す。]
但し、上記一般式(4−1)において、R1〜R6は前記一般式(1)と同様である。R10およびR11は通常炭素数1〜20のアルキル基であり、生産性の観点から好ましくは1〜10のアルキル基であり、特に好ましくは1〜5のアルキル基であり、殊に好ましくはメチル基である。
【0033】
さらに、例えば最も好ましい構造である構造単位(1a)を含有する変性EVOH樹脂を例とすると、その製造方法としては、[1]コモノマーとして、一般式(2a)に示すような、3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン等を用い、これらとビニルエステル系モノマーおよびエチレンと共重合して共重合体を得、次いでこれを加溶媒分解する方法、あるいは、[2]コモノマーとして、一般式(3)に示すような、ビニルエチレンカーボネート等を用いてこれらとビニルエステル系モノマーおよびエチレンと共重合して共重合体を得、次いでこれを加溶媒分解、脱炭酸する方法、あるいは、[3]コモノマーとして、一般式(4)に示すような、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン等を用い、これらとビニルエステル系モノマーおよびエチレンと共重合して共重合体を得、次いで加溶媒分解、脱アセタール化する方法等が挙げられる。
【0034】
上記のなかでも、重合が良好に進行し、1,2−ジオール構造単位を高分子主鎖中に均一に導入しやすいという製造時の利点や、未反応モノマーが少なく製品中の不純物を減らすことができることから、上記[1]の製造方法を採用することが好ましく、特に好ましくは、共重合反応性に優れる点で3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとビニルエステル系モノマーおよびエチレンを共重合して得られた共重合体を加溶媒分解する方法である。さらには3,4−ジアシロキシ−1−ブテンとして、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを用いることが好ましい。また、上記[1]の製造方法で例示したモノマーの混合物を用いてもよい。
【0035】
なお、ビニルエステル系モノマーとして酢酸ビニルを用い、これと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを共重合させた際の各モノマーの反応性比は、r(酢酸ビニル)=0.710、r(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.701、であり、これは後述のビニルエチレンカーボネートの場合の、r(酢酸ビニル)=0.85、r(ビニルエチレンカーボネート)=5.4、と比較して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが酢酸ビニルとの共重合反応性に優れることを示すものである。
【0036】
また、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの連鎖移動定数は、Cx(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.003(65℃)であり、ビニルエチレンカーボネートの場合の、Cx(ビニルエチレンカーボネート)=0.005(65℃)や、2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソランの場合のCx(2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン)=0.023(65℃)と比較して、重合の阻害要因となって重合度が上がりにくくなったり、重合速度低下の原因となることがないことを示すものである。
【0037】
また、かかる3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、その共重合体を加溶媒分解する際に発生する副生物が主構造単位である酢酸ビニル構造単位に由来するものと同一であり、その後処理に特別な装置や工程を設ける必要がない点も、工業的に大きな利点である。また、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは少量の不純物として3,4−ジアセトキシ−1−ブタンや1,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−1−ブタン等を含んでいても良い。
【0038】
なお、3,4−ジオール−1−ブテンは、イーストマンケミカル社から、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは工業生産用ではイーストマンケミカル社、試薬レベルではアクロス社の製品を市場から入手することができる。また、1,4―ブタンジオール製造工程中の副生成物として得られる3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを利用することも出来る。
【0039】
上記[2]の製造方法により製造された1,2−ジオール構造単位を有する変性EVOH樹脂は、ケン化度が低い場合や、脱炭酸が不充分な場合には側鎖にカーボネート環が残存し、溶融成形時に脱炭酸され、樹脂が発泡する原因となる傾向がある。また、[3]の製造方法により製造された1,2−ジオール構造単位を有する変性EVOH樹脂も、[2]の製造方法により製造された1,2−ジオール構造単位を有する変性EVOH樹脂と同様に、側鎖に残存したモノマー由来の官能基(アセタール環)が溶融成形時に脱離して、臭気が発生する傾向があるため、これに留意して使用する必要がある。
【0040】
変性EVOH樹脂(B)における上記一般式(1)で示される構造単位の含有量は、1H−NMRを用いて日本国特開2004−359965号公報に記載の方法にて測定した値で、通常0.1〜30モル%、好ましくは0.5〜15モル%、特に好ましくは1〜8モル%である。かかる含有量が少なすぎる場合、EVOH樹脂組成物の溶融成形性が不良となる傾向があり、多すぎる場合は成形物のガスバリア性が低下する傾向がある。
また、変性EVE樹脂(B')において、上記一般式(2)で示される化合物の共重合割合は、変性EVOH樹脂(B)における上記一般式(1)で示される構造単位の含有量に対応するため、通常0.1〜30モル%、好ましくは0.5〜15モル%、特に好ましくは1〜8モル%である。かかる含有量は、モノマーの仕込み量によって調節可能である。
【0041】
変性EVE樹脂(B')、および変性EVOH樹脂(B)におけるエチレン含有量は、加溶媒分解前後に変化するものではなく、同じ値となる。ISO14663に基づいて測定した値で、通常20〜60モル%、好ましくは25〜50モル%、特に好ましくは30〜40モル%である。かかる含有量が低すぎる場合は、EVOH樹脂の溶融成形性が不足する傾向があり、逆に高すぎる場合は、EVOH樹脂のガスバリア性が不足する傾向がある。
【0042】
変性EVE樹脂(B')において、エチレン由来の構造単位および一般式(2)に示される化合物由来の構造単位でない部分は、ビニルエステルまたは後述する他の共重合可能な成分由来の構造単位である。従って、変性EVE樹脂(B')におけるビニルエステル含有量は、通常10〜79.9モル%、好ましくは35〜74.5モル%、特に好ましくは52〜69モル%である。
【0043】
変性EVOH樹脂(B)において、エチレン構造単位でない部分は、ビニルエステル部位が加溶媒分解されたビニルアルコール構造単位、および加溶媒分解後に残存する微量のビニルエステル構造単位、あるいは後述する他の共重合可能な成分の構造単位である。EVOH樹脂(B)におけるビニルアルコール含有量は、通常10〜79.9モル%、好ましくは35〜74.5モル%、特に好ましくは52〜69モル%である。
【0044】
また、該変性EVE樹脂(B')のペースト粘度は、メタノール溶媒にて樹脂分40重量%のペースト粘度をB型粘度計(ローターNo.2、回転数10rpm、ペースト温度65℃)にて測定した値で、通常101〜105mPa・s、好ましくは102〜104mPa・s、特に好ましくは102〜103mPa・sである。かかる値が大きすぎたり又は小さすぎた場合、相溶性不良となる傾向がある。
EVE樹脂(B')の一定樹脂分におけるペースト粘度は、EVE樹脂(B')の重合度に対応する数値である。EVE樹脂(B')の重合度が高ければ粘度が大きくなる傾向があり、低ければ粘度が小さくなる傾向がある。
【0045】
また、EVOH樹脂(A)および変性EVOH樹脂(B)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、共重合可能なエチレン性不飽和単量体由来の構造単位を例えば10モル%以下にて有していてもよい。(すなわちEVE樹脂(A')および変性EVE樹脂(B')も同様に本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、共重合可能なエチレン性不飽和単量体由来の構造単位を例えば10モル%以下にて有していてもよい。)
かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタアクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物類、トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル等のハロゲン化アリル化合物類、ジメトキシアリルアルコール等のアリルアルコール類、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
【0046】
又、本発明の製造方法によって得られるEVOH樹脂組成物は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の後変性反応をしても差し支えない。
【0047】
本発明においては、変性EVOH樹脂(B)(すなわち変性EVE樹脂(B'))のエチレン含有量を、EVOH樹脂(A)(すなわちEVE樹脂(A'))のエチレン含有量以上とし、変性EVE樹脂(B')の配合重量をEVE樹脂(A’)の同量以下とすることにより、EVE樹脂(A')と変性EVE樹脂(B')を同一系内で加溶媒分解すると、融解ピーク値の調節に適切に作用し、自動的に融解ピーク差が特に小さいEVOH樹脂組成物が得られる。
従って、本発明の製造方法は製造工程が簡略化され、自動的に融解ピーク差が特に小さいEVOH樹脂組成物が得られる。
【0048】
本発明では、変性EVE樹脂(B')のエチレン含有量を、EVE樹脂(A')のエチレン含有量以上とし、変性EVE樹脂(B')の配合重量をEVE樹脂(A’)の同量以下とする点が最大の特徴である。
【0049】
かかる変性EVE樹脂(B')およびEVE樹脂(A')のエチレン含有量の比(B')/(A')が1以上であり、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、特に好ましくは1超〜5である。
かかる比が大きすぎる場合、バリアー性が低下する傾向があり、小さすぎる場合、EVOH樹脂組成物の溶融成形性が不足する傾向がある。
また、エチレン含有量の差(B')−(A')は、通常0.1〜40モル%、好ましくは0.1〜30モル%、より好ましくは1〜10モル%、特に好ましくは2〜5モル%である。
かかる差が大きすぎる場合、相溶性が悪くなる傾向がある。かかる差が上記範囲にあると、相溶性を保ちつつ、かつEVOH樹脂組成物の溶融成形性とバリアー性が高度に両立できるという傾向がある。
【0050】
また、EVE樹脂(A')と変性EVE樹脂(B')の配合割合は(B')/(A')の重量比にて、50/50〜1/99(重量比)、好ましくは25/75〜1/99(重量比)、特に好ましくは20/80〜1/99(重量比)である。
かかる比が大きすぎる場合、加溶媒分解後のバリアー性が低下する傾向があり、小さすぎる場合、加溶媒分解後に得られたEVOH樹脂組成物の溶融成形性が不足する傾向がある。
【0051】
さらに、EVE樹脂(A')と変性EVE樹脂(B')のB型粘度計(ローターNo.2、回転数10rpm、ペースト濃度40重量%、メタノール溶媒、ペースト温度65℃)にて測定した粘度の差は、両樹脂の相溶性の点から、通常0〜105mPa・sであり、好ましくは0〜104mPa・sであり、特に好ましくは0〜2000mPa・sである。粘度差が小さいほど混合効率が良好になり、相溶性が向上する傾向がある。
【0052】
<製造方法>
本発明のEVOH樹脂組成物の製造方法は、EVE樹脂(A')および変性EVE樹脂(B')の混合物を同一系内で加溶媒分解するものである。
【0053】
かかる加溶媒分解にあたっては、EVE樹脂(A')および変性EVE樹脂(B')がアルコール又は水/アルコール混合溶媒に溶解された状態で、アルカリ触媒又は酸触媒を用いて行われる。
アルコールとしては通常、炭素数1〜4の脂肪族アルコール等が挙げられ、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノールであり、経済的な点から特に好ましくはメタノールである。
水/アルコール混合溶媒の場合、その重量比は通常10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20、特に好ましくは40/60〜60/40である。
【0054】
EVE樹脂(A')溶液および変性EVE樹脂(B')溶液の濃度は、系の粘度により適宜選択される。通常は10〜60重量%(樹脂分)であり、好ましくは25〜50重量・BR>刀I樹脂分)である。粘度は、樹脂分により調節することができ、樹脂分が多いと粘度が大きくなる傾向があり、少ないと粘度が小さくなる傾向がある。
【0055】
EVE樹脂(A')および変性EVE樹脂(B')の混合溶液を得るには、(1)両樹脂をドライブレンドして共通の溶媒に溶解する手法、(2)各樹脂を溶媒に溶解し、それぞれの樹脂溶液を混合する手法、(3)一方の樹脂を溶媒に溶解し、かかる溶液に他方の樹脂を添加し、溶解して混合する手法、(4)両樹脂を溶融状態にて混合した後、溶媒に溶解する手法が挙げられる。これらの中でも生産性の点から(2)の手法が好ましく、特には、各々の樹脂の重合後の溶液をそのまま用いることが好ましい。
【0056】
加溶媒分解に使用される触媒としては、アルカリ触媒、酸触媒等が挙げられる。例えば具体的に、アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属アルコキシド等が挙げられる。酸触媒としては、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、メタスルフォン酸等の有機酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等が挙げられる。取り扱い性や工業生産性の点から好ましくはアルカリ触媒であり、特に好ましくはアルカリ金属水酸化物である。即ち、本発明の加溶媒分解は塩基性条件下で行われること、言い換えれば、ケン化であることが好ましい。
かかる加溶媒分解触媒の使用量については、加溶媒分解の方法、目標とする加溶媒分解度等により適宜選択されるが、アルカリ触媒を使用する場合は通常、酢酸ビニル量に対して通常0.001〜100ミリモル当量が適当である。
ここで、加溶媒分解度とは、JIS K6726に基づいて(ただし、EVOH樹脂組成物は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)測定される値である。特に、加溶媒分解がケン化である場合、ケン化度と言う。
【0057】
かかる加溶媒分解の方法に関しては目標とする加溶媒分解度等に応じて、バッチ加溶媒分解、ベルト上の連続加溶媒分解、塔式の連続加溶媒分解の何れも可能で、加溶媒分解時のアルカリ触媒量が低減できることや加溶媒分解反応が高効率で進み易い等の理由より、好ましくは、一定加圧下での塔式加溶媒分解が用いられる。また、加溶媒分解時の圧力は目的とするエチレン含有量により一概に言えないが、通常2〜7kg/cm2の範囲から選択され、このときの温度は通常60〜140℃、であり、通常0.5〜6.0時間反応させる。
【0058】
上記のように加溶媒分解されたEVOH樹脂組成物のメタノール溶液は、公知の方法、例えば遠心分離器や、凝固液中へ押出す方法によって固液分離する。乾燥方法としても、公知の方法を採用することができ、機械的にもしくは熱風により撹拌分散されながら行われる流動乾燥や、撹拌、分散などの動的な作用を与えられずに行われる静置乾燥が挙げられ、流動乾燥を行うための乾燥器としては、円筒・溝型撹拌乾燥器、円管乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器等が挙げられ、また、静置乾燥を行うための乾燥器として、材料静置型としては回分式箱型乾燥器が、材料移送型としてはバンド乾燥器、トンネル乾燥器、竪型乾燥器等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。流動乾燥と静置乾燥を組み合わせて行うことも可能である。
【0059】
該乾燥処理時に用いられる加熱ガスとしては通常空気または不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等)が用いられ、該加熱ガスの温度としては、特に限定されず40〜150℃が、生産性とEVOH樹脂組成物の熱劣化防止の点で好ましい。該乾燥処理の時間としては、EVOH樹脂組成物の含水量やその処理量にもよるが、通常は15分〜72時間程度が、生産性と熱劣化防止の点で好ましい。
【0060】
上記の条件で乾燥処理されるのであるが、該乾燥処理後のEVOH樹脂組成物の含水率は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜2重量%、特に好ましくは0.1〜1重量%である。
【0061】
本発明の製造方法によって得られたEVOH樹脂組成物の平均エチレン含有量は、ISO14663に基づいて測定した値で、通常20〜60モル%、好ましくは25〜50モル%、特に好ましくは28〜45モル%である。かかる平均エチレン含有量が低すぎる場合にはEVOH樹脂組成物の溶融成形性が低下する傾向がある。
【0062】
本発明の製造方法によって得られたEVOH樹脂組成物の平均加溶媒分解度は、JIS K6726に基づいて(ただし、EVOH樹脂組成物は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)測定した値で、通常90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%、特に好ましくは99〜100モル%である。かかる加溶媒分解度が低すぎる場合にはガスバリア性が低下する傾向がある。
【0063】
本発明の製造方法によって得られたEVOH樹脂組成物の上記構造単位(1)由来の構造単位の平均含有量は、EVOH樹脂(A)と変性EVOH樹脂(B)の総量を母体とし、1H−NMRを用いて特開2004−359965号公報に記載の方法に基づいて測定した値で、通常0.1〜15モル%、好ましくは0.1〜15モル%、特に好ましくは0.1〜10モル%、殊に好ましくは0.5〜8モル%である。
かかる含有量が少なすぎる場合、EVOH樹脂組成物の溶融成形性不良となる傾向があり、多すぎる場合は成形物のガスバリア性が低下する傾向がある。
【0064】
また、本発明の製造方法によって得られたEVOH樹脂組成物のMFRは、210℃、2160g荷重にて測定した値で、通常1〜120g/10分、好ましくは1〜45g/10分、特に好ましくは3〜25g/10分である。
【0065】
本発明の製造方法によって得られたEVOH樹脂組成物中のEVOH樹脂(A)と変性EVOH樹脂(B)の割合は、前記したEVE樹脂(A')と変性EVE樹脂(B')の割合に対応する。例えば、配合割合(A)/(B)及び配合割合(B')/(A')は、通常50/50〜1/99(重量比)であり、好ましくは25/75〜1/99(重量比)、特に好ましくは20/80〜1/99(重量比)である。
【0066】
本発明の製造方法によって得られた樹脂組成物の融解ピーク値は、示差走査熱量計(DSC)で昇温速度5℃/minにて融解メインピークを測定したセカンドランを測定することにより得られる。
本発明の製造方法によって得られたEVOH樹脂組成物の融解ピークは、単一であるか、あるいは複数存在する場合には、最も高温の融解ピークと最も低温の融解ピークとの温度差が通常20℃以下、好ましくは10℃以下であり、特に好ましくは0度(即ち、単一の融解ピークを有するのみ)である。
かかる値が大きすぎる場合、EVOH樹脂(A)および変性EVOH樹脂(B)の相溶性が不良となる傾向がある。
【0067】
また、本発明の製造方法によって得られるEVOH樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲(例えばEVOH樹脂分に対して10重量%以下)において公知の配合剤を配合することもできる。かかる配合剤としては、例えば、熱安定剤として酢酸、リン酸、ホウ酸等の酸類やそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の水溶性金属塩;滑剤として飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)等;可塑剤としてエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコール等;光安定剤;酸化防止剤;乾燥剤;紫外線吸収剤;着色剤;帯電防止剤;界面活性剤;抗菌剤;アンチブロッキング剤;不溶性無機塩(例えばハイドロタルサイト等);充填材(例えば無機フィラー等);酸素吸収剤;EVOH以外の他樹脂(例えばポリオレフィン、ポリアミド等)等が挙げられる。
【0068】
本発明では、EVOH樹脂(A)と、上記一般式(1)で示される構造単位を有する変性EVOH樹脂(B)とを混合したEVOH樹脂組成物を、それぞれの加溶媒分解前の樹脂である前記EVE樹脂(A')および前記変性EVE樹脂(B')を同一系内で加溶媒分解する方法によって得るにあたり、変性EVE樹脂(B')のエチレン含有量をEVE樹脂(A')のエチレン含有量以上とし、かつ変性EVE樹脂(B’)をEVE樹脂(A’)と同量以下にて配合することにより、融解ピーク差が特に小さいEVOH樹脂組成物が得られ、生産性およびEVOH樹脂組成物の溶融成形性が向上するという予想外の効果が得られる。
【実施例】
【0069】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中「部」、「%」とあるのは、特に断わりのない限り、重量基準を意味する。
【0070】
各EVE樹脂のエチレン含有量はISO14663に準拠して測定した。
各EVE溶液の粘度は、B型粘度計(ローターNo.2、回転数10rpm、ペースト温度65℃)にて測定した。
各EVOH樹脂の平均加溶媒分解度は、JIS K6726に準拠して(ただし、EVOH樹脂は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)測定した。
変性EVOH樹脂(B')の側鎖1,2−ジオール構造単位の含有量は、1H−NMRを用いて特開2004−359965号公報に記載の方法にて測定した。
融解ピークは、示差走査熱量計(DSC)で昇温速度5℃/minにて融解ピークを測定したセカンドランを測定した。
得られたEVOH樹脂組成物のMFRは、210℃、2160g荷重にて測定した。
【0071】
実施例1
EVE樹脂(A')として、エチレン含有量32モル%、樹脂分50%メタノール溶液における粘度が7700mPa・sであるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(A1')を用い、変性EVE樹脂(B')として3,4−ジ−アセトキシ−1−ブテン由来の構造単位の含有量3モル%、エチレン含有量35モル%、樹脂分46%メタノール溶液における粘度が4200mPa・sである変性エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(B1')を用いた。
【0072】
EVE樹脂(A1')のメタノール溶液(樹脂分50重量%)110重量部と、変性EVE樹脂(B1')のメタノール溶液(樹脂分46重量%)118重量部を混合した((B’)/(A’)の重量比が54/56であり、加溶媒分解後の樹脂分の重量比(B)/(A)が50/50となる)。次いで、該混合樹脂溶液にNaOH水溶液(NaOH濃度2重量%)を40重量部配合し、80℃で1時間加溶媒分解してエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(A)および変性エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂(B)のEVOH樹脂組成物溶液を得た。得られたEVOH樹脂組成物溶液を凝固液に浸漬して析出させ、120℃にて16時間乾燥して、固体EVOH樹脂組成物を得た。
【0073】
得られたEVOH樹脂組成物の平均加溶媒分解度は99.8モル%、MFRは17.1g/10分であり、構造単位(1a)平均含有量(モル%)は1.5モル%であった。かかるEVOH樹脂組成物の融解ピークを測定したところ、180℃に単一のピークが確認された。なお、図1にそのEVOH樹脂組成物の融解ピークを示す。
【0074】
実施例2
EVE樹脂(A1')のメタノール溶液(樹脂分50重量%)154重量部と、変性EVE樹脂(B1')のメタノール溶液(樹脂分46重量%)70重量部を混合した((B’)/(A’)の重量比が33/77であり、加溶媒分解後の樹脂分の重量比(B)/(A)が30/70となる)以外は実施例2と同様にして固体のEVOH樹脂組成物を得た。
得られたEVOH樹脂組成物の平均加溶媒分解度は99.8モル%、MFRは 15.2g/10分であり、構造単位(1a)平均含有量(モル%)は1.0モル%であった。かかるEVOH樹脂組成物の融解ピークを測定したところ、183℃に単一のピークが確認された。なお、図2にそのEVOH樹脂組成物の融解ピークを示す
【0075】
比較例1
EVE樹脂(A1')のメタノール溶液(樹脂分50重量%)22重量部と、変性EVE樹脂(B1')のメタノール溶液(樹脂分46重量%)214重量部を混合した((B’)/(A’)の重量比が 90/ 10であり、加溶媒分解後の樹脂分の重量比(B)/(A)が90/10となる)以外は実施例1と同様に行なって、固体のEVOH樹脂組成物を得た。
得られたEVOH樹脂組成物の平均加溶媒分解度は99.8モル%であり、MFRは20.9g/10分であり、構造単位(1a)平均含有量(モル%)は2.7モル%であった。かかるEVOH樹脂組成物の融解ピークを測定したところ、139℃と168℃にピークが確認された。なお、図3にそのEVOH樹脂組成物の融解ピークを示す。
【0076】
実施例および比較例における条件および結果を表1に示す。
【表1】

【0077】
なお、単独で加溶媒分解する方法にて製造したエチレン含有量32モル%、加溶媒分解度99.8モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂の融点ピークは183℃であり、エチレン含有量38モル%、加溶媒分解度99.8モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂の融点ピークは173℃であった。また、構造単位(1a)含有量3モル%、エチレン含有量35モル%、加溶媒分解度99.8モル%の変性エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂の融点ピークは150℃であった。
【0078】
EVE樹脂(A')および変性EVE樹脂(B')を同一系内で加溶媒分解し、かつ変性EVE樹脂(B')のエチレン含有量がEVE樹脂(A')のエチレン含有量以上であるが、変性EVE樹脂(B')の配合重量がEVE樹脂(A')の配合量の9倍という条件下で行なった比較例1では、139℃(変性EVOH樹脂(B)に相当)と168℃(EVOH樹脂(A)に相当)の融解ピークが確認され、その差は29℃であった。
【0079】
これに対して、EVE樹脂(A')および変性EVE樹脂(B')を同一系内で加溶媒分解し、かつ変性EVE樹脂(B')のエチレン含有量がEVE樹脂(A')のエチレン含有量よりも高く、かつ変性EVE樹脂(B')の配合重量比がEVE樹脂(A')と同量以下となるような本発明の製造方法にて行なった実施例1および実施例2では、融解ピーク差が0℃(即ち、ただ1つの融解ピークを有する)であるEVOH樹脂組成物が得られた。
【0080】
本発明の製造方法によって得られたEVOH樹脂組成物は、変性EVE樹脂変性EVE樹脂(B')のエチレン含有量が、EVE樹脂(A')のエチレン含有量よりも高く、(B')の配合重量比をEVE樹脂(A’)の同量以下とするため、融解ピーク差が小さくなるものである。本発明の製造方法によって得られたEVOH樹脂組成物は、融解ピーク差が小さいため、溶融成形時に融解性が良好となり相溶性が良くなり、溶融状態から固化する場合の固まり方が均一となるため、相分離しにくいEVOH樹脂組成物であることがわかる。従って、各種成形物を成形した場合に成形物の外観やEVOHの物性が良好に発現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、一般式(1)で示される構造単位を含有する変性EVOH樹脂と、異なるEVOH樹脂とを含むEVOH樹脂組成物において、簡便な工程にて、融解ピーク差の特に小さなEVOH樹脂組成物を得ることができるもので、生産性、EVOH樹脂組成物の溶融成形性に優れたEVOH樹脂組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−ビニルエステル共重合体(A')及び、一般式(2)に示される化合物に由来する構造単位を含有する変性エチレン−ビニルエステル共重合体(B')を同一系内で加溶媒分解して、
エチレン−ビニルエステル共重合体の加溶媒分解物(A)及び一般式(1)で示される構造単位を有する変性エチレン−ビニルエステル共重合体の加溶媒分解物(B)を含有するエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物を製造する工程を含み、
該加溶媒分解する工程における、エチレン−ビニルエステル共重合体(A')及び変性エチレン−ビニルエステル共重合体(B')のエチレン含有量の比(B')/(A')が1以上であり、かつ、エチレン−ビニルエステル共重合体(A')及び変性エチレン−ビニルエステル共重合体(B')の配合割合(B')/(A')が、重量比にて50/50〜1/99である、エチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
【化1】

[一般式(1)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表す。]
【化2】


[一般式(2)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、R7及びR8はそれぞれ独立して水素原子、炭化水素基またはR9−CO−(式中、R9はアルキル基である)を表し、R7とR8は結合して5員環を形成してもよく、該5員環は環状カーボネート構造または環状アセタール構造である。]
【請求項2】
変性エチレン−ビニルエステル共重合体(B')が、一般式(2)に示される化合物に由来する構造単位を0.1〜30モル%含有する請求項1記載のエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
【請求項3】
エチレン−ビニルエステル共重合体(A’)、および変性エチレン−ビニルエステル共重合体(B’)のエチレン含有量の差(B’)−(A’)が、0.1〜40モル%である請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
【請求項4】
エチレン−ビニルエステル共重合体(A’)及び変性エチレン−ビニルエステル共重合体(B’)のエチレン含有量が20〜60モル%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
【請求項5】
エチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の融解ピークが単一である、もしくは、融解ピークが2つ以上存在する場合には最も高温の融解ピークと最も低温の融解ピークとの差が20℃以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
【請求項6】
エチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の平均加溶媒分解度が、90〜100モル%である請求項1〜5のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
【請求項7】
エチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物のMFRが、210℃、2160g荷重にて計測した値で、1〜120g/10分である請求項1〜6のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
【請求項8】
一般式(1)に示される構造単位および一般式(2)に示される化合物において、Xが単結合または炭素数1〜6の炭化水素鎖である請求項1〜7のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
【請求項9】
一般式(2)に示される化合物が、下記一般式(2a)で表わされる化合物である請求項1〜8のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
【化3】

[一般式(2a)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、R7及びR8はそれぞれ独立して水素原子またはR9−CO−(式中、R9はアルキル基である)を表す。]
【請求項10】
一般式(1)に示される構造単位が、下記一般式(1a)で表わされる構造単位であり、一般式(2)に示される化合物が、3,4−ジアシロキシ−1−ブテンである請求項1〜9のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
【化4】

【請求項11】
一般式(2)に示される化合物が、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンである請求項10に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
【請求項12】
一般式(1)に示される構造単位および一般式(2)に示される化合物において、R〜R3がそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子を表し、R4〜Rがそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基または水素原子を表す請求項1〜8のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
【請求項13】
加溶媒分解が、塩基性条件下で行われる請求項1〜12のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
【請求項14】
加溶媒分解が、アルコール又は水/アルコール混合溶媒中で行われる請求項1〜13のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−235932(P2010−235932A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51422(P2010−51422)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】