説明

エチレンの三量化による1−ヘキセンの合成用触媒及びその使用

本発明は、エチレンの三量化による1−ヘキセンの合成用触媒及びその使用に関し、前記触媒は、P及びNを含有する化合物aと、電子供与体bと、クロム化合物cと、担体dと、促進剤eとから成り、aと、bと、cと、dと、eとのモル比は、0.5〜100:0.5〜100:1:0.5〜10:50〜5000である。不活性溶剤中においてエチレンの三量化による1−ヘキセンの合成を促進するために使用され、エチレンを三量化するための通常設備において、請求項1に記載の触媒の各成分の比率に比例する有効量で、エチレンの圧力下で触媒のその場調整を行うと共に、エチレンを絶えず導入し、エチレンを触媒に十分に接触させることで、エチレンの三量化反応が起こる。反応条件は、温度が30〜150℃であって、圧力が0.5〜10.0MPaであって、反応時間が0.1〜4時間である。該触媒は、エチレンの三量化による1−ヘキセンの生成に用いられ、触媒の活性が高く、1−ヘキセンの選択性が高く、副生成物であるポリエチレンが釜に付着しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレンの三量化による1−ヘキセンの合成用触媒及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
EP699648には、クロム塩Aと、有機アルミニウム化合物Bと、ピロール化合物Cと、13(IIIB)族塩化物又は14(VIB)族塩化物とから成るクロム系触媒が開示されている。最も好ましいクロム塩としては、クロム2−エチルヘキサノアート、クロムナフテネート、クロムアセチルアセトナートが挙げられる。A、B、Dは、触媒の活性に影響を与えるが、Cは、1−ヘキセンの選択性に影響を与える。1−ヘキセンの選択性は80%であるが、純度は98〜99%である。特徴としては、触媒の製造と、エチレンの三量化とにおいて、1−ヘキセンを溶剤として用いることによって、1−ヘキセンと溶剤とを分離する装置及び費用を省けることが挙げられる。
【0003】
EP0608447Aには、エチレンをオリゴマー化及び/又は共重合の触媒とするクロム系触媒組成物が開示されている。それにおいて、触媒組成物の成分一として、クロム含有化合物が用いられ、クロム系触媒組成物の成分二として、ピロール化合物が用いられ、該触媒組成物の成分三として、活性剤としてのルイス酸及び/又は金属アルキル化合物が用いられるほか、触媒系における触媒組成物の成分四として、いずれか1つのハライド源を選んで使用してもよく、該ハライド源は、無機ハロゲン化物でも、種々の有機ハロゲン化物であってもよい。該触媒は、1−ヘキセンに対する選択性が比較的高いものではあるが、触媒活性は高くない。
【0004】
JP0832519には、EP0608447A中の成分四のハライド源の代わりに、Sn(OSO化合物を用いて、新規の四配位クロム系触媒組成物を形成したことが開示されているが、該四配位クロム系触媒の活性及び選択性には顕著な改善が見られない。
【0005】
USP5,910,619には、1,2,3,4,5,6−ヘキサクロロシクロヘキサンを改善剤として用いて、四配位のクロム系触媒組成物を構成することが開示され、該触媒の活性が大幅に改善された。中国特許出願「エチレンのオリゴマー化による1−ヘキセンを生成する触媒及びその使用」(CN1294109A)には、新規触媒系が用いられ、触媒活性が顕著に向上した。しかし、まだニーズを満たしておらず、触媒の活性が向上するように、触媒性能の更なる改善が期待されている。
【0006】
WO2004/05647のエチレンのオリゴマー化工程において、1−オクテンの含有量は、最高69.3%であって、1−ヘキセンの含有量は、10〜20%である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、P及びNを含有する化合物aと、電子供与体bと、クロム化合物cと、担体dと、促進剤eとを含む触媒を開発することにある。該触媒は、エチレンの三量化による1−ヘキセンの生成に使用されており、配位体と促進剤との作用下、クロム化合物が3つの空軌道を形成することによって、エチレン分子の配位に有利に働き、β‐H脱離反応が起こることで、1−ヘキセンを生成する。副生成物であるポリエチレンは、担体であるSiO上において形成されやすいことから、反応釜への付着が避けられ、反応機器の長周期運転には有益である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、エチレンの三量化に用いるクロム触媒系に関し、
(1)下記式で表されるP及びNを含有する化合物a
【0009】
【化1】

(式中、R、R、R、Rは、フェニル基、ベンジル基又はナフチル基であって、Rは、イソプロピル基、ブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はフルオレニル基である)と、
(2)1,4−ジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン及び/又は1,4−ジクロロベンゼンである電子供与体bと、
(3)クロムイソオクタノアート、塩化クロム(テトラヒドロフラン)及び/又はクロムアセチルアセトナートであるクロム化合物cと、
(4)SiOである担体dと、
(5)トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム及び/又はトリイソブチルアルミニウムである促進剤eと、
を含み、
aと、bと、cと、dと、eとのモル比は、0.5〜100:0.5〜100:1:0.5〜10:50〜5000であって、好ましくは1〜80:1〜70:1:1〜8:100〜4000である。
【0010】
aと、bと、cと、dと、eとの5つの成分を不活性環境において10分間混合した後、反応釜に投入し、エチレンを導入して三量化反応を行ってよい。もしくは、aと、bと、cと、dと、eとの5つの成分を直接に反応釜に投入し、エチレンを導入して三量化反応を行ってもよい。反応温度は、通常30~150℃であって、好ましくは20~90℃であって、より好ましくは30~70℃である。反応圧力は、0.5〜10.0MPaであって、好ましくは1〜10MPaであって、より好ましくは2〜6MPaである。時間は、0.1〜4時間であって、好ましくは0.3〜1時間であって、より好ましくは0.5〜0.7時間である。
【0011】
エチレンの三量化反応は、主に不活性溶剤中で行われる。選択可能な溶剤は、飽和炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、オレフィン炭化水素等を含む。典型的な溶剤は、ベンゼン、トルエン、キシレン、イソピロピルベンゼン、n−ヘプタン、n−ヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、1−ヘキセン、1−オクテン、イオン性液体等を含むが、これらに限定されない。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、高活性を有し、1−ヘキセンに対する選択性が優れ、副生成物であるポリエチレンが反応釜に付着しないという特徴を有している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
下記の例は、本発明を説明するためであって、本発明の範囲を制限するものではない。
(実施例1)
【0014】
1.(ジフェニル)ホスホニトリル(シクロプロピル)ホスフィン(ジフェニル)配位体を調製する
【0015】
(1)N,N−ジイソプロピルジクロロホスホアミドを調製する
【0016】
十分にN置換された250mLの撹拌付きの反応容器中に、脱水処理されたトルエン(100mL)を投入し、PCl(21.87mL、0.25mol)を添加して、−20℃まで降温した。室温で撹拌しながら、ジイソプロピルアミン(70mL、0.5mol)を徐々に添加し、3時間撹拌した後、室温まで昇温し、更に2時間反応させた。その後、濾過、乾燥することにより生成物38.1g(0.19mol、74%)を得た。
【0017】
(2)ベンジルマグネシウムブロミドグリニャール試薬を調製する
【0018】
十分にN置換された250mLの撹拌付きの反応容器中に、脱水処理されたTHF(100mL)、マグネシウム粉末(9.11g、0.375mol)を投入し、氷浴で降温し、ブロモベンゼン(11.775g、0.075mol)を徐々に添加した。2時間経過後、加熱し、還流させ、更に2時間反応させたことにより、グリニャール試薬を得た。
【0019】
(3)クロロジフェニルホスフィンを調製する
【0020】
十分にN置換された250mLの撹拌付きの反応容器中に、脱水処理されたTHF(100mL)を投入し、0℃まで降温した。N,N−ジイソプロピルジクロロホスホアミド(6.64mL、36mmol)を徐々に添加した。室温まで昇温させ、12時間反応させた。その後、反応した混合物をシクロヘキサンで希釈し、乾燥のH333331気体で1時間バブリングさせ、濾過、乾燥することによりクロロジフェニルホスフィンを得た。
【0021】
(4)(ジフェニル)ホスホニトリル(シクロプロピル)ホスフィン(ジフェニル)を調製する
【0022】
十分にN置換された100mLの撹拌付きの反応容器中に、脱水処理されたジクロロメタン(20mL)、トリエチルアミン(3.75mL)、クロロジフェニルホスフィン(1.326mL、7.2mmol)を投入し、0℃に降温させ、シクロプロピルアミン(3.6mmol)を徐々に添加した。撹拌して、30min反応させた後、室温まで昇温して、更に12時間反応させた。濾過、乾燥により生成物(0.87g、56.6%)を得た。
【0023】
2.触媒の調製
【0024】
十分にN置換された100mLの撹拌付きの反応容器中に、脱水処理されたトルエン(10mL)、(ジフェニル)ホスホニトリル(シクロプロピル)ホスフィン(ジフェニル)(29mg)、トリエチルアルミニウム(10mL)、クロムイソオクタノアート(0.03mmol)、1,1,2,2−テトラクロロエタン(7mL、0.54mmol)、SiO(0.03mmol)を投入して、室温で10min反応させた後に触媒を得た。
【0025】
3.エチレンの三量化
【0026】
500mLの高圧釜が真空化されるように高圧釜を2時間加熱して、窒素で数回置換した後、エチレンを充填し、予定の温度まで降温させた。脱水処理されたトルエン(200mL)及び上記触媒を添加した。90℃、4.0MPaの圧力下で、オリゴマー反応を行い、40min反応させた後、氷浴で降温させ、圧力を解放して、質量比が10%である酸性エタノールを用いて反応を停止させた。その結果は、表1を参照すること。
(実施例2)
【0027】
1、(ジフェニル)ホスホニトリル(シクロペンチル)ホスフィン(ジフェニル)配位体を調製する
【0028】
(1)N,N−ジイソプロピルジクロロホスホアミドを調製する
実施例1と同様である。
【0029】
(2)ベンジルマグネシウムブロミドグリニャール試薬を調製する
実施例1と同様である。
【0030】
(3)クロロジフェニルホスフィンを調製する
実施例1と同様である。
【0031】
(4)(ジフェニル)ホスホニトリル(シクロペンチル)ホスフィン(ジフェニル)を調製する
【0032】
十分にN置換された100mLの撹拌付きの反応容器中に、脱水処理されたジクロロメタン(20mL)、トリエチルアミン(3.75mL)、クロロジフェニルホスフィン(1.326mL、7.2mol)を投入し、0℃に降温させ、シクロペンチルアミン(0.415mL、3.5mmol)を徐々に添加する。撹拌して、30min反応させた後、室温まで昇温して、引き続き12時間反応させた。濾過、乾燥により生成物(0.55g、32.68%)を得た。
【0033】
2、触媒の調製
【0034】
十分にN置換された撹拌付きの100mL反応容器中に、脱水処理されたシクロヘキサン(10mL)、トリメチルアルミニウム(10mL)、(ジフェニル)ホスホニトリル(シクロペンチル)ホスホニトリル(ジフェニル)(31mg)、CrCl・(THF)(12mg)、SiO(0.3mmol)、1,1,2,2−テトラブロモエタン(0.02、0.069mmol)を投入し、室温で5min反応させた後に触媒を得た。
【0035】
3.エチレンの三量化
【0036】
500mLの高圧釜が真空化されるように高圧釜を2時間加熱して、窒素で数回置換した後、エチレンを充填し、予定の温度まで降温させた。脱水処理されたシクロヘキサン(200mL)及び上記触媒を添加した。20℃、7.0MPaの圧力下で、オリゴマー反応を行い、20min反応させた後、氷浴で降温させ、圧力を解放し、質量比が10%である酸性エタノールを用いて反応を停止させた。その結果は、表1を参照すること。
(実施例3)
【0037】
1.(ジフェニル)ホスホニトリル(フルオレニル)ホスホニトリル(ジフェニル)配位体を調製する
【0038】
(1)N,N−ジイソプロピルジクロロホスホアミドを調製する
実施例1と同様である。
【0039】
(2)ベンジルマグネシウムブロミドグリニャール試薬を調製する
実施例1と同様である。
【0040】
(3)クロロジフェニルホスフィンを調製する
実施例1と同様である。
【0041】
(4)(ジフェニル)ホスホニトリル(フルオレニル)ホスフィン(ジフェニル)を調製する
十分にN置換された100mLの撹拌付きの反応容器中に、脱水処理されたジクロロメタン(20mL)、トリエチルアミン(3.75mL)、クロロジフェニルホスフィン(1.326mL、7.2mol)を投入し、0℃に降温させ、フルオレンアミン(0.652g、3.6mmol)を徐々に添加する。30min撹拌して反応させた後、室温まで昇温して、更に12時間反応させた。濾過、乾燥により生成物(0.48g、24.3%)を得た。
【0042】
2、触媒の調製
【0043】
十分にN置換された100mLの撹拌付きの反応容器中に、脱水処理されたシクロヘキサン(10mL)、トリプロピルアルミニウム(10mL)、SiO(0.1mmol)、(ジフェニル)ホスホニトリル(フルオレニル)ホスフィン(ジフェニル)(35mg)、Cr(acac)(12mg)、1,2−ジメチルエタン(0.4mL、0.031mmol)を投入し、室温で5min反応させた後に触媒を得た。
【0044】
3.エチレンの三量化
【0045】
500mLの高圧釜が真空化されるように高圧釜を2時間加熱して、窒素で数回置換した後、エチレンを充填し、予定の温度まで降温させた。脱水処理されたベンゼン(200mL)及び上記触媒を添加した。30℃、3.0MPaの圧力下で、オリゴマー反応を行い、20min反応させた後、氷浴で降温させ、圧力を解放し、質量比が10%である酸性エタノールを用いて反応を停止させた。その結果は、表1を参照すること。
(実施例4)
【0046】
1.1,4−ビス[N,N−ビス(ジフェニルホスファニル)アミノ]ベンゼン(1,4-bis(N(P(phenyl)2)2)-benzene)配位体を調製する
【0047】
(1)N,N−ジイソプロピルジクロロホスホアミドを調製する
実施例1と同様である。
【0048】
(2)ベンジルマグネシウムブロミドグリニャール試薬を調製する
実施例1と同様である。
【0049】
(3)クロロジフェニルホスフィンを調製する
実施例1と同様である。
【0050】
(4)1,4−ビス[N,N−ビス(ジフェニルホスファニル)アミノ]ベンゼンを調製する
【0051】
十分にN置換された100mLの撹拌付きの反応容器中に、脱水処理されたジクロロメタン(20mL)、トリエチルアミン(3.75mL)、クロロジフェニルホスフィン(1.326mL、7.2mmol)を投入し、0℃に降温させ、1,4−フェニレンジアミン(0.19g、1.8mmol)を徐々に添加する。撹拌して、30min反応させた後、室温まで昇温して、引き続き12時間反応させた。濾過、乾燥により生成物(0.8g、52.3%)を得た。
2、触媒の調製
【0052】
十分にN置換された100mLの撹拌付きの反応容器中に、脱水処理されたシクロヘキサン(10mL)、トリブチルアルミニウム溶液(7mL)、SiO(0.3mmol)、1,4−ビス[N,N−ビス(ジフェニルホスファニル)アミノ]ベンゼン(27mg)、クロム2−エチルヘキサノアート(10mg)、1,2−ジクロロエタン(0.13mmol)を投入し、室温で10min反応させた後に触媒を得た。
3.エチレンの三量化
【0053】
500mLの高圧釜が真空化されるように高圧釜を2時間加熱して、窒素で数回置換した後、エチレンを充填し、予定の温度まで降温させる。脱水処理されたヘプタン(200mL)及び上記触媒を添加する。100℃、7.0MPaの圧力下で、オリゴマー反応を行い、10min反応させた後、氷浴で降温させ、圧力を解放し、質量比が10%である酸性エタノールを用いて反応を停止させる。その結果は、表1を参照すること。
(実施例5)
【0054】
1.(ジフェニル)ホスホニトリル(イソプロピル)ホスフィン(ジフェニル)配位体を調製する
【0055】
(1)N,N−ジイソプロピルジクロロホスホアミドを調製する
実施例1と同様である。
【0056】
(2)ベンジルマグネシウムブロミドグリニャール試薬を調製する
実施例1と同様である。
【0057】
(3)クロロジフェニルホスフィンを調製する
実施例1と同様である。
【0058】
(4)(ジフェニル)ホスホニトリル(イソプロピル)ホスフィン(ジフェニル)を調製する
実施例1と同様である。
【0059】
2、触媒の調製
【0060】
十分にN置換された100mLの撹拌付きの反応容器中に、脱水処理されたキシレン(10mL)、SiO(0.09mmol)、トリイソブチルアルミニウム(10mL)、(ジフェニル)ホスホニトリル(シクロヘキシル)ホスフィン(ジフェニル)(29mg)、CrCl・(THF)(12mg)、1,4−ジクロロベンゼン(0.069mmol)を投入し、室温で5min反応させた後に触媒を得た。
【0061】
3.エチレンのオリゴマー化
【0062】
500mLの高圧釜が真空化されるように高圧釜を2時間加熱して、窒素で数回置換した後、エチレンを充填し、予定の温度まで降温させた。脱水処理されたキシレン(200mL)及び上記触媒を添加した。20℃、5.5MPaの圧力下で、オリゴマー反応を行い、60min反応させた後、氷浴で降温させ、圧力を解放し、質量比が10%である酸性エタノールを用いて反応を停止させた。その結果は、表1を参照すること。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本触媒は、エチレンの三量化による1−ヘキセンの合成を触媒化するために用いられる。重合反応が不活性の溶剤中で行われ、エチレンの三量化を行う通常の設備において、本触媒は各成分の比率に応じた有効量で、エチレンの圧力下で触媒のその場調製を行うと共に、エチレンを絶えず導入し、エチレンを触媒に十分に接触させることで、エチレンの三量化を起こす。反応条件は、温度が30〜150℃であって、圧力が0.5〜10.0MPaであって、反応時間が0.1〜4時間である。該触媒は、エチレンの三量化による1−ヘキセンの生成に用いられ、触媒の活性が高く、1−ヘキセンの選択性が高く、副生成物であるポリエチレンが反応釜に付着しない。その結果は、表1を参照すること。
【0064】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンの三量化による1−ヘキセンの合成用触媒であって、
(1)下記式で表されるP及びNを含有する化合物a
【化1】

(式中、R、R、R、Rは、フェニル基、ベンジル基又はナフチル基であって、Rは、イソプロピル基、ブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はフルオレニル基である)と、
(2)1,4−ジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン及び/又は1,4−ジクロロベンゼンである電子供与体bと、
(3)クロムイソオクタノアート、塩化クロム(テトラヒドロフラン)及び/又はクロムアセチルアセトナートであるクロム化合物cと、
(4)SiOである担体dと、
(5)トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム及び/又はトリイソブチルアルミニウムである促進剤eと、
から成り、
aと、bと、cと、dと、eとのモル比は、0.5〜100:0.5〜100:1:0.5〜10:50〜5000であることを特徴とする、エチレンの三量化による1−ヘキセンの合成用触媒。
【請求項2】
不活性溶剤中においてエチレンの三量化による1−ヘキセンの合成を促進するために使用され、エチレンを三量化するための通常設備において、請求項1に記載の触媒の各成分の比率に応じた有効量で、エチレンの圧力下で触媒のその場調製を行うと共に、エチレンを絶えず導入し、エチレンを触媒に十分に接触させることで、エチレンの三量化反応を起こし、反応条件は、温度が30〜150℃であって、圧力が0.5〜10.0MPaであって、反応時間が0.1〜4時間であることを特徴とする、請求項1に記載のエチレンの三量化による1−ヘキセンの合成用触媒の使用。
【請求項3】
前記不活性の溶剤は、飽和炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、オレフィン炭化水素又はイオン性液体であって、前記飽和炭化水素は、n−ヘプタン、n−ヘキサン、メチルシクロヘキサン又はシクロヘキサンであって、前記芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレン又はイソピロピルベンゼンであって、前記オレフィン炭化水素は、1−ヘキセン又は1−オクテンであることを特徴とする、請求項2記載のエチレンの三量化による1−ヘキセンの合成用触媒の使用。

【公表番号】特表2013−515601(P2013−515601A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546307(P2012−546307)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/CN2010/001111
【国際公開番号】WO2011/079493
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(512172224)ペトロチャイナ カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】PETROCHINA COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.9 Dongzhimen North Street, Dongcheng District, Beijing 100007, China
【Fターム(参考)】