説明

エチレンコポリマー及びポリオレフィンを含む組成物

開示されているのは、非常に強い、気密ヒートシールを提供し、容易に剥離可能なエチレン/(メタ)アクリレートコポリマー、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)、任意の粘着付与樹脂および任意のフィラーの組成物である。これらの組成物は、パッケージング蓋フィルムとして有用な多層構造体における接着層として有用である。同じく開示されているのは、これらの多層構造体を含むパッケージである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)とエチレンコポリマーとを含む組成物、該組成物を含む多層構造体、および多層構造体を含むパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージング業界では、食品および非食品製品をパッケージングする様々な熱可塑性樹脂および組成物から作成された様々なフィルムおよび容器を用いている。これらのパッケージは、消費者が製品を使用するまで、中にある製品を適正に保護(例えば、機械的損傷から保護し、空気や水分をバリアする等)する。パッケージは、消費者が、適切な時に製品に容易に利用できるように設計されているのも好ましい。パッケージは、容器にシールされた蓋フィルムを備えた、金属(特にアルミニウム)、紙、ファイバーボードまたはプラスチック(例えば、ポリプロピレン、結晶ポリエチレンテレフタレート(CPET)および耐衝撃性ポリスチレン(HIPS))でできた剛性容器からなっていることが多い。容器と蓋フィルムとの間のシールは、強固な気密を与えて、製品を保護し、シールは消費者によって容易にきれいに剥がれるのが望ましい。
【0003】
蓋のシール剤に用いられる一般的な組成物としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーまたはアモルファスポリエステルが挙げられる。容易に剥がれる特性を得るために、フィラーまたは添加剤も含有することができる。ポリオレフィンを含む多くの組成物が、良好な処理性、低コストおよび多くの用途についての適切な接着力のために、パッケージ用途において剥離可能なヒートシールに現在用いられている。しかしながら、これらの組成物は全ての用途について十分丈夫なものではない。例えば、多くのパッケージは、冷蔵または冷凍されて、中の製品の保存を補助し、冷蔵温度でシール強度を保持するのが望ましい。ポリオレフィン組成物(例えば、EVAを含有するもの)の耐熱性は限定されており、高温で処理できる能力が制限される。
【0004】
従って、市販のシール剤により現在提供できるものよりも改善された性能を提供する組成物を開発することが望まれている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)約10〜約80重量%の少なくとも1種類のエチレンコポリマー、(b)約5〜約60重量%の少なくとも1種類のポリオレフィン、(c)0〜約35重量%の少なくとも1種類の粘着付与樹脂、および(d)0〜約35重量%のフィラーを含む、またはこれらから実質的になる、またはこれらから製造された組成物を提供する。エチレンコポリマーとは、エチレン/(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレン/アルキルアクリル酸コポリマー、そのイオノマー、またはこれらのうち2種類以上の組み合わせのことを指す。
【0006】
本発明はまた、上述した組成物の少なくとも1層と、ホイル、紙、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリエチレン酢酸ビニル、エチレンコポリマーまたはそのイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンまたは無水物変性ポリオレフィンを含む少なくとも1層の追加の層とを含むか、またはこれらから製造された多層構造体を提供する。
【0007】
本発明は、上述した組成物および多層構造体を含むか、またはこれらから製造されたパッケージを更に提供する。
【0008】
本発明はまた、少なくとも1層のホイル、板紙、ガラス、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、発泡ポリスチレン(EPS)、アクリルホモポリマーまたはアクリルコポリマー、ポリカーボネート、ポリスルホン、アモルファスポリエチレンテレフタレート(APET)、結晶ポリエチレンテレフタレート(CPET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリアクリロニトリルホモポリマーまたはコポリマー、ポリアセタールまたはポリアセタールコポリマーを含む構造体を含む(1)容器と、(2)上記に開示した多層構造体を含む剥離可能な蓋とを含むパッケージも提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
「(メタ)アクリル酸」という用語はメタクリル酸および/またはアクリル酸のことを意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレートおよび/またはアクリレートのことを意味する。
【0010】
熱可塑性組成物は、圧力をかけて加熱すると流れるポリマー材料である。メルトインデックス(MI)は、温度および圧力の制御された条件下での特定の毛管を通したポリマーの流れの質量レートである。本明細書で記録されたメルトインデックスは、2160gの重りを用いて190℃でASTM1238に従って求める。MIの値はg/10分で記録される。熱可塑性組成物は、押出し処理によるフィルムおよび多層構造体の作成に好適である。
【0011】
「ホイル」という用語は、アルミニウムのような金属の薄い可撓性フィルムまたはシートのことを指す。多層構造体の少なくとも1つの外側層がアルミニウム層の場合には、少なくとも1つのアルミニウム層が他の材料の追加の層に接着した多層構造体のことも指す。
【0012】
一般的に、剥離可能なヒートシールは、シール同士またはシールと異なる基材を剥がすときに3つの異なる破断モードを有するように設計することができる。様々な剥離角度および速度で応力をかけて一方を他方から剥がすときの破断は、界面、層剥離または凝集でなされる。界面シールは、選択したシーリング表面のヒートシール界面で破断するように設計されている(すなわち、シール剤層は、基材層からきれいに剥がれる)。大抵の場合、シール強度は、温度、圧力および休止時間により決まる。シールがきれいに剥がれないと、シールまたは蓋の断片でパッケージの内容物が汚染される可能性がある。かかる汚染を防ぐには、界面剥離可能なシールが望ましい。層剥離ヒートシールは、多層フィルム構造体の内部界面で破断するように設計されている。このように設計された破断界面は、フィルム構造体の実際のヒートシール層背後のいずれかの選択された層にある。選択した内部層界面の厚さ、それに対する接着力が、剥離中のシール強度を決める。この場合、フィルム構造体が剥離されるにつれて、全体のシール剤層が基材に移動する。設計による凝集シール破断は、実際のシール剤層そのものの中で破断する。応力および速度をかけてシールを剥離するとき、シール層そのものは内部で分離して、シール剤材料の一部をシール剤基材へ移動させる。シール剤材料の内部強度は、ヒートシールの実際の強度の決定因子である。
【0013】
本組成物は、(a)約10〜約80重量%の少なくとも1種類のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、(b)約5〜約60重量%の少なくとも1種類のポリオレフィン、(c)約0.5〜約35重量%の少なくとも1種類の粘着付与樹脂、および(d)0〜約35重量%のフィラーを含む、またはこれらから実質的になる。
【0014】
本組成物はまた、(a)約40〜約80重量%の少なくとも1種類のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、(b)約20〜約60重量%の少なくとも1種類のポリオレフィンを含む、またはこれらから実質的になる、またはこれらから製造することができる。本組成物はまた、(a)約10〜約80重量%の少なくとも1種類のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、(b)約20〜約60重量%の少なくとも1種類のポリオレフィン、(c)約10〜約20重量%の少なくとも1種類の粘着付与樹脂、または(a)約40〜約60重量%の少なくとも1種類のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、(b)約20〜約40重量%の少なくとも1種類のポリオレフィン、(c)約10〜約20重量%の少なくとも1種類の粘着付与樹脂および(d)約5〜約20重量%のフィラーから実質的になる。
【0015】
「エチレンコポリマー」という用語は、エチレンモノマーと、アルキル基が1〜8個の炭素原子を含有する少なくとも1種類のアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートコモノマーの共重合から誘導された熱可塑性コポリマーのことを意味する。エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーおよびエチレン/(メタ)アクリレートコポリマーは本明細書においては同じ意味で用いられる。例えば、アルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレートおよびブチルアクリレートが挙げられる。「エチレン/メチルアクリレート(EMA)」とは、エチレン(E)とメチルアクリレート(MA)のコポリマーのことを意味する。「エチレン/エチルアクリレート(EEA)」とは、エチレン(E)とエチルアクリレート(EA)のコポリマーのことを意味する。「エチレン/ブチルアクリレート(EBAと略記)」とは、エチレン(E)とブチルアクリレート(BA)のコポリマーのことを意味する。
【0016】
エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーに組み込まれたアルキルアクリレートコモノマーの量は、原則として、コポリマーの合計の約1重量パーセントから40重量パーセントまたはそれ以上まで広く変化し得る。アルキル基の選択は、メチル基から、分岐のある、または分岐のない8個までの炭素原子のアルキル基とすることができる。例えば、エチレンコポリマーを調製するのに用いるアルキル(メタ)アクリレートコモノマー中のアルキル基は、1〜4個の炭素原子とすることができ、アルキル(メタ)アクリレートコモノマーは合計エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーの5〜30または9〜27重量パーセントの濃度範囲とすることができる。メチルアクリレート(最も極性のアルキルアクリレートコモノマー)を用いてエチレン/メチルアクリレートジポリマーを調製することができる。メチルアクリレートコモノマーは、エチレンコポリマーの5〜30、9〜25または9〜24重量%の濃度範囲で存在させることができる。
【0017】
2種類以上のエチレンコポリマーの混合物を、単一コポリマーの代わりに組成物中で成分(a)として用いることができる。2種類の適切に選択したエチレン/アルキルアクリレートコポリマーをブレンドで用いると特に有用な特性が得られる。例えば、エチレン/アルキルアクリレート成分が2種類の異なるエチレン/メチルアクリレートコポリマーを含むような組成物が挙げられるがこれに限られるものではない。また、例えば、ブレンド中単一のEMA等級を、2種類のEMA等級の等量の適切に選択された混合物に替えてもよく、この混合物は、置き換えた単一EMA等級と等量パーセントのメチルアクリレート含量とメルトインデックスを有する。2種類の異なる適切に選択されたEMAコポリマー等級を混合することにより、単一のEMA樹脂等級のみを含有する組成物と比べて組成物の特性を修正することができる。
【0018】
エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーはまた任意で、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレートおよび一酸化炭素をはじめとする少なくとも1種類の追加のコモノマーを含んでいて、エチレン/イソブチルアクリレート/メタクリル酸、エチレン/メチルアクリレート/無水マレイン酸、エチレン/ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート(EBAGMA)およびエチレン/ブチルアクリレート/一酸化炭素(EBACO)のようなターポリマーを形成してもよい。
【0019】
エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーは、オートクレーブか管状反応器のいずれかを用いて、ポリマー業界に周知のプロセスにより作成することができる。共重合は、オートクレーブ中で連続プロセスとして進めることができる。例えば、エチレン、メチルアクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート、任意でメタノールのような溶剤(米国特許第5,028,674号明細書を参照)を、開始剤と共に、米国特許第2,897,183号明細書に開示されているようなタイプのオートクレーブのような攪拌容器に連続的に供給する。添加速度は、重合温度、圧力、およびコポリマーの目的組成物を得るのに必要な反応混合物中のメチルアクリレートモノマーの濃度に応じて異なる。場合によっては、分子量を制御するために、プロパンのようなテロゲンを用いるのが望ましい。反応混合物は、容器から連続的に除去することができる。反応混合物を反応容器から出した後、コポリマーを未反応モノマーおよび溶剤(用いた場合)から従来の手段により、例えば、非重合材料および溶剤を減圧下で高温にて蒸発させることにより分離することができる。オートクレーブアクリレートコポリマーは、VoridianよりEMAC、ExxonMobilよりOptemaおよびAtofinaよりLotrylという商品名で入手可能である。
【0020】
エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーを製造する管状反応器は、業界で一般的に知られているエチレン/(メタ)アクリレートを製造する従来のオートクレーブとは区別される。このように、「管状反応器生成」エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーという用語または言い回しは、高圧および高温で管状反応器等において製造されるエチレンコポリマーを意味し、各エチレンおよびアルキル(メタ)アクリレート(例えば、メチルアクリレート)コモノマーの異なる反応運動の本来の結果は、管状反応器内の反応流路に沿ったモノマーの意図した導入により緩和または部分的に補償される。かかる管状反応器共重合技術は、ポリマー骨格(コモノマーのより固まった状態の分布)に沿って大きな相対度を有するコポリマーを製造し、分岐した長鎖の存在を減じる傾向があり、高圧攪拌オートクレーブ反応器における同じコモノマー比率で製造されるものより高い融点を有するコポリマーを製造する。
【0021】
この性質のエチレン/(メタ)アクリレートコポリマーを製造する管状反応器は、E.I.du Pont de Nemours and Company (DuPont),Wilmington,Delawareより市販されている。
【0022】
管状反応器エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーの高圧での製造は、管に沿って反応物質コモノマーを追加投入することが含まれ、高温高圧管状反応器中で行われるのが好ましく、単に攪拌高温高圧オートクレーブタイプの反応器中では製造されない。同様のエチレン/(メタ)アクリレートコポリマー材料は、一連のオートクレーブ反応器中で製造することができ、コモノマーの置換は、米国特許第3,350,372号明細書、同第3,756,996号明細書および同第5,532,066号明細書に開示されている通り、反応物質コモノマーの多数ゾーン導入によりなされ、それ自体これらの高融点材料は本発明のコポリマーを製造する管状反応器と等価と考えられる。これらの生成物は、VoridianよりEMAC+またはEBAC+という商品名で入手可能である。
【0023】
従来のオートクレーブで製造されたコポリマーに比べて管状反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーの特徴を更に説明するために、関連の融点データと共に市販のエチレン/メチルアクリレートコポリマーの以下のリストによれば、管状反応器で製造されたEMA樹脂は、ポリマー鎖に沿ったMA分布が非常に異なるため、オートクレーブのEMAよりもかなり高い融点を有しているということが分かる。
【0024】
オートクレーブで製造したコポリマー
ExxonMobil,N.J.;EMA(21.5wt%MA)mp=76℃
ExxonMobil,N.J.;EMA(24wt%MA)mp=69℃
Atofina,France;EMA(20wt%MA)mp=80℃
Atofina,France;EMA(24wt%MA)mp=73℃
【0025】
管状反応器で製造したコポリマー
DuPontEMA(25wt%MA)mp=88℃
DuPontEMA(20wt%MA)mp=95℃
【0026】
管状反応器とオートクレーブで製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーに関する更なる解説については、Richard T.Chou、Mimi Y.KeatingおよびLester J.Hughes、「High Flexibility EMA made from High Pressure Tubular Process)」、Annual Technical Conference)−Society of Plastics Engineers)(2002)、60th(Vol.2)、1832−1836参照のこと。CODEN:ACPED4ISSN:0272−5223;AN2002:572809CAPLUS
【0027】
本発明に用いるのに好適なエチレン/アルキルアクリレートコポリマーはDuPontより入手可能である。DuPontより入手可能なエチレン/アルキルアクリレートコポリマーの具体例については表Aを参照のこと。
【0028】
表A

【0029】
利用可能なエチレン/(メタ)アクリレートコポリマーは、表Aに示すメルトインデックス(MI)の範囲に示されるように、数字上はコンマ約10まで分子量が異なる。用いるMI等級のポリマー成分の具体的な選択は、多層構造体を作成するのに用いるプロセスに影響される。好ましいのは、MIが約0.1〜約100g/10分、または約0.5〜約50、約0.50〜約30g/10分のエチレンコポリマーである。
【0030】
ポリオレフィンは、2〜8個の炭素原子を有するオレフィンのホモポリマーおよびコポリマーを含むことができる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレンホモポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、エチレンを含むコポリマー、およびプロピレンを含むコポリマーが例示される。ポリエチレン(PE)は、これらに限られるものではないが、例えば、周知のチーグラー−ナッタ触媒重合(例えば、米国特許第4,076,698号明細書および同第3,645,992号明細書)、メタロセン触媒重合(例えば、米国特許第5,198,401号明細書および同第5,405,922号明細書)、Versipol(登録商標)触媒重合および遊離基重合をはじめとする様々な方法により調製することができる。重合は、溶液相プロセス、気相プロセス等として実施することができる。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、極低または超低密度ポリエチレン(VLDPEまたはULDPE)のような鎖状ポリエチレン、および低密度ポリエチレン(LDPE)のような分岐ポリエチレンを挙げることができる。本発明に用いるのに好適なPEの密度は約0.865g/cc〜約0.970g/ccである。重要なポリエチレンはエチレンと1−ブテンのコポリマーである。メルトインデックスが3.5の12.6重量%の1−ブテンのかかるコポリマーは、ExxonMobilよりExact(登録商標)3035として入手可能である。他の重要なポリエチレンはエチレンと1−オクテンのコポリマーである。メルトインデックスが3.5の12重量%のオクテンのかかるコポリマーは、DuPont Dow ElastomersよりEngage(登録商標)8450として入手可能である。
【0031】
ポリプロピレン(PP)ポリマーとしては、プロピレンのホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーおよびターポリマーを挙げることができる。プロピレンのコポリマーとしては、エチレン、1−ブテン、2−ブテンおよび様々なペンテンイソマー等のようなその他のオレフィンとのプロピレンのコポリマーが挙げられ、プロピレンとエチレンのコポリマーが好ましい。プロピレンのターポリマーとしては、エチレンおよび他のオレフィンとのプロピレンのコポリマーが挙げられる。統計的コポリマーとしても知られているランダムコポリマーは、プロピレン対コモノマーの供給比に対応した比率でプロピレンとコモノマーがポリマー鎖全体にランダムに分配されたポリマーである。ブロックコポリマーは、プロピレンホモポリマーからなる鎖セグメントと、例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマーからなる鎖セグメントからできている。「ポリプロピレン」という用語は、上述したプロピレンを含むポリマーのいずれか、または全てを指す。
【0032】
ホモポリマーおよびランダムコポリマーは、任意の公知のプロセスにより製造することができる。例えば、ポリプロピレンポリマーは、有機金属化合物と、三塩化チタンを含有する固体とに基づいて、チーグラー−ナッタとして知られているタイプの触媒システムを存在させて調製することができる。第1の段階においてプロピレンをまず最初に自身により重合してから、第1の間に得られたポリマーを存在させて、第2の段階においてプロピレンおよびエチレンのような追加のコポリマーを重合する以外は同様にしてブロックコポリマーは製造することができる。これらの段階はそれぞれ、例えば、炭化水素希釈液中の懸濁液、液体プロピレン中の懸濁液、または気相において、連続的または不連続的に、同じ反応器または別個の反応器において実施することができる。ブロックコポリマーおよびその製造に関する更なる情報については、特に、Applied Science Publishers Ltd(1973年)、D.C.AllportおよびW.H.Janes編「Block Copolymers」の4.4および4.7章にある。
【0033】
ポリオレフィンはまた、これらに限られるものではないが、酢酸ビニル、アルキルアクリレート、一酸化炭素、グリシジルメタクリレート、(メタ)アクリル酸および無水マレイン酸をはじめとする低レベル(一般的に、約3重量%未満)の1種類以上の極性モノマーを組み込むことにより変性することもできる。これらの極性コモノマーの組み込みは、共重合またはグラフト化により行うことができる。
【0034】
2種類以上のポリオレフィンのブレンドを用いることができる。例えば、LLDPEは、LDPEまたはHDPEのいずれかとブレンドして、ポリエチレンブレンドまたはPPとポリ(1−ブテン)(PB)のブレンドを提供することができる。
【0035】
組成物は任意で粘着付与樹脂を含んでいてもよい。米国特許第3,484,405号明細書に開示されているような当業者に公知の接着剤とも呼ばれる粘着付与剤を用いることができる。かかる粘着付与樹脂としては、様々な天然および剛性樹脂およびロジン材料が挙げられる。樹脂は、明確な融点がなく、結晶化する傾向のない有機化合物の混合物の形態にある複雑なアモルファス材料をはじめとする液体、半固体から固体、または固体とすることができる。かかる樹脂は、水に不要でよく、植物または動物起源としたり、合成樹脂とすることができる。樹脂は、実質的に改善された粘着性を組成物に提供することができる。好適な粘着付与剤としては、パラ−クマロン−インデン樹脂、テルペン樹脂、ブタジエン−スチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、炭化水素樹脂、ロジンおよびこれらのうち2種類以上の組み合わせを挙げることができるがこれらに限られるものではない。
【0036】
通常、クマロン−インデン樹脂は、約500〜約5000の分子量を有している。市販のこのタイプの樹脂としては、「Picco」−25および「Picco」−100として市販されているような材料が例示される。
【0037】
テルペン樹脂としては、スチレン化テルペンが挙げられ、約600〜6,000の分子量を有している。市販の樹脂としては、「Piccolyte」S−100、水素添加ロジンのグリセロールエステルである「Staybelite Ester」#10(Eastman Chemical,Kingsport,Tennessee)およびポリテルペン樹脂である「Wingtack」95として市販されているものが例示される。重要なテルペン樹脂系粘着付与剤は、PinovaよりPiccolyte(登録商標)C115として入手可能なポリ−リモネン、柑橘業界から回収されたモノマーから誘導される。
【0038】
ブタジエン−スチレン樹脂は、約500〜約5000の分子量を有している。市販の製品としては、「Buton」100、分子量が約2500の液体ブタジエン−スチレンコポリマー樹脂として市販されているものが挙げられる。
【0039】
ポリブタジエン樹脂は、約500〜約5000の分子量を有している。市販のものとしては、「Buton」150、分子量が約2000〜約2500の液体ポリブタジエン樹脂として市販されているものが挙げられる。
【0040】
炭化水素樹脂は、石油の精製で得られる選択した留分の触媒重合により製造することができ、分子量は約500〜約5000である。かかる樹脂としては、「Piccopale」−100、「Amoco」および「Velsicol」樹脂として市販されているものが例示される。同様に、イソブチレンの重合から得られたポリブテンも粘着付与剤として含まれていてもよい。
【0041】
粘着付与樹脂はまた、ロジン材料、「Piccolastic」A−75として市販されている材料のような低分子量(例えば、1300といった)スチレン硬性樹脂、不均一なペンタエリスリトールエステル、「Velsicol」WX−1232として市販されているタイプの芳香族および脂肪族モノマー系のコポリマーを含んでいてもよい。本発明に用いてよいロジンは、ガム、木またはトール油ロジンであってもよく、好ましくはトール油ロジンである。また、ロジン材料は、二量化ロジン、水素添加ロジン、不均一ロジンまたはロジンのエステルのような変性ロジンであってもよい。エステルは、2〜6個のアルコール基を含有する多価アルコールでロジンをエステル化することにより調製することができる。
【0042】
重要な他の粘着付与樹脂は、Eastman Chemicalより入手可能なRegalite R1125(炭化水素)である。
【0043】
粘着付与剤のより包括的なリストは、TAPPI CA Report#55、1975年2月、13〜20頁、Technical Association of the Pulp and Paper Industry,Atlanta,GAの出版物にあり、200を有に超える市販の粘着付与樹脂が挙げられている。
【0044】
粘着付与剤は、エチレンコポリマーまたは開示されたその他成分と直接混合するか、またはマスターバッチ処方に予め溶融配合させてもよい。>かかる技術は、米国特許第6,255,395号明細書および特開2002−173653号公報に記載されている。例えば、ポリ−リモネンは、エチレン/オクタンコポリマーとブレンドして、後のブレンド操作において組成物の残りの成分に添加することのできる粘着付与剤マスターバッチを調製してもよい。
【0045】
2種類以上の別個の粘着付与剤をブレンドすることができる。
【0046】
本発明の組成物はまた任意でフィラーを含有していてもよい。フィラーの添加によって、耐熱性が増大され、組成物の剥離シール特性が影響を受ける。
【0047】
フィラーは、鉱物や塩のような無機化合物の粒子を含む。フィラーは、フィラーの密度の関数として、重量基準で組成物に含まれる。フィラーの粒子サイズおよび形状はまた、ブレンドの特性に影響する。細かい粒子サイズのフィラーは、高いブレンド粘度となる傾向があり、またより高価である。No.9白化(約95%〜325メッシュ)は、粗さ、入手し易さおよびコストにおいて成り立つ中間点を表している。より好ましいフィラーは、炭酸カルシウムおよびタルク(実質的にMg3Si410(OH)3)であり、最も好ましいのはタルクである。本発明の組成物に存在するフィラーの量は、約0.001〜約30重量%である。
【0048】
フィラーは、本発明の組成物にブレンドする前に、マスターバッチ中でエチレン/アルキルアクリレートまたはポリオレフィンと予めブレンドしてもよい。例えば、タルクは、エチレン/メチルアクリレート(20重量%MA)コポリマーとブレンドして、後のブレンド操作において組成物の残りの成分に添加することのできるフィラーマスターバッチを調製してもよい。
【0049】
フィラーはまた、例えば、スチレンまたはα−メチルスチレンのホモポリマー、スチレンと、これらに限られるものではないが、エチレン、ブテン、ブタジエンまたはイソプレンのような不飽和モノマーとのコポリマーと呼ばれる、ポリスチレン樹脂のような、成分(a)のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートと、成分(b)のポリオレフィンの組み合わせと完全に相容性がないポリマー材料であってもよい。具体例としては、エチレン/スチレンランダムまたはブロックコポリマー、エチレン/ブタジエンランダムまたはブロックコポリマーおよび水素添加および部分水素添加ブタジエン/スチレンコポリマーが例示されるがこれらに限られるものではない。また、有用なのは、耐衝撃性を向上させるために更に変性されたポリスチレンであり、通常、耐衝撃性ポリスチレンまたはHIPSと呼ばれる。ポリスチレンのブレンドおよび混合物を用いてもよい。具体例としては、Nova Chemicals製HIPSまたはDow Chemicalより販売されているエチレン/スチレンコポリマーが例示されるがこれらに限られるものではない。
【0050】
その他の添加剤は、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線(UV)安定剤、着色剤、顔料、染料、フィラー、艶消し剤、滑り止め剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、相容剤、摩擦係数(COF)のような表面特性を変性する成分、帯電防止および曇り防止剤、その他処理助剤等とすることができる。これらの添加剤は、組成物の接着性能を損なわない限りは、通常、0.001〜20、または0.01〜15重量%の量で組成物中に存在させる(かかる添加剤の重量パーセンテージは、本発明の開示において上記に定義された組成物の合計重量パーセンテージには含まれない)。一般的に、多くのかかる添加剤は0.01〜5重量%で存在する。重要なのは、0.01〜1重量%で存在する酸化防止剤である。酸化防止剤は、Ciba Geigy Inc.,Tarrytown,New YorkよりIrganoxという商品名で入手可能である。例えば、IrganoxE201,CAS Number10191−41−0またはその誘導体のようなフェノール酸化防止剤を組成物に添加してもよい。Irganox1010,CAS Number6683−19−8は、本発明に用いるのに好適な他の酸化防止剤である。同様に重要なのは、0.001〜5重量%の量で存在する摩擦係数のような表面特性を修正する、ブロッキングを防止する、またはチルロール剥離のための添加剤である。例えば、かかる添加剤は、樹脂(DuPontよりConpol(登録商標)20Bとして入手可能)にブレンドするキャリア濃縮液として用いるエチレン/メタクリル酸コポリマー中の二酸化ケイ素(2重量%)の分散液である。
【0051】
かかる添加剤の組成物への任意の組み込みは、例えば、従来のマスターバッチ技術等により、様々な構成成分の混合物をドライブレンド、または押出すことによる任意の公知のプロセスにより実施することができる。
【0052】
本発明の接着樹脂組成物は、所定量のエチレン/(メタ)アクリレートコポリマー成分(a)、ポリオレフィン(b)任意で粘着付与剤(c)および任意でフィラー(d)を、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダーまたはタンブラーブレンダーのようなミキサーにより混合し、混合後、単軸押出し機、二軸押出し機、ニーダー、バンブリーミキサー等により混合物を溶融混練してから、混合物をペレット化、溶融押出し、造粒または粉砕することにより製造される。
【0053】
適切な溶融ブレンドまたは熱混合に際して、共押出しを介してダイを通して組成物を押出すことができる。押出したシール剤の厚さは、好ましくは約1〜400ミクロン、より好ましくは5〜100ミクロン、更に好ましくは10〜30ミクロンである。
【0054】
あるいは、本発明の組成物は、約1〜100ミクロン、より好ましくは5〜100ミクロン、更に好ましくは10〜75ミクロンの厚さのフィルムへ押出して、引き続き紙、ホイルまたはフィルムに多層構造体の一部としてラミネートすることができる。
【0055】
本発明の接着樹脂組成物を用いて、様々な基材またはポリマーを互いにボンドすることができる。一般的に、物品はヒートシールによりボンドまたは接合される。
【0056】
最終接着組成物は、例えば、溶融共押出しにおいて直接用いることができる、あるいは、適切なアプリケータで用いるために、ロープまたはペレットの形態に押出したり、チップまたは粉末形態へ縮小させることができる。後の使用のために、フィルムまたはウェブ形態へ鋳造または押出すことができる。かかる成形形態において、ボンドされる物質間に配置して、熱および圧力により活性化させることができる。接着剤は、一般的に用いられるホットメルトアプリケータにより適用することができる。
【0057】
これらの組成物は、技術者が有用とみなす任意の厚さで適用できるが、0.0002ミル〜10ミル(0.0000005−0.025cm)の層厚さを用いるのが好ましい。
【0058】
本発明は、容器、パッケージ、フィルム等にヒートシーリングにより適用するのに好適で、良好なヒートシーリング特性を有し、容易に剥がすことのできるシールまたはラミネートを更に提供する。
【0059】
フィルムおよびコーティングは、組成物から作成し、他のフィルムまたは構造体にラミネートまたはコートすることができる。あるいは、組成物は、他の材料と同時に共押出しすることができる。まとめると、ここに開示された接着樹脂組成物は、ボンディング剤および接着剤としての化学および物理特性のために有用性があって、いわゆる剥離シール接着剤を提供し、接着シート、テープまたはラミネート製品のような形態で用いることができる。
【0060】
組成物はまた、剥離可能なシールが望ましいポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、PP、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリスチレンにシールするためのヒートシールを提供するのにも有用である。組成物は、様々なレベルのシール強度範囲およびより広い高温操作ウィンドウを既存のヒートシール可能なシステムに提供することができる。
【0061】
既存の変形シール剤システムは、一般的に、EVAまたはアモルファスPET系溶剤含有系であり、ローラまたはグラビアシステムによりキャリアウェブに適用される。これらのコーティングは、通常、非常に薄く、溶剤系に可溶な成分に限定されている。本発明は、所望のヒートシール強度または所望の剥離性を得るために、シール剤層の厚さまたは成分の組み合わせに限定されない。ここに開示されたシール剤は、溶剤を含まず、溶剤使用に関する環境問題に対処するものである。非溶剤シーリング系はより単純で、より可撓性を与える。これによって、仕上がりシール剤ウェブの製造の経済性が改善される。
【0062】
本発明はまた、PCTFEフルオロポリマー(クロロトリフルオロエチレンの重合から誘導された数多くのホモポリマーおよびコポリマーはHoneywell,Inc.,Morristown,New Jersey)製Aclar(登録商標)という商品名で市販されている)から作成された容器に様々なシール強度で剥離可能な気密シールを提供する改善されたヒールシール可能な材料も含む。PCTFEは、高度な水分および酸素バリア特性を提供し、パッケージされた製品の貯蔵寿命が長くなる。PCTFEフルオロポリマーは、ホイルに対してバリア特性を提供する。組成物が良好な接着力をPCTFEのようなフルオロポリマーに提供できない場合には、PCTFEの使用は制限される。
【0063】
PCTFE層は、PVCの第2の層に直接接合して、容器が形成される構造体を作成することができる。PVCは、多くのヒートシール可能な材料に高い親和性を有するためシーリング表面として用いられる。また、PCTFEより安価なため、構造体に嵩も与える。両材料とも高い透明性と成形性を与える。シール表面としてのPVCは、酸素および水分バリア特性が不十分である。上部バリアシール剤ウェブをPVCにヒートシールすると、PCTFEのバリア特性は完全に実現することはできない。酸素および水分は、ヒートシール可能な蓋材料とPCTFEとの間のPVCを透過して、貯蔵寿命が短くなる。
【0064】
PCTFEは、ヒートシール可能な上部ウェブの最内層およびシール基材となり、PCTFEの最終パッケージの完全なバリア特性を実現することができ、貯蔵寿命が長くなる。また、PCTFEを外側層の代わりに内側層とすることにより、形成プロセスにおいてはPCTFEはあまり薄くない。これによって、バリア性の高い剥離可能な蓋が可能となり、容易に開けられる、貯蔵寿命が改善された透明なパッケージを提供する。
【0065】
ここに開示されたシール剤材料は、患者に対してユーザーフレンドリーなブリスターパッケージングおよび非医薬品、ならびにパッケージのその他の使用者において製薬業界に有用である。大量生産を促すやり方で構築される製薬およびその他製品の販売用の魅力的で安価なパッケージを提供することができる。パッケージは、カプセル、タブレット、医療用具、シリンジ、ロレンジ、ピルおよび/または等の形態の食品、医薬品、または酸素および水分から保護される必要のある毒物、触媒、洗浄組成物、バリアおよびその他商品のような非医薬品のような多数の物品のいずれかを含有する。
【0066】
本発明の組成物を含むフィルムは、実質的に当業者に公知の方法により作成することができる。フィルムは、単一層または多層ポリマーフィルムのいずれかとすることができる。このように、フィルムおよびフィルム構造体は、一般的に、様々な手法(例えば、ブローンフィルム、機械的伸張等)による配向(単軸か二軸)をはじめとする鋳造、押出しまたは共押出し、ラミネート等することができる。
【0067】
本発明は、他のパッケージングコンポーネント間のボンドを提供する、層、一般的にはヒートシール層として本明細書に記載した接着剤を含む単層または多層共押出しまたはラミネート構造体に更に関する。エチレン酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アルミニウムのような金属、TYVEK(登録商標)(DuPontより市販)のようなスパンボンドポリオレフィン、MYLAR(登録商標)(DuPont)のような配向ポリエステル等でできた基材をはじめとする様々な蓋材料をボンドできるこれらの組成物の剥離シール強度は、接着組成物中のエチレン/(メタ)アクリレートコポリマー、ポリオレフィン含有粘着付与剤および/またはフィラーの量およびタイプを変えることにより調整することができる。
【0068】
本発明はまた、本明細書に開示した組成物から作成された少なくとも1層と、ホイル、紙、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリエチレン酢酸ビニル、エチレン/(メタ)アクリル酸コポリマーまたはそのイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンおよび無水物変性ポリオレフィンを含む少なくとも1層の追加の層とを含む多層構造体も提供する。重要な多層構造体は、上述した重要な組成物の少なくとも1層を含む。好ましい構造体は、上述した好ましい組成物の少なくとも1層を含む。
【0069】
多層ポリマーシートは、これらに限られるものではないが、最外構造または濫用層と、内側バリア層、バルク層および/または接着層と、パッケージの目的の中身と接触してそれと相容し、必要なシール(最も好ましくはヒートシール可能)を自身およびパッケージのその他の部分に形成可能な最内層とを含む少なくとも3つの部類の層を含む。他の層を存在させて、接着または「タイ」層として作用させて3層をボンドする補助としてもよい。
【0070】
最外構造または濫用層は、配向ポリエステルまたは配向または非配向ポリプロピレンとすることができるが、HDPEまたは紙またはホイルのような配向または非配向ポリアミド(ナイロン)またはポリエチレンも含めることができる。この層は、光学的に透明であるとき、好ましくは、白抜き印刷可能で、パッケージは多層構造体の全厚にわたってシールされるため、パッケージを作成するのに用いるシーリング温度に影響されない。外側構造または濫用層が光学的に透明でないときは、この層は表面印刷して、保護コーティングまたはラッカーで任意にコートすることができる。この層の厚さは、フィルムの剛性を制御でき、約10〜約100μm、または約12μm〜約50μmである。
【0071】
内側層は、パッケージ内部の製品に影響する可能性のある大気条件(酸素、湿度、光等)に応じて、1つまたは複数のバリア層を含むことができる。バリア層は、例えば、金属化配向PPまたはPET)、ポリエチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、アルミニウムホイル、ナイロン、これらのブレンドまたは複合体、ならびにこれらの関連コポリマーとすることができる。バリア層の厚さは、製品の感度および所望の貯蔵寿命等の因子に応じて異なる。
【0072】
内側層は1層以上のバルク層を含むことができる。通常、この層を添加して、低コストの共通ポリマーを用いることにより、最終の予め定義された厚さを有する構造体を作成する。バルク層は、例えば、ポリオレフィン、ポリオレフィン極性コポリマー、ポリエステルおよびまたは様々なバルク層成分のブレンドとすることができる。バルク層はまた、製造プロセスにおいて生成される再粉砕片および切れ端を組み込むのにも好適である。例えば、ある理由またはその他の理由のために、販売に不適な材料、または半完成品ロールの端部をトリミングすることにより生成された材料から生成されたスクラップを研磨して、内側層へ組み込んで、比較的低コストでバルクを提供することができる。
【0073】
内側層は1層以上の接着層を含むことができる。この接着層は、通常、内側層が、外側層を最内層に直接ボンドする接着剤として作用する場合にのみ、外側構造層を内側層に、内側層を最内層に接着するよう設計されている。
【0074】
最内層は、シール剤層とすることができ、これは上記に開示した組成物から作成することができる。
【0075】
構造およびバリア層を組み合わせて、湿気と酸素に対する有効なバリアと、明瞭度、靭性および穿孔抵抗性のような製品を処理かつ/またはパッケージするのに好適なバルク機械特性を与えるポリマーのいくつかの層を含ませることができる。ある用途においては、構造およびバリア層の機能は、好適な樹脂の単一層に組み込んでもよい。例えば、ナイロンまたはPETは、構造とバリア機能の両方に好適である。
【0076】
ポリアミドとしては、脂肪族ポリアミド、アモルファスポリアミドまたはこれらの混合物が挙げられる。脂肪族ポリアミドとは、脂肪族ポリアミド、脂肪族コポリアミド、ならびにポリアミド6、ポリアミド6.66、これらのブレンドおよび混合物等のブレンドまたは混合物のことを指す。ポリアミド6.66は、BASFより「Ultramid(登録商標)C4」および「Ultramid(登録商標)C35」という商品名で、Ube Industries Ltd.より「Ube(登録商標)5033FXD27」という商品名で市販されている。ポリアミド6は、Honeywell InternationalよりCapron(登録商標)という商品名で市販されている。
【0077】
フィルムは、米国特許第5,408,000号明細書、同第4,174,358号明細書、同第3,393,210号明細書、同第2,512,606号明細書、同第2,312,966号明細書および同第2,241,322号明細書に記載されているような他のポリアミドを更に含んでいてもよい。
【0078】
フィルムはまた、DuPontよりSelar(登録商標)PAという商品名で、またはEMS−Chemie AGよりGrivory(登録商標)G21という商品名で市販されているアモルファスナイロン樹脂6−I/6−Tのような部分芳香族ポリアミドを含んでいてもよい。
【0079】
イオノマーは、エチレンのようなオレフィンと、アクリル酸やメタクリル酸のような不飽和カルボン酸と、任意で軟化モノマーとのコポリマーであり、少なくとも1つまたはそれ以上のアルカリ金属、遷移金属またはナトリウム、カリウムまたは亜鉛のようなアルカリ土類金属カチオンを用いて、コポリマー中の酸性基のいくつかが中和された結果、特性の向上した熱可塑性樹脂が得られる。例えば、「エチレン/(メタ)アクリル酸(E/(M)AA)」とは、1つまたはそれ以上アルカリ金属、遷移金属、またはアルカリ土類金属カチオンにより少なくとも部分的に中和されてイオノマーを形成するエチレン(E)/アクリル酸(AA)および/またはエチレン/メタクリル酸(MAA)のコポリマーのことを意味する。ターポリマーもまた、エチレンのようなオレフィン、不飽和カルボン酸、およびアルキル(メタ)アクリレートのようなその他のコモノマーから作成して、中和されると軟性のイオノマーを形成する「軟性」樹脂を与えることができる。イオノマーは、従来から公知であり、調製方法は、例えば、米国特許第3,344,014号明細書に記載されている。
【0080】
無水物または酸変性エチレンおよびプロピレンホモ−およびコ−ポリマーを、押出し可能な接着剤層(「タイ」層としても知られている)として用いて、ポリマーが互いによく接合しないときに、ポリマーの層のボンディングを改善して、多層構造体における層と層の接着を改善することができる。タイ層の組成は、多層構造体においてボンドされる必要がある接合層の組成に従って決めることができる。ポリマー業界の当業者であれば、その構造体に用いる他の材料に基づいて適切なタイ層を選択することができる。様々なタイ層組成物は、DuPontよりBynel(登録商標)という商品名で市販されている。
【0081】
約20〜約50モル%のエチレンを有するEVOHを用いることができる。好適なポリエチレンビニルアルコールポリマーは、KurarayよりEVAL(登録商標)またはNippon GosheiよりSoarnol(登録商標)という商品名で市販されている。
【0082】
コーティングまたはフィルムとしてここで用いるのに好適なPVDCポリマーおよびコポリマーは、例えば、Dow ChemicalよりSaran(登録商標)という商品名で市販されているものが入手可能である。
【0083】
上記に開示された組成物から本発明に用いるフィルムは、公知の方法に従って製造することができる。例えば、いわゆる「ブローンフィルム」または「フラットダイ」法を用いて組成物を押出すことにより、一次フィルムを製造することができる。ブローンフィルムは、ポリマー組成物を環形ダイを通して押出し、得られた管状フィルムを気流により膨張させて、ブローンフィルムを提供することにより作成した。鋳造フラットフィルムは、組成物をフラットダイを通して押出すことにより作成することができる。ダイから出たフィルムを、内部循環流体を含有する少なくとも1本のロール(チルロール)または水浴により冷却して、鋳造フィルムを提供する。フィルムは、パッケージングフィルムを提供するためにスリッティングする等従来の技術によりサイジングすることができる。
【0084】
フィルムは、フィルムの即時冷却または鋳造以上に更に配向させることができる。このプロセスは、溶融ポリマーの層流を押出す工程と、押出し物を急冷する工程と、急冷した押出し物を少なくとも1つ以上の方向に配向する工程とを含む。「急冷された」とは、固体フィルム材料を得るためにその融点より実質的に低く冷却された押出し物のことである。
【0085】
フィルムは未配向、単軸方向(例えば、機械方向)に配向、または二軸方向(例えば、機械方向と交差方向)に配向することができる。フィルムは、機械的特性と物理的特性の満足いく組み合わせを得るために、フィルムの面に互いに垂直な2つの方向に延伸することにより二軸配向することができる。
【0086】
フィルムを単軸または二軸伸張するための配向および伸張装置は業界に公知であり、本発明のフィルムを製造するのに当業者は対応できる。米国特許第3,278,663号明細書、同第3,337,665号明細書、同第3,456,044号明細書、同第4,590,106号明細書、同第4,760,116号明細書、同第4,769,421号明細書、同第4,797,235号明細書および同第4,886,634号明細書を参照のこと。
【0087】
ブローンフィルムは、ダブルバブル押出しプロセスを用いて配向される。一次管を押出し、後に冷却、再加熱してから、内部ガス圧力により膨張させて、交差配向を行い、長手方向配向を行う異なる速度ニップまたは搬送ローラにより延伸することにより同時に二軸配向を行うものである。
【0088】
配向ブローンフィルムを得るための処理は、ダブルバブル技術として業界に公知であり、米国特許第3,456,044号明細書に開示されている通りに実施することができる。一次管は環形ダイから溶融押出しすることができる。結晶化を最小にするために、この押出された一次管を即時に冷却することができる。>配向温度まで加熱することができる(例えば、水浴により)。フィルム製造ユニットの配向ゾーンにおいて、膨張により二次管を形成して、フィルムを放射状に交差方向に膨張させ、膨張が両方向に、好ましくは同時に生じるような温度で機械方向に引っ張る、または伸張し、管の膨張は、延伸点の厚さの鋭い、急な減少を伴う。管状フィルムをニップロールを通して再び平坦化する。フィルムを再膨張させアニール工程(熱定着)を通過させることができ、この工程でもう一度加熱して、収縮特性を調整する。
【0089】
フィルムは、押出しプロセスにより形成されて、フィルム中のポリマー鎖が押出し方向に略配列される。高単軸配向後、直鎖ポリマーは、配向方向の強度は大きいが、交差方向の強度は少ない。この配列によって、押出し方向のフィルムの強度が加わる。
【0090】
フィルムは、業界で標準的なコロナ放電、オゾンまたはその他手段により処理されていてもいなくてもよい。
【0091】
多層構造体の容器に対するシール強度は、エチレンコポリマー−ポリオレフィンヒートシール層の厚さに応じて異なる。ヒートシール層の厚さは約10〜40μmまたは約10〜30μmである。
【0092】
多層構造体は、パッケージング材料として様々なパッケージング用途に有用である。それらをマスキングフィルムのような工業フィルムとして用いて、フィルムを、ホイルまたはポリエステルまたはアクリルのような基材に熱ラミネートして、表面保護が必要なくなったら剥がしてもよい。
【0093】
パッケージング材料はまた、これらに限られるものではないが、例えば、印刷、エンボス加工および/または着色により更に処理して、パッケージング材料を提供して、製品についての情報を消費者に与えたり、かつ/またはパッケージの外観を快いものとしてもよい。
【0094】
本発明の多層フィルム構造体のいくつかの例を以下にリストする。シール剤層は、上記に開示したエチレンコポリマー−ポリオレフィン組成物から作成することができる。「接着」とは上述した接着系のことを指し、「タイ」とは押出し可能な接着剤またはタイ層のことを指し、「インク」とは上述した印刷のことを指す。
【0095】
多層フィルム構造体は、以下の構造体を有するブローンフィルムを含む。
ポリアミド(ナイロン)/タイ/EVOH/タイ/シール剤、または
PP/タイ/EVOH/タイ/シール剤。
【0096】
多層フィルム構造体は、以下の構造体を有する接着剤ラミネートフィルムを含む。
インク/ホイル/接着/PE/PE/シール剤、または
PET/インク/接着/PE/タイ/EVOH/タイ/シール剤。
【0097】
多層フィルム構造体は、以下の構造体を有する押出しコートフィルムを含む。
インク/ホイル/タイ/シール剤、
PET/PVDC/インク/タイ/シール剤、
インク/PET/タイ/シール剤、または
インク/紙/PE/シール剤。
【0098】
多層フィルム構造体は、以下の構造体を有する押出しラミネートフィルムを含む。
PET/PVDC/インク/タイ/シール剤、
PET/接着/シール剤、または
PET/接着/ナイロン/タイ/シール剤。
【0099】
上述した多層構造体は、業界に周知の標準的方法により蓋付き容器のようなパッケージに組み込んでもよい。多層構造体は、容器の蓋材料として有用である。パッケージまたは容器としては、上記に開示した構造体および/または多層構造体を含む成形、プレスまたは熱成形容器が挙げられる。上記した材料に加えて、剛性容器は、強化CPETのような容器を作成するのに好適な変性ポリマーブレンドを提供するために、例えば、様々な添加剤により変性されたポリマー樹脂のようなその他の材料を含有していてもよい。材料は、デネスティング剤のようなその他の添加剤で変性することもでき、フィラーのような添加剤で変性することもできる。容器は、最内製品接触層と、バリアまたはバルク層とすることのできる内側層と、外側または濫用層とを含む多層容器とすることができる。
【0100】
かかる容器を用いて、ヨーグルト、プディング、カスタード、ゼラチン、フルーツソース(例えば、アップルソース)等といった製品をパッケージするのに用いてもよい。それらを用いて、チーズスプレッドやディップをパッケージしてもよい。本明細書に記載したパッケージはまた、肉や冷凍または冷蔵ミールのパッケージとして用いてもよい。本発明のパッケージにはまた、水で戻す麺やシーズニングのような乾燥食品用のパッケージも含まれる。クッキー、チップス等といった乾燥スナックをパッケージするのにも用いることができる。
【0101】
以下の実施例は例証に過ぎず、本発明の範囲を限定するものとは解釈されない。
【実施例】
【0102】
標準ブレンド技術を用いて以下に挙げた材料から組成物を調製して、以下の表1〜3にまとめた実施例1〜20の組成物とした。下に挙げた材料を用いて同様に比較例を調製した。
【0103】
用いた材料
EMA−7:DuPontより入手可能なMIが6のエチレン/(メタ)アクリレート(9重量%)コポリマー
EMA−8:DuPontより入手可能なMIが8のエチレン/(メタ)アクリレート(20重量%)コポリマー
EMA−9:DuPontより入手可能なMIが9のエチレン/(メタ)アクリレート(13重量%)コポリマー
PE−1:MIが3.5のエチレンと1−ブテンのコポリマー(ExxonMobilよりExact(登録商標)3035として入手可能)
PE−2:MIが3.5のエチレンと1−オクテン(12重量%オクタン)のコポリマー(DuPont Dow ElastomersよりEngage(登録商標)8450として入手可能)
Add−1:エチレン/メタクリル酸コポリマー中2重量%の二酸化ケイ素分散液(DuPontよりConpol(登録商標)20S2として入手可能)
Tack−1:PinovaよりPiccolyte(登録商標)C115として入手可能なポリ−リモネンより誘導された粘着付与樹脂
Tack−2:EastmanよりRegalite R1125として入手可能な粘着付与樹脂
Filler−1:タルクの50重量%とEMA−8の50重量%のブレンド
Antiox−1:酸化防止剤Irganox(登録商標)1010
EVA−1:DuPontより入手可能なMIが7のエチレン/酢酸ビニル(7重量%)コポリマー
EVA−2:DuPontより入手可能なMIが30のエチレン/酢酸ビニル(17重量%)コポリマー
EVA−3:DuPontより入手可能なMIが8のエチレン/酢酸ビニル(12重量%)コポリマー
EVA−4:DuPontより入手可能なMIが25のエチレン/酢酸ビニル(25重量%)コポリマー
EVA−5:DuPontより入手可能なMIが30のエチレン/酢酸ビニル(17重量%)コポリマー
Ionomer−1:DuPontより入手可能なMIが14の亜鉛で部分中和したエチレン/メタクリル酸コポリマー
【0104】
表1〜3において、重量部で挙げた量および「- -」は、組成物中に存在しない成分のことを意味する。
【0105】
表1







【0106】
表2

【0107】
表3

【0108】
表4に、業界に公知のいくつかのヒートシール組成物をまとめてある。それらは、(a)20〜90重量部の少なくとも1種類のエチレン/酢酸ビニルコポリマー、(b)10〜50重量部の少なくとも1種類のポリオレフィン、(c)1〜40重量部の少なくとも1種類の粘着付与樹脂、および(d)0〜約50重量部のフィラーを含む組成物として説明できる。




















【0109】
表4

【0110】
表5に、本明細書に記載したヒートシール組成物のいくつかの物理的特性をまとめてある。表5を見ると、組成物は、公知のヒートシール組成物と非常に似た物理的特性を有しているということが分かる。
【0111】
表5

【0112】
実施例で用いた試験
ASTM D−1238、条件Eに従って、190℃で、2160−グラム重量を用いてメルトインデックス(MI)を測定した。MIの値はg/10分で記録した。密度は、ASTM D−792に従って求めた。融点(m.p.)は、ASTM D−3418に従って、示差走査熱量測定(DSC)により求めた。Vicat軟化点は、ASTM D−1525に従って求めた。
【0113】
剥離強度:シール層を、標準シーリング装置および条件を用いて基材にシールし、1インチ幅のシールされたストリップとした。特に断りのない限り、層をシール層/基材界面で分離し、分離速度12インチ/分で「T−剥離」構成において室温で引張り試験機で引っ張った。幅で除算した、層を分離するのに必要な平均の力を剥離強度(g/インチ)として記録する。一般的に、3回〜5回の別個の測定を平均し、表に示してある。
【0114】
表6〜10に記した破断モードは以下の記述によって分類する。
「P」 基材からきれいに剥離する
「FT」−フィルムが裂ける(破砕)
「FB」−フィルム破断
「CL」−コーティングが持ち上がる
「ZP」−ジッパーが剥離する
「T」−タック
「NT」−タックなし
「D」−層剥離
【0115】
表6に、1秒の休止時間で40psiにてSentinelシーラーを用いて作成した、1インチシール幅を有する表示温度でいくつかの基材にシールした実施例6の組成物を含む単層フィルムについての剥離データ(g/インチ、室温、50%相対湿度、3回繰り返しの平均)を示してある。
【0116】
表6

【0117】
実施例21
2.0ミルの厚さのホイルの外側層と、0.5ミルの厚さの12重量%のメタクリル酸を有し、MIが13.5(DuPontよりNucrel(登録商標)1214として入手可能)のエチレン酸コポリマーの中間層と、1.0ミルの厚さの実施例1の組成物の内側シール層とを含む本発明の多層蓋材料を、標準ラミネーション技術を用いて作成した。表7に、指示温度でいくつかの基材にシールした実施例21の多層蓋材料の剥離データ(g/インチ、5回の繰り返しの平均)を示す。1インチのシール幅とするために1秒の休止時間で40psiにてSentinelシーラーを用いてシールを作成した。









【0118】
表7

【0119】
比較例22
1.0ミルの厚さのアモルファスポリエステル(DuPont Teijin FilmsよりMylar LBTとして入手可能)の外側層と、1.0ミルの厚さの高密度ポリエチレン層と、0.5ミルの厚さの高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンのブレンド層と、0.5ミルの厚さの比較例C6の組成物の内側シール層とを含む多層蓋材料を、標準ラミネーション技術を用いて作成した。表8に、実施例21と比較するために、指示温度で基材にシールしたこの多層蓋材料の剥離データ(g/インチ、5回の繰り返しの平均)を示す。1インチのシール幅とするために1秒の休止時間で40psiにてSentinelシーラーを用いてシールを作成した。
【0120】
表8

【0121】
表7および8のデータの比較によれば、シール剤層として用いるとき、本発明の組成物は、公知のシール剤より強固でありながらも剥離可能なシールを提供し、凍結温度で保持したときに、シール強度の減少が少なかったということが分かる。
【0122】
実施例23および比較例24〜26
実施例4の組成物を含むフィルムを作成し、PCTFEを含むフィルムにヒートシールした。1インチのシール幅とするために1秒の休止時間で40psiにてSentinelシーラーを用いてシールを作成した。
【0123】
表9に実施例23についての室温および50%相対湿度での剥離データ(25回の繰り返しの平均)を示す。表9の比較例は、溶剤コーティングに基づく蓋材料である。比較例C24は、スチレンブタジエン系の溶剤コーティングであり、比較例C25はアモルファスポリエステル系の溶剤コーティングである。両材料ともHueck Folien Germanyより入手可能である。
【0124】
表9

【0125】
表9のデータを見ると、比較例C24は低強度の剥離可能なシールを与えた。比較例C25は、適切な強度のシールを提供したが、層剥離の頻度が、パッケージング材料による製品の汚染の可能性を示した。実施例23は、一定してきれいに剥がれるシールで良好な強度シールを与えた。
【0126】
比較例27および実施例28
フィルムを、実施例23についての記載に従って作成し、PCTFEを含むフィルムにヒートシールした。PCTFEフィルムは、Medipak型番CP−21パッケージングマシン(上部および下部形成温度115℃)を用いてブリスターパックブランクに予め熱変形させた。実施例のフィルムを、成形したフィルムのPCTFE面に様々な温度、および2500psiのシール圧力および25cpm(1分当たりの容器)でヒートシールした。
【0127】
表10に室温および50%相対湿度での剥離データ(5回の繰り返しの平均)を示す。比較例C27は、比較例C26(表9)に用いたブレンドを含むフィルムを用いた。表10は、C26が高温を用いてPCTFEに適切にシールされたことを示しているが、これらの低シーリング温度ではPCTFEフィルムにはシールされなかった。実施例28のフィルムは、低シーリング温度を用いてもヒートシールされ、PCTFEフィルムからきれいに剥がせた。
【0128】
表10

1ブリスターパックヒートシールの公称幅
【0129】
実施例32〜36
表11および12に挙げた材料を、ドライブレンディングの標準のブレンド技術を用いてブレンドし、溶融配合することにより、組成物を調製した。Tack−1の80重量%とPE−2の20重量%の溶融ブレンドを、これらの組成物中でTack−1(PE−2を補充したもの)の原料として用いた(表11および12のこれらの成分について記録した量は、予備ブレンドを組み込んだ後の合計量である)。
【0130】
表11

【0131】
表12


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約10〜約80、または40〜80重量%の少なくとも1種類のエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、(b)約5〜約60、または20〜60、または20〜40重量%の少なくとも1種類のポリオレフィン、(c)0〜約35、または0.5〜35、または10〜20重量%の少なくとも1種類の粘着付与樹脂、および(d)0〜約35、または5〜20重量%のフィラーから実質的になる組成物であって、前記アルキル(メタ)アクリレート中のアルキル基が好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、前記エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーが好ましくは5〜30重量%のアルキル(メタ)アクリレートから誘導された繰り返し単位を含む組成物。
【請求項2】
前記アルキル(メタ)アクリレートがメチルアクリレートであり、前記エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーが、好ましくは9〜24重量%の前記メチルアクリレートから誘導された繰り返し単位を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーのメルトインデックスが約0.1〜約100、または約0.5〜約50g/10分であり、前記エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーが2種類の異なるエチレン/メチルアクリレートコポリマーを含む請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記フィラーが無機鉱物または塩、またはタルクである請求項1、2または3に記載の組成物。
【請求項5】
前記フィラーが、成分の前記エチレン/アルキル(メタ)アクリレート、前記ポリオレフィンおよびその両方と完全には相容しないポリマー材料、好ましくはポリスチレンである請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーが、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、一酸化炭素またはこれらのうち2種類以上の組み合わせから誘導された繰り返し単位を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレンホモポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、エチレンを含むコポリマー、プロピレンを含むコポリマー、またはこれらのうち2種類以上の組み合わせであり、前記コポリマーは好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンまたはこれらのうち2種類以上の組み合わせを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記粘着付与樹脂がクマロン−インデン樹脂、テルペン樹脂、ブタジエン−スチレン樹脂、炭化水素樹脂、ロジン材料またはこれらのうち2種類以上の組み合わせであり、ポリ−リモネンから誘導できる請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記エチレン/(メタ)アクリレートコポリマーが管状反応器で調製される請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物を含むか、または該組成物から製造された少なくとも1つの層と、少なくとも1つの第2の層と、任意で少なくとも1つの第3の層とを含む多層構造体であって、前記第2の層が、ホイル、紙、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリエチレン酢酸ビニル、エチレン/(メタ)アクリル酸コポリマーおよびエチレン/(メタ)アクリル酸コポリマーのイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、または無水物変性ポリオレフィンを含むか、またはホイル、紙、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリエチレン酢酸ビニル、エチレン/(メタ)アクリル酸コポリマーおよびエチレン/(メタ)アクリル酸コポリマーのイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、または無水物変性ポリオレフィンから製造され、前記第3の層が、ホイル、板紙、ガラス、高密度ポリエチレンポリプロピレン、ポリスチレンまたは耐衝撃性ポリスチレン、発泡ポリスチレン、アクリルホモポリマー、アクリルコポリマー、ポリカーボネート、ポリスルホン、アモルファスポリエチレンテレフタレート、結晶ポリエチレンテレフタレート、PCV、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアクリロニトリルホモポリマー、ポリアクリロニトリルコポリマー、ポリアセタールまたはポリアセタールコポリマーを含むか、またはホイル、板紙、ガラス、高密度ポリエチレンポリプロピレン、ポリスチレンまたは耐衝撃性ポリスチレン、発泡ポリスチレン、アクリルホモポリマー、アクリルコポリマー、ポリカーボネート、ポリスルホン、アモルファスポリエチレンテレフタレート、結晶ポリエチレンテレフタレート、PCV、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアクリロニトリルホモポリマー、ポリアクリロニトリルコポリマー、ポリアセタールまたはポリアセタールコポリマーから製造された多層構造体。
【請求項11】
前記第3の層を更に含む、または該層から製造された請求項10に記載の多層構造体。
【請求項12】
パッケージまたは容器用の蓋材料としての請求項10または11に記載の多層構造体の使用。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物または請求項10または11に記載の多層構造体を含むか、または該組成物または該多層構造体から製造されたパッケージまたは容器。
【請求項14】
前記第2の層が、ポリクロロトリフルオロエチレンフルオロポリマーを含む請求項13に記載のパッケージまたは容器。
【請求項15】
ブリスターパッケージ、パウチ、成形、プレスまたは熱成形容器である請求項13または14に記載のパッケージまたは容器。

【公表番号】特表2007−522276(P2007−522276A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549478(P2006−549478)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/000686
【国際公開番号】WO2005/071009
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】