説明

エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミンおよび水を含有する混合物を蒸留する方法、およびそれによって得られた、僅かなN−メチルエチレンジアミン含量を有する、エチレンジアミンとN−メチルエチレンジアミンとの混合物

本発明は、僅かな含量のN−メチルエチレンジアミン(Me−EDA)を有する、エチレンジアミン(EDA)とN−メチルエチレンジアミン(Me−EDA)との混合物に関し、この混合物は、当該混合物がエチレンジアミンを少なくとも99.5質量%含有し、N−メチルエチレンジアミンの濃度が0.005〜0.15質量%の範囲内にあることによって特徴付けられる。更に、本発明は、EDA、Me−EDAおよび水を含有する混合物を蒸留により後処理する方法であって、その際この混合物は、10ミリバールないし4バールの塔頂圧で運転される蒸留塔内に導入される前記方法に関し、この方法は、使用される混合物中での水/エチレンジアミンの質量比が、a*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびエチレンジアミンの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびエチレンジアミンの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9またはそれ以上の値を有する実数であることによって特徴付けられる。更に、本発明の対象は、僅かなMe−EDA含量を有するEDAを製造するために適した、EDA、Me−EDAおよび水を含有する蒸留可能な混合物を製造するための方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Me−EDAの僅かな含量を有する、エチレンジアミン(EDA)とN−メチルエチレンジアミン(Me−EDA)との混合物に関する。更に、本発明は、EDA、Me−EDAおよび水を含有する混合物を蒸留により後処理する方法ならびに僅かなMe−EDA含量を有するEDAの製造に適した、EDA、Me−EDAおよび水を含有する蒸留可能な混合物を製造するための方法に関する。
【0002】
エチレンジアミン(=アミノエタン)は、主に漂白活性剤、植物保護剤、医薬品、潤滑剤、テキスタイルレジン(Textilharzen)、ポリアミド、製紙用助剤またはベンジン添加剤を製造するための中間生成物として使用される。
【0003】
エチレンジアミン(EDA)を製造するために、数多くの方法が公知である(例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,"Amines Aliphatic",第8.1.1段落,DOI:10.1002/14356007.a02_001参照)。
【0004】
エチレンジアミンの製造において、N−メチルエチレンジアミン(Me−EDA)は、副反応によって形成されうる。
【0005】
即ち、例えばEDAを生じるモノエタノールアミン(MEOA)とアンモニアとの反応において、モノエタノールアミンの分解反応は、直接に一酸化炭素(CO)およびメチルアミンを形成しうる(脱カルボニル化)。更に、メチルアミンは、直接に他のモノエタノールアミンと反応し、Me−EDAを生じうる。
【0006】
Me−EDAは、モノエタノールアミンの二量化においても形成され、AEEAが直接に脱カルボニル化によって分解されてMe−EDAを生じる場合には、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)を生じうる。
【0007】
Me−EDAは、エチレンジアミンの製造においてもC1単位、例えばシアン化水素およびホルムアルデヒドから形成されうる。
【0008】
たいていの工業的使用のためには、市場は、EDAに対して少なくとも99.5質量%の純度を要求する。Me−EDAを含む有機二次成分は、最大0.5質量%の割合で含まれていてよい。更に、含水量は、最大0.5質量%であってよい。
【0009】
殊に、モノエタノールアミンまたはC1単位、例えばシアン化水素およびホルムアルデヒドを基礎とするEDAの製造方法において、投資費用および生産費用が経済的範囲内に留まるべき場合には、Me−EDA0.5質量%未満の含量は、一般的には実現され得ない。
【0010】
Me−EDAの割合の上昇は、EDAの製造に使用される触媒の運転時間の増大および不活性化と共に起こりうる。それというのも、触媒の僅かな活性を補償するために、一般的には、反応温度が高められ、ひいては望ましくない副反応の形成が増加するからである。
【0011】
比較的高いMe−EDA含量を有するEDAは、規格に則って有機二次成分の割合が0.5質量%を上廻らずかつ水の割合が0,5質量%を上廻らないように相応して後処理されなければならない。
【0012】
Me−EDAおよびEDAは、常圧において密閉沸騰性共沸混合物を形成するが、この共沸混合物は、一般的に工業的に容認できるレベルの費用で分離することはできない。
【0013】
水とEDAの分離においては、一般的に10分の数パーセントの範囲内のMe−EDAの僅かな減損だけが発生する。
【0014】
微少量のMe−EDAおよび水は、EDAから分離することは、極めて困難であるので、実際には、比較的高いMe−EDA含量を有するEDAの使用は、一般的に不可能である。
【0015】
本発明の課題は、EDAを、比較的に高い割合のMe−EDAが製造の結果として得られる方法から規格に適合した製品に加工することができるようなEDAを精製するための方法を提供することであった。この方法は、僅かな投資費用で実現可能であり、かつ僅かな製造費用で運転可能であるはずである。
【0016】
更に、本発明の課題は、僅かな割合のMe−EDAを有する、EDAとMe−EDAとの混合物を提供することであった。
【0017】
この工業的課題は、水、エチレンジアミンおよびメチル−エチレンジアミンを含有する混合物を蒸留する方法であって、その際この混合物は、10ミリバールないし4バールの塔頂圧で運転される蒸留塔内に導入される前記方法によって解決され、この方法は、使用される混合物中の水/エチレンジアミンの質量比がa*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9またはそれ以上の値を有する実数であることによって特徴付けられる。
【0018】
本発明による方法においては、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミンおよび水を含有する混合物が使用される。
【0019】
本発明によれば、本発明による方法において使用される混合物中での水/EDAの質量比は、a*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9またはそれ以上、特に1.0またはそれ以上、特に有利に1.02またはそれ以上の値を有する実数である。
【0020】
以下、水/EDAの質量比が、a*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9またはそれ以上、特に1.0またはそれ以上、特に有利に1.02またはそれ以上の値を有する実数であるような、EDA、水およびMe−EDAを含有する混合物は、「蒸留可能な混合物」と呼称される。
【0021】
蒸留すべき混合物中での水/EDAの質量比が、a*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9未満の値を有する実数である場合には、混合物中での水/EDAの質量比がa*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9またはそれ以上、特に1.0またはそれ以上、特に有利に1.02またはそれ以上の値を有する実数であるように、蒸留すべき混合物が本発明による方法に使用される前に蒸留すべき混合物には付加的に水が添加されなければならない。
【0022】
それに応じて、水/EDAの質量比が、a*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9未満の値を有する実数であるような、EDA、水およびMe−EDAを含有する混合物は、「蒸留すべき混合物」と呼称される。
【0023】
蒸留すべき混合物は、本発明によれば、水を添加することによって蒸留可能な混合物に変換されうる。
【0024】
それに応じて、本発明は、EDAおよびMe−EDAを含有する、蒸留すべき混合物に、水の添加後にEDA/水の質量比がa*X:Yであるように大量の水が添加され、この場合Xは、後続の中間生成物の本発明による蒸留を行なうことができる塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、後続の中間生成物の本発明による蒸留を行なうことができる塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9またはそれ以上、特に1.0またはそれ以上、特に有利に1.02またはそれ以上の値を有する実数であることを特徴とする、EDAおよびMe−EDAを含有する蒸留可能な混合物を製造するための方法にも関する。
【0025】
EDA、Me−EDAおよび水を含有する混合物の含水量は、水を測定するための常法により、例えばカールフィッシャー滴定法によって測定することができる。
【0026】
水は、通常、計量供給ポンプにより、特に連続的に供給される。
【0027】
蒸留可能な混合物の製造に必要とされる水の量は、水の添加後に水/EDAの質量比が、a*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9またはそれ以上、特に1.0またはそれ以上、特に有利に1.02またはそれ以上の値を有する実数であるように選択される。
【0028】
添加される水の最大量は、一般的に、付加的に添加される水の除去が経済的範囲内にあるように選択され、それというのも、水の除去は、蒸留において装置的費用ならびにエネルギー費用を上昇させうるからである。
【0029】
好ましくは、水の添加後にEDA/水の質量比は、a*X:Yであり、この場合Xは、後続の蒸留可能な混合物の蒸留が行なわれる当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、後続の蒸留可能な混合物の蒸留が行なわれる当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9〜2.0、特に1.0〜1.5、特に有利に1.01〜1.2、殊に有利に1.02〜1.1の値を有する実数である。
【0030】
圧力に依存する水とEDAとの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合の測定は、当業者によく知られていることである。
【0031】
すなわち、共沸点は、圧力に依存して実験により測定されることができ、この場合この方法は、当業者に公知である。二成分系EDAと水の共沸点は、例えば書物"Azeotropic Data Part I"(J.Gmehling,J.Menke,J.Krafczyk,K.Fischer,Wiley−VCH,2004,第425頁)中に記載された参考文献から確認することができる。
【0032】
その上、EDAと水の二成分系混合物の状態、すなわち実験により測定された値の概要、は、同様に関連文献に記載されている(J.Gmehling,J.Menke,J.Krafczyk,K.Fischer,Wiley−VCH,2004,第425頁の"Azeotropic Data Part I"または"Dortmund Data Bank"(http://WWW.ddbst.de/new/Dwefault.htm)参照)。
【0033】
更に、共沸点での水の質量割合は、活性係数のモデル、例えばNRTLを用いて良好に近似値で算出されうる。この方法は、標準として商業的なシミュレーションプログラム、例えばAspentech社のAspen Plusで実現されている。混合物データの上述の出所には、算出パラメーター、例えばNRTLパラメーターも記載されており、このNRTLパラメーターにより共沸点は、このパラメーターからずれた圧力に対しても少なくとも良好に近似値で算出されることができる。
【0034】
好ましくは、水の質量割合は、共沸点でAspenのNRTLモデルを用いて算出される。この計算は、一般的に理想気体を使用する。理想気体を使用して計算する場合には、混合物データのために上記の出所が挙げられる。EDAと水に関する蒸気圧曲線は、ドルトムント・データ・バンク(Dortmund Data Bank)、別の出所または別の刊行物から確認することができる。それによって、EDAと水の共沸点は、圧力に依存して算出することができる。
【0035】
モデル、例えばNRTLを基礎として算出される共沸点での水の質量割合は、実験により測定された共沸組成物から或る程度の誤差限界内でずれていてよい。
しかしながら、実際に現実に起こる、共沸点での水の質量割合は、添加すべき水の量を計算するのに決定的なことである。
【0036】
蒸留可能な混合物中での水/EDAの質量比がa*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9〜1.0の範囲内にある場合、1つの好ましい実施態様において、混合物中での水/EDAの質量割合が、a*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、1.0およびそれ以上、有利に1.02およびそれ以上の値を有する実数であることにより、好ましい蒸留可能な混合物が得られるように、蒸留可能な混合物には、付加的に水が添加される。
【0037】
この好ましい実施態様において、添加される水の最大量は、前記したように同様に一般的に、付加的に添加される水の除去が経済的範囲内にあるように選択され、それというのも、水の除去は、蒸留において装置的費用ならびにエネルギー費用を上昇させうるからである。
【0038】
好ましくは、この好ましい実施態様において、水の添加後に水/EDAの質量割合は、a*X:Yであり、この場合Xは、後続の蒸留可能な混合物の蒸留が行なわれる当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、後続の蒸留可能な混合物の蒸留が行なわれる当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、1.0〜1.5、有利に1.01〜1.2、特に有利に1.02〜1.1の値を有する実数である。
【0039】
本発明による蒸留法または蒸留可能な混合物を製造するための本発明による方法に使用される混合物において、EDA/Me−EDAの質量比は、特に1:0.003内is1:0.2、特に有利に1:0.005〜1:0.1、殊に有利に1:0.01〜1:0.05である。
【0040】
本発明による蒸留法または蒸留可能な混合物を製造するための本発明による方法に使用される混合物は、付加的な成分、例えば高沸点アミン、未反応出発物質および有機副生成物を含有することができる。高沸点アミンは、以下、同じ圧力でEDAより高い沸点を有するアミン、例えばピペラジン(PIP)、モノエタノールアミン、ジエチルトリアミン、アミノエチルエタノールアミン、トリエチレンテトラミン(TETA)および高級エチレンアミン(すなわち、TETAより高い沸点を有するエチレンアミン)を意味する。
【0041】
前記混合物中の前記成分の質量比は、特に次の通りである:
EDA:水=1:0.05〜0.8;
EDA:Me−EDA=1:0.003〜0.2;
EDA:アンモニア=1:0〜0.05;
EDA:高沸点アミン=1:0〜1.25;および
EDA:有機副生成物=1:0〜0.05;
および特に有利に:
EDA:水=1:0.1〜0.5;
EDA:Me−EDA=1:0.005〜0.05;
EDA:アンモニア=1:0〜0.025;
EDA:高沸点アミン=1:0.05〜1;および
EDA:有機副生成物=1:0.0001〜0.025。
【0042】
本発明による蒸留法または蒸留可能な混合物を製造するための本発明による方法に使用されてよい、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミンおよび水を含有する混合物は、有利にアンモニア5質量%未満、特に有利にアンモニア2質量%未満、特に有利にアンモニア1質量%未満、殊に有利にアンモニア0.5質量%未満を含有する。
【0043】
本発明による蒸留法または蒸留可能な混合物を製造するための本発明による方法に使用されてよい混合物は、有利に水素および/またはアンモニアを、EDAの製造の際に生じる反応排出物から分離することによって得られる。
【0044】
このような反応排出物は、例えばMEOAとアンモニアとの反応または酸化エチレンとアンモニアとの反応またはホルムアルデヒドと青酸とアンモニアと水素との反応によって得ることができる。
【0045】
MEOAとアンモニアとの反応は、例えば米国特許第2861995号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第1172268号明細書および米国特許第3112318号明細書中に記載されている。MEOAとアンモニアとの反応の種々の変法に関する概要は、例えばPERPレポートNo.138,"Alkyl−Amines",SRI International,03/1981(殊に、第81〜99頁、第117頁)から確認することができる。
【0046】
モノエタノールアミンとアンモニアとの反応は、有利に固定床反応中で遷移金属触媒上で150〜250バールおよび160〜210℃で実施されるかまたはゼオライト触媒上で1〜20バールおよび280〜380℃で実施される。
【0047】
有利に使用される遷移金属触媒は、酸化物担体(例えば、Al23、TiO2、ZrO2、SiO2)上にNi、Co、Cu、Ru、Re、Rh、PdまたはPt、またはこれらの金属の2つまたはそれ以上の混合物を含有する。
【0048】
好ましいゼオライト触媒は、モルデン沸石、フォージャサイトおよび斜方沸石である。
【0049】
できるだけ高いEDA選択性を達成させるために、遷移金属触媒反応において、一般的には、アンモニア/モノエタノールアミンのモル比6〜20、有利に8〜15で作業され、ゼオライト触媒反応においては、一般的にアンモニア/モノエタノールアミンのモル比20〜80、有利に30〜50で作業される。
【0050】
MEOA変換率は、一般的に10%〜80%、有利に40〜60%の範囲内に維持される。
【0051】
連続的な運転においては、有利に触媒負荷量は、0.3〜0.6kg/(kg*h)(毎時触媒1kg当たりのMEOAのkg)の範囲内で調節される。
【0052】
触媒活性を維持するために、金属触媒を使用する際に、付加的に水素0.05〜0.5質量%(MEOA+NH3+H2の反応投入量に対して)が反応器中に導入される。
【0053】
反応排出物を製造するためのもう1つの経路は、例えばEur.Chem.News 20(1971)No.495,16ならびに上記のPERPレポート中に記載されている、酸化エチレンとアンモニアとの直接反応である。
【0054】
また、反応排出物は、ホルムアルデヒドと青酸とアンモニアと水素とを反応させることによって製造される。
【0055】
即ち、米国特許第2519803号明細書中には、ホルムアルデヒドシアノヒドリン(FACH)のアミノ化から生じかつ中間生成物としてアミノアセトニトリルを含有する、部分的に精製された水性反応混合物を水素化することによってエチレンジアミンを製造するための方法が記載されている。更に、ホルムアルデヒドシアノヒドリンは、ホルムアルデヒドを青酸と反応させることによって得ることができる。FACHを製造するための方法の記載は、例えば出願PCT/EP2008/052337、第26頁および出願WO−A1−2008/104582、第30頁(変法a)およびb))中に見出され、当該文献は、参照のために本明細書に援用される。
【0056】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第1154121号明細書は、エチレンジアミンを製造するためのもう1つの方法に関し、この場合出発物質の青酸、ホルムアルデヒド、アンモニアおよび水素は、触媒の存在下でいわゆる一槽法で反応される。
【0057】
WO−A1−2008/104592は、アミノアセトニトリルを水素化することによってEDAを製造するための方法に関する。アミノアセトニトリルは、通常、ホルムアルデヒドシアノヒドリンをアンモニアと反応させることによって得られ、この場合ホルムアルデヒドシアノヒドリンは、さらに一般的に青酸およびアンモニアから製造される。
【0058】
好ましくは、EDAおよびMe−EDAを含有する反応排出物は、WO−A−2008/104592中に記載された方法により製造され、当該文献は、参照のために本明細書に援用される。
【0059】
前記反応によって製造される反応排出物は、一般的に水素を含有し、この水素は、概して分離され、この場合この反応排出物は、例えば20〜30バールに放圧される。
【0060】
水素の分離後、EDAの製造の際に得られる反応排出物は、一般的にEDA、水、Me−EDA、アンモニアおよび一般的に高沸点アミンならびに未反応の原料および有機副生成物を含有する。
【0061】
好ましい実施態様において、反応排出物は、比較的高い含量のMe−EDAを有する。
【0062】
このような反応排出物は、EDAがC1単位、例えばホルムアルデヒドおよび青酸から製造される場合、またはEDAの製造に使用される触媒が、例えば運転時間の増加後に活性を失い、およびこの活性の損失がEDAの選択性を犠牲にして反応温度を上昇させることによって補償される場合に、有利に得られる。
【0063】
EDA製造からの反応排出物が比較的高い含量のMe−EDAを有する好ましい実施態様において、EDAの製造の際に得られる反応排出物中のEDA/Me−EDAの質量比は、特に1:0.003〜1:0.2、特に有利に1:0.005〜1:0.1、殊に有利に1:0.01〜1:0.05である。
【0064】
反応排出物中の前記成分の質量比は、特に次の通りである:
EDA:水=1:0.05〜0.8;
EDA:Me−EDA=1:0.003〜0.2;
EDA:アンモニア=1:0.002〜20;
EDA:高沸点アミン=1:0〜1.25;および
EDA:有機副生成物=1:0〜0.05。
【0065】
特に好ましい実施態様において、反応排出物は、MEOAとアンモニアとの反応によって得られ、この場合反応排出物中の前記成分の質量比は、次の通りである:
EDA:水=1:0.1〜0.5;
EDA:Me−EDA=1:0.005〜0.1;
EDA:アンモニア=1:3〜15;
EDA:高沸点アミン=1:0.01〜1:1.0;および
EDA:有機副生成物=1:0.0001〜0.025、
および殊に有利には、次の通りである:
EDA:水=1:0.1〜0.5;
EDA:Me−EDA=1:0.01〜0.05;
EDA:アンモニア=1:3〜15;
EDA:高沸点アミン=1:0.05〜1:0.5;および
EDA:有機副生成物=1:0.0001〜0.01。
【0066】
更に、特に好ましい実施態様において、反応排出物は、ホルムアルデヒドと青酸とアンモニアと水素との反応によって得られ、この場合反応排出物中の前記成分の質量比は、次の通りである:
EDA:水=1:0.1〜0.5;
EDA:Me−EDA=1:0.005〜0.1;
EDA:アンモニア=1:0.005〜0.1;
EDA:高沸点アミン=1:0.01〜1:1.0;および
EDA:有機副生成物=1:0.0001〜0.025、
および殊に有利には、次の通りである:
EDA:水=1:0.1〜0.5;
EDA:Me−EDA=1:0.01〜0.05;
EDA:アンモニア=1:0.01〜0.05;
EDA:高沸点アミン=1:0.05〜1:0.5;および
EDA:有機副生成物=1:0.0001〜0.01。
【0067】
比較的高い含量のMe−EDAを有する反応排出物の好ましい使用と共に、EDA、Me−EDAおよび水を含有する反応排出物は、僅かなMe−EDA含量で本発明による方法において使用されることができ、したがってMe−EDAの割合のさらなる低下が達成されうる。
【0068】
水素の分離後に、種々のEDA製造経路からの反応排出物は、EDA、Me−EDAおよび水と共に通常、付加的にアンモニアを含有する。
【0069】
EDAおよびMe−EDAを含有する反応排出物からのアンモニアの除去は、一般的に蒸留塔内で行なわれる。
【0070】
蒸留塔の正確な運転条件は、当業者によって使用される塔の分離性能に相応して、公知の蒸気圧力および蒸留塔内導入される成分の蒸発平衡につき従来の算出方法により定例の方法で算出されうる。
【0071】
アンモニアの分離は、有利に圧力塔内で行なわれ、この場合塔内圧力は、アンモニアが存在する冷媒、例えば冷却水で所定の冷媒温度で縮合されうるように選択される。アンモニアの分離は、有利に分離性能を向上させるための内部構造物を有する蒸留塔内で行なわれる。
【0072】
アンモニアの分離は、特に有利に棚段塔内で実施され、それというのもこのような塔は、高い圧力での運転のために良好に好適であり、かつ構造化された規則充填物を備えた塔よりも安価であるからである。
【0073】
棚段塔の場合には、塔の内部に中間棚段が存在し、この中間棚段の上で物質交換が行なわれる。異なる棚段型の例は、シーブトレイ、トンネルキャップトレイ、デュアルフロートレイ、バブルキャップトレイまたはバルブトレイである。
【0074】
しかし、蒸留内部構造物は、構造化された規則充填物として、例えばシートメタル規則充填物、例えばMellapak 250YまたはMontz Pak、型B1−250として、または構造化されたセラミック規則充填物として、または例えばポールリング、IMTPリング(Koch−Glitsch社)、ラシヒリング等から構成されたランダム充填物として存在していてもよい。構造化された規則充填物またはランダム充填物は、1つの棚板中、または有利に複数の棚板中に配置されていてよい。
【0075】
EDAおよびMe−EDAを含有する反応排出物は、特に蒸留塔の理論棚段の30%〜90%の空間範囲内に供給され(下から数えて)、特に有利には、蒸留塔の理論棚段の50%〜80%の空間範囲内に供給される。例えば、供給は、理論棚段の中央部より若干上方で行なうことができる。最適な供給位置は、当業者によってアンモニア濃度に依存して普通の計算ツールを用いて算出することができる。
【0076】
理論棚段の数は、一般に5〜30、特に10〜20の範囲内にある。
【0077】
塔頂圧は、特に有利に1〜30バールであり、特に好ましくは、10〜20バールである。
【0078】
塔底部内では、有利にアンモニアの蒸発温度を上廻る温度に調節され、したがってアンモニアは、実質的にまたは極めて実質的に気相に変換される。
【0079】
特に有利には、塔底圧力で塔底部を介して分離すべき混合物の塔底温度にほぼ対応する温度に調節される。温度は、塔底生成物中に含有されている物質の種類および組成に依存し、当業者によって普通の熱力学的計算ツールで算出することができる。例えば、18バールの塔頂圧の場合、有利に塔底温度は、220〜260℃に調節することができ、特に有利には、230〜250℃に調節することができる。
【0080】
蒸留塔の凝縮器は、一般にアンモニアの大部分が相応する塔頂圧で凝縮される温度で運転される。一般に凝縮器の運転温度は、30〜70℃、特に35〜50℃の範囲内にある。
【0081】
塔頂部での返送は、一般に、アミンの主要量ならびに水が塔内に保持されるように調節され、したがって前記アミンは、実質的に完全に塔底生成物として得られる。特に、凝縮器内で生じる凝縮物は、30%超、有利に49%超が蒸留塔の塔頂部内に返送される。
【0082】
蒸発に必要とされるエネルギーは、通常、蒸発器によって塔底部内に導入される。
【0083】
凝縮器内で主にアンモニアが、凝縮物として生じる。
【0084】
凝縮物として生じるアンモニアは、後処理後に、または特に直接にさらなる化学合成のための出発物質として使用されてよい。例えば、凝縮物として生じるアンモニアは、エチレンジアミンの製造のために再使用されてよく、この場合アンモニアは、エチレンジアミン製造プロセスに返送される。
【0085】
アンモニアの分離により得られる塔底排出物は、一般に、EDA、水およびMe−EDAおよび一般に高沸点アミンならびに有機副生成物を含有する混合物である。
【0086】
前記混合物中での水/EDAの質量比が、a*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9未満の値を有する実数である場合には、前記したような蒸留すべき混合物には、この混合物が本発明による方法で使用される前に付加的に水が供給され、したがって、本発明による方法で使用される混合物中での水/EDAの質量比は、a*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9またはそれ以上、特に1.0またはそれ以上、特に有利に1.02またはそれ以上の値を有する実数である。
【0087】
本発明によれば、本発明による方法において使用される混合物中での水/EDAの質量比は、a*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、aは、0.9またはそれ以上、特に1.0またはそれ以上、特に有利に1.02またはそれ以上の値を有する実数である。
【0088】
蒸留可能な混合物中での水/EDAの質量比がa*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9〜1.0の範囲内にある場合、1つの好ましい実施態様において、蒸留可能な混合物には、前記したように付加的に水が添加され、したがって混合物中での水/EDAの質量割合が、a*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、1.0およびそれ以上、有利に1.02およびそれ以上の値を有する実数であることにより、好ましい蒸留可能な混合物が得られる。
【0089】
本発明によれば、水/EDAの質量比が、a*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、aは、0.9またはそれ以上、特に1.0またはそれ以上、特に有利に1.02またはそれ以上の値を有する実数であるような、EDA、Me−EDAおよび水を含有する蒸留可能な混合物は、蒸留塔(Me−EDAの分離)内に導入される。
【0090】
好ましくは、蒸留塔は、分離性能を向上させるための内部構造物を有する。蒸留内部構造物は、特に構造化された規則充填物として、例えばシートメタル規則充填物、例えばMellapak 250YまたはMontz Pak、型B1−250として存在することができる。また、僅かな比表面積または高められた比表面積を有する規則充填物が存在していてよいか、または織物状充填物または別の幾何学的形状を有する充填物、例えばMellapak 252.Y.が使用されてよい。例えば、バルブトレイと比較して僅かな圧力損失および僅かな比液滞留量は、前記蒸留内部構造物の使用において好ましい。内部構造物は、1つまたはそれ以上の棚板中に存在していてよい。
【0091】
EDA、Me−EDAおよび水を含有する蒸留可能な混合物は、特に蒸留塔の理論棚段の25%〜75%の空間範囲内に供給され(下から数えて)、特に有利には、蒸留塔の理論棚段の30%〜65%の空間範囲内に供給される。例えば、供給は、理論棚段の中央部より若干下方で行なうことができる。最適な供給位置は、当業者によって普通の計算ツールを用いて算出することができる。
【0092】
理論棚段の数は、一般に5〜50、特に20〜40の範囲内にある。
【0093】
塔頂圧は、本発明によれば、10ミリバール〜4バール、特に有利に20ミリバール〜2バール、殊に有利に50ミリバール〜200ミリバールである。
もう1つの好ましい実施態様によれば、塔は、塔頂部で大気圧、約1バールで運転され、それというのも、大気圧では、蒸留の簡単な装置的構成を達成することができるからである。
【0094】
塔底部内では、水の蒸発温度を上廻るが、しかし、EDAと水とからなる共沸二成分系混合物の蒸発温度を下廻る温度に調節されるのが好ましく、したがって蒸留すべき混合物(塔投入量)の水濃度と共沸点での水の質量割合との差にほぼ相当する水の量は、気相に変換される。
【0095】
例えば、100ミリバールの塔頂圧で、有利に塔底温度は、60〜90℃、特に有利に65〜80℃に調節されることができる。
【0096】
蒸留塔の凝縮器は、一般に水の大部分が相応する塔頂圧で凝縮される温度で運転される。一般に凝縮器の運転温度は、25〜70℃、特に30〜50℃の範囲内にある。
【0097】
特に、凝縮器内で生じる凝縮物は、80%超、有利に90%超が蒸留塔の塔頂部内に返送される。
【0098】
蒸発に必要とされるエネルギーは、通常、蒸発器によって塔底部内に導入される。
【0099】
凝縮器内で主に水およびMe−EDAを含有する凝縮物として生じる。
【0100】
塔底排出物中には、一般にEDAおよび水ならびに場合により高沸点アミン、例えばピペラジン、モノエタノールアミン、ジエチレントリアミン、アミノエチルエタノールアミン、トリエチレンテトラミンおよび高級エチレンアミンを含有する混合物が得られる。
【0101】
塔底排出物中のMe−EDA/EDAの比は、特に、投入量としてMe−EDA分離に導入される、蒸留すべき混合物中でのMe−EDA/EDAの比より低い。
【0102】
Me−EDA分離による塔底排出物中のEDA/Me−EDAの質量比は、特に1:0.003未満、特に有利に1:0.002未満、有利に1:0.001未満である。好ましくは、Me−EDA分離による塔底排出物中でのEDA/Me−EDAの質量比は、1:0〜1:0.003、特に有利に1:0.0001〜1:0.002、殊に有利に1:0.0002〜1:0.001の範囲内にある。
【0103】
意外なことに、塔底排出物中でのMe−EDAの濃度は、蒸留すべき混合物中での水/エチレンジアミンの質量比がa*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9およびそれ以上である値を有する実数であるような、Me−EDA、EDAおよび水の蒸留可能な混合物を蒸留することによって著しく減少されうる。この結果、Me−EDAとEDAが沸点近接共沸混合物を形成する極めて類似した成分であることは、まさに驚異的なことである。水の添加は、EDAと比較してMe−EDAの揮発性を明らかに向上させる。
【0104】
Me−EDA分離による塔底排出物として得られる混合物は、主に水およびEDA、ならびに場合により高沸点アミン、例えばピペラジン、モノエタノールアミン、ジエチレントリアミン、アミノエチルエタノールアミン、トリエチレンテトラミンおよび高級エチレンアミンを含有する。
【0105】
含水量を減少させるために、Me−EDA分離による塔底排出物は、一般に他の蒸留工程に供給される("水の除去")。
【0106】
EDAおよび水を含有する混合物からの水の除去は、一般に塔頂部で大部分の水が生じ、かつEDAならびに高沸点アミンが塔底部から取り出されうるように運転される蒸留塔内で行なわれる。
【0107】
蒸留塔の正確な運転条件は、当業者によって使用される塔の分離性能に相応して、公知の蒸気圧力および蒸留塔内導入される成分の蒸発平衡につき従来の算出方法により定例の方法で算出されうる。
【0108】
水の除去は、一般に分離性能を向上させるための内部構造物を有する蒸留塔内で行なわれる。
【0109】
水の除去は、有利に棚段塔内で実施される。それというのも、このような塔は、高い圧力での運転に良好に好適であるからである。
【0110】
棚段塔の場合には、塔の内部に中間棚段が存在し、この中間棚段の上で物質交換が行なわれる。異なる棚段型の例は、シーブトレイ、トンネルキャップトレイ、デュアルフロートレイ、バブルキャップトレイまたはバルブトレイである。
【0111】
しかし、蒸留内部構造物は、構造化された規則充填物として、例えばシートメタル規則充填物、例えばMellapak 250YまたはMontz Pak、型B1−250として、または構造化されたセラミック規則充填物として存在していてもよい。
【0112】
EDA、Me−EDAおよび水を含有する蒸留可能な混合物は、特に蒸留塔の理論棚段の40%〜90%の空間範囲内に供給され(下から数えて)、特に有利には、蒸留塔の理論棚段の50%〜75%の空間範囲内に供給される。例えば、供給は、理論棚段の中央部より若干上方で行なうことができる。最適な供給位置は、当業者によって普通の計算ツールを用いて算出することができる。
【0113】
理論棚段の数は、一般に10〜80、特に30〜60の範囲内にある。
【0114】
塔頂圧力は、特に有利に4〜30バールであり、特に好ましくは、6〜10バールである。前記圧力にある場合、水とEDAとの二成分系混合物は、共沸混合物を全く形成しない。
【0115】
塔底部内では、好ましくは、水の蒸発温度を上廻るが、しかし、EDAの蒸発温度を下廻る温度に調節される。例えば、8バール(絶対圧力)の塔頂圧力の場合、好ましくは、塔底温度は、180〜250℃、特に有利に210〜230℃に調節されてよい。
【0116】
蒸留塔の凝縮器は、一般に水の大部分が相応する塔頂圧で凝縮される温度で運転される。一般に凝縮器の運転温度は、150〜230℃、特に160〜180℃の範囲内にある。
【0117】
特に、凝縮器内で生じる凝縮物は、50%超、有利に65%超が蒸留塔の塔頂部内に返送される。
【0118】
蒸発に必要とされるエネルギーは、通常、蒸発器によって塔底部内に導入される。
【0119】
凝縮器内で主に水を含有する凝縮物が生じる。こうして得られた水は、例えば排水処理プラント中への導入によって、一般に直接に廃棄物処理に供給されてよい。
【0120】
水の除去により得られた塔底排出物中には、一般にEDAおよび場合により他のアミン、例えばピペラジン、モノエタノールアミン、ジエチレントリアミン、アミノエチルエタノールアミン、トリエチレンテトラミンおよび高級エチレンアミンを含有する混合物が得られる。
【0121】
特に、水の除去により得られた塔底排出物は、水0.5質量%未満、特に0.4質量%未満、特に有利に水0.3質量%未満を含有する。
【0122】
一般に水の除去により得られた塔底排出物は、EDAと共に、等しい圧力でEDAよりも高い沸点を有するアミン、いわゆる"高沸点アミン"、例えばピペラジン、モノエタノールアミン、ジエチレントリアミン、アミノエチルエタノールアミン、トリエチレンテトラミンおよび高級エチレンアミンを含有する。
【0123】
水の除去により得られた塔底排出物中に含有されている高沸点アミンは、一般に1つまたはそれ以上の引続く蒸留段内で除去される。
【0124】
水の除去により得られた塔底排出物は、1つまたはそれ以上の他の蒸留段内で相応するアミン含有留分に分離されることができる。
【0125】
通常、水の除去により得られた塔底排出物は、EDAおよびピペラジンが塔頂部で生じ、かつ別の高沸点アミンが塔底部から取り出されうるように運転される、もう1つの蒸留塔内に導入される(EDA/PIPの除去)。蒸留塔の正確な運転条件は、当業者によって使用される塔の分離性能に相応して、公知の蒸気圧力および蒸留塔内導入される成分の蒸発平衡につき従来の算出方法により定例の方法で算出されうる。
【0126】
好ましくは、蒸留塔は、分離性能を向上させるための内部構造物を有する。蒸留内部構造物は、特に構造化された規則充填物として、例えばシートメタル規則充填物、例えばMellapak 250YまたはMontz Pak、型B1−250として存在することができる。また、僅かな比表面積または高められた比表面積を有する規則充填物が存在していてよいか、または織物状充填物または別の幾何学的形状を有する充填物、例えばMellapak 252.Y.が使用されてよい。例えば、バルブトレイと比較して僅かな圧力損失および僅かな比液滞留量は、前記蒸留内部構造物の使用において好ましい。内部構造物は、1つまたはそれ以上の棚板中に存在していてよい。
【0127】
水の除去により得られた塔底排出物は、特に蒸留塔の理論棚段の25%〜75%の空間範囲内に供給され(下から数えて)、特に有利には、蒸留塔の理論棚段の30%〜65%の空間範囲内に供給される。例えば、供給は、理論棚段の中央部より若干上方で行なうことができる。最適な供給位置は、当業者によって普通の計算ツールを用いて算出することができる。
【0128】
理論棚段の数は、一般に39〜90、特に40〜70の範囲内にある。
【0129】
塔頂圧力は、特に有利に0.1〜10バールであり、特に好ましくは、0.5〜5バールである。殊に有利には、塔は、常圧で運転される。
【0130】
塔底部内では、好ましくは、EDAの蒸発温度を上廻るが、しかし、DETAの蒸発温度を下廻る温度に調節される。例えば、1バール(絶対圧力)の塔頂圧力の場合、好ましくは、塔底温度は、170〜220℃、特に有利に180〜210℃に調節されてよい。
【0131】
蒸留塔の凝縮器は、一般にEDA−ピペラジン混合物の大部分が相応する塔頂圧で凝縮される温度で運転される。一般に凝縮器の運転温度は、50〜150℃、特に110〜130℃の範囲内にある。
【0132】
特に、凝縮器内で生じる凝縮物は、30%超、有利に50%超が蒸留塔の塔頂部内に返送される。
【0133】
蒸発に必要とされるエネルギーは、通常、蒸発器によって塔底部内に導入される。
【0134】
塔底排出物中で、一般に、高沸点アミン、例えばジエチルトリアミン、アミノエチルエタノールアミン、トリエチレンテトラミンおよび高級エチレンアミンを含有する混合物が得られる。塔底排出物は、他の蒸留段内で個別の成分または個別の留分に分離されることができる。
【0135】
凝縮器内で、主にEDAおよびピペラジンを含有するが、しかし、極めて微少量のMe−EDAを含有する凝縮物が生じる。
【0136】
凝縮物は、一般に主に別の高沸点アミンを含有しない。高沸点アミンの割合(ピペラジンなし)は、一般に0.2質量%未満、特に0.1質量%未満、特に有利に0.05質量%未満である。
【0137】
EDA/PIPの除去により得られた塔頂排出物は、主にもう1つの蒸留塔内に導入され(EDAの除去)、この場合この蒸留塔は、EDAが塔頂部で生じかつピペラジンが塔底部から取り出されうるように運転される。蒸留塔の正確な運転条件は、当業者によって使用される塔の分離性能に相応して、公知の蒸気圧力および蒸留塔内導入される成分の蒸発平衡につき従来の算出方法により定例の方法で算出されうる。
【0138】
好ましくは、蒸留塔は、分離性能を向上させるための内部構造物を有する。蒸留内部構造物は、例えば構造化された規則充填物として、例えばシートメタル規則充填物、例えばMellapak 250YまたはMontz Pak、型B1−250として存在することができる。また、僅かな比表面積または高められた比表面積を有する規則充填物が存在していてよいか、または織物状充填物または別の幾何学的形状を有する充填物、例えばMellapak 252.Y.が使用されてよい。例えば、バルブトレイと比較して僅かな圧力損失および僅かな比液滞留量は、前記蒸留内部構造物の使用において好ましい。内部構造物は、1つまたはそれ以上の棚板中に存在していてよい。
【0139】
EDA/PIPの除去により得られた塔底排出物は、特に蒸留塔の理論棚段の25%〜75%の空間範囲内に供給され(下から数えて)、特に有利には、蒸留塔の理論棚段の30%〜65%の空間範囲内に供給される。例えば、供給は、理論棚段の中央部より若干下方で行なうことができる。最適な供給位置は、当業者によって普通の計算ツールを用いて算出することができる。
【0140】
理論棚段の数は、一般に10〜70、特に20〜50の範囲内にある。
【0141】
塔頂圧力は、特に有利に0.1〜10バールであり、特に好ましくは、0.5〜5バールである。殊に有利には、塔は、常圧で運転される。
【0142】
塔底部内では、好ましくは、EDAの蒸発温度を上廻るが、しかし、ピペラジンの蒸発温度を下廻る温度に調節される。例えば、塔頂圧は、1バール(絶対圧力)に調節されてよく、有利に塔底温度は、120〜200℃、特に有利に140〜160℃に調節されてよい。
【0143】
蒸留塔の凝縮器は、一般にEDA−ピペラジン混合物の大部分が相応する塔頂圧で凝縮される温度で運転される。一般に凝縮器の運転温度は、50〜150℃、特に110〜130℃の範囲内にある。
【0144】
特に、凝縮器内で生じる凝縮物は、30%超、有利に50%超が蒸留塔の塔頂部内に返送される。
【0145】
蒸発に必要とされるエネルギーは、通常、蒸発器によって塔底部内に導入される。
【0146】
塔底排出物中で、一般にピペラジンが得られる。
【0147】
凝縮器内で、主にEDAを含有するが、しかし、極めて微少量のMe−EDAを含有する凝縮物が生じる。
【0148】
凝縮物は、一般に主に、ピペラジンを含めて高沸点アミンを含有しない。ピペラジンを含めて高沸点アミンの割合は、一般に0.5質量%未満、特に0.3質量%未満、特に有利に0.2質量%未満である。
【0149】
本発明による方法により、EDAとMe−EDAとの混合物を得ることができ、この場合この混合物は、EDAを少なくとも99.5質量%含有し、およびMe−EDAの濃度は、0.4質量%未満、有利に0.3質量%未満、特に有利に0.2質量%未満、殊に有利に0.1質量%未満である。
【0150】
本発明による方法により、EDAとMe−EDAとの混合物を得ることができ、この場合この混合物は、EDAを少なくとも99.5質量%含有し、およびMe−EDAの濃度は、0〜0.4質量%、有利に0.005〜0.3質量%、特に有利に0.01〜0.15質量%である。
【0151】
また、本発明による方法により、極めて僅かなMe−EDAの割合を有する、EDAとMe−EDAとの混合物を得ることができる。
【0152】
それに応じて、本発明は、EDAとMe−EDAとの混合物がEDAを少なくとも99.5質量%含有し、およびMe−EDAの濃度が、0.005〜0.15質量%の範囲内、有利に0.008〜0.1質量%、特に有利に0.01〜0.05質量%の範囲内にあることによって特徴付けられる、EDAとMe−EDAとの混合物にも関する。
【0153】
本発明による混合物は、EDAの極めて高い純度が重要であるような使用に有利に好適である。
【0154】
本発明による混合物は、例えば高分子量ポリマー、例えばポリアミドの製造に使用されてよく、それというのも、EDAの官能性は、Me−EDAの形成によって減少されないからである。例えば、本発明による混合物は、エレクトロニクスケミカルズとして、または高純度の化学薬品として、植物保護剤、殺虫剤、エポキシ樹脂、錯体形成剤の分野で使用するため、または皮革工業、製紙工業または洗浄剤工業での使用のために入れられてもよい。高純度の化学薬品の使用は、最終製品の収量を向上させ、望ましくない副生成物の濃度を減少させ、さらに、当該使用分野において使用特性および加工特性の改善を生じうる。
【0155】
本発明による混合物は、前記の記載と同様に、EDA、Me−EDAおよび水を含有する混合物を、Me−EDAの除去のための蒸留塔内に導入し、この蒸留塔を10ミリバールないし4バールの塔頂圧力で運転することにより製造されることができ、この製造は、蒸留すべき混合物中での水/エチレンジアミンの質量比が、a*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9またはそれ以上、特に1.0またはそれ以上、特に有利に1.02またはそれ以上の値を有する実数であり、Me−EDAの除去により得られた塔底排出物が水の除去のためのもう1つの蒸留塔内に導入され、この蒸留塔内で塔頂部で水性留出物が生じ、塔底部で水の含量が減少した生成物が生じ、水の除去により得られた、水の含量が減少された塔底生成物がEDAの除去のための1つまたはそれ以上の蒸留段内に導入され、この場合本発明による混合物は、複数の塔の塔頂部で得られるかまたは複数の塔の中の1つの塔頂部で得られることによって特徴付けられる。
【0156】
EDAの製造の際に生じる、EDA、Me−EDAおよび水を含有する混合物からMe−EDAを除去するための本発明による方法により、EDAの製造において大量のMe−EDAが形成される場合でも、EDA少なくとも99.5質量%の含量を有する仕様書通りのEDAが含有されていてよい。これは、例えばEDAがC1単位、例えばホルムアルデヒドおよびシアン化水素から製造される場合であることができるか、または触媒が運転時間の増加と共に部分的な不活性化を示しかつ不活性化の補償のために反応温度を上昇させなければならない場合であることができる。温度の上昇は、一般にEDAの製造の関連して選択性を劣化させ、副生成物としてのMe−EDAの形成を増大させるという結果を生じる。従って、本発明による方法は、EDAの製造において触媒の使用時間を増加させることを可能にする。
【0157】
更に、本発明による方法により、改善された収率および出発物質よりも僅かな副反応を伴って数多くの用途に使用することができる高純度なEDAを得ることができる。
【0158】
本発明による方法は、次の実施例につき詳説される。
【0159】
実施例1:
公知技術水準による蒸留
エチレンアミン合成の反応器からの排出物は、水5.1質量%、EDA11.7質量%、Me−EDA300質量ppm、ピペラジン1.2質量%、モノエタノールアミン9.6質量%、DETA1.6質量%、DETAよりも高温で沸騰するエチレンアミン2.3質量%または高沸点物を含有し、残分は、アンモニアである。18バールでの加圧蒸留におけるアンモニアの除去後、50の理論棚段を有するさらなる加圧蒸留において8バールで水を塔頂を介して除去する。エチレンアミンを有する塔底排出物は、水約1200質量ppmおよびMe−EDA約800質量ppmを含有する。アミンを純粋な成分に分離するような常圧下でのさらなる蒸留工程後に、EDA99.5質量%超、水約2500質量ppmおよびMe−EDA1800質量ppmを有するEDA画分が得られ、すなわちEDA画分は、仕様書通りである。
【0160】
実施例2:
比較的高いMe−EDA含量での公知技術水準による蒸留
エチレンアミン合成の反応器からの排出物は、水5.1質量%、EDA11.7質量%、Me−EDA1500質量%(または2000質量ppm)、ピペラジン1.2質量%、モノエタノールアミン9.6質量%、DETA1.6質量%、DETAよりも高温で沸騰するエチレンアミン2.3質量%または高沸点物を含有し、残分は、アンモニアである。この組成物は、実質的に実施例1に相応するが、Me−EDAの割合は、1500質量ppmまたは2000質量ppmに上昇した。18バールでの加圧蒸留におけるアンモニアの除去後、さらなる加圧蒸留において8バールで水を塔頂を介して除去する。実施例1と同じ数の理論棚段の際に、著しく高いエネルギー消費でのみ双方のMe−EDA濃度は、最終的にEDA少なくとも99.5質量%を有する仕様書通りのEDA画分を製造することができる限り、水を除去することが可能である。同時に留去された水は、EDAおよびMe−EDAで著しく高度に汚染される(2000ppmの代わりに約5質量%)。反応排出物中でのMe−EDA2000質量ppmで、EDAの必要とされた純度は、増加されたエネルギー消費および生成物の損失(減少されたEDA蒸留の収率)の受け入れを伴ってのみ達成することができる。同時に、留去された水流のアミン汚染は、ますます大きくなり、廃棄物は相応してさらに費用が掛かることになる。それというのも、アミン含量(EDAおよびMe−EDA)は、2000ppmのMe−EDA含量で既に12質量%を達成し、その四分の三は、EDAである。
【0161】
実施例3:
本発明による蒸留
エチレンアミン合成の反応器からの排出物は、水5.1質量%、EDA11.7質量%、Me−EDA1500質量ppm、ピペラジン1.2質量%、モノエタノールアミン9.6質量%、DETA1.6質量%、DETAよりも高温で沸騰するエチレンアミン2.3質量%または高沸点物を含有し、残分は、アンモニアであり、すなわちこの組成は、実施例2に相当する。18バールでの加圧蒸留におけるアンモニアの除去後、最初に蒸留塔内で100ミリバール(絶対圧力)の塔頂圧で水(85質量%)とMe−EDA(14質量%)とEDA(1.0質量%)との混合物を塔頂部を介して除去する。二成分系共沸物EDA−水は、0.1バール(絶対圧力)で水約27.3質量%で存在する。5.1%:11.7%の供給流中での水/EDAの割合、即ち二成分系に対して水30.4%は、二成分系共沸物中での前記割合よりも高い。従って、蒸留のためにさらなる水を供給することは不要である。50の理論棚段を有する引続く加圧蒸留において、実施例1と同様に、8バールでさらなる水は、塔頂部を介して除去される。エチレンアミンを有する塔底排出物は、水約1500質量ppmおよびMe−EDA約40質量ppmを含有する。アミンを純粋な成分に分離するようなさらなる蒸留工程後に、EDA約99.65質量%、水約2900質量ppmおよびMe−EDA90質量ppmを有するEDA画分が得られ、すなわちEDA画分は、仕様書通りである。実施例2におけるのと同じ、反応器排出中でのMe−EDAの割合において、EDAのための比較的高い純度が達成され、この場合使用すべき全体のエネルギーは、実施例2におけるよりは低い。水の除去は、実施例1または2に比較して僅かにシャープな方法で行なうことができる。排水流を介して、EDAは、殆ど失われることはない。
【0162】
実施例4:
エチレンアミンの混合物を含有するMe−EDAの本発明による蒸留
混合物は、水18.2質量%、EDA72.7質量%、Me−EDA9.1質量%を含有する。二成分系共沸物EDA−水は、0.1バール(絶対圧力)で水約27.3質量%で存在する。即ち、共沸点での水/EDAの値は、27.3/(100−27.3)=0.375である。18.2%:72.7%=0.250(二成分系に対して20.0%)の供給流中での水/EDAの値は、二成分系共沸物中での前記値よりも低い。即ち、本発明による分離は、不可能である。それ故、供給流には、さらなる水が混入され、実際に上記供給流、即ち1000kg/hの供給流(その中には、水182kg/hおよびEDA727kg/hが含有されている)に対して13質量の割合が混入され、さらに水130kg/hが混入される。更に、すなわち全体で水312kg/hが供給流中に含有されている。水/EDAの値は、本発明によれば、312:727=0.429である(二成分系に対して30.0%)。更に、供給流中の水/EDAの値は、共沸点での水/EDAの値のa=1.14倍に相当する。塔の塔頂生成物流は、水約35質量%、EDA1質量%およびMe−EDA64質量%を含有する。塔底生成物流は、水約26.6質量%、EDA73.3質量%およびMe−EDA0.1質量%を含有する。30の理論棚段を有する引続く加圧蒸留において、14バール(絶対圧力)でさらに水は、塔頂部を介して除去される。塔底排出物は、EDA約99.66質量%、水2500質量ppmおよびMe−EDA約900質量ppmを含有する。
【0163】
実施例5:
エチレンアミンの混合物を含有するMe−EDAの本発明による蒸留
混合物は、水18.2質量%、EDA72.7質量%、Me−EDA9.1質量%を含有する。この混合物は、EDA画分がEDA少なくとも99.5質量%を含有するように分離されるべきである。二成分系共沸物EDA−水は、1バール(絶対圧力)で水約14.7質量%で存在する。共沸点での水/EDAの値は、14.7/(100−14.7)=0.172である。18.2%:72.7%=0.250(二成分系に対して20.0%)の供給流中での水/EDAの値は、二成分系共沸物中での前記値よりも高い。更に、供給流中の水/EDAの値は、共沸点での水/EDAの値のa=1.14倍*に相当する。従って、供給流にさらなる水を混入する必要はない。塔の塔頂生成物流は、水約38.9質量%、EDA1質量%およびMe−EDA60.1質量%を含有する。塔底生成物流は、水約14.5質量%、EDA85.4質量%およびMe−EDA0.1質量%を含有する。30の理論棚段を有する引続く加圧蒸留において、14バール(絶対圧力)でさらに水は、塔頂部を介して除去される。塔底排出物は、EDA約99.65質量%、水2500質量ppmおよびMe−EDA約1000質量ppmを含有する。EDA画分は、塔底部を介する代わりに、塔のストリッピング部中の蒸気状側方取出流を介して実際に同じ純度で取得されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、エチレンジアミンおよびN−メチルエチレンジアミンを含有する混合物を蒸留する方法であって、その際この混合物は、10ミリバールないし4バールの塔頂圧で運転される蒸留塔内に導入される前記方法において、使用される混合物中の水/エチレンジアミンの質量比がa*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、aは、0.9またはそれ以上の値を有する実数であることを特徴する、水、エチレンジアミンおよびN−メチルエチレンジアミンを含有する混合物を蒸留する方法。
【請求項2】
aは、1.01〜1.2の値を有する実数である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法で使用される混合物は、アンモニア5質量%未満を含有する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
使用される混合物中のエチレンジアミン/N−メチルエチレンジアミンの質量比は、1:0.005〜1:0.1の範囲内にある、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
塔頂圧は、50ミリバール〜200ミリバールである、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
塔頂圧は、大気圧である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法で使用される混合物は、エチレンジアミンよりも高い沸点を有する、他のアミンをさらに含有し、この場合エチレンジアミン/高沸点アミンの質量比は、1:0.1〜1:1の範囲内にある、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法で使用される混合物は、エタノールアミンおよびアンモニアからのエチレンジアミンの変換により得られたものである、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法で使用される混合物は、ホルムアルデヒド、シアン化水素、アンモニアおよび水素の変換により得られたものである、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
エチレンジアミンおよびN−メチルエチレンジアミンを含有する蒸留可能な混合物を製造する方法において、エチレンジアミンおよびN−メチルエチレンジアミンを含有する混合物に、水の添加後にエチレンジアミン/水の質量比がa*X:Yであるように大量の水を添加し、この場合Xは、請求項1から9までのいずれか1項に記載の蒸留可能な混合物の後続の蒸留を行なうことができる塔頂圧での水およびエチレンジアミンの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、請求項1から9までのいずれか1項に記載の蒸留可能な混合物の後続の蒸留を行なうことができる塔頂圧での水およびエチレンジアミンの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9またはそれ以上の値を有する実数であることを特徴とする、エチレンジアミンおよびN−メチルエチレンジアミンを含有する蒸留可能な混合物を製造する方法。
【請求項11】
蒸留可能な混合物を蒸留塔内で10ミリバールないし4バールの圧力で蒸留する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
エチレンジアミンおよびN−メチルエチレンジアミンを含有する混合物において、この混合物がエチレンジアミン少なくとも99.5質量%を含有し、N−メチルエチレンジアミンの濃度が0.005〜0.15質量%の範囲内にあることを特徴とする、エチレンジアミンおよびN−メチルエチレンジアミンを含有する混合物。
【請求項13】
エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミンおよび水を含有する混合物を、10ミリバールないし4バールの塔頂圧で運転される、N−メチルエチレンジアミンを分離するための蒸留塔内に導入することにより、請求項12記載の混合物を製造する方法において、前記方法で使用される混合物中での水/エチレンジアミンの質量比が、a*X:Yであり、この場合Xは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点での水の質量割合であり、Yは、当該塔頂圧での水およびEDAの二成分系混合物の共沸点でのエチレンジアミンの質量割合であり、およびaは、0.9またはそれ以上の値を有する実数であり、N−メチルエチレンジアミンの除去により得られた塔底排出物を水の除去のためのもう1つの蒸留塔内に導入し、この蒸留塔内で塔頂部で水性留出物が生じ、および塔底部で水の含量が減少した生成物が生じ、この水の除去により得られた、水の含量が減少された塔底生成物をEDAの除去のための1つまたはそれ以上の蒸留段内に導入し、この場合本発明による混合物は、複数の塔の塔頂部で得られるかまたは複数の塔の中の1つの塔頂部で得られることを特徴とする、請求項12記載の混合物を製造する前記方法。
【請求項14】
エレクトロニクスケミカルズとして、または植物保護剤、殺虫剤、エポキシ樹脂、錯体形成剤の分野で使用するため、または皮革工業、製紙工業または洗浄剤工業での使用のため、またはポリアミドの製造のための高純度の化学薬品としての請求項12記載の混合物の使用。

【公表番号】特表2013−512874(P2013−512874A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541453(P2012−541453)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068469
【国際公開番号】WO2011/067226
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】