説明

エチレン系ポリマー組成物

エチレン系ポリマー組成物が発見され、コモノマー分布定数が約45より大きいことを特徴とする。新規のエチレン系ポリマー組成物は、特に、フィルムを含む多くの物品を作製するのに有用である。ポリマーは、多価のアリールオキシエーテルの金属錯体を用いて作製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年7月1日に出願された米国特許仮出願第61/222,371号の利益を主張し、参照によりその全てを本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
高圧フリーラジカル化学を用いて作製されたポリエチレン(LDPE)、典型的にチーグラー−ナッタ触媒作用を用いて作製されたより伝統的な線状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびメタロセンまたは幾何拘束型触媒により作られたポリエチレン(一部は線状ポリエチレンであるが、長鎖分枝を少量含む実質的に線状のポリエチレンも含む)を含む多種多様なポリエチレンポリマーが長年にわたり重合されてきている。これらのポリマーは、その適用や最終用途に応じ様々な長所と短所を有しているが、ポリマー構造をさら制御することが今も望まれている。
【0003】
本発明者らは今般、ポストメタロセン触媒が、エチレンを効率的に重合して、制御されたコモノマー分布プロファイルを有すると同時に、ポリマー中の不飽和のレベルが制御されたポリマーおよびポリマー組成物とすることができることを発見した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある実施形態では、本発明は、コモノマー分布定数が、約45より大きく、より好ましくは、50より大きく、最も好ましくは、95より大きく、400まで、好ましくは、200までであることを特徴とし、炭素1,000,000個当たり合計120個未満の不飽和単位を有する、エチレン系ポリマー組成物である。エチレン系ポリマー組成物は、好ましくは、炭素1000個当たり約3個までの長鎖分枝、より好ましくは、炭素1000個当たり約0.01から約3個の長鎖分枝を含む。エチレン系ポリマー組成物は、少なくとも2のZSVRを有し得る。エチレン系ポリマー組成物は、炭素1,000,000個当たり20個未満のビニリデン不飽和単位を有することをさらに特徴とし得る。エチレン系ポリマー組成物は、二峰性分子量分布(MWD)または多峰性MWDを有し得る。エチレン系ポリマー組成物は、35℃から120℃の間で、パージを除いて、単峰性または二峰性の分布を含むコモノマー分布プロファイルを有し得る。エチレン系ポリマー組成物は、DSCの単一融解ピークを含み得る。エチレン系ポリマー組成物は、約17,000から約220,000の重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0005】
新規のポリマー組成物を含む製造物品が、特に、少なくとも1層のフィルム層の形態であることも企図される。他の実施形態は、新規のポリマー組成物および少なくとも1種の天然または合成のポリマーを含む、熱可塑性配合物(formulation)を含む。
【0006】
エチレン系ポリマー組成物は、少なくとも部分的に架橋(少なくとも5(重量)%ゲル化)されていてもよい。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、
(A)第1の反応器または多段階反応器の第1の部分において、第1の触媒の存在下で、エチレンを重合して半結晶性のエチレン系ポリマーを形成するステップ、および
(B)少なくとも1個の他の反応器または多段階反応器の後の部分において、第2の触媒の存在下で、半結晶性のエチレン系ポリマーをさらなるエチレンと反応させてエチレン性ポリマーを形成するステップ
を含み、(A)および(B)の触媒は同一でも異なっていてもよく、(A)および(B)のそれぞれの触媒は、下式に対応する多価アリールオキシエーテルの金属錯体である方法である:
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、MはTi、HfまたはZr、好ましくは、Zrであり、
Arは、各出現時独立して、置換基が、各出現時独立して、アルキル、シクロアルキル、およびアリール基、ならびにハロ、トリヒドロカルビルシリルおよびハロヒドロカルビル置換されたこれらの誘導体からなる群から選択される、置換C9〜20アリール基であり、但し、少なくとも1つの置換基はそれが結合しているアリール基と共平面性を有しておらず、
は、各出現時独立して、C2〜20のアルキレン、シクロアルキレンもしくはシクロアルケニレン基、または不活性に置換されているこれらの誘導体であり、
21は、各出現時独立して、水素、ハロ、水素を数に含めずに50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたはジ(ヒドロカルビル)アミノ基であり、
は、各出現時独立して、水素、ハロ、水素を数に含めずに50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシもしくはアミノであり、あるいは同一のアリーレン環上の2個のR基が一緒になって、または同一もしくは異なるアリーレン環上のRおよびR21基が一緒になって、2カ所でアリーレン基に結合している2価のリガンド基を形成するまたは2個の異なるアリーレン環を結び合わせており、
は、各出現時独立して、ハロ、または水素を数に含めずに20個までの原子を有するヒドロカルビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基であり、またはステップ(B)の反応がグラフト重合で行われる場合に特に、2個のR基が一緒になって、ヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイル、ジエン、またはポリ(ヒドロカルビル)シリレン基である)。
【0010】
さらに別の実施形態では、本発明は、以下のステップを含む、コモノマー組成分布(CDC)についてエチレン系ポリマーを特性決定する方法である。
【0011】
(A)式2に従って、CEFから、0.200℃の温度ステップで35.0℃から119.0℃までの各温度(T)での重量分率(w(T))を求めるステップ、
【数1】

【0012】
(B)累積重量分率が0.500である平均温度(Tmean)を計算するステップ(式3)、
【数2】

【0013】
(C)コモノマー含量較正曲線を用いて、温度中央値(Tmedian)での対応するコモノマー含量中央値(Cmedian)をモル%で計算するステップ(式4)、
【数3】

【0014】
(D)既知のコモノマー含量を有する一連の基準材料を用いてコモノマー含量較正曲線を作成するステップであって、重量平均Mwが35,000から115,000(通常のGPCによる)であり、コモノマー含量が0.0モル%から7.0モル%の範囲である、狭いコモノマー分布(35.0℃から119.0℃までのCEFにおいて単峰性のコモノマー分布)を有する11個の基準材料を、CEF実験の部で特定した同一の実験条件でCEFを用いて分析するステップ、
【0015】
(E)それぞれの基準材料のピーク温度(T)およびそのコモノマー含量を用いて、コモノマー含量の較正値を計算するステップであって、較正値のRが相関定数であるステップ、
【0016】
(F)0.5medianから1.5medianの範囲のコモノマー含量を有する全重量分率からコモノマー分布指数を計算するステップであって、Tmedianが98.0℃よりも高い場合には、コモノマー分布指数が0.95と定義されるステップ、
【0017】
(G)35.0℃から119.0℃までの最高ピーク(2つのピークが等しい場合には、より低温のピークを選択する)に対して、各データ点を探すことによりCEFコモノマー分布プロファイルから最高ピーク高さを得るステップであって、半値幅は、最高ピーク高さの半分での前端温度と後端温度との温度差として定義され、最高ピークの半分での前端温度は、35.0℃から前方に探し、最高ピークの半分での後端温度は、119.0℃から後方に探し、一方、ピーク温度間の差が各ピークの半値幅の合計に等しいかまたはそれよりも大きい明確な二峰性分布の場合、ポリマーの半値幅は、各ピークの半値幅の相加平均として計算されるステップ、
【0018】
(H)式5に従って温度の標準偏差(Stdev)を計算するステップ。
【数4】

【発明を実施するための形態】
【0019】
ある方法では、可塑剤などの加工助剤もまた、エチレン性ポリマー製品中に含有することができる。これらの助剤としては、フタル酸ジオクチルおよびフタル酸ジイソブチルなどのフタル酸エステル、ラノリンなどの天然油、石油精製から得られるパラフィン系油、ナフテン系油および芳香族系油、ならびにロジンまたは石油原料から得られる液体樹脂が含まれるが、これらに限られるわけではない。加工助剤として有用な油の例示的な種類としては、KAYDOL油(Chemtura Corp.、Middlebury、Conn.)およびSHELLFLEX 371 ナフテン油(Shell Lubricants、Houston、Tex.)などの白色鉱油が含まれる。他の適切な油としては、TUFFLO油(Lyondell Lubricants、Houston、Tex)がある。
【0020】
ある方法では、エチレン性ポリマーは1種または複数の安定化剤、例えば、IRGANOX 1010およびIRGAFOS 168(Ciba Specialty Chemicals、Glattbrugg、Switzerland)などの抗酸化剤で処理される。一般に、ポリマーは、押出しまたは他の溶融プロセスの前に1種または複数の安定化剤で処理される。他の実施形態のプロセスでは、他の高分子添加剤としては、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、核形成剤、フィラー、滑り剤、難燃化剤、可塑剤、加工助剤、潤滑剤、安定化剤、発煙防止剤、粘度調整剤およびブロッキング防止剤が含まれるが、これらに限られるわけではない。例えば、実施形態のエチレン性ポリマー組成物は、1種または複数の添加剤を、合せた重量として、実施形態のエチレン性ポリマーの重量に対して10%未満含みうる。特許請求しているポリマーの特別な利点は、水以外の触媒無効化剤を含まず、それによりステアリン酸カルシウムが不要であることである。
【0021】
作製されるエチレン性ポリマーはさらに、混ぜ合わされ得る。あるエチレン性ポリマー組成物では、1種または複数の抗酸化剤がポリマー中にさらに混ぜ合わされ、混ぜ合わされポリマーは、ペレット化され得る。混ぜ合わされたエチレン性ポリマーは、任意の量の1種または複数の抗酸化剤を含み得る。例えば、混ぜ合わされたエチレン性ポリマーは、ポリマー100万部に対して約200から約600部の1種または複数のフェノール性抗酸化剤を含み得る。さらに、混ぜ合わされたエチレン性ポリマーは、ポリマー100万部に対して約800から約1200部までの亜リン酸塩系抗酸化剤を含み得る。開示された混ぜ合わされたエチレン性ポリマーは、ポリマー100万部に対して約300から約1250部のステアリン酸カルシウムをさらに含み得る。
【0022】
用途
エチレン性ポリマーは、キャスト、インフレーション、カレンダーまたは押出しコーティング法により調製された単層フィルムまたは多層フィルム中の少なくとも1つの層などの少なくとも1層のフィルム層を含むもの;ブロー成形、射出成形、またはロトモールド法成形製品などの成形物品;押出し成形品;繊維および織布または不織布を含む物品を含む有用な物品を製造するための、様々な通常の熱可塑性樹脂製造方法において使用され得る。エチレン性ポリマーを含む熱可塑性組成物には、他の天然または合成材料、ポリマー、添加剤、強化剤、燃焼防止剤、抗酸化剤、安定化剤、着色剤、増量剤、架橋剤、発泡剤および可塑剤とのブレンドが含まれる。
【0023】
エチレン性ポリマーは、他の用途のための繊維を製造するのに使用し得る。エチレン性ポリマーまたはそのブレンドから調製し得る繊維としては、ステープル繊維、トウ(麻くず)、多成分材料、鞘/芯、撚糸、およびモノフィラメントが含まれる。適切な繊維形成法としては、スパンボンド、および米国特許第4,340,563号(Appelら)、同第4,663,220号(Wisneskiら)、同第4,668,566号(Nohrら)、および同第4,322,027号(Reba)に開示されているメルトブロー手法、米国特許第4,413,110号(Kaveshら)に開示されているゲル紡糸繊維布、米国特許第3,485,706号(May)に開示されている織布および不織布、またはポリエステル、ナイロンまたは綿などの他の繊維とのブレンドを含むそのような繊維から作製される構造体、熱形成物品、プロファイル押出し成形品および共押出し品などを含む押出し成形品、カレンダー加工物品、ならびに延伸、撚り加工、捲縮糸または捲縮繊維が含まれる。
【0024】
添加剤および助剤は、エチレン性ポリマーの生成後に加え得る。適切な添加剤としては、粘土、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、粉末金属を含む有機または無機粒子、炭素繊維、シリコンナイトライド繊維、スチールワイヤまたはメッシュ、およびナイロンまたはポリエステルのコーディングを含む有機または無機繊維、ナノサイズの粒子、粘土などのフィラー、粘着付与剤、パラフィン油またはナフテン油を含むオイル状増量剤、ならびに実施形態の方法に従って作製されるまたは作製され得る他のポリマーを含む他の天然のおよび合成のポリマーが含まれる。
【0025】
他のポリオレフィンとエチレン性ポリマーのブレンドおよび混合物が実施され得る。実施形態のエチレン性ポリマーとのブレンドのための適切なポリマーとしては、天然および合成のポリマーを含む熱可塑性および非熱可塑性ポリマーが含まれる。ブレンドのための例示的なポリマーとしては、ポリプロピレン(耐衝撃性改良ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレンおよびエチレン/プロピレンランダムコポリマー)、高圧フリーラジカルLDPE、チーグラー−ナッタLLDPE、多反応器によるPE(米国特許第6,545,088号(Kolthammerら)、同第6,538,070号(Cardwellら)、同第6,566,446号(Parikhら)、同第5,844,045号(Kolthammerら)、同第5,869,575号(Kolthammerら)、および同第6,448,341号(Kolthammerら)に開示されている生成物のような、チーグラー−ナッタPEおよびメタロセンPEの「反応容器中の」ブレンド)を含むメタロセンPEを含む種々のタイプのポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、ポリスチレン、耐衝撃性改良ポリスチレン、ABS、スチレン/ブタジエンブロックコポリマーおよびそれらの水素化誘導体(SBSおよびSEBS)ならびに熱可塑性ポリウレタンが含まれる。オレフィンプラストマーおよびエラストマーなどの均質ポリマー、エチレンならびにプロピレン系のコポリマー(例えば、VERSIFY(商標)プラストマーおよびエラストマー(The Dow Chemical Company)、SURPASS(商標)(Nova Chemicals)、およびVISTAMAXX(商標)(Exxon Mobil Chemical Co.)の商品名で入手し得るポリマー)もまた、エチレン性ポリマーを含むブレンド中の成分として有用であり得る。
【0026】
エチレン性ポリマーは、封止剤樹脂として使用し得る。驚くべきことに、あるSCBDは、CDCで示されるように、あるMWDおよびあるレベルの長鎖分枝(LCB)との組合せで、熱間粘着およびヒートシール強度の向上、ヒートシール温度および熱間粘着開始温度の低下、ならびに熱間粘着窓の広幅化を含む、熱間粘着およびヒートシール性能を改良することが示された。エチレン性ポリマーは、改良されたESCR(環境応力クラック抵抗)およびより高いPENT(ペンシルベニアエッジノッチ引っ張り試験)に対して、低レベルの不飽和度を用いることによりSCBDおよびMWDの最適化を行うことで、パイプおよび管用樹脂として使用し得る。エチレン性ポリマーは、低い不飽和レベルおよびコモノマーの取り込み率が高い低分子量のオリゴマーの低いレベルと組合せた、SCBDおよびMWDの最適化により、UV安定性、耐候性が望まれる用途において使用し得る。エチレン性ポリマーは、コモノマーの取り込み率が高い低分子量のオリゴマーの低いレベルと共に、SCBDおよびMWDの最適化により、プレートアウト(plate-out)、ブルーミング、ダイ析出、煙形成、抽出可能成分、味および臭いの低いレベルが望まれる用途において使用し得る。エチレン性ポリマーは、延伸フィルムの用途において使用し得る。驚くべきことに、あるSCBDは、あるMWDおよびあるレベルの長鎖分枝(LCB)との組合せにおいて、延伸度および動的衝撃穴あけ抵抗の改善を示す。
【0027】
定義
本明細書で使用する場合、「組成物」という用語は、組成物だけでなく、組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物をも含む材料の混合物を含む。
【0028】
本明細書で使用する場合、「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、2種以上のポリマーの緊密な物理的(すなわち、反応のない)混合物を意味する。ブレンドは、混和性(分子レベルで相分離していない)であることも、そうでないこともある。ブレンドは、相分離状態であることも、そうでないこともある。ブレンドは、透過電子顕微鏡、光散乱、X線散乱、および当業界に公知の他の方法で観察して、1種または複数のドメイン構造を含んでいることも、含んでいないこともある。ブレンドは、マクロレベル(例えば、樹脂を溶融ブレンドまたは混ぜ合わせる)またはミクロレベル(例えば、同じ反応容器中で同時に形成する)で、2種以上のポリマーを物理的に混合することにより実施され得る。
【0029】
「線状」という用語は、ポリマーのポリマー骨格が、測定し得るまたは実証し得る長鎖分枝を有さないポリマーを指し、例えば、ポリマーは、炭素1000個当たり平均で0.01個未満の長鎖分枝により置換されていてよい。
【0030】
「ポリマー」という用語は、同じタイプであっても異なるタイプであってもよいモノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を指す。したがって、一般名称「ポリマー」は、ただ1種のタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すのに通常用いられる「ホモポリマー」という用語、および定義されるように「インターポリマー」という用語も包含する。「エチレン/α−オレフィンポリマー」という用語は、前述したようにインターポリマーを示す。
【0031】
「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。一般名称「インターポリマー」は、2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指すのに通常使用されるが、コポリマー、および3種以上の異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを含む。「エチレン系ポリマー」という用語は、(重合性モノマーの全重量に対して)50モル%超の重合したエチレンモノマーを含み、場合により、少なくとも1種のコモノマーを含み得るポリマーを指す。
【0032】
「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」という用語は、(重合性モノマーの全重量に対して)50モル%超の重合したエチレンモノマーと、少なくとも1種のα-オレフィンとを含むインターポリマーを指す。
【0033】
「エチレン性ポリマー」という用語は、結晶性エチレン系ポリマーと少なくとも1種の高度に長鎖分枝したエチレン系ポリマーとの分子間結合から由来するポリマーを指す。
【0034】
樹脂製造
全ての原料(エチレン、1−オクテン)およびプロセス溶媒(沸点範囲の狭い高純度イソパラフィン性溶媒;商品名Isopar E(Exxon Mobil Corporationから商品として入手可能))は、反応環境へ導入される前に分子ふるいで精製される。水素は、高純度級として加圧シリンダーで供給され、それ以上精製しない。反応容器へのモノマー(エチレン)の供給流は、機械的圧縮機で750psigの反応圧力超に加圧される。溶媒およびコモノマー(1−オクテン)の供給は、機械的正排気ポンプで750psigの反応圧力超に加圧される。個々の触媒成分は、手動で、精製した溶媒(Isopar E)で特定の成分濃度へバッチで希釈し、750psigの反応圧力超に加圧される。全ての反応供給流は、質量流量計で測定し、コンピューター自動化した弁制御システムにより個別に制御される。
【0035】
連続溶液重合反応器は、液体で満たされた非断熱式で等熱の循環式独立制御型の直列で運転される2個のループからなっている。個々の反応器は、全ての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒成分の供給について独立の制御系を有している。個々の反応器への溶媒、モノマー、コモノマーおよび水素をまとめた供給は、供給流を熱交換器に通すことにより、独立に、5℃から50℃の間のいずれか、典型的には40℃に温度制御される。重合反応器への新鮮なコモノマーの供給は、手動で調整して、コモノマーを3つの選択肢、すなわち第1の反応器に添加する、第2の反応器に添加する、または共通の溶媒に添加した後、分かれた溶媒の供給に比例して2つの反応器間で分けて添加するの1つで添加する。個々の重合反応器への全ての新鮮な供給は、それぞれの投入位置の間で反応器の体積がほぼ等しくなるような反応器1つにつき2個所の位置で、反応器中へ投入される。新鮮な供給は、典型的には個々の投入口が新鮮な供給の全質量流の半分を受けるように制御される。触媒成分は、特別に設計された投入針を通して重合反応器中へ投入され、反応器に入る前には接触時間を持たないようにして、反応器中の同じ相対位置に個別に投入される。第1の触媒成分供給は、反応器モノマー濃度が特定の目標値に保てるようにコンピューターで制御される。2つの共触媒成分は、計算された特定の、第1の触媒成分に対するモル比に基づいて供給される。個々の新鮮な各投入配置(供給または触媒)の直後に、供給流は、Kenics静的攪拌装置により循環している重合反応器内容物と混合される。個々の反応器の内容物は、反応熱の大部分を除去するために熱交換器を通し、特定の温度に等温反応環境を保つための冷媒側の温度で連続的に循環させる。個々の反応器ループの周りの循環は、スクリューポンプで行われる。第1の重合反応器からの流出物(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分および溶融したポリマーを含む)は、第1の反応器ループを出て、制御弁(第1の反応器の圧力を特定の圧力に保つための)を通り、同じような設計の第2の重合反応器中へ投入される。流れが反応器を出たら、水と摂食させて、反応を止める。さらに、抗酸化剤などの種々の添加剤をこの点で加えることができる。次いで、流れはもう1つのKenics静的攪拌装置を通過して、触媒機能停止剤および添加剤を均一に分散させる。
【0036】
添加剤の添加に続いて、流出物(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融したポリマーを含む)が熱交換器を通過し、ポリマーを他の低沸点反応成分から分離する準備として流れの温度を上昇させる。次いで、流れは、2段階の分離および脱気システムへ入る。そこでポリマーは溶媒、水素、ならびに未反応のモノマーおよびコモノマーから除去される。再循環された流れは、再び反応器に入る前に精製される。分離され脱気されたポリマー溶融物は、水中造粒のために特別に設計されたダイにポンプで送られ、均一な固体ペレットに切断され、乾燥され、ホッパーに移送される。初期のポリマーの性質を検定した後、固体のポリマーペレットは、貯蔵のために手動で箱の中に運ばれる。それぞれの箱には、典型的には、約1200ポンドのポリマーペレットが収容される。
【0037】
脱気工程で除かれたポリマーでない部分は、系から除かれたエチレンの大部分を分離する種々の装置を通り、排出破壊ユニットへ送られる(製造ユニットでは再循環される)。溶媒の大部分は、精製床を通過した後、反応器へ再循環される。この溶媒は、なお未反応のコモノマーをその中に含むことができ、反応器へ再投入されるに先立って新鮮なコモノマーで強化される。このコモノマー強化は、製品の密度制御方法の必須の部分である。この再循環された溶媒は、なお水素をいくらか含むことができるが、目的とするポリマーの分子量を達成するために、新鮮な水素で強化される。ごく少量の溶媒が、触媒流中の溶媒キャリアーおよび商品グレードのコモノマーの一部である少量の溶媒のために副生成物として、系から出ていく。
【0038】
【表A】

【0039】
【表B】

【0040】
試験法
密度
密度を測定するための試料は、ASTM D1928に従って準備する。測定は、ASTM D792、方法Bを用いて試料プレスの1時間以内に行う。
【0041】
メルトインデックス
メルトインデックスまたはIは、ASTM D1238に従い、条件190℃/2.16kgで測定し、10分間当たりに流出したグラム数で報告する。I10は、ASTM D1238に従い、条件190℃/10kgで測定し、10分間当たりに流出したグラム数で報告する。
【0042】
DSC結晶化度
走査示差熱量計(DSC)を、広範囲の温度に渡ってポリマーの融解および結晶化挙動を測定するのに使用し得る。例えば、RCS(冷凍冷却システム)およびオートサンプラーを装備したTA InstrumentsのQl000DSCをこの分析を行うのに使用する。試験の間、50ml/分の窒素ガスのパージ流を使用する。各試料は、約175℃で溶融プレスして薄いフィルムにする。溶融試料を室温(およそ25℃)に空冷する。冷却されたポリマーから、3〜10mgで直径6mmの試験体を取り出し、重量を測定し、軽いアルミニウムパン(約50mg)に入れ、クリンプして閉じる。次いで、その熱的性質を測定するために分析を行う。
【0043】
試料の熱的な挙動は、試料温度を上下させて、熱流対温度プロファイルを作り出すことにより測定される。まず、試料を180℃まで急激に加熱し、試料の熱履歴を除くためにその温度に3分間保つ。次に、試料を−40℃まで、10℃/分の冷却速度で冷却し、−40℃に等温で3分間保つ。その後、試料を10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱する(これは「第2の加熱」昇温である)。冷却と第2の加熱の曲線を記録する。冷却曲線は、結晶化開始から−20℃までにベースラインの端点を設定することにより分析する。加熱曲線は、−20℃から融解の終点にベースラインの端点を設定することにより分析する。測定される値は、ピーク融解温度(T)、ピーク結晶化温度(T)、融解熱(H)(Joules/gram単位で)、およびポリエチレン試料についての式2を用いた結晶化度の計算値(%)である。
%結晶化度=((H)/(292J/g))×100 (式2)
【0044】
融解熱(H)およびピーク融解温度は、第2の加熱曲線から報告される。ピーク結晶化温度は、冷却曲線から求める。
【0045】
動的力学的スペクトロスコピー(DMS)周波数走査
溶融物のレオロジー、定温周波数走査は、25mmの平行板を装備した、TA Instruments ARESレオメーターを用い、窒素パージ下で実施した。周波数走査は、全ての試料に対して、190℃で、2.0mmのギャップで、10%の一定歪の下で行った。周波数間隔は、0.1から100ラジアン/秒であった。応力応答を、振幅および位相の観点で分析し、それから貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、および動的溶融粘度(η)を計算した。
【0046】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
GPCシステムは、内蔵示差屈折計(RI)を装備した、Waters(Milford、MA)の150C高温クロマトグラフ(その他の適切な高温GPC装置としては、Polymer Laboratories(Shropshire、UK) Model 210およびModel 220が含まれる)からなる。さらなる検出器としては、Polymer ChAR(Valencia、Spain)のIR4赤外線検出器、Precise Detector(Amherst、MA)の2角レーザー光散乱検出器Model 2040およびViscotek(Houston、TX)150R4−毛細管溶液粘度計を含み得る。単独の「GPC」という用語が、一般に、通常のGPCを指すのに対して、後者の2つの独立した検出器および最初の検出器のうち少なくとも1つを有するGPCは、時には、“3D−GPC”と呼ばれることがある。試料により、角度15°または角度90°のどちらかの光散乱検出器が計算の目的で使用される。データの収集は、Viscotek TriSECのソフトウエア、バージョン3および4チャネルViscotek Data Manager DM400を用いて行われる。系にはまた、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)のオンライン溶媒脱ガス装置を備えている。適切な高温GPCカラムは、長さ30cmのShodex HT803(13ミクロン)のカラム4本または20ミクロン混合孔径パッキングの30cm長のPolymer Labs(MixA LS、Polymer Labs)のカラム4本などを使用し得る。試料カルーセル部分は140℃で、カラムコンパートメントは150℃で運転する。試料は、50mlの溶媒中にポリマー0.1gの濃度で調製する。クロマトグラフィー用溶媒と試料調製用溶媒は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を200ppm含んでいる。いずれの溶媒とも窒素でスパージングされる。ポリエチレン試料は、160℃で4時間緩やかに攪拌される。注入体積は、200μLである。GPCの流量は、1ml/分に設定される。
【0047】
GPCのカラムセットは、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準を流すことにより、実施例を流す前に較正される。標準の分子量(MW)は、モル当たり580から8,400,000までの範囲であり、標準は、6個の「カクテル」混合物中に含まれている。個々の標準混合物は、個々の分子量間で少なくとも一桁の相違がある。標準混合物は、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)から購入する。ポリスチレン標準は、分子量がモル当たり1,000,000g以上のものに対しては、50mLの溶媒中に0.025gで、分子量がモル当たり1,000,000g未満のものに対しては、50mlの溶媒中に0.05gで調製される。ポリスチレン標準は、30分間、緩やかな攪拌下で80℃で溶解させた。分布の狭い標準混合物を最初に、最も高分子量の成分がより低分子量になる順序で流して、分解を最小とする。ポリスチレン標準のピーク分子量は、Mark−Houwink Kおよびポリスチレンおよびポリエチレンに対して後で述べるa(時には、αと呼ばれる)値を用いて、ポリエチレンMに変換される。この手順の説明に関しては、実施例の項を参照されたい。
【0048】
3D−GPCにより、絶対重量平均分子量(「Mw Abs」)および固有粘度もまた、前述した同じ条件を使用して、適切な分布の狭いポリエチレン標準から独立に得られる。これらの分布の狭い線状ポリエチレン標準は、Polymer Laboratories(Shropshire、UK、パーツ番号PL2650−0101およびPL2650−0102)から入手し得る。
【0049】
多検出器オフセットの決定の系統的な方法は、Balke,Moureyらによって出版されているもの(Mourey and Balke, Chromatography Polym., Chapter 12, (1992)) (Balke, Thitiratsakul, Lew, Cheung, Mourey, Chromatography Polym., Chapter 13, (1992))と一致する方法で、分布の広いDow 1683ポリスチレン(American Polymer Standards Corp、Mentor、OH)またはその等価物による3種の検出器のlog(Mwおよび固有粘度)の結果を、分布の狭いポリスチレン標準の較正曲線による分布の狭い標準によるカラム較正結果に最適化することにより実施される。分子量のデータは、検出器の容積オフセット測定を説明するものだが、Zimmによって出版されているもの(Zimm, B. H., J. Chem. Phys., 16, 1099 (1948)) およびKratochvil (Kratochvil, P., Classical Light Scattering from Polymer Solutions, Elsevier, Oxford, NY (1987))と一致した方法で得られる。分子量の決定に用いられる全体としての投入濃度は、質量検出器領域および適切な線状ポリエチレンホモポリマーまたはポリエチレン標準の1つから由来する質量検出器定数から得られる。分子量の計算値は、上述した1種または複数のポリエチレン標準から得られる光散乱定数を用いて、および屈折率濃度係数dn/dcを0.104として得られる。一般に、質量検出器応答および光散乱定数は、分子量が約50,000ダルトンを超える線状標準から決定されるべきである。粘度計の較正は、製造業者によって記述されている方法を用いて、または代替として、標準基準材料(SRM)1475a、1482a、1483、または1484aなどの適切な線状標準の出版値を用いて達成され得る。クロマトグラフィー濃度は、2次ビリアル係数効果(分子量に対する濃度の影響)を考慮することを避けられるほど十分低いと仮定される。
【0050】
3D−GPCによるg’
試料ポリマーに対する指数(g’)は、SRM 1475aホモポリマーポリエチレン(または同等の基準)を用いる上記のゲル浸透クロマトグラフィー法中に記述されている光散乱、粘度および濃度検出器をまず較正することにより決定する。光散乱および粘度計検出器のオフセットは、較正において記述したように濃度検出器に対して相対的に決定される。ベースラインが、光散乱、粘度計および濃度クロマトグラムから差し引かれ、次いで、屈折率クロマトグラムから検出し得るポリマーが存在することを示す、光散乱および粘度計クロマトグラムにおける低分子量保持体積範囲の全てを確実に積分するように、積分の窓を設定する。SRM1475a標準などの広い分子量のポリエチレン基準を注入し、データファイルを計算し、各クロマトグラフィーの区画に対して、それぞれ光散乱および粘度検出器から得られる固有粘度(IV)および分子量(Mw)、ならびRI検出器質量定数から決定される濃度を記録することにより、Mark−Houwink(MH)の線状基準線を確立するために、線状ホモポリマーポリエチレンが使用される。試料の分析のためには、試料のMark−Houwinkラインを得るために、各クロマトグラフィーの区画に対する手順を繰り返す。ある種の試料に対しては、より低い分子量、固有粘度および分子量データは、測定された分子量および固有粘度が線状ホモポリマーのGPC較正曲線に漸近的に接近するように、外挿する必要があり得ることに気をつけるべきである。この目的のためには、多くの高度に分枝したエチレン系ポリマー試料では、長鎖分枝指数(g’)の計算を進める前に、短鎖分枝の寄与を明らかにするために、線状での基準線をわずかにシフトさせることが必要となる。
【0051】
g−プライム(g’)は、それぞれの分枝試料のクロマトグラフィー区画(i)および測定分子量(M)に対して式5に従って計算される。
’=(IVSample,i/IVlinear reference,j) (式5)
式中、計算には、線状基準試料中の同等の分子量MでのIVlinear reference,jを用いる。換言すると、試料のIV区画(i)と基準のIV区画(j)が同一の分子量を有する(M=M)。単純化のために、IVlinear reference,j区画は、基準のMark−Houwinkプロットの5次多項式フィットにより計算される。IV比、またはg’は、光散乱データにおけるノイズ対信号比の制限のために、3,500を超える分子量においてのみ得られる。それぞれのデータ区画(i)における試料ポリマー上の分枝数(B)は、粘度遮蔽ε因子を0.75と仮定して、式6を用いて求められる。
【0052】
【数5】

【0053】
最後に、全ての区画(i)に渡ってポリマー中の炭素1000個当たりの平均のLCBfの量は、式7を用いて決定できる。
【0054】
【数6】

【0055】
3D−GPCによるgpcBR分枝指数
3D−GPCの構成においては、ポリエチレンおよびポリスチレンの標準を、2つのポリマータイプ、ポリスチレンおよびポリエチレンのそれぞれに対して、独立に、Mark−Houwink定数、Kおよびαを測定するのに使用し得る。これらは、以下の方法を適用する場合に、WilliamsとWardのポリエチレン等価分子量を精緻なものにするのに用い得る。
【0056】
gpcBR分枝指数は、前述したように、光散乱、粘度および濃度検出器を最初に較正することにより決定する。次いで、光散乱、粘度計、および濃度クロマトグラムからベースラインが差し引かれる。次いで、屈折率クロマトグラムから検出し得るポリマーが存在していることを示す光散乱および粘度計クロマトグラムにおける低分子量保持体積範囲の全てを確実に積分するように、積分の窓を設定する。次いで、線状ポリエチレン標準が、前述したように、ポリエチレンおよびポリスチレンのMark−Houwink定数を確立するために用いられる。定数を得ると、2つの値は、式8および式9に示されるように、溶離体積の関数としてポリエチレンの分子量およびポリエチレンの固有粘度に対する2つの線状基準通常較正(「cc」)を構成するのに用いる。
【0057】
【数7】

【0058】
gpcBR分枝指数は、長鎖分枝を特性決定するための確固とした方法である。Yau, Wallace W., "Examples of Using 3D-GPC - TREF for Polyolefin Characterization", Macromol. Symp., 2007, 257, 29-45を参照されたい。この指数は、全ポリマー検出器面積および面積スカラー積を支持し、g’値の決定および分枝周波数計算において伝統的に用いられている区画ごとの3D−GPC計算を回避する。3D−GPCのデータから、ピーク面積法を用いて光散乱(LS)検出器により試料のバルクMを得ることができる。この方法は、g’の決定に必要な、濃度検出器信号に対する光散乱検出器の信号の区画ごとの比を回避する。
【0059】
【数8】

【0060】
式10における面積計算は、全試料面積として、検出器のノイズならびにベースラインおよび積分範囲に対するGPCの設定によって起こる変動に対してはるかに敏感でないので、より正確である。より重要なことは、ピーク面積の計算が、検出器の容積オフセットによって影響を受けないことである。同様に、高精度の試料固有粘度(IV)が、式11に示した面積法により得られる。
【0061】
【数9】


式中、DPは、オンライン粘度計から直接モニターされる示差圧力信号を表す。
【0062】
gpcBR分枝指数を決定するために、試料ポリマーに対する光散乱溶離面積を試料の分子量を決定するのに用いる。試料ポリマーに対する粘度検出器溶離面積を試料の固有粘度(IVまたは[η])を決定するのに用いる。
【0063】
最初に、SRM1475aまたはその等価物などの線状ポリエチレン標準試料の分子量および固有粘度を、式12および式13を用いて、溶離体積の関数として分子量および固有粘度の両者について通常の較正を用いて決定する。
【0064】
【数10】

【0065】
式14を、gpcBR分枝指数を決定するのに用いる。
【数11】

【0066】
式中、[η]は測定された固有粘度、[η]ccは、通常の較正から得た固有粘度、Mは、測定された重量平均分子量、およびMw,ccは、通常の較正から得た重量平均分子量である。式10を用いる光散乱(LS)によるMwは、一般には絶対Mwと呼ばれるが、一方、通常のGPC分子量較正曲線を用いた式12からのMw,ccは、しばしばポリマー鎖Mwと呼ばれる。下付き「cc」を付けた全ての統計的な値は、そのそれぞれの溶離体積、前述したように対応する通常の較正および質量検出器応答から求められる濃度(C)を用いて決定される。下付きのない値は、質量検出器、LALLSおよび粘度計面積に基づいて測定された値である。KPEの値は、線状基準試料が測定されたgpcBR値がゼロとなるまで繰り返し調整される。例えば、この特定の場合において、gpcBRの決定のためのαおよびLogKに対する最終的な値は、ポリエチレンに対しては、それぞれ0.725および−3.355であり、ポリスチレンに対しては、それぞれ0.722および−3.993である。
【0067】
一度Kおよびαの値が決定されると、分枝試料を用いて手順を繰り返す。分枝試料は、最善の「cc」較正値として最終的なMark−Houwink定数を使用し、式10〜14を適用して分析する。
【0068】
gpcBRの解釈は単純である。線状ポリマーに対しては、LSおよび粘度法で測定された値は、通常の較正標準に近いので、式14から計算されたgpcBRは、ゼロに近い。分枝ポリマーに対しては、gpcBRは、特に高レベルのLCBを有する場合は、ゼロよりも大きい。なぜなら、測定されたポリマーのMは、計算されたMw、ccよりも大きくなり、計算されたIVccは測定されたポリマーのIVよりも大きくなるからである。実際、gpcBRの値は、ポリマーの分枝の結果としての分子サイズの収縮効果によるIV変化率を表している。0.5または2.0のgpcBRの値は、等重量の線状ポリマー分子に対して、それぞれ50%および200%のレベルで、IVの分子サイズ収縮効果があることを意味する。
【0069】
これらの特定の例に対して、g’指数および分枝周波数計算と比較してgpcBRを使用することの有利さは、gpcBRの精度が高いことによる。gpcBR指数の決定に用いる全てのパラメーターは、良い精度で求められ、濃度検出器からの高分子量における3D−GPC検出器の低い応答によって悪影響を受けない。検出器体積アラインメントにおける誤差もまた、gpcBR指数の決定の精度に影響を与えない。他の特定のケースでは、Mモーメントを決定する他の方法は、前述した手段よりも好ましいものであり得る。
【0070】
別段記載されない限り、文脈から明らかであるかまたは業界の通例として、全ての割合および百分率は重量基準である。
【0071】
優先権主張の書類を含んで、全ての引用した出願、出版物、特許、検査手順、および他の書類は、そのような開示が、開示された組成物および方法ならびにそのような組込みが許容される全ての法的な行為に適合しないものでない程度において、参照により完全に本出願に組み込まれる。
【0072】
CEF法
コモノマー分布分析は、結晶化溶離分画(CEF)(SpainのPolymerChar)を用いて実施される(B Monrabal et al., Macromol. Symp. 257, 71-79 (2007))。600ppmの抗酸化剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含むオルト−ジクロロベンゼン(ODCB)を溶媒として用いる。試料の調製は、(別段規定されない限り)4mg/mlで2時間振とうして160℃で、オートサンプラーを使用して行われる。注入量は300μlである。CEFの温度プロファイルは、3℃/分で110℃から30℃とする結晶化、30℃で5分間の熱平衡化、3℃/分で30℃から140℃とする溶離である。結晶化の間の流量は、0.052ml/分である。溶離の間の流量は、0.50ml/分である。データは、1データ点/秒で集める。
【0073】
CEFカラムは、Dow Chemical Companyにより、1/8インチステンレス管で、125μm±6%(MO−SCI Specialty Products)のガラスビーズを充填する。Dow Chemical Companyの要求に従って、ガラスビーズは、MO−SCI Specialtyにより、酸で洗浄される。カラム体積は206mlである。カラム温度の較正は、NIST標準基準材料線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)およびエイコサン(2mg/ml)のODCB中の混合物を用いて実施する。NIST線状ポリエチレン1475aがピーク温度を101.0℃に、エイコサンがピーク温度を30.0℃に有するように、溶離加熱速度を調整して温度を較正する。CEFカラム分解能は、NIST線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)およびヘキサコンタン(Fluka、purum、≧97.0%、1mg/ml)の混合物を用いて計算する。ヘキサコンタンとNISTポリエチレン1475aとのベースラインの分離が達成される。67.0から110.0℃のNIST1475aの面積に対するヘキサコンタンの面積(35.0から67.0℃)は、50対50であり、35.0℃未満の可溶性画分の量は、<1.8重量%である。
【0074】
CEFカラムの分解能は、以下のように定義される。
【数12】


カラム分解能は、6.0である。
【0075】
CDC法
コモノマー分布定数(CDC)は、コモノマー分布プロファイルからCEFにより計算される。CDCは、コモノマー分布指数をコモノマー分布形状因子で割り、100を掛けたものと定義される(式1)。
【0076】
【数13】

【0077】
コモノマー分布指数は、35.0から119.0℃の間の、コモノマー含量中央値(Cmedian)が0.5からCmedianが1.5の範囲のコモノマー含量を有するポリマー鎖の全重量分率を意味する。コモノマー分布形状因子は、コモノマー分布プロファイルの半値幅をピーク温度(Tp)からのコモノマー分布プロファイルの標準偏差で除したものの比と定義される。
【0078】
CDCは、次のステップに従って計算される。
式2に従って、CEFから、0.200℃の温度ステップで35.0℃から119.0℃までの各温度(T)での重量分率(w(T))を得る。
【数14】

【0079】
累積重量分率が0.500である平均温度(Tmean)を計算する(式3)。
【数15】

【0080】
コモノマー含量較正曲線を用いて、温度中央値(Tmedian)での対応するコモノマー含量中央値(Cmedian)をモル%で計算する(式4)。
【数16】

【0081】
(3i)既知のコモノマー含量を有する一連の基準材料を用いてコモノマー含量較正曲線を作成する。重量平均Mw(通常のGPCで)が35,000から115,000であり、コモノマー含量が0.0モル%から7.0モル%までの範囲である狭いコモノマー分布(35.0から119.0℃の間のCEFにおいて単峰性のコモノマー分布)を有する11個の基準材料を、CEF実験の部で特定した同一の実験条件下でCEFを用いて分析する。
【0082】
(3ii)それぞれの基準材料のピーク温度(T)およびそのコモノマー含量を用いて、コモノマー含量較正値を計算する。較正値のRは相関定数である。
【0083】
コモノマー分布指数は、0.5medianから1.5medianの範囲のコモノマー含量を有する全重量分率である。Tmedianが98.0℃よりも高い場合には、コモノマー分布指数は0.95と定義される。
【0084】
ピーク高さの最大値は、35.0℃から119.0℃までの最高ピーク(2つのピークが等しい場合には、低温側のピークが選ばれる)に対して各データ点を探すことにより、CEFコモノマー分布プロファイルから得られる。半値幅は、最高ピーク高さの半分での前端温度と後端温度との温度差として定義される。最高ピークの半分での前端温度は、35.0℃から前方に探され、最高ピークの半分での後端温度は、119.0℃から後方に探される。ピーク温度の差が各ピークの半値幅の合計に等しいか1.1倍よりも大きい明確な二峰性分布の場合、ポリマーの半値幅は、各ピーク半値幅の相加平均として計算される。
【0085】
温度の標準偏差(Stdev)は、式5に従って計算する。
【数17】

【0086】
コモノマー分布プロファイルの例(Ex.3 08C16R04)を図に示す。
【0087】
【表C】

【0088】
クリープ無せん断粘度測定法
無せん断粘度は、AR−G2応力制御レオメーター(TA Instruments、New Castle、Del)を用いて、直径25mmの平行板を用いて190℃で実施したクリープ試験によって得られる。レオメーターの炉は、装置の出力をゼロにする前に、少なくとも30分間試験温度に設定する。試験温度において、圧縮成形された試料板を試験板の間に挿入し、5分間平衡化させる。次いで、上方の板を、所望の試験ギャップ(1.5mm)の上方50μmまで降下させる。余分な材料があれば取り除き、上方の板を所望のギャップまで下げる。5L/分の流量の窒素パージ下で測定を行う。既定のクリープ時間は2時間に設定する。
【0089】
全ての試料に対して20Paの一定の低せん断応力をかけ、定常状態のせん断速度を確実に、ニュートニアン領域にあるように十分低いものとする。得られる定常状態のせん断速度は、この試験における試料に対しては、10−3〜10−4/秒の範囲である。定常状態は、log(J(t))をlog(t)に対してプロットした最終の10%時間窓における全てのデータに対して直線回帰を適用して決定する。ここで、J(t)は、クリープコンプライアンスであり、tはクリープ時間である。直線回帰の傾きが0.97よりも大きい場合に、定常状態が達成されたと考え、クリープテストを止める。この試験において全ての場合に、傾きは2時間以内にこの基準に達する。定常状態のせん断速度は、Uのtに対するプロットの最終10%の時間窓におけるデータ点の全てに対して直線回帰の傾きから決定する。ここで、Gは応力である。無せん断粘度は、定常状態のせん断速度に対する、かけた応力の比から決定する。
【0090】
クリープ試験の間に試料が劣化したかどうかを決定するためには、クリープ試験の前後に、同じ試験片に対して0.1から100rad/秒で小振幅の振動せん断試験を実施する。2つの試験の複合した粘度値を比較する。0.1rad/秒での粘度値の差が5%超の場合、試料はクリープ試験の間に劣化したと見なし、その結果は破棄する。
【0091】
ZSVRの定義
無せん断粘度比(ZSVR)は、以下の式に示されるように、分枝ポリエチレン材料の無せん断粘度(ZSV)の、等価の重量平均分子量(Mw−gpc)での線状ポリエチレン材料のZSVに対する比と定義される。
【0092】
【数18】

【0093】
ZSV値は、上述した方法により、190℃におけるクリープ試験から得られる。Mw−gpc値は、上述したように、通常のGPC法で決定される。線状ポリエチレンのZSVとそのMw−gpcとの間の相関関係は、一連の線状ポリエチレン基準材料に基づいて確定された。ZSV−Mw関係についての記述は、ANTEC proceeding:Karjala, Teresa P.; Sammler, Robert L.; Mangnus, Marc A.; Hazlitt, Lonnie G.; Johnson, Mark S.; Hagen, Charles M., Jr.; Huang, Joe W. L.; Reichek, Kenneth N. Detection of low levels of long-chain branching in polyolefins. Annual Technical Conference - Society of Plastics Engineers (2008), 66th 887-891に見出され得る。
【0094】
1H NMR法
10mmのNMR試験管中の0.133gのポリオレフィン試料に、保存溶液3.26gを加える。保存溶液は、0.001MのCr3+を含む、テトラクロロエタン−d2(TCE)とパークロロエチレンの混合物(50:50、w:w)である。酸素の量を少なくするために、試験管内の溶液をN2で5分間パージする。封止した試料試験管を一晩室温に置き、ポリマー試料を膨潤させる。試料を110℃で振とうして溶解する。試料は、例えば、エルカアミドなどの滑り剤などの不飽和に寄与し得る添加剤を含まない。
【0095】
1H NMRは、Bruker AVANCE 400 MHzスペクトロメーター上で、120℃で10mmのクリオプローブを用いて行う。
【0096】
不飽和を得るために2通りの実験、対照と2重のプレ飽和実験を行う。
【0097】
対照実験のためには、データはLB=1Hzを持つ指数関数の窓関数で処理し、ベースラインは7から−2ppmに補正した。TCEの残りの1Hからの信号を100とし、−0.5から3ppmの間の積分Itotalを対照実験のポリマー全体からの信号として用いる。ポリマー中のCH2基の数、NCH2は、以下のようにして計算される。
NCH2=Itotal/2
【0098】
2重のプレ飽和実験のためには、データは、LB=1Hzを持つ指数関数の窓関数で処理し、ベースラインは6.6から4.5ppmに補正した。TCEの残りの1Hからの信号を100とし、不飽和に対応する積分(Ivinylene、Itrisubstituted、IvinylおよびIvinylidene)は、以下の図に示した領域に基づいて積分された。ビニレン、3置換、ビニルおよびビニリデンに対する不飽和単位の数は、以下のように計算される。すなわち、
Nvinylene=Nvinylene/2
Ntrisubstituted=Itrisubstitute
Nvinyl=Ivinyl/2
Nvinylidene=Ivinylidene/2
【0099】
不飽和単位/炭素1,000,000個は以下のように計算される。
Nvinylene/炭素1,000,000個=(Nvinylene/NCH2)1,000,000
Ntrisubstituted/炭素1,000,000個=(Ntrisubstituted/NCH2)1,000,000
Nvinyl/炭素1,000,000個=(Nvinyl/NCH2)1,000,000
Nvinylidene/炭素1,000,000個=(Nvinylidene/NCH2)1,000,000
【0100】
不飽和NMR分析の要件は:量子化レベルが、走査200回(対照実験を行うための時間も含んで1時間未満のデータ採取)で、3.9重量%の試料(Vd2構造については、Macromolecules, vol. 38, 6988, 2005、参照)で、10mmの高温クリオプローブで、Vd2に対して0.47±0.02/炭素1,000,000個である。量子化のレベルは、ノイズ対信号比を10として定義されている。
【0101】
化学シフトの基準は、TCT−d2からの残存プロトンからの1H信号に対して6.0ppmで設定する。対照を、ZGパルス、TD 32768、NS 4、DS 12、SWH 10,000Hz、AQ 1.64s、Dl 14sで測定する。2重のプレ飽和実験は、変更したパルス配列、O1P 1.354ppm、O2P 0.960ppm、PL9 57db、PL21 70db、TD 32768、NS 200、DS 4、SWH 10,000Hz、AQ 1.64s、D1 1s、D13 13sで実施する。
【0102】
【表D】

【0103】
【表E】

【0104】
【表F】

【0105】
ゲル含有量
ゲル含有量は、キシレン中でASTM D2765−01方法Aに従って測定する。試料を剃刀の刃を用いて必要なサイズに切断する。
【0106】
フィルム試験条件
作製したフィルムについて以下の物理的特性を測定する。
・総(全体の)、表面および内部ヘイズ:内部ヘイズおよび全体ヘイズを測定する試料は、ASTM D 1003に従って採取し、準備する。内部ヘイズはフィルムの両面に鉱油を用いて屈折率を合わせることによって得た。試験にはHazegard Plus(BYK−Gardner USA、Columbia、MD)を用いる。式2に示すように、表面ヘイズは、全体ヘイズと内部ヘイズとの間の差として決定される。表面ヘイズはフィルムの表面粗さと関連している傾向があり、表面粗さが増加すると表面(ヘイズ)が増加する。内部ヘイズに対する表面ヘイズの比は、式3に示すように、表面ヘイズ値を内部ヘイズ値で除した値である。
ヘイズ=内部ヘイズ+表面ヘイズ (式2)
S/I=表面ヘイズ/内部ヘイズ (式3)
・45°光沢:ASTM D−2457
・MDおよびCD方向のElmendorf引き裂き強度:ASTM D−1922
・MDおよびCD方向の引っ張り強度:ASTM D−882
・落槍衝撃強さ:ASTM D−1709
・衝撃穴あけ強度:衝撃穴あけ強度は、Instron Model 4201装置で、Sintech Testworksソフトウエア、バージョン3.10を用いて測定する。試験片の大きさは6インチ×6インチであり、4回測定を行って、平均衝撃穴あけ強度を得る。フィルム製造後、40時間、および少なくとも24時間、ASTMに従って制御した実験室でフィルムを調整する。12.56インチ角の円形の試験片保持具を付けた100lbのロードセルを用いる。衝撃穴あけプローブは、直径1/2インチの研磨したステンレス鋼のボールであり、7.5インチの最大移動距離を有する。ゲージ長は無く、プローブは試験片にできるだけ近く、ただし、接触しないように置く。使用したクロスヘッドの速度は、10インチ/分である。厚みは試験片の中央で測定する。フィルムの厚み、クロスヘッドの移動距離、ピーク荷重を用いて、ソフトウエアにより衝撃穴あけ強度を決定する。衝撃穴あけプローブは、各試験片後「Kim−wipe」を用いて拭く。
【0107】
【表G】

【0108】
【表H】

【0109】
【表I】

【0110】
【表J】

【0111】
【表K】

【0112】
【表L】

【0113】
【表M】

【0114】
【表N】

【0115】
【表O】

【0116】
【表P】

【0117】
フィルムの製造:
2基の2.5インチ24:1L/D Egan押出し機(Extruders AおよびB)および1基の2インチ24:1L/D Johnson押出し機(Extruder C)からなる3層共押出しブローフィルムライン上で共流延の3層のフィルムを製造する。すべての押出し機は、バレル加熱冷却(閉じたループの液体冷却システム)を持つ滑らかな穴である。押出し機は、60、75および20HPのDCドライバーでそれぞれ駆動されている。押出し機は、Extrol 6032マイクロプロセッサにより制御されている。押出しプロセスは、2と1/2インチバレルに3基、それぞれのビーカー板ならびにそれぞれのバレル上に4基の加熱ゾーンの前後に1基ずつ、アダプターとブロックにおいてそれぞれ1基、ならびにダイ上に2ゾーンの、圧力トランスデューサーでモニターされている。マイクロプロセッサはまた、それぞれの押出し機上で、押出し機RPM、%FLC、HP、速度、平面置き幅および熔融温度を追跡する。
【0118】
ダイは、層の比が15:75:15%およびダイギャップ70milを有する6インチのBattenfeld-Gloucesterである。使用された標準スクリューは、押出し機A上に、2.88の圧縮比を有するNew Castleの単一フライト高せん断のスクリュー、押出し機B上に、3.64の圧縮比を有するFeed Screwの修正2重ミックス、および押出し機C上に、2.5の圧縮比を有するJohnson単一フライトである。2.5milのフィルムの共流延フィルム構造(1.0mil封止剤/1.0mil芯/0.5mil皮層)が、21.5インチにスリットされ、芯で平面に切断し、2.5:1BURで製造された。スクリーンの包装配置は、20:40:60:80:20のメッシュであった。
【0119】
【表Q】

【0120】
【表R】

【0121】
フィルムは、Weigh Pack Systems XPDIUS ELITEシリーズVFS袋作製機上で評価される。Weigh Pack VFFSバッカーは、多封止ジョー、偽ジョー+封止ジョーを用いた。封止ジョーの背部は、凹型で、前方ジョーは、凸型である。クラッチ板は、封止ジョーのすぐ上部でV形になっている。ジョー強度は、サーボモーター基準で、180単位に設定される。フィンの封止ジョーは、50psiの常在圧力に設定する。
袋は充填製品として乾燥赤豆2lbsを用いて試験する。あらかじめ評量しておいた2lbsの量の乾燥赤豆を、手でVFFS袋の中に形成カラーを通して注ぐ。製品は、VFFS袋の生産速度を最大にするための2個の基準のパラメーター、最低シール温度および最低滞留時間、について評価する。最低シール温度は、2lbs相当の乾燥豆を一定の滞留時間(1.35秒)でVFFS袋に入れ、シール温度を下げ、もはやVFFS袋が乾燥豆を保持できなくなるまでシール温度を下げて測定する。最低滞留時間を測定するには、枕ポーチ(VFFS袋製品を入れないVFFS袋)を作る。2lbsの乾燥豆を保持するのに必要な最低シール温度より5℃高いところから試験を始める。次いで、VFFS袋がもはやシールを保てなくなるまで封止バーの滞留時間を短くする。
最低のシール温度を決定するためには、パッケージが作製された後、およそ30秒間「セットアップ」され、次いで、2lbの豆パッケージ用に内容物がしっかりと保管されるように激しく振とうされる。最低の滞留温度の決定のためには、空気のみを満たした枕ポーチがおよそ30秒間、シールがセットアップされ、次いで、手で圧力をパッケージに加え、シールの位置で破裂して開かないことまたは大きな「溝状」リーク点が出来ないことを確認する。溝状リーク点は、パッケージの末端のシールのどちらかが、パッケージの長いエッジの上で長いシールと重なっている場所で形成される大きな穴である。密閉の(エアタイト)シールは、冷凍食品を含む、大部分の固体食物用途には必要とされない。
【0122】
【表S】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コモノマー分布定数が、約45より大きく、より好ましくは、50より大きく、最も好ましくは、95より大きく、400まで、好ましくは、200までであることを特徴とするエチレン系ポリマー組成物であり、該組成物が炭素1,000,000個当たり合計120個未満の不飽和単位を有する、エチレン系ポリマー組成物。
【請求項2】
炭素1000個当たり約3個までの長鎖分枝、好ましくは、炭素1000個当たり約0.01から約3個の長鎖分枝を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
ZSVRが、少なくとも2である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
炭素1,000,000個当たり20個未満のビニリデン不飽和単位を有することをさらに特徴とする、請求項3に記載のポリマー。
【請求項5】
二峰性分子量分布を有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
多峰性MWDを有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物を含む、製造物品。
【請求項8】
DSCの単一融解ピークをさらに含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物および少なくとも1種の天然または合成ポリマーを含む、熱可塑性配合物。
【請求項10】
少なくとも部分的に架橋(少なくとも5%ゲル化)されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
35℃から120℃の間で、パージを除いて、単峰性または二峰性の分布を含むコモノマー分布プロファイルを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
約17,000から約220,000のMwを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
(A)第1の反応器または多段階反応器の第1の部分において、第1の触媒の存在下で、エチレン、および場合により、C〜C20のα―オレフィンを重合して半結晶性のエチレン系ポリマーを形成するステップ、および
(B)少なくとも1個の他の反応器または多段階反応器の後の部分において、第2の触媒の存在下で、半結晶性のエチレン系ポリマーをさらなるエチレンと反応させてエチレン性ポリマーを形成するステップ
を含み、
(A)および(B)の触媒は同一でも異なっていてもよく、
(A)および(B)のそれぞれの触媒は、下式に対応する多価のアリールオキシエーテルの金属錯体である、重合方法:
【化2】


(式中、MはTi、HfまたはZr、好ましくは、Zrであり、
Arは、各出現時独立して、置換C9〜20アリール基であり、置換基が、各出現時独立して、アルキル、シクロアルキル、およびアリール基、ならびにハロ、トリヒドロカルビルシリルおよびハロヒドロカルビル置換されたこれらの誘導体からなる群から選択され、但し、少なくとも1つの置換基はそれが結合しているアリール基と共平面性を有しておらず、
は、各出現時独立して、C2〜20のアルキレン、シクロアルキレンもしくはシクロアルケニレン基、または不活性に置換されているこれらの誘導体であり、
21は、各出現時独立して、水素、ハロ、水素を数に含めずに50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシまたはジ(ヒドロカルビル)アミノ基であり、
は、各出現時独立して、水素、ハロ、水素を数に含めずに50個までの原子を有するヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシもしくはアミノであり、あるいは同一のアリーレン環上の2個のR基が一緒になって、または同一もしくは異なるアリーレン環上のRおよびR21基が一緒になって、2カ所でアリーレン基に結合している2価のリガンド基を形成するまたは2個の異なるアリーレン環を結び合わせており、
は、各出現時独立して、ハロ、または水素を数に含めずに20個までの原子を有するヒドロカルビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基であり、またはステップ(B)の反応がグラフト重合で行われる場合には特に、2個のR基が一緒になって、ヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイル、ジエン、またはポリ(ヒドロカルビル)シリレン基である)。
【請求項14】
少なくとも1層のフィルム層の形態である、請求項8に記載の製造物品。
【請求項15】
以下のステップを含む、コモノマー組成分布(CDC)についてエチレン系ポリマーを特性決定する方法:
(A)式2に従って、CEFから、0.200℃の温度ステップで35.0℃から119.0℃までの各温度(T)での重量分率(w(T))を求めるステップ、
【数19】


(B)累積重量分率が0.500である平均温度(Tmean)を計算するステップ(式3)、
【数20】


(C)コモノマー含量較正曲線を用いて、温度中央値(Tmedian)での対応するコモノマー含量中央値(Cmedian)をモル%で計算するステップ(式4)、
【数21】


(D)既知のコモノマー含量を有する一連の基準材料を用いてコモノマー含量較正曲線を作成するステップであって、重量平均Mwが35,000から115,000(通常のGPCによる)であり、コモノマー含量が0.0モル%から7.0モル%の範囲である、狭いコモノマー分布(35.0℃から119.0℃までのCEFにおいて単峰性のコモノマー分布)を有する11個の基準材料を、CEF実験の部で特定した同一の実験条件でCEFを用いて分析するステップ、
(E)それぞれの基準材料のピーク温度(T)およびそのコモノマー含量を用いて、コモノマー含量の較正値を計算するステップであって、較正値のRが相関定数であるステップ、
(F)0.5medianから1.5medianの範囲のコモノマー含量を有する全重量分率からコモノマー分布指数を計算するステップであって、Tmedianが98.0℃よりも高い場合には、コモノマー分布指数が0.95と定義されるステップ、
(G)35.0℃から119.0℃までの最高ピーク(2つのピークが等しい場合には、より低温のピークを選択する)に対して、各データ点を探すことによりCEFコモノマー分布プロファイルから最高ピーク高さを得るステップであって、半値幅は、最高ピーク高さの半分での前端温度と後端温度との温度差として定義され、最高ピークの半分での前端温度は、35.0℃から前方に探し、最高ピークの半分での後端温度は、119.0℃から後方に探し、一方、ピーク温度間の差が各ピークの半値幅の合計に等しいかまたはそれよりも大きい明確な二峰性分布の場合、ポリマーの半値幅は、各ピークの半値幅の相加平均として計算されるステップ、
(H)式5に従って温度の標準偏差(Stdev)を計算するステップ。
【数22】


【公表番号】特表2012−532218(P2012−532218A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517887(P2012−517887)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/040575
【国際公開番号】WO2011/002868
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】