説明

エチレン/α−オレフィンのインターポリマーを含む熱成形された耐引っかき性の低光沢組成物

本発明は、少なくとも1種のエチレン/α−オレフィンインターポリマーと分岐および/または高溶融強度のポリプロピレンとを含むポリマー組成物、ポリマー組成物の製造方法、ならびにポリマー組成物から作製した成形、重ね成形、異形押出または熱成形製品に関する。ポリマー組成物は、減少した熱成形後シートおよび押出後(異形材)の光沢特性および/または改良された耐引っかき特性を有し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のエチレン/α−オレフィンインターポリマーと分岐および/または高溶融強度のポリプロピレンとを含むポリマー組成物、ポリマー組成物の製造方法、ならびにポリマー組成物から製造される成形、異形押出、または熱成形製品に関する。ポリマー組成物は、減少した熱成形後シートおよび押出後の光沢特性および/または改良された耐引っかき特性を有し得る。
【背景技術】
【0002】
ドアパネルおよび計器パネルなどの自動車の内装品を製造するために、北米のみで毎年約2千万ポンドの押出シートまたはカレンダーシートが使用されている。一般に内装品は、熱成形などの様々な公知のプラスチック処理によって押出成形シートから作製することができる。現在、押出成形シートの大部分は、可撓性ポリ塩化ビニル(f−PVC)および熱可塑性ポリオレフィン(TPO)でできており、f−PVCおよびTPOシートは一般に、ポリウレタン(PU)コーティングでトップコーティングされ、消費者の安全上の理由のため熱成形後の部品の光沢度が低く(例えば、60度で<約6%)保たれ、耐引っかき性を向上させている。一般に、PUコーティングの使用は、それらの高揮発性有機化合物(VOC)の排出、およびf−PVCおよびTPOシートにおける粒子模様の複製による干渉のため望ましくない。したがって、自動車部品の供給業者はいつも、低光沢の代替材料を探している。エラストマーのブレンドなどの代替ポリマー組成物およびポリプロピレンなどのポリオレフィンを使用する試みは、押出成形シートの光沢度が一般に高く、耐引っかき性が一般に低いため、満足できるものでない場合が多い。
【0003】
毎年、低光沢の熱可塑性加硫物を使用した約3千万ポンドの押出異形材、および高光沢のポリ塩化ビニル(PVC)を使用した7億ポンド超の可撓性異形材が生産される。供給業者には、低光沢度を保ち、より廉価の代替物を使用するという要望がある。エラストマーのブレンドなどの代替ポリマー組成物およびポリプロピレンなどのポリオレフィンを使用する試みは、押出成形シートの光沢度が一般に高く、耐引っかき性が一般に低いため、満足できるものでない場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、熱成形可能であり、かつ/または形成された異形材に押出可能であり、自動車産業などの運輸産業のための内装品などの様々な用途のための光沢度および耐引っかき性の必要条件に合致することができる新規なポリマー組成物が必要とされている。具体的には、(1)6%未満の望ましい光沢度を有する自動車の内装品に熱成形することができ、(2)からまり、裂け目、引裂、ピンホールなどの欠陥が実質的になく、(3)改良された耐引っかき性を示し、(4)光沢度の制御のためにPUコーティングを必要としない、押出成形シートが必要とされている。さらに、熱成形可能であり、望ましい光沢特性を有する新規なポリマー組成物から製造した自動車の内装品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の必要性は、本発明の様々な態様によって達成される。一態様によれば、本発明は、少なくとも1種のエチレン/α−オレフィンインターポリマーとポリプロピレンとを含むポリマー組成物に関する。一実施形態では、ポリプロピレンは、分岐または高溶融強度のポリプロピレンである。他の実施形態では、ポリプロピレンは、230℃、2.16Kg荷重でASTM1238に従って測定して少なくとも約2g、好ましくは少なくとも約2.5g/10分のメルトフローレートを有する。他の実施形態では、ポリプロピレン、好ましくは分岐ポリプロピレンは、0.1ラジアン/秒で約2.5未満、好ましくは約1.5未満、さらに好ましくは約1.0未満のタンデルタ値を有する。
【0006】
他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約1.7〜約3.5のM/M、少なくとも1つの融点T(摂氏温度)、および密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、Tおよびdの数値は、関係式
≧−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
に相当する。
【0007】
他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約1.7〜約3.5のM/Mを有し、融解熱ΔH(J/g)、および最高のDSCピークと最高のCRYSTAFピークとの間の温度差として定義されるデルタ量ΔT(摂氏温度)によって特徴付けられ、ΔTおよびΔHの数値は、下記の関係式
ΔHがゼロ超で、130J/g以下である場合、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
ΔHが130J/g超である場合、ΔT≧48℃
を有し、
CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、このポリマーの5パーセント未満が同定可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃である。
【0008】
他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定して、300パーセントひずみかつ1サイクルでの弾性回復率Re(パーセント)によって特徴付けられ、密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に有さない場合、下記の関係式
Re>1481−1629(d)
を満たす。
【0009】
他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、TREFを使用して分別される場合、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、画分は、同じ温度の間で溶出する比較対象となるランダムエチレンインターポリマー画分のコモノマーモル含量よりも少なくとも5パーセント高いコモノマーモル含量を有することによって特徴付けられ、前記比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)を有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのそれの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(ポリマー全体に基づく)を有する。
【0010】
他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)によって特徴付けられ、G’(25℃)とG’(100℃)の比は約1:1〜約10:1である。
【0011】
他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、TREFを使用して分別される場合、40℃〜130℃で溶出する少なくとも1つの分子画分を有し、画分は、少なくとも0.5かつ約1以下のブロックインデックス、および約1.3超の分子量分布M/Mを有することを特徴とする。
【0012】
他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0超かつ約1.0以下の平均ブロックインデックス、および約1.3超の分子量分布M/Mを有する。
【0013】
他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマー中のα−オレフィンは、スチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、ノルボルネン、1−デセン、1,5−ヘキサジエン、またはこれらの組合せである。
【0014】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーの上記の特徴は、任意の有意な架橋前、すなわち架橋前に、エチレン/α−オレフィンインターポリマーに関して与えられる。本発明において有用なエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、所望の特性を得る程度まで架橋してもよく、またはしなくてもよい。架橋前に測定したような上記の特徴を使用することは、インターポリマーが架橋される必要があり、または必要がないことを示唆することを意味しない。ただその特徴は、有意な架橋を伴わないインターポリマーに関して測定される。架橋は、特定のポリマーおよび架橋度によってこれらの特性の各々を変化させ得る、またはさせ得ない。
【0015】
他の態様では、本発明は、本明細書において開示されているポリマー組成物を含む熱成形物品などの物品に関する。一実施形態では、熱成形物品は、自動車両ための内装または外装部品などの運送業のための物品である。他の実施形態では、熱成形物品の表面の60度光沢度は、約9.0%未満である。他の実施形態では、20N以下の荷重および50mm/sの引っかき速度でASTM D7027−05に従ってその耐引っかき性について試験した後、熱成形物品の表面上に目に見える引っかきによる白化はない。
【0016】
他の実施形態では、ポリマー組成物または熱成形物品は、少なくとも1種の添加剤をさらに含み、添加剤は、離型剤(ポリシロキサンなど)、着色剤または顔料、可塑剤、油、抗酸化剤、紫外線安定剤、充填剤、潤滑剤、防曇剤、流動助剤、カップリング剤、架橋剤、成核剤、界面活性剤、溶媒、難燃剤、帯電防止剤、抗菌剤、抗引っかきもしくは表面損傷剤、またはこれらの組合せからなる群から選択される。
【0017】
本発明のさらなる態様、ならびに様々な本発明の実施形態の特徴および特性は、以下の説明によって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のランダムコポリマー(丸によって表す)およびチーグラー−ナッタコポリマー(三角によって表す)と比較した、本発明のポリマー(ひし形によって表す)についての融点/密度の関係を示す図である。
【図2】様々なポリマーについてのDSC融解エンタルピーの関数としてのデルタDSC−CRYSTAFの図である。ひし形は、ランダムエチレン/オクテンコポリマーを表し、四角は、ポリマー実施例1〜4を表し、三角は、ポリマー実施例5〜9を表し、丸は、ポリマー実施例10〜19を表す。記号「X」は、ポリマー比較例A〜Fを表す。
【図3】本発明のインターポリマー(四角および丸によって表す)ならびに従来のコポリマー(様々なAFFINITY(登録商標)ポリマー(The Dow Chemical Company)であり、三角によって表す)から製造された無配向フィルムについて、弾性回復率に対する密度の影響を示す図である。四角は、本発明のエチレン/ブテンコポリマーを表し、丸は、本発明のエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【図4】実施例5のポリマー(丸によって表す)および比較対象となるポリマー比較例EおよびF(記号「X」によって表す)についての、画分のTREF溶出温度に対する、TREF分別されたエチレン/1−オクテンコポリマー画分のオクテン含量の図である。ひし形は、従来のランダムエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【図5】実施例5のポリマー(曲線1)およびポリマー比較例F(曲線2)についての、画分のTREF溶出温度に対する、TREF分別されたエチレン/1−オクテンコポリマー画分のオクテン含量の図である。四角は、ポリマー比較例Fを表し、三角は、実施例5を表す。
【図6】比較対象となるエチレン/1−オクテンコポリマー(曲線2)およびプロピレン/エチレンコポリマー(曲線3)、ならびに異なる量の可逆的連鎖移動反応剤(chain shuttling agent)で製造した本発明の2種のエチレン/1−オクテンブロックコポリマー(曲線1)についての、温度の関数としての貯蔵弾性率の対数のグラフである。
【図7】いくつかの公知のポリマーと比較したいくつかの本発明のポリマー(ひし形によって表す)についての、屈曲弾性率に対するTMA(1mm)の図である。三角は、様々なVERSIFY(登録商標)ポリマー(The Dow Chemical Company)を表し、丸は、様々なランダムエチレン/スチレンコポリマーを表し、四角は、様々なAFFINITY(登録商標)ポリマー(The Dow Chemical Company)を表す。
【図8】A〜Dは、実施例21の押出シートおよび熱処理シート(各々、図8Aおよび8B)および比較例M(各々、図8Cおよび8D)の表面の、200×倍率で反射ノマルスキー干渉コントラスト下で撮った光学顕微鏡写真を示す。
【図9】A〜Dは、実施例21の押出シートおよび熱処理シート(各々、図9Aおよび9B)および比較例M(各々、図9Cおよび9D)の表面で取ったTEM画像を示す。
【図10】Tencor P−15(v6.41)に常駐しているソフトウェアによって提供されるアルゴリズムである。
【図11】耐引っかき性を測定するために使用される引っかき試験機の略図である。
【図12】Santoprene比較例の押出異形材の表面の、150×倍率で反射ノマルスキー干渉コントラスト下で撮った光学顕微鏡写真を示す。
【図13】実施例32の押出異形材の表面の、150×倍率で反射ノマルスキー干渉コントラスト下で撮った光学顕微鏡写真を示す。
【図14】比較例Tの押出異形材の表面の、150×倍率で反射ノマルスキー干渉コントラスト下で撮った光学顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一般の定義
「ポリマー」とは、同じまたは異なるタイプのモノマーを重合することによって調製される高分子化合物を意味する。「ポリマー」という総称は、「ホモポリマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」、および「インターポリマー」という用語を包含する。
【0020】
「インターポリマー」とは、少なくとも2種の異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味する。「インターポリマー」という総称には、(2種の異なるモノマーから調製したポリマーを意味するために通常用いられる)「コポリマー」という用語、および(3種の異なるタイプのモノマーから調製したポリマーを意味するために通常用いられる)「ターポリマー」という用語が含まれる。それはまた、4種以上のタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを包含する。
【0021】
「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」という用語は一般に、エチレンおよび3個以上の炭素原子を有するα−オレフィンを含むポリマーを意味する。好ましくは、エチレンは、ポリマー全体の大部分のモル画分を構成し、すなわち、エチレンは、ポリマー全体の少なくとも約50モルパーセントを構成する。さらに好ましくは、エチレンは、少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、または少なくとも約80モルパーセントを構成し、ポリマー全体の実質的な残りの部分は、少なくとも1種の他のコモノマー(好ましくは3個以上の炭素原子を有するα−オレフィンである)を含む。多くのエチレン/オクテンコポリマーについて、好ましい組成物は、ポリマー全体の約80モルパーセント超のエチレン含量、およびポリマー全体の約10〜約15、好ましくは約15〜約20モルパーセントのオクテン含量を含む。いくつかの実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、低収率もしくは少量で生成されるもの、または化学過程の副生成物として生成されるものを含まない。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、1種または複数のポリマーとブレンドすることができる一方、このようにして生成されたエチレン/α−オレフィンインターポリマーは実質的に純粋であり、重合過程の反応生成物の主成分を含む場合が多い。
【0022】
「組成物」という用語には、本明細書で使用する場合、組成物を構成する物質の混合物、ならびに組成物の物質から形成される反応生成物および分解生成物が含まれる。
【0023】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、重合形態でエチレンと1種または複数の共重合性α−オレフィンコモノマーとを含み、化学的または物理学的性質の点で異なる2つ以上の重合されたモノマー単位の多数のブロックまたはセグメントによって特徴付けられる。すなわち、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、ブロックインターポリマー、好ましくはマルチブロックインターポリマーまたはコポリマーである。「インターポリマー」およびコポリマー」という用語は、本明細書において互換的に使用される。いくつかの実施形態では、マルチブロックコポリマーは、下記の式
(AB)
(式中、nは少なくとも1、好ましくは2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上などの1超の整数であり、「A」は、硬ブロックまたはセグメントを表し、「B」は、軟ブロックまたはセグメントを表す)によって表すことができる。好ましくは、AおよびBは、実質的に分岐状または実質的に星形様式とは対照的に、実質的に線状様式で結合している。他の実施形態では、AブロックおよびBブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。すなわち、ブロックコポリマーは通常、下記
AAA−AA−BBB−BB
のような構造を有さない。
【0024】
また他の実施形態では、ブロックコポリマーは通常、異なるコモノマー(複数可)を含む第3のタイプのブロックを有さない。また他の実施形態では、ブロックAおよびブロックBの各々は、ブロック内に実質的にランダムに分布したモノマーまたはコモノマーを有する。すなわち、ブロックAとブロックBのどちらも、チップセグメントなどの、ブロックの他とは実質的に異なる組成物を有する、別々の組成の2つ以上のサブセグメント(またはサブブロック)を含まない。
【0025】
マルチブロックポリマーは典型的には、様々な量の「硬」および「軟」セグメントを含む。「硬」セグメントは、エチレンがポリマーの重量に基づいて約95重量パーセント超、好ましくは約98重量パーセント超の量で存在する、重合ユニットのブロックを意味する。すなわち、硬セグメント中のコモノマー含量(エチレン以外のモノマーの含量)は、ポリマーの重量に基づいて約5重量パーセント未満、好ましくは約2重量パーセント未満である。いくつかの実施形態では、硬セグメントは、全てのまたは実質的に全てのエチレンで構成される。他方、「軟」セグメントとは、コモノマー含量(エチレン以外のモノマーの含量)がポリマーの重量に基づいて約5重量パーセント超、好ましくは約8重量パーセント超、約10重量パーセント超、または約15重量パーセント超である、重合ユニットのブロックを意味する。いくつかの実施形態では、軟セグメント中のコモノマー含量は、約20重量パーセント超、約25重量パーセント超、約30重量パーセント超、約35重量パーセント超、約40重量パーセント超、約45重量パーセント超、約50重量パーセント超、または約60重量パーセント超であることができる。
【0026】
軟セグメントは、ブロックインターポリマーの総重量に対して約1重量パーセント〜約99重量パーセント、好ましくはブロックインターポリマーの総重量に対して約5重量パーセント〜約95重量パーセント、約10重量パーセント〜約90重量パーセント、約15重量パーセント〜約85重量パーセント、約20重量パーセント〜約80重量パーセント、約25重量パーセント〜約75重量パーセント、約30重量パーセント〜約70重量パーセント、約35重量パーセント〜約65重量パーセント、約40重量パーセント〜約60重量パーセント、または約45重量パーセント〜約55重量パーセントでブロックインターポリマー中に存在することができる場合が多い。逆に、硬セグメントは、同様の範囲で存在することができる。軟セグメント重量パーセントおよび硬セグメント重量パーセントは、DSCまたはNMRから得たデータに基づいて計算することができる。このような方法および計算は、その開示の全体が参照により本明細書中に組み込まれているColin L.P.Shan、Lonnie Hazlittらの名前で2006年3月15日に出願され、The Dow Global Technologies Inc.に譲渡された、「Ethylene/α−Olefin Block Interpolymers」という名称の同時に提出された米国特許出願一連番号第11/376,835号に開示されている。
【0027】
「結晶質」という用語は、用いられる場合、示差走査熱量測定(DSC)または同様の技術によって決定すると一次転移または結晶融点(Tm)を有するポリマーを意味する。この用語は、「半結晶質」という用語と互換的に使用してもよい。「アモルファス」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)または同様の技術によって決定すると結晶融点を欠くポリマーを意味する。
【0028】
「マルチブロックコポリマー」または「セグメント化コポリマー」という用語は、好ましくは線状様式で結合している2つ以上の化学的に別々の領域またはセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマー、すなわちペンダントまたはグラフト様式であるよりもむしろ重合されたエチレン官能基に関して端末間が結合した化学的に識別されたユニットを含むポリマーを意味する。好ましい実施形態では、ブロックは、その中に組み込まれているコモノマーの量またはタイプ、このような組成のポリマーに起因する密度、結晶化度の量、結晶子サイズ、立体規則性のタイプおよび程度(アイソタクチックもしくはシンジオタクチック)、位置規則性または位置不規則性、長鎖分岐または過剰分岐を含む分岐の量、均一性、または任意の他の化学的もしくは物理的特性の点で異なる。マルチブロックコポリマーは、コポリマー製造の独特な工程によって、両方の多分散性インデックス(PDIまたはMw/Mn)の独特の分布、ブロック長分布、および/またはブロック数分布によって特徴付けられる。さらに具体的には、連続法で生成される場合、ポリマーは望ましくは、1.7〜2.9、好ましくは1.8〜2.5、さらに好ましくは1.8〜2.2、最も好ましくは1.8〜2.1のPDIを有する。バッチまたはセミバッチ法で生成される場合、ポリマーは、1.0〜2.9、好ましくは1.3〜2.5、さらに好ましくは1.4〜2.0、最も好ましくは1.4〜1.8のPDIを有する。
【0029】
以下の説明において、本明細書において開示されている全ての数は、「約」または「概ね」という単語がそれと関連して使用されようとなかろうと、近似値である。それらは、1パーセント、2パーセント、5パーセント、または時には10〜20パーセントで変動してもよい。下限Rおよび上限Rを伴う数値の範囲が開示されている場合はいつも、範囲に含まれる任意の数が特に開示される。特に、範囲内の下記の数が特に開示される。R=R+k(R−R)(式中、kは、1パーセントずつ増加する1パーセント〜100パーセントの範囲の変数であり、すなわち、kは、1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、...、50パーセント、51パーセント、52パーセント、...、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、または100パーセントである)。さらに、上記に記載の2つのRの数によって定義される任意の数値の範囲もまた、特に開示される。
【0030】
本発明の実施形態は、ポリオレフィンペレットなどのいくつかのポリマー粒子、およびポリオレフィンフィルムなどのいくつかのポリマー物品のブロッキングおよび/または再ブロッキング傾向を減少させるための方法を提供する。抗ブロッキングポリマー組成物は、本明細書において開示されているエチレン/α−オレフィンインターポリマーと、アミドをベースとするブロッキング剤とを含む。本明細書において開示されているエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、少なくとも1種の軟ブロックおよび少なくとも1種の硬ブロックを含むマルチブロックコポリマーである。抗ブロッキングポリマー組成物は、約100lbs/ft(4800Pa)以下のペレットブロッキング強度を有し得る。いくつかの実施形態では、ペレットブロッキング強度は、約50lbs/ft(2400Pa)以下、約5lbs/ft(240Pa)以下、または約0lbs/ft(0Pa)である。抗ブロッキングポリマー組成物がフィルムに作製される場合、フィルムは、ASTM法D−3354に従って測定して約100グラム未満のブロッキング力を有し得る。いくつかの実施形態では、ブロッキング力は、約80グラム未満、約60グラム未満、約50グラム未満、約30グラム未満、約20グラム未満、または約10グラム未満である。他の実施形態では、ブロッキング力は、約5グラム未満または約0グラムである。
【0031】
ペレットブロッキング強度は、下記のように測定することができる。ペレット(150g)を、ホース留め金によって一緒にまとめられている両半分でできた2’’(5cm)直径の中空円筒に充填する。2.75lb(1.25kg)荷重を、円筒中のペレットに45℃で3日間かける。3日後、ペレットを円筒形のプラグに緩くまとめる。プラグを型から取り出し、ペレットブロッキング力を、円筒をペレットに崩すのに必要な圧縮力を測定するためのInstron(商標)装置を使用して、圧縮状態にあるブロック化されたペレットの円筒を負荷することによって測定する。
【0032】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー
本発明の実施形態において使用されるエチレン/α−オレフィンインターポリマー(また「本発明のインターポリマー」または「本発明のポリマー」と称される)は、重合形態でエチレンと1種または複数の共重合性α−オレフィンコモノマーとを含み、化学的または物理学的性質の点で異なる2つ以上の重合されたモノマー単位の多数のブロックまたはセグメント(ブロックインターポリマー)、好ましくはマルチブロックコポリマーによって特徴付けられる。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、下記に記載する態様の1つまたは複数によって特徴付けられる。
【0033】
一態様によれば、本発明の実施形態において使用されるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約1.7〜約3.5のM/M、少なくとも1つの融点T(摂氏温度)、および密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、変数の数値は、関係式
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)、好ましくは
≧−6288.1+13141(d)−6720.3(d)、さらに好ましくは
≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)
に相当する。
【0034】
このような融点/密度の関係を、図1において例示する。密度が下がるにつれてその融点が下がるエチレン/α−オレフィンの従来のランダムコポリマーとは異なり、本発明のインターポリマー(ひし形によって表される)は、特に密度が約0.87g/cc〜約0.95g/ccである場合、実質的に密度と無関係である融点を示す。例えば、このようなポリマーの融点は、密度が0.875g/cc〜約0.945g/ccの範囲である場合、約110℃〜約130℃の範囲である。いくつかの実施形態では、このようなポリマーの融点は、密度が0.875g/cc〜約0.945g/ccの範囲である場合、約115℃〜約125℃の範囲である。
【0035】
他の態様では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、重合形態で、エチレンと1種または複数のα−オレフィンとを含み、ΔT(摂氏温度)(最高の示差走査熱量測定(「DSC」)ピークの温度から最高の結晶分析分別(「CRYSTAF」)ピークの温度を減算した温度と定義する)および融解熱ΔH(J/g)によって特徴付けられ、130J/g以下のΔHについて、ΔTおよびΔHは、下記の関係式
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、好ましくは
ΔT≧−0.1299(ΔH)+64.38、さらに好ましくは
ΔT≧−0.1299(ΔH)+65.95、
を満たす。さらに、ΔHが130J/g超である場合、ΔTは48℃以上である。CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され(すなわち、ピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを表さなくては成らない)、ポリマーの5パーセント未満が同定可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃であり、ΔHは、融解熱(J/g)の数値である。さらに好ましくは、最高のCRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも10パーセントを含有する。図2は、本発明のポリマーおよび比較例についてのプロットされたデータを示す。積分されたピーク面積およびピーク温度は、機器製造者によって供給されるコンピュータ化された製図プログラムによって計算される。ランダムエチレンオクテン比較ポリマーについて示される対角線は、方程式ΔT=−0.1299(ΔH)+62.81に相当する。
【0036】
さらに別の態様では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、昇温溶出分別(「TREF」)を使用して分別される場合、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、前記画分は同じ温度の間で溶出する比較対象となるランダムエチレンインターポリマー画分のコモノマーモル含量より高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、さらに好ましくは少なくとも10パーセント高いコモノマーモル含量を有することによって特徴付けられ、比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)を含有し、ブロックインターポリマーのそれの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(ポリマー全体に基づく)を有する。好ましくは、比較対象となるインターポリマーのM/Mはまた、ブロックインターポリマーのそれの10パーセント以内であり、かつ/または比較対象となるインターポリマーは、ブロックインターポリマーのそれの10パーセント以内の総コモノマー含量を有する。
【0037】
また他の態様では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定して、300パーセントひずみかつ1サイクルでの弾性回復率Re(パーセント)によって特徴付けられ、密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に有さない場合、下記の関係式
Re>1481−1629(d)、好ましくは
Re≧1491−1629(d)、さらに好ましくは
Re≧1501−1629(d)、またさらに好ましくは
Re≧1511−1629(d)
を満たす。
【0038】
図3は、本発明の特定のインターポリマーおよび従来のランダムコポリマーから製造した無配向フィルムについての弾性回復率に対する密度の影響を示す。同じ密度について、本発明のインターポリマーは、実質的により高い弾性回復率を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、10MPa超の引張強さ、好ましくは≧11MPaの引張強さ、さらに好ましくは≧13MPaの引張強さ、および/または11cm/分のクロスヘッド分離速度で、少なくとも600パーセント、さらに好ましくは少なくとも700パーセント、非常に好ましくは少なくとも800パーセント、最も非常に好ましくは少なくとも900パーセントの破断伸びを有する。
【0040】
他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、(1)1〜50、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10の貯蔵弾性率の比G’(25℃)/G’(100℃)、および/または(2)80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満、特に60パーセント未満、50パーセント未満、または40パーセント未満、0パーセントの圧縮永久ひずみに至る、70℃での圧縮永久ひずみを有する。
【0041】
また他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、80パーセント未満、70パーセント未満、60パーセント未満、または50パーセント未満の70℃での圧縮永久ひずみを有する。好ましくは、インターポリマーの70℃での圧縮永久ひずみは、40パーセント未満、30パーセント未満、20パーセント未満であり、約0パーセントに至る場合がある。
【0042】
いくつかの実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、85J/g未満の融解熱、および/または100ポンド/フィート(4800Pa)以下、好ましくは50lbs/ft(2400Pa)以下、特に5lbs/ft(240Pa)以下、0lbs/ft(0Pa)程度のペレットブロッキング強度を有する。
【0043】
他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、重合形態で少なくとも50モルパーセントのエチレンを含み、80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満または60パーセント未満、最も好ましくは40〜50パーセント未満、および0パーセントの近くに至るまでの、70℃での圧縮永久ひずみを有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、マルチブロックコポリマーは、ポワソン分布よりむしろシュルツ−フローリーに適合するPDIを有する。コポリマーは、多分散性ブロック分布および多分散性ブロックサイズ分布の両方を有し、ブロック長の最確分布を有していることがさらに特徴付けられる。好ましいマルチブロックコポリマーは、末端ブロックを含めて4個以上のブロックまたはセグメントを含有するものである。さらに好ましくは、コポリマーは、末端ブロックを含めて少なくとも5個、10個または20個のブロックまたはセグメントを含む。
【0045】
コモノマー含量は、任意の適切な技術(核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術が好ましい)を使用して測定し得る。さらに、比較的広範なTREF曲線を有するポリマーまたはポリマーのブレンドについて、ポリマーは望ましくは、TREFを使用して、各々が10℃以下の溶出温度範囲を有する画分に最初に分別される。すなわち、各溶出画分は、10℃以下の収集温度窓(collection temperature window)を有する。この技術を使用して、前記ブロックインターポリマーは、比較対象となるインターポリマーの相当する画分よりも高いコモノマーモル含量を有する少なくとも1つのこのような画分を有する。
【0046】
他の態様では、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは重合形態でエチレンと1種または複数の共重合性コモノマーとを含むオレフィンインターポリマーであり、化学的または物理学的性質の点で異なる2つ以上の重合されたモノマー単位の多数のブロック(すなわち、少なくとも2つのブロック)またはセグメント(ブロック化されたインターポリマー)によって特徴付けられ、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、前記ブロックインターポリマーは、40℃〜130℃で溶出するピーク(しかし単なる分子画分ではない)を有し(しかし個々の画分を回収および/または単離しない)、前記ピークは、半値全幅(FWHM)面積計算を使用して展開する場合、赤外分光法によって推定されるコモノマー含量を有し、同じ溶出温度で半値全幅(FWHM)面積計算を使用して展開して比較対象となるランダムエチレンインターポリマーピークのそれよりも高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、さらに好ましくは少なくとも10パーセント高い平均コモノマーモル含量を有することに特徴付けられる。ここで前記比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)を有し、ブロック化されたインターポリマーのそれの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(ポリマー全体に基づく)を有する。好ましくは、比較対象となるインターポリマーのM/Mはまた、ブロック化されたインターポリマーのそれの10パーセント以内であり、かつ/または比較対象となるインターポリマーは、ブロック化されたインターポリマーのそれの10重量パーセントの総コモノマー含量を有する。半値全幅(FWHM)計算は、ATREF赤外検出器からのメチルとメチレンの応答面積比[CH/CH]に基づき、最も高い(最高の)ピークは、ベースラインから同定され、次いで、FWHM面積を決定する。ATREFピークを使用して測定される分布について、FWHM面積はTとTとの間の曲線下面積として定義され、ここでTおよびTは、ピーク高さを2で割り、次いでATREF曲線の左部分および右部分を交差する、ベースラインに対して水平な線を引くことによって、ATREFピークの左および右に対して決定されるポイントである。コモノマー含量の較正曲線は、ランダムエチレン/α−オレフィンコポリマーを使用して、TREFピークのFWHM面積比に対するNMRからのコモノマー含量をプロットして作成する。この赤外法については、対象となる同じコモノマータイプについて較正曲線を作成する。本発明のポリマーのTREFピークのコモノマー含量は、TREFピークのそのFWHMメチル:メチレン面積比[CH/CH]を使用してこの較正曲線を参照することによって決定することができる。
【0047】
コモノマー含量は、任意の適切な技術(核磁気共鳴(NMR)分光法に基づいた技術が好ましい)を使用して測定し得る。この技術を使用して、前記ブロック化されたインターポリマーは、相当する比較対象となるインターポリマーより高いコモノマーモル含量を有する。
【0048】
好ましくは、エチレンおよび1−オクテンのインターポリマーについて、ブロックインターポリマーは、(−0.2013)T+20.07以上の量の、さらに好ましくは(−0.2013)T+21.07以上の量の、40〜130℃で溶出するTREF画分のコモノマー含量を有する(Tは、℃で測定した比較するTREF画分のピーク溶出温度の数値である)。
【0049】
図4は、エチレンおよび1−オクテンのブロックインターポリマーの実施形態をグラフで表示し、ここではいくつかの比較対象となるエチレン/1−オクテンインターポリマー(ランダムコポリマー)についてのTREF溶出温度に対するコモノマー含量のプロットは、(−0.2013)T+20.07(実線)を表す線に適合する。方程式(−0.2013)T+21.07についての線を点線で示す。本発明のいくつかのブロックエチレン/1−オクテンインターポリマー(マルチブロックコポリマー)の画分のコモノマー含量もまた示す。ブロックインターポリマー画分の全ては、同等の溶出温度でのいずれの線より有意に高い1−オクテン含量を有する。この結果は本発明のインターポリマーの特徴を示しており、結晶性およびアモルファスの性質の両方を有する、ポリマー鎖内の分化型ブロックの存在によるものと考えられる。
【0050】
図5は、下記で論じる実施例5および比較対象となるFについてのポリマー画分のTREF曲線およびコモノマー含量をグラフで表示する。両方のポリマーについて40〜130℃、好ましくは60℃〜95℃で溶出するピークを、3つの部分に分別するが、各部分は10℃未満の温度範囲に亘って溶出する。実施例5についての実際のデータを三角で表す。異なるコモノマーを含有するインターポリマーについて適切な較正曲線を構成することができ、それが同じモノマーの比較対照となるインターポリマー、好ましくはメタロセンまたは他の均一系触媒組成物を使用して製造されるランダムコポリマーから得られるTREF値と適合させる比較として使用される線であり得ることを、当業者は理解することができる。本発明のインターポリマーは、同一のTREF溶出温度で較正曲線から決定される値より高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、さらに好ましくは少なくとも10パーセント高いコモノマーモル含量によって特徴付けられる。
【0051】
本明細書に記載する上記の態様および特性に加えて、本発明のポリマーは、1つまたは複数のさらなる特徴によって特徴付けることができる。一態様によれば、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは重合形態でエチレンと1種または複数の共重合性コモノマーとを含むオレフィンインターポリマーであり、化学的または物理学的性質の点で異なる2つ以上の重合されたモノマー単位の多数のブロックまたはセグメント(ブロック化されたインターポリマー)によって特徴付けられ、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、前記ブロックインターポリマーは、TREF増分を使用して分別される場合、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、前記画分は、同じ温度の間に溶出する比較対象となるランダムエチレンインターポリマー画分のコモノマーモル含量よりも高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、さらに好ましくは少なくとも10、15、20または25パーセント高いコモノマーモル含量を有することに特徴付けられ、前記比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同一のコモノマー(複数可)を含み、それは好ましくは、同一のコモノマー(複数可)であり、およびブロック化されたインターポリマーのそれの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(ポリマー全体に基づく)である。好ましくは、比較対象となるインターポリマーのM/Mはまた、ブロック化されたインターポリマーのそれの10重量パーセント以内であり、かつ/または比較対象となるインターポリマーは、インターポリマーのそれの10重量パーセント以内の総コモノマー含量を有する。
【0052】
好ましくは、上記のインターポリマーは、エチレンおよび少なくとも1つのα−オレフィンのインターポリマーであり、特にそれらのインターポリマーは、約0.855〜約0.935g/cmの全ポリマー密度を有し、より詳細には約1モルパーセント超のコモノマーを有するポリマーについて、ブロック化されたインターポリマーは、(−0.1356)T+13.89以上の量の、さらに好ましくは(−0.1356)T+14.93以上の量の、最も好ましくは(−0.2013)T+21.07以上の量の、40〜130℃で溶出するTREF画分のコモノマー含量を有する(Tは、℃で測定した比較するTREF画分のピークATREF溶出温度の数値である)。
【0053】
好ましくは、エチレンと少なくとも1つのα−オレフィンとの上記のインターポリマー、特に約0.855〜約0.935g/cmの全ポリマー密度を有するそれらのインターポリマー、さらに詳細には約1モルパーセント超のコモノマーを有するポリマーについて、ブロック化されたインターポリマーは、(−0.2013)T+20.07以上の量の、さらに好ましくは(−0.2013)T+21.07以上の量の、40〜130℃で溶出するTREF画分のコモノマー含量を有する(Tは、℃で測定した比較するTREF画分のピーク溶出温度の数値である)。
【0054】
また他の態様では、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは重合形態でエチレンと1種または複数の共重合性コモノマーとを含むオレフィンインターポリマーであり、化学的または物理学的性質の点で異なる2つ以上の重合されたモノマー単位の多数のブロックまたはセグメント(ブロック化されたインターポリマー)によって特徴付けられ、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、前記ブロックインターポリマーは、TREF増分を使用して分別される場合、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、少なくとも約6モルパーセントのコモノマー含量を有する全ての画分が、約100℃超の融点を有することを特徴とする。約3モルパーセント〜約6モルパーセントのコモノマー含量を有するそれらの画分について、全ての画分は、約110℃以上のDSC融点を有する。さらに好ましくは、少なくとも1モルパーセントのコモノマーを有する前記ポリマー画分は、方程式
Tm≧(−5.5926)(画分中のコモノマーのモルパーセント)+135.90
に相当するDSC融点を有する。
【0055】
さらに別の態様では、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは重合形態でエチレンと1種または複数の共重合性コモノマーとを含むオレフィンインターポリマーであり、化学的または物理学的性質の点で異なる2つ以上の重合されたモノマー単位の多数のブロックまたはセグメント(ブロック化されたインターポリマー)によって特徴付けられ、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、前記ブロックインターポリマーは、TREF増分を使用して分別される場合、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、約76℃以上のATREF溶出温度を有する全ての画分は、DSCによって測定すると、方程式
融解熱(J/gm)≦(3.1718)(ATREF溶出温度(摂氏))−136.58
に相当する融解エンタルピー(融解熱)を有するという点で特徴付けられる。
【0056】
本発明のブロックインターポリマーは、TREF増分を使用して分別される場合、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、40℃〜約76℃未満のATREF溶出温度を有する全ての画分は、DSCによって測定すると、方程式
融解熱(J/gm)≦(1.1312)(ATREF溶出温度(摂氏))+22.97
に相当する融解エンタルピー(融解熱)を有するという点で特徴付けられる。
【0057】
赤外検出器によるATREFピークのコモノマー組成測定
TREFピークのコモノマー組成は、Polymer Char、Valencia、Spain(http://www.polymerchar.com/)から入手可能なIR4赤外検出器を使用して測定することができる。
【0058】
検出器の「組成モード」は、測定センサー(CH)および組成センサー(CH)を備えており、これは2800〜3000cm−1の領域における固定型狭帯域赤外フィルターである。測定センサーは、ポリマー上のメチレン(CH)炭素(溶液中のポリマー濃度に直接関連する)を検出し、一方組成センサーは、ポリマーのメチル(CH)基を検出する。組成シグナル(CH)を測定シグナル(CH)で除算した算術比は、溶液中の測定されるポリマーのコモノマー含量に対して反応しやすく、その応答は、公知のエチレンα−オレフィンコポリマー標準によって較正される。
【0059】
検出器は、ATREF装置と共に使用される場合、TREF工程の間に溶出したポリマーの濃度(CH)および組成(CH)シグナル応答の両方を提供する。ポリマー特異的な較正は、公知のコモノマー含量(好ましくはNMRによって測定する)のポリマーについてCHとCHの面積比を測定することによって行うことができる。ポリマーのATREFピークのコモノマー含量は、個々のCHおよびCH応答についての面積比(すなわち、コモノマー含量に対する面積比CH/CH)の基準較正を適用することによって推定することができる。
【0060】
ピーク面積は、TREFクロマトグラムからの個々のシグナル応答を積分するために適切なベースラインを適用した後に半値全幅(FWHM)計算を使用して計算することができる。半値全幅計算は、ATREF赤外検出器からのメチルとメチレンの応答面積比[CH/CH]に基づき、この最も高い(最高の)ピークはベースラインから同定され、次いでFWHM面積が決定される。ATREFピークを使用して測定される分布については、FWHM面積は、T1とT2との間の曲線下面積として定義され、ここでT1およびT2は、ピーク高さを2で割り、次いでATREF曲線の左部分および右部分を交差する、ベースラインに対して水平な線を引くことによって、ATREFピークの左および右に対して決定されるポイントである。
【0061】
このATREF−赤外法においてポリマーのコモノマー含量を測定するための赤外分光法の適用は、原理上は、下記の参考文献Markovich、Ronald P.;Hazlitt、Lonnie G.;Smith、Linley;「Development of gel−permeation chromatography−Fourier transform infrared spectroscopy for characterization of ethylene−based polyolefin copolymers」、Polymeric Materials Science and Engineering(1991)、65、98〜100;およびDeslauriers,P.J.;Rohlfing,D.C.;Shieh,E.T.;「Quantifying short chain branching microstructures in ethylene−1−olefin copolymers using size exclusion chromatography and Fourier transform infrared spectroscopy (SEC−FTIR)」、Polymer(2002)、43、59〜170(それらの両方は参照によりその全体が本明細書中に組み込まれている)に記載されているようなGPC/FTIRシステムのそれと同様である。
【0062】
他の実施形態では、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0超かつ約1.0以下である平均ブロックインデックス(ABI)、および約1.3超の分子量分布M/Mによって特徴付けられる。平均ブロックインデックスABIは、5℃の増分で20℃〜110℃の分取TREFで得られたポリマー画分の各々についてのブロックインデックス(「BI」)の重量平均であり、
ABI=Σ(wBI
(式中、BIは、分取TREFにおいて得られる本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのi番目の画分についてのブロックインデックスであり、wは、i番目の画分の重量パーセントである)である。
【0063】
各ポリマー画分について、BIは、2つの下記の方程式(これらの両方は、同じBI値を与える)の1つによって定義される
【0064】
【数1】

式中、Tは、i番目の画分についての分取ATREF溶出温度(好ましくはケルビンで表される)であり、Pは、i番目の画分のエチレンモル画分であり、これは上記のようにNMRまたはIRによって測定することができる。PABは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー全体のエチレンモル画分(分別前)であり、これもまたNMRまたはIRによって測定することができる。TおよびPは、純粋な「硬セグメント」(インターポリマーの結晶性セグメントを示す)についてのATREF溶出温度およびエチレンモル画分である。一次近似として、TおよびP値は、「硬セグメント」についての実測値を得ることができない場合、高密度ポリエチレンホモポリマーについての値に設定する。本明細書において行う計算について、Tは372°Kであり、Pは1である。
【0065】
ABは、同一の組成物で、PABというエチレンモル画分を有するランダムコポリマーのATREF温度である。TABは、下記の方程式
LnPAB=α/TAB+β
(式中、αおよびβは、いくつかの公知のランダムエチレンコポリマーを使用した較正によって決定することができる2つの定数である)から計算することができる。αおよびβは、装置によって異なり得ることに留意すべきである。さらに、対象とするポリマー組成物で、またその画分と同様の分子量範囲でそれら自体の較正曲線を作成する必要があるであろう。僅かな分子量効果がある。較正曲線が同様の分子量範囲から得られる場合、このような効果は本質的に無視できるであろう。いくつかの実施形態では、ランダムエチレンコポリマーは、下記の関係式
LnP=−237.83/TATREF+0.639
を満たす。
【0066】
XOは、同一の組成物で、Pというエチレンモル画分を有するランダムコポリマーのATREF温度である。TXOは、LnP=α/TXO+βから計算することができる。逆に、PXOは、同一の組成物で、TというATREF温度を有するランダムコポリマーのエチレンモル画分であり、これはLnPXO=α/T+βから計算することができる。
【0067】
一旦各分取TREF画分についてのブロックインデックス(BI)が得られると、ポリマー全体についての重量平均ブロックインデックスABIを計算することができる。いくつかの実施形態では、ABIは、0超であるが約0.3未満または約0.1〜約0.3である。他の実施形態では、ABIは、約0.3超かつ約1.0以下である。好ましくは、ABIは、約0.4〜約0.7、約0.5〜約0.7、または約0.6〜約0.9の範囲であるべきである。いくつかの実施形態では、ABIは、約0.3〜約0.9、約0.3〜約0.8、または約0.3〜約0.7、約0.3〜約0.6、約0.3〜約0.5、または約0.3〜約0.4の範囲である。他の実施形態では、ABIは、約0.4〜約1.0、約0.5〜約1.0、または約0.6〜約1.0、約0.7〜約1.0、約0.8〜約1.0、または約0.9〜約1.0の範囲である。
【0068】
本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの他の特徴は、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、分取TREFによって得ることができる少なくとも1つのポリマー画分を含み、この画分は、約0.1超かつ約1.0以下のブロックインデックスおよび約1.3超の分子量分布M/Mを有することである。いくつかの実施形態では、ポリマー画分は、約0.6超かつ約1.0以下、約0.7超かつ約1.0以下、約0.8超かつ約1.0以下、または約0.9超かつ約1.0以下のブロックインデックスを有する。他の実施形態では、ポリマー画分は、約0.1超かつ約1.0以下、約0.2超かつ約1.0以下、約0.3超かつ約1.0以下、約0.4超かつ約1.0以下、または約0.4超かつ約1.0以下のブロックインデックスを有する。また他の実施形態では、ポリマー画分は、約0.1超かつ約0.5以下、約0.2超かつ約0.5以下、約0.3超かつ約0.5以下、または約0.4超かつ約0.5以下のブロックインデックスを有する。また他の実施形態では、ポリマー画分は、約0.2超かつ約0.9以下、約0.3超かつ約0.8以下、約0.4超かつ約0.7以下、または約0.5超かつ約0.6以下のブロックインデックスを有する。
【0069】
エチレンおよびα−オレフィンのコポリマーについて、本発明のポリマーは好ましくは、(1)少なくとも1.3、さらに好ましくは少なくとも1.5、少なくとも1.7、または少なくとも2.0、最も好ましくは少なくとも2.6のPDI、5.0の最大値まで、さらに好ましくは3.5の最大値まで、特に2.7の最大値までのPDI;(2)80J/g以下の融解熱;(3)少なくとも50重量パーセントのエチレン含量;(4)−25℃未満、さらに好ましくは−30℃未満のガラス転移温度T、および/または(5)ただ1つのTを有する。
【0070】
さらに、本発明のポリマーは、単独でまたは本明細書において開示されている任意の他の特性と組み合わせて、log(G’)が100℃の温度で400kPa以上の、好ましくは1.0MPa以上であるような貯蔵弾性率G’を有し得る。さらに、本発明のポリマーは、0〜100℃の範囲で温度の関数として比較的平坦な貯蔵弾性率をし(図6において例示する)、これはブロックコポリマーの特徴であるが、オレフィンコポリマー、特にエチレンと1つまたは複数のC3〜8脂肪族α−オレフィンとのコポリマーについてはこれまで知られていない。(この文脈での「比較的平坦な」という用語は、log G’(パスカル)の減少が50〜100℃、好ましくは0〜100℃で一桁未満であることを意味する)。
【0071】
本発明のインターポリマーは、少なくとも90℃の温度で1mmの熱機械分析針入度、および3kpsi(20MPa)〜13kpsi(90MPa)の曲げ弾性率によってさらに特徴付けることができる。代わりに、本発明のインターポリマーは、少なくとも104℃の温度で1mmの熱機械分析針入度、および少なくとも3kpsi(20MPa)の曲げ弾性率を有することができる。それらは、90mm未満の耐磨耗性(または容積減少)を有すると特徴付けることができる。図7は、他の公知のポリマーと比較した本発明のポリマーについての屈曲弾性率に対するTMA(1mm)を示す。本発明のポリマーは、他のポリマーよりも有意により良好な可撓性−耐熱性バランスを有する。
【0072】
さらに、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01〜2000g/10分、好ましくは0.01〜1000g/10分、さらに好ましくは0.01〜500g/10分、特に0.01〜100g/10分のメルトインデックスIを有することができる。特定の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01〜10g/10分、0.5〜50g/10分、1〜30g/10分、1〜6g/10分または0.3〜10g/10分のメルトインデックスIを有する。特定の実施形態では、エチレン/α−オレフィンポリマーのメルトインデックスは、1g/10分、3g/10分または5g/10分である。
【0073】
ポリマーは、1,000g/モル〜5,000,000g/モル、好ましくは1000g/モル〜1,000,000、さらに好ましくは10,000g/モル〜500,000g/モル、特に10,000g/モル〜300,000g/モルの分子量Mを有することができる。本発明のポリマーの密度は、0.80〜0.99g/cmであり得、好ましくはエチレン含有ポリマーについては0.85g/cm3〜0.97g/cmであり得る。特定の実施形態では、エチレン/α−オレフィンポリマーの密度は、0.860〜0.925g/cmまたは0.867〜0.910g/cmの範囲である。
【0074】
ポリマーの製造方法は、下記の特許出願:2004年3月17日に出願された米国特許仮出願第60/553,906号;2005年3月17日に出願された米国特許仮出願第60/662,937号;2005年3月17日に出願された米国特許仮出願第60/662,939号;2005年3月17日に出願された米国特許仮出願第60/662,938号;2005年3月17日に出願された国際出願第PCT/US2005/008916号;2005年3月17日に出願された国際出願第PCT/US2005/008915号;および2005年3月17日に出願された国際出願第PCT/US2005/008917号(これらの全ては参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において開示されてきた。例えば、1つのこのような方法は、付加重合条件下で、エチレンおよび任意選択でエチレン以外の1種または複数の付加重合可能なモノマーと、触媒組成物
((A)高いコモノマー組込みインデックスを有する第1のオレフィン重合触媒と、
(B)触媒(A)のコモノマー組込みインデックスの90パーセント未満、好ましくは50パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のコモノマー組込みインデックスを有する第2のオレフィン重合触媒と、
(C)可逆的連鎖移動反応剤と
を合わせることからもたらされる混合物または反応生成物を含む)とを接触させるステップを含む。
【0075】
代表的な触媒および可逆的連鎖移動反応剤は、下記の通りである。
【0076】
触媒(A1)は、WO03/40195、2003US0204017、USSN10/429,024(2003年5月2日に出願された)、およびWO04/24740の教示に従って作製した、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである。
【0077】
【化1】

【0078】
触媒(A2)は、WO03/40195、2003US0204017、USSN10/429,024(2003年5月2日に出願された)、およびWO04/24740の教示に従って作製した、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−メチルフェニル)(1,2−フェニレン−(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである。
【0079】
【化2】

【0080】
触媒(A3)は、ビス[N,N’’’−(2,4,6−トリ(メチルフェニル)アミド)エチレンジアミン]ハフニウムジベンジルである。
【0081】
【化3】

【0082】
触媒(A4)は、US−A−2004/0010103の教示に実質的に従って作製したビス((2−オキソイル−3−(ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)シクロヘキサン−1,2−ジイルジルコニウム(IV)ジベンジルである。
【0083】
【化4】

【0084】
触媒(B1)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
【0085】
【化5】

【0086】
触媒(B2)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(2−メチルシクロヘキシル)−イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
【0087】
【化6】

【0088】
触媒(C1)は、USP6,268,444の技術に従って実質的に調製した(t−ブチルアミド)ジメチル(3−N−ピロリル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタニウムジメチルである。
【0089】
【化7】

【0090】
触媒(C2)は、US−A−2003/004286の教示に実質的に従って調製した(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタニウムジメチルである。
【0091】
【化8】

【0092】
触媒(C3)は、US−A−2003/004286の教示に実質的に従って調製した(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,8a−η−s−インダセン−1−イル)シランチタニウムジメチルである。
【0093】
【化9】

【0094】
触媒(D1)は、Sigma−Aldrichから入手可能なビス(ジメチルジシロキサン)(インデン−1−イル)二塩化ジルコニウムである。
【0095】
【化10】

【0096】
可逆的移動反応剤(Shuttling Agent)
用いられる可逆的移動反応剤には、ジエチル亜鉛、ジ(i−ブチル)亜鉛、ジ(n−ヘキシル)亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリエチルガリウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)、およびエチル亜鉛(t−ブトキシド)が挙げられる。
【0097】
好ましくは、上記の方法は、相互変換することができない多数の触媒を使用して、ブロックコポリマー、特にマルチブロックコポリマー、好ましくは2つ以上のモノマー、より特にエチレンおよびC3〜20オレフィンまたはシクロオレフィン、最も特にエチレンおよびC4〜20α−オレフィンの線状マルチブロックコポリマーを形成するための連続溶液法の形態をとる。すなわち、触媒は化学的に異なる。連続溶液重合条件下で、この方法は理想的には、高いモノマー変換でのモノマー混合物の重合に適している。これらの重合条件下で、可逆的連鎖移動反応剤から触媒への可逆的移動反応は、鎖成長と比較して有利となり、マルチブロックコポリマー、特に線状マルチブロックコポリマーが高い効率で形成される。
【0098】
本発明のインターポリマーは、逐次的モノマー付加、流動触媒、アニオンまたはカチオンリビング重合技術によって調製される従来のランダムコポリマー、ポリマーの物理的ブレンド、およびブロックコポリマーから区別し得る。特に、同等の結晶化度または弾性率で同一のモノマーおよびモノマー含量のランダムコポリマーと比較して、本発明のインターポリマーは、融点によって測定したより良好な(より高い)耐熱性、動的機械分析によって決定したより高いTMA針入温度、より高い高温引張強さ、および/またはより高い高温ねじり貯蔵弾性率を有する。同じモノマーおよびモノマー含量を含有するランダムコポリマーと比較して、本発明のインターポリマーは、特に高温でより低い圧縮永久ひずみ、より低い応力緩和、より高い耐クリープ性、より高い引裂き強度、より高い耐ブロッキング性、より高い結晶化(凝固)温度に起因するより迅速な硬化、より高い回復(特に高温で)、より良好な耐磨耗性、より高い収縮力、ならびにより良好な油および充填剤許容性を有する。
【0099】
本発明のインターポリマーはまた、独特の結晶化と分枝分布の関係を示す。すなわち、本発明のインターポリマーは、特に同一のモノマーおよびモノマーレベルを含有するランダムコポリマーまたはポリマーの物理的ブレンド(高密度ポリマーおよびより低い密度のコポリマーのブレンドなど)と比較して、同等の全体的密度で、CRYSTAFおよびDSCを使用して測定した融解熱の関数として最高のピーク温度の間に比較的大きな差異を有する。本発明のインターポリマーのこの固有の特徴は、ポリマー骨格内のブロックにおけるコモノマーの独特の分布に起因すると考えられる。特に、本発明のインターポリマーは、(ホモポリマーブロックを含めた)異なるコモノマー含量の交互のブロックを含み得る。本発明のインターポリマーはまた、異なる密度またはコモノマー含量のポリマーブロックの数および/またはブロックサイズの分布を含むことができ、これはシュルツ−フローリー型の分布である。さらに、本発明のインターポリマーはまた、ポリマー密度、弾性率、および形態とは実質的に無関係である、固有のピーク融点および結晶化温度プロファイルを有する。好ましい実施形態では、ポリマーの微結晶性秩序は、1.7未満、または1.5未満、1.3未満にいたるまでのPDI値においてでさえランダムまたはブロックコポリマーから区別可能な特徴的な球晶およびラメラを示す。
【0100】
さらに、本発明のインターポリマーは、ブロック性の程度またはレベルに影響を与える技術を使用して調製し得る。すなわち、コモノマーの量および各ポリマーブロックまたはセグメントの長さは、触媒および可逆的移動反応剤の比およびタイプ、重合温度、ならびに他の重合の変数を制御することによって変更することができる。この現象の驚くべき利点は、ブロック性の程度が増加するにつれ、このように得られたポリマーの光学特性、引裂き強度、および高温回復の特性が改良されるという発見である。特に、ポリマー中のブロックの平均数の増加につれ、曇りが減少する一方で、透明性、引裂き強度、および高温回復特性が増大する。所望の連鎖移動能力(低レベルの連鎖停止を伴う高い可逆的移動反応速度)を有する可逆的移動反応剤および触媒の組合せを選択することによって、他の形態のポリマー停止を効果的に抑制する。したがって、β水素化物脱離は本発明の実施形態によるエチレン/α−オレフィンコモノマー混合物の重合において殆ど観察されず、このように得られた結晶性ブロックは高度にまたは実質的に完全に線状であり、長鎖分岐を殆どまたは全く有さない。
【0101】
高結晶質の連鎖末端を有するポリマーを、本発明の実施形態に従って選択的に調製することができる。エラストマー用途において、アモルファスブロックで終わるポリマーの相対量を減少させることによって、結晶性領域に対する分子間希薄化効果が減少する。この結果は、水素または他の連鎖停止剤に対して適切な応答を有する可逆的連鎖移動反応剤および触媒を選択することによって得ることができる。具体的には、高結晶性ポリマーを生成する触媒が、より結晶性でないポリマーセグメントの精製に関与する触媒よりも連鎖停止を受けやすい(水素の使用によるなど)場合(より高いコモノマー組込み、レジオエラー、またはアタクチックポリマー形成によるなど)、高結晶性ポリマーセグメントが、ポリマーの末端部分を優先的に占めるであろう。このように得られた末端基は結晶性であるだけでなく、高結晶性ポリマー形成触媒部位は、停止の際にポリマー形成の再開始にもう一度利用可能である。したがって、最初に形成されるポリマーは、別の高結晶性ポリマーセグメントである。したがって、このように得られたマルチブロックコポリマーの両端は、優先的に高度に結晶性である。
【0102】
本発明の実施形態において使用されるエチレンα−オレフィンインターポリマーは、好ましくはエチレンと少なくとも1つのC〜C20α−オレフィンとのインターポリマーである。エチレンおよびC〜C20α−オレフィンのコポリマーが特に好ましい。インターポリマーは、C〜C18ジオレフィンおよび/またはアルケニルベンゼンをさらに含み得る。エチレンとの重合のために有用な適切な不飽和コモノマーには、例えば、エチレン性不飽和モノマー、共役または非共役ジエン、ポリエン、アルケニルベンゼンなどが挙げられる。このようなコモノマーの例には、C〜C20α−オレフィン(プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなど)などが挙げられる。1−ブテンおよび1−オクテンが特に好ましい。他の適切なモノマーには、スチレン、ハロ置換スチレンまたはアルキル置換スチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、およびナフテン類(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセンおよびシクロオクテン)が挙げられる。
【0103】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは好ましいポリマーであるが、他のエチレン/オレフィンポリマーもまた使用することができる。本明細書で使用する場合、オレフィンは、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する不飽和炭化水素をベースとする化合物のファミリーを意味する。触媒の選択によって、任意のオレフィンを、本発明の実施形態において使用することができる。好ましくは、適切なオレフィンは、ビニル不飽和を含有するC〜C20脂肪族および芳香族化合物、ならびに環状化合物(シクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、およびノルボルネンなど、それだけに限らないが、5位および6位においてC〜C20ヒドロカルビルまたはシクロヒドロカルビル基で置換されているノルボルネンが挙げられる)である。このようなオレフィンの混合物、およびこのようなオレフィンとC〜C40ジオレフィン化合物との混合物もまた含まれる。
【0104】
オレフィンモノマーの例には、それだけに限らないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、および1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、C〜C40ジエン(それだけに限らないが、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが挙げられる)、他のC〜C40α−オレフィンなどが挙げられる。特定の実施形態では、α−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンまたはこれらの組合せである。ビニル基を含有する任意の炭化水素を、本発明の実施形態において場合によっては使用し得るが、モノマーの利用可能性、価格、およびこのように得られたポリマーからの未反応のモノマーを都合よく除去する能力などの実際的な問題は、モノマーの分子量が大きくなりすぎると、さらに問題となる場合がある。
【0105】
本明細書に記載する重合過程は、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレンなどを含めたモノビニリデン芳香族モノマーを含むオレフィンポリマーの生成に十分適している。特に、エチレンおよびスチレンを含むインターポリマーは、本明細書における教示に従うことによって調製することができる。任意選択で、エチレン、スチレンおよびC〜C20αオレフィンを含み、C〜C20ジエンを任意選択で含み、改良された特性を有するコポリマーを調製することができる。
【0106】
適切な非共役ジエンモノマーは、6〜15個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状炭化水素ジエンであってよい。適切な非共役ジエンの例には、それだけに限らないが、直鎖非環式ジエン(1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなど)、分岐鎖非環式ジエン(5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエンおよびジヒドロミリセンおよびジヒドロオシネンの混合異性体など)、単環脂環式ジエン(1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエンおよび1,5−シクロドデカジエンなど)、多環脂環式縮合および架橋環ジエン(テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエンなど)、アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニルおよびシクロアルキリデンノルボルネン(5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、およびノルボルナジエンなど)が挙げられる。EPDMを調製するために典型的に使用されるジエンの中で、特に好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、およびジシクロペンタジエン(DCPD)である。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および1,4−ヘキサジエン(HD)である。
【0107】
本発明の実施形態に従って調製することができる望ましいポリマーの一類型は、エチレン、C〜C20α−オレフィン、特にプロピレンと、任意選択で1種または複数のジエンモノマーとのエラストマーのインターポリマーである。本発明のこの実施形態において使用するための好ましいα−オレフィンは、式CH=CHR(式中、Rは、1〜12個の炭素原子の直鎖状または分岐状アルキル基である)によって示される。適切なα−オレフィンの例には、それだけに限らないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテンが挙げられる。特に好ましいα−オレフィンは、プロピレンである。プロピレンをベースとするポリマーは一般に、当技術分野でEPまたはEPDMポリマーと称される。このようなポリマー、特にマルチブロックEPDMタイプのポリマーを作製するのに使用するための適切なジエンには、4〜20個の炭素を含む、共役または非共役の、直鎖または分岐鎖の、環式または多環式ジエンが挙げられる。好ましいジエンには、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、および5−ブチリデン−2−ノルボルネンが挙げられる。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0108】
ジエン含有ポリマーは、より多いまたはより少ない量のジエン(なしも含む)およびα−オレフィン(なしも含む)を含有する交互のセグメントまたはブロックを含むため、その後にポリマー特性を失わずにジエンおよびα−オレフィンの総量は減少し得る。すなわち、ジエンおよびα−オレフィンモノマーは、ポリマーに亘って均一またはランダムに組み込まれるよりむしろポリマーのブロックの1つのタイプに優先的に組み込まれるため、それらはより効率的に利用され、続いてポリマーの架橋密度をより良好に制御することができる。このような架橋可能なエラストマーおよび硬化した生成物は、より高い引張強さおよびより良好な弾性回復率を含めた有利な特性を有する。
【0109】
いくつかの実施形態では、異なる量のコモノマーを組み込む2つの触媒によって製造される本発明のインターポリマーは、95:5〜5:95の重量比のそれによって形成されたブロックを有する。エラストマー性ポリマーは望ましくは、ポリマーの全重量に基づいて、20〜90パーセントのエチレン含量、0.1〜10パーセントのジエン含量、および10〜80パーセントのα−オレフィン含量を有する。さらに好ましくは、マルチブロックエラストマー性ポリマーは、ポリマーの全重量に基づいて、60〜90パーセントのエチレン含量、0.1〜10パーセントのジエン含量、および10〜40パーセントのα−オレフィン含量を有する。好ましいポリマーは、10,000〜約2,500,000、好ましくは20,000〜500,000、さらに好ましくは20,000〜350,000の重量平均分子量(Mw)、および3.5未満、さらに好ましくは3.0未満の多分散性、および1〜250のムーニー粘度(ML(1+4)125℃)を有する高分子量ポリマーである。さらに好ましくは、このようなポリマーは、65〜75パーセントのエチレン含量、0〜6パーセントのジエン含量、および20〜35パーセントのα−オレフィン含量を有する。
【0110】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、少なくとも1つの官能基をそのポリマー構造中に組み込むことによって官能化することができる。例示的な官能基には、例えば、エチレン性不飽和単官能性および二官能性のカルボン酸、エチレン性不飽和単官能性および二官能性のカルボン酸無水物、その塩およびそのエステルを挙げることができる。このような官能基は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーにグラフトされてもよく、またはそれはエチレンおよび任意選択のさらなるコモノマーと共に共重合され、エチレン、官能性コモノマーおよび任意選択で他のコモノマー(複数可)のインターポリマーを形成し得る。ポリエチレンへ官能基をグラフトする手段は、これらの特許の開示が、参照により全内容が本明細書中に組み込まれている、例えば米国特許第4,762,890号、同第4,927,888号、および同第4,950,541号に記載されている。1つの特に有用な官能基は、リンゴ酸無水物である。
【0111】
官能性インターポリマー中に存在する官能基の量は変化させることができる。官能基は典型的には、コポリマー型官能化インターポリマー中に少なくとも約1.0重量パーセント、好ましくは少なくとも約5重量パーセント、さらに好ましくは少なくとも約7重量パーセントの量で存在することができる。官能基は典型的には、コポリマー型官能化インターポリマー中に約40重量パーセント未満、好ましくは約30重量パーセント未満、さらに好ましくは約25重量パーセント未満の量で存在するであろう。
【0112】
本明細書において開示されているポリマー組成物中のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの量は、所望の特性を得るために多くても少なくてもよい。例えば、典型的な用途は、ポリマー組成物の総重量の約5重量%〜約95重量%、約10重量%〜約95重量%、約20%重量%〜約95%、約30重量%〜約95重量%、約40重量%〜約95重量%、約50重量%〜約95重量%、または約60重量%〜約90重量%を必要とし得る。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物中のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの量は、ポリマー組成物の全重量に基づいて約70重量%〜約75重量%である。
【0113】
ポリプロピレン
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の特性、例えば溶融強度を改善または改変し得る少なくとも1種のポリプロピレンを含む。当業者に公知の任意のポリプロピレンを、本明細書において開示されているポリマー組成物を調製するために使用してもよい。ポリプロピレンの非限定的例には、低密度ポリプロピレン(LDPP)、高密度ポリプロピレン(HDPP)、高溶融強度ポリプロピレン(HMS−PP)、高衝撃ポリプロピレン(HIPP)、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)など、およびこれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリプロピレンは、比較的高溶融強度のポリプロピレンである。他の実施形態では、ポリプロピレンは、分岐ポリプロピレンである。
【0114】
さらなる実施形態では、ポリプロピレンは、230℃、2.16Kg荷重でASTM1238に従って測定して、約0.01〜約2000g/10分、約0.01〜約1000g/10分、約0.01〜約500g/10分、または約0.01〜約100g/10分のメルトフローレートIを有する。特定の実施形態では、ポリプロピレンは、230℃、2.16Kg荷重でASTM D1238に従って測定して、約1〜約100g/10分、約2〜約75g/10分または約3〜約50g/10分のメルトフローレートIを有する。他の実施形態では、ポリプロピレンについてのメルトフローレートIは、230℃、2.16Kg荷重でASTM1238に従って測定して、少なくとも約0.5g/10分、少なくとも約1g/10分、少なくとも約3g/10分、少なくとも約5g/10分、少なくとも約7.5g/10分、少なくとも約10g/10分、少なくとも約15g/10分、または少なくとも約20g/10分である。
【0115】
さらなる実施形態では、好ましい分岐ポリプロピレンは、0.1ラジアン/秒で約2.5未満、好ましくは約1.5未満、さらに好ましくは約1.0未満のタンデルタ値を有する場合が多い。タンデルタは一般に、損失弾性率と貯蔵弾性率の比であるので、材料の弾性に関することを当業者であれば理解するであろう。通常、貯蔵弾性率がより高いほど、タンデルタはより低く、材料はより弾性である。当然ながら、より高い弾性は、より高い分子量およびより高い分岐と関連し得る。タンデルタ測定は、25mmの直径を有するRheometric ScientificからのAdvanced Rheometric Expansion System(ARES)装置を使用して通常行われる。発振器の剪断モードにおいて約0.002インチのギャップを有する平行板、15%ひずみでの平行板、2000グラムトランスデューサーおよび窒素パージ。測定は、190℃にて0.1〜100ラジアン/秒で1ディケード当たり5ポイントで行う。他の詳細は、「DMA」という名称の下記の項において見出される。
【0116】
適切なHMSポリプロピレンまたは分岐ポリプロピレンのいくつかの非限定的例には、Basell Polyolefins、Elkton、MDから入手可能なPROFAX(登録商標)PF814;The Dow Chemical Company、Midland、MIからのINSPIRE(登録商標)HMS;ならびにBorealis、Kongens Lyngby、DenmarkからのDAPLOY(登録商標)WB260HMSおよびWB130HMSが挙げられる。いくつかの適切なHMSポリプロピレンまたは分岐ポリプロピレンはまた、D.Graebling、「Synthesis of Branched Polypropylene by a Reactive Extrusion Process」、Macromolecules、35(12)、4602〜4610(2002);Langstonら、「One−pot process of preparing long chain branched polypropylene using C[2]−symmetric metallocene complex and a T reagent」、Macromolecules、38(14)、5849〜5853、(2005);ならびに米国特許第6,599,985号および同第6,875,826号(それらの全ては参照により本明細書中に組み込まれている)において開示されているものなどの公知の方法によって得ることができる。
【0117】
ポリマー組成物中のポリプロピレンの量は、用途によって変化する。典型的には、その量は、約5重量%〜約95重量%であってよい。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物中のポリプロピレンの量は、ポリマー組成物の全重量に基づいて約10重量%〜約90重量%、約15重量%〜約85重量%、約20重量%〜約75重量%、または約25重量%〜約70重量%である。他の実施形態では、ポリマー組成物は、重量で約10:1、約5:1、約3:1、約1:1、約1:3、約1:5または約1:10の比でエチレン/α−オレフィンインターポリマーとポリプロピレンとを含む。さらなる実施形態では、ポリマー組成物中のポリプロピレンの量は、ポリマー組成物の全重量に基づいて約10重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約40重量%または約50重量%である。特定の実施形態では、ポリマー組成物中のポリプロピレンの量は、ポリマー組成物の全重量に基づいて約20重量%〜約25重量%である。
【0118】
添加剤
任意選択で、ポリマー組成物の加工性、外観、物理的、化学的、および/または機械的性質を向上および/または制御する目的のために、本明細書において開示されているポリマー組成物は、少なくとも1種の添加剤組成物を含むことができる。当業者に公知の従来のプラスチック添加剤は、本明細書において開示されているポリマー組成物において有用であり得る。添加剤組成物のための適切な添加剤の非限定的例には、離型剤、ポリシロキサン、スリップ剤、可塑剤、油、抗酸化剤、紫外線安定剤、着色剤または顔料、充填剤、潤滑剤、防曇剤、流動助剤、カップリング剤、架橋剤、成核剤、界面活性剤、溶媒、難燃剤、帯電防止剤、抗菌剤、抗引っかきおよび表面損傷剤、ならびにこれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、ポリシロキサン、スリップ剤、可塑剤、油、抗酸化剤、紫外線安定剤、着色剤もしくは顔料、充填剤、潤滑剤、防曇剤、流動助剤、カップリング剤、架橋剤、成核剤、界面活性剤、溶媒、難燃剤、帯電防止剤、抗菌剤、抗引っかきおよび表面損傷剤、または2つ以上の添加剤の任意の組合せを含まない。さらなる実施形態では、ポリマー組成物は、任意の添加剤を含まない。
【0119】
添加剤の量は、用いるポリマー、所望の用途、および添加剤のタイプによって変わる。典型的には、添加剤が用いられる場合、添加剤の総量は、ポリマー組成物の全重量に基づいて約0重量%超〜約50重量%、約0.001重量%〜約40重量%、約0.01重量%〜約30重量%、約0.1重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、または約1重量%〜約5重量%の範囲であってよい。いくつかのポリマー添加剤は、参照により本明細書中にその全体が組み込まれているZweifel Hansら、「Plastics Additives Handbook」、Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版(2001)において開示されてきた。
【0120】
任意選択で、本明細書において開示されているポリマー組成物は、少なくとも1種のポリシロキサン添加剤を含むことができる。(1)より良好な型充填、より小さな押出機のトルク、内部潤滑、離型およびより速い処理量などの改良された加工を実現することができ、かつ/または(2)より高い潤滑性、より少ないスリップ、摩擦のより低い係数、およびより大きな耐表面損傷および耐磨耗性などの表面特性を改変することができる任意のポリシロキサンを使用することができる。いくつかの実施形態では、ポリシロキサンは、高分子量ポリシロキサンであり、またはそれらを含む。さらなる実施形態では、ポリシロキサンは、超高分子量ポリジアルキルシロキサンであり、またはそれらを含む。適切なポリジアルキルシロキサンのいくつかの非限定的例には、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリジプロピルシロキサンおよびポリジブチルシロキサンなどのC1〜4アルキル基を有するポリジアルキルシロキサンが挙げられる。特定の実施形態では、ポリシロキサン添加剤は、超高分子量ポリジアルキルシロキサンとポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの組合せなど)との混合物であり、またはそれらを含む。このようなポリシロキサン混合物のいくつかの非限定的例には、DOW CORNING(登録商標)MB50−001、MB50−002、MB50−313、MB50−314およびMB50−321などのDOW CORNING(登録商標)MB50シリーズマスターバッチ(これらの全ては、Dow Corning Corporation、Midland、MIから入手可能である)が挙げられる。
【0121】
他の実施形態では、ポリシロキサンは、液体ポリシロキサンであり、またはそれらを含む。液体ポリシロキサンのいくつかの非限定的例には、低分子量ポリジアルキルシロキサン、低分子量ポリアルキルフェニルシロキサン、および変性シロキサン油(オレフィン変性シロキサン油など)、ポリエーテル−変性シリコーン油、オレフィン/ポリエーテル−変性シリコーン油、エポキシ−変性シリコーン油およびアルコール−変性シリコーン油が挙げられる。
【0122】
いくつかの実施形態では、ポリシロキサン添加剤は、約1,000〜約100,000センチストークの粘度を有するポリジアルキルシロキサンであり、またはそれらを含む。他の実施形態では、ポリシロキサン添加剤は、約100,000〜約1,000,000の粘度を有するポリジアルキルシロキサンであり、またはそれらを含む。さらなる実施形態では、ポリシロキサン添加剤は、約1,000,000〜約10,000,000センチストークの粘度を有するポリジアルキルシロキサンであり、またはそれらを含む。特定の実施形態では、ポリシロキサン添加剤は、約10,000,000〜約50,000,000センチストークの粘度を有するポリジアルキルシロキサンであり、またはそれらを含む。
【0123】
使用される場合、ポリマー組成物中のポリシロキサン添加剤の量は、ポリマー組成物の全重量に基づいて約0.1重量%〜約5.0重量%でよい。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物中のポリシロキサン添加剤の量は、ポリマー組成物の全重量に基づいて約0.1重量%〜約1.0重量%、または約1重量%〜約5重量%である。他の実施形態では、ポリマー組成物中のポリシロキサン添加剤の量は、ポリマー組成物の全重量に基づいて約0.15重量%〜約0.4重量%である。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、ポリシロキサンを含まない。
【0124】
いくつかの実施形態では、本明細書において開示されているポリマー組成物は、ヒトの目に対するポリマー組成物の外見を変化させることができる着色剤または顔料を任意選択で含む。当業者に公知の任意の着色剤または顔料を、本明細書において開示されているポリマー組成物に加えてもよい。適切な着色剤または顔料の非限定的例には、無機顔料(金属酸化物(酸化鉄、酸化亜鉛、および二酸化チタンなど)、混合金属酸化物、カーボンブラックなど)、有機顔料(アントラキノン、アンタントロン、アゾおよびモノアゾ化合物、アリールアミド、ベンズイミダゾロン、BONAレーキ、ジケトピロロ−ピロール、ジオキサジン、ジサゾ化合物(disazo compound)、ジアリリド化合物、フラバントロン、インダントロン、イソインドリノン、イソインドリン、金属錯体、モノアゾ塩、ナフトール、b−ナフトール、ナフトールAS、ナフトールレーキ、ペリレン、ペリノン、フタロシアニン、ピラントロン、キナクリドン、およびキノフタロンなど)、ならびにこれらの組合せが挙げられる。使用される場合、ポリマー組成物中の着色剤または顔料の量は、ポリマー組成物の全重量に基づいて約0超〜約10重量%、約0.1〜約5重量%、または約0.25〜約3重量%でよい。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、着色剤または顔料を含まない。いくつかの典型的な着色剤および/または顔料は、参照により本明細書中に組み込まれているZweifel Hansら、「Plastics Additives Handbook」、Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、第15章、813〜882ページ(2001)に記載されてきた。
【0125】
任意選択で、本明細書において開示されているポリマー組成物は、可塑剤を含むことができる。一般に、可塑剤は、ポリマーの可撓性を増加させ、ガラス転移温度を下げることができる化学物質である。当業者に公知の任意の可塑剤を、本明細書において開示されているポリマー組成物に加えてもよい。可塑剤の非限定的例には、パラフィン系油、アビエテート、アジペート、スルホン酸アルキル、アゼレート、ベンゾエート、塩素化パラフィン、シトレート、エポキシド、グリコールエーテルおよびそれらのエステル、グルタレート、炭化水素油、イソブチレート、オレエート、ペンタエリトリトール誘導体、ホスフェート、フタレート、エステル、ポリブテン、リシノレエート、セバケート、スルホンアミド、トリおよびピロメリテート、ビフェニル誘導体、ステアレート、ジフランジエステル、フッ素含有可塑剤、ヒドロキシ安息香酸エステル、イソシアネート付加物、多環芳香族化合物、天然物誘導体、ニトリル、シロキサンをベースとする可塑剤、タールをベースとする生成物、チオエーテル、ならびにこれらの組合せが挙げられる。使用される場合、ポリマー組成物中の可塑剤の量は、ポリマー組成物の総重量に対して0超〜約15重量%、約0.5〜約10重量%、または約1〜約5重量%でよい。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、可塑剤を含まない。いくつかの可塑剤は、参照により本明細書中に組み込まれているGeorge Wypych、「Handbook of Plasticizers」、ChemTec Publishing、Toronto−Scarborough、Ontario(2004)に記載されてきた。
【0126】
いくつかの実施形態では、本明細書において開示されているポリマー組成物は、ポリマー組成物中のポリマー成分および有機添加剤の酸化を防止することができる抗酸化剤を任意選択で含む。当業者に公知の任意の抗酸化剤を、本明細書において開示されているポリマー組成物に加えてもよい。適切な抗酸化剤の非限定的例には、芳香族またはヒンダードアミン(アルキルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルまたはアラルキル置換フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化p−フェニレンジアミン、テトラメチル−ジアミノジフェニルアミンなど);フェノール(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなど);1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;テトラキス[(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン(例えば、IRGANOX(商標)1010、Ciba Geigy、New Yorkから);アクリロイル修飾フェノール;オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート(例えば、IRGANOX(商標)1076、Ciba Geigyから市販されている);ホスフィットおよびホスホニット;ヒドロキシルアミン;ベンゾフラノン誘導体;ならびにこれらの組合せが挙げられる。使用される場合、ポリマー組成物中の抗酸化剤の量は、ポリマー組成物の総重量に対して約0超〜約5重量%、約0.0001〜約2.5重量%、約0.001〜約1重量%、または約0.001〜約0.5重量%でよい。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は抗酸化剤を含まない。いくつかの抗酸化剤は、参照により本明細書中に組み込まれているZweifel Hansら、「Plastics Additives Handbook」、Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、第1章、1〜140ページ(2001)に記載されてきた。
【0127】
他の実施形態では、本明細書において開示されているポリマー組成物は、紫外線によるポリマー組成物の分解を防止または減少させ得る紫外線安定剤を任意選択で含む。当業者に公知の任意の紫外線安定剤を、本明細書において開示されているポリマー組成物に加えてもよい。適切な紫外線安定剤の非限定的例には、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、アリールエステル、オキサニリド、アクリル酸エステル、ホルムアミジン、カーボンブラック、ヒンダードアミン、ニッケルクエンチャー、ヒンダードアミン、フェノール抗酸化剤、金属塩、亜鉛化合物およびこれらの組合せが挙げられる。使用される場合、ポリマー組成物中の紫外線安定剤の量は、ポリマー組成物の総重量に対して約0超〜約5重量%、約0.01〜約3重量%、約0.1〜約2重量%、または約0.1〜約1重量%でよい。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、紫外線安定剤を含まない。いくつかの紫外線安定剤は、参照により本明細書中に組み込まれているZweifel Hansら、「Plastics Additives Handbook」、Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、第2章、141〜426ページ(2001)に記載されてきた。
【0128】
任意選択で、本明細書において開示されているポリマー組成物は、とりわけ容積、重量、価格、および/または技術的性能を調節するために使用することができる充填剤を含むことができる。当業者に公知の任意の充填剤を、本明細書において開示されているポリマー組成物に加えてもよい。適切な充填剤の非限定的例には、タルク、炭酸カルシウム、チョーク、硫酸カルシウム、粘土、カオリン、シリカ、ガラス、ヒュームドシリカ、雲母、ワラストナイト、長石、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム(酸化アルミニウム三水和物など)、ガラス微粒子、セラミック微粒子、熱可塑性微粒子、重晶石、木粉、ガラス繊維、炭素繊維、マーブルダスト、セメントダスト、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、二酸化チタン、チタネートおよびこれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、充填剤は、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、ガラス、ガラス繊維、アルミナ、二酸化チタン、またはこれらの混合物である。他の実施形態では、充填剤は、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維またはこれらの混合物である。使用される場合、ポリマー組成物中の充填剤の量は、ポリマー組成物の総重量に対して約0超〜約80重量%、約0.1〜約60重量%、約0.5〜約40重量%、約1〜約30重量%、または約10〜約40重量%でよい。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、充填剤を含まない。いくつかの充填剤は、両方とも参照により本明細書中に組み込まれている米国特許第6,103,803号およびZweifel Hansら、「Plastics Additives Handbook」、Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、第17章、901〜948ページ(2001)において開示されてきた。
【0129】
任意選択で、本明細書において開示されているポリマー組成物は、潤滑剤を含むことができる。とりわけ溶融ポリマー組成物のレオロジーを改質し、成形物品の表面仕上げを改良し、かつ/または充填剤もしくは顔料の分散を容易にするために、一般に潤滑剤を使用することができる。当業者に公知の任意の潤滑剤を、本明細書において開示されているポリマー組成物に加えてもよい。適切な潤滑剤の非限定的例には、脂肪アルコールおよびそれらのジカルボン酸エステル、短鎖アルコールの脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸アミド、金属石けん、オリゴマー脂肪酸エステル、長鎖アルコールの脂肪酸エステル、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、天然および合成のパラフィンワックス、フルオロポリマー、ならびにこれらの組合せが挙げられる。使用される場合、ポリマー組成物中の潤滑剤の量は、ポリマー組成物の総重量に対して約0超〜約5重量%、約0.1〜約4重量%、または約0.1〜約3重量%でよい。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、潤滑剤を含まない。いくつかの適切な潤滑剤は、両方とも参照により本明細書中に組み込まれているZweifel Hansら、「Plastics Additives Handbook」、Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、第5章、511〜552ページ(2001)において開示されてきた。
【0130】
任意選択で、本明細書において開示されているポリマー組成物は、帯電防止剤を含むことができる。一般に、帯電防止剤は、ポリマー組成物の伝導率を増加させ、静電荷の蓄積を防止することができる。当業者に公知の任意の帯電防止剤を、本明細書において開示されているポリマー組成物に加えてもよい。適切な帯電防止剤の非限定的例には、伝導性充填剤(例えば、カーボンブラック、金属粒子および他の伝導性粒子)、脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸グリセロール)、エトキシ化アルキルアミン、ジエタノールアミド、エトキシ化アルコール、アルキルスルホン酸、アルキルリン酸、第四級アンモニウム塩、アルキルベタインおよびこれらの組合せが挙げられる。使用される場合、ポリマー組成物中の帯電防止剤の量は、ポリマー組成物の総重量に対して約0超〜約5重量%、約0.01〜約3重量%、または約0.1〜約2重量%でよい。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、帯電防止剤を含まない。いくつかの適切な帯電防止剤は、両方とも参照により本明細書中に組み込まれているZweifel Hansら、「Plastics Additives Handbook」、Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、第10章、627〜646ページ(2001)において開示されてきた。
【0131】
さらなる実施形態では、本明細書において開示されているポリマー組成物は、ポリマー組成物の架橋密度を増加するために使用することができる架橋剤を任意選択で含む。本明細書で使用する場合、「架橋剤」は、ポリマー組成物を架橋する任意の手段である。したがって、架橋剤は化合物でよいが、必ずしもそうではない。架橋剤の非限定的例にはまた、本明細書で使用する場合、架橋触媒である有機過酸化物(例えば、過酸化アルキル、過酸化アリール、ペルオキシ酸エステル、ペルオキシカルボネート、過酸化ジアシル、ペルオキシケタール、および環状過酸化物)およびシラン(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、および3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)を伴う、または伴わない、電子ビーム照射、ベータ線照射、ガンマ線照射、コロナ照射、アリル化合物および紫外線が挙げられる。米国特許第6,803,014号および同第6,667,351号は、本発明の実施形態において使用することができる電子ビーム照射法を開示している。使用される場合、ポリマー組成物中の架橋剤としての化合物の量は、ポリマー組成物の総重量に対して約0超〜約20重量%、約0.1〜約15重量%、または約1〜約10重量%でよい。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、架橋剤を含まない。いくつかの適切な架橋剤は、両方とも参照により本明細書中に組み込まれているZweifel Hansら、「Plastics Additives Handbook」、Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、第14章、725〜812ページ(2001)において開示されてきた。
【0132】
さらなる実施形態では、本明細書において開示されているポリマー組成物は、架橋助剤またはカップリング剤を任意選択で含む。このような架橋助剤またはカップリング剤は、上記の架橋剤と共に用いてもよい。当業者に公知の任意の適切な架橋助剤またはカップリング剤を、本明細書において開示されているポリマー組成物に加えてもよい。適切な薬剤の非限定的例には、アクリレート化合物、アリル化合物などをベースとしたものが挙げられる。
【0133】
ポリマー組成物の調製
ポリマー組成物の成分、すなわち、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、ポリプロピレン、および任意選択の添加剤は、当業者に公知の方法、好ましくはエチレン/α−オレフィンインターポリマー中にポリプロピレンおよび/または添加剤の実質的に均一な分布をもたらすことのできる方法を使用して混合またはブレンドすることができる。適切なブレンド法の非限定的例には、乾式ブレンド、溶融混合、溶媒ブレンド、押出などが挙げられる。
【0134】
いくつかの実施形態では、分散混合、分配混合、または分散混合および分配混合の組合せを実現する物理的ブレンド装置は、均一なブレンドを調製するのに有用であり得る。物理的ブレンドのバッチ法および連続法の両方を使用することができる。バッチ法の非限定的例には、BRABENDER(登録商標)混合装置(例えば、BRABENDER PREP CENTER(登録商標)、C.W.Brabender Instruments、Inc.、South Hackensack、N.J.から入手可能)またはBANBURY(登録商標)内部混合およびロールミル機(Farrel Company、Ansonia、Conn.から入手可能)装置を使用するそれらの方法が挙げられる。連続法の非限定的例には、単軸スクリュー押出、二軸スクリュー押出、ディスク押出、往復単軸スクリュー押出、およびピンバレル単軸スクリュー押出が挙げられる。いくつかの実施形態では、添加剤は、エチレン/α−オレフィンインターポリマー、ポリオレフィンまたはポリマー組成物の押出の間に、供給ホッパーまたは供給口を介して押出機に添加することができる。押出によるポリマーの混合またはブレンドは、参照により本明細書中に組み込まれているC.Rauwendaal、「Polymer Extrusion」、Hanser Publishers、New York、NY、322〜334ページ(1986)に記載されてきた。
【0135】
ポリマー組成物の用途
本明細書において開示されているポリマー組成物は、自動車、建設、医療、食品および飲料、電気、電化製品、事務機械、ならびに消費市場のための、様々な熱成形物品を作製するために使用することができるプラスチックシートまたはウェブまたはロールを製造するために使用することができる。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物を含むシートは、パネルまたは装飾的な外被などの内装物品に熱成形され、自動車または他の運搬用車両を塗布することなく表面の美観を提供する。他の実施形態では、ポリマー組成物を含むシートは、自動車および実用車のためのフロントバンパー、ステップ、トノカバー、ルーフパネル、フェンダーなどのトラックおよびトレーラーのパネル、ならびにエンドキャップなどの外装物品に熱成形される。さらなる実施形態では、ポリマー組成物を含むシートは、自動車、建設、医療、食品および飲料、電気、電化製品、事務機械、ならびに消費市場のための様々な用途において、スチール、アルミニウム、ガラス繊維強化複合材料、およびプラスチックに取って代わるために使用される。
【0136】
ポリマー組成物は、押出(例えば、シート押出および異形押出)、射出成形、射出重ね成形、成形、および回転成形などの公知のポリマー工程によってシートまたはウェブまたはロールにすることができる。一般に、押出は、ポリマーが高温および高圧の領域を通ってスクリューに沿って連続的に推進され、そこで溶融および圧縮され、最終的にダイを通って押し出される工程である。押出機は、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、ディスク押出機またはラム押出機でよい。ダイは、フィルムダイ、インフレートフィルム押出ダイ、シート押出ダイ、パイプ押出ダイ、チューブ押出ダイまたは異形押出ダイでよい。ポリマーの押出は、両方とも全内容が参照により本明細書中に組み込まれているC.Rauwendaal、「Polymer Extrusion」、Hanser Publishers、New York、NY(1986);およびM.J.Stevens、「Extruder Principals and Operation」、Ellsevier Applied Science Publishers、New York、NY(1985)において記載されてきた。
【0137】
重ね成形を含めた射出成形はまた、様々な用途の種々のプラスチック部品を製造するために広範に使用されている。一般に射出成形は、ポリマーを溶融し、高圧下で所望の形状の逆である型に注入し、所望の形状およびサイズの部品を形成する工程である。型は、スチールおよびアルミニウムなどの金属から製造することができる。ポリマーの射出成形は、参照により本明細書中にその全体が組み込まれているBeaumontら、「Successful Injection Molding: Process, Design, and Simulation」、Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio(2002)において記載されてきた。
【0138】
成形は一般に、ポリマーを溶融し、所望の形状の逆である型に入れ、所望の形状およびサイズの部品を形成する工程である。成形は、常圧または圧力補助であってよい。ポリマーの成形は、参照により本明細書中に組み込まれているHans−Georg Elias「An Introduction to Plastics」、Wiley−VCH、Weinhei、Germany、161〜165ページ(2003)に記載されている。
【0139】
回転成形は、中空のプラスチック製品を生産するために一般に使用される工程である。さらなる成形後の操作を使用することによって、他の成形および押出技術と同じくらい効率的に、複雑な構成品を生産することができる。回転成形は、加熱、溶融、成形、および冷却段階全てが、ポリマーを型に入れた後に行われ、したがって形成の間に外圧がかからないという点で他の加工方法と異なる。ポリマーの回転成形は、参照により本明細書中にその全体が組み込まれているGlenn Beall、「Rotational molding:Design,Materials & Processing」、Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio(1998)において記載されてきた。
【0140】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、シートまたはウェブまたはロールに押し出され、それは続いて熱成形または当業者には公知の他のプラスチック処理によって様々な物品を作製するために使用することができる。押出成形シートまたはウェブまたはロールは、単層または多層構造を有することができる。一般に、押出成形シートまたはウェブまたはロールは、約0.01インチ〜約1.0インチ(0.254mm〜2.54cm)、約0.05インチ〜約0.75インチ(1.27mm〜1.91cm)、または約0.1〜約0.5インチ(2.54mm〜1.27cm)の厚さを有することができる。
【0141】
押出成形シートまたはウェブまたはロールを使用して、一般に熱成形法によって様々な熱成形物品を製造することができる。熱成形は、熱可塑性シートなどの柔軟な材料を最終的な形状に加圧または圧迫する。柔軟な材料は、赤外、天然ガス、または他のヒーターもしくはオーブンによってその形成温度まで加熱することができる。次いでそれを温度制御した単一表面の型の上または中に伸ばすことができる。型に微細から粗い範囲の模様でエッチングし、人口的または自然的または粒子様のきめのある外見をシミュレートすることができる。柔軟な材料を、冷却するまで型表面ユニットに対して押し付ける。次いで、形成された部分を柔軟な材料から切り取る。真空成形、加圧成形、ツインシート成形、ドレープ成形、フリーブロー成形、および単純なシート曲げを含めて、いくつかのカテゴリーの熱成形がある。様々な熱成形法は、両方とも参照により本明細書中に組み込まれているL.Throne、「Understanding Thermoforming」、Hanser Gardner Publications、Inc.、Cincinnati OH、1999;およびJ.L.Throne、「Technology of Thermoforming」、Hanser Verlag、Munich、1996などの書籍において開示されている。
【0142】
従来の熱成形法以外の成形技術はまた、本明細書において開示されているポリマー組成物からの物品の製造のために適している。これらには、最終的な融解温度より下の温度に押出成形シートを事前に柔軟にすること、シートから平らな領域(すなわち、ブランク)を切断し、ブランクを重力または機械的手段によってマッチドモールドに移し、それによって熱および圧力によりブランクを物品に成形することなどのバリエーションが含まれる。従来のボール紙プレス装置および対応する形成器具を、任意選択で改変して本発明の物品を生産する。
【0143】
熱成形法は、本明細書において開示されているポリマー組成物の軟化温度より高い温度で行うことができる。いくつかの実施形態では、熱成形温度は、約80℃〜約300℃、約100℃〜約280℃、約120℃〜約260℃、または約140℃〜約240℃である。他の実施形態では、熱成形温度は、約160℃〜約220℃である。
【0144】
いくつかの実施形態では、本明細書において開示されているポリマー組成物は、ブロー成形によってフィルムまたはプラスチック容器などの中空の物品を製造するために使用することができる。この工程は、軟化したポリマーを型の中心に置くステップと、ポリマーを型壁に対してブローピンで膨張させるステップと、冷却によって生成物を凝固させるステップとを含む。3つの一般のブロー成形(押出ブロー成形、射出ブロー成形、および延伸ブロー成形)がある。押し出しできないポリマーを加工するために射出ブロー成形を使用することができる。延伸ブロー成形は、ポリプロピレンなどのブローが困難な結晶性および結晶化可能ポリマーのために使用することができる。ポリマーのブロー成形は、参照により本明細書中にその全体が組み込まれているNorman C.Lee、「Understanding Blow Molding」、Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio(2000)において記載されている。
【0145】
下記の実施例を、本発明の実施形態を例示するために提示する。全ての数値は、近似値である。数値の範囲が記載されている場合、記載した範囲外の実施形態は、それでも本発明の範囲内であり得ることを理解すべきである。各実施例において記載されている特定の詳細は、本発明の必要な特徴として解釈すべきではない。
【実施例】
【0146】
試験法
下記の実施例において、下記の分析技術を用いる。
【0147】
試料1〜4およびA〜CについてのGPC法
160℃に設定した加熱針を備えた自動化液体処理ロボットを使用して、300ppmのIonolで安定化させた十分な1,2,4−トリクロロベンゼンを各乾燥ポリマー試料に加え、30mg/mlの最終濃度とする。小さなガラス製撹拌ロッドを各管中に入れ、250rpmで回転する加熱式オービタルシェーカー上で試料を160℃に2時間加熱する。次いで、濃縮したポリマー溶液を、自動化液体処理ロボットを使用して1mg/mlに希釈し、加熱針を160℃に設定する。
【0148】
Symyx Rapid GPCシステムを使用し、各試料についての分子量データを決定する。2.0ml/分の流量に設定したGilson350ポンプを使用して、直列に配置し160℃に加熱した3個のPlgel10マイクロメーター(μm)Mixed B300mm×7.5mmカラムを通して、300ppmのIonolで安定化させたヘリウムパージした1,2−ジクロロベンゼンを移動相として注入する。エバポレーターを250℃に設定し、ネブライザーを165℃に設定し、窒素流量を60〜80psi(400〜600kPa)Nの圧力で1.8SLMに設定したPolymer Labs ELS1000検出器を使用する。ポリマー試料を160℃に加熱し、各試料を液体処理ロボットおよび加熱針を使用して250μlのループ中に注入する。2つのスイッチループおよび重複注入を使用するポリマー試料の連続的分析を用いる。試料データを集め、Symyx Epoch(商標)ソフトウェアを使用して分析する。ピークを手入力で積分し、報告した分子量情報はポリスチレン標準較正曲線に対して未修正である。
【0149】
標準的なCRYSTAF法
分枝分布は、PolymerChar、Valencia、Spainから市販されているCRYSTAF200ユニットを使用して結晶分析分別(CRYSTAF)によって決定する。試料を1,2,4トリクロロベンゼンに160℃(0.66mg/ml)で1時間溶解し、95℃で45分間安定化させる。サンプリング温度は、0.2℃/分の冷却速度で95〜30℃の範囲である。赤外検出器を使用して、ポリマー溶液濃度を測定する。累積可溶性濃度は、温度が低下している間にポリマーが結晶化するにつれ測定する。累積プロファイルの分析導関数(analytical derivative)は、ポリマーの短鎖分枝分布を反映する。
【0150】
CRYSTAFピーク温度および面積を、CRYSTAFソフトウェア(バージョン2001.b、PolymerChar、Valencia、Spain)に含まれているピーク分析モジュールによって同定する。CRYSTAFピーク検出ルーチンは、ピーク温度をdW/dT曲線における最大として同定し、微分曲線における同定したピークの両側上の正の最大変曲間の面積を同定する。CRYSTAF曲線を計算するために、好ましい処理パラメーターは、70℃の温度限界を有し、その温度限界より上では0.1の、およびその温度限界の下では0.3の平滑化パラメーターを有する。
【0151】
DSC標準法(試料1〜4およびA〜Cを除く)
示差走査熱量測定の結果は、RCS冷却アクセサリーおよびオートサンプラーを備えたTAIモデルQ1000DSCを使用して決定する。50ml/分の窒素パージガス流を使用する。試料を薄膜にプレスし、約175℃でプレス内で溶融し、次いで室温(25℃)まで空冷する。次いで、3〜10mgの材料を6mm直径のディスクに切断し、正確に秤量し、軽量アルミニウムパン(約50mg)中に入れ、次いで圧着する。試料の熱的挙動を下記の温度プロファイルで検討する。試料を180℃に急速に加熱し、従前の熱履歴を除くために3分間恒温に保つ。次いで、試料を10℃/分の冷却速度で−40℃に冷却し、−40℃で3分間保持する。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で150℃に加熱する。冷却および第2の加熱曲線を記録する。
【0152】
DSC融解ピークは、−30℃と融解終点との間に引いた直線のベースラインに関して熱流量(W/g)における最大として測定する。融解熱は、直線のベースラインを使用して−30℃と融解終点との間の融解曲線の下の面積として測定する。
【0153】
GPC法(試料1〜4およびA〜Cを除く)
ゲル透過クロマトグラフィーシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210またはPolymer Laboratories Model PL−220装置で構成される。カラムおよび回転ラックコンパートメントは、140℃で操作する。3つのPolymer Laboratories10ミクロンMixed−Bカラムを使用する。溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンである。試料は、200ppmのブチルヒドロキシトルエン(BHT)を含有する溶媒(50ミリリットル)中にポリマー0.1グラムの濃度で調製する。試料を160℃で2時間軽く撹拌することによって調製する。使用する注入量は100マイクロリットルであり、流量は1.0ml/分である。
【0154】
GPCカラムセットの較正は、個々の分子量の間に少なくとも1ディケードの隔たりがある6つの「カクテル」混合物において準備した、580〜8,400,000の範囲の分子量の21種の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質で行う。標準物質は、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)から購入する。ポリスチレン標準物質は、分子量1,000,000以上については、50ミリリットルの溶媒中に0.025グラムで、および分子量1,000,000未満については、50ミリリットルの溶媒中に0.05グラムで調製する。ポリスチレン標準物質を、80℃で30分間穏やかに撹拌しながら溶解する。狭い標準物質混合物を最初に操作し、分解を最小にするために最も高い分子量の成分の方から順に操作する。ポリスチレン標準物質ピーク分子量を、下記の方程式を使用してポリエチレン分子量に変換する(WilliamsおよびWard、J.Polym.Sci.、Polym.Let.、6、621(1968)に記載の通り)。Mポリエチレン=0.431(Mポリスチレン)。
【0155】
ポリエチレン当量分子量の計算は、Viscotek TriSECソフトウェア(バージョン3.0)を使用して行う。
【0156】
圧縮永久ひずみ
圧縮永久ひずみは、ASTM D395に従って測定する。試料は、3.2mm、2.0mm、および0.25mm厚さの25.4mm直径の円形ディスクを総厚さが12.7mmに達すまで重ねることによって作製する。ディスクは、下記の条件下でホットプレスによって成形した12.7cm×12.7cmの圧縮成形プラークから切り出す。190℃で3分間0圧、続いて190℃で2分間86MPa、続いて86MPaで冷たい流水と共にプレス内部で冷却する。
【0157】
密度
密度測定のための試料は、ASTM D1928によって作製する。測定は、ASTM D792、方法Bを使用して試料プレスの1時間以内に行う。
【0158】
屈曲/割線弾性率/貯蔵弾性率
ASTM D1928を使用して試料を圧縮成形する。曲げ弾性率および2パーセント割線弾性率を、ASTM D−790に従って測定する。貯蔵弾性率を、ASTM D5026−01または同等の技術に従って測定する。
【0159】
光学特性
0.4mm厚みのフィルムを、ホットプレス(Carver Model#4095−4PR1001R)を使用して圧縮成形する。ペレットを、ポリテトラフルオロエチレンシートの間に置き、190℃にて55psi(380kPa)で3分間、および1.3MPaで3分間、次いで2.6MPaで3分間加熱する。次いで、フィルムを、1.3MPaで1分間冷たい流水と共にプレス内で冷却する。圧縮成形フィルムを、光学測定、引張挙動、回復、および応力緩和のために使用する。
【0160】
透明性は、ASTM D1746に規定されているようにBYK Gardner Haze−gardを使用して測定する。
【0161】
45°光沢度は、ASTM D−2457に規定されているようにBYK Gardner Glossmeter Microgloss45°を使用して測定する。
【0162】
内部曇りは、ASTM D1003手順Aに基づいてBYK Gardner Haze−gardを使用して測定する。鉱油をフィルム表面に塗布して、表面の引っかきを除去する。
【0163】
機械的性質−引張、ヒステリシス、および引裂
単軸張力における応力−ひずみ挙動を、ASTM D1708微小引張試験片を使用して測定する。試料は、21℃で500%分−1でInstronを用いて延伸する。引張強さおよび破断伸びを、5つの試験片の平均から報告する。
【0164】
100%および300%のヒステリシスは、Instron(商標)装置でASTM D1708微小引張試験片を使用して100%および300%ひずみまでの繰り返し載荷から決定する。試料に、21℃で3サイクル、267%分−1で荷重を負荷し、徐荷する。300%および80℃での繰り返し実験は、環境チャンバを使用して行う。80℃の実験では、試料は、試験前に試験温度で45分間平衡化させる。21℃、300%ひずみ繰り返し実験で、第1の徐荷サイクルからの150%ひずみでの収縮応力を記録する。全ての実験についての回復パーセントは、荷重がベースラインに戻るひずみを使用して第1の徐荷サイクルから計算する。回復パーセントは、
【0165】
【数2】

(式中、εは、繰り返し載荷についてとったひずみであり、εは、第1の徐荷サイクルの間に荷重がベースラインに戻るひずみである)として定義される。
【0166】
応力緩和は、環境チャンバを備えたInstron(商標)装置を使用して、50パーセントひずみ、37℃で12時間測定する。ゲージの形状は、76mm×25mm×0.4mmであった。環境チャンバ中で37℃で45分間平衡化させた後、試料を50%ひずみまで333%分−1で延伸した。応力を時間の関数として12時間記録した。12時間後の応力緩和パーセントを式
【0167】
【数3】

(式中、Lは、50%ひずみで0時点での荷重であり、L12は、50パーセントひずみでの12時間後の荷重である)を使用して計算した。
【0168】
引張ノッチ付引裂実験(Tensile notched tear experiment)は、Instron(商標)装置を使用して0.88g/cc以下の密度を有する試料で行う。形状は、試験片の長さの半分で試料に2mmのノッチが切り込まれている、76mm×13mm×0.4mmのゲージ部分からなる。試料は、壊れるまで21℃にて508mm分−1で延伸させる。引裂エネルギーは、最大荷重でのひずみまでの応力−伸長曲線下面積として計算する。少なくとも3つの試験片の平均を報告する。
【0169】
TMA
熱機械分析(針入温度)は、180℃および10MPa成形圧で5分間で形成され、次いで空気急冷した30mm直径×3.3mm厚さの圧縮成形ディスクで行う。使用する装置は、Perkin−Elmerから入手可能なブランドであるTMA7である。試験において、1.5mm半径の先端を有するプローブ(P/N N519−0416)を、試料ディスクの表面に1Nの力であてる。温度を25℃から5℃/分で上昇させる。プローブ針入度を、温度の関数として測定する。試料に1mm針入したときに試験を終える。
【0170】
DMA
動的機械分析(DMA)は、ホットプレス中で180℃にて10MPa圧力で5分間形成され、次いでプレス中で90℃/分で水冷した圧縮成形ディスクで測定する。試験は、ねじり試験のための二重カンチレバー固定具を備えたARES制御ひずみレオメーター(TA instruments)を使用して行う。
【0171】
1.5mmのプラークをプレスして、32×12mm寸法のバーに切断する。試料を10mm(グリップ間隔ΔL)ずつ隔てられた固定具の間で両端で固定し、−100℃から200℃の連続的温度ステップ(ステップ毎に5℃)に供する。各温度でねじり弾性率G’を、10ラジアン/sの角振動数で測定し、ひずみ振幅を0.1パーセント〜4パーセントに保持し、トルクが十分であり、測定が直線状態のままであることを確実にする。
【0172】
初期の10gの静止力を維持し(自動張力モード)、熱膨張が生じる時の試料のたるみを防止する。結果として、グリップ間隔ΔLは、温度と共に、特にポリマー試料の融点または軟化点より上で上昇する。試験は、最大温度で、または固定具間の隙間が65mmに達した場合に停止する。
【0173】
メルトインデックス
ポリエチレンのメルトインデックスまたはIは典型的には、ASTM D1238(条件190℃/2.16kg)に従って測定する。ポリエチレンのメルトインデックスまたはI10はまた、ASTM D1238(条件190℃/10kg)に従って測定する。ポリプロピレンのメルトフローレートは典型的には、ASTM1238(条件230℃/2.16kg)に従って測定する。
【0174】
ATREF
分析的昇温溶出分別(ATREF)分析を、参照により本明細書中にその全体が組み込まれているUSP4,798,081およびWilde,L.;Ryle,T.R.;Knobeloch,D.C.;Peat,I.R.;Determination of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymers、J.Polym.Sci.、20、441〜455(1982)に記載されている方法に従って行う。分析する組成物をトリクロロベンゼンに溶解し、0.1℃/分の冷却速度で20℃に温度をゆっくりと下げることによって不活性支持体(ステンレス鋼ショット)を含有するカラム中で結晶化させる。カラムは、赤外検出器を備えている。次いで、溶出溶媒(トリクロロベンゼン)の温度を20℃から120℃に1.5℃/分の速度でゆっくりと上昇させることにより、結晶化したポリマー試料をカラムから溶出させることによって、ATREFクロマトグラム曲線を作成する。
【0175】
13C NMR分析
10mmのNMR管中の0.4gの試料にテトラクロロエタン−d/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物(約3g)を加えることによって試料を作製する。管およびその内容物を150℃に加熱することによって、試料を溶解し、均質化する。100.5MHzという13Cの共振周波数に相当する、JEOL ECLIPSE(商標)400MHz分光計またはVarian Unity PLUS(商標)400MHz分光計を使用してデータを集める。データは、6秒のパルス繰り返し遅延(pulse repetition delay)でデータファイル毎に4000のトランジェント(transients)を使用して得る。定量分析のための最小の信号対雑音比を達成するために、多数のデータファイルを共に加える。スペクトル幅は、25,000Hzであり、最小のファイルサイズは32Kのデータポイントである。試料を10mmの広帯域プローブ中で130℃で分析する。コモノマーの組込みは、Randallのトライアッド法(参照により本明細書中にその全体が組み込まれているRandall、J.C.;JMS−Rev.Macromol.Chem.Phys.、C29、201〜317(1989)を使用して決定する。
【0176】
TREFによるポリマー分別
15〜20gのポリマーを、160℃で4時間撹拌することにより、2リットルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)に溶解することによって、大規模なTREF分別を行う。ポリマー溶液は、15psig(100kPa)窒素によって、30〜40メッシュ(600〜425μm)の球状の技術的品質のガラスビーズ(Potters Industriesから入手可能、HC30Box20、Brownwood、TX、76801)およびステンレス鋼0.028’’(0.7mm)直径のカットワイヤショット(Pellets Inc.、63Industrial Drive、North Tonawanda、NY、14120から入手可能)の60:40(v:v)混合物を充填した3インチ×4フィート(7.6cm×12cm)のスチールカラム上に圧入する。カラムを、最初に160℃に設定した熱制御されたオイルジャケットに浸す。最初にカラムを125℃に急速冷却し、次いで毎分0.04℃で20℃にゆっくりと冷却し、1時間保持する。温度を毎分0.167℃で上昇させながら、新鮮なTCBを約65ml/分で導入する。
【0177】
分取TREFカラムからの溶離液の約2000ml部分を、16ステーションの加熱されたフラクションコレクター中に集める。ポリマーを、約50〜100mlのポリマー溶液が残るまでロータリーエバポレーターを使用して各画分中で濃縮する。濃縮溶液を一晩静置し、その後過剰なメタノールを添加し、濾過し、すすぐ(最終のリンス液を含めて約300〜500mlのメタノール)。濾過ステップは、5.0μmのポリテトラフルオロエチレンコーティング濾紙(Osmonics Inc.から入手可能、カタログ番号Z50WP04750)を使用して3位置の真空利用濾過ステーション上で行う。濾過した画分を、真空オーブン中で60℃にて一晩乾燥させ、さらに試験する前に化学天秤上で秤量する。
【0178】
溶融強度
溶融強度(MS)は、2.1mm直径、約45度の入口角を有する20:1ダイを備えたキャピラリーレオメーターを使用することによって測定する。試料を190℃で10分間平衡化した後、ピストンを1インチ/分(2.54cm/分)の速度で動かす。標準試験温度は190℃である。試料を、2.4mm/秒の加速で、ダイの100mm下に配置した1セットの加速ニップに一軸に圧伸する。必要な張力を、ニップロールの巻取速度の関数として記録する。試験の間に達した最大張力を、溶融強度と定義する。引取共振を示す溶融ポリマーの場合、引取共振の発生の前の張力を溶融強度として考える。溶融強度を、センチニュートン(「cN」)で記録する。
【0179】
触媒
「一晩」という用語は、使用される場合、約16〜18時間の時間を意味し、「室温」という用語は、20〜25℃の温度を意味し、および「混合アルカン」という用語は、ExxonMobil Chemical CompanyからIsopar E(登録商標)の商品名で入手可能なC6〜9脂肪族炭化水素の商業的に得られる混合物を意味する。本明細書において化合物の名前がその構造図に適合しない場合、その構造図を優先するものとする。全ての金属錯体の合成および全てのスクリーニング実験の準備は、ドライボックス技術を使用して乾燥窒素雰囲気下で行った。使用した全ての溶媒は、HPLCグレードであり、それらを使用する前に乾燥させた。
【0180】
MMAOとは、Akzo−Noble Corporationから市販されている修飾メチルアルモキサン、トリイソブチルアルミニウム修飾メチルアルモキサンを意味する。
【0181】
触媒(B1)の調製を下記の通りに行う。
【0182】
a)(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)メチルイミンの調製
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(3.00g)を、10mLのイソプロピルアミンに加える。溶液は急速に鮮黄色となる。周囲温度で3時間撹拌した後、揮発性物質を真空下で除去し、鮮黄色の結晶性固体(97パーセント収率)を得る。
【0183】
b)1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルの調製
(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(605mg、2.2mmol)のトルエン(5mL)溶液を、Zr(CHPh)(500mg、1.1mmol)のトルエン(50mL)溶液にゆっくり加える。このように得られた暗黄色の溶液を、30分間撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、所望の生成物を赤褐色の固体として得る。
【0184】
触媒(B2)の調製を下記の通り行う。
【0185】
a)(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミンの調製
2−メチルシクロヘキシルアミン(8.44mL、64.0mmol)をメタノール(90mL)に溶解し、ジ−t−ブチルサリクアルデヒド(butylsalicaldehyde)(10.00g、42.67mmol)を加える。反応混合物を3時間撹拌し、次いで−25℃に12時間冷却する。このように得られた黄色の固体沈殿物を濾過によって集め、冷たいメタノール(2×15mL)で洗浄し、次いで減圧下で乾燥させる。収量は、黄色の固体11.17gである。H NMRは、異性体の混合物として所望の生成物と一致する。
【0186】
b)ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルの調製
(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(7.63g、23.2mmol)のトルエン(200mL)溶液を、Zr(CHPh)(5.28g、11.6mmol)のトルエン(600mL)溶液にゆっくりと加える。このように得られた暗い黄色の溶液を、25℃で1時間撹拌する。溶液を680mLのトルエンでさらに希釈し、0.00783Mの濃度を有する溶液を得る。
【0187】
共触媒1
USP5,919,9883の実施例2において実質的に開示されているように、長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo−Nobel、Inc.から入手可能)、HClおよびLi[B(C]の反応によって調製される、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(本明細書において以降、ホウ酸アルメエニウム(armeenium borate))のメチルジ(C14〜18アルキル)アンモニウム塩の混合物。
【0188】
共触媒2
USP6,395,671の実施例16によって調製した、ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)−アルマン(alumane))−2−ウンデシルイミダゾリドの混合C14〜18アルキルジメチルアンモニウム塩。
【0189】
可逆的移動反応剤
用いる可逆的移動反応剤には、ジエチル亜鉛(DEZ、SA1)、ジ(i−ブチル)亜鉛(SA2)、ジ(n−ヘキシル)亜鉛(SA3)、トリエチルアルミニウム(TEA、SA4)、トリオクチルアルミニウム(SA5)、トリエチルガリウム(SA6)、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)(SA7)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)(SA8)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)(SA9)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム(SA10)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)(SA11)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)(SA12)、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)(SA13)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)(SA14)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)(SA15)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA16)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA17)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド(SA18)、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)(SA19)、およびエチル亜鉛(t−ブトキシド)(SA20)が挙げられる。
【0190】
実施例1〜4、比較対象となるA〜C
一般のハイスループット並列重合条件
Symyx technologies、Inc.から入手可能なハイスループット並列重合反応装置(PPR)を使用して重合を行い、USP6,248,540、6,030,917、6,362,309、6,306,658、および6,316,663に実質的に従って操作する。エチレン共重合は、使用する総触媒に基づいて1.2当量の共触媒1(MMAOが存在する場合、1.1当量)を使用して、必要に応じてエチレンを用いて130℃および200psi(1.4MPa)で行う。予め秤量したガラス管が取り付けられている48の個々の反応セルを6×8配列で備えている並列圧力反応装置(PPR)で一連の重合を行う。各反応セル中の作業容積は6000μLである。各セルは、個々の撹拌パドルで撹拌しながら、温度および圧力を制御する。モノマーガスおよびクエンチガスを、PPRユニットに直接配管し、自動弁によって制御する。液体試薬をシリンジによって各反応セルにロボット制御により添加する。そのリザーバー溶媒は混合アルカンである。添加の順序は、混合アルカン溶媒(4ml)、エチレン、1−オクテンコモノマー(1ml)、共触媒1または共触媒1/MMAO混合物、可逆的移動反応剤、および触媒または触媒混合物である。共触媒1およびMMAOの混合物、または2種の触媒の混合物を使用する場合、試薬は、反応装置への添加の直前に小さなバイアル中で予め混合する。実験において試薬が省略される場合、その他の点は上記の添加順序を維持する。所定のエチレン消費に到達するまで、重合を約1〜2分間行う。COでクエンチした後、反応装置を冷却し、ガラス管を取り外す。管を遠心分離/真空乾燥ユニットに移し、60℃で12時間乾燥させる。乾燥したポリマーを含有する管を秤量し、この重量と風袋重量との差によって、ポリマーの正味収量を得る。結果を表1に示す。表1および本出願のその他の場所において、比較対象となる化合物は、アスタリスク()によって示す。
【0191】
実施例1〜4は、極めて狭いMWDの形成によって証明されるように、本発明による線状ブロックコポリマー、特にDEZが存在する場合はモノモーダルコポリマー、およびバイモーダル、DEZの非存在下で広い分子量分布の生成物(別々に生成されたポリマーの混合物)の合成を示す。触媒(A1)は触媒(B1)よりオクテンを組み込むことが知られているという事実により、本発明のこのように得られたコポリマーの異なるブロックまたはセグメントは、分岐または密度に基づいて識別可能である。
【0192】
【表1】

【0193】
本発明により生成されたポリマーは、可逆的移動反応剤の非存在下で調製したポリマーよりも、比較的狭い多分散性(Mw/Mn)およびより大きなブロックコポリマー含量(三量体、四量体、またはそれ以上)を有することを見出すことができる。
【0194】
表1のポリマーについてのさらなる特徴付けとなるデータは、図を参照して決定される。より詳細には、DSCおよびATREFの結果によって、以下が示される。
【0195】
実施例1のポリマーのDSC曲線は、158.1J/gの融解熱を伴う115.77℃の融点(Tm)を示す。相当するCRYSTAF曲線は、34.57℃で最も高いピークを示し、52.9パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間の差異は、81.2℃である。
【0196】
実施例2のポリマーのDSC曲線は、214.0J/gの融解熱を伴う109.7℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、46.2℃で最も高いピークを示し、57.0パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間の差異は、63.5℃である。
【0197】
実施例3のポリマーのDSC曲線は、160.1J/gの融解熱を伴う120.7℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、66.1℃で最も高いピークを示し、71.8パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間の差異は、54.6℃である。
【0198】
実施例4のポリマーのDSC曲線は、170.7J/gの融解熱を伴う104.5℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、18.2パーセントのピーク面積を伴い30℃で最も高いピークを示す。DSC TmとTcrystafとの間の差異は、74.5℃である。
【0199】
比較例AのDSC曲線は、86.7J/gの融解熱を伴う90.0℃融点(Tm)を示す。相当するCRYSTAF曲線は、48.5℃で最も高いピークを示し、29.4パーセントのピーク面積である。これらの値の両方は、密度の低い樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとの間の差異は、41.8℃である。
【0200】
比較例BのDSC曲線は、237.0J/gの融解熱を伴う129.8℃融点(Tm)を示す。相当するCRYSTAF曲線は、83.7パーセントのピーク面積を伴い82.4℃で最も高いピークを示す。これらの値の両方は、密度の高い樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとの間の差異は、47.4℃である。
【0201】
比較例CのDSC曲線は、143.0J/gの融解熱を伴う125.3℃融点(Tm)を示す。相当するCRYSTAF曲線は、34.7パーセントのピーク面積で81.8℃で最も高いピークを、および52.4℃でより低い結晶ピークを示す。2つのピークの間の分離は、高結晶性および低結晶性ポリマーの存在と一致する。DSC TmとTcrystafとの間の差異は、43.5℃である。
【0202】
実施例5〜19、比較例D〜F、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
内部撹拌機を備えたコンピュータ制御オートクレーブ反応装置中で、連続溶液重合を行う。精製した混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical Companyから入手可能なISOPAR(商標)E)、エチレン(2.70lbs/時間(1.22kg/時間))、1−オクテン、および水素(使用する場合)を、温度制御のためのジャケットおよび内部熱電対を備えた3.8Lの反応装置に供給する。反応装置へ供給された溶媒を質量流量制御装置によって測定する。可変速ダイヤフラムポンプが、反応装置に対する溶媒流量および圧を制御する。ポンプの排出の際に、側留をとって触媒および共触媒1注入ラインのためのフラッシュフローおよび反応装置撹拌機を設ける。これらのフローは、Micro−Motion質量流量計により測定し、制御弁によって、またはニードル弁の手動調節によって制御する。残りの溶媒を1−オクテン、エチレン、および水素(使用する場合)と合わせ、反応装置に供給する。質量流量制御装置を使用して、必要に応じて水素を反応装置に送達する。溶媒/モノマー溶液の温度は、反応装置に入れる前に、熱交換器を使用することによって制御する。この流れは、反応装置の底に入る。触媒成分溶液は、ポンプおよび質量流量計を使用して測定し、触媒フラッシュ溶媒と合わせ、反応装置の底に導入する。反応装置を激しく撹拌しながら500psig(3.45MPa)で液体を満たして稼動させる。生成物は、反応装置の頂部の出口ラインから取り出す。反応装置からの全ての出口ラインは、蒸気トレースおよび絶縁が施されている。任意の安定剤または他の添加剤と共に少量の水を出口ライン中に添加すること、静的ミキサーを通して混合物を通過させることによって重合を停止させる。次いで、揮発分除去の前に熱交換器を通過させることによって生成物流を加熱する。ポリマー生成物を、揮発分除去押出機および水冷ペレット製造機を使用して押出によって回収する。方法の詳細および結果を表2に示す。選択したポリマー特性を表3に提供する。
【0203】


【表2】

【0204】
【表3】

【0205】
このように得られたポリマーを、前の実施例と同様にDSCおよびATREFによって試験する。結果は下記の通りである。
【0206】
実施例5のポリマーのDSC曲線は、60.0J/gの融解熱を伴う119.6℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、47.6℃で最も高いピークを示し、59.5パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、72.0℃である。
【0207】
実施例6のポリマーのDSC曲線は、60.4J/gの融解熱を伴う115.2℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、44.2℃で最も高いピークを示し、62.7パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、71.0℃である。
【0208】
実施例7のポリマーのDSC曲線は、69.1J/gの融解熱を伴う121.3℃融点でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、49.2℃で最も高いピークを示し、29.4パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、72.1℃である。
【0209】
実施例8のポリマーのDSC曲線は、67.9J/gの融解熱を伴う123.5℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、80.1℃で最も高いピークを示し、12.7パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、43.4℃である。
【0210】
実施例9のポリマーのDSC曲線は、73.5J/gの融解熱を伴う124.6℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、80.8℃で最も高いピークを示し、16.0パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、43.8℃である。
【0211】
実施例10のポリマーのDSC曲線は、60.7J/gの融解熱を伴う115.6℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、40.9℃で最も高いピークを示し、52.4パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、74.7℃である。
【0212】
実施例11のポリマーのDSC曲線は、70.4J/gの融解熱を伴う113.6℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、39.6℃で最も高いピークを示し、25.2パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、74.1℃である。
【0213】
実施例12のポリマーのDSC曲線は、48.9J/gの融解熱を伴う113.2℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、30℃以上のピークを示さない。(したがって、さらなる計算の目的のためのTcrystafは、30℃で設定する)。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、83.2℃である。
【0214】
実施例13のポリマーのDSC曲線は、49.4J/gの融解熱を伴う114.4℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、33.8℃で最も高いピークを示し、7.7パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、84.4℃である。
【0215】
実施例14のポリマーのDSCは、127.9J/gの融解熱を伴う120.8℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、72.9℃で最も高いピークを示し、92.2パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、47.9℃である。
【0216】
実施例15のポリマーのDSC曲線は、36.2J/gの融解熱を伴う114.3℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、32.3℃で最も高いピークを示し、9.8パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、82.0℃である。
【0217】
実施例16のポリマーのDSC曲線は、44.9J/gの融解熱を伴う116.6℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、48.0℃で最も高いピークを示し、65.0パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、68.6℃である。
【0218】
実施例17のポリマーのDSC曲線は、47.0J/gの融解熱を伴う116.0℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、43.1℃で最も高いピークを示し、56.8パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、72.9℃である。
【0219】
実施例18のポリマーのDSC曲線は、141.8J/gの融解熱を伴う120.5℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、70.0℃で最も高いピークを示し、94.0パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、50.5℃である。
【0220】
実施例19のポリマーのDSC曲線は、174.8J/gの融解熱を伴う124.8℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、79.9℃で最も高いピークを示し、87.9パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、45.0℃である。
【0221】
比較例DのポリマーのDSC曲線は、31.6J/gの融解熱を伴う37.3℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、30℃以上のピークを示さない。これらの値の両方は、密度が低い樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、7.3℃である。
【0222】
比較例EのポリマーのDSC曲線は、179.3J/gの融解熱を伴う124.0℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、79.3℃で最も高いピークを示し、94.6パーセントのピーク面積である。これらの値の両方は、密度が高い樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、44.6℃である。
【0223】
比較例FのポリマーのDSC曲線は、90.4J/gの融解熱を伴う124.8℃融点(Tm)でピークを示す。相当するCRYSTAF曲線は、77.6℃で最も高いピークを示し、19.5パーセントのピーク面積である。2つのピークの間の分離は、高結晶性および低結晶性ポリマーの存在と一致する。DSC TmとTcrystafとの間のデルタは、47.2℃である。
【0224】
物理的特性試験
ポリマー試料は、TMA温度試験、ペレットブロッキング強度、高温回復、高温圧縮永久ひずみ、および貯蔵弾性率比G’(25℃)/G’(100℃)によって証明されるような、耐熱性特性などの物理学的性質について評価する。いくつかの市販のポリマーが試験において含まれる。比較対象となるGは、実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)、The Dow Chemical Companyから入手可能)であり、比較対象となるHは、エラストマーの実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)EG8100、The Dow Chemical Companyから入手可能)であり、比較例Iは、実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)PL1840、The Dow Chemical Companyから入手可能)であり、比較例Jは、水素化スチレン/ブタジエン/スチレントリブロックコポリマー(KRATON(商標)G1652、KRATON Polymersから入手可能)であり、比較例Kは、熱可塑性加硫物(TPV、その中に分散した架橋エラストマーを含有するポリオレフィンブレンド)である。結果を表4に示す。
【0225】
【表4】

【0226】
表4において、比較例F(触媒A1およびB1を使用した同時重合からもたらされる2種のポリマーの物理的ブレンドである)は、約70℃という1mm針入温度を有し、一方実施例5〜9は、100℃以上の1mm針入温度を有する。さらに、実施例10〜19は全て、85℃超の1mm針入温度を有し、大部分は90℃超またはさらに100℃超の1mmTMA温度を有する。これは、新規なポリマーが、物理的ブレンドと比較してより高い温度でより良好な寸法安定性を有することを示す。比較例J(市販のSEBS)は、約107℃という良好な1mmのTMA温度を有するが、約100パーセントという非常に乏しい(高温70℃)圧縮永久ひずみを有し、それはまた高温(80℃)の300パーセントひずみ回復の間に回復できない(試料が壊れる)。したがって、例示したポリマーは、いくつかの市販の高性能の熱可塑性エラストマーにおいてでさえも得られない特質の独特の組合せを有する。
【0227】
同様に表4は、本発明のポリマーについて、6以下という低い(良好な)貯蔵弾性率比G’(25℃)/G’(100℃)を示し、一方物理的ブレンド(比較例F)は、9という貯蔵弾性率比を有し、同様の密度のランダムエチレン/オクテンコポリマー(比較例G)は、一桁大きい貯蔵弾性率比を有する(89)。ポリマーの貯蔵弾性率比は、できるだけ1に近いことが望ましい。このようなポリマーは、温度に比較的影響されず、このようなポリマーから作製された加工物品は、広範な温度範囲に亘って有用に用いることができる。低い貯蔵弾性率比および温度独立性のこの特徴は、感圧接着剤配合物におけるなどのエラストマー用途において特に有用である。
【0228】
表4のデータはまた、本発明のポリマーが改良されたペレットブロッキング強度を有することを示す。特に、実施例5は、0MPaのペレットブロッキング強度を有する、すなわちそれは、かなりのブロッキングを示す比較例FおよびGと比較して試験した条件下で易流動性である。大きなブロッキング強度を有するポリマーの大量輸送は貯蔵または輸送による製品の凝集または粘着をもたらし、乏しい取扱適性を生じる場合があるため、ブロッキング強度は重要である。
【0229】
本発明のポリマーについての高温(70℃)での圧縮永久ひずみは一般に良好である、すなわち一般に約80パーセント未満、好ましくは約70パーセント未満、特に約60パーセント未満である。対照的に、比較例F、G、HおよびJの全ては、100パーセント(可能な最大値、回復がないことを示す)の70℃圧縮永久ひずみを有する。良好な高温での圧縮永久ひずみ(低い数値)は、ガスケット、窓用形材、Oリングなどの用途に特に必要である。
【0230】
【表5】

【0231】
表5は、新規なポリマーおよび様々な比較ポリマーについての周囲温度での機械的性質についての結果を示す。本発明のポリマーは、ISO4649に従って試験する場合、非常に良好な耐磨耗性を有し、約90mm未満、好ましくは約80mm未満、特に約50mm未満の容積減少を一般に示す。この試験において、より高い数は、より高い容積減少、したがってより低い耐磨耗性を示すことが見出すことができる。
【0232】
引張ノッチ付引裂き強度によって測定した本発明のポリマーの引裂き強度は、表5において示されるように一般に1000mJ以上である。本発明のポリマーの引裂き強度は、3000mJ程度の高さ、またはさらに5000mJ程度の高さの場合がある。比較対象となるポリマーは一般に、750mJ以下の引裂き強度を有する。
【0233】
表5はまた、本発明のポリマーが、比較対象となる試料のいくつかよりも、150パーセントひずみでより良好な収縮応力を有する(より高い収縮応力値によって示される)ことを示す。比較例F、GおよびHは、400kPa以下という150パーセントひずみでの収縮応力値を有する一方、本発明のポリマーは、500kPa(実施例11)から約1100kPa(実施例17)という150パーセントひずみでの収縮応力値を有する。150パーセント超の収縮応力値を有するポリマーは、弾性繊維および布帛、特に不織布などの弾性用途のために非常に有用であろう。他の用途には、おむつ、衛生、および医療用衣類ウエストバンドの用途(タブおよび弾性バンドなど)が挙げられる。
【0234】
表5はまた、(50パーセントひずみでの)応力緩和がまた、例えば、比較例Gと比較して本発明のポリマーについて改良される(より低い)ことを示す。より低い応力緩和とは、体温での長期間に亘る弾性の保持が所望されるおむつおよび他の衣類などの用途において、ポリマーがその力をより良好に保持することを意味する。
【0235】
光学試験
【0236】
【表6】

【0237】
表6において報告されている光学特性は、実質的に配向を欠いている圧縮成形されたフィルムに基づいている。ポリマーの光学特性は、重合において用いられる可逆的連鎖移動反応剤の量の変動からもたらされる結晶子サイズの変動によって広範囲に亘って変化し得る。
【0238】
マルチブロックコポリマーの抽出
実施例5、7および比較例Eのポリマーの抽出研究を行う。この実験では、ポリマー試料をガラスフリット抽出円筒濾紙中に秤量し、Kumagawa型の抽出器に取り付ける。試料を有する抽出器を窒素でパージし、500mLの丸底フラスコを350mLのジエチルエーテルで充填する。次いで、フラスコを抽出器に取り付ける。エーテルを撹拌しながら加熱する。エーテルが円筒濾紙中に凝縮し始める時間を記録し、抽出を窒素下で24時間進行させる。この時点で、加熱を停止し、溶液を冷却させる。抽出器中に残る任意のエーテルをフラスコに戻す。フラスコ中のエーテルを真空下で周囲温度で蒸発させ、このように得られた固体を窒素でパージ乾燥させる。ヘキサンの連続的な洗浄を使用して残渣を秤量びんに移す。次いで、合わせたヘキサン洗浄液をさらに窒素パージしながら蒸発させ、残渣を真空下で40℃にて一晩乾燥させる。抽出器中の任意の残りのエーテルを窒素でパージ乾燥させる。
【0239】
次いで、350mLのヘキサンを充填した第2の清浄な丸底フラスコを、抽出器に連結する。円筒濾紙中のヘキサンの凝縮に最初に気づいた後、ヘキサンを撹拌しながら加熱還流し、還流させながら24時間保持する。次いで、加熱を停止し、フラスコを冷却させる。抽出器中に残るヘキサンをフラスコにもどす。蒸発によってヘキサンを真空下で周囲温度にて除去し、フラスコ中に残る残渣を、連続的ヘキサン洗浄を使用して秤量びんに移す。フラスコ中のヘキサンを窒素パージによって蒸発させ、残渣を40℃で一晩真空乾燥させる。
【0240】
抽出後に円筒濾紙中に残ったポリマー試料を、円筒濾紙から秤量びんに移し、40℃で一晩真空乾燥する。結果を表7に示す。
【0241】
【表7】

【0242】
さらなるポリマー実施例19A〜K、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
コンピュータ制御の完全混合反応装置中で連続溶液重合を行う。精製した混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical Companyから入手可能なISOPAR(商標)E)、エチレン、1−オクテン、および水素(使用する場合)を合わせ、27ガロンの反応装置に供給する。反応装置への供給液は、質量流量制御装置によって測定する。反応装置に入れる前にグリコール冷却熱交換器を使用することによって供給流の温度を制御する。ポンプおよび質量流量計を使用して触媒成分溶液を測定する。反応装置は、約550psig圧力で液体を満たして稼動させる。反応装置を出るときに、水および添加剤をポリマー溶液に注入する。水によって触媒は加水分解し、重合反応が停止する。次いで、2段階の揮発分除去に備えて反応装置後溶液を加熱する。溶媒および未反応モノマーは、揮発分除去工程の間に除去する。水中でのペレット切断のために、溶融ポリマーをダイにポンプで送る。
【0243】
方法の詳細および結果を、表8および8(a)に示す。選択したポリマー特性を表9および9(a)に提供する。
【0244】
【表8】

【0245】
【表9】

【0246】
【表10】

【0247】
【表11】

【0248】
下記の表は、実施例において使用されるポリプロピレンの指定を説明する。
【0249】
【表12】

【0250】
実施例20および比較例L
ポリマー組成物である実施例20および比較例Lを、下記の表10に示されているような成分の各々のリストをブレンドすることによって作製した。下記の複合法によって、成分を混合して実施例20および比較例Lを形成させた。媒質剪断スクリュースタック(medium shear screw stack)を備えたCoperion ZSK25共回転二軸スクリュー押出機を使用して、配合物の溶融混合を行った。バレルおよびダイ条件を、下記のゾーン時間(ゾーン1は140℃、ゾーン2〜7は200℃、ゾーン8はダイにおいて180℃であった)で50lbs/時間に設定した。
【0251】
【表13】

【0252】
押出成形シートである実施例21および比較例Mは、下記の手順による押出によって、実施例20および比較例Lから各々作製した。複合ストランドチョップドペレット(compounded strand chopped pellet)を、24インチのダイを備えたKillion押出機上に押し出した。ダイリップを調節して40ミル厚のシートを得た。シートラインを3.6Ft/分の速度で稼動させた。上部、中央および底部ロールの温度は、各々40℃、40℃および30℃である。
【0253】
押出成形シートである実施例21および比較例Mは、下記の手順によって各々160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、および220℃でシートに熱成形した。12の個別に制御された石英ヒーター(上部および底部)を備えたLamco熱成形装置を使用してシートを熱成形した。赤外高温計をオーブンの底に置き、シートの表面温度をモニターした。シートを雄型プラグ上で真空成形し、指定温度で形成した。
【0254】
押出シートおよび熱成形シートの耐引っかき性は、ASTM D7027−05のStandard Test Method for Evaluation of Scratch Resistance of Polymeric Coatings and Plastics Using an Instrumented Scratch Machineの修正に従って測定した。参照により組み込まれているM.Wong、G.T.Lim、A.Moyse、J.N.Reddy、およびH.−J.Sue、Wearによる「A new test methodology for evaluating scratch resistance of polymers」、第256巻、1214〜1227ページ(2004)に記載されているTexas A&M引っかき試験機を使用して、耐引っかき性を測定した。
【0255】
Texas A&M引っかき試験機を、図11において図式的に例示する。引っかき試験装置は、様々な周囲温度下で稼動する可能性を有する、単一または複数のパス、定荷重、定速度、増加荷重および増加速度試験を実行するための能力を有するように作られている。引っかき試験ユニットは、引っかきチップまたはスタイラスを定速度または直線的に増加する速度で駆動するサーボギア駆動モーターを含む。定速度については、スタイラスは、0〜400mm/sの範囲で動くことができる。直線的に増加する速度については、スタイラスは、0速度から400mm/sのピーク速度で動くように設定することができる。ある範囲の引っかきスタイラスを引っかき試験装置のために設計して、単一または複数のパス試験を行うことができる。標準的な引っかきスタイラスは、グレード10以上のスチールからなる1mm直径のステンレス鋼球状チップである。試験装置は、0〜100Nの荷重範囲および0.01Nのロードセル感応性を有する荷重制御ばね荷重で試験を行うように設計する。試験装置はまた、1000N以下の荷重範囲について0.1Nの正確性でスタイラス上で作用する切線分力などの、試験の間に重要な試験データを記録するセンシングおよびデータ収集機能を備えている。深さ、水平位およびスタイラスの速度について得たデータは、各々5μm、5μmおよび10μm/sの正確性を有する。試験の間、試験データは、データ保存および処理のために外部コンピュータに送られる。引っかきパスの数、引っかき長さおよびスタイラスの速度などの試験パラメーターは、計器類ユニット中に収められた搭載されているマイクロプロセッサーを介して制御される。
【0256】
本明細書において使用する修正したASTM D7027−05試験は、50mm毎秒の引っかき速度、80mmの引っかき長さを使用して概ね室温および50%湿度で行った。荷重を1Nから20Nに直線的に増加させ、データ収集速度は、1000ポイント毎秒であった。実施例21および比較例Mの耐引っかき性データを、下記の表11Aに一覧表示する。データは、実施例21の耐引っかき性が比較例Mのそれよりも高いことを示す。
【0257】
【表14】

【0258】
EPSON Perfection4990PHOTOフラットベッドスキャナーを使用して、引っかきのデジタル画像を得た。EPSONソフトウェアを使用して、Home Modeを使用して1600dpi解像度で画像をカラーでスキャンした。応力白化、または他の著しい表面損傷が観察された時点に基づいて試料を評価した。これらの材料の耐引っかき性能を定量化するために、目に見える引っかきによる白化の開始時の常用荷重を報告した。
【0259】
耐引っかき性試験後の実施例21および比較例Mのデジタル画像は、実施例21が20Nの荷重まで引っかきによる白化の兆候を示さず、一方比較例Mが7Nの荷重で引っかきによる白化を示すことを表す。さらに、実施例21は、引っかき事象に沿って目に見える損傷の程度が有意に減少することを表す。引っかきスタイリストの柔らかいTPO外被への針入によって、僅かな光沢度の変化が実施例21の引っかきにおいて観察することができるが、物理的な引っかきによる白化は観察されなかった。
【0260】
押出シートおよび熱成形シートの光沢度を、下記の方法に従って測定した。ASTM標準D2457に従って、熱成形の前および後に60°入射角でのシート光沢度を測定した。
【0261】
試料の光沢度データを下記の表11Bに一覧表示する。データは、実施例21からの押出シートおよび熱成形シートの光沢度が比較例Mのそれらより低いことを示す。
【0262】
【表15】

【0263】
ノマルスキー下の反射光
実施例21および比較例Mの各々からの約10mm×10mmの小片を切断し、スライドガラス上に置いた。スライドをSPIスパッターコーター中に置き、金−パラジウムプラスマで約30秒コーティングし、表面の反射率を増加させた。熱処理の前および後に、各々160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、および220℃で、Olympus Vanox研究顕微鏡を反射ノマルスキー干渉コントラスト下で使用し、シートの表面微細構成を撮像した。(図8A〜Dに示すような)画像は、試料の各々について20×対物レンズを使用して記録し、Nikon DXM−1200デジタルカメラを使用してデジタル的に記録した。
【0264】
実施例21および比較例Mの顕微鏡写真は、実施例21の押出シートおよび熱成形シートが、比較例Mの押出シートおよび熱成形シートと比較してより大きな規模の大きさの表面模様を有することを示す。実施例21からのシートの表面上のこれらのより大規模な模様は、より高い表面粗さをもたらす(下記の表12〜16における表面粗さデータを参照されたい)。表面粗さが大きいほど、光沢度が低くなることが見出される。実際は、押出試料を熱成形試料と比較する場合(すなわち、図8Aを8Bと、および8Cを8Dと比較する)、光学顕微鏡写真におけるこれらの表面模様の大きさの規模は熱処理後に増加することを見出すことができる。これは、表面光沢度の減少をもたらす熱処理後の粗さの増加による場合がある。
【0265】
透過型電子顕微鏡
ポリマー組成物である実施例20および比較例Lからの射出成形バーは、外被の部分でおよび配向と平行に切片を集めることができるように切り取った。切り取った試料は、切片をブロックから−60℃で取り出すことによって染色の前に寒冷研磨(cryo-polished)し、エラストマー相の汚れを防止した。寒冷研磨したブロックを、2%水性四酸化ルテニウム溶液の蒸気で周囲温度にて3時間染色した。0.2gの塩化ルテニウム(III)水和物(RuCl×HO)をスクリュー蓋を有するガラスびん中に秤量し、10mlの5.25%水性次亜塩素酸ナトリウムをジャーに加えることによって染色溶液を作製した。試料は、両面テープを有するスライドガラスを使用してガラスジャー中に入れた。試料は、外被がテープによって保護されるように、対象とする外被上に表を下にして置いた。ブロックを染色溶液の約1インチ上に吊るすために、スライドをびん中に置いた。厚さ約100ナノメートルの切片を、Leica EM UC6ミクロトーム上でダイヤモンドナイフを使用して周囲温度で集め、観察のために400メッシュの未使用のTEMグリッド上に置いた。画像は、100kV加速電圧で稼動するJEOL JEM−1230で集め、Gatan−791および794デジタルカメラで集めた。Adobe Photoshop7.0を使用して画像を後処理した。
【0266】
図9Aおよび9Bは、鎖折りたたみ硬セグメントドメイン(矢印が付いている)と関連するラメラ形態によって特徴付けられる、エチレン/α−オレフィンインターポリマーマトリックス中に分散しているポリプロピレン硬ドメインを示す。対照的に、ポリプロピレン/POE−1ブレンドは、顆粒状または「房状ミセル」形態として特徴付けられるPOE−1マトリックス中に分散しているポリプロピレン硬ドメインを示す(図9CおよびD)。熱成形後に、エチレン/α−オレフィンインターポリマー中のラメラ構造は粗くなり(図9B)、エチレン/α−オレフィンインターポリマー/ポリプロピレンブレンドにおいて観察されるより低い光沢度がもたらされると考えられる。
【0267】
2Dプロフィロメトリー
2μm半径ダイヤモンドチップ(60度円錐)および0.5ミリグラムの荷重を使用してKLA−Tencor P−15スタイラスプロフィロメーターでプロフィロメトリーを得た。配列として、押出方向に平行に整列した2Dラインプロファイルを集めた。10本(10)の5mmラインは、0.5mmの間隔を開けた。各ラインは、50pts/秒(ライン毎に50秒)でサンプリングした2500のポイントからなった。800μm長波長カットオフフィルターを使用してラインデータを集めた。これによって未加工のラインデータを2つのプロファイル(1つは粗さについて、1つは波形について)に分配する(図10を参照されたい)。熱成形の前および後の実施例21および比較例Mの表面粗さデータを、下記の表12〜16に示す。
【0268】
表12〜16におけるプロフィロメトリーの結果は、全ての粗さパラメーター(Ra、Rq、Rz10、Rp、Rv)が熱成形に続いて増加を示し、エチレン/α−オレフィンインターポリマー/ポリプロピレンブレンドの粗さの相対的な大きさがポリプロピレン/PP1ブレンドのそれより実質的に大きいことを示した。
【0269】
【表16】

【0270】
【表17】

【0271】
【表18】

【0272】
【表19】

【0273】
【表20】

【0274】
実施例22〜25
ポリマー組成物である実施例22〜25を、下記の表17に示されているような成分の各々のリストをブレンドすることによって調製した。下記の複合法によって、成分を混合して実施例22〜25を形成させた。媒質剪断スクリュースタックを備えたCoperion ZSK25共回転二軸スクリュー押出機を使用して配合物の溶融混合を行った。バレルおよびダイ条件は、下記のゾーン温度(ゾーン1は140℃、ゾーン2〜7は200℃、ゾーン8はダイにおいて180℃であった)で50lbs/時間に設定した。
【0275】
【表21】

【0276】
実施例22〜25の押出成形シートを、下記の手順によって押出によって作製した。複合ストランドチョップドペレットを、24インチのダイを備えたKillion押出機上に押し出した。ダイリップを調節して40ミル厚のシートを得た。シートラインを3.6Ft/分の速度で稼動させた。上部、中央および底部ロールの温度は、各々40℃、40℃および30℃である。
【0277】
実施例22〜25の押出成形シートを、下記の手順によって160℃、170℃、180℃、および190℃でシートに熱成形した。12の個別に制御された石英ヒーター(上部および底部)を備えたLamco熱成形装置を使用してシートを熱成形した。赤外高温計をオーブンの底に置き、シートの表面温度をモニターした。シートを雄型プラグ上で真空成形し、指定温度で形成した。
【0278】
押出シートおよび熱成形シートの光沢度を、下記の方法に従って測定した。60°入射角でのシート光沢度は、ASTM標準D2457に従って熱成形の前と後に測定した。光沢度データ(%)を、下記の表18に一覧表示する。データは、分岐ポリプロピレンがより低い光沢度を示すことを表す。
【0279】
【表22】

【0280】
比較例PおよびT
比較例PおよびTを、下記の表19に示されているような成分の各々のリストをブレンドすることによって作製した。下記の複合法によって、成分を混合して比較例PおよびTを形成させた。配合物の溶融混合は、媒質剪断スクリュースタックを備えたCoperion ZSK25共回転二軸スクリュー押出機を使用して行った。バレルおよびダイ条件は、下記のゾーン温度(ゾーン1は140℃、ゾーン2〜7は200℃、ゾーン8はダイにおいて180℃)で50lbs/時間に設定した。
【0281】
【表23】

【0282】
比較例PおよびTを、TMA針入試験、メルトフローレートIおよびI10、ショアA硬さ、密度、引張強さ、流れ方向の伸長、流れ方向のダイC引裂き強度、圧縮永久ひずみなどの物理学的性質について評価した。試験結果を表20に示す。
【0283】
【表24】

【0284】
比較例PおよびTの複素粘性率もまた、Alpha Technologies、Akron、OHからのRubber Process Analyzer(RPA−2000)によって試験した。RPA試験の結果を表21に示す。データは、複素粘性率(パスカル秒単位)が剪断速度(往復秒単位)の増加に伴い現象することを示す。
【0285】
【表25】

【0286】
異なる剪断速度(往復秒単位)での比較例PおよびTのキャピラリー粘度(パスカル秒単位)もまた、190℃でキャピラリーレオメーターによって測定した。キャピラリー粘度の結果を表22に示す。
【0287】
【表26】

【0288】
実施例26〜35
実施例26〜35は、下記の表23において示されるような成分の各リストを溶融混合することによって作製した本発明のポリマー組成物であった。媒質剪断スクリュースタックを備えたCoperion ZSK25共回転二軸スクリュー押出機を使用して、配合物の溶融混合を行った。
【0289】
【表27】

【0290】
実施例26〜34を、示差走査熱量測定(DSC)によって決定したTmおよびTcrystalf、ならびにメルトフローレートIおよびI10、密度、ショアA硬さ、流れ方向の引張強さ、破断伸び、流れ方向のダイC引裂き強度、圧縮永久ひずみ、60°光沢度および剪断減粘性インデックスについて試験した。試験結果を表24および表25に示す。
【0291】
【表28】

【0292】
60°シート光沢度、ならびに160℃、170℃、180℃、および190℃の温度で熱成形された後の60°シート光沢度について、実施例29および比較例Pをまた試験した。試験結果を表25に示す。
【0293】
【表29】

【0294】
Santopreneの比較例、実施例32、および比較例Tの組成物から押出異形材を作製した。押出異形材の外面の反射ノマルスキー像を、各々図12〜14に示す。上記の実施例21および比較例Mと同様に画像を得た。顕微鏡写真は、実施例32の押出異形材が、比較例Tと比較してより大きな規模の大きさの表面模様(したがってより低い光沢度)を有することを示す。
【0295】
本発明を限られた数の実施形態に関して説明してきたが、一実施形態の特定の特徴は、本発明の他の実施形態に帰属するべきではない。単一の実施形態は、本発明の全ての態様を代表しない。いくつかの実施形態では、組成物または方法は、本明細書において記載されていない多数の化合物またはステップを含み得る。他の実施形態では、組成物または方法は、本明細書において列挙されていない任意の化合物もしくはステップを含まない、または実質的に含まない。記載した実施形態からの変形および改変が存在する。最後に、本明細書において開示されている任意の数は、「約」または「概ね」という語がその数を記載するときに使用されるか否かに関わらず近似値を意味すると解釈すべきである。添付の特許請求は、本発明の範囲内に含まれるものとして全てのそれらの改変および変形を包含することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)架橋前に下記の特性
[(a)約1.7〜約3.5のM/M、少なくとも1つの融点T(摂氏温度)、および密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、Tmおよびdの数値は、関係式
≧−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
に相当する、または
(b)約1.7〜約3.5のM/Mを有し、融解熱ΔH(J/g)、および最高のDSCピークと最高のCRYSTAFピークとの間の温度差として定義されるデルタ量ΔT(摂氏温度)によって特徴付けられ、ΔTおよびΔHの数値は、下記の関係式
ΔHが0超かつ130J/g以下である場合、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
ΔHが130J/g超である場合、ΔT≧48℃
を有し、前記CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、前記ポリマーの5パーセント未満が同定可能なCRYSTAFピークを有する場合、前記CRYSTAF温度は30℃である、または
(c)前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定して300パーセントひずみかつ1サイクルでの弾性回復率Re(パーセント)を有し、密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に有さない場合、Reおよびdの数値は、下記の関係式
Re>1481−1629(d)
を満たす、または
(d)TREFを使用して分別される場合、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、前記画分は、同じ温度の間で溶出する比較対象となるランダムエチレンインターポリマー画分のコモノマーモル含量よりも少なくとも5パーセント高いコモノマーモル含量を有することによって特徴付けられ、前記比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)、ならびに前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーのそれの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(ポリマー全体に基づく)を有する、または
(e)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)を有し、G’(25℃)とG’(100℃)の比は約1:1〜約10:1である、または
(f)TREFを使用して分別される場合、40℃〜130℃で溶出する少なくとも1つの分子画分を有し、前記画分は少なくとも0.5かつ約1以下のブロックインデックス、および約1.3超の分子量分布M/Mを有することを特徴とする、または
(g)0超かつ約1.0以下の平均ブロックインデックス、および約1.3超の分子量分布M/Mを有する]
の1つまたは複数によって特徴付けられる少なくとも1種のエチレン/α−オレフィンインターポリマーと、
(ii)0.1ラジアン/秒で2.5未満のタンデルタ値を有するポリプロピレンと
を含む、ポリマー組成物。
【請求項2】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約1.7〜約3.5のM/M、少なくとも1つの融点Tm(摂氏温度)、および密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、Tmおよびdの数値が、関係式
≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)
に相当する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約1.7〜約3.5のM/Mを有し、融解熱ΔH(J/g)、および最高のDSCピークと最高のCRYSTAFピークとの間の温度差として定義されるデルタ量ΔT(摂氏温度)によって特徴付けられ、ΔTおよびΔHの数値は、下記の関係式
ΔHが0超かつ130J/g以下である場合、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
ΔHが130J/g超である場合、ΔT≧48℃
を有し、
前記CRYSTAFピークが累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、前記ポリマーの5パーセント未満が同定可能なCRYSTAFピークを有する場合、前記CRYSTAF温度が30℃である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定して300パーセントひずみかつ1サイクルでの弾性回復率Re(パーセント)によって特徴付けられ、密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に有さない場合、Reおよびdの数値は、下記の関係式
Re>1481−1629(d)
を満たす、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
Reおよびdの数値が、下記の関係式
Re>1491−1629(d)
を満たす、請求項4に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
Reおよびdの数値が、下記の関係式
Re>1501−1629(d)
を満たす、請求項4に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
Reおよびdの数値が、下記の関係式
Re>1511−1629(d)
を満たす、請求項4に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、TREFを使用して分別される場合、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、前記画分は、同じ温度の間で溶出する比較対象となるランダムエチレンインターポリマー画分のコモノマーモル含量よりも少なくとも5パーセント高いコモノマーモル含量を有することによって特徴付けられ、前記比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)、ならびに前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーのそれの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(ポリマー全体に基づく)を有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)によって特徴付けられ、G’(25℃)とG’(100℃)の比が約1:1〜約10:1である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、TREFを使用して分別される場合、40℃〜130℃で溶出する少なくとも1つの分子画分を有し、前記画分が、少なくとも0.5かつ約1以下のブロックインデックスおよび約1.3超の分子量分布Mw/Mnを有することを特徴とする、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、0超かつ約1.0以下の平均ブロックインデックス、および約1.3超の分子量分布Mw/Mnを有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマー中の前記α−オレフィンが、スチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、ノルボルネン、1−デセン、1,5−ヘキサジエンまたはこれらの組合せである、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
前記ポリプロピレンが、分岐ポリプロピレン、または100mm/sで少なくとも約5cNの溶融強度を有するポリプロピレンである、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の添加剤組成物をさらに含み、前記添加剤組成物が、ポリシロキサン、着色剤もしくは顔料、抗引っかきおよび表面損傷剤、可塑剤、油、抗酸化剤、紫外線安定剤、充填剤、潤滑剤、防曇剤、流動助剤、カップリング剤、架橋剤、成核剤、界面活性剤、溶媒、難燃剤、帯電防止剤、抗菌剤、またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
前記添加剤組成物が、(1)ポリシロキサンと、(2)着色剤、顔料、または着色剤および顔料両方との反応混合物を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
(i)下記の特性
[(a)約1.7〜約3.5のM/M、少なくとも1つの融点T(摂氏温度)、および密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、Tmおよびdの数値は、関係式
≧−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
に相当する、または
(b)約1.7〜約3.5のM/Mを有し、融解熱ΔH(J/g)、および最高のDSCピークと最高のCRYSTAFピークとの間の温度差として定義されるデルタ量ΔT(摂氏温度)によって特徴付けられ、ΔTおよびΔHの数値は、下記の関係式
ΔHが0超かつ130J/g以下である場合、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
ΔHが130J/g超である場合、ΔT≧48℃
を有し、前記CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、前記ポリマーの5パーセント未満が同定可能なCRYSTAFピークを有する場合、前記CRYSTAF温度は30℃である、または
(c)前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定して300パーセントひずみかつ1サイクルでの弾性回復率Re(パーセント)を有し、密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に有さない場合、Reおよびdの数値は、下記の関係式
Re>1481−1629(d)
を満たす、または
(d)TREFを使用して分別される場合、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、前記画分は、同じ温度の間で溶出する比較対象となるランダムエチレンインターポリマー画分のコモノマーモル含量よりも少なくとも5パーセント高いコモノマーモル含量を有することによって特徴付けられ、前記比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)、ならびに前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーのそれの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(ポリマー全体に基づく)を有する、または
(e)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)を有し、G’(25℃)とG’(100℃)の比は約1:1〜約10:1である、または
(f)TREFを使用して分別される場合、40℃〜130℃で溶出する少なくとも1つの分子画分を有し、前記画分は少なくとも0.5かつ約1以下のブロックインデックス、および約1.3超の分子量分布M/Mを有することを特徴とする、または
(g)0超かつ約1.0以下の平均ブロックインデックス、および約1.3超の分子量分布M/Mを有する]
の1つまたは複数によって特徴付けられる少なくとも1種のエチレン/α−オレフィンインターポリマーと、
(ii)0.1ラジアン/秒で2.5未満のタンデルタ値を有するポリプロピレンと
を含む物品。
【請求項17】
前記ポリプロピレンが、0.1ラジアン/秒で2.5未満のタンデルタ値を有する分岐ポリプロピレンである、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
前記ポリプロピレンが、230℃、2.16Kg荷重でASTM D1238に従って測定して少なくとも約0.5g/10分のメルトフローレートを有する、請求項16に記載の物品。
【請求項19】
前記熱成形物品の表面の60度光沢度が、約9.0%未満である、請求項16に記載の物品。
【請求項20】
運送業に適した、請求項16に記載の物品。
【請求項21】
自動車両の内装に適した部品である、請求項16に記載の物品。
【請求項22】
自動車両の外装に適した部品である、請求項16に記載の物品。
【請求項23】
少なくとも1種の添加剤組成物をさらに含む、請求項16に記載の物品。
【請求項24】
前記添加剤組成物が、ポリシロキサン、着色剤もしくは顔料、抗引っかきおよび表面損傷剤、可塑剤、油、抗酸化剤、紫外線安定剤、充填剤、潤滑剤、防曇剤、流動助剤、カップリング剤、架橋剤、成核剤、界面活性剤、溶媒、難燃剤、帯電防止剤、抗菌剤、またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
前記添加剤組成物が、(1)ポリシロキサンと、(2)着色剤、顔料、または着色剤および顔料両方との反応混合物を含む、請求項24に記載の物品。
【請求項26】
前記添加剤組成物が、離型剤を含む、請求項23に記載の物品。
【請求項27】
抗引っかきおよび表面損傷剤を含まない、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項28】
抗引っかきおよび表面損傷剤を含まない、請求項16に記載の物品。
【請求項29】
前記物品を20N以下の荷重および50mm/sの引っかき速度でASTM D7027−05に供した後、その表面上に実質的な引っかきによる白化を示さない、請求項16に記載の物品。
【請求項30】
熱成形物品である、請求項16に記載の物品。
【請求項31】
射出成形物品である、請求項16に記載の物品。
【請求項32】
ブロー成形物品である、請求項16に記載の物品。
【請求項33】
射出重ね成形された物品である、請求項16に記載の物品。
【請求項34】
押出異形材物品である、請求項16に記載の物品。
【請求項35】
前記ポリプロピレンが、0.1ラジアン/秒で1.5未満のタンデルタ値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
前記ポリプロピレンが、0.1ラジアン/秒で1.0未満のタンデルタ値を有する、請求項1に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−526175(P2010−526175A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506372(P2010−506372)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/059149
【国際公開番号】WO2008/134186
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】