説明

エチレン/α−オレフィンの共重合体から製造される充填ポリマー組成物およびその使用

【課題】エチレン/α−オレフィン共重合体および充填剤を含む充填ポリマー組成物、該充填ポリマー組成物の製造法、およびそれから製造される製品を提供する。
【解決手段】充填ポリマー組成物が、(i)エチレン/α−オレフィン共重合体、および(ii)充填剤を含む。エチレン/α−オレフィン共重合体は、少なくとも1つのハードブロックおよび少なくとも1つのソフトブロックを有するブロックコポリマーである。ソフトブロックは、ハードブロックより高い含量のコモノマーを含む。ブロック共重合体は、多くの独自の特性を有する。充填ポリマー組成物は、特定の実施形態において、比較的高い耐熱性、および向上したノイズ、振動およびハーシュネス特性を有し、自動車床材、屋根材、ワイヤコーティングおよびケーブルコーティング用途に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン/α−オレフィン共重合体および充填剤を含む充填ポリマー組成物
、該充填ポリマー組成物の製造法、およびそれから製造される製品に関する。
【背景技術】
【0002】
消音特性を有する充填熱可塑性組成物の複合材料は、自動車用途における使用に関して
周知である。熱可塑性組成物は一般に、ポリマー、可塑剤および充填剤を含む。下記の特
許に代表されるような多くの特許が、そのような高充填熱可塑性組成物に付与されている
:米国特許第4,191,798号(特許文献1)、第4,222,924号(特許文献
2)、第4,263,196号(特許文献3)、第4,379,190号(特許文献4)
、第4,403,007号(特許文献5)、第4,430,468号(特許文献6)、第
4,434,258号(特許文献7)、および第4,438,228号(特許文献8)。
種々の系のポリマー、可塑剤および充填剤が、自動車床材における消音用途に関して提案
されている。例えば、前記の特許は、エチレン共重合体、例えば、エチレン/ビニルエス
テル、エチレン/不飽和モノ−カルボン酸またはジ−カルボン酸、または不飽和酸のエス
テルなどの使用を開示している。そのようなエチレン共重合体と、他のエラストマーおよ
びポリマーとのブレンドも、これらの用途に提案されている。さらに種々の充填ポリエチ
レンコポリマー、ポリ塩化ビニル、エチレン−プロピレン−ジエン組成物が、ワイヤおよ
びケーブル用途に使用されている。
【0003】
消音複合材料および他の用途に使用するための、種々のポリマーに基づく充填組成物が
数多く提案されているにもかかわらず、エチレン酢酸ビニル(EVA)が商業ベースで最
も広く使用されている。より一般的に使用されている中密度充填剤、例えば、CaCO
、ボーキサイド、セッコウなどのような充填剤の添加には、実際的な制限がある。充填剤
レベルがある点を越えて増加した場合、他の特性、例えば、メルトインデックス(それが
低下すると、押出機圧力が急速に増加する)、柔軟性(「手ざわり」がかなり堅くなる)
、および伸度(それが驚くほど低下する)が不利益を受ける。結局、EVA/CaCO
の2成分ブレンドは配合することができず、なぜなら、その混合物はバンバリーミキサー
中で「流動」しないからである(装填材料が単に攪拌されるだけであり、ブレードが回転
する際に樹脂が「動かず」、パワー増加(power rise)が引き続いて生じず、吐出時の混合
物が、粉状ホワイチング素材中の離散EVAペレットのままである)。極めて高密度の充
填剤、例えばBaSOを使用した場合、わずかにより多い充填剤を2成分EVAブレン
ドに添加することができる。しかし、多くのバランスのとれた特性、例えば、衝撃強度、
引張強度、伸度、曲げ弾性率、耐熱性および比重を満たす改善した材料が要求されている
。さらに、消音組成物または複合材料を、特定の用途、例えば自動車床材に使用する場合
、多くの他の必要条件が自動車製造業者によって指定されている。例えば、自動車材料ま
たは部品は、耐寒性、カビ抵抗性、抗曇性および耐燃性の条件を満たさなければならない

【特許文献1】米国特許第4,191,798号明細書
【特許文献2】米国特許第4,222,924号明細書
【特許文献3】米国特許第4,263,196号明細書
【特許文献4】米国特許第4,379,190号明細書
【特許文献5】米国特許第4,403,007号明細書
【特許文献6】米国特許第4,430,468号明細書
【特許文献7】米国特許第4,434,258号明細書
【特許文献8】米国特許第4,438,228号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、自動車床材、ケーブルおよびワイヤならびに屋根材に使用するために、向上し
た、ノイズ、振動およびハーシュネス抑制特性、増加した耐熱性、および低モジュラスを
有する他の材料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の要求は、本発明の種々の態様によって満たされる。特定の実施形態において、本
発明は、ポリマーおよび充填剤を含む充填ポリマー組成物を提供する。組成物に使用され
るポリマーは、エチレン/α−オレフィン共重合体を含み、該共重合体は下記のような共
重合体である:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(℃)、および密
度d(g/cm)を有し、ここで、Tmおよびdの数値は下記の関係式に対応する:
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2;または
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、かつ、融解熱ΔH(J/g)、および
最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量ΔT
(℃)によって特徴付けられ、ΔTおよびΔHの数値は下記の関係を有し:
0より大きい〜130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)
+62.81、
130J/gより大きいΔHについては、ΔT≧48℃、
ここで、CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5%を用いて測定され、ポリ
マーの5%未満が確認しうるCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は
30℃である;または
(c)エチレン/α−オレフィン共重合体の圧縮成形フィルムを用いて測定される30
0%ひずみおよび1サイクルにおける弾性回復率Re(%)によって特徴付けられ、かつ
、密度d(g/cm)を有し、ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフ
ィン共重合体が架橋相を実質的に含有しない場合に下記の関係式を満たす:
Re>1481−1629(d);または
(d)TREFを用いて分画した場合に40℃〜130℃で溶離する分子画分を有し、
該画分が、同じ温度範囲で溶離する比較対象となるランダムエチレン共重合体画分より少
なくとも5%高いコモノマーモル含量を有し、ここで該比較対象となるランダムエチレン
共重合体は、同じコモノマーを有し、かつ、メルトインデックス、密度およびコモノマー
モル含量(全ポリマーに基づく)を、エチレン/α−オレフィン共重合体のものから10
%以内に有する;または
(e)25℃における貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃における貯蔵弾性率
G’(100℃)によって特徴付けられ、G’(25℃)対G’(100℃)の比は約1
:1〜約10:1である;または
(f)TREFを用いて分画した場合に40℃〜130℃で溶離する少なくとも1つの
分子画分を有し、該画分が、少なくとも0.5〜約1までのブロックインデックス、およ
び約1.3より大きい分子量分布Mw/Mnを有することを特徴とする;または
(g)0より大きい〜約1.0までの平均ブロックインデックス、および約1.3より
大きい分子量分布Mw/Mnを有する。
【0006】
一実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は、約1.7〜約3.5のM
w/Mn、少なくとも1つの融点Tm(℃)、および密度d(g/cm)を有し、ここ
で、Tmおよびdの数値は下記の関係式に対応する:
Tm≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)
【0007】
他の実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は、約1.7〜約3.5の
Mw/Mnを有し、かつ、融解熱ΔH(J/g)、および最高DSCピークと最高CRY
STAFピークとの温度差として定義されるデルタ量ΔT(℃)によって特徴付けられ、
ここで、ΔTおよびΔHの数値は下記の関係を有し:
0より大きい〜130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)
+62.81、
130J/gより大きいΔHについては、ΔT≧48℃、
ここで、CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5%を用いて測定され、ポリ
マーの5%未満が確認しうるCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は
30℃である。
【0008】
一実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレン/α−オレフィ
ン共重合体の圧縮成形フィルムを用いて測定される300%ひずみおよび1サイクルにお
ける弾性回復率Re(%)によって特徴付けられ、かつ、密度d(g/cm)を有し、
ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィン共重合体が実質的に架橋相を
含有しない場合に下記の関係式を満たす:
Re>1481−1629(d)。
【0009】
他の実施形態において、Reおよびdの数値は下記の関係式を満たす:Re>1491
−1629(d)、Re>1501−1629(d)、またはRe>1511−1629
(d)。
【0010】
いくつかの態様において、エチレン/α−オレフィン共重合体が、TREFを用いて分
画した場合に40℃〜130℃で溶離する分子画分を有し、該画分が、同じ温度範囲で溶
離する比較対象となるランダムエチレン共重合体画分より少なくとも5%高いコモノマー
モル含量を有することを特徴とし、ここで該比較対象となるランダムエチレン共重合体は
、同じコモノマーを有し、かつ、メルトインデックス、密度およびコモノマーモル含量(
全ポリマーに基づく)を、エチレン/α−オレフィン共重合体のものから10%以内に有
する。
【0011】
いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は、25℃における
貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃における貯蔵弾性率G’(100℃)によっ
て特徴付けられ、G’(25℃)対G’(100℃)の比は約1:1〜約10:1である

【0012】
一実施形態において、本発明において提供される充填ポリマー組成物は、プロピレン、
1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンまたはそれらの組合せから選択
されるα−オレフィンを含む。
【0013】
他の実施形態において、本発明において提供される充填組成物に使用されるエチレン/
α−オレフィン共重合体は、ASTM D−1238、条件190℃/2.16kgによ
って測定されるメルトインデックスを、約0.1〜約2000g/10分の範囲で有する
。いくつかの実施形態において、ASTM D−1238、条件190℃/2.16kg
によって測定されるメルトインデックスが、約1〜約1500、約2〜約1000、約5
〜約500、0.3〜約10g/10分の範囲である。特定の実施形態において、エチレ
ン/α−オレフィン共重合体は、ASTM D−1238、条件190℃/2.16kg
によって測定されるメルトインデックス約0.1g/10分、約3g/10分、または約
5g/10分を有する。
【0014】
一実施形態において、本発明において提供される充填ポリマー組成物中のエチレン/α
−オレフィン共重合体は、組成物の全重量の約5%〜約70%、約10%〜約50%、ま
たは約20%〜約30%の範囲で存在する。特定の実施形態において、エチレン/α−オ
レフィン共重合体は、組成物の全重量の約50%、約30%、または約12%で存在する

【0015】
他の実施形態において、本発明において提供される充填ポリマー組成物は、炭酸カルシ
ウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ガラス繊維、ナノ−ク
レー、タルク、カーボンブラック、グラファイト、フライアッシュ、セメントダスト、ク
レー、長石、霞石、シリカまたはガラス、ヒュームドシリカ、アルミナ、酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、二酸化チタン、チタネート、ガラス
微小球およびチョークから選択される充填剤を含む。いくつかの実施形態において、充填
剤は、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムから選択される。いくつかの実施形
態において、充填剤は、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウムから選択される。いくつかの
実施形態において、充填剤は炭酸カルシウムである。
【0016】
一実施形態において、充填剤は、組成物の全重量の約30%〜約95%の範囲で存在す
る。他の実施形態において、充填剤は、組成物の全重量の約40%〜約90%、約45%
〜約85%、または約50%〜約85%の範囲で存在する。いくつかの実施形態において
、充填剤は、組成物の全重量の約80%である。
【0017】
いくつかの実施形態において、本発明において提供される充填ポリマー組成物に使用さ
れるポリマーは、エチレン/α−オレフィンコポリマーのブレンドである。他の実施形態
において、本発明において提供される充填ポリマー組成物は、第二ポリマーをさらに含む
。本発明に使用される第二ポリマーの例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビ
ニル、エチレン−プロピレンコポリマー、(エチレン−コ−酢酸ビニル)、エチレン、プ
ロピレン、非共役ジエンのターポリマー、エチレンおよび酢酸ビニルの混合ポリマー、ス
チレン−ブタジエン混合ポリマー、およびそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定
されない。
【0018】
いくつかの実施形態において、本発明において提供される充填ポリマー組成物は、少な
くとも1つの可塑剤を含む。本発明に使用される可塑剤としては、プロセス油、エポキシ
化油、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、またはそれらの組合せが挙
げられるが、それらに限定されない。一実施形態において、可塑剤は、プロセス油、例え
ば、パラフィン系プロセス油、芳香族プロセス油、ナフテン系プロセス油、またはそれら
の組合せを含む。他の実施形態において、可塑剤は、パラフィン系プロセス油を含む。い
くつかの実施形態において、可塑剤は、パラフィン系プロセス油およびステアリン酸を含
む。いくつかの実施形態において、可塑剤は、組成物の全重量の約1%〜約15%、約1
%〜約10%、約1%〜約9%、約2%〜約8%、約3%〜約7%、または約4%〜約6
%の量で存在する。他の実施形態において、可塑剤は、組成物の全重量の約1%未満で存
在する。
【0019】
一実施形態において、充填ポリマー組成物は、添加剤、例えば、粘着防止剤、酸化防止
剤、紫外線安定剤、着色剤、架橋剤、難燃剤、帯電防止剤、またはそれらの組合せをさら
に含む。
【0020】
本発明において提供される組成物は、消音物品、自動車カーペット、屋根材、ワイヤま
たはケーブルコーティング、フロアタイル、フロアシート、異形材、ガスケットまたはフ
ロアマットを製造するのに使用される。
【0021】
本明細書に記載されるように、エチレン/α−オレフィン共重合体を充填剤とブレンド
することを含む、物品の製造法も提供する。
【0022】
本発明の他の態様、本発明の種々の実施形態の特徴および特性は、以下の記載から明ら
かである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
一般定義
「ポリマー」は、同じかまたは異なる種類のモノマーを重合させることによって生成さ
れる高分子化合物を意味する。総称語「ポリマー」は、「ホモポリマー」、「コポリマー
」、「ターポリマー」ならびに「共重合体(interpolymer)」という用語を包含する。
【0024】
「共重合体(interpolymer)」は、少なくとも2種類のモノマーを重合させることによ
って生成されるポリマーを意味する。総称語「共重合体」は、「コポリマー」(異なる2
種類のモノマーから生成されるポリマーを指すために一般に使用される)という用語、な
らびに「ターポリマー」(異なる3種類のモノマーから生成されるポリマーを指すために
一般に使用される)という用語を包含する。この語は、4種類またはそれ以上のモノマー
を重合させることによって生成されるポリマーも包含する。
【0025】
「エチレン/α−オレフィン共重合体」という用語は、エチレン、および3個またはそ
れ以上の炭素原子を有するα−オレフィンを含むポリマーを一般に意味する。好ましくは
、エチレンは、全ポリマーの過半モル画分を構成し、即ち、エチレンは全ポリマーの少な
くとも約50モル%を構成する。より好ましくは、エチレンは、少なくとも約60モル%
、少なくとも約70モル%、または少なくとも約80モル%を構成し、全ポリマーの実質
的残部は、3個またはそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィンであるのが好ましい少
なくとも1つの他のコモノマーを含む。多くのエチレン/オクテンコポリマーについて、
好ましい組成は、全ポリマーの約80モル%より大きいエチレン含量、および全ポリマー
の約10〜約15モル%、好ましくは約15〜約20モル%のオクテン含量を含む。いく
つかの実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は、低収量で、または少量
で、または化学工程の副生成物として、生成されるものを包含しない。エチレン/α−オ
レフィン共重合体は1つまたはそれ以上のポリマーとブレンドすることができるが、生成
されたままのエチレン/α−オレフィン共重合体は、実質的に純粋であり、重合工程の反
応生成物の主要成分を構成することが多い。
【0026】
エチレン/α−オレフィン共重合体は、化学的または物理的特性において異なる2つま
たはそれ以上の重合モノマー単位の多数のブロックまたはセグメントを特徴とし、重合形
態のエチレンおよび1つまたはそれ以上の共重合性α−オレフィンコモノマーを含む。即
ち、エチレン/α−オレフィン共重合体は、ブロック共重合体、好ましくはマルチブロッ
クの共重合体またはコポリマーである。「共重合体」および「コポリマー」という用語は
、本明細書において同義的に使用される。いくつかの実施形態において、マルチブロック
コポリマーは、下記式によって表すことができ:
(AB)
式中、nは少なくとも1、好ましくは1より大きい整数、例えば、2、3、4、5、10
、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100またはそれ以上であ
り、「A」はハードのブロックまたはセグメントを表し、「B」はソフトのブロックまた
はセグメントを表す。好ましくは、AおよびBは、実質的に分岐または実質的に星状では
なく、実質的に直鎖状に結合している。他の実施形態において、AブロックおよびBブロ
ックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。換言すれば、ブロックコポリマー
は、通常、下記の構造を有さない:
AAA−AA-BBB−BB
さらに他の実施形態において、ブロックコポリマーは、種々のコモノマーを含む第三型の
ブロック(a third type of block)を通常有さない。さらに他の実施形態において、ブロ
ックAおよびブロックBはそれぞれ、ブロック内に実質的にランダムに分布したモノマー
またはコモノマーを有する。換言すれば、ブロックAもブロックBも、明確な組成の2つ
またはそれ以上のサブ−セグメント(またはサブブロック)、例えば、ブロックの残りと
実質的に異なる組成を有するチップセグメント、を含まない。
【0027】
マルチブロックポリマーは、一般に、種々の量の「ハード」および「ソフト」セグメン
トを含む。「ハード」セグメントは、エチレンがポリマー重量に基づいて約95重量%(
wt%)より大きい、好ましくは約98wt%より大きい量で存在する重合単位のブロッ
クを意味する。換言すれば、ハードセグメントにおけるコモノマー含量(エチレン以外の
モノマーの含量)は、ポリマー重量に基づいて約5wt%未満、好ましくは約2wt%未
満である。いくつかの実施形態において、ハードセグメントは、全てまたは実質的に全て
エチレンで構成されている。これに対して、「ソフト」セグメントは、コモノマー含量(
エチレン以外のモノマー含量)が、ポリマー重量に基づいて約5wt%より大きい、好ま
しくは約8wt%より大きい、約10wt%より大きい、または約15wt%より大きい
重合単位のブロックを意味する。いくつかの実施形態において、ソフトセグメントにおけ
るコモノマー含量は、約20wt%より大きい、約25wt%より大きい、約30wt%
より大きい、約35wt%より大きい、約40wt%より大きい、約45wt%より大き
い、約50wt%より大きい、または約60wt%より大きくてもよい。
【0028】
ソフトセグメントは、ブロック共重合体中に、ブロック共重合体の全重量の約1wt%
〜約99wt%、好ましくは約5wt%〜約95wt%、約10wt%〜約90wt%、
約15wt%〜約85wt%、約20wt%〜約80wt%、約25wt%〜約75wt
%、約30wt%〜約70wt%、約35wt%〜約65wt%、約40wt%〜約60
wt%、約45wt%〜約55wt%で存在しうることが多い。逆に言えば、ハードセグ
メントは同様の範囲で存在しうる。ソフトセグメントwt%およびハードセグメントwt
%は、DSCまたはNMRから得られるデータに基づいて計算できる。そのような方法お
よび計算は、同時出願の米国特許出願第 号(判明時に挿入する)(代理人事件番
号第385063−999558号;発明の名称「エチレン/α−オレフィンブロック共
重合体」;出願日2006年3月15日;出願人Colin L. P. Shan、Lonnie Hazlittら;
譲受人Dow Global Technologies Inc.)に開示されており、その開示は参照により全体と
して本明細書に組み込まれる。
【0029】
「結晶性」という用語が使用される場合、示差走査熱量測定法(DSC)または同等法
によって測定される一次転移点または結晶融点(Tm)を有するポリマーを意味する。そ
の用語は「半結晶性」という用語と同義的に使用しうる。「非結晶性」という用語は、示
差走査熱量測定法(DSC)または同等法によって測定される結晶融点(Tm)を有さな
いポリマーを意味する。
【0030】
「マルチブロックコポリマー」または「セグメント化コポリマー」という用語は、直鎖
状に結合しているのが好ましい2つまたはそれ以上の化学的に明確に区分された領域また
はセグメント(「ブロック」と称される)を含有するポリマー、即ち、ペンデントまたは
グラフト的ではなく、重合エチレン官能基に対して末端間で結合している化学的に区別さ
れる単位を有するポリマーを意味する。好ましい実施形態において、ブロックは、それら
に組み込まれたコモノマーの量または種類、密度、結晶化度の量、そのような組成のポリ
マーに起因する微結晶寸法、タクチシティの型(アイソタクチックまたはシンジオタクチ
ック)または程度、位置規則性または位置不規則性、分岐(長鎖分岐または過分岐を含む
)の量、均質性、または他のあらゆる化学的または物理的特性おいて異なる。マルチブロ
ックコポリマーは、コポリマーの独特な製造法により、両方の多分散性指数(PDIまた
はMw/Mn)の固有分布、ブロック長分布、および/またはブロック数分布によって特
徴付けられる。より具体的には、連続法で製造した場合、ポリマーは、1.7〜2.9、
好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.8〜2.2、最も好ましくは1.8〜2
.1のPDIを有するのが望ましい。回分法または半回分法で製造した場合、ポリマーは
、1.0〜2.9、好ましくは1.3〜2.5、より好ましくは1.4〜2.0、最も好
ましくは1.4〜1.8のPDIを有する。
【0031】
以下の記載において、本明細書に開示される全ての数値は、「約」または「ほぼ」とい
う用語がそれらに関して使用されているかどうかに関係なく、およその数値である。それ
らは、1%、2%、5%、またはある場合には10〜20%で変化しうる。下限値RLお
よび上限値RUを有する数値範囲が示されている場合、その範囲内のあらゆる数値が明確
に開示される。特に、その範囲内の下記の数値が明確に開示される:R=RL+k(R
U−RL);ここで、kは、1%増分で1%〜100%の変数であり、即ち、kは、1%
、2%、3%、4%、5%、…、50%、51%、52%、…、95%、96%、97%
、98%、99%または100%である。さらに、先に定義した2つのRの数値によって
定義されるあらゆる数値範囲も明確に開示される。
【0032】
充填ポリマー組成物
所望されるノイズ改善特性、振動改善特性およびハーシュネス改善特性を有する充填ポ
リマー組成物が本発明において提供する。本発明において提供される充填ポリマー組成物
は、下記物質を含む:
A.エチレン/α−オレフィン共重合体であるポリマー、および
B.充填剤。
【0033】
特定の態様において、組成物は下記物質をさらに含む:C.可塑剤、および任意にD.
添加剤。本発明において提供される充填ポリマー組成物は、特有の物理的特性、例えば、
より高い耐熱性、より優れた可撓性、および耐熱性−低モジュラスバランスの改善を有し
、それらの特性は、自動車床材および屋根、ケーブルおよびワイヤにおいて、ノイズ、振
動およびハーシュネスを改善する種々の用途に使用するのに、該組成物を好適なものにす
る。
【0034】
さらに、従来のポリオレフィンコポリマーおよびブレンドと比較して、本発明において
提供されるエチレン/α−オレフィン共重合体およびブレンドは、より高い結晶化温度を
示す。本発明において提供されるエチレン/α−オレフィン共重合体組成物は、従来のラ
ンダムコポリマー組成物と比較して、比較的高い温度において、より高い未処理(green
)強度を示し、これは、より高い硬化時間、より短い硬化時間を可能にし、従って、射出
成形、カレンダリング、熱成形および他の類似した種類の操作におけるより速い製造速度
を可能にする。ランダムコポリマーと比較して、エチレン/α−オレフィン共重合体のよ
り高い結晶化温度は、より少ない収縮を生じる。
【0035】
成分A:ポリマー
エチレン/α−オレフィン共重合体
本発明の実施形態において用いられるエチレン/α−オレフィン共重合体(「本発明の
共重合体」、「本発明のポリマー」とも呼ばれる)は、エチレンおよび1またはそれ以上
の共重合可能なα−オレフィンコモノマーを重合型で含み、、化学的または物理的な特性
において異なる2つまたはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロックまたはセグメン
ト(ブロック共重合体)によって特徴付けられ、好ましくはマルチブロックコポリマーで
あるる。このエチレン/α−オレフィン共重合体は、下に記載されるような1つまたはそ
れ以上の態様によって特徴付けられる。
【0036】
一態様では、本発明の実施形態で用いられるエチレン/α−オレフィン共重合体は、約
1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(℃)、および密度d(g/
cm)を有し、この変数の数値は:
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)、そして好まし
くは、
Tm≧−6288.1+13141(d)−6720.3(d)、そして好ましく
は、
Tm≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)
の関係に相当する。
【0037】
このような融点/密度の関係は、図1に図示される。融点が密度とともに低下するエチ
レン/α−オレフィンの従来のランダムコポリマーとは異なり、特に密度が約0.87g
/cc〜約0.95g/ccである場合、本発明の共重合体(ひし形で示す)は、密度と
は実質的に独立した融点を示す。例えば、このようなポリマーの融点は、密度が約0.8
75g/cc〜約0.945g/ccにわたる場合、約110℃〜約130℃の範囲であ
る。ある実施形態では、このようなポリマーの融点は、密度が約0.875g/cc〜約
0.945g/ccにわたる場合、約115℃〜約125℃の範囲である。
【0038】
別の態様では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、重合型で、エチレンおよび
1またはそれ以上のα−オレフィンを含み、そして最高の示差走査熱量測定(「DSC」
)ピーク温度から最高の結晶分析分別(Crystallization Analys
is Fractionation)(「CRYSTAF」)ピークの温度を引いた温度
として定義されるΔT(℃)および融解熱ΔH(J/g)によって特徴付けられ、そして
ΔTおよびΔHの数値が、ΔHが130J/g以下の場合、以下の関係:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、そして好ましくは、
ΔT≧−0.1299(ΔH)+64.38、そしてより好ましくは、
ΔT≧−0.1299(ΔH)+65.95
を満たす。さらに、ΔTは、ΔHが130J/gより大きい場合、48℃以上である。C
RYSTAFピークは、累積ポリマーのうちの少なくとも5%を用いて決定される(すな
わち、このピークは、累積ポリマーの少なくとも5%に相当するはずである)、そしてこ
のポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CR
YSTAF温度が30℃であり、そしてΔHは、融解熱(J/g)の数値である。より好
ましくは、最高CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも10パーセントを含
む。図2は、本発明のポリマーのプロットされたデータ、および比較例を示す。積分され
たピーク面積およびピーク温度は、機器製造業者によって供給されるコンピュータ図形作
成プログラムによって算出される。ランダムエチレン・オクテン比較ポリマーについて示
される対角線は、方程式ΔT=−0.1299(ΔH)+62.81に相当する。
【0039】
さらに別の態様では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、昇温溶離分別法(T
emperature Rising Elution Fractionation)
(「TREF」)を用いて分画される場合、40℃と130℃との間で溶出する分子画分
であって、この同じ温度の間で溶出する比較対象となるランダムエチレン共重合体画分の
コモノマーモル含量よりも高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましく
は少なくとも10パーセント高い、コモノマーモル含量を有するという点で特徴付けられ
る画分を有し、ここで、この比較対象となるランダムエチレン共重合体が同じコモノマー
(単数または複数)を有し、かつメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量
(ポリマー全体に基づく)をこのブロック共重合体のものから10パーセント内に有する
。好ましくは、この比較対象となる共重合体のMw/Mnはまた、そのブロック共重合体
のMw/Mnから10パーセント内にあるか、そして/またはこの比較対象となる共重合
体は、このブロック共重合体のMw/Mnから10パーセント内にある総コモノマー含量
を有する。
【0040】
さらに別の態様では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレン/α−オレ
フィン共重合体の圧縮成形フィルムで測定された、300パーセントのひずみかつ1サイ
クルにおける、弾性回復率Re(%)によって特徴付けられ、かつ密度d(グラム/立方
センチメートル)を有し、このReおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィン共重合
体が実質的に架橋相を有さない場合、以下の関係、
Re>1481−1629(d);そして好ましくは、
Re≧1491−1629(d);そしてさらに好ましくは、
Re≧1501−1629(d);そしてよれより好ましくは、
Re≧1511−1629(d)
を満たす。
【0041】
図3は、特定の本発明の共重合体および従来のランダムコポリマーから作成された未延
伸フィルムについての弾性回復率に対する密度の効果を示す。同じ密度について、本発明
の共重合体は、実質的により高い弾性回復率を有する。
【0042】
ある実施形態では、エチレン/α−オレフィン共重合体は、10MPaを超える引張強
度、好ましくは11MPa以上の引張強度、より好ましくは13Mpa以上の引張強度、
および/または、11cm/分のクロスヘッド分離速度で、少なくとも600パーセント
、より好ましくは少なくとも700パーセント、特に好ましくは少なくとも800パーセ
ント、そして最も高度に好ましくは少なくとも900パーセントの破断点伸度を有する。
【0043】
他の実施形態では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、(1)1〜50、好ま
しくは1〜20、より好ましくは1〜10という貯蔵弾性率比G’(25℃)/G’(1
00℃);および/または(2)80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満、
特に60パーセント未満、50パーセント未満、または40パーセント未満という70℃
圧縮永久ひずみを、0パーセントの圧縮永久ひずみまで下がって、有する。
【0044】
さらに他の実施形態では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、80パーセント
未満、70パーセント未満、60パーセント未満、または50パーセント未満、という7
0℃圧縮永久ひずみを有する。好ましくは、共重合体の70℃圧縮永久ひずみは、40パ
ーセント未満、30パーセント未満、20パーセント未満であり、そして約0パーセント
まで下がってもよい。
【0045】
ある実施形態では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、85J/g未満の融解
熱、および/または100ポンド/フィート(4800Pa)以下、好ましくは50ポ
ンド/フィート(2400Pa)以下、特に、5ポンド/フィート(240Pa)以
下、そして0ポンド/フィート(0Pa)程度のペレットブロッキング強度を有する。
【0046】
他の実施形態では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、重合型で、少なくとも
50モルパーセントのエチレンを含み、そして80パーセント未満、好ましくは70パー
セント未満、または60パーセント未満、最も好ましくは40〜50パーセント、そして
ゼロパーセント近くまで下がるという70℃圧縮永久ひずみを有する。
【0047】
ある実施形態では、このマルチブロックコポリマーは、ポアソン分布よりもシュルツ・
フローリー分布にあてはまるPDIを保有する。このコポリマーはさらに、多分散性ブロ
ック分布と多分散性ブロックサイズ分布の両方を有し、かつブロック長の最確分布を保有
すると特徴付けられる。好ましいマルチブロックコポリマーは、末端ブロックを含めて、
4つまたはそれ以上のブロックまたはセグメントを含むものを含むものである。さらに好
ましくは、このコポリマーは、末端ブロックを含めて、少なくとも5、10もしくは20
のブロックまたはセグメントを含む。
【0048】
コモノマー含量は、任意の適切な技術を用いて測定され得、好ましくは核磁気共鳴(「
NMR」)分光法に基づく技術による。さらに、比較的広範なTREF曲線を有するポリマ
ーまたはポリマーの混合物については、ポリマーは望ましくは、TREFを用いて、各々
が10℃以下の溶出温度範囲を有する画分に最初に分画される。すなわち、各々の溶出画
分は、10℃以下という収集温度領域を有する。この技術を用いて、このようなブロック
共重合体は、比較対象となる共重合体の対応する画分よりも高モルのコモノマー含量を有
する、少なくとも1つのこのような画分を有する。
【0049】
別の態様では、本発明のポリマーはオレフィン共重合体であって、好ましくは、エチレ
ンおよび1またはそれ以上の共重合可能コモノマーを重合型で含み、化学的または物理的
な特性において異なる2またはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロック(すなわち
、少なくとも2つのブロック)またはセグメントによって特徴付けられ(ブロックされた
共重合体)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーである。このブロック共重合体は
、あるピーク(ただし単なる分子画分ではない)を有し、このピークは、40℃〜130
℃で溶出し(ただし、個々の画分の収集および/または単離はない)、このピークが、半
値全幅(full width/half maximum)(FWHM)面積計算を用いて展開される場合、赤
外線分光法によって評価されるコモノマー含量を有し、同じ溶出温度で半値全幅(FWH
M)面積計算を用いて展開された、比較対象となるランダムエチレン共重合体のピークの
コモノマー含量よりも高い(好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少
なくとも10パーセント高い)コモノマーの平均モル含量を有しする点で特徴づけられる
。ここで、この比較対象となるランダムエチレン共重合体は、同じコモノマー(単数また
は複数)を有し、かつメルトインデックス、密度、およびコモノマーのモル含量(ポリマ
ー全体に基づく)をそのブロックされた共重合体のものから10パーセント内に有する。
好ましくは、この比較対象となる共重合体のMw/Mnはまた、ブロックされた共重合体
のMw/Mnから10パーセント内にあるか、そして/またはこの比較対象となる共重合
体は、ブロックされた共重合体の総コモノマー含量から10パーセント内に総コモノマー
含量を有する。半値全幅(FWHM)計算は、ATREF赤外検出器由来のメチレンに対
するメチルの反応面積の比[CH/CH]に基づき、この最も高(最高)のピークは
、ベースラインから特定され、次いでこのFWHM面積が決定される。ATREFピーク
を用いて測定された分布については、FWHM面積は、TとTとの間の曲線下面積と
して規定され、このTとTは、ピーク高さを2で割ること、次にATREF曲線の左
部分および右部分を横切る、ベースラインに対して水平な線を引くことによって、ATR
EFピークの左右に対してポイント決定される。コモノマー含量についての検量線は、ラ
ンダムエチレン/α−オレフィンコポリマーを用いて、TREFのピークのNMR対FW
HM面積の比からコモノマー含量をプロットして行われる。この赤外方法については、こ
の検量線は、目的の同じコモノマータイプについて作成する。本発明のポリマーのTRE
Fピークのコモノマー含量は、TREFピークのFWHMのメチル:メチレン面積比[C
/CH]を用いてこの検量線を参照することによって決定され得る。
【0050】
コモノマー含量は、任意の適切な技術を用いて測定され得、好ましくは核磁気共鳴(「
NMR」)分光法に基づく技術による。この技術を用いて、このブロックされた共重合体
は、対応する比較対象となる共重合体よりも高モルのコモノマー含量を有する。
【0051】
好ましくは、エチレンおよび1−オクテンの共重合体について、このブロック共重合体
は、40℃と130℃の間で溶出するTREF画分のコモノマー含量を量(−0.201
3)T+20.07以上、より好ましくは量(−0.2013)T+21.07以上有し
、このTとは、℃で測定した、比較されているTREF画分のピーク溶出温度の数値であ
る。
【0052】
図4はエチレンおよび1−オクテンのブロック共重合体の実施形態をグラフ表示してお
り、ここではいくつかの比較対象となるエチレン/1−オクテン共重合体(ランダムコポ
リマー)についてのコモノマー含量対TREF溶出温度のプロットが、(−0.2013
)T+20.07(実線)に相当する線に適合する。この式(−0.2013)T+21
.07についての線は、破線で示される。本発明のいくつかのブロックエチレン/1−オ
クテン共重合体(マルチブロックコポリマー)の画分のコモノマー含量も示される。ブロ
ック共重合体画分の全てが、同等の溶出温度でいずれの線より有意に高い1−オクテン含
量を有する。この結果は、本発明の共重合体の特徴であって、結晶質および非結晶質の両
方の性質を有する、ポリマー鎖内の分化型のブロックの存在に起因すると考えられる。
【0053】
図5は、実施例5および下で考察される比較のFについてのポリマー画分のTREF曲
線およびコモノマー含量をグラフ表示する。両方のポリマーについて40〜130℃、好
ましくは60℃〜95℃で溶出するピークを、各々の部分が10℃未満の温度範囲にわた
って溶出する3つの部分に分画する。実施例5についての実際のデータは三角で示す。種
々のコモノマーを含有する共重合体について適切な検量線を作成することができ、それが
、同じモノマーの比較共重合体、好ましくはメタロセンまたは他の均一系触媒組成物を用
いて製造されるランダムコポリマーから得られたTREF値とフィッティングさせる比較
として用いられる線であり得ることは、当業者には理解され得る。本発明の共重合体は、
同じTREF溶出温度で検量線から決定された値より大きい(好ましくは、少なくとも5
パーセント大きい、より好ましくは少なくとも10パーセント大きい)コモノマーのモル
含量で特徴付けられる。
【0054】
上記の態様および本明細書に記載される特性に加えて、本発明のポリマーは、1または
それ以上のさらなる特徴によって特徴付けられ得る。一態様では、本発明のポリマーは、
オレフィン共重合体であり、好ましくは、エチレンおよび1またはそれ以上の共重合可能
コモノマーを重合型で含み、化学的または物理的な特性において異なる2またはそれ以上
の重合モノマー単位の複数のブロックまたはセグメントによって特徴付けられ(ブロック
された共重合体)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーである。このブロック共重
合体は、TREF増分を用いて分画した場合、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有
し、この画分は、同じ温度の間で溶出する、比較対象となるランダムエチレン共重合体画
分のコモノマーのモル含量よりも高い(好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好
ましくは少なくとも10、15または25パーセント高い)コモノマーのモル含量を有す
るという点で特徴づけられ、ここで、この比較対象となるランダムエチレン共重合体は、
同じコモノマー(単数または複数)を含み、好ましくは、これは同じコモノマー(単数ま
たは複数)であり、そしてメルトインデックス、密度、およびコモノマーのモル含量(ポ
リマー全体に基づく)がそのブロックされた共重合体のものから10パーセント内にある
。好ましくは、この比較対象となる共重合体のMw/Mnもまた、ブロックされた共重合
体のMw/Mnから10パーセント内にあり、そして/またはこの比較対象となる共重合
体は、ブロックされた共重合体の総コモノマー含量から10パーセント内の総コモノマー
含量を有する。
【0055】
好ましくは、上記の共重合体は、エチレンおよび少なくとも1つのα−オレフィンの共
重合体であり、特に、それらの共重合体は、約0.855〜約0.935g/cmの全
体ポリマー密度を有し、そしてより詳細には、約1モルパーセントを超えるコモノマーを
有するポリマーについては、このブロックされた共重合体は、40〜130℃で溶出する
TREF画分のコモノマー含量を、量(−0.1356)T+13.89以上、より好ま
しくは量(−0.1356)T+14.93以上、そして最も好ましくは、量(−0.2
013)T+21.07以上有し、Tとは、℃で測定した、比較されているTREF画分
のピークATREF溶出温度の数値である。
【0056】
好ましくは、エチレンおよび少なくとも1つのα−オレフィンの上記の共重合体、特に
、0.855〜約0.935g/cmというポリマー全体密度を有する共重合体につい
て、そしてさらに詳細には、約1モルパーセントを超えるコモノマーを有するポリマーに
ついて、ブロックされた共重合体は、40℃〜130℃で溶出するTREF画分のコモノ
マー含量を、量(−0.2013)T+20.07以上、より好ましくは量(−0.20
13)T+21.07以上有し、Tとは、℃で測定した、比較されているTREF画分の
ピーク溶出温度の数値である。
【0057】
さらに別の態様では、本発明のポリマーは、オレフィン共重合体であり、好ましくは、
エチレンおよび1またはそれ以上の共重合可能コモノマーを重合型で含み、化学的または
物理的な特性において異なる2またはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロックまた
はセグメントによって特徴付けられ(ブロックされた共重合体)、最も好ましくはマルチ
ブロックコポリマーである。このブロック共重合体は、TREF増分を用いて分画した場
合、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、少なくとも約6モルパーセントのコモ
ノマー含量を有するあらゆる画分が、約100℃より大きい融点を有するという点で特徴
付けられる。約3モルパーセント〜約6モルパーセントのコモノマー含量を有する画分に
ついては、あらゆる画分が約110℃以上というDSC融点を有する。より好ましくは、
このポリマー画分は、少なくとも1モルパーセントのコモノマーを有し、式:
Tm≧(−5.5926)(画分中のモルパーセントコモノマー)+135.90
に相当するDSC融点を有する。
【0058】
さらに別の態様では、本発明のポリマーは、オレフィン共重合体であり、好ましくは、
エチレンおよび1またはそれ以上の共重合可能コモノマーを重合型で含み、化学的または
物理的な特性において異なる2またはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロックまた
はセグメントによって特徴付けられ(ブロックされた共重合体)、最も好ましくはマルチ
ブロックコポリマーである。このブロック共重合体は、TREF増分を用いて分画した場
合、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、この画分は、約76℃以上のATRE
F溶出温度を有するあらゆる画分が、式:
融解熱(J/gm)≦(3.1718)(ATREF溶出温度(℃))−136.5

に相当する、DSCによって測定された融解エンタルピー(融解熱)を有するという点で
特徴付けられる。
【0059】
本発明のブロック共重合体は、TREF増分を用いて分画された場合、40℃〜130
℃で溶出する分子画分を有し、40℃と約76℃未満との間のATREF溶出温度を有す
るあらゆる画分が、式:
融解熱(J/gm)≦(1.1312)(ATREF溶出温度(℃))+22.97
に相当する、DSCによって測定された融解エンタルピー(融解熱)を有するという点で
特徴付けられる。
【0060】
赤外線検出器によるATREFピークのコモノマー組成測定
TREFピークのコモノマー組成は、Polymer Char,Valencia,
Spain(http://www.polymerchar.com/)から入手可能
なIR4赤外検出器を用いて測定され得る。
【0061】
検出器の「組成モード」は、測定センサー(CH)および組成センサー(CH)を
装備しており、これは2800〜3000cm−1の領域における狭帯域固定型赤外線フ
ィルタである。この測定センサーは、ポリマー上のメチレン(CH)炭素(これは、溶
液中のポリマー濃度に直接関係する)を検出するが、組成センサーは、ポリマーのメチル
(CH)基を検出する。組成シグナル(CH)を測定シグナル(CH)によって割
った算術比は、溶液中の測定されたポリマーのコモノマー含量の影響を受けやすく、その
応答は、公知のエチレンα−オレフィンコポリマー標準を用いて較正される。
【0062】
ATREF装置を用いる場合、検出器によって、TREFプロセスの間の溶出されたポ
リマーの濃度(CH)および組成(CH)両方のシグナル応答が得られる。ポリマー
特異的な較正は、既知コモノマー含量(好ましくはNMRによって測定される)を有する
ポリマーについてCH対CHの面積比を測定することによって作成され得る。ポリマ
ーのATREFピークのコモノマー含量は、個々のCHおよびCH応答について面積
の比の比較較正を適用することによって推定され得る(すなわち、面積比CH/CH
対コモノマー含量)。
【0063】
ピーク面積は、適切なベースラインを適用してTREFクロマトグラムからの個々のシ
グナル応答を積分した後、半値全幅(FWHM)計算を用いて算出することができる。こ
の半値全幅算出は、ATREF赤外検出器からのメチル対メチレンの応答面積比[CH
/CH]の比に基づき、ここでこの最も高い(最高の)ピークはベースラインから特定
され、次いでFWHM面積が決定される。ATREFピークを用いて測定される分布につ
いては、FWHM面積は、T1とT2との間の曲線下面積として規定され、ここでT1お
よびT2は、ピーク高さを2で割ること、次にATREF曲線の左部分および右部分を横
切る、ベースラインに対して水平な線を引くことによって、ATREFピークの左右に対
してポイント決定される。
【0064】
このATREF赤外方法においてポリマーのコモノマー含量を測定するための赤外線分
光法の適用は、原理的には、以下の引用文献:Markovich,Ronald P.;Hazlitt,Lonnie G.;S
mith,Linley;「Development of gel-permeation chromatography-Fourier transform inf
rared spectroscopy for characterization of ethylene-based polyolefin copolymers
」.Polymeric Materials Science and Engineering(1991),65,98-100;およびDeslauriers
,P.J.;Rohlfing,D.C.;Shieh,E.T.;「Quantifying short chain branching microstructur
es in ethylene-1-olefin copolymers using size exclusion chromatography and Fouri
er transform infrared spectroscopy(SEC-FTIR)」,Polymer(2002),43,59-170、に記載さ
れるようなGPC/FTIRシステムのものと同様であり、その両方の引用文献とも、そ
の全体が本明細書において参照によって援用される。
【0065】
他の実施形態では、本発明のエチレン/α−オレフィン共重合体は、ゼロより大きくか
つ最大約1.0までである平均ブロックインデックス、および約1.3より大きい分子量
分布Mw/Mnによって特徴付けられる。この平均ブロックインデックスABIは、5℃
の増分で、20℃〜110℃の分取TREFで得られたポリマー画分の各々についてのブ
ロックインデックス(「BI」)の重量平均であり:
ABI=Σ(wBI
ここでBIは、分取TREFで得られた本発明のエチレン/α−オレフィン共重合体の
i番目の画分についてのブロックインデックスであり、そしてwは、i番目の画分の重
量パーセンテージである。
【0066】
各々のポリマー画分について、BIは、以下の2つの式(その両方とも同じBI値を与
える)のうちの1つによって規定され:
【数1】

ここでTはi番目の画分についての分取ATREF溶出温度(好ましくはケルビン温度
で表される)であり、Pは、i番目の画分のエチレンモル画分であって、上記のような
NMRまたはIRによって測定され得る。PABは、エチレン/α−オレフィン共重合体
全体のエチレンモル分率(分画前)であり、これもNMRまたはIRによって測定され得
る。TおよびPは、純粋な「ハードセグメント」(これは共重合体の結晶性セグメン
トをいう)についてのATREF溶出温度およびエチレンモル画分である。一次の近似と
して、このTおよびPの値は、この「ハードセグメント」についての実測値を得るこ
とができない場合、高密度ポリエチレンホモポリマーについての値に設定される。本明細
書において行われる計算については、Tは372°Kであって、Pは1である。
【0067】
ABは、同じ組成であって、PABというエチレンモル画分を有するランダムコポリ
マーについてのATREF温度である。TABは、以下の式:
LnPAB=α/TAB+β
から計算されてもよく、
ここでαおよびβは多数の公知のランダムエチレンコポリマーを用いる検量によって決定
され得る2つの定数である。αおよびβは、装置間で変化し得ることに注意すべきである
。さらに、目的のポリマー組成を用いて、そしてそれらの画分と同様の分子量範囲に関し
ても、それら自体の検量線を作成する必要がある。わずかな分子量効果がある。この検量
線が、類似の分子量範囲から得られる場合、このような効果は、本質的に無視できる。あ
る実施形態では、ランダムエチレンコポリマーは、以下の関係:
LnP=−237.83/TATREF+0.639
を満たし、
xoは、同じ組成であって、Pというエチレンモル画分を有するランダムコポリマー
についてのATREF温度である。TXOは、LnP=α/TXO+βから算出されて
もよい。逆に、PXOは、同じ組成であって、LnPXO=α/T+βから算出され得
る、TというATREF温度を有するランダムコポリマーについてのエチレンモル画分
である。
【0068】
一旦、各々の分取TREF画分についてブロックインデックス(BI)が得られれば、
ポリマー全体についての重量平均ブロックインデックスABIが算出され得る。ある実施
形態では、ABIは、ゼロより大きいが、約0.3未満、または約0.1〜約0.3であ
る。他の実施形態では、ABIは、約0.3より大きく最大約1.0までである。好まし
くは、ABIは、約0.4〜約0.7、約0.5〜約0.7、約0.6〜約0.9の範囲
であるべきである。ある実施形態では、ABIは、約0.3〜約0.9、約0.3〜約0
.8、または約0.3〜約0.7、約0.3〜約0.6、約0.3〜約0.5、約0.3
〜約0.4の範囲である。他の実施形態では、ABIは、約0.4〜約1.0、約0.5
〜約1.0、または約0.6〜約1.0、約0.7〜約1.0、約0.8〜約1.0、ま
たは約0.9〜約1.0の範囲である。
【0069】
本発明のエチレン/α−オレフィン共重合体の別の特徴は、この本発明のエチレン/α
−オレフィン共重合体が、分取TREFによって得られ得る少なくとも1つのポリマー画
分を含み、この画分は約0.1より大きくかつ最大約1.0までのブロックインデックス
、約1.3より大きいM/Mを有する。ある実施形態では、このポリマー画分は、約
0.6より大きくかつ最大約1.0まで、約0.7より大きくかつ最大約1.0まで、約
0.8より大きくかつ最大約1.0まで、約0.9より大きくかつ最大約1.0までのブ
ロックインデックスを有する。他の実施形態では、このポリマー画分は、約0.1より大
きくかつ最大約1.0まで、約0.2より大きくかつ最大約1.0まで、約0.3より大
きくかつ最大約1.0まで、約0.4より大きくかつ最大約1.0まで、または約0.4
より大きくかつ最大約1.0までのブロックインデックスを有する。さらに他の実施形態
では、このポリマー画分は、約0.1より大きくかつ最大約0.5まで、約0.2より大
きくかつ最大約0.5まで、約0.3より大きくかつ最大約0.5まで、または約0.4
より大きくかつ最大約0.5までのブロックインデックスを有する。さらに他の実施形態
では、このポリマー画分は、約0.2より大きくかつ最大約0.9まで、約0.3より大
きくかつ最大約0.8まで、約0.4より大きくかつ最大約0.7まで、または約0.5
より大きくかつ最大約0.6までのブロックインデックスを有する。
【0070】
エチレンおよびα−オレフィンのコポリマーについては、本発明のポリマーは好ましく
は、(1)少なくとも1.3、より好ましくは少なくとも1.5、少なくとも1.7、ま
たは少なくとも2.0、そして最も好ましくは少なくとも2.6、5.0という最大値ま
で、より好ましくは3.5の最大値まで、そして特に2.7という最大値までのPDI;
(2)80J/g以下の融解熱;(3)少なくとも50重量パーセントのエチレン含量;
(4)−25℃未満、より好ましくは−30℃未満というガラス転移温度T、および/
または(5)唯一のTを保有する。
【0071】
さらに、本発明のポリマーは、log(G’)が100℃の温度で400kPa以上、
好ましくは1.0MPa以上であるような貯蔵弾性率G’を単独で、または本明細書に開
示される任意の他の特性と組み合わせて有することができる。さらに、本発明のポリマー
は、0〜100℃の範囲で温度の関数として比較的平坦な貯蔵弾性率を保有し(図6に図
示される)、これは、ブロックコポリマーの特徴であるが、オレフィンコポリマー、特に
、エチレンおよび1またはそれ以上のC3−8脂肪族α−オレフィンのコポリマーについ
ては今まで知られていない。(この文脈での「比較的平坦な」という用語は、50と10
0℃の間、好ましくは0℃と100℃の間でのlogG’(パスカル)の減少が、1ケタ
未満であることを意味する)。
【0072】
本発明の共重合体は、少なくとも90℃の温度で1mmという熱機械分析針入深度、お
よび3kpsi(20MPa)〜13kpsi(90MPa)という曲げ弾性率によって
さらに特徴付けられ得る。あるいは、本発明の共重合体は、少なくとも104℃の温度で
1mmという熱機械分析針入深度、そして少なくとも3kpsi(20MPa)という曲
げ弾性率を有し得る。それらは、90mm未満という耐摩耗性(または容積減少)を有
することで特徴づけられ得る。図7は、他の公知のポリマーと比較した場合の、本発明の
ポリマーについてのTMA(1mm)対曲げ弾性率を示す。本発明のポリマーは有意に、
他のポリマーよりもよい可撓性−耐熱性のバランスを有する。
【0073】
さらに、エチレン/α−オレフィン共重合体は、0.01〜2000g/10分、好ま
しくは0.01〜1000g/10分、さらに好ましくは0.01〜500g/10分、
そして特に0.01〜100g/10分というメルトインデックスIを有し得る。特定
の実施形態では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、0.01〜10g/10分
、0.5〜50g/10分、1〜30g/10分、1〜6g/10分または0.3〜10
g/10分というメルトインデックスIを有する。特定の実施形態では、このエチレン
/α−オレフィンポリマーのメルトインデックスは、1g/10分、3g/10分または
5g/10分である。
【0074】
このポリマーは、1,000g/モル〜5,000,000g/モル、好ましくは1,
000g/モル〜1,000,000g/モル、より好ましくは10,000g/モル〜
500,000g/モル、そして特に10,000g/モル〜300,000g/モルの
分子量Mを有し得る。本発明のポリマーの密度は、0.80〜0.99g/cmであ
り得、そして好ましくは、エチレン含有ポリマーについては0.85g/cm〜0.9
7g/cmであり得る。特定の実施形態では、このエチレン/α−オレフィンポリマー
の密度は、0.860〜0.925g/cmまたは0.867g/cm〜0.910
g/cmにおよぶ。
【0075】
このポリマーを作製するプロセスは、以下の特許出願に開示されている:2004年3
月17日出願の米国仮出願第60/553,906号;2005年3月17日出願の米国
仮出願第60/662,937号;2005年3月17日出願の米国仮出願第60/66
2,939号;2005年3月17日出願の米国仮出願第60/5662938号;20
05年3月17日出願のPCT出願第PCT/US2005/008916号;2005
年3月17日出願のPCT出願第2005/008915号;および2005年3月17
日出願のPCT出願第PCT/US2005/008917号;その全てがその全体が本
明細書において参照によって援用される。例えば、1つのこうした方法は、エチレンおよ
び場合によっては1つまたはそれ以上のエチレン以外の付加重合可能なモノマーを付加重
合条件下で触媒組成物と接触させることを含み、この触媒組成物は、
(A)高いコモノマー組み込みインデックスを有する第一のオレフィン重合触媒、
(B)触媒(A)のコモノマー組み込みインデックスの90パーセント未満、好ましく
は50パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のコモノマー組み込みインデッ
クスを有する第二のオレフィン重合触媒、および
(C)可逆的連鎖移動剤
を併せることによって得られる混合物または反応生成物を含有する。
【0076】
代表的な触媒および可逆的連鎖移動剤は以下のとおりである。
触媒(A1)は、WO03/40195、2003US0204017、USSN10
/429,024(2003年5月2日出願)、およびWO04/24740の教示に従
って調製した、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソ
プロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン
)]ハフニウムジメチルである。
【化1】

【0077】
触媒(A2)は、WO03/40195、2003US0204017、USSN10
/429,024(2003年5月2日出願)、およびWO04/24740の教示に従
って調製した、[N−2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−メチル
フェニル)(1,2−フェニレン−(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウム
ジメチルである。
【化2】

【0078】
触媒(A3)は、ビス[N,N’’’−(2,4,6−トリ(メチルフェニル)アミド
)エチレンジアミン]ハフニウムジベンジルである。
【化3】

【0079】
触媒(A4)は、US−A−2004/0010103の教示に実質的に従って調製さ
れた、ビス((2−オキソイル−3−(ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル)−5−(
メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)シクロヘキサン−1,2−ジイルジルコニ
ウム(IV)ジベンジルである。
【化4】

【0080】
触媒(B1)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−
(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルであ
る。
【化5】

【0081】
触媒(B2)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−
(2−メチルシクロヘキシル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベン
ジルである。
【化6】

【0082】
触媒(C1)は、米国特許第6,268,444号の教示に実質的に従って調製された
、(t−ブチルアミド)ジメチル(3−N−ピロリル−1,2,3,3a,7a−η−イ
ンデン−1−イル)シランチタンジメチルである。
【化7】

【0083】
触媒(C2)は、US−A−2003/004286の教示に実質的に従って調製され
た、(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,
7a−η−インデン−1−イル)シランチタンジメチルである。
【化8】

【0084】
触媒(C3)は、US−A−2003/004286の教示に実質的に従って調製され
た、(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,
8a−η−s−インダセン−1−イル)シランチタンジメチルである。
【化9】

【0085】
触媒(D1)は、Sigma−Aldrichから入手可能なビス(ジメチルジシロキ
サン)(インデン−1−イル)塩化ジルコニウムである。
【化10】

【0086】
可逆的移動剤(shuttling agent)。使用される可逆的移動剤(shuttling agent)とし
ては、ジエチル亜鉛、ジ(i−ブチル)亜鉛、ジ(n−ヘキシル)亜鉛、トリエチルアル
ミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリエチルガリウム、i−ブチルアルミニウムビ
ス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチ
ルシリル)アミド)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)、ビス
(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−
ペンチル)アミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキ
シド、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)、エチルアルミニ
ウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)、エチルアルミニウム(ジ(ビス(トリメチ
ルシリル)アミド)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシ
クロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1
−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル
)シロキシド、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)およびエチル亜鉛(t−
ブトキシド)が挙げられる。
【0087】
好ましくは、前述のプロセスは、相互変換できない複数の触媒を用いる、ブロックコポ
リマー、特にマルチブロックコポリマー、好ましくは2またはそれ以上のモノマー、さら
に詳細にはエチレンおよびC3−20オレフィンまたはシクロオレフィン、そして最も詳
細にはエチレンおよびC4−20α−オレフィンの線状マルチブロックコポリマーを形成
するための連続溶液プロセスの形態をとる。すなわち、この触媒は化学的に別個である。
連続的な溶液重合条件のもとで、このプロセスは理想的には、高いモノマー変換でのモノ
マーの混合物の重合に適している。これらの重合条件のもとで、可逆的連鎖移動剤(chai
n shuttling agent)から触媒への可逆的移動(shuttling)は、鎖成長に比較して有利に
なり、そしてマルチブロックコポリマー、詳細には線状マルチブロックコポリマーが高い
効率で形成される。
【0088】
本発明の共重合体は、逐次的モノマー付加、流動触媒、アニオンおよびカチオンリビン
グ重合技術により調製された従来のランダムコポリマー、ポリマーの物理的混合物および
ブロックコポリマーとは区別することができる。詳細には、同等の結晶性または弾性率で
同じモノマーおよびモノマー含量のランダムコポリマーと比較して、本発明の共重合体は
、融点で測定した場合には優れた(高い)耐熱性を、動的機械分析によって判定した場合
にはより高いTMA針入温度、より高い高温引張強度、および/またはより高い高温ねじ
り貯蔵弾性率(torsion storage modulus)を有する。同じモノマーおよびモノマー含量
を含有するランダムコポリマーと比較して、本発明の共重合体は、より低い圧縮永久ひず
み(特に、高温で)、より低い応力緩和、より高い耐クリープ性、より高い引裂強度、よ
り高い耐ブロッキング性、より高い結晶化(固化)温度に起因するより迅速な硬化、より
高い回復(特に高温で)、より良好な耐摩耗性、より高い収縮力、ならびにより良好な油
および充填剤の受け入れ能を有する。
【0089】
本発明の共重合体はまた、固有の結晶化および分枝分布関係を示す。すなわち、本発明
の共重合体は、特に、同じモノマーおよびモノマーレベルを含むランダムコポリマーまた
は等価の総合密度でのポリマーの物理的ブレンド(例えば、高密度ポリマーと低密度コポ
リマーとのブレンド)と比較して、CRYSTAFおよびDSCを用いて測定した、融解
熱の関数としての最高のピーク温度の間に比較的大きな差を有する。本発明の共重合体の
この固有の特徴は、ポリマーの骨格内のブロックにおけるコモノマーの一意的な分布に起
因すると考えられる。詳細には、本発明の共重合体は、異なるコモノマー含量(ホモポリ
マーブロックを含む)の交互のブロックを含んでもよい。本発明の共重合体はまた、異な
る密度またはコモノマー含量のポリマーブロックの数および/またはブロックサイズの分
布を含んでもよく、これは、シュルツ−フローリー(Schultz-Flory)型の分布である。
さらに、本発明の共重合体はまた、固有のピーク融点および結晶化温度プロフィールを有
し、これは実質的には、ポリマーの密度、弾性率および形態とは独立している。好ましい
実施形態では、ポリマーの微結晶性秩序は、特徴的な球晶およびラメラを示し、これは1
.7未満、または1.5未満、最低1.3未満のPDI値においてでさえ、ランダムコポ
リマーまたはブロックコポリマーとは区別できる。
【0090】
さらに、本発明の共重合体は、ブロッキネス(blockiness)の程度またはレベルに影響
する技術を用いて調製され得る。すなわち、コモノマーの量および各々のポリマーブロッ
クまたはセグメントの長さは、触媒および可逆的移動剤の比およびタイプ、ならびに重合
の温度および他の重合の変数を制御することによって変更され得る。この現象の驚くべき
利点は、ブロッキネスの程度が増大されるほど、得られたポリマーの光学的特性、引裂強
度および高温回復特性が改善されるという発見である。詳細には、曇りは減少するが、透
明度、引裂強度および高温回復特性は、ポリマーにおけるブロックの平均数の増大につれ
て増大する。可逆的移動剤および所望の可逆的移動能力(低レベルの連鎖停止反応を伴う
高い可逆的移動速度(shuttling))を有する触媒の組合せを選択することによって、他
の形態のポリマー停止は効率的に抑制される。従って、β水素化物脱離が、本発明の実施
形態によるエチレン/α−オレフィンコモノマー混合物の重合でほとんど観察されず、そ
して得られた結晶ブロックは高度に、または実質的に完全に線状であり、長鎖分枝をほと
んどまたはまったく保有しない。
【0091】
高結晶性連鎖末端を有するポリマーは、本発明に実施形態によって選択的に調製され得
る。エラストマー用途では、非結晶性のブロックで終わるポリマーの相対量を減少させる
ことによって、結晶性領域に対する分子間希薄化効果が減少される。この結果は、水素ま
たは他の連鎖反応停止剤に対して適切な応答を有する可逆的連鎖移動剤および触媒を選択
することによって得ることができる。詳細には、高結晶性ポリマーを生成する触媒が、(
例えば、より高いコモノマー組み込み、レジオ−エラー(regio-error)、またはアタク
チックポリマー形成によって)結晶性ポリマーセグメントをより少なく生成する原因とな
る触媒よりも(例えば、水素の使用による)連鎖反応停止を受けやすい場合には、高結晶
性ポリマーセグメントが、そのポリマーの末端部分を優先的に占める。得られる末端基が
結晶性であるだけでなく、停止次第、高結晶性のポリマー形成触媒部位は、ポリマー形成
の再始動にもう一度利用可能である。従って、最初に形成されたポリマーは、別の高結晶
性のポリマーセグメントである。従って、得られたマルチブロックコポリマーの両方の末
端は優先的に高度に結晶性である。
【0092】
本発明の実施形態で用いられるエチレンα−オレフィン共重合体は好ましくは、エチレ
ンと少なくとも1つのC−C20α−オレフィンとの共重合体である。エチレンおよび
−C20α−オレフィンのコポリマーが特に好ましい。この共重合体はさらに、C
−C18ジオレフィンおよび/またはアルケニルベンゼンを含んでもよい。エチレンとの
重合のために有用な適切な不飽和コモノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和モノマ
ー、共役または非共役ジエン、ポリエン、アルケニルベンゼンなどが挙げられる。このよ
うなコモノマーの例としては、C−C20α−オレフィン、例えば、プロピレン、イソ
ブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−
ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられる。1−ブテンおよび
1−オクテンが特に好ましい。他の適切なモノマーとしては、スチレン、ハロ置換スチレ
ンまたはアルキル置換スチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1
,7−オクタジエン、およびナフテン酸(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセンおよ
びシクロオクテン)が挙げられる。
【0093】
エチレン/α−オレフィン共重合体が好ましいポリマーであるが、他のエチレン/オレ
フィンポリマーも用いられ得る。本明細書において用いられるオレフィンとは、少なくと
も1つの炭素間二重結合を有する不飽和の炭化水素系化合物のファミリーをいう。触媒の
選択に依存して、オレフィンは、本発明の実施形態で用いられ得る。好ましくは、適切な
オレフィンは、ビニル不飽和を含むC−C20脂肪族化合物および芳香族化合物、なら
びに環状化合物、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、およ
びノルボルネンであって、これには、限定はしないが、C−C20ヒドロカルビル基ま
たはシクロヒドロカルビル基で5位および6位で置換されたノルボルネンが挙げられる。
このようなオレフィンの混合物、およびこのようなオレフィンとC−C40ジオレフィ
ン化合物との混合物も挙げられる。
【0094】
オレフィンモノマーの例としては、限定はしないが、プロピレン、イソブチレン、1−
ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−
デセンおよび1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、
1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1
−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシク
ロヘキサン、ノルボルナジエン、エチルイデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘ
キセン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、C−C40ジエンが挙げられ、これ
には限定はしないが、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエ
ン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、他のC−C
40α−オレフィンなどが挙げられる。特定の実施形態では、α−オレフィンは、プロピ
レン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンまたはそれらの組合せで
ある。ビニル基を含む任意の炭化水素が本発明の実施形態で用いられてもよいが、実際的
な問題、例えば、モノマーの有効性、コスト、および得られたポリマーから未反応のモノ
マーを都合よく除去する能力は、このモノマーの分子量が大きくなり過ぎると、さらに問
題となり得る。
【0095】
本明細書に記載される重合プロセスは、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、t−ブチルスチレンなどのモノビニリデン芳香族モノマーを含むオレフィンポリ
マーの生成に十分適している。詳細には、エチレンおよびスチレンを含む共重合体は、本
明細書の教示に従うことによって調製され得る。必要に応じて、エチレン、スチレンおよ
びC−C20αオレフィンを含み、必要に応じてC−C20ジエンを含み、改善され
た特性を有するコポリマーが調製され得る。
【0096】
適切な非共役ジエンモノマーは、6〜15個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖または環
状炭化水素ジエンであり得る。適切な非共役ジエンの例としては、限定はしないが、直鎖
非環式ジエン、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタ
ジエン、1,9−デカジエン、分枝鎖非環式ジエン、例えば、5−メチル−1,4−ヘキ
サジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;3,7−ジメチル−1,7−オク
タジエンおよびジヒドロミリセンおよびジヒドロオシネンの混合異性体、単環脂環式ジエ
ン、例えば、1,3−シクロペンタジエン;1,4−シクロヘキサジエン;1,5−シク
ロオクタジエンおよび1,5−シクロドデカジエン、ならびに多環脂環式縮合環ジエンお
よび多環脂環式架橋環ジエン、例えば、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロイン
デン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン;ア
ルケニルノルボルネン、アルキリデンノルボルネン、シクロアルケニルノルボルネンおよ
びシクロアルキリデンノルボルネン、例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB
);5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5
−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボ
ルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンおよびノルボルナジエンが挙げられる。EPDM
を調製するために代表的に用いられるジエンのうち、特に好ましいジエンは1,4−ヘキ
サジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2
−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)およびジシクロ
ペンタジエン(DCPD)である。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボ
ルネン(ENB)および1,4−ヘキサジエン(HD)である。
【0097】
本発明の実施形態に従って作製され得る所望のポリマーの1分規は、エチレンのエラス
トマー系共重合体、C−C20α−オレフィン、特にプロピレン、および必要に応じて
、1またはそれ以上のジエンモノマーである。本発明の実施形態で用いるための好ましい
α−オレフィンは、式CH=CHRで示され、Rは、1〜12個の炭素原子の線状
または分枝したアルキル基である。適切なα−オレフィンの例としては、限定はしないが
、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−
1−ペンテンおよび1−オクテンが挙げられる。特に好ましいα−オレフィンは、プロピ
レンである。プロピレン系ポリマーは一般に、当分野では、EPポリマーまたはEPDM
ポリマーと呼ばれる。このようなポリマーを調製する際に使用する適切なジエン、特にマ
ルチブロックEPDM型のポリマーとしては、4〜20個の炭素を含む、共役または非共
役、直鎖または分枝鎖、環状または多環式のジエンが挙げられる。好ましいジエンとして
は、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン
、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンおよび5−ブチリデン−2−ノルボルネン
が挙げられる。特に好ましいジエンは5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0098】
ジエン含有ポリマーは交互のセグメントまたはブロックであって、より大量もしくは少
量のジエン(ない場合も含む)およびα−オレフィン(ない場合も含む)を含むセグメン
トまたはブロックを含むので、ジエンおよびα−オレフィンの総量は、その後のポリマー
特性を失うことなく軽減され得る。すなわち、ジエンおよびα−オレフィンのモノマーは
、ポリマー全体にわたって均一でもまたはランダムでもなく、ポリマーのブロックの1タ
イプに優先的に組み込まれるので、それらは、より効率的に利用され、そして引き続いて
のこのポリマーの架橋密度は、さらに良好に制御され得る。このような架橋可能なエラス
トマーおよび硬化した生成物は、より高い引張強度およびより良好な弾性回復率が挙げら
れる、有利な特性を有する。
【0099】
ある実施形態では、異なる量のコモノマーを組み込んでいる2つの触媒で作製された本
発明の共重合体は、それによって形成されたブロックの重量比95:5〜5:95を有す
る。所望の弾性ポリマーは、ポリマーの総重量に基づいて、20〜90パーセントのエチ
レン含量、0.1〜10パーセントのジエン含量、そして10〜80パーセントのα−オ
レフィン含量を有する。さらに好ましくは、マルチブロック弾性ポリマーは、ポリマーの
総重量に対して、60〜90パーセントのエチレン含量、0.1〜10パーセントのジエ
ン含量、そして10〜40パーセントのα−オレフィン含量を有する。好ましいポリマー
は、高分子量のポリマーであって、これは、10,000〜約2,500,000、好ま
しくは、20,000〜500,000、より好ましくは20,000〜350,000
という平均分子量(Mw)、および3.5未満、より好ましくは3.0未満という多分散
性、そして1〜250のムーニー粘度(ML(1+4)125℃)を有する高分子量ポリ
マーである。さらに好ましくは、このようなポリマーは、65〜75パーセントのエチレ
ン含量、0〜6パーセントのジエン含量、および20〜35パーセントのα−オレフィン
含量を有する。
【0100】
エチレン/α−オレフィン共重合体は、そのポリマー構造中に少なくとも1つの官能基
を組み込むことによって官能化され得る。例示的な官能基としては、例えば、エチレン性
不飽和の単官能性カルボン酸および二官能性カルボン酸、エチレン性不飽和の単官能性カ
ルボン酸無水物および二官能性カルボン酸無水物、それらの塩およびエステルが挙げられ
得る。このような官能基は、エチレン/α−オレフィン共重合体にグラフトされてもよい
し、またはこれは、エチレンおよび任意のさらなるコモノマーと共重合されて、エチレン
の共重合体、官能コモノマーおよび必要に応じて他のコモノマー(単数または複数)を形
成してもよい。ポリエチレンに官能基をグラフトする手段は、例えば、米国特許第4,7
62,890号、同第4,927,888号および同第4,950,541号に記載され
、それらの特許の開示がその全体が参照によって本明細書に援用される。特に有用な官能
基の1つは、リンゴ酸無水物である。
【0101】
官能共重合体に存在する官能基の量は、変化し得る。官能基は代表的には、少なくとも
約1.0重量パーセント、好ましくは少なくとも約5重量パーセント、そしてさらに好ま
しくは少なくとも約7重量パーセントの量でコポリマー型官能化共重合体に存在し得る。
この官能基は代表的には、コポリマー型官能化共重合体中に、約40重量パーセント未満
、好ましくは約30重量パーセント未満、そして最も好ましくは約25重量パーセント未
満の量で存在する。
【0102】
特定の実施形態において、本発明において提供される充填組成物は、異なる分子量およ
び/または総合密度のエチレン/α−オレフィン共重合体のブレンドを含む。エチレン/
α−オレフィン共重合体は、充填ポリマー組成物の全重量の約5%〜約70%の量で存在
する。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体の量は、充填ポリマ
ー組成物の全重量の約5%〜約60%、約10%〜約50%、約15%〜約40%、約2
0%〜約30%である。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は
、組成物の全重量の約60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25
%、20%、15%、12%、10%または5%で存在する。
【0103】
他のポリマー
特定の実施形態において、本発明において提供される充填ポリマー組成物に使用される
ポリマーは、エチレン/α−オレフィン共重合体と、ノイズ、振動およびハーシュネスの
改善用の充填ポリマー組成物に使用するための、およびワイヤ、ケーブルおよび屋根用途
に使用するための、当分野で公知の他のポリマーとのブレンドである。そのようなポリマ
ー(「他のポリマー」または「第二ポリマー」とも称す)としては、下記のものが挙げら
れるが、それらに限定されない:ポリオレフィン樹脂、例えば、ポリエチレンおよびポリ
プロピレン;エチレンコポリマー、例えば、エチレン−プロピレンコポリマーおよびポリ
(エチレン−コ−酢酸ビニル);エチレン、プロピレンおよび非共役ジエンのターポリマ
ー(EPMD);ポリ塩化ビニル(PVC);エチレンおよび酢酸ビニルの混合ポリマー
(EVA);スチレン−ブタジエン混合ポリマー(SBR);および、これらの物質と、
熱可塑性ポリマー、例えばポリスチレンおよびポリオレフィンとの混合物;メタロセンコ
ポリマー、実質的に直鎖のオレフィンポリマー(米国特許第5,272,236号および
第5,278,272号に開示されている;それらの開示は参照により本明細書に組み込
まれる)。本発明において提供される充填ポリマー組成物における他のポリマーの量は、
組成物に存在するポリマーの全重量の約0%〜約70%、約5%〜約60%、約10%〜
約50%、約15%〜約45%、約20%〜約40%、約30%〜約40%でありうる。
特定の実施形態において、組成物における他のポリマーの量は、ポリマーの全重量の約5
%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%または
70%である。
【0104】
成分B:充填剤
充填剤は、充填ポリマー組成物において、例えば、消音または他の望ましい特性に寄与
する素材を与えるために使用される。本発明において提供される充填ポリマー組成物は、
高い充填剤レベルのままで、望ましい加工特性を維持することができる。適切な機械的特
性を維持しながら、約50体積%(vol%)およびそれ以上の充填剤配合量を達成する
ことは、経済的な組成物の配合に有利であり、かつ、音制御(sound management)用途に特
に有用な組成物を与える。さらに、特定の実施形態において、本発明において提供される
組成物は、広い範囲の充填剤レベルにおいて望ましい機械的特性を維持することができる

【0105】
組成物に有用な充填剤としては、下記のものが挙げられるが、それらに限定されない:
炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カーボンブラックまたはグラファイト、フライ
アッシュ、セメントダスト、クレー、長石、霞石、シリカまたはガラス、ヒュームドシリ
カ、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ガラス繊
維、ナノ−クレー、酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、二酸化チタン、チタ
ネート、ガラス微小球およびチョーク。特定の実施形態において、充填剤は、炭酸カルシ
ウムおよび硫酸バリウムから選択される。特定の実施形態において、充填剤は、水酸化ア
ルミニウムおよび水酸化マグネシウムから選択される。
【0106】
組成物に使用できる耐着火性充填剤としては、酸化アンチモン、デカブロモビフェニル
オキシド、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、ボレートおよびハロゲン化合物が挙
げられる。組成物に使用するのに好適な他の種々の充填剤としては、木繊維/粉/片、粉
砕もみ殻、綿、デンプン、ガラス繊維、合成繊維(例えば、ポリエチレン繊維)、および
炭素繊維が挙げられる。アルミナ水和物を充填剤として使用して、難燃性のブレンドを得
ることもできる。
【0107】
充填剤の量は、充填剤密度に依存し;充填剤密度が高いほど、充填剤の体積含有率に顕
著な影響を及ぼさずに、より多くの充填剤を配合物に添加することができる。ブレンド組
成物における充填剤のレベルは、重量または容量で記述しうる。充填剤のvol%は、下
記の式によって推定できる:
vol%=[(wt%/ρ)×100%]/[(wt%/ρ)+Σ(wt%/ρ
)]
ここで、vol%は、最終組成物における充填剤のvol%に等しく;wt%は、充
填剤のwt%に等しく;ρは、グラム/立方センチメートル(g/cm)で測定され
る充填剤密度であり;wt%は、i番目の成分のwt%であり;ρは、グラム/立方
センチメートル(g/cm)で測定されるi番目の成分の密度である。
【0108】
従って、充填剤のレベルは、本明細書において、組成物の全重量に基づいてwt%充填
剤として記述される。充填剤の粒度は、組成物に使用される充填剤の量に幾分影響を与え
る。微細な粒度は、より高いブレンド粘度を生じる傾向を一般に有し、それらはより高価
でもある。特に高い充填剤配合量における、微細充填剤の使用は、溶融ブレンドをダイオ
リフィスから押し出す際に、より平滑な押出物表面を生じる。充填ポリマー組成物におけ
る微細粒度充填剤の使用の付随的利点は、米国特許第4,263,196号に開示されて
おり、その開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。本発明において提供
される例示的組成物において、使用される炭酸カルシウムは、約3.2ミクロン〜約8ミ
クロンの粒度を有する。
【0109】
特定の実施形態において、充填ポリマー組成物の特性を変化させずに、多種類の充填剤
またはそれらの組合せを使用することができる。例えば、アルミナ三水和物(ATH、A
.3HO)を含めることは、難燃性組成物または低煙傾向(low-smoke-tenden
cy)組成物が所望される場合に極めて望ましい。重充填剤、例えば、粉状の鉄または鉛、
またはそれらの酸化物または削り屑は、超密組成物が所望される場合に使用できる。同様
に、低密度を有する無機物、例えば、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグ
ネシウム、硫酸カルシウム、シリカ、フライアッシュおよびセメントダスト、または有機
充填剤、例えば、糸、木粉、堅果殻、もみ殻、コーンミール、クレーなども、軽密度組成
物が必要とされる場合に使用することができる。最後に、高度針状(例えば、ウォラスト
ナイト)〜球形(例えば、ガラスビーズ)に及ぶさまざまなアスペクト比を有する充填剤
、例えば、タルク、マイカを使用して、引張強度または伸度などの関係を変化させること
もできる。
【0110】
充填剤は、本発明において提供される充填ポリマー組成物の全重量の約30%〜約95
%の量で存在する。特定の実施形態において、充填剤は、組成物の全重量の約40%〜約
90%、約45%〜約85%、約50%〜約85%、約60%〜約81%の量で存在する
。ある態様において、エチレン/α−オレフィン共重合体は、組成物の全重量の約30%
、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%
、81%、85%、90%または95%で存在する。
【0111】
成分C
本発明において提供される組成物において、任意の1つの可塑化物質またはその組合せ
を使用することがさらに有用な場合もある。可塑剤は、本発明において提供される組成物
に存在する場合、いくつかの群の1つから選択しうる。第一の群は、プロセス油として公
知の群である。プロセス油の3つのタイプは、公知のパラフィン系、芳香族およびナフテ
ン系である。プロセス油は、粘度範囲によっても細分される。「希薄」油は、100°F
(38℃)において100〜500SUS(セーボルトユニバーサル流出秒数)ほど低く
あり得る。「重質」油は、100°Fにおいて6000SUSほど高くあり得る。プロセ
ス油、特に、100°Fにおいて約100〜6000SUSの粘度を有するナフテン系油
およびパラフィン系油が、特定の実施形態において使用される。
【0112】
本発明において提供される組成物に使用した場合に有効な可塑剤の第二の群は、エポキ
シ化油、例えば、エポキシ化ダイズ油およびエポキシ化アマニ油を含む群である。
【0113】
本発明の組成物に使用することができる可塑剤の第三の群は、一般に、多塩基酸とポリ
オールとの液体縮合生成物であるポリエステルである。ここで使用される「液体」という
用語は、室温で注入可能であることを意味する。酸成分は、最も一般的には、飽和脂肪族
二塩基酸、または芳香族二塩基酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸、セバシン酸お
よびグルタル酸であるか、またはこれらの酸の混合物が一般に使用される。ポリオールは
、脂肪族ポリオールまたはポリ−オキシアルキレンポリオール、例えば、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,4−および1,3−ブタングリコール、ジエチレング
リコールおよびポリエチレングリコールであってよい。いくつかの実施形態において、ポ
リエステル組成物は、その50wt%より大きい脂肪族ポリオール、例えば脂肪族グリコ
ールである酸成分を含む。アジピン酸またはアゼライン酸、およびプロピレングリコール
または1,3−もしくは1,4−ブタングリコールに基づく可塑剤も、本発明に使用する
ことができる。これらの可塑剤の分子量は、数百〜約10,000の高さまでに亘り得る
。市販製品の分子量は、ほとんど特定されないが、商業において一般に、製品の分子量範
囲は、低、中または高として分類される。本発明の組成物に好適な範囲は、中分子量であ
る。
【0114】
ポリエステルまたはエポキシ化油と炭化水素油との混合物も、ある組成物において有効
な可塑剤である。そのような混合物を使用する1つの目的は、比較的高コストのポリエス
テルまたはエポキシ化油の高有効性と、比較低コストの炭化水素油とを組み合わせること
である。そのような混合物で可塑化された化合物の価格/性能は、特性をより精密に調整
しうるか、または充填剤レベルを増加しうるので、所与の用途に関して有意に向上させる
ことができる。
【0115】
ポリエステル可塑剤と炭化水素油との混合物を使用した場合、2つの成分の相対比率を
、性能目的に応じて広範囲に変化させることができる。50%またはそれ以下のポリエス
テルを含む混合物は、経済的理由から好ましく、最も好ましいのは、20%またはそれ以
下のポリエステルを含む混合物である。
【0116】
可塑剤の第四の群、ポリエーテルおよびポリエーテルエステルも、本発明において提供
される組成物に有効である。一般に、ポリエーテルは、アルキレンオキシドのオリゴマー
またはポリマーであり、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドのポリマーが、商業
的に入手可能な最も一般的な種類である。ポリエーテルは、種々のタイプの触媒を使用し
てアルデヒドを重合させることによるか、または例えば、アルキレンオキシドの酸触媒重
合または塩基触媒重合によって製造できる。ポリエーテルは、ヒドロキシル基によって停
止させてジオール(グリコール)を生成できるか、または例えば、アルキレンオキシドと
グリセロールとの付加の場合はトリオールなどを生成することができる。ヒドロキシル末
端ポリエーテルを酸と反応させることもでき、脂肪酸、例えば、ラウリン酸およびステア
リン酸が一般的であり、その化合物の例は、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレ
ングリコールのモノエステルおよびジエステルである。ポリエーテルの分子量は、高重合
体に一般的な分子量の範囲に亘ってよい。
【0117】
特定の実施形態において、ポリエーテルは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシ
ドのランダムコポリマーおよび/またはブロックコポリマーに基づくポリオールからなる
ポリエーテルである。そのコポリマーポリオールは、極めて高いレベルの充填剤を含む組
成物において、効率の点でより優れた性能を付与する。
【0118】
ポリエーテルまたはポリエーテルエステル可塑剤と、ポリエステル可塑剤または炭化水
素プロセス油との混合物も、本発明において提供される組成物に使用することができる。
ポリエーテル/ポリエステルの組合せの利点は、ポリエーテルがポリエステルより低価格
なため、より低コストであることである。ポリエーテルとプロセス油との組合せも、プロ
セス油のより低価格により、より低コストである。
【0119】
ポリエーテル/ポリエステルの組合せにおける2つの成分の反応部分は、特性要求およ
びコストに基づいて、系の有効性に応じて調節される。主にポリエステルに基づくものは
、例えば、主にポリエーテルまたはポリエーテルエステルに基づくものほど剛性でなく、
かつ、より高価格である。
【0120】
ポリエーテルまたはポリエーテルエステルと炭化水素油との混合物を使用する場合も、
使用される相対比率は、コストおよび特性要求に基づく。ポリエーテルはプロセス油より
高価格なので、50%またはそれ以下のポリエーテルを含む混合物が好ましい。
【0121】
特定の実施形態において、可塑剤は、下記から成る群より選択される:フタル酸エステ
ル、トリメリット酸エステル、ベンゾアート、脂肪族ジエステル(アジペート、アゼレー
トおよびセバケートが挙げられる)、エポキシ化合物、リン酸エステル、グルタレート、
高分子可塑剤(グリコールと脂肪族ジカルボン酸とのポリエステル)および油。特定の実
施形態において、本発明の組成物に使用される可塑剤は、パラフィン系プロセス油とステ
アリン酸との混合物である。
【0122】
前記のように、一方のプロセス油と、他方のエポキシ化油もしくはポリエステルもしく
はポリエーテルもしくはポリエーテルエステルまたはそれらの任意組合せとの混合物も、
本発明において提供される組成物用の可塑剤として、極めて有効に使用することができる
。実際に、全重量の約50〜約95%のプロセス油を含むそのような2以上の成分の可塑
剤系は、いずれかの可塑剤だけを同レベルで使用した場合に得られるよりも高い引張伸度
を与える。全重量の約50〜約80%のプロセス油を含有する、プロセス油とポリエステ
ルまたはポリエーテルまたはポリエーテルエステルまたはそれらの任意組合せとの混合物
を使用して、最大伸度を得ることができる。
【0123】
組成物における可塑剤の量は、組成物の全重量の約0%〜約15%または約10%に亘
る。特定の実施形態において、可塑剤は、組成物の全重量の約1%〜約9%、2%〜約8
%、3%〜約8%、4%〜約6%で存在する。特定の実施形態において、可塑剤は、組成
物の全重量の約2%、3%、4%、4%、5%、6%、6.5%、7%、8%、9%また
は10%で存在する。特定の実施形態において、可塑剤は、組成物の全重量の1%未満で
存在する。
【0124】
成分D:添加剤
任意に、本発明において提供される充填ポリマー組成物は、組成物の加工性、外観、物
理的、化学的および/または機械的特性を向上および/または調整するために、少なくと
も1つの添加剤を含んでよい。しかし、添加剤は、前記の充填剤としては機能しない。い
くつかの実施形態において、充填ポリマー組成物は、本明細書に記載する1つまたはそれ
以上の添加剤を含有し得る。他の実施形態において、充填ポリマー組成物は、本明細書に
記載する1つまたはそれ以上の添加剤を、実質的にまたは全く含有しなくてもよい。
【0125】
当業者に公知の任意のポリマー添加剤を、本発明において提供される充填ポリマー組成
物に使用し得る。充填ポリマー組成物に使用される種々の添加剤は、米国特許第6,78
7,593号、第5,973,049号、第6,319,969号、第3,904,45
6号、第4,191,798号、第4,242,395号、第4,263,196号、第
4,438,228号、第6,254,956号および第6,262,161号に記載さ
れており、それらの特許は全て参照により本明細書に組み込まれる。好適な添加剤の非限
定的な例としては、粘着防止剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、着色剤または顔料、架橋剤
、難燃剤、帯電防止剤、およびそれらの組合せが挙げられる。添加剤の合計量は、充填ポ
リマー組成物の全重量の約0より大きい〜約80%、約0.001%〜約70%、約0.
01%〜約60%、約0.1%〜約50%、約1%〜約40%、約10%〜約50%であ
ってよい。いくつかのポリマー添加剤が、Zweifel Hansら,「Plastics Additives Handbo
ok」, Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio,第5版(2001)に記載されており
、それは参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0126】
充填ポリマー組成物の配合において、添加剤が特に溶融状態においてエチレン/α−オ
レフィン共重合体から相分離しないように、各添加剤が本発明に使用されるエチレン/α
−オレフィン共重合体と相溶性であることが好ましい。一般に、添加剤とエチレン/α−
オレフィン共重合体との相溶性は、それらの溶解パラメータ、例えばヒルデブランド溶解
パラメータ間の差の減少と共に増加する。いくつかのヒルデブランド溶解パラメータが、
下記に表示されている:溶媒に関しては、Barton, A.F.M., Handbook of Solubility and
Other Cohesion Parameters,第2版,CRC Press, Boca Raton, FL(1991);モノマーおよ
び代表的ポリマーに関しては、Polymer Handbook,第3版,J. Brandrup & E.H. Immergut
編, John Wiley, NY, p.519-557(1989);および、多くの商業的に入手可能なポリマーに
関しては、Barton, A.F.M., Handbook of Polymer-Liquid Interaction Parameters and
Solubility Parameters, CRC Press, Boca Raton, FL(1990)(それらは全て参照により本
明細書に組み込まれる)。コポリマーに関するヒルデブランド溶解パラメータは、二成分
コポリマーに関してBarton A.F.M., Handbook of Solubility Parameters and Other Coh
esion Parameters, CRC Press, Boca Raton, p.12(1990)に記載されているように、コポ
リマーに含有される各モノマーの各ヒルデブランド溶解パラメータの容積分率重み付けを
使用して計算しうる。Barton, p.446-448に注記されているように、高分子材料のヒルデ
ブランド溶解パラメータの大きさは、ポリマーの分子量に依存性が低いことも既知である
。従って、所与のエチレン/α−オレフィン共重合体に関して好ましい分子量範囲が存在
し、接着強さは、エチレン/α−オレフィン共重合体の分子量または添加剤を調節するこ
とによって付加的に調整しうる。いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィ
ン共重合体と、添加剤、例えば酸化防止剤との間のヒルデブランド溶解パラメータの絶対
差は、0より大きい〜約10MPa1/2、約0.1〜約5MPa1/2、約0.5〜約
4.0MPa1/2、または、約1〜約3.0MPa1/2の範囲内である。
【0127】
本発明の充填ポリマー組成物に使用される酸化防止剤または安定剤としては、当業者に
公知のあらゆる酸化防止剤が挙げられる。好適な酸化防止剤の非限定的な例には、下記の
ものが挙げられる:アミン系酸化防止剤、例えば、アルキルジフェニルアミン、フェニル
−α−ナフチルアミン、アルキル置換またはアラルキル置換フェニル−α−ナフチルアミ
ン、アルキル化p−フェニレンジアミン、テトラメチル−ジアミノジフェニルアミンなど
;および、ヒンダードフェノール化合物、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェノール;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチ
ル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;テトラキス[(メチレン(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン(例えば、Ciba Geigy
,New YorkからのIRGANOX(商標)1010);オクタデシル−3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート(例えば、Ciba Geigyから商業
的に入手可能なIRGANOX(商標)1076);およびそれらの組合せ。酸化防止剤
が使用される場合、充填ポリマー組成物中の酸化防止剤の量は、充填ポリマー組成物の全
重量の約0より大きい〜約10wt%、約0.1〜約5wt%、または約0.5〜約2w
t%であってよい。
【0128】
特定の実施形態において、本明細書に開示されている充填ポリマー組成物は、紫外線に
よる充填ポリマー組成物の分解を防止または減少しうる紫外線安定剤を含む。当業者に公
知の任意の紫外線安定剤を、本発明に使用しうる。好適な紫外線安定剤の非限定的な例に
は下記のものが挙げられる:ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、アリールエステル、
オキサニリド、アクリル酸エステル、ホルムアミジン カーボンブラック、ヒンダードア
ミン、ニッケルクエンチャー、ヒンダードアミン、フェノール系酸化防止剤、金属塩、亜
鉛化合物、およびそれらの組合せ。紫外線安定剤が使用される場合、組成物中の紫外線安
定剤の量は、充填ポリマー組成物の全重量の約0より大きい〜約10wt%、約0.1〜
約5wt%、約0.5〜約2wt%であってよい。
【0129】
任意に、本発明において提供される充填ポリマー組成物は粘着防止剤を含んでよい。粘
着防止剤を使用して、特に、保存、製造または使用の間の中程度の圧および熱において、
ポリマー組成物を含む物品の接触層間の望ましくない付着を防止することができる。当業
者に公知の任意の粘着防止剤を、本発明において提供される充填ポリマー組成物に添加し
得る。粘着防止剤の非限定的な例には以下のものが挙げられる:無機物(例えば、クレー
、チョークおよび炭酸カルシウム)、合成シリカゲル(例えば、Grace Devis
on,Columbia,MDからのSYLOBLOC(登録商標))、天然シリカ(例
えば、Celite Corporation,Santa Barbara,CAから
のSUPER FLOSS(登録商標))、タルク(例えば、Luzenac,Cent
ennial COからのOPTIBLOC(登録商標))、ゼオライト(例えば、De
gussa,Parsippany,NJからのSIPERNAT(登録商標))、ケイ
酸アルミニウム(例えば、水澤化学工業株式会社、東京、日本からのSILTON(登録
商標))、石灰石(例えば、Omya,Atlanta,GAからのCARBOREX(
登録商標))、球状ポリマー粒子(例えば、日本触媒、東京、日本からのEPOSTAR
(登録商標)、ポリ(メチルメタクリレート)粒子)、およびTOSPEARL(登録商
標)(GE Silicones,Wilton,CTからのシリコーン粒子)、ワック
ス、アミド(例えば、エルカアミド、オレアミド、ステアラミド、ベヘンアミド、エチレ
ン−ビス−ステアラミド、エチレン−ビス−オレアミド、ステアリルエルカアミドおよび
他のスリップ剤)、モレキュラーシーブ(分子篩)、およびそれらの組合せ。無機粒子は
、物品間に物理的な隙間を形成することによって粘着を減少させることができ、一方、有
機粘着防止剤は、表面に移動して表面付着を制限する。粘着防止剤が使用される場合、充
填ポリマー組成物中の粘着防止剤の量は、充填ポリマー組成物の全重量の約0より大きい
〜約3wt%、約0.0001〜約2wt%、約0.001〜約1wt%、または約0.
001〜約0.5wt%であってよい。いくつかの粘着防止剤が、Zweifel Hansら, 「Pl
astics Additives Handbook」, Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio,第5
版, Chapter 7, p.585-600(2001)に記載されており、それは参照により本明細書に組み込
まれる。
【0130】
他の実施形態において、本発明において提供される充填ポリマー組成物は、人の目に対
して充填ポリマー組成物の外見を変化させることができる着色剤または顔料を任意に含む
。当業者に公知の任意の着色剤または顔料を、本発明において提供されるポリマー組成物
に添加し得る。好適な着色剤または顔料の非限定的な例には以下のものが挙げられる:無
機顔料、例えば金属酸化物、例えば、酸化鉄、酸化亜鉛および二酸化チタン、混合金属酸
化物、カーボンブラック、有機顔料、例えば、アントラキノン、アンタントロン、アゾお
よびモノアゾ化合物、アリールアミド、ベンズイミダゾロン、BONAレーキ、ジケトピ
ロロ−ピロール、ジオキサジン、ジアゾ化合物、ジアリーライド(diarylide)化合物、フ
ラバントロン、インダントロン、イソインドリノン、イソインドリン、金属錯体、モノア
ゾ塩、ナフトール、b−ナフトール、ナフトールAS、ナフトールレーキ、ペリレン、ペ
リノン、フタロシアニン、ピラントロン、キナクリドンおよびキノフタロン、ならびにそ
れらの組合せ。好適な着色剤または顔料の他の例には、無機顔料、例えば、二酸化チタン
およびカーボンブラック、フタロシアニン顔料、および他の有機顔料が挙げられ、例えば
、IRGAZIN(登録商標)、CROMOPHTAL(登録商標)、MONASTRA
L(登録商標)、CINQUASIA(登録商標)、IRGALITE(登録商標)、O
RASOL(登録商標)であり、それらは全てCiba Specialty Chem
icals,Tarrytown,NYから入手可能である。着色剤または顔料が使用さ
れる場合、組成物中のその量は、組成物の全重量の約0より大きい〜約10wt%、約0
.1〜約5wt%、または約0.5〜約2wt%であってよい。特定の実施形態において
、顔料は、強化(consolidated)プラスチック由来の黒色濃縮物である。着色剤または顔料
が使用される場合、充填ポリマー組成物中のその量は、充填ポリマー組成物の全重量の約
0より大きい〜約10wt%、約0.1〜約5wt%、または約0.25〜約2wt%で
あってよい。いくつかの着色剤が、Zweifel Hansら,「Plastics Additives Handbook」,
Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio,第5版, Chapter 15, p.813-882(2001
)に記載されており、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0131】
任意に、本発明において提供される充填ポリマー組成物は潤滑剤を含んでよい。一般に
、潤滑剤を使用して、特に、溶融充填ポリマー組成物のレオロジーを調整し、成形品の表
面仕上を向上させ、かつ/または充填剤または顔料の分散を促進することができる。当業
者に公知の任意の潤滑剤を、本明細書に開示されている充填ポリマー組成物に添加し得る
。好適な潤滑剤の非限定的な例には以下のものが挙げられる:脂肪アルコールおよびそれ
らのジカルボン酸エステル、短鎖アルコールの脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸アミド、
金属石鹸、オリゴマー脂肪酸エステル、長鎖アルコールの脂肪酸エステル、モルタンワッ
クス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、天然および合成パラフィンワッ
クス、フルオロポリマー、およびそれらの組合せ。潤滑剤が使用される場合、充填ポリマ
ー組成物中の潤滑剤の量は、充填ポリマー組成物の全重量の約0より大きい〜約5wt%
、約0.1〜約4wt%、または約0.1〜約3wt%であってよい。いくつかの好適な
潤滑剤が、Zweifel Hansら,「Plastics Additives Handbook」, Hanser Gardner Publica
tions, Cincinnati, Ohio,第5版, Chapter 5, p.511-552(2001)に記載されており、それ
は参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
任意に、本発明において提供される充填ポリマー組成物は帯電防止剤を含んでよい。一
般に、帯電防止剤は、充填ポリマー組成物の導電性を増加させることができ、かつ静電荷
蓄積を防止することができる。当業者に公知の任意の帯電防止剤を、本発明において提供
される充填ポリマー組成物に添加しうる。好適な帯電防止剤の非限定的な例には以下のも
のが挙げられる:導電性充填剤(例えば、カーボンブラック、金属粒子および他の導電性
粒子)、脂肪酸エステル(例えば、グリセロールモノステアレート)、エトキシル化アル
キルアミン、ジエタノールアミド、エトキシル化アルコール、アルキルスルホネート、ア
ルキルホスフェート、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、およびそれらの組合せ
。帯電防止剤が使用される場合、充填ポリマー組成物中の帯電防止剤の量は、充填ポリマ
ー組成物の全重量の約0より大きい〜約5wt%、約0.01〜約3wt%、または約0
.1〜約2wt%であってよい。いくつかの好適な帯電防止剤が、Zweifel Hansら,「Pla
stics Additives Handbook」, Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio,第5版
, Chapter 10, p.627-646(2001)に記載されており、それは参照により本明細書に組み込
まれる。
【0133】
他の実施形態において、本発明において提供される充填ポリマー組成物は、充填ポリマ
ー組成物の架橋密度を増加させるために使用しうる架橋剤を任意に含んでよい。当業者に
公知の任意の架橋剤を、本発明の充填ポリマー組成物に添加しうる。好適な架橋剤の非限
定的な例には以下のものが挙げられる:有機過酸化物(例えば、アルキルペルオキシド、
アリールペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボネート、ジアシルペルオ
キシド、ペルオキシケタール、および環状ペルオキシド)、およびシラン(例えば、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキ
シ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、および3−
メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)。架橋剤が使用される場合、充填ポ
リマー組成物中の架橋剤の量は、充填ポリマー組成物の全重量の約0より大きい〜約20
wt%、約0.1〜約15wt%、または約1〜約10wt%であってよい。いくつかの
好適な架橋剤が、Zweifel Hansら,「Plastics Additives Handbook」, Hanser Gardner P
ublications, Cincinnati, Ohio,第5版, Chapter 14, p.725-812(2001)に記載されてお
り、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
充填ポリマー組成物の架橋は、当分野で公知の任意の放射線法(電子ビーム照射、β線
照射、γ線照射、コロナ照射および紫外線照射を包含するが、それらに限定されない)に
よって、架橋触媒を使用するかまたは使用せずに、開始させることもできる。米国特許出
願第10/086,057号(US2002/0132923 A1として公開)、およ
び米国特許第6,803,014号は、特定の実施形態に使用できる電子ビーム照射法を
開示している。
【0135】
照射は、高エネルギー、イオン化電子、紫外線、X線、γ線、β粒子など、およびそれ
らの組合せを使用して行ってよい。好ましくは、電子は、70メガラド線量までで使用さ
れる。照射源は、所望の線量を供給できる出力で、約150キロボルト〜約6メガボルト
の範囲で操作される任意の電子ビーム発生装置であり得る。電圧は、適切なレベル、例え
ば、100,000、300,000、1,000,000または2,000,000ま
たは3,000,000または6,000,000またはそれ以上またはそれ以下に調節
できる。高分子材料を照射する他の多くの方法が当分野において既知である。照射は、約
3メガラド〜約35メガラド、好ましくは約8〜約20メガラドの線量で一般に行われる
。さらに、照射は、室温で好都合に行うことができるが、より高い温度およびより低い温
度、例えば0℃〜約60℃も使用しうる。好ましくは、照射は、物品の成形または加工後
に行う。または、好ましい実施形態において、プロ−ラド(pro-rad)添加剤が組み込まれ
たエチレン共重合体を、約8〜約20メガラドにおいて電子ビーム放射線で照射する。
【0136】
架橋は、架橋触媒を用いて促進することができ、この機能を有する任意の触媒を使用す
ることができる。好適な触媒は、有機塩基、カルボン酸、および有機金属化合物(有機チ
タネート、および、鉛、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛および錫の錯体またはカルボン酸
塩が挙げられる)が一般に挙げられる。ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレエー
ト、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、酢酸第一錫、オクタン酸第一
錫、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルトなど。カルボン酸錫、特にジブ
チル錫ジラウレートおよびジオクチル錫マレエートが、本発明に特に有効である。触媒(
または触媒の混合物)は、一般に約0.015〜約0.035phrの触媒量で存在する

【0137】
代表的プロ−ラド添加剤には以下のものが挙げられるが、それらに限定されない:アゾ
化合物、有機過酸化物および多官能性ビニルまたはアリル化合物、例えば、トリアリルシ
アヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート
、グルタルアルデヒド、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルマレエート、ジ
プロパルギルマレエート、ジプロパルギルモノアリルシアヌレート、ジクミルペルオキシ
ド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、ベンゾイルペル
オキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、メチルエチルケト
ンペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ラ
ウリルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、アゾビスイソブチルニトライト
などおよびそれらの組合せ。本発明に使用するのに好ましいプロ−ラド添加剤は、多官能
性(即ち、少なくとも二官能価)部分、例えば、C=C、C=NまたはC=Oを有する化
合物である。
【0138】
少なくとも1つのプロ−ラド添加剤を、当分野で公知の任意の方法によって、エチレン
共重合体に導入しうる。しかし、好ましくは、プロ−ラド添加剤は、エチレン共重合体と
同じかまたは異なるベース樹脂を含有するマスターバッチ濃縮物(コンセントレート)に
よって導入される。好ましくは、マスターバッチのプロ−ラド添加剤濃度は、比較的高く
、例えば約25wt%(濃縮物の全重量に基づく)である。
【0139】
少なくとも1つのプロ−ラド添加剤が、任意の有効量で、エチレンポリマーに導入され
る。好ましくは、少なくとも1つのプロ−ラド添加剤の導入量は、約0.001〜約5w
t%、より好ましくは約0.005〜約2.5wt%、最も好ましくは約0.015〜約
1wt%である(エチレン共重合体の全重量に基づく)。
【0140】
電子ビーム照射に加えて、架橋をUV照射によっても行うことできる。米国特許第6,
709,742号は、本発明の実施形態に使用することができる紫外線照射による架橋法
を開示している。その方法は、繊維が形成される前、その間、またはその後に、光架橋剤
を使用するかまたは使用せずに、光開始剤をポリマーと混合し、次に、ポリマーを所望の
レベルに架橋するのに充分な紫外線に、その繊維を光開始剤と共に暴露することを含む。
本発明の実施に使用される光開始剤は、芳香族ケトン、例えば、ベンゾフェノンまたは1
,2−ジケトンのモノアセタールである。モノアセタールの一次光反応は、アシルラジカ
ルおよびジアルコキシアルキルラジカルを生じるα−結合の均一開裂である。この種のα
−開裂は、ノリッシュI型反応として既知であり、該反応は下記に詳しく記載されている
:W. HorspoolおよびD. Armesto, Organic Photochemistry: A Comprehensive Treatmen
t, Ellis Horwood Limited, Chichester, England, 1992;J. Kopecky, Organic Photoch
emistry: A Visual Approach, VCH Publishers, Inc., New York, NY 1992;N.J. Turro
ら, Acc. Chem. Res., 1972, 5, 92;および、J.T. Banksら, J. Am. Chem. Soc., 1993,
115, 2473。芳香族1,2ジケトンのモノアセタール、Ar−CO−C(OR)−Ar
’の合成は、米国特許第4,190,602号およびドイツ公開(Ger. Offen.)第2,
337,813号に記載されている。この種類の好ましい化合物は、2,2−ジメトキシ
−2−フェニルアセトフェノン、C−CO−C(OCH−Cであり、
これはCiba−GeigyからIrgacure 651として商業的に入手可能であ
る。本発明の実施において光開始剤として有用な他の芳香族ケトンの例は、Irgacu
re 184、369、819、907および2959であり、これらは全てCiba−
Geigyから入手可能である。
【0141】
本発明の1つの実施形態において、光開始剤を、光架橋剤と組み合わせて使用する。遊
離基の発生の際に、主鎖との共有結合の形成によって2つまたはそれ以上のポリオレフィ
ン主鎖を結合させる任意の光架橋剤を、本発明に使用しうる。好ましくは、これらの光架
橋剤は多官能性であり、即ち、それらは、活性化の際に、コポリマーの主鎖における部位
との共有結合を形成する2つまたはそれ以上の部位を含有する。代表的な光架橋剤には、
以下のものが挙げられるが、それらに限定されない:多官能性ビニル化合物または多官能
性アリル化合物、例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ペン
タエリトリトールテトラメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリ
ルマレエート、ジプロパルギルマレエート、ジプロパルギルモノアリルシアヌレートなど
。本発明に使用するのに好ましい光架橋剤は、多官能性部分(すなわち、少なくとも2つ
の官能性部分)を有する化合物である。特に好ましい光架橋剤は、トリアリルシアヌレー
ト(TAC)およびトリアリルイソシアヌレート(TAIC)である。
【0142】
ある種の化合物は、本発明の実施において、光開始剤および光架橋剤の両方として作用
する。これらの化合物は、紫外線への暴露時に2つまたはそれ以上の反応性種(例えば、
フリーラジカル、カルベン、ニトレンなど)を発生し、次に、2つのポリマー鎖と共有結
合する能力を特徴とする。これらの2つの機能を果たすことができる任意の化合物を、本
発明の実施に使用することができ、代表的化合物には、米国特許第6,211,302号
および第6,284,842号に記載されているスルホニルアジドが挙げられる。
【0143】
本発明の他の実施形態において、コポリマーを、二次架橋(即ち、光架橋以外の架橋、
または光架橋に加えた架橋)に供する。この実施形態において、光開始剤を、非光架橋剤
、例えばシランと組み合わせて使用するか、またはコポリマーを二次架橋手順、例えばE
−ビーム放射線への暴露に供する。シラン架橋剤の代表的な例は、米国特許第5,824
,718号に記載されており、E−ビーム放射線への暴露による架橋は、米国特許第5,
525,257号および第5,324,576号に記載されている。この実施形態におけ
る光架橋剤の使用は任意である。
【0144】
少なくとも1つの光添加剤、即ち、光開始剤および任意の光架橋剤を、当分野で公知の
任意の方法によってコポリマーに導入することができる。しかし、好ましくは、コポリマ
ーと同じベース樹脂かまたは異なるベース樹脂を含有するマスターバッチ濃縮物を介して
光添加剤を導入する。好ましくは、マスターバッチの光添加剤濃度は、比較的高く、例え
ば約25wt%(濃縮物の全重量に基づく)である。
【0145】
少なくとも1つの光添加剤は、任意の有効量でコポリマーに導入される。好ましくは、
少なくとも1つの光添加剤の導入量は、約0.001〜約5wt%、より好ましくは約0
.005〜約2.5wt%、最も好ましくは約0.015〜約1wt%である(コポリマ
ーの全重量に基づく)。
【0146】
光開始剤および任意の光架橋剤を、繊維またはフィルム製造工程の種々の段階で添加す
ることができる。光添加剤が押出温度に耐えうる場合、ポリオレフィン樹脂を、押出機に
供給する前に、例えばマスターバッチ添加を介して添加剤と混合することができる。また
は、添加剤をスロットダイの直前にて押出機に導入することができ、しかし、この場合、
押出前の成分の効率的な混合が重要である。他の方法において、光添加剤を使用せずにポ
リオレフィン繊維を延伸することができ、光開始剤および/または光架橋剤を、キスロー
ル、スプレー、添加剤含有溶液への浸漬によるか、または他の工業的後処理法によって、
押出繊維に適用することができる。次に、得られた光添加剤含有繊維を、連続法または回
分法において電磁放射線によって硬化させる。光添加剤は、一軸および二軸スクリュー押
出機が挙げられる従来の配合装置を使用して、ポリオレフィンとブレンドすることができ
る。
【0147】
電磁放射線の強度(power)および照射時間は、ポリマー分解および/または寸法欠陥(di
mensional defects)を生じずに効率的架橋を可能にするように選択される。好ましい方法
は、EP 0490854 B1に記載されている。充分な熱安定性を有する光添加剤を
、ポリオレフィン樹脂とプレミックスし、繊維に押し出し、1つのエネルギー源、または
一続きに連結したいくつかのユニットを使用して、連続法で照射する。スプールに収集さ
れる繊維または編物のシートを硬化するため連続法を使用することは、回分法と比較して
、いくつかの利点を有する。
【0148】
照射は、紫外線を使用して行ってよい。好ましくは、紫外線は100J/cmまでの
強度で使用される。照射源は、所望の線量を供給できる出力を有する約50ワット〜約2
5000ワットの範囲で操作される任意の紫外線発生装置であってよい。ワット数は、適
切なレベルに調節でき、それは、例えば、1000ワットまたは4800ワットまたは6
000ワットまたはそれ以上またはそれ以下であってよい。高分子材料をUV線照射する
ための他の多くの装置(apparati)が当分野において既知である。照射は、約3J/cm
〜約500J/scm、好ましくは約5J/cm〜約100J/cmの線量で一般に
行われる。さらに、照射は、室温で好都合に行うことができるが、より高い温度およびよ
り低い温度、例えば0℃〜約60℃も使用しうる。光架橋工程は、温度が高くなるほど速
くなる。好ましくは、照射は、物品の成形または加工後に行う。好ましい実施形態におい
て、光添加剤を組み込まれたコポリマーを、約10J/cm〜約50J/cmにおいて
紫外線で照射する。
【0149】
充填ポリマー組成物の調製
本発明において提供される充填ポリマー組成物は、エチレン/α−オレフィン共重合体
、充填剤、ならびに任意に可塑剤および他の添加剤を含む。エチレン/α−オレフィンと
、充填剤および添加剤とのブレンディングは、組成物における成分の実質的に均一な分布
を生じうる任意の公知の方法によって行うことができる。好適なブレンディング法の非限
定的な例には、メルトブレンディング、溶剤ブレンディングなどが挙げられる。
【0150】
分散混合、分布混合、または分散および分布混合の組合せを付与する物理的ブレンディ
ング装置が、均一ブレンドの調製に有用である。物理的ブレンディングの回分法および連
続法の両方を使用することができる。回分法の非限定的な例は、下記の装置を使用する方
法が挙げられる:BRABENDER(登録商標)混合装置(例えば、C.W.Brab
ender Instruments,Inc.,South Hackensack,
N.J.から入手可能な、BRABENDER PREP CENTER(登録商標))
、またはBANBURY(登録商標)密閉式混合およびロール練り装置(Farrel
Company,Ansonia,Conn.から入手可能)。連続法の非限定的な例に
は、一軸スクリュー押出、二軸スクリュー押出、ディスク押出、往復一軸スクリュー押出
、およびピンバレル一軸スクリュー押出が挙げられる。
【0151】
市販サイズの回分式バンバリーミキサーまたは同等の強力ミキサーは、本発明において
提供される組成物の調製に極めて好適である。ファレル連続ミキサー(「FCM」)も優
れた混合装置である。いずれの場合も、乾燥成分を慣例的に装填する。大抵の場合、この
種の装置に広く使用されている方法に従って、いずれかの装置の混合室に直接的に可塑剤
成分を注入するのが好都合である。2つ以上の可塑剤を使用する場合、かつ可塑剤のいず
れか1つが少量(全可塑剤混合物の約10wt%未満)で存在する場合、可塑剤は、本発
明の他の成分への添加前にプレブレンド(予備ブレンド)されるべきである。これは、最
終圧縮における各可塑剤成分の均一分布を促進し、それによって、最適特性が得られるの
を確実にする。所望であれば、コポリマーおよび可塑剤を、好適な強力混合装置(例えば
、バンバリーミキサーまたはスクリュー押出機)において「マスターバッチ」として予備
配合することができる。次に、この「マスターバッチ」を、充填剤および他の残りの成分
と配合して、最終組成物を製造することができる。例えば約3分の混合サイクルが、通常
例えば325°〜375°Fの操作温度におけるバンバリーミキサーに一般に適切である
。FCM装置の操作速度は、一般に、Farrel Company,Ansonia,
Conn.によって調製されている資料によって予測される範囲内である。この場合も、
325°〜375°Fの温度が有効である。両方の場合において、極めて低い可塑剤レベ
ル、例えば約2〜3%は、より高い温度を必要とし、一方、約7%より以上の可塑剤レベ
ルは、より低いミキサー温度で充分に混合しうる。粘性混合物(0.1〜20のMI)を
配合するための他の装置は、充分に満足できるものと考えられる。
【0152】
一旦ブレンドが混合されたら、慣例的工業法、例えば、水中メルトカッティングおよび
乾燥、または分出しおよび細断法の使用によって、最終ペレット化製品が得られる。
【0153】
充填ポリマー組成物の用途
一般に、音を最小化するかまたは「制御する」ことができる3つの方法が存在する。音
波を遮断することができるか、振動を減衰させることができるか、またはノイズを吸収す
ることができる。これらの種々の方法で音を制御するために、種々の特性を有する物品が
必要とされる。
【0154】
本発明において提供される組成物は、経済的な音制御物品の製造のための広範囲な製造
技術に適用できる。該組成物は成分の量および種類を調節することによって操作され、そ
れによって、それらは容易に成形することができる。本明細書に開示されている組成物は
、従来法によって、フィルム(ブローフィルムが挙げられる)、シート、成形物、フォー
ムシート、フォーム厚板、膨張性および発泡性粒子、成形性フォームビーズ、および射出
成形品に製造できる。該組成物は、繊維、発泡体(フォーム)およびラチス、ならびに接
着剤およびシーラント配合物の製造にも使用できる。
【0155】
本発明において提供される組成物は、当分野で公知の任意の好適手段によって物品に成
形することができ、所望の特性が有用とされる任意の用途に使用しうる。本明細書に開示
されている組成物を成形するのに使用できる方法は、実質的にあらゆる種類の成形、押出
、カレンダリングまたはキャスティングを包含する。特定の実施形態において、本発明に
おいて提供される充填ポリマー組成物は、シート分野において、特に、低コストの、ノイ
ズ、振動およびハーシュネス改善用途に使用できる。
【0156】
特定の実施形態において、本発明において提供される充填ポリマー組成物は、基材、例
えば自動車カーペット上に、容易に押出すことができるか、または裏地なしのフィルムま
たはシートとして押し出すかまたはカレンダリングすることができる。使用される装置お
よび使用される配合法に依存して、広範囲のフィルム厚さ、20ミル未満〜100ミル超
に押し出すことができる。従って、これは、フィルムの厚さ、ブレンドの密度、結合剤に
対する充填剤添加量の比率を変化させることによって、および当分野で周知の類似法によ
って、得られる消音の量を変化させる可能性を工業に提供する。
【0157】
製造された消音シートは、以下に挙げられる消音用途において、成形性サウンドバリヤ
ーとして使用される押出シートを包含するが、それに限定されない種々の方法で使用しう
る:輸送系、例えば、自動車、オートバイ、バス、トラクター、列車、市街電車、飛行機
など、自動車ドアおよびトラックライナー、後座席ストレーナ、車輪室カバー、カーペッ
ト下敷、成形ダッシュインシュレータ、ダッシュマット、コンストラクション、壁紙/張
り材料、および製紙業/織物業、小形および大形家庭電化製品(食器洗浄機、冷蔵庫、エ
アコンなどが挙げられる)、家庭用品、例えば、ブレンダーハウジング、電動工具、芝生
および園芸用品、例えば、リーフブロワー、スノーブロワー、小形エンジン、例えば、船
外モーター、ジェットスキーなど。他の用途は、当業者に明らかであり、下記のための装
置が挙げられる:ドラムの音の調整用装置、ラウドスピーカーシステム、複合音響壁(com
posite sound wall)、音響的に減衰されたディスクドライブシステム、マフラ、熱成形可
能な音響マット組成物(acoustical mat compositon)、電気掃除機用の消音ユニット、水
中乗物の引っ張り(drag)およびノイズ軽減システム、音制御特性が向上した自動車ヘッ
ドライナー、オイルパンのような消音化自動車エンクロージャ、高熱消音性金属ポリマー
ラミネート、消音裏打ち材料を有する成形カーペットアセンブリ、振動減衰拘束化したレ
イヤー構造物(vibration-damping constrained-layer construction)、コンベヤベルトお
よび物質移動システム、遮音成形可能カーペット、ノンスキールディスクブレーキパッド
など。他の用途には、ケーブルまたはワイヤコーティングが望ましい種々の電子、電気通
信および類似分野における、ワイヤおよびケーブル用コーティングが挙げられる。シート
形態において、充填ポリマー組成物は、工場機器、例えば、織機、鍛造プレスなどの騒音
部分を遮蔽するかまたは囲むためのドレープまたはハンギングとして使用することができ
る。積層板形態(同時押出構造物が挙げられる)において、他の材料と合わされた、本発
明において提供される充填組成物は、装飾的および機能的用途、例えば、開放型オフィス
における仕切りパネルに使用できる。
【0158】
一般に、押出は、ポリマーが溶融され圧縮される高温高圧の領域を通るスクリューに沿
って、ポリマーを連続的に前進させ、最後に、ダイから押し出す方法である。押出機は、
一軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、ディスク押出機またはラム押出機であっ
てよい。ダイは、フィルムダイ、ブローフィルム押出ダイ、シート押出ダイ、パイプ押出
ダイ、チューブ押出ダイまたは異形押出ダイであってよい。ポリマーの押出は、C. Rauwe
ndaal, 「Polymer Extrusion」, Hanser Publishers, New York, NY(1986);およびM.J.
Stevens, 「Exruder Principals and Operation」, Ellsevier Applied Science Publish
ers, New York, NY(1985)に記載されており、その両方は参照により全体として本明細書
に組み込まれる。
【0159】
下記の実施例は、本発明の実施形態を例示するために示されているが、示されている特
定の実施形態に本発明を限定するものではない。特に指示がない限り、全ての部およびパ
ーセントは重量による。すべての数値は概数値である。数値範囲が示されている場合、示
されている範囲外の実施形態も本発明の範囲に含まれるものと理解すべきである。各実施
例に記載されている特定の詳細は、本発明の必須特徴と解釈すべきでない。
【実施例】
【0160】
試験方法
以下の実施例では、以下の分析技術が使用される:
【0161】
サンプル1〜4およびA〜CについてGPC法
160℃に設定された加熱針を装備した自動化液体処理ロボットを用いて、各々の乾燥
ポリマーサンプルに対して300ppmのIonolで安定化した十分な1,2,4−ト
リクロロベンゼンを添加して、30mg/mLという最終濃度を得る。小さいガラス撹拌
ロッドを各々のチューブに入れて、そのサンプルを、250rpmで回転する加熱式回転
シェーカーを用いて160℃で2時間加熱する。次いで濃縮されたポリマー溶液を、自動
化液体処理ロボットおよび160℃に設定された加熱針を用いて1mg/mlに希釈する

【0162】
Symyx Rapid GPCシステムを用いて各々のサンプルについての分子量デ
ータを決定する。2.0ml/分の流量に設定したGilson 350ポンプを用いて
、直列に配置され、160℃に加熱された3つのPlgel 10マイクロメーター(μ
m)Mixed B 300mm×7.5mmカラムを通して300ppmのIonolで
安定化させヘリウム−でパージした1,2−ジクロロベンゼンを移動相としてポンプで送
る。エバポレーターを250℃に設定し、ネブライザーを165℃に設定し、および窒素
流量を60〜80psi(400〜600kPa)Nの圧で1.8SLMに設定したP
olymer Labs ELS 1000 Detectorを用いる。ポリマーサン
プルを160℃に加熱して、各々のサンプルを、液体処理ロボットおよび加熱ニードルを
用いて250μlのループに注入した。2つの切り替えループおよび重複注入を用いるポ
リマーサンプルの連続的分析を用いる。このサンプルデータを収集して、Symyx E
poch(商標)ソフトウェアを用いて分析する。ピークを手技的に積分する。報告され
た分子量情報は、ポリスチレン標準検量線に対して未補正である。
【0163】
標準的なCRYSTAF方法
分枝分布は、PolymerChar,Valencia,Spainから市販されて
いるCRYSTAF 200ユニットを用いて結晶分析分別(crystallization analysis
fractionation)(CRYSTAF)によって決定する。このサンプルを、160℃で1,2,
4トリクロロベンゼン(0.66mg/mL)に1時間溶解させ、そして95℃で45分
間安定化させる。サンプリング温度は、0.2℃/分の冷却速度で95〜30℃におよぶ
。赤外線検出器を用いて、ポリマー溶液の濃度を測定する。累積溶解濃度は、温度の低下
と同時にポリマーが結晶化する間に測定する。累積プロフィールの分析導関数は、そのポ
リマーの短鎖分枝分布を反映する。
【0164】
CRYSTAFのピーク温度および面積は、CRYSTAFソフトウェア(Versi
on 2001.b,PolymerChar,Valencia,Spain)に含ま
れるピーク分析モジュールによって特定される。CRYSTAFピーク検出ルーチンは、
ピーク温度をdW/dT曲線の最大値として特定し、そしてその微分曲線におけるその特
定されたピークのいずれか一方側の正の最大変曲間の面積を特定する。CRYSTAF曲
線を算出するために、好ましい処理パラメータは、70℃の温度限界を有し、ならびにそ
の温度限界より上では0.1の、およびその温度限界より下では0.3の平滑化パラメー
タを有するものである。
【0165】
DSC標準法(サンプル1〜4およびA〜Cを除く)
示差走査熱量測定の結果は、RCS冷却アクセサリおよびオートサンプラーを装備した
TAIモデルQ1000 DSCを用いて決定する。50ml/分という窒素パージガス
流を用いる。このサンプルを、薄膜にプレスして、約175℃でプレス内で溶融し、次い
で室温(25℃)まで空冷する。次いで3〜10mgの物質を6mmの直径のディスクに
切断し、正確に秤量し、軽量アルミのパン(約50mg)に入れ、次いで圧着する。サン
プルの熱挙動は、以下の温度プロフィールで検討する。このサンプルを180℃まで急速
に加熱して、3分間恒温に保持して、以前の熱履歴を除く。次いで、このサンプルを10
℃/分の冷却速度で−40℃まで冷却し、−40℃で3分間保持する。次いで、このサン
プルを10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱する。その冷却および第二の加熱曲線を
記録する。
【0166】
DSC融解ピークは、−30℃と融解終点との間にひいた直線のベースラインに関する
熱流量(W/g)における最大として測定される。融解熱は直線のベースラインを用いて
−30℃と融解終点との間の融解曲線の下の面積として測定される。
【0167】
GPC法(サンプル1〜4およびA〜Cを除く)
このゲル浸透クロマトグラフィーシステムは、Polymer Laboratori
es Model PL−210またはPolymer Laboratories M
odel PL−220のいずれかの装置から構成される。このカラムおよびカルーセル
の区画は、140℃で操作される。3つのPolymer Laboratories
10ミクロン Mixed−Bカラムを用いる。この溶媒は、1,2,4トリクロロベン
ゼンである。サンプルを、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有
する50ミリリットルの溶媒中に0.1グラムというポリマー濃度で調製する。サンプル
を、160℃で2時間、軽く撹拌することによって調製する。用いられる注入容積は10
0μlであり、そして流量は1.0ml/分である。
【0168】
GPCカラムセットの較正は、個々の分子量の間の少なくとも10の隔たりがある6つ
の「カクテル(cocktail)」混合物で準備した、580〜8,400,000におよぶ分
子量を有する、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質で行われる。この標準物
質は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)から
購入する。ポリスチレン標準物質は、分子量1,000,000以上については、50ミ
リリットルの溶媒中に0.025グラムで、そして分子量1,000,000未満につい
ては50ミリリットル中に0.05グラムで調製する。このポリスチレン標準物質を、穏
やかに撹拌しながら80℃で30分間溶解する。狭い標準物質混合物を最初にランし、そ
して分解を最小にするために最も高い分子量の成分から低いものへと順番にランする。ポ
リスチレン標準物質ピーク分子量を、以下の式を用いてポリスチレン分子量に変換する(
WilliamsおよびWard,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載のとおり):Mポリエ
チレン=0.431(Mポリスチレン)。
【0169】
ポリエチレン等量分子量の計算は、Viscotek TriSECソフトウェアのV
ersion3.0を用いて行う。
【0170】
圧縮永久ひずみ
圧縮永久ひずみは、ASTMD395に従って測定する。このサンプルは、総厚みが1
2.7mmに達するまで、3.2mm、2.0mmおよび0.25mmという厚みの直径
25.4mmの丸ディスクを重ねることによって調製する。このディスクは、以下の条件
下においてホットプレスで成形した12.7cm×12.7cmの圧縮成形プラックから
切り出す:190℃で3分間ゼロ圧、続いて190℃で2分間86MPa、続いてプレス
内部で冷水を流しながら86MPaで冷却。
【0171】
密度
密度測定のためのサンプルは、ASTMD1928に従って調製する。測定は、AST
MD792、方法Bを用いて1時間内のサンプルプレスで行う。
【0172】
屈曲/割線弾性率/貯蔵弾性率
サンプルは、ASTMD1928を用いて圧縮成形する。曲げ弾性率および2%の割線
弾性率を、ASTM D−790に従って測定する。貯蔵弾性率はASTM D5026
−01または等価な技術に従って測定する。
【0173】
光学的特性
0.4mmの厚みのフィルムを、ホットプレス(Carver Model#4095
−4PR1001R)を用いて圧縮成形する。このペレットは、ポリテトラフルオロエチ
レンシートの間に置いて、190℃で55psi(380kPa)で3分間、続いて1.
3MPaで3分間、次いで2.6MPaで3分間加熱する。次いで、このフィルムを、1
.3Mpaで1分間、冷水を流しながらプレス中で冷却する。この圧縮成形フィルムを、
光学測定、引張挙動、回復および応力緩和のために用いる。
【0174】
透明度は、ASTMD1746で特定されたようにBYK Gardner Haze
−gardを用いて測定する。
【0175】
45°光沢(gloss)は、ASTM D−2457に特定されたように、BYK Ga
rdner Glossmeter Microgloss45°を用いて測定する。
【0176】
内部の曇り(internal haze)は、ASTMD1003手順Aに基づいてBYK Ga
rdner Haze−gardを用いて測定する。鉱油をこのフィルムの表面に塗布し
て、表面のスクラッチを除去する。
【0177】
機械的特性−引張、ヒステリシス(履歴現象)および引裂
【0178】
短軸引張における応力−ひずみ挙動を、ASTMD1708微小引張試験片(microten
sile specimens)を用いて測定する。サンプルを、21℃で1分あたり500%でIns
tronを用いて延伸する。引張強度および破断点伸度は、5つの試験片の平均から報告
される。
【0179】
100%および300%のヒステリシスは、Instron(商標)装置でASTMD
1708微小引張試験片を用いて100%および300%までの循環荷重から決定される
。サンプルに、21℃で3サイクル、1分あたり267%で荷重を負荷し、除荷する。3
00%および80℃でのサイクル実験を、環境チャンバを用いて行う。80℃の実験では
、サンプルを、試験の前に試験温度で45分間、平衡化させる。21℃、300%ひずみ
のサイクル実験では、第一の除荷のサイクルからの150%のひずみでの収縮性応力を記
録する。全ての実験についての回復パーセントは、荷重がベースラインに戻るひずみを用
いて第一の除荷サイクルから算出する。回復パーセントは以下に規定される:
【数2】

【0180】
ここでεは、循環荷重についてとったひずみであり、εは、1回目の除荷サイクル
の間に荷重がベースラインに戻るひずみである。
【0181】
応力緩和は、環境チャンバを装備したInstron(商標)装置を用いて、50%の
ひずみおよび37℃で12時間、測定する。ゲージの形状は76mm×25mm×0.4
mmであった。環境チャンバ中で37℃で45分間の平衡させた後、サンプルを1分あた
り333%で50%ひずみまで延伸した。応力は、時間の関数として12時間記録した。
12時間後の応力緩和パーセントは式:
【数3】

を用いて算出した。
【0182】
ここでLは、0時点での50%ひずみの荷重であり、そしてL12は、12時間後時
点の50%ひずみの荷重である。
【0183】
引張ノッチ付引裂実験(tensile notched tear experiments)は、Instron(商
標)装置を用いて0.88g/cc以下の密度を有するサンプルで行う。この形状は、7
6mm×13mm×0.4mmのゲージ部分からなり、このサンプルにはその試験片の長
さの半分の位置に2mmの切込みが入っている。そのサンプルが壊れるまで、21℃で1
分あたり508mmで延伸させる。この引裂エネルギーを、最大荷重でのひずみまでの応
力−伸長曲線下面積として算出する。少なくとも3つの試験片の平均が報告される。
【0184】
TMA
熱機械的分析(Thermal Mechanical Analysis)(針入温度)は、180℃および10
MPa成形圧で5分間形成され、次いで風で急速冷却された、30mm直径×3.3mm
厚みの圧縮成形ディスクで行う。用いた装置は、Perkin−Elmerから入手可能
なブランド、TMA7である。この試験では、1.5mmの半径の先端を有するプローブ
(P/N N519−0416)を、1Nの力を用いてサンプルディスクの表面に適用す
る。その温度を25℃から1分あたり5℃上昇させる。このプローブ針入距離は、温度の
関数として測定される。このプローブがサンプルに1mm針入した時、実験が終わる。
【0185】
DMA
動的機械分析(Dynamic Mechanical Analysis)(DMA)は、180℃で10MPaの圧
力で5分間、ホットプレス中において成形され、次いで1分あたり90℃でこのプレス中
で水冷された圧縮成形ディスクで測定する。試験は、ねじり試験のための二重カンチレバ
ー固定具を装備したARES制御ひずみレオメーター(TA機器)を用いて行う。
【0186】
1.5mmのプラックをプレスして、32×12mmの寸法のバーに切断する。そのサ
ンプルを10mm(グリップ間隔ΔL)ずつ隔てた固定具の間において両端でクランプし
て、−100℃〜200℃の逐次的温度段階(1段階あたり5℃)に供する。各々の温度
でねじり剛性率G’を、10rad/sの角周波数で測定し、このひずみ振幅は、トルク
が十分であること、そして測定値が直線状態のままあることを保証するために0.1パー
セント〜4パーセントの間で維持させる。
【0187】
10gという最初の静止力を維持して(自動引っ張り方式)、熱膨張が生じる時のサン
プル中のゆるみを防ぐ。結果として、グリップ間隔ΔLは、温度とともに、特に、ポリマ
ーサンプルの融点または軟化点より上で、増大する。試験は、最大温度か、または固定具
の間の隙間が65mmに達した時に終わる。
【0188】
メルトインデックス
メルトインデックスIは、ASTM D1238,条件190℃/2.16kgに従
って測定する。メルトインデックスI10はまた、ASTM D1238,条件190℃
/10kgに従って測定する。
【0189】
ATREF
分析的昇温溶離分別(analytical temperature rising elution fractionation)(A
TREF)分析は、その全体が参照によって本明細書に援用される、米国特許第4,79
8,081号およびWilde,L.;Ryle,T.R.;Knobeloch,D.C.;Peat,I.R.;Determination of B
ranching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymer,J.Polym.Sci.,20,44
1〜455(1982)に記載された方法に従って行う。分析されるべき組成物は、トリクロロベン
ゼンに溶解して、1分あたり0.1℃の冷却速度で20℃までゆっくり温度を下げること
によって、不活性支持体(ステンレス鋼ショット)を含むカラム中で結晶させる。このカ
ラムには、赤外線検出器が装備されている。次いで、1分あたり1.5℃の速度で20℃
から120℃へ溶出溶媒(トリクロロベンゼン)の温度をゆっくり上昇させることにより
カラムから結晶化したポリマーサンプルを溶出することによって、ATREFのクロマト
グラフィー曲線を作成する。
【0190】
13C NMR分析
サンプルを、10mmのNMRチューブ中で0.4gのサンプルに対してテトラクロロ
エタン−d/オルトジクロロベンゼンの50/50の混合物の約3gを添加することに
よって調製する。そのサンプルを、このチューブおよびその内容物を150℃に加熱する
ことによって溶解して、均質化する。100.5MHzという13Cの共振周波数に相当
する、JEOL Eclipse(商標)400MHz分光計、またはVarian U
nity Plus(商標)400MHz分光計を用いてデータを収集する。そのデータ
は、6秒のパルス繰り返し時間遅延により1データ・ファイルについて4000の減衰シ
グナルを用いて得る。定量的分析のための最小のシグナル対ノイズ比を達成するために、
複数のデータファイルを一緒に加える。スペクトルの幅は25,000Hzであり、最小
のファイルサイズは32Kのデータ・ポイントである。このサンプルは、10mmの広帯
域プローブ中で130℃で分析する。コモノマーの取り込みは、その全体が参照によって
本明細書に援用される、Randallのトライアッド法(Randall,J.C.;JMS-Rev.Macro
mol.Chem.Phys.,C29,201-317(1989)を用いて決定される。
【0191】
TREFによるポリマー分画
大規模なTREF分画は、160℃で4時間撹拌することによって2リットルの1,2
,4−トリクロロベンゼン(TCB)中に15〜20gのポリマーを溶解することによっ
て行う。このポリマー溶液は、30−40メッシュ(600〜425μm)球状の、技術
的品質のガラスビーズ(Potters Industries,HC30 Box20
,Brownwood,TX,76801から入手可能)およびステンレス鋼、0.02
8”(0.7mm)の直径のカット・ワイア・ショット(Pellets,Inc.63
Industrial Drive,North Tonawanda,NY,141
20から入手可能)の60:40(v:v)混合物をパックした3インチ×4フィート(
7.6cm×12cm)のスチール・カラム上に15psig(100kPa)窒素によ
って圧入する。このカラムを、160℃に最初に設定した、熱制御されたオイルジャケッ
トに浸す。このカラムは125℃に弾道的に最初に冷却し、次いで1分あたり0.04℃
で20℃までゆっくり冷却して、1時間保持する。温度を1分あたり0.167℃で上昇
させながら、新鮮なTCBを1分あたり約65mlで導入する。
【0192】
分取TREFカラムからの約2000mL分の溶離液を、16のステーションの加熱さ
れたフラクションコレクターに収集する。このポリマーを、約50〜100mlのポリマ
ー溶液が残るまで、ロータリーエバポレーターを用いて各々の画分中で濃縮させる。この
濃縮溶液を、一晩静置させて、その後に、過剰のメタノールを添加し、濾過して、洗浄す
る(最終の洗浄を含む約300〜500mlのメタノール)。濾過工程は、5.0μmの
ポリテトラフルオロエチレンコーティング濾紙(Osmonics Inc.から入手可
能、カタログ番号Z50WP04750)を用いて、3位置の真空利用濾過ステーション
で行う。濾過された画分は、60℃で真空オーブン中において一晩乾燥させて、さらなる
試験の前に化学天秤で秤量する。
【0193】
溶融強度
溶融強度(MS)を、2.1mmの直径、約45度の入口角を有する20:1のダイを
取付けたキャピラリー・レオメータを用いることによって測定する。190℃で10分間
サンプルを平衡化した後、このピストンを1分あたり1インチ(2.54cm/分)の速
度で動かす。標準試験温度は190℃である。サンプルを2.4mm/秒の加速を有す
るダイの100mm下に配置される1セットの加速ニップに一軸に延伸する。必要な張力
は、ニップ・ロールの巻き取り速度の関数として記録する。試験の間に到達する最大張力
が、溶融強度として定義される。ドローレゾナンスを示すポリマー溶融の場合、ドローレ
ゾナンスの発生の前の張力が、溶融強度とされた。溶融強度は、センチニュートン(cent
iNewtons)(「cN」)で記録される。
【0194】
触媒
「一晩」という用語を用いる場合、約16〜18時間の時間をいい、「室温」とは、2
0〜25℃の温度をいい、そして「混合アルカン」という用語は、ExxonMobil
Chemical Companyから、IsoparE(登録商標)という商品名で
利用可能なC6−9脂肪族炭化水素の商業的に得られる混合物を指す。この事象では、本
明細書において化合物の名称が、その構造図に従わない場合には、構造図が優先するもの
とする。全ての金属錯体の合成および全てのスクリーニング実験の準備は、ドライ・ボッ
クス技術を用いて乾燥窒素雰囲気で行った。用いた全ての溶媒は、HPLC等級であって
、その使用前に乾燥させた。
【0195】
MMAOとは、Akzo−Noble Corporationから市販されている、
修飾メチルアルモキサン、トリイソブチルアルミニウム修飾メチルアルモキサンをいう。
触媒(B1)の調製は、以下のとおり行う。
【0196】
a)(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)メ
チルイミンの調製
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(3.00g)を10mLのイソプロピル
アミンに添加する。この溶液は急速に鮮黄色に変わる。周囲温度での3時間の撹拌後、揮
発性物質を減圧下で取り除き、鮮黄色の結晶性固体を得る(97パーセント収率)。
【0197】
b)1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチル
エチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルの調製
(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン
(605mg、2.2ミリモル)を5mLのトルエンに含有する溶液を、50mLのトル
エンにZr(CHPh)(500mg、1.1mmol)を含む溶液にゆっくり添加
する。得られた濃黄色の溶液を30分間撹拌する。溶媒を減圧下で除去して、所望の生成
物を赤褐色固体として得る。
触媒(B2)の調製は以下のとおり行う。
【0198】
a)(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t
−ブチル)フェニル)イミンの調製
2−メチルシクロヘキシルアミン(8.44mL、64.0mmol)をメタノール(
90mL)に溶解して、ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(10.00g、42.67
mmol)を添加する。その反応混合物を3時間撹拌し、ついで−25℃で12時間冷却
する。得られた黄色固体沈殿物を濾過によって収集して、冷メタノール(2×15mL)
で洗浄し、次いで、減圧下で乾燥させる。収量は、11.17gの黄色固体である。
NMRは、異性体の混合物として所望の生成物と一致する。
【0199】
b)ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−
ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルの調製
(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチ
ル)フェニル)イミン(7.63g、23.2mmol)を含有する200mLのトルエ
ンの溶液を、600mLのトルエンに含有されるZr(CHPh)(5.28g、1
1.6mmol)の溶液にゆっくり添加する。得られた濃黄色の溶液を25℃で1時間撹
拌する。その溶液を680mLのトルエンでさらに希釈して、0.00783Mの濃度を
有する溶液を得る。
【0200】
共触媒1.実質的に米国特許第5,919,9883号、実施例2に開示されるように
、長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo−Nobel,I
ncから入手可能)、HClおよびLi[B(C]の反応によって調製される
、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(本明細書において以降ではホウ酸ア
ーミーニウム(armeenium))のメチルジ(C14−18アルキル)アンモニウム塩の混
合物。
【0201】
共触媒2.米国特許第6,395,671号、実施例16に従って調製された、ビス(
トリス(ペンタフルオロフェニル)−アルマネ(alumane))−2−ウンデシルイミダゾ
リドの混合C14−18アルキルジメチルアンモニウム塩。
【0202】
可逆的移動剤。使用される可逆的移動剤としては、ジエチル亜鉛(DEZ、SA1)、
ジ(i−ブチル)亜鉛(SA2)、ジ(n−ヘキシル)亜鉛(SA3)、トリエチルアル
ミニウム(TEA,SA4)、トリオクチルアルミニウム(SA5)、トリエチルガリウ
ム(SA6)、i−ブチルアルミニウム ビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)(
SA7)、i−ブチルアルミニウム ビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)(SA8)
、n−オクチルアルミニウム ジ(ピリジン−2−メトキシド)(SA9)、ビス(n−
オクタデシル)i−ブチルアルミニウム(SA10)、i−ブチルアルミニウム ビス(
ジ(n−ペンチル)アミド)(SA11)、n−オクチルアルミニウム ビス(2,6−
ジ−t−ブチルフェノキシド)(SA12)、n−オクチルアルミニウム ジ(エチル(
1−ナフチル)アミド)(SA13)、エチルアルミニウム ビス(t−ブチルジメチル
シロキシド)(SA14)、エチルアルミニウム ジ(ビス(トリメチルシリル)アミド
)(SA15)、エチルアルミニウム ビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシク
ロヘプタンアミド)(SA16)、n−オクチルアルミニウム ビス(2,3,6,7−
ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA17)、n−オクチルアルミニウム
ビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド(SA18)、エチル亜鉛(2,6−ジフェニ
ルフェノキシド)(SA19)およびエチル亜鉛(t−ブトキシド)(SA20)が挙げ
られる。
【0203】
実施例1−4、比較A−C
一般的なハイスループット並列重合条件
重合は、Symyx technologies,Inc.から入手可能なハイスルー
プット並列式重合反応装置(parallel polymerization reactor)(PPR)を用いて行
い、そして米国特許の6,248,540号、同第6,030,917号、同第6,36
2,309号、同第6,306,658号および同第6,316,663号に実質的に従
って操作する。エチレン共重合は、用いた総触媒に基づいて共触媒1の1.2当量(MM
AOが存在する場合1.1当量)を用いて、必要時にエチレンを用いて130℃でかつ2
00psi(1.4MPa)で行う。一連の重合は、予め秤量したガラスチューブが取り
付けられている48の個々の反応セルを6×8配列で備えている並列式耐圧反応装置(P
PR)で行う。各々の反応装置セル中の作業容積は6000μLである。各々のセルは、
個々の撹拌パドルによって与えられる撹拌で制御される温度および圧力が制御される。モ
ノマーのガスおよびクエンチガスをPPRユニットに直接配管して、自動バルブで制御す
る。液体試薬を、シリンジによって各々の反応装置セルにロボット制御により添加して、
そのリザーバー溶媒は混合アルカンである。添加の順序は、混合アルカン溶媒(4ml)
、エチレン、1−オクテンコモノマー(1ml)、共触媒1または共触媒1/MMAO混
合物、可逆的移動剤、および触媒または触媒混合物である。共触媒1およびMMAOの混
合物、または2つの触媒の混合物を用いる場合、これらの試薬は、反応装置への添加の直
前に小さいバイアル中で事前に混合する。実験で試薬が省略される場合、その他のものに
は上記の順序の添加が維持される。重合は、所定のエチレン消費に到達するまで、約1〜
2分間行う。COでのクエンチング後、その反応装置を冷却して、ガラスチューブを取り
外す。そのチューブを遠心分離/真空乾燥ユニットに移して、60℃で12時間乾燥する
。乾燥されたポリマーを含むチューブを秤量して、その重量と風袋重量との間の差異で、
ポリマーの正味の収量が得られる。結果は表1に含まれる。表1で、そして本出願のどこ
かでは、比較化合物は、星印()によって示される。
【0204】
実施例1〜4は、極めて狭いMWDの形成によって証明されるような本発明による線状
ブロックコポリマー、特にDEZが存在する場合は単頂性のコポリマー、そしてDEZの
非存在下における二頂性の広い分子量分布の生成物(別々に生成されたポリマーの混合物
)の合成を実証する。触媒(A1)が触媒(B1)よりもオクテンを組み込むことが公知
であるという事実に起因して、本発明の得られたコポリマーの種々のブロックまたはセグ
メントは、分枝または密度に基づいて識別可能である。
【表1】

【0205】
本発明に従って生成されるポリマーは、可逆的移動剤の非存在下で調製したポリマーよ
りも比較的狭い多分散性(Mw/Mn)および比較的大きいブロック−コポリマー含量(
三量体、四量体またはそれ以上)を有することが示され得る。
【0206】
さらなる特性付けのために、図を参照して、表1のポリマーについてのデータを判定す
る。さらに詳細にはDSCおよびATREFの結果によって、以下が示される:
【0207】
実施例1のポリマーについてのDSC曲線は、158.1J/gという融解熱で115
.7℃の融点(Tm)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、34.5℃で最高のピー
クを示し、52.9パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafと
の間の差異は81.2℃である。
【0208】
実施例2のポリマーのDSC曲線は、214.0J/gの融解熱で109.7℃の融点
(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、46.2℃で最高のピ
ークを示し、57.0パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystaf
との間の差異は63.5℃である。
【0209】
実施例3のポリマーのDSC曲線は、160.1J/gの融解熱で120.7℃の融点
(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、66.1℃で最高のピ
ークを示し、71.8パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystaf
との間の差異は54.6℃である。
【0210】
実施例4のポリマーのDSC曲線は、170.7J/gの融解熱で104.5℃の融点
(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃で最高のピーク
を示し、18.2パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの
間の差異は74.5℃である。
【0211】
比較AのDSC曲線は、86.7J/gの融解熱で90.0℃の融点(Tm)を示す。
対応するCRYSTAF曲線は、48.5℃で最高のピークを示し、29.4パーセント
のピーク面積である。これらの値の両方とも、密度が低い樹脂と一致する。DSC Tm
とTcrystafとの間の差異は41.8℃である。
【0212】
比較BのDSC曲線は、237.0J/gの融解熱で129.8℃の融点(Tm)を示
す。対応するCRYSTAF曲線は、82.4℃で最高のピークを示し、83.7パーセ
ントのピーク面積である。これらの値の両方とも、密度が高い樹脂と一致する。DSC
TmとTcrystafとの間の差異は47.4℃である。
【0213】
比較CのDSC曲線は、143.0J/gの融解熱で125.3℃の融点(Tm)を示
す。対応するCRYSTAF曲線は、34.7パーセントのピーク面積で81.8℃で最
高のピークを、そして52.4℃でより低い結晶ピークを示す。この2つのピークの間の
分離は、高結晶性および低結晶性のポリマーの存在と一致する。DSC TmとTcry
stafとの間の差異は43.5℃である。
【0214】
実施例5−19、比較D−F、連続的溶液重合、結晶A1/B2+DEZ
連続溶液重合を、内部スターラーを装備したコンピュータ制御のオートクレーブ反応装
置で行う。精製された混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical C
ompanyから入手可能なIsopar(商標)E)、エチレン2.70lbs/時間
(1.22kg/時間)、1−オクテンおよび水素(用いる場合)を、温度制御のための
ジャケットおよび内部熱電対を装備した3.8Lの反応装置に供給する。この反応装置へ
供給された溶媒を、マスフローコントローラによって測定する。変速ダイヤフラムポンプ
が、反応装置に対する溶媒流量および圧を制御する。ポンプの排出の際に、側流をとって
触媒注入ラインおよび共触媒1注入ラインおよび反応装置撹拌のためのフラッシュフロー
を設ける。これらのフローは、Micro−Motionマスフローメータによって測定
して、制御バルブによって、またはニードルバルブの手動調節によって制御する。残りの
溶媒を、1−オクテン、エチレンおよび水素(用いる場合)と合わせて、反応装置に供給
する。マスフローコントローラを用いて、必要に応じて反応装置に水素を供給する。溶媒
/モノマー溶液の温度は、反応装置に入れる前、熱交換器の使用によって制御する。この
流れを反応装置の底に入れる。触媒成分溶液を、ポンプおよびマスフローメータを用いて
測定して、触媒フラッシュ溶媒とあわせ、そして反応装置の底に入れる。その反応装置を
激しく撹拌しながら500psig(3.45MPa)で液体を満たして反応させる。生
成物を反応装置の頂部の出口ラインから取り出す。反応装置からの全ての出口ラインは蒸
気トレースおよび絶縁が施されている。重合を、任意の安定化剤または他の添加物ととも
に出口ラインに少量の水を添加すること、および静的ミキサーを通じた混合物の通過によ
って停止させる。次いで、この生成物の流れを、揮発物除去(devolatilization)の前に
熱交換器を通過させることによって加熱する。ポリマー生成物は、揮発物除去押出機およ
び水冷ペレタイザーを用いる押出によって回収する。プロセスの詳細および結果は表2に
含まれる。選択されたポリマーの特性を表3に提供する。
【表2】

【表3】

【0215】
得られたポリマーは、前の実施例と同様に、DSCおよびATREFによって試験され
る。
結果は以下のとおりである:
【0216】
実施例5のポリマーのDSC曲線は、60.0J/gの融解熱で119.6℃の融点(
Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、47.6℃で最高のピー
クを示し、59.5パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafと
の間のΔは72.0℃である。
【0217】
実施例6のポリマーのDSC曲線は、60.4J/gの融解熱で115.2℃の融点(
Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、44.2℃で最高のピー
クを示し、62.7パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafと
の間のΔは71.0℃である。
【0218】
実施例7のポリマーのDSC曲線は、69.1J/gの融解熱で121.3℃の融点を
有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、49.2℃で最高のピークを示し
、29.4パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のΔ
は72.1℃である。
【0219】
実施例8のポリマーのDSC曲線は、67.9J/gの融解熱で123.5℃の融点(
Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、80.1℃で最高のピー
クを示し、12.7パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafと
の間のΔは43.4℃である。
【0220】
実施例9のポリマーのDSC曲線は、73.5J/gの融解熱で124.6℃の融点(
Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、80.8℃で最高のピー
クを示し、16.0パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafと
の間のΔは43.8℃である。
【0221】
実施例10のポリマーのDSC曲線は、60.7J/gの融解熱で115.6℃の融点
(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、40.9℃で最高のピ
ークを示し、52.4パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystaf
との間のΔは74.7℃である。
【0222】
実施例11のポリマーについてのDSC曲線は、70.4J/gの融解熱で113.6
℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、25.2パー
セントのピーク面積で39.6℃で最高のピークを示す。DSC TmとTcrysta
fとの間のΔは74.1℃である。
【0223】
実施例12のポリマーについてのDSC曲線は、48.9J/gという融解熱で113
.2℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以
上のピークを示さない。(従って、さらなる計算の目的のためのTcystafは30℃
に設定する)。DSC TmとTcrystafとの間のΔは83.2℃である。
【0224】
実施例13のポリマーのDSC曲線は、49.4J/gの融解熱で114.4℃の融点
(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、33.8℃で最高のピ
ークを示し、7.7パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafと
の間のΔは84.4℃である。
【0225】
実施例14のポリマーのDSC曲線は、127.9J/gの融解熱で120.8℃の融
点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、72.9℃で最高の
ピークを示し、92.2パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrysta
fとの間のΔは47.9℃である。
【0226】
実施例15のポリマーのDSC曲線は、36.2J/gの融解熱で114.3℃の融点
(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、32.3℃で最高のピ
ークを示し、9.8パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafと
の間のΔは82.0℃である。
【0227】
実施例16のポリマーのDSC曲線は、44.9J/gの融解熱で116.6℃の融点
(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、48.0℃で最高のピ
ークを示し、65.0パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystaf
との間のΔは68.6℃である。
【0228】
実施例17のポリマーについてのDSC曲線は、47.0J/gの融解熱で116.0
℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、56.8パー
セントのピーク面積で43.1℃で最高のピークを示す。DSC TmとTcrysta
fとの間のΔは72.9℃である。
【0229】
実施例18のポリマーについてのDSC曲線は、141.8J/gという融解熱で12
0.5℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、70.
0℃で最高のピークを示し、94.0パーセントのピーク面積である。DSC TmとT
crystafとの間のΔは50.5℃である。
【0230】
実施例19のポリマーのDSC曲線は、174.8J/gの融解熱で124.8℃の融
点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、79.9℃で最高の
ピークを示し、87.9パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrysta
fとの間のΔは45.0℃である。
【0231】
比較DのポリマーについてのDSC曲線は、31.6J/gの融解熱で37.3℃の融
点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上のピーク
を示さない。これらの値の両方とも、低密度である樹脂と一致する。DSC TmとTc
rystafとの間のΔは7.3℃である。
【0232】
比較EのポリマーについてのDSC曲線は、179.3J/gの融解熱で124.0℃
の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、79.3℃で最
高のピークを示し、94.6パーセントのピーク面積である。これらの値の両方とも、高
密度である樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとの間のΔは44.6℃で
ある。
【0233】
比較FのポリマーについてのDSC曲線は、90.4J/gの融解熱で124.8℃の
融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、77.6℃で最高
のピークを示し、19.5パーセントのピーク面積である。2つのピークの間の隔たりは
、高結晶性ポリマーと低結晶性ポリマーの両方の存在と一致する。DSC TmとTcr
ystafとの間のΔは47.2℃である。
【0234】
物理的特性試験
ポリマーサンプルは、物理的特性、例えば、TMA温度試験によって証明されるような
高温耐性の特性、ペレットブロックキング強度、高温回復、高温圧縮永久ひずみ、および
貯蔵弾性率G’(25℃)/G’(100℃)について評価される。いくつかの市販のポ
リマーが、試験に含まれる:比較Gは実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマ
ー(AFFINITY(登録商標)、The Dow Chemical Compan
yから入手可能)であり、比較Hは、エラストマーで、実質的には線状のエチレン/1
−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)EG8100、The Dow
Chemical Companyから入手可能)であり、比較Iは、実質的には線状の
エチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)PL1840、Th
e Dow Chemical Companyから入手可能)であり、比較Jは、水素
化スチレン/ブタジエン/スチレントリブロックコポリマー(KRATON(商標)G1
652,KRATON Polymersから入手可能)であり、比較Kは、熱可塑性加
硫物(TPV,架橋されたエラストマーをその中に分散して含むポリオレフィン混合物)
である。結果は表4に示す。
【表4】

【0235】
表4では、比較F(触媒A1およびB1を用いる同時の重合から生じる2つのポリマー
の物理的な混合物である)は、約70℃という1mm針入温度であるが、実施例5〜9は
、100℃以上の1mm針入温度を有する。さらに実施例10〜19は全てが、85℃よ
り大きい1mm針入温度を有し、ほとんどが、90℃を超えるかまたはさらには100℃
より大きい1mmのTMA温度を有する。これによって、新規なポリマーは、物理的な混
合物に比較して、より高い温度でより良好な寸法安定性を有することが示される。比較J
(市販のSEBS)は、約107℃という良好な1mmのTMA温度を有し、ただし、こ
れは約100パーセントという極めて乏しい(高温70℃)圧縮永久ひずみを有し、そし
てまた高温(80℃)300パーセントひずみ回復の間に回復できない(サンプルが壊れ
た)。従って、例示されたポリマーは、いくつかの市販の高性能の熱可塑性エラストマー
においてでさえ得ることができない特性の固有の組合せを有する。
【0236】
同様に、表4は、本発明のポリマーについて、6以下という低い(良好な)貯蔵弾性率
比G’(25℃)/G’(100℃)を示すが、物理的混合物(比較F)は、9という貯
蔵弾性率比を有し、そして同様の密度のランダムなエチレン/オクテンコポリマー(比較
G)は、1桁大きい貯蔵弾性率比(89)を有する。ポリマーの貯蔵弾性率比はできるだ
け1に近いことが所望される。このようなポリマーは比較的温度によって影響されないし
、このようなポリマーから作製される加工品は、広範な温度範囲にわたって有用に使用さ
れ得る。低い貯蔵弾性率比および温度独立性のこの特徴は、エラストマーの用途において
、例えば、感圧粘着剤配合物において、特に有用である。
【0237】
表4のデータによってまた、本発明のポリマーが改善されたペレットブロッキング強度
を保有することが実証される。詳細には、実施例5は、0MPaというペレットブロッキ
ング強度を有し、このことは、このポリマーが、かなりのブロッキングを示す比較Fおよ
び比較Gに比較して、試験された条件下で自由流動することを意味する。ブロッキング強
度は、重要である。なぜなら、大きいブロッキング強度を有するポリマーの貨物輸送は、
貯蔵または出荷(shipping)の際に製品同士のくっつきまたは粘着を生じ、取り扱いの特
性が劣り得るからである。
【0238】
本発明のポリマーの高温(70℃)圧縮永久ひずみは一般に良好であって、このことは
一般に約80パーセント未満、好ましくは約70%未満、そして特に約60パーセント未
満を意味する。対照的に、比較F、G、HおよびJは全てが、100パーセントという7
0℃圧縮永久ひずみを有する(最大可能値、回復がないことを示す)。ガスケット(gask
ets)、窓枠、O−リングなどのような用途には、良好な高温圧縮永久ひずみ(低い数値
)が特に必要である。
【表5】

【0239】
表5は、新規なポリマーについての機械的特性について、そして周囲温度での種々の比
較ポリマーについての結果を示す。本発明のポリマーは、ISO4649に従って試験し
た場合、極めて良好な耐磨耗性を有することが示され得、これは一般に、約90mm
満、好ましくは約80mm未満、そして特に、約50mm未満という容積減少を示す
。この試験では、数が大きいほど、大きい容積減少を示し、そして結果として低い耐磨耗
性を示す。
【0240】
本発明のポリマーの引張ノッチ付引裂強度によって測定した引裂強度は一般に、表5に
示されるように、1000mJ以上である。本発明のポリマーの引裂強度は、3000m
J程度の高さ、または5000mJ程度の高さであってさえよい。比較ポリマーは一般に
、750mJ以下の引裂強度を有する。
【0241】
表5によってまた、本発明のポリマーが、いくつかの比較サンプルよりも150パーセ
ントひずみでより良好な収縮応力を有する(より高い収縮応力値によって実証される)こ
とが示される。比較の実施例F、GおよびHは、400kPa以下という150パーセン
トひずみでの収縮応力値を有するが、本発明のポリマーは、500kPa(実施例11)
から約1100kPa(実施例17)程度の高さという150パーセントひずみでの収縮
応力値を有する。150パーセント収縮応力値よりも高い値を有するポリマーは、弾性を
有する用途、例えば、弾性の繊維および織布、特に不織布にかなり有用である。他の用途
としては、オムツ、衛生および医療用衣類ウエストバンドの用途、例えば、タブおよび弾
性バンドが挙げられる。
【0242】
表5によってまた、応力緩和(50パーセントひずみ)がまた、例えば、比較Gに対し
て比較した場合、本発明のポリマーについて改善される(少ない)ことが示される。応力
緩和が低いとは、ポリマーがその力を、体温におおいて長期間にわたって弾性特性の保持
が所望される、オムツおよび他の衣類のような用途において、より良好に保持していると
いうことを意味する。
【0243】
光学的試験
【表6】

表6に報告される光学的特性は、実質的に配向性を欠く圧縮成形フィルムに基づく。ポ
リマーの光学的な特性は、重合において使用される可逆的連鎖移動剤の量の変動から生じ
る、結晶化サイズにおけるバリエーションに起因して広範な範囲で変化し得る。
【0244】
マルチブロックコポリマーの抽出
実施例5、7のポリマーおよび比較Eのポリマーの抽出研究を行う。この実験では、ポ
リマーサンプルは、ガラス円筒濾紙(glass fritted extraction thimble)に秤量して、
Kumagawa型の抽出機(extractor)に取り付ける。サンプルを含む抽出機を窒素
でパージして、500mLの丸底フラスコに350mLのジエチルエーテルを充填する。
次いでこのフラスコを抽出機に取付ける。エーテルを撹拌しながら加熱する。エーテルが
円筒濾紙に凝縮し始める時点を書き留めて、抽出を窒素下で24時間進行させる。この時
点で、加熱を停止して、溶液を冷却させる。抽出機中に残っている全てのエーテルをフラ
スコに戻す。フラスコ中のエーテルを周囲温度で減圧下でエバポレートして、得られた固
体を窒素でパージ乾燥(purged dry)させる。残渣をヘキサンの連続的な洗浄を用いて秤
量ボトルに移す。次いで、合わせたヘキサン洗浄液を別の窒素パージでエバポレートさせ
て、残渣を40℃において一晩減圧下で乾燥させる。抽出機中に残留するエーテルを窒素
でパージ乾燥させる。
【0245】
次いで350mLのヘキサンを充填した第二の清浄な丸底フラスコを、この抽出機に接
続する。円筒濾紙中でヘキサンの凝縮に最初に気付いた後、ヘキサンを撹拌しながら加熱
還流して、還流下で24時間維持する。次いで加熱を停止して、フラスコを冷却させる。
抽出機中に残っているヘキサンをフラスコに戻す。そのヘキサンを周囲温度で減圧下での
エバポレーションによって除去して、フラスコ中に残っている残渣を連続的なヘキサン洗
浄を用いて秤量ボトルに移す。フラスコ中のヘキサンを窒素パージによってエバポレート
して、その残渣を40℃で一晩減圧下で乾燥させる。
【0246】
抽出後に円筒濾紙中に残っているポリマーサンプルを、この円筒濾紙から秤量ボトルに
移して、40℃で一晩減圧乾燥する。結果は表7に含まれる。
【表7−1】

【0247】
付加的ポリマー実施例19A〜F、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
連続溶液重合を、コンピュータ制御の充分に混合される反応器(well-mixed reactor)で
行う。精製混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical Compan
yから入手可能なIsopar(商標)E)、エチレン、1−オクテン、および水素(使
用される場合)を合わせ、27ガロンの反応器に供給する。反応器への供給物は、マスフ
ローコントローラによって計量される。反応器に入れる前に、供給流れの温度を、グリコ
ール冷却熱交換器の使用によって調節する。ポンプおよびマスフローメータを使用して、
触媒成分溶液を計量する。反応器は、約550psig圧力において液体満杯(liquid-fu
ll)で操作される。反応器から出ると、水および添加剤がポリマー溶液に注入される。水
は、触媒を加水分解し、重合反応を終了させる。次に、二段階の揮発物除去の準備ために
、反応器後溶液を加熱する。溶媒および未反応モノマーが、揮発物除去工程の間に除去さ
れる。ポリマー溶解物を、水中ペレットカッティングのためにダイにポンプで注入する。
【0248】
方法の詳細および結果を表7Aに示す。選択ポリマーの特性を、表7Bおよび7Cに示
す。
【表7−2】

【表7−3】

【0249】
充填ポリマー組成物の実施例
バンバリーミキサーを使用して、特定の充填ポリマー組成物を調製した。エチレン/α
−オレフィン共重合体を加熱したチャンバに入れ、50〜75rpmで2分間混合し、次
に、1/2の乾燥成分および顔料を添加し、3分間混合した。乾燥成分の残りおよび油を
添加し、30〜50rpmでさらに8〜12分間バッチ混合した。バッチ温度は135℃
未満のままであった。混合物をミキサーから落とし、冷却した2本のロールミルで1パス
によって薄いシート(約3mm)にカレンダリングすることによってさらに処理した。こ
のシートがロールからの除去の際にストレスを受けないようにしてミルされたシートを収
集した。最終シートを厚紙シートの間で冷却させ、次に、物理的および機械的特性試験に
使用するか、または圧力を加えずに190℃で2分間、次に、88.9kNの力で2分間
加熱し、次に、88.9kNの力で10℃で4分間冷却することによってシートに圧縮成
形した。
【0250】
または、Haake Rheomix 300レオメーターを使用して、充填ポリマー
組成物を調製した。試料ボウルの温度を190℃に設定し、ローター速度は40rpmで
あった。試料ボウルに、各成分を別々に入れた。エチレン/α−オレフィン共重合体を最
初に入れて、メルトバンクを確立し、次に、無機充填剤をゆっくり添加して、粉状充填剤
がポリマー溶解物の堆積物(bank)に徐々に取り込まれるようにした。全ての成分を添加
した後、約5分間、または安定トルクが確立されるまで、混合を続けた。試料をさらに試
験し評価するために、Garver自動プレスで、190℃において44.45kNの力
で3分間圧縮成形した。次に、電子冷却浴を使用して室温で平衡させたプレスによって、
溶融材料を急冷した。
【0251】
本発明において提供される炭酸カルシウム充填ポリマー組成物および比較対照例の、充
填剤含量、硬度、耐熱性および曲げ弾性率を比較した。これらのデータを表8に示す。
【表8】

【0252】
本発明において提供する充填ポリマー組成物(表8の実施例20〜23)は、比較的高
い可撓性−耐熱性指数および柔軟性−耐熱性指数を示した。硬さで正規化した高い耐熱性
が、耐熱性およびソフト感触または可撓性を必要とする用途に所望される。
【0253】
種々の充填剤含量レベルにおける、本発明において提供される新規充填ポリマー組成物
(表8の実施例20〜23)および充填したAFFINITY(登録商標)EG8200
についての、柔軟性−耐熱性指数の比較を、図8に示す。この図に見られるように、本発
明において提供されるエチレン/α−オレフィン共重合体を含有する充填ポリマー組成物
は、CaCO充填剤含量の範囲にわたって、比較的高い柔軟性−耐熱性指数を有する。
【0254】
CaCO充填剤含量レベルの範囲にわたる、本発明において提供される新規充填ポリ
マー組成物および充填したAFFINITY(登録商標)EG8200についての、可撓
性−耐熱性指数の比較を、図8aに示す。この図に見られるように、本発明において提供
されるエチレン/α−オレフィン共重合体を含有する充填ポリマー組成物(実施例20〜
23)は、CaCO充填剤含量の範囲にわたって、比較的高い可撓性−耐熱性指数を有
する。
【0255】
CaCO充填剤含量レベルの範囲にわたる、本発明において提供される新規充填ポリ
マー組成物および充填したAFFINITY(登録商標)EG8200についての、TM
A(1mm)を、図8bに示す。この図に見られるように、本発明において提供されるエ
チレン/α−オレフィン共重合体を含有する充填ポリマー組成物(実施例20〜23)は
、CaCO充填剤含量の範囲にわたって、対照1〜4のTMAと比較して、比較的高い
TMAを有する。
【0256】
CaCO充填剤含量レベルの範囲にわたる、本発明において提供される新規充填ポリ
マー組成物および充填AFFINITY(登録商標)EG8200についての、TMA(
1mm)を、図8bに示す。図に見られるように、本発明において提供されるエチレン/
α−オレフィン共重合体を含有する充填ポリマー組成物(実施例20〜23)は、CaC
充填剤含量の範囲にわたって、対照1〜4のTMAと比較して、比較的高いTMAを
有する。
【0257】
図8cは、いくつかの本発明のポリマーについての、TMA(1mm)対ショアA硬度
のプロットを、いくつかの公知のポリマーと比較して示す(表8における、実施例20〜
23/対照1〜4)。
【0258】
図8dは、いくつかの本発明のポリマーについての、TMA(1mm)対曲げ弾性率の
プロットを、いくつかの公知のポリマーと比較して示す(表8における、実施例20〜2
3/対照1〜4)。
【0259】
本発明において提供されるいくつかの例示的充填ポリマー組成物は、表9に示すように
、向上した耐熱性−可撓性バランスを示す。表9の実施例において、種々の添加剤および
約80wt%の炭酸カルシウムを含有する充填ポリマー組成物を評価した。エチレン/α
−オレフィン共重合体の圧縮成形組成物、および対応する比較対照例の、組成、硬度、T
MA耐熱性、温度および曲げ弾性率を、表9に示す。
【表9】

【0260】
表9に示したように、実施例24の充填ポリマー組成物は、対応する比較対照5より高
い可撓性−耐熱性指数(FHRI)および柔軟性−耐熱性指数(SHRI)示した。同様
に、実施例25の充填ポリマー組成物は、比較対照6および対照6aより優れた可撓性−
耐熱性バランスを示した。
【0261】
充填ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)コポリマー組成物は、同様の充填剤含量レベル
において、他の実施例および比較対照試料より高い硬度を示したことも注目される。
【0262】
例示的充填ポリマー組成物の特性の測定
表10は、実施例19dおよび実施例19hの共重合体、Engage(登録商標)8
450、ENR 7467およびElvax(登録商標)460をポリマーとして含むい
くつかの例示的充填ポリマー組成物を表示している(使用したポリマーおよび他の成分の
量は、表10に示されている)。表11は、それらの物理的特性、例えば、レオロジー、
密度、圧縮永久ひずみ、ショアA硬度、TMAおよびシート引張を示す。表12および1
3は、本発明の共重合体および従来のポリマーを含む例示的充填ポリマー組成物の合成の
プロトコルを示す。表14は、TMA針入温度に対する弾性率(モジュラス)および硬度
の比率を示す。
【0263】
いくつかの例示的充填ポリマー組成物のレオロジーを、150Cおよび15%ひずみに
おいて測定した。その方法は、25mm直径の平行板および2.0mmの間隙を使用した
。試験の開始前に、試料をその温度で300秒間にわたって状態調節した。周波数掃引(f
requency sweep)は、0.1〜100ラド/秒の範囲をカバーした。いくつかの例示的充
填ポリマー組成物のレオロジーを、表11ならびに図9および10に示す。
【0264】
いくつかの充填ポリマー組成物の密度を、ASTM D792(これは参照により本明
細書に組み込まれる)に従って測定する。いくつかの例示的充填ポリマー組成物の密度を
表11に示す。
【0265】
いくつかの例示的充填ポリマー組成物の圧縮永久ひずみを、前記のようにASTM D
395に従って測定した。いくつかの例示的充填ポリマー組成物の圧縮永久ひずみの結果
を、表11および図11に示す。
【0266】
いくつかの例示的充填ポリマー組成物のショアA硬度を、ASTM D2240(参照
により本明細書に組み込まれる)に従って測定した。いくつかの例示的充填ポリマー組成
物のショアA硬度の結果を、表11および図12に示す。
【0267】
いくつかの例示的充填ポリマー組成物の熱的機械分析(針入温度)を、前記のように行
う。いくつかの例示的充填ポリマー組成物のTMA結果を、表11および図13に示す。
【0268】
いくつかの例示的充填ポリマー組成物の引張強度および伸度を、ASTM D412(
参照により本明細書に組み込まれる)に従って測定した。いくつかの例示的充填ポリマー
組成物の引張強度および伸度の結果を、表11および図14〜17に示す。
【0269】
いくつかの例示的充填ポリマー組成物の引裂強度および伸度を、ASTM D624(
参照により本明細書に組み込まれる)に従って測定した。例示的充填ポリマー組成物の引
裂強度および伸度の結果を、表11および図18〜19に示す。
【0270】
いくつかの例示的充填ポリマー組成物の曲げ特性を、ASTM D790(参照により
本明細書に組み込まれる)に従って測定した。例示的充填ポリマー組成物の曲げ特性試験
の結果を、表11および図20に示す。
【表10】

【表11−1】

【表11−2】

【表11−3】

【表12−1】

【表12−2】

【表12−3】

【表13−1】

【表13−2】

【表13−3】

【表14】

【0271】
前記のように、本発明において提供されるエチレン/α−オレフィン共重合体を含む充
填ポリマー組成物は、例えば、より高い耐熱性、より優れた可撓性、および向上した耐熱
性−低弾性率バランスを有する。特定の実施形態において、本発明において提供される充
填ポリマー組成物は、向上した耐熱性−可撓性−加工性−充填剤取込みレベルの組合せ;
より高い耐熱性;同等のまたはより優れた可撓性;および同等のまたはより優れた充填剤
取込みレベルを示す。そのような向上した特性は、本発明において提供される組成物を、
ノイズ、振動およびハーシュネス改善、自動車床材および屋根材、ケーブルおよびワイヤ
のコーティングにおける適用に好適なものにする。
【0272】
さらに、従来から公知のコポリマーと比較して、本発明において提供される新規エチレ
ン/α−オレフィン共重合体は、より高い結晶化温度、従って、比較的高い温度における
より高い未処理(green)強度を示す。これは、射出成形、カレンダリング、熱成形およ
び他の類似した種類の操作における、より高い硬化温度、より短い硬化時間、およびより
速い製造速度を可能にする。本発明において提供されるエチレン/α−オレフィン共重合
体は、ランダムコポリマーと比較して、より少ない収縮を生じるはずである。他の利点、
用途および特性は、当業者に明らかである。
【0273】
本発明を限られた数の実施形態に関して説明したが、一実施形態の特定の特徴が、本発
明の他の実施形態に起因すると考えるべきでない。1つの実施形態が、本発明の全ての態
様を表示するものではない。いくつかの実施形態において、組成物または方法は、本明細
書に記載していない多くの化合物または工程を含みうる。他の実施形態において、組成物
または方法は、本明細書に挙げていないどのような化合物または工程も含まないか、また
は実質的に含まない。記載した実施形態の変型または変更も存在する。最後に、本明細書
に開示されているあらゆる数値は、数値の記載において「約」または「ほぼ」という語句
を使用しているかどうかにかかわらず、近似値であるものと理解すべきである。請求の範
囲は、全てのそのような変更および変型を、本発明の範囲に含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0274】
図9〜22において、
「01」は、実施例24に対応し;
「03」は、実施例25に対応し;
「05」は、実施例26に対応し;
「02」は、対照5に対応し;
「04」は、対照6に対応し;
「06」は、対照7に対応し;
「07」は、対照6aに対応し;
「08」は、対照8に対応し;
「09」は、対照9に対応し;
「10」は、実施例27に対応し;
「11」は、対照10に対応する。
【図1】図1は、従来のランダムコポリマー(円形で表す)およびチーグラー・ナッタコポリマー(三角形で表す)と比較した、本発明ポリマー(菱形で表す)の融点/密度関係を示す。
【図2】図2は、種々のポリマーについての、DSCメルトエンタルピーの関数としてのΔDSC−CRYSTAFのプロットを示す。菱形は、ランダムエチレン/オクテンコポリマーを表し;正方形は、ポリマー実施例1〜4を表し;三角形は、ポリマー実施例5〜9を表し;円形は、ポリマー実施例10〜19を表す。記号「X」は、ポリマー実施例A〜Fを表す。
【図3】図3は、本発明の共重合体(正方形および円形で表す)および従来のコポリマー(種々のDow AFFINITY(登録商標)ポリマー;三角形で表す)から作製した未延伸フィルムについての、弾性回復率における密度の作用を示す。正方形は、本発明のエチレン/ブテンコポリマーを表し;円形は、本発明のエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【図4】図4は、実施例5のポリマー(円形で表す)および比較ポリマーEおよびF(記号「X」で表す)についての、画分のTREF溶離温度に対する、TREF分画エチレン/1−オクテンコポリマー画分のオクテン含量のプロットである。菱形は、従来のランダムエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【図5】図5は、実施例5のポリマー(曲線1)および比較F(曲線2)についての、画分のTREF溶離温度に対する、TREF分画エチレン/1−オクテンコポリマー画分のオクテン含量のプロットである。正方形は、実施例Fを表し;三角形は、実施例5を表す。
【図6】図6は、比較エチレン/1−オクテンコポリマー(曲線2)およびプロピレン/エチレン−コポリマー(曲線3)、ならびに異なる量の可逆的連鎖移動剤を使用して作製した本発明の2つのエチレン/1−オクテンブロックコポリマー(曲線1)についての、温度の関数としての貯蔵弾性率の対数のグラフである。
【図7】図7は、いくつかの公知のポリマーと比較したいくつかの本発明ポリマー(菱形で表す)についての、曲げ弾性率に対するTMA(1mm)のプロットを示す。三角形は、種々のDow VERSIFY(登録商標)ポリマーを表し;円形は、種々のランダムエチレン/スチレンコポリマーを表し;正方形は、種々のDow AFFINITY(登録商標)ポリマーを表す。
【図8−1】図8は、ポリマー組成物中のCaCOレベルに対する、柔軟性−耐熱性指数(softness-heat resistance index)を示す。中実バーは、実施例15の共重合体を含む充填組成物を表し;中空バーは、AFFINITY(登録商標)8200を含む充填ポリマー組成物を表す。 図8aは、充填ポリマー組成物中のCaCOレベルに対する、可撓性−耐熱性指数(flexibility-heat resistance index)を示す。中実バーは、実施例15の共重合体を含む充填組成物を表し;中空バーは、AFFINITY(登録商標)8200を含む充填ポリマー組成物を表す。
【図8−2】図8bは、種々のCaCOレベルにおける、本発明の共重合体およびAFFINITY(登録商標)EG8200ポリマーを含む充填ポリマー組成物への1mm針入(penetration)におけるTMA温度を示す(表8における実施例番号20〜23/対照番号1〜4)。菱形は、実施例15の共重合体を含む充填ポリマー組成物を表し;正方形は、AFFINITY(登録商標)EG8200を含む充填ポリマー組成物を表す。
【図8−3】図8cは、本発明の共重合体およびAFFINITY(登録商標)EG8200ポリマーを含む充填ポリマー組成物についての、TMA温度対ショア硬度のプロットを示す。円形は、実施例15の共重合体を含む充填ポリマー組成物を表し;正方形は、AFFINITY(登録商標)EG8200を含む充填ポリマー組成物を表す。 図8dは、本発明の共重合体およびAFFINITY(登録商標)EG8200ポリマーを含む充填ポリマー組成物についての、TMA温度対曲げ弾性率のプロットを示す。菱形は、実施例15の共重合体を含む充填ポリマー組成物を表し;正方形は、AFFINITY(登録商標)EG8200を含む充填ポリマー組成物を表す。
【図9】図9は、実施例24、25、26および27、ならびに対照5、6、6a、7、8、9および10の、種々の充填ポリマー組成物についての、見掛け粘度によって表されるレオロジー挙動を示す。
【図10】図10は、実施例24、25、26および27、ならびに対照5、6、6a、7、8、9および10の、種々の充填ポリマー組成物についての、tanδで表されるレオロジー挙動を示す。
【図11】図11は、実施例24、25、26および27、ならびに対照5、6、6a、7、8、9および10の、いくつかの例示的充填ポリマー組成物についての、圧縮永久ひずみデータを示す。中実バーは、23℃および22時間における25%圧縮永久ひずみを表し;中空バーは、80℃および22時間における25%圧縮永久ひずみを表す。
【図12】図12は、実施例24、25、26および27、ならびに対照5、6、6a、7、8、9および10の、いくつかの例示的充填ポリマー組成物および比較例についての、ショアA硬度を示す。中実バーはCM硬度を表し;中空バーは、シート硬度を表す。
【図13】図13は、実施例24、25および26、ならびに対照5、6、6a、7、8および9の、いくつかの例示的充填ポリマー組成物についての、種々の温度での針入%を示す。
【図14】図14は、実施例24、25、26および27、ならびに対照5、6、6a、7、8、9および10の、いくつかの例示的充填ポリマー組成物についての、CDシート破断点引張強度(中実バーで表す)、およびMDシート破断点引張強度(中空バーで表す)を示す。
【図15】図15は、実施例24、25、26および27、ならびに対照5、6、6a、7、8、9および10の、いくつかの例示的充填ポリマー組成物についての、MDシート破断点引張強度(中空バーで表す)、およびCM破断点引張強度(中実バーで表す)を示す。
【図16】図16は、実施例24、25、26および27、ならびに対照5、6、6a、7、8、9および10の、いくつかの例示的充填ポリマー組成物についての、MDシート最終伸度%(中空バーで表す)、およびCD極限伸度%(中実バーで表す)を示す。
【図17】図17は、実施例24、25、26および27、ならびに対照5、6、6a、7、8、9および10の、いくつかの例示的充填ポリマー組成物についての、MDシート最終伸度%(中空バーで表す)、およびCM極限伸度%(中実バーで表す)を示す。
【図18】図18は、実施例24、25、26および27、ならびに対照5、6、6a、7、8、9および10の、例示的充填ポリマー組成物についての、MD、タイプC引裂強度(中空バーで表す)、およびCD、タイプC引裂強度(中実バーで表す)を示す。
【図19】図19は、実施例24、25、26および27、ならびに対照5、6、6a、7、8、9および10の、例示的充填ポリマー組成物についての、MD、タイプC引裂強度(中空バーで表す)、およびCM引裂強度(中実バーで表す)を示す。
【図20】図20は、実施例24、25、26および27、ならびに対照5、6、6a、7、8、9および10の、例示的充填ポリマー組成物についての、CM曲げ弾性率(中空バーで表す)、およびシート曲げ弾性率(中実バーで表す)を示す。
【図21】図21は、実施例24、25、26および27、ならびに対照5、6、6a、7、8、9および10の、例示的充填ポリマー組成物についての、2%割線モジュラス/TMA温度の比率を示す。
【図22】図22は、実施例24、25、26および27、ならびに対照5、6、6a、7、8、9および10の、例示的充填ポリマー組成物についての、TMA温度/シート硬度[ショアA]の比率を示す。
【図23】図23は、例示的充填ポリマー組成物についての、TMA針入温度対ジュロメーター硬度のプロットを示す。正方形は、本発明のエチレン/ブテンコポリマーを含む充填組成物を表し;円形は、本発明のエチレン/オクテンコポリマーを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填ポリマー組成物であって、
(i)ポリマー、および
(ii)充填剤
を含み、前記ポリマーが、エチレン/α−オレフィン共重合体を含み、前記共重合体が、
共重合体の総重量に基づき少なくとも50重量%のエチレン含量を含むブロック共重合体
であり、そして下記のような共重合体である、充填ポリマー組成物:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(℃)、および
密度d(g/cm)を有し、ここで、Tmおよびdの数値は下記の関係式に対応する:
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2;または
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、かつ、融解熱ΔH(J/g)、およ
び最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量Δ
T(℃)によって特徴付けられ、ΔTおよびΔHの数値は下記の関係を有し:
0より大きい〜130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)
+62.81、
130J/gより大きいΔHについては、ΔT≧48℃、
ここで、CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5%を用いて測定され、ポリ
マーの5%未満が確認しうるCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は
30℃である;または
(c)エチレン/α−オレフィン共重合体の圧縮成形フィルムを用いて測定される3
00%ひずみおよび1サイクルにおける弾性回復率Re(%)によって特徴付けられ、か
つ、密度d(g/cm)を有し、ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレ
フィン共重合体が架橋相を実質的に含有しない場合に下記の関係式を満たす:
Re>1481−1629(d);または
(d)TREFを用いて分画した場合に40℃〜130℃で溶離する分子画分を有し
、前記画分が、同じ温度範囲で溶離する比較対象となるランダムエチレン共重合体画分よ
り少なくとも5%高いコモノマーモル含量を有することを特徴とし、前記比較対象となる
ランダムエチレン共重合体は、同じコモノマーを有し、かつ、メルトインデックス、密度
およびコモノマーモル含量(全ポリマーに基づく)を、エチレン/α−オレフィン共重合
体のものから10%以内に有する;または
(e)25℃における貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃における貯蔵弾性
率G’(100℃)によって特徴付けられ、G’(25℃)対G’(100℃)の比は約
1:1〜約10:1である。
【請求項2】
エチレン/α−オレフィン共重合体が、約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも
1つの融点Tm(℃)、および密度d(g/cm)を有し、ここで、Tmおよびdの数
値が下記の関係式に対応する、請求項1に記載の充填ポリマー組成物:
Tm≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)
【請求項3】
エチレン/α−オレフィン共重合体が、約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、かつ
、融解熱ΔH(J/g)、および最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度
差として定義されるデルタ量ΔT(℃)によって特徴付けられ、ここで、ΔTおよびΔH
の数値が下記の関係を有し:
0より大きい〜130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)
+62.81、
130J/gより大きいΔHについては、ΔT≧48℃、
ここで、CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5%を用いて測定され、ポリ
マーの5%未満が確認しうるCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は
30℃である、請求項1に記載の充填ポリマー組成物。
【請求項4】
エチレン/α−オレフィン共重合体が、エチレン/α−オレフィン共重合体の圧縮成形
フィルムを用いて測定される300%ひずみおよび1サイクルにおける弾性回復率Re(
%)によって特徴付けられ、かつ、密度d(g/cm)を有し、ここで、Reおよびd
の数値は、エチレン/α−オレフィン共重合体が架橋相を実質的に含有しない場合に下記
の関係式を満たす、請求項1に記載の充填ポリマー組成物:
Re>1481−1629(d)。
【請求項5】
Reおよびdの数値が、下記の関係式を満たす、請求項1に記載の充填ポリマー組成物

Re>1491−1629(d)。
【請求項6】
Reおよびdの数値が、下記の関係式を満たす、請求項1に記載の充填ポリマー組成物

Re>1501−1629(d)。
【請求項7】
Reおよびdの数値が、下記の関係式を満たす、請求項1に記載の充填ポリマー組成物

Re>1511−1629(d)。
【請求項8】
充填ポリマー組成物であって、
(i)ポリマー、および
(ii)充填剤
を含み、前記ポリマーがエチレン/α−オレフィン共重合体を含み、前記共重合体が、共
重合体の総重量に基づき少なくとも50重量%のエチレン含量を含むブロック共重合体で
あり、そして: (a)TREFを用いて分画した場合に40℃〜130℃で溶離する
少なくとも1つの分子画分であって、少なくとも0.5〜約1までのブロックインデック
スを有することを特徴とする画分;または
(b)0より大きい〜約1.0までの平均ブロックインデックス、および約1.3よ
り大きい分子量分布Mw/Mn、
を有する、充填ポリマー組成物。
【請求項9】
エチレン/α−オレフィン共重合体が、TREFを用いて分画した場合に40℃〜13
0℃で溶離する分子画分を有し、前記画分が、同じ温度範囲で溶離する比較対象となるラ
ンダムエチレン共重合体画分より少なくとも5%高いコモノマーモル含量を有することを
特徴とし、ここで前記比較対象となるランダムエチレン共重合体が、同じコモノマーを有
し、かつ、メルトインデックス、密度およびコモノマーモル含量(全ポリマーに基づく)
を、エチレン/α−オレフィン共重合体のものから10%以内に有する、請求項1または
8に記載の充填ポリマー組成物。
【請求項10】
エチレン/α−オレフィン共重合体が、25℃における貯蔵弾性率G’(25℃)、お
よび100℃における貯蔵弾性率G’(100℃)によって特徴付けられ、G’(25℃
)対G’(100℃)の比が約1:1〜約10:1である、請求項1または8に記載の充
填ポリマー組成物。
【請求項11】
α−オレフィンが、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オク
テンまたはそれらの組合せである、請求項1または8に記載の充填ポリマー組成物。
【請求項12】
エチレン/α−オレフィン共重合体が、組成物の全重量の約5%〜約70%の範囲で存
在する、請求項1または8に記載の充填ポリマー組成物。
【請求項13】
充填剤が、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム
、ガラス繊維、ナノ−クレー、タルク、カーボンブラックまたはグラファイト、フライア
ッシュ、セメントダスト、クレー、長石、霞石、シリカまたはガラス、ヒュームドシリカ
、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、二酸化
チタン、チタネート、ガラス微小球およびチョークから選択される、請求項1または8に
記載の充填ポリマー組成物。
【請求項14】
充填剤が、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウムから選択される、請求項13に記載の充
填ポリマー組成物。
【請求項15】
充填剤が炭酸カルシウムである、請求項14に記載の充填ポリマー組成物。
【請求項16】
充填剤が、約30%〜約95%の範囲で存在する、請求項13に記載の充填ポリマー組
成物。
【請求項17】
ポリマーが第二ポリマーをさらに含む、請求項1または8に記載の充填ポリマー組成物

【請求項18】
第二ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−プロピ
レンコポリマー、(エチレン−コ−酢酸ビニル)、エチレン−プロピレン−非共役ジエン
のターポリマー、エチレンおよび酢酸ビニルの混合ポリマー、スチレン−ブタジエン混合
ポリマー、およびそれらの組合せから選択される、請求項17に記載の充填ポリマー組成
物。
【請求項19】
少なくとも1つの可塑剤をさらに含む、請求項1または8に記載の充填ポリマー組成物

【請求項20】
可塑剤が、プロセス油、エポキシ化油、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエ
ステルまたはそれらの組合せを含む、請求項19に記載の充填ポリマー組成物。
【請求項21】
可塑剤が、パラフィン系プロセス油およびステアリン酸を含む、請求項20に記載の充
填ポリマー組成物。
【請求項22】
可塑剤が、約1%〜約15%の量で存在する、請求項19に記載の充填ポリマー組成物

【請求項23】
充填剤が、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムから選択される、請求項1ま
たは8に記載の充填ポリマー組成物。
【請求項24】
ポリマーが、エチレン/α−オレフィンコポリマーのブレンドである、請求項1または
8に記載の充填ポリマー組成物。
【請求項25】
請求項1または8に記載の充填ポリマー組成物を含む、消音物品。
【請求項26】
請求項1または8に記載の充填ポリマーを含む、自動車カーペット。
【請求項27】
請求項1または8に記載の充填ポリマー組成物を含む、屋根材。
【請求項28】
請求項1または8に記載の充填ポリマー組成物を含む、ワイヤコーティングまたはケー
ブルコーティング。
【請求項29】
請求項1または8に記載の充填ポリマーを含む、フロアタイル。
【請求項30】
請求項1または8に記載の充填ポリマーを含む、フロアシート。
【請求項31】
請求項1または8に記載の充填ポリマーを含む、異形材。
【請求項32】
請求項1または8に記載の充填ポリマーを含む、ガスケット。
【請求項33】
請求項1または8に記載の充填ポリマーを含む、フロアマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−64138(P2013−64138A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−242081(P2012−242081)
【出願日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【分割の表示】特願2008−502023(P2008−502023)の分割
【原出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】