説明

エチレン/α−オレフィンインターポリマーから作製される繊維及び布地

二成分繊維は、弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)及び密度(d、グラム/立方センチメートル)(但し、弾性回復率及び密度は下記の関係を満たす:Re>1481−1629(d))によって特徴づけられるエチレン/α−オレフィンインターポリマーから得ることができるか、又は、二成分繊維は、そのような弾性回復率及び密度によって特徴づけられるエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。そのようなインターポリマーはまた、他の特性によって特徴づけられ得る。そのようなインターポリマーから作製される繊維は、比較的大きい弾性回復率及び比較的低い摩擦係数を有する。繊維は、所望されるならば、架橋することができる。織布又は不織布、例えば、スパンボンド、メルトブローン及びスパンレース加工の布地又はウエブなどをそのような繊維から作製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は米国仮特許出願第60/718,197号(2005年9月16日出願)に関する。本出願はまた、米国仮特許出願第60/553,906号(2004年3月17日出願)に対する優先権をこの場合には主張するPCT出願番号PCT/US2005/008917(2005年3月17日出願)に関する。本出願はまた、米国特許出願第11/376,873号に関する。米国特許実務の目的のために、これらの特許出願及びPCT出願の内容はそれらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本発明は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーから作製される繊維、そのような繊維を作製する方法、そのような繊維から作製される製造物、並びに、そのような繊維及び製造物を含む物品に関する。本発明の繊維から作製される製造物には、織布、不織布(すなわち、ウエブ)が含まれる。本発明の伸張性及び弾性の二成分繊維及びウエブは、使い捨て可能な介護用製造物の成分材料での適用のために特に適合化される。従来の弾性繊維及び弾性ウエブと比較されたとき、弾性を必要とする実施形態のための望ましい感触特性を提供するシース/コア形態が、特定のオレフィンポリマー組合せ及びシース形態により得られる。
【背景技術】
【0003】
繊維は典型的には、その直径に従って分類される。モノフィラメント繊維は一般には、フィラメントあたり約15デニールを超える個々の繊維直径を有するとして定義され、通常的には、フィラメントあたり約30デニールを超える個々の繊維直径を有するとして定義される。微細デニール繊維は一般には、フィラメントあたり約15デニール未満の直径を有する繊維を示す。ミクロデニール繊維は一般には、直径が100ミクロン未満である繊維として定義される。繊維はまた、繊維が作製されるプロセスによって分類することができる(例えば、モノフィラメント繊維、連続巻取り微細フィラメント繊維、ステープルファイバー(staple fiber)又はショートカットファイバー(short cut fiber)、スパンボンド(spun bond)繊維及びメルトブローン(melt blown)繊維など)。
【0004】
優れた伸張性及び弾性を有する繊維が、ひいては無数の耐久性物品(すなわち、スポーツ衣料品、寝具及び室内装飾用品)及び限定用途物品(すなわち、おむつ、トイレトレーニング用パンツ、スイムパンツ、婦人衛生用品、失禁用衣類、獣医学用製造物、妊婦支援用品、創部ケア用品、手術着、滅菌ラップ及び医療用ドレープなど)を製造するために使用される様々な布地を製造するために必要とされる。伸張性は、材料(例えば、繊維又は布地など)が、完全に裂けることなく、著しい程度に機械的な伸びを受けることができることを表す性能属性である。伸張性材料は、特定の製造物(例えば、衛生用品では、増大した快適さ及び着具合のために着用者の身体に一致させることができる弾性積層物など)を製造するための製造期間中(すなわち、リングローリング/セルフィング(ring-rolling/selfing)、ストレッチ・ボンド・ラミネート(stretch bond laminate)プロセス、ネック・ボンド・ラミネート(neck bond laminate)プロセス)において使用が見出され得る。弾性は伸張性の一部である。弾性材料、例えば、繊維又は布地などは、完全に裂けることなく、著しい程度に機械的な伸びを受けることができ、その後、力が解放されると、著しい程度に回復することができる。さらに、弾性材料は、周囲の体温及び他の温度において伸張期間中及び収縮期間中における着具合を同様に維持するために、最終使用において収縮力をもたらすことができる。何回も使用される物品の場合には、材料は、存在する温度で、例えば、布地の洗濯及び乾燥の期間中に受ける温度などで、上記で列記された特性において機能性を維持するために、十分な耐熱性を示さなければならない。
【0005】
繊維は典型的には、引張り試験の期間中における最大の力での伸びが元の大きさの少なくとも50%であるならば、伸張性であるとして特徴づけられる。布地については、ピーク力での伸び(ピーク時伸び)が少なくとも80%(すなわち、元の大きさの1.8倍)であるならば、材料は伸張性である。ピーク後のピーク力におけるその後の低下は典型的には、布地の実質的な断裂及び一体性の喪失に対応する。
【0006】
繊維は典型的には、バイアス力を加えた後における大きいパーセント弾性回復率(すなわち、低いパーセント永久ひずみ)を有するならば、弾性であるとして特徴づけられる。理想的には、弾性材料は、3つの重要な特性の組合せによって特徴づけられる:(i)低いパーセント永久ひずみ、(ii)ひずみ時における低い応力又は負荷、(iii)低いパーセント応力緩和又はパーセント負荷緩和、(iv)十分な収縮力(対応するひずみにおける十分な負荷降下)。言い換えれば、弾性材料は、下記の特性を有するとして特徴づけられる:(i)材料を伸ばすための低い応力要求又は負荷要求、(ii)材料が伸ばされると、応力の緩和又は負荷解放が最小限であること、(iii)伸ばすこと、バイアス付加又はひずみ付加が中断された後における元の大きさへの完全な回復又は大きい回復、及び、(iv)目標レベルを満たすか、又は超える、所与の基本重量での収縮力。
【0007】
スパンデックスは、ほぼ理想的な弾性特性を示すことが公知であるセグメント化ポリウレタン弾性材料である。しかしながら、スパンデックスは、多くの用途のためには使用を思いとどまらせるほどに費用がかかる。同様にまた、スパンデックスは、特に水分が存在する場合、オゾン、塩素及び高温に対する不良な環境抵抗性を示す。そのような特性、具体的には、塩素に対する抵抗性がないことは、スパンデックスが明確な欠点を衣料品用途(例えば、水着など)において、また、塩素系漂白剤の存在下で望ましくは洗濯される白色の衣服において引き起こすことを生じさせる。
【0008】
様々な繊維及び布地が、熱可塑性樹脂から、例えば、ポリプロピレン、典型的には高圧重合プロセスで作製される高度分岐低密度ポリエチレン(LDPE)、線状不均一分岐ポリエチレン(例えば、チーグラー触媒反応を使用して作製される線状低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン及び線状不均一分岐ポリエチレンのブレンド配合物、線状不均一分岐ポリエチレンのブレンド配合物、並びに、エチレン/ビニルアルコールコポリマーなどから作製されている。
【0009】
近年では、様々な商品名で販売されるエチレン系コポリマー及びプロピレン系コポリマーが開発されている(例えば、The Dow Chemical Companyによって製造されるVERSIFY(商標)及びAFFINITY(商標)プラストマー、Exxon−Mobilによって製造されるVISTAMAXX(商標)及びEXACT(商標)、並びに、Mitsuiによって製造されるTAFMER(商標)など)。これらの新しいポリマーは伸張性及び弾性の繊維及び布地に作製され得る一方で、それらは、加工期間中における粘着性、自己接着性及び形成不良の形で無視できない不良な加工性、並びに、弾性及び耐熱性に関して測定される不良な最終使用特性に悩まされる傾向がある。これらの制限は、上記で列挙された材料から構成される材料(具体的には、ランダム又は実質的にランダムな分子構造の材料)を著しく不都合なものにし、従って、商業的に魅力のないものにし得る。
【0010】
実質的にランダムな材料を転換することにおける困難さに対する1つの考えられる説明は、それらの分子構造であるかもしれない。これらのポリマーは、典型的な二次加工条件及び二次加工速度において十分な様式で結晶化することが特に困難である。製造物は、転換設備に付着し得ること、互いに付着し得ること、狭い結合温度域を有し得ること、ロール上において塞ぎ得ること、及び、低い耐熱性を有し得ることがある。これらの特徴の1つ又はそれ以上を有することが、二次加工及び使用することが過度に困難である製造物に変わり得る。
【0011】
当分野においてなされた進歩にもかかわらず、優れているライン速度で製造されるために容易に転換され得るだけでなく、身体の動きに合わせて軟らかく、かつ、しなやかであるポリオレフィン系弾性組成物が、途切れることなく求められている。好ましくは、そのような繊維は、伸張性、より好ましくは弾性を有していると考えられ、比較的大きい処理能で作製することができる。その上、面倒な加工工程又は変更を要求せず、しかし、粘着性でない軟らかい快適な布地を依然としてもたらす繊維及び布地を形成することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記要求が本発明の様々な態様によって満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1つの態様において、本発明は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維から得ることができるか、又は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維を含むスパンボンド(spunbond)布地に関し、この場合、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが表面以外の繊維の一部分に存在し、かつ、下記の特性:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d);又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びに、融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)、但し、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有すること、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物であって、少なくとも0.5であり、かつ、約1に至るまでであるブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有すること;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有すること
の1つ又はそれ以上によって特徴づけられ、好ましくは、繊維は約70℃〜約125℃の熱結合温度範囲を有する。二成分繊維を構成するインターポリマーは好ましくは、0.895g/cc以下の密度、及び/又は、15g/10分以上のメルトインデックス(好ましくは、約20グラム/10分〜約30グラム/10分におけるメルトインデックス)を有する。
【0014】
好ましくは、二成分繊維はシース/コア構造を含み、インターポリマーが繊維のコアを構成する。コアは二成分繊維の組成全体の約40重量パーセント〜約95重量パーセントを構成することができ、好ましくは85重量パーセント〜約95重量パーセントを構成することができる。シースは約5%〜約35%を構成することができる。シースは連続又は不連続のどちらかが可能である。
【0015】
別の実施形態において、スパンボンド(spunbonded)布地は、メルトブローン(melt blown)布地をさらに含むことができ、それにより、スパンボンド/メルトブローン複合布地構造物を形成することができ、好ましくは、この場合、メルトブローン布地はスパンボンド布地と密に接触している。メルトブローン布地は好ましくは、少なくとも1つの二成分繊維を含み、特にこの場合、二成分繊維はシース/コア構造を含む。より好ましくは、メルトブローン布地の二成分繊維のコアがエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含み、かつ、下記の特性の1つ又はそれ以上によって特徴づけられる:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d);又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びに、融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)、但し、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有すること、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物であって、少なくとも0.5であり、かつ、約1に至るまでであるブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有すること;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有すること。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維から得ることができるか、又は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維を含むカードウエブ(carded web)を含み、この場合、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが表面以外の繊維の一部分に存在し、かつ、前記インターポリマーが、下記の特性:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d);又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びに、融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)、但し、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有すること、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物であって、少なくとも0.5であり、かつ、約1に至るまでであるブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有すること;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有すること
の1つ又はそれ以上によって特徴づけられ、好ましくは、ウエブは熱的に結合される。
【0017】
カード加工されたステープルファイバーウエブはさらに、スパンボンド布地又はメルトブローン布地を含むことができる。
【0018】
さらに別の実施形態において、本発明は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維から得ることができるか、又は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維を含むスパンレースウエブ(spun laced web)を含み、この場合、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが表面以外の繊維の一部分に存在し、かつ、前記インターポリマーが下記の特性の1つ又はそれ以上によって特徴づけられる:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d);又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びに、融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)、但し、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有すること、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物であって、少なくとも0.5であり、かつ、約1に至るまでであるブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有すること;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有すること。
【0019】
他の実施形態において、本発明は下記のものを含む。
【0020】
エチレン系二成分繊維(少なくとも約50重量パーセントのエチレン含有量)を含み、最低でも約0.5グラム/分/穴の速度で溶融紡糸され、かつ、ピーク力での伸びの二乗平均平方根が約50%を超え、好ましくは約60%を超え、より好ましくは約100%を超え、さらには約250%までの大きさであるスパンボンド加工布地;又は
【0021】
エチレン系二成分繊維(少なくとも約50重量パーセントのエチレン含有量)を含み、最低でも約0.5グラム/分/穴の速度で溶融紡糸され、かつ、ピーク力の二乗平均平方根が1インチの幅あたり約0.1N/グラム/平方メートルを超え、好ましくは、1インチの幅あたり約0.15グラム/平方メートルを超え、より好ましくは、1インチの幅あたり約0.2グラム/平方メートルを超え、さらには1インチの幅あたり約0.5N/グラム/平方メートルまでの大きさであるスパンボンド加工布地;又は
【0022】
エチレン系二成分繊維(少なくとも約50重量パーセントのエチレン含有量)を含み、最低でも約0.5グラム/分/穴の速度で溶融紡糸され、かつ、永久ひずみの二乗平均平方根が約15%を超え、好ましくは約20%を超え、より好ましくは約25%を超え、さらには約50%もの大きさであるスパンボンド加工布地;又は
【0023】
エチレン系二成分繊維(少なくとも約50重量パーセントのエチレン含有量)を含み、最低でも約0.5グラム/分/穴の速度で溶融紡糸され、かつ、50%ひずみでの負荷降下の二乗平均平方根が1インチの幅あたり約0N/グラム/平方メートルよりも大きく、さらには1インチの幅あたり約0.004N/グラム/平方メートルもの大きさであるスパンボンド加工布地;又は
【0024】
エチレン系二成分繊維(少なくとも約50重量パーセントのエチレン含有量)を含み、最低でも約0.5グラム/分/穴の速度で溶融紡糸され、かつ、摩擦係数が約0.45未満であり、さらには約0.15もの低さであるスパンボンド加工布地。
【0025】
本発明の別の実施形態は、最も外側の層が、スパンボンドホモポリマーポリプロピレン(hPP)、SB不均一分岐ポリエチレン、カード加工hPP、様々な二成分構造物からなる群より選択される材料を含む、マルチプルビーム(multiple beam)のスパンボンド及びメルトブローン(meltbown)の組合せ(例えば、スパンボンド/スパンボンド/スパンボンド(SSS)、スパンボンド/メルトブローン(SM)、SMS、SMMS、SSMMS、SSMMMSなど)からなる群より選ばれる組合せを選択することを含む、粘着性を軽減する方法を含み、但し、選択された組合せが約0.45未満の摩擦係数(COF)を有し、好ましくは約0.35未満の摩擦係数(COF)を有し、とりわけ、約0.25未満の摩擦係数(COF)を有し、必要な場合には、選択された組合せはさらに、スリップ添加物(例えば、エルクアミド)の添加、又は、低分子量(すなわち、約20,000未満のMw)のポリマーの添加を含む。
【0026】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維から得ることができるか、又は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維を含むメルトブローン布地に関し、この場合、エチレン/α−オレフィンインターポリマーがシース以外の繊維の一部分に存在し、かつ、下記の特性の1つ又はそれ以上によって特徴づけられる:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d);又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びに、融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)、但し、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有すること、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物であって、少なくとも0.5であり、かつ、約1に至るまでであるブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有すること;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有すること。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維を含み、この場合、エチレン/α−オレフィンインターポリマーがシース以外の繊維の一部分に存在し、かつ、下記の特性:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d);又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びに、融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)、但し、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有すること、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物であって、少なくとも0.5であり、かつ、約1に至るまでであるブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有すること;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有すること
の1つ又はそれ以上によって特徴づけられ、好ましくは、前記インターポリマーが繊維の総重量の約5%〜約35%を構成する。
【0028】
さらに別の態様において、本発明は、異なるエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含むシース/コア型二成分繊維を含む不織布を含み、この場合、シース及びコアがそれぞれ、下記の特性:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d);又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びに、融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)、但し、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有すること、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物であって、少なくとも0.5であり、かつ、約1に至るまでであるブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有すること;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有すること
の1つ又はそれ以上によって特徴づけられるエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含み、かつ、コアにおけるエチレン/α−オレフィンインターポリマーがシースにおけるエチレン/α−オレフィンインターポリマーの密度よりも小さい密度(好ましくは、少なくとも約0.004g/cmユニット小さい密度)を有する。
【0029】
医療用製造物、介護用製造物及び屋外用布地からなる群より選択される製造物を製造するための、本発明のこれらの態様のすべてによる布地の使用もまた意図される。
【0030】
本発明は、比較的非弾性の、より高い温度で融解する、より結晶性のポリマー、同様にまた、シースの部分又は不連続部に分離するポリマーのブレンド配合物を含めて、様々な低弾性率ポリマーを成分Aのために使用して実施することができる。典型的には、成分Bが少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンコポリマーを含み、しかし、成分Bはまた、単一部位触媒反応或いはメタロセン触媒反応又は非メタロセン触媒反応によるエチレン及びプロピレン系ポリマー(例えば、MWDが約5未満であるリアクターグレード(reactor grade)のポリマー、及び、ブレンド配合物など)を含めて、非ブロック型のオレフィンポリマー及びオレフィンコポリマーを必要に応じて含むことができ、また、多くの場合において、成分Bは約60ジュール/グラム未満の融解熱を有する。成分A及び成分Bの一方又は両方はまた、1つ又はそれ以上のスチレン系ブロックコポリマー(SBC)を含むことができる。好適なSBCの説明が本文書においてどこか他のところで記載される。成分A及び成分Bはともに、様々な添加物を特定の特性のために含有することができ、さらなる成分を、下記においてより詳しく説明されるように含むことができる。その上、特定の実施形態では、エチレン/α−オレフィンコポリマーが成分A及び成分Bのために利用され、しかし、この場合、少なくとも約2重量%少ないコモノマーが成分Aにおいて存在する。他の実施形態では、成分A又は成分Bとして、少なくとも33重量%のコモノマーを含有するエチレン/α−オレフィンコポリマーが使用される。例えば、α−オレフィンがオクテンであるようなエチレン−オクテンコポリマーの場合、ポリマーは少なくとも33重量%のオクテン(11モルパーセントのオクテン)を含む。理論によって限定されることは意図されないが、コモノマー含有量により、得られるモルホロジーに影響を及ぼすポリマーの結晶化能が制御されると考えられる。モルホロジーはその結果として、強い影響を様々な機械的特性に対して、例えば、引張り成績及び弾性成績などに対して及ぼすと考えられる。
【0031】
本発明における使用のために好適であるスチレン系ブロックコポリマー(SBC)は、1つ又はそれ以上のモノアルケニルアレーン(例えば、スチレンなど)の第1のブロック(Aブロック)と、ジエン及びモノアルケニルアレーンの制御された分布のコポリマーの第2のブロック(Bブロック)とを少なくとも有するとして定義される。この熱可塑性ブロックコポリマーを調製するための方法は、ブロック重合について一般に公知である方法のいずれかによってである。
【0032】
本発明には、1つの実施形態として、ジブロックコポリマー組成物、トリブロックコポリマー組成物、テトラブロックコポリマー組成物又はマルチブロックコポリマー組成物のどれかであり得る熱可塑性コポリマー組成物が含まれる。ジブロックコポリマー組成物の場合、1つのブロックが、アルケニルアレーン系ホモポリマーブロックであり、それと重合して、ジエン及びアルケニルアレーンの制御された分布のコポリマーの第2のブロックである。トリブロックコポリマー組成物の場合、トリブロックコポリマー組成物は、末端ブロックとして、ガラス状の、アルケニルアレーン系ホモポリマーを含み、中間ブロックとして、ジエン及びアルケニルアレーンの制御された分布のコポリマーを含む。トリブロックコポリマー組成物が調製されるとき、制御された分布のジエン/アルケニルアレーンコポリマーは本明細書中では「B」と称され、アルケニルアレーン系ホモポリマーは「A」と称される。A−B−Aのトリブロックコポリマー組成物が逐次重合又は逐次カップリングのどちらかによって作製され得る。逐次溶液重合技術において、モノアルケニルアレーンが、比較的硬い芳香族ブロックを作製するために最初に導入され、その後、制御された分布のジエン/アルケニルアレーン混合物が、中間ブロックを形成するために導入され、その後、モノアルケニルアレーンが、末端ブロックを形成するために導入される。線状のA−B−A形態に加えて、ブロックは、放射状の(分岐)ポリマー((A−B)X)を形成するために構造化することができ、又は、両方のタイプの構造を混合物において組み合わせることができる。いくらかのA−Bジブロックポリマーを存在させることができ、しかし、好ましくは、ブロックコポリマーの少なくとも約70重量パーセントがA−B−A又は放射状であり(或いは、他の場合には、分子あたり2つ以上の末端の樹脂状ブロックを有するように分岐させられ)、その結果、強さを与えるようにされる。一般に、この実施形態のために好適であるスチレン系ブロックコポリマーは、20%未満の残留エチレン性不飽和を含む飽和した共役ジエンのブロック(好ましくは、飽和したポリブタジエンブロック)によって隔てられる少なくとも2つのモノアルケニルアレーンブロック(好ましくは、2つのポリスチレンブロック)を有する。好ましいスチレン系ブロックコポリマーは線状構造を有しており、だが、分岐ポリマー又は放射状ポリマー或いは官能基化ブロックコポリマーは有用なコンパウンドをもたらす。
【0033】
本発明の別の実施形態において、組成物は、下記の群における少なくとも1つのSBCを含む:スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)、スチレン−エチレンプロピレン−スチレン−エチレン−プロピレン(SEPSEP)、水素化ポリブタジエンポリマー(例えば、スチレン−エチレンブチレンスチレン(SEBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン−エチレン−ブチレン(SEBSEB)など)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−エチレン−スチレン(SES)、及び、水素化ポリイソプレン/ブタジエンポリマー(例えば、スチレン−エチレン−エチレンプロピレン−スチレン(SEEPS)など)。
【0034】
本発明の別の実施形態において、スチレン系ブロックコポリマーは構造物の少なくとも1つの構成成分の主要ポリマー成分を構成する。別の実施形態において、構造物の少なくとも1つの構成成分の主要ポリマー成分は、SIR1808、欧州特許EP0712892B1、ドイツ国特許DE69525900−8、スペイン国特許ES2172552、米国特許出願第60/237,533号及び国際公開WO02/28965A1に記載されるように、エチレン/α−オレフィンを少なくとも1つのスチレン系ブロックコポリマーとともに含むブレンド配合物を含む。別の実施形態において、構造物の少なくとも1つの層の主要ポリマー成分は、米国特許出願第60/718245号に記載されるように、エチレン/α−オレフィンマルチブロックインターポリマーと、少なくとも1つのスチレン系ブロックコポリマーとのブレンド配合物を含む。別の実施形態において、構造物の少なくとも1つの層の主要ポリマー成分は、米国特許出願第60/753225号に記載されるように、プロピレン/α−オレフィンコポリマーと、少なくとも1つのスチレン系ブロックコポリマーとを含むブレンド配合物を含む。
【0035】
本発明の別の実施形態において、SBCに基づく少なくとも1つの組成物が、下記の刊行物の少なくとも1つに記載される材料の群から使用される:国際公開WO2007/027990A2、米国特許第7,105,559号、欧州特許EP1625178B1、米国特許出願公開第2007/0055015号A1、米国特許出願公開第2005/0196612号A1、国際公開WO2005/092979A1、米国特許出願公開第2007/0004830号A1、米国特許出願公開第2006/0205874号A1及び欧州特許EP1625178B1。定義、方法、合成化学反応、組成物、配合物、分子量、熱的性質、溶融特性、相構造、固体状態の構造、機械的特性、配合物、配合方法、加工方法、並びに、好ましい操作範囲及び材料仕様が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0036】
本発明のさらなる態様、並びに、本発明の様々な実施形態の特徴及び特性が、下記の記載により明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】処理能(グラム/穴/分)を様々な実施例及び比較用実施例について示す。
【図2】スパンボンド不織布を形成するために本発明に従って使用され得る二成分紡糸システムの概略的例示である。
【図3】本発明によるコンジュゲート繊維についてのシース/コア構造の断面形態を例示する。
【図4】異なるシース形態における本発明による繊維を示す概略的例示である。
【図5a】実施例62(MD)についての応力/ひずみ曲線である。
【図5b】実施例62(CD)についての応力/ひずみ曲線である。
【図5c】実施例62(MD及びCD)についてのRMS伸びピーク及びRMSピーク力を計算するための方法論である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
一般的定義
「繊維(ファイバー)」は、長さ対直径の比率が約10を超える材料である。繊維は典型的には、その直径に従って分類される。フィラメント繊維は一般には、フィラメントあたり約15デニールを超える個々の繊維直径を有するとして定義され、通常的には、フィラメントあたり約30デニールを超える個々の繊維直径を有するとして定義される。微細デニール繊維は一般には、フィラメントあたり約15デニール未満の直径を有する繊維を示す。ミクロデニール繊維は一般には、フィラメントあたり約100ミクロンデニール未満の直径を有する繊維として定義される。
【0039】
「フィラメント繊維」又は「モノフィラメント繊維」は、長さが有限である材料の不連続なストランド(すなわち、所定の長さのセグメントに切断されているか、又は、他の場合には分割されているストランド)である「ステープルファイバー」とは対照的に、長さが不定である(すなわち、事前に決定されない)材料の連続したストランドを意味する。
【0040】
「弾性(的)」は、繊維が、100%のひずみ(長さの2倍)への最初の引張りの後及び4回目の引張りの後でその伸ばされた長さの少なくとも約50パーセントを回復することを意味する。弾性はまた、繊維の「永久ひずみ」によって表すことができる。永久ひずみは弾性の逆である。繊維が特定の点にまで伸ばされ、続いて、伸びる前の元の位置にまで解放され、その後、再び伸ばされる。繊維が負荷を引張り始める点が、パーセント永久ひずみと呼ばれる。「弾性材料」はまた、当分野では「エラストマー」及び「エラストマー(性の)」として示される。弾性材料(これは時には弾性品と呼ばれる)には、コポリマー自体、並びに、繊維、フィルム、ストリップ、テープ、リボン、シート、被覆材及び成形物などの形態でのコポリマー(これに限定されない)が含まれる。好ましい弾性材料が繊維である。弾性材料は硬化又は非硬化のどちらかであり得るし、及び/並びに、放射線照射又は放射線非照射のどちらかであり得るし、及び/並びに、架橋又は非架橋のどちらかであり得る。
【0041】
「非弾性材料」は、上記で定義されるような弾性的でない材料(例えば、繊維)を意味する。ピーク力でのRMS伸びが、本文書においてどこか他のところで記載される引張り試験を使用して、50%未満(すなわち、元の大きさの1.5倍未満)である。ピーク後のピーク力におけるその後の低下は典型的には、布地の徐々に進む繊維破断及び一体性の喪失に対応する。
【0042】
「伸張性布地」は、ピーク力でのRMS伸びが、本文書においてどこか他のところで記載される引張り試験を使用して、少なくとも50%(すなわち、元の大きさの1.5倍)であることを意味する。ピーク後のピーク力におけるその後の低下は典型的には、布地の徐々に進む繊維破断及び一体性の喪失に対応する。
【0043】
「弾性布地」は、布地が、ピーク力でのRMS伸びについて、布地引張り試験を使用して、少なくとも80%(すなわち、元の大きさの1.8倍)であること、及び、RMS永久ひずみが80%ヒステリシス試験の後において最大でも25%であることを意味する。布地引張り試験及び80%ヒステリシス試験は本文書においてどこか他のところで記載される。「弾性布地」はまた、当分野では、「エラストマー」を含む物品として示され、「エラストマー性の」性質を示す。「弾性布地」材料(これは時には弾性品と呼ばれる)には、エチレン/α−オレフィンコポリマー自体、並びに、繊維、フィルム、ストリップ、テープ、リボン、シート、被覆材及び成形物などの形態でのコポリマーを含む様々な構造物(これらに限定されない)が含まれる。好ましい弾性材料が繊維である。弾性材料は硬化又は非硬化のどちらかであり得るし、及び/並びに、放射線照射又は放射線非照射のどちらかであり得るし、及び/並びに、架橋又は非架橋のどちらかであり得る。さらに、弾性布地は、当分野における平均的知識を有する当業者には公知である手段(例えば、被覆、加熱積層化、接着剤付着、超音波結合又は何らかの他の手段など)を使用して、他の成分(例えば、繊維、フィルム、ストリップ、テープ、リボン、シート、成形物など)と組み合わせることができる。その目的は、複合構造物(例えば、その成分材料の特性を示す積層物又は物品など)を組み立てることである。
【0044】
「実質的に架橋される(された)」及び類似する用語は、形状化されたコポリマー又は物品の形態であるコポリマーが70重量パーセント以下のキシレン抽出分(すなわち、30重量パーセント以上のゲル含有量)を有すること、好ましくは、40重量パーセント以下のキシレン抽出分(すなわち、60重量パーセント以上のゲル含有量)を有することを意味する。キシレン抽出分(及びゲル含有量)は、ASTM D−2765に従って求められる。
【0045】
「ホモフィル(homofil)繊維」は、1種類のポリマー領域又はポリマードメインを有し、かつ、(二成分繊維が有するような)他の異なったポリマー領域を何ら有しない繊維を意味する。
【0046】
「二成分(bicomponent)繊維」は、2つ以上の異なったポリマー領域又はポリマードメインを有する繊維を意味する。二成分繊維はまた、コンジュゲート化繊維又は多成分繊維として公知である。これらのポリマーは通常の場合には互いに異なり、だが、2つ以上の成分が、同じポリマーを含む場合がある。これらのポリマーは二成分繊維の断面にわたって実質的に異なった帯域において配置され、通常の場合には二成分繊維の長さに沿って連続的に伸張される。二成分繊維の形態は、例えば、シース/コア配置(1つのポリマーが別のポリマーによって取り囲まれる)、並列(side-by-side)配置、π型配置、又は、「海に浮かぶ島(islands-in-the-sea)」配置が可能である。二成分繊維がさらに、米国特許第6,225,243号、同第6,140,442号、同第5,382,400号、同第5,336,552号及び同第5,108,820号に記載される。
【0047】
いくつかの実施形態において、繊維は直径を約0.1デニール〜約1000デニールの範囲に有し、インターポリマーは約0.5〜約2000のメルトインデックス及び約0.865g/cc〜約0.955g/ccの密度を有する。他の実施形態において、繊維は直径を約0.1デニール〜約1000デニールの範囲に有し、インターポリマーは約1〜約2000のメルトインデックス及び約0.865g/cc〜約0.955g/ccの密度を有する。なおさらに他の実施形態において、繊維は直径を約0.1デニール〜約1000デニールの範囲に有し、インターポリマーは約3〜約1000のメルトインデックスを不織布プロセスのために有し、かつ、約0.865g/cc〜約0.955g/ccの密度を有する。
【0048】
二成分繊維は、シース・コア構造、海・島構造、並列構造、マトリックス・フィブリル構造又はセグメント化π構造を有することができる。繊維はステープルファイバー又はバインダーファイバーが可能である。いくつかの実施形態において、繊維は、インターポリマーが何らかのフィラーと混合されない場合、約1.2未満の摩擦係数を有する。
【0049】
いくつかの実施形態において、二成分繊維は、繊維表面の少なくとも一部分(いくつかの場合には少なくとも第3の一部分)を構成する繊維全体の0.001重量%から約20重量%まで(望ましくは、いくつかの実施形態については約15重量%まで、他の実施形態について約10重量%まで)の第1の成分A(但し、前記第1の成分はより結晶性のホモポリマー又はコポリマーを含む)と、弾性のエチレン/α−オレフィンコポリマーを含み、いくつかの場合にはエチレン系オレフィンブロックインターポリマーを含む第2の成分Bとを含む。好ましくは、成分Bは、(繊維の末端ではなく)成分Aによって完全に包まれる。同様にまた、好ましくは、成分Aは、不均一なエチレン系コポリマー(例えば、チーグラー・ナッタ・コポリマーなど、例えば、The Dow Chemical Companyによって供給されるDOWLEX(商標)LLDPE及び/又はASPUN(商標)の繊維規格用樹脂)、他のエチレン系コポリマー(例えば、ELITE(商標)強化(enhanced)ポリエチレンなど)、プロピレンホモポリマー及びプロピレンコポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyによって供給されるVERSIFY(商標)プラストマー、及び、Exxon−Mobilによって製造されるVISTAMAXX(商標)など)、及び、それらのブレンド配合物からなる群より選択される。
【0050】
図2を参照して、本発明の1つの実施形態を調製するためのプロセスライン10が例示される。プロセスライン10は、二成分連続フィラメントを製造するために配置される。しかし、本発明は、3つ以上の成分を有するコンジュゲートフィラメントを用いて作製される不織布を包含することを理解しなければならない。例えば、本発明のフィラメント及び不織布は、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の成分を有するフィラメントを用いて作製することができる。
【0051】
プロセスライン10は、ポリマー成分A及びポリマー成分Bを別々に押出しするための1対の押出し機(12a及び12b)を含む。ポリマー成分Aが第1のホッパー14aからそれぞれの押出し機12aの中に供給され、ポリマー成分Bが第2のホッパー14bからそれぞれの押出し機12bの中に供給される。ポリマー成分A及びポリマー成分Bが押出し機12a及び押出し機12bからそれぞれのポリマー導管16a及びポリマー導管16bを通って紡糸口金18に供給される。
【0052】
コンジュゲートフィラメントを押出しするための様々な紡糸口金が当業者には周知であり、従って、本明細書中では詳しく記載されない。一般的に記載される場合、紡糸口金18は、ポリマー成分A及びポリマー成分Bが別々に紡糸口金を通過することを導くための流路を生じさせるために配置される開口部のパターンにより順に重ねられる多数のプレートを含むスピンパック(spin pack)を含有するハウジングを含む。紡糸口金18は、1列又はそれ以上の列で配置される開口部を有する。紡糸口金の開口部は、ポリマーが紡糸口金を通って押出しされるとき、フィラメントの下向きに押出しされているカーテンを形成する。紡糸口金18は、シース/コア断面、偏心したシース/コア断面又は他のフィラメント断面を形成するために配置することができる。
【0053】
プロセスライン10はまた、紡糸口金18から延びるフィラメントのカーテンに隣接して設置される急冷送風機20を含む。急冷空気送風機20からの空気により、紡糸口金18から延びるフィラメントが急冷される。急冷空気は、図2に示されるようにフィラメントのカーテンの片側から向けることができ、又は、フィラメントのカーテンの両側から向けることができる。
【0054】
繊維引出し装置又は繊維アスピレーター22が紡糸口金18の下方に設置され、急冷されたフィラメントを受け取る。溶融紡糸ポリマーにおいて使用される様々な繊維引出し装置又は繊維アスピレーターが、上記で議論されたように周知である。本発明のプロセスにおいて使用される好適な繊維引出し装置には、米国特許第3,802,817号及び同第3,423,255号に示されるタイプの直線的な繊維アスピレーターが含まれる(それらの開示はそれらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる)。
【0055】
一般的に記載される場合、繊維引出し装置22は、通路の側面から入り、通路を通って下方に流れる吸引用空気によってフィラメントがその中を通って引出される細長い垂直な通路を含む。ヒーター又は送風機24により、繊維引出し装置22への吸引用空気が供給される。吸引用空気により、フィラメント及び周囲の空気が繊維引出し装置を通って引出される。
【0056】
エンドレスのホルミニス(forminis)形成表面26が繊維引出し装置22の下方に設置され、繊維引出し装置の出口開口部からの連続フィラメントを受け取る。形成表面26はガイドローラー28の周りを回る。フィラメントが堆積する形成表面26の下方に設置される真空30により、フィラメントが引き寄せられ、形成表面に押しつけられる。
【0057】
プロセスライン10はさらに、結合装置(例えば、サーマル・ポイント・ボンディング(thermal point bonding)ローラー34(実体のないもので示される)又はスルー・エアー・ボンダー(through-air bonder)など)を含む。様々なサーマル・ポイント・ボンダー及びスルー・エアー・ボンダーが当業者には周知であり、本明細書中では詳しく記載されない。一般的に記載される場合、スルー・エアー・ボンダーは、ウエブを受け取る穴あきローラーと、穴あきローラーを取り囲むフードとを含む。最後に、プロセスライン10は、仕上がった布地のたるみを除くための巻取りロール42を含む。
【0058】
プロセスライン10を運転するために、ホッパー14a及びホッパー14bがそれぞれのポリマー成分A及びポリマー成分Bで満たされる。ポリマー成分A及びポリマー成分Bが融解され、ポリマー導管(16a及び16b)及び紡糸口金18を通ってそれぞれの押出し機12a及び押出し機12bによって押出しされる。押出しされたフィラメントが紡糸口金18の下方に延びるにつれて、急冷送風機20からの空気の流れにより、フィラメントが少なくとも部分的に急冷される。
【0059】
急冷後、フィラメントが、繊維引出し装置を通過するヒーター又は送風機24からのガス(例えば、空気など)の流れによって繊維引出し装置22の垂直な通路の中に引出される。ガスの流れは、フィラメントが引っ張られるか、又は細くなることを引き起こし、このことは、フィラメントを形成するポリマーの分子的配向又は結晶化度を増大させる。
【0060】
フィラメントが、繊維引出し装置22の出口開口部を通って、回っている形成表面26の上に堆積する。真空30はフィラメントを引き寄せ、形成表面26に押しつけて、連続フィラメントの結合していない不織布ウエブを固める。必要ならば、ウエブは圧縮ローラー32によってさらに圧縮することができ、その後、ローラー34又はスルー・エアー・ボンダー36によってサーマル・ポイント・ボンディングすることができる。
【0061】
エアーボンダーが取り付けられるプロセスライン10の代替となる形態において、成分Bの融解温度を超え、かつ、成分Aの融解温度以下である温度を有する空気が、フードからウエブを通って穴あきローラーの中に導かれる。高温の空気はポリマー成分Bを融解させ、それにより、二成分フィラメント間の結合を形成させて、ウエブを一体化させる。ポリプロピレン及びポリエチレンがポリマー成分として使用されるとき、スルー・エアー・ボンダーを通って流れる空気は好ましくは、典型的には約230°Fから約280°Fに及ぶ温度、及び、約100フィート/分〜約500フィート/分の速度を有する。スルー・エアー・ボンダーにおける滞留時間が好ましくは約6秒未満である。しかしながら、スルー・エアー・ボンダーのパラメーターは様々な要因(例えば、使用されたポリマーのタイプ及びウエブの厚さなど)に依存することを理解しなければならない。当業者は、条件を特定の製造物について最適化するためにこれらのパラメーターを最適化することができる。
【0062】
最後に、完成したウエブは、当業者によって理解されるように、巻取りローラー42に巻くことができるか、或いは、さらなるインライン加工工程及び/又は転換工程(図示されず)に導くことができる。
【0063】
図2に関して議論された結合方法はサーマル・ポイント・ボンディング及びスルー・エアー・ボンディングであるが、本発明の不織布は他の手段(例えば、オーブンボンディング、超音波結合、水流絡合(hydroentangling)、ニードリング(needling)又はそれらの組合せなど)によって結合され得ることを理解しなければならない。そのような工程は公知であり、本明細書中では詳しく議論されない。
【0064】
本発明はさらに、特定の熱的性質を有する伸張性のコンジュゲート繊維を提供する。本発明の実施形態において、繊維の2番目の融解熱が1J/g〜200J/gである。本発明の別の実施形態において、繊維の2番目の融解熱が10J/g〜200J/gである。本発明の別の実施形態において、繊維の2番目の融解熱が20J/g〜180J/gである。本発明の別の実施形態において、繊維の2番目の融解熱が30J/g〜160J/gである。本発明の別の実施形態において、繊維の2番目の融解熱が40J/g〜140J/gである。本発明の別の実施形態において、繊維の2番目の融解熱が50J/g〜120J/gである。
【0065】
図3を参照して、シース/コア型のコンジュゲート繊維の3つの形態が断面において例示される。断面は繊維軸に対して直角である。図3aは、コア成分Bが中心から外れており、実際には外側の繊維表面の一部を形成することができ、しかし、依然として大部分が繊維断面内に存在する偏心配置である。図3bは、コア成分が完全にコア成分Aの内部にあり、一般には中心に位置する標準的なシース/コア配置である。図3cは、多数のコア成分Bが成分Aの内部に存在する、海に浮かぶ島の配置を表す。他の配置が当業者には明らかである。
【0066】
図4aから図4cを参照して、本発明に従って意図されるシース配置のいくつかのタイプが概略的な透視において例示される。図4aは、シースが表面上の斑点状部分を形成し、下記で記載されるような非相溶性ポリマーのブレンド配合物であるシース成分Aの使用から生じ得る配置を例示する。図4bは、繊維のコア成分Bの周りに同心状に配置される一連のひだを形成するさざ波状シース又は波形シースを例示する。図4cは、不連続なフラグメントを繊維の表面に沿って形成するシースを例示する。他の配置が当業者には明らかである。実施形態には、コンジュゲート繊維が、シース/コア形態、偏心したシース/コア、海に浮かぶ島の形態、又は、他の形態(例えば、中空配置又はπ型セグメント配置など)である実施形態が含まれる。他の配置が当業者には明らかである。好都合な結果が、シースが不連続又は断裂しているシース/コア形態により得られる。いくつかの実施形態において、成分Aが繊維表面の90%以上を構成する。同様にまた、繊維は、様々な用途のために、連続するフィラメント長さ形態又はステープル長さ形態である。ウエブを、スパンボンディング(spunbonding)、メルトブローイング(meltblowing)、カーディング(carding)、ウェットレイイング(wetlaying)又はエアーレイイング(airlaying)、或いは、編成及び製織のような生地形成工程を使用することによって形成することができる。
【0067】
繊維及びウエブはまた、公知の技術によって処理することができ、例えば、クリンピング(crimping)、クレーピング(creping)、積層化及び被覆、所望されるような特性(例えば、反発性、濡れ性又は吸収性など)を得るための薬剤による捺染又は含浸などによって処理することができる。繊維、ウエブ、積層物及び物品はまた、公知の延伸技術によって処理することができ、例えば、リングローリング(ring-rolling)、セルフィング(selfing)、段階的延伸幅出し(incremental stretching tentering)、縦方向の配向などによって処理することができる。具体的な実施形態において、不織布(スパンボンドウエブ、メルトブローンウエブ、カード加工(curded)ウエブ)が、下記の特性の少なくとも1つを与えるために、上記で列挙された延伸技術の1つによって処理される:増大した柔らかさ、バルキー性(loft)及び非対称的な引張り特性、非対称的な弾性特性、並びに、低下した基本重量。別の具体的な実施形態において、このような延伸は、繊維を構成する成分材料の差のある弾性回復率に由来する繊維上の微細表面加工(microtextured)表面、波形表面又は小円鋸歯状(crenulated)表面をもたらす。別の具体的な実施形態において、積層物が、下記の特性の少なくとも1つを与えるために、上記で列挙された延伸技術の1つによって処理される:増大した柔らかさ、バルキー性及び非対称的な引張り特性、非対称的な弾性特性、並びに、低下した基本重量。別の具体的な実施形態において、積層物の延伸は、繊維を構成する成分材料の差のある弾性回復率に由来する繊維上の微細表面加工表面、波形表面又は小円鋸歯状表面をもたらす。本発明にはまた、これらの弾性繊維及びウエブのための使い捨て型製造物用途及び他の製造物用途が含まれる。
【0068】
異なる実施形態には、シースが、さざ波物、破断物又は斑点状部分を形成し、及び/或いは、不連続であるシース/コア形態が含まれる。1つの実施形態において、シースは、斑点状部分を形成する相分離したポリマーのブレンド配合物を含むことができる。
【0069】
さらに別の態様において、本発明は、本発明の様々な実施形態に従って作製される繊維を含む布地に関する。布地をスパンボンド及びメルトブローンのような溶融押出し・空気圧延伸プロセス(melt extrusion pneumatically drawn process)によって形成することができる。布地はゲル紡糸され得るか、又は、溶液紡糸され得るか、又は、溶融押出し以外の他のプロセスが可能である。布地は伸張性又は弾性の織布又は不織布又は編物であり得る。いくつかの実施形態において、布地は0%〜50%のRMS永久ひずみを有する。別の実施形態において、RMS永久ひずみが5%〜45%である。別の実施形態において、RMS永久ひずみが5%〜40%である。別の実施形態において、RMS永久ひずみが5%〜35%である。別の実施形態において、RMS永久ひずみが10%〜35%である。別の実施形態において、RMS永久ひずみが10%〜25%である。RMS永久ひずみが、本文書においてどこか他のところで記載される80%ヒステリシス試験を使用して測定される。
【0070】
なおさらに別の態様において、本発明は、本発明の様々な実施形態に従って作製される繊維を含むカード加工ウエブ又はヤーンに関する。このプロセスのために使用される繊維はステープルファイバー又は連続フィラメントであり得る。ヤーンは被覆され得るか、又は、非被覆であり得る。被覆されるとき、ヤーンは綿糸又はナイロン糸によって被覆することができる。
【0071】
さらになおいっそう別の態様において、本発明は、そのような繊維を作製する方法に関する。この方法は、(a)(本明細書中に記載されるような)エチレン/α−オレフィンインターポリマーを融解すること、及び、(b)エチレン/α−オレフィンインターポリマーを繊維に押出しすることを含む。繊維を、上記で列挙される溶融押出し・空気圧延伸プロセスによって形成することができる。特定の態様において、この方法は、(i)コポリマーの溶融物を形成する工程、(ii)溶融されたコポリマーをダイに通して押出しする工程、及び、(iii)押出しされたコポリマーを約200よりも大きい引落率に供する工程を含む。繊維は、繊維を引落し操作の期間中に引張り伸びに供することによって配向させられる。この実施形態の1つの態様において、引張り伸びが、引落し操作の急冷域において、すなわち、紡糸口金と、ゴデットとの間において与えられる。
【0072】
本発明の繊維はエチレン/α−オレフィンコポリマーの単独から作製することができ、或いは、本発明の繊維は、エチレン/α−オレフィンコポリマー及び1つ又はそれ以上の他のポリマー、並びに/又は、添加物及び核形成剤のブレンド配合物から作製することができる。繊維は任意の形態(例えば、モノフィラメント、二成分など)を取ることができ、また、繊維は、形成後の処理(例えば、アニーリング)を伴って、又は、形成後の処理を伴うことなく使用することができる。
【0073】
本発明の繊維は、様々な製造物品を製造するために使用することができ、例えば、その結果として多成分物品(例えば、おむつ、創傷被覆材及び女性衛生用製造物など)に取り込まれ得る布地(織布、編物又は不織布)を製造するために使用することができる。
【0074】
本発明の繊維を含む特定の本発明の不織布はさらに、ピーク力での実質的なRMS伸びが4%〜500%であることによって特徴づけられる。別の実施形態において、ピーク力でのRMS伸びが10%〜500%である。別の実施形態において、ピーク力でのRMS伸びが25%〜500%である。別の実施形態において、ピーク力でのRMS伸びが50%〜500%である。別の実施形態において、ピーク力でのRMS伸びが75%〜500%である。別の実施形態において、ピーク力でのRMS伸びが100%〜500%である。
【0075】
「メルトブローン(meltblown)繊維」は、直径を減少させるためにスレッド又はフィラメントを細くするように機能する集束する高速度のガス流れ(例えば、空気)の中に、溶融された熱可塑性ポリマー組成物を溶融されたスレッド又はフィラメントとして、多数の細かい、通常的には円形のダイキャピラリーに通して押出しすることによって形成される繊維である。フィラメント又はスレッドは高速度のガス流れによって運ばれ、回収用表面に堆積して、平均直径が一般には10ミクロンよりも小さいランダムに分散された繊維のウエブを形成する。
【0076】
「メルトスパン(meltspun)繊維」は、少なくとも1つのポリマーを融解し、その後、溶融状態にある繊維をダイの直径(又は他の断面形状)よりも小さい直径(又は他の断面形状)に引出しすることによって形成される繊維である。
【0077】
「スパンボンド(meltbond)繊維」は、溶融された熱可塑性ポリマー組成物をフィラメントとして、紡糸口金の多数の細かい、通常的には円形のダイキャピラリーに通して押出しすることによって形成される繊維である。押出しされたフィラメントの直径は急速に小さくなり、その後、フィラメントは回収用表面に堆積して、平均直径が一般には約7ミクロン〜約30ミクロンの間にあるランダムに分散された繊維のウエブを形成する。
【0078】
「不織布」は、ランダムに間に入れられ、しかし、編物の場合にはそうであるような特定可能な様式で存在しない個々の繊維又はスレッドの構造を有するウエブ又は布地を意味する。本発明の実施形態による弾性繊維は、不織布構造物、同様にまた、非弾性材料と組み合わされている弾性不織布の複合構造物を調製するために用いることができる。
【0079】
「ヤーン」は、織物又は編物及び他の物品の製造において使用され得る連続する長さの撚られたフィラメント、又は、そうでない場合には絡み合ったフィラメントを意味する。ヤーンは被覆され得るか、又は、非被覆であり得る。被覆されたヤーンは、別の繊維又は材料(典型的には、天然繊維、例えば、綿又は羊毛など)の外側被覆の内部に少なくとも一部が包まれるヤーンである。
【0080】
「ポリマー」は、同じタイプのモノマー又は異なるタイプのモノマーであろうとも、モノマーを重合することによって調製される高分子化合物を意味する。総称用語の「ポリマー」は、「ホモポリマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」、同様にまた、「インターポリマー」の各用語を包含する。
【0081】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味する。総称用語の「インターポリマー」は、用語「コポリマー」(これは通常、2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを示すために用いられる)、同様にまた、用語「ターポリマー」(これは通常、3つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを示すために用いられる)を包含する。総称用語の「インターポリマー」はまた、4つ以上のタイプのモノマーを重合することによって作製されるポリマーを包含する。
【0082】
用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」は一般に、エチレンと、3個以上の炭素原子を有するα−オレフィンとを含むポリマーを示す。好ましくは、エチレンがポリマー全体の過半数のモル分率を構成する。すなわち、エチレンがポリマー全体の少なくとも約50モルパーセントを構成する。より好ましくは、エチレンが、少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、又は、少なくとも約80モルパーセントを構成し、ポリマー全体の実質的な残りが、好ましくは3個以上の炭素原子を有するα−オレフィンである少なくとも1つの他のコモノマーから構成される。多くのエチレン/オクテンコポリマーについては、好ましい組成が、ポリマー全体の約80モルパーセントを超えるエチレン含有量と、ポリマー全体の約10モルパーセント〜約15モルパーセントのオクテン含有量、好ましくは、ポリマー全体の約15モルパーセント〜約20モルパーセントのオクテン含有量とから構成される。いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーには、低収率で生じるか、又は、微量で生じるか、又は、化学プロセスの副産物として生じるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは含まれない。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは1つ又はそれ以上のポリマーとブレンド配合することができる一方で、製造された際のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは実質的に純粋であり、多くの場合、重合プロセスの反応生成物の主要な成分を構成する。
【0083】
本明細書中の「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」又は「エチレン/α−オレフィン/ジエンインターポリマー」における用語「α−オレフィン」は、C以上のα−オレフィンを示す。いくつかの実施形態において、α−オレフィンは、スチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン又はそれらの組合せであり、ジエンは、ノルボルネン、1,5−ヘキサジエン又は組合せである。
【0084】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレンと、1つ又はそれ以上の共重合可能なα−オレフィンコモノマーとを、化学的特性又は物理的特性において異なる2つ以上の重合したモノマーユニットの多数のブロック又はセグメントによって特徴づけられる重合した形態で含む。すなわち、エチレン/α−オレフィンインターポリマーはブロックインターポリマーであり、好ましくはマルチブロックインターポリマー又はマルチブロックコポリマーである。用語「インターポリマー」及び用語「コポリマー」は本明細書中では交換可能に使用される。いくつかの実施形態において、マルチブロックコポリマーは下記の式によって表すことができる:
(AB)
式中、nは少なくとも1であり、好ましくは、1を超える整数であり、例えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100又はそれ以上であり、「A」はハードブロック又はハードセグメントを表し、「B」はソフトブロック又はソフトセグメントを表す。好ましくは、A及びBは、実質的に分岐した様式又は実質的に星形形状の様式とは対照的に、実質的に線状の様式で連結される。他の実施形態において、Aブロック及びBブロックはポリマー鎖に沿ってランダムに分布する。言い換えれば、ブロックコポリマーは通常、下記のような構造を有しない:
AAA−AA-BBB−BB
なおさらに他の実施形態において、ブロックコポリマーは通常、異なるコモノマーを含む第3のタイプのブロックを有しない。さらに他の実施形態において、ブロックA及びブロックBのそれぞれが、ブロック内に実質的にランダムに分布するモノマー又はコモノマーを有する。言い換えれば、ブロックA又はブロックBのどちらも、異なった組成の2つ以上のサブセグメント(又はサブブロック)を含まず、例えば、ブロックの残部とは実質的に異なる組成を有する先端セグメントなどを含まない。
【0085】
マルチブロックポリマーは典型的には、様々な量の「ハード」セグメント及び「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントは、エチレンがポリマーの重量に基づいて約95重量パーセントを超える量で存在する重合したユニットのブロックを示し、好ましくは、エチレンがポリマーの重量に基づいて約98重量パーセントを超える量で存在する重合したユニットのブロックを示す。言い換えれば、ハードセグメントにおけるコモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)が、ポリマーの重量に基づいて約5重量パーセント未満であり、好ましくは約2重量パーセント未満である。いくつかの実施形態において、ハードセグメントは全体又は実質的に全体がエチレンから構成される。他方で、「ソフト」セグメントは、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)がポリマーの重量に基づいて約5重量パーセントを超える重合したユニットのブロックを示し、好ましくは、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)がポリマーの重量に基づいて約8重量パーセントを超えるか、又は、約10重量パーセントを超えるか、又は、約15重量パーセントを超える重合したユニットのブロックを示す。いくつかの実施形態において、ソフトセグメントにおけるコモノマー含有量は約20重量パーセントを超えることができ、又は、約25重量パーセントを超えることができ、又は、約30重量パーセントを超えることができ、又は、約35重量パーセントを超えることができ、又は、約40重量パーセントを超えることができ、又は、約45重量パーセントを超えることができ、又は、約50重量パーセントを超えることができ、又は、約60重量パーセントを超えることができる。
【0086】
ソフトセグメントは多くの場合、ブロックインターポリマーにおいて、ブロックインターポリマーの総重量の約1重量パーセントから約99重量パーセントまで存在することができ、好ましくは、ブロックインターポリマーの総重量の約5重量パーセントから約95重量パーセントまで、又は、約10重量パーセントから約90重量パーセントまで、又は、約15重量パーセントから約85重量パーセントまで、又は、約20重量パーセントから約80重量パーセントまで、又は、約25重量パーセントから約75重量パーセントまで、又は、約30重量パーセントから約70重量パーセントまで、又は、約35重量パーセントから約65重量パーセントまで、又は、約40重量パーセントから約60重量パーセントまで、又は、約45重量パーセントから約55重量パーセントまで存在することができる。逆に、ハードセグメントは、同様な範囲で存在することができる。ソフトセグメント重量百分率及びハードセグメント重量百分率は、DSC又はNMRから得られるデータに基づいて計算することができる。そのような方法及び計算が、出願された米国特許出願第11/376,835号(代理人文書番号385063−999558、これは、発明の名称が「エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマー」であり、Colin L.P.Shan、Lonnie Hazlitt他の名で2006年3月15日に出願され、The Dow Global Technologies Inc.に譲渡された)に開示される(その開示はその全体において参照により本明細書中に組み込まれる)。
【0087】
用語「結晶性(の)」は、用いられるならば、示差走査熱量測定法(DSC)又は同等な技術によって求められるような一次転移又は結晶性融点(Tm)を有するポリマーを示す。この用語は、用語「半結晶性(の)」と交換可能に使用される場合がある。用語「非晶質性(の)」は、示差走査熱量測定法(DSC)又は同等な技術によって求められるような結晶性融点を有しないポリマーを示す。
【0088】
用語「マルチブロックコポリマー」又は用語「セグメント化コポリマー」は、好ましくは線状様式でつながれる2つ以上の化学的に異なった領域又はセグメント(これらは「ブロック」と呼ばれる)を含むポリマー、すなわち、ペンダント様式又はグラフト化様式ではなく、むしろ、重合したエチレン性官能基に関して末端同士(end-to-end)でつながれる化学的に区別されるユニットを含むポリマーを示す。好ましい実施形態において、ブロックは、ブロックに取り込まれたコモノマーの量又はタイプ、そのような組成のポリマーに起因し得る密度、結晶化度の量、クリスタリットサイズ、タクチシティのタイプ又は程度(アイソタクチック又はシンジオタクチック)、レジオ規則性又はレジオ不規則性、分岐(長鎖分岐又は超分岐を含む)の程度、均一性、或いは、何らかの他の化学的特性又は物理的特性において異なる。マルチブロックコポリマーは、コポリマーを作製する特有のプロセスのために、両方の多分散性指数(PDI又はMw/Mn)、ブロック長分布及び/又はブロック数分布の特有の分布によって特徴づけられる。より具体的には、連続プロセスで製造されるとき、ポリマーは望ましくは、1.7〜2.9のPDIを有し、好ましくは1.8〜2.5のPDIを有し、より好ましくは1.8〜2.2のPDIを有し、最も好ましくは1.8〜2.1のPDIを有する。回分式又は半回分式のプロセスで製造されるとき、ポリマーは1.0〜2.9のPDIを有し、好ましくは1.3〜2.5のPDIを有し、より好ましくは1.4〜2.0のPDIを有し、最も好ましくは1.4〜1.8のPDIを有する。
【0089】
下記の記載において、本明細書中に開示されるすべての数字は、「約」又は「およそ」の語句が数字に関連して使用されるかどうかにかかわらず、近似値である。本明細書中に開示される数字は、1パーセント、2パーセント、5パーセント、又は、時には10パーセント〜20パーセントの差で異なる場合がある。下限(R)及び上限(R)を伴う数値範囲が開示されるときは常に、その範囲に含まれる数字はどれも、具体的に開示される。特に、範囲に含まれる下記の数字が具体的に開示される:R=R+k(R−R)、式中、kは、1パーセントの刻みで1パーセントから100パーセントにまで及ぶ変数であり、すなわち、kは、1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、・・・、50パーセント、51パーセント、52パーセント、・・・、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント又は100パーセントである。その上、上記で定義されるように2つのRの数字によって定義される数値範囲はどれもまた、具体的に開示される。具体的な参考文献が述べられるとき(例えば、特許又は雑誌論文)、そのような表現法がそれに関して使用されるかどうかにかかわらず、そのような参考文献はその全体において参照により本明細書中に組み込まれることを理解しなければならない。
【0090】
本発明の実施形態は、たぐいまれな性質を有する新しいエチレン/α−オレフィンインターポリマーから得ることができるか、又は、たぐいまれな性質を有する新しいエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む繊維、並びに、そのような繊維から作製される布地及び他の製造物を提供する。繊維は、良好な耐摩耗性、低い摩擦係数、高い上限使用温度、大きい回復率/収縮力、低い応力緩和(高温及び低温)、軟らかい伸び、大きい破断点伸び、不活性:化学的抵抗性及び/又はUV抵抗性を有することができる。繊維は、比較的大きい紡糸速度及びより低い温度で溶融紡糸することができる。加えて、繊維は粘着性がほとんどなく、このことはより良好な巻出し成績及びより良好な貯蔵寿命をもたらし、また、そのような繊維から作製される布地は、ローピング(roping)(すなわち、繊維のバンドリング(bundling)、自己接着、自己粘着)が実質的にない。繊維がより大きい紡糸速度で紡糸され得るので、繊維の製造処理能が高い。そのような繊維はまた、幅広い形成範囲域及び幅広い加工範囲域を有する。
【0091】
特定の実施形態において、繊維は、繊維を構成するポリマーの少なくとも1つのピーク融解温度よりも低い温度で引出しされる。特定の実施形態において、繊維は、繊維を構成するエチレン/α−オレフィンコポリマーのピーク融解温度よりも低い温度で引出しされる。さらなる実施形態において、繊維は、繊維を構成するポリマーの少なくとも1つのピーク融解温度よりも低い温度を、空気が繊維に突き当たる点において有する空気を使用して空気圧により引出しされる。さらなる実施形態において、繊維は、繊維を構成するエチレン/α−オレフィンコポリマーのピーク融解温度よりも低い温度を、空気が繊維に突き当たる点において有する空気を使用して空気圧により引出しされる。
【0092】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー
本発明の実施形態において使用されるエチレン/α−オレフィンインターポリマー(これはまた、「本発明のインターポリマー」又は「本発明のポリマー」として示される)は、エチレンと、1つ又はそれ以上の共重合可能なα−オレフィンコモノマーとを、化学的特性又は物理的特性において異なる2つ以上の重合したモノマーユニットの多数のブロック又はセグメントによって特徴づけられる重合した形態で含み(ブロックインターポリマー)、好ましくはマルチブロックコポリマーである。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、下記のように記載される態様の1つ又はそれ以上によって特徴づけられる。
【0093】
1つの態様において、本明細書中に提供される二成分繊維において使用されるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約1.7〜約3.5のM/M、並びに、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、所定の密度(d、グラム/立方センチメートル)を有しており、これらの変数は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d)
【0094】
その融点が密度の低下とともに低下するエチレン/α−オレフィンの従来のランダムコポリマーとは異なり、本発明のインターポリマーから作製される繊維は、特に密度が約0.87g/cc〜約0.95g/ccの間にあるとき、密度に実質的に依存しない融点を有する。例えば、そのようなポリマーの融点は、密度が0.875g/ccから約0.945g/ccにまで及ぶとき、約110℃〜約130℃の範囲にある。いくつかの実施形態において、そのようなポリマーの融点は、密度が0.875g/ccから約0.945g/ccにまで及ぶとき、約115℃〜約125℃の範囲にある。
【0095】
別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、重合した形態で、エチレン及び1つ又はそれ以上のα−オレフィンを含み、かつ、最も高い示差走査熱量測定法(「DSC」)ピークについての温度から最も高い結晶化分析分画化(「CRYSTAF」)ピークについての温度を引いた温度として定義されるΔT(摂氏度)、及び、融解熱(ΔH、J/g)によって特徴づけられ、ΔT及びΔHは下記の関係を満たす:
130J/gに至るまでのΔHについて、
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、好ましくは、
ΔT≧−0.1299(ΔH)+64.38、より好ましくは、
ΔT≧−0.1299(ΔH)+65.95。
その上、ΔTは、130J/gを超えるΔHについては48℃以上である。CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ(すなわち、ピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを表さなければならない)、また、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃であり、ΔHはJ/g単位での融解熱の数値である。より好ましくは、最大CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも10パーセントを含有する。
【0096】
さらに別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、昇温溶出分画化(「TREF」)を使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物を有しており、この場合、この分子分画物は、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも大きいモルコモノマー含有量(好ましくは少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量、より好ましくは少なくとも10パーセント大きいモルコモノマー含有量)を有することにおいて特徴づけられ、但し、比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含有し、かつ、ブロックインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する。好ましくは、比較可能なインターポリマーのMw/Mnもまた、ブロックインターポリマーのMw/Mnの10パーセント以内であり、及び/又は、比較可能なインターポリマーはブロックインターポリマーの総コモノマー含有量の10重量パーセント以内の総コモノマー含有量を有する。
【0097】
なおさらに別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムに対して測定される所定の弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)によって特徴づけられ、かつ、所定の密度(d、グラム/立方センチメートル)を有しており、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d)、好ましくは、
Re≧1491−1629(d)、より好ましくは、
Re≧1501−1629(d)、一層より好ましくは、
Re≧1511−1629(d)。
【0098】
いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、10MPaを超える引張り強さ、好ましくは11MPa以上の引張り強さ、より好ましくは13MPa以上の引張り強さ、及び/又は、11cm/分のクロスヘッド分離速度における少なくとも600パーセントの破断点伸び、より好ましくは少なくとも700パーセントの破断点伸び、非常に好ましくは少なくとも800パーセントの破断点伸び、最も非常に好ましくは少なくとも900パーセントの破断点伸びを有する。
【0099】
他の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、(1)1〜50(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10)の貯蔵弾性比率(G’(25℃)/G’(100℃))、及び/又は、(2)0パーセントの圧縮永久ひずみに至るまでの、80パーセント未満の70℃圧縮永久ひずみ、好ましくは70パーセント未満の70℃圧縮永久ひずみ、とりわけ、60パーセント未満の70℃圧縮永久ひずみ、50パーセント未満の70℃圧縮永久ひずみ、又は、40パーセント未満の70℃圧縮永久ひずみを有する。
【0100】
なおさらに他の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、80パーセント未満、70パーセント未満、60パーセント未満又は50パーセント未満の70℃圧縮永久ひずみを有する。好ましくは、インターポリマーの70℃圧縮永久ひずみは40パーセント未満であり、30パーセント未満であり、20パーセント未満であり、また、約0パーセントにまで低下する場合がある。
【0101】
いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、85J/g未満の融解熱、及び/又は、100ポンド/フィート(4800Pa)以下のペレットブロッキング強度、好ましくは、50lbs/ft(2400Pa)以下のペレットブロッキング強度、とりわけ、5lbs/ft(240Pa)以下のペレットブロッキング強度、さらには0lbs/ft(0Pa)もの低いペレットブロッキング強度を有する。
【0102】
他の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、重合した形態で、少なくとも50モルパーセントのエチレンを含み、かつ、80パーセント未満(好ましくは70パーセント未満又は60パーセント未満、最も好ましくは40パーセント〜50パーセントを下回る)から0パーセントの近くにまで低下する70℃圧縮永久ひずみを有する。
【0103】
いくつかの実施形態において、マルチブロックコポリマーは、ポアソン分布ではなく、むしろ、シュルツ・フローリー分布に合うPDIを有する。コポリマーはさらに、多分散のブロック分布及びブロックサイズの多分散分布の両方を有するとして、また、ブロック長さの最も確からしい分布を有するとして特徴づけられる。好ましいマルチブロックコポリマーは、末端のブロックを含めて4つ以上のブロック又はセグメントを含有するマルチブロックコポリマーである。より好ましくは、コポリマーは、末端のブロックを含めて、少なくとも5個、10個又は20個のブロック又はセグメントを含む。
【0104】
コモノマー含有量は、いずれかの好適な技術を使用して測定することができ、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術が好ましい。その上、比較的幅広いTREF曲線を有するポリマー又はポリマーのブレンド配合物については、そのようなポリマーは望ましくは、最初に、10℃以下の溶出される温度範囲をそれぞれが有する分画物に、TREFを使用して分画化される。すなわち、それぞれの溶出された分画物が10℃以下の回収温度域を有する。この技術を使用する場合、前記ブロックインターポリマーは、比較可能なインターポリマーの対応する分画物よりも大きいモルコモノマー含有量を有する少なくとも1つのそのような分画物を有する。
【0105】
好ましくは、エチレン及び1−オクテンのインターポリマーについて、ブロックインターポリマーは、40℃〜130℃の間で溶出するTREF分画物のコモノマー含有量が、(−0.2013)T+20.07の量に等しいか、又は、それよりも大きく、より好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量に等しいか、又は、それよりも大きく、式中、Tは、℃の単位で測定される、比較されているTREF分画物のピーク溶出温度の数値である。
【0106】
本明細書中に記載される上記の態様及び性質に加えて、本発明のポリマーは1つ又はそれ以上のさらなる特徴によって特徴づけることができる。1つの態様において、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマー、好ましくは、エチレン及び1つ又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを、化学的特性又は物理的特性において異なる2つ以上の重合したモノマーユニットの多数のブロック又はセグメントによって特徴づけられる重合した形態において含むオレフィンインターポリマー(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、この場合、前記ブロックインターポリマーは、TREF増分を使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物を有しており、この場合、前記分子分画物は、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも大きいモルコモノマー含有量(好ましくは少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量、より好ましくは少なくとも10パーセント、15パーセント、20パーセント又は25パーセント大きいモルコモノマー含有量)を有することにおいて特徴づけられ、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、好ましくは、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを有し、かつ、ブロック化インターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する。好ましくは、比較可能なインターポリマーのMw/Mnもまた、ブロック化インターポリマーのMw/Mnの10パーセント以内であり、及び/又は、比較可能なインターポリマーはブロック化インターポリマーの総コモノマー含有量の10パーセント以内の総コモノマー含有量を有する。
【0107】
好ましくは、上記インターポリマーは、エチレン及び少なくとも1つのα−オレフィンのインターポリマーであり、特に、約0.855g/cm〜約0.935g/cmの全体的なポリマー密度を有するそのようなインターポリマーであり、より際立っては、約1モルパーセントを超えるコモノマーを有するポリマーについて、ブロック化インターポリマーは、40℃〜130℃の間で溶出するTREF分画物のコモノマー含有量が、(−0.1356)T+13.89の量に等しいか、又は、それよりも大きく、より好ましくは、(−0.1356)T+14.93の量に等しいか、又は、それよりも大きく、最も好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量に等しいか、又は、それよりも大きく、式中、Tは、℃の単位で測定される、比較されているTREF分画物のピークATREF溶出温度の数値である。
【0108】
好ましくは、エチレン及び少なくとも1つのα−オレフィンの上記インターポリマーについて、特に、約0.855g/cm〜約0.935g/cmの全体的なポリマー密度を有するそのようなインターポリマーについて、より際立っては、約1モルパーセントを超えるコモノマーを有するポリマーについて、ブロック化インターポリマーは、40℃〜130℃の間で溶出するTREF分画物のコモノマー含有量が、(−0.2013)T+20.07の量に等しいか、又は、それよりも大きく、より好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量に等しいか、又は、それよりも大きく、式中、Tは、℃の単位で測定される、比較されているTREF分画物のピーク溶出温度の数値である。
【0109】
なおさらに別の態様において、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマー、好ましくは、エチレン及び1つ又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを、化学的特性又は物理的特性において異なる2つ以上の重合したモノマーユニットの多数のブロック又はセグメントによって特徴づけられる重合した形態において含むオレフィンインターポリマー(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、この場合、前記ブロックインターポリマーは、TREF増分を使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物を有しており、この場合、前記分子分画物は、少なくとも約6モルパーセントのコモノマー含有量を有する分画物のどれもが、約100℃を超える融点を有することにおいて特徴づけられる。約3モルパーセント〜約6モルパーセントのコモノマー含有量を有するそのような分画物については、どの分画物も、約110℃以上のDSC融点を有する。より好ましくは、前記ポリマー分画物は、少なくとも約1モルパーセントのコモノマー含有量を有する場合、下記の式に対応するDSC融点を有する:
Tm≧(−5.5926)(分画物におけるコモノマーのモル百分率)+135.90。
【0110】
さらに別の態様において、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマー、好ましくは、エチレン及び1つ又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを、化学的特性又は物理的特性において異なる2つ以上の重合したモノマーユニットの多数のブロック又はセグメントによって特徴づけられる重合した形態において含むオレフィンインターポリマー(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、この場合、前記ブロックインターポリマーは、TREF増分を使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物を有しており、この場合、前記分子分画物は、約76℃以上のATREF溶出温度を有する分画物のどれもが、下記の式に対応する、DSCによって測定されるような溶融エンタルピー(融解熱)を有することにおいて特徴づけられる:
融解熱(J/gm)≦(3.1718)(ATREF溶出温度、℃)−136.58。
【0111】
本発明のブロックインターポリマーは、TREF増分を使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物を有しており、この場合、前記分子分画物は、ATREF溶出温度を40℃〜約76℃未満の間に有する分画物のどれもが、下記の式に対応する、DSCによって測定されるような溶融エンタルピー(融解熱)を有することにおいて特徴づけられる:
融解熱(J/gm)≦(1.1312)(ATREF溶出温度、℃)+22.97。
【0112】
赤外検出器によるATREFピークのコモノマー組成測定
TREFピークのコモノマー組成を、Polymer Char(Valencia、スペイン)(http://www.polymerchar.com/)から入手可能なIR4赤外検出器を使用して測定することができる。
【0113】
検出器の「組成モード」は、2800cm−1〜3000cm−1の領域における固定された狭帯域赤外フィルターである測定センサー(CH)及び組成センサー(CH)を備える。測定センサーにより、ポリマーにおけるメチレン(CH)炭素(これは溶液中のポリマー濃度に直接に関係づけられる)が検出され、一方、組成センサーにより、ポリマーのメチル(CH)基が検出される。測定シグナル(CH)によって除された組成シグナル(CH)の数学的比率は、溶液中の測定ポリマーのコモノマー含有量に対して敏感であり、その応答が、公知のエチレン/アルファ−オレフィンコポリマー標準物に関して校正される。
【0114】
検出器は、ATREF装置とともに使用されるとき、TREFプロセスの期間中における溶出ポリマーの濃度(CH)及び組成(CH)の両方のシグナル応答を提供する。ポリマー特異的な校正を、(好ましくはNMRによって測定される)既知のコモノマー含有量を有するポリマーについてCH対CHの面積比を測定することによって行うことができる。ポリマーのATREFピークのコモノマー含有量を、個々のCH応答及びCH応答についての面積の比率の参照用校正(すなわち、面積比(CH/CH)対コモノマー含有量)を適用することによって推定することができる。
【0115】
ピークの面積は、適切なベースラインを、TREFクロマトグラムからの個々のシグナル応答を積分するために適用した後、半値全幅(FWHM)計算を使用して計算することができる。半値全幅計算は、ATREF赤外検出器からのメチル応答面積対メチレン応答面積の比率[CH/CH]に基づいており、この場合、最も高い(最大)ピークがベースラインから特定され、その後、FWHM面積が求められる。ATREFピークを使用して測定される分布については、FWHM面積が、T1と、T2との間における曲線の下側の面積として定義され、この場合、T1及びT2は、ピーク高さを2で割り、その後、ATREF曲線の左側部分及び右側部分と交わる、ベースラインに対して水平な直線を引くことによって、ATREFピークの左側及び右側に対して決定される点である。
【0116】
ポリマーのコモノマー含有量をこのATREF−赤外法で測定するための赤外分光法の適用は原理的には、下記の参考文献に記載されるようなGPC/FTIRシステムの適用と類似している:Markovich, Ronald P.、Hazlitt, Lonnie G.、Smith, Linley、「Development of gel-permeation chromatography-Fourier transform infrared spectroscopy for characterization of ethylene-based polyolefin copolymers」、Polymeric Materials Science and Engineering (1991)、65、98-100、及び、Deslauriers, P.J.、Rohlfing, D.C.、Shieh, E.T.、「Quantifying short chain branching microstructures in ethylene-1-olefin copolymers using size exclusion chromatography and Fourier trasnform infrared spectroscopy (SEC-FTIR)」、Polymer (2002)、43、59-170(これらはともに、それらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる)。
【0117】
他の実施形態において、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックス(ABI)、及び、約1.3を超える分子量分布(M/M)によって特徴づけられる。平均ブロックインデックス(ABI)は、5℃の刻みにより20℃から110℃までの調製用TREFにおいて得られるポリマー分画物のそれぞれについてのブロックインデックス(「BI」)の重量平均である:
ABI=Σ(wBI
式中、BIは、調製用TREFにおいて得られる本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのi番目の分画物についてのブロックインデックスであり、wはi番目の分画物の重量百分率である。
【0118】
それぞれのポリマー分画物について、BIが、(両方が同じBI値を与える)2つの下記の式の1つによって定義される:
BI=(1/T−1/TXO)/(1/T−1/TAB
又は
BI=−(LnP−LnPXO)/(LnP−LnPAB
式中、Tはi番目の分画物についての調製用ATREF溶出温度(好ましくはケルビン単位で表される)であり、Pはi番目の分画物についてのエチレンモル分率であり、これは、上記で記載されたようにNMR又はIRによって測定することができる。PABは(分画化前の)エチレン/α−オレフィンインターポリマー全体のエチレンモル分率であり、これもまた、NMR又はIRによって測定することができる。T及びPは、純粋な「ハードセグメント」(これはインターポリマーの結晶性セグメントを示す)についてのATREF溶出温度及びエチレンモル分率である。一次の近似として、「ハードセグメント」についての実際の値が得られないならば、T及びPの値が、高密度ポリエチレンホモポリマーについてのT及びPの値に設定される。本明細書中で行われる計算のために、Tが372°Kであり、Pが1である。
【0119】
ABは、同じ組成で、PABのエチレンモル分率を有するランダムコポリマーについてのATREF温度である。TABを下記の式から計算することができる:
LnPAB=α/TAB+β
式中、α及びβは、いくつかの公知のランダムエチレンコポリマーを使用する校正によって求めることができる2つの定数である。α及びβは装置毎に変化し得ることに留意しなければならない。その上、それら自身の校正曲線を、目的とするポリマー組成に関して、同様にまた、分画物と類似する分子量範囲において作製する必要がある。わずかな分子量効果が認められる。校正曲線が、類似する分子量範囲から得られるならば、そのような影響は本質的には無視することができる。いくつかの実施形態において、ランダムエチレンコポリマーは下記の関係を満たす:
LnP=−237.83/TATREF+0.639。
XOは、同じ組成で、Pのエチレンモル分率を有するランダムコポリマーについてのATREF温度である。TXOを、
LnP=α/TXO+β
から計算することができる。逆に、PXOは、同じ組成で、TのATREF温度を有するランダムコポリマーについてのエチレンモル分率であり、これは、
LnPXO=α/T+β
から計算することができる。
【0120】
それぞれの調製用TREF分画物についてのブロックインデックス(BI)が得られると、ポリマー全体についての重量平均ブロックインデックス(ABI)を計算することができる。いくつかの実施形態において、ABIはゼロよりも大きく、しかし、約0.3未満であり、又は、約0.1〜約0.3である。他の実施形態において、ABIは約0.3よりも大きく、約1.0に至るまでである。好ましくは、ABIは、約0.4〜約0.7の範囲、又は、約0.5〜約0.7の範囲、又は、約0.6〜約0.9の範囲でなければならない。いくつかの実施形態において、ABIは、約0.3〜約0.9の範囲、又は、約0.3〜約0.8の範囲、又は、約0.3〜約0.7の範囲、又は、約0.3〜約0.6の範囲、又は、約0.3〜約0.5の範囲、又は、約0.3〜約0.4の範囲にある。他の実施形態において、ABIは、約0.4〜約1.0の範囲、又は、約0.5〜約1.0の範囲、又は、約0.6〜約1.0の範囲、又は、約0.7〜約1.0の範囲、又は、約0.8〜約1.0の範囲、又は、約0.9〜約1.0の範囲にある。
【0121】
本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの別の特徴が、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、調製用TREFによって得ることができる少なくとも1つのポリマー分画物を含むことであり、この場合、この分画物は、約0.1よりも大きく、約1.0に至るまでのブロックインデックス、及び、約1.3よりも大きい分子量分布(M/M)を有する。いくつかの実施形態において、ポリマー分画物は、約0.6よりも大きく、約1.0に至るまでのブロックインデックス、又は、約0.7よりも大きく、約1.0に至るまでのブロックインデックス、又は、約0.8よりも大きく、約1.0に至るまでのブロックインデックス、又は、約0.9よりも大きく、約1.0に至るまでのブロックインデックスを有する。他の実施形態において、ポリマー分画物は、約0.1よりも大きく、約1.0に至るまでのブロックインデックス、又は、約0.2よりも大きく、約1.0に至るまでのブロックインデックス、又は、約0.3よりも大きく、約1.0に至るまでのブロックインデックス、又は、約0.4よりも大きく、約1.0に至るまでのブロックインデックス、又は、約0.4よりも大きく、約1.0に至るまでのブロックインデックスを有する。なおさらに他の実施形態において、ポリマー分画物は、約0.1よりも大きく、約0.5に至るまでのブロックインデックス、又は、約0.2よりも大きく、約0.5に至るまでのブロックインデックス、又は、約0.3よりも大きく、約0.5に至るまでのブロックインデックス、又は、約0.4よりも大きく、約0.5に至るまでのブロックインデックスを有する。さらに他の実施形態において、ポリマー分画物は、約0.2よりも大きく、約0.9に至るまでのブロックインデックス、又は、約0.3よりも大きく、約0.8に至るまでのブロックインデックス、又は、約0.4よりも大きく、約0.7に至るまでのブロックインデックス、又は、約0.5よりも大きく、約0.6に至るまでのブロックインデックスを有する。
【0122】
エチレン及びα−オレフィンのコポリマーについて、本発明のポリマーは好ましくは、(1)少なくとも1.3から、より好ましくは少なくとも1.5又は少なくとも1.7又は少なくとも2.0から、最も好ましくは少なくとも2.6から、5.0の最大値に至るまでのPDI、より好ましくは3.5の最大値に至るまでのPDI、とりわけ、2.7の最大値に至るまでのPDI;(2)80J/g以下の融解熱;(3)少なくとも50重量パーセントのエチレン含有量;(4)−25℃未満(より好ましくは−30℃未満)のガラス転移温度(T);及び/又は(5)ただ1つのTを有する。
【0123】
さらに、本発明のポリマーは、単独又は本明細書中に開示されるいずれかの他の特性との組合せであっても、貯蔵弾性率(G’)を、log(G’)が100℃の温度において400kPa以上(好ましくは1.0MPa以上)であるように有することができる。その上、本発明のポリマーは、ブロックコポリマーに特徴的であり、かつ、オレフィンコポリマー(とりわけ、エチレン及び1つ又はそれ以上のC3〜8脂肪族α−オレフィンのコポリマー)についてはこれまで知られていない、0℃〜100℃の範囲における温度の関数としての比較的平坦な貯蔵弾性率を有する。(この関連での用語「比較的平坦な」によって、logG’(パスカル単位)が、50℃〜100℃の間において、好ましくは0℃〜100℃の間において1桁以上低下しないことが意味される)。
【0124】
本発明のポリマーはさらに、少なくとも90℃の温度における1mmの熱機械的分析侵入深さ、並びに、3kpsi(20MPa)〜13kpsi(90MPa)の曲げ弾性率によって特徴づけることができる。代替では、本発明のインターポリマーは、少なくとも104℃の温度における1mmの熱機械的分析侵入深さ、並びに、3kpsi(20MPa)の曲げ弾性率を有することができる。本発明のインターポリマーは、少なくとも90mmの耐摩耗性(又は体積減少)を有するとして特徴づけることができる。
【0125】
加えて、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01g/10分〜2000g/10分のメルトインデックス(I)、好ましくは0.01g/10分〜1000g/10分のメルトインデックス(I)、より好ましくは0.01g/10分〜500g/10分のメルトインデックス(I)、とりわけ、0.01g/10分〜100g/10分のメルトインデックス(I)を有することができる。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01g/10分〜10g/10分のメルトインデックス(I)、0.5g/10分〜50g/10分のメルトインデックス(I)、1g/10分〜30g/10分のメルトインデックス(I)、1g/10分〜6g/10分のメルトインデックス(I)、又は、0.3g/10分〜10g/10分のメルトインデックス(I)を有する。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンポリマーについてのメルトインデックスは、1g/10分、3g/10分、又は、5g/10分である。
【0126】
ポリマーは、1,000g/モル〜5,000,000g/モルの分子量(M)、好ましくは1000g/モル〜1,000,000g/モルの分子量(M)、より好ましくは10,000g/モル〜500,000g/モルの分子量(M)、とりわけ、10,000g/モル〜300,000g/モルの分子量(M)を有することができる。本発明のポリマーの密度は0.80g/cm〜0.99g/cmが可能であり、好ましくは、エチレン含有ポリマーについては0.85g/cm〜0.97g/cmが可能である。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンポリマーの密度は0.860g/cmから0.925g/cmにまで及ぶか、又は、0.867g/cmから0.910g/cmにまで及ぶ。
【0127】
そのようなポリマーを作製するプロセスが下記の特許出願に開示されている:米国仮特許出願第60/553,906号(2004年3月17日出願)、米国仮特許出願第60/662,937号(2005年3月17日出願)、米国仮特許出願第60/662,939号(2005年3月17日出願)、米国仮特許出願第60/5662938号(2005年3月17日出願)、PCT出願番号PCT/US2005/008916(2005年3月17日出願)、PCT出願番号PCT/US2005/008915(2005年3月17日出願)及びPCT出願番号PCT/US2005/008917(2005年3月17日出願)(これらのすべてがそれらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる)。例えば、1つのそのような方法は、エチレンと、必要に応じて、エチレン以外の1つ又はそれ以上の付加重合可能なモノマーとを、
下記の(a)、(b)及び(c)を組み合わせることから生じる混合物又は反応生成物
を含有する触媒組成物とともに付加重合条件のもとで接触させることを含む:
(a)高いコモノマー取り込み指数を有する第1のオレフィン重合触媒、
(b)触媒(A)のコモノマー取り込み指数の90パーセント未満(好ましくは50パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満)のコモノマー取り込み指数を有する第2のオレフィン重合触媒、及び
(c)鎖シャトル剤(chain shuttling agent)。
【0128】
代表的な触媒及び鎖シャトル剤は下記の通りである。
【0129】
触媒(A1)が[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルであり、これは、国際公開WO03/40195、2003US0204017、米国特許出願第10/429,024号(2003年5月2日出願)及び国際公開WO04/24740の教示に従って調製される。
【化1】

【0130】
触媒(A2)が[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−メチルフェニル)(1,2−フェニレン−(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルであり、これは、国際公開WO03/40195、2003US0204017、米国特許出願第10/429,024号(2003年5月2日出願)及び国際公開WO04/24740の教示に従って調製される。
【化2】

【0131】
触媒(A3)がビス[N,N’’’−(2,4,6−トリ(メチルフェニル)アミド)エチレンジアミン]ハフニウムジベンジルである。
【化3】

【0132】
触媒(A4)がビス((2−オキソイル−3−(ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)シクロヘキサン−1,2−ジイルジルコニウム(IV)ジベンジルであり、これは、実質的には米国特許出願公開第2004/0010103号の教示に従って調製される。
【化4】

【0133】
触媒(B1)が1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
【化5】

【0134】
触媒(B2)が1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(2−メチルシクロヘキシル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
【化6】

【0135】
触媒(C1)が(t−ブチルアミド)ジメチル(3−N−ピロリル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタンジメチルであり、これは、実質的には米国特許第6,268,444号の技術に従って調製される。
【化7】

【0136】
触媒(C2)が(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタンジメチルであり、これは、実質的には米国特許出願公開第2003/004286号の教示に従って調製される。
【化8】

【0137】
触媒(C3)が(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,8a−η−s−インダセン−1−イル)シランチタンジメチルであり、これは、実質的には米国特許出願公開第2003/004286号の教示に従って調製される。
【化9】

触媒(D1)がビス(ジメチルジシロキサン)(インデン−1−イル)ジルコニウムジクロリドであり、これはSigma−Aldrichから入手可能である。
【化10】

【0138】
シャトル剤
用いられるシャトル剤には、ジエチル亜鉛、ジ(i−ブチル)亜鉛、ジ(n−ヘキシル)亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリエチルガリウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド)、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)及びエチル亜鉛(t−ブトキシド)が含まれる。
【0139】
好ましくは、前記プロセスは、2つ以上のモノマー(より際立ってはエチレン及びC3〜20のα−オレフィン又はシクロオレフィン、最も際立ってはエチレン及びC4〜20α−オレフィン)のブロックコポリマー(特にマルチブロックコポリマー、好ましくは線状マルチブロックコポリマー)を、相互変換ができない多数の触媒を使用して形成するための連続溶液プロセスの形態を取る。すなわち、これらの触媒は化学的に異なる。連続溶液重合条件のもとで、このプロセスは、モノマーの混合物を高いモノマー転化率で重合するために理想的に適している。これらの重合条件のもとでは、鎖シャトル剤から触媒への移動(shuttling)が、鎖成長と比較して促進され、マルチブロックコポリマー、とりわけ、線状マルチブロックコポリマーが高い効率で形成される。
【0140】
本発明のインターポリマーは、従来のランダムコポリマー、ポリマーの物理的なブレンド配合物、及び、逐次モノマー添加、流動性触媒、アニオンリビング重合技術又はカチオンリビング重合技術によって調製されるブロックコポリマーから区別することができる。具体的には、同等な結晶化度又は弾性率における、同じモノマー及びモノマー含有量のランダムコポリマーと比較して、本発明のインターポリマーは、融点によって測定されるようなより良好な耐熱性(より大きい耐熱性)、より大きいTMA侵入温度、より大きい高温での引張り強さ、及び/又は、動的機械的分析によって求められるようなより大きい高温でのねじれ貯蔵弾性率を有する。同じモノマー及びモノマー含有量を含有するランダムコポリマーと比較して、本発明のインターポリマーは、より低い圧縮永久ひずみ(特に、高い温度でのより低い圧縮永久ひずみ)、より低い応力緩和、より大きい耐クリープ性、より大きい引裂き強度、より大きい耐ブロッキング性、より高い結晶化温度(固化温度)に起因するより速い硬化、より大きい回復率(特に、高い温度でのより大きい回復率)、より良好な耐摩耗性、より大きい収縮力、並びに、オイル及びフィラーのより良好な受け入れを有する。
【0141】
本発明のインターポリマーはまた、結晶化及び分岐分布のたぐいまれな関係を示す。すなわち、本発明のインターポリマーは、同等の全体的な密度において、とりわけ、同じモノマー及びモノマーレベルを含有するランダムコポリマー、又は、ポリマーの物理的なブレンド配合物(例えば、高密度のポリマーと、より低密度のコポリマーとのブレンド配合物など)と比較された場合、CRYSTAF及びDSCを使用して測定される最も高いピークの温度の間における比較的大きい差を融解熱の関数として有する。本発明のインターポリマーのこのたぐいまれな特徴は、ポリマー骨格内のブロックにおけるコモノマーのたぐいまれな分布に起因すると考えられる。具体的には、本発明のインターポリマーは、(ホモポリマーのブロックを含めて)異なるコモノマー含有量の交互ブロックを含むことができる。本発明のインターポリマーはまた、異なる密度又はコモノマー含有量のポリマーブロックの数及び/又はブロックサイズにおける分布(これはシュルツ・フローリー型の分布である)を含むことができる。加えて、本発明のインターポリマーはまた、ポリマーの密度、弾性率及びモルホロジーに実質的に依存しない、ピーク融点及び結晶化温度のたぐいまれなプロフィルを有する。好ましい実施形態において、ポリマーの微結晶性秩序により、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーから区別可能である特徴的な球晶及びラメラが、1.7未満から、又は、1.5未満までもから、1.3未満に至るまでであるPDI値においてさえ明らかにされる。
【0142】
その上、本発明のインターポリマーは、ブロッキネス(blockiness)の程度又はレベル(すなわち、特定の分画物又はポリマー全体についてのブロックインデックスの大きさ)に影響を及ぼすための技術を使用して調製することができる。すなわち、それぞれのポリマーブロック又はポリマーセグメントのコモノマー量及び長さを、触媒及びシャトル剤の比率及びタイプ、同様にまた、重合の温度、並びに、他の重合変数を制御することによって変えることができる。この現象の驚くべき利点が、ブロッキネスの程度が増大させられるについて、得られるポリマーの光学特性、引裂き強度及び高温での回復特性が改善されるという発見である。具体的には、ポリマーにおけるブロックの平均数が増大するにつれて、曇りが低下し、一方、透明性、引裂き強度及び高温での回復特性が増大する。所望される連鎖移動能(低いレベルの連鎖停止を伴う大きい移動速度)を有する、シャトル剤及び触媒の組合せを選択することによって、他の形態のポリマー停止が効果的に抑制される。そのため、β−ヒドリド脱離が、たとえ認められるとしても、本発明の実施形態によるエチレン/α−オレフィンコモノマー混合物の重合ではほとんど認められず、また、得られる結晶性ブロックは非常に線状であるか、又は、実質的に完全に線状であり、これにより鎖の分岐をほとんど有しないか、又は、全く有しない。
【0143】
非常に結晶性の鎖末端を有するポリマーを本発明の実施形態に従って選択的に調製することができる。エラストマー適用において、非晶質性ブロックで終わるポリマーの相対的な量を減らすことは、結晶性領域に対する分子間の希釈作用を低下させる。この結果を、水素又は他の連鎖停止剤に対する適切な応答を有する鎖シャトル剤及び触媒を選ぶことによって得ることができる。具体的には、非常に結晶性のポリマーをもたらす触媒が、結晶性がより低いポリマーセグメントを(例えば、より大きいコモノマー取り込み、位置(regio)エラー又はアタクチックポリマー形成などにより)もたらすことに関与する触媒よりも、(例えば、水素の使用などによる)連鎖停止の影響を受けやすいならば、非常に結晶性のポリマーセグメントがポリマーの末端部分に優先的に存在することになる。得られる末端形成基が結晶性であるだけでなく、停止したとき、非常に結晶性のポリマーを形成する触媒部位が今一度、ポリマー形成の再開始のために利用可能になる。従って、最初に形成されたポリマーが別の非常に結晶性のポリマーセグメントとなる。そのため、得られたマルチブロックコポリマーの両末端が優先的に非常に結晶性である。
【0144】
本発明のこれらの実施形態において使用されるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、好ましくは、エチレンと、少なくとも1つのC〜C20α−オレフィンとのインターポリマーである。エチレン及びC〜C20α−オレフィンのコポリマーがとりわけ好ましい。インターポリマーはさらに、C〜C18ジオレフィン及び/又はアルケニルベンゼンを含むことができる。エチレンと重合するために有用である好適な不飽和コモノマーには、例えば、エチレン性不飽和モノマー、共役型又は非共役型のジエン、ポリエン、アルケニルベンゼンなどが含まれる。そのようなコモノマーの例には、C〜C20α−オレフィン、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン及び1−デセンなどが含まれる。1−ブテン及び1−オクテンがとりわけ好ましい。他の好適なモノマーには、スチレン、ハロ置換又はアルキル置換されたスチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン及びナフテン系(naphthenics)(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン及びシクロオクテン)が含まれる。
【0145】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーが好ましいポリマーである一方で、他のエチレン/オレフィンポリマーもまた使用することができる。本明細書中で使用されるようなオレフィンは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和な炭化水素系化合物の一群を示す。触媒の選択に依存して、いずれかのオレフィンを本発明の実施形態において使用することができる。好ましくは、好適なオレフィンは、ビニル性不飽和を含有するC〜C20の脂肪族化合物及び芳香族化合物であり、同様にまた、環状化合物、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン及びノルボルネン(C〜C20のヒドロカルビル基又はシクロヒドロカルビル基により5位及び6位において置換されるノルボルネン(これらに限定されない)を含む)などである。そのようなオレフィンの混合物、同様にまた、そのようなオレフィンと、C〜C40ジオレフィン化合物との混合物もまた含まれる。
【0146】
オレフィンモノマーの例には、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン及び1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン,1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、C〜C40ジエン(これには、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが含まれるが、これらに限定されない)、他のC〜C40α−オレフィンなどが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、α−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、又は、これらの組合せである。ビニル基を含有する炭化水素はどれも、潜在的には本発明の実施形態において使用することができるが、実用上の様々な問題、例えば、モノマーの入手性、費用、及び、未反応モノマーを得られたポリマーから都合良く除くことができることなどが、モノマーの分子量が大きくなりすぎると、より問題となる場合がある。
【0147】
本明細書中に記載される重合プロセスは、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン及びt−ブチルスチレンなどをはじめとするモノビニリデン芳香族モノマーを含むオレフィンポリマーの製造のために十分に適する。具体的には、エチレン及びスチレンを含有するインターポリマーを本明細書中の教示に従うことによって調製することができる。場合により、エチレン、スチレン及びC〜C20アルファ−オレフィンを含有し、必要に応じてC〜C20ジエンを含有し、改善された特性を有するコポリマーを調製することができる。
【0148】
好適な非共役ジエンモノマーは、6個〜15個の炭素原子を有する、直鎖、分枝鎖又は環状の炭化水素ジエンが可能である。好適な非共役ジエンの例には、直鎖の非環式ジエン(例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなど)、分岐鎖の非環式ジエン(例えば、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、並びに、ジヒドロミリセン及びジヒドロシネンの混合異性体など)、単環の脂環式ジエン(例えば、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン及び1,5−シクロドデカジエンなど)、並びに、多環の脂環式の縮合環ジエン及び架橋環ジエン(例えば、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン;アルケニルノルボルネン、アルキリデンノルボルネン、シクロアルケニルノルボルネン及びシクロアルキリデンノルボルネン(例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンなど)、並びに、ノルボルナジエンなど)が含まれるが、これらに限定されない。EPDMを調製するために典型的に使用されるジエンの中で、特に好ましいジエンが、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)及びジシクロペンタジエン(DCPD)である。とりわけ好ましいジエンが5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)及び1,4−ヘキサジエン(HD)である。
【0149】
本発明の実施形態に従って作製することができる望ましいポリマーの1つのクラスが、エチレンと、C〜C20α−オレフィン(とりわけ、プロピレン)と、必要に応じて、1つ又はそれ以上のジエンモノマーとのエラストマーインターポリマーである。本発明のこの実施形態において使用される好ましいα−オレフィンが、式CH=CHR(式中、Rは1個〜12個の炭素原子の直鎖アルキル基又は分枝アルキル基である)によって示される。好適なα−オレフィンの例には、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン及び1−オクテンが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましいα−オレフィンがプロピレンである。プロピレン系ポリマーは一般に、当分野ではEPポリマー又はEPDMポリマーとして示される。そのようなポリマー(とりわけ、マルチブロックEPDM型ポリマー)を調製する際に使用される好適なジエンには、4個〜20個の炭素を含む共役型又は非共役型の、直鎖又は分岐鎖の環式ジエン又は多環式ジエンが含まれる。好ましいジエンには、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン及び5−ブチリデン−2−ノルボルネンが含まれる。特に好ましいジエンが5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0150】
ジエン含有ポリマーは、より多い量又はより少ない量のジエン(非存在を含む)及びα−オレフィン(非存在を含む)を含有する交互セグメント又は交互ブロックを含有するので、ジエン及びα−オレフィンの総量を、その後のポリマー特性の喪失を伴うことなく減らすことができる。すなわち、ジエンモノマー及びα−オレフィンモノマーが、ポリマー全体にわたって均一又はランダムにではなく、むしろ、ポリマーの1つのタイプのブロックに優先的に取り込まれるので、ジエンモノマー及びα−オレフィンモノマーがより効率的に利用され、その後、ポリマーの架橋密度をより良好に制御することができる。そのような架橋可能なエラストマー及びその硬化製造物は、より大きい引張り強さ及びより良好な弾性回復率を含めて、様々な優れている特性を有する。
【0151】
いくつかの実施形態において、異なる量のコモノマーを取り込む触媒を用いて作製される本発明のインターポリマーは、95:5から5:95までの、それにより形成されるブロックの重量比を有する。エラストマーポリマーは望ましくは、ポリマーの総重量に基づいて、エチレン含有量が20パーセント〜90パーセントであり、ジエン含有量が0.1パーセント〜10パーセントであり、α−オレフィン含有量が10パーセント〜80パーセントである。さらに好ましくは、マルチブロックエラストマーポリマーは、ポリマーの総重量に基づいて、エチレン含有量が60パーセント〜90パーセントであり、ジエン含有量が0.1パーセント〜10パーセントであり、α−オレフィン含有量が10パーセント〜40パーセントである。好ましいポリマーは、重量平均分子量(Mw)が10,000〜約2,500,000であり、好ましくは20,000〜500,000であり、より好ましくは20,000〜350,000であり、かつ、多分散度が3.5未満であり、より好ましくは3.0未満であり、かつ、ムーニー粘度(ML(1+4)、125℃)が1〜250である高分子量のポリマーである。より好ましくは、そのようなポリマーは、エチレン含有量が65パーセント〜75パーセントであり、ジエン含有量が0パーセント〜6パーセントであり、α−オレフィン含有量が20パーセント〜35パーセントである。
【0152】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、少なくとも1つの官能基をそのポリマー構造に取り込むことによって機能化することができる。例示的な官能基には、例えば、エチレン性不飽和のモノ官能性カルボン酸及び二官能性カルボン酸、エチレン性不飽和のモノ官能性カルボン酸無水物及び二官能性カルボン酸無水物、それらの塩、並びに、それらのエステルが含まれ得る。そのような官能基はエチレン/α−オレフィンインターポリマーにグラフト化することができ、又は、そのような官能基は、エチレン、官能性コモノマー及び場合により使用される他のコモノマー(1つ又はそれ以上)のインターポリマーを形成するために、エチレン及び場合により使用されるさらなるコモノマーと共重合することができる。官能基をポリエチレンにグラフト化するための手段が、例えば、米国特許第4,762,890号、同第4,927,888号及び同第4,950,541号に記載される(これらの特許の開示はそれらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる)。1つの特に有用な官能基が無水リンゴ酸である。
【0153】
機能性インターポリマーに存在する官能基の量は変化し得る。官能基は典型的には、コポリマー型の機能化インターポリマーにおいて、少なくとも約1.0重量パーセントの量で、好ましくは少なくとも約5重量パーセントの量で、より好ましくは少なくとも約7重量パーセントの量で存在させることができる。官能基は典型的には、コポリマー型の機能化インターポリマーにおいて、約40重量パーセント未満の量で、好ましくは約30重量パーセント未満の量で、より好ましくは約25重量パーセント未満の量で存在する。
【0154】
下記の実施例は、本発明のポリマーの合成を例示するために提供される。特定の比較がいくつかの既存のポリマーに関してなされる。
【0155】
試験方法
下記の実施例において、下記の分析技術が用いられる。
【0156】
サンプルについてのGPC方法
160℃に設定される加熱されたニードルを備える自動液体取り扱いロボットが、300ppmのIonolにより安定化される十分な1,2,4−トリクロロベンゼンをそれぞれの乾燥ポリマーサンプルに加えて、30mg/mlの最終的な濃度を与えるために使用される。小さいガラス製撹拌棒がそれぞれのチューブに入れられ、サンプルが、250rpmで回転する加熱された回旋式振とう機において160℃に2時間加熱される。その後、濃縮されたポリマー溶液が、自動液体取り扱いロボット及び160℃に設定される加熱されたニードルを使用して1mg/mlに希釈される。
【0157】
Symyx Rapid GPCシステムが、分子量データをそれぞれのサンプルについて求めるために使用される。2.0ml/分の流速で設定されるGilson350ポンプが、300ppmのIonolにより安定化されるヘリウムパージされた1,2−ジクロロベンゼンを、直列で設置され、160℃に加熱される3本のPlgel 10マイクロメートル(μm)Mixed B(300mmx7.5mm)カラムを通る移動相として送液するために使用される。Polymer Labs ELS1000検出器が、250℃に設定されるエバポレーター、165℃に設定されるネブライザー、及び、60psi〜80psi(400kPa〜600kPa)のN圧力で1.8SLMに設定される窒素流速とともに使用される。ポリマーサンプルが160℃に加熱され、それぞれのサンプルが、液体取り扱いロボット及び加熱されたニードルを使用して250μlのループに注入される。2つの切り換えられるループ及び重なる注入を使用するポリマーサンプルの連続分析が使用される。サンプルデータが、Symyx Epoch(商標)ソフトウエアを使用して収集及び分析される。ピークが手作業により積分され、分子量情報が、ポリスチレン標準物の校正曲線に対して未補正のまま報告される。
【0158】
標準的なCRYSTAF方法
分岐分布が、PolymerChar(Valencia、スペイン)から入手可能なCRYSTAF200装置を使用する結晶化分析分画化(CRYSTAF)によって求められる。サンプルが、160℃で1時間、1,2,4−トリクロロベンゼンに溶解され(0.66mg/mL)、95℃で45分間安定化される。サンプル採取温度が0.2℃/分の冷却速度で95℃から30℃にまで及ぶ。赤外検出器が、ポリマー溶液の濃度を測定するために使用される。累積可溶物濃度が、温度が低下させられる間に、ポリマーが結晶化するにつれて測定される。累積プロフィルの解析的導関数がポリマーの短鎖分岐分布を反映する。
【0159】
CRYSTAFピーク温度及びピーク面積が、CRYSTAFソフトウエア(バージョン2001.b、PolymerChar(Valencia、スペイン))に含まれるピーク分析モジュールによって特定される。CRYSTAFピーク発見ルーチンにより、ピーク温度がdW/dT曲線における極大値として特定され、面積が、導関数曲線における特定されたピークのどちらかの側での最大の正の変曲点との間において特定される。CRYSTAF曲線を計算するために、好ましい処理パラメーターが、70℃の温度限界、及び、0.1の温度限界を超え、かつ、0.3の温度限界を下回る平滑化パラメーターに関してである。
【0160】
DSCの標準的方法
示差走査熱量測定法の結果が、RCS冷却アクセサリー及びオートサンプラーを備えるTAIモデルQ1000DSCを使用して求められる。50ml/分の窒素パージガス流量が使用される。サンプルが薄いフィルムに圧縮され、約175℃でプレス機において融解され、その後、室温(25℃)に空冷される。その後、3mg〜10mgの材料が直径6mmのディスクに切断され、正確に重量測定され、軽いアルミニウム皿(約50mg)に置かれ、その後、圧着より閉じられる。サンプルの熱挙動が下記の温度プロフィルにより調べられる。サンプルは、何らかの以前の熱履歴を除くために、180℃に急速加熱され、3分間にわたって等温保持される。その後、サンプルは10℃/分の冷却速度で−40℃に冷却され、−40℃で3分間保持される。その後、サンプルは10℃/分の加熱速度で150℃に加熱される。冷却曲線及び2回目の加熱曲線が記録される。
【0161】
DSC融解ピークが、−30℃と、融解の終了との間で引かれる直線ベースラインに関して熱流量(W/g)における極大値として測定される。融解熱が、直線ベースラインを使用して、−30℃と、融解の終了との間における融解曲線の下側の面積として測定される。
【0162】
GPC方法
ゲル浸透クロマトグラフィーシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210装置、又は、Polymer Laboratories Model PL−220装置のどちらかからなる。カラム区画及び回転ラック区画が140℃で操作される。Polymer Laboratoriesの3本の10ミクロンMixed−Bカラムが使用される。溶媒は1,2,4−トリクロロベンゼンである。サンプルが、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50ミリリットルの溶媒における0.1グラムのポリマーの濃度で調製される。サンプルが、160℃で2時間軽く撹拌することによって調製される。使用される注入体積が100マイクロリットルであり、流速が1.0ml/分である。
【0163】
GPCカラムセットの校正が、580から8,400,000にまで及ぶ分子量が、個々の分子量の間における分離が少なくとも10進法である6個の「カクテル」混合物で配置される21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物により行われる。これらの標準物が、Polymer Laboratories(Shropshire、英国)から購入される。ポリスチレン標準物は、1,000,000以上の分子量については50ミリリットルの溶媒において0.025グラムで調製され、1,000,000未満の分子量については50ミリリットルの溶媒において0.05グラムで調製される。ポリスチレン標準物は30分間の穏やかな撹拌とともに80℃で溶解される。狭い標準物混合物が最初に、そして、分解を最小限に抑えるために最大分子量成分が小さくなる順で流される。ポリスチレン標準物のピーク分子量が、(Williams及びWard、J. Polym. Sci. Polym. Let.、6,621 (1968)に記載されるような)下記の式を使用してポリエチレン分子量に変換される:Mポリエチレン=0.431(Mポリスチレン)。
【0164】
ポリエチレン等価分子量の計算が、Viscotek TriSECソフトウエア(バージョン3.0)を使用して行われる。
【0165】
密度
密度測定用のサンプルが、ASTM D1928に従って調製される。測定が、ASTM D792の方法Bを使用して、サンプル圧縮の1時間以内に行われる。
【0166】
不織布製造
スパンボンド不織布実施例が、単一ビームを備え、1.2メートルの幅を有するReicofil4(RF4)(Reifenhauser REICOFIL GmbH&Co.KG(Troisdorf、ドイツ))二成分スパンボンドラインを使用して作製される。1メートルあたり6827個の穴を有し、かつ、1個の穴あたり0.6mmの直径と、4の長さ/直径(L/D)比率とを有する二成分紡糸口金ブロックが使用される。このスパンボンド装置は、二成分のブロックにする2つの押出し機を含む(二成分形態)。これら2つの押出し機(それぞれ、120mm及び80mmの直径のスクリュー)は異なる押出し量を有しており、同様にまた、2つの別個の紡糸ポンプを通り抜ける。容量押出し速度が、所望されるコア対シース比率をもたらすために、回転数(回/分、RPM)によって制御される。使用されるスクリーンパックは5個パックの形態である(40メッシュ、100メッシュ、80ミクロン、60メッシュ及び31メッシュ)。使用されるウエブベルトが、RF4用の標準的なKofpa Velosta設計である。
【0167】
メルトブローン実施例が、1.2メートル幅のJ&M二成分メルトブローンダイを使用して作製される。使用されるダイは1インチあたり35個の穴を有し、穴は直径が0.4mmであり、10のL/Dを有する。ダイには、2つのDavis Standard Fibermaster押出し機によって供給された(Aサイド、直径3.0”、及び、Bサイド、直径2.0”)。布地を製造するために使用される条件が表VIIに記載される。布地の結合が、15%の結合面積を有するカレンダーロールを使用して、かつ、卵形設計を105℃で設定されるカレンダーオイル温度とともに使用して行われた。ニップロール圧が15N/mmで設定された。ライン速度が7メートル/分であった。
【0168】
布地試験方法
布地は、測定前に、周囲条件(20℃〜25℃、50%の相対湿度)において少なくとも24時間にわたって経時処理される。
【0169】
基本重量(これはグラム/平方メートル(g/m)で測定される)が、布地の重量(これは分析天秤により測定される)を対応する布地面積により除することによって計算される。注意が、布地の中心部と比較して実質的に異なる形成を有し得る布地の端部を含まないようになされる。
【0170】
引張り実験及びヒステリシス実験が、幅が1インチで、長さが少なくとも6インチであるサンプルを用いて布地に対して行われる。サンプルは、布地の中心から縦方向(MD)に平行な長さ、又は、布地の中心から横方向(CD)に平行な長さで切断される。サンプルは、100Nの負荷セルと、半球状の線接触仕上げ面が反対側のゴム張りの平坦な仕上げ面とともに備わる空気圧により作動される掴み具とを備えるInstron5564(Norwood、Massachusetts、合衆国)に装着される。掴み具の隔たりが、5インチであるように設定される。ゲージの長さが、5インチであるように選ばれる。3グラムの重なりがサンプルの一方の末端に取り付けられ、反対側の末端が上部掴み具に装着され、それにより、重なりがサンプルを真っ直ぐな状態で保持することを可能にする。その後、下部掴み具が閉じられる。クロスヘッドの速度が100%/分(5インチ/分)で設定される。
【0171】
引張り試験において、MD及びCDでの試料片が、試料片が破断するまで引っ張られる。1方向あたり少なくとも3つのサンプルが試験される。ひずみ(ε)が下記の式に従って計算される:
ε=(Δl/l)x100%
式中、Δlはクロスヘッドの変位であり、lはゲージの長さ(5インチ)である。ピーク力での伸び(ピーク時伸び)が、破断時又は破断前の最大の力に対応するひずみとして定義される。ピーク時伸びにおける平均及び標準偏差がそれぞれの方向について計算される。正規化負荷が、材料の1平方メートルの面積あたりのグラムで測定されるサンプルの初期基本重量によって除される、試験期間中にニュートン(N)単位で測定される瞬間張力として定義される。ピーク力が、引張り試験期間中の最大負荷として定義される。正規化ピーク力が、引張り試験期間中の最大正規化負荷として定義される。ピーク時伸びが、引張り試験期間中の最大の力に対応するひずみとして定義される。正規化ピーク力及びピーク時伸びの平均及び標準偏差がそれぞれの方向について計算される。MD及びCDにおけるこれらの量の二乗平均平方根が、RMSピーク力及びRMSピーク時伸び(RMSピーク時Elong)としてそれぞれ定義される。この計算の一例が示される(図5を参照のこと)。
【0172】
80%ヒステリシス試験において、試料片が80%のひずみ(4インチの変位)に延ばされる。この工程が1サイクル目の伸張と呼ばれる。遅れることなく、クロスヘッドの方向が、その後、0%のひずみに対応する位置に戻される。この工程が、1サイクル目の収縮と呼ばれる。遅れることなく、サンプルが80%のひずみ(4インチのクロスヘッド変位)に延ばされる。この工程が2サイクル目の伸張と呼ばれる。2サイクル目の伸張における0.05ニュートン(N)の張力に対応するひずみが永久ひずみと呼ばれる。ヒステリシス損失が、ひずみサイクルと、収縮サイクルとの間におけるエネルギー差として定義される。負荷降下が、1サイクル目の収縮の期間中における50%ひずみでの収縮力として定義される。正規化負荷降下が、材料の1平方メートルの面積あたりのグラムで測定されるサンプルの初期基本重量によって除される負荷降下として定義される。永久ひずみ、ヒステリシス損失及び正規化負荷降下の平均値がそれぞれの方向について測定される。MD及びCDにおけるこれらの量の二乗平均平方根が、RMS永久ひずみ、RMSヒステリシス損失及びRMS正規化負荷降下としてそれぞれ定義される。
【0173】
供給された機械のミル仕上げされたステンレス金属プラテン表面に対する布地の摩擦係数が、ASTM D1894−06に記載される方法を使用して測定された。不織布が、柔軟なフィルムの代わりに使用された。それ以外では、柔軟なフィルムのために記載される手順が使用された。不織布が、不織布の縦方向(MD)がそりの動き及び金属プラテン表面の表面模様に対して平行であるようにそりの底部に取り付けられた。そりの前縁が紙のマスキングテープにより不織布に取り付けられた。使用された装置はモデル32−06−00−0002であった。そりはモデル32−06−02であった。装置及びそりはともに、Testing Machines Incorporated(Ronkonkoma、New York、アメリカ合衆国)によって作製された。
【0174】
良好な形成を有する布地を定量化するために、2cmの長さあたりのフィラメント凝集物の数が測定される。それぞれのフィラメント凝集物は、長さが繊維幅の少なくとも10倍である。注意が、熱結合点及び圧着点をこの2cmの長さに含まないようになされる。ランダムな方向での2cmの長さにわたって、フィラメント凝集物の直線上での数が計数される。フィラメント凝集物(これは、自己接着繊維、自己粘着繊維、マリッド(married)繊維、ロープド(roped)又はローピング繊維、バンドル(bundled)繊維と同義的である)は、融合して一緒になっている平行する向きでの多数のフィラメントからなる。フィラメントは、繊維の幅の10倍を超える部分について融合させられる。フィラメント凝集物は、熱結合点又は圧着点とは別個である。良好なウエブ形成のためには、フィラメント凝集物は2cmあたり30未満であり、優先的には2cmあたり20未満である。
【0175】
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわち、Iが、ASTM D1238(190℃/2.16kgの条件)に従って測定される。メルトインデックス、すなわち、I10もまた、ASTM D1238(190℃/10kgの条件)に従って測定される。
【0176】
ATREF
分析的昇温溶出分画化(ATREF)分析が、米国特許第4,798,081号、及び、Wilde, L.、Ryle, T.R.、Knobeloch, D.C.、Peat, I.R.、Determination of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymers、J. Polym. Sci.、20、441-455 (1982)(これらはそれらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる)に記載される方法に従って行われる。分析される組成物はトリクロロベンゼンに溶解され、温度を0.1℃/分の冷却速度で20℃にゆっくり下げることによって、不活性な担体(ステンレススチールショット)を含有するカラムにおいて結晶化させられる。カラムは赤外検出器を備える。その後、ATREFクロマトグラム曲線が、結晶化したポリマーサンプルを、溶出溶媒(トリクロロベンゼン)の温度を1.5℃/分の速度で20℃から120℃にゆっくり上げることによりカラムから溶出することによって作製される。
【0177】
13C−NMR分析
サンプルが、テトラクロロエタン−d/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物のおよそ3gを10mmのNMRチューブにおいて0.4gのサンプルに加えることによって調製される。サンプルは、チューブ及びその内容物を150℃に加熱することによって溶解され、均質化される。データが、JEOL Eclipse(商標)400MHz分光計又はVarian Unity Plus(商標)400MHz分光計を使用して集められる(これらは100.5MHzの13C共鳴周波数に対応する)。データが、6秒のパルス反復遅延によりデータファイルあたり4000個の過渡シグナルを使用して取得される。最小のシグナル対ノイズを定量的分析のために達成するために、多数のデータファイルが1つにまとめられる。スペクトル幅が25,000Hzであり、最小のファイルサイズが32Kのデータポイントからなる。サンプルは10mmの広帯域プローブにおいて130℃で分析される。コモノマーの取り込みが、ランダールのトリアッド法(Randall, J.C.、JMS-Rev. Macromol. Chem. Phys.、C29、201-317 (1989);これはその全体において参照により本明細書中に組み込まれる)を使用して求められる。
【0178】
TREFによるポリマー分画化
大規模なTREF分画化が、15g〜20gのポリマーを160℃での4時間の撹拌により2リットルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)に溶解することによって行われる。ポリマー溶液が、30メッシュ〜40メッシュ(600μm〜425μm)の球状の工業用品質のガラスビーズ(Potters Industries(HC 30 Box 20、Brownwood、TX、76801)から入手可能)と、ステンレススチールの、直径が0.028”(0.7mm)の切断されたワイヤショット(Pellets,Inc.(63 Industrial Drive、North Tonawanda、NY、14120)から入手可能)との60:40(v:v)ミックスが充填された3インチx4フィート(7.6cmx12cm)のスチールカラムに15psig(100kPa)の窒素によって押し込まれる。カラムは、最初は160℃に設定される熱制御されたオイルジャケットに沈められる。カラムは、最初、125℃に衝撃的(ballistically)に冷却され、その後、0.04℃/分で20℃にゆっくり冷却され、1時間保たれる。新鮮なTCBが、温度が0.167℃/分で上げられながら約65ml/分で導入される。
【0179】
調製用TREFカラムからのおよそ2000mlずつの溶出液が16ステーションの加熱されたフラクションコレクターで集められる。ポリマーが、約50ml〜100mlのポリマー溶液が残るまで、ロータリーエバポレーターを使用してそれぞれの分画物において濃縮される。濃縮された溶液は一晩放置され、その後、過剰なメタノールが加えられ、ろ過され、すすぎ洗浄される(最後のすすぎ洗浄を含めて、およそ300ml〜500mlのメタノール)。ろ過工程が、5.0μmのポリテトラフルオロエチレン被覆ろ紙(Osmonics Inc.から入手可能、Cat#Z50WP04750)を使用して3位置の真空支援ろ過ステーションで行われる。ろ過された分画物が60℃で真空オーブンにおいて一晩乾燥され、さらなる試験の前に分析天秤で重量測定される。
【0180】
触媒
用語「一晩」は、使用されるならば、およそ16時間〜18時間の時間を示し、用語「室温」は20℃〜25℃の温度を示し、用語「混合アルカン」は、ExxonMobil Chemical CompanyからIsoparE(登録商標)の取引名称で入手可能な、C6〜9脂肪族炭化水素の商業的に得られる混合物を示す。本明細書中の化合物の名称がその構造的表示に一致しない場合には、構造的表示の方が優先するものとする。すべての金属錯体の合成及びすべてのスクリーニング実験の準備が、ドライボックス技術を使用して乾燥窒素雰囲気で行われた。使用されたすべての溶媒がHPLC規格であり、それらの使用の前に乾燥された。
【0181】
MMAOは、修飾メチルアルモキサン、すなわち、Akzo−Nobel Polymer Chemicalsから市販されているトリイソブチルアルミニウム修飾されたメチルアルモキサンを示す。
【0182】
触媒(B1)の調製が下記のように行われる。
【0183】
a)(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)メチルイミンの調製
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(3.00g)を10mLのイソプロピルアミンに加える。溶液がすぐに明黄色になる。周囲温度で3時間撹拌した後、揮発物を真空下で除いて、明黄色の結晶性固体を得る(97パーセントの収率)。
【0184】
b)1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルの調製
(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(605mg、2.2mmol)を5mLのトルエンに溶解した溶液を、Zr(CHPh)(500mg、1.1mmol)を50mLのトルエンに溶解した溶液にゆっくり加える。得られた暗黄色の溶液を30分間撹拌する。溶媒を減圧下で除いて、所望される生成物を赤褐色の固体として得る。
【0185】
触媒(B2)の調製が下記のように行われる。
【0186】
a)(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミンの調製
2−メチルシクロヘキシルアミン(8.44mL、64.0mmol)をメタノール(90mL)に溶解し、ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(10.00g、42.67mmol)を加える。反応混合物を3時間撹拌し、その後、−25℃に12時間冷却する。得られた黄色固体の析出物をろ過によって集め、冷メタノールにより洗浄し(15mLで2回)、その後、減圧下で乾燥する。収量が黄色固体の11.17gである。H−NMRは、異性体の混合物として、所望される生成物と一致している。
【0187】
b)ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルの調製
(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(7.63g、23.2mmol)を200mLのトルエンに溶解した溶液を、Zr(CHPh)(5.28g、11.6mmol)を600mLのトルエンに溶解した溶液にゆっくり加える。得られた暗黄色の溶液を25℃で1時間撹拌する。溶液を680mLのトルエンによりさらに希釈して、0.00783Mの濃度を有する溶液を得る。
【0188】
共触媒1
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートのメチルジ(C14〜18アルキル)アンモニウム塩の混合物(本明細書中以降、アルメエニウムボラート)、これは、実質的には米国特許第5,919,9883号(実施例2)に開示されるように、長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo−Nobel,Inc.から入手可能)、HCl及びLi[B(C]の反応によって調製される。
【0189】
シャトル剤
用いられるシャトル剤には、ジエチル亜鉛(DEZ、SA1)、ジ(i−ブチル)亜鉛(SA2)、ジ(n−ヘキシル)亜鉛(SA3)、トリエチルアルミニウム(TEA、SA4)、トリオクチルアルミニウム(SA5)、トリエチルガリウム(SA6)、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)(SA7)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)(SA8)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)(SA9)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム(SA10)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)(SA11)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)(SA12)、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)(SA13)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)(SA14)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)(SA15)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA16)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA17)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド)(SA18)、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)(SA19)及びエチル亜鉛(t−ブトキシド)(SA20)が含まれる。
【0190】
繊維及び製造物品
様々なホモフィル繊維を本発明のブロックインターポリマー(これはまた、本明細書中では「コポリマー」として示される)から作製することができ、これらには、ステープルファイバー、スパンボンド繊維又はメルトブローン繊維(これらは、例えば、米国特許第4,340,563号、同第4,663,220号、同第4,668,566号又は同第4,322,027号に開示されるようなシステムを使用して作製される)、及び、ゲル紡糸繊維(例えば、米国特許第4,413,110号に開示されるシステム)が含まれる。ステープルファイバーは、さらなる延伸を行うことなく直接、最終的な繊維直径に溶融紡糸することができ、又は、ステープルファイバーはより大きい直径に溶融紡糸し、続いて、従来の繊維延伸技術を使用して、所望される直径に熱間延伸又は低温延伸することができる。
【0191】
二成分繊維はまた、本発明のいくつかの実施形態によるブロックコポリマーから作製することができる。そのような二成分繊維は本発明のブロックインターポリマーを繊維の少なくとも一部分において有する。例えば、シース/コアの二成分繊維(すなわち、シースがコアを同心的に取り囲む繊維)において、本発明のブロックインターポリマーはシース又はコアのどちらかであり得る。異なるコポリマーもまた、同じ繊維におけるシース及びコアとして独立して使用することができる(好ましくは両方の成分が弾性である場合において、特にシース成分がコア成分よりも低い融点を有する場合において)。他のタイプの二成分繊維が同様に本発明の範囲内であり、それらには、並列型のコンジュゲート化繊維(例えば、本発明のブロックインターポリマーが繊維の表面の少なくとも一部分を構成する、ポリマーの別個の領域を有する繊維)が含まれる。
【0192】
繊維の形状は限定されない。例えば、典型的な繊維は円形の断面形状を有しており、しかし、時には、繊維は異なる形状を有する(例えば、三裂形状又は平坦な(すなわち、「リボン」様)形状など)。本明細書中に開示される繊維は繊維の形状によって限定されない。
【0193】
繊維の直径は様々な様式で測定及び報告することができる。一般に、繊維の直径は、フィラメントあたりのデニールで測定される。デニールは、9000メートルのその繊維の長さあたりのグラム数として定義される繊維用語である。モノフィラメントは一般には、フィラメントあたりのデニールが15を超え、通常の場合には30を超える押出しされたストランドを示す。微細デニール繊維は一般に、約15以下のデニールを有する繊維を示す。ミクロデニール(akaミクロファイバー)は一般には、直径が約100マイクロメートル以下である繊維を示す。本発明のいくつかの実施形態による繊維については、直径を、繊維の弾性に対する影響をほとんど伴うことなく、広範囲に変化させることができる。しかしながら、繊維のデニールは、完成した物品の能力に適するように調節することができ、そのようなものとして、好ましくは、メルトブローンについては約0.5デニール/フィラメント〜約30デニール/フィラメントであり、スパンボンドについては約1デニール/フィラメント〜約30デニール/フィラメントであり、連続巻取りフィラメントについては約1デニール/フィラメント〜約20,000デニール/フィラメントである。それにもかかわらず、好ましくは、デニールは40を超え、より好ましくは55以上であり、最も好ましくは65以上である。
【0194】
本発明の実施形態による繊維は、弾性布地を作製するために、他の繊維とともに、例えば、PET、ナイロン、綿、Kevlar(商標)などとともに使用することができる。加わった利点として、特定の繊維の耐熱性(及び耐湿性)は、ポリエステルPET繊維が通常のPET染色条件で乾燥され得ることを可能にし得る。それ以外の他の一般に使用される繊維、とりわけ、スパンデックス(例えば、Lycra(商標))は、性質の劣化を防止するために、それほど過酷でないPET染色条件で使用され得るだけである。
【0195】
本発明の実施形態による繊維から作製される布地には、織布、不織布及び編地が含まれる。不織布を様々な方法によって作製することができ、例えば、米国特許第3,485,706号及び同第4,939,016号に開示されるようなスパンレース加工布地(又は流体力学的に絡み合った布地)によって、或いは、ステープルファイバーをカーディング及び熱結合することによって、或いは、連続繊維を1回の連続操作でスパンボンディングすることによって、或いは、繊維を布地にメルトブローし、続いて、得られたウエブをカレンダー加工又は熱結合することによって作製することができる。これらの様々な不織布製造技術は当業者には公知であり、本開示は何らかの特定の方法に限定されない。そのような繊維から作製される他の構造物もまた本発明の範囲に含まれ、これらには、例えば、これらの新規な繊維と、他の繊維(例えば、ポリ(エチレンテレフタラート)又は綿)とのブレンドが含まれる。
【0196】
不織布を、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを溶液紡糸又はフラッシュ紡糸することから得られる繊維から作製することができる。溶液紡糸には、湿式紡糸及び乾式紡糸が含まれる。両方の方法において、ポリマーの粘性溶液がフィルターを通って送られ、その後、紡糸口金の細い穴に通される。その後、溶媒が除かれ、これにより、繊維が残る。
【0197】
いくつかの実施形態において、下記のプロセスが、繊維をフラッシュ紡糸し、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーからシートを形成するために使用される。その基本的システムが、米国特許第3,860,369号及び同第6,117,801号において以前に開示されている(これらは本明細書によりその全体において参照により本明細書中に組み込まれる)。このプロセスは、蒸気除去ポートと、このプロセスで製造される不織布シート材が取り出される開口部とを有するチャンバー(これは時には紡糸セルと呼ばれる)において行われる。ポリマー溶液(又は紡糸液)が高温及び高圧において連続的又は回分様式で調製され、導管を介して紡糸セルに供給される。溶液の圧力は、ポリマーが、均一な単相の混合物を形成する紡糸剤において完全に溶解される最も低い圧力である曇り点圧力よりも大きい。
【0198】
この単相ポリマー溶液は減圧(letdown)オリフィスを通って低圧側チャンバー(又は減圧セル)に入る。低圧側チャンバーにおいて、溶液が2相の液体・液体分散物に分離する。分散物の一方の相が、主に紡糸剤を含む紡糸剤リッチ相であり、分散物のもう一方の相が、ポリマーのほとんどを含有するポリマーリッチ相である。この2相の液体・液体分散物は、紡糸剤が非常に迅速に蒸発し(フラッシュし)、ポリマーがヤーン(又はプレキシフィラメント(plexifilament))として紡糸口金から現れるはるかにより低い圧力(好ましくは大気圧)の領域に紡糸口金を通って入れられる。ヤーンがトンネルにおいて伸ばされ、回転するバッフルに衝突するように導かれる。回転するバッフルは、ヤーンを、幅が約5cm〜15cmある平坦なウエブに変え、かつ、ウエブを広げるためにフィブリルを分離する形状を有する。回転するバッフルはさらに、幅広い前後の帯状域(swath)を生じさせるための十分な振幅を有する前後振動する運動を与える。ウエブは、紡糸口金の約50cm下方に位置する動くワイヤ製レイダウン(lay-down)ベルトに置かれ、前後振動する運動が、シートを形成するために一般にベルト全域にわたるように配置される。
【0199】
ウエブが、動くベルトへの途中でバッフルによってそらされるので、ウエブは、定置されたマルチニードル・イオン・ガンと、接地された回転するターゲットプレートとの間におけるコロナ放電域に入る。マルチニードル・イオン・ガンは、好適な電圧源によってDC電位に帯電させられる。帯電したウエブが、2つの部分(前方区画及び後方区画)を含むデフューザーを通って高速度の紡糸剤蒸気の流れによって運ばれる。デフューザーはウエブの膨張を制御し、ウエブの膨張を遅らせる。デフューザーの後方区画は定置され、ターゲットプレートから離され得るか、又は、デフューザーの後方区画はターゲットプレートと一体化され得る。後方区画及びターゲットプレートが一体化されている場合、それらは一緒に回転する。吸引穴がデフューザーの後方区画にあけられており、動くウエブと、デフューザーの後方区画との間における十分なガスの流れを保証して、動くウエブがデフューザーの後方区画に粘着することを防止する。動くベルトはロールを介して接地されており、その結果、帯電したウエブはベルトに静電的に引き寄せられ、その上にきちんと保持される。動くベルトの上に集められ、動くベルトに静電力によって保持される帯状の重なるウエブが、ベルトの速度によって制御される厚さを有するシートにされる。シートは、チャンバーの外で取り扱われるための十分な強度を有する構造物に、ベルトと、圧密ロールとの間で圧縮され、その後、巻取りロールにおいてチャンバーの外側で集められる。
【0200】
従って、本発明のいくつか実施形態は、本明細書中に記載される本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む軟らかい、ポリマーのフラッシュ紡糸されたプレキシフィラメント状物を提供する。好ましくは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約0.1g/10分〜約50g/10分のメルトインデックス、又は、約0.4g/10分〜約10g/10分のメルトインデックス、及び、約0.85g/cc〜約0.95g/ccの密度、又は、約0.87g/cc〜約0.90g/ccの密度を有する。好ましくは、インターポリマーの分子量分布が約1よりも大きく、しかし、約4未満である。その上、フラッシュ紡糸されたプレキシフィラメント状物は、約2m/gを超えるBET表面積、又は、約8m/gを超えるBET表面積を有する。軟らかいフラッシュ紡糸された不織布シート材を、この軟らかい、ポリマーのフラッシュ紡糸されたプレキシフィラメント状物から作製することができる。軟らかいフラッシュ紡糸された不織布シート材は、スパンボンド加工、面結合加工叉は点結合加工に供することができる。本発明の他の実施形態は、高密度ポリエチレンポリマーとブレンド配合された(本明細書中に記載される)エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む軟らかい、ポリマーのフラッシュ紡糸されたプレキシフィラメント状物を提供し、この場合、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約0.4g/10分〜約10g/10分の間のメルトインデックス、約0.87g/cc〜約0.93g/ccの間の密度、及び、約4未満の分子量分布を有し、かつ、プレキシフィラメント状物は、約8m/gを超えるBET表面積を有する。軟らかいフラッシュ紡糸された不織布シートは少なくとも85%の不透明度を有する。
【0201】
上記プロセス又は類似するプロセスによって作製されるフラッシュ紡糸された不織布シートは、建設用途における空気浸入バリアのためのTyvek(登録商標)スパンボンド加工オレフィンシートに取って代わるために、また、包装材(例えば、航空速達用封筒など)として、また、医療用包装材として、また、横断幕として、また、防護衣服及び他の使用のために使用することができる。
【0202】
本発明の実施形態による繊維及び布地を使用して作製することができる二次加工品には、弾性部分を有する弾性複合品(例えば、おむつ)が含まれる。例えば、弾性部分が典型的には、(米国特許第4,381,781号(その開示は参照により本明細書中に組み込まれる)に示されるように)、おむつが落下することを防止するためのおむつのウエストバンド部分、及び、漏出を防止するための脚バンド部分に組み立てられる。多くの場合、弾性部分は、快適さ及び信頼性の良好な組合せのために、より良好な、体にぴったり合うシステム及び固定用システムを推進する。本発明の繊維及び布地はまた、弾性と、通気性とを組み合わせる構造物をもたらすことができる。例えば、本発明の繊維、布地及び/又はフィルムを、米国仮特許出願60/083,784号(1998年5月1日出願)に開示される構造物に組み込むことができる。本発明の繊維を含む不織布の積層物もまた形成することができ、消費財(例えば、衣料品、おむつ、病院着、衛生用途、いす張り生地のような耐久性消費財及び使い捨て消費財など)を含めて様々な物品において使用することができる。
【0203】
本発明の繊維、フィルム及び布地はまた、米国特許第2,957,512号に記載されるような様々な構造物において使用することができる。例えば、前記特許に記載される構造物の層50(すなわち、弾性の構成成分)を、特に、プリーツ加工、クレープ加工、けん縮加工などが施された平坦な非弾性材料が弾性構造物にされる場合には、本発明の繊維及び布地により置き換えることができる。本発明の繊維及び/又は布地を、非繊維、布地又は他の構造物に取り付けることを、溶融結合によって行うことができ、又は、接着剤を用いて行うことができる。ギャザー加工又されるか、又は、シャツで覆われる弾性構造物を、(米国特許第2,957,512号に記載されるような)非弾性の構成成分を取り付け前にプリーツ加工することによって、又は、弾性の構成成分を取り付け前に事前に伸張することによって、又は、弾性の構成成分を取り付け後に加熱収縮することによって、本発明の繊維及び/又は布地と、非弾性の構成成分とから製造することができる。
【0204】
本発明の繊維はまた、新規な構造物を作製するために、スパンレース加工されるプロセス(又は流体力学的に絡み合わされるプロセス)において使用することができる。例えば、米国特許第4,801,482号は、本明細書中に記載される新規な繊維/フィルム/布地を用いて今となっては作製することができる弾性シート(12)を開示する。
【0205】
本明細書中に記載されるような連続した弾性フィラメントはまた、大きいレジリエンスが所望される織物用途又は編物用途において使用することができる。
【0206】
米国特許第5,037,416号は、弾性リボンを使用することによる、体にぴったり合う表面シートの利点を記載する(米国特許第5,037,416号の部材19を参照のこと)。本発明の繊維は米国特許第5,037,416号の部材19の機能を果たすことができ、又は、所望される弾性を提供するために布地形態で使用することができる。
【0207】
米国特許第4,981,747号(Morman)において、本明細書中に開示される本発明の繊維及び/又は布地は、可逆的に狭められる材料を含む複合弾性物を形成する弾性シート122の代わりに使用することができる。
【0208】
本発明の繊維はまた、米国特許第4,879,170号の図面の参照数字6で示されるようなメルトブローン弾性成分であり得る。
【0209】
弾性パネルもまた、本明細書中に開示される本発明の繊維及び布地から作製することができ、弾性パネルは、例えば、米国特許第4,940,464号の部材18、部材20、部材14及び/又は部材26として使用することができる。本明細書中に記載される本発明の繊維及び布地はまた、複合サイドパネルの弾性成分(例えば、前記特許の層86)として使用することができる。
【0210】
弾性材料はまた、アパーチャリング(apperturing)、スリッティング(slitting)、微細穴あけ、繊維又はフォームとの混合など、及び、それらの組合せによることを含めて、当分野において公知であるいずれかの方法によって透過性又は「通気性」にすることができる。そのような方法の例には、Crowe,Jr.による米国特許第3,156,242号、Hartwellによる米国特許第3,881,489号、Sissonによる米国特許第3,989,867号、及び、Buellによる米国特許第5,085,654号が含まれる。
【0211】
本発明の特定の実施形態による繊維には、被覆繊維が含まれ得る。被覆繊維はコア及びカバーを含む。一般に、コアは1つ又はそれ以上の弾性繊維を含み、カバーは1つ又はそれ以上の非弾性繊維を含む。被覆繊維を組み立てるとき、それらのそれぞれの非伸張状態において、カバーはコア繊維よりも長く、典型的にはコア繊維よりも著しく長い。カバーは、従来の様式で、典型的には渦巻き形態でコアを取り囲む。非被覆繊維は、カバーを有しない繊維である。一般に、編組みされた繊維又はヤーン、すなわち、それらのそれぞれの非伸張状態においてほぼ等しい長さの2つ以上の繊維ストランド又は繊維フィラメント(弾性及び/又は非弾性)を互いに巻き合わせられて、又は、互いに巻き付けられて含む繊維は、被覆繊維ではない。しかしながら、これらのヤーンは、被覆繊維のコア及びカバーのどちらか又は両方として使用することができる。他の実施形態において、被覆繊維は、弾性カバーに包まれる弾性コアを含むことができる。
【0212】
事前に活性化された(preactivated)物品を、米国特許第5,226,992号、同第4,981,747号(KCC、Morman)及び同第5,354,597号の教示に従って作製することができる(これらのすべてがそれらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる)。
【0213】
高テナシティー繊維を、米国特許第6,113,656号、同第5,846,654号及び同第5,840,234号の教示に従って作製することができる(これらのすべてがそれらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる)。
【0214】
ミクロデニール繊維を含めて、低デニール繊維を本発明のインターポリマーから作製することができる。
【0215】
本発明の繊維の好ましい使用が布地(織布及び不織布の両方)の形成においてである。本発明の繊維から形成される布地は、布地を多くの衣服用途のために好適にする優れた弾性特性を有することが見出されている。本発明の繊維から形成される布地はまた、良好なドレープ適性を有する。
【0216】
繊維及び布地の望ましい特性のいくつかは引張り弾性率及び永久ひずみに関して表すことができる。本発明の特定の実施形態によるスパンボンド加工布地については、得られる好ましい特性が下記の通りである。
【0217】
別のポリマーとのブレンド配合
エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマーは、繊維を作製する少なくとも1つの他のポリマーとブレンド配合することができ、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)などとブレンド配合することができる。この第2のポリマーは、組成(コモノマータイプ、コモノマー含有量など)、構造、特性又は両者の組合せにおいて、/α−オレフィンブロックインターポリマーとは異なる。例えば、ブロックエチレン/オクテンコポリマーは、ランダムエチレン/オクテンコポリマーとは、たとえそれらが同じ量のコモノマーを有するとしても異なる。ブロックエチレン/オクテンコポリマーは、エチレン/ブタンコポリマーがランダムコポリマー又はブロックコポリマーであるかどうかにかかわらず、或いは、エチレン/ブタンコポリマーが同じコモノマー含有量を有するかどうかにかかわらず、エチレン/ブタンコポリマーとは異なる。2つのポリマーはまた、たとえそれらが同じ構造及び組成を有するとしても、それらが異なる分子量を有するならば、異なると見なされる。
【0218】
ポリオレフィンは、2つ以上のオレフィン(すなわち、アルケン)に由来するポリマーである。オレフィン(すなわち、アルケン)は、少なくとも1つの炭素・炭素二重結合を含有する炭化水素である。そのようなオレフィンは、モノエン(すなわち、1つだけの炭素・炭素二重結合を有するオレフィン)、ジエン(すなわち、2つの炭素・炭素二重結合を有するオレフィン)、トリエン(すなわち、3つの炭素・炭素二重結合を有するオレフィン)、テトラエン(すなわち、4つの炭素・炭素二重結合を有するオレフィン)、及び、他のポリエンであり得る。オレフィン又はアルケン、例えば、モノエン、ジエン、トリエン、テトラエン及び他のポリエンなどは、3個以上の炭素原子、4個以上の炭素原子、6個以上の炭素原子、8個以上の炭素原子を有することができる。いくつかの実施形態において、オレフィンは、3個〜約100個の炭素原子、4個〜約100個の炭素原子、6個〜約100個の炭素原子、8個〜約100個の炭素原子、3個〜約50個の炭素原子、3個〜約25個の炭素原子、4個〜約25個の炭素原子、6個〜約25個の炭素原子、8個〜約25個の炭素原子、又は、3個〜約10個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、オレフィンは、2個〜約20個の炭素原子を有する線状又は分岐の環式モノエン又は非環式モノエンである。他の実施形態において、アルケンはジエンであり、例えば、ブタジエン及び1,5−ヘキサジエンなどである。さらなる実施形態において、アルケンの水素原子の少なくとも1つがアルキル又はアリールにより置換される。具体的な実施形態において、アルケンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、ノルボルネン、1−デセン、ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、スチレン又はそれらの組合せである。
【0219】
繊維を作製するための、ポリマーブレンド配合物におけるポリオレフィンの量は、ポリマーブレンド配合物の総重量の約0.5wt%〜約99wt%、約10wt%〜約90wt%、約20wt%〜約80wt%、約30wt%〜約70wt%、約5wt%〜約50wt%、約50wt%〜約95wt%、約10wt%〜約50wt%、又は、約50wt%〜約90wt%が可能である。
【0220】
当業者には公知であるポリオレフィンはどれも、本明細書中に開示されるポリマーブレンド配合物を調製するために使用することができる。そのようなポリオレフィンは、オレフィンホモポリマー、オレフィンコポリマー、オレフィンターポリマー、オレフィンクアテルポリマーなど、及び、それらの組合せが可能である。
【0221】
いくつかの実施形態において、少なくとも2つのポリオレフィンのうちの1つがオレフィンホモポリマーである。オレフィンホモポリマーは1つのオレフィンに由来することができる。当業者には公知であるオレフィンホモポリマーはどれも使用することができる。オレフィンホモポリマーの限定されない例には、ポリエチレン(例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及び超高密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリブチレン(例えば、ポリブテン−1)、ポリペンテン−1、ポリヘキセン−1、ポリオクテン−1、ポリデセン−1、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ−1,5−ヘキサジエンが含まれる。
【0222】
さらなる実施形態において、オレフィンホモポリマーはポリプロピレンである。当業者には公知であるポリプロピレンはどれも、本明細書中に開示されるポリマーブレンド配合物を調製するために使用することができる。ポリプロピレンの限定されない例には、ポリプロピレン(LDPP)、高密度ポリプロピレン(HDPP)、高溶融強度ポリプロピレン(HMS−PP)、耐衝撃性ポリプロピレン(HIPP)、アイソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)など、及び、それらの組合せが含まれる。
【0223】
ポリマーブレンド配合物におけるポリプロピレンの量は、ポリマーブレンド配合物の総重量の約0.5wt%〜約99wt%、約10wt%〜約90wt%、約20wt%〜約80wt%、約30wt%〜約70wt%、約5wt%〜約50wt%、約50wt%〜約95wt%、約10wt%〜約50wt%、又は、約50wt%〜約90wt%が可能である。
【0224】
架橋
繊維は、架橋触媒を伴うか、又は、架橋触媒を伴うことなく、電子ビーム照射、ベータ線照射、ガンマ線照射、コロナ照射、シラン化合物、過酸化物、アリル化合物及びUV照射(これらに限定されない)を含めて、当分野において公知であるいずれかの手段によって架橋することができる。米国特許第6,803,014号及び同第6,667,351号は、本発明の実施形態において使用することができる電子ビーム照射法を開示する。
【0225】
照射を、高エネルギー、イオン化電子、紫外線、X線、ガンマ線及びβ粒子など、並びに、それらの組合せの使用によって達成することができる。好ましくは、電子が、70メガラドの線量に至るまで用いられる。照射源は、所望される線量を供給することができる出力とともに約150キロボルト〜約6メガボルトの範囲で稼動するいずれかの電子ビーム発生器が可能である。電圧は、例えば、100,000、300,000、1,000,000又は2,000,000又は3,000,000又は6,000,000、或いは、それ以上又はそれ以下であり得る適切なレベルに調節することができる。ポリマー材料に照射するための多くの他の装置が当分野では公知である。照射は通常、約3メガラド〜約35メガラドの間の線量で行われ、好ましくは約8メガラド〜約20メガラドの間の線量で行われる。さらに、照射は都合良くは室温で行うことができ、だが、より高い温度及びより低い温度、例えば、0℃〜約60℃の温度もまた用いることができる。好ましくは、照射は、物品の形状化又は二次加工の後で行われる。同様にまた、好ましい実施形態において、プロラド(pro-rad)添加物が取り込まれているエチレンインターポリマーには、電子ビーム線が約8メガラド〜約20メガラドで照射される。
【0226】
架橋を架橋触媒により促進させることができ、この機能をもたらす触媒はどれも使用することができる。好適な触媒には一般に、有機塩基、カルボン酸及び有機金属化合物(これには、有機チタナート、並びに、鉛、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛及びスズの錯体又はカルボキシラートが含まれる)が含まれる。ジブチルスズジラウラート、ジオクチルスズマレアート、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジオクトアート、酢酸第一スズ、オクタン酸第一スズ、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛及びナフテン酸コバルトなど。スズカルボキシラート、とりわけ、ジブチルスズジラウラート及びジオクチルスズマレアートが特に効果的である。触媒(又は触媒の混合物)は触媒量で存在し、典型的には約0.015phr〜約0.035phrの間で存在する。
【0227】
代表的なプロラド添加物には、アゾ化合物、有機過酸化物、及び、多官能性のビニル化合物又はアリル化合物、例えば、トリアリルシアヌラート、トリアリルイソシアヌラート、ペンタエリトリトールテトラメタクリラート、グルタルアルデヒド、エチレングリコールジメタクリラート、ジアリルマレアート、ジプロパルギルマレアート、ジプロパルギルモノアリルシアヌラート、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾアート、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトアート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ラウリルペルオキシド、tert−ブチルペルアセタート及びアゾビスイソブチルニトリトなど、並びに、それらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの実施形態において使用される好ましいプロラド添加物が、多官能性(すなわち、少なくとも2つの)成分(例えば、C=C、C=N又はC=Oなど)を有する化合物である。
【0228】
少なくとも1つのプロラド添加物を、当分野では公知であるいずれかの方法によってエチレンインターポリマーに対して導入することができる。しかしながら、好ましくは、プロラド添加物は、エチレンインターポリマーと同じ又は異なるベース樹脂を含むマスターバッチ高濃度物により導入される。好ましくは、マスターバッチのためのプロラド添加物の濃度は比較的高く、例えば、(高濃度物の総重量に基づいて)約25重量パーセントである。
【0229】
そのような少なくとも1つのプロラド添加物は任意の効果的な量でエチレンポリマーに対して導入される。好ましくは、少なくとも1つのプロラド添加物の導入量は、エチレンインターポリマーの総重量に基づいて約0.001重量パーセント〜約5重量パーセントであり、より好ましくは約0.005重量パーセント〜約2.5重量パーセントであり、最も好ましくは約0.015重量パーセント〜約1重量パーセントである。
【0230】
電子ビーム照射に加えて、架橋はまた、UV照射によって達成することができる。米国特許第6,709,742号は、本発明の実施形態において使用することができるUV照射による架橋方法を開示する。この方法は、光開始剤を、繊維が形成される前に、又は、繊維が形成される期間中に、又は、繊維が形成された後で、光架橋剤とともに、又は、光架橋剤を伴うことなく、ポリマーと混合し、その後、繊維を、ポリマーを所望のレベルに架橋するための十分なUV線に光開始剤とともにさらすことを含む。本発明の実施において使用される光開始剤は、芳香族ケトン(例えば、ベンゾフェノン系化合物)、又は、1,2−ジケトンのモノアセタールである。モノアセタールの一次光反応が、アシルラジカル及びジアルコキシアルキルラジカルを与えるためのα結合の均一開裂である。このタイプのα開裂はノリッシュI型反応として公知であり、この反応は、W. Horspool及びD. Armesto、Organic Photochemistry: A Comprehensive Treatment、Ellis Horwood Limited、Chichester、英国、1992;J. Kopecky、Organic Photochemistry: A Visual Approarch、VCH Publishers, Inc.、New York、NY、1992;N.J. Turro他、Acc. Chem. Res.、1972、5、92;及び、J.T. Banks他、J. Am. Chem. Soc.、1993、115、2473においてより詳しく記載される。芳香族1,2−ジケトンのモノアセタール(Ar−CO−C(OR)−Ar’)の合成が米国特許第4,190,602号及びドイツ国特許出願公開第2,337,813号に記載される。このクラスからの好ましい化合物が2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(C−CO−C(OCH−C)であり、これはCiba−GeigyからIrgacure651として市販されている。光開始剤として有用な他の芳香族ケトンの例が、Irgacure184、同369、同819、同907及び同2959であり、これらのすべてがCiba−Geigyから入手可能である。
【0231】
本発明の1つの実施形態において、光開始剤は光架橋剤との組合せで使用される。フリーラジカルが生成したとき、2つ以上のオレフィンポリマー骨格を骨格との共有結合の形成により連結する光架橋剤はどれも使用することができる。好ましくは、これらの光架橋剤は多官能性である。すなわち、これらの光架橋剤は、活性化したとき、コポリマーの骨格上の部位との共有結合を形成する2つ以上の部位を含む。代表的な光架橋剤には、多官能性のビニル化合物又はアリル化合物、例えば、トリアリルシアヌラート、トリアリルイソシアヌラート、ペンタエリトリトールテトラメタクリラート、エチレングリコールジメタクリラート、ジアリルマレアート、ジプロパルギルマレアート及びジプロパルギルモノアリルシアヌラートなどが含まれるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの実施形態において使用される好ましい光架橋剤が、多官能性(すなわち、少なくとも2つの)成分を有する化合物である。特に好ましい光架橋剤がトリアリルシアヌラート(TAC)及びトリアリルイソシアヌラート(TAIC)である。
【0232】
ある種の化合物は光開始剤及び光架橋剤の両方として作用する。これらの化合物は、2つ以上の反応性化学種(例えば、フリーラジカル、カルベン、ニトレンなど)を、UV光にさらされたときに生じさせることができること、及び、その後、2つのポリマー鎖と共有結合することができることによって特徴づけられる。これら2つの機能を行うことができる化合物はどれも、本発明のいくつかの実施形態において使用することができ、代表的な化合物には、米国特許第6,211,302号及び同第6,284,842号に記載されるスルホニルアジドが含まれる。
【0233】
本発明の別の実施形態において、コポリマーは、二次架橋(すなわち、光架橋以外の架橋、及び、光架橋に加えた架橋)に供される。この実施形態において、光開始剤が非光架橋剤(例えば、シラン化合物)との組合せで使用されるか、又は、コポリマーが二次架橋手順(Eビーム線への暴露)に供されるかのどちらかである。シラン架橋剤の代表的な例が米国特許第5,824,718号に記載され、Eビーム線への暴露による架橋が米国特許第5,525,257号及び同第5,324,576号に記載される。この実施形態における光架橋剤の使用は必要に応じて行われる。
【0234】
少なくとも1つの光添加物、すなわち、光開始剤及び必要に応じて使用される光架橋剤を、当分野では公知であるいずれかの方法によってコポリマーに対して導入することができる。しかしながら、好ましくは、光添加物(1つ又はそれ以上)は、コポリマーと同じ又は異なるベース樹脂を含むマスターバッチ高濃度物により導入される。好ましくは、マスターバッチのための光添加物の濃度は比較的高く、例えば、(高濃度物の総重量に基づいて)約25重量パーセントである。
【0235】
そのような少なくとも1つの光添加物は任意の効果的な量でコポリマーに対して導入される。好ましくは、少なくとも1つの光添加物の導入量は、コポリマーの総重量に基づいて約0.001wt%〜約5wt%であり、より好ましくは約0.005wt%〜約2.5wt%であり、最も好ましくは約0.015wt%〜約1wt%である。
【0236】
光開始剤(1つ又はそれ以上)及び必要に応じて使用される光架橋剤(1つ又はそれ以上)は繊維製造プロセス又はフィルム製造プロセスの種々の段階の期間中に加えることができる。光添加物が押出し温度に耐え得るならば、オレフィンポリマー樹脂は、押出し機に供給される前に、例えば、マスターバッチの添加によって添加物と混合することができる。代替では、添加物をスロットダイの直前で押出し機に導入することができ、しかし、この場合には、押出し前における成分の効率的な混合が重要である。別の方法では、オレフィンポリマー繊維を、光添加物を伴うことなく引出しすることができ、光開始剤及び/又は光架橋剤を、キスロール、噴霧、又は、添加物を含む溶液への浸漬により、或いは、後処理のための他の工業的方法を使用することによって、押出しされた繊維に適用することができる。光添加物を含む得られた繊維は、その後、連続プロセス又は回分プロセスで電磁放射線により硬化させられる。光添加物は、単軸スクリュー押出し機及び二軸スクリュー押出し機を含めて、従来の配合装置を使用してオレフィンポリマーとブレンド配合することができる。
【0237】
電磁放射線の出力及び照射時間は、ポリマー分解及び/又は寸法欠陥を伴うことなく、効率的な架橋を可能にするように選ばれる。好ましいプロセスが欧州特許EP0490854B1に記載される。十分な熱安定性を有する光添加剤(1つ又はそれ以上)が、オレフィンポリマー樹脂と予備混合され、繊維に押出しされ、1つのエネルギー源又は連続してつながれるいくつかの装置を使用する連続プロセスで照射される。連続プロセスを使用することには、スプールに集められる編物の繊維又はシートを硬化させるための回分プロセスと比較して、いくつかの利点がある。
【0238】
照射をUV線の使用によって達成することができる。好ましくは、UV線が、100J/cmの強度に至るまで用いられる。照射源は、所望される線量を供給することができる出力とともに約50ワット〜約25000ワットの範囲で稼動するいずれかのUV光発生器が可能である。ワット数は、例えば、1000ワット又は4800ワット又は6000ワット、或いは、それ以上又はそれ以下であり得る適切なレベルに調節することができる。ポリマー材料にUV照射するための多くの他の装置が当分野では公知である。照射は通常、約3J/cm〜約500J/scmの間の線量で行われ、好ましくは約5J/cm〜約100J/cmの間の線量で行われる。さらに、照射は都合良くは室温で行うことができ、だが、より高い温度及びより低い温度、例えば、0℃〜約60℃の温度もまた用いることができる。光架橋プロセスは、より高い温度ではより速くなる。好ましくは、照射は物品の形状化又は二次加工の後で行われる。好ましい実施形態において、光添加物が取り込まれているコポリマーには、UV線が約10J/cm〜約50J/cmで照射される。
【0239】
他の添加物
酸化防止剤、例えば、Ciba Geigy Corp.によって作製されるIrgafos168、Irganox1010、Irganox3790及びchimassorb944を、形状化操作又は二次加工操作の期間中における必要以上の分解から保護するために、及び/或いは、グラフト化又は架橋の程度をより良好に制御するために(すなわち、過度なゲル化を阻害するために)エチレンポリマーに添加することができる。工程途中での添加物、例えば、ステアリン酸カルシウム、水、フルオロポリマーなどもまた、様々な目的のために、例えば、残存触媒の失活化及び/又は改善された加工性のためなどに使用することができる。Tinuvin770(Ciba−Geigyから得られる)を光安定剤として使用することができる。
【0240】
コポリマーはフィラー添加され得るか、又は、フィラー非添加であり得る。フィラーが添加されるならば、存在するフィラーの量は、高い温度において耐熱性又は弾性のどちらにも悪影響を及ぼす量を超えてはならない。存在するならば、典型的には、フィラーの量は、コポリマーの総重量(或いは、コポリマーと、1つ又はそれ以上の他のポリマーとのブレンド配合物ならば、ブレンド配合物の総重量)に基づいて0.01wt%〜80wt%の間である。代表的なフィラーには、カオリン粘土、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、シリカ及び炭酸カルシウムが含まれる。好ましい実施形態において、フィラーが存在する場合、フィラーは、フィラーが他の場合には架橋反応を妨害するにちがいないかもしれない何らかの傾向を防止するか、又は遅らせる物質による被覆される。ステアリン酸がそのようなフィラー被覆剤の例示である。
【0241】
繊維の摩擦係数を低下させるために、様々な紡糸仕上げ配合物を使用することができ、例えば、繊維油に分散される金属石けん(例えば、米国特許第3,039,895号又は米国特許第6,652,599号を参照のこと)、基油における界面活性剤(例えば、米国特許出願公開第2003/0024052号を参照のこと)及びポリアルキルシロキサン(例えば、米国特許第3,296,063号又は米国特許第4,999,120号を参照のこと)などを使用することができる。米国特許出願第10/933,721号(これは米国特許出願公開第20050142360号として公開される)は、同様に使用することができる紡糸仕上げ組成物を開示する。
【0242】
下記の実施例は、本発明の実施形態を例示するために示され、しかし、発明を示される特定の実施形態に限定するためには意図されない。反することが示されない限り、すべての部及び百分率は重量比である。すべての数値が近似である。数値範囲が示されるとき、述べられた範囲に含まれない実施形態がそれでもなお本発明の範囲に含まれ得ることを理解しなければならない。それぞれの実施例において記載される具体的な細部は、本発明の必要な特徴として解釈してはならない。
【実施例】
【0243】
表IV、表V及び表VIにおける実施例1〜実施例81cからなるスパンボンド不織布サンプルが、Reicofilから得られるReicofil4スパンボンド技術を利用して製造されている。この技術は、二成分の紡糸ビーム(spin beam)形態を、それぞれの押出し機を介して供給する2つの別個の押出し機と、それぞれの押出し機のための個々の紡糸ポンプ(spinpump)とを有する1.2メートル幅のスパンボンドラインからなる。
【0244】
スパンボンド不織布が、均一な溶融物を一定の圧力で分配プレート及び紡糸口金に送達するためのポリマー溶融物ダイ(polymer melt die)からなる紡糸ビームにメルトフロント(meltfront)を送達するメルトポンプ(meltpump)に対して60barの一定の圧力を維持する押出し機を介してポリマーを融解することによって製造される。この試行における紡糸口金設計は、0.6mmの穴直径及び4のL/D比率を有する1メートルあたり6827個の穴からなる。処理能が0.44ghmから0.72ghmまで変化させられ、繊維のデニールが1.6デニールから2.2デニールまで変化させられる。
【0245】
溶融ポリマーが紡糸口金から吐出し続け(1メートルあたり6827本の繊維)、その後、上記で示される特定のデニールの繊維を製造するために空気流により加速され、伸ばされる。空気の流れ及び空気の温度が、最適な繊維特性を得るために制御される。伸ばされ、冷却された繊維が、その後、紡糸ビームの下方に位置し、かつ、カレンダーロール(calendared roll)及び平滑ロール(smooth roll)からなる結合装置に非結合繊維を送達するウエブベルトにランダムに重ねられる。表IV、表V及び表VIにおける実施例は、70℃から125℃まで変化するカレンダー油温度で結合される。
【0246】
表VII、表VIII、表IX及び表Xにおける実施例82〜実施例84からなるメルトブローン不織布サンプルが、1.2メートル幅のJ&M二成分メルトブローンダイを使用して製造されている。使用されるダイは1インチあたり35個の穴を有しており、穴は直径が0.4mmであり、10のL/Dを有する。ダイには、2つのDavis Standard Fibermaster押出し機によって供給された(Aサイド、直径3.0”、及び、Bサイド、直径2.0”)。布地の結合が、15%の結合面積を有するカレンダーロールを使用して、かつ、卵形設計を105℃で設定されるカレンダーオイル温度とともに使用して行われた。ニップロール圧が15N/mmで設定された。ライン速度が7メートル/分であった。
【0247】
上記で明らかにされるように、本発明の実施形態は、エチレン及びα−オレフィンのたぐいまれなマルチブロックコポリマーから作製される繊維を提供する。繊維は下記の利点の1つ又はそれ以上を有することができる:良好な耐摩耗性、低い摩擦係数、高い上限使用温度、大きい回復率/収縮力、低い応力緩和(高温及び低温)、軟らかい伸び、大きい破断点伸び、不活性:化学的抵抗性、UV抵抗性。繊維は、比較的大きい紡糸速度及びより低い温度で溶融紡糸することができる。繊維は電子ビーム又は他の照射方法によって架橋することができる。加えて、繊維は、粘着性がほとんどなく(このことはより良好な巻出し成績及びより良好な貯蔵寿命をもたらす)、また、ローピング(すなわち、繊維のバンドリング、自己接着、自己粘着)が実質的にない。繊維がより大きい紡糸速度で紡糸され得るので、繊維の製造処理能が高い。そのような繊維はまた、幅広い形成範囲域及び幅広い加工範囲域を有する。他の利点及び特徴が当業者には明らかである。
【0248】
理論によって限定されることは意図されないが、1つ又はそれ以上の比較的曲がりにくく、それほど弾性ではない成分を繊維においてより多く使用することは、下記の布地特徴の1つ又はそれ以上をもたらし得ることが考えられる:
(a)ピーク力での低下した伸び
(b)増大したピーク力
(c)増大した永久ひずみ
(d)負荷降下として測定される増大した収縮力。
【0249】
理論によって限定されることは意図されないが、より大きい弾性を有する1つ又はそれ以上の成分を使用することは、布地について上記で列挙される影響の低下をもたらし得るか、又は、時には、布地について上記で列挙される逆の影響さえもたらし得ることがさらに考えられる。
【0250】
本明細書中及びどこか他のところで記載される繊維プロセス及び布地プロセスについて、当業者は、所望される経済性及び性能特徴を有する製造物を製造するために適切であるときには様々な変換技術を選択することができ、また、組合せ、材料パラメーター及びプロセスパラメーターを調節することができることが認識される。これらのパラメーターには、材料選択、繊維組成、配合、繊維設計、プロセス条件及び加工後処理が含まれるが、これらに限定されない。これらのパラメーターはさらに、エネルギー消費、生産性、材料取り扱い、その後の製造物変換工程、及び、最終使用特性の様々な面に影響を及ぼし得る。例えば、当業者は、本発明の繊維及び布地が、Sがスパンボンドビームを示し、Mがメルトブローンビームを示し、x及びyが0又は正の整数であるようなS(S)Sとして一般に記載される一連の繊維紡糸装置を使用して二次加工され得ることを認識することができる。これには、SSS、SMS、SMMS、SMMMS、SSMMSS、SSMMMSなどが含まれる。そのような装置形態により、下記の利点の少なくとも1つを有する複合不織布構造物を製造することができる:より大きい処理能、高まったバリア、接着剤についての低下した要求、及び、低下した廃棄物。上記の形態にはまた、改善された触覚学のような特定の特性を、弾性のような他の特性を維持しながら得るために、連続する異なるスパンボンドビーム及びメルトブローンビームで製造される、単成分及び二成分の組合せが含まれ得る。
【0251】
本発明が、限られた数の実施形態を参照して記載されているが、1つの実施形態の具体的な特徴が本発明の他の実施形態の属性であると考えてはならない。ただ1つの実施形態により、本発明のすべての態様が表されない。いくつかの実施形態において、組成物又は方法は、本明細書中に述べられていない数多くの化合物又は工程を含むことができる。他の実施形態において、組成物又は方法は、本明細書中に列挙されていない化合物又は工程を何ら含まないか、或いは、本明細書中に列挙されていない化合物又は工程を何ら実質的に含まない。いくつかの実施形態が、「少なくとも」1つの構成成分又は工程を含むとして記載されるが、他の実施形態では、ただ1つのそのような構成成分又は工程が含まれる場合がある。記載されている実施形態からの様々な変化及び改変が存在する。樹脂を作製する方法が、いくつかの作用又は工程を含むとして記載される。これらの工程又は作用は、別途示されない限り、任意の配列又は順序で実施することができる。最後に、本明細書中に開示される数字はどれも、「約」又は「およそ」の語句が、その数字を記載する際に使用されるかどうかに関わらず、近似であることを意味するように解釈しなければならない。添付されている請求項は、本発明の範囲に含まれるようなすべてのそのような改変及び変化を包含することを意図する。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維から得ることができるか、又は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維を含むスパンボンド布地であって、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが表面以外の繊維の一部分に存在し、かつ、下記の特性、すなわち:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d);又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びに、融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)、但し、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が、特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有すること、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物であって、少なくとも0.5であり、かつ、約1に至るまでであるブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有すること;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することの1つ又はそれ以上によって特徴づけられるスパンボンド布地。
【請求項2】
前記二成分繊維がシース/コア構造を含み、かつ、前記インターポリマーが繊維のコアを構成する、請求項1に記載のスパンボンド布地。
【請求項3】
前記コアが前記二成分繊維の組成全体の約40重量パーセント〜約95重量パーセントを構成する、請求項2に記載のスパンボンド布地。
【請求項4】
前記コアが85%〜95%を構成する、請求項3に記載のスパンボンド布地。
【請求項5】
前記シースが約5%〜約35%を構成する、請求項3に記載のスパンボンド布地。
【請求項6】
前記シースが連続する、請求項5に記載のスパンボンド布地。
【請求項7】
前記シースが不連続である、請求項5に記載のスパンボンド布地。
【請求項8】
メルトブローン布地をさらに含み、それにより、スパンボンド/メルトブローン複合布地構造物を形成する、請求項1に記載のスパンボンド布地。
【請求項9】
前記メルトブローン布地が前記スパンボンド布地と密に接触している、請求項8に記載のスパンボンド/メルトブローン布地構造物。
【請求項10】
前記メルトブローン布地が少なくとも1つの二成分繊維を含む、請求項8に記載のスパンボンド/メルトブローン布地構造物。
【請求項11】
前記メルトブローン布地の前記二成分繊維がシース/コア構造を含む、請求項10に記載のスパンボンド/メルトブローン布地構造物。
【請求項12】
前記メルトブローン布地の前記二成分繊維の前記コアがエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含み、かつ、下記の特性、すなわち:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d);又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びに、融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)、但し、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が、特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有すること、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物であって、少なくとも0.5であり、かつ、約1に至るまでであるブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有すること;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することの1つ又はそれ以上によって特徴づけられる、請求項11に記載の布地。
【請求項13】
少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維から得ることができるか、又は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維を含むカードウエブであって、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが表面以外の繊維の一部分に存在し、かつ、前記インターポリマーが下記の特性、すなわち:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d);又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びに、融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)、但し、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が、特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有すること、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物であって、少なくとも0.5であり、かつ、約1に至るまでであるブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有すること;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することの1つ又はそれ以上によって特徴づけられる、カードウエブ。
【請求項14】
熱的に結合される、請求項13に記載のカードウエブ。
【請求項15】
スパンボンド布地をさらに含む、請求項14に記載のカードステープルファイバーウエブ。
【請求項16】
メルトブローン布地をさらに含む、請求項14に記載のカードステープルファイバーウエブ。
【請求項17】
少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維から得ることができるか、又は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維を含むスパンレースウエブであって、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが表面以外の繊維の一部分に存在し、かつ、前記インターポリマーが下記の特性、すなわち:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d);又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びに、融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)、但し、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が、特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有すること、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物であって、少なくとも0.5であり、かつ、約1に至るまでであるブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することにおいて特徴づけられる前記分子分画物を有すること;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することの1つ又はそれ以上によって特徴づけられる、スパンレースウエブ。
【請求項18】
エチレン系二成分繊維(少なくとも約50重量パーセントのエチレン含有量)を含み、最低でも約0.5グラム/分/穴の速度で溶融紡糸され、かつ、ピーク力での伸びの二乗平均平方根が約50%を超え、好ましくは約60%を超え、より好ましくは約100%を超え、さらには約250%もの大きさである、スパンボンド布地。
【請求項19】
エチレン系二成分繊維(少なくとも約50重量パーセントのエチレン含有量)を含み、最低でも約0.5グラム/分/穴の速度で溶融紡糸され、かつ、ピーク力の二乗平均平方根が1インチの幅あたり約0.1N/グラム/平方メートルを超え、好ましくは、1インチの幅あたり約0.15グラム/平方メートルを超え、より好ましくは、1インチの幅あたり約0.2グラム/平方メートルを超え、さらには1インチの幅あたり約0.5N/グラム/平方メートルもの大きさである、スパンボンド布地。
【請求項20】
エチレン系二成分繊維(少なくとも約50重量パーセントのエチレン含有量)を含み、最低でも約0.5グラム/分/穴の速度で溶融紡糸され、かつ、永久ひずみの二乗平均平方根が約15%を超え、好ましくは約20%を超え、より好ましくは約25%を超え、さらには約50%もの大きさである、スパンボンド布地。
【請求項21】
エチレン系二成分繊維(少なくとも約50重量パーセントのエチレン含有量)を含み、最低でも約0.5グラム/分/穴の速度で溶融紡糸され、かつ、50%ひずみでの負荷降下の二乗平均平方根が1インチの幅あたり約0N/グラム/平方メートルよりも大きく、さらには1インチの幅あたり約0.004N/グラム/平方メートルまでの大きさである、スパンボンド布地。
【請求項22】
エチレン系二成分繊維(少なくとも約50重量パーセントのエチレン含有量)を含み、最低でも約0.5グラム/分/穴の速度で溶融紡糸され、かつ、摩擦係数が約0.45よりも低く、さらには約0.15までの低さである、スパンボンド布地。
【請求項23】
最も外側の層が、スパンボンドホモポリマーポリプロピレン(hPP)、SB不均一分岐ポリエチレン、カード加工されたhPP、様々な二成分構造物からなる群より選択される材料を含む、マルチプルビームのスパンボンド及びメルトブローンの組合せ(例えば、スパンボンド/スパンボンド/スパンボンド(SSS)、スパンボンド/メルトブローン(SM)、SMS、SMMS、SSMMS、SSMMMSなど)からなる群より選ばれる組合せを選択することを含む、粘着性を軽減する方法であって、選択された組合せが約0.45未満の摩擦係数(COF)を有し、好ましくは約0.35未満の摩擦係数(COF)を有し、とりわけ、約0.25未満の摩擦係数(COF)を有する、粘着性を軽減する方法。
【請求項24】
前記選択された組合せがさらに、スリップ添加物(例えば、エルクアミド)の添加、又は、低分子量(すなわち、約20,000未満のMw)のポリマーの添加を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記繊維が約70℃〜約125℃の熱結合温度範囲を有する、請求項1に記載のスパンボンド布地。
【請求項26】
前記インターポリマーが、0.895g/cc以下の密度、及び/又は、15g/10分以上のメルトインデックス(好ましくは、約20g/10分〜約30g/10分におけるメルトインデックス)を有する、請求項1に記載のスパンボンド布地。
【請求項27】
少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維から得ることができるか、又は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維を含むメルトブローン布地であって、エチレン/α−オレフィンインターポリマーがシース以外の繊維の一部分に存在し、かつ、下記の特性、すなわち:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d);又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びに、融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)、但し、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が、特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有すること、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物であって、少なくとも0.5であり、かつ、約1に至るまでであるブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有すること;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することの1つ又はそれ以上によって特徴づけられる、メルトブローン布地。
【請求項28】
少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む二成分繊維であって、エチレン/α−オレフィンインターポリマーがシース以外の繊維の一部分に存在し、かつ、下記の特性、すなわち:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d);又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びに、融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)、但し、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が、特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有すること、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物であって、少なくとも0.5であり、かつ、約1に至るまでであるブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有すること;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することの1つ又はそれ以上によって特徴づけられる、二成分繊維。
【請求項29】
前記インターポリマーが繊維の総重量の約5%〜約35%を構成する、請求項28に記載の二成分繊維。
【請求項30】
異なるエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含むシース/コア型二成分繊維を含む不織布であって、シース及びコアがそれぞれ、下記の特性、すなわち:
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏度)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、Tm及びdの数値は下記の関係に対応する:
>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)、好ましくは、
≧−6880.9+14422(d)−7404.3(d)、より好ましくは、
≧−7208.6−15109(d)−7756.9(d);又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びに、融解熱(ΔH、J/g)、及び、最も高いDSCピークと、最も高いCRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量(ΔT、摂氏度)、但し、ΔT及びΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gに至るまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)、
この場合、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、また、ポリマーの5パーセント未満が、特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;又は
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定される弾性回復率(Re、300パーセントのひずみ及び1サイクルでのパーセント)、及び、密度(d、グラム/立方センチメートル)、但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、Re及びdの数値は下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);又は
(d)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する分子分画物であって、同じ温度の間で溶出する比較可能なランダムエチレンインターポリマー分画物のモルコモノマー含有量よりも少なくとも5パーセント大きいモルコモノマー含有量を有することにおいて特徴づけられる分子分画物、但し、前記比較可能なランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、かつ、エチレン/α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)の10パーセント以内であるメルトインデックス、密度及びモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有する;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有すること、但し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1である;又は
(f)TREFを使用して分画化されるとき、40℃〜130℃の間で溶出する少なくとも1つの分子分画物であって、少なくとも0.5であり、かつ、約1に至るまでであるブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有することにおいて特徴づけられる分子分画物を有すること;又は
(g)ゼロよりも大きく、約1.0に至るまでである平均ブロックインデックスと、約1.3を超える分子量分布(Mw/Mn)とを有し、コアにおけるエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、シースにおけるエチレン/α−オレフィンインターポリマーの密度よりも小さい密度(好ましくは、少なくとも約0.004g/cmユニット小さい密度)を有することの1つ又はそれ以上によって特徴づけられるエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む不織布。
【請求項31】
医療用製造物、介護用製造物及び屋外用布地からなる群より選択される製造物を製造するための、請求項1又は13又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は27又は28又は30に記載される布地の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【公表番号】特表2011−514938(P2011−514938A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548809(P2010−548809)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/034666
【国際公開番号】WO2009/111185
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】