説明

エッチング処理方法、微細構造体の製造方法、およびエッチング処理装置

【課題】本発明は、安定したエッチング処理を行うことができるエッチング処理方法、微細構造体の製造方法、およびエッチング処理装置を提供する。
【解決手段】硫酸溶液を電気分解して酸化性物質を生成するとともに、生成される前記酸化性物質の生成量を制御して、所定の酸化種濃度を有するエッチング溶液を生成し、生成された前記エッチング溶液を被処理物の表面に供給すること、を特徴とするエッチング処理方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング処理方法、微細構造体の製造方法、およびエッチング処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などの分野においては、リソグラフィ技術を用いて表面に微細な壁体を有する微細構造体が製造されている。
そして、製造プロセスにおいて形成され不要となったレジストを濃硫酸と過酸化水素水との混合液であるSPM(sulfuric acid hydrogen peroxidemixture)溶液を用いて剥離するようにしている。また、金属の除去処理工程においてもSPM溶液が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
ここで、濃硫酸と過酸化水素水とを混合させることで生成される酸化性物質(例えば、ペルオキソ一硫酸)は水と反応して分解するため、SPM溶液の液組成を一定の値に保つことが難しい。
【0003】
そこで、硫酸の水溶液を電気分解することにより生成した酸化性物質を用いてシリコンウェーハなどに付着したレジストを剥離する技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特許文献2に開示された技術によれば、硫酸の水溶液から酸化性物質を生成することができるので、剥離液の液組成を安定させることができる。
この場合、除去対象であるレジストの主成分は有機物であるため、金属や金属化合物を主成分とするものとは組成、性質が大きく異なる。また、剥離液は、レジストの下地に形成されている金属や金属化合物を主成分とする膜などに損傷を与えないようにする必要もある。
そのため、特許文献2に開示された酸化性物質を含む剥離液は、微細構造体の表面に形成された金属や金属化合物などを除去するエッチング溶液として用いることができなかった。一方、SPM溶液は、金属や金属化合物などを除去するエッチング溶液として用いることができるが、前述したように、液組成を一定の値に保つことが難しく安定したエッチング処理が行えなくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−123330号公報
【特許文献2】特開2006−111943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、安定したエッチング処理を行うことができるエッチング処理方法、微細構造体の製造方法、およびエッチング処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、硫酸溶液を電気分解して酸化性物質を生成するとともに、生成される前記酸化性物質の生成量を制御して、所定の酸化種濃度を有するエッチング溶液を生成し、生成された前記エッチング溶液を被処理物の表面に供給すること、を特徴とするエッチング処理方法が提供される。
【0007】
また、本発明の他の一態様によれば、上記のエッチング処理方法により、金属および金属化合物の少なくともいずれかを除去することで微細構造体を形成すること、を特徴とする微細構造体の製造方法が提供される。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に設けられた隔膜と、前記陽極と前記隔膜との間に設けられた陽極室と、前記陰極と前記隔膜との間に設けられた陰極室とを有し、前記陽極室において硫酸溶液を電気分解して酸化性物質を生成することで前記酸化性物質を含むエッチング溶液を生成する硫酸電解部と、前記陽極室に、前記硫酸溶液を供給する硫酸供給部と、前記酸化性物質の生成量の制御を行う制御部と、被処理物のエッチング処理を行うエッチング処理部と、前記エッチング処理部に、前記エッチング溶液を供給するエッチング溶液供給部と、を備え、前記制御部は、前記酸化性物質の生成量を制御して、所定の酸化種濃度を有するエッチング溶液を生成することを特徴とするエッチング処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安定したエッチング処理を行うことができるエッチング処理方法、微細構造体の製造方法、およびエッチング処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態に係るエッチング処理装置を例示するための模式図である。
【図2】硫酸の濃度制御手段、硫酸溶液の温度制御手段、ガス処理手段を例示するための模式図である。
【図3】硫酸電解部における酸化性物質の生成メカニズムを例示するための模式図である。
【図4】酸化性物質の量(酸化種濃度)の経時的な変化を例示するためのグラフ図である。
【図5】エッチングレートの経時的な変化を例示するためのグラフ図である。
【図6】エッチングレートの経時的な変化を例示するためのグラフ図である。
【図7】他の実施形態に係るエッチング処理装置を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係るエッチング処理装置を例示するための模式図である。
本実施の形態に係るエッチング処理装置5は、硫酸電解部10と、エッチング処理部12と、エッチング溶液供給部14と、硫酸供給部15と、制御部76とを有する。
【0012】
硫酸電解部10は、陽極室30において硫酸溶液を電気分解して酸化性物質を生成することで酸化性物質を含むエッチング溶液を生成する機能を有する。
硫酸電解部10は、陽極32と、陰極42と、これら陽極32と陰極42との間に設けられた隔膜20と、陽極32と隔膜20との間に設けられた陽極室30と、陰極42と隔膜20との間に設けられた陰極室40とを有している。
【0013】
隔膜20、陽極室30および陰極室40の上端には上端封止部22が設けられ、隔膜20、陽極室30および陰極室40の下端には下端封止部23が設けられている。陽極32と陰極42とは、隔膜20を挟んで対向している。陽極32は陽極支持体33に支持され、陰極42は陰極支持体43に支持されている。陽極32及び陰極42間には、直流電源26が接続されている。
【0014】
陽極32は、導電性を有する陽極基体34と、この陽極基体34の表面に形成された陽極導電性膜35とからなる。陽極基体34は、陽極支持体33の内面に支持され、陽極導電性膜35は陽極室30に臨んでいる。
陰極42は、導電性を有する陰極基体44と、この陰極基体44の表面に形成された陰極導電性膜45とからなる。陰極基体44は、陰極支持体43の内面に支持され、陰極導電性膜45は陰極室40に臨んでいる。
【0015】
陽極室30の下端側には陽極入口部19が形成され、上端側には陽極出口部17が形成されている。陽極入口部19及び陽極出口部17は、陽極室30に連通している。陰極室40の下端側には陰極入口部18が形成され、上端側には陰極出口部16が形成されている。陰極入口部18及び陰極出口部16は、陰極室40に連通している。
【0016】
エッチング処理部12は、硫酸電解部10で生成された酸化性物質を含む溶液(以下、エッチング溶液と称する)を用いて、被処理物Wのエッチング処理を行う機能を有する。
【0017】
硫酸電解部10で生成されたエッチング溶液は、陽極出口部17からエッチング溶液供給部14を介して、エッチング処理部12に設けられたノズル61に供給される。
エッチング溶液供給部14は、エッチング処理部12にエッチング溶液を供給する機能を有する。また、エッチング処理部12から排出されたエッチング溶液を回収再利用する機能をも有する。
【0018】
ノズル61は、被処理物Wに対してエッチング溶液を吐出するための吐出口を有する。その吐出口に対向するように被処理物Wを載置する載置部62が設けられている。載置部62は、カバー29の内部に設けられている。エッチング溶液をノズル61から被処理物Wに向けて吐出することで、被処理物W上の金属や金属化合物を除去することができるようになっている。なお、図1において例示をしたものは枚葉式のエッチング処理部12であるが、複数の被処理物Wをエッチング溶液に浸漬させる、いわゆるバッチ式のエッチング処理部とすることもできる。
【0019】
陽極出口部17は、開閉弁73aが設けられた管路73を介して、エッチング溶液保持部としてのタンク28に接続されている。タンク28は、管路74を介してノズル61に接続され、タンク28内において、貯留し、保持されたエッチング溶液は、ポンプ81の作動によって管路74を介してノズル61に供給される。また、管路74において、ポンプ81の吐出側には開閉弁74aが設けられている。タンク28にエッチング溶液を貯留し、保持することで、硫酸電解部10で生成されたエッチング溶液の量的変動を緩衝できる。また、タンク28にヒータを設けることもでき、この場合、エッチング溶液の温度制御が可能となる。
【0020】
エッチング処理部12から排出されたエッチング溶液は、エッチング溶液供給部14によって回収され再びエッチング処理部12に供給可能となっている。例えば、エッチング処理部12から排出されたエッチング溶液は、回収タンク63、フィルタ64、ポンプ82、および開閉弁91をこの順に通過して、タンク28に供給可能となっている。そして、タンク28からエッチング処理部12にエッチング溶液を供給して、被処理物Wのエッチング処理を行うことができるようになっている。そのため、エッチング処理において、使用後のエッチング溶液を循環再利用することができる。このようなエッチング溶液の再利用は、可能な限り繰り返すことができ、エッチング溶液の生成に要する材料(薬品等)や廃液の量を削減することが可能となる。
【0021】
回収タンク63には、排出管路75及び排出弁75aが設けられ、エッチング処理部12にてエッチング除去された金属や金属化合物を必要に応じて系外に排出することができるようになっている。フィルタ64は、エッチング処理部12から排出されたエッチング溶液中に含まれる金属などを除去する機能を有する。
【0022】
硫酸供給部15は、陽極室30に硫酸溶液を供給する機能を有する。硫酸供給部15は、陽極室30に硫酸溶液を供給する硫酸タンク60と、陰極室40にイオン交換水を供給するイオン交換水供給部(タンク)27とを有する。なお、イオン交換水供給部27は、陽極室30に設けることもできる。
【0023】
硫酸タンク60には、20質量パーセント〜70質量パーセント程度の硫酸溶液が貯留されている。硫酸タンク60内の硫酸溶液は、ポンプ80の駆動により、開閉弁70を通過し、開閉弁70の下流側の管路、陽極入口部19を介して、陽極室30に供給される。 イオン交換水供給部27には、例えば、イオン交換水が貯留されている。イオン交換水供給部27内のイオン交換水は、開閉弁71を通過し、陰極入口部18を介して陰極室40に供給される。硫酸タンク60とイオン交換水供給部27とは管路85及びこれに設けられた開閉弁72を介して接続されている。そして、硫酸タンク60内の硫酸溶液を、管路85を介して、イオン交換水供給路86に合流させることで、硫酸タンク60内の硫酸溶液をイオン交換水で希釈した硫酸溶液が陰極室40に供給される。
【0024】
例えば、30質量パーセントの硫酸溶液が、陽極入口部19を介して陽極室30に供給されるのに対して、これより濃度の薄い硫酸溶液が、陰極入口部18を介して陰極室40に供給される。
【0025】
なお、本実施の形態においては、硫酸タンク60から、20質量パーセント〜70質量パーセント程度の硫酸溶液が供給されるようにしているが、さらに高濃度の硫酸溶液が供給されるようにすることもできる。例えば、96質量パーセントの硫酸溶液が、陽極入口部19を介して陽極室30に供給されるようにすることもできる。この場合、70質量パーセントの硫酸溶液が陰極入口部18を介して陰極室40に供給されるようにすることができる。
このようにさらに高濃度の硫酸溶液が供給される場合であっても、陰極側に供給される硫酸の濃度が陽極側に供給される硫酸の濃度よりも低くされているので、硫酸の電気分解により隔膜20が損傷することを防止することができる。すなわち、硫酸の電気分解反応では陰極側の水が陽極側へ移動し、陰極側の硫酸濃度が増加して、隔膜20が劣化しやすくなる。そのため、陰極側の硫酸濃度を低くすれば、陰極側の硫酸濃度が増加するのを抑制することができる。また、隔膜20にイオン交換膜を使用した場合、濃度の高い硫酸溶液中では含水率の低下に伴って、イオン交換膜の抵抗が増加し、槽電圧が上昇する問題が発生する。この問題を緩和するためにも陰極側の硫酸濃度を低くしてイオン交換膜に水が供給されるようにすれば、イオン交換膜の抵抗が増加するのを抑制することができる。
【0026】
また、硫酸供給部15には、硫酸の濃度制御手段、硫酸溶液の温度制御手段、ガス処理手段などを設けることもできる。
図2は、硫酸の濃度制御手段、硫酸溶液の温度制御手段、ガス処理手段を例示するための模式図である。
図2に示すように、硫酸の濃度制御手段としては、硫酸タンク60を混合タンクとし、これに濃硫酸を供給する濃硫酸供給部50と、希釈用のイオン交換水を供給する希釈部51とを備えたものを例示することができる。
なお、硫酸の濃度制御手段は、エッチング液を貯留するタンク28などに設けることもできるし、ノズル61や管路73、74などに設けることもできる。
【0027】
また、硫酸の温度制御手段としては、硫酸タンク60と陽極入口部19との間の管路に設けられた熱交換器52を例示することができる。
なお、硫酸の温度制御手段は、硫酸タンク60の内部に設けることもできるし、陽極支持体33などを覆うように設けることもできる。
【0028】
また、硫酸の温度制御手段は、加熱または冷却、あるいは加熱と冷却とを行うものとすることができる。
【0029】
また、ガス処理手段としては、電気分解により発生するガス(例えば、陽極32側で発生する酸素ガス、陰極42側で発生する水素ガス)を電解液(硫酸溶液)から除去するものを例示することができる。例えば、液面を形成して気液分離を行うことでガスを除去するものなどを例示することができる。
この場合、図2に例示をしたように気液分離を行うガス処理器53を管路の途中に設けるようにすることもできるし、タンク28、硫酸タンク60、陽極室30、陰極室40などにガス処理手段としての機能(例えば、気液分離機能)を持たせることもできる。
【0030】
また、前述した開閉弁70、71、72、73a、74a、75a、91は、各種溶液の流量を制御する機能をも有する。また、ポンプ80、81、82は、各種溶液の流速を制御する機能をも有する。
【0031】
制御部76は、硫酸電解部10における酸化性物質の生成量(酸化種濃度)を制御して、所定の酸化種濃度を有するエッチング溶液を生成する機能を有する。例えば、図1に例示をしたように、直流電源26を制御することで硫酸電解部10における酸化性物質の生成量(酸化種濃度)を制御するようにすることができる。この場合、直流電源26を制御することで、電流値、電圧値、通電時間の少なくともいずれかを変化させたり、電解セル数や電解液(硫酸溶液)供給流量を変化させたりして電解条件を制御し、硫酸電解部10における酸化性物質の生成量(酸化種濃度)を制御するようにすることができる。
また、制御部76により温度制御手段(例えば、図2に例示をした熱交換器52など)を制御することで硫酸電解部10における溶液の温度を変化させて、酸化性物質の生成量(酸化種濃度)を制御するようにすることもできる。この場合、硫酸溶液を電気分解する際の温度は、40℃以下とすることが好ましい。
なお、電解条件と溶液の温度の両方を制御することもできる。
【0032】
陽極支持体33、陰極支持体43、陰極出口部16、陽極出口部17、陰極入口部18、陽極入口部19、エッチング処理部12におけるカバー29の材料には、耐硫酸性の観点から、例えばポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂を用いるとよい。
また、エッチング処理部12においてエッチング溶液を供給する配管には、断熱材を巻いたフッ素系樹脂チューブなどを用いることができる。この配管には、フッ素系樹脂からなるインラインヒータを設けることもできる。また、エッチング溶液を送るポンプには、耐熱及び耐酸化性を有するフッ素系樹脂からなるベローズポンプを用いることができる。 また、硫酸溶液を収容する各種タンクの材料には、例えば石英を用いることができる。さらに、それらタンクに、オーバフロー機器や温度制御機器などを適宜設けることもできる。
【0033】
隔膜20としては、例えば、商品名ポアフロン等のPTFE多孔質隔膜を含む中性膜(但し、親水化処理されたもの)や、商品名Nafion、Aciplex、Flemion等の陽イオン交換膜が使用できるが、両極室での生成物を分離して製造できる面から後者の陽イオン交換膜の使用が望ましい。隔膜20の寸法は、例えば、約50平方センチメートルとすることができる。上端封止部22、下端封止部23としては、例えば、フッ素系樹脂でコーティングされたOリングを用いるとよい。
【0034】
陽極基体34の材料には、例えば、p型のシリコンや、チタンやニオブのような弁金属を用いることができる。ここで、弁金属とは、陽極酸化により金属表面がその酸化被膜で一様に覆われ、優れた耐食性を有するものである。また、陰極基体44には、例えば、n型のシリコンを用いることができる。
【0035】
陰極導電性膜45の材料には、例えば、グラッシーカーボンを用いることができる。陽極室30には、比較的濃度の高い硫酸が供給される場合があるので、陽極導電性膜35の材料には、耐久性の観点からホウ素やリン、窒素をドーピングした導電性ダイヤモンド膜を用いるとよい。もちろん、陰極導電性膜45の材料にも、導電性ダイヤモンド膜を用いてもよい。陽極側、陰極側とも、導電性膜と基体とが同一の材料から形成されるようにしてもよい。この場合、陰極基体44にグラッシーカーボンを使用する場合や、陽極基体34に導電性ダイヤモンド膜を使用する場合は、基体そのものが電極触媒性を有する導電性膜となるので、電解反応に寄与することができる。
【0036】
ダイヤモンドは化学的、機械的及び熱的に安定した性質を有するが、導電性に優れないことから電気化学システムに使用することが困難であった。しかし、熱フィラメント−CVD(HF−CVD:Hot Filament Chemical Vapor Deposition)法やプラズマCVD法を用いて、硼素ガスや窒素ガスを供給しながら成膜することで、導電性のダイヤモンド膜が得られる。この導電性のダイヤモンド膜は、「電位窓」が、例えば、3〜5ボルトと広く、電気抵抗が、例えば、5〜100ミリオームセンチメートルである。
【0037】
ここで「電位窓」とは、水の電気分解に要する最低電位(1.2ボルト以上)である。この「電位窓」は材料によって異なる。「電位窓」が広い材料を使って、「電位窓」内の電位で電解を行った場合、「電位窓」内に酸化還元電位を有する電解反応が、水の電気分解に優先して進行し、電気分解しにくい物質の酸化反応あるいは還元反応が優先的に進行する場合もある。したがって、このような導電性ダイヤモンド膜を用いることで、従来の電気化学反応では不可能であった物質の分解や合成が可能となる。
また、HF−CVD法においては、次のようにして成膜が行われる。まず、高温状態にあるタングステンフィラメントに原料ガスを供給して分解し、膜成長に必要なラジカルを生成する。次に、生成されたラジカルを基板表面に拡散させるとともに拡散させたラジカルと他の反応性ガスとを反応させて成膜を行う。
【0038】
次に、硫酸電解部10における酸化性物質の生成メカニズムについて例示をする。
図3(a)、(b)は、硫酸電解部における酸化性物質の生成メカニズムを例示するための模式図である。図3(b)は、図3(a)におけるA−A線断面を表す模式図である。
図3(b)に示すように、隔膜20を挟んで、陽極32と陰極42とが対向して設けられている。陽極32は、その陽極導電性膜35を陽極室30に臨ませて、陽極支持体33に支持されている。陰極42は、その陰極導電性膜45を陰極室40に臨ませて、陰極支持体43に支持されている。隔膜20、陽極支持体33及び陰極支持体43のそれぞれの両端部には、電解部筐体24がそれぞれ設けられている。
【0039】
陽極室30には、陽極入口部19を介して、例えば、30質量パーセントの硫酸溶液が硫酸タンク60から供給される。陰極室40には、陰極入口部18を介して、これより硫酸濃度が低くなるように、硫酸タンク60及びイオン交換水供給部27から硫酸溶液及びイオン交換水が供給される。
そして、陽極32に正電圧を、陰極42に負電圧を印加すると、陽極室30、陰極室40のそれぞれで電気分解反応が生じる。陽極室30では、化学式1、化学式2及び化学式3に表すような反応が生じる。
【化1】

【化2】

【化3】

したがって、陽極室30では、化学式2の反応によりペルオキソ一硫酸イオン(HSO)が生成される。また、化学式1及び化学式3の素反応により、化学式4に表すような全反応が生じて、ペルオキソ一硫酸イオン(HSO)と硫酸が生成される反応もある。このペルオキソ一硫酸がエッチング溶液に所定の量含まれておれば、金属や金属化合物のエッチングを促進させることができる。
【化4】

あるいは、化学式1及び化学式3の素反応から、化学式5に表すように、過酸化水素(H)が生成した後、化学式4のペルオキソ一硫酸イオン(HSO)が生成する場合もある。また、化学式1の反応により、ペルオキソ二硫酸(H)が生成する場合もある。化学式4、化学式5は、化学式1からの二次反応を表す。
【化5】

また、陰極室40では、化学式6に表すように、水素ガスが生成する。これは、陽極側で生じた水素イオン(H)が、隔膜20を介して陰極側に移動し、電気分解反応が生じたためである。水素ガスは、陰極出口部16を介して陰極室40から排出される。
【化6】

ここで、ペルオキソ一硫酸(HSO)は、水と反応して分解するため、水の中では不安定に存在する。そのため、エッチング溶液の液組成が変化して安定したエッチング処理が行えなくなるおそれがある。また、エッチング溶液を取り替える頻度が高くなり、製造コストが増加してしまうという問題がある。また、このようにエッチング溶液の液組成が変化すると、バッチ式のエッチング処理装置において1ロットあたり少ない数しか処理できず、処理効率が低くなるという問題がある。
【0040】
本実施の形態においては、硫酸溶液を電気分解することで、例えば、ペルオキソ一硫酸(HSO)、ペルオキソ二硫酸(H)が生成される。また、前述した化学式には表さないが、酸化性物質として、ペルオキソ一硫酸(HSO)、ペルオキソ二硫酸(H)の他にもオゾンや過酸化水素なども生成される。そのため、硫酸溶液を電気分解することで、化学式7に表すように、これらの酸化性物質を含むエッチング溶液を生成することができる。この場合、酸化性物質(特にペルオキソ一硫酸)を分解させる水は、副生成物として生成されず、副生成物としては水素ガスが生成されるが、この水素ガスはエッチング処理には影響しない。
【化7】

そのため、酸化性物質が生成される陽極室30に、濃度の高い(例えば、70質量パーセント)の硫酸溶液を供給するようにすれば、水が極力少ない中で酸化性物質が生成されるようにすることができる。これにより、特に、水と反応して分解するペルオキソ一硫酸を安定して生成することができ、ペルオキソ一硫酸の定量的、多量供給が可能となる。この結果、例えば、エッチングレート、生産性などを向上させることができ、また、コストの低減も図ることができる。
【0041】
なお、陽極室30に濃度の低い硫酸溶液(例えば、30質量パーセント)を供給する場合には、エッチング処理装置5の取り扱いが容易となる。
【0042】
陽極室30、陰極室40に供給される硫酸溶液の濃度は、例示をした濃度に限定されるわけではなく適宜変更することができる。
この場合、陰極室40に供給される硫酸溶液の濃度にかかわらず陽極室30に20〜70質量パーセントの硫酸溶液を供給すれば酸化性物質の生成効率を向上させることができる。
ここで、濃硫酸溶液と希硫酸溶液とでは特性が大きく異なる。その特性の一つとして脱水作用がある。濃硫酸溶液はSO分子がHO分子を奪う脱水作用を有しているので、他の原子や分子と自由に反応できる水分子の比率が非常に低くなる。したがって、濃硫酸溶液中では、水によるペルオキソ一硫酸の分解反応を抑えることができ、ペルオキソ一硫酸の安定した生成及び供給が可能となる。したがって、70質量パーセント程度の濃硫酸溶液を陽極室30に供給すれば、ペルオキソ一硫酸の安定生成を図ることができる。
【0043】
次に、硫酸電解部10で生成された酸化性物質を含む溶液(エッチング溶液)についてさらに例示をする。
ここで、半導体装置やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などの分野において、微細構造体を製造する際に微細構造体の表面に付着したレジストを剥離液を用いて剥離する場合がある。そして、この様な剥離液として酸化性物質を含む溶液が知られている。
【0044】
しかしながら、除去対象であるレジストの主成分は有機物であるため、エッチング処理において除去対象となる金属や金属化合物を主成分とするものとは組成、性質が大きく異なる。また、剥離液は、レジストの下地に形成されている金属や金属化合物を主成分とする膜などに損傷を与えないようにする必要もある。
そのため、酸化性物質を含む剥離液は、微細構造体の表面に形成された金属や金属化合物などを除去するエッチング溶液として用いることができなかった。
【0045】
本発明者らは検討の結果、剥離液に含まれる酸化性物質とエッチング溶液に含まれる酸化性物質とでは除去対象に対する作用が異なることを見出した。
すなわち、剥離液に含まれる酸化性物質の場合は除去対象であるレジストを直接的に溶解するのに用いられるが、エッチング溶液に含まれる酸化性物質の場合は除去対象である金属などのイオン化を促進させるのに用いられるとの知見を得た。
【0046】
そして、この様な作用の相違に基づいてさらなる検討を加えた結果、エッチング溶液に含まれる酸化性物質の量に関する適正範囲を見出した。
すなわち、剥離液の場合には、含まれる酸化性物質の量を多くすれば(例えば、1.0mol/L程度とすれば)剥離性を向上させることができると考えられるが、エッチング溶液の場合は剥離液の場合のように含まれる酸化性物質を多くすると下層膜にダメージが発生するとの知見を得た。
本発明者らの得た知見によれば、エッチング溶液に含まれる酸化性物質の量を、0.5mol/L以下とすれば好適なエッチング処理を行うことができる。
【0047】
また、エッチング溶液としては、濃硫酸と過酸化水素水との混合液であるSPM(sulfuric acid hydrogen peroxidemixture)溶液が用いられる場合がある。
しかしながら、酸化性物質(例えば、ペルオキソ一硫酸)は水と反応して分解するため、SPM溶液中における酸化性物質の量が変化し、エッチングレートが経時的に変化してしまうという問題がある。この場合、エッチングレートが経時的に変化すると安定したエッチング処理が行えなくなるおそれがある。
【0048】
図4は、酸化性物質の量(酸化種濃度)の経時的な変化を例示するためのグラフ図である。
なお、図4中のeS4〜eS6は本実施の形態に係るエッチング溶液の場合である。また、eS4は当初の酸化種濃度が0.5mol/L程度、eS5は当初の酸化種濃度が0.2mol/L程度、eS6は当初の酸化種濃度が0.1mol/L程度の場合である。
図4から分かるように、本実施の形態に係るエッチング溶液eS4〜eS6の場合には酸化種濃度(酸化性物質の量)の経時的な変化を大幅に抑制することができる。
そのため、SPM溶液を用いる場合と比べてエッチングレートの経時的な変化を抑制することができるので、安定したエッチング処理を行うことができる。
【0049】
図5、図6は、エッチングレートの経時的な変化を例示するためのグラフ図である。
なお、図5はエッチング対象が金属(図5に例示をしたものではニッケル(Ni))、図6はエッチング対象が金属化合物(図6に例示をしたものでは窒化チタン(TiN))の場合である。
また、各図中のSHはSPM溶液の場合、eS1〜eS6は本実施の形態に係るエッチング溶液の場合である。また、eS1〜eS4は当初の酸化種濃度が0.5mol/L程度、eS5は当初の酸化種濃度が0.2mol/L程度、eS6は当初の酸化種濃度が0.1mol/L程度の場合である。なお、eS1〜eS4においては、電解される硫酸溶液の濃度が異なっている。また、SPM溶液SHの温度は120℃程度、エッチング溶液eS1〜eS6の温度は100℃程度とした。
【0050】
図5から分かるように、SPM溶液SHの場合には、ニッケル(Ni)に対するエッチングレートが極端に低下してしまう。また、図6から分かるように、窒化チタン(TiN)に対するエッチングレートが時間とともに大幅に低下してしまう。
これに対し、本実施の形態に係るエッチング溶液eS1〜eS6の場合には、エッチングレートを経時的に安定させることができる。
【0051】
また、酸化種濃度(酸化性物質の量)を変化させることで所望のエッチングレートを得ることができる。例えば、大きな面積を効率よくエッチング処理する場合にはエッチングレートが高くなる酸化種濃度(酸化性物質の量)を選択し、エッチングレートを抑えて精密なエッチング処理を行う場合にはエッチングレートが低くなる酸化種濃度(酸化性物質の量)を選択するようにすることもできる。また、除去対象の材料に応じて最適なエッチングレートとなるようにすることもできる。
【0052】
この場合、酸化種濃度(酸化性物質の量)の制御は、硫酸電解部10における電解条件や温度などを制御することで行うことができる。例えば、制御部76により直流電源26を制御することで、電流値、電圧値、通電時間の少なくともいずれかを変化させたり、電解セル数、電解液(硫酸溶液)供給流量を変化させたりして電解条件を制御するようにすることができる。また、制御部76により温度制御手段(例えば、図2に例示をした熱交換器52など)を制御して硫酸電解部10における溶液の温度を変化させて酸化種濃度(酸化性物質の量)を制御するようにすることもできる。また、電解条件と溶液の温度の両方を制御するようにすることもできる。
【0053】
次に、エッチング処理装置5の作用とともに本実施の形態に係るエッチング処理方法について例示をする。
まず、硫酸電解部10において、硫酸溶液が電気分解され酸化性物質(例えば、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸)を含むエッチング溶液が生成される。この際、制御部76により硫酸電解部10における酸化性物質の生成量(酸化種濃度)が制御される。例えば、直流電源26を制御することで、電流値、電圧値、通電時間の少なくともいずれかを変化させたり、電解セル数、電解液(硫酸溶液)供給流量を変化させたりして電解条件を制御し、硫酸電解部10における酸化性物質の生成量(酸化種濃度)を制御するようにする。また、温度制御手段(例えば、図2に例示をした熱交換器52など)を制御することで硫酸電解部10における溶液の温度を変化させて、酸化性物質の生成量(酸化種濃度)を制御するようにすることもできる。また、電解条件と溶液の温度の両方を制御するようにすることもできる。この際、酸化種濃度は、0.5mol/L以下となるようにすることが好ましい。また、硫酸溶液を電気分解する際の温度は、40℃以下とすることが好ましい。
【0054】
なお、硫酸溶液が電気分解され酸化性物質を含むエッチング溶液が生成される過程は、前述したものと同様のため省略する。
硫酸電解部10において生成されたエッチング溶液は、陽極出口部17、開閉弁73aを介してタンク28に貯留される。タンク28内に貯留されたエッチング溶液は、ポンプ81の作動によって管路74を介してノズル61に供給される。ノズル61に供給されたエッチング溶液は、載置部62に載置された被処理物Wに向けて吐出され、吐出されたエッチング溶液により被処理物W上の金属や金属化合物が除去される。すなわち、エッチング処理が行われる。なお、いわゆるバッチ式のエッチング処理が行われる場合は、ノズル61から吐出され貯留されたエッチング溶液中に複数の被処理物Wが浸漬されることになる。
【0055】
エッチング処理に用いられた後のエッチング溶液は、回収タンク63、フィルタ64、ポンプ82、および開閉弁91をこの順に通過して、タンク28に供給、貯留される。この際、エッチング処理に用いられた後のエッチング溶液中に含まれる金属などがフィルタ64によって除去される。タンク28内に貯留されたエッチング溶液は、前述のようにして再度エッチング処理に用いられる。また、必要に応じて、回収タンク63から排出管路75及び排出弁75aを介してエッチング処理に用いられた後のエッチング溶液を系外に排出させるようにすることもできる。
【0056】
すなわち、本実施の形態に係るエッチング処理方法においては、硫酸溶液を電気分解して酸化性物質を生成するとともに、生成される前記酸化性物質の生成量を制御して、所定の酸化種濃度を有するエッチング溶液を生成し、生成された前記エッチング溶液を被処理物の表面に供給する。
この際、酸化種濃度は、0.5mol/L以下とすることが好ましい。
また、供給される硫酸溶液の濃度は、20質量パーセント以上、70質量パーセント以下であることが好ましい。また、酸化性物質の生成量の制御は、硫酸溶液を電気分解する際の電解条件および温度の少なくともいずれかを制御することで行うようにすることができる。
また、生成されたエッチング溶液には、電気分解がされなかった硫酸が含まれている。 また、硫酸溶液を電気分解する際の温度は、40℃以下とすることが好ましい。
また、エッチング処理の目的に応じて、酸化種濃度が選定されるようにすることができる。
【0057】
この場合、酸化性物質が生成される陽極室30に、濃度の高い硫酸溶液を供給することで、水が極力少ない中で酸化性物質を生成することができる。これにより、特に、水と反応して分解するペルオキソ一硫酸を安定して生成することができる。
また、陽極室30に濃度の低い硫酸溶液を供給するようにすれば、エッチング処理装置5の取り扱いが容易となる。
また、本実施の形態によれば、エッチング溶液として酸化性物質を含む溶液を用いることができるので、エッチングレートの経時的な変化のない安定したエッチング処理を行うことができる。特に、酸化種濃度(酸化性物質の量)を0.5mol/L以下とすれば好適なエッチング処理を行うことができる。
また、酸化種濃度(酸化性物質の量)の経時的な減少が少ないので、循環再利用に資することができる。
また、酸化種濃度(酸化性物質の量)を変化させることで所望のエッチングレートを得ることができる。この場合、例えば、大きな面積を効率よくエッチング処理する場合にはエッチングレートが高くなる酸化種濃度(酸化性物質の量)を選択し、エッチングレートを抑えて精密なエッチング処理を行う場合にはエッチングレートが低くなる酸化種濃度(酸化性物質の量)を選択するようにすることができる。また、除去対象の材料に応じて最適なエッチングレートとなるようにすることもできる。この場合、酸化種濃度(酸化性物質の量)の制御は、硫酸電解部10における電解条件や温度などを制御することで行うことができるので、迅速、的確な酸化種濃度(酸化性物質の量)の調整を行うことができる。
この結果、歩留まり、生産性などを向上させることができ、また、コストの低減を図ることができる。また、エッチング溶液の循環再利用が容易となるので、エッチング溶液の生成に要する材料(薬品等)や廃液の量を削減することが可能となる。
【0058】
次に、本実施の形態に係る微細構造体の製造方法について例示をする。
微細構造体の製造方法としては、例えば、半導体装置の製造方法を例示することができる。ここで、半導体装置の製造工程には、いわゆる前工程における成膜・レジスト塗布・露光・現像・エッチング・レジスト除去などにより基板(ウェーハ)表面にパターンを形成する工程、検査工程、洗浄工程、熱処理工程、不純物導入工程、拡散工程、平坦化工程などがある。また、いわゆる後工程においては、ダイシング、マウンティング、ボンディング、封入などの組立工程、機能や信頼性の検査工程などがある。
【0059】
この場合、例えば、拡散工程において使用された金属膜の除去などにおいて、前述したエッチング溶液、エッチング処理装置、エッチング処理方法を用いることができる。
すなわち、前述したエッチング溶液、エッチング処理装置、エッチング処理方法により、金属および金属化合物の少なくともいずれかを除去することで微細構造体を形成するようにすることができる。
【0060】
この結果、歩留まり、生産性などを向上させることができ、また、コストの低減を図ることができる。なお、前述したエッチング溶液、エッチング処理装置、エッチング処理方法以外のものは、各工程における既知の技術を適用できるので、それらの詳細な説明は省略する。
【0061】
また、微細構造体の製造方法の一例として、半導体装置の製造方法を例示したがこれに限定されるわけではない。例えば、液晶表示装置、位相シフトマスク、MEMS分野におけるマイクロマシーン、精密光学部品などの分野においても適応が可能である。
【0062】
また、前述したエッチング処理装置において、エッチング溶液の循環構成は必ずしも設けなくてもよく、図7に表すように、エッチング処理部12で使用された使用済みのエッチング溶液を回収タンク63に一旦回収した後、排出管路75を介して系外に排出するようにしてもよい。
【0063】
また、被処理物Wを搬送するためのロボットを設けてもよい。また、硫酸溶液を貯留する硫酸タンク60は、工場のラインに接続させて硫酸溶液が自動的に補給されるようにしてもよい。また、エッチング処理した被処理物Wをリンス処理するリンス槽を設けてもよい。このリンス槽には、オーバフロー制御機器やインラインヒータによる温度制御機器を設けることができる。リンス槽の材質としては、石英を用いるとよい。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、前述したエッチング処理装置が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0065】
5 エッチング処理装置、10 硫酸電解部、12 エッチング処理部、14 エッチング溶液供給部、15 硫酸供給部、20 隔膜、26 直流電源、30 陽極室、32 陽極、40 陰極室、42 陰極、60 硫酸タンク、76 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸溶液を電気分解して酸化性物質を生成するとともに、生成される前記酸化性物質の生成量を制御して、所定の酸化種濃度を有するエッチング溶液を生成し、
生成された前記エッチング溶液を被処理物の表面に供給すること、を特徴とするエッチング処理方法。
【請求項2】
前記酸化種濃度は、0.5mol/L以下であること、を特徴とする請求項1記載のエッチング処理方法。
【請求項3】
前記硫酸溶液の濃度は、20質量パーセント以上であること、を特徴とする請求項1または2に記載のエッチング処理方法。
【請求項4】
前記酸化性物質の生成量の制御は、前記硫酸溶液を電気分解する際の電解条件および温度の少なくともいずれかを制御することで行うこと、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のエッチング処理方法。
【請求項5】
前記エッチング溶液には、前記電気分解がされなかった硫酸が含まれること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のエッチング処理方法。
【請求項6】
前記硫酸溶液を電気分解する際の温度は、40℃以下とされること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のエッチング処理方法。
【請求項7】
エッチング処理の目的に応じて、前記酸化種濃度が選定されること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のエッチング処理方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載のエッチング処理方法により、金属および金属化合物の少なくともいずれかを除去することで微細構造体を形成すること、を特徴とする微細構造体の製造方法。
【請求項9】
陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に設けられた隔膜と、前記陽極と前記隔膜との間に設けられた陽極室と、前記陰極と前記隔膜との間に設けられた陰極室とを有し、前記陽極室において硫酸溶液を電気分解して酸化性物質を生成することで前記酸化性物質を含むエッチング溶液を生成する硫酸電解部と、
前記陽極室に、前記硫酸溶液を供給する硫酸供給部と、
前記酸化性物質の生成量の制御を行う制御部と、
被処理物のエッチング処理を行うエッチング処理部と、
前記エッチング処理部に、前記エッチング溶液を供給するエッチング溶液供給部と、
を備え、
前記制御部は、前記酸化性物質の生成量を制御して、所定の酸化種濃度を有するエッチング溶液を生成することを特徴とするエッチング処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記酸化種濃度が0.5mol/L以下となるように、前記酸化性物質の生成量を制御することを特徴とする請求項9記載のエッチング処理装置。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−127166(P2011−127166A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285433(P2009−285433)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【出願人】(000105040)クロリンエンジニアズ株式会社 (48)
【Fターム(参考)】