説明

エッチング方法及びこれに用いられるエッチング液、これを用いた半導体基板製品の製造方法

【課題】Tiを含む層を優先的に溶解する選択的なウエットエッチングを可能とし、しかもエッチング・アッシング等により生じる残渣をも効果的に洗浄除去することができるエッチング方法及びこれに用いるエッチング液、これを用いた半導体基板製品の製造方法を提供する。
【解決手段】
Tiを含む第1層と、Cu、SiO、SiN、SiOC、及びSiONの少なくとも1種を含む第2層とを有する半導体基板に特定のエッチング液を適用し、前記第1層を選択的にエッチングする方法であり、前記特定のエッチング液が、有機アミン化合物からなる塩基性化合物と酸化剤とを水性媒体中に含み、そのpHが7〜14であるエッチング方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の金属材料を選択的にエッチングする方法及びこれに用いられるエッチング液、これを用いた半導体基板製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の微細化・多様化が益々進み、その加工方法も素子構造や製造工程ごとに多岐にわたっている。基板のエッチングについてみても、ドライエッチング及びウエットエッチングの双方において、基板の材料の種類や構造に応じ、様々な化学種及び加工条件等が提案され、さらに精力的に研究開発が進められている。
【0003】
中でも、CMOSやDRAM等の素子構造を精密にエッチングして形成する技術が重要であり、その1つとして薬液を利用したウエットエッチングが挙げられる。たとえば、微細トランジスタ回路における回路配線やメタル電極材料を有する基板の作製において、精密なエッチング加工が求められる。あるいは上述したDRAMのキャパシタ構造における電極構造の作製においても同様である。しかしながら、メタル電極などを有する基板に適用される各層を選択的にエッチングする条件や薬液については、未だ十分な研究がなされていない。
【0004】
素子基板を構成するシリコン酸化物をエッチングする薬液については、検討された例がある。例えば、特許文献1には、フッ酸及びフッ化アンモニウムを用いて、シリコンウエハの熱酸化膜を効率的にエッチングする方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−177998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、Tiを含む層の選択的なエッチングを可能とする薬液及びこれを用いたエッチング方法を探索した。しかも、それだけではなく、そのウエットエッチング工程で、半導体製造において行われるプラズマエッチングやアッシング等により生じる残渣をも同時に洗浄除去し、製造効率を大幅に改善しうるエッチング方法及びこれに用いる薬液の開発を技術課題とした。
すなわち、本発明は、Tiを含む層を優先的に溶解する選択的なウエットエッチングを可能とし、しかもエッチング・アッシング等により生じる残渣をも効果的に洗浄除去することができるエッチング方法及びこれに用いるエッチング液、これを用いた半導体基板製品の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は以下の手段により解決された。
(1)Tiを含む第1層と、Cu、SiO、SiN、SiOC、及びSiONの少なくとも1種を含む第2層とを有する半導体基板に特定のエッチング液を適用し、前記第1層を選択的にエッチングする方法であり、前記特定のエッチング液が有機アミン化合物からなる塩基性化合物と酸化剤とを水性媒体中に含み、そのpHが7〜14であることを特徴とするエッチング方法。
(2)前記塩基性化合物が以下の式(I)で表される化合物である(1)に記載のエッチング方法。
N(R)・OH ・・・式(I)
(Rは置換基を表す。複数のRは互いに異なっていてもよい。)
(3)前記塩基性化合物がテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、又はテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドである(1)又は(2)に記載のエッチング方法。
(4)前記酸化剤が、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過ホウ酸、過酢酸、過ヨウ素酸、過塩素酸又はその組み合わせである(1)〜(3)のいずれか1項に記載のエッチング方法。
(5)前記第1層のエッチングレート(R1)と、前記第2層のエッチングレート(R2)との速度比(R1/R2)を30以上にする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のエッチング方法。
(6)前記半導体基板がWを含む第3層を有し、該第3層が露出している状態において硝酸を含むエッチング液を適用して前記第1層を選択的にエッチングし、前記第2層の銅が露出した状態において前記特定のエッチング液を適用して前記第1層を選択的にエッチングする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のエッチング方法。
(7)前記エッチングを20〜80℃の範囲で行う(1)〜(6)のいずれか1項に記載のエッチング方法。
(8)Tiを含む第1層を、Cu、SiO、SiOC、及びSiONの少なくとも1種を含む第2層に対して選択的にエッチングするエッチング液であり、有機アミン化合物からなる塩基性化合物と酸化剤とを水性媒体中に含み、そのpHが7〜14であるエッチング液。
(9)前記第1層のエッチングレート(R1)と、前記第2層のエッチングレート(R2)との速度比(R1/R2)が30以上である(8)に記載のエッチング液。
(10)前記塩基性化合物の濃度が0.05質量%〜50質量%である(8)又は(9)に記載のエッチング液。
(11)前記酸化剤の濃度が0.5質量%〜20質量%である(8)〜(10)のいずれか1項に記載のエッチング液。
(12)さらに水溶性有機溶媒を含む(8)〜(11)のいずれか1項に記載のエッチング液。
(13)前記水溶性有機溶媒がグリコール化合物である(12)に記載のエッチング液。
(14)(8)〜(13)のいずれか1項に記載のエッチング液と、硝酸を含有するエッチング液とを組み合わせたキットであって、
前記半導体基板がWを含む第3層を有し、該第3層が露出している状態において前記硝酸を含むエッチング液を適用して前記第1層を選択的にエッチングし、前記第2層の銅が露出した状態において前記特定のエッチング液を適用して前記第1層を選択的にエッチングするエッチング液のキット。
(15)Tiを含む第1層と、Cu、SiO、SiN、SiOC、及びSiONの少なくとも1種を含む第2層とを有する半導体基板を準備する工程、及び
前記半導体基板に特定のエッチング液を適用し、前記第1層を選択的にエッチングする工程を含む半導体基板製品の製造方法であって、
前記特定のエッチング液として、有機アミン化合物からなる塩基性化合物と酸化剤とを水性媒体中に含み、そのpHが7〜14であるエッチング液を使用する半導体基板製品の製造方法。
(16)前記半導体基板として、さらにWを含む第3層を有するものを準備し、
該第3層が露出している状態において硝酸を含むエッチング液を適用して前記第1層を選択的にエッチングし、
前記第2層の銅が露出した状態において前記特定のエッチング液を適用して前記第1層を選択的にエッチングする(15)に記載の半導体基板製品の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエッチング方法及びエッチング液によれば、Tiを含む層を優先的に溶解する選択的なウエットエッチングを可能とし、しかもエッチング・アッシング等により生じる残渣をも効果的に洗浄除去することができる。
本発明の半導体基板製品の製造方法によれば、上記の優れたエッチング選択性を利用してそれに基づく特定の構造を有する半導体基板製品を製造することができる。さらに残渣の除去性にも優れるためその除去工程を省略することができ、極めて効率的な半導体基板製品の製造を可能とするものである。
また、必要により、Cuに対して保護性のある上記のエッチング液による処理工程と、Wを含む層に対して保護性のある硝酸を含有するエッチング液による処理工程とを組み合わせて、CuとWとを回路配線に有する半導体基板の加工及びその素子の効率的な製造を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態における半導体基板の作製工程例(エッチング前)を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態における半導体基板の作製工程例(エッチング後)を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態における半導体基板の別の作製工程例(エッチング前)を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態における半導体基板の別の作製工程例(エッチング後)を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のエッチング方法においては、特定のエッチング液を用い、Tiを含む第1層とケイ素化合物ないし銅を含む特定の第2層とを有する半導体基板にエッチング液を適用し、前記第1層を優先的に溶解することができる。このとき、上記選択的なエッチングと同時に基板上の残渣をも洗浄除去することができる。すなわち、半導体基板における選択的エッチングと基板の表面の洗浄とを同時に達成することができ、素子の製品品質の向上とともに、製造効率の改善にも大いに資するものである。このような優れた効果を奏する理由は未解明の点を含むが以下のように考えられる。
本発明に必須のものとして適用される過酸化水素等の酸化剤は、Tiを含む特定の第1層に対して、高い溶解性を発揮する。また、酸化剤のもつ高い反応性が残渣等にも作用し、高い洗浄性を発揮する。一方、同様に必須のものとして採用された特定の有機アミン化合物からなる塩基性化合物が、Cu、SiO、SiN、SiOC、及びSiONの少なくとも1種を含む第2層の表面を保護し、酸化剤によるエッチングを抑制・防止したものと考えられる。そして、上記酸化剤と塩基性化合物とが所定のpH環境に調整されて機能することにより、両者の相互作用により、選択的エッチング効果と、残渣洗浄効果とが、高いレベルで発揮されたものと考えられる。以下に、本発明についてその好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。なお、本明細書においてSiOCなどと金属化合物について構成元素を並べて記載するときには、SiO(x,yは任意の組成)の意味である。ただし、SiOなどと組成の項を記載して表示することもある。
【0011】
[エッチング工程]
まず、本発明に係るエッチング工程の好ましい実施形態について、図1、図2に基づき説明する。
【0012】
図1はエッチング前の半導体基板を示した図である。本実施形態の製造例においては、シリコンウエハ(図示せず)の上に、特定の第2層として、SiOC層3、SiON層2を配し、その上側にTiN層1を形成したものを用いている。このとき、上記複合層にはすでにビア5が形成されており、当該ビア5の底部にはCu層4が形成されている。この状態の基板10に本実施形態におけるエッチング液(図示せず)を適用して、TiN層を除去する。このエッチング液はプラズマエッチング・アッシング等により生じる残渣Gの除去洗浄性も有しており、この残渣Gも効果的に除去することができる。結果として、図2に示したように、TiN膜と残渣Gが除去された状態の基板20を得ることができる。言うまでもないが、本発明においては、図示したようなエッチング・洗浄状態が理想的ではあるが、TiN層や残渣の残り、あるいは第2層の多少の腐食は、製造される半導体素子の要求品質等に応じて適宜許容されるものであり、本発明がこの説明により限定して解釈されるものではない。
なお、シリコン基板ないし半導体基板とは、シリコンウエハのみではなくそこに回路構造が施された基板構造体全体を含む意味で用いる。基板の部材とは、上記で定義されるシリコン基板を構成する部材を指し1つの材料からなっていても複数の材料からなっていてもよい。加工済みの半導体基板を半導体基板製品として区別して呼ぶことがあり、これに必要によりさらに加工を加えダイシングして取り出したチップ及びその加工製品を半導体素子という。基板の向きについては、特に断らない限り、図1で言うと、シリコンウエハと反対側(TiN側)を「上」もしくは「天」といい、シリコンウエハ側(SiOC側)を「下」もしくは「底」という。
【0013】
[シリコンエッチング液]
次に、本発明のシリコンエッチング液の好ましい実施形態について説明する。本実施形態のエッチング液は特定の酸化剤及び塩基性化合物を含有する。以下、任意のものを含め、各成分について説明する。なお、本明細書において、特定の成分を含む液とは、当該成分を含有する液組成物を意味するほか、使用前にそれぞれの成分ないしそれを含有する液・粉末等を混合して用いるキットとしての意味を包含するものである。
【0014】
(酸化剤)
酸化剤として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過ホウ酸、過酢酸、過ヨウ素酸、過塩素酸又はその組み合わせなどが挙げられ、なかでも過酸化水素が特に好ましい。
【0015】
酸化剤は、本実施形態のエッチング液の全質量に対して、0.5〜20質量%の範囲内で含有させることが好ましく、1〜15質量%含有させることがより好ましく、2〜10質量%含有させることがさらに好ましい。上記上限値以下とすることで、第2層の過剰なエッチングをより抑制できるため好ましい。上記下限値以上とすることが、十分な速度で第1層をエッチングする観点で好ましい。
【0016】
(塩基性化合物)
塩基性化合物は、有機アミン化合物からなるものであれば特に限定されないが、第一級〜第四級のアミン(アンモニウム)を構造中に有する化合物であることが好ましい。例えば、炭素数1〜6の第一級アルキルアミン、炭素数6〜12の第一級芳香族アミン、炭素数2〜6の第二級アミン、炭素数3〜6の第三級アミン、炭素数4〜16の第四級アンモニウムもしくはその塩、2−アミノエタノール、グアニジンカーボネートなどが挙げられる。
なかでも下記式(I)で表されるものが好ましい。
N(R)・OH ・・・式(I)
【0017】
Rは置換基を表す。複数のRは互いに異なっていてもよい。Rとして好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基が挙げられ、その好ましい範囲は下記置換基Tと同義である。その中でも、特に好ましい化合物としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、またはテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)が好ましい。また、これらの化合物を組み合わせて用いても勿論問題はない。
【0018】
塩基性化合物は、本実施形態のエッチング液の全質量に対して、0.05〜50質量%の範囲内で含有させることが好ましく、0.05〜20質量%の範囲内で含有させることがより好ましく、0.5〜15質量%含有させることがさらに好ましく、0.5〜10質量%含有させることが特に好ましい。上記上限値以下とすることが、塩基性化合物自体が金属層のエッチングを阻害してしまう問題を避ける観点で好ましい。上記下限値以上とすることが、十分に第2層のエッチングを抑制できる観点から好ましい。
【0019】
酸化剤との関係でいうと、酸化剤100質量部に対して、塩基性化合物を0.5〜50質量部で用いることが好ましく、10〜40質量部で用いることがより好ましい。この両者の量を適正な関係で使用することにより、良好なエッチング性及び残渣除去性を実現し、かつ高いエッチング選択性を併せて達成することができる。
なお、本明細書において「化合物」という語を末尾に付して呼ぶとき、あるいは特定の名称ないし化学式で示すときには、当該化合物そのものに加え、その塩、錯体、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、所定の形態で修飾された誘導体を含む意味である。また、本明細書において置換基に関して「基」という語を末尾に付して特定の原子群を呼ぶときには、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。
(置換基T)
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド、N−フェニルスルホンアミド等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、シアノ基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基が挙げられる。
【0020】
[水性媒体]
本発明のエッチング液は、水性媒体を媒体とする水系の液組成物である。水性媒体とは、水及び水に可溶な溶質を溶解した水溶液を言う。溶質としては、前記必須の含有成分を除く意味であり、必要により任意成分も別途規定してもよい。ここでいう溶質として、例えば、アルコールや塩化ナトリウム等の無機化合物の塩が挙げられる。ただし、溶質を適用する場合でもその量は本発明の所望の効果が際立つ範囲に抑えられていることが好ましい。また、上記水系の組成物とは、水性媒体が主たる媒体となっていることをいい、固形分以外の媒体の過半が水性媒体であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
【0021】
[pH]
本発明においては、エッチング液のpHを7〜14に調整し、9〜14にすることが好ましく、10〜13にすることがより好ましい。上記下限値以上とすることで、十分な速度でTiを含む化合物を高速でエッチングすることができ、上記上限値以下とすることでCu、SiO、SiN、SiOC、及びSiONへのエッチングを過剰に進行させないために好ましい。なお、本発明においてpHは特に断らない限り、実施例で測定した装置及び条件によるものとする。
(その他の成分)
・pH調整剤
本実施形態においては、エッチング液のpHを上記の範囲に調節するが、この調整にpH調整剤を用いることが好ましい。pH調整剤としては、pHを上げる為に前記〔塩基性化合物〕の項で記載した塩基性化合物、pHを下げる為に塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸、又はギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸等の有機酸が挙げられる。
【0022】
pH調整剤の使用量は特に限定されず、pHを上記の範囲に調整するために必要な量で用いればよい。
【0023】
本発明のシリコンエッチング液においては、さらに水溶性有機溶媒を添加してもよい。水溶性有機溶媒とは、水と任意の割合で混合できる有機溶媒のことである。これにより、ウエハの面内における均一なエッチング性を更に向上しうる点で有効である。
水溶性有機溶媒は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等のアルコール化合物溶媒、アルキレングリコールアルキルエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)を含むエーテル化合物溶媒が挙げられる。
これらの中で好ましいのは炭素数2〜15アルコール化合物溶媒、炭素数2〜15のアルコール・エーテル化合物溶媒であり、更に好ましくは、炭素数2〜10の水酸基を2つ以上有するアルコール化合物溶媒、炭素数2〜10の水酸基を2つ以上有するアルコール・エーテル化合物溶媒である。とくに好ましくは、炭素数3〜8のアルキレングリコールアルキルエーテルである。水溶性有機溶媒は単独でも2種類以上適宜組み合わせて用いてもよい。なお、本明細書においては、水酸基(−OH)とエーテル基(−O−)とを分子内にもつ化合物は、原則的にはエーテル化合物に含まれるものとし(アルコール化合物とは称しない)、水酸基とエーテル基との両者を有するものを特に指すときにはアルコール・エーテル化合物と称することがある。
この中でも特に、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールが好ましい。添加量はエッチング液全量に対して0.1〜70質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。この量が上記下限値以上であることで、上記のエッチングの均一性の向上を効果的に実現することができる。
本発明においては、上記水溶性有機溶媒の添加が非常に有効である。この添加により、その優れた選択的エッチングの効果が際立ち、様々な構成態様で高いエッチング効果を得ることができる。
【0024】
[エッチング条件]
本実施形態においてエッチングを行う条件は特に限定されないが、スプレー式(枚葉式)のエッチングであってもバッチ式(浸漬式)のエッチングであってもよい。スプレー式のエッチングにおいては、半導体基板を所定の方向に搬送もしくは回転させ、その空間にエッチング液を噴射して前記半導体基板に前記エッチング液を接触させる。他方、バッチ式のエッチングにおいては、エッチング液からなる液浴に半導体基板を浸漬させ、前記液浴内で半導体基板とエッチング液とを接触させる。これらのエッチング方式は素子の構造や材料等により適宜使い分けられればよい。
【0025】
エッチングを行う環境温度は、スプレー式の場合、噴射空間を15〜100℃とすることが好ましく、20〜80℃とすることがより好ましい。エッチング液の方は20〜80℃とすることが好ましく、30〜70℃とすることがより好ましい。上記下限値以上とすることにより、金属層に対する十分なエッチング速度を確保することができ好ましい。上記上限値以下とすることにより、エッチングの選択性を確保することができ好ましい。エッチング液の供給速度は特に限定されないが、0.05〜1L/minとすることが好ましく、0.1〜0.5L/minとすることがより好ましい。上記下限値以上とすることにより、エッチングの面内の均一性を確保することができ好ましい。上記上限値以下とすることにより、連続処理時に安定した選択性を確保でき好ましい。半導体基板を回転させるときには、その大きさ等にもよるが、上記と同様の観点から、50〜400rpmで回転させることが好ましい。
【0026】
バッチ式の場合、液浴を20〜80℃とすることが好ましく、30〜70℃とすることがより好ましい。上記下限値以上とすることにより、エッチング速度を確保することができ好ましい。上記上限値以下とすることにより、エッチングの選択性を確保することができ好ましい。半導体基板の浸漬時間は特に限定されないが、0.5〜30分とすることが好ましい、1〜10分とすることがより好ましい。上記下限値以上とすることにより、エッチングの面内の均一性を確保することができ好ましい。上記上限値以下とすることにより、連続処理時に安定した選択性を確保でき好ましい。
【0027】
[残渣]
半導体素子の製造プロセスにおいては、レジストパターン等をマスクとして用いたプラズマエッチングにより半導体基板上の金属層等をエッチングする工程がある。具体的には、金属層、半導体層、絶縁層などをエッチングし、金属層や半導体層をパターニングしたり、絶縁層にビアホールや配線溝等の開口部を形成したりすることが行われる。上記プラズマエッチングにおいては、マスクとして用いたレジストや、エッチングされる金属層、半導体層、絶縁層に由来する残渣が半導体基板上に生じる。本発明においては、このようにプラズマエッチングにより生じた残渣を「プラズマエッチング残渣」と称する。
【0028】
また、マスクとして用いたレジストパターンは、エッチング後に除去される。レジストパターンの除去には、上述のように、ストリッパー溶液を使用する湿式の方法、又は例えばプラズマ、オゾンなどを用いたアッシングによる乾式の方法が用いられる。上記アッシングにおいては、プラズマエッチングにより生じたプラズマエッチング残渣が変質した残渣や、除去されるレジストに由来する残渣が半導体基板上に生じる。本発明においては、このようにアッシングにより生じた残渣を「アッシング残渣」と称する。また、プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣等の半導体基板上に生じた洗浄除去されるべきものの総称として、単に「残渣」ということがある。
【0029】
このようなエッチング後の残渣(Post Etch Residue)であるプラズマエッチング残渣やアッシング残渣は、洗浄組成物を用いて洗浄除去されることが好ましい。本実施形態のエッチング液は、プラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を除去するための洗浄液としても適用することができる。なかでも、プラズマエッチングに引き続いて行われるプラズマアッシング後において、プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣を除去するために使用することが好ましい。
【0030】
[被加工物]
本実施形態のエッチング液を適用することによりエッチングされる材料はどのようなものでもよいが、Tiを含む第1層と、Cu、SiO、SiN、SiOC、及びSiONの少なくとも1種を含む第2層とを有する半導体基板に適用されることを要件とする。ここで、SiOとは、シリコンの熱酸化膜、SiOを含む意味であり、SiOxを包含するものである。
【0031】
・第1層
第1層は高いエッチングレートでエッチングされることが好ましく、中でも、TiNであることが特に好ましい。第1層の厚さは特に限定されないが、通常の素子の構成を考慮したとき、0.005〜0.3μm程度であることが実際的である。第1層のエッチングレート[R1]は、特に限定されないが、生産効率を考慮し、50〜500Å/minであることが好ましい。
【0032】
・第2層
第2層は低いエッチングレートに抑えられることが好ましい。第2層の厚さは特に限定されないが、通常の素子の構成を考慮したとき、0.005〜0.5μm程度であることが実際的である。第2層のエッチングレート[R2]は、特に限定されないが、生産効率を考慮し、0.001〜10Å/minであることが好ましい。
【0033】
第1層の選択的エッチングにおいて、そのエッチングレート比([R1]/[R2])は特に限定されないが、高い選択性を必要とする素子を前提に言うと、50以上であることが好ましく、10〜5000であることがより好ましく、30〜3000であることがさらに好ましく、50〜2500であることが特に好ましい。
【0034】
本実施形態においては、さらにWを含む第3層のエッチングを硝酸を含むエッチング液で行う工程を組み合わせることが好ましい。すなわち、前記半導体基板30としてWを含む第3層を有するものを準備し、該第3層のWが露出している状態において硝酸を含むエッチング液を適用する(図3参照)。これをA工程ということがある。本実施形態のA工程では、Wは腐食させずに、前記Tiを含む第1層を選択的にエッチングし、処理後の基板40とする(図4参照)。引き続くB工程が、先に詳しく述べた酸化剤と塩基性化合物とを含む特定のエッチング液で処理する工程である。ここでは、前記第2層のなかでも、特に銅が露出した基板を対象とする(図1)。本実施形態では、そこに前記特定のエッチング液を適用することで、前記第1層を選択的にエッチングする(図2)。
上記A工程とB工程とは、どちらの工程が先でもよく、必要都度、A工程及びB工程を繰り返し適用して、所望の形態を有する半導体基板の作製を行ってもよい。
【0035】
[半導体基板製品の製造]
本実施形態においては、シリコンウエハ上に、前記第1層と第2層とを形成した半導体基板とする工程と、前記半導体基板にエッチング液を適用し、前記第1層を選択的に溶解する工程(B)とを介して、所望の構造を有する半導体基板製品を製造することが好ましい。このとき、前記エッチング液として、前記特定のエッチングを液を用いる。前記エッチング工程の前に、半導体基板に対しドライエッチングもしくはドライアッシングを行い、当該工程において生じた残渣を除去することが好ましい。このことは、すでに説明してきたところである。さらに、硝酸を含むエッチング液を用いWを保護しながらエッチングを行ってもよい(A工程)。半導体基板製品の製造における各工程には、通常、この種の製品に適用される各加工方法を適用することができる。
【0036】
ここまで述べた中でも、本発明では特に塩基性化合物としてTMAH、TEAH又はTPAHを0.1〜3%、酸化剤としての過酸化水素を2〜10%、水溶性有機溶媒としてプロピレングリコール、ジプロピレングリコールを10〜50%含む液にて、30〜70℃の条件で処理することが特に好ましい。処理時間としては1〜10分程度が処理の安定性とスループットの向上を両立する目的で特に好ましい。更にこの条件でCuを含む基板を処理し、50%濃度以上の硝酸を30〜70℃で使用することで、Wを含む基板を処理する方法の組み合わせが半導体基板製品を作る条件としては特に好ましい。
【実施例】
【0037】
<実施例1、比較例1>
以下の表1に示す成分を同表に示した組成(質量%)で含有させてエッチング液を調液した。
【0038】
<エッチング試験>
試験ウエハ:シリコンウエハ上に、TiN層とSiOC層とCu層とを、試験評価用に、並べた状態で配置した半導体基板(試験体)を準備した。これに対して、枚葉式装置(SPS−Europe B.V.社製、POLOS(商品名)))にて下記の条件でエッチングを行い評価試験を実施した。
・薬液温度:80℃
・吐出量:1L/min.
・ウエハ回転数500rpm
【0039】
[配線の洗浄性]
エッチング後のウエハの表面をSEMで観察し、残渣(プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣)の除去性について評価を行った。
AA:残渣が完全に除去された。
A:残渣がほぼ完全に除去された。
B:残渣の溶解不良物が残存していた。
C:残渣がほとんど除去されていなかった。
【0040】
[pHの測定]
表中のpHは室温(25℃)においてHORIBA社製、F−51(商品名)で測定した値である。
【0041】
【表1−1】

【0042】
【表1−2】

【0043】
【表1−3】

【0044】
上表に示したとおり、比較例のものでは、TiNの選択的なエッチングと洗浄性との両立はできなかった。これに対し、本発明のシリコンエッチング液(試料101〜140)は、TiNに対して高いエッチング速度を示し、一方でSiOC及びCuに対してはダメージを与えないという高いエッチング選択性を示した。しかも、ドライエッチング残渣の除去性に優れ、特定の構造の半導体基板の製造品質とともに、製造効率(生産性)をも大幅に改善しうるものであることが分かる。
【0045】
<実施例2>
TiN及びSiOC、Cu以外に、表2に示した金属層及びシリコン化合物層を配設した基板を準備して、上記試験124と同様にして、エッチングを行った(試験201)。結果を表2の上表に示すとともに、上記TiN、SiOC、Cu、SiOxの結果とあわせてエッチング選択比を表2の下表にまとめて示した。
【0046】
【表2】

【0047】
<実施例2A>
上記評価液124液に対して、温度を変更して評価した。選択比を表2Aの下表に
まとめて示した。
【0048】
【表2A】

上表に示したとおり、本発明によれば、TiN/SiOC、TiN/Cu以外においても、所定の組合せにおいて良好なエッチング速度とその選択性が得られることが分かる。SiOxに対してはさほど高い選択性が得られないことを確認した。
【0049】
<実施例3>
以下のようにして、硝酸エッチング液を用いる工程と、上記過酸化水素と塩基性化合物を含む特定エッチング液との組合せに係にるエッチング試験を行った。
まず、69質量%の濃硝酸を準備した。Cu代えWの層を有するウエハを用いた以外実施例1と同様にして、上記濃硝酸によるエッチングを行った。W、SiON、SiOCのエッチング速度は、ほぼ0Å/minであった。一方、TiNは100Å/minの速度で選択的にエッチングされることを確認した。なお、Cu層に関しても同様に濃硝酸によるエッチング性を確認したところ、約1,000〜5,000Å/minの極めて高いエッチングレートを示すことが分かった。
更に実施例1で使用した薬液(124)と硝酸を使用して第一層(Cu)、第二層(W)、第三層(Cu)の三層構造を作成した後に、この処理後のウエハの電気特性評価を行った結果、各配線間の電気特性評価には抵抗値の上昇、絶縁等の問題は確認されなかった。これにより、硝酸エッチング液と前記特定エッチング液とを組み合わせたキットにより、W電極とCu電極とを併せもつ素子を好適に製造することができることが分かる。
【符号の説明】
【0050】
【表3】

【0051】
1 TiN層
2 SiON層
3 SiOC層
4 Cu層
5 ビア
14 W層
G 残渣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Tiを含む第1層と、Cu、SiO、SiN、SiOC、及びSiONの少なくとも1種を含む第2層とを有する半導体基板に特定のエッチング液を適用し、前記第1層を選択的にエッチングする方法であり、前記特定のエッチング液が有機アミン化合物からなる塩基性化合物と酸化剤とを水性媒体中に含み、そのpHが7〜14であることを特徴とするエッチング方法。
【請求項2】
前記塩基性化合物が以下の式(I)で表される化合物である請求項1に記載のエッチング方法。
N(R)・OH ・・・式(I)
(Rは置換基を表す。複数のRは互いに異なっていてもよい。)
【請求項3】
前記塩基性化合物がテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、又はテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドである請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記酸化剤が、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過ホウ酸、過酢酸、過ヨウ素酸、過塩素酸又はその組み合わせである請求項1〜3のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記第1層のエッチングレート(R1)と、前記第2層のエッチングレート(R2)との速度比(R1/R2)を30以上にする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記半導体基板がWを含む第3層を有し、該第3層が露出している状態において硝酸を含むエッチング液を適用して前記第1層を選択的にエッチングし、前記第2層の銅が露出した状態において前記特定のエッチング液を適用して前記第1層を選択的にエッチングする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記エッチングを20〜80℃の範囲で行う請求項1〜6のいずれか1項に記載のエッチング方法。
【請求項8】
Tiを含む第1層を、Cu、SiO、SiOC、及びSiONの少なくとも1種を含む第2層に対して選択的にエッチングするエッチング液であり、有機アミン化合物からなる塩基性化合物と酸化剤とを水性媒体中に含み、そのpHが7〜14であるエッチング液。
【請求項9】
前記第1層のエッチングレート(R1)と、前記第2層のエッチングレート(R2)との速度比(R1/R2)が30以上である請求項8に記載のエッチング液。
【請求項10】
前記塩基性化合物の濃度が0.05質量%〜50質量%である請求項8又は9に記載のエッチング液。
【請求項11】
前記酸化剤の濃度が0.5質量%〜20質量%である請求項8〜10のいずれか1項に記載のエッチング液。
【請求項12】
さらに水溶性有機溶媒を含む請求項8〜11のいずれか1項に記載のエッチング液。
【請求項13】
前記水溶性有機溶媒がグリコール化合物である請求項12に記載のエッチング液。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれか1項に記載のエッチング液と、硝酸を含有するエッチング液とを組み合わせたキットであって、
前記半導体基板がWを含む第3層を有し、該第3層が露出している状態において前記硝酸を含むエッチング液を適用して前記第1層を選択的にエッチングし、前記第2層の銅が露出した状態において前記特定のエッチング液を適用して前記第1層を選択的にエッチングするエッチング液のキット。
【請求項15】
Tiを含む第1層と、Cu、SiO、SiN、SiOC、及びSiONの少なくとも1種を含む第2層とを有する半導体基板を準備する工程、及び
前記半導体基板に特定のエッチング液を適用し、前記第1層を選択的にエッチングする工程を含む半導体基板製品の製造方法であって、
前記特定のエッチング液として、有機アミン化合物からなる塩基性化合物と酸化剤とを水性媒体中に含み、そのpHが7〜14であるエッチング液を使用する半導体基板製品の製造方法。
【請求項16】
前記半導体基板として、さらにWを含む第3層を有するものを準備し、
該第3層が露出している状態において硝酸を含むエッチング液を適用して前記第1層を選択的にエッチングし、
前記第2層の銅が露出した状態において前記特定のエッチング液を適用して前記第1層を選択的にエッチングする請求項15に記載の半導体基板製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−33942(P2013−33942A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134918(P2012−134918)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】